JP6366896B2 - Dna親和性物質含有組成物、dna親和性物質の精製方法、dna親和性物質含有組成物の製造方法およびdna親和性物質を精製するためのキット - Google Patents

Dna親和性物質含有組成物、dna親和性物質の精製方法、dna親和性物質含有組成物の製造方法およびdna親和性物質を精製するためのキット Download PDF

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Description

本発明は、DNA親和性物質含有組成物、DNA親和性物質の精製方法、DNA親和性物質含有組成物の製造方法およびDNA親和性物質を精製するためのキットに関する。
DNAポリメラーゼなどに代表されるDNA親和性物質は、遺伝子工学において広く用いられている。かかる物質は、その名のとおり、DNA(デオキシリボ核酸)に対して親和性を有することから、製造過程や抽出過程において、DNA親和性物質にDNA(以下、夾雑DNAという)が付着・混入する可能性が極めて高い。例えば、市販されているDNAポリメラーゼであって、耐熱性のTaqポリメラーゼや30℃付近で活性を示す中温性の鎖置換型DNAポリメラーゼであるφ29DNAポリメラーゼには、細菌性の夾雑DNAが含まれていることが知られている(例えば、非特許文献1および9を参照)。
このような夾雑DNAによる汚染は、DNA親和性物質を用いる際に種々の悪影響をもたらす。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction:PCR)によりDNAを増幅する際に、夾雑DNAが微量でも混入したTaqDNAポリメラーゼを用いると、鋳型として投入したDNAだけでなく、夾雑DNAについてもDNA増幅が起こる。その結果、増幅後のDNAの組成がオリジナル(鋳型DNAのソース)のDNAとは異なるものとなり、増幅後の解析、例えば目的とするDNAの特定、定量化、配列決定の際に、誤った結果を導き出すという問題点が指摘されている(例えば、非特許文献9を参照)。
一方、近年、鎖置換型DNAポリメラーゼを用いたDNA増幅方法である、マルチプリープライムローリングサークル増幅(Multiply prime Rolling Cycle Amplification:MPRCA)法やマルチプルディスプレースメント増幅(Multiple Displacement Amplification:MDA)法を応用した、in vitro DNAクローニング法が普及しつつある(例えば、非特許文献2および3を参照)。これらの方法は、理論上1分子のDNAの増幅を可能とすることから、様々な応用が期待されている。しかしながら、このような方法において極めて微量の鋳型DNAを用いた場合には、試料全体における、鋳型DNAに対する夾雑DNAの割合が高くなり、結果として夾雑DNA由来の増幅物が偽陽性を示すこととなり、実験結果の信頼性を揺るがす大きな問題となっている。
かかる問題を解決すべく、夾雑DNAを除去する方法であって、DNA分解酵素であるDNaseIが中温性であることを利用した、DNaseI処理により耐熱性酵素中のDNA汚染を除去した後に95℃にてDNaseIを失活させることを含む方法(非特許文献4)が開示されている。しかしながら、同方法は、高温での処理を伴うため、耐熱性酵素について用いることができるものの、高温にて失活する酵素に対しては使用することができず、広範囲の酵素に対する応用に適さない。
また、非特許文献1には、φ29DNAポリメラーゼから夾雑DNAを除去する方法として、φ29DNAポリメラーゼを精製用タグタンパク質との融合タンパク質として発現させた後、DNaseI処理を繰り返すことにより夾雑DNAを斬減した後、融合タンパク質精製用カラムでφ29DNAポリメラーゼを精製する方法が開示されており、同方法により精製されたφ29DNAポリメラーゼは、夾雑DNAに汚染されていない旨記載されている。
また、非特許文献5には、DNA親和性タンパク質の精製方法として、ポリエチレンイミンで処理することにより、夾雑DNAを沈殿物として取り除く方法が開示されている。また、非特許文献6には、PCR反応溶液にDNAインターカレート剤であるエチジウムモノアジドを添加し、ハロゲンランプにより光を照射することにより、Taqポリメラーゼに混入したDNAの増幅能を不活化することが記載されている。そして、非特許文献7には、PCR反応溶液に、DNAインターカレート剤であるソラレンを添加し、UV処置を施すことによって、混入DNAの増幅能を不活化する方法が開示されている。
しかしながら、非特許文献6および7に記載の方法は、大量の熱を発するハロゲンランプやUV処置により光照射を行うため、耐熱性ではない酵素に対しては使用することができず、広範囲の酵素に対する応用に適さない。
Blainey PC, et al., "Digital MDA for enumeration of total nucleic acid contamination", Nucleic Acids Res., 2011, 39(4): 319 Dean FB et al., "Rapid amplification of plasmid and phase DNA using phi29 DNA polymerase and multiply-primed rolling circle amplification", Genome Research, 2001, 11, 1095−1099 Dean FB et al., "Comprehensive human genome amplification using multiple displacement amplification", Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2002, 99: 5261-5266 Rochelle, PA, et al., "DNase 1 treatment of Taq DNA polymerase for complete PCR decontamination", BioTechniques, 1992, 13 (4): 520 Burgess RR, "Use of polyethyleneimine in purification of DNA-binding proteins", Methods Enzymol., 1990, 208: 3-10 Rueckert A, et al., "Removal of contaminating DNA from polymerase chain reaction using ethidium monoazide", Journal of Microbiological Methods, 2007, 68: 596-600 Jinno Y, et al., "Use of psoralen as extinguisher of contaminated DNA in PCR", Nucleic Acids Research, 1990, 18: 6739 Ambion(R), "DNase I demystified", [online]、[2007年7月10日検索]、インターネット<URL:http://ja.invitrogen.com/site/jp/ja/home/References/Ambion-Tech-Support/nuclease-enzymes/general-articles/dnase-i-demystified.html> Niimi, H, et al. "A novel eukaryote-made thermostable DNA polymerase which is free from bacterial DNA contamination", Journal of Clinical Microbiology, 2011, Sept, 3316-3320
しかしながら、本願発明者らは、食品、医療、工業分野等において環境中に存在する未知の微生物の超微量のゲノムDNAを、直接増幅する機会が増加する中で、従来の方法により精製したDNA親和性物質における夾雑DNAの除去が不十分であり、とくに、当該DNA親和性物質が超微量の鋳型DNAを増幅する際の使用に耐え得るものではないとの新たな認識を持つに至った。
例えば、非特許文献8には、一本鎖DNAと二本鎖DNAとが共存した場合に、DNaseIが一本鎖DNAを分解できる効率は二本鎖DNAの500分の1であることが記載されていることからも、非特許文献1に記載のDNaseI処理では、一本鎖DNAの分解が不十分であることが理解できる。
また、非特許文献1には、デジタルPCR装置を用いることで一般的な反応スケール(数十μL)の数千分の1の反応スケール(6nL)で増幅反応を行うデジタルMDA法を開発し、その増幅反応においては夾雑DNAの増幅が認められない旨記載されている。しかしながら、一般的に、反応スケールを極端に小さくすると、増幅反応に必要な成分が不足して、十分な量の増幅物が得られない。実際に、本願発明者らが、非特許文献1に記載の方法で精製した酵素に対応する、DNaseI処理のみで精製した酵素を用いて、一般的な20μLの反応スケールで、鋳型DNAを投入せずにDNA増幅反応を行ったところ、鋳型DNAを投入しなかったにも拘らず増幅産物が検出され、DNaseI処理のみで精製した酵素には夾雑DNAが含まれていることを見出した。したがって、非特許文献1に記載の、デジタルPCR装置を用いた極微量な反応スケールでの分析方法では、φ29DNAポリメラーゼに夾雑DNAが一切混入していない証拠とはなり得ない。
また、本願発明者らは、非特許文献5に記載された、ポリエチレンイミンなどに代表されるDNA吸着剤を用いる方法によって得たDNA親和性物質についてもまた、DNAに高い親和性を持つDNAポリメラーゼからDNAを完全に除去できないとの認識を持つに至った。
