以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、発明の詳細な説明に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、発明の詳細な説明に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の詳細な説明中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
本発明の第1の側面の塗装装置は、第1に、気体である搬送媒体と共に粉体塗料が搬送される中空筒状の第1の搬送経路(例えば、図3の搬送経路71)、および搬送媒体と粉体塗料とが搬送される中空筒状の第2の搬送経路であって、第1の搬送経路に対して15度から165度のいずれかの角度で第1の搬送経路から分岐している第2の搬送経路(例えば、図3の搬送経路72)が形成されている搬送経路形成部(例えば、図2の分岐ブロック51)と、第1の搬送経路の入口または出口のいずれか一方に設けられ、第1の搬送経路の出口から搬送媒体と粉体塗料とを搬出するとき、搬送される搬送媒体および粉体塗料が通る中空筒状の壁面に設けられている穴(例えば、図3のエア噴出口84)またはスリットから、搬送媒体および粉体塗料の搬送方向の軸に対して直角または鋭角に搬送媒体を噴出し、第1の搬送経路の搬送方向の軸と同軸方向に搬送媒体と粉体塗料とを搬送する第1の搬送手段(例えば、図2のイジェクタ52)と、第2の搬送経路の出口に設けられ、第2の搬送経路の出口から搬送媒体と粉体塗料とを搬出するとき、搬送される搬送媒体および粉体塗料が通る中空筒状の壁面に設けられている穴(例えば、図3のエア噴出口94)またはスリットから、搬送媒体および粉体塗料の搬送方向の軸に対して直角または鋭角に搬送媒体を噴出し、第2の搬送経路の搬送方向の軸と同軸方向に搬送媒体と粉体塗料とを搬送する第2の搬送手段(例えば、図2のイジェクタ53)と、第1の搬送経路の出口から搬出されてくる粉体塗料を吐出する吐出手段(例えば、図2の吐出部32)と、第1の搬送経路と第2の搬送経路との分岐の上流側における第1の搬送経路の搬送媒体の圧力を測定する圧力測定手段(例えば、図2の圧力センサ54)と、第1の搬送手段および第2の搬送手段のそれぞれの穴またはスリットから噴出される搬送媒体の圧力を変更することで、時間的に排他的に吐出手段から粉体塗料を吐出させるかまたは第2の搬送経路の出口から搬送媒体と粉体塗料とを搬出させるように第1の搬送手段および第2の搬送手段を制御する制御手段(例えば、図1の制御装置14)とを備え、制御手段は、吐出手段から粉体塗料を吐出させる場合、圧力測定手段で測定される圧力が所定の目標値となるように、第1の搬送手段の穴またはスリットから噴出される搬送媒体の圧力を変更する。
本発明の一側面の塗装装置は、第2に、第2の搬送経路の出口から搬出されてくる粉体塗料を格納する格納部(例えば、図1の供給タンク11)をさらに設けることができる。
本発明の第1の側面の制御方法は、気体である搬送媒体と共に粉体塗料が搬送される中空筒状の第1の搬送経路(例えば、図3の搬送経路71)、および搬送媒体と粉体塗料とが搬送される中空筒状の第2の搬送経路であって、第1の搬送経路に対して15度から165度のいずれかの角度で第1の搬送経路から分岐している第2の搬送経路(例えば、図3の搬送経路72)が形成されている搬送経路形成部(例えば、図2の分岐ブロック51)と、第1の搬送経路の入口または出口のいずれか一方に設けられ、搬送される搬送媒体および粉体塗料が通る中空筒状の壁面に、搬送媒体および粉体塗料の搬送方向の軸に対して直角または鋭角をなす方向に搬送媒体を噴出する穴(例えば、図3のエア噴出口84)またはスリットが形成されている第1の搬送手段(例えば、図2のイジェクタ52)と、第2の搬送経路の出口に設けられ、搬送される搬送媒体および粉体塗料が通る中空筒状の壁面に、搬送媒体および粉体塗料の搬送方向の軸に対して直角または鋭角をなす方向に搬送媒体を噴出する穴(例えば、図3のエア噴出口94)またはスリットが形成されている第2の搬送手段(例えば、図2のイジェクタ53)と、第1の搬送経路の出口から搬出されてくる粉体塗料を吐出する吐出手段(例えば、図2の吐出部32)と、第1の搬送経路と第2の搬送経路との分岐の上流側における第1の搬送経路の搬送媒体の圧力を測定する圧力測定手段(例えば、図2の圧力センサ54)とを備える塗装装置の制御方法であって、吐出手段から粉体塗料を吐出させるとき、第1の搬送手段の穴またはスリットから搬送媒体を噴出させて、第1の搬送経路の出口から吐出手段に搬送媒体と粉体塗料とを搬出させると共に、圧力測定手段で測定される圧力が所定の目標値となるように、第1の搬送手段の穴またはスリットから噴出される搬送媒体の圧力を変更し(例えば、図8のステップS61の手続き)、吐出手段から粉体塗料を吐出しないとき、第2の搬送手段の穴またはスリットから搬送媒体を噴出させて、第2の搬送経路の出口から搬送媒体と粉体塗料とを搬出させる(例えば、図8のステップS63の手続き)ステップを含む。
本発明の第1の側面のプログラムは、気体である搬送媒体と共に粉体塗料が搬送される中空筒状の第1の搬送経路(例えば、図3の搬送経路71)、および搬送媒体と粉体塗料とが搬送される中空筒状の第2の搬送経路であって、第1の搬送経路に対して15度から165度のいずれかの角度で第1の搬送経路から分岐している第2の搬送経路(例えば、図3の搬送経路72)が形成されている搬送経路形成部(例えば、図2の分岐ブロック51)と、第1の搬送経路の入口または出口のいずれか一方に設けられ、搬送される搬送媒体および粉体塗料が通る中空筒状の壁面に、搬送媒体および粉体塗料の搬送方向の軸に対して直角または鋭角をなす方向に搬送媒体を噴出する穴(例えば、図3のエア噴出口84)またはスリットが形成されている第1の搬送手段(例えば、図2のイジェクタ52)と、第2の搬送経路の出口に設けられ、搬送される搬送媒体および粉体塗料が通る中空筒状の壁面に、搬送媒体および粉体塗料の搬送方向の軸に対して直角または鋭角をなす方向に搬送媒体を噴出する穴(例えば、図3のエア噴出口94)またはスリットが形成されている第2の搬送手段(例えば、図2のイジェクタ53)と、第1の搬送経路の出口から搬出されてくる粉体塗料を吐出する吐出手段(例えば、図2の吐出部32)と、第1の搬送経路と第2の搬送経路との分岐の上流側における第1の搬送経路の搬送媒体の圧力を測定する圧力測定手段(例えば、図2の圧力センサ54)とを備える塗装装置を制御するコンピュータに、吐出手段から粉体塗料を吐出させるとき、第1の搬送手段の穴またはスリットから搬送媒体を噴出させて、第1の搬送経路の出口から吐出手段に搬送媒体と粉体塗料とを搬出させると共に、圧力測定手段で測定される圧力が所定の目標値となるように、第1の搬送手段の穴またはスリットから噴出される搬送媒体の圧力を変更させ(例えば、図8のステップS61の手続き)、吐出手段から粉体塗料を吐出しないとき、第2の搬送手段の穴またはスリットから搬送媒体を噴出させて、第2の搬送経路の出口から搬送媒体と粉体塗料とを搬出させる(例えば、図8のステップS63の手続き)ステップを含む処理を行わせる。
本発明の一側面の吐出特性測定方法は、気体である搬送媒体と共に粉体塗料が搬送される中空筒状の第1の搬送経路(例えば、図3の搬送経路71)、および搬送媒体と粉体塗料とが搬送される中空筒状の第2の搬送経路であって、第1の搬送経路に対して15度から165度のいずれかの角度で第1の搬送経路から分岐している第2の搬送経路(例えば、図3の搬送経路72)が形成されている搬送経路形成部(例えば、図2の分岐ブロック51)と、第1の搬送経路の入口または出口のいずれか一方に設けられ、搬送される搬送媒体および粉体塗料が通る中空筒状の壁面に、搬送媒体および粉体塗料の搬送方向の軸に対して直角または鋭角をなす方向に搬送媒体を噴出する穴(例えば、図3のエア噴出口84)またはスリットが形成されている第1の搬送手段(例えば、図2のイジェクタ52)と、第2の搬送経路の出口に設けられ、搬送される搬送媒体および粉体塗料が通る中空筒状の壁面に、搬送媒体および粉体塗料の搬送方向の軸に対して直角または鋭角をなす方向に搬送媒体を噴出する穴(例えば、図3のエア噴出口94)またはスリットが形成されている第2の搬送手段(例えば、図2のイジェクタ53)と、第1の搬送経路の出口から搬出されてくる粉体塗料を吐出する吐出手段(例えば、図2の吐出部32)と、第1の搬送経路と第2の搬送経路との分岐の上流側における第1の搬送経路の搬送媒体の圧力を測定する圧力測定手段(例えば、図2の圧力センサ54)とを備える塗装装置の吐出特性測定方法であって、第2の搬送手段の穴またはスリットから噴出される搬送媒体の圧力を一定としつつ、第1の搬送手段の穴またはスリットから噴出される搬送媒体の圧力を変化させ(例えば、図6のステップS11の手続き)、第1の搬送手段の穴またはスリットから噴出される搬送媒体の圧力のそれぞれにおける、吐出手段から吐出される粉体塗料の吐出量を測定し(例えば、図6のステップS12の手続き)、第1の搬送手段の穴またはスリットから噴出される搬送媒体の圧力のそれぞれにおいて、圧力測定手段によって、第1の搬送経路と第2の搬送経路との分岐の上流側における第1の搬送経路の搬送媒体の圧力を測定し(例えば、図6のステップS13の手続き)、所望の吐出量の粉体塗料が吐出手段から吐出されるときの、第1の搬送経路と第2の搬送経路との分岐の上流側における第1の搬送経路の搬送媒体の圧力および第1の搬送手段の穴またはスリットから噴出される搬送媒体の圧力を特定する(例えば、図6のステップS14の手続き)ステップを含む。
