(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態の着座状態判別装置は、シートベルト1と、導体検出手段2と、位置検出手段3と、着用状態判断手段4を備えている。シートベルト1は、所定の規則に基づいて長辺方向の位置を示すように導体によって形成された複数のパターンが、長辺方向の位置に応じてそれぞれ配置されたストラップを有する。導体検出手段2は、ストラップに形成された導体を検出する。位置検出手段3は、導体検出手段2による導体の検出結果に基づいて、導体を検出したストラップ上の位置に形成されているパターンを特定し、パターンと所定の規則とに基づいて、パターンが検出されたストラップ上の位置を判断する。着用状態判断手段4は、位置検出手段3が判断したパターンの位置を基に、シートベルトの着用状態を判断する。
本実施形態の着座状態判別装置は、ストラップ上の所定の規則に基づいて形成されたパターンを、導体検出手段2によって検出し、位置検出手段3において所定の規則に基づいてパターンが検出した位置を判断している。また、本実施形態の着座状態判別装置は、パターンが検出された位置を基に、シートベルトの着用状態を判断している。本実施形態の着座状態判別装置は、そのようにパターンを検出したストラップ上の位置を基に着用状態を判断するので、パターンが検出される位置を基に乗員の姿勢の変化などを検出することが可能になる。また、本実施形態の着座状態判別装置は、シートベルトのストラップには導体によるパターンが形成され、ストラップにはセンサや配線を必要としないため、乗員がストラップ等に触れても誤検出は生じない。また、本実施形態の着座状態判別装置は、ストラップにはセンサや配線を必要としないため、ストラップの厚みの増加や剛直性の増加による操作性の低下は生じない。その結果、本実施形態の着座状態判別装置は、誤検知や操作性の低下などを抑制し、シートベルトが正しく着用されているかを検出することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図2は、本実施形態の着座状態判別システムの構成の概要を示したものである。本実施形態の着座状態判別システムは、ストラップ11と、ショルダーアンカー12と、バックル13と、タング14と、ストラップ通過部15と、シートベルト巻き取り装置16を備えている。また、本実施形態の着座状態判別システムは、ストラップ検出センサ21と、シートベルト検出センサ22と、着座センサ23と、制御装置24をさらに備えている。また、本実施形態の着座状態判別システムは、車両の内部の車体18に座席17とともに備えられている。本実施形態では、座席17は車両の運転席であるとする。座席17は、運転席以外の座席であってもよい。
本実施形態の着座状態判別システムは、ショルダーアンカー12、バックル13、シートベルト巻き取り装置16および座席17は、車体18に固定されている。また、本実施形態の着座状態判別システムのストラップ11、ショルダーアンカー12、バックル13、タング14、ストラップ通過部15およびシートベルト巻き取り装置16は、3点式のシートベルトを構成している。シートベルトを構成するストラップ11の長辺方向の一端は車体18に固定され、反対側の一端はシートベルト巻き取り装置16内に固定されている。長辺方向とは、ストラップ11を引き出す方向のことをいう。また、ストラップ11の両端の間には、タング14およびストラップ通過部15が取り付けられており、ストラップ11は、タング14によってバックル13に固定されている。本実施形態の着座状態判別システムは、車両内に設置された座席17に着座した乗員が3点式のシートベルトを装着した際のシートベルトの装着状態を監視するシステムである。また、ストラップ長を検出できる構成であれば、シートベルトは、三点式以外の方式のものであってもよい。
ストラップ11は、乗員の身体を座席17に固定して保持する機能と、ストラップ検出センサ21の被検出体としての機能を有する。ストラップ11の表面には、ストラップ検出センサ21が、ストラップ11が引き出されている長さであるストラップ長を計測する際の指標となる所定のパターンが導体を用いて形成されている。導体はストラップ11の表面のうち、ストラップ検出センサ21側の表面に形成されている。図3は、ストラップ11に導体によって形成された所定のパターンを模式的に示したものである。
本実施形態のストラップ11には、長辺方向の位置を示す所定のパターンが2進数の規則に基づくパターンとして形成されている。本実施形態のストラップ11では、長辺方向の一端から10進数で1から順に数が大きくなるように対応する2進数のパターンが導体30で形成されている。そのため、本実施形態の着座状態判別状態システムでは、シートベルトのストラップ11が、どの2進数のパターンまで引き出されているかを検出することで、ストラップ長、すなわち、ストラップ11が引き出されている長さを検出することができる。
