JP6367730B2 - 無針注射装置 - Google Patents

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Description

本願発明は、注射針を有しない無針注射器を備える無針注射装置に関する。
衛生的な側面から、注射針を有しない無針注射器が有望視されており、広く開発されている。このような無針注射器では、加圧された注射液が射出され、その射出エネルギーにより注射対象物の表皮を貫通し、その内部に注射液の成分が送り届けられることになる。一方で、注射針が存在しないことにより、注射対象物に対して無針注射器を正確に位置決めした上で、その射出口を注射対象物に適切に接触させた状態としなければ、注射液の成分を送り届けることが困難となる。
ここで、特許文献1には、無針注射器の注射の使用者に対して、正確な位置に注射が可能となるように、無針注入器の出口側端部を保持する補助具が開示されている。また、特許文献2には、血圧測定機とともに無針注射器が組み込まれた医療装置が開示されている。この医療装置は、血圧をセンサーで感知して無針注射器から患者に薬液を自動で投与するものであり、装置を使用者の体に装着し血圧を測定しながら適切な血圧値になるように、注射が行われる。
特表2000−508928号公報 米国特許第8702614号明細書
上記の特許文献1による補助具は注射対象物に無針注射器を取り付けるものであるが、基本的には無針注射器の射出口が所望の位置に位置決めされるように無針注射器の取り付けを行うものである。しかし、無針注射器の注射液が射出されるノズルの射出口が、適切な圧力で注射対象物に当たっていることは確認できない。したがって、当該補助具だけでは、無針注射器による好適な注射の実現は困難である。
また、上記の特許文献2による医療装置では、使用者の血圧を測定するために使用者の注射対象物を加圧する構成は開示されているが、無針注射器に関する加圧については何ら言及はされておらず、やはり当該医療装置でも、無針注射器の先端部と使用者の皮膚との接触が十分かどうかが確認できない。したがって、当該医療装置においても、無針注射器による好適な注射の実現は困難である。
そこで、本願発明は、上記した問題に鑑み、無針注射器による好適な注射を実現するために、注射目的物質が射出される射出口と注射対象物との適切な接触状態を形成する無針注射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本願発明者は、注射目的物質を射出するノズル部の射出口に対して注射対象物を押し出すとともに、当該射出口を注射対象物側にも押圧する袋体を設ける構成を採用した。具体的には、本願発明は、注射対象物の外周面を取り囲むように配置される膨張可能な袋体と、注射針を有しない無針注射器であって、前記袋体が取り囲む前記注射対象物に向かって該無針注射器内の注射目的物質を射出するノズル部を有し、
該ノズル部の射出口は、該袋体が該注射対象物に対して取り付けられると、該注射対象物に対向した状態となる、無針注射器と、前記袋体に膨張用気体の供給を行う気体供給装置と、を備える、無針注射装置である。そして、前記袋体は、前記気体供給装置からの前記膨張用気体により膨張する袋部分であって、前記袋体のうち前記無針注射器の配置部位を除く部位の何れかであって、膨張により前記注射対象物を加圧するように配置される第1袋部分と、前記気体供給装置からの前記膨張用気体により膨張し前記第1袋部分とは別に形成される袋部分であって、膨張により前記射出口を前記注射対象物側に押し付けるように、該注射対象物との間に前記ノズル部を挟む部位に配置される第2袋部分と、を有する。
本発明に係る無針注射装置が備える無針注射器については、上記の通り、注射対象物への注射目的物質が射出されるノズル部を有し、無針注射器が袋体に取り付けられた状態で、そのノズル部の射出口が袋体によって囲まれる注射対象物に対向するように構成されるものであれば、具体的な構造は特に限定されない。例えば、注射目的物質の射出のためのエネルギー源としては、様々な公知のエネルギー発生態様を採用することができる。その一例としては、点火器によって点火される点火薬や、燃焼によりガスを発生させるガス発生剤を採用することができる。また、上記以外の駆動部の態様として、バネ等の弾性部材のエネルギーや圧縮ガスのエネルギーの開放を、保持部に付与するエネルギーとして利用してもよい。あるいは電源回路からの電圧印加によって駆動される電磁バルブやソレノイドアクチュエータ等を利用してもよく、またこれらの駆動源によって付勢バネで固定されているピストンを係止状態から開放し、蓄積されていた付勢バネの弾性エネルギーを利用してもよい。これら射出エネルギーは、直接的に、または間接的に注射目的物質に伝えられ、加圧された注射目的物質がノズル部の射出口から注射対象物に向かって射出されることになる。
