(実施形態1)
本実施形態に係る通信システムは、図1に示すように、1台の親機11と、親機11との間でパケットを伝送する複数台の子機21,22,…とを備えている。以下、複数台の子機21,22,…の各々をとくに区別しない場合には「子機2」という。
複数台の子機21,22,…のうちの一部の子機2は複数台の子機21,22,…のうちの他の少なくとも1台の子機2を中継器として、親機11との間でパケットを伝送するマルチホップ通信を行うように構成されている。
親機11は、周波数の異なる複数のチャネルのうちの任意の第1チャネルを用いて、パケットの送信および受信を行うように構成されている。
複数台の子機21,22,…のうちの任意の子機(図1の例では子機23)2である第1の子機2は、図2に示すように、第1の通信部201と、第2の通信部202と、設定部203とを有している。
第1の通信部201は、マルチホップ通信を行う。第2の通信部202は、複数のチャネルのうちのいずれかを副チャネルとして用いて外部装置3(図1参照)との通信を行う。設定部203は、第1の通信部201でのパケットの受信に用いる受信チャネル、および第1の通信部201でのパケットの送信に用いる送信チャネルを設定する。
第1の子機2は、受信チャネルと送信チャネルとの両方を第1チャネルに設定した状態で、副チャネルとして第1チャネルとは異なる第2チャネルが指定されると、設定部203にて受信チャネルを第2チャネルに切り替える。さらに、第1の子機2は、受信チャネルを第2チャネルに切り替えたときに、第2チャネルの情報を第1の通信部201から第1チャネルを用いてブロードキャスト送信するように構成されている。
すなわち、本実施形態に係る通信システムにおいては、親機11と共にマルチホップ通信の通信セルを構築する複数台の子機21,22,…のうちの任意の第1の子機2は、通信セル外(親機11や子機2以外)の外部装置3との通信機能を有している。ここで、第1の子機2は、マルチホップ通信における受信チャネルと送信チャネルとの両方を第1チャネルに設定した状態で、外部装置3との通信用の副チャネルとして第1チャネルとは異なる第2チャネルを指定される場合がある。この場合に、第1の子機2は、マルチホップ通信の受信チャネルを第2チャネルに切り替え、且つ、第1チャネルを用いて第2チャネルの情報をブロードキャスト送信する。
したがって、第1の子機2は、受信チャネルが第2チャネルに変更された場合、第2チャネルの情報を送信することで、第1の子機2と直接通信する子機2あるいは親機11に第1の子機2の変更後の受信チャネル(第2チャネル)を通知できる。その結果、本実施形態に係る通信システムは、複数台の子機21,22,…のうち一部の子機2のみが異なるチャネルを使用してマルチホップ通信を行うことができる。
要するに、複数台の子機21,22,…のうちの一部の子機2において、通信セル外の通信に用いるチャネルに合わせて通信セル内の通信に用いるチャネルを変更可能である。これにより、通信セル外の通信と通信セル内の通信とで同一のチャネルを設定することができ、通信セル内の通信用のモジュールと通信セル外の通信用のモジュールとの共用化を図ることができる。
また、本実施形態に係る通信装置は、上述した第1の子機2であって、上述のように第1の通信部201と、第2の通信部202と、設定部203とを有している。
第1の通信部201は、周波数の異なる複数のチャネルのうちの任意のチャネルを用い、少なくとも1台の子機2を中継器として、あるいは直接的に、親機11との間でパケットを伝送する。第2の通信部202は、複数のチャネルのうちのいずれかを副チャネルとして用いて外部装置3(図1参照)との通信を行う。設定部203は、第1の通信部201でのパケットの受信に用いる受信チャネル、および第1の通信部201でのパケットの送信に用いる送信チャネルを設定する。
この通信装置は、受信チャネルと送信チャネルとの両方を複数のチャネルのうちの第1チャネルに設定した状態で、副チャネルとして第1チャネルとは異なる第2チャネルが指定されると、設定部203にて受信チャネルを第2チャネルに切り替える。さらに、この通信装置は、受信チャネルを第2チャネルに切り替えたときに、第2チャネルの情報を第1の通信部201から第1チャネルを用いてブロードキャスト送信するように構成されている。
