JP6374682B2 - 筋萎縮抑制剤 - Google Patents

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本発明は、筋萎縮を抑制する筋萎縮抑制剤に関する。
骨格筋は人体で最大の器官であり、エネルギー代謝や糖取り込み、運動において重要な役割を果たす。ところが、一般的に、骨格筋は加齢に伴い量が減少することが知られており、超高齢化社会を迎える日本において、骨格筋量の減少を抑制することは重要な課題であると考えられる。
これに対して、近年、医薬用の筋肉増強剤(特許文献1)や、補助食品として摂取可能な筋肉増強サプリメント(特許文献2)が提供され始めている。
しかしながら、特許文献1に開示の医薬用筋肉増強剤は、医薬品であるIGF−1を有効成分としており、医師の適切な指導を必要とするため、生活の質を向上するなどの医療対象とならない筋萎縮抑制手段には用いることができない。また、この医薬品である筋肉増強剤は、高価であるため、対象者であっても、経済的な観点から、継続的に使用するには、困難がある。特許文献2に開示の筋肉増強用サプリメントは、食品成分であるアミノ酸やミネラルを有効成分としているが、レジスタンス運動と呼ばれる高負荷の運動を併用することが不可欠であり、臥床や運動不足、老化により筋肉の萎縮が生じてしまった者の筋肉を十分に回復させるのは難しい。したがって、より顕著な効果を発揮する筋萎縮抑制技術の開発が待たれている。
アトロジン(atrogin)−1は、加齢に伴う筋量の減少をはじめとして、さまざまな筋萎縮時に発現が増加する遺伝子で(非特許文献1)、ノックアウトマウスでは筋萎縮に抵抗性を示すことから(非特許文献2)、筋萎縮において重要な役割を果たすと考えられている。したがって、アトロジン−1の発現を抑制する素材は、筋萎縮の抑制に効果的であると考えられる。
一方、大豆レシチンは、大豆原料として得られるリン脂質を主成分とする混合物であり、食品や医薬品の乳化剤として用いられ、また脂質代謝の改善、動脈硬化症の改善等の効果があることも報告されている。
しかしながら、斯かる大豆レシチンに、アトロジン−1の発現抑制作用があること、筋萎縮抑制作用があることはこれまで全く知られていない。
特表2005−534651号公報 特開2004−256513号公報
FASEB J. 18:39−51, 2004 Science 294: 1704−1708, 2001
本発明は、アトロジン−1発現抑制作用を有し、筋萎縮抑制効果を発揮する医薬品、医薬部外品、食品、飼料、及び医薬品や食品等に配合した場合に当該効果を発揮する素材を提供することに関する。
本発明者らは、筋萎縮の抑制に有効な成分の探索を行った結果、大豆レシチンに筋萎縮原因遺伝子であるアトロジン−1の遺伝子発現抑制作用があり、これが筋萎縮抑制等の効果を発揮し得る素材として有用であることを見出した。
すなわち、本発明は下記に関するものである。
(1)大豆レシチンを有効成分とするアトロジン−1発現抑制剤。
(2)大豆レシチンを有効成分とする筋萎縮抑制剤。
本発明のアトロジン−1発現抑制剤及び筋萎縮抑制剤を含む組成物は、幅広い年齢層に対して、医師の指導や高負荷の運動を必要とせず、日常の活動時における筋萎縮を抑制するための食品、医薬品、医薬部外品、飼料として有用である。特に、食品又はサプリメントによる筋萎縮抑制が可能であることから、高齢者のQOL改善に資する。
Foxo1誘導性アトロジン−1プロモーター活性化に対する作用を示すグラフ。 デキサメタゾン誘導性アトロジン−1発現に及ぼす作用を示すグラフ。 尾懸垂処置による筋萎縮に対する作用を示すグラフ。
本発明において用いられる大豆レシチンとは、大豆を原料として得られる、リン脂質を主成分とする混合物を意味する。ここで、レシチン中のリン脂質の含有量は、レシチン全量中、20質量%以上であるのが好ましく、50質量%以上であるのが好ましい。
上記大豆レシチンとしては、大豆油を製造する工程で得られる粗レシチン、粗レシチンを溶剤で分別して得られる分別レシチン(抽出レシチン)、これらを精製した精製レシチンの他、酵素処理レシチン等が包含される。
