以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1の乗用草刈機の構成および動作について説明する。
はじめに、図1および2を主として参照しながら、本実施の形態の乗用草刈機の構成について説明する。
ここに、図1および2は、本発明における実施の形態1の乗用草刈機の模式的な左側面図である。
なお、図2においては、モアデッキ1100の図示は省略されている。
ここに、図1では、昇降リンク機構1400が最下降させられた状態と、昇降リンク機構1400が最上昇させられた状態でダンプ動作を実行していない状態を、同時に実線で示している。図2では、昇降リンク機構1400が最上昇させられた状態で、ダンプ動作を実行していない状態と、ダンプ動作を実行している状態を、同時に実線で示している。図3は、昇降リンク機構1400が最下降させられた状態の部分拡大図である。
本実施の形態の乗用草刈機は、前輪9110および後輪9120と、車両本体1000の前方に設けられたモアデッキ1100と、車両本体1000の前部に設けられた運転席1200と、車両本体1000の前端に設けられたステアリングハンドル9200と、車両本体1000の後部に設けられたエンジン9300および刈草を収容するコレクター1800を備えている。コレクター1800はエンジン9300の上方に設ける構成である。
エンジン9300の前方にはミッションケース9400およびモアデッキ1100で刈り取られた刈り草を吸引してコレクター1800に搬送するブロワー9500を設けている。ブロワー9500とモアデッキ1100とは吸引される刈草を案内する刈草搬送シュート9510で連通する構成である。
車両本体1000の左右両側にはそれぞれ支柱1300が設けられている。支柱1300は、運転席1200よりも後方に位置しており、車両本体1000の中間部に設けているが後部に設けてもよい。
昇降リンク機構1400は、前端が支柱1300に連結された機構であり、昇降用アクチュエーター1510は、昇降リンク機構1400を昇降させるためのアクチュエーターである。
ダンプ機構1600は、昇降リンク機構1400の後端部材1430に連結された機構である。ダンプ用アクチュエーター1710は、そのダンプ機構1600に設けられ、シリンダタイプの場合そのロッドがコレクター1800のコレクターフレーム1810に連結され、そのコレクター1800をダンプさせるためのアクチュエーターである。なおそのダンプ用アクチュエーター1710は昇降リンク機構1400の後端部材1430に設けられていてもよい。
コレクター連結部1910は、コレクター1800を回動可能に連結するための部材で、ダンプ機構1600に連結されている。
昇降リンク機構1400は、車両本体1000の左右方向に関してほぼ対称的な構成要素であり、車両本体1000の右側には、昇降用アクチュエーター1510と同様な構成をもつ昇降用アクチュエーター2520(図16参照)が設けられている。
ダンプ機構1600も、車両本体1000の左右方向に関してほぼ対称的な構成要素であり、車両本体1000の右側には、ダンプ用アクチュエーター1710と同様な構成をもつダンプ用アクチュエーター(図示省略)が設けられている。
もちろん、車両本体1000の右側には、コレクター連結部1910と同様な構成をもつコレクター連結部(図示省略)が設けられている。
本明細書におけるこのような車両本体1000の左右方向に関して対称性をもつ構成についての説明では、車両本体1000の左側の部分に関しての詳細な説明を主として行い、車両本体1000の右側の部分に関しての詳細な説明を省略することが多い。
つぎに、図3を主として参照しながら、昇降リンク機構1400およびダンプ機構1600の構成についてより具体的に説明する。
ここに、図3は、上述したように、本発明における実施の形態1の乗用草刈機の、昇降リンク機構1400が最下降させられた状態での、ダンプ機構1600を中心とする模式的な部分左側面図である。
ダンプ機構1600は、ダンプ用上側リンク1610と、ダンプ用下側リンク1620と、を有している。さらに、ダンプ用上側リンク1610と、ダンプ用下側リンク1620と、は、後方側ではダンプ用後方リンク1630によって回動可能に連結されており、前方側ではダンプ用前方リンク1640によって回動可能に連結されている。