したがって、本発明の課題は、従来技術における問題点を解消し、微量のDNAを鋳型とするDNA増幅法などにおいて、高い信頼性をもって用いることができるDNA親和性物質含有組成物を提供すること、ならびに、DNA親和性物質の精製方法、DNA親和性物質含有組成物の製造方法およびDNA親和性物質を精製するためのキットを提供することにある。
本願発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を進める中、DNA吸着剤とDNA不活化剤とを組み合わせることにより、DNA親和性物質含有混合物から夾雑DNAを除去することを可能とすることを見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]DNA親和性物質含有組成物であって、鎖置換型DNA増幅法において増幅可能なDNAの含有量が、前記組成物中のDNA親和性物質100ngあたり0ag以上30ag未満である、前記DNA親和性物質含有組成物。
[2]鋳型DNAを含まない試料に対して用いられた際に、以下の(1)〜(3)の条件下で行われるマルチプリープライムローリングサークル増幅によって検出可能なDNAを含まない、[1]のDNA親和性物質含有組成物:
(1)95℃における1分間の加熱処理、
(2)25℃における30分間のアニーリング、
(3)30℃における16時間の伸長反応。
[3]DNA親和性物質含有組成物であって、
鋳型DNAを含まない試料に対して用いられた際に、以下の(1)〜(3)の条件下で行われるマルチプリープライムローリングサークル増幅によって検出可能なDNAを含まない、前記DNA親和性物質含有組成物:
(1)95℃における1分間の加熱処理、
(2)25℃における30分間のアニーリング、
(3)30℃における16時間の伸長反応。
[4]DNA親和性物質含有混合物に含まれるDNAを、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去するステップと、
前記混合物に含まれるDNAの増幅能を、DNA不活化剤により不活化するステップとの組み合わせを含む製造方法により製造された、[1]〜[3]のいずれかのDNA親和性物質含有組成物。
[5]DNA親和性物質の精製方法であって、
DNA親和性物質含有混合物に含まれるDNAを、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去するステップと、
前記混合物に含まれるDNAの増幅能を、DNA不活化剤により不活化するステップとの組み合わせを含む、前記DNA親和性物質の精製方法。
[6]DNA親和性物質含有混合物に含まれるDNAの少なくとも一部を、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去するステップ、および
前記混合物に含まれるDNAの残部の増幅能を、DNA不活化剤により不活化するステップ
を含む、[5]のDNA親和性物質の精製方法。
[7]DNA親和性物質含有混合物に含まれるDNAの少なくとも一部の増幅能を、DNA不活化剤により不活化するステップ、および
前記混合物に含まれるDNAを、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去するステップ
を含む、[5]のDNA親和性物質の精製方法。
[8]DNA吸着剤が、カチオン性ポリマーを含んで構成されている、[5]〜[7]のいずれかのDNA親和性物質の精製方法。
[9]DNA吸着剤が、アミン含有ポリマーおよび陰イオン交換担体からなる群から選択される1種または2種以上を含んで構成されている、[5]〜[8]のいずれかのDNA親和性物質の精製方法。
[10]DNA不活化剤が、DNAインターカレート剤およびDNA分解酵素からなる群から選択される1種または2種以上である、[5]〜[9]のいずれかに記載のDNA親和性物質の精製方法。
[11]DNA親和性物質が、DNAポリメラーゼである、[5]〜[10]のいずれかのDNA親和性物質の精製方法。
[12]DNA親和性物質が、鎖置換型DNA増幅法に用いられるものである、[5]〜[11]のいずれかのDNA親和性物質の精製方法。
[13][5]〜[12]のいずれかのDNA親和性物質の精製方法で精製された、DNA親和性物質含有組成物。
[14]DNA親和性物質含有混合物を準備するステップ、
前記混合物に含まれるDNAの少なくとも一部を、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去するステップ、および
前記混合物に含まれるDNAの残部の増幅能を、DNA不活化剤により不活化して、DNA親和性物質含有組成物を得るステップ
を含む、DNA親和性物質含有組成物の製造方法。
[15]DNA親和性物質含有混合物を準備するステップ、
前記混合物に含まれるDNAの少なくとも一部の増幅能を、DNA不活化剤により不活化するステップ、および
前記混合物に含まれるDNAを、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去して、DNA親和性物質含有組成物を得るステップ
を含む、DNA親和性物質含有組成物の製造方法。
[16]DNA親和性物質を精製するためのキットであって、
DNA親和性物質含有混合物に含まれるDNAを、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去するためのDNA吸着剤、および
DNA親和性物質含有混合物に含まれるDNAの増幅能を、DNA不活化剤により不活化するためのDNA不活化剤を含む、前記キット。
本発明によれば、従来技術における問題点を解消し、微量のDNAを鋳型とするDNA増幅法などにおいて、高い信頼性をもって用いることができるDNA親和性物質含有組成物を提供すること、ならびに、DNA親和性物質の精製方法、DNA親和性物質含有組成物の製造方法およびDNA親和性物質を精製するためのキットを提供することができる。
また、本発明のDNA親和性物質含有組成物を、鋳型DNAを投入せずにDNA増幅法において用いると、夾雑DNAの増幅が起こらない、陰性コントロールを取ることが可能となる。
ここで、一般に、市販の酵素を含む組成物には、酵素の保存性等を考慮して各種安定剤等が含まれているが、酵素を含む組成物の製造者らは、当該組成物の具体的な組成や製造方法を十分には開示しない傾向にある。したがって、酵素を使用する研究者らは、このような組成が不明な市販の酵素を含む組成物を対象として酵素の精製を行うのが現状困難な状況にある。また、遺伝子工学関連の研究に用いられる酵素を合成するには多額の費用および時間を必要とするため、酵素を使用する研究者らは、酵素を含む組成物を自身で調製して、これについて酵素の精製を行うことも困難である。
このような状況下において、本願発明は、従来知られているDNA親和性物質が超微量の鋳型DNAを増幅する際の使用に耐え得るものではないという本願発明者らの新たな認識に基づいて、このような問題を解決すべくなされたものである。
図1は、(A)本発明の第1実施態様における製造方法および精製方法を示すフロー図、(B)前記フロー図に記載された方法のより具体的な一例を示す概要図である。 図2は、(A)本発明の第2実施態様における製造方法および精製方法を示すフロー図、(B)前記フロー図に記載された方法のより具体的な一例を示す概要図である。 図3は、実施例1におけるφ29DNAポリメラーゼの精製過程及び精製結果を示す図である。 図4は、実施例2におけるφ29DNAポリメラーゼの精製過程及び精製結果を示す図である。 図5は、実施例1および2において精製されたφ29DNAポリメラーゼならびに市販酵素をそれぞれ用いた、MPRCA反応による夾雑DNAの検出および比較結果を示す図である。 図6は、実施例1および2、および比較例1および2において精製されたφ29DNAポリメラーゼならびにEpicentre社製φ29DNAポリメラーゼを用いた、MPRCA反応による夾雑DNAの検出および比較結果を示す図である。 図7は、実施例2で得られた精製φ29DNAポリメラーゼを用いたリアルタイムMPRCA反応による増幅結果を示す図である。 図8は、図7について2nd Derivative Maximum法により作成した検量線を示す図である。 図9は、実施例1および2、および比較例2で得られたφ29DNAポリメラーゼならびにEpicentre社製φ29DNAポリメラーゼを用いたリアルタイムMPRCA反応による増幅結果を示す図である。
以下、本発明を、好適な実施態様に基づいて、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
まず、本発明のDNA親和性物質含有組成物に先立って、DNA親和性物質の精製方法およびDNA親和性物質含有組成物の製造方法について説明する。
(DNA親和性物質の精製方法およびDNA親和性物質含有組成物の製造方法)
本発明のDNA親和性物質の精製方法は、DNA親和性物質含有混合物に含まれるDNAを、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去するステップと、前記混合物に含まれるDNAの増幅能を、DNA不活化剤により不活化するステップとの組み合わせを含む。
また、本発明のDNA親和性物質含有組成物の製造方法は、DNA親和性物質含有混合物を準備するステップと、前記混合物に含まれるDNAを、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去するステップと、前記混合物に含まれるDNAの増幅能を、DNA不活化剤により不活化するステップとを含む。
≪第1実施態様≫
図1は、(A)本発明の第1実施態様における製造方法および精製方法を示すフロー図、(B)前記フロー図に記載された方法のより具体的な一例を示す概要図である。
