JP6365423B2 - 運転者状態判定方法及びその判定装置 - Google Patents
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Description
このような車線逸脱警報装置では、カーブ区間を走行するときにセンターライン或いは路側ラインの端領域を運転者が意識的に走行する場合にも車線逸脱警報が作動してしまい乗員が違和感や煩わしさを感じることがある。
そこで、運転者の心身状態を判定し、不必要な警報の作動を制限する技術が提案されている。
これにより、運転者個人に適合した心身状態を判定することができ、運転能力低下状況に応じた運転支援を実施することができる。
例えば、ラッセルの感情円環モデルでは、快度と活性度とを夫々軸とした平面上に全ての感情が円環状になるように配置されている。このモデルにおいて、緊張感は、不快・活性区分である第2象限に存在し、安心感は、緊張感に対して対極上に位置する、所謂快・不活性区分である第4象限に存在している。
しかし、運転者の頭部の挙動は、車両の走行状態から大きな影響を受けている。
即ち、車両走行時において、車両に最も大きく且つ頻繁に発生する走行状態は車幅方向(左右方向)への進行方向移動であり、運転者の頭部の上下方向の加速度に対して少なからず影響を与えるものと予想される。それ故、車両による車幅方向への進行方向移動の影響を除いて運転者の頭部の上下方向の加速度を的確に抽出することは容易ではなく、運転者の緊張感を高精度に判定することができない虞がある。
しかし、緊張感は運転者の感情の快度及び活性度の双方に関する要因が含まれ、また、運転には適度な緊張感が好ましいと言われることから、運転者の運転能力と緊張感とは明確に1対1に対応付けできるような相関関係を有するものではない。
即ち、特許文献1の運転者状態判定装置は、運転者の運転操作に対する集中度合を運転者の緊張感をパラメータとして間接的に検出するものであって、運転操作に対する集中度合を精度良くに検出できない虞がある。
判定ステップにおいて、運転者の表情によって補正する補正ステップにより補正された振幅が運転者に作用した横加速度に対応する基準振幅よりも小さい程、運転者の集中度合が高いと判定するため、運転者による視界の安定動作をパラメータとして運転者の運転操作に対する意識的な集中度合を直接的に検出することができる。
この構成によれば、運転者による意識的な視界の安定動作を的確に検出することができる。
以下の説明は、本発明を運転支援装置を備えた車両Vに適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
図1,図2に示すように、車両Vは、運転者の運転操作に対する集中度合を検出する運転者状態判定装置1と、車室内のルーフ前端部又は左右のドアミラー(図示略)に配設された走行状態検出手段としての車外CCD(Charge Coupled Device)2と、運転支援装置としての車線逸脱警報装置3と、警報装置4等を備えている。
運転者状態判定装置1は、運転者による視界の安定動作をパラメータとして運転者の運転操作に対する意識的な集中度合Cを直接的に検出する装備であり、車線逸脱警報装置3は、車両Vが車線(走行レーン)から逸脱する可能性を運転者に対して警報し、危険回避や被害軽減することにより運転者を含む乗員の安心感を高める装備である。
以下、運転者の運転操作に対する集中度の程度を、集中度合Cとする。
安心感は、運転者が車両V(各種装備)によってリスクから守られているという受動的安心感と、運転者が車両Vを運転操作して自身でリスクを回避できる能動的安心感とに大別することができる。そして、本発明では、両方の安心感のうち能動的安心感を拡大することにより、乗員の安心感全体を向上することを狙いとしている。
第1グループの被験者H1と第2グループの被験者H2に対して周回路を走行する3種類の走行タスクを与え、各々の走行タスク終了後にアンケートを実施した。
図6に示すように、走行タスクは、運転者要因(運転意欲)と環境要因(運転負荷)とが夫々異ならせるように、Task1「一般道を走っているつもりで運転してください」、Task2「安全を確保してコースの制限速度(120km/h)に従い運転してしてください」、Task3「楽しさを意識しててコースの制限速度(120km/h)に従い運転してしてください」と教示した。
これにより、Task1は運転意欲小・運転負荷小、Task2は運転意欲中・運転負荷中、Task3は運転意欲大・運転負荷大になるように設定した。
被験者H1,H2は、走行タスク終了後、内発的動機付け、負担感、運転に対する集中度、余裕、安心感の5項目について主観評価を回答した。尚、回答するにあたり、普通(中間レベル)を50としている。
被験者H1の評価結果を実線、被験者H2の評価結果を破線で示している。