図3に示すように、ストラップ11の短辺方向に、2進数で示される値に対応するパターンが、導体30によって等間隔で形成されている。本実施形態のストラップ11では、短辺方向には最大でN個の導体30のパターンが形成される。Nは、整数である。本実施形態のストラップ11では、導体30が存在する場合を「1」、導体30が存在しない場合を「0」として2進数のパターンに対応させている。図3の例では、短辺方向の右側から2進数の2^0の桁、2^1の桁、2^2の桁と左側に向かうほど順次、大きな桁になるように割り当てられている。図3の一番左側の桁は、2^(N−1)の桁である。
長辺方向には、導体30は、M個配置される。Mは、整数である。また、Mは、2^(N−1)以下となるように設定される。図3の例では、2^(N−1)の桁まで全て1になる位置まで導体30が形成されている例を模式的に示している。長辺方向の導体30の数は、ストラップ11の長さに応じて設定されていればよく、最大値の側はより小さな値に対応する2進数のパターンまでであってもよい。
本実施形態の導体30は、導電性繊維を用いてストラップ11の表面に形成されている。導電性繊維を用いることでストラップ11の柔軟性の低下を抑制し、シートベルトとしての柔軟性を維持することができる。導電性繊維としては、例えば、ポリアセチレン等の導電性高分子によって形成された繊維や、導電体を添加した繊維を用いることができる。また、導体30は、導電性樹脂や金属の薄膜によって形成されていてもよい。本実施形態では、導体30がストラップ11の表面に形成されているが、導体30はストラップ11の内部に形成されていてもよい。
図3の例では導体30を四角形のパターンとして示したが、導体30は、四角形以外のパターンによって形成されていてもよい。例えば、導体30は、楕円や円の形状に形成されていてもよい。本実施形態のストラップ11は、第1の実施形態のシートベルト1が有するストラップに相当する。
ショルダーアンカー12は、車体18の内側に固定され、ストラップ11を引き出す際のガイドおよびストラップ11を引き出した際のストラップ11の支持部として備えられている。また、ショルダーアンカー12は、ストラップ検出センサ21を内部に備えている。そのため、ストラップ11が引き出されている長さは、ショルダーアンカー12の位置において計測される。
バックル13は、タング14を脱着可能な構成を備え、ストラップ11およびタング14によって形成されるシートベルトを肯定する。また、バックル13は、シートベルト検出センサ22を備えている。そのため、バックル13においてタング14の有無を検出することで、シートベルトの装着の有無を検知することができる。
タング14は、ストラップ11とともにシートベルトを構成し、シートベルトのバックル13への固定具として備えられている。座席17は、シートベルトによって固定される乗員の体を支持する。タング14は、ストラップ通過部15を介してストラップ11の両端の間に備えられ、ストラップ11をバックル13に固定する。
ストラップ通過部15は、タング14と一体の部品として形成され、ストラップ11を折り返す機能を有する。ストラップ通過部15は、ショルダーアンカー12から斜め方向に引き出されたストラップ11を、ストラップ11が乗員の腰付近を保持するように水平方向に折り返す。
シートベルト巻き取り装置16は、シートベルトのストラップ11を引き込むことによってストラップ11を収納する機能を有する。シートベルト巻き取り装置16は、ストラップ11を引き込むことで乗員の体を座席17に保持する。
座席17は、自動車の車体18の内部に設置されている。着座状態判別システムは、1つの自動車の中に設置されている複数の座席17に対応するように、備えられていてもよい。
ストラップ検出センサ21は、ストラップ11に形成された導体30の存在の有無を検出する機能を有する。ストラップ検出センサ21は、ショルダーアンカー12に備えられ、ストラップ11に形成されている所定のパターンを検出する。本実施形態のストラップ検出センサ21は、静電容量式タッチセンサを用いて形成されている。
図4は、ストラップ検出センサ21の構成を模式的に示したものである。図4に示すように、ストラップ検出センサ21は、40−1から40−NのN個の静電容量センサ40を備えている。静電容量センサ40の数のNは、ストラップ11の短辺方向に形成されている導体30の個数の最大値Nと対応している。