また、無針注射器より射出される注射目的物質については、注射対象物の目的部位で効能が期待される成分を含むものであってもよい。そのため、少なくとも上記射出構成による射出が可能であれば、無針注射器内での注射目的物質の収容状態や、液体やグル状等の流体、粉体、粒状の固体等の注射目的物質の具体的な物理的形態は問われない。たとえば、注射目的物質は液体であり、また固体であっても射出を可能とするグル状の回体や粉体であってもよい。そして、注射目的物質には、注射対象物の目的部位に送り込むべき成分が含まれ、当該成分は注射目的物質の内部に溶解した状態で存在してもよく、又は当該成分が溶解せずに単に混合された状態であってもよい。一例を挙げれば、送りこむべき成分として、抗体増強のためのワクチン、美容のためのタンパク質、毛髪再生用の培養細胞等があり、これらが射出可能となるように、液体、ゲル状等の流体に含まれることで注射目的物質が形成される。また、注射目的物質は、所定の物質そのものではなく、当該所定物質を包容したカプセル等の包容物であってもよい。更には、注射対象物で医療効果を表す薬剤等ではなく、所定の目的のために生体内に埋め込まれる物であってもよい。例えば、生体の識別番号等が記録された微小のICチップ等を注射目的物質としてもよい。
ここで、本発明に係る無針注射装置では、無針注射器が袋体に取り付けられた状態で使用に供される。すなわち、無針注射器は単独で注射目的物質の射出を行うのではなく、袋体が備える第1袋部分と第2袋部分との支持を受けた状態で、無針注射器による注射目的物質の射出のための環境(以下、「射出支持環境」という)が形成され、それにより好適な注射結果が実現されることになる。
具体的には、第1袋部分と第2袋部分とは、気体供給装置からの供給空気により膨張可能な袋状の構成であり、別個に形成される。ただし気体供給装置からそれぞれの袋部分への空気の供給は、独立した経路で行われてもよいし、供給経路が一部繋がっていてもよい。そして、第1袋部分は、主に袋体に囲まれた注射対象物に対して作用するように形成さ
れている。すなわち、第1袋部分は、気体供給装置から膨張用気体が供給され膨張すると、その膨張部位が無針注射器に対してよりも、注射対象物に対して押圧力を作用させる。そのため、袋体の中での第1袋部分の膨張により、結果として注射対象物は無針注射器に向かって押し付けられることになる。そのため第1袋部分は、少なくとも注射対象物を挟
んでノズルと反対側およびその近傍位置に配置されることができる。また、第1袋部分は、注射対象物に対して袋体自体の固定のためにも、少なくともノズル側およびその近傍に配置されることができる。一方で、第2袋部分は、主に無針注射器に対して作用するように形成されている。すなわち、第2袋部分は注射対象物との間にノズル部が挟まれるように袋体において配置され、そのため第2袋部分が膨張用気体により膨張すると、その膨張部分がノズル部の射出口を注射対象物側に押し付ける。
このように袋体においては、第1袋部分と第2袋部分のそれぞれに割り当てられた作用により、注射対象物とノズル部の射出口が効果的に近接されることになる。そのため、気体供給装置から各袋部分への膨張用気体の供給が行われると、注射対象物と射出口とを適切に接触させた射出支持環境が形成され、以て、無針注射器による注射目的物質の射出を好適に実現することができる。なお、気体供給装置から各袋部分への膨張用気体の供給については、結果的に注射対象物とノズル部の射出口との接触が適切に実現可能な限りにおいては、特定の供給形態に限られるものではない。例えば、気体供給装置から両袋部分へ同時に膨張用気体を供給してもよいし、何れか一方の袋部分への供給を先んじて行うようにしてもよい。また、それぞれの袋部分への供給タイミングや供給量は任意に調整できるようになっていてもよい。
ここで、上記の無針注射装置は、前記射出口の近傍であり、前記第1袋部分及び前記第2袋部分に前記膨張用気体が供給された状態で、前記注射対象物該射出口に掛かる圧力を検出できる位置に配置された圧力検出装置を、更に備えてもよい。圧力検出装置によって射出口に掛かる圧力を検出することで、射出口の注射対象物に対する接触状態を推定、把握でき、より好適な射出支持環境の形成が可能となる。また、上記の無針注射装置において、前記圧力検出装置は、前記第2袋部分が膨張した際に、該膨張により前記射出口とともに前記注射対象物に押し付けられるように、該注射対象物と該第2袋部分との間に配置されてもよい。このように圧力検出装置を配置することで、膨張用気体により第2袋部分を膨張させているときに、圧力検出装置を射出口と同じ、膨張による押圧環境下に置くことになる。そのため、圧力検出装置により検出される圧力が、射出口の注射対象物に対する接触状態を好適に反映することになり、以て、より好適な射出支持環境の形成が可能となる。
また、上述までの無針注射装置は、前記無針注射器における前記注射目的物質の射出を制御する注射器制御部を、更に備えてもよい。その場合、前記注射器制御部は、前記気体供給装置から前記膨張用気体が供給され前記圧力検出装置による検出圧力が所定圧力に到達すると、前記注射目的物質の射出を実行する。このように構成されることで、射出口と注射対象物との接触状態を概ね一定とした射出支持環境が形成される。これにより、射出口と注射対象物の接触状態に関して過不足ない状態となり、加圧し過ぎることによる使用者の不快感を抑制するとともに、好適な注射を実現するための射出口と注射対象物との接触状態が形成されることになる。
ここで、上述までの無針注射装置は、前記気体供給装置における前記膨張用気体の供給を制御する供給制御部を、更に備えてもよい。その場合、前記供給制御部が所定のタイミングで前記第1袋部分及び前記第2袋部分に前記膨張用気体を供給した後に、前記注射器制御部は、前記注射目的物質の射出を実行する。このように供給制御部が予め決められた所定のタイミングで膨張用気体を供給し、それをトリガーとして自動的に注射器制御部が注射目的物質の射出を行うことで、使用者の利便性を高めることになる。なお、このよう
