JP6367622B2 - 導電性部材用組成物 - Google Patents
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ここで、前記ポリウレタンを含む弾性層の形成工程において、通常、有機錫化合物、ポリオール及びイオン導電剤の混合物(事前配合物)を調製し、前記調製した事前配合物にイソシアネートを加えて、イオン導電剤含有のポリウレタンを得る。
よって、ポリウレタンを含む弾性層を有する導電性部材の製造に用いられる、有機錫化合物の選択においては、事前配合物での沈殿物の発生が抑制された触媒が望まれている。
この構成によれば、触媒とイオン導電剤との反応により生じる沈殿の発生を抑制することができる。
R1は、炭素数4〜8の直鎖状炭化水素を表し、
R2は、水素、又は炭素数1〜6を有する構造で、エステル結合又は不飽和結合を有していてもよい。]
本発明の導電性部材用組成物は、導電性部材に用いられるものであって、少なくとも、ポリウレタンと、イオン導電剤とを含み、さらに、必要に応じて、その他の成分を含む。
上記導電性部材は、少なくとも一層以上の弾性層を少なくとも有し、さらに、必要に応じて、シャフト、表層、その他の部材を有する。
これらの中でも、帯電部材に本発明の導電性部材用組成物を適用すれば、帯電部材の品質を維持しながら、製造工程におけるポットライフを長期間にできる点で、製造上の利便性で有利である。
上記導電性部材における弾性層は、少なくとも、ポリウレタンと、イオン導電剤とを含み、さらに、必要に応じて、その他の成分を含む。
上記ポリウレタンは、少なくとも、ポリオール、イソシアネート及び触媒を反応させて得られる。前記ポリウレタンは、未変性ポリウレタン又は変性ポリウレタンのいずれでもよい。
上記ポリオールとしては、水酸基(OH基)を複数有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブタジエンポリオール、アルキレンオキサイド変性ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記イソシアネートとしては、イソシアネート基を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(クルードMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);これらのイソシアヌレート変性物、カルボジイミド変性物、グリコール変性物等;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記触媒は、錫原子に直接結合する官能基含有部を有する有機錫化合物を含む。
ここで、前記有機錫化合物は、錫原子を1つ又は複数有してもよい。また、前記有機錫化合物は、官能基含有部を1つの錫原子において1つ又は複数有していてもよい。これらの中でも、錫原子を1つ有し、該錫原子に官能基含有部を2つ有する有機錫化合物が、沈殿発生が生じにくい点で好ましい。
前記官能基含有部の分子量としては、150未満である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50以上150未満が好ましい。
前記官能基含有部の分子量が、150以上であると、イオン導電剤と反応して沈殿が生じ易くなる。一方、前記官能基含有部の分子量が、前記好ましい範囲内であると、触媒とイオン導電剤との反応により生じる沈殿の発生を、さらに抑制することができる点で有利である。
なお、前記有機錫化合物が、錫原子に結合する官能基含有部を複数有する場合、前記複数の官能基含有部のうち少なくとも1つの官能基含有部が、150未満であればよい。
上記官能基含有部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エステル基含有部、エーテル基含有部、アミド基含有部、イミド基含有部、などが挙げられる。これらは、1種単独でもよいし、2種以上でもよい。
これらの中でも、エステル基含有部が、沈殿発生が生じにくい点で、好ましい。
上記有機錫化合物の構造としては、例えば、下記一般式(I)で表される構造が好適に挙げられる。
R1は、炭素数4〜8の直鎖状炭化水素を表し、
R2は、水素、又は炭素数1〜6を有する構造で、エステル結合又は不飽和結合を有していてもよい。]
R1の直鎖状炭化水素の炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4〜8が好ましい。
R2は、水素、又は炭素数1〜6を有する構造であれば特に制限はなく、例えば、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、などの結合を有してもよいし、構造内に不飽和結合を有してもよい。
