JP6356735B2 - 車両用圧縮空気供給装置 - Google Patents
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Description
これを解消するために、乾燥剤の下流に湿度検知センサーを設け、乾燥剤が再生された後の湿度検知センサーの検知値(湿度値)によって、吸着剤の劣化を判別し、乾燥剤の交換時期を正確に判断する構成が想定される。しかしながら、湿度検知センサーの検知値は、このセンサーの取り付けられた位置の環境(空気流量や周囲温度)によって異なることが判明している。更に、上記センサーの取付位置は、車両によって異なることが多く、当該センサーの検知値によって乾燥剤の交換時期を正確に判断することが難しいといった事態が想定される。
そこで、本発明は、湿度検知センサーの取付位置にかかわらず、空気圧縮機から吐出された圧縮空気の水分を除去するための乾燥剤の交換時期を正確に判断できるようにすることを目的とする。
図1は、本発明を適用した実施の形態に係る圧縮空気供給システム1の構成を示す図である。
図1に示す圧縮空気供給システム1(車両用圧縮空気供給装置)は、例えば、トラックやバス等の大型車両に搭載されるエアー式ブレーキ装置等に駆動用の圧縮空気を供給する装置であり、コンプレッサー4(空気圧縮機)と、コンプレッサー4を制御するECU2と、コンプレッサー4から吐出された圧縮空気の水分を除去して、上記車両の負荷(例えばブレーキ装置)に乾燥した圧縮空気を供給するエアードライヤーモジュール10とを備えて構成される。
ECU2は、圧縮空気供給システム1を搭載する車両の車速等に基づいて、上記車両のエンジンを制御するとともに、コンプレッサー4及びエアードライヤーモジュール10の動作を制御する。また、ECU2には温度センサー(外気温度検知センサー)5が接続され、この温度センサー5により検知された温度を示す情報が入力される。温度センサー5は、例えば車体外側の機構部の間など、車両の外気に接触する部分に配置された温度センサーであり、具体的には、サーミスターや熱電対で構成され、ECU2に外気温度に応じた電圧値を出力する。また、ECU2には、車両の車速等に関する情報、車両の走行距離に関する情報等の車両の走行状況に関する情報及びエアードライヤー11の動作状況に関する情報が入力されている。
エアードライヤーモジュール10は、ECU2の制御によって開閉される電磁弁101、102、103、及び、エアードライヤーモジュール10の各部における空気圧を検出して、検出値をECU2に出力する圧力センサー121、122、123、124を備えている。ECU2は、圧力センサー121〜123の検出値に基づいて、電磁弁101〜103を開閉させる。
コンプレッサー4とエアードライヤー11との間には排気バルブ12が設けられ、この排気バルブ12が開くとエアードライヤー11の本体内の圧縮空気が排気口112から直接外部へ排出される。排気バルブ12は空気圧で制御され、その制御ラインにはダブルチェックバルブ104が接続されている。排気バルブ12は通常時は閉鎖され、ダブルチェックバルブ104から空気圧が加わった場合のみ開弁する。
一方、電磁弁102は、ECU2の制御により開閉され、開弁状態において供給路106の空気圧をダブルチェックバルブ104に与える。
ダブルチェックバルブ104は、ガバナ13または電磁弁102のいずれか一方が開いた場合に排気バルブ12に空気圧を与えて開弁させる。従って、排気バルブ12は、供給路106の空気圧が所定の値より高い場合、及び、電磁弁102が開いた場合に開弁して、圧縮空気を排気口112から放出する。
さらに、減圧弁132と保護弁143との間の供給路には、保護弁143をバイパスして出力ポート115に繋がる供給路136が延びている。供給路136には、出力ポート115から分岐室135への圧縮空気の逆流を防止する逆止弁137と、逆止弁137に対して直列に配された絞り138とを有する。
図2に示すように、エアードライヤー11のケース20は、ドライヤー本体21と、ドライヤー本体21に被さってボルト221により固定されたカートリッジカバー22とで構成される。ドライヤー本体21は、流入管111(図1)に接続され、コンプレッサー4の吐出管41から吐出された圧縮空気が流入する流入口211と、ケース20から圧縮空気を流出して供給路106(図1)に接続される流出口212とを有する。
カートリッジ23の内部には空間が形成され、この空間に粒状の乾燥剤231が充填されている。また、カートリッジ23の上端部には、圧縮空気をカートリッジ23外へ排出するチェック弁232が設けられ、チェック弁232の下方には、乾燥剤231をチェック弁232側から押さえるフィルター234及びスプリング233が配設されている。
また、カートリッジ23の下部には、乾燥剤231が収容された空間へのオイルの進入を防ぐため、流通する空気中のオイルミストを捕集するオイルフィルター24が配置されている。
そして、オイルフィルター24により油分を除去され、カートリッジ23の乾燥剤231によって水分が吸着除去された圧縮空気は、チェック弁232を通ってカートリッジ23の外に出て、カートリッジカバー22内に設けられた流路(図示略)を通り、流出口212からドライヤー本体21の外に流出する。