に無針注射器による注射目的物質の射出を自動的に行い得るのは、上記の通り第1袋部分と第2袋部分の膨張により好適な射出支持環境が形成されることに依る。また、上記所定のタイミングとは、様々な手段により決定される、注射目的物質を射出すべきタイミングである。例えば、供給制御部等が保持するタイマーを利用して所定のタイミングを決定してもよく、又は、射出タイミングに関連するパラメータを検知するセンサ等の検知結果を利用して所定のタイミングを決定してもよい。例えば、圧力検出装置が射出口と注射対象物のとの間に掛かる所定圧力(すなわち、ノズルが注射対象物と所定圧力で当接している状態)を感知した時点で、一旦供給制御部によって気体の供給が止められる。そしてそれをトリガーとして、注射器制御部が注射目的物質を射出するようにしてもよい。
無針注射器による好適な注射を実現するために、注射目的物質が射出される射出口と注射対象物との適切な接触状態を形成する無針注射装置を提供することが可能となる。
本発明に係る無針注射装置の概略的な構成を示す、該無針注射装置の断面図である。 本発明に係る無針注射装置の使用状態を示す概略図である。 図1に示す無針注射装置に含まれる無針注射器において注射前の状態を概略的に示す図である。 図1に示す無針注射装置に含まれる無針注射器において注射完了時の状態を概略的に示す図である。 図3Aに示す無針注射器においてノズル流路を有するノズル部材をノズルホルダーに装着する様子を示す図である。 図3Bに示す無針注射器のノズル流路近傍の構成の拡大図である。 図1に示す無針注射装置で実行される注射制御のフローチャートである。 本発明に係る無針注射装置の概略構成を示す、第2の図である。 本発明に係る無針注射装置の概略構成を示す、第3の図である。
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る無針注射装置40について説明する。また、無針注射装置40には、無針注射器20(以下、単に「注射器20」という)が備えられている。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこの実施の形態の構成に限定されるものではない。
ここで、図1は無針注射装置40の軸方向に沿った断面図でありその内部の状態を示しており、図2は無針注射装置40の使用状態を示す図である。本実施例では、図2に示すように使用者の腕や足など(以下「腕」と総称するが、足であってもかまわない)の皮膚組織等が、注射器20により射出される注射液の射出対象である注射対象物となる。なお、本願の以降の記載においては、注射器20によって注射対象物に注射される注射目的物質を「注射液」と総称する。しかし、これには注射される物質の内容や形態を限定する意図は無い。注射目的物質としては、例えば、生体の皮膚構造体に届けるべき成分が溶解していても溶解していなくてもよく、また注射目的物質も、加圧することで後述するノズル流路3の射出口から皮膚構造体に対して射出され得るものであれば、その具体的な形態は不問であり、液体、ゲル状等様々な形態が採用できる。
無針注射装置40は、円筒形のケーシング41を有しており、その表面は布繊維、樹脂等、比較的変形が容易な部材で形成されており、後述する袋部分42、43が膨張するときにその膨張に合わせてケーシング41の表面も膨張したり変形したりする。また、ケー
シング41の中央部分には、ケーシング41の軸方向に貫通する貫通空間41bが形成されている。この貫通空間41bは、図2に示すように注射対象物である使用者の腕を通すためのものであり、換言すれば、使用者の腕に対して無針注射器40を取り付けて位置決めするための空間である。したがって、貫通空間41bの大きさは、使用者の腕が挿入可能な程度の大きさである。
ここで、ケーシング41の内部の空間であって貫通空間41b以外の空間は、ケーシング41の部材により閉じられた空間(以下、単に「閉空間」という)が形成されており、その閉空間内に、第1袋部分42、第2袋部分43、注射器20、圧力センサ(圧力制御装置)44、制御装置50が配置されている。第1袋部分42は、ケーシング41の外部に配置されているエア供給装置(気体供給装置)51から供給されるエアによって膨張する袋状の部材であり、閉空間のうちケーシング41の中央部の一部である中央収容空間41a(図2も参照のこと)以外の空間を概ね占めるように、ケーシング41内に配置される。すなわち、第1袋部分42は、中央収容空間41aを除いて、貫通空間41bに挿入された使用者の腕(注射対象物)を環状に取り囲むように閉空間内に配置される。なお、エア供給装置51は、内部にポンプを有し、第1袋部分42及び後述の第2袋部分43に膨張のためのエアを供給し、または、その供給されたエアを各袋部分から排出する装置である。