ダンプ用下側リンク1620には、昇降リンク機構1400の後端部材1430が連結されており、ダンプ用上側リンク1610には、コレクター連結部1910が設けられている。つまり、このコレクター連結部1910には後述するコレクターアーム1811が上下方向に回動可能に連結されているとともに、そのコレクターアーム1811は、コレクター1800の下部フレームであるコレクターフレーム1810に固定されている。これによって、ダンプ用上側リンク1610に対してコレクター1800は回動可能に連結されていることになる。
本実施の形態では、コレクター1800の後方を通過するフレーム部材1616が、左右のダンプ用上側リンク1610それぞれの後端を連結している。
そして、昇降リンク機構1400が上昇させられると、ダンプ用上側リンク1610はダンプ用下側リンク1620に対して後方に移動させられる構成になっている。
すなわち、昇降リンク機構1400は、昇降用上側リンク1410と、昇降用下側リンク1420と、を有しており、その昇降用下側リンク1420の後端には、ダンプ用上側リンク1610をダンプ用下側リンク1620に対して後方に移動させるためのスライドアーム1440が連結されている。
もちろん、スライドアーム1440は、本実施の形態においては昇降用下側リンク1420の後端に連結されているが、昇降用上側リンク1410の後端に連結されていてもよい。
さらに、ダンプ用前方リンク1640は、下方へ延伸されたダンプ用前方リンク延伸部1641を有し、ダンプ用前方リンク延伸部1641には、後方移動リンク1650の後端が回動可能に連結されており、後方移動リンク1650の前端はスライドアーム1440に回動可能に連結されている。
つぎに、図1〜3を参照しながら、本実施の形態の乗用草刈機の動作、具体的にはリンク機構昇降動作およびコレクターダンプ動作について説明する。
なお、本実施の形態の乗用草刈機の動作について説明しながら、前述された同乗用草刈機の構成についても補足的に説明する。
昇降用アクチュエーター1510は、そのシリンダー機構の伸張を利用して昇降リンク機構1400を上昇させる。
昇降リンク機構1400は平行リンク機構であって、昇降用上側リンク1410と昇降用下側リンク1420とが平行であり、支柱1300と後端部材1430とが平行である状態が保たれる構成になっている。
そして、昇降用下側リンク1420の後端と後端部材1430の下端とは連結部材1441によって回動可能に連結されており、昇降用下側リンク1420とスライドアーム1440とは連結部材1441および1442によって固定的に連結されており、スライドアーム1440と後方移動リンク1650の前端とは、連結部材1443によって回動可能に連結されている。
このため、昇降用アクチュエーター1510のシリンダー機構の伸張が行われ、たとえば、昇降リンク機構1400が上昇し始めると、連結部材1441から昇降用下側リンク1420を見た角度がΔθだけ変化すると、連結部材1441から連結部材1443を見た角度もΔθだけ変化する。
よって、昇降用アクチュエーター1510のシリンダー機構の伸張が行われると、後方移動リンク1650の前端は前向きに引っ張られ、ダンプ用前方リンク延伸部1641が後方移動リンク1650の後端に回動可能に連結されているダンプ用前方リンク1640の下端もこれにともなって前向きに引っ張られる。
なお、前向きに引っ張られるとは、ダンプ用下側リンク1620が固定的に連結されている昇降リンク機構1400の後端部材1430から見て相対的に前向きに引っ張られる、という意味である。
一方、ダンプ機構1600も平行リンク機構であって、ダンプ用上側リンク1610とダンプ用下側リンク1620とが平行であり、ダンプ用前方リンク1640とダンプ用後方リンク1630とが平行である状態が保たれる構成になっている。
したがって、ダンプ用前方リンク1640の下端が前述の通り前向きに引っ張られると、ダンプ用前方リンク1640の上端は反対に後ろ向きに押し出され、前端がダンプ用前方リンク1640の上端に回動可能に連結されているダンプ用上側リンク1610もこれにともなって後ろ向きに押し出される。
なお、後ろ向きに押し出されるとは、ダンプ用下側リンク1620が固定的に連結されている昇降リンク機構1400の後端部材1430から見て相対的に後ろ向きに押し出される、という意味である。
かくして、昇降リンク機構1400が上昇させられると、ダンプ用上側リンク1610はダンプ用下側リンク1620に対して後方に移動させられる。