各静電容量センサ40は、ストラップ11の2進数のパターンに対応するように備えられている。例えば、図4に示すように、静電容量センサ40−1は、2^0の桁の列の導体30を検出するように備えられ、静電容量センサ40−2は、2^1の桁の列の導体30を検出するように備えられている。また、静電容量センサ40−Nは、2^(N−1)の桁の列の導体30を検出するように備えられている。各静電容量センサ40は、所定の閾値以上の静電容量の変化を検出した場合に、スイッチがオン状態になる。静電容量センサ40のスイッチとしては、例えば、1つのスイッチに1つの電極を使用する弛張発振方式のスイッチを用いることができる。
ストラップ11の長辺方向の導体30の間隔は、ストラップ11の長さを計測する際の分解能に相当し、間隔が狭いほど測定精度が向上する。そのため、間隔が狭いほど望ましいが、間隔が狭すぎると静電容量センサ40が長辺方向で隣接する導体30を誤検出する恐れがある。また、同様に短辺方向の間隔が狭すぎると、静電容量センサ40が短辺方向で隣接する導体30を誤検出する恐れがある。また、導体30の間隔を狭くしすぎると、ストラップ11の剛直性が増し、シートベルトの柔軟性が低下する恐れもある。そのため、ストラップ11上に形成された導体30の長辺方向および短辺方向の間隔は、静電容量センサ40の検出部のそれぞれの方向の大きさの倍以上の間隔であることが望ましい。また、導体30の面積は、静電容量センサ40の検出部の面積半分程度であることが望ましい。
シートベルト幅、すなわち、ストラップ11の短辺方向の幅は、例えば、JIS(Japanese Industrial Standards)規格では46mm以上と規定されている。ストラップ11の短辺方向の幅がJISの規格を満たすように設定され、例えば、各静電容量センサ40の大きさが1cm×0.7cm、導体30の大きさが0.5cm×0.5cmであり、短辺方向に6個の導体30が配置されているとする。このとき、長辺方向には最大で2^6−1=63個の導体30が配置される。そのような場合に、長辺方向の導体30の間隔が3cmとすると、計測可能な最大のストラップ長は、3cm×63=189cmとなる。また、本実施形態のストラップ検出センサ21は、第1の実施形態の導体検出手段2に相当する。
シートベルト検出センサ22は、バックル13に備えられ、タング14の有無を検出する機能を有する。シートベルト検出センサ22は、バックル13にタング14が装着されたときにオン状態となるスイッチ素子を備えている。シートベルト検出センサ22は、バックル13の装着を検知すると、シートベルトを検出していることを示す信号を、制御装置24のシートベルト検出センサ入力部56に送る。
着座センサ23は、乗員が座席17に座っているかを監視する機能を有する。着座センサ23は、例えば、乗員が座席17に座って、座席17の下部に荷重がかかったときにオン状態になるスイッチ素子によって構成されている。着座センサ23は、乗員が座席に座っていることを検知すると、着座していることを示す信号を、制御装置24の着座センサ入力部26に送る。
制御装置24の構成について説明する。図5は、制御装置24の構成の概要を示したものである。図5に示す通り、制御装置24は、制御部51と、ストラップ検出センサ入力部52と、記憶部53と、電源部54と、警告部55と、シートベルト検出センサ入力部56と、着座センサ入力部57と、ギア信号入力部58を備えている。
制御部51は、シートベルトのストラップ11の引き出されている長さであるストラップ長を算出する機能を有する。また、制御部51は、シートベルトの着用状態を判断して、着用状態が適切でない場合に乗員に警告する機能を有する。
制御部51は、ストラップ検出センサ入力部52を介して入力される導体30の検出状態を基に、ストラップ長を算出する。制御部51は、導体30の検出状態を基に、ストラップ11のどの位置を検知しているかを判断する。制御部51は、ストラップ検出センサ入力部52を介して入力される信号を基に、各静電容量センサ40の導体30の検出状態を2進数に変換する。制御部51は、導体30の検出状態を変換した2進数が、端から何番目に相当するのかを判断し、導体30の長辺方向の間隔からストラップ長を算出する。また、制御部51は、ストラップ長の変化量を監視し、変化量が所定の基準を超えたときに警告部55を介して乗員に通知する。本実施形態の制御部51は、第1の実施形態の位置検出手段3および着用状態判断手段4に相当する。
ストラップ検出センサ入力部52は、ストラップ検出センサ21の各静電容量センサ40が出力した信号を受信するインターフェースとしての機能を有する。ストラップ検出センサ入力部52は、ストラップ検出センサ21の各静電容量センサ40から受信した信号を制御部51に送る。
