本発明を解決しようとする課題は、カプセル及び先行技術を改良した吸入器で構成されたシステムを提供することにあり、噴霧化の再現性、特に、カプセルからの粉末の放出が改良されたカプセル及び吸入器を含むシステムが提供されるべきである。好ましくは、カプセルの開口部の不規則性を減少させ又は最小限に抑えたシステムが提供されるべきである。特に好ましくは、1回使用に適し又は使い捨てシステム若しくは使い捨て製品として使用するのに適したシステム及び吸入器が提供される。
この課題は、請求項1記載の吸入器及びカプセルで構成されたシステム、請求項21に記載されたこの種のシステムを組み立てる方法及び請求項24記載の吸入器によって解決される。
カプセル及び吸入器によって形成される本発明のシステムの一特徴は、吸入器がカプセルチャンバを有し、吸入器を用いる前に、カプセルは、システム又は吸入器の一部をなすカプセル入れ物内に貯蔵されるということにある。カプセルは、医薬製剤又は調合薬のためのリザーバとして用いられ、カプセルは、一端が開口した2つのカプセル要素、即ち、カプセル本体及びカプセルキャップを有し、カプセル本体とカプセルキャップは、キャビティを形成するようこれらの開口部を通って互いに入れ子式に嵌め合い可能である。カプセル本体及びカプセルキャップは、これら2つのうちの一方、好ましくは両方は、一端の開口部に加えて少なくとも1つの予備成形穴を有する。
カプセル入れ物は、カプセル要素を互いに嵌め合わせた後にカプセルのキャビティになる少なくとも1つの穴及び全ての穴を封止する。カプセル入れ物は、少なくとも部分的にカプセルチャンバ内に配置され、カプセル入れ物をカプセルがカプセルチャンバ内に位置したままであるようにカプセルチャンバから取り外すことができる。
本発明の別の特徴は、予備形成穴を備えたカプセルキャップ及び/又はカプセル本体から成る製剤入りのカプセルが吸入器内で用いられ、予備形成穴が吸入器のカプセルチャンバ内へのカプセルの挿入時点で覆われ、そして吸入器内での引き要素の作動によって露出されるということにある。
これにより、好ましくは噴霧化のためのベルヌーイ効果を使用したカプセル利用型吸入器を提供することが可能であり、この場合、カプセルを穿孔するために穿刺器具を設ける必要がなくなる。予備形成穴の露出は、吸入器内における穿刺手段の使用と比較して種々の利点を提供し、例えばプラスチック押し出しによる製造プロセスの結果として、予備形成穴は、一カプセルと別のカプセルとではサイズ及び形状に関して再現性が高く、これに対し、穿刺により作られる穴は、カプセル材料、カプセルサイズ及び機器並びに穿刺位置及び針の幾何学的形状に応じて個々に様々な場合があると共に/或いは不規則な穴幾何学的形状をもたらす場合がある。さらに、カプセルを穿刺したとき、穿刺部位の付近でカプセル表面に或る程度のスプリングバックが生じる可能性がある。これとは対照的に、本発明において計画された予備形成穴は、露出後においても形状が安定しており、しかもカプセル材料中への突出部がない。カプセル材料のかかる突出部は、例えば、カプセル壁が穿刺器具によって押し込まれたときに形成され、これにより、個々に粉末製剤の堆積が生じる場合があり、それ故、噴霧化の際にカプセルからの製剤の送り出し量が僅かに減少する場合がある。穴の予備形成により可能になるカプセル穴のサイズ及び形状の高い精度に鑑みて、吸入器のカプセルチャンバ内の空気流中にカプセルから放出される粉末の量と更に分布状態の両方は、再現性が一層高い。かくして、製剤それ自体の噴霧化が特にカプセル穿刺手段を備えた吸入器と比較して再現性が高いように作られる。
本発明の別の特徴は、予備成形穴を有するキャップと共に用いられる吸入器は、引き要素を有し、引き要素を作動させるためのチャネル又は開口部が用いられ、これらチャネル又は開口部は、いずれの場合においても、吸入器の動作原理にとって必要である。このことは、特に、引き要素が吸入器の空気チャネル内に配置されることを意味している。したがって、カプセルを開封するために、噴霧化中、流れ特性に悪影響を及ぼす恐れのある追加の開口部をカプセルチャンバに形成する必要がない。噴霧化に必要な空気チャネルのほかに、望ましくない二次空気又は疑似空気が形成されない。システムは、流れ抵抗の面で安定性があり且つ再現性がある。
比較すると、穿刺器具を用いた場合、関連の穿刺要素は、1つ又は2つ以上の開口部を通ってカプセルチャンバ中に導入されなければならず、それにより吸入中、これら開口部を通る望ましくない追加の空気流が生じる場合がある。カプセルチャンバの空気入口及び空気出口に加えて、かかる開口部を設けることは、これら空気入口及び空気出口がカプセルチャンバ中の空気流の状態を向上させるよう設計されていない場合であっても、本発明の吸入器では不要である。
予備成形穴を露出させるために引き要素を用いることは、穿刺要素の使用と比較して追加の利点を有し、穿刺要素を用いる場合、噴霧化プロセスに必要なカプセルチャンバ内におけるカプセルの運動に必要な隙間の結果として、カプセルをカプセルチャンバ内で穿刺したときに穿刺先端部に対するカプセルの位置が変化する場合がある。多くの同様なカプセル‐吸入器システムと比較して、これにより、それぞれのカプセルの穴の正確な位置のばらつきが生じる
カプセルの予備形成穴を露出させる引き機構体の使用の結果として、穿刺器具の使用に起因して生じる穴の形状、サイズ及び位置の変化と製剤の送り出しの結果としての変化の全てが回避される。この場合、製剤の噴霧化は、カプセルの穴を開放するための機構体とは無関係である。これは又、脆弱なカプセル材料が用いられる場合、特に穿刺プロセスで生じる場合のあるささくれの恐れが最小限に抑えられることを意味している。このように、吸入器に用いられる上で考えられるカプセル材料の範囲が広がる。
予備形成穴を露出させる引き機構体の使用は、引き要素の形態に応じて、カプセル上におけるあらゆる種類の穴構造を露出させるために同一の機構体を用いることができるという追加の利点を有する。例えば、カプセル、カプセルチャンバ及び引き要素の円筒形構造体では、カプセルの周囲に対する種々の場所に複数個の穴をカプセルに設けることができる。カプセルの穴のサイズ、形状、位置及び数は、特にカプセル部分が射出成形法により作られる場合にこの設計例では極めて多様である。この場合、特定の製剤又は特定の粉末の噴霧化に合った流れシミュレーションの結果を用いると、この特定の製剤又はこの特定の粉末のためのカプセルの最適な穴構造を利用することができる。
本発明の他の特徴とは別個独立の本発明の別の特徴は、一般に、吸入器にも利用でき、吸入器がチャンバ、例えば、特に好ましくは粉末入りカプセル(71)を保持するカプセルチャンバ(74)の振動チャンバを形成する本体(100)を有し、この本体(100)の材料が本質的に、熱成形フィルム又はブリスタフィルムから成ることにある。医薬有効物質との適合性に関して医薬錠剤の包装分野において十分に研究されたこの種の材料の使用により、例えばプラスチックの押し出し成形によって、もしそのように構成しなければ材料費が高くついた状態で製造されたであろう吸入器の極めて安価な製造が可能である。
好ましくは、本体は、封着、貼り合わせ、接着又は溶接によって互いに接合される2つの半部又は部分で形成されている。好ましくは、噴霧化され又は放出されるべき医薬製剤を収容したリザーバ又は特にここでは好ましくは粉末入りカプセルを収容したカプセル入れ物は、本体の2つの半部又は部分を互いに接合する前にカプセルチャンバ内に配置される。ちょうど2、3の動作ステップから成るこのプロセスは、複雑ではない、それ故に迅速且つ安価な組み立てプロセスを提供する。標準型の市販吸入器の製造と比較して、全体として減少した製造費の結果として、このようにして熱成形部品から作られた吸入器は、1回使用吸入器として、即ち、1回使用又はいわゆる使い捨て物品として使用するのに極めて適している。
好ましくは包囲物体のための入口チャンバを形成する2つの吸入器部分の安価な組み立て原理をプラスチック押し出しにより作られるコンポーネント(熱成形コンポーネントではなく)にも利用でき、2つのかかるコンポーネントを例えば超音波圧接によってこれらの連結面に沿って互いに接合可能である。
有利な別の特徴を以下において且つ図面を参照して詳細に説明する。
一実施形態では、カプセルに予備形成された少なくとも1つの穴は、引き要素によって閉鎖され、引き要素は、カプセル入れ物を形成し又はカプセル入れ物は、引き要素の一部である。このカプセル入れ物は、実質的に、円筒形管の形をしており、この円筒形管は、カプセルの円筒形部分周りに正確に嵌まるような寸法のものである。カプセルの少なくとも1つの予備形成穴は、カプセルの円筒形ケーシング領域に配置され、かくして、カプセルが吸入器内に貯蔵され又は保持されている間、カプセル入れ物壁によって閉鎖される。好ましくは、このように貯蔵された粉末入りカプセルは、頂部及び底部に2つの穴、即ち、円筒形ケーシング領域の開始部に1つの穴及びその最終部に1つの穴を有する。好ましくは、カプセルは、カプセル本体及びカプセルキャップから成り、これらの両方は、少なくとも1つの予備形成穴を有し、他方、カプセル本体とカプセルキャップを互いに押し嵌めした後、穴は、露出状態のままであり、即ち、それぞれの他のカプセル要素によって覆われない。変形例として、穴は、カプセルの充填後に且つ吸入器の外部でのカプセルキャップとカプセル本体の組み立て後に形成されても良い。カプセル内には、後での送り出しのために0.1ミリグラム〜100ミリグラムの量の純粋な有効物質又は有効物質混合物から成る粉末を貯蔵するのが良い。
本発明のシステムの好ましい実施形態では、吸入器及びカプセルを含むシステムは、特に、1回限り使用のシステム(1回だけ使用システム)の場合、このシステムは、予備形成カプセル穴を露出させる引き機構体を有する。引き機構体は、好ましくは、輸送及び貯蔵に適したシステムの状態ではカプセルがカプセル入れ物内に配置され、カプセル入れ物がカプセルチャンバ内に配置されるよう構成される。システムを使用できる状態にするため、カプセル入れ物をカプセルチャンバから引き出し、好ましくは更に吸入器から完全に引き出す。カプセル入れ物付きのカプセルがカプセルチャンバから引き出されるのを阻止すると共に/或いはカプセルがカプセル入れ物を引き出したときにカプセル入れ物から放出されるのを阻止する装置が提供される。
