JP6370701B2 - 土壌腐食性評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、土壌腐食性評価方法に関するものである。
近年、上水道等に用いられている金属製の水道管において、腐食が原因と考えられる本管の漏水事故が頻繁に発生している。このような漏水事故は、昭和40年代の高度経済成長期に敷設した多くの配水管が耐用期間を迎え、老朽管路延長が急激に増加していることが原因であると考えられる。
そのため、土壌中に埋設されている金属製の水道管の耐用期間をより客観的な指標をもって診断することが重要になっており、これまでに種々の診断方法が提案されている。
これらの提案としては、例えば、埋設されている土壌環境に注目して鋼製地中埋設物の腐食診断を行うことが提案されている(例えば、特許文献1を参照)、しかしながら、この提案では、土壌環境と鋼製地中埋設物の腐食との関係は必ずしも明瞭ではなく、客観的な鋼製地中埋設物の耐用期間を判断することは困難であった。
なお、この点に関しては、埋設金属製水道管の腐食評価として一般的に行われている土壌腐食性についてのANSI(米国規格協会規格)に基づく評価においても同様である。
また、上記金属製の水道管の他、金属製のガス管等の配管や金属製のタンク類等の埋設金属製構造物についても同様の問題がある。
特開2003−262580号公報
このような埋設金属製構造物の腐食現象は、単に地質の性質のみによって一義的に定まるものでなく、腐食環境の履歴、水分の分布、設置構造等、多様な要因に左右されると考えられる。しかも、土壌調査では、埋設金属製構造物の周囲を実際に掘削して土壌の状態を調べる必要があることから、多大な費用と労力が必要となる。そして、従来の方法では、埋設金属製構造物の外面腐食速度に重大な影響を与える土壌環境の不均一性についての評価はなしえず、妥当性を欠くものであった。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、より簡便な方法により、少ない費用と労力の負担で、埋設土壌の電気化学的性質のみから正確な埋設金属製構造物の耐用期間を推測する土壌腐食性評価方法を提供することを課題としている。
即ち、本発明の土壌腐食性評価方法は以下のことを特徴としている。
第1に、土壌に埋設された埋設金属製構造物に対する埋設土壌の腐食性を推測する土壌腐食性評価方法であって、予め、埋設金属製構造物について腐食深さを測定し、前記埋設金属製構造物の腐食深さと埋設期間から前記埋設金属製構造物の外面腐食速度を算出してデータを取得し、埋設金属製構造物の外面腐食速度を測定した場所の土壌に対して、クロノポテンシオメトリー法による測定から得られる波形データを取得し、その波形データから、
(b)電流印加直後の電位 b(mV)
(c)通電停止直前の電位 c(mV)
(d)通電停止直後の電位 d(mV)
を下記式(1)に代入して得られる数値Aを取得し、外面腐食速度のデータと、数値Aとの相関関係を求めておき、埋設金属製構造物の土壌に対して、クロノポテンシオメトリー法による測定から得られる波形データを下記式(1)に代入して得られる数値Aから、相関関係に基づいて土壌中に埋設された埋設金属製構造物の外面腐食速度を求め、その埋設金属製構造物の耐用期間を推測することを特徴とする土壌腐食性評価方法である。
第2に、前記第1の発明の土壌腐食性評価方法において、埋設金属製構造物が鋳鉄製構造物であることが好ましい。
第3に、前記第1又は第2の発明の土壌腐食性評価方法において、クロノポテンシオメトリー法による測定に用いる測定部材が、作用極、対極及び参照極から構成され、前記作用極の材質が、白金メッキチタン、白金のいずれか、対極の材質が、ステンレス鋼、グラファイト、白金、白金メッキチタンのいずれか、参照極が、銀塩化銀電極、銅硫酸銅電極、銅極、亜鉛極のいずれかであることが好ましい。
第4に、前記第3の発明の土壌腐食性評価方法において、クロノポテンシオメトリー法による測定に用いる測定部材が、円錐状に形成された作用極と、中空のパイプ状の対極、参照極を長手方向に、絶縁体を挟んで一体とした棒状であり、各極に接続された配線が中空を通して取出し可能に設けられていることが好ましい。
本発明の土壌腐食性評価方法によれば、より簡便な方法により、少ない費用と労力の負担で、埋設土壌の電気化学的性質のみから正確な埋設金属製構造物の耐用期間を推測する土壌腐食性評価方法を提供することができる。