上述した再生動作により排気バルブ12が開弁すると、ケース20内の圧縮空気は排気管215とカラー216を通って、カラー216の下端に開口する排気口112から排出される。このとき圧縮空気は勢いよく排気口112から外気中に排出されるので、周囲に大きな騒音をもたらさないように、消音器217、218によって気流音を抑制している。
乾燥剤231は、シリカゲル等の多孔質材料からなる。乾燥剤231の表面にオイルが付着すると、乾燥剤231の表面に無数にある孔がオイルで塞がれ、水分の吸着量が低下する。この様な場合、乾燥剤231を再生しても、乾燥剤231に要求される吸着能を回復することができず、新しいものに交換する必要がある。これに対し、エアードライヤー11の乾燥剤231を交換するには、コストや工数がかかるため、適正な交換時期を見極め、交換頻度を必要最小限に抑えることが望ましい。
このため、乾燥剤231の下流側に湿度検知センサーを設け、この湿度検知センサーによって乾燥剤231が再生された後の圧縮空気の湿度を検知し、その検知値と所定の閾値とを比較することで、乾燥剤231の交換時期を判断することができる。一方、湿度検知センサーの検知値は、このセンサーの取付位置の環境(例えば、空気流量や周囲温度)によって大きく異なることが実験等により判明しており、更に、湿度検知センサーの取付位置は、車両の種類によって異なることが多く、当該センサーの検知値によって乾燥剤231の交換時期を正確に判断することが難しいこともある。そこで、本実施形態では、湿度検知センサーが取り付けられた位置に応じて、上記閾値の大きさを変更して設定可能に構成され、湿度検知センサーの取付位置に関わらず、当該湿度検知センサーの検知値から乾燥剤231の交換時期を正確に判断できるようになっている。
負荷51、52は上述のように主ブレーキであり、この主ブレーキは、エアータンク51a(51b)に連結管60を介して接続されるブレーキバルブ61と、このブレーキバルブ61にそれぞれ連結管62、63を介して接続されるフロントブレーキチャンバー64a、64b、及び、リアブレーキチャンバー65a、65bとを備える。
ブレーキバルブ61には、当該ブレーキバルブ61を操作するブレーキペダル61aが設けられており、このブレーキペダル61aを踏み込むと、ブレーキバルブ61が開放し、エアータンク51a(51b)内の圧縮空気がフロントブレーキチャンバー64a、64b、及び、リアブレーキチャンバー65a、65bに導かれて、各ブレーキシュー(図示略)を駆動させることでブレーキが作動する。
湿度検知センサー14の検知値は、供給路106内の空気の相対湿度値を示し、温度に関する情報も含まれる。ECU2は、湿度検知センサー14の検知値を表示する表示部67を備え、この表示部67の具体的な構成としては、検知値に応じて点灯/消灯/点滅が切り替わるLEDや、検知値を文字や記号等により表示する液晶表示パネルが挙げられる。この表示部67は、車両のスピードメータとともに車室内に実装されてもよいし、車両においてコンプレッサー4やエアードライヤー11の近傍に配置されてもよい。この表示部67により、運転者や、上記車両を整備する整備士、上記車両を管理する管理者等が、湿度検知センサー14の検知値を視認することができ、乾燥剤231の交換時期を適正に判断できる。
湿度検知センサー14による検知値は、上述のように、この湿度検知センサー14の取付位置の環境によって大きく異なる。具体的には、空気の流速が早い場所では検知される湿度値の変動が大きく、空気の流速が遅い場所では、検知される湿度値が安定している。また、配管部やタンクの表面近くでは、外気温度の影響によって検知される湿度値が変動しやすい状況にある。本実施形態では、図4に示すように、(1)エアードライヤー11とエアータンク51a(51b)とを繋ぐ供給路106、(4)ブレーキバルブ61、及び、(5)ブレーキバルブ61とフロントブレーキチャンバー64aとを接続する連結管62に取り付けた場合には、空気の流速が早く、外気温度の影響を受けやすい。このため、このような検知される湿度値が大きく変動する位置に湿度検知センサー14を設けた場合に、この湿度値から乾燥剤231の劣化を判定するための閾値αは大きな値(例えば80%)に設定される。
一方、(2)エアータンク51a(もしくは51b)のタンク中央部70では、空気の流速が遅く、外気温度の影響も受けにくいため、検知される湿度値が安定して出力される。このため、検知される湿度値が安定する位置に湿度検知センサー14を設けた場合の閾値βは、上記した閾値αよりも十分小さな値(例えば60%)に設定される。また、(3)エアータンク51aのタンク内面71は、空気の流速が遅いが外気温度の影響も受けやすいため、この位置に湿度検知センサー14を設けた場合の閾値γは、上記閾値βより大きく閾値αよりも小さな値(例えば70%)に設定されている。これらの閾値α〜γは、外気温度が基準温度(例えば25℃)における基準閾値であり、外気温度が変動する場合には、基準閾値が補正される。
