JP6370333B2 - 気圧センサを用いた位置検出システム及び位置検出方法 - Google Patents

気圧センサを用いた位置検出システム及び位置検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、位置を検出するためのシステム及び方法に関し、更に詳しくは、気圧センサを用いて位置を検出するためのシステム及び方法に関する。
気圧センサを含む圧力センサは、従来から用いられてきたが、最近では、サイズが小型化し、低価格になり、性能も急速に向上している。その結果として、スポーツタイプの腕時計やGPSナビゲータの一部に、気圧センサが組み込まれる場合があり、iPhone(登録商標)6やnexus(登録商標)5などの最新のスマートフォンにも、気圧センサが搭載され始めた。
このような従来から用いられている気圧センサは、気圧の変化を測定して記録することによって、例えば、台風の接近を示したり天気を予想したりするアプリケーションにおいて用いられるデータを収集する基礎となる。また、GPSシステムを用いたナビゲーションと併用することで、登山のときなどに、自分の高度変化を検出できるし、デバイスの位置変化を気圧変化から計測して、ゲームに利用することも可能である。従来から用いられているこれらの気圧センサは、約10cmの高さ変化を識別する精度を有する。
しかし、このような従来からの屋外での使用状況を考えると、屋内では、気圧センサがその機能を的確に発揮できない場合があることが予想される。その理由は、気密性の高い室内空間における空調である。すなわち、気密性が高く、空調がなされている室内空間では、ドアの開閉や空調状態の変化が、容易に気圧に影響する。したがって、そのような状況下では、気圧センサの測定値は、低気圧の接近や地面からの高度の変化とは関係なく変動することがありうる。つまり、ドアの開閉や空調の影響が、実現させたい機能に対する誤差として機能するのである。
これに対し、本発明の発明者は、従来の発想を転換して、ドアの開閉や空調の影響に起因する気圧の変化を、誤差と見なすのではなく、位置情報と見なして積極的に利用することにより、気圧センサを従来とはまったく異なる新たな分野に応用することに成功した。例えば、密閉された空間での気圧変化を、ドアの開閉として解釈し、空調の設定風量の変化を、ある人間が特定の部屋に居るかどうかを判定するための信号として用いる。
本発明の目的は、気圧センサを用いて、位置検出システム及び位置検出方法を提供することである。
本発明によると、それぞれが特定の位置に固定された1つまたは複数の基準気圧センサと、移動可能なクライアント気圧センサとを備えており、クライアント気圧センサの位置を推定するためのシステムが提供される。このシステムは、1つまたは複数の基準気圧センサのそれぞれから、1つまたは複数の基準気圧センサによって測定された1つまたは複数の基準気圧を受信する基準気圧受信手段と、クライアント気圧センサから、クライアント気圧センサによって測定されたクライアント気圧を受信するクライアント気圧受信手段と、1つまたは複数の基準気圧センサから受信された1つまたは複数の基準気圧のそれぞれと、クライアント気圧センサから受信されたクライアント気圧とを比較することにより、1つまたは複数の基準気圧センサのそれぞれが固定されている位置と、クライアント気圧センサが存在する位置との間の相対的位置関係を推定し、よって、クライアント気圧センサの位置を推定するクライアント気圧センサ位置推定手段とを備えている。
更に、本発明においては、1つまたは複数の基準気圧センサにおいて一定の時間間隔にわたる一連の気圧の測定がなされ、クライアント気圧センサにおいても一定の時間間隔にわたる一連の気圧の測定がなされることにより、クライアント気圧センサ位置推定手段が、1つまたは複数の基準気圧センサにおいて測定された一連の気圧とクライアント気圧センサにおいて測定された一連の気圧との一定の時間間隔にわたる時間変化を比較し、1つまたは複数の基準気圧センサに対するクライアント気圧センサの相対的位置関係の時間変化を推定するクライアント気圧センサ相対的位置関係時間変化推定手段を更に含むことがありうる。