水道管の外面腐食速度及びクロノポテンシオメトリー法による測定で得られた波形データからこれらの相関関係を作成するまでの工程を示すフロー図である。 水道管の掘削状態を示した概要図であり、(A)は概略平面図、(B)は概略断面図である。 水道管の腐食深さの測定部位を示した概略断面図である。 水道管の腐食深さの測定装置を示した概略図である。 クロノポテンシオメトリー法による測定装置の構成を示した概略図である。 検査部材の実施形態を示した概略図であり(A)は概略平面図、(B)は概略断面図である。 水道管周りの土壌検体の採取場所を示した概略図である。 クロノポテンシオメトリー法により測定して得られる一般的な波形データである。 調査地点No.1〜4においてクロノポテンシオメトリー法により測定して得られた波形データである。 水道管の外面腐食速度と、クロノポテンシオメトリー法により測定して得られた波形データから得た数値Aの相関関係を示すグラフである。 調査地点No.5においてクロノポテンシオメトリー法により測定して得られた波形データである。 水道管の外面腐食速度と、数値Aの相関関係に、調査地点No.5のデータを当てはめたグラフである。
本発明は、土壌に埋設された埋設金属製構造物に対する埋設土壌の腐食性を推測する土壌腐食性評価方法であって、予め、埋設金属製構造物について測定した外面腐食速度のデータを取得し、次いでその場所の土壌に対して、クロノポテンシオメトリー法による測定から得られる数値を求め、外面腐食速度のデータと、数値との相関関係を求めておき、
埋設金属製構造物の土壌に対して、クロノポテンシオメトリー法による測定から得られる数値から、予め求めた相関関係に基づいて土壌中に埋設された埋設金属製構造物の外面腐食速度を求めて、その埋設金属製構造物の耐用期間を推測する土壌腐食性評価方法である。
なお、本発明の土壌腐食性評価方法は、一般的に地中に埋設されている金属製の構造物であれば適用が可能であり、具体的には、例えば、鋼、鋳鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、およびこれを含む合金、塗布層を有するこれらの金属又は合金等からなる埋設金属製構造物に対して適用が可能である。これらの中でも、特に、鋳鉄製構造物が好適な評価対象として挙げられる。
本発明の土壌腐食性評価方法では、まず、複数の箇所の埋設金属製構造物の外面腐食速度と、この埋設金属製構造物が埋設されている土壌の電気化学的特性を測定してその相関関係を取得する。
以下、図1に示すフロー図に沿って説明するが、本実施形態では、埋設金属製構造物を鋳鉄製埋設水道管として説明する。
<水道管の掘削・露出>
水道管の掘削、露出は、水道管の腐食調査が行えれば、掘削の時期や掘削形態は特に制限はないが、例えば、図2に示すような、水道管調査区画13と検査部材埋設区画14の2段深さの掘削を行うことで、後述する検査部材による土壌調査と水道管2の腐食調査を同時に行うことができる。
<水道管の腐食調査>
水道管2の腐食調査は、まず、露出させた水道管2をワイヤブラシ、電動ブラシ、カップブラシ付きグラインダー、テストハンマー等を用いて、表面の土、さび及びこれらの混合物等の水道管2の付着物を除去する。
水道管2の腐食部位の腐食深さの測定箇所は、図3に示すように、水道管2の断面を、管上(A)、管横/左(B)、管横/右(C)、管下(D)の4つの調査範囲に区分して、それぞれの調査範囲の腐食深さを測定するのが好ましい。また、上記調査範囲においては、より正確なデータを得るために、可能な限り多くの箇所で腐食深さを測定するのが好ましい。
腐食深さの測定は、まず目視で腐食の状況を判断し、腐食が認められる場所の腐食深さを図4(A)に示すようなデプスゲージ70や、図4(B)に示すような超音波厚み計71等を用いて測定する。なお、腐食の状況として局所的に腐食が生じている場所には、デプスゲージ70を用い、全面的な減肉の腐食が生じている場所には、超音波厚み計71を用いる等、水道管2の腐食状況に応じた測定方法を適宜選択して、可能な限り正確に測定するのが好ましい。
<水道管の外面腐食速度の算出>
水道管の外面腐食速度の算出においては、上記の腐食調査で得られた腐食深さの結果のうち、最大腐食深さのデータを採用するものとする。これは、水道管2の最も腐食の進んでいる箇所を基準として外面腐食速度を求めて、水道管2の最短の耐用期間を求めることにより、水道管の腐食について最も安全性の高い推測値を得るためである。水道管2の外面腐食速度は、上記の最大腐食深さを埋設期間で除すことにより算出することができる。