図7(a)〜図7(c)に示すように、被験者H1,H2によって重みレベルが異なるものの、内発的動機付け及び負担感の増加に伴って運転者の集中度が高くなる。
図7(b),図7(d)に示すように、負担感の増加に伴って余裕が減少する。
図7(d),図7(e)に示すように、余裕が大きい程、安心感が増加する。
図7(c)〜図7(e)の被験者H1の評価結果に示すように、集中度が低い場合、余裕が高くても安心感が低下する。
これにより、運転者の安心感は、運転者の運転操作に対する集中度と比例関係にあることが明らかになった。
この検証実験では、第1,2グループの平均的被験者H3(運転者)の集中状態を反映する特徴量を捉えるため、被験者H3がTask1〜3を実施したときの被験者H3の頭部の変化について検証している。
図8に示すように、被験者H3の頭部に複数の観察ポイントPを複数設定し、Task1〜3の実行時の頭部基準点Gの移動量及び被験者H3の表情の変化を検出した。
図9に示すように、集中度の小さいTask1では、横加速度の発生に伴う頭部の車幅方向(左右方向)移動量が大きく、集中度の大きいTask2,3では、横加速度の発生に伴う頭部の車幅方向の移動量が小さい。
これにより、運転者の集中度が頭部の車幅方向の揺れ動作に反映されることが明らかになった。これは、運転者が集中する程、視界を安定させて知覚精度を高めようとする意識が働き、筋肉を緊張させて横加速度に対する頭部の揺れを抑制するためと考察される。
図10に、Task1〜3における被験者H3の瞼の平均開度を示す。
瞼の開度が大きい程垂直方向の視界が広がることから、集中時には遠方の情報を多く取得するために瞼の開度が増加するものと考察される。
図11に、Task1〜3における被験者H3の口角間の平均距離(口幅)を示す。
退屈を感じているときには唇が左右に広がる特性があることから、集中度の増加が口角間の距離の減少に反映されたものと考察される。
以上により、運転者の運転操作に対する集中度は、運転者の動作特性から直接的に判定できることが判明した。
尚、以下の説明は、運転者状態判定方法の説明を含むものである。
図1,図2に示すように、運転者状態判定装置1は、移動検出手段としての車内CCD5と、横加速度センサ6と、制御装置7等を備えている。
車内CCD5は、インスツルパネル(図示略)に配設され、運転者に対向した正面位置に固定されている。この車内CCD5は、運転者の頭部及び表情を撮像している。
横加速度センサ6は、車両Vの横加速度を検出するセンサである。
これら車内CCD5と横加速度センサ6は、各々の検出結果を制御装置7に出力している。
図2に示すように、制御装置7は、振幅認識部7aと、記憶部7bと、比較部7cと、集中度合判定部等7d等を備えている。
また、振幅認識部7aは、車内CCD5が撮像した運転者の表情の画像信号に基づいて、運転者の瞼の平均開度と、口角間の平均距離等を算出している。
マップMは、予め実験等により、通常、運転者に所定の横加速度が作用したとき、この横加速度に起因して生じる運転者の頭部の車幅方向における振幅を複数回検出し、これら複数の振幅の平均値に基づいて作成されている。
尚、このマップMは、車両Vの車速毎に形成しても良く、また、一般道路や高速道路、天候、地形等走行環境毎にマップMを複数準備することも可能である。
尚、基準振幅A0と振幅Aとの差分を行う前に、振幅Aを瞼の平均開度と口角間の平均距離によって補正しても良い。具体的には、瞼の平均開度が大きい程、また、口角間の平均距離が小さい程、運転者の集中度が高いため、振幅Aの値を小さくなるように補正する。
この集中度合判定部等7dは、振幅Aが基準振幅A0よりも小さい程、運転者の集中度合Cが高いと判定する。これは、前述したように、集中度が高いとき、運転者が知覚精度を高めようとする意識が働き、筋肉を緊張させて横加速度に対する頭部の揺れを抑制させるためである。
車線逸脱警報装置3は、CPU、ROM、RAM、EEPROM、入出力インターフェイス等を備え、車両Vが車線から逸脱する可能性を判定可能に構成されている。
図2に示すように、車線逸脱警報装置3は、走行車線認識部3aと、逸脱判定部3bと、判定閾値設定部3c等を備えている。
この走行車線認識部3aは、抽出した白線情報と、この白線と車両Vとの離隔距離とを算出している。
この逸脱判定部3bは、判定閾値Tが大きい場合、車両Vによる白線への接近が許容されるため、白線と車両Vとの離隔距離が小さくなるまで逸脱可能性ありと判定されない。また、判定閾値Tが小さい場合、車両Vによる白線への接近が制限されるため、白線と車両Vとの離隔距離がある程度大きな値であっても逸脱可能性ありと判定される。
尚、走行開始時の判定閾値Tには、初期判定閾値T0がセットされるように予め設定されている。
この判定閾値設定部3cは、運転者の集中度合Cが高いときの判定閾値Tを集中度合Cが低いときの判定閾値Tよりも大きくしている。
集中度合Cが高いときの運転者の認知性(注意力レベル)は、集中度合Cが低いときの運転者の認知性よりも高いからである。