好ましくは、カプセル入れ物は、吸入器に設けられているマウスチューブを通って引き出される。マウスチューブは、カプセルチャンバから吸入器の口端部に向かう空気出口を形成する。カプセルをカプセルチャンバ内に保持するこの装置は、好ましくは、バー又はクロスピースを有し、このバー又はクロスピースは、同時に、カプセルチャンバの上側境界部を形成する。このバー又はクロスピースは、好ましくは、システムの貯蔵状態において、カプセルチャンバの空気入口と反対側でカプセル入れ物を貫通して延びる。カプセル入れ物は、好ましくは、スロット状の凹部を有し、このスロット状凹部の結果として、カプセル入れ物は、カプセルを吸入器から引き出し、かくしてこれから分離しているときにクロスピースを越えて摺動することができる。
好ましくは、システムの輸送状態においてカプセル入れ物を形成するコンポーネントは、吸入器から突出した領域を有し、この領域には掴み面が形成され、ユーザは、カプセル入れ物を吸入器から引き出すためにこの掴み面を掴むことができる。また、特に好ましくは、カプセル入れ物を形成するコンポーネントは、移送状態において吸入器の口端部を覆うキャップとして形作られる。
カプセル入れ物又は、穴を封止し若しくは露出させる手段としての引き要素は、カプセルに設けられた予備成形穴の封止概念の関数として設計される。好ましい実施形態では、カプセル入れ物は、引き要素によって形成される。好ましくは、カプセル入れ物及び引き要素は、ブリスタフィルムから1つ又は2つ以上の熱成形コンポーネントとして作られる。好ましくは、カプセル入れ物内のカプセルは、引き要素のところで封止プロセスにより予備成形穴の付近で封止される。好ましくは、カプセル入れ物は、カプセルを引き要素の長手方向軸線に沿って圧力によりカプセル入れ物から非破壊的に外すことができるよう、可撓的に構成され、例えば上述したようにカプセル入れ物が適当なスロットによってバー又は障害物を滑って通過することができる状態で引き機構体を作動させているときにカプセルがバー又は他の障害物によって保持されることによって、非破壊的に外すことができる。
本発明の別の特徴は、1回使用のシステムの場合、各々の引き機構体に関係するコンポーネントがそれぞれの引き運動を非破壊的には逆にすることができないようにする装置を有することにある。特に、プッシャ又はカプセル入れ物は、この目的のため、カプセル入れ物が引き出されている場合にカプセル入れ物が非破壊的にカプセルチャンバに戻されるのを阻止するばねアーム又は他の要素を有する。
1回使用のための上述のシステムは、変形例として、2つのカプセルを備えたシステムとして設計されても良い。2つのカプセル用のこの種の実施形態では、吸入器は、2つの関連のカプセルチャンバ及び2つのカプセル入れ物を更に有する。2つのカプセルを有するこの種のシステムの意図した使用に応じて、2つのカプセルには、オプションとして、互いに異なる種類の調合薬及び/又は互いに異なる量の調合薬を充填する。吸入器及び2つのカプセルを含むこの種のシステムは、例えば、2種類の調合薬が患者に同時に投与されなければならない治療において使用されるのが良い。カプセルが互いに異なる充填物を有する状態では、カプセルのサイズをそれぞれの充填量に合わせて設定することが有用な場合がある。この種の極めて特定の実施形態では、それぞれのカプセルチャンバ及びカプセル入れ物も又、サイズがそれぞれのカプセルに合わせられる。これが2つの同一のカプセル又は2つの互いに異なるカプセルを有する実施形態であるということとは関係なく、2つのカプセルを備えたこの種のシステムでは、吸入器に設けられる引き機構体は、1回の動作で、両方のカプセルの穴が同時に露出されるよう構成される。システムが例えば吸入器のマウスチューブ中を延びるカプセル入れ物、及び引くための掴み面又はタブを備えたキャップを有する場合、キャップを引いたときに、好ましくはキャップの付近で互いに接合されている2つのカプセル入れ物が同時に吸入器から引き出される。
本発明のシステムの別の実施形態では、システムは、吸入器及び少なくとも1つの予備成形穴を備えた組み立てた状態のカプセルで形成され、カプセルは、システムを携帯可能な状態では吸入器内に位置し、好ましくは延伸性且つ/或いは柔軟性のフィルムによって少なくとも部分的に包囲され、このフィルムは、システムの携帯可能な状態においてカプセルの少なくとも1つの予備成形穴及び/又は全ての穴を閉鎖する。フィルムは、好ましくは、プルストリップ(引きストリップ)又は他の掴み要素に連結されると共に/或いはカプセルの一端部のところでカプセルを部分的に越えて突き出る(したがって、プルストリップを備えたフィルム又は突出したフィルムそれ自体は、これらの実施形態においては、「引き要素」である)。吸入器は、フィルムをその突き出し部分のところで且つ/或いはそのプルストリップのところで吸入器から引き出すことができるようにする開口部を有し、それにより、カプセルの予備成形穴が露出される。
引き機構体を利用したシステムの複雑さが低く且つ関連の製造費が低いので、予備形成された当初覆われている穴を備えたカプセル及びカプセルチャンバ中に挿入されたカプセル入れ物又は引き要素含むシステムは、1回使用型吸入器(使い捨て商品)の製造にも適している。特に、べとつく粉末状製剤が吸入のために提供される用途では、堆積物がカプセルチャンバ、空気出口及びマウスピース内に急速に生じ、その結果、例えば使い捨て製品を用いることによってかかるシステムの頻繁な交換が望ましい。
本発明の吸入器及びカプセルで構成されたシステムの一実施形態では、組み立て状態のカプセルは、2つの互いに異なる状態、即ち、少なくとも1つの予備成形穴が閉鎖された第1の状態及びこの予備成形穴が開いている第2の状態で存在可能である。
かくして、2つのカプセル要素が予備形成穴を有し、そして互いに入れ子式に嵌め合わされると、互いに対する2つの挿入位置(これら2つの挿入位置は、これらの形態がカプセルのいわゆる第1及び第2の状態に対応している)、即ち、予備形成穴が覆われ、カプセルのキャビティが全体として閉鎖されるように2つの要素が互いに嵌め合わされる第1の挿入位置、及びカプセル本体及びカプセルキャップの予備形成穴が互いにオーバーラップし、カプセル全体が2つの穴のオーバーラップ場所のところに1つの穴を有する第2の挿入位置を有することにある。
好ましくは、両方のカプセル要素は、カップの形をしている。これら2つのカプセル要素が形成する一端部が開口したキャビティは、側方が周りのカプセルケーシング及び開放側部に対する閉鎖端部によって画定される。好ましくは、カプセルケーシングは、円筒形又は楕円形の周囲壁を形成し、その結果、特に粉末状製剤が溜まり、かくして粉末を次にカプセルが放出したときに残ったままになる場合のあるコーナー部が組み立て状態のカプセルの内側に生じないようになる。同じ理由で、カプセル本体及びカプセルキャップ、かくしてこれらを互いに嵌め合わせることによって形成されるカプセルの両端部の下面は、凸状、特に実質的に半球形又は楕円形の形を有する。
カプセルキャップ及びカプセル本体の予備形成穴は、好ましくは、それぞれのケーシング領域に設けられ、その結果、カプセルキャップとカプセル本体を互いに嵌め合わせると、他方の要素のケーシングは、2つの穴が位置合わせされる挿入位置に達するまでそれぞれの穴を覆うようになっている。
穴について「予備形成」という用語の使用は、穴が工場でのカプセル製造中にそれぞれのカプセル要素に形成されることを意味する。それぞれのカプセル要素の穴は、個々のカプセルを最終的に組み立てる前に既に存在している。特に、1つ又は複数の穴は、カプセル全体として吸入器内に挿入する前にカプセル要素に既に存在する。
好ましくは、カプセルキャップ及びカプセル本体は、組み立て状態において互いに当接するカプセルケーシング領域の側部のところが構造化されている。この構造化は、好ましくは、種々の機能を実行するよう設計される。一方において、カプセルキャップとカプセル本体の構造は、交互に位置するラッチ止め要素を有する。好ましくは、カプセル要素を互いに嵌め合うと、この構造により、カプセルキャップとカプセル本体は、少なくとも2つの位置、特に上述の挿入位置において互いに対してラッチ止め状態になる。第1の挿入位置でのラッチ止めにより、一方において、カプセルの穴が例えば輸送中の振動の結果として時期尚早に偶発的に露出されることがないようになり、穴を露出させるためには、規定されたプロセス、例えば規定された圧力を加えながら2つの要素を互いに押し合うことが必要である。さらに、カプセルキャップとカプセル本体の協働するラッチ止め要素は、カプセルキャップとカプセル本体を互いに嵌め合わせて第1の挿入位置に至らせた後、これらの2つのカプセル要素を互いにもはや非破壊的に分離することができないようになる。これは、カプセルが偶発的に開くのを阻止する。好ましくは、カプセルキャップとキャップ本体の相互接触領域では、2つのカプセル要素を互いに嵌め合わしているときに2つのカプセル要素の案内として役立つ構造化要素も又提供される。互いの方へ差し向けられたカプセルキャップとカプセル本体のケーシング領域に設けられたこれら構造化要素により、2つのカプセル要素を規定された整列状態でしか互いに嵌め合わすことができないようになる。「規定された整列状態」という表現は、カプセルの長手方向軸線回りのカプセル要素の回転を意味し、したがって、方位角上の整列状態である。好ましくは、これら構造化要素は、カプセル本体/カプセルキャップの外側/内側ケーシング表面に設けられた少なくとも1つの溝の形態をしており、しかも、それぞれ、カプセル本体/カプセルキャップの内側/外側ケーシング表面に設けられた少なくとも1つの案内レールの形態をしている。これにより、カプセル要素を互いに嵌め合わせたとき、カプセルキャップ及びカプセル本体の予備形成穴は、安全に位置合わせ状態になる。好ましくは、用いられる案内は、真っ直ぐであり、特にカプセルの主軸線に平行である。構造化要素が組み立て中、湾曲した経路に沿うカプセル要素の運動を案内する形態も又、実現可能である。これは、例えば、螺旋案内溝又は案内レールによって達成される。