図1(A)に示すように、本実施態様の製造方法は、DNA親和性物質含有混合物を準備するステップ(S−1:準備ステップ)、DNA親和性物質含有混合物に含まれるDNAの少なくとも一部を、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去するステップ(S−2:吸着ステップ)、および前記混合物に含まれるDNAの残部の増幅能を、DNA不活化剤により不活化して、DNA親和性物質含有組成物を得るステップ(S−3:不活化ステップ)を含む。
また、本実施態様の精製方法は、DNA親和性物質含有混合物に含まれるDNAの少なくとも一部を、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去するステップ(S−2)、および前記混合物に含まれるDNAの残部の増幅能を、DNA不活化剤により不活化するステップ(S−3)を含む。すなわち、本発明の製造方法は、本発明の精製方法を用いて、DNA親和性物質含有組成物を製造する方法である。
本実施態様において、吸着ステップにて夾雑DNAの少なくとも一部を除去し、不活化ステップにて夾雑DNAの残部の増幅能を不活化することにより、DNA親和性物質含有混合物に含まれるDNAの全てを除去および/または不活化することができる。なお、説明の容易化のために、DNA親和性物質含有混合物に含まれ、除去または不活化すべきDNAを夾雑DNAともいう。
以下、各ステップについて詳細に説明する。
なお、本明細書中においてとくに明記しない限り、各ステップは任意の温度、例えば常温、任意の雰囲気下、例えば空気雰囲気下、任意の気圧、例えば常圧で行うことができる。また、記載する手段が公知の場合には、公知の諸条件に合わせて本方法を行うことができる。
<準備ステップ>
まず、本ステップによって、DNA親和性物質含有混合物を準備する。
ここで、本明細書において、DNA親和性物質とは、DNAに対し親和性を有する物質であり、このような性質を有するものであればとくに限定されないが、例えば、デオキシヌクレオチドを基質とした反応に関与可能な酵素や、これを構成するタンパク質、当該タンパク質の一部分と同一の構造を有するポリペプチド等が挙げられる。
DNA親和性物質は、生物由来の天然のものであってもよいし、遺伝子組換え体由来のものであってもよいし、化学的に合成されたものであってもよい。
上述の酵素の例としては、DNAの複製や修復において用いられるDNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ、RecAタンパク質やDNA結合タンパク質が挙げられる。DNAポリメラーゼとしては、とくに限定されないが、DNA依存性DNAポリメラーゼ、RNA依存性DNAポリメラーゼが挙げられる。
本発明において、DNAポリメラーゼとしては、Taqポリメラーゼ、逆転写酵素、φ29DNAポリメラーゼが好ましく、中温性酵素であり、MDA法やMPRCA法において好適であるという観点において、高い鎖置換活性およびプロセシビティーを備えるφ29DNAポリメラーゼがとくに好ましい。
さらに、DNA親和性物質は、アフィニティタグが結合したタグ融合物質、特に、タグ融合タンパク質であることが好ましい。これにより、目的とするDNA親和性物質をDNA親和性物質含有混合物の他の成分から分離することが容易となる。一方で、このようなアフィニティタグが後述するステップにおける各処理を阻害することはない。
このようなアフィニティタグとしては、特に限定されないが、例えば、グルタチオントランスフェラーゼタグ(Gluthathione transferase tag; GSTタグ、各社)、マルトースバインディングプロテインタグ(Maltose binding protein tag; MBPタグ、New England BioLabs社)、ヒスチジンタグ(Hisタグ、各社)、T7タグ(Merck社)、相補的サブユニットタグ(Sタグ、Merck社)、StrepタグII(Merck社)、ビオチンタグ(Promega社)ハロタグ(Promega社)などからなる群から選択される1種または2種以上を用いることができる。上述した中でも、利用上の簡便さの観点から、GSTタグ、Hisタグ、MBPタグが好ましい。
また、DNA親和性物質含有混合物中において、DNA親和性物質は、いかなる状態で存在していてもよいが、好ましくは、DNA親和性物質含有混合物は液体を含み、DNA親和性物質は液体中に存在する。このような場合、例えば、DNA親和性物質は、上記液体中に溶解していてもよいし、分散または懸濁していてもよい。また、例えば、遺伝子組換え体などの生体細胞中に内包された状態で、上記液体中に分散または懸濁していてもよい。
このような液体としては、特に限定されないが、例えば、トリス、リン酸、HEPES等の緩衝液、LBや2×YT等の液体培地などが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、DNA親和性物質含有混合物は、その他の任意の成分を含んでいてもよい。
また、本実施態様で用いられるDNA親和性物質含有混合物として、市販のDNA親和性物質含有混合物をそのまま用いてもよいし、新たに調製したものを用いてもよい。
DNA親和性物質含有混合物を新たに調製する場合においては、任意の方法により、DNA親和性物質含有混合物を調製することができる。例えば、DNA親和性物質が生体分子である場合、かかる生体分子をコードするゲノム遺伝子を、プラスミドなどを用いてクローニングし、大腸菌などで発現する。以下に、具体的な例を述べる。
例えば、DNA親和性物質が、タンパク質である場合には、まず、制限酵素を認識することができるプライマーを用いて、かかるタンパク質のゲノムDNAを増幅する。
制限酵素としては、とくに限定されないが、例えば、BamHI、EcoRI、HindIII、NcoI、NotI、PstI、XhoIなどが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
次に、制限酵素を用いて、増幅産物を適当な発現ベクターに組み込んで組み換えベクターを作製する。発現ベクターとしては、とくに限定されないが、pGEX系(GE healthcare社)、pET系(Merck社)、pCold系(タカラバイオ社)、pMAL系(New England BioLabs社)、PinPoint Vector(Promega社)などを用いることができる。また、利用する融合タンパク質を発現させるホスト細胞は、発現用ベクターのプロモーター配列に応じて適したホスト細胞を選ぶことができる。例えばpGEX系であれば、BL21系の大腸菌(各社)、pET系であればBL21(DE3)系(各社)などのホスト細胞を利用することができる。またホスト細胞を使わない場合は、無細胞系発現システムも、発現ベクターのプロモーターに応じて適宜利用することができる。例えばpET系であれば、T7 RNAポリメラーゼを利用した無細胞系発現システム(各社)を利用することができる。
最後に、かかる組み換えベクターを、発現用のホスト細胞に形質転換して培養した後、DNA親和性タンパク質の発現の誘導を行う。培養の条件はとくに限定されないが、例えば、形質転換させたホスト細胞のみを得るために、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコールなどの薬剤を含む培養液で、適当な温度および時間で振とうにより、1回以上培養することができる。本明細書における融合タンパク質の発現誘導は、当該業者に公知な任意の方法で行うことができる。例えばpGEX系やpET系ベクターであれば、イソプロピルガラクトピラノシド(Isopropyl β-D-1-thiogalactopyranoside;IPTG、各社)の添加による誘導や、Overnight Express(登録商標)システム(Merck社)による自動誘導を利用することができる。また、pCold系ベクターでは、コールドショックによる誘導も可能である。同様に、ヒートショックタンパク質プロモーターを有するベクターでは、ヒートショックによる誘導を利用することができる。さらに、pET系ベクターなどT7プロモーターによる制御を行うベクターは、T7 RNAポリメラーゼをコードするバクテリオファージの感染、例えばλCE3の感染による発現誘導を利用することができる。培養後は、培養液からホスト細胞を、遠心分離などによって回収することができる。
なお、DNA親和性物質を、前述のアフィニティタグが結合したタグ融合物質とする場合には、DNA親和性タンパク質を、アフィニティタグとの融合タンパク質として発現させることができる。
本ステップにおいて、ホスト細胞で発現させた場合、好ましくは、細胞からDNA親和性物質を任意の方法により抽出する。抽出方法はとくに限定されず、例えば、浸透圧ショック法、界面活性剤によるもの、酵素消化法、タンパク質抽出剤、超音波処理、フレンチプレス、ダイノミル処理、乳鉢によるもの、ホモジナイザーによるもの、ガラスビーズによるものなど種々の方法が挙げられる。その際、ホスト細胞の細胞壁の破壊を簡易にするために、リゾチーム(各社)等の溶菌酵素を加えることができる。また、発現細胞が大腸菌であれば、市販のタンパク質抽出試薬、例えば、BugBuster(登録商標)Protein Extraction Reagent(Merck社)、B-PER(登録商標)Bacterial Protein Extraction Reagent(Thermo Fisher Scientific社)、FastBreak(登録商標)Cell Lysis Reagent(Promega社)なども、適宜利用することができる。ゲノムDNAによるホスト細胞破砕液の粘度上昇を防ぐために、前述の抽出液に、例えばデオキシリボヌクレアーゼI(各社)、Benzonase(登録商標)Nuclease(Merck社)、Cryonase(登録商標)Cold-active Nuclease(タカラバイオ社)などを加えることができる。さらに、DNA親和性物質の可溶化を促進して回収量を増加させるために、界面活性剤、例えばTween20やTritonX−100やTritonX−405等や、変性剤、例えばグアニジン塩酸塩、尿素、トレハロース、アルギニン塩酸塩などを、適宜添加することができる。また、DNA親和性物質を安定化させる目的として、還元剤、例えば、ジチオスレイトール、メルカプトエタノール、トリスヒドロキシプロピルホスフィンやエチレンジアミン四酢酸等のキレート剤、プロテアーゼ阻害剤などを適宜添加してもよく、これらを1種または2種以上含んでもよい。