本発明の第2の側面の塗装装置は、気体である搬送媒体と共に粉体塗料が搬送される中空筒状の第1の搬送経路(例えば、図3の搬送経路71)、および搬送媒体と粉体塗料とが搬送される中空筒状の第2の搬送経路であって、第1の搬送経路に対して15度から165度のいずれかの角度で第1の搬送経路から分岐している第2の搬送経路(例えば、図3の搬送経路72)が形成されている搬送経路形成部(例えば、図2の分岐ブロック51)と、第1の搬送経路の入口に設けられ、第1の搬送経路の出口から搬送媒体と粉体塗料とを搬出するとき、第1の搬送経路の入口側で搬送媒体に圧力を生じさせて、第1の搬送経路の搬送方向の軸と同軸方向に搬送媒体と粉体塗料とを搬送する第1の搬送手段(例えば、図2のイジェクタ52)と、第2の搬送経路の出口に設けられ、第2の搬送経路の出口から搬送媒体と粉体塗料とを搬出するとき、第2の搬送経路の出口側で搬送媒体に圧力を生じさせて、第2の搬送経路の搬送方向の軸と同軸方向に搬送媒体と粉体塗料とを搬送する第2の搬送手段(例えば、図2のイジェクタ53)と、第1の搬送経路の出口または第2の搬送経路の出口のいずれか一方から搬出される粉体塗料を吐出する吐出手段(例えば、図2の吐出部32)と、第1の搬送手段および第2の搬送手段に時間的に排他的に搬送媒体と粉体塗料とを搬送させるように第1の搬送手段および第2の搬送手段を制御する制御手段(例えば、図1の制御装置14)とを備える。
本発明の第2の側面の制御方法は、気体である搬送媒体と共に粉体塗料が搬送される中空筒状の第1の搬送経路(例えば、図3の搬送経路71)、および搬送媒体と粉体塗料とが搬送される中空筒状の第2の搬送経路であって、第1の搬送経路に対して15度から165度のいずれかの角度で第1の搬送経路から分岐している第2の搬送経路(例えば、図3の搬送経路72)が形成されている搬送経路形成部(例えば、図2の分岐ブロック51)と、第1の搬送経路の入口に設けられ、第1の搬送経路の搬送方向の軸と同軸方向に搬送媒体と粉体塗料とを搬送する第1の搬送手段(例えば、図2のイジェクタ52)と、第2の搬送経路の出口に設けられ、第2の搬送経路の搬送方向の軸と同軸方向に搬送媒体と粉体塗料とを搬送する第2の搬送手段(例えば、図2のイジェクタ53)と、第1の搬送経路の出口または第2の搬送経路の出口のいずれか一方から搬出される粉体塗料を吐出する吐出手段(例えば、図2の吐出部32)とを備える塗装装置の制御方法であって、吐出手段から粉体塗料を吐出するとき、吐出手段に粉体塗料を搬送する第1の搬送手段または第2の搬送手段のうちのいずれか一方に、第1の搬送経路または第2の搬送経路の搬送媒体に圧力を生じさせて、第1の搬送経路の出口または第2の搬送経路の出口のうちのいずれか一方から搬送媒体と粉体塗料とを搬出させ(例えば、図8のステップS61の手続き)、吐出手段から粉体塗料を吐出しないとき、第1の搬送手段または第2の搬送手段のうちの他方に、第1の搬送経路または第2の搬送経路の搬送媒体に圧力を生じさせて、第1の搬送経路の出口または第2の搬送経路の出口のうちの他方から搬送媒体と粉体塗料とを搬出させる(例えば、図8のステップS63の手続き)ステップを含む。
本発明の第2の側面のプログラムは、気体である搬送媒体と共に粉体塗料が搬送される中空筒状の第1の搬送経路(例えば、図3の搬送経路71)、および搬送媒体と粉体塗料とが搬送される中空筒状の第2の搬送経路であって、第1の搬送経路に対して15度から165度のいずれかの角度で第1の搬送経路から分岐している第2の搬送経路(例えば、図3の搬送経路72)が形成されている搬送経路形成部(例えば、図2の分岐ブロック51)と、第1の搬送経路の入口に設けられ、第1の搬送経路の搬送方向の軸と同軸方向に搬送媒体と粉体塗料とを搬送する第1の搬送手段(例えば、図2のイジェクタ52)と、第2の搬送経路の出口に設けられ、第2の搬送経路の搬送方向の軸と同軸方向に搬送媒体と粉体塗料とを搬送する第2の搬送手段(例えば、図2のイジェクタ53)と、第1の搬送経路の出口または第2の搬送経路の出口のいずれか一方から搬出される粉体塗料を吐出する吐出手段(例えば、図2の吐出部32)とを備える塗装装置を制御するコンピュータに、吐出手段から粉体塗料を吐出するとき、吐出手段に粉体塗料を搬送する第1の搬送手段または第2の搬送手段のうちのいずれか一方に、第1の搬送経路または第2の搬送経路の搬送媒体に圧力を生じさせて、第1の搬送経路の出口または第2の搬送経路の出口のうちのいずれか一方から搬送媒体と粉体塗料とを搬出させ(例えば、図8のステップS61の手続き)、吐出手段から粉体塗料を吐出しないとき、第1の搬送手段または第2の搬送手段のうちの他方に、第1の搬送経路または第2の搬送経路の搬送媒体に圧力を生じさせて、第1の搬送経路の出口または第2の搬送経路の出口のうちの他方から搬送媒体と粉体塗料とを搬出させる(例えば、図8のステップS63の手続き)ステップを含む処理を行わせる。
以下、図1乃至図8を参照して、本発明の一実施の形態の塗装装置1について説明する。
図1は、塗装装置1の全体の構成を示すブロック図である。塗装装置1は、粉末状の固体である粉体塗料を使用して、静電粉体塗装法により被塗物を塗装する。すなわち、塗装装置1は、静電気により帯電させた粉体塗料を吐出して、電気的に接地されている被塗物に吹き付けることにより、被塗物に粉体塗料を塗布して被塗物を塗装する。例えば、粉体塗料は、エポキシ、ポリエステルなどの塗膜を形成する高分子材料やメタリック用のアルミニウム、マイカ、ガラスフレークなどの高輝度な外観を得るための光輝材などの粉末(粉体)からなる。
塗装装置1は、単位時間当たり所望の量の粉体塗料を吐出して、被塗物を塗装する。すなわち、塗装装置1は、粉体塗料を定量供給し、定量供給された粉体塗料を吐出する。また、塗装装置1は、所望のタイミングで、粉体塗料の吐出と停止とを切り替えることができる。塗装装置1が、所望のタイミングで、粉体塗料の吐出と停止とを切り替えて、粉体塗料を吐出するとき、所望の吐出量の粉体塗料を吐出するので、より高い塗着効率と、より均一で、塗装不良のより少ない、より優れた品質の塗膜とを得ることができる。ここで、吐出量とは、単位時間当たりに吐出させられる塗料の量をいう。吐出量は、単位時間当たりに吐出させられる塗料の質量であってもよく、単位時間当たりに吐出させられる塗料の体積の量であってもよい。以下、単位時間当たりに吐出させられる粉体塗料の質量である吐出量を例に説明する。
塗装装置1は、供給タンク11、供給装置12、粉体塗装ガン13、および制御装置14からなる。供給タンク11は、粉体塗装ガン13から吐出するための粉体塗料を格納する。流動エアが供給されると、供給タンク11に格納されている粉体塗料が撹拌されて、供給タンク11から配管を通じて供給装置12に粉体塗料が供給される。
供給装置12は、例えば、スクリュー式のフィーダおよびイジェクタなどからなり、制御装置14から供給される搬送エアACと共に、制御装置14から供給される供給量指示信号に応じた量の粉体塗料を、配管を通じて粉体塗装ガン13に供給する。
粉体塗装ガン13は、いわゆるコロナ帯電式塗装ガンであり、供給装置12から搬送エアACと共に供給された粉体塗料を、制御装置14から供給される0V〜−100KVの帯電印加電圧によって帯電させて吐出する。また、粉体塗装ガン13は、制御装置14から供給される作動エアAd1および作動エアAd2に応じて、供給装置12から供給された粉体塗料を吐出するか、または供給タンク11に粉体塗料を戻すための戻り配管に流す。さらに、粉体塗装ガン13は、粉体塗料が搬送される経路の所定の位置の搬送エアACの圧力の値を示す圧力測定信号を制御装置14に供給する。
また、制御装置14は、粉体塗装ガン13が供給装置12から供給された粉体塗料を吐出する場合、定量供給の制御を行い、圧力測定信号で示される圧力が、粉体塗料の吐出量に応じた所定の目標値となるように、作動エアAd1の圧力を変更する。例えば、作動エアAd1の圧力が動作圧力Pdc1である場合に吐出される粉体塗料の吐出量よりも、より少ない吐出量の粉体塗料を吐出するとき、作動エアAd1の圧力は、動作圧力Pdc1に比較して低い圧力である動作圧力Pdc2とされる。ここで、動作圧力Pdc1および動作圧力Pdc2は、動作圧力Pdの一例である。
