JP6369528B2 - 調光器、撮像素子および表示装置 - Google Patents
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Description
電極および透過率変調層を構成する少なくとも一層のグラフェンと誘電体層とにより形成された接合を有し、
上記接合に電圧を印加して上記グラフェンに蓄積される電荷量を制御することにより透過光量を制御する調光器である。
電極および透過率変調層を構成する少なくとも一層のグラフェンと誘電体層とにより形成された接合を有し、上記接合に電圧を印加して上記グラフェンに蓄積される電荷量を制御することにより透過光量を制御する調光器を受光部に有する撮像素子である。
電極および透過率変調層を構成する少なくとも一層のグラフェンと誘電体層とにより形成された接合を有し、上記接合に電圧を印加して上記グラフェンに蓄積される電荷量を制御することにより透過光量を制御する調光器を発光部に有する表示装置である。
1.第1の実施の形態(調光器、調光器の製造方法および調光器の動作方法)
2.第2の実施の形態(調光器、調光器の製造方法および調光器の動作方法)
3.第3の実施の形態(調光器、調光器の製造方法および調光器の動作方法)
4.第4の実施の形態(調光器、調光器の製造方法および調光器の動作方法)
5.第5の実施の形態(調光器、調光器の製造方法および調光器の動作方法)
6.第6の実施の形態(調光器、調光器の製造方法および調光器の動作方法)
7.第7の実施の形態(調光器、調光器の製造方法および調光器の動作方法)
8.第8の実施の形態(イメージセンサーモジュール、イメージセンサーモジュールの製造方法およびイメージセンサーモジュールの動作方法)
9.第9の実施の形態(固体撮像素子およびその動作方法)
10.第10の実施の形態(固体撮像素子およびその動作方法)
[調光器]
図1は第1の実施の形態による調光器を示す。図1に示すように、この調光器は、誘電体層11とこの誘電体層11の両面(上面および下面)に設けられた電極12、13とを有する。誘電体層11と電極12、13とによりそれぞれ接合が形成されている。
SiO2 4 10 3.5
Al2O3 8.2 8.2 6.0
h−BN 4 20 7.1
HfO2 18.5 7.4 12.0
ZrO2 29 6 15.4
ZnO 7.9
TiO2 8.5
IGZO 10
SiN 7 40 2.5
GaN 9.5
STO 140 2 24.8
STO 200 2 35.4
BTO 200 0.4 7.1
PZT 700 0.5 30.9
PTO 100−200 0.675 6.1−11.9
PLZT 900 1.4 111
CaF2 6.6 0.3 1.1
Q=CV
C=ε/d(ただし、dは電極12、13間の距離、すなわち誘電体層11の厚さ、εは誘電体層11を構成する誘電体の誘電率)
Q=ne(ただし、eは電子電荷の絶対値、nは電子の数)
である。
EF =(n/7.77×1013)0.5
である。
Eth=2EF
λth=hc/Eth(=1240/Eth)
である。ただし、λthは切り替わり波長(threshold wavelength) であり、λthより短い波長の光の透過率は変調することができないが、λth以上の波長の光の透過率は変調することができる。
λth<380nm
(Δn>2.1×1014/cm2)
ΔQ>33μC/cm2(片側のグラフェン一層当たり)
λth〜780nm
(Δn〜5.0×1013/cm2)
ΔQ>8μC/cm2(片側のグラフェン一層当たり)
Δn>1.0×1014/cm2
ΔQ>16.5μC/cm2(片側のグラフェン一層当たり)
である。
Δn〜2.5×1013/cm2
ΔQ〜4μC/cm2(片側のグラフェン一層当たり)
である。
図16は電圧Vと積層グラフェンに蓄積されるキャリア密度nとの関係を示す。各グラフェンGには一層当たり1×1014/cm2の化学ドーピングが行われているものとすると、電圧Vが±2Vの範囲でキャリア密度nを0〜1×1014/cm2の範囲で制御することができる。
この調光器を製造するには、第1の基板(図示せず)上に誘電体層11を形成した後、第2の基板(図示せず)上に形成された電極12をこの誘電体層11の上面に貼り合わせる。例えば、電極12が形成された第2の基板は、電極12がグラフェンである場合は、CVD法などによりグラフェンが合成(成長)された銅箔などであってもよいし、銅箔などの基板上に合成されたグラフェンを他の基板に転写したものであってもよい。グラフェンに化学ドーピングを行う場合には、ドーパント層をグラフェン上に形成する。