別個独立に、しかも上述した観点と関連して具体化できる本発明の別の特徴は、カプセルの断面が円筒形ではなく、カプセルの断面が楕円形であるということにある。好ましくは、楕円形は、円の形と僅かしか異ならないものである(楕円形の長軸と短軸の比は、75%未満、好ましくは90%〜85%であるべきである)。この種の楕円形断面により、2つのカプセル要素を互いに嵌め合わせているときに2つのカプセル要素の規定された方位角上の整列状態及び/又は結果として得られるカプセルがカプセル入れ物内に入れられるときの規定された向きが強制的に得られる。
本発明の別の特徴によれば、外側カプセル要素の穴は、好ましくは、長円形の穴若しくは楕円形の穴として又は内側カプセル要素の関連の穴よりも幾分大きく形成される。外側穴が長円形の穴又は楕円形の穴として形成される場合、穴の小さい直径は、好ましくは、少なくとも内側カプセル要素の穴の直径とほぼ同じほど大きい。外側カプセル要素は、カプセルケーシングの付近で組み立て状態にあるカプセル本体とカプセルキャップが互いに当接することによりカプセルの外壁によって形成されるカプセル要素である。内側の穴に対する外側の穴のこの拡大の結果として、カプセル要素の挿入精度に関する許容誤差が広げられる。これにより、たとえこれらカプセル要素が正確に互いに押されない場合であっても、カプセル全体の開放が依然として可能である。
本発明の個々の特徴は、互いに別個独立に又は互いに組み合わせて利用できる。
本発明の別の利点、別の特徴、別の特定及び別の観点は、特許請求の範囲の記載及び図面を参照して行われる好ましい実施形態についての以下の説明から明らかになろう。
カプセルを備えた状態で操作される本明細書において検討対象の吸入器の実施形態は、好ましくは、いわゆるベルヌーイの原理を利用しており、吸入器(例えば図8cに示されている)は、カプセルチャンバ(74)を有し、このカプセルチャンバの長さは、カプセル(71)の長さに適合しており、その結果、カプセル(71)は、ベルヌーイ効果に従って空気流中で動くと共に振動することができるようになっている。カプセルチャンバ(74)は、その目的に関し、空気の入口(76)及び空気出口を有する。空気出口の方向におけるカプセルチャンバ(74)の境界部は、好ましくは、バー(75)、スクリーン及び/又は最小の流れ抵抗しか示さない空気力学的に有利に形作られたコンポーネントによって形成される。空気出口を有するカプセルチャンバ(74)のこの境界部に隣接して、ユーザ(図示せず)が吸入する際に用いるマウスピース(78)が設けられおり、このマウスピースは、かくして、カプセル内容物を噴霧化するのに必要な空気流を生じさせる。
以下においてベルヌーイの方法により動作する吸入器に用いられる種々の特定のカプセルについ説明する。
図1は、カプセルキャップ(1)及びカプセル本体(2)から成る専用のカプセルを概略的に示しており、カプセルキャップとカプセル本体の両方は、カップの形をしており、これらをこれらの開口部によって互いに入れ子式に嵌め合うことができる。これらの図面及び次の全ての図面は、壁厚及びこれに類似した細部が完全に示されておらず、幾つかの場合においては、必ずしも互いに縮尺通りに示されていないスケッチとして理解されるべきである。
この図及び次の図に示されているカプセルには、好ましくは、粉末状製剤が入れられている。好ましくは、カプセルキャップ(1)及びカプセル本体(2)は、断面が丸形であり、一端が開口し、他方の閉鎖端部が凸状の、事実上半球形である筒体の形態をしている。カプセルキャップ(1)とカプセル本体(2)は両方共、好ましくは、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)、特に好ましくは、密度が950〜1000kg/m3の高密度ポリエチレンから成る。変形例として、カプセルキャップ(1)及びカプセル本体(2)が互いに異なる材料で作られ、例えば、カプセル本体がPP又はPEで作られ、カプセルキャップがゼラチンで作られた実施形態も又可能である。カプセルサイズは、それぞれの吸入器又はカプセルが挿入されるべき吸入器内に設けられたカプセルチャンバの寸法に合わせられている。組み立て状態のカプセルの代表的な長さは、例えば9mm〜22mmであり、これらの外径は、4mm〜10mmである。カプセル寸法の例は、国際公開第2006/074982(A2)号パンフレットの第6頁第6〜27行目の記載に見受けられる。この国際公開を参照により引用し、引用した記載内容全てを本明細書の一部とする。
好ましい材料であるポリエチレンのほかに薬理学的に許容できる全てのプラスチックを使用することができるカプセルの材料設計に関し、この点につき国際公開第2006/074982(A2)号パンフレットの第5頁第6〜31行目の記載を参照されたい。なお、かかる国際公開を参照により引用し、種々の特徴を含めこれらの記載内容を本明細書の一部とする。
図1aは、2つの別々のカプセル要素(1),(2)を互いに嵌め合わせる前の予備形成穴(6),(7)を備えた2つの別々のカプセル要素(1),(2)を示している。図示の実施形態では、入れ子式相互嵌合中、カプセルキャップ(1)をカプセル本体(2)に嵌める。(カプセルキャップ(1)をカプセル本体(2)中に挿入する逆の場合も又実行可能であり、この場合、以下の「内側」及び「外側」という用語は全て、逆にされなければならない)。カプセルキャップ(1)がカプセル本体(2)に嵌められるここで選択した実施形態の場合、カプセルキャップ(1)のそのカップ開口部の付近における外径は、カプセル本体(2)よりもかなり大きい。この箇所におけるカプセル本体(2)の外径は、サイズがカプセルキャップ(1)の内径と同等であり、他方、直径は、カプセル要素を互いに接合したときにこれらカプセル要素がそれほど隙間のない状態でカプセルケーシング領域の付近で互いに嵌まり合うようにこれらの交差に関して互いに合わせられている。図示の形態では、カプセル要素を互いに嵌め合わせた後、カプセル本体(2)はかくして、カプセル要素の2つの当接ケーシング領域の付近にカプセルの内壁を形成する。カプセルには、例えば好ましくは粉末状製剤をカプセル本体内に詰め込むことによって好ましくは粉末状製剤を充填する。充填後、カプセルキャップ(1)を第1の挿入位置までカプセル本体(2)に押し嵌めする。図中、“p”で示された矢印は、カプセル要素が互いに押され又は押された方向を指示している。この矢印は、更に、この相互押圧のために加えられなければならない圧力を表すようになっている。
第1の挿入位置(図1bを比較参照されたい)では、カプセル本体(2)の外側ケーシング領域に設けられたラッチ止め要素とカプセルキャップ(1)の内側ケーシング領域に設けられたラッチ止め要素が互いに係合する。ここで示されている図の全てにおいて、これらラッチ止め要素は、環状に包囲した突出部若しくはビード及び溝又は波部の形態をしている。かくして、図1のカプセル本体(2)は、例えば、外方に向けられた包囲ビード(5)を有し、このビードは、第1の挿入位置では、カプセルキャップ(1)の内側に設けられた第1の環状に包囲した波部(4)に嵌まり込む。同じ作用効果は、カプセル本体(1)の外側ケーシング領域に設けられている環状溝によって達成され、他方、この挿入位置では、カプセルキャップ(1)の内側ケーシング領域に設けられた環状に包囲した突出部がこの溝に嵌まり込む。しかしながら、ラッチ止め要素は、必ずしも、環状形態のものである必要はなく、これとは異なり、カプセル本体に設けられたドット状の凸部及びカプセルキャップに設けられたこれと嵌合する窪み又はこれらの逆の関係によって形成されても良い。好ましい実施形態では、カプセル本体は、複数個のドット状の環状に配置された凸部を有し、これら凸部は、カプセルキャップの外側に設けられた対応の好ましくは環状に包囲した溝に嵌まり込む。幾分ドット状のラッチ止め構成の設計に関し、この場合、国際公開第2006/074982(A2)号パンフレットの第7頁第1行目〜第8頁第32行目までの記載を参照されたい。この国際公開を参照により引用し、引用した記載内容全体を本明細書の一部とする。
第1の挿入位置(図1bを比較参照されたい)では、カプセル本体(2)とカプセルキャップ(1)のケーシング領域は、好ましくは、カプセル本体(2)のケーシングがカプセルキャップ(1)の穴(6)を内側から覆い、カプセルキャップ(1)のケーシングがカプセル本体(2)の穴(7)を外側から覆うようオーバーラップする。カプセルは、この第1の挿入位置では、完全に閉じられる。
第2の挿入位置(図1cを比較参照されたい)では、カプセルキャップ(1)とカプセル本体(2)は、それぞれの穴(6),(7)が互いに位置合わせ状態になるよう更に互いに押し込まれている。カプセルは、かくして、この第2の挿入位置では、粉末をカプセルの内部から放出することができるという意味で「開かれる」。この場合外側に位置するカプセルキャップ(1)のケーシング領域の予備形成穴(6)は、カプセル本体(2)の内側ケーシング領域の穴(7)よりも大きい。2つの穴のうちの一方が他方よりも小さいということにより、カプセルキャップ(1)とカプセル本体(2)を互いに嵌め合わせる際にむらがあったとしても、粉末の噴出のために設けられている穴直径は、部分的に覆われないようになる。内側穴(7)のサイズは、この好ましい場合、組み立て状態のカプセルの穴の全体的サイズを定める。このように、粉末状物質が噴出プロセス中にくっつく恐れのある内部段部がカプセルの内側の穴上に生じることがない。第2の挿入位置に関し、第1の挿入位置のために提供されたラッチ止め要素と同様なラッチ止め要素がカプセルキャップ(1)に設けられる。したがって、図1に示されている実施形態では、カプセルキャップ(1)は、第2の波部(3)を有し、カプセル本体(2)の内側ケーシング領域に設けられたビード(5)又は他の突出ラッチ止め要素がこの第2の波部に嵌まり込むことができる。このように、2つの穴(6),(7)は、位置合わせ状態に維持され、カプセル要素は、カプセルを動かした場合であってももはや互いに対して動くことができない。第1及び第2の挿入位置に必要なラッチ止め要素は、例えば、カプセルキャップ(1)及びカプセル本体(2)の射出成形中付形によって形成されても良く、或いは、材料変形によってコンポーネント上に形成されても良い。かくして、例えば、カプセル本体の内側に沿ってぐるりと延びるビード(5)に伴って外側に沿ってぐるりと延びる波部が形成されるのが良い。