そして、中央収容空間41aには、貫通空間41b側に注射器20が配置され、その配置状態において、注射器20で注射液を射出するためのノズル部12の射出口が、貫通空間41bに露出している。すなわち、注射器20の多くの部分は中央収容空間41a内に収容されているが、ノズル部12の射出口が、貫通空間41bに挿入された使用者の腕に対向し、接触可能となる状態で、上記露出状態が形成されている。なお、ノズル部12を含む注射器20の詳細な構成については、後述する。また、ノズル部12の射出口の近傍の中央収容空間41a内に、圧力センサ44が配置され、当該射出口において生じる注射対象物である腕に対する圧力の検出を行う。
そして、貫通空間41bに使用者の腕が挿入された場合に、ノズル部12を貫通空間41b内の腕と挟む、中央収容空間41a内の部位に第2袋部分43が配置されている。この第2袋部分43は、第1袋部分42と同じように、エア供給装置51から供給されるエアによって膨張する袋状の部材である。この膨張用エアによって第2袋部分43が膨張すると、ノズル部12に対してその射出口を、貫通空間41b内の使用者の腕に近づけようと作用する。なお、注射器20は、後述するようにその内部に貫通孔9を有し、その内部をピストン7が摺動するように構成される。そのため、図1においてはこのピストン7の摺動を阻害しないように、第2袋部分43の膨張は、中央収容空間41内での空隙や変形可能な領域を利用して注射器20全体を変位させ、ノズル部12の射出口の、使用者の腕への接近を実現させる。
更に、中央収容空間41aには、制御装置50も収容されている。この制御装置50は、内部に演算装置、メモリ等を有し、当該メモリに記憶されている制御プログラムが実行されることで、無針注射装置40による所定の処理を実現させる。また、制御装置50には、上記圧力センサ44が電気的に接続され、その計測された圧力値が制御装置50に引き渡され、所定の処理等に利用される。更に制御装置50には、注射器20とエア供給装置51も電気的に接続され、注射器20における注射液の射出や、エア供給装置51による膨張用エアの供給、排出が、制御装置50によって制御可能とされる。したがって、制御装置50は、本発明に係る注射器制御部及び供給制御部に相当する。
ここで、注射器20の構成について説明する。図3Aおよび図3Bは注射器20の軸方向に沿った断面図であり、詳細には図3Aは注射前の注射器20内部の状態を示す図であ
り、図3Bは注射完了時の注射器20内部の状態を示す図である。したがって、図3Aに示す状態では、注射器20内に注射液が封入された状態となっており、一方で図3Bに示す状態では、その封入されていた注射液が注射器20の外部の注射対象物に対して射出された状態となっている。
また、注射器20は注射器本体1を有し、該注射器本体1の中央部には、その軸方向に延在し、軸方向に沿った径が一定である貫通孔9が設けられている。そして、貫通孔9の一端は、後述するように注射器20内に封入されている注射液に対して加圧を行う圧力発生部6(加圧部)側に至り、残りの一端は、注射対象物への注射液の射出経路となるノズル流路3が形成されたノズルホルダー2(保持部材:以下、単に「ホルダー2」という)側に至る。このホルダー2及びノズル流路3によりノズル部12が形成される。
ここで、貫通孔9における注射液の封入状態について説明する。図3Aに示すように、注射前の状態では、注射液は、貫通孔9内で上流側栓部材8と、別の下流側栓部材10に挟まれて形成される収容空間11内に封入されている。なお、本願における「上流」、「下流」の定義は、注射時に加圧により生じる注射液の流れに基づいて決定されている。また、圧力発生部6で生じた注射液の射出のための駆動力を、このように封入されている注射液に伝達するために、上流側栓部材8の上流側の貫通孔9は、金属製または樹脂製のピストン7が配置されている(なお、上流側栓部材8を介して注射液を加圧可能であれば、ピストン7については必ずしも配置されなくてもよい。)。このピストン7は一端が上流側栓部材8に接触し、もう一端が圧力発生部6による駆動力(圧力)を受圧できるように貫通孔9内に配置されている。このようにピストン7を介することで、圧力発生部6からの駆動力を注射液に伝えることができ、その注射液は、上流側栓部材8、下流側栓部材10とともに、貫通孔9内を下流側へ流れ、後述するホルダー2側へと送られることになる。
以上の構成を実現するために、上流側栓部材8、下流側栓部材10は、注射液の封入時に該注射液が漏れ出さないように、且つピストン7からの駆動力伝達に伴って注射液が円滑に貫通孔9内を移動できるように、各栓部材の材質が決定される。例えば、ブチルゴムやシリコンゴムが採用できる。更には、スチレン系エラストマー、水添スチレン系エラストマーや、これにポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンや流パラ、プロセスオイル等のオイルやタルク、キャスト、マイカ等の粉体無機物を混合したものがあげられる。さらにポリ塩化ビニル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーや天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムのような各種ゴム材料(特に加硫処理したもの)や、それらの混合物等を採用することもできる。