上述したような方法によって得られるDNA親和性物質含有混合物は、一般に夾雑DNAを含み、このようなDNAは、従来の方法により十分に除去することが困難である。
<吸着ステップ>
次に、図1(A)で示すように、本ステップでは、準備ステップで準備されたDNA親和性物質含有混合物に含まれる夾雑DNAを、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去する(S−2)。
上述したように、DNA親和性物質含有混合物がホスト細胞やプラスミドを用いて準備された場合、DNA親和性物質含有混合物には、一般に、ホスト細胞のゲノムDNAないしプラスミドDNAが含まれる。
なお、DNA親和性物質含有混合物に含まれる夾雑DNAとは、DNA親和性物質に付着しているDNAに限らず、DNA親和性物質から物理的に離れた状態で該混合物中に浮遊するDNAも含まれる。したがって、本ステップにおいては、これらの全ての種類のDNAを除去することを目的とする。
本明細書において、夾雑DNAとは、二本鎖DNAに限らず、一本鎖DNAをも含むものである。
DNA吸着剤としては、DNAを吸着する機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、カチオン性ポリマーを含んで構成されるものが挙げられる。カチオン性ポリマーは、その分子中においてカチオン性基を有するため、負電荷を有するDNAを吸着することができる。
このようなカチオン性ポリマーを含んで構成されるDNA吸着剤としては、例えば、陰イオン交換担体や、アミン含有ポリマー等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
DNA吸着剤を用いて、夾雑DNAをDNA親和性物質含有混合物から除去する方法としては、とくに限定されないが、とくにDNA親和性物質含有混合物が液体の場合には、例えば沈殿除去または通液除去が挙げられる。
沈殿除去では、DNA親和性物質含有混合物にアミン含有ポリマー等のDNA吸着剤を添加して、前記混合物に含まれる夾雑DNAをDNA吸着剤に吸着させた状態で沈殿させ、沈殿物を前記混合物から除去することにより、前記混合物から夾雑DNAを除去する。
通液除去では、かかる混合物を陰イオン交換担体等のDNA吸着剤に通液させて、前記混合物に含まれる夾雑DNAをDNA吸着剤に吸着させて、夾雑DNAを前記混合物から除去する。
準備ステップでホスト細胞およびプラスミドを用いた場合、準備したDNA親和性物質含有混合物中にはホスト細胞およびプラスミド由来の夾雑DNAが多い。そのため、準備ステップの直後に吸着ステップを行う本実施態様においては、吸着ステップで可能な限り多くの夾雑DNAを一挙に除去することが好ましく、これは、アミン含有ポリマーによって達成される。
本発明において、アミン含有ポリマーとしては、前記目的を達成するためのものであればとくに限定されないが、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンおよび、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ポリリジン、ポリヒスチジン、ポリビニルアミンなどのアミン含有カチオン性ポリマーなどのカチオン性ポリマーを用いる。これらのうち、微量に存在するDNAを吸着できるという観点から、アミン含有カチオン性ポリマーを用いるのが好ましく、ポリエチレンイミンを用いるのがより好ましい。
アミン含有ポリマーの重量平均分子量はとくに限定されないが、600〜100,000であり、好ましくは5,000〜100,000であり、DNA沈殿効率の観点から、とくに好ましくは60,000〜80,000である。
アミン含有ポリマーの添加量はとくに限定されないが、例えば、DNA親和性物質1mgに対して0.0001g〜0.1g、好ましくは0.001g〜0.05g、洗浄効率の観点から、とくに好ましくは0.001〜0.005gである。
アミン含有ポリマーを用いてDNA親和性物質含有混合物を処理する場合、処理時間は、1〜10分、好ましくは1〜5分、より好ましくは1〜2分である。
アミン含有ポリマーを用いる場合、吸着ステップを行う作業温度は、0〜25℃、好ましくは0〜10℃、より好ましくは0〜4℃である。
アミン含有ポリマーを添加した場合は、撹拌することによって吸着ステップを行うことができる。
DNAを吸着したあと、例えば洗浄、カラム、フィルター濾過を1種または2種以上組み合わせて、かかる作業を1回または2回以上行うことによりアミン含有ポリマーを除去する。
アミン含有ポリマーを混合液に添加して、DNAを吸着して沈殿させる場合は、沈殿と上清とを遠心分離などによって分離し、上清のみを回収することができる。DNAを吸着により除去するステップは、1回以上繰り返すことができる。
使用するDNA吸着剤の量は、その種類によっても異なり、とくに限定されないが、添加する形態のものは、DNA親和性物質1mgに対し、0.0001〜0.1g、好ましくは、0.001〜0.05gであり、洗浄効率の観点から、とくに好ましくは0.001g〜0.005gである。
一方で、本発明に用いるDNA吸着剤として、陰イオン交換樹脂を用いることができる。
本発明において、陰イオン交換樹脂としては、例えば、第1級〜第3級アミノ基、第4級アンモニウム基などの官能基を担持する担体などが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上述した中でも、DNAを強力に引き寄せて吸着するという観点から、とくに第4級アンモニウム基を担持する担体が好ましい。
陰イオン交換樹脂の形態としては、とくに限定されないが、膜状、粒子状、繊維状が挙げられ、表面積が比較的大きいことや、担体の取り扱いが容易となる観点から、粒子状であることが好ましい。
粒子状の陰イオン交換樹脂を用いた場合には、その粒径はとくに限定されないが、例えば3〜1000μmであり、好ましくは25〜200μmである。
粒子状の陰イオン交換樹脂の量はとくに限定されないが、DNA親和性物質1mgに対し、陰イオン交換樹脂の膨潤体積として0.01〜10mL、好ましくは、0.1〜5mL、より好ましくは、0.5〜2mLである。
陰イオン交換樹脂を用いる場合には、作業が容易となる観点から、スピンカラムなどの各種カラムや、コニカルチューブなどのデバイスと組み合わせて用いることが好ましい。この場合、吸着ステップを行うために、陰イオン交換樹脂を担持するデバイスにDNA親和性物質含有混合物を通液することができる。
吸着ステップにおいて可能な限り多量のDNAを吸着するために、通液の回数を2回以上としてもよい。
精製用担体の形状はとくに限定されないが、例えば、粒子状、ゲル状、磁性粒子であってよく、好ましくは、光照射時の取扱いの観点から、粒子状である。
精製用担体を用いる量は、DNA親和性物質含有混合物に含まれるDNA親和性物質を固定できるものであればとくに限定されないが、例えば、DNA親和性物質1mgに対して、膨張体積約0.01〜10mL、好ましくは、0.1〜5mL、DNA親和性物質の目的含有量を確保する観点から、とくに好ましくは0.5〜2mLである。
<不活化ステップ>
最後に、本ステップでは、吸着ステップでDNA吸着剤によりDNAを吸着させてDNA親和性物質含有混合物から除去させた後のものに対し、これに依然として含まれるDNAの増幅能を、DNA不活化剤により不活化する(図1(A):S−3)。本明細書において、単に「DNAを不活化する」と記載した場合も、DNAの増幅能を不活化することを意味する。
なお、DNA不活化剤が標的とするDNAとは、DNA親和性物質に付着しているDNAに限らず、DNA親和性物質から物理的に離れた状態で該混合物中に浮遊するDNAも含まれる。
DNA不活化剤とは、DNAの増幅能を不活化するものであればとくに限定されないが、例えば、DNAを分解することや、DNAを変性することにより、DNAの増幅を不可能にするものである。したがって、DNA不活化剤には、DNA分解酵素などに代表されるDNA分解剤や、DNAを変性して増幅不能にするDNAインターカレート剤などが挙げられる。
本態様においては、DNA不活化剤がDNAの混入源になる可能性があるという理由により、夾雑DNAを新たに導入するリスクの低い化学物質である、DNAインターカレート剤を用いることが好ましい。
DNAインターカレート剤としてはエチジウムブロミド、エチジウムモノアジドなどのエチジウム系物質や、8−メトキシソラレンなどのソラレン誘導体が挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、好ましくはエチジウムモノアジドを用いる。エチジウムモノアジド(EMA)は、DNAに結合し、DNAの二本鎖配列の間にインターカレートし、380nm〜800nm程度の光を照射することにより、DNAを切断する。ソラレン誘導体は、DNAの二本鎖配列の間にインターカレートし、320nm〜400nm程度の光を照射することにより、隣接するピリミジン塩基と結合して二本鎖間を強力に結合することにより、DNAが熱変性の影響を受けず、その結果としてDNAの増幅を妨げる。