なお、以下、搬送エアAC、作動エアAd1および作動エアAd2として、空気を用いる実施の形態について説明するが、空気に限らず、窒素などの不活性ガスまたは活性ガスなどの気体を用いることもできる。
図2は、粉体塗装ガン13の構成の概要を示す図である。粉体塗装ガン13は、分流部31および吐出部32からなる。分流部31は、供給装置12から供給される搬送エアACおよび粉体塗料を分流させて、吐出部32に流すか、または供給タンク11への戻り配管に流す。吐出部32は、内部に設けられている電極に帯電印加電圧を印加することで、分流部31から供給された粉体塗料を帯電させ、ノズルから帯電された粉体塗料を吐出する。
さらに、分流部31は、分岐ブロック51、イジェクタ52、イジェクタ53、および圧力センサ54からなる。分岐ブロック51は、ポリエチレンなどの樹脂、セラミックス、またはステンレス鋼などの金属で形成されている。分岐ブロック51の内部には、搬送エアACおよび粉体塗料を搬送するための中空筒状の搬送経路が形成されている。分岐ブロック51の内部に形成されている搬送経路の入口の上流側には、イジェクタ52が設けられている。すなわち、イジェクタ52は、分岐ブロック51の内部に形成されている搬送経路の入口に設けられている。分岐ブロック51の内部に形成されている搬送経路の出口の下流側には、吐出部32が設けられている。また、分岐ブロック51の内部に形成されている搬送経路は、イジェクタ53側に分岐している。すなわち、分岐ブロック51の搬送経路が内部で分岐しているので、分岐ブロック51の搬送経路には、1つの入口と2つの出口とがある。
イジェクタ52は、ポリエチレンなどの樹脂、セラミックス、またはステンレス鋼などの金属で形成されている。イジェクタ52は、制御装置14から供給される作動エアAd1が動作圧力Pdである場合、入口側に負圧を生じさせるとともに、出口側に正圧を生じさせることで、搬送エアACおよび粉体塗料を搬送する。動作圧力Pdは、搬送エアACの圧力と同じ圧力か、または搬送エアACの圧力より高い圧力である。すなわち、イジェクタ52は、動作圧力Pdである作動エアAd1によって、分岐ブロック51の搬送経路の入口の搬送エアACに正圧を生じさせることで、分岐ブロック51の搬送経路の中の搬送エアACおよび粉体塗料を吐出部32に向かって搬送する。
イジェクタ52は、制御装置14から供給される作動エアAd1がシール圧力Psである場合、搬送経路の出口から搬送エアACと粉体塗料とを搬出するときに生じさせる正圧の絶対値に比較して小さい絶対値の正圧を生じさせて、分岐ブロック51から制御装置14への搬送エアACおよび粉体塗料の逆流を防止する。シール圧力Psは、動作圧力Pdより低い圧力であって、大気圧より高い圧力である。作動エアAd1をシール圧力Psとすると、搬送経路の出口から搬送エアACと粉体塗料とを搬出するときに生じさせる正圧の絶対値に比較して小さい絶対値の正圧がイジェクタ52内に生じて、供給装置12から供給される搬送エアACおよび粉体塗料が制御装置14に接続されている配管に吸い込まれることがなく、配管の目詰まりを防止して、作動エアAd1の流量および圧力を適正に維持することができる。
イジェクタ53は、ポリエチレンなどの樹脂、セラミックス、またはステンレス鋼などの金属で形成されている。イジェクタ53は、制御装置14から供給される作動エアAd2が動作圧力Pdである場合、入口側に負圧を生じさせるとともに、出口側に正圧を生じさせることで、搬送エアACおよび粉体塗料を搬送する。すなわち、イジェクタ53は、動作圧力Pdである作動エアAd2によって、分岐ブロック51の搬送経路のうち、イジェクタ53側に分岐している搬送経路の搬送エアACに負圧を生じさせるとともに、供給タンク11への戻り配管側の搬送エアACに正圧を生じさせることで、分岐ブロック51の搬送経路の中の搬送エアACおよび粉体塗料を戻り配管に向かって搬送する。
イジェクタ53は、制御装置14から供給される作動エアAd2がシール圧力Psである場合、搬送経路の出口から搬送エアACと粉体塗料とを搬出するときに生じさせる負圧の絶対値に比較して小さい絶対値の負圧を生じさせて、搬送エアACおよび粉体塗料の逆流を防止する。作動エアAd2をシール圧力Psとすると、搬送経路の出口から搬送エアACと粉体塗料とを搬出するときに生じさせる負圧の絶対値に比較して小さい絶対値の負圧が生じて、出口側に、搬送エアACおよび粉体塗料を搬送するときに生じさせる正圧の絶対値に比較して小さい絶対値の正圧が生じるので、戻り配管からの粉体塗料の吸い込みを防止することができる。
圧力センサ54は、粉体塗料が搬送される経路の搬送エアACの圧力の値を測定し、測定された圧力の値を示す圧力測定信号を制御装置14に供給する。圧力センサ54は、大気圧を基準として負圧となる搬送エアACの圧力を測定するものでも、絶対真空を基準として搬送エアACの圧力を測定するものでも良い。圧力センサ54は、ダイアフラム式、ベローズ式、またはブルドン管式などいずれの方式であってもよい。例えば、圧力センサ54として、ピエゾ抵抗効果を有する半導体などのひずみゲージによりダイアフラムのひずみを検出するダイアフラム式を用いることができる。また、例えば、圧力センサ54として、静電容量の変化を検出することによりダイアフラムの変形を検出するダイアフラム式を用いることができる。
次に、分岐ブロック51、イジェクタ52、イジェクタ53、および圧力センサ54の詳細な構造を説明する。
図3は、分流部31の断面を示す図である。分岐ブロック51の内部には、搬送エアACおよび粉体塗料を搬送するための搬送経路71および搬送経路72が形成されている。搬送経路71は、図3中の左側に示されている入口から、図3中の右側に示されている出口に繋がる空洞として形成されている。例えば、搬送経路71は、入口から出口まで搬送方向に直線状に伸びる形状とすることができる。また、搬送経路71の断面形状は、入口から出口まで一定の円形とすることができる。
搬送経路72は、分岐ブロック51の内部において搬送経路71から分岐し、搬送経路71の出口とは別の出口である、図3中の下側に示されている出口に繋がる空洞として形成されている。例えば、搬送経路72は、搬送経路71から分岐する位置から出口まで搬送方向に直線状に伸びる形状とすることができる。また、搬送経路72の断面形状は、搬送経路71から分岐する位置から出口まで一定の円形とすることができる。搬送経路72の断面は、搬送経路71の断面に等しい形状とすることができる。
より具体的には、搬送経路72の搬送方向を示す軸である、搬送経路72の円形の断面の中心を通る軸が、搬送経路71の搬送方向を示す軸である、円形の断面の中心を通る軸と交わるように、搬送経路72の一端は、搬送経路71の途中につながる。
このように、搬送経路71および搬送経路72は、搬送エアACおよび粉体塗料の流れを妨げない形状に形成されている。搬送経路71および搬送経路72には、開閉する弁などの流れを規制する機構は設けられていない。
搬送経路71から搬送経路72が分岐する位置における、搬送経路71の搬送方向を示す軸と、搬送経路72の搬送方向を示す軸とがなす角度θは、15度から165度のいずれかとすることができる。実験により、15度から165度の範囲以内で、搬送経路71から搬送経路72が分岐するようにすれば、搬送エアACおよび粉体塗料を分流することができ、吐出部32への搬送エアACおよび粉体塗料の供給ができ、またその供給を停止できることが確認された。
より好ましくは、搬送経路71から搬送経路72が分岐する位置における、搬送経路71と搬送経路72とがなす角度θは、30度から60度のいずれかとすることができる。実験により、30度から60度の範囲以内で、搬送経路71から搬送経路72が分岐するようにすると、分流の再現性が増して、さらに確実に、さらに安定して、分流できることが確認された。従って、この場合、さらに確実に、さらに安定して、吐出部32への搬送エアACおよび粉体塗料の供給とその停止ができるようになる。
また、より好ましくは、搬送経路71から搬送経路72が分岐する位置における、搬送経路71と搬送経路72とがなす角度θは、90度から150度のいずれかとすることができる。実験により、90度から150度の範囲以内で、搬送経路71から搬送経路72が分岐するようにすると、吐出部32から粉体塗料を吐出するとき、所望の吐出量の粉体塗料をより安定して供給できることが確認された。従って、この場合、さらに確実に、さらに安定して、吐出部32への搬送エアACおよび粉体塗料の供給とその停止ができるようになる。
すなわち、搬送経路72は、搬送経路71に対して15度から165度のいずれかの角度で搬送経路71から分岐している。搬送経路72を、搬送経路71に対して30度から60度のいずれかの角度で搬送経路71から分岐させるのがより好ましい。また、吐出部32から所望の吐出量の粉体塗料をより安定して吐出させたい場合には、搬送経路72を、搬送経路71に対して90度から150度のいずれかの角度で搬送経路71から分岐させるのがより好ましい。