更に、本発明においては、クライアント気圧センサ相対的位置関係時間変化推定手段が、1つまたは複数の基準気圧センサのそれぞれにおいて測定された気圧の時間変化を表す波形とクライアント気圧センサにおいて測定される気圧の時間変化を表す波形との類似度を比較し、波形の間の相関値を算出して、算出された相関値に基づいて、1つまたは複数の基準気圧センサとクライアント気圧センサとの間の距離に比例するパラメータを算出することにより、1つまたは複数の基準気圧センサに対するクライアント気圧センサの相対的位置関係の時間変化を推定する手段を更に含むことがありうる。
また、本発明によると、それぞれが特定の位置に固定された1つまたは複数の基準気圧センサと、移動可能なクライアント気圧センサとの間の相対的位置関係を推定することにより、クライアント気圧センサの位置を推定するための方法が提供される。この方法は、1つまたは複数の基準気圧センサのそれぞれから、1つまたは複数の基準気圧センサによって測定された1つまたは複数の基準気圧を受信するステップと、クライアント気圧センサから、クライアント気圧センサによって測定されたクライアント気圧を受信するステップと、1つまたは複数の基準気圧センサから受信された1つまたは複数の基準気圧のそれぞれと、クライアント気圧センサから受信されたクライアント気圧とを比較することにより、1つまたは複数の基準気圧センサのそれぞれが固定されている位置と、クライアント気圧センサが存在する位置との間の相対的位置関係を推定し、よって、クライアント気圧センサの位置を推定するステップとを含む。
更に、本発明においては、1つまたは複数の基準気圧センサにおいて一定の時間間隔にわたる一連の気圧の測定がなされ、クライアント気圧センサにおいても一定の時間間隔にわたる一連の気圧の測定がなされることにより、クライアント気圧センサ位置を推定するステップが、1つまたは複数の基準気圧センサにおいて測定された一連の気圧とクライアント気圧センサにおいて測定された一連の気圧との一定の時間間隔にわたる時間変化を比較し、1つまたは複数の基準気圧センサに対するクライアント気圧センサの相対的位置関係の時間変化を推定するステップを更に含むことがありうる。
更に、本発明においては、クライアント気圧センサの相対的位置関係の時間変化を推定するステップが、1つまたは複数の基準気圧センサのそれぞれにおいて測定された気圧の時間変化を表す波形とクライアント気圧センサにおいて測定された気圧の時間変化を表す波形との類似度を比較し、波形の間の相関値を算出して、算出された相関値に基づいて、1つまたは複数の基準気圧センサとクライアント気圧センサとの間の距離に比例するパラメータを算出することにより、1つまたは複数の基準気圧センサに対するクライアント気圧センサの相対的位置関係の時間変化を推定するステップを更に含むことがありうる。
なお、本発明は、上述した位置推定方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムとして実装することも可能であり、そのようなコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ記憶媒体としても存在しうる。
本発明の原理を説明するための概略図である。 本発明の原理をデータセンタにおけるセキュリティ管理のために応用する場合の概略図である。 1つだけ開いているドアが閉められて、結果的にすべてのドアが閉められた場合に移行する場合の気圧変化を表すグラフである。 すべてのドアが閉められた状態から、1つのドアを開けた場合に移行した場合の気圧変化を表すグラフである。
地球上で、人間は、1気圧(真空を基準とすると、水柱約10mに相当する圧力)の下で生活している。1気圧というのは、比較的高い圧力である。例えば、相互に異なる気圧を有する2つの空間を考え、それら2つの空間の間で空気が移動できる隙間または通路があるとする。このような状況においては、隙間または通路を通過して、2つの空間の間で空気が自由に流れるのであるが、2つの空間における気圧が1気圧前後という比較的高い場合には、空気移動の結果として、2つの空間の間の圧力差が解消された平衡状態が、比較的短時間で生じる。