ここで、圧力発生部6について説明する。その具体的な一つの実施形態として、火薬の燃焼を利用した圧力発生形態が採用できる。例えば、電気的な通電により点火薬を燃焼させるイニシエータを利用できる。点火薬として、好ましくは、ジルコニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬(ZPP)、水素化チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬(THPP)、チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬(TiPP)、アルミニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬(APP)、アルミニウムと酸化ビスマスを含む火薬(ABO)、アルミニウムと酸化モリブデンを含む火薬(AMO)、アルミニウムと酸化銅を含む火薬(ACO)、アルミニウムと酸化鉄を含む火薬(AFO)、もしくはこれらの火薬のうちの複数の組合せからなる火薬が挙げられる。これらの火薬は、点火直後の燃焼時には高温高圧のプラズマを発生させるが、常温となり燃焼生成物が凝縮すると気体成分を含まないために発生圧力が急激に低下する特性を示す。適切な注射が可能な限りにおいて、これら以外の火薬を点火薬として用いても構わない。
そして、イニシエータでの点火薬の燃焼で生じた燃焼生成物を、別に設けられたガス発生剤に伝火させることで、圧力発生部6からピストン7へ伝える駆動力をより好適なものとすることができる。ガス発生剤の一例としては、ニトロセルロース98質量%、ジフェニルアミン0.8質量%、硫酸カリウム1.2質量%からなるシングルベース無煙火薬が挙げられる。また、エアバッグ用ガス発生器やシートベルトプリテンショナ用ガス発生器に使用されている各種ガス発生剤を用いることも可能である。これらのガス発生剤は、上記点火薬と異なり、燃焼時に発生した所定のガスは常温においても気体成分を含むため、比較的長い時間の燃焼時間を確保でき、以て、注射液の射出に必要十分な駆動力を圧力発生部6として生成することが可能となる。
ここで、注射器20の先端側(図3Aの左側)には、注射液を射出するためのノズル部12において、ノズル流路3を有するホルダー2が設けられている。ノズル流路3は、図4に示すようにホルダー2とは別体で構成されるノズルアタッチメント31が、該ホルダー2に装着されることでノズル部12が形成され、注射液の射出後にはノズルアタッチメント31がホルダー2から取り外され、新たなノズルアタッチメント31に交換されることで、注射器自体は次の注射に供されることも可能である。すなわち、注射器20においては、注射液の射出が行われるごとに新たなノズルに取り換えられるように、あるいは注射部位や用途に対してノズルアタッチメント31を取替え可能なように、ホルダー2に対して脱着可能に保持される構成となっている。また、このようなノズルアタッチメント31の脱着を可能とするために、注射器本体1に対してホルダー2も取り外し可能となるように構成され、その詳細については後述する。
次に、ホルダー2の詳細な構造について説明する。ホルダー2が注射器本体1に取り付けられ、圧力発生部6によって上流側栓部材8に加圧が行われることで、注射液とともに移動する下流側栓部材10が最終的に収容される凹部5が、ホルダー2内に設けられている。具体的には、ホルダー2が注射器本体1に取り付けられた状態において、圧力発生部6の加圧により下流側栓部材10が移動する方向の下流側に凹部5が設けられ、凹部5は、下流側栓部材10とほぼ同じ径を有し、下流側栓部材10の長さとほぼ同等の深さを有する。そして、加圧が行われる前の、下流側栓部材10の初期位置、すなわち、図3Aに示す下流側栓部材10の位置と、凹部5との間は、移動通路4として形成される。以上より、移動通路4と凹部5とは、貫通孔9の軸線上に配置され、以て、下流側栓部材10が初期位置から、移動通路4を経て凹部5へと円滑に到達することが可能となっている。また、貫通孔9、移動通路4の内径は、注射器20の軸方向にわたって略同一であり、また、貫通孔9、移動通路4、凹部5の内径は略一定となるように形成されている。
このように構成されることで、圧力発生部6によってピストン7に圧力がかかり注射液が上流側栓部材8と下流側栓部材10とともに注射器20の先端側に移動したときに、下流側栓部材10が凹部5内に収容される。凹部5に下流側栓部材10が収容されると、封入されていた注射液が解放され、上流側栓部材8から注射液への加圧も伴って、注射液が移動通路4を経てノズル流路3の射出口から注射器外の注射対象物に射出されることになる。
ここで、ホルダー2には、図5に示すように、注射液の加圧方向、換言すれば圧力発生部6の加圧により注射液が最初に移動する移動方向であって、注射器20の先端に向かう方向に沿って、3つのノズル(1つのノズルでもよい)流路3が一列に形成されている。いずれのノズル流路3も、その導入口は移動通路4に直接開口し、その射出口は注射器20の側方に開口しているが、最下流側のノズル流路3(以下、「最下流ノズル流路3」という)は、その上流側の2つのノズル流路3(以下、「その他のノズル流路3」)とは異なる機能を有すように形成されている。