なお、DNA親和性物質が耐熱性の低い酵素の場合には、酵素活性を維持するために、光源の選択に留意する必要がある。UV、蛍光灯、白熱灯などの光照射により、酵素が失活する可能性があることから、所望する波長の光を照射することができる有機または無機発光ダイオード(LED)を用いることが好ましい。例えば、エチジウムモノアジドについては、約450nmに発光波長のピークを有する白色光LED、ソラレン誘導体については、波長約365nmのUV線のみを発するLEDを使用することが好ましい。このようなLEDは、熱をほとんど生じないという利点および波長選択的に発光して不必要な短波長の放射線(例えば短波長UV)を発しないという利点を有する。したがって、エチジウムモノアジドやソラレン誘導体などのDNAインターカレート剤を用いる非耐熱性酵素の精製は、LEDの開発の進歩により実施することが可能になったともいえる。
使用するDNA不活化剤の量は、その種類によっても異なるが、とくにDNAインターカレート剤の場合には、DNA親和性物質1mgに対して、1〜1000μg、好ましくは、10〜500μgであり、とくに好ましくは50〜100μgである。
DNAインターカレート剤を用いてDNA親和性物質含有混合物を処理する場合、処理時間は、5〜120分、好ましくは30〜120分、より好ましくは30〜60分である。
DNAインターカレート剤を用いる場合、不活化ステップを行う作業温度は、0〜25℃、好ましくは0〜10℃、より好ましくは1〜4℃である。
一方、DNA分解酵素としては、DNaseI(各社)、Mycrococcal Nuclease(各社)、Benzonase(登録商標)ヌクレアーゼ(Merck社)、Cryonase(登録商標)Cold-active Nuclease(タカラバイオ社)などが挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。Mycrococcal Nucleaseはカルシウムイオン存在下でのみDNA分解活性が認められるため、反応液にカルシウムイオンを1−5mM添加する必要がある。また、DNaseIはカルシウムイオンが存在しない場合、2本鎖DNAの完全切断能力が著しく劣るため、反応液にカルシウムイオンを0.5−2mM添加することが望ましい。
DNA分解酵素を用いる場合には、例えば、ヌクレアーゼ緩衝液とともに用いることができる。
使用するDNA分解酵素の量は、その種類によっても異なるが、DNaseIの場合には、DNA親和性物質1mgに対して、1〜1000ユニット、好ましくは、10〜500ユニットであり、とくに好ましくは25〜100ユニットである。
DNA分解酵素を用いてDNA親和性物質含有混合物を処理する場合、処理時間は、1〜48時間、好ましくは6〜48時間、より好ましくは15〜25時間である。
DNA分解酵素を用いる場合、不活化ステップを行う作業温度は、0〜25℃、好ましくは0〜10℃、より好ましくは1〜4℃である。
本ステップには、使用し終わったDNA不活化剤を、例えば洗浄、カラム、フィルター濾過により除去することが含まれてもよい。
また、本ステップにおいて、DNAの不活化を行う前にDNA親和性物質にアフィニティタグを付着させた場合には、その際に、アフィニティタグを介して、これをさらに精製用担体に担持させることが好ましい。これにより、複数のDNA親和性物質をまとめて精製用担体に固定して、DNA親和性物質に付着したDNAを効率的に分解・除去することができる。DNA親和性物質からアフィニティタグを切り離すことによって、精製用担体およびアフィニティタグをDNA親和性物質からまとめて切り離すことができる。ここで用いられる精製用担体としては、とくに限定されないが、アフィニティタグの種類に依存する任意の担体、例えば、GSTタグであればグルタチオン(各社)、Hisタグであれば2価の金属イオン(各社)、MBPタグであればマルトース(New England BioLabs社)、T7タグであれば抗T7抗体、SタグであればS-Protein(Merck社)、StrepタグIIであればStrept・Tactin(登録商標、Merck社)、ハロタグであればハロタグリガンド(Promega社)、ビオチンタグであればストレプトアビジンやアビジン(各社)が付加された担体を用いることができる。
また、本ステップにおいて、DNA親和性物質がアフィニティタグを有する場合、DNAの不活化を終えたあとにアフィニティタグをDNA親和性物質から切り離すことを含んでもよい。これにより、より純粋なDNA親和性物質含有組成物を得ることができる。
具体的には、例えば、Factor Xa プロテアーゼ (各社)、エンテロキナーゼ(各社)、HRV−3Cプロテアーゼ(各社)、PreScission(登録商標)プロテアーゼ(GE healthcare社)、Generase(登録商標)I(New England BioLabs社)、Furin(New England BioLabs社)などのプロテアーゼをDNA親和性物質含有混合物に添加することにより、DNA親和性物質に付着したアフィニティタグを切断することができる。
以上の各ステップを経ることにより、DNA親和性物質含有混合物から夾雑DNAが除去および/または不活化された、DNA親和性物質含有組成物を得ることができる。
なお、得られたDNA親和性物質含有組成物に、保存安定性の確保や使用目的に応じて、グリセロール、緩衝液、還元剤、キレート剤、界面活性剤などの任意の添加剤を加えてもよい。
得られたDNA親和性物質含有組成物は、PCR、RT−PCR(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)、MDA、RCA(ローリングサークル増幅)、MPRCAなどの増幅法、とくに微量のDNAを鋳型とするDNA増幅法において、高い信頼性をもってDNA増幅試薬などとして用いることができる。
本発明によると、1コピー〜10コピー程度の超微量の鋳型DNAによる精密な増幅法を用いた場合でも、夾雑DNAによる影響を受けないことから、信頼性の高い実験結果を得ることができる。
なお、本実施態様において、とくに、DNA吸着剤としてポリエチレンイミンを、DNA不活化剤としてエチジウムモノアジドを夫々用いた場合には、後述する第2実施態様と比べ、作業負担が少なくなる。
≪第2実施態様≫
図2は、(A)本発明の第2実施態様における製造方法および精製方法を示すフロー図、(B)前記フロー図に記載された方法のより具体的な一例を示す概要図である。
図2(A)に示すとおり、本実施態様の製造方法は、DNA親和性物質含有混合物を準備するステップ(S−1:準備ステップ)、DNA親和性物質含有混合物に含まれるDNAの少なくとも一部の増幅能を、DNA不活化剤により不活化するステップ(S’−2:不活化ステップ)、および前記混合物に含まれるDNAを、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去するステップ(S’−3:吸着ステップ)を含む。
本実施態様において、不活化ステップにて夾雑DNAの少なくとも一部の増幅能を不活化し、吸着ステップにて夾雑DNAを吸着して混合物から除去することにより、DNA親和性物質含有混合物に含まれるDNAの全てを除去および/または不活化する。
以下、図2を参照して本発明の第2実施態様について説明するが、前述した第1実施態様との相違点を中心に説明し、共通点についてはその説明を省略する。
<準備ステップ>
第1実施態様と同様に、本ステップにより、DNA親和性物質含有混合物を準備する。
<不活化ステップ>
図2(A)で示すように、本ステップは、準備したDNA親和性物質含有混合物に対して行う、これに含まれるDNAの少なくとも一部の増幅能を、DNA不活化剤により不活化するステップである(S’−2)。本ステップは、上述した第1実施態様の不活化ステップと同様にして行うことができるが、本実施態様における好ましい条件を以下に述べる。
まず、本実施態様におけるDNA不活化剤としては、多量に存在するDNAを短時間で十分に処理することができるという観点から、DNA分解酵素を用いるのが好ましく、DNaseIを用いるのがより好ましい。
また、効率的に不活化ステップを行ううえで、DNAの不活化を行う前に、DNA親和性物質を、前述した精製用担体に担持させることが好ましい。これにより、複数のDNA親和性物質をまとめて精製用担体に固定し、これらに付着したDNAの不活化を効率的に行うことができる。
精製用担体に担持させる方法としては、とくに限定されないが、例えば前述したアフィニティタグを用いるものが挙げられる。本実施態様において、精製用担体およびアフィニティタグは、DNA親和性物質を可溶性画分として得られる可能性が高いことおよび穏やかな条件で精製できるという観点から、グルタチオンセファロースおよびGSTが好ましい。
<吸着ステップ>
次に、図2(A)で示すように、本ステップでは、前述の不活化ステップで処理されたDNA親和性物質含有混合物に依然として含まれるDNAを、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去する(S’−3)。本ステップは、上述した第1実施態様の吸着ステップと同様にして行うことができるが、本実施態様における好ましい条件を以下に述べる。
まず、本実施態様におけるDNA吸着剤としては、微量に存在するDNAを吸着できることおよびDNA親和性物質とDNA吸着剤とを容易に分離できるという観点から、陰イオン交換樹脂を用いるのが好ましい。
また、前述の不活化ステップにおいて、前述したアフィニティタグおよび精製用担体を用いた場合には、本ステップにおける吸着の効率を向上するために、DNAの吸着を行う前にアフィニティタグの切り離しを行うことが好ましい。