判定閾値設定部3cは、集中度合Cが低いときの判定閾値Tを第1判定閾値T1、集中度合Cが中程度のときの判定閾値Tを第2判定閾値T2、集中度合Cが高いときの判定閾値Tを第3判定閾値T3に設定している(T1<T0<T2<T3)。
例えばスピーカ、ブザー、ディスプレイのうち少なくとも1つが警報装置4に相当している。
尚、Si(i=1,2,…)は、各処理のためのステップを示している。
図4に示すように、まず、各種情報を読み込み(S1)、S2へ移行する。
S2では、接近度合と比較するための判定閾値Tを設定する判定閾値設定処理を行っている。尚、車両Vの走行開始時には、初期判定閾値T0がセットされている。
S3の判定の結果、接近度合が判定閾値Tを超えた場合、運転者に注意喚起させるためにS4に移行して警報装置4を作動させた後、リターンする。
S3の判定の結果、接近度合が判定閾値Tを超えていない場合、安全性が低下していないため、警報装置4を作動させることなくリターンする。
図5に示すように、まず、横加速度センサ6からの入力に基づき車両Vに横加速度が発生しているか否かを判定する(S11)。
S11の判定の結果、横加速度が発生している場合、振幅Aを演算し(S12)、S13に移行する。S11の判定の結果、横加速度が発生していない場合、リターンする。
S13では、基準振幅A0と判定値Kに基づいて集中度合Cを判定し、S14に移行する。
S14の判定の結果、集中度合Cが低い場合、判定閾値Tを第1判定閾値T1に設定して(S15)、終了する。S14の判定の結果、集中度合Cが低くない場合、S16に移行して、集中度合Cが中か否か判定する。
本運転者状態判定装置1によれば、運転者の頭部の車幅方向の移動を検出する車内CCD5を備えるため、運転者による意識的な視界の安定動作を簡易な構成で検出することができる。運転者に作用した横加速度による運転者の頭部の車幅方向の振幅Aが運転者に作用した横加速度に対応する基準振幅A0よりも小さい程、運転者の集中度合Cが高いと判定する集中度合判定部7dを備えるため、運転者による視界の安定動作をパラメータとして運転者の運転操作に対する意識的な集中度合Cを直接的に検出することができる。
1〕前記実施形態においては、制御負荷の軽減を狙いとして、運転者の集中度合を判定値に基づいて低中高の3つに分類し、この分類に応じて判定閾値を調整した例を説明したが、集中度合を分類することなく、集中度合に応じて判定閾値をリニアに制御しても良い。
尚、運転者の視界方向に関する運転支援装置ではない場合、例えば、後方から接近する車両を報知する後方監視装置の場合には、運転者が前方の視界方向に対して集中していることから、後方への注意力レベルが低下している虞がある。それ故、運転者の視界以外の方向に関する運転支援装置では、運転者の集中度合が増加しても警報レベルの低下を禁止する、又は、警報レベルを高くすることが好ましい。
この場合、例えば匂い・音楽・照明等により運転者の運転意欲や感情を向上させる支援装置を作動させたとき、本運転者状態判定装置によって集中度合を判定し、期待する集中度合の上昇が得られない場合、支援装置の制御を変更する等効果の検証やフィードバック制御に適用することができる。
5 車内CCD
6 横加速度センサ
7 制御装置
7b 記憶部
7d 集中度合判定部
Claims (3)
- 運転者による運転動作に基づいて運転者状態を判定する運転者状態判定方法において、
通常時の横加速度による運転者の頭部の車幅方向の基準振幅を準備する準備ステップと、
前記運転者に作用した横加速度による運転者の頭部の車幅方向の振幅を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出された前記振幅を運転者の表情によって補正する補正ステップと、
前記補正ステップにより補正された前記振幅が前記運転者に作用した横加速度に対応する基準振幅よりも小さい程、前記運転者の集中度合が高いと判定する判定ステップと、
を備えたことを特徴とする運転者状態判定方法。 - 運転者による運転動作に基づいて運転状態を判定する運転者状態判定装置において、
前記運転者の頭部の車幅方向の移動を検出する移動検出手段と、
横加速度を検出する横加速度検出手段と、
通常時の横加速度による運転者の頭部の車幅方向の基準振幅を記憶する記憶手段と、
前記運転者に作用した横加速度による運転者の頭部の車幅方向の振幅を運転者の表情によって補正すると共に前記補正された振幅が前記運転者に作用した横加速度に対応する前記基準振幅よりも小さい程、前記運転者の集中度合が高いと判定する集中度合判定手段と、
を備えたことを特徴とする運転者状態判定装置。 - 前記移動検出手段が前記運転者の頭部を撮像可能な撮像手段であることを特徴とする請求項2に記載の運転者状態判定装置。
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