ここで、図1を参照して、本発明の原理を説明する。図1においては、左側に第1の部屋が配置されており、右側に第2の部屋が配置されており、これら2つの部屋はそれぞれが密閉空間である。2つの部屋の間にはドアがある。第1の部屋には第1の基準気圧センサRS1が配置され、第2の部屋には第2の基準気圧センサRS2が配置されている。そして、クライアント気圧センサCSを身体に装着した人間が、2つの部屋の間のドアを通って、第1の部屋と第2の部屋との間を行き来することを考える。この場合に、クライアント気圧センサCSにおいて測定される気圧と、2つの基準気圧センサRS1及びRS2のそれぞれにおいて測定されるそれぞれの気圧とを比較する。
本発明の基本的手法によると、クライアント気圧センサCSにおける気圧変化を記録し、2つの基準気圧センサRS1及びRS2のそれぞれにおける気圧変化との相関を調べることで、クライアント気圧センサCSが、基準気圧センサRS1及びRS2のどちらの近傍に存在するのかを推定できる。なお、気圧センサの場合には、光や電磁波を使ったシステムとは違い、センサを上下に向きを変えても、ポケットの中に入れても、誤差は発生しないので、クライアント気圧センサがどのような態様で装着されているのかによって、結果は左右されない。つまり、本発明は、人によるセンサの持ち方に起因する誤差が発生しにくいという、他の屋内での位置推定手法にない長所を有する。したがって、人々が複数の部屋の間を移動する場合に、それぞれのポケットに入れた状態のままである気圧センサ内蔵の端末がどの部屋にあるかを判別でき、大体の位置を推定できる。
2つの部屋のそれぞれに基準気圧センサRS1と基準気圧センサRS2とが配置されることで、特に圧力変動を発生させなくても、ドアの開閉により発生する圧力変化を利用して、クライアント気圧センサCSがどちらの部屋に存在するのかを、判別できる。それに加えて、空調を能動的に変化させることで圧力変動を発生させると、更に高頻度の推定が可能になりうる。
なお、空調の設定は、風量の設定を通じて行うのが一般的であるが、部屋によって部屋のサイズや送風口の抵抗が異なるために、測定される気圧の基準値は、部屋ごとに異なるはずである。クライアントセンサは、その気圧差を検出することにより、ある部屋から別の部屋への移動を測定している。例えば、部屋Aの気圧は1013hPaで、部屋Bの気圧は1010hPaとする。クライアントセンサが部屋Aから移動を開始したとして、1012hPaから1009hPaという測定値の変化が得られたら、部屋Aから部屋Bに移動したと推定することになる。
また、本発明では、基準気圧センサの個数は、1つの部屋に1つであるとは限らない。例えば、複数個(例えば、n≧2としてn個)の基準気圧センサRS1、・・・、RSnを同じ1つの部屋に設置する場合を考える。この場合、クライアント気圧センサCSにおいて測定された気圧の時間変化を表す波形とn個のセンサRS1、・・・、RSnのそれぞれにおいて測定された気圧の時間変化を表す波形との間の類似度を比較し、相関値を算出する。そして、算出された相関値に基づいて、クライアント気圧センサCSからn個のセンサRS1、・・・、RSnのそれぞれまでの距離に比例するパラメータを算出することによって、この部屋における、クライアント気圧センサCSとn個のセンサRS1、・・・、RSnのそれぞれとの間の相対的位置関係が推測される。本発明のこの機能を応用すると、例えば、展示会が開催されている広大な会場に複数の基準気圧センサを配置することにより、どのブースに特に人が集まっているかを推定するアプリケーションが実現可能になる。
次に、本発明の原理を応用することで達成可能な技術の例について説明する。第1の応用例は、気圧センサを用いて、データセンタなどセキュリティが重要な施設への入退室を記録する記録システムである。ここで、データセンタとは、例えば、広い土地を低い費用で利用できる場所に大量の記憶装置を集合的に設置することで、クラウドコンピューティングなどのために大量のデータを集中的に維持管理するための施設を意味する。