上記の各工程により算出する水道管2の外面腐食速度は、可能な限り多数の埋設地点で水道管2の腐食調査を行い、各調査地点に埋設されている水道管2の最大腐食深さのデータを収集し、蓄積しておくことが望ましい。収集した多数のデータを用いることにより、最終的により精度の高い土壌腐食性評価が可能となる。
次に、検査部材を用いた土壌のクロノポテンシオメトリー法による測定について詳述する。
<検査部材の準備>
本発明で行うクロノポテンシオメトリー法は、電流規制法による電気化学測定法であり、外部から任意に規制した電流を作用電極と対極との間に印加し、作用電極と参照極との間の電位差の時間変化を測定する手法であって、JIS K 0213:2014で定義されている方法である。
図5に、クロノポテンシオメトリー法による測定装置の構成を示す。本発明のクロノポテンシオメトリー法で用いる検査部材は、図5に示すように、作用極51、対極52及び参照極53から構成されている。作用極51の材質としては、白金メッキチタン、白金等を用いることができ、これらの中でも白金メッキチタンを好適に用いることができる。
対極52の材質としては、ステンレス鋼、不溶性電極に用いられる材質等を用いることができる。不溶性電極に用いられる材質とは、具体的には、黒鉛等のグラファイト、白金、白金メッキチタン、酸化ルテニウム系チタン、酸化イリジウム等を挙げることができる。これらの中でも特にステンレス鋼を好適に用いることができる。参照極53の材質としては、銀塩化銀電極、銅硫酸銅電極等の一般的な参照極もしくは、銅、亜鉛等の金属単体等を用いることができ、これらの中でも銀塩化銀電極を好適に用いることができる。
クロノポテンシオメトリー法の測定においては、前記3つの各電極をポテンシオスタット61に接続し、さらに、このポテンシオスタット61にサンプリングレコーダー62及び図示しないパソコン等を接続して、測定したデータを記録することにより、電流印加のオン/オフのタイミングと、これに合わせた土壌を介した電極間の電流値の変化を正確に記録及び観測することができる。
<検査部材の埋設>
本発明で行う検査部材を用いた電気化学的測定は、上記水道管2の腐食調査を行った地点の土壌について行う。
検査土壌への検査部材の埋設条件は、各調査地点で行う埋設条件を同一にすれば制限されるものではないが、通常、作用極と参照極との離隔を1〜10cm、作用極と対極との離隔を5〜50cmとすることができる。
なお、本発明のクロノポテンシオメトリー法の測定で用いる、作用極51、対極52及び参照極53から構成される検査部材は、図6(A)に示す実施形態のような棒状の検査部材とすることができる。この実施形態の検査部材では、円錐状に形成された作用極51と、中空のパイプ状に形成された対極52、参照極53を長手方向に、絶縁体54を挟んで一体とした棒状の構成となっている。
絶縁体54の材質としては特に制限はないが、例えば、エンジニアリングプラスチック等を挙げることができ、中でも、強度、加工性等の観点からPEEK樹脂(Poly Ether Ether Ketone:ポリエーテルエーテルケトン樹脂)を好適に用いることができる。また、作用極51、対極52及び参照極53には、図6(B)に示すように、それぞれ配線55の一端が取り付けられ、配線55の他端は、中空部分を通して外部に取出し可能となっている。測定時にはそれぞれの配線55をポテンシオスタット61に接続する。
このような一体型の棒状の構成とした検査部材を用いて、各電極を調査地点に埋設することにより、それぞれの電極の間隔を常時一定に保つことができ、より正確なデータ収集を可能とすることができる。また、検査部材の埋設は、水道管2が埋設されている近傍の土壌に打ち込むだけで完了するため、簡便に短時間での埋設が可能となる。
本発明で行う検査部材を用いたクロノポテンシオメトリー法による測定は、通常、水道管2が埋設されている環境における土壌について行うため、図2に示すような、水道管調査区画13と検査部材埋設区画14の2段深さの掘削を行った現地で実施することが望ましいが、調査土壌の電気化学的特性を保持できる場合には、調査場所の土壌を採取して実験室等で行うこともできる。
この場合の土壌の採取については、図7に示す、水道管の管上、管横、管下及び地山等の水道管周囲の土壌を採取するのが望ましい。これにより、水道管周囲の一部の土壌の偏った特性データとなることを防止することができる。