昇降リンク機構1400が最上昇させられた状態で、ダンプ動作を実行している状態について説明する。図2に示すように、ダンプ用アクチュエーター1710は、昇降リンク機構1400が最上昇させられた後に、そのシリンダー機構の伸張を利用しコレクター連結部1910をダンプ支点としてコレクター1800のコレクターフレーム1810を上昇させる。これによってコレクター1800がダンプさせられる。
以上の説明により、昇降リンク機構1400を上昇させると同時に、ダンプ用上側リンク1610をダンプ用下側リンク1620に対して後方に移動させることが出来るので、車両本体1000の最後部からコレクター連結部1910までの水平距離であるオーバーハング距離dを十分に確保できる。そのため、乗用芝刈機を後進して刈草搬送用のトラックの荷台に接近させるときに、車両本体1000の後端部とトラックの荷台との間の距離を長くすることが可能になり、本実施の形態の乗用草刈機の後方に止められた刈草搬送トラックへのコレクター1800内の刈草の排出を融通性の大きいタイミングで行うことができ、作業者が後方に注意を払う負担感が軽減されることが出来る。
(実施の形態2)
実施の形態2の乗用草刈機の構成および動作について説明する。
本実施の形態の乗用草刈機の構成および動作は、前述された実施の形態1の乗用草刈機の構成および動作と類似しているが、本実施の形態の昇降リンク機構2400およびダンプ機構2600に関連する構成および動作は、実施の形態1の昇降リンク機構1400およびダンプ機構1600に関連する構成および動作とは異なっている。
はじめに、図4および5を主として参照しながら、本実施の形態の乗用草刈機の構成について説明する。
ここに、図4および5は、本発明における実施の形態2の乗用草刈機の模式的な左側面図である。
なお、図4および5においても、モアデッキ1100の図示は省略されている。
また、図4では、昇降リンク機構2400が最下降させられた状態と、昇降リンク機構2400が最上昇させられた状態でダンプ動作を実行していない状態を、同時に実線で示している。図5において、破線で示すコレクター2800は、昇降リンク機構2400が最上昇させられた状態で、ダンプ用アクチュエーター2710を動作させていない状態を示す。また、図5において、実線で示すコレクター2800は、昇降リンク機構2400が最上昇させられた状態で、ダンプ動作を実行していない状態と、ダンプ動作を実行している状態を、同時に実線で示している。
昇降リンク機構2400は、前端が支柱1300に連結された機構であり、昇降用アクチュエーター2510は、昇降リンク機構2400を昇降させるためのアクチュエーターである。
ダンプ機構2600は、昇降リンク機構2400の後端部材2430に連結された機構であり、ダンプ用アクチュエーター2710は、昇降リンク機構2400に設けられ、コレクター2800に連結され、コレクター2800をダンプさせるためのアクチュエーターである。
コレクター連結部2910は、ダンプ機構2600に設けられた、コレクター2800を回動可能に連結するための部材である。
昇降リンク機構2400は、車両本体1000の左右方向に関してほぼ対称的な構成要素であり、車両本体1000の右側には、昇降用アクチュエーター2510と同様な構成をもつ昇降用アクチュエーター2520(図16参照)が設けられている。
ダンプ機構2600も、車両本体1000の左右方向に関してほぼ対称的な構成要素であり、車両本体1000の右側には、ダンプ用アクチュエーター2710と同様な構成をもつダンプ用アクチュエーター2720(図16参照)が設けられている。
もちろん、車両本体1000の右側には、コレクター連結部2910と同様な構成をもつコレクター連結部(図示省略)が設けられている。
昇降リンク機構2400およびダンプ機構2600の構成についてより具体的に説明すると、つぎの通りである。
コレクター連結部2910は、ダンプ機構2600の本体部2610に対して前後方向に移動可能になっている。
そして、コレクター連結部2910がダンプ用アクチュエーター2710の働きにより後ろ向きに直線的に移動するとともに、コレクター2800がさらなるダンプ用アクチュエーター2710の働きにより後ろ向きに回動する構成になっている。
なお、ダンプ機構2600の本体部2610には、昇降リンク機構2400の後端部材2430が連結されている。
また、昇降リンク機構2400は、昇降用上側リンク2410と、昇降用下側リンク2420と、を有している。
つぎに、図4および5を主として参照しながら、本実施の形態の乗用草刈機の動作、具体的にはリンク機構昇降動作およびコレクターダンプ動作について説明する。
