この発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。この発明に係る眼科撮影装置は、OCTを用いて被検眼(眼底、前眼部等)の画像(2次元断層像及び3次元画像の少なくとも一方を含む)を形成する。また、この発明に係る眼科解析装置は、OCTを用いて取得された被検眼の画像の入力を受け、当該被検眼の画像の解析処理を行う。この明細書では、OCTを用いて取得された画像をOCT画像と総称することがある。また、OCT画像を取得するための計測動作をOCT計測と呼ぶことがある。なお、この明細書に記載された文献の記載内容を、以下の実施形態の内容として援用することが可能である。
以下の実施形態では、フーリエドメインタイプのOCTを適用した構成について詳しく説明する。特に、実施形態に係る眼科撮影装置は、スペクトラルドメインOCTの手法を用いて被検眼についてのOCT画像及び眼底像の双方を取得可能である。なお、スペクトラルドメイン以外のタイプ、たとえばスウェプトソースOCTの手法を用いる眼科撮影装置に対して、この発明に係る構成を適用することも可能である。また、この実施形態ではOCT装置と眼底カメラとを組み合わせた装置について説明するが、眼底カメラ以外の眼科撮影装置、たとえばSLO(Scanning Laser Ophthalmoscope)、スリットランプ、眼科手術用顕微鏡などに、この実施形態に係る構成を有するOCT装置を組み合わせることも可能である。また、この実施形態に係る構成を、単体のOCT装置に組み込むことも可能である。
また、以下の実施形態では、被検眼の画像として眼底における黄斑部の画像を取得する場合について説明するが、眼底以外の他の部位(たとえば前眼部)の画像を取得する場合にも適用することができる。
[構成]
図1及び図2に示すように、眼科撮影装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100及び演算制御ユニット200を含んで構成される。眼底カメラユニット2は、従来の眼底カメラとほぼ同様の光学系を有する。OCTユニット100には、眼底のOCT画像を取得するための光学系が設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算処理や制御処理等を実行するコンピュータを具備している。演算制御ユニット200は「眼科解析装置」としての機能を有する。また、「眼科解析装置」の機能は、演算制御ユニット200と、後述の操作部240Bとにより実現されてもよい。
〔眼底カメラユニット〕
図1に示す眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efの表面形態を表す2次元画像(眼底像)を取得するための光学系が設けられている。眼底像には、観察画像や撮影画像などが含まれる。観察画像は、たとえば、近赤外光を用いて所定のフレームレートで形成されるモノクロの動画像である。撮影画像は、たとえば、可視光をフラッシュ発光して得られるカラー画像、または近赤外光若しくは可視光を照明光として用いたモノクロの静止画像であってもよい。眼底カメラユニット2は、これら以外の画像、たとえばフルオレセイン蛍光画像やインドシアニングリーン蛍光画像や自発蛍光画像などを取得可能に構成されていてもよい。
眼底カメラユニット2には、被検者の顔を支持するための顎受けや額当てが設けられている。更に、眼底カメラユニット2には、照明光学系10と撮影光学系30が設けられている。照明光学系10は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系30は、この照明光の眼底反射光を撮像装置(CCDイメージセンサ(単にCCDと呼ぶことがある)35、38)に導く。また、撮影光学系30は、OCTユニット100からの信号光を眼底Efに導くとともに、眼底Efを経由した信号光をOCTユニット100に導く。
照明光学系10の観察光源11は、たとえばハロゲンランプにより構成される。観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17、18、絞り19及びリレーレンズ20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efを照明する。なお、観察光源としてLED(Light Emitting Diode)を用いることも可能である。
観察照明光の眼底反射光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。更に、この眼底反射光は、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に結像される。CCDイメージセンサ35は、たとえば所定のフレームレートで眼底反射光を検出する。表示装置3には、CCDイメージセンサ35により検出された眼底反射光に基づく画像(観察画像)が表示される。なお、撮影光学系のピントが前眼部に合わせられている場合、被検眼Eの前眼部の観察画像が表示される。
撮影光源15は、たとえばキセノンランプにより構成される。撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。撮影照明光の眼底反射光は、観察照明光のそれと同様の経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、集光レンズ37によりCCDイメージセンサ38の受光面に結像される。表示装置3には、CCDイメージセンサ38により検出された眼底反射光に基づく画像(撮影画像)が表示される。なお、観察画像を表示する表示装置3と撮影画像を表示する表示装置3は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、被検眼Eを赤外光で照明して同様の撮影を行う場合には、赤外の撮影画像が表示される。また、撮影光源としてLEDを用いることも可能である。
LCD(Liquid Crystal Display)39は、固視標や視力測定用指標を表示する。固視標は被検眼Eを固視させるための指標であり、眼底撮影時やOCT計測時などに使用される。
LCD39から出力された光は、その一部がハーフミラー33Aにて反射され、ミラー32に反射され、合焦レンズ31及びダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
LCD39の画面上における固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。被検眼Eの固視位置としては、たとえば従来の眼底カメラと同様に、眼底Efの黄斑部を中心とする画像を取得するための位置や、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための位置や、黄斑部と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像を取得するための位置などがある。また、固視標の表示位置を任意に変更することも可能である。
更に、眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様にアライメント光学系50とフォーカス光学系60が設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための指標(アライメント指標)を生成する。フォーカス光学系60は、眼底Efに対してフォーカス(ピント)を合わせるための指標(スプリット指標)を生成する。
アライメント光学系50のLED51から出力された光(アライメント光)は、絞り52、53及びリレーレンズ54を経由してダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により被検眼Eの角膜に投影される。
アライメント光の角膜反射光は、対物レンズ22、ダイクロイックミラー46及び上記孔部を経由し、その一部がダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を通過し、ミラー32により反射され、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33に反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に投影される。CCDイメージセンサ35による受光像(アライメント指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。ユーザは、従来の眼底カメラと同様の操作を行ってアライメントを実施する。また、演算制御ユニット200がアライメント指標の位置を解析して光学系を移動させることによりアライメントを行ってもよい(オートアライメント機能)。