肉眼的であると見なされるべきカプセル要素の構造化に加えて、本発明のカプセルの別の実施形態は、カプセル要素の内側に設けられた微細構造又はナノ構造若しくは表面皮膜を有する。これは、特に、カプセルケーシングが互いに当接しているときにカプセル、図1の実施例ではカプセルキャップ(1)の外壁を形成するカプセル要素である。微細構造は、好ましくは、他方のカプセル要素に向いたケーシング表面上の内側に設けられる。特に、微細構造は、内側ケーシング表面の環状領域にわたって延び、この環状領域は、カプセルが第1の挿入位置(図1a)にあるとき、カプセルのキャビティの直接的な壁を形成し、カプセルが第2の挿入位置(図1c)にあるとき、他方のカプセル要素(図1に示されている実施例ではカプセル本体(2))の外側ケーシング表面に当接する。
この微細構造により、いわゆるロータス効果が生じ、即ち、この微細構造は、この表面への或る特定の物質の付着力を減少させる。最適な効果を達成するため、微細構造の性状は、これが対応したタイプのカプセル内に貯蔵されるべき特定の製剤について少なくとも付着特性を提供するよう選択されなければならない。その結果、カプセルの内壁にくっつく製剤、例えば粉末からの物質は全くなく又はほとんどない。これは、特に上述の環状領域では、カプセルを第1の挿入位置から第2の挿入位置に互いに押したときに、壁にくっつく材料によって生じる摩擦が生じないという作用効果を有する。カプセルの内壁領域全てへの微細構造の拡張も又可能であり、かかる拡張は、物質が噴霧化プロセス中に放出されると、壁への付着の結果としてカプセル内に残ったままになる物質がゼロであるという作用効果を有する。
微細構造は、表面に設けられた凸及び/又は窪みによって形成される。凸部及び/又は窪みは、点、半球体、平坦な表面、ウェッジ等の形態を取ることができる。凸部及び/又は窪みは、ランダムな配置状態を有しても良く、或いは、順序良く並べられても良く、例えば、列の状態、円の状態、ジグザグの状態、蛇行形状等の状態に配置されても良い。
表面構造上の凸部相互間の距離は、0.1〜200ミクロン、好ましくは0.1〜100ミクロンである。粉末製剤の場合、粉末の粒径よりも小さな構造的寸法が好ましい。0.1〜50ミクロンの凸部の高さ又は窪みの深さ及び0.1〜10ミクロンの距離が最も好ましい。
かかる微細構造及びその特性を作製する方法に関しては、国際公開第2004/062716(A1)号パンフレットの第11頁第1行目〜第13頁第13行目の記載を参照されたい。かかる国際公開を参照により引用し、かかる記載内容をこれらの特徴を含めて本明細書の一部とする。
微細構造を内側カプセル壁に施す好ましい方法は、追加の材料をカプセル中に導入することがない方法であり、即ち、微細構造は、それぞれのカプセル要素を構成する材料中にのみ形成されるのが良い。射出成形により作られるカプセル要素の好ましい場合、微細構造は、言わば射出成形ツールのモールドインサート内で鏡映関係をなして既に再現されており、したがって、カプセル要素は、最初の製造ステップの際にこれらの微細構造及び更に予備形成穴を備えるようになる。変形例として、この種の微細構造は、サブトラクティブ表面処理、例えばエッチング若しくはガルヴァニック材料除去又は例えばカプセル要素の主開口部中に挿入される拡張可能なパンチを用いた次のエンボス加工によって内側カプセル壁上に形成されても良い。
図2は、カプセルキャップ(1)及びカプセル本体(2)で構成されたカプセルの第2の実施形態を示している。この実施形態は、カプセルキャップ(1)及びカプセル本体(2)がそれぞれ、複数個の予備形成穴(6a),(6b)又は(7a),(7b)を有する点でのみ第1の実施形態とは異なっている。第1の挿入位置(図示せず)では、これらの穴は全て、第1の実施形態と同様、他方のカプセル要素によって閉鎖される。第2の挿入位置(図2b)では、カプセルキャップ(1)のそれぞれの穴(6a),(6b)は、カプセル本体(2)の穴(7a),(7b)と位置が合っており、その結果、カプセルは、多くの場所で開かれるようになる。図示の実施形態では、2つの穴(6a),(6b)又は(7a),(7b)は、それぞれ、カプセルキャップ(1)及びカプセル本体(2)に形成され、その結果、第2の挿入位置ではカプセルに2つの開口部が得られる。しかしながら、このようにして、任意所望の個数の穴を設けることができる。カプセルキャップ(1)及びカプセル本体(2)のケーシング領域の形態に応じて、穴は、カプセルの周囲及び長さにわたって分布して配置されるが良い。特に好ましくは、結果的に得られる開かれたカプセルは、カプセルの互いに反対の端部の近くのケーシング領域に、即ち、カプセルの長さに基づいて互いに明確な離隔距離のところに配置された2つの穴を有する。
図3は、カプセルキャップ(1)及びカプセル本体(2)で構成できるカプセルの第3の実施形態を示している。この実施形態は、カプセルキャップ(1)及びカプセル本体(2)の穴(6)及び穴(7)が円形の形ではなく楕円形の形を有している点においてのみ第1の実施形態とは異なっている。これら楕円形の長軸は、互いに対して90°回転してある。これにより、互いに押している間にむらが生じた場合であっても、被覆プロセスにより形成される開口部は、常時、一定の全体的表面領域を占めるようになる。楕円形の穴に代えて、対応した整列状態の長円形の穴も又この時点で使用できる。
図4及び図5は、種々の実施形態に関して、カプセル本体(2)及びカプセルキャップ(1)を断面で且つ互いに嵌め合わせた後の状態で概略的に示している。カプセルキャップ(1)及びカプセル本体(2)を互いに嵌め合わせたときにそれぞれの穴(6)及び穴(7)をすっきりと位置合わせさせることができるようにするため、カプセル要素は、これらの周囲に関して互いに整列状態で嵌め合わせられなければならない。これには、カプセルキャップ(1)及びカプセル本体(2)の縁部又はそれぞれのケーシング表面のところにロック・アンド・キー(lock and key)原理の構造及び対抗構造が必要である。さらに、カプセル要素の制御された最初の相互嵌合後、互いに対するカプセル要素の望ましくない回転が生じることがないようにする長手方向案内を提供することが有利である。図4に示されている実施形態では、カプセルキャップ(1)及びカプセル本体(2)は、同様に、僅かに楕円形の断面を備える。楕円形により、2つのカプセル要素の正確に差し向けられた相互嵌合が生じざるを得ないようになる。楕円形カプセル要素を結合すると、結果として、互いに対して180°回転した状態の2つの考えられる向きが生じる。したがって、好ましくは、これら2つのカプセル要素のうちの一方、特に好ましくは、外側のカプセル要素(かくして、この実施形態では、カプセルキャップ(1))は、少なくとも1つの予備形成穴(6)だけを有するべきではなく、カプセル要素の周囲に沿って180°ずらされた2つの穴構造を有するべきである。かくして、2つの楕円形カプセル要素を結合するときの向きとは無関係に、これら2つの楕円形カプセル要素を第2の挿入位置に互いに押し込んだとき、穴(6)が常時露出される。
図5の実施形態では、カプセル本体(2)の外側領域は、ラッチ止め要素(図示せず)に加えて、長手方向軸線に平行に延びる舌部(8)を有するべきであり、その輪郭は、カプセルキャップ(1)の内側に更に長手方向に設けられた溝(9)と嵌合する。カプセル要素を舌部(8)と溝(9)が互いに嵌合する方位角整列状態でのみ互いに押すことができる。舌部(8)及び溝(9)は、挿入長さ全体に沿って案内を形成する。また、所望ならば、互いに異なる離隔距離のところに且つ/或いは互いに異なる幅の複数個の舌部と溝の対がカプセル要素のケーシング表面上に設けられても良い。
図示していない実施形態では、図示の舌部(8)及び溝(9)を含む構造的対は、湾曲した形態のものであっても良く、その結果、カプセル要素の相互押圧により、これらカプセル要素は、互いに対して回転せざるを得なくなる。これは、特にカプセルの複数個の穴を覆ったり露出させたりする目的にとって有利であると言える。
図6は、カプセルキャップ(1)と、カプセル本体(2)と、リング(22)とから成る本発明のカプセルの別の実施形態を概略的に示している。カプセルキャップ(1)とカプセル本体(2)は両方共、図1に示された実施形態と同様にカップ形状のものであり、これらをこれらの開口部を介して互いに入れ子式に嵌め合うことができ、他方、この点に関し、図1を参照して説明した観点はこの場合も又有効である。充填を容易にする理由で、図6に示された実施例は、他の実施例とは異なり、カプセルキャップ(1)をカプセル本体(2)内に押し込む形態を示している。しかしながら、キャップが外部に嵌められる実施形態も又可能である。カプセルキャップ(1)と比較して大径の穴(7)を備えたカプセル本体(2)は、かくして、カプセル要素の2つの当接ケーシング領域の付近でカプセルの外壁を形成し、2つのカプセル要素のカプセルケーシング領域は、上述した実施例に類似して互いに相互作用する構造化部分を有している。
図6aは、2つの別々のカプセル要素(1),(2)を示し、これらカプセル要素は、これらを互いに嵌め込む前に且つこれらをリング(22)に接合する前に予備形成穴(6),(7)を備えている。
図6bは、リング(22)との接合後におけるカプセル本体(2)を示している。リング(22)は、カプセル本体(2)の穴(7)を覆っている。これは、好ましくは、粉末状の製剤がカプセル本体(2)内に送り込まれ、次に、カプセル本体が図6cに示されているようにカプセルキャップで閉鎖される状況である。この設計例では、カプセルキャップ(1)は、最終挿入位置に達する直前までカプセル本体(2)内に押し込められるのが良い。