酵素処理レシチンとしては、酵素によりリン脂質のβ位の脂肪酸残基を加水分解して除去し、リゾレシチンとした酵素分解レシチン、及びリン脂質のリン酸に結合している塩基を酵素によりグリセリンと置換してフォスファチジルグリセロールにした酵素転移レシチンが挙げられる。
上記大豆レシチン中に含まれるリン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸や、これらのリゾ体を含むアシルグリセロ型リン脂質が挙げられる。
上記大豆レシチンは、SLP−ペースト、SLP−ホワイト、SLP−ペーストリゾ、SLP−ホワイトリゾ、SLP−PC35、SLP−PC55、SLP−ペーストRD(以上、辻製油社製)、ベイシスLP−20B、日清レシチンDX(以上、日清オイリオグループ社製)等が市販されており、本発明ではこれらを用いることができる。
後記実施例に示すように、大豆レシチンは、アトロジン−1の発現を抑制(Foxoを介したアトロジン−1のプロモーター活性を抑制、及びデキサメタゾン誘導性のアトロジン−1発現を抑制)し、筋萎縮抑制作用を有する。アトロジン−1はタンパク質分解系の一つであるユビキチン・プロテアソーム分解系の律速酵素であるため、アトロジン−1の発現を抑制することは、タンパク質分解を阻害し、筋萎縮抑制に寄与する(前記非特許文献2参照)。
したがって、大豆レシチンは、アトロジン−1発現抑制剤、及び筋萎縮抑制剤(以下、「アトロジン−1発現抑制剤等」という)となり得、アトロジン−1発現抑制、及び筋萎縮抑制のために使用することができる。例えば大豆レシチンは、加齢に伴って生ずる筋萎縮を抑制するために使用することができる。ここで、当該使用は、ヒト若しくは非ヒト動物、又はそれらに由来する検体における使用であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。ここで、「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
また、大豆レシチンは、アトロジン−1発現抑制剤等を製造するために使用することができる。
本発明において、アトロジン−1の発現抑制とは、典型的には、i)アトロジン−1 mRNAへのアトロジン−1遺伝子の転写を阻害又は抑制する、ii)アトロジン−1タンパク質へのアトロジン−1 mRNAの翻訳を阻害又は抑制することが挙げられる。
より具体的には、フォークヘッド型転写因子であるFoxoを介したアトロジン−1のプロモーター活性の抑制(試験例1)、デキサメタゾン処理培養筋管細胞におけるアトロジン−1の発現抑制(試験例2)、及びマウスにおける尾懸垂による筋委縮の抑制(試験例3)が挙げられる。
アトロジン-1プロモーターの上流にはFoxo結合配列が存在し、Foxoがアトロジン−1プロモーターに直接結合することで、アトロジン−1の転写を正に調節することが知られている(Cell 117: 399-412, 2004)。また、種々の筋萎縮においてFoxoの遺伝子発現が増加すること(FEBS Lett. 536: 232-236, 2003)、さらには、筋特異的にFoxo1を過剰発現させたFoxo1トランスジェニックマウスの骨格筋では、筋萎縮が生じるとともに、アトロジン−1遺伝子発現の増加が認められていることから(J Biol Chem. 279: 41114-41123, 2004)、Foxoを介したアトロジン−1の発現を抑制することが、筋萎縮の抑制に繋がると考えられる。
また、デキサメタゾンが、骨格筋においてアトロジン−1の発現を上昇させ、筋萎縮を誘導し(Crit. Care. Med. 35: S602-S608, 2007、J. Cell Biochem. 105: 353-364, 2008)、培養筋管細胞においてもデキサメタゾン処理により、アトロジン−1の発現が上昇することから、デキサメタゾン処理培養筋管細胞におけるアトロジン−1の発現抑制は、筋萎縮抑制の指標となる。
本発明において、「筋萎縮」とは、筋蛋白質の分解速度が合成速度を上回ることにより、筋蛋白質が減少する、もしくは筋細胞が減少し、結果的に筋量が低下することを意味する。具体的には、長期間の安静臥床や骨折等によるギプス固定、或いは微小重力暴露による筋萎縮(廃用性筋萎縮という)、筋萎縮性側策硬化症(ALS)等の疾病による進行性筋萎縮の他、加齢に伴って筋萎縮と同様の症状を呈する加齢性筋減弱症(サルコペニア)や、ガン(悪液質)、敗血症、I型糖尿病、長期臥床等に伴って生じる筋萎縮が包含される。したがって「筋萎縮の抑制」とは、不活動や加齢、疾病等による筋量の低下を抑制することをいう。