ECU2には、各取付位置(1)〜(5)に対応する閾値α〜γが予め記憶されており、車両メーカーまたは車両整備士が、当該車両に湿度検知センサー14を取り付けた際に、この取付位置を選択してECU2に入力することにより、当該取付位置での圧縮空気の流速に対応する閾値が設定される。
まず、ECU2は、予め設定された再生タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS1)。現在、再生タイミングではない場合(ステップS1:No)、ECU2は、湿度検知センサー14が検知した供給路106内の圧縮空気の湿度値が、予め設定された所定の再生基準値以上か否かを判別する(ステップS2)。この再生基準値は、圧縮空気が乾燥剤231で十分に乾燥されていないため、この乾燥剤231の再生が必要とされる値である。この判別において、検知された圧縮空気の湿度値が所定の再生基準値に満たないと判別された場合(ステップS2:No)、ステップS1の判別に戻る。また、圧縮空気の湿度値が所定の再生基準値以上であると判別した場合(ステップS2:Yes)、ECU2は、例えば、エアードライヤー11の積算通気量を確認することにより、乾燥剤231の再生状況を確認する(ステップS3)。
ここで、例えば、車両が停止中でなく、かつ、エアータンク51a、52a内の圧力が乾燥剤231を再生するために十分な圧力であり、更に、車両がブレーキアシスト動作中でもない場合には、乾燥剤231を再生させることができると判別される。一方、車両の走行状態によらず、エアータンク51a、52a内の圧力が予め設定された乾燥剤231を再生するために十分な圧力に満たない場合、または、車両がブレーキアシスト動作中である場合には、乾燥剤231を再生させることができないと判別される。
具体的には、ECU2には、基準温度(例えば25℃)における基準閾値を、外気温度の変化によって補正した補正閾値が外気温度と対応付けたマップとして記憶されており、外気温度に対応する補正閾値を読み出して設定する。本構成では、外気温度と補正閾値との関係は、外気温度が上昇すれば、これに連れて補正閾値は大きく変化し、外気温度が低下すれば、これに連れて補正閾値が小さく変化するよう設定されている。このように、外気温度に基づいて上記閾値が補正されるため、季節や天候の変化に迅速に対応することができ、いかなる天候状態であっても乾燥剤231の交換時期を正確に判断できる。
また、本実施形態では、温度変化に基づく補正量は、各閾値α〜γによって一定ではなく、大きな値に設定された閾値αでは、温度変化に基づく補正量を大きく設定し、小さな値に設定された閾値βでは、温度変化に基づく補正量を小さく設定することが望ましい。この構成によれば、湿度検知センサー14の取付位置及び周囲環境に対応した閾値が設定されるため、乾燥剤231の交換時期をより正確に判断できる。
ステップS8において、圧縮空気の湿度値が補正された閾値未満に下がったと判別された場合(ステップS8:Yes)、再生により乾燥剤231の吸着能は回復していると判断できる。このため、ECU2は、乾燥剤231は劣化していないと判定して、乾燥剤231が劣化していないことを示す判定値を表示部67に出力し、表示部67に乾燥剤231が劣化していない場合に対応する表示を行わせる(ステップS9)。
また、本実施形態では、閾値を補正する場合、外気温度と関係づけてECU2に記憶された補正閾値を読み出して設定する構成として説明したが、ECU2が外気温度に基づいて補正閾値を算出し、この算出して値を設定する構成としても良い。
2 ECU(再生手段、劣化判定手段)
4 コンプレッサー(空気圧縮機)
5 温度センサー(外気温度検知センサー)
11 エアードライヤー
14 湿度検知センサー
51〜54 負荷
102 電磁弁(再生手段)
231 乾燥剤
Claims (3)
- 車両に搭載する空気圧縮機を備え、該空気圧縮機から吐出した圧縮空気を車両の負荷に供給する車両用圧縮空気供給装置において、
前記空気圧縮機の吐出ラインに設けられて前記圧縮空気に含まれる水分を除去するエアードライヤーと、前記エアードライヤーの乾燥剤の下流に取り付けられる湿度検知センサーと、前記エアードライヤーの乾燥剤を所定のタイミングで再生させる再生手段と、
前記再生手段により前記乾燥剤が再生された後、前記湿度検知センサーの検知する湿度値を取得し、この湿度検知センサーの検知値を、前記湿度検知センサーの取り付け位置に応じて設定された所定の閾値と比較し、前記再生によっても前記乾燥剤の吸着能が回復しない劣化の有無を判定して当該乾燥剤の交換時期を判断する劣化判定手段と、を備えることを特徴とする車両用圧縮空気供給装置。 - 前記閾値は、前記湿度検知センサーが前記圧縮空気の流速が速い位置に取り付けられた場合は大きく、前記圧縮空気の流速が遅い位置に取り付けられた場合は小さく設定されることを特徴とする請求項1に記載の車両用圧縮空気供給装置。
- 前記圧縮空気の流速の大きさに応じて、湿度検知センサーの取付位置に応じて設定された所定の閾値の補正量を調整する補正手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用圧縮空気供給装置。
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