なお、図3に示される例において搬送経路72は、搬送経路71に対して150度の角度で搬送経路71から分岐している。
搬送経路71の入口からは、イジェクタ52を介して、供給装置12から供給される搬送エアACおよび粉体塗料が取り込まれる。搬送経路71の入口から取り込まれた搬送エアACおよび粉体塗料は、搬送経路71の出口から搬出されるか、または搬送経路72の出口から搬出される。
このように、搬送経路71は、中空であって、筒状に形成されている。搬送経路72は、搬送経路71から分岐する、中空であって、筒状に形成されている。搬送経路71および搬送経路72は、それぞれ、入口および出口以外が閉じられて、気密性が保たれるように形成される。
搬送経路71の入口は、気密性が保たれるように、イジェクタ52の出口側に接続されている。また、搬送経路71の出口は、気密性が保たれるように、吐出部32に接続されている。さらに、搬送経路72の出口は、気密性が保たれるように、イジェクタ53の入口側に接続されている。
また、圧力導管73は、搬送経路71の位置のうち、搬送経路71と搬送経路72との分岐より上流側の位置から圧力センサ54に繋がる空洞として形成されている。すなわち、圧力導管73は、搬送経路71の位置のうち、搬送経路71と搬送経路72との分岐と搬送経路71の入口との間の位置を圧力センサ54に繋ぐ空洞として形成されている。圧力導管73の長さおよび内容積は、圧力センサ54の応答性および精度等を得るのに好適なものとされている。例えば、圧力導管73の断面は、搬送経路71の断面積より小さい断面積とされ、また、圧力導管73は、搬送経路71と圧力センサ54とを直線的に繋ぐように形成されている。圧力センサ54は、圧力導管73の圧力センサ54側における搬送エアACの圧力を測定することで、搬送経路71と搬送経路72との分岐の上流側における搬送経路71の搬送エアACの圧力を測定する。
以下、搬送経路71と搬送経路72との分岐の上流側における搬送経路71の搬送エアACの圧力を、分岐前搬送媒体圧力と称する。
イジェクタ52は、搬送経路81、作動エア導入部82、作動エア分配部83、エア噴出口84、および絞り部85を備える。搬送経路81は、イジェクタ52本体の内部に形成されている。搬送経路81は、搬送経路71の搬送方向の軸と同軸方向に伸びる空洞(中空筒状)とされている。例えば、搬送経路81は、搬送経路71の入口に直線状に伸びる空洞として形成されている。搬送経路81の出口の断面形状は、搬送経路71の入口の断面形状と同じに形成されている。このようにすることで、搬送エアACの流れの乱れおよび粉体塗料の付着を防止することができる。
作動エア導入部82には、作動エアAd1を導入するための配管が接続されて、作動エアAd1が供給される。作動エア導入部82に供給された作動エアAd1は、作動エア分配部83に送られる。作動エア分配部83は、搬送経路81と別に形成されている空洞であって、搬送経路81の搬送方向の軸上の点を中心として、搬送経路81の外側を1周する円環状に形成されている空洞である。
作動エア分配部83から、搬送経路81(搬送経路71)における搬送エアACおよび粉体塗料の搬送方向の軸に対して直角または鋭角をなす方向に、作動エアAd1を通すための管が形成されて、作動エアAd1を通すための管は、搬送経路81の壁面上にエア噴出口84として開口する。作動エアAd1を通すための管は、等間隔に複数形成され、複数のエア噴出口84は、それぞれ、搬送経路81の壁面上に等間隔に開口する。より詳細には、エア噴出口84は、搬送経路81の搬送方向の軸上の点を中心として、その軸に直交する円の周上に設けられている。
搬送経路81の途中には、絞り部85が設けられている。絞り部85において、搬送経路81は絞り込まれている。すなわち、搬送経路81の断面積は、入口から進むにつれて絞り部85まで、徐々に小さくなり、絞り部85から出口に進むにつれて、徐々に大きくなる。エア噴出口84は、絞り部85の近傍であって、搬送経路81の出口により近い位置に配置されている。
入口側から見て絞り部85を超えた位置に設けられたエア噴出口84から、搬送エアACおよび粉体塗料の搬送方向の軸に対して直角または鋭角をなす方向に、動作圧力Pdである作動エアAd1が搬送エアACとして噴出されると、絞られている絞り部85において、搬送エアACおよび粉体塗料の流速が上がり、イジェクタ52の入口側で搬送エアACに負圧が生じ、イジェクタ52の出口側で搬送エアACに正圧が生じることになる。この場合、搬送経路71の入口側で搬送エアACに、粉体塗料を搬送するのに必要な正圧が生じる。
また、エア噴出口84からシール圧力Psである作動エアAd1が搬送エアACとして噴出されると、エア噴出口84で搬送エアACに、逆流を防止するのに必要な正圧が生じる。
イジェクタ53は、搬送経路91、作動エア導入部92、作動エア分配部93、エア噴出口94、および絞り部95を備える。搬送経路91は、イジェクタ53本体の内部に形成されている。搬送経路91は、搬送経路72の搬送方向の軸と同軸方向に伸びる空洞(中空筒状)とされている。例えば、搬送経路91は、搬送経路72の出口から直線状に伸びる空洞として形成されている。搬送経路91の入口の断面形状は、搬送経路72の出口の断面形状と同じに形成されている。このようにすることで、搬送エアACの流れの乱れおよび粉体塗料の付着を防止することができる。
作動エア導入部92には、作動エアAd2を導入するための配管が接続されて、作動エアAd2が供給される。作動エア導入部92に供給された作動エアAd2は、作動エア分配部93に送られる。作動エア分配部93は、搬送経路91と別に形成されている空洞であって、搬送経路91の搬送方向の軸上の点を中心として、搬送経路91の外側を1周する円環状に形成されている空洞である。
作動エア分配部93から、搬送経路91(搬送経路72)における搬送エアACおよび粉体塗料の搬送方向の軸に対して直角または鋭角をなす方向に、作動エアAd2を通すための管が形成されて、作動エアAd2を通すための管は、搬送経路91の壁面上にエア噴出口94として開口する。作動エアAd2を通すための管は、等間隔に複数形成され、複数のエア噴出口94は、それぞれ、搬送経路91の壁面上に等間隔に開口する。より詳細には、エア噴出口94は、搬送経路91の搬送方向の軸上の点を中心として、その軸に直交する円の周上に設けられている。
搬送経路91の途中には、絞り部95が設けられている。絞り部95において、搬送経路91は絞り込まれている。すなわち、搬送経路91の断面積は、入口から進むにつれて絞り部95まで、徐々に小さくなり、絞り部95から出口に進むにつれて、徐々に大きくなる。エア噴出口94は、絞り部95の近傍であって、搬送経路91の出口により近い位置に配置されている。
入口側から見て絞り部95を超えた位置に設けられたエア噴出口94から、搬送エアACおよび粉体塗料の搬送方向の軸に対して直角または鋭角をなす方向に、動作圧力Pdである作動エアAd2が搬送エアACとして噴出されると、絞られている絞り部95において、搬送エアACおよび粉体塗料の流速が上がり、イジェクタ53の入口側で搬送エアACに負圧が生じ、搬送経路72の出口側で搬送エアACに負圧が生じることになる。この場合、イジェクタ53の出口側で搬送エアACに、粉体塗料を搬送するのに必要な正圧が生じる。
また、エア噴出口94からシール圧力Psである作動エアAd2が搬送エアACとして噴出されると、イジェクタ53の出口側で搬送エアACに、逆流を防止するのに必要な正圧が生じる。
このように、分岐ブロック51には、搬送エアACと共に粉体塗料が搬送される中空筒状の搬送経路71および搬送経路72が形成されている。この搬送経路72は、搬送経路71に対して15度から165度のいずれかの角度θで搬送経路71から分岐している。
イジェクタ52は、搬送経路71の入口に設けられ、搬送経路71の搬送方向の軸と同軸方向に搬送エアACと粉体塗料とを搬送する。イジェクタ52は、搬送経路71の出口から搬送エアACと粉体塗料とを搬出するとき、搬送経路71の入口側で搬送エアACに圧力を生じさせる。
イジェクタ53は、搬送経路72の出口に設けられ、搬送経路72の搬送方向の軸と同軸方向に搬送経路72から搬送エアACと粉体塗料とを搬送する。イジェクタ53は、搬送経路72の出口から搬送エアACと粉体塗料とを搬出するとき、搬送経路72の出口側で搬送エアACに圧力を生じさせる。
吐出部32は、搬送経路71の出口から搬出されてくる粉体塗料を吐出する。
次に、制御装置14の構成を説明する。図4は、制御装置14の構成を示すブロック図である。制御装置14は、コンピュータ101、電空変換部102、および高圧発生部103からなる。