<測定>
測定条件として、電極間に印加する電流値は、測定に際して特定した電流値であれば特に限定されるものではないが、通常0.1〜5mA/cm、好ましくは0.5mA/cm程度のカソード電流とするのが好ましい。また、電流印加のオンのタイミングは電位が安定してから1〜10分、好ましくは2分、電流印加のオフのタイミングは電流を印加してから1〜10分、好ましくは3分とするのが望ましい。
上記の条件の電流をポテンシオスタット61により印加し、その測定データをサンプリングレコーダー62を介してパソコン等に記録する。
<波形データの解析>
次に、上記の土壌に対するクロノポテンシオメトリー法による測定結果の波形データを解析する。
クロノポテンシオメトリー法による測定結果の波形データは、通常、図8に示すような波形を示す。この波形は、横軸を時間(目盛間隔30秒)、縦軸を電位(目盛間隔0.2V)で示している。
本発明では、この波形データから測定ポイントとして以下の(a)〜(e)の各ポイントの電位の値を読み取る。
(a)電流印加直前の電位 a(mV)
(b)電流印加直後の電位 b(mV)
(c)通電停止直前の電位 c(mV)
(d)通電停止直後の電位 d(mV)
(e)通電停止から所定時間経過後の電位 e(mV)
さらに本発明では、上記の各測定ポイント(a)〜(e)で読み取った電位を算術的に組み合わせて新しい指標を定義する。このように、波形からは多くの情報を得ることができるが、本発明では、特に以下の算術により得られる数値に着目して、これらの数値を記録する。なお、右括弧内は左の算術によって求められる数値の意味を表す。
(a)−(b)(IR降下)
(b)−(c)(分極量)
(c)−(d)(IR降下)
(a)−(e)(分極した後、分極前の電位に戻るかどうかを表す数値)
さらに、本発明では、上記算術により得られる数値を組み合わせた下記式(1)を導き出し、水道管の外面腐食速度との相関関係を有する数値Aを見出した。
<水道管の外面腐食速度と、波形データから得られた数値との相関関係グラフの作成>
次に、水道管の腐食調査から得られた外面腐食速度と、波形データから得られた電位の数値Aを算術的に組み合わせて得た新しい指標から、相関関係のグラフを作成する。
図10に、縦軸に複数の調査地点の水道管の外面腐食速度、横軸に対応する調査地点でクロノポテンシオメトリー法により測定して得られた波形データから算術して得た数値Aをプロットしたグラフを示す。
このグラフから明らかなように、水道管の外面腐食速度と、波形データから得られた数値Aとは直線関係の相関関係が導き出せる。
本発明により得られる相関関係は、測定地点の数を多くすることにより、より精度を上げることができるため、可能な限り種々の条件の土壌環境に埋設されている水道管の外面腐食速度及び、同地点における土壌の電気化学的データを収集することが望ましい。
本発明では、予めこの相関関係のグラフを得ることにより、検査を行う土壌のクロノポテンシオメトリー法による波形データから数値Aを得て、相関関係のグラフ上にその波形データから算出して得られた数値を当てはめることで、水道管2の外面の腐食状況を実際に観測することなく、水道管2の外面腐食速度を推定することが可能になる。そして、推定した外面腐食速度と埋設期間から水道管2の耐用期間を推測することができる。
すなわち、厚みが10mmの水道管2において、例えば、推定した外面腐食速度が0.1mm/年である場合、水道管2の厚みの60%(6mm)までの腐食を許容する場合には埋設から60年後を耐用期間の目安として推測することができる。
以上、本発明を一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、水道管2について耐用期間の推測を行ったが、水道管に限らず、他の金属製の埋設構造物、例えば、金属製のガス管等の配管や、金属製のタンク類等についても耐用期間の推測をすることが可能である。
また、上記実施形態では、波形データから得られた(b)〜(d)の電位の数値を算術的に組み合わせた式(1)を示して説明したが、公式はこれに限定されるものではなく、種々の組合せから相関関係を有する公式を選択的に用いることができる。