記憶部53は、制御部51がストラップ長の算出や警告等の動作をする際に用いるデータを保存する機能を有する。記憶部53は、ストラップ11に形成されている導体30のパターンに関する情報を保存している。本実施形態の記憶部53は、ストラップ11に2進数のパターンが形成されていることを示す情報と、長辺方向の導体30の間隔の情報を保存している。また、記憶部53は、ストラップ長の初期値および制御部51が警告部55を介して警告する際の所定の条件を保存している。記憶部53は、警告する際の所定の条件として、例えば、ストラップ長の変化量の閾値の情報を保存している。
電源部54は、着座状態判別システムの各部位および制御装置24の各部位に電源を供給する機能を有する。本実施形態の電源部54は、車両から電源供給を受け、各部位に電源を出力する。
警告部55は、制御部51の制御に基づいて音声を出力する機能を有する。本実施形態の警告部55は、車内に音声を出力するスピーカを用いて構成されている。警告部55は、制御部51が乗員に通知を行う際に、制御部51の制御に基づいて音声を車内に出力する。警告部55は、音声以外に光や振動によって乗員に通知を行うようにしてもよい。
シートベルト検出センサ入力部56は、シートベルト検出センサ22が出力した信号を受信するインターフェースとしての機能を有する。シートベルト検出センサ入力部56は、シートベルト検出センサ22から受信した信号を制御部51に送る。
着座センサ入力部57は、着座センサ23が出力した信号を受信するインターフェースとしての機能を有する。着座センサ入力部57は、着座センサ23から受信した信号を制御部51に送る。
ギア信号入力部58は、車体18の動作状態を示す信号を受信するインターフェースとしての機能を有する。ギア信号入力部58は、車体18から受信した動作状態を示す信号を制御部51に送る。制御部51は、ギア信号入力部58から入力される信号を基に車両が走行や停止などの状態の情報を得ることができる。
本実施形態の着座状態判別システムの動作について説明する。図6、図7および図8は、本実形態の着座状態判別システムの動作フローの概要を示したものである。
始めに図6を参照して、本実施形態の着座状態判別システムにおいて初期化動作が行われる際の動作について説明する。初期化動作とは、乗員が座席17に座っていない状態で、ストラップ11が引き出されている長さ、すなわち、ストラップ長の初期値を確認する動作のことをいう。
初期化の動作をスタートすると(ステップ101)、制御装置24の制御部51は、ストラップ検出センサ入力部52を介して入力されるストラップ検出センサ21の各静電容量センサ40の信号の読み込みを行う(ステップ102)。
ストラップ検出センサ21の各静電容量センサ40は、検出部の位置にあるストラップ11の表面に導体30が形成されているときオン状態の信号を出力する。制御部51は、ストラップ検出センサ入力部52を介して入力される信号を基に、各静電容量センサ40が導体30を検知している桁を「1」、導体を検知していない桁を「0」とした2進数のデータに変換する。
制御部51は、静電容量センサ40−Xが導体30を検出している場合に、2^(X−1)の値を算出する。XはN以下の整数である。導体30を検出している静電容量センサ全てについて2^(X−1)の値を算出すると、制御部51は、算出した値の合計値をストラップ長の初期値L(1)として算出する(ステップ104)。
L(1)の値を算出すると、制御部51は、L(1)が0でないかを判断する。L(1)=0のとき(ステップ105でYes)、導体30を全く検出できていないので、制御部51は、警告部55を介して乗員または作業者に対してシートベルトのストラップ11の引き出しの要請を通知する(ステップ108)。警告部55を介してストラップ11の引き出しの要請の通知を行うと、制御部51は、ステップ102に戻り、ストラップ検出センサ入力部52を介して各静電容量センサ40から入力される信号の読み込みを行う。
いずれかの静電容量センサ40が導体30を検出し、L(1)が0以外のとき(ステップ105でNo)、制御部51は、記憶部53にL(1)の値をストラップ長の初期値として保存する(ステップ106)。記憶部53に保存された初期値L(1)の値は、シートベルトが装着されていないときのストラップ11の長さを示すものであり、引き出し量を判断する際の基準として用いられる。初期値L(1)の値が記憶部53に保存されると初期化の動作は完了する(ステップ107)。