図1に示すように、この調光器においては、誘電体層11の両面に設けられた電極12、13の間に直流電源14により電圧Vを印加することにより、その電圧Vに応じて、この調光器への入射光の透過光量を制御し、調光を行う。より具体的には、電極12、13の間に電圧を印加すると、これらの電極12、13のうちの一層または複数層のグラフェンからなるものの透過率が、電極12、13の間に電圧Vを印加しない場合、すなわちV=0の場合に比べて増加するため、調光器に対する入射光の透過光量が増加する。具体例を挙げると、図3に示す調光器では、電圧Vを印加しない時の透過率Tが86%、電圧Vを印加した時の透過率Tが90%で、透過率変調幅ΔTは4%程度である。また、図4に示す調光器において、電極12、13がいずれも2層のグラフェンGからなり、電極12を構成するグラフェンGには電子ドーピングが、電極13を構成するグラフェンGにはホールドーピングが行われている場合には、負の電圧Vを印加した時の透過率Tが82%、正の電圧Vを印加した時の透過率Tが90%で、透過率変調幅ΔTは8%程度である。
以下のようにして図17および図18に示す構成を有する調光器を作製した。ここで、図17は断面図、図18は平面図である。
25mm×25mmにカッティングした厚さ1mmの石英ウェハー上に、23mm×17mmの大きさの長方形の空隙を有するメタルマスク(図示せず)を配置し、Snの含有量が5%のインジウム−錫酸化物(ITO)のターゲットを用いて、RFスパッタリング法により厚さ90nmのITO電極を形成した。その後、メタルマスクを取り除いた。
8インチの透明ガラスウェハー上にグラフェンを実施例1と同様の手法で全面転写形成した。
ノーマリーブラックとなるネガ型液晶材料として4−メトキシベンジリデン−4' −ブチルアニリン(MBBA)をセルに封入した。
[調光器]
第2の実施の形態による調光器は、電極12、13のうちの一層のグラフェンまたは積層グラフェンからなるものにおいて、そのグラフェン上に金属ナノ粒子または金属ナノワイヤーが形成されている。そして、これらの金属ナノ粒子または金属ナノワイヤーの表面プラズモンポラリトンを利用することにより、グラフェン一層当たりの透過率変調幅ΔTを例えば2.3%以上に高くする。金属ナノ粒子または金属ナノワイヤーにより得られる効果については従来公知である。この調光器の上記以外のことは第1の実施の形態による調光器と同様である。
この調光器の製造方法は、グラフェン上に金属ナノ粒子または金属ナノワイヤーを形成することを除いて、第1の実施の形態による調光器の製造方法と同様である。
この調光器の動作方法は第1の実施の形態と同様である。
[調光器]
第3の実施の形態による調光器においては、誘電体層11および電極12、13の全体の厚さを、調光する波長の光がこれらの内部で多重反射するように設定することにより、グラフェン一層当たりの透過率変調幅ΔTを例えば2.3%以上に高くする。この調光器の上記以外のことは第1の実施の形態による調光器と同様である。
この調光器の製造方法は、誘電体層11および電極12、13の全体の厚さを上記のように設定することを除いて、第1の実施の形態による調光器の製造方法と同様である。
この調光器の動作方法は第1の実施の形態と同様である。
[調光器]
第4の実施の形態による調光器においては、第1の実施の形態による調光器において調光量を改善するために生じる調光量の波長依存性を解消するために、光学調整層を積層する。具体的には、例えば、誘電体層11上に光学調整層を介してグラフェンを形成する。このような光学調整層は、調光量の波長依存性を解消することができるように、屈折率や厚さなどが選択される。光学調整層としては、例えばSiO2膜を用いることができる。この調光器の上記以外のことは第1の実施の形態による調光器と同様である。
この調光器の製造方法は、光学調整層を積層することを除いて、第1の実施の形態による調光器の製造方法と同様である。
この調光器の動作方法は第1の実施の形態と同様である。
[調光器]
図23は第5の実施の形態による調光器を示す。図23に示すように、この調光器は、第1の実施の形態による調光器を光の入射方向に複数段、配置したものである。すなわち、入射光は、一段目の調光器に入射し、一段目の調光器から最終段の調光器まで順に透過し、最終段の調光器から出射される。各調光器同士は直接接触していても、互いに離れていてもよい。図23では調光器を二段配置した例が示されているが、配置する調光器の段数は三段以上の任意の段数であってもよい。
この調光器は、第1の実施の形態による調光器を複数段、配置することにより製造することができる。
この調光器は、各調光器の電極12、13間に印加する電圧を独立にまたは同時に制御することにより、各調光器の透過率を変調させ、調光を行うことを除いて、第1の実施の形態による調光器と同様である。
[調光器]
図25は第6の実施の形態による調光器を示す。図25に示すように、第6の実施の形態による調光器は、第1の実施の形態による調光器を光の入射方向に複数段、誘電体層31を介して直列接続したものである。すなわち、入射光は、一段目の調光器に入射し、一段目の調光器から誘電体層31を介して最終段の調光器まで順に透過し、最終段の調光器から出射される。図25では調光器を二段配置した例が示されているが、配置する調光器の段数は三段以上の任意の段数であってもよい。すなわち、二つの調光器の間に誘電体層31が挟まれた構造が複数、繰り返された構造であってもよい。