コンピュータ101は、いわゆるシーケンサ(プログラマブルロジックコントローラ)などの専用の制御装置としてのコンピュータ、ファクトリコンピュータ、または汎用のパーソナルコンピュータなどであり、制御プログラムを実行することにより、供給装置12および粉体塗装ガン13を制御する。
電空変換部102は、電気信号により開度が制御されるエアバルブなどからなる。電空変換部102は、外部から供給されたエアを搬送エアAC、作動エアAd1または作動エアAd2に分流する。電空変換部102は、コンピュータ101から供給される電気信号に応じて、搬送エアAC、作動エアAd1および作動エアAd2の圧力および流量などを変える。
高圧発生部103は、いわゆるカスケード型高電圧発生装置であり、コンピュータ101から供給される電気信号に応じた直流の電圧である帯電印加電圧を生成する。
コンピュータ101は、CPU(Central Processing Unit)121,ROM(Read Only Memory)122,RAM(Random Access Memory)123、バス124、入出力インタフェース125、入力部126、出力部127、記憶部128、通信部129、およびドライブ130を備える。
コンピュータ101において、CPU121,ROM122,RAM123は、バス124により相互に接続されている。
バス124には、さらに、入出力インタフェース125が接続されている。入出力インタフェース125には、指示ボタンやスイッチ、ダイヤル、または粉体塗装ガン13若しくは被塗物の位置を示す信号を取得する入力基板などよりなる入力部126、ディスプレイ、スピーカ、2値または可変電圧/電流を出力する出力基板などよりなる出力部127、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部128、ネットワークインタフェースや機器制御通信インタフェースなどよりなる通信部129、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア131を駆動するドライブ130が接続されている。
より詳細には、入力部126は、圧力センサ54から供給される、搬送経路71と搬送経路72との分岐の上流側における搬送経路71の搬送エアACの圧力、すなわち分岐前搬送媒体圧力の値を示す圧力測定信号を取得する。また、出力部127は、電空変換部102に、搬送エアAC、作動エアAd1および作動エアAd2の圧力および流量などを制御するための電気信号を供給する。また、出力部127は、高圧発生部103に、帯電印加電圧のオン/オフおよび帯電印加電圧の電圧を指示する電気信号を供給する。
以上のように構成されるコンピュータ101では、CPU121が、例えば、記憶部128に記憶されている制御プログラムを、入出力インタフェース125及びバス124を介して、RAM123にロードして実行することにより、以下に説明する一連の処理が行われる。
コンピュータ101(CPU121)が実行する制御プログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア131に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
そして、制御プログラムは、リムーバブルメディア131をドライブ130に装着することにより、入出力インタフェース125を介して、記憶部128に記憶することで、コンピュータ101にインストールすることができる。また、制御プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部129で受信し、記憶部128に記憶することで、コンピュータ101にインストールすることができる。その他、制御プログラムは、ROM122や記憶部128にあらかじめ記憶しておくことで、コンピュータ101にあらかじめインストールしておくことができる。
次に、作動エアAd1および作動エアAd2の圧力の制御について説明する。図5は、制御装置14から粉体塗装ガン13に供給される作動エアAd1および作動エアAd2の圧力の変化を示すタイミングチャートである。図5において、横軸は、時間方向を示し、縦軸は、圧力を示す。
時刻t1までは、粉体塗装ガン13から粉体塗料を吐出する前なので、作動エアAd1は、シール圧力Psとされ、作動エアAd2は、動作圧力Pdとされる。このとき、供給装置12から粉体塗装ガン13に供給された搬送エアACおよび粉体塗料は、搬送経路72の出口側で生じた搬送エアACの負圧によって、分岐ブロック51の搬送経路72の出口側に流れて、戻り配管から供給タンク11に戻る。搬送エアACおよび粉体塗料は、分岐ブロック51の搬送経路71の出口側には流れないので、吐出部32から吐出されない。
時刻t1から時刻t2までの時間において、所定の吐出量の粉体塗料を粉体塗装ガン13から吐出するので、作動エアAd1は、動作圧力Pdc1とされ、作動エアAd2は、シール圧力Psとされる。このとき、供給装置12から粉体塗装ガン13に供給された搬送エアACおよび粉体塗料は、搬送経路71の入口側で生じた搬送エアACの正圧によって、分岐ブロック51の搬送経路71の出口側に流れて、吐出部32から吐出される。搬送エアACおよび粉体塗料は、分岐ブロック51の搬送経路72の出口側には流れないので、戻り配管に流れない。また、作動エアAd2が、シール圧力Psとされているので、戻り配管から粉体塗料が逆流することはない。
時刻t2から時刻t3までの時間において、粉体塗装ガン13から吐出を停止するので、作動エアAd1は、シール圧力Psとされ、作動エアAd2は、動作圧力Pdとされる。このとき、搬送エアACおよび粉体塗料は、供給タンク11に粉体塗料を戻すための戻り配管に流れ、吐出部32から吐出されない。
さらに、時刻t3から時刻t4までの時間において、作動エアAd1は、動作圧力Pdc2とされ、作動エアAd2は、シール圧力Psとされる。動作圧力Pdc2は、シール圧力Psより高く、動作圧力Pdc1よりも低い圧力である。このとき、搬送エアACおよび粉体塗料は、吐出部32から吐出され、戻り配管に流れない。
また、作動エアAd1の圧力を、動作圧力Pdc1よりも低い動作圧力Pdc2とすることで、時刻t1から時刻t2までの時間において吐出される吐出量に比較して、時刻t3から時刻t4までの時間において、より少ない吐出量の粉体塗料が吐出部32から吐出される。
粉体塗装ガン13からの吐出を終了した時刻t4以後において、作動エアAd1は、シール圧力Psとされ、作動エアAd2は、動作圧力Pdとされるので、搬送エアACおよび粉体塗料は、供給タンク11に粉体塗料を戻すための戻り配管に戻り、吐出部32から吐出されない。
このように、制御装置14は、イジェクタ52およびイジェクタ53に時間的に排他的に搬送エアACと粉体塗料とを搬送させるようにイジェクタ52およびイジェクタ53を制御する。また、制御装置14は、吐出部32から粉体塗料を吐出させる場合、イジェクタ52のエア噴出口84から噴出される作動エアAd1の圧力を変更する。
より詳細には、制御装置14は、吐出部32から粉体塗料を吐出させる場合、圧力センサ54で測定される圧力が、吐出する粉体塗料の吐出量に応じた所定の目標値となるように、イジェクタ52のエア噴出口84から噴出される作動エアAd1の圧力を変更する。
次に、吐出部32から吐出される粉体塗料の吐出量と、分岐前搬送媒体圧力と、イジェクタ52のエア噴出口84から噴出される搬送エアACの圧力との関係の特定について説明する。
図6および図7は、吐出部32からの粉体塗料の吐出量と、分岐前搬送媒体圧力と、イジェクタ52のエア噴出口84から噴出される搬送エアACの圧力との関係を特定し、その関係を示すデータを制御装置14に設定する定量供給設定手順を説明するフローチャートである。まず、定量供給設定手順の前段として、供給装置12に供給される搬送エアACの量および圧力は一定とされ、作動エアAd2は、シール圧力Psとされ、一定とされる。
ステップS11において、制御装置14は、イジェクタ52のエア噴出口84から噴出される作動エアAd1の圧力を0.05kg/cm2毎に段階的に変化させる。ステップS11において、塗装装置1を操作するユーザが、手動で、イジェクタ52のエア噴出口84から噴出される作動エアAd1の圧力を0.05kg/cm2毎に段階的に変化させるようにしてもよい。なお、ユーザには、塗装装置1のオペレーターや塗装装置1の保守管理を行う保守担当者、塗装装置1が設置されている塗装工程の作業者、塗装装置1を設置する工事の担当者などが含まれる。
ステップS12において、ユーザは、イジェクタ52のエア噴出口84から噴出される作動エアAd1の圧力のそれぞれにおいて、1分間または30秒間など所定の長さで、吐出部32から吐出される粉体塗料の吐出量を測定する。例えば、ユーザは、粉体塗装ガン13への帯電印加電圧を切った状態で、缶や箱、袋などの専用または汎用の容器を吐出部32にあてがうことによって、吐出部32から吐出される粉体塗料を回収し、回収された粉体塗料の質量を測定することで、単位時間当たりに吐出される粉体塗料の量である吐出量を測定する。