フォーカス調整を行う際には、照明光学系10の光路上に反射棒67の反射面が斜設される。フォーカス光学系60のLED61から出力された光(フォーカス光)は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65に反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
フォーカス光の眼底反射光は、アライメント光の角膜反射光と同様の経路を通ってCCDイメージセンサ35により検出される。CCDイメージセンサ35による受光像(スプリット指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。演算制御ユニット200は、従来と同様に、スプリット指標の位置を解析して合焦レンズ31及びフォーカス光学系60を移動させてピント合わせを行う(オートフォーカス機能)。また、スプリット指標を視認しつつ手動でピント合わせを行ってもよい。
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用の光路からOCT計測用の光路を分岐させている。ダイクロイックミラー46は、OCT計測に用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。このOCT計測用の光路には、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40と、光路長変更部41と、ガルバノスキャナ42と、合焦レンズ43と、ミラー44と、リレーレンズ45とが設けられている。
光路長変更部41は、図1に示す矢印の方向に移動可能とされ、OCT計測用の光路の光路長を変更する。この光路長の変更は、被検眼Eの眼軸長に応じた光路長の補正や、干渉状態の調整などに利用される。光路長変更部41は、たとえばコーナーキューブと、これを移動する機構とを含んで構成される。
ガルバノスキャナ42は、OCT計測用の光路を通過する光(信号光LS)の進行方向を変更する。それにより、眼底Efを信号光LSで走査することができる。ガルバノスキャナ42は、たとえば、信号光LSをx方向に走査するガルバノミラーと、y方向に走査するガルバノミラーと、これらを独立に駆動する機構とを含んで構成される。それにより、信号光LSをxy平面上の任意の方向に走査することができる。
〔OCTユニット〕
図2を参照しつつOCTユニット100の構成の一例を説明する。OCTユニット100には、眼底EfのOCT画像を取得するための光学系が設けられている。この光学系は、従来のスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、低コヒーレンス光を参照光と信号光に分割し、眼底Efを経由した信号光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル成分を検出するように構成されている。この検出結果(検出信号)は演算制御ユニット200に送られる。
なお、スウェプトソースタイプのOCT装置の場合には、低コヒーレンス光源を出力する光源の代わりに波長掃引光源が設けられるとともに、干渉光をスペクトル分解する光学部材が設けられない。一般に、OCTユニット100の構成については、光コヒーレンストモグラフィのタイプに応じた公知の技術を任意に適用することができる。
光源ユニット101は広帯域の低コヒーレンス光L0を出力する。低コヒーレンス光L0は、たとえば、近赤外領域の波長帯(約800nm〜900nm程度)を含み、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する。なお、人眼では視認できない波長帯、たとえば1040〜1060nm程度の中心波長を有する近赤外光を低コヒーレンス光L0として用いてもよい。
光源ユニット101は、スーパールミネセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)や、LEDや、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)等の光出力デバイスを含んで構成される。
光源ユニット101から出力された低コヒーレンス光L0は、光ファイバ102によりファイバカプラ103に導かれて信号光LSと参照光LRに分割される。
参照光LRは、光ファイバ104により導かれて光減衰器(アッテネータ)105に到達する。光減衰器105は、公知の技術を用いて、演算制御ユニット200の制御の下、光ファイバ104に導かれる参照光LRの光量を自動で調整する。光減衰器105により光量が調整された参照光LRは、光ファイバ104により導かれて偏波調整器(偏波コントローラ)106に到達する。偏波調整器106は、たとえば、ループ状にされた光ファイバ104に対して外部から応力を与えることで、光ファイバ104内を導かれる参照光LRの偏光状態を調整する装置である。なお、偏波調整器106の構成はこれに限定されるものではなく、任意の公知技術を用いることが可能である。偏波調整器106により偏光状態が調整された参照光LRは、ファイバカプラ109に到達する。
ファイバカプラ103により生成された信号光LSは、光ファイバ107により導かれ、コリメータレンズユニット40により平行光束とされる。更に、信号光LSは、光路長変更部41、ガルバノスキャナ42、合焦レンズ43、ミラー44、及びリレーレンズ45を経由してダイクロイックミラー46に到達する。そして、信号光LSは、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに照射される。信号光LSは、眼底Efの様々な深さ位置において散乱(反射を含む)される。眼底Efによる信号光LSの後方散乱光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ103に導かれ、光ファイバ108を経由してファイバカプラ109に到達する。
ファイバカプラ109は、信号光LSの後方散乱光と、ファイバカプラ103を経由した参照光LRとを干渉させる。これにより生成された干渉光LCは、光ファイバ110により導かれて出射端111から出射される。更に、干渉光LCは、コリメータレンズ112により平行光束とされ、回折格子113により分光(スペクトル分解)され、集光レンズ114により集光されてCCDイメージセンサ115の受光面に投影される。なお、図2に示す回折格子113は透過型であるが、たとえば反射型の回折格子など、他の形態の分光素子を用いることも可能である。
CCDイメージセンサ115は、たとえばラインセンサであり、分光された干渉光LCの各スペクトル成分を検出して電荷に変換する。CCDイメージセンサ115は、この電荷を蓄積して検出信号を生成し、これを演算制御ユニット200に送る。
この実施形態ではマイケルソン型の干渉計を採用しているが、たとえばマッハツェンダー型など任意のタイプの干渉計を適宜に採用することが可能である。また、CCDイメージセンサに代えて、他の形態のイメージセンサ、たとえばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを用いることが可能である。
〔演算制御ユニット〕
演算制御ユニット200の構成について説明する。演算制御ユニット200は、CCDイメージセンサ115から入力される検出信号を解析して眼底EfのOCT画像を形成する。そのための演算処理は、従来のスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様である。
また、演算制御ユニット200は、眼底カメラユニット2、表示装置3及びOCTユニット100の各部を制御する。たとえば演算制御ユニット200は、眼底EfのOCT画像を表示装置3に表示させる。
また、眼底カメラユニット2の制御として、演算制御ユニット200は、観察光源11、撮影光源15及びLED51、61の動作制御、LCD39の動作制御、合焦レンズ31、43の移動制御、反射棒67の移動制御、フォーカス光学系60の移動制御、光路長変更部41の移動制御、ガルバノスキャナ42の動作制御などを行う。
また、OCTユニット100の制御として、演算制御ユニット200は、光源ユニット101の動作制御、光減衰器105の動作制御、偏波調整器106の動作制御、CCDイメージセンサ115の動作制御などを行う。
演算制御ユニット200は、たとえば、従来のコンピュータと同様に、マイクロプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ、通信インターフェイスなどを含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、眼科撮影装置1を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。演算制御ユニット200は、各種の回路基板、たとえばOCT画像を形成するための回路基板を備えていてもよい。また、演算制御ユニット200は、キーボードやマウス等の操作デバイス(入力デバイス)や、LCD等の表示デバイスを備えていてもよい。
