JP6357354B2 - 電子顕微鏡観察用染色剤および電子顕微鏡観察用試料の染色方法 - Google Patents
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三酢酸ルテチウムを含有する。
さらに、メタノールを含む溶媒を含有してもよい。
本発明に係る電子顕微鏡観察用染色剤に試料を接触させる工程を含む。
前記電子顕微鏡観察用染色剤に接触した試料を、鉛化合物を含有する染色液に接触させる工程をさらに含んでいてもよい。
1.1. 電子顕微鏡観察用染色剤
まず、第1実施形態に係る電子顕微鏡観察用染色剤について説明する。
られる。
実施例」参照)。さらに、三酢酸ルテチウムは、合成等の必要がなく、例えば、水に溶解させることで電子染色剤として用いることができる。したがって、本実施形態に係る電子顕微鏡観察用染色剤では、簡便に電子染色を行うことができる。
次に、本実施形態に係る電子顕微鏡観察用試料の作製方法について説明する。本実施形態に係る電子顕微鏡観察用試料の作製方法は、本実施形態に係る電子顕微鏡観察用試料の染色方法を含む。
まず、本実施形態に係る電子顕微鏡観察用染色剤を、ネガティブ染色法に適用した例について説明する。ここで、ネガティブ染色法とは、試料の周囲を染色剤で固めてコントラストをつける手法をいう。
次に、本実施形態に係る電子顕微鏡観察用染色剤を、ポジティブ染色法に適用した例について説明する。
次に、本実施形態に係る電子顕微鏡観察用染色剤で試料を染色した後に、鉛化合物を含有する染色液に接触させる二重染色について説明する。本実施形態では、例えば、試料を、三酢酸ルテチウム水溶液と鉛化合物を含有する染色液とによって二重染色する。
以下、実施例を挙げて本実施形態をさらに詳細に説明するが、本発明はこれによって制限されるものではない。
(1)試料作製
試料は、液体培地で培養したT4ファージを用いた。まず、カーボン膜を張った銅製グリットにT4ファージを滴下し濾紙で余剰の液を吸い取る。次に、三酢酸ルテチウム水溶液をグリットに滴下しすぐに濾紙で余剰の液を吸い取ることでネガティブ染色し、電子顕微鏡観察用試料を作製した。
このようにして作製された電子顕微鏡観察用試料を、透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製JEM−1400)で観察した。図1は、三酢酸ルテチウム水溶液で染色されたT4ファージの透過電子顕微鏡像である。図2は、酢酸ウラニル水溶液で染色されたT4ファージの透過電子顕微鏡像である。
(1)試料作製
試料は、繊維状のタンパク質であるβアミロイドを用いた。まず、カーボン膜を張った銅製グリットにβアミロイドを滴下し濾紙で余剰の液を吸い取る。次に、三酢酸ルテチウム水溶液をグリットに滴下しすぐに濾紙で余剰の液を吸い取ることでネガティブ染色し、電子顕微鏡観察用試料を作製した。
このようにして作製された電子顕微鏡観察用試料を、透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製JEM−1400)で観察した。図3は、三酢酸ルテチウム水溶液で染色されたβアミロイドの透過電子顕微鏡像である。図4は、酢酸ウラニル水溶液で染色されたβアミロイドの透過電子顕微鏡像である。
(1)試料作製
試料は、呼吸色素タンパク質であるヘモシアニンを用いた。まず、カーボン膜を張った銅製グリットにヘモシアニンを滴下し濾紙で余剰の液を吸い取る。次に、三酢酸ルテチウム水溶液をグリットに滴下しすぐに濾紙で余剰の液を吸い取ることでネガティブ染色し、電子顕微鏡観察用試料を作製した。
このようにして作製された電子顕微鏡観察用試料を、透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製JEM−1400)で観察した。図5は、三酢酸ルテチウム水溶液で染色されたヘモシアニンの透過電子顕微鏡像である。図6は、酢酸ウラニル水溶液で染色されたヘモシアニンの透過電子顕微鏡像である。
(1)試料作製
本実施例では、三酢酸ルテチウムで染色された生体試料の電子顕微鏡観察用試料を作製
