JP6373847B2 - Dhaを混合したオメガ−9カノーラ油 - Google Patents
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Description
本出願は、2012年9月11日出願の、「DHAを混合したオメガ−9カノーラ油(Omega-9 Canola Oil Blended With DHA)」についての米国特許仮出願第61/699,679号の出願日の利益を主張する。
ここに特許請求された本発明は、共同研究契約の下記の当事者によって、または当事者のために行われたものである。共同研究契約は、特許請求された本発明が行われた日以前に有効であり、そして特許請求された本発明は、共同研究契約の範囲内でなされた業務の結果として行われたものである。共同研究契約の当事者は、Dow AgroSciences,LLCおよびMARTEKである。
本開示は、一般に、改良されたカノーラ油、改良されたカノーラ油の生産方法、および改良されたカノーラ油を有する食品組成物に関する。オメガ−9カノーラ油およびオメガ−3脂肪酸の組成物は、汎用カノーラ油と比較して、高い酸化安定性を示す。組成物は、酸化防止剤(例えばトコフェロール)を含んでもよい。
油混合物を、重量ベースで調製した。市場リーダーカノーラ油を、POS Pilot Plant(サスカトゥーン、SK、カナダ)から得た。DowAgroカノーラ油を、Richardson International(ウィニペグ、MB、カナダ)から得た。サンプルは、約50gのDowAgroカノーラ油、または市場リーダーカノーラ油を、DHAの含有量が公知のDHAストック油(Martek、コロンビア、MD)と混合することによって調製した。DHAストック油を、DowAgroカノーラ油および市場リーダーカノーラ油の双方について、0.5%または1.0%の最終濃度になるまで加えた。また、酸化防止剤(600ppmのトコフェロール)を含有するDHAストック油を、一部のサンプル中に加えた。酸化防止剤を、DowAgroカノーラ油および市場リーダーカノーラ油の双方について、1.0%または0.5%の最終濃度になるまで加えた。混合油を、均一になるまで撹拌した。混合物を、50℃にセットした重力対流オーブン内で貯蔵した。約10gのアリコートを2週おきにとり、以下に記載する種々の分析を実行するまで冷凍貯蔵した。
実験油混合物を、脂肪酸の含有量について、AOCS法Ce2−66(Preparation of Methyl Esters of Fatty Acids: Ce2-66(97). Official Methods and Recommended Practices of the AOCS, Fifth Edition-First Printing (1993年から1997年の全ての変更を含む); Dr. David Firestone-Editor:米国油脂化学協会、シャンペーン、イリノイ)に記載されるFAME法を用いて分析した。油サンプルを、ヘプタン中油20mg/mLに希釈した。メタノール中1%ナトリウムメキトシドの40マイクロリットル(40μl)を各サンプルに加え、ボルテックスし、60分間室温でインキュベートした。次に、生じた混合物の1マイクロリットル(1μl)を、フレームイオン化検出器(FID)を備えたAgilent 6890 GC(商標)上に注入した。メチルエステル参照標準を、Nu−Chek−Prep,Inc.から購入し、サンプル(Nu−Chek−Prep,Inc.)と同じ濃度に希釈した各油サンプルにおける脂肪酸ピークを同定するために用いた。使用したカラムは、DB−23、60メートルの、0.25mmのIDおよび0.25μmのフィルム厚を有するカラム(Agilent Technologies)であった。オーブン温度を190℃にセットし、ランの間中等温的に維持した。入口スプリット比は1:25であり、入口温度は28℃であった。水素キャリアガスフロー速度は、最初の0.3分間、3.0mL/分にセットし、続いて0.5ml/分(4.0ml/分まで)ランプさせ、そして15.5分間保持した。続いて、水素キャリアガスフロー速度を、0.5ml/分の速度で3.5ml/分に落とし、残りのラン時間保持した。検出器温度を、20ml/分の一定のキャリアガス、30ml/分の燃料水素フロー、および400ml/分の酸化剤フローによって、300℃にセットした。DowAgroカノーラ油および市場リーダーカノーラ油の脂肪酸プロフィールを図1に示す。サンプルを50℃で貯蔵し、トランス脂肪酸およびDHA含有量について、8週間にわたり2週間隔で分析し、それぞれ表1および表2に要約した。