眼底カメラユニット2、表示装置3、OCTユニット100及び演算制御ユニット200は、一体的に(つまり単一の筺体内に)構成されていてもよいし、2つ以上の筐体に別れて構成されていてもよい。
〔制御系〕
眼科撮影装置1の制御系の構成について図3〜図6を参照しつつ説明する。
(制御部)
眼科撮影装置1の制御系は、制御部210を中心に構成される。制御部210は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス等を含んで構成される。制御部210には、主制御部211と、記憶部212とが設けられている。
(主制御部)
主制御部211は前述の各種制御を行う。特に、主制御部211は、眼底カメラユニット2の合焦駆動部31A、光路長変更部41、ガルバノスキャナ42及びOCT合焦駆動部43A、更にOCTユニット100の光源ユニット101、光減衰器105及び偏波調整器106を制御する。また、主制御部211は、後述する各種の表示制御を実行する。
合焦駆動部31Aは、合焦レンズ31を光軸方向に移動させる。それにより、撮影光学系30の合焦位置が変更される。なお、主制御部211は、図示しない光学系駆動部を制御して、眼底カメラユニット2に設けられた光学系を3次元的に移動させることもできる。この制御は、アライメントやトラッキングにおいて用いられる。トラッキングとは、被検眼Eの眼球運動に合わせて装置光学系を移動させるものである。トラッキングを行う場合には、事前にアライメントとピント合わせが実行される。トラッキングは、装置光学系の位置を眼球運動に追従させることにより、アライメントとピントが合った好適な位置関係を維持する機能である。
OCT合焦駆動部43Aは、信号光路の光軸方向に合焦レンズ43を移動させる。それにより、信号光LSの合焦位置が変更される。信号光LSの合焦位置は、信号光LSのビームウェストの深さ位置(z位置)に相当する。
また、主制御部211は、記憶部212にデータを書き込む処理や、記憶部212からデータを読み出す処理を行う。
(記憶部)
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、たとえば、OCT画像の画像データ、眼底像の画像データ、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者を識別するための患者識別情報(患者ID)や氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報や、患者ごとに注目すべき関心領域の位置を示す関心位置情報を含む。
この実施形態では、記憶部212は、たとえば図5に示すような情報をあらかじめ格納する。この情報においては、複数の患者ID(PID1、PID2、・・・)のそれぞれに対し、対象眼情報(右眼または左眼)と、関心位置情報(ROI1、ROI2、・・・)と、パラメータ種別情報(P1、P2、・・・)とが関連付けられている。患者IDは、患者に対応する識別情報である。図5に示す情報において、患者ID「PID1」に対し、対象眼情報「右眼」と関心位置情報「ROI1」とパラメータ種別情報「P1」とが関連付けられている。さらに、同じ患者ID「PID1」に対して、対象眼情報「左眼」と関心位置情報「ROI2」とパラメータ種別情報「P2」とが関連付けられている。また、他の患者ID「PID2」に対し、対象眼情報「右眼」と関心位置情報「ROI3」とパラメータ種別情報「P3」とが関連付けられている。これら以外の患者IDについても同様に、対象眼情報と関心位置情報とパラメータ識別情報とがそれぞれ関連付けられている。
なお、対象眼情報として「両眼」を指定可能とし、右眼と左眼とについて共通の関心位置情報および/またはパラメータ種別情報を患者IDに対して関連付けるように構成ことも可能である。この構成は、たとえば、左右両眼について(ほぼ)同様に進行する疾患への適用が考えられる。また、対象眼情報を患者IDに関連付けることなく、関心位置情報およびパラメータ種別情報だけを患者IDに関連付けるよう構成することもできる。この構成は、たとえば、上記と同様に左右両眼について(ほぼ)同様に進行する疾患に適用する場合や、当該患者の検査が片眼に対してのみ実施される場合などに用いられる。また、記憶部212には、眼科撮影装置1を動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。
(画像形成部)
画像形成部220は、CCDイメージセンサ115からの検出信号に基づいて、眼底Efの断層像の画像データを形成する。この処理には、従来のスペクトラルドメインタイプの光コヒーレンストモグラフィと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFTなどの処理が含まれている。他のタイプのOCT装置の場合、画像形成部220は、そのタイプに応じた公知の処理を実行する。
画像形成部220は、たとえば、前述の回路基板を含んで構成される。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づく「画像」とを同一視することがある。また、眼底Efの部位とその画像とを同一視することもある。
(データ処理部)
データ処理部230は、画像形成部220により形成された画像に対して各種の画像処理や解析処理を施す。たとえば、データ処理部230は、画像の輝度補正や分散補正等の各種補正処理を実行する。また、データ処理部230は、眼底カメラユニット2により得られた画像(眼底像、前眼部像等)に対して各種の画像処理や解析処理を施す。
データ処理部230は、断層像の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行して、眼底Efの3次元画像の画像データを形成する。なお、3次元画像の画像データとは、3次元座標系により画素の位置が定義された画像データを意味する。3次元画像の画像データとしては、3次元的に配列されたボクセルからなる画像データがある。この画像データは、ボリュームデータ或いはボクセルデータなどと呼ばれる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、データ処理部230は、このボリュームデータに対してレンダリング処理(ボリュームレンダリングやMIP(Maximum Intensity Projection:最大値投影)など)を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像の画像データを形成する。表示部240A等の表示デバイスには、この擬似的な3次元画像が表示される。
また、3次元画像の画像データとして、複数の断層像のスタックデータを形成することも可能である。スタックデータは、複数の走査線に沿って得られた複数の断層像を、走査線の位置関係に基づいて3次元的に配列させることで得られる画像データである。すなわち、スタックデータは、元々個別の2次元座標系により定義されていた複数の断層像を、1つの3次元座標系により表現する(つまり1つの3次元空間に埋め込む)ことにより得られる画像データである。
データ処理部230は、眼底像とOCT画像との位置合わせを行うことができる。眼底像とOCT画像とが並行して取得される場合には、双方の光学系が同軸であることから、(ほぼ)同時に取得された眼底像とOCT画像とを、撮影光学系30の光軸を基準として位置合わせすることができる。また、眼底像とOCT画像との取得タイミングに関わらず、OCT画像をxy平面に投影して得られる画像と眼底像との位置合わせをすることにより、そのOCT画像とその眼底像とを位置合わせすることも可能である。この位置合わせ手法は、眼底像取得用の光学系とOCT計測用の光学系とが同軸でない場合においても適用可能である。また、双方の光学系が同軸でない場合であっても、双方の光学系の相対的な位置関係が既知であれば、この相対位置関係を参照して同軸の場合と同様の位置合わせを実行することが可能である。
この実施形態では、データ処理部230は、取得部231と、特定部232と、解析部233と、更新部234とを有する。
制御部210は、操作部240Bを用いてユーザが指定した患者IDを受け付ける。また、制御部210は、患者の認証処理を行い、それにより当該患者が本人と認証されたときに当該患者に対応する患者IDを受け付けるようにしてもよい。認証処理は、患者があらかじめ決められた暗証番号を操作部240Bに対して入力することにより開始されてよいし、あらかじめ貸与された認証カードに記録された情報を読み出すことにより開始されてもよい。制御部210は、この実施形態に係る「受付部」の一例である。