した。生体試料としては、ホウレンソウの葉を用いた。具体的には、まず、灌流固定したホウレンソウの葉を切り出し、カコジル酸緩衝2%パラホルムアルデヒドと2%グルタールアルデヒドとの混合液に浸漬し、前固定した。次に、前固定されたホウレンソウの葉を、カコジル酸緩衝液で洗浄し、2%四酸化オスミウムで後固定した。そして、上昇エタノール系列で脱水し、エポキシ樹脂に包埋した。
このようにして作製された電子顕微鏡観察用試料を、透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製JEM−1400)で観察した。図7は、三酢酸ルテチウム水溶液で染色されたホウレンソウの葉の透過電子顕微鏡像である。図8は、酢酸ウラニル水溶液で染色されたホウレンソウの葉の透過電子顕微鏡像である。図9は、無染色のホウレンソウの葉の透過電子顕微鏡像である。なお、図7、図8、および図9に示すスケールバーは、2μmに相当する。
(1)試料作製
本実施例では、三酢酸ルテチウムとクエン酸鉛染色液とで二重染色された生体試料の電子顕微鏡観察用試料を作製した。生体試料としては、ホウレンソウの葉を用いた。具体的には、上記の実施例4と同様の手順でホウレンソウの葉を三酢酸ルテチウム水溶液(2質量%水溶液)で染色し、この三酢酸ルテチウム水溶液で染色されたホウレンソウの葉をレイノルドのクエン酸鉛染色液に室温で5分間浸漬し、その後、純水で洗浄した。
このようにして作製された電子顕微鏡観察用試料を、透過電子顕微鏡(日本電子株式会
社製JEM−1400)で観察した。図10は、三酢酸ルテチウム水溶液とクエン酸鉛染色液とで二重染色されたホウレンソウの葉の透過電子顕微鏡像である。図11は、酢酸ウラニル水溶液とクエン酸鉛染色液とで二重染色されたホウレンソウの葉の透過電子顕微鏡像である。なお、図10および図11に示すスケールバーは、2μmに相当する。
(1)試料作製
上記の実施例4と同様の手順で、ホウレンソウの葉を三酢酸ルテチウム水溶液(2質量%水溶液)で染色して試料を作製した。また、上記の実施例5と同様の手順で、ホウレンソウの葉を三酢酸ルテチウム水溶液(2質量%水溶液)とレイノルドのクエン酸鉛染色液とで二重染色して試料を作製した。
このようにして作製された電子顕微鏡観察用試料を、透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製JEM−1400)で観察し、得られた透過電子顕微鏡像のコントラストを定量的に比較した。
図12は、各染色剤で染色されたホウレンソウの葉の透過電子顕微鏡像のコントラストを示すグラフである。図12に示す各染色剤におけるコントラストの値は、異なる視野で撮影された5枚の画像の平均値である。
液)とレイノルドのクエン酸鉛染色液とで二重染色された試料の透過電子顕微鏡像と、同程度の高いコントラストが得られることがわかった。また、三酢酸ルテチウム水溶液とレイノルドのクエン酸鉛染色液とで二重染色された試料の透過電子顕微鏡像は、三酢酸ルテチウム水溶液で染色された試料の透過電子顕微鏡像よりも高いコントラストが得られた。
2.1. 電子顕微鏡観察用染色剤
次に、第2実施形態に係る電子顕微鏡観察用染色剤について説明する。なお、上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡観察用染色剤の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
本実施形態に係る電子顕微鏡観察用試料の作製方法は、上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡観察用試料の作製方法と、本実施形態に係る電子顕微鏡観察用染色剤(三酢酸ルテチウムとメタノールを含む溶媒とを含有する染色剤)を用いる点を除いて同様であり、その説明を省略する。
以下、実施例を挙げて本実施形態をさらに詳細に説明するが、本発明はこれによって制限されるものではない。
試料は、液体培地で培養したT4ファージおよび大腸菌を用いた。まず、カーボンおよびフォルムバール支持膜を張った銅製グリットに試料を滴下し濾紙で余剰の液を吸い取る。次に、三酢酸ルテチウムの100%メタノール溶液をグリットに滴下しすぐに濾紙で余剰の液を吸い取ることでネガティブ染色し、電子顕微鏡観察用試料を作製した。