以上の各ステップを経ることにより、第1実施態様と同様の効果を得ることができる。第2実施態様の方法において、とくにDNA不活化剤としてDNaseIを、DNA吸着剤として陰イオン交換担体を用いた場合、第1実施態様の方法よりも短時間でDNA親和性物質の精製またはDNA親和性物質含有組成物の製造を行うことができる。
(DNA親和性物質含有組成物)
本発明は、鎖置換型DNA増幅法において増幅可能なDNAの含有量が、前記組成物中のDNA親和性物質100ngあたり0ag以上30ag未満である、DNA親和性物質含有組成物にも関する。
鎖置換型DNA増幅法は、微量のDNAを鋳型として用いた場合であっても、これを増幅・検出することができるものである。このため、微量のDNAを鋳型にする鎖置換型DNA増幅法において、微量でも夾雑DNAを含むDNAポリメラーゼを用いると、これが増幅され、上記微量の鋳型DNA由来のDNAの検出が困難となる場合が多い。しかしながら、本願発明者らは、DNA親和性物質含有組成物において、増幅可能な夾雑DNAの含有量が上記範囲内、すなわちDNA親和性物質100ngあたり30ag未満であると、かかる夾雑DNAは、通常の条件を用いる鎖置換型DNA増幅法において検出されないことを見出した。
DNA親和性物質含有組成物中における、鎖置換型DNA増幅法において増幅可能なDNAの含有量は、上記範囲内であればとくに限定されないが、より高純度のDNA親和性物質含有組成物を得るために、好ましくは、前記DNA親和性物質含有組成物中のDNA親和性物質100ngあたり、0〜25agであり、より好ましくは、0〜15agである。
また、上記DNA親和性物質含有組成物は、さらに、鋳型DNAを含まない試料に対して用いられた際に、以下の(1)〜(3)の条件下で行われるMPRCAによって検出可能なDNAを含まないことが好ましい:
(1)95℃における1分間の加熱処理、
(2)25℃における30分間のアニーリング、
(3)30℃における16時間の伸長反応。
本発明はまた、DNA親和性物質含有組成物であって、
鋳型DNAを含まない試料に対して用いられた際に、以下の(1)〜(3)の条件下で行われるMPRCAによって検出可能なDNAを含まない、前記DNA親和性物質含有組成物:
(1)95℃における1分間の加熱処理、
(2)25℃における30分間のアニーリング、
(3)30℃における16時間の伸長反応、にも関する。
上述したような条件において、通常の反応スケール(約20μL)で増幅反応を行った場合、例えば、DNA親和性物質100ngに対して30ag以上の濃度で試料中に存在する極めて微量のDNAであっても検出が可能である。したがって、上記DNA親和性物質含有組成物は、このような極めて微量のDNAの検出を行う場合に、増幅試薬として好適に用いることができる。
本発明はまた、DNA親和性物質含有組成物であって、
鋳型DNAを含まない試料に対して用いられた際に、以下の(1)、(2)および(3’)の条件下で行われるリアルタイムMPRCAによって検出可能なDNAを含まない、前記DNA親和性物質含有組成物:
(1)95℃における1分間の加熱処理、
(2)25℃における30分間のアニーリング、
(3’)30℃における9時間の伸長反応、にも関する。
上記(3’)の伸長反応は、好ましくは11時間、より好ましくは12時間、さらに好ましくは16時間、さらにより好ましくは24時間行われる。
ここで、検出可能なDNAとは、ゲル上で蛍光標識が肉眼で視認できる程度をいい、例えば、アガロースゲル電気泳動後に、アガロースゲル中のDNAを臭化エチジウムで検出した場合、1ng/バンド以上のものをいう。また、増幅反応溶液に発色用試薬を加えて増幅反応を行う場合には、蛍光強度が上昇することをいい、例えば、SYBR(R) Green II(タカラバイオ社)などの発色用試薬を終濃度で1×濃度となるように増幅反応溶液に添加してリアルタイムPCR装置を用いて蛍光強度を観測しながら増幅反応を行った場合には、蛍光強度が反応開始時の2倍以上に上昇することをいう。
本発明にかかるDNA親和性物質含有組成物は、とくに、DNA増幅法において試薬として用いられた場合に、ノイズが少なく、信頼性の高い結果を出すことができる点で有用である。DNA増幅法は、とくに限定されないが、例えば、PCR、RT−PCR、MDA、RCA、MPRCAなどの増幅法である。とくに、MDA、RCA、MPRCA反応の場合には、試薬としてDNA親和性物質含有組成物を用いる場合、極端に少ない反応スケールで用いると十分な量の増幅物が得られないため、一般的には、DNA親和性物質を約0.2〜1.0%含む、約20〜100μLのDNA親和性物質含有組成物の反応スケールで行う。
本明細書において、反応スケールとは、DNA増幅反応溶液の合計液量を指し、DNA親和性物質、プライマー、サンプル溶液、水、DNA増幅用緩衝液、4種類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸、無機ピロフォスファターゼなどの、DNA増幅に必要な任意の物質を含む液体の全量である。
上述したような本発明のDNA親和性物質含有組成物は、例えば、DNA親和性物質を第1または第2実施態様における精製方法によって精製することによって、あるいは、第1または第2実施態様における製造方法によって製造することにより得ることができる。
(キット)
本発明はまた、DNA親和性物質を精製するためのキットであって、DNA親和性物質含有混合物に含まれるDNAを、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去するためのDNA吸着剤、および前記混合物に含まれるDNAの増幅能を、DNA不活化剤により不活化するためのDNA不活化剤を含む、前記キットに関する。
本キットに含まれるDNA吸着剤は、上述したDNA親和性物質の精製方法において用いることのできるDNA吸着剤から選択される1種または2種以上の組み合わせとすることができる。
また、本キットに含まれるDNA不活化剤は、上述したDNA親和性物質の精製方法において用いることのできるDNA不活化剤から選択される1種または2種以上の組み合わせとすることができる。
また、本キットは、本発明のDNA親和性物質の精製方法および本発明のDNA親和性物質含有組成物の製造方法のために用いられることができる。したがって、本キットには、さらに、例えば、取扱い説明書、DNA親和性物質、DNA親和性物質のゲノムDNAなどに代表される、本発明の精製方法および製造方法に必要なものが含まれてもよい。
以上、本発明の好適な実施態様について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、任意の構成を付加・削除・転換してもよく、各剤を2種以上組み合わせて用いてもよく、各工程やステップは1回以上繰り返してもよい。
以下に、本発明を実施例を参照してより詳細に説明するが、これは本発明の特定の具体例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
1.DNA親和性物質の精製およびDNA親和性物質含有組成物の製造
1−1.実施例1
<準備ステップ(S−1)>
(GST融合バクテリオファージφ29DNAポリメラーゼ発現ベクターの作製)
バクテリオファージφ29のゲノムDNAを鋳型として、制限酵素であるEcoRIおよびNotIの認識配列をそれぞれ付加した示したプライマー(配列番号1および2)を用いて、PCRでφ29DNAポリメラーゼの遺伝子配列を増幅した。増幅産物をEcoRIおよびNotIで消化し、発現ベクターpGEX−6P−1(GE healthcare社)のEcoRIおよびNotIサイト間に連結し、GST融合φ29DNAポリメラーゼを発現するための組み換えプラスミドpGEX−φ29polを作製した。
(pGEX−φ29polの発現用大腸菌BL21株への導入、およびGST融合φ29DNAポリメラーゼの誘導)
大腸菌BL21株コンピテント細胞(Novagen社)にpGEX−φ29polを形質転換した。pGEX−φ29polが導入された大腸菌株を0.05mg/mLのアンピシリンを含むLB液体培地で30°Cで、8時間振とう培養した。さらに、前記培養液0.25mLを0.2%のラクトース、0.05%のグルコース、1mMの硫酸マグネシウム、0.05mg/mLのアンピシリンを含むLB液体培地250mLに添加し、30℃で18時間振とう培養を行い、GST融合φ29DNAポリメラーゼの発現を誘導した。その後、培養液を4℃で15分間遠心分離(5,000×g)を行い、大腸菌体を回収した。回収した大腸菌体は使用するまで−80℃で保存した。
(菌体破砕)
GST融合φ29DNAポリメラーゼが誘導された大腸菌体1gにつき、4mLのBugBuster(登録商標)Protein Extraction Reagent(Merck社)、100ユニットのBenzonase(登録商標)ヌクレアーゼ(Merck社)、100μLの5M 塩化ナトリウムおよび0.8mgのリゾチーム(ナカライ社)を加えて懸濁し、氷冷水中で5分間、菌体を破砕した。
<吸着ステップ(S−2)>
菌体破砕液には速やかに、5mLのDNA沈殿液(50mM トリス−塩酸 pH7.5,2M 塩化ナトリウム,1mM EDTA、1%Tween20、1%Nonidet p40および0.6%ポリエチレンイミン)を加えよく懸濁した後、4°Cで15,000rpm、15分間遠心分離を行う事により、沈殿と上清に分離させた。上清を新しい50mLコニカルチューブに移し、さらに等量の希釈液(50mM トリス−塩酸 pH7.5、1mM EDTA、1%Tween20、および1%Nonidet p40)を加えてよく懸濁後、4°Cで15,000rpm、15分間遠心分離する事により、沈殿と上清に分離させた。上清を新しい50mLコニカルチューブに移し、5gのトレハロース(林原社)を加え、溶解した後に、あらかじめ洗浄したおいた膨潤体積約1mLのグルタチオンセファロース4B(GS4B)担体(GE healthcare社)カラムにかける事によって、GST融合φ29DNAポリメラーゼをGS4B担体に吸着させた。GST融合φ29DNAポリメラーゼを吸着させたGS4Bカラムは、あらかじめ氷水中で冷却しておいた8mLの洗浄液1(50mM トリス−塩酸 pH7.5、300mM 塩化ナトリウム、1mM EDTA,1%Tween20、1%Nonidet p40および0.5M トレハロース)で洗浄した後、250mLの洗浄液2(50mMトリス−塩酸 pH7.5,3M 塩化ナトリウム、1mM EDTA、1%Tween20および1%Nonidet p40)で洗浄し、残留ポリエチレンイミンを除去した。