なお、本実施の形態の乗用草刈機の動作について説明しながら、前述された同乗用草刈機の構成についても補足的に説明する。
昇降用アクチュエーター2510は、そのシリンダー機構の伸張を利用して昇降リンク機構2400を上昇させる。
昇降リンク機構2400は平行リンク機構であって、昇降用上側リンク2410と昇降用下側リンク2420とが平行であり、支柱1300と後端部材2430とが平行である状態が保たれる構成になっている。
かくして、昇降リンク機構2400が上昇させられると、ダンプ機構2600も上昇させられる。
ダンプ用アクチュエーター2710は、昇降リンク機構2400が最上昇させられた後に、そのシリンダー機構の伸張を利用してダンプ機構スライダー2620を伸張させる。
すなわち、ダンプ機構2600の本体部2610は昇降リンク機構2400の後端部材2430に固定的に連結され、他方、ダンプ機構スライダー2620はダンプ機構2600の本体部2610に対して前後方向に摺動可能になっており、コレクター連結部2910はダンプ機構スライダー2620の後方突端部に設けられている。例えば、本体部2610が筒状部材であって、ダンプ機構スライダー2620はその筒状部材にスライド可能に挿入されたロッドである。
そして、ダンプ用アクチュエーター2710のシリンダー機構のロッドは、後述されるように、コレクターフレーム2810に(図19参照)連結されている。
しかしながら、ダンプ用アクチュエーター2710がそのシリンダー機構の伸張を行っても、コレクター連結部2910が後方突端部に設けられているダンプ機構スライダー2620が、最大長まで伸張させられるまでは、ある程度の自重をもつコレクター2800は後ろ向きに直線移動するのみで回動ダンプさせられることはない。
ダンプ用アクチュエーター2710は、ダンプ機構スライダー2620が最大長まで伸張させられた後に、さらにそのシリンダー機構の伸張を行う。
すると、ダンプ機構スライダー2620が最大長まで伸張させられているので、コレクター2800はさらに後ろ向きに移動することはできず後ろ向きに回動し始める。
かくして、コレクター2800は、コレクター連結部2910をダンプ支点としてダンプさせられる。
以上の説明により、昇降リンク機構2400を最上昇させた後にダンプ機構スライダー2620を最大長まで伸張させ、車両本体1000の最後部からコレクター連結部2910までの水平距離であるオーバーハング距離dを十分に確保してから、本実施の形態の乗用草刈機の後方に止められた刈草搬送トラックへのコレクター2800内の刈草の排出を融通性の大きいタイミングで行うことができ、作業者が後方に注意を払う負担感が軽減されることが、明らかとなった。
つぎに、図6および7を主として参照しながら、本実施の形態2のコレクター着脱キャリヤー3000の構成および動作について説明する。
ここに、図6は本発明における実施の形態2の乗用草刈機およびコレクター着脱キャリヤー3000の模式的な左側面図であり、図7(a)は本発明における実施の形態2のコレクター着脱キャリヤー3000の模式的な左側面図であり、図7(b)は本発明における実施の形態2のコレクター着脱キャリヤー3000の模式的な背面図である。
コレクター着脱キャリヤー3000は、本実施の形態の乗用草刈機の後方から差し込むことができるキャリヤー本体3100と、前キャスター部3200と、後キャスター部3300と、を備えている。
コレクター着脱キャリヤー3000を利用すれば、コレクター2800の本実施の形態の乗用草刈機に対する取り付けおよび取り外しを容易に行うことができる。
そこで、コレクター着脱キャリヤー3000を利用してコレクター2800を同乗用草刈機から取り外す手順について具体的に説明する。
(第一の手順)
前述されたようにして昇降リンク機構2400を上昇させ、コレクター2800を上昇させておいて、コレクター着脱キャリヤー3000を車両本体1000の後方から差し込み、前キャスター部3200および後キャスター部3300のロック機能をオンにする。
そして、地面の傾斜がある場合には、キャリヤー本体3100の状態が水平になるように後キャスター部3300に設けられたアジャスターボルト部3310を調整する。
(第二の手順)
昇降リンク機構2400を下降させ、コレクター2800を下降させて、コレクター2800をコレクター着脱キャリヤー3000に搭載する。
(第三の手順)
昇降用アクチュエーター2510およびダンプ用アクチュエーター2710に接続されている油圧配管4100を運転席1200の後方に設けられたクイックカプラー4200から取り外すことによって、油圧配管4100を運転席1200に設けられたコントロールバルブ4300から切り離す。