また、上記実施形態では、クロノポテンシオメトリー法による波形データを用いた耐用期間の推測方法を説明したが、他の電気化学的測定方法、例えば、クロノアンペロメトリー法等による波形データを用いて耐用期間の推測を行うことも可能である。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
下記表1に示す調査地点(No.1〜4)に埋設されている水道管について、水道管の外面腐食速度と、土壌に対するクロノポテンシオメトリー法の測定による波形データを以下に示す手順に従って得た。
<水道管の外面腐食調査>
1.舗装切断、舗装取り壊し、土壌掘削工事
各調査地点において、図2に示す2段区画となるように土壌掘削工事を行った。
2.水道管の腐食深さ測定
掘削して露出させた水道管の表面の土、さび、及びこれらの混合物の付着物を除去した。次に、局所的に腐食が生じている場所は、図4(A)に示すデプスゲージ70を用い、全面的に減肉の腐食が生じている場所は、図4(B)に示す超音波厚み計71を用いて水道管の腐食深さを測定した。測定場所は、図3に示す水道管断面の管上(A)、管横/左(B)、管横/右(C)、管下(D)について測定し、障害物があった場合は測定不能とした。
3.水道管の外面腐食速度の算出
水道管の腐食深さ測定で得られた結果のうち、最大腐食深さのデータを採用し、最大腐食深さを埋設期間で除して水道管の最大外面腐食速度を算出した。水道管の最大腐食深さ、埋設期間及び最大外面腐食速度の結果を表2に示す。
4.クロノポテンシオメトリー法による測定
(1)検査部材の準備
検査部材は、作用極を白金メッキチタン、対極をステンレス鋼、参照極を銀塩化銀電極のものを用いた。この検査部材は、事前にエタノールによる十分な脱脂を施し、表面を清浄した。
(2)測定
上記の検査部材を図2に示す2段区画の埋設水道管2近傍の土壌中に設置して、クロノポテンシオメトリー法による測定を行った。作用極51と参照極53との離隔は約10cm、作用極51と対極52との離隔は約30cmとした。電流の印加にはポテンシオスタットを用い、印加するステップ電流は2mAのカソード電流とした。電位の時間変化は高速サンプリングレコーダーで測定記録し、データをPCに取り込んだ。
5.波形データの解析
クロノポテンシオメトリー法で測定した各調査地点(No.1〜4)の波形データを図9に示す。図9の横軸は時間で1目盛りが30秒、縦軸は電位(V,銀塩化銀電極)で1目盛りが0.2Vである。これらの波形データにおける、図8に示した測定ポイント(a)〜(e)について各電位を読み取った。読み取った電位の数値を表3に示す。
次に、上記の(a)〜(e)の数値のうち(b)〜(d)を下記式(1)に代入して数値Aを求めた。
その結果を最大腐食速度と合わせて表4に示す。
6.水道管の外面腐食速度と、波形データから得られた数値との相関関係グラフの作成
次に、縦軸に表2に示す調査地点の水道管の外面腐食速度、横軸に表4に示す調査地点でクロノポテンシオメトリー法により測定して得られた波形データの観測ポイントから算術して得た数値Aをプロットしてグラフを作成した。そのグラフを図10に示す。
実施例で得られた図10に示すグラフから、水道管の外面腐食速度と、波形データから得られた数値Aとの相関関係が得られた。
(比較例1)
表1に示した各調査地点について、図7に示す水道管周りの管上、管横、管下及び地山から土壌検体を採取した。地山は、管下30cm程度の深さから採取した。ただし、湧水があった場合には、採取した土壌に過剰の水が混入することを避けるため、山の側面部から地山の土壌を採取した。また、地下水ないし湧水が認められる場合には、これも1検体採取した。
採取した水道管の管上、管横、管下、地山それぞれの土壌サンプルを分析してANSIの評価点数を付け、最大点数をその場所のANSIの点数とした。ANSIの点数は10点を判断基準として土壌の腐食性を判別する指標である。その結果を最大腐食速度と合わせて表5に示す。
比較例により得たANSI評価点数と水道管の外面腐食速度との間には殆ど相関性が見出せなかった。従って、評価した調査地点においてはANSIの評価点数の大小から外面腐食速度を評価することは難しいことが確認された。
(実施例2)
次に、上記実施例1の調査地点(No.1〜4)以外の調査地点(No.5)で水道管の掘削調査及び、その地点の土壌についてのクロノポテンシオメトリー法による測定を行い、実施例で得られた図10に示すグラフから、水道管の耐用期間の推測が可能であるかを確認した。
まず、調査地点No.5の土壌についてクロノポテンシオメトリー法による測定を行い波形データを得た。その波形データを図11に示す。