この調光器は、第1の実施の形態による調光器を誘電体層31を介して複数段、配置することにより製造することができる。
この調光器は、各調光器の電極12、13間に印加する電圧を独立にまたは同時に制御することにより、各調光器の透過率を変調させ、調光を行うことを除いて、第1の実施の形態による調光器と同様である。
[調光器]
図27は第7の実施の形態による調光器を示す。図27に示すように、この調光器は、第1の実施の形態による調光器を光の入射方向に複数段、直列に配置したものである。すなわち、入射光は、一段目の調光器に入射し、一段目の調光器から最終段の調光器まで順に透過し、最終段の調光器から出射される。互いに隣接する二つの調光器同士の間では、電極13または電極12が兼用されている。図27では調光器を三段配置した例が示されているが、配置する調光器の段数は四段以上の任意の段数であってもよい。
この調光器は、第1の実施の形態による調光器を複数段、互いに隣接する二つの調光器同士の間で電極12または電極13を兼用して直列接続することにより製造することができる。
この調光器は、各調光器の電極12、13間に印加する電圧を独立にまたは同時に制御することにより、各調光器の透過率を変調させ、調光を行うことを除いて、第1の実施の形態による調光器と同様である。
[イメージセンサーモジュール]
第8の実施の形態においては、イメージセンサーモジュールについて説明する。
図29はこのイメージセンサーモジュールを示す。図29に示すように、このイメージセンサーモジュールにおいては、Si基板などの半導体基板61上に受光部としてフォトダイオード62が設けられた固体撮像素子上に調光器63が載せられ、その上に集光レンズ64が設けられている。この固体撮像素子においては、実際には画素ごとにフォトダイオードが形成されているが、図29においては、これらのフォトダイオードがまとめて一つのフォトダイオード62として示されている。調光器63としては、第1〜第7の実施の形態による調光器のいずれかを用いることができるが、図29には一例として図4に示す調光器が示されている。
このイメージセンサーモジュールは、半導体基板61上にフォトダイオード62を形成して固体撮像素子を形成した後、この固体撮像素子上に予め作製された調光器63を載せ、この調光器63の上方に集光レンズ64を設けることにより製造することができる。
イメージセンサーモジュールの集光レンズ64を介して調光器63に光が入射する。このとき、入射光量に応じた電圧を調光器63の電極12、13の間に印加することにより透過率変調を行い、フォトダイオード62に入射する光量を制御する。
[固体撮像素子]
図30は第9の実施の形態による固体撮像素子を示す。図30に示すように、この固体撮像素子においては、Si基板のような半導体基板71上にフォトダイオード72が設けられている。実際には画素ごとにフォトダイオードが形成されているが、図30においては、これらのフォトダイオードがまとめて一つのフォトダイオード72として示されている。このフォトダイオード72上に、マトリクス状に配置された複数の画素ごとにカラーフィルターが形成されている。例えば、赤(R)用の画素、緑(G)用の画素、青(B)用の画素および赤外(IR)用の画素の四つの画素が一つの区画をなしている。カラーフィルターは、画素ごとに、R用のフィルターF1、G用のフィルターF2、B用のフィルターF 3 およびIR用のフィルターF4(図30においては図示せず)が所定の配置で形成されている。各画素の配置の例を図31に示す。また、これらのフィルターF1〜F4のそれぞれの上には、マイクロレンズアレイをなす集光レンズ73が形成されている。マイクロレンズアレイ上には低屈折率の絶縁膜からなる平坦化膜74が形成されている。この平坦化膜74上には配線75が形成されている。この配線75は、調光を行う波長の光に対して透明な材料により形成される。この配線75上に調光器76が形成され、その上にガラス板77が形成されている。調光器76は固体撮像素子の受光面全面に形成されている。この調光器76としては、第1〜第7の実施の形態による調光器のいずれかを用いることができる。この調光器76の一方の電極、例えば電極13が配線75と電気的に接続されている。
固体撮像素子のガラス板77を介して調光器76に光が入射する。このとき、入射光量に応じた電圧を調光器76の電極12、13の間に印加することにより透過率変調を行い、画素部に入射する光量を制御する。この場合は、全ての画素について透過率変調幅は同じである。
[固体撮像素子]
図32は第10の実施の形態による固体撮像素子を示す。図32に示すように、この固体撮像素子においては、Si基板のような半導体基板81のフィルターF1〜F4のそれぞれの直下の部分にフォトダイオード82が形成されている。各フォトダイオード82上には、SiO2膜などからなる層間絶縁膜83、保護膜84および平坦化膜85が順次形成されている。平坦化膜85上に、誘電体層11の両面に電極12、13が設けられた調光器が形成されている。この調光器としては、第1〜第7の実施の形態による調光器のいずれかを用いることができる。R用の画素の調光器上にはフィルターF1が形成され、G用の画素の調光器上にはフィルターF2が形成され、B用の画素の調光器上にはフィルターF3が形成され、IR用の画素の調光器上にはフィルターF4が形成されている。フィルターF1〜F4上にはそれぞれ集光レンズ86が形成されている。なお、調光器は、R用の画素、G用の画素、B用の画素およびIR用の画素の四つの画素からなる区画ごとに設けてもよい。