次に、乗員が座席17に座ってシートベルトを着用した際に、ストラップ11が引き出される長さである乗車時初期値L(2)が計測される際の動作について図7を参照して説明する。乗車時初期値L(2)は、乗客が座席17に座ってシートベルトのストラップ11を引き出したときに、初期化時の長さを基準として、シートベルトを装着する際に引き出された長さのことをいう。
着座センサ入力部57を介して着座センサ23がオン状態になったことを示す信号を検知すると(ステップ111)、制御部51は、乗車時初期値であるL(2)に初期値L(1)の値を代入する(ステップ112)。L(2)にL(1)の値を代入すると、ストラップ検出センサ入力部52を介して入力されるストラップ検出センサ21の各静電容量センサ40の信号の読み込みを行う(ステップ113)。制御部51は、各静電容量センサ40から入力される信号の読み込みを行うと、オン状態の信号が入力された静電容量センサ40−Xに対応する2^(X−1)の値を算出する。
オン状態の信号が入力された静電容量センサ40−Xの2^(X−1)の値を算出すると、制御部51は、オン状態の信号が入力された静電容量センサ40の値を合計し、合計値L(2')を算出する(ステップ114)。
L(2')の値を算出すると、制御部51は、L(2')が0でないかを判断する。L(2')=0のとき(ステップ115でNo)、制御部51は、導体30が各静電容量センサ40の検出範囲内にないとして、L(2')の値を使用せず、ステップ117へ進む。
L(2')が0でないとき(ステップ115でYes)、制御部51は、L(2')の値をL(2)として設定する(ステップ116)。L(2')の値をL(2)として設定すると、制御部51は、シートベルト検出センサ入力部56を介して入力されるシートベルト検出センサ22の信号がオン状態であるかを確認する。シートベルト検出センサ22は、シートベルトが装着されているとき、すなわち、タング14がバックル13に固定されているとき、オン状態の信号を出力する。
シートベルト検出センサ22の信号がオン状態ではないとき(ステップ117でNo)、制御部51は、ステップ113に戻り、ストラップ検出センサ入力部52を介して各静電容量センサ40から入力される信号の読み込みを行う動作を繰り返す。
シートベルト検出センサ22の信号がオン状態であるとき(ステップ117でYes)、制御部51は、L(1)とL(2)の値の差を比較し、差が十分であるかを確認する。制御部51は、L(2)−L(1)の値を算出し、差を比較する。L(2)−L(1)>2のとき(ステップ118でYes)、制御装置24は、シートベルトは十分に引き出せていると判断し、L(2)の値を乗車時初期値として設定し記憶部53に保存する(ステップ119)。
L(2)−L(1)が2未満であるとき(ステップ118でNo)、制御装置24は、ストラップ長が短いため、シートベルト検出センサ22が異物等でオンになったのみで、シートベルトが正しく着用されていないと判断する。シートベルトが正しく着用されていないと判断すると、制御部51は、警告部55を介してシートベルトを正しく装着するように警告を発する。シートベルトを正しく装着するように警告を発すると、制御部51は、ステップ113に戻り、ストラップ検出センサ入力部52を介して各静電容量センサ40から入力される信号の読み込みを行う。
次に、運転が行われている際のシートベルトの変化量を基に乗員が適切な姿勢であるかを判断する運転診断を実施する際の動作について説明する。図8は、本実施形態の着座状態判別システムにおいて、運転が行われている際のシートベルトの変化量を基に乗員が適切な姿勢であるかを判断する際の動作フローの概要を示したものである。
乗車初期値の設定を終えると、制御部51は、ギア信号入力部58からの入力信号を確認し、車両が走行しているかを確認する。車両が走行していることを検知すると、制御部51は、運転診断を開始する。運転診断を開始すると制御部51は、乗車初期値L(2)の値をL(3)に設定する(ステップ131)。L(2)の値をL(3)に設定すると、制御部51は、ストラップ検出センサ入力部52を介して入力されるストラップ検出センサ21の各静電容量センサ40の信号の読み込みを行う(ステップ132)。制御部51は、各静電容量センサ40から入力される信号の読み込みを行うと、オン状態の信号が入力された静電容量センサ40−Xに対応する2^(X−1)の値を算出する。
オン状態の信号が入力された静電容量センサ40−Xの2^(X−1)の値を算出すると、制御部51は、オン状態の信号が入力された静電容量センサ40の値を合計し、合計値L(3')を算出する(ステップ133)。
L(3')の値を算出すると、制御部51は、L(3')が0でないかを判断する。L(3')が0のとき(ステップ134でNo)、制御部51は、導体30が各静電容量センサ40の検出範囲内にないとして、L(3')の値を使用せず、ステップ136へ進む。