この最下流ノズル流路3の開口部は、凹部5に下流側栓部材10が収容された状態において、該下流側栓部材10によって閉塞されないように、該下流側栓部材10との相対位置が決定されている。また、下流側栓部材10の上流側栓部材8に対向する面の周縁部には面取り部10aが形成されている。この面取り部10aによって下流側栓部材10の周縁部と移動通路4で形成される略環状の空間への注射液の潜り込みを確保することで、下流側栓部材10が凹部5に収容された状態でも、最下流ノズル流路3の導入口を介した注射液の流通状態が保持される。また、下流側栓部材10が凹部5に収容されると、さらに加圧された上流側栓部材8が下流側栓部材10に近接し、最終的には接触する。この結果、下流側栓部材10と上流側栓部材8との間に封入されていた注射液は、移動通路4を経て、そこに開口している3つのノズル流路3へと流れ込んでいく。そして、上流側栓部材8が下流側栓部材10に接触する直前には、最下流ノズル流路3を除いた、その他のノズル流路3の導入口は、上流側栓部材8によって閉塞されてしまう。しかし、上流側栓部材8が下流側栓部材10に接触した状態であっても、上記面取り部10aにより、最下流ノズル流路3の開口部は、下流側栓部材10にも上流側栓部材8にも閉塞された状態とはならず、その導入口を介した、注射液の最下流ノズル流路内への流れ込みは可能な状態に保持されている。
このように、移動通路4に直接開口する導入口を有し、下流側栓部材10が凹部5内に収容されてから上流側栓部材8が下流側栓部材10に接触するまでの間、常に、当該導入口を介して移動通路4からノズル流路内への注射液の流れ込みが可能となるように保持されている最下流ノズル流路3を有することで、注射器20内、特に移動通路4内での注射液の残存量を抑制することが可能となる。また、最下流ノズル流路3の導入口が移動通路4に直接開口し、その導入口と射出口とで画定される注射液の射出方向(本実施例の場合は、注射器内部から側方に向かう方向)が、加圧による注射液の当初の移動方向(本実施例の場合は、注射器20の先端に向かう方向)に対して非並行(図5では移動方向に対して射出方向が直角となる方向)であることから、換言すれば、当該射出方向と当該移動方向とは異なることから、導入口からノズル流路内に引き込まれた注射液は比較的短い経路を経て外部に射出される構成となる。そのため、注射器内部に、注射液が溜まりやすくなる空間(液溜り空間)が形成されるのを排除し得る。その結果、効率的な注射液の射出が実現できる。また、最下流ノズル流路3については、図5に示すように注射が完了した時点においても、その導入口を介した注射液の流れ込みは保持されるため、上記液溜り空間形成の抑制とともに移動通路4内での注射液の残存量を可及的に抑制することができる。
また、3つのノズル流路3のうち最下流ノズル流路3を除いた、その他のノズル流路3においても、それらの導入口は移動通路4に直接開口していることから、上記の通り、液溜り空間が形成されるのを排除しながら、注射対象物への注射液の射出が実現される。しかし、当該その他のノズル流路3の導入口は、図5に示すように、注射完了時には、上流側栓部材8によって直接閉塞されるか、もしくは上流側栓部材8よりも上流側に位置することになるため、最下流ノズル流路3のように注射完了の最後時点までは注射液の排出には寄与しないこととなる。しかし、上記の通り少なくとも一つの最下流ノズル流路3が備えられることで、注射器20内での注射液残存は抑制し得る。この観点から、注射器20は、最下流ノズル流路3と同様の排出機能を有するノズル流路を複数備える構成であってもよい。
また、上記の実施例では、注射液の最下流ノズル流路3内への流れ込みは、下流側栓部材10の面取り部10aによって保持されているが、これに代えて上流側栓部材8の下流側栓部材10に対向する面の周縁部に面取り部を設け、当該面取り部によって最下流ノズル流路3内への流れ込みを保持してもよく、また、最下流ノズル流路3の導入口の周縁部に面取り部を設け、当該面取り部によって最下流ノズル流路3内への流れ込みを保持して
もよい。更には、これらの面取り部を適宜組み合わせて、最下流ノズル流路3内への流れ込みを保持してもよい。
なお、上記の実施例では、ホルダー2には3つのノズル流路を、注射液の移動方向に沿って一列に並べたが、これに限られず複数列に並べても構わない。ただし、ノズル流路の数が増えると、その内部での注射液残存量が増加しうるため、ノズル流路の数は適切であるのが好ましい。
ここで、図6に基づいて、無針注射装置40における無針注射器20を用いた注射に関する制御について説明する。図6は、当該注射制御のフローチャートであり、当該注射制御は、制御装置50において所定の制御プログラムが所定間隔で繰り返し実行されることで、行われる。先ず、S101では、無針注射器20を用いる注射実行の指示があったか否かが判定される。実行指示の有無の判定については、様々な形態が考えられる。例えば、現在の時刻が、制御装置50が有している内部タイマーに設定されている所定の注射実行時間に到達している場合、実行指示があったと判定することができる。別法としては、図示しない押下式の実行スイッチを使用者が押下した場合、あるいは遠隔操作などで作動信号が供給された場合、実行指示があったと判定することができる。この実行スイッチは、使用者のアクセスが容易となる部位、例えば、中央収容空間41aの外表面にアクセス可能に露出して設置し、制御装置50に電気的に接続される。更に、別法として、貫通空間41b内に、注射対象物である使用者の腕が挿入されたことを検知する、図示しないセンサにより当該腕の存在が検知された場合に、実行指示があったと判定することができる。S101において肯定判定されるとS102へ進み、否定判定されると本注射制御を終了する。