選択したカノーラ油組成物のアリコートを、RANCIMAT(商標)(Metrohm、ヘリザウ、スイス)上で、110℃にて、製造者の指示に従って分析した。各油サンプルの3グラム(3g)のアリコートを、ラベル付き反応ベッセル中に入れ、空気入口およびキャップを、各バイアル中に挿入した。収集ベッセルを70mLのMILLI−Q(商標)水で満たし、RANCIMAT(商標)上へ置いて、チュービングを反応ベッセルから収集ベッセルに取り付けた。110℃の温度に達したら、バイアルをヒートブロック中に挿入し、そして20ml/分のエアフローを開始した。RANCIMAT(商標)法は、収集ベッセル中の導電性の増大をモニターして、油の酸化安定性インデックス(OSI)中断点を、導電性カーブの変曲点から測定する。110℃でのOSI算出値を、表3に報告する。
過酸化物価(PV)を、油サンプルについて測定した。DHA入り、そしてDHAなしの市場リーダーカノーラ油を、DHAおよび添加トコフェロール入り、そしてDHAおよび添加トコフェロールなしのDowAgroカノーラ油と比較した。PVは、ヨウ化カリウムを酸化する全ての物質を、1,000gのサンプルあたりの過酸化物のミリ当量に換算して測定することによって、算出する。これらの物質は、一般に、過酸化物、または他の同様の脂肪酸化産物であると仮定する。米国油脂化学協会「Peroxide Value Acetic Acid-Chloroform Method」Cd8-53(1997)は、METROHM 702(商標)自動滴定器の使用を含むように構成されている。各シフトの初めに、または任意の変化を系に起こした場合に、ブランク滴定を最初にランさせた。自動滴定器を、製造者が推奨する装置パラメータに従ってセットした。30ミリリットル(30ml)の酢酸/クロロホルム溶液を、5gの油サンプルを含有する滴定ビーカーに加え、そして500μlのKI溶液を加えながら、溶液を滴定器の渦巻プレート上で渦巻かせた。溶液を、たまに振盪させて、正確に1分間静置した。次に、30mlの蒸留水を溶液に加え、そして溶液を滴定器の渦巻プレート上で1分間渦巻かせた。自動滴定器の電極を溶液中に浸し、そして結果を記録して、公知のチオ硫酸ナトリウム溶液のモル標準およびブランクコントロールと比較した。過酸化物価を、1000gのサンプルあたりの過酸化物のミリ当量として、自動滴定器よって以下の式を用いて、算出した:
EP1=サンプルの滴定量(mL)
C30=ブランクの滴定量(mL)
C31=チオ硫酸ナトリウム溶液の規定度
C01=1000(1000gのサンプルの定数)
C00=サンプルの重量(g)
過酸化物価の結果を、図3に示す。DowAgroカノーラ油は、DHAの有無にかかわらず、市場リーダーカノーラ油よりも低い過酸化物価となった。トコフェロールの、DHA入りDowAgroカノーラ油への添加により、僅かに高いPV値が6か月目に表れ、そして僅かに低いPV値が9か月目に表れたが、トコフェロールの添加は、PV値にほとんど影響を及ぼさないようであった。過酸化物価が低いほど、油サンプル中の悪臭レベルが低いことを示す。値が高いほど、悪臭の量が多いことを示し、これは、油産物の望まれない特性である。したがって、DowAgroカノーラ油は、インキュベーション期間中に、市場リーダーカノーラ油と比較して、あまり酸化および悪臭を経験しなかった。
p−アニシジン価(pAnV)を、油サンプルについて測定した。DHA入り、そしてDHAなしの市場リーダーカノーラを、DHAおよび添加トコフェロール入り、そしてDHAおよび添加トコフェロールなしのDowAgroカノーラと比較した。米国油脂化学協会Anisidine Value Method Cd18-90(1997)法を用いて、サンプルを分析した。酢酸の存在下で、p−アニシジンは、アルデヒド化合物と油または脂肪中で反応して、黄色がかった反応産物を形成する。pAnVは、pAnV反応の吸光度を350nmで測定することによって、測定する。形成される産物の強度は、存在するアルデヒド化合物の量だけでなく、その構造によっても決まる。カルボニル二重結合と共役する炭素鎖中の二重結合が、モル吸光度を4から5倍増大させることが分かっている。これは、2−アルケナールおよびジエナールが特に、値に実質的に寄与することとなることを示している。油サンプルを計量して25mLのラベル付きメスフラスコ中に入れて、重量を記録した。サンプルを、イソオクタンで溶解して、規定容量まで希釈した。ストッパをフラスコの上部に置いて、フラスコを十分に振盪させた。約2mlのイソオクタンを、澄明な1.00cmキュベット中に移した。溶液の吸光度は、分光測光法を用いて350nmで測定した。5mLのイソオクタンを用いてこれを移してサンプルを希釈し、この手順を繰り返した。正確に1mLのp−アニシジン溶液をサンプルの各セットに加えて、チューブを10秒間激しく振盪させた。10分の反応時間後、溶液を1.00cmキュベットに移した。これらのサンプルを、分光光度計によって350nmで測定して、「ブランク」と比較した。pAnVを、以下の式を用いて算出した:
As=p−アニシジン試薬との反応後のサンプルの吸光度(分光光度計のリーディングによって測定);
Ab=溶液のイニシャル吸光度;および
m=試験部分の質量(グラム)。
略式の悪臭官能スクリーニングを、スカールオーブン貯蔵安定性試験を用いてカノーラ油組成物に行った。スカールオーブン試験を用いて、脂肪、油、および焼商品(例えばクラッカーおよびパイ皮)について、サンプルをオーブン内にて高温で長時間インキュベートすることによって、悪臭までの時間を迅速に推定する。試験したサンプルは、DHAなし市場リーダーカノーラ油;DHA入り市場リーダーカノーラ油;DHA入りDowAgroカノーラ油;ならびにDHAおよび添加トコフェロール(600ppm)入りDowAgroカノーラ油であった。全てのサンプルが、60℃での貯蔵1週後に悪臭がした。
高温で貯蔵したDowAgroオメガ−9カノーラ油および市場リーダーカノーラ油のサンプルによって放出される揮発性化合物を、Analytical Technologies ALPHA MOS FOX 4000系(商標)(Alpha MOS、ハノーバ、Md)(本明細書中で「Eノーズ」と記載する)を用いて比較した。Eノーズは、18個の金属酸化物センサを装備しており、広範囲にわたる匂い検出能力が実現される。匂いは、試験油サンプルによって放出される化合物の、何千とまではいかないが何百もの複雑な混合物に由来するものであり、これらの匂いをEノーズによって検出する。Eノーズから生じたデータを用いて、貯蔵寿命安定性研究由来の「悪」臭および異常な匂いを同定かつ識別することができる。
Eノーズ分析を、実施例6に記載した方法を用いて、75°Fで貯蔵した油サンプルで完了した。以下のサンプルを分析した:DHAを含有しないDowAgroオメガ−9カノーラ油;0.5% DHAを含有するDowAgroオメガ−9カノーラ油;1.0% DHAを含有するDowAgroオメガ−9カノーラ油;DHAを含有しない市場リーダーカノーラ油;0.5% DHAを含有する市場リーダーカノーラ油;および1.0% DHAを含有する市場リーダーカノーラ油。5から10グラム(5から10g)の油サンプルを、澄明なガラスボトル内に75°Fで貯蔵した。これらサンプルのアリコートを、初期時点(すなわち0日)、60日、120日および360日にて取り出して、Eノーズを用いて評価した。Eノーズリーディングの結果を、表8および表9に示す。DHAを含有する、DowAgroオメガ−9カノーラ油および市場リーダーカノーラ油の匂いプロフィールは、経時的に増大した。しかしながら、DowAgroオメガ−9カノーラ油は、2、4および6か月の時点で、市場リーダーカノーラ油と比較して、匂いプロフィールがより低いことを示した。
官能研究を完了して、DHAおよび添加酸化防止剤入り、そしてDHAおよび添加酸化防止剤なしのDowAgroオメガ−9カノーラ油を、DHA入り、そしてDHAなしの市場リーダーカノーラ油と比較した。官能試験の結果は、1グループのパネリストによって、油の魚臭い/絵の具の芳香および芳香属性の強度を15pt SPECTRUM(商標)スケールでランク付けして、判定した。このスケールでは、0のスコアは、芳香および芳香性がないことを示し、1から3は「低」であり;4から6は「低から中」であり;7から8は「中」であり;9から11は「中から高」であり;12から14は「高」であり;そして15は「非常に高」である。予備研究により、全てのサンプルが、時間0にて、魚臭い/絵の具の芳香および芳香性が低いことが実証された(図6)。