L(3')が0でないとき(ステップ134でYes)、制御部51は、L(3')の値をL(3)として設定する(ステップ135)。L(3')の値をL(3)として設定すると、制御部51は、L(3)の値を乗車初期値L(2)と比較する。L(3)−L(2)が0より小さいとき(ステップ136でNo)、制御部51は、乗車時の乗員の姿勢が不適切で引き出されていたストラップ長が適切な長さより長かったと判断する。乗車時ストラップ長が適切な長さより長かったと判断すると、制御部51は、L(3)の値をL(2)に代入して、乗車初期値を再設定する(ステップ137)。
L(3)の値をL(2)に代入して、乗車初期値を再設定すると、制御部51は、制御部51は、ステップ132に戻り、ストラップ検出センサ入力部52を介して各静電容量センサ40から入力される信号の読み込みを行う。
L(3)−L(2)が0以上のとき(ステップ136でYes)、制御部51は、ストラップ長を乗車初期値と比較して運転姿勢が適切かの判断を行う。L(3)−L(2)が3以上であるとき(ステップ138でYes)、制御部51は、乗員が前傾姿勢になっているなど適切な姿勢でないと判断する。乗員が適切な姿勢でないと判断すると、警告部55を介して正しい姿勢となるように警告を通知する。正しい姿勢となるように警告を通知すると、制御部51は、制御部51は、ステップ132に戻り、ストラップ検出センサ入力部52を介して各静電容量センサ40から入力される信号の読み込みを行う。
また、L(3)−L(2)が2以下であるとき(ステップ138でYes)、制御部51は、正しい姿勢が維持されていると判断する。正しい姿勢が維持されていうと判断すると、制御部51は、ステップ132に戻り、ストラップ検出センサ入力部52を介して各静電容量センサ40から入力される信号の読み込みを行い運転姿勢の監視を継続する。導体30の長辺方向の間隔が3cmであるとすると、L(3)−L(2)が2であるときは、ストラップ長の6cmの変換に相当する。また、L(3)−L(2)の比較は2以外の値を基準として行ってもよい。制御部51は、ギア信号入力部58からの入力信号を確認し、車両が運行を停止するまで上記の運転診断の動作を継続して行う。
また、上記の例では、乗車初期値L(2)とL(3)の差が所定の基準との比較によって判断を行っているが、制御部51は、L(3)−L(2)の変化量を基に運転姿勢の判断を行ってもよい。例えば、L(3)−L(2)が増減を繰り返すとき、制御部51は、乗員が寝ていると判断し、警告部55から警告を行うようにしてもよい。L(3)−L(2)の変化量を基に運転姿勢の判断を行うことで、より適切に運転姿勢の判断を行うことができるようになる。
本実施形態の着座状態判別システムでは、ストラップ11上に導電性繊維を用いて形成された導体のパターンが2進数の規則に基づいて配置され、導体のパターンを検出することでストラップ11上の位置を識別することができる。本実施形態の着座状態判別システムでは、ショルダーアンカー12内のストラップ検出センサ21で検出された導体のパターンを基にストラップ11の引き出し量を基に、乗員のシートベルトの着用状態や姿勢を判断することができる。
本実施形態の着座状態判別システムでは、ショルダーアンカー12内のストラップ検出センサ21の静電容量センサ40で導体の検出を行うのでストラップ11側には、センサや配線を必要としない。そのため、ストラップ11を手で触れた際などにも誤検出は生じない。また、本実施形態の着座状態判別システムのストラップ11にはセンサや配線を形成する必要がないため、ストラップ11の厚みや剛直性の増加は生じない。そのため、本実施形態のストラップ11は、薄さや柔軟性を維持することができ、シートベルトとしての操作性や装着感の低下を抑制することができる。
また、本実施形態の着座状態判別システムでは、ストラップ11が引き出されている長さの変化を監視し、監視結果を基にシートベルトの着用状態や乗員の状態を判断することができる。本実施形態の着座状態判別システムでは、ストラップ11の長さの変化を基に着用状態や乗員の状態を判断し、乗員への警告等を行うことで安全性を向上することができる。以上より、本実施形態の着座状態判別システムは、誤検知や操作性の低下などを抑制し、シートベルトが正しく着用されているかを検出することができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図9は、本実施形態の着座状態判別システムの構成の概要を示したものである。第2の実施形態ではショルダーアンカーに備えられたセンサによってストラップ長を計測していたが、本実施形態の着座状態判別システムは、ストラップ通過部においてもストラップ長の変化を計測する。本実施形態の着座状態判別システムは、ストラップ通過部においてもストラップ長の変化を計測することで乗員の着座状態をより詳細に判断することが可能になり、乗員への警告等をより適切に行うことができることを特徴とする。