上記有機錫化合物の具体例としては、錫原子に直接結合する官能基含有部を有し、官能基含有部のうち少なくとも1つの官能基含有部の分子量が150未満の有機錫化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記化学式(1)で表される化合物ジオクチル錫ジアセテート(例えば、製造会社名:日東化成株式会社、商品名:U820)、下記化学式(2)で表されるジオクチル錫ビス(エチルマレート)(例えば、製造会社名:日東化成株式会社、商品名:U840)、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫ジアセテート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種を併用してもよい。また、これらの有機錫化合物は、環境対応触媒でもあり、製造に用いる触媒として良好である。
これらの中でも、前記ジオクチル錫ジアセテートが、触媒とイオン導電剤との反応により生じる沈殿の発生を、特に抑制することができる点で好ましい。また、他の触媒よりも少量で十分な効果を有することができる点で好ましい。
上記触媒のポリオールに対する配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01〜2.0質量%が好ましく、0.2〜1.3質量%がより好ましい。
前記触媒のポリオールに対する配合量が、0.01質量%未満であると、ポリオールとイソシアネートが反応しないことがあり、2.0質量%を超えると、ポリオールとイソシアネートが過度に反応して、生産性が悪くなることがある。一方、前記触媒のポリオールに対する配合量が、前記好ましい範囲内、前記より好ましい範囲内であると、ポリオールとイソシアネートとの反応を適度に調節することができる点で有利である。また、導電性部材の生産性と品質とを両立できる点で有利である。
イオン導電剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、四級アンモニウムの過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩、ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)イミド塩、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルカリ金属塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、リチウム塩は、導電性を上げる(抵抗値を下げることができる)点で、好ましい。
リチウム塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホウ酸、スルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の、有機酸のリチウム塩;過塩素酸、テトラフルオロホウ酸等の、無機酸のリチウム塩;有機ホウ素錯体リチウム塩;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記リチウム塩の具体的な例としては、例えば、Li[B(C14H10O3)2]、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiAsF6、LiC4F9SO3、などが挙げられる。
これらの中でも、有機ホウ素錯体リチウム塩が導電性部材のシャフトに錆を発生させにくい点で有利であり、Li[B(C14H10O3)2]は、導電性部材のシャフトに錆を確実に発生させにくい点でより有利である。
上記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、整泡剤、充填剤、しゃく解剤、発泡剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分離剤、離型剤、増量剤、着色剤、架橋剤、加硫剤、重合開始剤、重合禁止剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電性部材は、必要に応じて、シャフトを有する。
前記シャフトとしては、良好な導電性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属製又は樹脂製の、中空円筒体、中実円柱体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電性部材は、必要に応じて、表層を有する。
表層は、部材の硬度を高めたり、トナーに対する帯電性や付着性を制御したり、感光ドラム及び成層ブレード等との摩擦力を低減したり、弾性層による感光ドラム等の汚染を防止するために、前記弾性層の外周面に形成される。
前記表層に含まれる材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紫外線硬化型樹脂、フッ素含有樹脂、微粒子、シリコン含有樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電性部材は、必要に応じて、その他の部材を有する。
<事前配合物の調製>