図6cは、図1の実施例に類似していて、カプセルキャップ(1)とカプセル本体(2)がラッチ止め要素(3),(5)によって互いにラッチ止めされた組み立て状態のカプセル(11)を示している。予備形成穴(6)及び(7)は、この組み立て状態のカプセルでは互いにオーバーラップしているが、結果として生じる穴は、この状態ではリング(22)によって覆われている。カプセル(11)は、このようにして適当な吸入器内に貯蔵でき又は挿入できる。ここに示されているカプセル(11)の変形例として、この設計例では、予備形成穴(7)が別の、例えば環状のコンポーネントによって閉鎖された状態で、カプセル要素は又、組み立て後に、カプセル本体(2)の穴(7)が必ずしもカプセルキャップの穴(6)と位置合わせ関係をなす必要がないように構成されるのが良いが、いずれの場合においても、カプセル(11)の組み立て状態における他方のカプセル要素のカプセルケーシングは、非常に短いので、これは、それぞれの穴を露出状態のままにするようになっている。この変形実施形態(図示せず)では、カプセル本体(2)は、予備形成穴(7)を有し、カプセルキャップ(1)は、この穴(7)と一致する穴(6)を有し、カプセルの組み立て状態におけるカプセルキャップ(1)のケーシングは、穴(7)の上方で終端していて、この穴を露出状態のままにしている。
図7は、カプセルの別の実施形態を概略的に示している。図7aは、カプセルをその充填物入りで全体として示している。カプセルは、半球形上端部及び下端部を備えた実質的に円筒形である。閉鎖状態のカプセル(71)は、その内部に測定された投与量の粉末(40)を収容している。
図7bでは、カプセルの半球形上端部又はカバー及び下端部又はベースに穴(42a,42b)が設けられている。粉末を放出するため、特に吸入器内でベルヌーイ効果を利用して、少なくとも1つの穴がカプセルのベースに必要であり、少なくとも1つの穴がカプセルのカバーに必要である。また、ベース及びカバーに2つ以上の穴を用いることも可能である。穴サイズは、好ましくは、直径が0.01〜5mm、好ましくは0.5〜1.5mmである。これらの穴は、好ましくは、円形であるが、長円形、正方形又は任意他の形状のものであっても良い。これらの穴は、射出成形法で付形でき、従来型又はドリルレーザで穴あけでき、任意他の仕方で穴あけされ又は形成され、その後カプセルに粉末が入れられる。
図7cでは、穴(72)が閉鎖状態のカプセル(71)の互いに平行な壁に又は円筒形ケーシング領域に設けられている。このように、粉末を予備形成穴を備えたカプセル内に容易に貯蔵できる。と言うのは、カプセルを円筒形管内に正確に嵌合状態で貯蔵できるからであり、すると、円筒形管は、カプセルをケーシング領域内に緊密に封止する。
図7b及び図7cは、穴(42a,42b,72)がカプセル(71)の半球形領域か円筒形領域化のいずれかに形成された変形例を単に示している。しかしながら、加うるに、全部で少なくとも2つの穴(42a,42b,72)を備えたカプセル(71)の変形例が可能であり、この場合、1つ又は複数の穴(42a,42b又は72)は、半球形領域の一方の側に設けられ、1つ又は複数の穴(42a,42b又は72)は、カプセル(71)の円筒形ケーシング領域の他方の側に設けられる。さらに、少なくとも2つの穴(42a,42b,72)は、カプセル(71)の円形周囲に関して180°又は他の角度ユニットだけずらされた状態で配置されても良い。また、カプセル(71)上に様々な数の穴(42a,42b,72)を分布して設けた多くの変形例も又可能であり、例えば、一方の側(底部、図7bに関して)には穴(42a,42b又は72)が1つしか設けられず、他方の側(頂部)には少なくとも2つの穴(42a,42b又は72)が設けられる。
図8は、器具(70)又は吸入器の作動モードを概略的に示しており、この場合、2つの予備形成穴(72a,72b)を備えたカプセル(72)(図8a)は、穴(72a,72b)が貯蔵状態(図8b)では閉鎖され、器具を用いるためにカプセル(71)が貯蔵状態から押し出されてカプセルチャンバ(74)内に押し込まれるように器具内に貯蔵される。
図8aは、予備形成穴(72a,72b)を備えた別の閉鎖状態のカプセル(71)を示している。カプセル(71)は、円筒形端部(71a,71b)を備えた実質的に円筒形である。これらの穴(72a,72b)は、カプセルの互いに平行な壁又はいずれの場合においても半球形端部の近くに位置するカプセルのケーシング領域に設けられている。同様に、この関連において、他の実施形態のカプセル、特に、図7cに示されているカプセル(11)を用いることができる。
図8bは、カプセルを器具(70)内のその貯蔵位置で示している。この貯蔵位置では、カプセル(71)は、管(73)内にしっかりと保持される。これは、管の内壁が穴(72a,72b)を覆っているので粉末がカプセル(71)から逃げ出るのを阻止する。カプセルチャンバ(74)が器具(70)内に形成されている。カプセルチャンバ(74)は、管(73)のすぐ隣りに位置し、このカプセルチャンバは、管(73)よりもかなり大きな、好ましくは円直径を有する。カプセルチャンバ(74)は、空気出口領域に設けられたバー(75)又は他の何らかの好ましくは空気力学的な形状のコンポーネントによって画定されている。
図8cでは、器具(70)は、いつでも使用できる状態にあり、即ち、この器具は、使用状態にある。カプセル(71)は、入口(76)を通ってカプセルチャンバ(74)内に押し込まれている。この目的のため、ピストンの形をしたプッシャがカプセルチャンバ(74)と反対のカプセル(71)の側で管(73)内に挿入されている。プッシャの押圧面は、使用状態において、空気出口と反対の側でカプセルチャンバ(74)を画定している。使用のため、ユーザは、図中、矢印(92)の方向にマウスピース(78)を介して吸息する。空気が図の矢印(91)の方向で入口(76)又はプッシャに設けられた空気案内を通って器具(70)に入り、この空気案内は、好ましくは、中空ピストンの形態をしている。カプセル(71)は、カプセルチャンバ(74)内で空気流中で振動し、他方、粉末が穴(72a,72b)を通ってカプセル(71)から放出される。
図示していない本発明の別の実施形態では、カプセルは、振動チャンバ又はカプセルチャンバ(74)内に既に貯蔵されており、カプセル(71)は、好ましくは管状のフィルムで包まれている。フィルムは、カプセル(71)の円筒形ケーシング領域に密着し、穴(72)を閉鎖している。好ましくは、フィルム及びカプセル壁の材料は、好ましくは弾性且つ/或いは容易に撓むことができるフィルムが静電引き付け力によってカプセル壁にしっかりと密着するよう選択されるのが良い。カプセル(71)は、一方の端箇所のところではフィルムによってしっかりと包囲されているわけではなく、他方の端のところでは、フィルムは、カプセル(71)をかなり越えて突出すると共に/或いはプル(引き)ストリップに連結されている。カプセルの端のところで突出しているこのフィルム部分及び/又はプルストリップは、吸入器の輸送状態では空気入口内に配置され、この箇所では、フィルム及び/又はプルストリップの一部は、吸入器から突き出るようになっている。吸入器を用いる前に、この突出部分及び/又はこのプルストリップによって、空気入口中に嵌まっていないカプセルの空気入口を介してフィルムを引き取る。例えば、空気入口内には、カプセル(71)を停止させるバー(75)又は別の障害物が設けられている(この実施例では、フィルム又はフィルム管は、空気チャネル内でストリップの片側上にのみ載っている)。フィルム又はフィルム管を引き離すが、カプセルが保持される場合、カプセルは、好ましくは柔軟性フィルム又はフィルム管から滑り出る。その結果、穴(72)が露出され、カプセル(71)にはカプセルチャンバ(74)内で操作するのに十分な余地が与えられ、吸入器は、いつでも使用できる状態にある。
変形例として、フィルムの突出部分又はプルストリップは、吸入器のマウスピース内に配置されても良く、そしてマウスチューブを通ってシステムから引き出されても良い。一般に、フィルムをシステムから挿通状態で引き出すための開口部は又、輸送状態では閉鎖されるのが良い。突出フィルム部分又はプルストリップがマウスチューブ内に配置される実施形態では、マウスチューブは、例えば、フィルムを引き取ることができる前に取り外されなければならないマウスピース(78)に取り付けられたキャップによって閉鎖されるのが良い。この種のキャップは又、プルストリップ又はフィルムに直接連結されても良い。
図9は、吸入器及びカプセルを含むシステムの別の実施形態の構造を概略的に示しており、このシステムの作動モードは、図8に示されている作動モードと類似している。図9a〜図9fは、ひとまとまりとなって、システムの組み立てシーケンスを概略的に示している。先ず最初に、図9aでは、少なくとも1つの予備形成穴を備えたカプセル本体(2)をリング(22)内に挿入し、リング(22)は、カプセル本体(2)をその少なくとも1つの予備形成穴の付近で正確に包囲し、かくして穴を封止する。オプションとして、リング(22)は、内側に1つ又は好ましくは2つ以上の小さな突出部を有し、かかる突出部は、カプセル本体(2)とリング(22)を結合すると、リング(22)内にカプセル本体(2)の下側位置を定め、その結果、カプセル本体(2)がリング内で下方に動くことができずしかも/或いはカプセル本体(2)とリング(22)との間に嵌合状態が形成され、それにより、カプセル本体(2)は、リング(22)内に保持される。リング(22)に関するこの実施形態に見受けられる特徴を図6の実施形態からリング(22)に類似的に移すことができる。図9bは、リング(22)内に納めたカプセル本体(2)をどのように下から管(73)内に挿入するかを示している。管(73)は、この実施形態では、カプセル入れ物を形成している。好ましくは、リング(22)は、第1のラッチ止め位置において内側から管(73)とラッチ止め関係をなし、例えば、かかる第1のラッチ止め位置では、包囲ビード(22a)又は他形式のラッチ止め要素が管(73)の内側から対応の凹部内に嵌まり込む。管(73)は、その上側端部が開口しており、その結果、管(73)内に挿入されたときに開口部が上方に向くカプセル本体(2)に管(73)の上側開口部を通って上から粉末(40)を充填することができる。次に、図9cは、粉末(40)(図示せず)の充填後、好ましくはこれ又少なくとも1つの予備形成穴を有するカプセルキャップ(1)を上から管(73)内に挿入し、かくして、管(73)の内部でカプセル本体(2)を閉鎖し又はカプセル(71)が管(73)内で組み立てられる。その間、管(73)は、好ましくは上側カラー(73a)により、カプセルキャップ(1)を正確に嵌合する仕方で包囲し、その結果、カプセルキャップ(1)の少なくとも1つの穴(72b)が管(73)によって覆われ又は封止されるようになる。