本実施形態の着座状態判別システムは、ストラップ11と、ショルダーアンカー12と、バックル13と、タング14と、ストラップ通過部61と、シートベルト巻き取り装置16を備えている。また、本実施形態の着座状態判別システムは、ストラップ検出センサ21と、シートベルト検出センサ22と、着座センサ23と、ストラップ通過部センサ62と、制御装置63をさらに備えている。また、本実施形態の着座状態判別システムは、車両の内部の車体18に座席17とともに備えられている。
本実施形態の着座状態判別システムのストラップ11、ショルダーアンカー12、バックル13、タング14、ストラップ通過部61およびシートベルト巻き取り装置16は、第2の実施形態と同様の3点式のシートベルトを構成している。
本実施形態のストラップ11、ショルダーアンカー12、バックル13、タング14、ストラップ検出センサ21、シートベルト検出センサ22および着座センサ23の構成と機能は、第2の実施形態の同名称の部位と同様である。また、シートベルト巻き取り装置16および座席17の構成と機能は、第2の実施形態の同名称の部位と同様である。
ストラップ通過部61は、第2の実施形態のストラップ通過部15と同様の機能に加え、内部に有する誘電容量センサによってストラップ長の変化を検出する機能を有する。ストラップ通過部61は、内部にストラップ通過部センサ62を備えている。
ストラップ通過部センサ62は、第2の実施形態のストラップ検出センサ21と同様の構成のものを用いることができる。すなわち、ストラップ通過部センサ62は、ストラップ11上の導体30を誘電容量センサで検出するセンサである。ストラップ通過部センサ62は、ストラップ検出センサ21と同様に2進数のパターンに基づいて形成された導体30を検出することで、ストラップ長の変化を検出することができるセンサである。ストラップ通過部センサ62は、各静電容量センサが導体を検出した信号を、着座状態判別装置70に送る。
着座状態判別装置70の構成について説明する。図9は、着座状態判別装置70の構成の概要を示したものである。着座状態判別装置70は、制御部71と、ストラップ検出センサ入力部72と、記憶部73と、電源部74と、警告部75を備えている。また、着座状態判別装置70は、シートベルト検出センサ入力部76と、着座センサ入力部77と、ギア信号入力部78と、ストラップ通過部センサ入力部79をさらに備えている。ストラップ検出センサ入力部72、記憶部73、電源部74、警告部75、シートベルト検出センサ入力部76、着座センサ入力部77およびギア信号入力部78の構成と機能は、第2の実施形態の同名称の部位と同様である。
制御部71は、第2の実施形態の制御部51と同様の機能に加え、シートベルト検出センサ22およびストラップ通過部センサ62が計測するストラップ長を基に、乗員の着座状態を判断する機能を有する。制御部71は、ストラップ通過部センサ62で計測する乗員の腰部分で水平方向に使用しているストラップ長Lwと、ストラップ検出センサ21で計測する全体長を基に、肩から腰にかけて斜めに使用している部分のストラップ長Lsを算出する。
制御部71は、ストラップ長LsとLwを基に乗員の姿勢および着座位置を判断する。制御部71は、ストラップ長LsとLwが両方とも増加したとき、乗員の上半身と着座位置が両方とも前に出ていると判断する。また、制御部71は、ストラップ長Lsのみ増加したとき、着座位置はそのままで上半身が前に傾いていると判断する。制御部71は、乗員の上半身と着座位置の動きを判断し、所定の基準以上、変化したときに警告部75を介して乗員に通知する。ストラップ長LsとLwの増加量の判断基準は、あらかじめ設定されている。
ストラップ通過部センサ入力部79は、ストラップ通過部センサ62が出力した信号を受信するインターフェースとしての機能を有するストラップ通過部センサ入力部79は、ストラップ通過部センサ62から受信した信号を制御部71に送る。
本実施形態の着座状態判別システムの動作について説明する。本実施形態の着座状態判別システムの初期化動作および乗員が着座した際の初期値を算出する際の動作は、第2の実施形態と同様である。そのため、以下では、本実施形態の着座状態判別システムにおいて、乗員の姿勢と着座位置の監視を行う運転診断の際の動作についてのみ説明する。図11は、本実施形態の着座状態判別システムにおいて、乗員の姿勢と着座位置の監視を行う際の動作フローの概要を示したものである。