(第四の手順)
昇降用アクチュエーター2510の車両本体1000への取り付けに利用されている昇降用シリンダー下部ピンを抜いて、その抜かれた昇降用シリンダー下部ピンをキャリヤー本体3100に設けられた昇降用シリンダー下部ピン受け2511に差し込む。
(第五の手順)
満杯センサーハーネスなどの電気配線(図示省略)を取り外す。
(第六の手順)
昇降リンク機構2400の支柱1300への取り付けに利用されている昇降リンク上部ピン(図示省略)を取り外す。
(第七の手順)
前キャスター部3200および後キャスター部3300のロック機能をオフにし、コレクター2800が搭載されたコレクター着脱キャリヤー3000を車両本体1000の後方から抜き取る。
ところで、前述されたコレクター2800の取り付けおよび取り外しは、昇降リンク機構2400全体およびダンプ機構2600全体も一体的に外すことで行われる。
このため、ダンプ機構2600の本体部2610は、いわゆるベースプレートとしての役割をもっている。
そこで、コレクター着脱キャリヤー3000に搭載されたコレクター2800の位置ずれを抑制する機能と、本実施の形態の乗用草刈機に搭載されたコレクター2800の位置ずれを抑制する機能と、の二つの機能を併せてもっている折り曲げプレート部材2611が、ダンプ機構2600の本体部2610の裏面に設けられていてもよい。その詳細を以下に説明する。
まず、図8(a)および(b)を主として参照しながら、折り曲げプレート部材2611の、コレクター着脱キャリヤー3000に搭載されたコレクター2800の位置ずれを抑制する機能について説明する。
ここに、図8(a)は本発明における実施の形態2のコレクター着脱キャリヤー3000の、キャリヤー本体3100の左後部近傍の模式的な部分左側面図であり、図8(b)は本発明における実施の形態2のコレクター着脱キャリヤー3000の、キャリヤー本体3100の左後部近傍の模式的な部分背面図である。
キャリヤー本体3100には、コレクター2800がコレクター着脱キャリヤー3000に搭載されたときに折り曲げプレート部材2611と嵌合する嵌合部材3110が設けられている。
嵌合部材3110に穿孔された二つの孔に差し込まれたコレクター位置ずれ抑制ピン3111は、折り曲げプレート部材2611と嵌合部材3110とが嵌合して生じるスペースを貫通している。
このため、折り曲げプレート部材2611と嵌合部材3110との位置関係は、大きくは変われない構成になっている。
通常の身長の作業者は、昇降リンク機構2400が最下降された状態においてこのようなコレクター位置ずれ抑制ピン3111の差し込みを容易に行うことができる。
ついで、図9および図10を主として参照しながら、コレクター2800が乗用草刈り機に搭載された際、折り曲げプレート部材2611が、コレクター2800の乗用草刈り機側に対する位置ずれを抑制する機能について説明する。
ここに、図9は本発明における実施の形態2の乗用草刈機の、車両本体1000の後部近傍の模式的な部分左側面図であり、図10は本発明における実施の形態2の乗用草刈機の、車両本体1000の後部近傍の模式的な部分背面図である。
車両本体1000の後部には、コレクター2800が本実施の形態の乗用草刈機に搭載されたときに折り曲げプレート部材2611を支持する柱状の支持部材1010が設けられている。支持部材1010は背面から見て傾斜している。
折り曲げプレート部材2611の折り曲げによって形成された傾斜面は、コレクター2800がたとえ揺れても車両本体1000の中央部に向かって揺れ戻されるように、支持部材1010によって支持されている。つまり、折り曲げによって形成された傾斜面のうち、内側の傾斜面に、支持部材1010の傾斜した上面が当接しているので、位置調整が自動的に実現される。
このため、コレクター2800と車両本体1000との位置関係は、昇降リンク機構2400が最下降されて草刈作業などが行われている状態において正規関係に維持される構成になっている。
なお、図11〜図14は、コレクター2800のコレクターフレーム2810の組み立て誤差、および最下降されている昇降リンク機構2400のシリンダー機構に関する最圧縮長公差などがある場合それを吸収する各種調整方法を示している。それによって刈り草がブロワーの送風によってモアデッキ1100から送られてくる経路の確保、およびコレクター2800のドアロックなどの、コレクター2800と車両本体1000との位置関係に関連する機能をより確実に発揮させることができる。