本発明のアトロジン−1発現抑制剤等を含む組成物は、それ自体、ヒトを含む動物に摂取又は投与した場合に筋萎縮抑制の各効果を発揮する、ヒト若しくは動物用の医薬品、医薬部外品、食品、又は飼料となり、またアトロジン−1発現抑制剤等は、当該医薬品、医薬部外品、食品又は飼料に配合して使用される素材又は製剤となり得る。
また、当該食品には、運動不足者や中高年者、ベッドレスト者等におけるアトロジン−1発現抑制剤、及び筋萎縮抑制剤をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した食品、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品、サプリメントが包含される。
上記医薬品の投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与又は注射剤、坐剤、吸入薬、経皮吸収剤、外用剤等による非経口投与が挙げられる。また、このような種々の剤型の製剤は、大豆レシチンと、他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤、大豆レシチン以外の薬効成分等を適宜組み合わせて調製することができる。また、これらの投与形態のうち、好ましい形態は経口投与であり、経口用液体製剤は、嬌味剤、緩衝剤、安定化剤等を加えて常法により調製することができる。
経口投与用製剤中の大豆レシチンの含有量(固形物の乾燥物換算)は、一般的にリン脂質の総量として0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは1質量%以上であり、且つ100質量%以下、好ましくは90質量%以下である。また0.01〜100質量%、好ましくは0.1〜100質量%、好ましくは1〜100質量%である。
上記食品の形態としては、清涼飲料水、茶系飲料、コーヒー飲料、果汁飲料、炭酸飲料、ジュース、ゼリー、ウエハース、ビスケット、パン、麺、ソーセージ等の飲食品や栄養食等の各種食品の他、さらには、上述した経口投与製剤と同様の形態(錠剤、カプセル剤、シロップ等)の栄養補給用組成物が挙げられる。
種々の形態の食品は、大豆レシチンと、他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤、本発明以外の有効成分等を適宜組み合わせて調製することができる。
また、病者用食品、例えば適当量の栄養補給が困難な高齢者やベッドレスト状態の病者に対する食品としては、経腸栄養剤等の栄養組成物の形態とすることが可能である。
また、飼料としては、ウサギ、ラット、マウス等に用いる小動物用飼料、犬、猫等に用いるペットフード等の飼料等が挙げられ、上記食品と同様の形態に調製できる。
当該食品又は飼料中の大豆レシチンの含有量(固形物の乾燥物換算)は、一般的にリン脂質の総量として0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは1質量%以上であり、且つ100質量%以下、好ましくは90質量%以下である。また0.01〜100質量%、好ましくは0.1〜100質量%、好ましくは1〜100質量%である。
上記医薬品又は食品の成人1人当たりの1日の投与又は摂取量は、通常、大豆レシチン(固形物の乾燥物換算)として0.01mg以上、好ましくは0.1mg以上であり、且つ100mg以下、好ましくは10mg以下である。また、0.01〜100mg、好ましくは0.1〜10mgである。また、上記製剤の摂取頻度は任意であるが、1日1回〜数回に分けて摂取することが好ましい。
投与又は摂取対象としては、筋萎縮抑制を必要とする若しくは希望する動物又はヒトであれば特に限定されないが、特に、運動不足者、ロコモティブシンドローム発症者、加齢性筋減弱症(サルコペニア)者における摂取が有効である。
上述した実施形態に関し、本発明においては以下の態様が開示される。