図9d及び図9eは、吸入器の他のコンポーネントであるマウスピース(78)及びプッシャ(77)を管(73)、粉末入りカプセル(71)及びリング(22)から成るユニットとどのように組み立てるかを示しており、好ましくは一体に形成されたマウスピース(78)は、カプセルチャンバ(74)及びカプセルチャンバ(74)の内部で頂部のところに境界部としてのバー(75)を有している。マウスピースは、上から管(73)上に置かれ、それにより管(73)とラッチ止め関係をなす。この目的のため、互いに交互に位置するラッチ止め要素がマウスピース(78)及び管(73)上に例えばマウスピースの内部で底部に設けられた環状ビード(78b)の形態で形成されており、このビードは、管(73)の頂部のところで外部に設けられた同様に環状の波部(73b)に嵌まり込んでいる。マウスピースと反対側で、即ち、図で見て下からプッシャ(77)を管(73)内に挿入する。プッシャ(77)は、入口(76)を有し、空気が吸入器の使用中、後で、この入口を通ってカプセルチャンバ(74)内に流れることができる。好ましくは、プッシャ(77)は、中空ピストンとして具体化されると共に/或いは入口(76)は、プッシャ(77)の主軸線に沿う半径方向に対称の通路によって形成されている。プッシャ(77)は、その上端部のところにテーパ付き部分(77a)を有し、かかるテーパ付き部分は、これがリング(22)内に入り込むことができるような寸法のものである。
図9fは、カプセル(71)及び吸入器を含む完成した組み立て状態のシステムを輸送状態において概略断面図で示しており、カプセル(71)は、その予備形成穴(72a),(72b)がリング(22)によって且つ/或いは管(73)の内側によって覆われ又は封止されるよう吸入器内にあらかじめ収納されている(図示の実施形態では、全部で2つの予備形成穴(72a),(72b)が設けられ、一方の穴(72a)は、リング(22)によって封止され、一方の穴(72b)は、管の内側によって封止される。)プッシャ(77)は、その下端部が吸入器から突き出ている。吸入器を作動させるため、即ち、器具を輸送状態から使用状態に変更するため、プッシャをその端部が器具の底部から突き出たところで器具内に押し込む。好ましくは、プッシャ(77)の下端部をこの目的のために広げてプッシャを手で押し込んだときにプッシャがユーザ又は患者の親指の膨らみに快適に当たるようにする。プッシャは、滑り込んでいるときに、好ましくは、環状の形をした接触面が下からカプセル(71)に当たり、そしてカプセルを当初更にカプセルチャンバ(74)の方向にリング(22)と一緒に押し、その結果、カプセルは、リング(22)内に保持され、ついには、リング(22)が第2のラッチ止め位置でラッチ止め状態になる。プッシャ(77)を管(73)中に更に押し込むと、プッシャ(77)は、リング(22)内に入り、そしてそのテーパ付き部分(77a)でカプセル(71)をリング(22)内のその密嵌めホルダから押し出してカプセルチャンバ(74)内に押し込む。テーパ付き部分(77a)は、好ましくは、プッシャ(77)のテーパ付き領域をリング(22)、及び管(73)のカラー(73a)に押し込んで、ついには、プッシャ(77)の上縁部がカプセルチャンバ(74)の下側境界部を形成することができるような長さのものであるよう設計される。好ましくは、押し込み状態(吸入器の使用状態、図9gを比較参照されたい)では、プッシャ(77)の上縁部は、管(73)の上縁部に面一をなした状態で当たって位置する。システムの設計に応じてプッシャ(77)の上縁部と管(73)の頂部のところのカラー(73a)との間でカプセルチャンバ(74)のベースに形成される隙間、例えば、カプセルキャップ(1)がカプセル本体(2)及びテーパ付き部分(77a)よりも直径が大きいことの結果として形成される隙間は、好ましくは、二次空気の流入を阻止するようリング(22)によって封止される。この目的のため、リング(22)は、少なくとも幾分か弾性の材料から成り、プッシャ(77)のこの押し込み状態(図9gを比較参照されたい)では、リングは、管(73)に対しカラー(73a)の下でプッシャ(77)を封止する。
すると、吸入器は、図9gに示されているようにいつでも使用状態にあり、即ち、穴(72a),(72b)が露出され、カプセル(71)は、ベルヌーイ効果による振動運動が可能であるように必要に応じてカプセルチャンバ(74)内での操作が可能な余地を有する。好ましくは、少なくとも1つ、好ましくは2つのばねアーム(77b)がプッシャ(77)の側部上に形成され、これらばねアームは、押し込み状態において、管(73)の内部に設けられた対応の凹部(73f)に嵌まり込む。これらばねアーム(77b)は、管内へのこれらの嵌合によって、プッシャ(77)が器具から引き出されるのを阻止する。かくして、これが1回使用向きの器具であることは当業者には明らかである。
図10は、吸入器及び粉末入りカプセル(71)を含むシステムの別の実施形態の構造を概略的に示しており、この場合、特に、図7c又は図8に示されている実施形態としてのカプセルを使用することができる。部分図10a〜部分図10eは、ひとまとりとなって、システムの組み立てシーケンスを概略的に示している。
先ず最初に(図10a)、少なくとも1つの予備形成穴を備えたカプセル本体(2)を上から管(73)内に挿入し、管(73)は、この実施形態では、本質的に一端部だけが開口しており、この管は、カプセル入れ物を形成している。管(73)は、カプセル本体(2)をその少なくとも1つの予備形成穴の付近で密嵌め関係をなして包囲し、それによりカプセル本体(2)の穴を封止している。他方、カプセル本体(2)の一端部のところの開口部は、上方に、即ち、管(73)内へのカプセル本体(2)の挿入方向に向く。カプセル入れ物の形態に応じて、カプセル(71)を正確に差し向けられた状態でカプセル入れ物内に挿入することが有利である。図示の実施形態では、カプセル入れ物は、例えば、2つの長手方向に延びるスロット(73d)を有し、かかるスロットの機能については図10fの記載によって詳細に説明する。穴(72a),(72b)がカプセル入れ物内へのカプセル(71)の挿入によって封止されるようにするために、カプセル(71)を好ましくは穴(72a),(72b)が、スロット(73d)の付近に位置しないように差し向けられた状態で管(73)内に挿入する。カプセル(71)をカプセル入れ物内に挿入しているときのカプセル(71)の向きをあらかじめ定めるため、図4及び図5を参照して説明した技術を用いるのが良い。かくして、カプセル(71)及びカプセル入れ物の内部は、例えば、これらの直径が短いので形態が僅かに楕円形であるのが良い。変形例として、カプセル(71)又はカプセル入れ物の内部は、対応の対をなす長手方向に延びる舌部及び溝を有しても良く、例えば、カプセル入れ物内の長手方向に延びる舌部と関連してカプセル(71)の外壁に設けられた長手方向溝又は長手方向チャネルを有しても良い。
図10bは、管(73)内のカプセル本体(2)への粉末(40)の充填の仕方を示しており、粉末(40)は、カプセル本体(2)の一端部のところの開口部内に上から導入される。次に(図10c)、カプセルキャップ(1)を同じ方向から、即ち、図面で見て上から管(73)内に導入し、カプセル(71)が管(73)の内部で閉鎖されるようにする。図10dは、吸入器の他のコンポーネントであるマウスピース(78)及びバー(75)を管(73)及び粉末入りカプセル(71)から成るユニットとどのようにして組み立てるかを示しており、管(73)をマウスピース(78)に設けられた開口部を通って好ましくはカプセルチャンバ(74)により形成された下側停止部まで上から挿入する(いま、図10dに示されており、図10cと比較して逆さまである)。管(73)の挿入側端部は、マウスピースの口端部であり、即ち、患者が吸入器を用いて自分の唇を当てる端部である。マウスピース(78)内への管(73)の挿入後、バー(75)をマウスピースに側方に設けられた案内を通って押し込む。その結果、バー(75)は、マウスピース(78)内に配置されたカプセルチャンバ(74)の上側境界部を形成する。バー(75)の挿入前に、管(73)を管に設けられたスロット(73d)が通路の内側でマウスピース(78)に当たり、かくして、管又はロッド(73)の挿入を可能にするよう差し向けられた状態でマウスピース内に挿入する。このように、バー(75)をマウスピース(78)内に導入することができ、その結果、管(73)により邪魔されないでバー(75)は、好ましくは一方の外壁から他方の外壁まで器具の主要軸線を通ってマウスピース(78)中に入り込むようになる。マウスピース(78)内への管(73)の配向状態の挿入は、好ましくは、両方のコンポーネントの外形によってあらかじめ定められている。かくして、図示の実施形態は、例えば、マウスピース(78)の口端部から見て本質的に長円形又は台形の断面を備えたマウスピース(78)を含む。管(73)は、カプセル入れ物から見て遠くに位置するその上側領域が好ましくはキャップの形態に形成され、このキャップは、マウスピースを口向けのその端部のところで完全に覆う。管(73)のこのキャップ構造体は、マウスピース(78)の口端部の実質的に長円形又は台形の形状に対する相手方の形状を形成し、それにより長円形の形又は非円形対称の主軸の結果として、挿入中、向きを提供する。図10に示されている管(73)のキャップ構造体は、輸送状態において、口の端部のところで患者が自分の唇を載せる領域のマウスピース(78)の外面が管(73)によって覆われるという追加の利点を更に有する。かくして、器具がその外側包装材から極めて早すぎるほどに取り出された場合であっても、唇接触領域は、器具が使用されるまで汚染から逃れたままの状態であるようになっている。