図2を参照すると、データセンサにおいて、入退室が厳格に管理される2つのサーバ室A及びBが示されており、これらのサーバ室A及びBには、基準気圧センサRSA及びRSBがそれぞれ設置されている。そして、サーバ室の外の廊下には、基準気圧センサCが設置されている。これらの基準気圧センサは、設置された場所での気圧を測定して、測定値を管理サーバに送信する機能を有する。一般的に、データセンタの部屋と廊下とでは、空調のための風量が異なるために、気圧に差がある。ドアは密閉度が高い開き戸であると想定する。例えば、このデータセンタの管理人は、部屋の鍵などと共に、クライアント気圧センサCSを常に身体に装着することが要求される。クライアント気圧センサCSは、持ち運び可能な気圧センサであり、検出した圧力を記憶する機能を有する。部屋の入口には、相互に接続されたサーバとクライアント気圧センサ読取機とが設置されている。
このような状況において、管理人が、ドアを開閉してサーバ室Aの外部から内部へ移動し、再びドアを開閉してサーバ室Aの内部から外部へ移動することを考える。ユーザが有するクライアント気圧センサは、入室の前は基準気圧センサRCの近傍にあるが、ドアが開閉され、入室した後は、基準気圧センサRAの近傍にある。その後で、サーバ室Aから出る場合には、基準気圧センサRAの近傍から、ドアの開閉を経て、基準気圧センサRCの近傍に移動する。管理人が以上の順序で移動すると、ドアを通過する際にクライアント気圧センサCSにおける測定値は、クライアント気圧センサ読取機によって取得される。取得された気圧は、基準気圧センサRA及びRCにおける気圧と比較され、サーバにおいて、ユーザの場所情報が取得され、ユーザの移動を確認することができる。このサーバと通信することにより、データセンタにおける管理者の移動を、遠隔的にモニタすることが可能になる。
以上は、サーバ室の内外に1つずつ、合計2つの基準気圧センサが設置されている場合であるが、サーバ室の内部における基準気圧センサの個数を増やすことにより、サーバ室の内部で複数の場所をユーザが経由したことが記録されるため、より信頼度が上がるはずである。具体的には、屋内のドアの近傍とドアとは反対側の壁面との2つの位置に基準気圧センサを設置することにより、2つの基準気圧センサのそれぞれとクライアント気圧センサとの間の相対的位置関係、例えば、クライアント気圧センサを装着したユーザがドアに近い位置にいるのか、ドアから離れているのか、などを判定できる。実際には、一定の時間間隔にわたって、基準気圧センサとクライアント気圧センサとにおいて測定された気圧の時間変化を表す波形の類似度を比較し、相関値を算出することで、それぞれの基準気圧センサとクライアント気圧センサとの間の距離に比例するパラメータを取得する。このような機能により、本発明の原理の基づき、クライアント気圧センサの位置を一定の精度で推定するシステムが実現される。
上述の例では、ドア付近にクライアント気圧センサの読取装置が設置され、ユーザがドアを通過するたびに測定された気圧が読み取られる構成であった。しかし、クライアント気圧センサにも通信手段を内蔵するならば、クライアント気圧センサで測定された気圧をリアルタイムに送信することが可能になり、より精密なモニタリングが可能になる。
また、データセンタにおける応用例には限定されないが、基準センサが設置される建物の空調システムと連動させることにより、基準気圧センサが不要となるシステムも実現可能である。すなわち、空調システムを適切に動作させることにより、例えば、部屋と廊下との気圧差や、空調ファンの回転数などを時間と共に変化させることにより、基準気圧センサを用いることなく、位置の推定が可能になる。