<不活化ステップ(S−3)>
洗浄されたカラム中のGS4B担体は、あらかじめ氷水中で冷却しておいた10mLの洗浄液1で懸濁後、清浄なシャーレに移し、100μLの0.5mg/mLのエチジウムブロミドモノアジド液を加えた後、アルミホイルで遮光後、4°Cで30分間震盪した。遮光震盪後、アルミホイルを外し、発光ダイオード(パナソニック、LDA9DH)から可視光を、4°Cにおいて60分間照射した。洗浄後、約1mLのプロテアーゼ緩衝液でGS4B担体を懸濁後、2.0mLチューブ(BioPur、エッペンドルフ社)に移し、さらに1mLのプロテアーゼ緩衝液(66mM トリス−塩酸 pH7.5、200mM 塩化ナトリウム、0.2mM EDTA,1%Tween20、1%Nonidet p40および1mM トリスヒドロキシホスフィン)で洗浄した。洗浄したGS4B担体を200μLのプロテアーゼ緩衝液で懸濁し、30ユニットのPreScission(登録商標)プロテアーゼ(GE healthcare社)を加え、4°Cで120時間以上反応することによりGST−tag部分からφ29DNAポリメラーゼを分離させた。分離したφ29DNAポリメラーゼは、4°Cで500×g、2分間遠心分離する事により、GS4B担体から回収した。回収した酵素液に等量のグリセロール液(Invitrogen社)および1/500倍量の1M ジチオスレイトールを加えて良く攪拌したものを精製酵素として−20°Cで保存した。
1−2.実施例2
<準備ステップ(S−1)>
実施例1と同様にベクターを作製し、大腸菌株でポリメラーゼの発現を誘導した。
(菌体破砕)
GST融合φ29DNAポリメラーゼが誘導された大腸菌体2gにつき、8mLのBugBuster(登録商標)Protein Extraction Reagent(Merck社)、560ユニットのDNaseI(Roche社)、1.6mgのリゾチーム(ナカライ社)を加えて懸濁し、氷冷水中で30分間放置し、菌体を破砕した。その後、TritonX−405を終濃度1%になるように添加した後、4℃で15分間遠心分離(8,500×g)を行い、上清を回収した。
<不活化ステップ(S’−2)>
上清を洗浄液(50mM トリス−酢酸 pH7.5、500mM 酢酸カリウム、1mM EDTA、1%TritonX−405、1mM ジチオスレイトール)で平衡化した2mLのグルタチオンセファロース4B(GS4B)担体(GE healthcare社)が入った15mLコニカルチューブに添加し、4℃で30分間撹拌することでGS4B担体にGST融合φ29DNAポリメラーゼを吸着させた。撹拌後、4℃で5分間遠心分離(500×g)を行い、上清を除去してGS4B担体を回収した。回収したGS4B担体を、あらかじめ4℃に冷却した洗浄液10mLで5回洗浄することにより、菌体破砕液の夾雑成分を除去した。洗浄後、GS4B担体をあらかじめ4℃に冷却したヌクレアーゼ緩衝液(33mM トリス−酢酸 pH7.5、66mM 酢酸カリウム、10mM 酢酸マグネシウム、0.5mM 塩化カルシウム、1%TritonX−405、1mM ジチオスレイトール)に置換した後、冷ヌクレアーゼ緩衝液2mLと100ユニットのDNaseIを添加し、4℃で18時間撹拌することで、夾雑DNAを分解した。
撹拌後、4℃で5分間遠心分離(500×g)を行い、上清を除去してGS4B担体を回収した。回収したGS4B担体を冷洗浄液10mLで5回洗浄した後、エンプティーカラムに移し、洗浄液を100mL通液して分解されたDNAとDNaseIを洗浄した。カラム洗浄後、GS4B担体を新しい15mLコニカルチューブに移し、冷溶出緩衝液(33mM トリス−酢酸、pH7.5、100mM 酢酸カリウム、0.1mM EDTA、1%TritonX−405、1mM ジチオスレイトール)に置換した後、冷溶出緩衝液1mLとPreScission(登録商標)プロテアーゼ(GE healthcare社)40Uを添加し、4℃で18時間撹拌することで、GSTタグとφ29DNAポリメラーゼを切り離した。撹拌後、GS4B担体懸濁液を4℃で5分間遠心分離(500×g)を行い、GS4B担体から遊離したφ29DNAポリメラーゼを含む上清を回収した。
<吸着ステップ(S’−3)>
回収した上清1mLを溶出緩衝液で平衡化した1mLのセルロファイン(登録商標)KANTO QAE−500(QAE)担体(関東化学社)が入った新しい15mL容コニカルチューブに添加し、4℃で30分間撹拌することで、残存する夾雑DNAをQAE担体に吸着させた。撹拌後、QAE担体懸濁液を0.1μmフィルターろ過を行い、φ29DNAポリメラーゼを含むろ液を回収した。ろ液0.6mLに対して80%グリセロール含有緩衝液(80%グリセロール、33mM トリス−酢酸,pH7.5、100mM 酢酸カリウム、0.1mM EDTA、0.2%TritonX−405、1mM ジチオスレイトール)1mLを混合したものを精製酵素液とし、−20°Cで保存した。
1−3.比較例1(不活化ステップを用いない方法)
実施例1において記載した条件と同一の条件で(ただし、エチジウムモノアジドによる不活化ステップを用いない)、DNA親和性物質含有組成物を作製した。
1−4.比較例2(吸着ステップを用いない方法)
実施例2において記載した条件と同一の条件で(ただし、QAEによる吸着ステップを用いない)、DNA親和性物質含有組成物を作製した。
2.評価
2−1.実施例1および2で得たφ29DNAポリメラーゼのタンパク質純度の確認
実施例1および2の各精製過程および精製酵素をe−PAGEL 5−12.5%グラジェントゲル(アトー社)を用いてSDS−PAGEを行い、CBB染色によりφ29DNAポリメラーゼを検出した結果を図3および4に夫々示した。
実施例1および2ともに、精製酵素には約67kDaであるφ29DNAポリメラーゼ以外のバンドはほとんど検出されず、高純度に精製されていることが確認された。
2−2.実施例1および実施例2で得られたφ29DNAポリメラーゼならびに市販酵素における夾雑DNAの検出および比較
(DNA増幅反応)
実施例1および2で得たφ29DNAポリメラーゼならびに市販酵素のφ29DNAポリメラーゼを用いて、MPRCA法によるDNA増幅反応を行った。市販酵素のφ29DNAポリメラーゼとしては、Epicentre社、New England Biolabs社、Fermentas社、和光純薬社が発売しているものを用いた。鋳型DNAはpUC19DNA(タカラバイオ社)を精製水で0.5×10コピー/μLに調製した。RNAプライマーは6塩基のランダムRNAプライマーで全塩基がチオリン酸エステルで結合したものを用いた。
MPRCA反応は、鋳型DNAまたは精製水(鋳型DNAなし)2μLにアニーリングバッファー(150mM トリス−塩酸,pH7.5、100mM 塩化カリウム、40mM 塩化マグネシウム)2μL、100μM RNAプライマー2μL、精製水4μLを混合して95℃で1分間加熱後、25℃まで30分かけて冷却した後、リアクションバッファー(200mM トリス−塩酸、pH7.5、400mM 塩化カリウム、100mM 塩化マグネシウム、100mM 硫酸アンモニウム2μL、10mM dNTPs 2μL、100mM ジチオスレイトール 1μL、200U/mg Pyrophosphatase(Roche社)0.1μL、100ng/μL φ29DNAポリメラーゼ 1μL、精製水3.9μLを混合して30℃で16時間インキュベートすることで行った。その後、φ29DNAポリメラーゼを失活させるため、反応液を65℃で10分間インキュベートした。反応液をTE緩衝液(10mM トリス−塩酸、pH8.0、1mM EDTA)で10倍希釈し、その5μLを1%アガロースゲルで電気泳動後、臭化エチジウムで染色して増幅の有無を確認した。
(DNA増幅反応の結果)
実施例1および2で得られたφ29DNAポリメラーゼならびにEpicentre社、New England Biolabs社、Fermentas社、和光純薬社のφ29DNAポリメラーゼを用いて、MPRCA法によるDNA増幅反応を行った結果を図5に示す。市販酵素では何れの酵素でも鋳型DNAを反応系に添加していないにも関わらず、DNAの増幅が認められた。実施例1および2で得られた精製φ29DNAポリメラーゼでは鋳型DNAなしではDNAの増幅は認められず、鋳型DNAに依存した信頼性の高い増幅結果が得られた。
2−3.実施例1および2、および比較例1および2で得られたφ29DNAポリメラーゼならびに市販酵素を用いたMPRCA法による夾雑DNAの検出と比較
実施例1および2、および比較例1および2で得られたφ29DNAポリメラーゼならびにEpicentre社のφ29DNAポリメラーゼを用いて、鋳型DNAとして10、10、10、10、1、0コピーのpUC19DNA(タカラバイオ社)を上述の方法と同様に、MPRCA法により増幅した。反応液を精製水で10倍希釈した後、その5μLを制限酵素BamHIおよびEcoRIで切断し、全量を1%アガロースゲルで電気泳動後、臭化エチジウムで染色してDNAを検出した。結果を図6に示す。各レーンの上部に記載した数字は鋳型DNAとして使用したpUC19DNAのコピー数、Mは分子量マーカーを示す。pUC19DNAに由来する増幅産物は図中に矢印で示したpUC19DNAのサイズである約2.7kbのバンドとして検出され、夾雑DNAに由来する増幅産物は約2.7kb以外のバンドとして検出される。Epicentre社、比較例1(実施例1のEMA処理なし)および2(実施例2のQAE処理なし)で得られたφ29DNAポリメラーゼでは、それぞれ10コピー、1コピー、10コピー以下のpUC19DNAを鋳型DNAにした場合、pUC19DNAのサイズ以外のバンドが検出され、夾雑DNAの増幅が認められた(図6)。