固体撮像素子に光が入射する。このとき、画素ごとあるいは区画ごとに設けられた調光器において、入射光量に応じた電圧を電極12、13の間に印加することにより透過率変調を行い、各画素あるいは各区画に入射する光量を制御する。
(1)電極および透過率変調層を構成する少なくとも一層のグラフェンと誘電体層とにより形成された接合を有し、上記接合に電圧を印加して上記グラフェンに蓄積される電荷量を制御することにより透過光量を制御する調光器。
(2)上記電極および透過率変調層を構成する少なくとも一層のグラフェンは、上記誘電体層の一方の面または両方の面に設けられている前記(1)に記載の調光器。
(3)上記電極および透過率変調層を構成する少なくとも一層のグラフェンは、一層のグラフェンまたは複数層のグラフェンが互いに積層された積層グラフェンである前記(1)または(2)に記載の調光器。
(4)上記電極および透過率変調層を構成する少なくとも一層のグラフェンに化学ドーピングが行われている前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の調光器。
(5)上記電極および透過率変調層を構成する少なくとも一層のグラフェンにn型ドーパントまたはp型ドーパントがドーピングされている前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の調光器。
(6)上記誘電体層を構成する誘電体は、無機系の誘電体、有機系の誘電体、液晶およびイオン液体からなる群より選ばれた少なくとも一種類の誘電体である前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の調光器。
(7)上記誘電体層を構成する誘電体の比誘電率が2.0以上である前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の調光器。
(8)上記電極および透過率変調層を構成する少なくとも一層のグラフェンに蓄積させる電荷量が1μC/cm2以上である前記(1)ないし(7)のいずれかに記載の調光器。
(9)上記電極および透過率変調層を構成する少なくとも一層のグラフェンに蓄積させる電荷量が33μC/cm2以上である前記(1)ないし(7)のいずれかに記載の調光器。
Claims (11)
- 2つの電極、及び、2つの電極に挟まれた誘電体層を有しており、
2つの電極の内の少なくとも一方の電極は、少なくとも1層のグラフェンから成り、透過率変調層を構成し、
グラフェン上には、ドーパント層が形成されており、
2つの電極に電圧が印加されてグラフェンに蓄積される電荷量が制御されることにより、透過光量が制御される調光器。 - 2つの電極は、少なくとも1層のグラフェンから成り、透過率変調層を構成し、
一方の電極を構成するグラフェン上にはn型ドーパント層が形成されており、
他方の電極を構成するグラフェン上にはp型ドーパント層が形成されている請求項1に記載の調光器。 - グラフェンに蓄積させる電荷量は1μC/cm2以上である請求項1又は請求項2に記載の調光器。
- 2つの電極への電圧の印加により、1μm以下の波長域の調光を行う請求項3に記載の調光器。
- グラフェンに蓄積させる電荷量は33μC/cm2以上である請求項1又は請求項2に記載の調光器。
- 透過率変調層を構成する電極は、複数層のグラフェンから成る請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の調光器。
- 誘電体層を構成する誘電体は、無機系の誘電体、有機系の誘電体、液晶及びイオン液体から成る群より選ばれた少なくとも1種類の誘電体である請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の調光器。
- 誘電体層を構成する誘電体の比誘電率は2.0以上である請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の調光器。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の調光器を複数、光の入射方向に配置した調光器。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の調光器を受光部に有する撮像素子。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の調光器を発光部に有する表示装置。
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