次に、本発明の原理の第2の応用例として、気圧センサを用いた認証システムを説明する。まず、気圧センサを内蔵した複数の機器があると仮定する。この場合、これら複数の機器が、それぞれ、気圧変動を記録し、相互に比較することで、同一時刻に同室に存在するかどうかが判定できる。例えば、複数の機器のそれぞれが、窓の開閉や空調の変化など、比較的大きな圧力変化点の前後数秒における圧力波形を記録し、相互に交換して比較する。その結果として、各機器が経験した圧力変化が類似するかどうかを判定することが可能になる。これにより、ある特定の時刻に、複数の機器が同一環境に存在するかどうかを推定できる。この推定値を用いて認証システムを構築することで、同一の部屋に存在する人間のみが会話可能なチャットシステムなどが考えられる。
類似のシステムとして、LINEアプリの「ふるふる機能」が挙げられる。携帯電話の加速度センサを利用して、2台の携帯電話を重ねて振ることで同一の加速度情報を取得させて、それのユーザが近傍に居ることを推定し、認証を行うシステムである。「ふるふる機能」の場合には、複数台を同時に振るために相手に機器を相手に渡し、ユーザが能動的に振る必要がある。しかし、本発明の原理を応用した気圧センサ認証システムでは、この面倒な点が、解消される。
なお、ここで、上述した第2の応用例との関係で発明者が行った実験結果について、説明しておきたい。実験場所として、約500人を収容可能なホテルの大規模な宴会場を用いた。この宴会場に、2つの基準気圧センサを設置した。これら2つの基準気圧センサから同時に取得した2つの気圧の値が、図3及び図4のグラフに示されている。これらのセンサは、約1Paの分解能を有しており、最大で100Hzの周期でデータを取得できる。本実験では50Hzで気圧を測定し、ローパスフィルタを掛けてから、平均値で正規化した。図3及び図4の両方において、3つのグラフは、上から、センサから得られた生データ、5データの移動平均、そして、15データの移動平均を示している。
図3は、この宴会場にある観音開きのドアの片方だけを開け、他のすべてのドアを閉めた状態から、その1つのドアも閉めて、この宴会場の全部のドアが閉められた状態に移行した場合の圧力変化を示す。1つのドアだけが開いた状態で測定を開始し、約2秒後にドアを閉めると、圧力が約8Pa上昇した。
より詳しくは、測定開始500mSから1800mSまでの時間に、空いていたドアを廊下側から閉めた。部屋の中の空気が押されるためか、ドアを閉めると気圧が上昇する様子が示されている。ドアを閉じた後は、気圧が一定となっている。2つのセンサは1mだけしか離れていないが、気圧(特に低い周波数成分)は、部屋のどの位置であっても一定であるはずである。また、2つのセンサから傾向、変化量が同一であることが読み取れるため、同一の宴会場に別のセンサが設置されていても、同じ変化量を計測できると推定できる。結果的に、変化した時刻、気圧の変化などの測定値がほとんど同じ傾向を有することから、2つのセンサが同一の部屋に配置されていると推定できる。
次に、図4は、すべてのドアが閉められた状態から、1つのドアを開けた状態に移行した場合の気圧変化を示す。図4に見られるように、ドアを開けると一時的に気圧が下がるが、その後ゆっくりと気圧は上昇して元に戻る。この気圧の回復は、空調の影響が考えられる。図4では、3つのどのグラフにおいても、それぞれの線が、約1m離れて配置した2つのセンサにおける気圧変動を示している。図4の3段のグラフのうち、15サンプルの移動平均フィルタを使った一番下のグラフを参照してほしい。図4は、上述のように、この宴会場のすべての扉を閉じた状態で測定が開始された。500mSから1500mSの時間で観音開きの廊下側に開くドアを片側だけ開けた。その結果、部屋の空気が部屋の外へ引っ張られるため、センサのある屋内側の圧力は下がっている。その後、ドアが空いたことにより、廊下との気圧差がなくなるように空気が流れ込むため、気圧が上昇する。その後は、圧力差がなくなり、5000mS以後は一定になっている。この場合にも、2つのセンサにおける測定値がほとんど同一の傾向を有し、同じ変化量が読み取れることから、2つのセンサが同一の部屋に配置されていると推定できる。