記憶部212は、上記のように、複数の患者IDのそれぞれに関連付けられた関心位置情報をあらかじめ記憶する。関心位置情報は、関心領域の位置を示す情報である。この実施形態では、記憶部212は、図5に示すように、複数の患者IDのそれぞれに関連付けられた関心位置情報およびパラメータ種別情報をあらかじめ記憶する。パラメータ種別情報は、算出すべきパラメータの種別を表す情報であり、事後的に変更が可能である。たとえば、医師等が、関心位置情報に基づく被検眼の部位を観察し、操作部240Bを用いて当該部位の経過観察に必要と判断したパラメータの種別を指定する。この指定を受け、制御部210は、当該患者の患者IDに関連付けてパラメータ種別情報を登録する。その後の経過観察において医師等が操作部240Bを用いてパラメータの追加や削除や変更を指定すると、制御部210は、当該指定に基づきパラメータ種別情報を更新することが可能である。
また、一般に、適用されるパラメータの種別は、疾患の種別や関心領域の種別に応じて異なる。たとえば、緑内障の患者については、視神経乳頭の形状を表すパラメータを取得したり、網膜神経線維層の形態を取得したりすることがある。また、加齢黄斑変性の患者については、網膜色素上皮の形態を取得することがある。したがって、実施形態に係る装置に次の機能を搭載することが可能である:疾患種別および/または関心領域種別と、パラメータ種別とが関連付けられた情報をあらかじめ記憶する機能;疾患種別および/または関心領域種別の入力を受け付ける機能;入力された情報に関連付けられたパラメータ種別を上記情報から特定する機能;特定されたパラメータ種別と入力された関心領域種別とを患者IDに関連付ける機能。また、上記のように、疾患種別に応じて関心領域種別が決定される場合がある。その場合、疾患種別に対して1以上の関心領域種別が関連付けられた情報をあらかじめ記憶する機能と、入力された疾患種別に関連付けられた関心領域種別を当該情報から特定する機能とをさらに設けることが可能である。なお、このようにパラメータ種別(および関心領域種別)を自動で設定する構成が適用される場合であっても、この自動設定された内容をユーザが事後的に変更するための機能が設けられていてよい。
記憶部212は、図5に示すような情報をあらかじめ格納する「格納手段」の一例である。なお、格納手段は、眼科撮影装置1の外部に設けられていてもよい。たとえば、眼科撮影装置1が、院内LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して、格納手段の機能を有するサーバ装置と通信可能に接続された構成を適用することが可能である。ここで、眼科撮影装置1とサーバ装置は、インターネット等のWAN(WideAreaNetwork)を介して接続されていてもよい。また、LANとWANとを組み合わせたネットワークを介して眼科撮影装置1とサーバ装置を接続してもよい。
(取得部)
取得部231は、当該患者IDに関連付けられた関心位置情報を記憶部212から取得する。また、取得部231は、関心位置情報とともに、当該患者IDに関連付けられたパラメータ種別情報を記憶部212から取得する。
(特定部)
特定部232は、取得部231により取得された関心位置情報に基づいて、患者IDに対応する患者の被検眼について取得されたOCT画像中の部分領域を特定する。部分領域は、OCT画像中において関心領域に相当する領域である。部分領域は、関心領域に一致する領域でなくてもよい。たとえば、特定部232は、上記のOCT画像中において、関心位置情報が示す関心領域に対応する領域を含むように部分領域を特定することが可能である。特定部232による部分領域を特定する方法の例として、自動で行う場合と手動で行う場合とがある。
自動で行う場合の例として、特定部232は、関心領域に対応する上記のOCT画像中の領域より広い領域を部分領域として特定することが可能である。たとえば、特定部232は、関心位置情報を用いて、関心領域に対応するOCT画像中の領域を特定し、特定された領域より広い領域を部分領域として特定する。或いは、特定部232は、上記のOCT画像を複数の領域に分割し、関心位置情報を用いて、分割された領域のうち関心領域と重なる領域を特定し、特定された1以上の領域をまとめて部分領域設定するよう構成されていてもよい。また、特定部232は、関心位置情報を用いて、関心領域に対応するOCT画像中の領域を特定し、特定された領域を外側に所定の距離だけ拡大した領域を部分領域として設定することも可能である。この処理において拡大される範囲(距離や方向)は、たとえば、疾患種別や病態や病期やイベント(投薬、治療等)など、病変部(関心領域)の拡大に影響を及ぼすファクタおよび/またはその可能性があるファクタに応じて設定される。或いは、特定部232は、関心位置情報を用いて、OCT画像中に特定点を特定しこの特定点を基準に所定の形状の領域が関心領域を含むように所定の距離ずつ拡大することにより部分領域を特定するようにしてもよい。また、特定部232は、たとえば、OCT画像や眼底像を解析することにより所定の組織の形状や厚み分布等の評価情報を取得し、この評価情報に基づきOCT画像において病変部に相当する範囲を特定し、この特定範囲と関心位置情報が示す関心領域とを比較し、この関心領域と、当該特定範囲に含まれ且つ当該関心領域に含まれない領域とが少なくとも含まれるように部分領域の設定を行うことも可能である。
このように関心領域に対応する上記のOCT画像中の領域より広い領域を部分領域として特定することにより、特に不可逆的に進行・拡大する疾患(緑内障、加齢黄斑変性等)の継続的観察において、関心領域の指定をその都度行う手間がなくなる。また、病変部の広がりの認識が容易になるといったメリットもある。なお、このような自動設定処理が適用される場合であっても、次に説明するような手動調整を付加的に行えるよう構成することも可能である。
手動で部分領域の特定を行う場合、特定部232は、ユーザからの指定を受け、部分領域を特定する。たとえば、特定部232は、操作部240Bに対するユーザの操作に基づく操作情報を受け、当該操作情報に基づいて部分領域を特定する。具体的には、まず、制御部210が、当該被検眼について取得されたOCT画像を表示部240Aに表示させる。ユーザは、表示部240Aに表示されたOCT画像中の所望の範囲を、操作部240Bを用いて指定する。ユーザにより指定されたOCT画像中の範囲に基づいて、特定部232は部分領域を特定する。このとき、部分領域は、ユーザによる指定範囲に相当する画像領域でもよいし、指定範囲より広い画像領域でもよい。後者が適用される場合、特定部232は、たとえば上記の自動処理と同様の処理を実行する。
特定部232は、ユーザからの指定を受けることなく、部分領域を特定することも可能である。関心領域の設定対象が当該被検眼について過去に取得された基準画像であるか否かに応じて、特定部232は、部分領域を特定するために異なる処理を実行する。なお、特定部232は、双方の場合に対応可能に構成されてもよいし、一方の場合のみに対応可能に構成されてもよい。双方の場合に対応可能である場合、関心領域の設定態様に応じて処理モードの切り替えが行われる。一方の場合のみに対応可能である場合、特定部232により処理可能な形態の情報が特定部232に入力される。
関心領域が基準画像に対して設定されている場合、関心位置情報は、この基準画像中の領域の位置を示す位置情報を含んでいてよい。本例において、特定部232は、図6に示すように、変位算出部232Aを有する。変位算出部232Aは、この基準画像と当該被検眼について取得されたOCT画像との変位を算出する。たとえば、変位算出部232Aは、基準画像およびOCT画像のそれぞれについて特徴点を特定し、特定された特徴点同士のずれを算出することにより基準画像とOCT画像との変位を算出する。特徴点の例として、中心窩、視神経乳頭(中心、輪郭等)、血管(特徴的な血管、分岐部等)、レーザ治療痕などがある。特定部232は、変位算出部232Aにより算出された変位と上記の位置情報とに基づいて部分領域を特定する。この処理の具体例として、特定部232は、変位算出部232Aにより算出された変位がキャンセルされるように、基準画像とOCT画像との位置合わせ(画像マッチング)を行うことにより、基準画像中の関心領域に対応するOCT画像中の画像領域を特定し、これを部分領域に設定する。或いは、特定部232は、基準画像中の関心領域に対応するOCT画像中の画像領域を特定し、特定された画像領域に対応する座標値の範囲を上記変位がキャンセルされるように移動することにより部分領域を特定することができる。また、特定部232は、上記の位置情報を用いて、基準画像中の関心領域に対応するOCT画像中の領域を特定してもよい。この場合、特定部232は、変位算出部232Aにより算出された変位からOCT画像中の部分領域を特定する。