ステップS13において、制御装置14は、圧力センサ54から供給される圧力測定信号を読み取ることで、イジェクタ52のエア噴出口84から噴出される作動エアAd1の圧力のそれぞれでの粉体塗料の吐出量の測定時における、分岐前搬送媒体圧力である負圧を測定する。ステップS13において、ユーザが、圧力センサ54の表示を読み取ることにより、分岐前搬送媒体圧力である負圧を測定するようにしてもよい。
なお、ステップS11乃至ステップS13の手続きは、順に説明したが、実際には、並列的、すなわち同時に行われる。
ステップS11乃至ステップS13の手続きの後、ステップS14において、ユーザは、作動エアAd1の圧力と、粉体塗料の吐出量と、分岐前搬送媒体圧力である負圧との相関関係を示す相関関係図を作成する。すなわち、ステップS14において、所望の吐出量の粉体塗料が吐出部32から吐出されるときの、搬送経路71と搬送経路72との分岐の上流側における搬送経路71の搬送エアACの圧力およびイジェクタ52のエア噴出口84から噴出される搬送エアACの圧力が特定される。相関関係図は、作動エアAd1の圧力によって変わる搬送経路71の搬送エアACの負圧(圧力)の値と、搬送経路71の搬送エアACの負圧(圧力)によって変わる粉体塗料の吐出量とが把握できるものであればよい。例えば、相関関係図は、作動エアAd1の圧力と、粉体塗料の吐出量と、分岐前搬送媒体圧力である負圧との関係を1つの図で示すものであっても、作動エアAd1の圧力と、分岐前搬送媒体圧力である負圧との関係を示す図と、分岐前搬送媒体圧力である負圧と粉体塗料の吐出量との関係を示す図の2つの図からなるものであってもよい。また、例えば、相関関係図は、図表として表されたものでもよく、配列されたデータで表されたものでも、電子的なデータにより表されるものでもよい。
次の手順であるステップS15乃至ステップS26は、相関関係図に表された関係を実証する実証試験の手順である。ステップS15において、ユーザは、ステップS14で作成された相関関係図から、1分間当たりの吐出量である10g/min(グラム毎分)における、作動エアAd1の圧力および分岐前搬送媒体圧力である負圧を読み取る。
ステップS16において、ユーザは、実証試験として、制御装置14に対して、1分間当たりの吐出量である10g/minにおける、分岐前搬送媒体圧力である負圧を目標値に設定する。
ステップS17において、制御装置14は、ユーザからの操作によって、設定された負圧の目標値で作動エアAd1の圧力のPID(Proportional-Integral-Derivative)制御を開始する。すなわち、制御装置14は、圧力センサ54から供給される圧力測定信号で示される、分岐前搬送媒体圧力である負圧をフィードバックの値として、設定された目標値との偏差の値、その積分値、および微分値から、分岐前搬送媒体圧力である負圧が目標値となるように作動エアAd1の圧力を変更する。
ステップS18において、ユーザは、1分間または30秒間など所定の長さで、吐出部32から吐出される粉体塗料の吐出量を測定する。
ステップS19において、ユーザは、ステップS18において測定された吐出量が、ステップS15または後述するステップS22で所望する吐出量に対して所定の誤差の範囲であるか否かを判定する。例えば、1分間当たりの吐出量である10g/minに対する搬送エアACの負圧(圧力)が目標値とされている場合、ユーザは、ステップS18において測定された吐出量が10g/minの5%の誤差の範囲であるか否かを判定する。ステップS19において、測定された吐出量が所定の誤差の範囲でないと判定された場合、手続きはステップS20に進み、ユーザは、相関関係図における搬送エアACの負圧(圧力)および作動エアAd1の圧力を補正する。具体的には、例えば、ステップS19において、測定された吐出量が、ステップS15または後述するステップS22で所望する吐出量(例えば、10g/min)の誤差の範囲の上限より多いと判定された場合、ステップS20において、ユーザは、相関関係図における、粉体塗料の吐出量に対する搬送エアACの負圧(圧力)および作動エアAd1の圧力を低くする補正をする。また、例えば、ステップS19において、測定された吐出量が、ステップS15または後述するステップS22で所望する吐出量(例えば、10g/min)の誤差の範囲の下限より少ないと判定された場合、ステップS20において、ユーザは、相関関係図における、粉体塗料の吐出量に対する搬送エアACの負圧(圧力)および作動エアAd1の圧力を高くする補正をする。
ステップS20の後、手続きはステップS18に戻り、上述した処理が繰り返される。
ステップS19において、測定された吐出量が所定の誤差の範囲であると判定された場合、手続きはステップS21に進み、ユーザは、吐出量が120g/minまでの範囲について測定したか否かを判定する。ステップS21において、位時間当たりの吐出量が120g/minまでの範囲について測定していないと判定された場合、手続きはステップS22に進み、ユーザは、現在の目標値から1分間当たりの吐出量を5g増やした場合の作動エアAd1の圧力、および分岐前搬送媒体圧力である負圧を相関関係図から読み取る。
ステップS23において、ユーザは、実証試験として、現在の目標値から1分間当たりの吐出量を5g増やした場合の分岐前搬送媒体圧力である負圧を目標値に設定する。ステップS23の後、手続きはステップS17に戻り、上述した処理が繰り返される。
ステップS21において、位時間当たりの吐出量が120g/minまでの範囲について測定したと判定された場合、手続きはステップS24に進み、ユーザは、1分間当たりの吐出量として10g/minから120g/minまでの吐出量の範囲において、ステップS20の手続きで補正された分岐前搬送媒体圧力である負圧による、粉体塗料の吐出量を測定する。
ステップS25において、ユーザは、1分間当たりの吐出量として10g/minから120g/minまでの吐出量の範囲において、測定された粉体塗料の吐出量が所定の誤差の範囲であるか否かを判定する。例えば、ユーザは、1分間当たりの吐出量として10g/minから120g/minまでの吐出量の範囲において、ステップS24において測定された吐出量が、その負圧に対する吐出量の5%の誤差の範囲であるか否かを判定する。
ステップS25において、1分間当たりの吐出量として10g/minから120g/minまでの吐出量の範囲において、測定された粉体塗料の吐出量が所定の誤差の範囲でないと判定された場合、手続きはステップS26に進み、ユーザは、ステップS20と同様の手続きで、相関関係図における搬送エアACの負圧(圧力)および作動エアAd1の圧力を補正する。
ステップS26の後、手続きはステップS24に戻り、上述した処理が繰り返される。
ステップS25において、1分間当たりの吐出量として10g/minから120g/minまでの吐出量の範囲において、測定された粉体塗料の吐出量が所定の誤差の範囲であると判定された場合、粉体塗料の吐出量と、分岐前搬送媒体圧力である負圧と、作動エアAd1の圧力との対応が適正なので、手続きはステップS27に進み、ユーザは、粉体塗料の吐出量と、分岐前搬送媒体圧力である負圧と、作動エアAd1の圧力との対応が示される吐出量/エア圧データをコンピュータ101の記憶部128に記憶させて、定量供給設定手順は終了する。
このように、コンピュータ101の記憶部128には、粉体塗料の吐出量と、分岐前搬送媒体圧力である負圧と、作動エアAd1の圧力との対応が示される吐出量/エア圧データが記憶されることになる。
なお、吐出量/エア圧データにおいて、粉体塗料の吐出量および分岐前搬送媒体圧力である負圧に対応付けられた作動エアAd1の圧力は、塗布の制御の処理に含まれる定量供給の制御において、動作圧力Pdcとして用いられる。
以上のように、所望の吐出量の粉体塗料を吐出する条件を取得することができる。
塗装装置1は、粉体塗料を吐出するか、または粉体塗料を吐出しないで、供給タンク11に粉体塗料を戻すための戻り配管に流すかを切り換えると共に、粉体塗料を吐出する場合、コンピュータ101の記憶部128に記憶されている吐出量/エア圧データを参照して、定量供給の制御を行う。
図8は、制御プログラムを実行するコンピュータ101により行われる塗布の制御の処理を説明するフローチャートである。ステップS51において、コンピュータ101は、出力部127に、例えば、−50KVの帯電印加電圧の印加を指示する電気信号を出力させる。高圧発生部103は、コンピュータ101の出力部127からの電気信号による指示に応じて、−50KVの帯電印加電圧を印加する。