なお、ドアの内部と外部とにそれぞれセンサを配置しデータを取得してみると、気圧変化はドアの内外の2つのセンサで全く異なる波形になることが判明している。
次に、本発明による位置推定の精密化に関係する、センサの気圧変動の高周波成分について付言したい。本発明による気圧センサを用いた位置推定では、基準気圧センサを適切に配置することが重要である。例えば、基準気圧センサを矩形の部屋の4隅に配置した場合には、XY座標系における座標を用いて位置を特定することができる。その根拠は、圧力変動は、距離の関数として、徐々に高周波成分が減衰すること、更に、容易に用いることが可能である現時点で市販されている気圧センサは、この減衰する高周波成分まで測定可能であるほど高精度であること、である。空調などによって生じるa地点における気圧の時間変動をdPa(t)として、空気中の単位距離あたりの空間伝達関数をz()とする。tは時間を表す変数である。この場合、b地点における気圧変動dPb(t)は、次式で示すことが可能である。
伝達関数z()は、経験的に決定される関数であるが、圧縮性流体の基本的な原理として高周波成分が無くなることが予想されるため、aからbまでの距離が長くなると高周波成分が減少する。一方、用いられている気圧センサにおいては、従来は測定されていなかった高周波成分が測定されていると推測される。気圧センサは非常にノイズが多いが、従来は使っていなかった10Hz以上の高い周波数の圧力変動も測定される。以下では、これについて、既に行った実験で得られたデータから確認したい。
ホテルの宴会場で行った実験で得られたデータである図3を再度参照してほしい。図3において、上段の5000mSから300mSの期間について解説する。この部分は2つのセンサからの同じ傾向を有する波形を示しており、10Hz以上の高周波を含んでいることがわかる。この図からこれら2つの信号の相関が高いことが推測できる。
しかし他の部分では、相関がそれほどには明らかでない。この理由としては、気圧センサはパルス性のノイズが多く、発明者が行った実験方式ではノイズが除去できていないことが考えられる。今後ノイズを除去できれば、精度が向上すると考えられる。
なお、センサ自体のオフセットや、クライアントが、センサが内蔵されたデバイスなどを手で持つ場合に、身長差などのために床からの高さは、人によって異なるために、基準圧力の測定値はクライアントごとに異なることになる。その場合に、高周波成分まで含めた微小な気圧変化が、指標として非常に重要である。

Claims (8)

  1. それぞれが特定の位置に固定された1つまたは複数の基準気圧センサと、移動可能なクライアント気圧センサとを備えており、前記クライアント気圧センサの水平方向における位置を推定するためのシステムであって、
    前記1つまたは複数の基準気圧センサのそれぞれから、前記1つまたは複数の基準気圧センサによって測定された1つまたは複数の基準気圧を受信する基準気圧受信手段と、
    前記クライアント気圧センサから、前記クライアント気圧センサによって測定されたクライアント気圧を受信するクライアント気圧受信手段と、
    前記1つまたは複数の基準気圧センサから受信された1つまたは複数の基準気圧のそれぞれと、前記クライアント気圧センサから受信されたクライアント気圧とを比較することにより、前記1つまたは複数の基準気圧センサのそれぞれが固定されている位置と、前記クライアント気圧センサが存在する位置との間の水平方向における相対的位置関係を推定し、よって、前記クライアント気圧センサの水平方向における位置を推定するクライアント気圧センサ水平方向位置推定手段と、
    を備えた位置推定システム。
  2. 前記1つまたは複数の基準気圧センサにおいて一定の時間間隔にわたる一連の気圧の測定がなされ、前記クライアント気圧センサにおいても前記一定の時間間隔にわたる一連の気圧の測定がなされることにより、前記クライアント気圧センサ位置推定手段が、前記1つまたは複数の基準気圧センサにおいて測定された一連の気圧と前記クライアント気圧センサにおいて測定された一連の気圧との前記一定の時間間隔にわたる時間変化を比較し、前記1つまたは複数の基準気圧センサに対する前記クライアント気圧センサの相対的位置関係の時間変化を推定するクライアント気圧センサ相対的位置関係時間変化推定手段を更に含む、請求項1に記載の位置推定システム。