<1>大豆レシチンを有効成分とするアトロジン−1発現抑制剤。
<2>大豆レシチンを有効成分とする筋萎縮抑制剤。
<3>アトロジン−1発現抑制剤を製造するための、大豆レシチンの使用。
<4>筋萎縮抑制剤を製造するための、大豆レシチンの使用。
<5>アトロジン−1発現抑制に使用するための、大豆レシチン。
<6>筋萎縮抑制に使用するための、大豆レシチン。
<7>大豆レシチンの有効量を投与又は摂取することによるアトロジン−1発現抑制方法。
<8>大豆レシチンの有効量を投与又は摂取することによる筋萎縮抑制方法。
<9>上記<5>〜<6>において、使用は非治療的使用である。
<10>上記<7>又は<8>において、方法は非治療的方法である。
<11>上記<7>又は<8>において、投与又は摂取の対象は、筋萎縮抑制を必要とする若しくは希望する動物又はヒトである。
製造例 大豆レシチンの調製
(1)SLP−ホワイト(商品名、辻製油より入手)を、99.5%エタノールに濃度7.8mg/mLとなるように溶解した。
(2)SLP−ホワイトリゾ(商品名、辻製油より入手)を、DMSOに濃度5.2mg/mlとなるように溶解した。
試験例1 Foxo1誘導性アトロジン−1プロモーター活性化に対する作用
(1)マウスアトロジン−1プロモーター領域のクローニング及びレポータープラスミド構築
マウスアトロジン−1プロモーター領域としてエキソン1上流の約3.5kbの長さの領域をクローニングするために、フォワードプライマー(attggtacctcggtggaaggtctctgta[配列番号1])、リバースプライマー(attctcgagacggattgacagccaggaa[配列番号2])を利用し、マウスBACクローン(RP23−391D2;Children’s Hospital Oakland)を鋳型にし、DNAポリメラーゼ(TaKaRa LA−taqTM;宝酒造社)を用い、94℃1分間の後、94℃30秒、60℃30秒、及び72℃4分のサイクルを25回。続いて72℃5分間の条件でPCRを行った。得られたPCR産物をクローニングベクター(pGEMR−T Easy Vector Systems;プロメガ社)にサブクローニングし、制限酵素(Kpn1、Xho1:宝酒造社)処理によりDNA断片を調整した。調整したDNA断片をpGL3−Basicベクター(Promega)のマルチクローニングサイト(Kpn1/Xho1)に挿入し、pGL3−アトロジン−1を得た。
(2)マウスFoxo1のCDSのクローニング
マウスFoxo1は、pENTR223.1ベクターに挿入されたFoxo1のCDS(Open Biosystems)をpcDNA−DEST40ベクター(Invitrogen)にLRクロナーゼ(Invitrogen)により挿入した。
(3)プロモーター活性化の測定 マウス骨格筋細胞株(C2C12)を24穴プレートに播種し、DMEM培地(10% ウシ胎児血清)中で1日培養した。pGL3−アトロジン−1プラスミドとウミシイタケ(renilla)由来ルシフェラーゼ発現ベクターであるphRL−TK(Promega)、pcDNA−DEST40−Foxo1を同時に各々トランスフェクション試薬(LipofectamineTM Reagent:Invitrogen)を用いて導入した。トランスフェクション4時間後にDMEM(5%チャコール処理ウシ胎児血清)に交換した。さらに4時間後に無血清培地(DMEM)に交換し、同時に被験物質として、上記製造例で調製した大豆レシチン(終濃度78μg/mL)、大豆リゾレシチン(104μg/mL)をそれぞれ添加し、22時間培養した。
PBSにて洗浄後、デュアルルシフェラーゼアッセイシステム(Promega)を用いて細胞を溶解、溶解液にルシフェリンを含む基質溶液を加え、ルミノメーターにてホタル及びウミシイタケルシフェラーゼ活性を各々測定した。ルシフェラーゼ活性は、ホタルルシフェラーゼ活性/ウミシイタケルシフェラーゼ活性とし、Foxo1刺激を行っていない群を100とした際の相対値を計算した。統計は、unpaired student's t-testを用い、有意水準はP<0.05とした。その結果を図1(a)(b)に示す。
図1(a)(b)の結果に示すように、Foxo1により、アトロジン−1のプロモーター活性は有意に増加した。大豆レシチン及び大豆リゾレシチンは、Foxo1による活性化を有意に抑制した。