DHA入りの、酸化防止剤入り、そして酸化防止剤なしのDowAgroオメガ−9カノーラ油を含有する食品を調製し、そして官能結果を、市場リーダーカノーラDHA油で調製した同じ食品と比較した。50℃にセットした重力対流オーブン内で3か月間貯蔵した油を、新しい油と比較した。食品の調製に使用したレシピ(表9)は、William−SonomaのウェブサイトおよびWilliam−Sonomaの料理本から採用した。最終食品を室温にてパネリストが試し、全体の官能結果を比較した。コントロールとの差異(DFC)法を用いて、結果を測定した。パネルは、ハッシュブラウン、ビネグレットサラダドレッシングまたはマフィンの味覚における差異を、表10に示す6ポイントスケールを用いてスコアした。ゼロのDFC値は、パネルが、試験したサンプル間の差異に気づかなかったことを意味する。
なお、本願発明には以下の実施形態が包含されるものとする。
[1]オメガ−9カノーラ油およびオメガ−3脂肪酸を含む、耐酸化性がある油組成物。
[2]前記オメガ−3脂肪酸は、アルファ−リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、およびドコサヘキサエン酸(DHA)からなる群から選択される、[1]に記載の油組成物。
[3]前記オメガ−3脂肪酸は、DHAである、[2]に記載の油組成物。
[4]酸化防止剤をさらに含む、[3]に記載の油組成物。
[5]前記酸化防止剤は、トコフェロールである、[4]に記載の油組成物。
[6]前記DHAは、約0.1重量%から約1.0重量%の濃度を占める、[3]に記載の油組成物。
[7]前記DHAは、約0.2重量%から約0.5重量%の濃度を占める、[6]に記載の油組成物。
[8]前記DHAは、約0.23重量%の濃度を占める、[7]に記載の油組成物。
[9]カノーラ油の酸化安定性を増大させる方法であって、DHAをオメガ−9カノーラ油と混合して油組成物を形成することを含む、方法。
[10]前記DHAは、前記油組成物において、約0.1重量%から約1.0重量%の濃度を占める、[9]に記載の方法。
[11]前記DHAは、前記油組成物において、約0.2重量%から約0.5重量%の濃度を占める、[10]に記載の方法。
[12]前記DHAは、前記油組成物において、約0.23重量%の濃度を占める、[11]に記載の方法。
[13]酸化安定性が増大したカノーラ油組成物を調製する方法であって、オメガ−9カノーラ油をオメガ−3脂肪酸と混合することを含む、方法。
[14]前記オメガ−3脂肪酸は、DHAを含む、[13]に記載の方法。
[15]カノーラ油およびDHAを含む耐酸化性がある食品組成物であって、前記カノーラ油は、少なくとも68.0重量%のオレイン酸および4.0重量%以下のリノレン酸を含み;前記DHAは、前記油組成物の約0.1重量%から約1.0重量%を占める、食品組成物。
[16]カノーラ油およびDHAを含む油組成物であって:
前記カノーラ油は、前記カノーラ油の少なくとも68.0重量%のオレイン酸および4.0重量%以下のリノレン酸を含み;
前記DHAは、前記油組成物の約0.1重量%から約1.0重量%を占める、油組成物。
[17]前記カノーラ油は、少なくとも70重量%を占め、前記リノレン酸は、前記カノーラ油の3.0重量%未満を占める、[16]に記載の油組成物。
[18]オメガ−9カノーラ油を酸化に対して安定させる方法であって、前記方法は、前記オメガ−9カノーラ油をDHAと混合して、油組成物を形成することを含み、前記DHAは、前記組成物中、前記油組成物の約0.1重量%から約1.0重量%の最終濃度で存在する、方法。
Claims (6)
- カノーラ油の酸化安定性を増大させる方法であって、藻類から得られるドコサヘキサエン酸(DHA)をアブラナ属(Brassica)種の植物から得られるオメガ−9カノーラ油と混合して油組成物を形成することを含む、方法。
- 前記DHAは、前記油組成物において、0.1重量%から1.0重量%の濃度を占める、請求項1に記載の方法。
- 前記DHAは、前記油組成物において、0.2重量%から0.5重量%の濃度を占める、請求項2に記載の方法。
- 前記DHAは、前記油組成物において、0.23重量%の濃度を占める、請求項3に記載の方法。
- 酸化安定性が増大したカノーラ油組成物を調製する方法であって、アブラナ属(Brassica)種の植物から得られるオメガ−9カノーラ油を藻類から得られるドコサヘキサエン酸(DHA)と混合することを含む、方法。
- オメガ−9カノーラ油を酸化に対して安定させる方法であって、前記方法は、前記オメガ−9カノーラ油を藻類から得られるドコサヘキサエン酸(DHA)と混合して、油組成物を形成することを含み、前記DHAは、前記組成物中、前記油組成物の0.1重量%から1.0重量%の最終濃度で存在する、方法。
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