バー(75)は、マウスピース(78)の内部のカプセルチャンバ(74)の上側境界部を形成する。バー(75)とは別に、カプセルチャンバ(74)の他の全てのコンポーネントは、マウスピース(78)によって一体に形成される。マウスピースは、カプセルチャンバ(74)の下端部のところ、即ち、バー(75)及びマウスピース開口部と反対側のその端部のところに、入口(76)を有し、この入口(76)は、図示の実施形態では、システムの主軸線に沿う中央通路として形成されている。
図示の吸入器は、好ましくは、3つの部分からのみ、即ち、マウスピース(78)、管(73)及びバー(75)から成り、これらは全て、プラスチック押し出しによって安価に製造でき、その結果、この設計の吸入器は、1回使用に非常に適しており、即ち、1回使用後に破棄されるべき使い捨て物品として極めて適している。
図10eは、吸入器及びカプセル(71)を含むシステムを組み立て状態で示しており、この組み立て状態は、この場合、輸送状態にも一致している。カプセル(71)の予備形成穴(72a),(72b)(図示せず)では、管(73)の内壁によって封止されている。一方のカプセル要素、例えばカプセルキャップ(1)が他方のカプセルキャップ、例えばカプセル本体(2)の接近可能な部分よりも大きな外径を有するカプセル(71)の場合、管(73)は、内径に対応の変化を有し、小さな直径を有するカプセル要素は、大きな直径を有するカプセル要素よりも管(73)に更に内部に配置され、管(73)の内径は、したがって、カプセル(71)の外形に適合しており、その結果、管(73)は、内側から外側に段階的に幅が広くなっている。かくして、輸送状態では、カプセル(71)は、運動がそれほどできない状態でシステム内に収容される。マウスピース(78)にキャップの形態の管(73)をしっかりと嵌めるため、管は、好ましくは、その上方領域にばねアーム(73f)を有し、これらばねアームは、輸送状態では、マウスチューブ(78d)の内壁に内側から圧接し、マウスチューブ(78d)は、マウスピース(78)の口端部のところでカプセルチャンバ(74)からの空気出口を形成する。好ましくは、マウスチューブ(78d)及びカプセルチャンバ(74)は、同一の直径を有する。
吸入器を使用するため、管(73)を図10fに示されているようにマウスピース(78)から引き出す。管(73)のスロット(73d)により、バー(75)を越えて管(73)を引くことができる。バー(75)がマウスピース(78)内に挿入されてマウスピース開口部を通って横方向に延びることにより、カプセル(71)は、マウスピース(78)内のカプセルチャンバ(74)内に位置したままであり、このカプセルを管(73)と共に再び引き出すことができない。管(73)をマウスピース(78)から引き出した場合、先にマウスチューブ(78d)内で圧縮されていたばねアーム(73f)は、好ましくは、外方に広がり、その結果、管(73)をマウスピース(78)内に再び挿入するにはこれを壊さなければならないことになる(補助手段なしでは)。このように、ユーザには器具が使い捨て物品又はワンウェイ製品であることが示される。ユーザが管(73)をマウスピース(78)から引き出しやすくするようにするため、管(73)は、好ましくは、掴み補助手段(73e)を有する。この掴み補助手段は、例えば、図10dに示されているように、管(73)のキャップ領域の外側側面に施された施条又はストラップ(図示せず)によって形成されるのが良い。このストラップは、好ましくは、管(73)のキャップ領域の頂部のところに、即ち、カプセル(71)の挿入開口部と反対側の端部のところで中央に配置され、このストラップは、開口部を有し、この開口部は、ユーザが管(73)をマウスピース(78)から引き出すために指をこの開口部内に(好ましくは、人指し指を)入れることができるようなサイズのものである。マウスピースを同時にもう片方の手の指で快適に保持することができるようにするため、マウスピースは、好ましくは、掴み面(78c)を備え、この掴み面は、管(73)を滑らせて出す時点で、マウスピースが手の中で又は指相互間で滑るのを阻止する。この掴み面(78c)は、好ましくは、唇を当てる好ましくは幅の広い領域の下でマウスピース(78)の2つの側部の外側の特に中央に設けられた複数個の丸形の凸部又はこぶ状突起によって形成される。
図11は、吸入器及び2つのカプセル(71)を含むシステムを示している。この実施形態における機能は、2つのカプセル(71)が個々のカプセルチャンバ(74)内に設けられている点を除き、図10の実施形態の機能と同一である。かくして、カプセル(71)と相互作用する特徴の全ては、2組存在し、吸入器は、2つの入口(76)、2つのロッド(75)及びスロット(73d)を備えた2つの管(73)を備えた2つのカプセルチャンバ(74)を有する。輸送状態では、管(73)の壁は、カプセルの予備形成穴(72)が閉鎖されるようカプセル(71)を包囲する。図示の実施形態における2本の管(73)は、好ましくは、図10の実施形態と同様、輸送状態においてマウスピース(78)の開口部を閉鎖するキャップの一部となるよう終端領域(73k)で互いに連結されている。掴み補助手段(73e)がこのキャップ上に形成され、この掴み補助手段は、図11では、開口部を備えたストラップとして示されている。吸入前に、ユーザは、ストラップを用いてキャップをマウスピース(78)から引き離し、かくして、図11に示されている状態に至る。次に、管(73)をカプセルチャンバ(74)から取り外した後にカプセル(71)の穴(72)を開き、カプセル(71)は、所望の振動に必要な運動を行う。2つのカプセルチャンバを通る流れチャネルは、好ましくは、互いに連結されない。かくして、吸入器は、中央壁(78e)によって互いに分離された2本のマウスチューブ(78d)を有する。マウスチューブ(78d)は、好ましくは外部が長円形のマウスピース(78)内で互いに平行に延びると共に並んだ状態で開口している。2本の管(73)は、器具の輸送状態では2本のマウスチューブ(78d)内に密に嵌合した状態で挿入され、他方、中央壁(78e)のためのスペースを実現するよう管相互間に間隔(73g)が設けられている。
吸入器の意図した使用に応じて、2つのカプセル(71)は、これらの充填及び/又は外形の面で同一であっても良く、或いは互いに異なっていても良い。2つの互いに同一のカプセル(71)を備えた器具を使用すると、2倍の調合薬投与量を単一の使い捨て器具で送り出すことができ、かくして使い捨て材料のコストが節約されるという利点が得られる。互いに異なる充填物の入った2つのカプセル(71)を貯蔵する器具の使用は、場合によっては単一の手法で安定的に貯蔵することができない、2種類の有効物質を同時に投与する治療で用いられるのに特に適している。この種の器具は、2種類の有効物質が互いに正確な比率で服用されるようにする。これにより、例えばユーザが1回の投与サイクルで2種類の互いに製剤を服用しないで同じ製剤を2度服用するという可能性が排除される。
カプセル(71)及びこれらの関連のカプセルチャンバ(74)、マウスチューブ(78d)並びに管(73)は、この目的のために有効物質又は調合薬投与量に合わせて構成されるのが良く、例えば、これらは、互いに異なるサイズのものであって良く又は互いに異なる直径及び/又は長さのものであって良い。
図12は、吸入器と、特に図1〜図5、図7c又は図8aに示された実施形態としてのカプセルを収納して用いることができる粉末入りカプセル(71)とから成るシステムの本発明の別の実施形態の構成例を断面図で概略的に示している。
図12aは、吸入器及びカプセル(71)で構成されたシステムを組み立て状態で示しており、この組み立て状態は、この場合、輸送可能な状態でもある。カプセル(71)の予備成形穴(72a,72b)(図示せず)は、カップ状形態のカプセル入れ物(173a)の内壁によって閉鎖されている。カプセル入れ物(173a)は、引き要素(173)の一部である。1つのカプセル要素、例えばカプセルキャップ(1)が他のカプセル要素、例えばカプセル本体(2)の接近可能な部分よりも大きな外径を有するカプセル(71)の場合、カプセル入れ物(173a)は、好ましくは、内径にそれに対応した変化部を有し、即ち、小さな直径を備えたカプセル要素は、大きな直径を備えたカプセル要素よりも引き要素(173)の引き方向に沿って更に、図12に示されているようにオプションとしてカプセル入れ物上に位置する。カプセル入れ物(173a)の内径は、カプセル(71)の外側形態に合わせられており、その結果、この内径は、カプセル(71)と同一の仕方で段階的に広がるようになっている。輸送可能な状態では、かくして、カプセル(71)は、それほど動くことができる余地がない状態でシステム内に収納される。
好ましくは、引き要素(173)は、部分的に柔軟性の且つ/或いは成形可能な材料、特に好ましくは、熱成形プロセスで構造化されたブリスタフィルムから成る。
好ましくは、引き要素(173)(図12に示されている)は、好ましくはヒンジ状区分、例えばフィルムヒンジ(173b)によって互いに既に連結されている2つの半部から成る(即ち、2つの半部は、好ましくは一コンポーネントとして製造され又は同一の作業ステップで作られる)。また、好ましくは、引き要素(173)は、熱成形部品から成ると共に/或いは熱成形プロセスにおいて熱の作用下で熱成形フィルム又はブリスタストリップから、即ち一般に、例えば錠剤のためのブリスタパックに関する医療技術で用いられる種類のフィルムから作られる。これらブリスタフィルムは、好ましくは、多くの層から成り、好ましくは、ポリエチレン及び/又はアルミニウムを含む。特に好ましくは、厚さ1ミリメートル、特に好ましくは厚さ50ミクロンから200ミクロンまでの範囲にあり、例えば60ミクロン、80ミクロン又は120ミクロンのフィルムが用いられる。2つの半部は、好ましくは、封止プロセスにおいて引き要素(173)の引き端部のところで、フィルムヒンジ(173b)とカプセル入れ物(173a)との間の領域で接合される。この結果、引き要素(173)及びその掴み補助部(173e)の適当な剛性が得られる。この種の接合部に関し、用いられるブリスタフィルムは、好ましくは、接着剤の層又は封止ラッカで覆われる。カプセル入れ物(173a)の直近部では、半部は、互いに接合されておらず、それにより引き要素(173)のカプセル端部に向かって開口したスロット(173d)が後に残されている。このスロット(173d)は、カプセル入れ物(173a)を越えて引き要素(173)の中間部に向かって延びており、それによりキャビティが後に残され、吸入器のバー(75)がこのキャビティ内に突き出ることができる。好ましくは、カプセル入れ物(173a)の付近の引き要素(173)は、この領域では、半部がいわば自己閉鎖方式で配置されるよう設計されており、即ち、半部は、カプセルをクランプしてこれを定位置に且つばね張力下で或る程度までしっかりと保持する。関連のばね状弾性により、半部は、圧力が引き要素(173)の長手方向軸線に沿ってカプセル(71)に加えられると曲がって互いに離れ、そしてカプセル(71)を放出する。