以下、本実施形態に係る通信システム、およびそれに用いる通信装置(第1の子機2)について詳しく説明する。ただし、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、下記実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
図1は、本実施形態の通信システムが構成する無線ネットワークの概略図である。この無線ネットワークは、複数の住宅41,42,…で構成される住宅群で用いられる。このような住宅群は、所定範囲毎(たとえば、半径500m毎)に構成される。住宅群内には、親機11としての1台の通信装置が設置され、複数の住宅41,42,…の各々には、子機2としての通信装置がそれぞれ設置される。ここで、住宅41には子機21が、住宅42には子機22が、住宅43には子機23が、住宅44には子機24が、住宅45には子機25が、住宅46には子機26が、それぞれ設置されている。なお、以下では、複数の住宅41,42,…の各々をとくに区別しない場合には「住宅4」という。
そして、子機2は、各住宅4に関する所定の情報を、1台の親機11に宛てて、電波を伝送媒体として用いた無線通信により送信する機能を有する。親機11は、各住宅4に関する所定情報を複数の子機2から無線で取得し、取得した所定情報を、図示しない上位の管理装置へ光ファイバ回線等を用いて送信する機能を有する。たとえば、親機11は、各住宅4における電力使用量、ガス使用量、水道使用量等の検針情報を、子機2から取得することによって、遠隔検針システムを構成できる。
この場合、子機2は、たとえばスマートメータのように、住宅4での電力使用量を計測する計測機能を持ったメータ装置に用いられる。つまり、メータ装置は、電力使用量等を計測する計測モジュール(図示せず)と、子機2とを1つの筐体内に備え、計測モジュールの計測結果(検針情報)を、親機11であるコンセントレータに子機2から送信する。
このように、本実施形態では供給事業者から電力、ガス、水等の資源の供給を受ける需要家(customer’s facility)に設置された通信装置を子機2として用いる通信システムを例示する。資源の供給を受ける需要家は戸建住宅に限らず、たとえば集合住宅の各住戸、店舗、工場、オフィスなどであってもよい。また、親機11が、予め設定された所定の情報を子機2との間で伝送することによって、通信システムは、各住宅4内の機器の状態を監視する遠隔監視システム、各住宅4内の機器の状態を制御する遠隔制御システム等を構成することも可能である。
この通信システムでは、親機11および子機2は、マルチホップ通信により無線信号を互いに送信あるいは受信している。すなわち、本実施形態では、親機11と各子機2との間で直接的または間接的に通信が行われ、親機11と直接通信できない子機2は、通信可能な距離にある他の子機2がパケットを中継する中継器として機能することで、親機11との間で通信を行う。
また、この通信システムでは、1台の親機11と、この親機11へ所定の情報を直接的または間接的に送信する複数台の子機21,22,…とによって、住宅群毎に無線ネットワークである通信セルが構築されている。
親機11は、互いに周波数の異なる複数のチャネルから択一的に選択したチャネルを、同一の通信セルに属する全ての通信装置(親機11および子機2)が基本的に使用する主チャネルとする。すなわち、第1の通信セルに属する親機11は、パケットの送信に用いる送信チャネル、およびパケットの受信に用いる受信チャネルを、第1の通信セルの主チャネルに設定する。同様に、第1の通信セルに属する複数台の子機21,22,…の各々は、パケットの送信に用いる送信チャネル、およびパケットの受信に用いる受信チャネルを、第1の通信セルの主チャネルに設定する。
つまり、同一の通信セルに属する親機11および複数台の子機21,22,…は、基本的に、1つの主チャネルを使用してパケットの伝送(マルチホップ通信)を行う。本実施形態では、親機11および子機2が使用可能なチャネルとして、互いに周波数の異なる複数のチャネルCh1,Ch2,…,ChN(Nは整数)が設定されていると仮定する。したがって、主チャネルは、これら複数のチャネルCh1,Ch2,…,ChNの中から選択されたいずれか1つのチャネルである。