ポリオール(製造会社名:旭硝子社、商品名:エクセノール420)100質量部、整泡剤(製造会社名:東レダウコーニング社、商品名:SF2937F)16質量部、イオン導電剤(製造会社名:日本カーリット社、商品名:PEL−46(有機ホウ素錯体リチウム塩))1質量部、及びジオクチル錫ジアセテート(製造会社名:日東化成社、商品名:U820、錫含有量25.7%)0.2質量部を混合し、撹拌し、事前配合物(ポリオール、整泡剤、イオン導電剤、触媒の混合物)を得た。
事前配合物100質量部、イソシアネート(製造会社名:旭硝子株式会社、商品名:ポリオール変性TDI)462質量部、及び微粒子(製造会社名:電気化学工業社、商品名:デンカブラック)9質量部とを、事前配合物調製してから14日目に混合し、メカニカルフロス法により発泡させ、更に、シャフトをセットした円筒形状の金型に注入し、RIM成形によって、発泡ポリウレタンからなる弾性層を有する導電性部材を作製した。
性部材を用いた画像試験を、以下の方法により、評価した。評価結果を下記表1、2に示す。
事前配合物を常温で14日間静置保管し、事前配合物を調製した日から、1日経過時、7日経過時、14日経過時に、事前配合物の外観を確認した。事前配合物は、触媒とイオン導電剤とが反応した場合は、白色沈殿物が生じ、目視により沈殿物生成を確認できるため、沈殿物生成の有無を目視で評価した。結果を表1に示す。評価基準は○、△、×にて評価した。○であれば実用上問題ない。
得られた弾性層基材に10Vの印加電圧をかけ、さらに、得られた導電性部材に200Vで印加電圧をかけ、電流値を測定した結果を表2に示す。
得られた弾性層基材及び導電性部材のアスカー硬度を、マイクロ硬度計(高分子計器(株)製 MD−1)を用いて測定した結果を表2に示す。
得られた弾性層基材及び導電性部材の外観を目視により評価した。結果を表2に示す。評価基準は、○×にて評価した。○は、基材表面に凹み(ボイド)等の欠陥を認めない基材を作製できること、×は、基材作製自体が困難であること、又は、基材を作製できても基材表面に凹み(ボイド)等の欠陥を認めること、を意味する。○であれば実用上問題ない。
導電性部材をカートリッジに組み込み、プリンタに装着し、画出しをして画像不良の有無を評価した。結果を表2に示す。評価基準は、○、×にて評価した。○は、カブリ等の画像不良が発生しにくいローラを作製できること、×は、ローラ作製自体が困難であること、又は、ローラを作製できてもローラでカブリ等の画像不良が発生すること、を意味する。○であれば実用上問題ない。
実施例1において、ジオクチル錫ジアセテートを用いる代わりに、ジオクチル錫ビス(エチルマレート)(製造会社名:日東化成株式会社、商品名:U840、錫含有量18.8%)0.64質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、事前配合物、弾性層基材及び導電性部材を作製し、同様の評価を行った。評価結果を下記表1、2に示す。
実施例1において、ジオクチル錫ジアセテートを用いる代わりに、ジブチル錫ジラウレート(製造会社名:日東化成株式会社、商品名:U100)0.32質量部を用いたこと、及びイソシアネート及び微粒子を事前配合物と混和したのが、事前配合物を調製した日から7日目であること以外は、実施例1と同様にして、事前配合物、弾性層基材及び導電性部材を作製し、同様の評価を行った。評価結果を下記表1、2に示す。さらに、事前配合物調製後14日目における外観の写真を図3に示す。
実施例1において、ジオクチル錫ジアセテートを用いる代わりに、ジブチル錫ビス(オイルマレート)(製造会社名:日東化成株式会社、商品名:U15)0.32質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、事前配合物、弾性層基材及び導電性部材を作製し、同様の評価を行った。評価結果を下記表1、2に示す。
2 シャフト
3 弾性層
4 表層
5 微粒子
Claims (4)
- ポリオール、イソシアネート及び触媒を反応させてなるポリウレタンと、イオン導電剤とを含む弾性層を少なくとも一層以上有する導電性部材に用いられる導電性部材用組成物であって、
前記触媒は、下記一般式(I)
R1は、炭素数4〜8の直鎖状炭化水素を表し、
R2は、水素、又は炭素数1〜6を有する構造で、エステル結合又は不飽和結合を有していてもよい。]で表される有機錫化合物を含み、前記一般式(I)中の錫原子に直接結合するO−C(=O)−R 2 のうち少なくとも1つのO−C(=O)−R 2 の分子量が、150未満であり、
前記イオン導電剤は、有機ホウ素錯体リチウム塩である
ことを特徴とする導電性部材用組成物。 - 前記有機錫化合物が、ジオクチル錫ジアセテート及びジオクチル錫ビス(エチルマレート)の少なくともいずれかである、請求項1に記載の導電性部材用組成物。
- 前記触媒の前記ポリオールに対する配合量が、0.01〜2.0質量%である、請求項1又は2に記載の導電性部材用組成物。
- 前記導電性部材用組成物が、帯電部材に用いられる、請求項1から3のいずれか1項に記載の導電性部材用組成物。
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