試験例2 デキサメタゾン誘導性アトロジン−1発現に及ぼす作用
マウス骨格筋細胞株C2C12(ATCC)をDMEM培地(10% ウシ胎児血清)にて培養し、DMEM培地(2%馬血清)で分化誘導を行った。2日ごとに培地を交換し、分化誘導5日目にデキサメタゾン終濃度1μMを含む分化培地に交換し、24時間培養した。上記製造例で調製した大豆レシチン(デキサメタゾン添加時の終濃度:78μg/mL)及び大豆リゾレシチン(デキサメタゾン添加時の終濃度:52μg/mL)で同時に添加した。デキサメタゾン処理後24時間後にRNAを回収した。
細胞のRNA抽出は、RNeasy mini kit(QIAGEN)を用いて、添付のプロトコール通りに行った。
各RNAは濃度を揃えた後、65℃で10分間の熱処理を行い、急冷後に1μgのRNAを用いて逆転写反応を行った。逆転写反応はHigh Capacity RNA−to−cDNA Kit(アプライドバイオシステム社)を用いて、添付のプロトコールどおりに行った。反応後は4℃で急冷した。サンプルは使用まで−20℃で保存した。
逆転写反応によって得られたcDNAを鋳型として、ABI PRISM7700 Sequence Detector(アプライドバイオシステムズ社)によりリアルタイムPCRを行った。リアルタイムPCRの反応液組成は、10μL Fast SYBR Green PCR Master Mix(アプライドバイオシステムズ社)、0.1μlの100μM 5’−プライマー及び3’−プライマー、4.8μL dH2Oとして、これに5μLのcDNAを加えて20μLの反応系で行い、得られた解析結果は36B4 mRNAの発現量を基準として補正し、相対的mRNA発現量として示した。用いたプライマーは表1に示した。統計は、unpaired student's t-testを用い、有意水準はP<0.05とした。その結果を図2(a)(b)に示す。
Figure 0006374682
図2(a)(b)の結果に示すように、デキサメタゾン処理により、アトロジン−1の遺伝子発現は有意に増加した。大豆レシチン及び大豆リゾレシチンは、デキサメタゾンによるアトロジン−1の発現を有意に抑制した。
試験例3 尾懸垂処置による筋萎縮に対する作用の評価
10週齢のBALB/cマウスを2週間予備飼育した後、体重(約27g)が等しくなるように、コントロール−対照食群(n=8)、尾懸垂−対照食群(n=9)、尾懸垂−大豆レシチン食群(n=8)、尾懸垂−大豆リゾレシチン食群(n=7)の4群に群わけした。
製造例で調製した大豆レシチン及び大豆リゾレシチンを用いて、表2に示す組成(単位は質量%)の各食餌を作成して、各食餌を7日間飼育した後に、尾懸垂処置を施した。尾懸垂処置は、マウスの尾に両面テープなどにより針金を固定し、この針金をケージの金網に固定することにより、マウス後肢が宙に浮いた状態にさせ7日間放置した。尾懸垂処置終了後、マウス後肢のヒラメ筋重量を測定した。なお、尾懸垂処置期間中も各食餌を自由摂餌させた。統計は、unpaired student's t-testを用い、有意水準はP<0.05とした。その結果を図3(a)(b)に示す。
Figure 0006374682
図3(a)(b)の結果に示すように、尾懸垂処置により、マウス後肢のヒラメ筋重量は減少した。大豆レシチン食および大豆リゾレシチン食の摂取群では、当該尾懸垂処置によるヒラメ筋重量の減少は有意に抑制された。すなわち、大豆レシチン抽出物及び大豆リゾレシチン抽出物は、筋萎縮抑制作用があることが確認された。

Claims (4)

  1. リン脂質を20質量%以上含有する大豆レシチンを有効成分とするアトロジン−1発現抑制剤。
  2. リン脂質を20質量%以上含有する大豆レシチンを有効成分とする筋萎縮抑制剤。
  3. リン脂質を20質量%以上含有する大豆レシチンを有効成分とするアトロジン−1発現抑制用食品又は食品組成物。
  4. リン脂質を20質量%以上含有する大豆レシチンを有効成分とする筋萎縮抑制用食品又は食品組成物。
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