ここに、図11〜14は、本発明における実施の形態2の乗用草刈機の、折り曲げプレート部材2611および支持部材1010近傍の模式的な部分背面図(その一から四)である。
図11においては、所望の位置調節方向を長手方向とする二つの長孔(図示省略)がダンプ機構2600の本体部2610の板厚方向に穿孔されており、本体部2610を折り曲げプレート部材2611へ取り付けるための二つのボルト2612および2613が同長孔をそれぞれ貫通するように差し込まれている。
図12においては、前述された構成と類似した構成が利用されているが、所望の位置調節方向を長さ方向とし、ダンプ機構2600の本体部2610に設けられたブラケット2615に一端が固定された位置調節ボルト2614の他端が、折り曲げプレート部材2611にその位置調節が可能であるように差し込まれている。
図13においては、支持部材1010を取り付けるための所望の位置調節方向を長さ方向とするボルト1011が差し込まれた、車両本体1000に設けられたブラケット1012と、支持部材1010と、の間には、同位置調節方向を厚さ方向としボルト1011に嵌合する形状のスペーサー1013が挿入される。
図14においては、前述された構成と類似した構成が利用されているが、ボルト1011がその位置調節が可能であるようにブラケット1012に差し込まれている。
つぎに、図15〜18を主として参照しながら、本実施の形態の油圧配管4100の構成および動作について説明する。
ここに、図15は本発明における実施の形態2の乗用草刈機の、油圧配管4100近傍の模式的な部分右側面図であり、図16は本発明における実施の形態2の乗用草刈機の、油圧配管4100近傍の模式的な部分平面図であり、図17は本発明における実施の形態2の乗用草刈機の、昇降用シリンダー機構油圧配管4110の模式的な平面図であり、図18は本発明における実施の形態2の乗用草刈機の、ダンプ用シリンダー機構油圧配管4120の模式的な平面図である。
油圧配管4100は、クイックカプラー4200を介してコントロールバルブ4300に接続されている。
そして、油圧配管4100は、昇降用アクチュエーター2510および2520に接続されている昇降用シリンダー機構油圧配管4110と、ダンプ用アクチュエーター2710および2720に接続されているダンプ用シリンダー機構油圧配管4120と、から構成されている。
ここで、昇降用シリンダー機構油圧配管4110およびダンプ用シリンダー機構油圧配管4120についてそれぞれ説明する。
まず、図17を参照しながら、昇降用シリンダー機構油圧配管4110について説明する。
昇降用シリンダー機構油圧配管4110は、昇降用シリンダー機構伸張油圧配管4111と、昇降用シリンダー機構圧縮油圧配管4112と、から構成されている。
昇降用シリンダー機構伸張油圧配管4111については、クイックカプラー4200の昇降用シリンダー機構伸張油圧配管ポートから延びる配管が途中で分岐し、その先の一方の配管が昇降用アクチュエーター2510の伸張油圧配管ポートに至り、その先の他方の配管が昇降用アクチュエーター2520の伸張油圧配管ポートに至る構成になっている。
昇降用シリンダー機構圧縮油圧配管4112については、クイックカプラー4200の昇降用シリンダー機構圧縮油圧配管ポートから延びる配管が途中で分岐し、その先の一方の配管が昇降用アクチュエーター2510の圧縮油圧配管ポートに至り、その先の他方の配管が昇降用アクチュエーター2520の圧縮油圧配管ポートに至る構成になっている。
ついで、図18を参照しながら、ダンプ用シリンダー機構油圧配管4120について説明する。
ダンプ用シリンダー機構油圧配管4120は、ダンプ用シリンダー機構伸張油圧配管4121と、ダンプ用シリンダー機構圧縮油圧配管4122と、から構成されている。
ダンプ用シリンダー機構伸張油圧配管4121については、クイックカプラー4200のダンプ用シリンダー機構伸張油圧配管ポートから延びる配管がダンプ用アクチュエーター2720の伸張油圧配管ポートに至り、その先の配管がダンプ用アクチュエーター2710の伸張油圧配管ポートに至る構成になっている。
ダンプ用シリンダー機構圧縮油圧配管4122については、クイックカプラー4200のダンプ用シリンダー機構圧縮油圧配管ポートから延びる配管がダンプ用アクチュエーター2720の圧縮油圧配管ポートに至り、その先の配管がダンプ用アクチュエーター2710の圧縮油圧配管ポートに至る構成になっている。