組み立てプロセスでは、予備有孔且つ充填済みカプセル(71)をカプセル入れ物(173a)の一方の半部内に配置するのが良く、その後、引き要素(173)を畳み、そしてカプセル入れ物(173a)の第2の半部も又、カプセル(71)を覆う。折り畳み作業後、スロット(173d)は、引き要素上に位置したままである(スロットは、上述したように特に掴み補助部(173e)の付近で封止によって閉鎖される)。したがって、カプセル(71)は、カプセル入れ物(173a)内に配向状態で挿入されるべきであり、したがって、穴(72)は、実際には全て、カプセル入れ物(173a)のシェルによって覆われるようになる。好ましくは、予備成形穴(72)は、カプセル(71)の長手方向側部に沿ってのみカプセル(71)に設けられる(又は、180°未満にわたってカプセル(71)の周囲に沿って分布して設けられる)。その結果、カプセル入れ物(173a)の第1の半部内、即ち、穴(72)が重力に関して上方に、好ましくはカプセル入れ物(173a)の第2の半部内に向くような向きで配置されると、あらかじめ充填状態のカプセル(71)を粉末が穴を通ってなくなることなく収納できる。
プロセスにおいて先に起こる充填作業は、次のように進むのが良く、即ち、カプセル(71)を充填容器内の確実ロック式カプセルキャリヤ内に入れ、カプセルキャリヤは、当初、カプセル本体(2)を受け入れる。このカプセルキャリヤは、充填プロセス中、カプセル本体(2)を保持し、充填中、カプセル本体(2)の穴(72)を閉鎖する。カプセルキャップ(1)を押すことによってカプセル(71)を封止した後、カプセルキャリヤを90°回し(穴が上方に、即ち、重力とは逆の方向に向いた状態で)、カプセル(71)をカプセルキャリヤによって引き要素(173)中に押し込み又は変形例として、依然として開いた状態の引き要素内に配置し、次に、これを畳んで閉じ、次に閉鎖し又は封止する。オプションとして、カプセル入れ物(173a)のシェルによるカプセル(71)の穴(72)の閉鎖具合は、加圧ステップによって向上する。
カプセル入れ物(173a)の一方の半部内への充填済みの予備有孔カプセル(71)の配置の代替手段として、引き要素(173)の材料が所要の柔軟性を有している場合、予備有孔カプセル(71)を充填して挿入する図10に類似したプロセスを用いることも又可能であり、即ち、引き要素(173)の2つの半部を畳んで閉じ、そしてカプセル入れ物の付近で曲げて開き又はひっくり返して開き(又は、引き要素をカプセル入れ物(173a)の付近で曲げて開き、次に畳んで閉じるだけにする)、その結果、カプセル要素をカプセル入れ物内に挿入して嵌め込むことができるようにする。次に、第2のカプセル要素を第1の半部に嵌め、そしてカプセル入れ物を再び曲げて戻す。
変形例として、カプセル(71)を充填装置内の確実ロック式カプセルキャリヤ内に装入しても良い。このカプセルキャリヤは、充填中、カプセル本体(2)の穴を閉鎖する。カプセル(71)をカプセルキャップ(1)によって閉鎖した後、次に、カプセル(71)をこの上に垂直に設けられた引き要素(173)中に直接押し込むことができる(重力の方向に関していわば下から)。
さらに別の変形例としての方法では、例えば図1〜図5を参照して説明したように2つの互いに異なる挿入位置を有するカプセル(71)を用いる。この場合、カプセル要素を充填して他方のカプセル要素に嵌め、2つのカプセル要素の穴(6,7)が互いに重なり合わないようにし、したがって、カプセル(71)を完全に閉鎖する(第1の挿入位置)。カプセル(71)を、例えばカプセル入れ物(173a)の一方の半部内に配置し、引き要素(173)を互いに畳んでいるときにカプセルをカプセル入れ物(173a)の第2の半部によって覆う。次に、圧力をカプセル入れ物(173)に一方の側から、例えば、両方の側に外側から加え、その結果、2つのカプセル要素が内側カプセル(71)上で更に滑って互いに嵌まり込み、そして2つのカプセル要素の穴(6,7)が位置が合うように動くようにする(第2の挿入位置に達する)。それと同時に、カプセル入れ物(173a)を変形させてこれが今や短いカプセル(71)にぴったりと嵌着するようにする。
好ましくは、吸入器の本体(100)(カプセルチャンバ(74)は、本体(100)によって形成されている)は、2つの半部、特に好ましくは、本体(100)を長手方向軸線に沿って分割する2つの熱成形部品から成る(例えば、図12aは、縦断面ではなく、カプセル(71)を備えた引き要素(173)を収納する本体(100)を形成する熱成形部品を示すものとして解釈することも可能であり、薄い熱成形部品それ自体を図面の平面内で曲げて丸くし、それにより連結面として役立つビードを形成する)。好ましくは、2つの半部は、好ましくは上述したように引き要素(173)で用いられたフィルム、特に熱成形フィルム又はブリスタフィルムで作られる。かくして、引き要素(173)と本体(100)は、同一材料で作られるのが良い。
さらに、本体(100)は、好ましくは、ユーザの唇を当てるマウスピース(78)の領域を更に有するが、マウスピース(78)のこの唇領域も又、本体(100)に連結された追加のコンポーネントによって形成されるのが良い。
組み立てプロセスでは、次に、例えば引き要素(173)をカプセル(71)と共に例えば熱成形部品により形成された本体(100)の半部内に配置し、カプセル(71)入りのカプセル入れ物(173a)がカプセルチャンバ(74)内に配置されるようにし、掴み補助部(173e)とカプセル入れ物(173a)との間のバー(75)が引き要素のスロット(173d)内に突き出るようにする。次に、本体(100)の第2の半部、即ち、例えば第2の熱成形部品を第1の半部上に配置すると共に/或いはこれに嵌める(好ましくは、鏡映対称状態で)。2つの半部相互間に隙間がない状態で2つの半部を互いに結合するようにするために、半部又は2つの成形部品を例えば溶接、接着、貼り合わせ又は好ましくは封止プロセスにおける接合によって互いに接合する。封止は、ブリスタの製造において従来用いられている封止プロセスを用いて行われるのが良い。考えられる一製造プロセスは、例えば、熱成形プロセス直後における本体(100)の半部への活性封止層(封止ラッカ)の塗布を含むのが良い。次に、これら2つの部品を組み立てたとき、圧力及び熱による封止を後で実施するだけである。
熱成形部品が本体(100)の半部として用いられる場合、半部は、例えば、熱成形フィルムから成形されるのが良く、この熱成形フィルムは、接合領域においてビードとして形作られ、封着又は溶接等のための支持面がもしそのように構成されていなければ薄肉のコンポーネントのところに保持されるようにする。変形例として、2つの半部は又、プラスチック押し出し成形においてビードなしで厚肉部品として製造し、好ましくは超音波圧接プロセスにおいて後で互いに溶接しても良い。
吸入器を用いるため、次に、カプセル入れ物(173a)をマウスピース(78)から引き出す。スロット(173d)を全体としてカプセル入れ物(173a)及び引き要素(173)に設けていることにより、カプセル入れ物(173a)をバー(75)を越えて引き出すことができる(図10のスロット(73d)の機能と類似して)。マウスピース(78)内に挿入されてマウスピース開口部を通って横方向に延びているバー(75)は、カプセルチャンバ(74)内のカプセル(71)が、マウスピース(78)内に位置したままであり、これをカプセル入れ物(173a)と共に引き出すことができないという作用効果を有する。吸入器の本体(100)が2つの半部で構成された実施形態では、バーも又、好ましくは2つの部分に分割され、したがって、バー(75)の半部が本体(100)の半部によって形成されるようになる。かくして、バー(75)は、本体(100)の一体構成要素であり、このバーは、好ましくは、個別的な部分ではなく、したがって、バー(75)を追加的に取り付ける必要がない。本体(100)の2つの半部を互いに溶接し又は封着すると、バー(75)の2つの半部も又、好ましくは、互いに接合される。
ユーザが引き要素(173)をカプセル入れ物(173a)と共にマウスピース(78)から引き出すのを助けるため、引き要素(173)は、好ましくは、掴み補助部(173e)を有する。この掴み補助部(173e)は、例えば、図12bに示されているように平らなタブによって形成されるのが良く、好ましくは、開口部又は掴み穴を備える。このタブは、好ましくは、引き要素(173)の頂部の中心に設けられ、システムの組み立て状態(図12a)では、このタブは、マウスピース(78)の端部のところで吸入器から突き出、その結果、システムを作動させるためにユーザは、掴み補助部(173e)又はタブによって引き要素(173)をマウスピース(78)から引き出すだけで済むようになっている。
好ましくは、本明細書において説明したシステムの動作は、欧州特許出願第12151105.9号明細書の第26頁12行から第63頁第2行までの記載において指定された成分を含み又は本明細書において言及した調合薬のうちの1つに対応した調合薬を用いて行われる。この欧州特許出願を参照により引用し、ここで説明した特徴を含むこれら記載内容全体を本明細書の一部とする。