関心領域が基準画像に対して設定されていない場合、関心位置情報は、当該被検眼の部位の位置を示す位置情報を含んでいてよい。たとえば位置情報は、被検眼における特徴点に対する当該部位の相対位置(変位方向と変位量との1以上の組み合わせ)を示す情報を含むことが可能である。特徴点の例として、上記と同様に、中心窩、視神経乳頭、血管、レーザ治療痕などがある。この場合、特定部232には、変位算出部232Aが設けられない。特定部232は、上記の位置情報に示す部位の位置に対応するOCT画像中の領域を特定することにより部分領域を特定する。たとえば、特定部232は、OCT画像を解析することにより特徴点の位置(座標値)を特定する。特定部232は、特定された特徴点の位置から当該位置情報に示す変位方向に当該変位量だけシフトした位置(領域)を部分領域として特定する。他の例を説明する。位置情報は、上記相対位置として、特徴点に対する当該部位の代表点(重心、中心等)の変位(変位方向および変位量)と、この代表点を基準とした当該部位の範囲(形状、サイズ、方向等)を表す情報(範囲情報)とを含むものとする。この場合、特定部232は、OCT画像を解析することにより特徴点の位置(座標値)を特定し、位置情報に示す変位だけ当該座標値から離れた位置(座標値)を求めて代表点の位置とする。そして、特定部232は、この代表点の位置と上記範囲情報とに基づいて、目的の部分領域を特定する。
(解析部)
解析部233は、特定部232により特定された部分領域を解析する。たとえば、解析部233は、取得部231により取得された当該患者(当該被検眼)に対応するパラメータ種別情報に基づいて、特定部232により特定された部分領域についてパラメータを算出する。パラメータの例として、部分領域のサイズを表す値がある。部分領域のサイズの例として、部分領域の幅、面積、体積、厚み、質量(推定値)などがある。サイズの値の例として、部分領域内における値の分布や、部分領域内の代表点(中心、重心位置など)における値などがある。
また、この実施形態では、視野計による検査位置(計測点)と被検眼の眼底の形態との関連性を観察するため、制御部210は、視野計による視野検査の検査範囲を示すテンプレート画像を表示部240Aに表示させる。テンプレート画像は、複数のグリッドを表す画像である。各グリッドは、視野検査の検査位置に対応する。グリッドの形状は、矩形であってもよいし、矩形以外の形状であってもよい。複数のグリッドの分割方法の一例として、部分領域内の特徴点を解析中心として、当該解析中心から放射状に領域を分割する方法や、解析中心を中心とする1以上の同心円により領域を分割する方法や、格子状に領域を分割する方法などがある。また、部分領域内の特徴点として、たとえば中心窩、視神経乳頭の中心、血管の分岐部、レーザ治療痕などがある。これにより、視野計の計測点とグリッド位置とを一致させることができ、視野計の計測点と被検眼の眼底の形態との関連性を観察することが可能になる。
また、制御部210は、特定部232により特定された部分領域に対応するテンプレート画像中の領域を識別可能に表示部240Aに表示させる。たとえば、制御部210は、テンプレート画像中の複数のグリッドのうち部分領域に対応するグリッドを所定の態様で表示させる。所定の態様で表示させる例として、グリッドを所定の色で塗りつぶしたり、グリッドを所定の模様で描出する例がある。特定部232により特定された部分領域は、テンプレート画像中のグリッド単位で表示される。これにより、制御部210は、特定部232により特定された部分領域とそれ以外の領域とを異なる態様でテンプレート画像中に表示させることができる。部分領域に対応する1以上のグリッドを組み合わせることにより、セクターを構成することが可能である。
ユーザは、操作部240Bを用いて識別可能に表示されている上記テンプレート画像中の領域を変更することにより新たな部分領域を設定する。解析部233は、操作部240Bにより設定された新たな部分領域を解析する。解析部233は、1以上のグリッドを組み合わせて構成されたセクターを単位に部分領域を解析することが可能である。
また、関心位置情報は、2以上の関心領域の位置を示す情報であってもよい。すなわち、当該被検眼について取得されたOCT画像中に、複数の関心領域があってもよい。この場合、特定部232は、2以上の関心領域に対応する2以上の部分領域を特定する。解析部233は、上記の2以上の部分領域に対応する2以上の解析結果を取得する。具体的には、特定部232は、関心位置情報に含まれる2以上の関心領域のそれぞれについて、その関心領域に対応する当該OCT画像中の部分領域を特定することにより、2以上の関心領域に対応する2以上の部分領域を特定する。解析部233は、部分領域ごとに上記の解析を行うことにより、2以上の部分領域のそれぞれに対応する解析結果を取得する。
制御部210は、上記の2以上の部分領域に対応する2以上の領域をテンプレート画像中において識別可能に表示させることが可能である。具体的には、制御部210は、1つのテンプレート画像中において、一の部分領域に対応するグリッドと、他の部分領域に対応するグリッドを異なる態様で表示させる。したがって、1つのテンプレート画像中において、2以上の部分領域が互いに異なる態様で且つグリッド単位で表示される。各部分領域は、たとえば、1以上のグリッドの組み合わせからなるセクターとして構成される。
更に、制御部210は、上記の2以上の解析結果と、識別可能に表示された上記の2以上の領域とを関連付けて表示させてもよい。たとえば、制御部210は、一の部分領域の解析結果と、当該一の部分領域に対応するテンプレート画像中のグリッドとを関連付けて表示部240Aに表示させることが可能である。制御部210は、一の部分領域の解析結果を第1色で表示させつつ、当該一の部分領域に対応するグリッドを第1色で表示させる。また、制御部210は、当該一の部分領域以外の別の部分領域の解析結果を第1色と異なる第2色で表示させつつ、テンプレート画像中における当該別の部分領域に対応するグリッドを第2色で表示させる。これにより、部分領域ごとに、テンプレート画像中における位置と解析結果との関連性を容易に把握することができるようになる。
(更新部)
更新部234は、今回の検査において新たな部分領域(過去に適用されたものと異なる部分領域)が設定された場合に動作する。新たな部分領域が設定される場合として、過去に適用された部分領域より広い領域を特定部232が特定する場合や、テンプレート画像等を利用してユーザが設定する場合などがある。更新部234は、特定部232により設定された新たな部分領域に基づいて、記憶部212に記憶されている関心位置情報を更新する。これにより、部分領域の位置や大きさが変化した場合でも継続的な観察が容易になり、局所的な微少な変化を捉えることが可能となる。
以上のように機能するデータ処理部230は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、上記機能をマイクロプロセッサに実行させるコンピュータプログラムがあらかじめ格納されている。
(ユーザインターフェイス)
ユーザインターフェイス240には、表示部240Aと操作部240Bとが含まれる。表示部240Aは、前述した演算制御ユニット200の表示デバイスや表示装置3を含んで構成される。操作部240Bは、前述した演算制御ユニット200の操作デバイスを含んで構成される。操作部240Bには、眼科撮影装置1の筐体や外部に設けられた各種のボタンやキーが含まれていてもよい。たとえば眼底カメラユニット2が従来の眼底カメラと同様の筺体を有する場合、操作部240Bは、この筺体に設けられたジョイスティックや操作パネル等を含んでいてもよい。また、表示部240Aは、眼底カメラユニット2の筺体に設けられたタッチパネルモニタなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
なお、表示部240Aと操作部240Bは、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。たとえばタッチパネルモニタのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。その場合、操作部240Bは、このタッチパネルディスプレイとコンピュータプログラムとを含んで構成される。操作部240Bに対する操作内容は、電気信号として制御部210に入力される。また、表示部240Aに表示されたグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)と、操作部240Bとを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。