乗車初期値の設定が完了し、車両が運行していることを検知すると、制御部71は、乗員の姿勢と着座位置を監視する動作を開始する(ステップ141)。乗車初期値の設定を行う際に、制御部71は、全体のストラップ長とともに、腰部分のストラップ長Lwの初期値をストラップ通過部センサ62から入力される信号を基に算出し、記憶部73に保存している。
乗員の姿勢等を確認する動作を開始すると、制御部71は、ストラップ検出センサ入力部72を介してストラップ検出センサ21から入力される信号の読み取りを行う(ステップ142)。また、制御部71は、ストラップ通過部センサ入力部79を介してストラップ通過部センサ62から入力される信号の読み取りを行う(ステップ143)。
制御部71は、第2の実施形態と同様な方法でストラップ検出センサ21の信号を基にストラップ11の全体の長さを算出する。また、制御部71は、第2の実施形態と同様の方法でストラップ通過部センサ62の信号を基にストラップ長Lwを算出する(ステップ144)。
全体のストラップ長およびストラップ長Lwを算出すると、制御部71は、全体のストラップ長からストラップ長Lwの値を引いて、肩から腰の部分の長さであるストラップ長Lsを算出する(ステップ145)。
ストラップ長Lsを算出すると、制御部71が、ストラップ長LsおよびLwの変化量を算出する(ステップ146)。ストラップ長LsおよびLwの変化量を算出すると、制御部71は、変化量を乗員の姿勢等をシートベルトの引き出し量を基に判断する際の所定の基準と比較する。
ストラップ長LsおよびLwの変化量がそれぞれに設定されている所定の基準よりも大きいとき(ステップ147でYes)、制御部71は、乗員の着座位置が前寄りで、かつ、乗員の上半身が前に倒れていると判断する。乗員の着座位置が前寄りで、かつ、乗員の上半身が前に倒れていると判断すると、制御部71は、警告部75から姿勢と着座位置を直すように通知する(ステップ148)。姿勢等を直す通知を行うと、制御部71は、ステップ142に戻って、乗員の姿勢等の監視を継続する。
ストラップ長LsおよびLwの変化量がそれぞれに設定されている所定の基準よりも大きいはないとき(ステップ147でNo)、制御部71は、ストラップ長Lsの変化量が所定の基準より大きいかを判断する。
ストラップ長Lsの変化量が所定の基準よりも小さいとき(ステップ149でNo)、制御部71は、ステップ142に戻って、乗員の姿勢等の監視を継続する。ストラップ長Lsの変化量が所定の基準よりも大きいとき(ステップ149でYes)、制御部71は、乗員の着座位置は正常だが、乗員の上半身が前に倒れていると判断する。乗員の上半身が前に倒れていると判断すると、制御部71は、警告部75から姿勢を直すように通知する(ステップ150)。姿勢を直す通知を行うと、制御部71は、ステップ142に戻って、乗員の姿勢等の監視を継続する。
本実施形態の着座状態判別システムは、第2の実施形態と同様の効果を有する。また、本実施形態の着座状態判別システムは、ショルダーアンカー12に加え、乗員の腰に近いストラップ通過部61においてもストラップ長の検出を行っている。本実施形態の着座状態判別システムは、2か所においてストラップ長を検出することで、肩から腰に掛けて乗員を保持する部分と、腰を水平方向に保持する部分の長さをそれぞれ算出することができる。そのように2つの長さを算出することで、本実施形態の着座状態判別システムは、乗員の着座状態をより詳細に判断することができる。そのため、本実施形態の着座状態判別システムは、着座状態に応じた乗員への通知等をより的確に行うことが可能になる。
第2の実施形態および第3の実施形態では、2進数の規則に従った導体のパターンを形成し、ストラップ長の検出を行っているが、所定の規則によって長辺方向の位置を識別できるものであれば2進数以外のパターンを用いてもよい。例えば、導体が形成されている場所の組み合わせによって、長辺方向の位置を識別できるようしてもよい。また、第2の実施形態および第3の実施形態では、2進数の値が順に大きくなるように長辺方向に導体のパターンを配置したが、あらかじめ制御装置にパターンと位置の対応が記憶されていれば、他の配置方法であってもよい。
第2の実施形態および第3の実施形態では、着座状態判別システムが自動車の車両に備えられている例について説明したが、自動車以外に用いられていてもよい。例えば、第2および第3の実施形態の着座状態判別システムは、航空機、列車、作業用車両および遊戯施設の乗り物等の各座席に備えられていてもよい。また、第2および第3の実施形態の着座状態判別システムのストラップを、荷物を固定するベルトに用いて第2および第3の実施形態の着座状態判別システムの構成を荷台の監視等に適用してもよい。