ステップS52において、コンピュータ101は、粉体塗料の吐出量の指示値を取得する。例えば、コンピュータ101は、現在の時刻と予め定められた時刻のシーケンスとから、または入力部126から取得された粉体塗装ガン13若しくは被塗物の現在位置を示す信号および予め定められた位置のシーケンスなどから、その時点での粉体塗料の吐出量の指示値を取得する。また、例えば、コンピュータ101は、粉体塗装ガン13を3次元的に変位させるレシプロケータや塗装ロボットの制御部から、その時点での粉体塗料の吐出量の指示値を取得する。また、例えば、コンピュータ101は、入力部126を介して、外部の機器から送信されてくる粉体塗料の吐出量の指示値を取得する。さらに、例えば、コンピュータ101は、指示ボタンやスイッチ、またはダイヤルなどの入力部126から、入力部126を操作するユーザから指示された粉体塗料の吐出量の指示値を取得する。
ステップS53において、コンピュータ101は、記憶部128に記憶されている吐出量/エア圧データから、指示された時間当たりの吐出量の粉体塗料が吐出させられる、分岐前搬送媒体圧力である負圧および作動エアAd1の圧力である動作圧力Pdcを抽出する。
ステップS54において、コンピュータ101は、ステップS53で抽出した負圧(圧力)をPID制御の目標値に設定する。ステップS55において、コンピュータ101は、シーケンス制御プログラムの割り込みや入力部126への外部の機器からの信号、またはユーザによる入力部126への操作などを参照して、吐出量を変更するか否かを判定する。
ステップS55において、吐出量を変更すると判定された場合、手続きはステップS56に進み、コンピュータ101は、ステップS52と同様に、粉体塗料の吐出量の新たな指示値を取得する。ステップS57において、コンピュータ101は、記憶部128に記憶されている吐出量/エア圧データから、新たに指示された時間当たりの吐出量の粉体塗料が吐出させられる、分岐前搬送媒体圧力である負圧および作動エアAd1の圧力である動作圧力Pdcを抽出する。
ステップS58において、コンピュータ101は、ステップS57で抽出した負圧(圧力)をPID制御の目標値に設定する。ステップS58の後、手続きはステップS59に進む。
ステップS55において、吐出量を変更しないと判定された場合、ステップS56乃至ステップS58の手続きはスキップされて、手続きはステップS59に進む。
ステップS59において、コンピュータ101は、現在の時刻と予め定められた時刻のシーケンスとから、若しくは入力部126から取得された粉体塗装ガン13若しくは被塗物の現在位置を示す信号および予め定められた位置のシーケンスから、またはレシプロケータや塗装ロボットの制御部の指示などから、吐出部32から粉体塗料を吐出するか否かを判定する。ステップS59において、吐出部32から粉体塗料を吐出すると判定された場合、手続きはステップS60に進み、出力部127に、作動エアAd2をシール圧力Psにさせる電気信号を出力させる。電空変換部102は、出力部127からの電気信号による指示に応じて、作動エアAd2をシール圧力Psにする。イジェクタ53は、シール圧力Psの作動エアAd2によって、搬送経路72の出口側で搬送エアACに負圧を生じさせる。
ステップS60の後、手続きはステップS61に進み、コンピュータ101は、設定された搬送経路71の搬送エアACの負圧(圧力)を目標値とするPID制御を開始して、作動エアAd1を、ステップS53またはステップS57で吐出量/エア圧データから抽出された動作圧力Pdcにさせる電気信号を出力部127に出力させる。電空変換部102は、出力部127からの電気信号による指示に応じて、作動エアAd1を動作圧力Pdcにする。イジェクタ52は、動作圧力Pdcの作動エアAd1によって、搬送経路71の出口側で搬送エアACに負圧を生じさせる。すなわち、ステップS61において、制御装置14は、圧力センサ54から供給される圧力測定信号で示される、分岐前搬送媒体圧力である負圧をフィードバックの値として、設定された目標値との偏差の値、その積分値、および微分値から、分岐前搬送媒体圧力である負圧が目標値となるように作動エアAd1の圧力を変更する。
これにより、供給装置12から供給された粉体塗料は、粉体塗装ガン13の吐出部32から吐出される。また、指示された吐出量の粉体塗料が粉体塗装ガン13から吐出される。
一方、ステップS59において、吐出部32から粉体塗料を吐出しないと判定された場合、手続きはステップS62に進み、コンピュータ101は、出力部127に、作動エアAd1をシール圧力Psにさせる電気信号を出力させる。電空変換部102は、出力部127からの電気信号による指示に応じて、作動エアAd1をシール圧力Psにする。イジェクタ52は、シール圧力Psの作動エアAd1によって、エア噴出口84で搬送エアACに、逆流を防止するのに必要な正圧を生じさせる。
ステップS62の後、手続きはステップS63に進み、コンピュータ101は、出力部127に、作動エアAd2を動作圧力Pdにさせる電気信号を出力させる。電空変換部102は、出力部127からの電気信号による指示に応じて、作動エアAd2を動作圧力Pdにする。イジェクタ53は、動作圧力Pdの作動エアAd2によって、搬送経路72の出口側で搬送エアACに負圧を生じさせる。
これにより、供給装置12から供給された粉体塗料は、戻り配管に流れて供給タンク11に戻り、吐出部32からは吐出されない。
ステップS61の後、およびステップS63の後、手続きはステップS55に戻り、上述した処理が繰り返される。
外部から塗布の停止が要求された場合、塗布の制御の処理は、割り込みにより停止する。
上述した一連の処理は、ソフトウエアにより実行することもできるし、ハードウエアにより実行することもできる。
なお、コンピュータ101が実行する制御プログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
このように、粉体塗料をより確実に吐出し、また粉体塗料の吐出をより確実に停止することができる。また、詰まりをより少なくしつつ、所望の吐出量の粉体塗料をより確実に吐出し、また粉体塗料の吐出をより確実に停止できる。さらに、所望の吐出量の粉体塗料を吐出する条件を取得することができる。
なお、イジェクタ52を搬送経路71の入口に設けると説明したが、イジェクタ52を搬送経路71の出口に設けるようにしてもよい。この場合、イジェクタ52は、搬送経路71の出口と吐出部32との間に設けられる。また、イジェクタ52が搬送エアACおよび粉体塗料を吐出部32に向かって搬送すると説明したが、イジェクタ53の出口側に吐出部32を設けて、イジェクタ53が搬送エアACおよび粉体塗料を吐出部32に向かって搬送するようにしてもよい。この場合、イジェクタ52を、搬送経路71の入口または搬送経路71の出口のいずれか一方に設けることができる。
さらに、粉体塗料を格納する回収タンクを供給タンク11とは別に設けて、吐出されないでイジェクタ53から戻り配管に流れた粉体塗料を回収タンクに送るようにしてもよい。
また、イジェクタ52およびイジェクタ53には、それぞれ、搬送媒体である作動エアAd1または作動エアAd2を噴出するエア噴出口84またはエア噴出口94に代えて、作動エアAd1または作動エアAd2を噴出するスリットを設けるようにしてもよい。
なお、分岐ブロック51、イジェクタ52、およびイジェクタ53を一体に形成するようにしてもよい。さらに、分岐ブロック51、イジェクタ52、イジェクタ53、および吐出部32を一体に形成するようにしてもよい。
搬送経路71および搬送経路72は、直線状に限らず、曲線状に形成し、婉曲していてもよい。また、搬送経路71および搬送経路72を板状の部材で囲って形成するようにしてもよい。
搬送経路71の断面および搬送経路72の断面は、それぞれ、円に限らず、矩形または多角形とすることができる。搬送経路72の断面形状は、搬送経路71の断面形状と同じであると説明したが、異なっていても良い。搬送経路72の断面の面積は、搬送経路71の断面の面積と同じであっても、異なっていても良い。
なお、吐出量/エア圧データにおいて、分岐前搬送媒体圧力である負圧および作動エアAd1の圧力に対して、圧力の低い範囲および高い範囲で所定の値の補正係数を乗じて値を補正するようにしてもよい。例えば、圧力が低い範囲では0.7の値の補正係数を乗じ、圧力が高い範囲では1.2である値の補正係数を乗じるようにすることができる。
以上のように、分岐ブロック51には、搬送エアACと共に粉体塗料が搬送される中空筒状の搬送経路71、および搬送エアACと粉体塗料とが搬送される中空筒状の搬送経路72であって、搬送経路71に対して15度から165度のいずれかの角度で搬送経路71から分岐している搬送経路72が形成されている。
イジェクタ52は、搬送経路71の入口または出口のいずれか一方に設けられ、搬送経路71の出口から搬送エアACと粉体塗料とを搬出するとき、搬送される搬送エアACおよび粉体塗料が通る中空筒状の壁面に設けられている穴であるエア噴出口84から、搬送エアACおよび粉体塗料の搬送方向の軸に対して直角または鋭角に搬送エアACを噴出し、搬送経路71の搬送方向の軸と同軸方向に搬送エアACと粉体塗料とを搬送する。