表示部240Aは、この実施形態に係る「表示手段」の一例である。制御部210は、この実施形態に係る「表示制御部」の一例である。操作部240Bは、この実施形態に係る「操作部」の一例である。
〔信号光の走査及びOCT画像について〕
ここで、信号光LSの走査およびOCT画像について説明しておく。
眼科撮影装置1による信号光LSの走査態様としては、たとえば、水平スキャン、垂直スキャン、十字スキャン、放射スキャン、円スキャン、同心円スキャン、螺旋(渦巻)スキャンなどがある。これらの走査態様は、眼底の観察部位、解析対象(篩状板の形態など)、走査に要する時間、走査の精密さなどを考慮して適宜に選択的に使用される。
水平スキャンは、信号光LSを水平方向(x方向)に走査させるものである。水平スキャンには、垂直方向(y方向)に配列された複数の水平方向に延びる走査線に沿って信号光LSを走査させる態様も含まれる。この態様においては、走査線の間隔を任意に設定することが可能である。また、隣接する走査線の間隔を十分に狭くすることにより、前述の3次元画像を形成することができる(3次元スキャン)。垂直スキャンについても同様である。
十字スキャンは、互いに直交する2本の直線状の軌跡(直線軌跡)からなる十字型の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。放射スキャンは、所定の角度を介して配列された複数の直線軌跡からなる放射状の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。なお、十字スキャンは放射スキャンの一例である。
円スキャンは、円形状の軌跡に沿って信号光LSを走査させるものである。同心円スキャンは、所定の中心位置の周りに同心円状に配列された複数の円形状の軌跡に沿って信号光LSを走査させるものである。円スキャンは同心円スキャンの一例である。螺旋スキャンは、回転半径を次第に小さく(又は大きく)させながら螺旋状(渦巻状)の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。
ガルバノスキャナ42は、互いに直交する方向に信号光LSを走査するように構成されているので、信号光LSをx方向及びy方向にそれぞれ独立に走査できる。更に、ガルバノスキャナ42に含まれる2つのガルバノミラーの向きを同時に制御することで、xy面上の任意の軌跡に沿って信号光LSを走査することが可能である。それにより、上記のような各種の走査態様を実現できる。
上記のような態様で信号光LSを走査することにより、走査線(走査軌跡)に沿う方向と眼底深度方向(z方向)とにより張られる面における断層像を取得することができる。また、特に走査線の間隔が狭い場合には、前述の3次元画像を取得することができる。
上記のような信号光LSの走査対象となる眼底Ef上の領域、つまりOCT計測の対象となる眼底Ef上の領域を走査領域と呼ぶ。3次元スキャンにおける走査領域は、複数の水平スキャンが配列された矩形の領域である。また、同心円スキャンにおける走査領域は、最大径の円スキャンの軌跡により囲まれる円盤状の領域である。また、放射スキャンにおける走査領域は、各スキャンラインの両端位置を結んだ円盤状(或いは多角形状)の領域である。
[動作例]
この実施形態に係る眼科撮影装置1の動作例について説明する。以下では、OCTを用いて取得された2以上の断層像に基づいて3次元画像データが作成され、当該3次元画像データに基づいて部分領域を特定する場合について説明する。
図7に、眼科撮影装置1の動作の一例のフロー図を示す。アライメントやピント合わせは完了しており、固視標が被検眼Eに提示されているものとする。
図8〜図10に、眼科撮影装置1の動作説明図を示す。図8は、ユーザが部分領域を特定する場合に、表示部240Aに表示される画像(ウィンドウ)の一例を表す。図9は、セクターの設定状態を示す画像の一例を表す。図10は、トレンド解析を行う場合に、表示部240Aに表示される画像の一例を表す。
(S1)
まず、主制御部211(制御部210)は、観察対象の患者に関連付けられた患者IDを受け付ける。たとえば、制御部210は、上記のように操作部240Bを用いてユーザが指定した患者IDを受け付ける。
(S2)
次に、取得部231は、S1において受け付けられた患者IDに基づいて、記憶部212から当該患者IDに関連付けられた関心位置情報およびパラメータ種別情報を取得する。
(S3)
主制御部211は、中心窩を中心とする画像を取得させるための固視標をLCD39に表示させる。これにより、当該画像を取得させるための固視位置に被検眼を固視させることが可能になる。この状態で、主制御部211は、光源ユニット101、ガルバノスキャナ42等を制御して、眼底Efの黄斑部を含む領域を信号光LSで走査する。画像形成部220は、走査態様に対応する複数の断層像を形成する。データ処理部230は、画像形成部220により形成された断層像の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行して、眼底Efの3次元画像の画像データを形成する。
(S4)
次に、特定部232は、S3において形成された3次元画像データから、S2において取得された関心位置情報に基づいて断層像中の部分領域を特定する。
また、データ処理部230(特定部232)は、3次元画像データから正面画像(Cスキャン画像、プロジェクション画像またはシャドウグラムなど)を作成することが可能である。特定部232は、作成された正面画像から所望の層が欠損している領域を含む領域を新たな部分領域として特定してもよい。
また、データ処理部230は、3次元画像データから所望の層領域を特定することが可能である。この場合、データ処理部230は、特定された層領域の境界が平坦になるように(同じz座標値になるように)3次元画像データを変形して平坦化画像を作成する。また、特定部232は、作成された平坦化画像に基づいて所望の組織の異常部位を特定し、この異常部位を含むデータ領域を新たな部分領域として特定する。異常部位の例として、正常な状態と比較して形態が変化している部位などがある。形態が変化している部位の例として、所定の層領域が欠損している部位や、所定の層領域が変形している部位などがある。たとえば、緑内障の場合、視神経線維層が欠損することが知られている。そのため、データ処理部230は、内境界膜(ILM)の層領域の境界が平坦になるように平坦化画像を作成し、特定部232が、作成された平坦化画像の視神経線維層(NFL)に欠損部位が存在するか否かを解析することにより、その欠損部位を含むデータ領域を新たな部分領域として特定することができる。また、特定部232は、他の装置により取得された層厚分布情報(Thickness Data)から所望の層の欠損領域を検出することにより新たな部分領域を特定してもよい。
或いは、特定部232は、ユーザからの指定を受け、新たな部分領域を特定してもよい。たとえば、記憶部212には、解析用ソフトウェアがあらかじめ格納されているものとする。主制御部211は、ソフトウェア起動トリガを受けて、解析用ソフトウェアを起動させる。それにより、たとえば図8に示すような画面が表示部240Aに表示される。
図8に示すウィンドウ300には、5つの画像表示部301〜305が設けられている。これら画像表示部301〜305は、それぞれ、横断面像表示部、2つの縦断面像表示部、正面画像表示部、および加工画像表示部である。横断面像表示部301、縦断面像表示部302、303、および加工画像表示部305には、OCTを用いて取得された3次元画像データに基づく画像が表示される。正面画像表示部304には、正面画像が表示される。正面画像は、たとえば、3次元画像データに基づいて作成された画像、または眼底像である。なお、これら画像表示部301〜305に表示される画像はこれらに限定されない。
横断面像表示部301には、z方向に直交するxy断面(C断面とも呼ばれる)の画像(C断面像、Cスキャン画像)が表示される。
縦断面像表示部302、303には、それぞれ、z方向に沿った断面(B断面とも呼ばれる)の画像(B断面像、Bスキャン画像)が表示される。縦断面像表示部302、303には、それぞれ、横断面像表示部301との配置関係に応じたB断面像が表示される。たとえば、横断面像表示部301に表示されるC断面像411において、ウィンドウ300の左右方向がx方向であり上下方向がy方向である場合、横断面像表示部301の左側に位置する縦断面像表示部302にはyz断面のB断面像が表示され、横断面像表示部301の下側に位置する縦断面像表示部303にはxz断面のB断面像が表示される。
データ処理部230は、所望の層領域の境界が平坦になるようにB断面像を平坦化することによって平坦化画像を作成し、これを新たなB断面像とする。縦断面像表示部302にはyz断面のB断面像に平坦化処理を施して得られる新たなB断面像412が表示される。縦断面像表示部303にはxz断面のB断面像に平坦化処理を施して得られる新たなB断面像413が表示される。