図2は、本実施形態に係る通信装置の構成を示すブロック図である。図2では、複数台の21,22,…のうちの任意の1台の子機2である第1の子機2を、通信装置の例とする。
また、本実施形態では、同一の通信セルに属する複数台の子機21,22,…の全てに、同一の構成の通信装置が用いられている。さらに、本実施形態では、親機11についても、子機2と同一の構成の通信装置が用いられている。この通信装置は、ジャンパースイッチや切替スイッチ等の設定手段を用いて、「親機」に設定されることで親機11として機能し、また「子機」に設定されることで子機2として機能する。
通信装置(第1の子機2)は、図2に示すように、第1の通信部201および第2の通信部202を含む通信ブロック210と、設定部203および記憶部230を含む制御ブロック220とを備えている。第1の子機2は、本実施形態では上述したようにスマートメータなどのメータ装置に用いられるため、計測モジュールから検針情報を取得するためのインタフェース(図示せず)をさらに備えている。
通信ブロック210は、通信セル内の親機11や子機2との通信機能(第1の通信部201)と、通信セル外の外部装置3との通信機能(第2の通信部202)とを有している。第1の通信部201は、基本的には、上述したように同一の通信セルで共通の主チャネルを使用してパケットの伝送(送信および受信)を行う。一方、第2の通信部202は、副チャネルを使用して外部装置3との間で通信を行う。
主チャネルおよび副チャネルは、複数のチャネルCh1,Ch2,…,ChNの中から選択されるチャネルであって、同一のチャネルであってもよいし異なるチャネルであってもよい。ただし、本実施形態では、主チャネルとして選択された第1チャネルと、副チャネルとして選択された第2チャネルとが異なる場合、第1の通信部201は、パケットの受信に使用するチャネルを副チャネルとしてのチャネル(第2チャネル)に変更する。
そのため、本実施形態では、通信ブロック210は、第1の通信部201によるパケットの受信と第2の通信部202による通信とで同一のチャネルを用いることになる。そこで、本実施形態では、通信ブロック210は、ワンチップ化された1つの通信モジュールを、第1の通信部201および第2の通信部202として共用している。
通信ブロック210で用いられるチャネルの設定方法については後で詳しく説明する。
ここで、外部装置3は、たとえば住宅4に設けられたHEMS(Home Energy Management System)のコントローラや表示装置などである。コントローラは、住宅4に設けられている各種の家電機器や設備機器を制御する。このような外部装置3は、住宅群を構成する複数の住宅41,42,…のうちの少なくとも一部の住宅4に設けられている。そして、第1の子機2は、同一の住宅4に設置された外部装置3との通信を行い、外部装置3と共に宅内ネットワークを構築する。
一方、制御ブロック220は、マイコン(マイクロコンピュータ)を主構成としており、記憶部230に記憶されているプログラムを実行することにより、設定部203、その他の機能を実現する。プログラムは、通信装置の工場出荷時に予め記憶部230に記憶されていてもよいし、メモリカードなどの記憶媒体に記録されて提供されてもよいし、電気通信回線を通して提供されてもよい。
記憶部230は、ROM(Read Only Memory)などの不揮発性のメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)などの書換え可能な不揮発性のメモリ、RAM(Random Access Memory)などの揮発性のメモリからなる。そして記憶部230は、通信ルートや直接通信可能な隣接ノード(親機11または子機2)に関する各情報を記憶するテーブル領域231を備えている。さらに記憶部230は、通信ブロック210で用いるチャネルに関する情報を記憶するチャネル領域232を備えている。
本実施形態では、親機11、複数台の子機21,22,…の各々に、ユニークなノードIDが割り付けられ、各通信装置の記憶部230には、各々に割り付けられたノードIDも格納されている。本実施形態では、親機11にはノードIDとして「M1」が予め割り付けられている。また、複数台の子機21,22,23,…の各々には、後述する通信ルートが構築された場合に、親機11によってノードIDとして「T1」,「T2」,「T3」,…が割り付けられる。