また、イジェクタ52は、搬送経路71の入口または出口のいずれか一方に設けられ、イジェクタ52には、搬送される搬送エアACおよび粉体塗料が通る中空筒状の壁面に、搬送エアACおよび粉体塗料の搬送方向の軸に対して直角または鋭角をなす方向に搬送エアACを噴出するエア噴出口84が形成されている。
イジェクタ53は、搬送経路72の出口に設けられ、搬送経路72の出口から搬送エアACと粉体塗料とを搬出するとき、搬送される搬送エアACおよび粉体塗料が通る中空筒状の壁面に設けられている穴であるエア噴出口94から、搬送エアACおよび粉体塗料の搬送方向の軸に対して直角または鋭角に搬送エアACを噴出し、搬送経路72の搬送方向の軸と同軸方向に搬送エアACと粉体塗料とを搬送する。
また、イジェクタ53は、搬送経路72の出口に設けられ、イジェクタ53には、搬送される搬送エアACおよび粉体塗料が通る中空筒状の壁面に、搬送エアACおよび粉体塗料の搬送方向の軸に対して直角または鋭角をなす方向に搬送エアACを噴出するエア噴出口94が形成されている。
吐出部32は、搬送経路71の出口から搬出されてくる粉体塗料を吐出する。圧力センサ54は、搬送経路71と搬送経路72との分岐の上流側における搬送経路71の搬送エアACの圧力を測定する。
制御装置14は、イジェクタ52およびイジェクタ53のそれぞれのエア噴出口84またはエア噴出口94から噴出される搬送エアACの圧力を変更することで、時間的に排他的に吐出部32から粉体塗料を吐出させるかまたは搬送経路72の出口から搬送エアACと粉体塗料とを搬出させるようにイジェクタ52およびイジェクタ53を制御する。また、制御装置14は、吐出部32から粉体塗料を吐出させる場合、圧力センサ54で測定される圧力が所定の目標値となるように、イジェクタ52のエア噴出口84から噴出される搬送エアACの圧力を変更する。
このようにすることで、粉体塗料が搬送される搬送経路を機械的に開閉する機構を設けることなく粉体塗料を分流でき、また、分岐の上流側の圧力を、粉体塗料の吐出量に応じた値にすることができるので、詰まりをより少なくしつつ、所望の吐出量の粉体塗料をより確実に吐出し、また粉体塗料の吐出をより確実に停止できる。
分岐ブロック51に形成されている搬送経路72を、搬送経路71に対して90度から150度のいずれかの角度で搬送経路71から分岐させることができる。この場合、粉体塗料をさらに確実に吐出し、また粉体塗料の吐出をさらに確実に停止できる。また、所望の吐出量の粉体塗料を、より安定して、より確実に吐出することができる。
搬送経路72の出口から搬出されてくる粉体塗料を格納する供給タンク11をさらに設けることができる。粉体塗料の吐出を停止したときに、粉体塗料の搬送を止める必要がないので、搬送経路の詰まりをより確実に防止することができ、また、これまで捨てていた粉体塗料を回収することができる。
搬送経路72の断面形状を、搬送経路71の断面形状と同じとすることができる。粉体塗料の吐出と、吐出の停止とを繰り返した場合でも、搬送経路72および搬送経路71における搬送エアACの気流の乱れをより少なくすることができるので、粉体塗料による詰まりをより確実に防止することができる。
制御装置14は、吐出部32から粉体塗料を吐出させるとき、イジェクタ52のエア噴出口84から搬送エアACを噴出させて、搬送経路71の出口から吐出部32に搬送エアACと粉体塗料とを搬出させると共に、圧力センサ54で測定される圧力が所定の目標値となるように、イジェクタ52のエア噴出口84から噴出される搬送エアACの圧力を変更し、吐出部32から粉体塗料を吐出しないとき、イジェクタ53のエア噴出口94から搬送エアACを噴出させて、搬送経路72の出口から搬送エアACと粉体塗料とを搬出させる。このようにすることで、分岐の上流側の圧力を、粉体塗料の吐出量に応じた値にすることができるので、所望の吐出量の粉体塗料をより確実に吐出し、また粉体塗料の吐出をより確実に停止できる。
コンピュータ101が実行する制御プログラムは、コンピュータ101に、吐出部32から粉体塗料を吐出させるとき、イジェクタ52のエア噴出口84から搬送エアACを噴出させて、搬送経路71の出口から吐出部32に搬送エアACと粉体塗料とを搬出させると共に、圧力センサ54で測定される圧力が所定の目標値となるように、イジェクタ52のエア噴出口84から噴出される搬送エアACの圧力を変更させ、吐出部32から粉体塗料を吐出しないとき、イジェクタ53のエア噴出口94から搬送エアACを噴出させて、搬送経路72の出口から搬送エアACと粉体塗料とを搬出させるステップを含む処理を行わせる。このようにすることで、分岐の上流側の圧力を、粉体塗料の吐出量に応じた値にすることができるので、所望の吐出量の粉体塗料をより確実に吐出し、また粉体塗料の吐出をより確実に停止できる。
塗装装置1の吐出特性を測定する方法は、イジェクタ53のエア噴出口94から噴出される搬送エアACの圧力を一定としつつ、イジェクタ52のエア噴出口84から噴出される搬送エアACの圧力を変化させ、イジェクタ52のエア噴出口84から噴出される搬送エアACの圧力のそれぞれにおける、吐出部32から吐出される粉体塗料の吐出量を測定し、イジェクタ52のエア噴出口84から噴出される搬送エアACの圧力のそれぞれにおいて、圧力センサ54によって、搬送経路71と搬送経路72との分岐の上流側における搬送経路71の搬送エアACの圧力を測定し、所望の吐出量の粉体塗料が吐出部32から吐出されるときの、搬送経路71と搬送経路72との分岐の上流側における搬送経路71の搬送エアACの圧力およびイジェクタ52のエア噴出口84から噴出される搬送エアACの圧力を特定するステップを含む。
また、塗装装置1には、搬送エアACと共に粉体塗料が搬送される中空筒状の搬送経路71、および搬送エアACと粉体塗料とが搬送される中空筒状の搬送経路72であって、搬送経路71に対して15度から165度のいずれかの角度で搬送経路71から分岐している搬送経路72が形成されている分岐ブロック51と、搬送経路71の入口に設けられ、搬送経路71の出口から搬送エアACと粉体塗料とを搬出するとき、搬送経路71の入口側で搬送エアACに圧力を生じさせて、搬送経路71の搬送方向の軸と同軸方向に搬送エアACと粉体塗料とを搬送するイジェクタ52と、搬送経路72の出口に設けられ、搬送経路72の出口から搬送エアACと粉体塗料とを搬出するとき、搬送経路72の出口側で搬送エアACに圧力を生じさせて、搬送経路72の搬送方向の軸と同軸方向に搬送エアACと粉体塗料とを搬送するイジェクタ53と、搬送経路71の出口または搬送経路72の出口のいずれか一方から搬出される粉体塗料を吐出する吐出部32と、イジェクタ52およびイジェクタ53に時間的に排他的に搬送エアACと粉体塗料とを搬送させるようにイジェクタ52およびイジェクタ53を制御する制御装置14とが設けられている。
イジェクタ52は、搬送経路71の入口に設けられ、搬送経路71の搬送方向の軸と同軸方向に搬送エアACと粉体塗料とを搬送する。イジェクタ53は、搬送経路72の出口に設けられ、搬送経路72の搬送方向の軸と同軸方向に搬送エアACと粉体塗料とを搬送する。
塗装装置1における制御方法は、吐出部32から粉体塗料を吐出するとき、吐出部32に粉体塗料を搬送するイジェクタ52またはイジェクタ53のうちのいずれか一方に、搬送経路71または搬送経路72の搬送エアACに圧力を生じさせて、搬送経路71の出口または搬送経路72の出口のうちのいずれか一方から搬送エアACと粉体塗料とを搬出させ、吐出部32から粉体塗料を吐出しないとき、イジェクタ52またはイジェクタ53のうちの他方に、搬送経路71または搬送経路72の搬送エアACに圧力を生じさせて、搬送経路71の出口または搬送経路72の出口のうちの他方から搬送エアACと粉体塗料とを搬出させるステップを含む。
さらに、コンピュータ101が実行する制御プログラムは、コンピュータ101に、吐出部32から粉体塗料を吐出するとき、吐出部32に粉体塗料を搬送するイジェクタ52またはイジェクタ53のうちのいずれか一方に、搬送経路71または搬送経路72の搬送エアACに圧力を生じさせて、搬送経路71の出口または搬送経路72の出口のうちのいずれか一方から搬送エアACと粉体塗料とを搬出させ、吐出部32から粉体塗料を吐出しないとき、イジェクタ52またはイジェクタ53のうちの他方に、搬送経路71または搬送経路72の搬送エアACに圧力を生じさせて、搬送経路71の出口または搬送経路72の出口のうちの他方から搬送エアACと粉体塗料とを搬出させるステップを含む処理を行わせる。
このようにすることで、詰まりをより少なくしつつ、粉体塗料をより確実に吐出し、また粉体塗料の吐出をより確実に停止できることができる。
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。