一方、実施例1および2で得られたφ29DNAポリメラーゼでは、pUC19DNAのサイズ以外のバンドは検出されなかった。この結果から、DNA吸着剤およびDNA不活化剤が無い場合には、夾雑DNAの除去が不十分であったが、両方の剤を用いると、夾雑DNAが十分に除去されていることがわかる。
2−4.実施例2で得られたφ29DNAポリメラーゼを用いたリアルタイムMPRCA反応による増幅結果
リアルタイムMPRCA反応は、MPRCA反応液にSYBR(R)Green II(タカラバイオ社)を終濃度で1×濃度となるように添加し、リアルタイムPCR装置であるThermal Cycler Dice(R)Real Time System II(タカラバイオ社)を用いて15分間隔で蛍光強度を測定しながら30℃で24時間インキュベートすることで行った。鋳型DNAとして10、10、10、1、0コピーのpUC19DNA(タカラバイオ社)を検出した結果を図7に示す。また、2nd Derivative Maximum法により作成した検量線を図8に示す。
2−5.実施例1および2、および比較例2で得られたφ29DNAポリメラーゼならびに市販酵素を用いたリアルタイムMPRCA反応による夾雑DNAの検出および比較
実施例1および2で得られた精製φ29DNAポリメラーゼ、比較例2で得られたφ29DNAポリメラーゼ、Epicentre社のφ29DNAポリメラーゼを用いて、鋳型DNAなしでMPRCA法によるDNA増幅反応を行った結果を図9に示す。Epicentre社および比較例2(実施例2のQAE処理なし)で得られたφ29DNAポリメラーゼでは鋳型DNAを反応系に添加していないにも関わらずDNA増幅に伴う蛍光強度の上昇が認められ、夾雑DNA量は図8の検量線からそれぞれ392コピーと14コピーのpUC19DNAに相当する。
実施例1および実施例2で得られた精製φ29DNAポリメラーゼでは蛍光強度の上昇は認められない。
3.MPRCA法におけるDNA検出限界値の測定
実施例1および2で得られたφ29DNAポリメラーゼを100ng用い、pUC19DNA(DNA重量約3ag/コピー)を鋳型DNAとして、そのコピー数を1、10、10、10、10と変動させて、上記と同じ条件下で、MPRCA法により増幅させた。すると、1コピーでは検出不可能であったが、10コピー以上の鋳型DNAを用いると検出可能であった(図6)。したがって、DNAポリメラーゼを100ng用いた際には、pUC19DNAの10コピー分の重量である約30agが検出限界値であるといえる。
本発明により製造したDNA親和性物質含有組成物(例えば、夾雑DNAが精製除去されたDNAポリメラーゼ)を用いることで、夾雑DNAの影響を受けず、1分子のDNAの検出・増幅が可能となり、実験結果の信頼度が飛躍的に向上することから、分子生物学などの研究上の需要は非常に大きいものと思われる。
また近年、環境中に多数存在する培養法が不明な微生物(難培養微生物)のゲノムDNAを直接DNA増幅して配列解析を行うことによって、そのゲノム配列から有用な遺伝子資源を探索するメタゲノム解析が頻繁に行われているが、そのDNA増幅方法として中温性酵素のφ29DNAポリメラーゼを利用した鎖置換増幅法が注目されている。本発明を利用して精製されたφ29DNAポリメラーゼを利用したメタゲノム解析は、僅か1個体の菌体からのDNA増幅が可能となるため、本発明を利用して精製された中温性酵素によるDNA増幅技術は食品関連、医療用、工業用など利用可能性は高いと考えられる。

Claims (13)

  1. マルチプリープライムローリングサークル増幅法またはマルチプルディスプレースメント増幅法において用いられるためのDNA親和性物質含有組成物であって、鎖置換型DNA増幅法において増幅可能なDNAの含有量が、前記組成物中のDNA親和性物質100ngあたり0ag以上30ag未満であり、DNA親和性物質は、デオキシヌクレオチドを基質とした反応に関与可能な酵素である、前記DNA親和性物質含有組成物。
  2. 鋳型DNAを含まない試料に対して用いられた際に、以下の(1)〜(3)の条件下で行われるマルチプリープライムローリングサークル増幅によって検出可能なDNAを含まない、請求項1に記載のDNA親和性物質含有組成物:
    (1)95℃における1分間の加熱処理、
    (2)25℃における30分間のアニーリング、
    (3)30℃における16時間の伸長反応。
  3. DNA親和性物質含有混合物に含まれるDNAを、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去するステップと、
    前記混合物に含まれるDNAの増幅能を、DNA不活化剤により不活化するステップとの組み合わせを含む製造方法により製造された、請求項1または2に記載のDNA親和性物質含有組成物。
  4. マルチプリープライムローリングサークル増幅法またはマルチプルディスプレースメント増幅法において用いられるためのDNA親和性物質の精製方法であって、
    DNA親和性物質含有混合物に含まれるDNAを、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去するステップと、
    前記混合物に含まれるDNAの増幅能を、DNA不活化剤により不活化するステップとの組み合わせを含み、
    ここで、DNA親和性物質は、デオキシヌクレオチドを基質とした反応に関与可能な酵素であり、精製後のDNA親和性物質含有混合物に含まれる鎖置換型DNA増幅法において増幅可能なDNAの含有量が、DNA親和性物質100ngあたり0ag以上30ag未満である、前記DNA親和性物質の精製方法。
  5. DNA親和性物質含有混合物に含まれるDNAの少なくとも一部を、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去するステップ、および
    前記混合物に含まれるDNAの残部の増幅能を、DNA不活化剤により不活化するステップ
    を含む、請求項に記載のDNA親和性物質の精製方法。
  6. DNA親和性物質含有混合物に含まれるDNAの少なくとも一部の増幅能を、DNA不活化剤により不活化するステップ、および
    前記混合物に含まれるDNAを、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去するステップ
    を含む、請求項に記載のDNA親和性物質の精製方法。
  7. DNA吸着剤が、カチオン性ポリマーを含んで構成されている、請求項のいずれか一項に記載のDNA親和性物質の精製方法。
  8. DNA吸着剤が、アミン含有ポリマーおよび陰イオン交換担体からなる群から選択される1種または2種以上を含んで構成されている、請求項のいずれか一項に記載のDNA親和性物質の精製方法。
  9. DNA不活化剤が、DNAインターカレート剤およびDNA分解酵素からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項のいずれか一項に記載のDNA親和性物質の精製方法。
  10. DNA親和性物質が、DNAポリメラーゼである、請求項のいずれか一項に記載のDNA親和性物質の精製方法。
  11. DNA親和性物質が、鎖置換型DNA増幅法に用いられるものである、請求項10のいずれか一項に記載のDNA親和性物質の精製方法。
  12. マルチプリープライムローリングサークル増幅法またはマルチプルディスプレースメント増幅法において用いられるためのDNA親和性物質含有組成物の製造方法であって、
    DNA親和性物質含有混合物を準備するステップ、
    前記混合物に含まれるDNAの少なくとも一部を、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去するステップ、および
    前記混合物に含まれるDNAの残部の増幅能を、DNA不活化剤により不活化して、DNA親和性物質含有組成物を得るステップ
    を含み、
    ここで、DNA親和性物質は、デオキシヌクレオチドを基質とした反応に関与可能な酵素であり、製造後のDNA親和性物質含有混合物に含まれる鎖置換型DNA増幅法において増幅可能なDNAの含有量が、DNA親和性物質100ngあたり0ag以上30ag未満である、前記DNA親和性物質含有組成物の製造方法。
  13. マルチプリープライムローリングサークル増幅法またはマルチプルディスプレースメント増幅法において用いられるためのDNA親和性物質含有組成物の製造方法であって、
    DNA親和性物質含有混合物を準備するステップ、
    前記混合物に含まれるDNAの少なくとも一部の増幅能を、DNA不活化剤により不活化するステップ、および
    前記混合物に含まれるDNAを、DNA吸着剤に吸着させて前記混合物から除去して、DNA親和性物質含有組成物を得るステップ
    を含み、
    ここで、DNA親和性物質は、デオキシヌクレオチドを基質とした反応に関与可能な酵素であり、製造後のDNA親和性物質含有混合物に含まれる鎖置換型DNA増幅法において増幅可能なDNAの含有量が、DNA親和性物質100ngあたり0ag以上30ag未満である、前記DNA親和性物質含有組成物の製造方法。
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