このような構成を採用する理由は、油圧配管4100がクイックカプラー4200を介して接続されているコントロールバルブ4300は、車両本体1000の右側に設けられているからである。
より具体的に説明すると、クイックカプラー4200のダンプ用シリンダー機構伸張油圧配管ポートから直接的に車両本体1000の左側に設けられているダンプ用アクチュエーター2710の伸張油圧配管ポートに至る配管、およびクイックカプラー4200のダンプ用シリンダー機構圧縮油圧配管ポートから直接的に車両本体1000の左側に設けられているダンプ用アクチュエーター2710の圧縮油圧配管ポートに至る配管が存在する構成においては、全配管長が前述された構成の全配管長に比べてかなり大きくなってしまう可能性が高い。
要するに、ダンプ用シリンダー機構油圧配管4120の構成によって、不要な配管ホースが存在しない経済的で効率的な配管レイアウトを実現することができる。
そして、ダンプ用シリンダー機構伸張油圧配管4121およびダンプ用シリンダー機構圧縮油圧配管4122の何れについても、クイックカプラー4200からダンプ用アクチュエーター2720に至る配管は、車両本体1000の右側に設けられている昇降用上側リンク2410に取り付けられた配管カバー2411の内部を通るように設けられている。
このため、配管用ホースが外から見えてしまうことが少なくなるので、美観が向上される。
なお、ダンプ用シリンダー機構伸張油圧配管4121およびダンプ用シリンダー機構圧縮油圧配管4122の何れについても、ダンプ用アクチュエーター2720からダンプ用アクチュエーター2710に至る配管は、ダンプ機構2600の左右の本体部2610の間を通過するフレーム部材2616(実施の形態1の場合はフレーム部材1616)に沿って設けられている。
また、クイックカプラー4200から昇降用上側リンク2410に至る配管は、クイックカプラー4200用のクイックカプラーステーを昇降リンク機構1400の前端が連結されている支柱1300に取り付けておいて、支柱1300に穿孔された孔を通るように設けられてもよい。
次に、コレクター2800の蓋のロック機構を説明する。
図19は、コレクター2800の部分拡大斜視図である。2820はコレクター2800の本体、2830はコレクター2800の蓋である。図19の状態は、コレクター2800が上述したダンプ機構2600の上に載置された状態(非ダンプ状態)を示している。また、一部は組み立て状態を示している。
上述したダンプ機構2600のダンプ機構スライダー2620の後端に固定された支持板2617に、コレクターアーム2811が回動自在に連結されて、コレクター連結部2910を形成している。そのコレクターアーム2811の上端部は、上述したように、コレクター2800のコレクターフレーム2810に、ボルト等で固定されている。なお、図示はしていないが、コレクター2800の右側にも同じ機構が設けられている。
他方、ダンプ機構スライダー2620の後端に固定された支持板2617に、支持アーム5010が固定されている。さらに、その支持アーム5010の上端には第1ドアロックプレート5020が軸5030によって回動可能に連結されている。さらに、図には示されていないが、軸5030には引っかけスプリングが内蔵され、第1ドラロックプレート5020を反時計方向に所定量、ロックする方向に、常時付勢している。
この第1ドアロックプレート5020の上端後部にはネジによって、フック状の第2ドアロックプレート5040が固定されている。そのネジは長孔によって前後調節可能となっている。他方、第1ドアロックプレート5020の上端前部には、一部がL字型に曲げられて左側へ突出した突出部5050が形成されている。
この突出部5050にはドアロック作動ピン5060が貫通しており、ドアロック作動ピン5060は留め金5070によって固定されるとともに、その留め金5070と突出部5050との間には、スプリング(図示省略)が挿入されており、ドアロック作動ピン5060は多少上下動出来るようになっている。
このドアロック作動ピン5060の下端5061は左側へ曲げられ、上記コレクターアーム2811の下側へ入り込み、接触している(非ダンプ状態において)。なお後述のように、ダンプ状態では、コレクターアーム2811は、ドアロック作動ピン5060の下端5061から離隔する。
他方、コレクター蓋2830は、コレクター本体2820の上部において、ヒンジ2831によって、矢印のように、下側部分が開閉出来るようになっている。さらに、コレクター蓋2830にはドアハンドル6000が、ある程度上下動可能な状態で連結されている。