S102では、制御装置50からの指示に従い、エア供給装置51から第1袋部分42に所定量のエアが供給されている。この所定量は、第1袋部分42の膨張により、貫通空間41b内の腕を軽く固定する程度の圧力が掛かり得るエア量である。なお、貫通空間41b内で使用者の腕が占める容積には個人差があるため、当該所定量は、使用者の腕が貫通空間41b内で容易に動かない程度の圧力を生じさせるものであり、この時点では、注射器20に掛かる圧力は厳密には調整されていない。所定量のエアを供給完了することでS102の処理が終了すると、S103へ進む。
S103では、第1袋部分42に所定量のエアが供給された状態において、第2袋部分43へのエア供給が開始される。このS103でのエア供給は、第2袋部分43を徐々に膨張させるものであって、ノズル部12の射出口に掛かる圧力が急激に上昇し使用者が不快感を覚えない程度の速度行われるエア供給である。そして、S104で、その時点でノズル部12の射出口に掛かる圧力を、圧力センサ44によって計測される。圧力センサ44は、ノズル部12(ホルダー2)の側面に位置し、その射出口の近傍に位置しているため、圧力センサ44で計測される圧力を、ノズル部12の射出口に掛かる圧力と合理的にみなすことができる。S104の処理が終了すると、S105へ進む。
S105では、S104で計測された圧力が、基準圧力に到達したか否かが判定される。当該基準圧力は、膨張した第2袋部分43によってノズル部12が注射対象物である腕側に押し出されることで形成される、ノズル部12の射出口と腕の表面(皮膚)との接触状態が、無針注射器20による注射液の射出に好適な接触状態であるとみなすことができる場合の圧力である。すなわち、ノズル部12の射出口に基準圧力が掛かっている場合には、ノズル部12の射出口が腕の表面に隙間なく接触しており、且つ、使用者が痛み等の不快感を覚えない程度の接触状態が形成されているとみなされる。S105で肯定判定されるとS106へ進み、否定判定されるとS103以降の処理が行われる。
次に、S106では、計測された圧力が基準圧力に到達したことをもって、第2袋部分43へのエア供給が停止される。この状態においては、所定量のエアが供給されている第1袋部分42によって貫通空間41b内の腕に圧力が作用し、その腕が注射器20のノズル部12の射出口に向かって押し上げられている。そして、第2袋部分43にエアが供給されることで、ノズル部12が腕に向かって押し込まれ、結果として、ノズル部12の射出口が腕の表面に好適に接触している状態が形成されている。そこで、S107の処理として、注射器20での注射液の射出が実行される。具体的には、制御装置50からの指示に従って、圧力発生部6のイニシエータの点火薬に対して点火電流が供給されることで、注射液の加圧及びその射出が実行されることになる。
その後、S108で、第1袋部分42及び第2袋部分43に供給されているエアが排出される。これにより、使用者の腕は各袋部分の膨張による加圧状態から解放され、貫通空間41bから腕を抜き出すことが可能となる。
このように本注射制御によれば、第1袋部分42と第2袋部分43の作用により、ノズル部12の射出口と使用者の腕の表面との接触を好適な状態にした上で、注射器20による注射液の射出が実行される。そのため、注射針を有しない注射器20に適した射出支持環境の下で注射液の射出を行うことになり、注射液を腕内の所望の位置の組織に送り届けやすくなる。
なお、上記の注射制御では、第1袋部分42、第2袋部分43の順で膨張させたが、ノズル部12の接触状態を適切に形成できる限りにおいて、第1袋部分42と第2袋部分43を同時に膨張させてもよい。この場合、両袋部分に同時にエアが供給されている状況において、圧力センサ44の計測圧力が基準圧力に到達したときに、両袋部分へのエア供給を停止すればよい。また、別法として、第2袋部分43を先に膨張させて第1袋部分42を膨張させるようにしてもよい。この場合は、第1袋部分42を膨張させているときに、圧力センサ44の計測値に基づいて第1袋部分42へのエア供給の停止タイミングを判断してもよい。
また、無針注射装置40は、ケーシング41内に注射器20を複数台備えてもよい。その場合、使用者は、複数の注射器20を含む無針注射装置40を腕に取り付けておく。そして、各注射器20の注射実行時期が制御装置50内に設定されることで、各注射器20の実行時期の到達時に、制御装置50はエア供給装置51を駆動して各袋部分にエアを供給し、ノズル部12の射出口と腕の表面との接触を適切な状態とした上で、自動的に各注射器20での注射液の射出を実行する。このような形態では、使用者は無針注射装置40を腕に取り付けておくだけで、注射器20による注射を好適に順次受けることができる。
<変形例1>
図7に基づいて、無針注射装置40の変形例について説明する。本変形例に係る無針注射装置40は、ケーシング41がその横断面(軸方向に垂直な断面)でC形状となっており、それ以外の構成は、上記実施例の無針注射装置40と同じである。なお、当該横断面における開口部が、図7において「41c」で参照されている。このように構成される無針注射器40においても、ケーシング41c内の閉空間に設けられた第1袋部分42と、該閉空間の一部である中央収容空間41aに設けられた第2袋部分43の膨張により、注射器20のノズル部の射出口を貫通空間41bに挿入された使用者の腕の表面に対して好適に接触させることができる。この結果、注射針を有しない注射器20による注射液の射出が好適に実現される。