  3. 前記クライアント気圧センサ相対的位置関係時間変化推定手段が、前記1つまたは複数の基準気圧センサのそれぞれにおいて測定された気圧の時間変化を表す波形と前記クライアント気圧センサにおいて測定される気圧の時間変化を表す波形との類似度を比較し、前記波形の間の相関値を算出して、算出された相関値に基づいて、前記1つまたは複数の基準気圧センサとクライアント気圧センサとの間の距離に比例するパラメータを算出することにより、前記1つまたは複数の基準気圧センサに対する前記クライアント気圧センサの相対的位置関係の時間変化を推定する手段を更に含む、請求項2に記載の位置推定システム。
  4. それぞれが特定の位置に固定された1つまたは複数の基準気圧センサと、移動可能なクライアント気圧センサとの間の相対的位置関係を推定することにより、前記クライアント気圧センサの水平方向における位置を推定するための方法であって、
    前記1つまたは複数の基準気圧センサのそれぞれから、前記1つまたは複数の基準気圧センサによって測定された1つまたは複数の基準気圧を受信するステップと、
    前記クライアント気圧センサから、前記クライアント気圧センサによって測定されたクライアント気圧を受信するステップと、
    前記1つまたは複数の基準気圧センサから受信された1つまたは複数の基準気圧のそれぞれと、前記クライアント気圧センサから受信されたクライアント気圧とを比較することにより、前記1つまたは複数の基準気圧センサのそれぞれが固定されている位置と、前記クライアント気圧センサが存在する位置との間の水平方向における相対的位置関係を推定し、よって、前記クライアント気圧センサの水平方向における位置を推定するステップと、
    を含む水平方向位置推定方法。
  5. 前記1つまたは複数の基準気圧センサにおいて一定の時間間隔にわたる一連の気圧の測定がなされ、前記クライアント気圧センサにおいても前記一定の時間間隔にわたる一連の気圧の測定がなされることにより、前記クライアント気圧センサ位置を推定するステップが、前記1つまたは複数の基準気圧センサにおいて測定された一連の気圧と前記クライアント気圧センサにおいて測定された一連の気圧との前記一定の時間間隔にわたる時間変化を比較し、前記1つまたは複数の基準気圧センサに対する前記クライアント気圧センサの相対的位置関係の時間変化を推定するステップを更に含む、請求項4に記載の位置推定方法。
  6. 前記クライアント気圧センサの相対的位置関係の時間変化を推定するステップが、前記1つまたは複数の基準気圧センサのそれぞれにおいて測定された気圧の時間変化を表す波形と前記クライアント気圧センサにおいて測定された気圧の時間変化を表す波形との類似度を比較し、前記波形の間の相関値を算出して、算出された相関値に基づいて、前記1つまたは複数の基準気圧センサとクライアント気圧センサとの間の距離に比例するパラメータを算出することにより、前記1つまたは複数の基準気圧センサに対する前記クライアント気圧センサの相対的位置関係の時間変化を推定するステップを更に含む、請求項5に記載の位置推定方法。
  7. 請求項4から6のいずれかの請求項に記載の位置推定方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させる命令から構成されるコンピュータプログラム。
  8. 請求項4から6のいずれかの請求項に記載の位置推定方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させる命令から構成されるコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読媒体。
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