正面画像表示部304には、正面画像404が表示される。この正面画像としては、近赤外動画像、そのフレーム(静止画像)、カラー画像などがある。
加工画像表示部305には、3次元画像データに対して所定の加工処理を施すことにより得られる画像(加工画像)が表示される。加工画像の例として所望の特徴部分を強調した特徴強調画像がある。特徴強調画像の例としてシャドウグラムがある。シャドウグラムは、3次元画像データのうちz方向の所定範囲に含まれるデータを、z方向に積算することにより形成される。この処理は、データ処理部230により実行される。
また、ウィンドウ300には、患者情報表示部311、データ選択部312、およびデータ格納先表示部313が設けられている。患者情報表示部311には、たとえば患者IDや患者氏名など、患者に関する情報が表示される。データ選択部312をクリックすると、観察対象の3次元画像データを選択するためのウィンドウがポップアップ表示される。このウィンドウには、3次元画像データの格納先としてあらかじめ設定されたフォルダに含まれる3次元画像データに関する情報のリストが表示される。ユーザは、このリストに基づき所望の3次元画像データを選択する。データ格納先表示部313には、選択された3次元画像データが格納されているフォルダの情報が表示される。
更に、主制御部211は、B断面像412の断面位置を示すB断面位置画像(破線で示す直線画像502)と、B断面像413の断面位置を示すB断面位置画像(破線で示す直線画像501)とを、C断面像411に重ねて表示する。また、主制御部211は、C断面像411の断面位置を示すC断面位置画像(破線で示す直線画像511および512)を、それぞれB断面像412、413に重ねて表示する。なお、直線画像501は、B断面像412まで延びており、B断面像412におけるB断面像413の断面位置を示している。同様に、直線画像502は、B断面像413まで延びており、B断面像413におけるB断面像412の断面位置を示している。
また、主制御部211は、あらかじめインポートされた正面画像データに基づく正面画像404を正面画像表示部304に表示させる。更に、主制御部211は、3次元スキャンの範囲を示す矩形画像521と、B断面像412の断面位置を示す断面位置画像(直線画像)522と、B断面像413の断面位置を示す断面位置画像(直線画像)523とを、正面画像404に重ねて表示させる。
ユーザは、所定の操作により、直線画像501、502、511、512、521、522、523の表示/非表示を切り替えることが可能である。
新たなB断面像412においては、平坦化処理前のB断面像において曲線画像で描出されていた所望の層が、直線画像541として描出されている。更に、新たなB断面像412の他の部位は、曲線画像から直線画像541への変形に応じた変形を伴って描出されている。直線画像541は、たとえば、他の部位と異なる表示態様で表示される。
同様に、新たなB断面像413においては、平坦化処理前のB断面像において曲線画像で描出されていた所望の層が、直線画像542として描画されている。更に、新たなB断面像413の他の部位は、曲線画像から直線画像542への変形に応じた変形を伴って描出されている。直線画像542は、たとえば、他の部位と異なる表示態様で表示される。
このようにして、ユーザは、被検眼Eの所望の部位を平坦化したB断面像を観察することができる。このB断面像によれば、当該部位と他の部位との位置関係を容易に把握することができる。
図7のS4において、特定部232は、上記の図8の横断面像表示部301に表示されるC断面像411に対して、ユーザが操作部240Bを用いて指定した位置に基づいて、部分領域ARを特定することが可能である。また、特定部232は、縦断面像表示部302、303に表示される平坦化画像や、加工画像表示部305に表示される特徴強調画像に対して、ユーザが操作部240Bを用いて指定した位置に基づいて、部分領域を特定してもよい。また、特定部232は、層厚分布情報(Thickness Data)から所望の層について欠損している領域を新たな部分領域を特定してもよい。
(S5)
データ処理部230は、S4において特定された領域を含むグリッドをまとめることにより1以上のセクターを設定する。たとえば、図9に示すように、視神経線維層(NFL)について5つのセクターが設定される。図9は、被検眼(右眼)について、黄斑部を含む6mm×6mmの領域を中心窩の位置pp0を中心に10×10グリッドに分割した場合のセクターの設定例を表す。各グリッドは、視野検査の検査位置に対応する。図9では、同一セクターのグリッドについては、各グリッドの模様が同一になるように模式的に表されている。
注目する領域に応じて、グリッドの分割方法が異なっていてもよい。たとえば、視神経線維層(NFL)以外の別の層(たとえば、GCC(=NFL+GCL+IPL))については、別の分割方法で分割されたグリッドにより、5未満または6以上のセクターが設定される。また、図9に示すように設定されたセクターを眼底像と重畳表示させてもよい。
なお、データ処理部230は、あらかじめ設定された任意の層と相関の高い領域を部分領域として設定することも可能である。たとえば、神経の走行状態に応じて、上記の相関の高い領域を部分領域として設定する。データ処理部230は、このような相関の高い領域についても、図9に示すようにセクターとして設定することが可能である。
(S6)
次に、解析部233は、S4において特定された部分領域を解析する。具体的には、解析部233は、S2において関心位置情報とともに取得部231により取得された当該被検眼に対応するパラメータ種別情報に基づいて、S5において設定されたセクター単位で、部分領域についてパラメータを算出する。パラメータの例として、部分領域の幅、面積、厚みなどがある。S5において算出されたパラメータは、算出時間情報に関連付けて記憶部212に保存される。
(S7)
続いて、主制御部211は、S6において算出されたパラメータを時系列で表示部240Aに表示させる。同一のセクターについて互いに異なるタイミングで算出されたパラメータを時系列にしたがって解析することにより、トレンド解析が可能となる。
たとえば、図10に示すように、主制御部211は、表示部240Aにウィンドウ600を表示させる。図10は、被検眼(左眼)に対するトレンド解析用の画像の表示例を表す。ウィンドウ600には、セクター表示領域601と、トレンドグラフ表示領域602とが設けられている。セクター表示領域601は、S5において設定されたセクターの設定状態が表示される。セクター表示領域601に表示されるセクター単位で、ユーザが操作部240Bを用いて所望のセクターを指定することが可能である。トレンドグラフ表示領域602には、セクター表示領域601において指定されたセクターについて、S6において算出されたパラメータが時系列でグラフ化された画像が表示される。図10では、セクター表示領域601においてセクター604が指定され、トレンドグラフ表示領域602においてセクター604に対応するパラメータが時系列でグラフ化された画像が表示された例を表す。なお、図10は、左眼についてのトレンド解析用の画像が表示された例を表すが、両眼のそれぞれについて図10に示すようなトレンド解析用の画像が同時に表示されてもよい。
なお、主制御部211は、投薬日や治療日や検査日などのイベントに関連付けて、S6において算出されたパラメータを表示部240Aに表示させてもよい。また、主制御部211は、トレンドグラフ表示領域602に、過去のパラメータの変化に応じて、将来のパラメータの変化予測曲線を表示させてもよい。データ処理部230は、過去のパラメータに対して近似曲線を求め、当該近似曲線を変化予測曲線としてもよい。
なお、図7では、3次元画像データに基づいて部分領域を特定する場合について説明したが、Aスキャン画像、Bスキャン画像、Cスキャン画像、ボリュームデータ、または眼底画像に基づいて部分領域を特定するようにしてもよい。
[効果]
この実施形態に係る演算制御ユニット200、および演算制御ユニット200が適用された眼科撮影装置1の効果について説明する。眼科解析装置は、たとえば上記実施形態の演算制御ユニット200のように眼科撮影装置1の一部として実現可能である。また、OCT計測や眼底撮影の機能を持たない眼科解析装置を適用することも可能である。