この波形データにおける図8に示した測定ポイント(a)〜(e)について電位を読み取った。読み取った電位の数値を表6に示す。
次に、上記の(a)〜(e)の数値のうち(b)〜(d)を上記式(1)に代入して数値Aを求めた。その結果を表7に示す。
調査地点No.5の土壌の数値A(−1.875)を図10に示すグラフに当てはめたところ、図12に示すように最大腐食速度は0.038mm/年と推定された。
次に、推定した上記最大腐食速度(0.038mm/年)と、実際に測定した水道管の外面腐食速度との関係を確認するために、調査地点No.5に埋設されている水道管を掘削して、腐食深さを実施例1と同様の方法で測定した。水道管の腐食深さの測定で得られた結果のうち、最大腐食深さのデータを採用し、最大腐食深さを埋設期間で除して水道管の外面腐食速度を算出した。その結果、調査地点No.5の水道管の外面腐食速度は0.04mm/年であった。これらの結果を表8及び図12のグラフに示す。
図12に示すグラフからも明らかなように、上記調査地点(No.1〜4)以外の調査地点(No.5)で、クロノポテンシオメトリー法による測定をして得た波形データから算出した数値Aを図10のグラフに当てはめて推測した最大腐食速度0.038mm/年と、実際に掘削調査して測定した外面腐食速度0.04mm/年とはほぼ一致した。
これらの結果から、実際に掘削作業を行い、水道管の腐食孔深さを測定して最大外面腐食速度を算出しなくとも、調査地点の土壌について、クロノポテンシオメトリー法による波形データから数値Aを得て、その数値Aを予め作成した外面腐食速度と波形データから得られた数値との相関関係グラフに当てはめることにより、正確な最大腐食速度を推定することができ、非常に簡便に耐用期間を推測することが可能であることが確認された。
1 土壌
13 水道管調査区画
14 検査部材設置区画
2 金属製水道管
51 作用極
52 対極
53 参照極
54 絶縁体
55 配線
61 ポテンシオスタット
62 サンプリングレコーダー
70 デプスゲージ
71 超音波厚み計

Claims (4)

  1. 土壌に埋設された埋設金属製構造物に対する埋設土壌の腐食性を推測する土壌腐食性評価方法であって、
    予め、前記埋設金属製構造物について腐食深さを測定し、前記埋設金属製構造物の腐食深さと埋設期間から前記埋設金属製構造物の外面腐食速度を算出してデータを取得し、
    前記埋設金属製構造物の腐食深さを測定した場所の土壌に対して、クロノポテンシオメトリー法による測定から得られる波形データを取得し、その波形データから、
    (b)電流印加直後の電位 b(mV)
    (c)通電停止直前の電位 c(mV)
    (d)通電停止直後の電位 d(mV)
    を下記式(1)に代入して得られる数値Aを取得し、
    前記外面腐食速度のデータと、前記数値Aとの相関関係を求めておき、
    埋設金属製構造物の土壌に対して、クロノポテンシオメトリー法による測定から得られる波形データを下記式(1)に代入して得られる数値Aから、前記相関関係に基づいて土壌中に埋設された埋設金属製構造物の外面腐食速度を推定し、その埋設金属製構造物の耐用期間を推測することを特徴とする土壌腐食性評価方法。
  2. 前記埋設金属製構造物が鋳鉄製構造物であることを特徴とする請求項1に記載の土壌腐食性評価方法。
  3. 前記クロノポテンシオメトリー法による測定に用いる測定部材が、作用極、対極及び参照極から構成され、前記作用極の材質が、白金メッキチタン、白金のいずれか、対極の材質が、ステンレス鋼、グラファイト、白金、白金メッキチタンのいずれか、参照極が、銀塩化銀電極、銅硫酸銅電極、銅極、亜鉛極のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の土壌腐食性評価方法。
  4. 前記クロノポテンシオメトリー法による測定に用いる測定部材が、円錐状に形成された作用極と、中空のパイプ状の対極、参照極を長手方向に、絶縁体を挟んで一体とした棒状であり、各極に接続された配線が中空を通して取出し可能に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の土壌腐食性評価方法。
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