<変形例2>
図8に基づいて、無針注射装置40の別の変形例について説明する。本変形例に係る無
針注射装置40は、使用者の腕に無針注射装置40を取り付ける前の状態では、図8に示すようにケーシング41が帯状となっており、それ以外の構成は、上記実施例の無針注射装置40と同じである。そして、使用に際しては、帯状のケーシング41を使用者の腕に巻きつけて固定することで、概ね図2に示す状態と近い取り付け状態が形成される。したがって、本変形例に係る無針注射装置でも、注射針を有しない注射器20による注射液の射出が好適に実現される。
<その他の実施例>
本願発明に係る無針注射装置40によれば、上述した注射液を皮膚構造体に注射する場合以外にも、例えば、ヒトに対する再生医療の分野において、注射対象となる細胞や足場組織・スキャフォールドに培養細胞、幹細胞等を播種することが可能となる。例えば、特開2008−206477号公報に示すように、移植される部位及び再細胞化の目的に応じて当業者が適宜決定し得る細胞、例えば、内皮細胞、内皮前駆細胞、骨髄細胞、前骨芽細胞、軟骨細胞、繊維芽細胞、皮膚細胞、筋肉細胞、肝臓細胞、腎臓細胞、腸管細胞、幹細胞、その他再生医療の分野で考慮されるあらゆる細胞を、注射器20により注射することが可能である。
さらには、特表2007−525192号公報に記載されているような、細胞や足場組織・スキャフォールド等へのDNA等の送達にも、無針注射装置40を使用することができる。この場合、針を用いて送達する場合と比較して、無針注射装置40を使用した方が、細胞や足場組織・スキャフォールド等自体への影響を抑制できるためより好ましいと言える。
さらには、各種遺伝子、癌抑制細胞、脂質エンベロープ等を直接目的とする組織に送達させたり、病原体に対する免疫を高めるために抗原遺伝子を投与したりする場合にも、無針注射装置40は好適に使用される。その他、各種疾病治療の分野(特表2008−508881号公報、特表2010−503616号公報等に記載の分野)、免疫医療分野(特表2005−523679号公報等に記載の分野)等にも、無針注射装置40は使用することができ、その使用可能な分野は意図的には限定されない。
1・・・・注射器本体
2・・・・ホルダー(ノズルホルダー)
3・・・・ノズル流路(最下流ノズル流路、その他のノズル流路)
6・・・・圧力発生部
7・・・・ピストン
12・・・・ノズル部
20・・・・注射器
40・・・・無針注射装置
41・・・・ケーシング
42・・・・第1袋部分
43・・・・第2袋部分
44・・・・圧力センサ
50・・・・制御装置
51・・・・エア供給装置

Claims (5)

  1. 注射対象物の外周面を取り囲むように配置される膨張可能な袋体と、
    注射針を有しない無針注射器であって、前記袋体が取り囲む前記注射対象物に向かって該無針注射器内の注射目的物質を射出するノズル部を有し、該ノズル部の射出口は、該袋体が該注射対象物に対して取り付けられると、該注射対象物に対向した状態となる、無針注射器と、
    前記袋体に膨張用気体の供給を行う気体供給装置と、
    を備える、無針注射装置であって、
    前記袋体は、
    前記気体供給装置からの前記膨張用気体により膨張する袋部分であって、前記袋体のうち前記無針注射器の配置部位を除く部位の何れかであって、膨張により前記注射対象物を加圧するように配置される第1袋部分と、
    前記気体供給装置からの前記膨張用気体により膨張し前記第1袋部分とは別に形成される袋部分であって、膨張により前記射出口を前記注射対象物側に押し付けるように、該注射対象物との間に前記ノズル部を挟む部位に配置される第2袋部分と、
    を有する、
    無針注射装置。
  2. 前記射出口の近傍であり、前記第1袋部分及び前記第2袋部分に前記膨張用気体が供給された状態で、前記注射対象物に対して該射出口に掛かる圧力を検出できる位置に配置された圧力検出装置を、更に備える、
    請求項1に記載の無針注射装置。
  3. 前記圧力検出装置は、前記第2袋部分が膨張した際に、該膨張により前記射出口とともに前記注射対象物に押し付けられるように、該注射対象物と該第2袋部分との間に配置される、
    請求項2に記載の無針注射装置。
  4. 前記無針注射器における前記注射目的物質の射出を制御する注射器制御部を、更に備え、
    前記注射器制御部は、前記気体供給装置から前記膨張用気体が供給され前記圧力検出装置による検出圧力が所定圧力に到達すると、前記注射目的物質の射出を実行する、
    請求項2又は請求項3に記載の無針注射装置。
  5. 前記気体供給装置における前記膨張用気体の供給を制御する供給制御部を、更に備え、
    前記供給制御部が所定のタイミングで前記第1袋部分及び前記第2袋部分に前記膨張用気体を供給した後に、前記注射器制御部は、前記注射目的物質の射出を実行する、
    請求項4に記載の無針注射装置。
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