演算制御ユニット200(眼科解析装置)は、制御部210(受付部)と、取得部231と、特定部232と、解析部233とを有する。制御部210は、患者を識別するための患者識別情報を受け付ける。取得部231は、複数の患者識別情報のそれぞれに関心領域の位置を示す関心位置情報があらかじめ関連付けられて格納された記憶部212(格納手段)から、制御部210により受け付けられた患者識別情報に関連付けられた関心位置情報を取得する。特定部232は、取得部231により取得された関心位置情報に基づいて、患者識別情報に対応する患者の被検眼について取得されたOCT画像中の部分領域を特定する。解析部233は、特定部232により特定された部分領域を解析する。
このような演算制御ユニット200によれば、患者ごとに注目すべき領域について継続的に観察することが可能になるので、疾患種別や病期や病態にかかわらず被検眼の局所的な微少変化を捉えることが可能となる。
また、関心位置情報は、当該被検眼について過去に取得された基準画像中の領域の位置を示す位置情報を含み、特定部232は、基準画像と上記のOCT画像との変位を算出する変位算出部232Aを含み、変位算出部232Aにより算出された変位と位置情報とに基づいて部分領域を特定してもよい。これにより、関心領域が、当該被検眼について過去に取得された基準画像に対して設定されている場合、特定部232は、変位算出部により算出された変位と位置情報とに基づいて部分領域を精度良く特定することが可能になる。したがって、解析部233による解析結果の変化を精度良く捉えることが可能となる。
また、関心位置情報は、当該被検眼の部位の位置を示す位置情報を含み、特定部232は、位置情報に示す上記の部位の位置に対応する上記のOCT画像中の領域を特定することにより部分領域を特定する。これにより、関心領域が、当該被検眼について過去に取得された基準画像に対して設定されていない場合であっても、特定部232は、部分領域を精度良く特定することが可能になる。したがって、解析部233による解析結果の変化を精度良く捉えることが可能となる。
また、特定部232は、関心位置情報が示す関心領域に対応するOCT画像中の領域を含むように部分領域を特定してもよい。また、特定部232は、関心領域に対応するOCT画像中の領域より広い領域を部分領域として特定してもよい。これにより、たとえば所定の部位において欠損している領域を関心領域として経過観察している場合に、ユーザは、当該欠損している領域の広がりを容易に認識することが可能になる。
また、演算制御ユニット200は、特定部232により特定された新たな当該部分領域に基づいて、記憶部212に記憶されている関心位置情報を更新する更新部を含んでもよい。これにより、部分領域の位置や大きさが変化した場合でも継続的な観察が容易になり、局所的な微少な変化を捉えることが可能となる。
また、演算制御ユニット200は、視野検査の検査範囲を示すテンプレート画像を表示部240Aに表示させ、且つ、特定部232により特定された部分領域に対応するテンプレート画像中の領域を識別可能に表示部240Aに表示させる制御部210(表示制御部)と、識別可能に表示されている上記の領域を変更することにより新たな部分領域を設定するための操作部240Bとを含んでもよい。解析部233は、操作部240Bにより設定された新たな部分領域を解析する。
また、関心位置情報は、2以上の関心領域の位置を示し、特定部232は、2以上の関心領域に対応する2以上の部分領域を特定し、解析部233は、2以上の部分領域に対応する2以上の解析結果を取得し、制御部210は、2以上の部分領域に対応する2以上の領域をテンプレート画像中において識別可能に表示させてもよい。
また、制御部210は、更に、2以上の解析結果と2以上の領域とを関連付けて表示させてもよい。
また、眼科撮影装置1は、制御部210(受付部)と、取得部231と、画像形成部220と、特定部232と、解析部233とを含んでもよい。制御部210は、患者を識別するための患者識別情報を受け付ける。取得部231は、複数の患者識別情報のそれぞれに関心領域の位置を示す関心位置情報があらかじめ関連付けられて記憶された記憶部212(格納手段)から、制御部210により受け付けられた患者識別情報に関連付けられた関心位置情報を取得する。画像形成部220は、取得部231により取得された関心位置情報に基づいて、患者識別情報に対応する患者の被検眼に対するOCTを実行することによりOCT画像を形成する。特定部232は、取得部231により取得された関心位置情報に基づいて、画像形成部220により形成されたOCT画像中の部分領域を特定する。解析部233は、特定部232により特定された部分領域を解析する。
このような眼科撮影装置1によれば、患者ごとに注目すべき領域について継続的に観察することが可能になるので、、疾患種別や病期や病態にかかわらず被検眼の局所的な微少変化を捉えることが可能となる。
[変形例]
上記の実施形態では、患者ごとにあらかじめ関連付けられ関心位置情報に基づき特定された部分領域を解析することにより、患者ごとに指定された領域についてのパラメータを継続的に観察することが可能である。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。実施形態の変形例では、まず、患者の被検眼について取得されたOCT画像を解析する。その後、患者ごとにあらかじめ関連付けられた関心位置情報に基づいてその解析結果の一部を特定する。
本変形例に係る眼科撮影装置の各部の構成は、実施形態に係る眼科撮影装置の構成と同様である。以下では、本変形例に係る眼科撮影装置について、実施形態との相違点を中心に説明する。
本変形例に係る眼科撮影装置に適用される演算制御ユニットが実施形態に係る眼科撮影装置1に適用される演算制御ユニット200と異なる点は、解析部233が、制御部210によって受け付られた患者IDに対応する患者の被検眼について取得された画像を解析する点と、特定部232が、取得部231により取得された関心位置情報に基づいて、解析部233による解析結果の一部を特定する点である。
すなわち、本変形例に係る演算制御ユニットは、制御部210(受付部)と、取得部231と、解析部233と、特定部232とを有する。制御部210は、患者を識別するための患者IDを受け付ける。取得部231は、複数の患者識別情報のそれぞれに関心領域の位置を示す関心位置情報があらかじめ関連付けられて記憶された記憶部212(格納手段)から、制御部210により受け付けられた患者IDに関連付けられた関心位置情報を取得する。解析部233は、患者IDに対応する患者の被検眼について取得されたOCT画像を解析する。特定部232は、取得部231により取得された関心位置情報に基づいて、解析部233による解析結果の一部を特定する。これにより、患者の被検眼について取得されたOCT画像の全体の解析結果から、患者ごとに指定された領域についての解析結果を抽出することで、上記の実施形態と同様に、患者の病期や病態にかかわらず眼底や角膜等の形態の局所的な微少な変化を捉えることが可能となる。
本変形例に係る演算制御ユニットの構成および動作は、上記の点を除いて、実施形態に係る演算制御ユニットの構成及び動作と同様である。
また、本変形例に係る眼科撮影装置は、制御部210(受付部)と、取得部231と、画像形成部220と、解析部233と、特定部232とを有する。制御部210は、患者を識別するための患者IDを受け付ける。取得部は、複数の患者IDのそれぞれに関心領域の位置を示す関心位置情報があらかじめ関連付けられて記憶された記憶部212(格納手段)から、制御部210により受け付けられた患者IDに関連付けられた関心位置情報を取得する。画像形成部220は、取得部231により取得された関心位置情報に基づいて、患者IDに対応する患者の被検眼に対するOCTを実行することによりOCT画像を形成する。解析部233は、画像形成部220により形成されたOCT画像を解析する。特定部232は、取得部231により取得された関心位置情報に基づいて、解析部233による解析結果の一部を特定する。
本変形例に係る眼科撮影装置の構成および動作は、上記の点を除いて、実施形態に係る眼科撮影装置1の構成及び動作と同様である。
[その他]
上記の実施形態またはその変形例では、眼底に対してOCTを行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、前眼部の所定の部位を解析するために、前眼部に対してOCTを行う場合についても適用することができる。
上記の実施形態またはその変形例を実現するためのコンピュータプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な任意の記録媒体に記憶させることができる。この記録媒体としては、たとえば、半導体メモリ、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などを用いることが可能である。また、インターネットやLAN等のネットワークを通じてこのプログラムを送受信することも可能である。
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。