すなわち、コレクター蓋2830の内壁に、左右に一対のブラケット6010、6010がコレクター本体2820側へ向かって立設している。そのブラケット6010,6010には回動可能にピン6011、6011が挿入され、それらのピン6011、6011にはL字状のアングル6020、6020が固定され、さらに、このアングル6020、6020に、上記ドアハンドル6000の両端部が固定されている。すなわち、このコレクター蓋2830には左右に一対の縦方向長孔6030、6030が開けられ、ドアハンドル6000の両端部がそれらの縦方向長孔6030、6030を貫通している。その縦方向長孔6030、6030を通じて、ドアハンドル6000はある程度上下動可能となっている。
他方、ドアハンドル6000の両端部近くにはL字アングル6040、6040がそれぞれ固定されている。さらに、それらのL字アングル6040、6040にはU字取っ手6050、6050が下向きに固定されている。
非ダンプ状態である、図19の状態では、上述したフック状の第2ドアロックプレート5040のフック部5041がU字取っ手6050、6050に引っかけられてロック状態となっている。
次に、非ダンプ状態において、作業者がドアハンドル6000を操作してコレクター蓋2830を開く場合を説明する。
作業者はコレクター蓋2830を開く場合は、ドアハンドル6000を少し持ち上げる。その結果、U字取っ手6050、6050が上方に持ち上がり、フック部5041、5041から外れる。
また作業者がコレクター蓋2830を閉じる場合は、ドアハンドル6000を下におろす。その結果、U字取っ手6050、6050が第2ドアロックプレート5040のフック部5041を押し下げながら、回り込みロック状態となる。フック部5041の形状はそのような動きが実現出来るような傾斜形状となっている。
次に、ダンプをする場合、コレクター蓋2830のロック状態が自動的に解除され開き、戻すときには自動的にロックされる動作を説明する。
上述したように、ダンプ用アクチュエーター2710によって、コレクター2800を持ち上げると、コレクターアーム2811が時計方向に回動する。他方、支持アーム5010、第1ドアロックプレート5020、第2ドアロックプレート5040は動くことはない。その結果、第2ドアロックプレート5040のフック部5041から、U字取っ手6050、6050が外れようとする。
その際、ドアロック作動ピン5060と、コレクターアーム2811との間には少し間隔が出来始めているので、第2ドアロックプレート5040が時計方向に、つまり外れる方向に回動することを、コレクターアーム2811が妨げることはない。
その結果、U字取っ手6050、6050は第2ドアロックプレート5040のフック部5041から完全に外れる。そのため、コレクター蓋2830は自由にコレクター本体2820から動けることになる。コレクター蓋2830は重量があるので、回動するにつれてコレクター本体2820から離れて、開放状態となる。
次に、このようなコレクター蓋2830の開放状態から、ダンプ用アクチュエーター2710のロッドを引っ込めることによって、コレクター本体2820を元の状態に戻す場合の自動ロック動作について説明する。
コレクター本体2820が反時計方向に回動して、ダンプ機構2600上に戻ってくると、U字取っ手6050、6050が第2ドアロックプレート5040のフック部5041に当たるが、まだその状態では、ドアロック作動ピン5060と、コレクターアーム2811との間には少し間隔が残っているので、第2ドアロックプレート5040のフック部5041は回動可能であり、コレクター蓋2830の重量によって、U字取っ手6050、6050がフック部5041に入り込む。
さらに、完全に、コレクター本体2820がダンプ機構2600上に載置されると、コレクターアーム2811とドアロック作動ピン5060との間には隙間が無くなり、コレクターアーム2811がドアロック作動ピン5060を押さえた状態となるので、第2ドアロックプレート5040のフック部5041は回動できなくなり、ロック状態が完成する。
このようにして、コレクターの蓋が自動的にロックされ、また自動的に開放される。なお、このロック機構は実施の形態1の場合にも適用可能である。実施の形態1の場合には、フレーム部材1616がダンプ機構スライダー2620の後端に相当し、コレクターアーム1811がコレクターアーム2811に相当する。