このようにして作製された電子顕微鏡観察用試料を、透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製JEM−1400)で観察した。図13および図14は、三酢酸ルテチウムの100%メタノール溶液で染色されたT4ファージの透過電子顕微鏡像である。図15および図16は、三酢酸ルテチウム水溶液で染色されたT4ファージの透過電子顕微鏡像である。なお、図13、図14、図15、および図16に示すスケールバーは、200nmに相当する。
試料は、液体培地で培養したT4ファージおよび大腸菌を用いた。まず、カーボンおよびフォルムバール支持膜を張った銅製グリットに試料を滴下し濾紙で余剰の液を吸い取る。次に、三酢酸ルテチウムの50%メタノール溶液をグリットに滴下しすぐに濾紙で余剰の液を吸い取ることで染色し、電子顕微鏡観察用試料を作製した。
このようにして作製された電子顕微鏡観察用試料を、透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製JEM−1400)で観察した。図17および図18は、三酢酸ルテチウムの50%メタノール溶液で染色されたT4ファージの透過電子顕微鏡像である。なお、図17に示
すスケールバーは、500nmに相当し、図18に示すスケールバーは、200nmに相当する。
試料は、液体培地で培養したT4ファージおよび大腸菌を用いた。まず、カーボンおよびフォルムバール支持膜を張った銅製グリットに試料を滴下し濾紙で余剰の液を吸い取る。次に、三酢酸ルテチウムの25%メタノール溶液をグリットに滴下しすぐに濾紙で余剰の液を吸い取ることで染色し、電子顕微鏡観察用試料を作製した。
このようにして作製された電子顕微鏡観察用試料を、透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製JEM−1400)で観察した。図19および図20は、三酢酸ルテチウムの25%メタノール溶液で染色されたT4ファージの透過電子顕微鏡像である。なお、図19および図20に示すスケールバーは、200nmに相当する。
試料は、液体培地で培養したT4ファージおよび大腸菌を用いた。まず、カーボンおよびフォルムバール支持膜を張った銅製グリットに試料を滴下し濾紙で余剰の液を吸い取る。次に、三酢酸ルテチウムの10%メタノール溶液をグリットに滴下しすぐに濾紙で余剰の液を吸い取ることで染色し、電子顕微鏡観察用試料を作製した。
このようにして作製された電子顕微鏡観察用試料を、透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製JEM−1400)で観察した。図21および図22は、三酢酸ルテチウムの10%メタノール溶液で染色されたT4ファージの透過電子顕微鏡像である。なお、図21および図22に示すスケールバーは、200nmに相当する。
試料は、液体培地で培養したT4ファージおよび大腸菌を用いた。まず、カーボンおよびフォルムバール支持膜を張った銅製グリットに試料を滴下し濾紙で余剰の液を吸い取る。次に、三酢酸ルテチウムの1%メタノール溶液をグリットに滴下しすぐに濾紙で余剰の液を吸い取ることで染色し、電子顕微鏡観察用試料を作製した。
このようにして作製された電子顕微鏡観察用試料を、透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製JEM−1400)で観察した。図23および図24は、三酢酸ルテチウムの1%メタノール溶液で染色されたT4ファージの透過電子顕微鏡像である。なお、図23に示すスケールバーは、200nmに相当し、図24に示すスケールバーは、100nmに相当する。
Claims (4)
- 三酢酸ルテチウムを含有する、電子顕微鏡観察用染色剤。
- 請求項1において、
さらに、メタノールを含む溶媒を含有する、電子顕微鏡観察用染色剤。 - 請求項1または2に記載の電子顕微鏡観察用染色剤に試料を接触させる工程を含む、電子顕微鏡観察用試料の染色方法。
- 請求項3において、
前記電子顕微鏡観察用染色剤に接触した試料を、鉛化合物を含有する染色液に接触させる工程をさらに含む、電子顕微鏡観察用試料の染色方法。
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