また、通信装置の各々には、シリアル番号(製造番号)やMACアドレス等の装置IDが予め割り付けられており、記憶部230には、この装置IDが予め格納されている。そして、通信装置が送信または受信するパケットは、この装置IDが付加されることによって通信制御がなされる。
親機11および複数台の子機21,22,…の各々のテーブル領域231には、表1に示すような第1のテーブル(隣接ノード管理テーブル)が格納される。また、親機11のテーブル領域231には、表2に示すような第2のテーブル(通信ルートテーブル)が格納される。子機2のテーブル領域231には、表3に示すような第3のテーブル(通信ルートテーブル)が格納される。
第1のテーブルは、隣接ノードに関する情報(隣接ノード情報)をテーブル形式で記憶している。ここでいう隣接ノードは、一の通信装置に着目したときに、他の通信装置によって中継されることなく、該一の通信装置と直接通信できる通信装置である。具体的には、第1のテーブルは、表1に示すように「隣接ノードID」、「種別」、「受信リンク通信品質」、「送信リンク通信品質」、「リンク通信品質」、「チャネル情報」の各フィールドが設けられている。
一の通信装置に着目すると、着目する通信装置の第1のテーブルにおいて、「隣接ノードID」は、隣接ノードに割り付けられたノードIDである。「種別」は、隣接ノードの種類、つまり隣接ノードが親機11であるか子機2であるかを示す(親機11→「親」、子機2→「子」)。「受信リンク通信品質」は、隣接ノードから着目する通信装置への通信リンクの通信品質を示す。「送信リンク通信品質」は、着目する通信装置から隣接ノードへの通信リンクの通信品質を示す。「リンク通信品質」は、隣接ノードと着目する通信装置との間の通信リンクにおける通信品質を示す。
直接通信可能な2台の通信装置間の通信リンクにおける通信品質(リンク通信品質)としては、たとえば通信品質値SQが用いられる。通信品質値SQは、直接通信可能な2台の通信装置間の受信信号強度(RSSI)が大きいほど小さくなる、10段階や20段階等の整数値で表される。すなわち、通信品質値SQは、その値が小さいほど、通信パケットの減衰が小さく通信状態がよいことを表す。
そして、通信パケットを受信する場所におけるノイズレベルが異なることから、通信リンクにおける双方向の通信品質は互いに異なり、通信リンクにおける双方向の通信品質は、「受信リンク通信品質」と「送信リンク通信品質」とで表される。「受信リンク通信品質」は、直接通信可能な2台の通信装置間のリンクにおいて、着目する通信装置が隣接ノードから通信パケットを受信したときの通信品質値SQである。「送信リンク通信品質」は、直接通信可能な2台の通信装置間のリンクにおいて、着目する通信装置が隣接ノードへ通信パケットを送信したときの、隣接ノードでの通信パケットを受信したときの通信品質値SQである。
第1のテーブルにおいても、通信装置における「受信リンク通信品質」および「送信リンク通信品質」の各フィールドが設けられている。2台の通信装置間で通信を行った場合に通信の確実性(信頼性)を保証する観点から、「受信リンク通信品質」と「送信通信品質」とのうち通信状態の悪い方(通信品質値SQが大きい方)が、2台の通信装置間の「リンク通信品質」として採用される。
そして、親機11と子機2との間における通信ルートの通信品質の評価である後述の「ルート通信品質」は、親機11と子機2との間の通信ルートを構成する各通信リンクの「リンク通信品質」の和が採用される。
なお、上述の通信品質値SQは、受信信号強度と関連付けられたが、受信信号強度に代えて、SN比、EVM(Error Vector Magnitude)、ビットエラーレート、パケットエラーレート等の他の要素と関連付けて算出してもよい。
さらに、第1のテーブルにおいて、「チャネル情報」は、隣接ノードが用いる後述の第2チャネルの情報を示す。
次に、親機11と子機2との間における通信ルートは、1乃至複数の通信リンクによって形成されている。親機11が保持する第2のテーブル(表2参照)は、同一の通信セルに属する親機11−子機2間における通信ルートに関する情報(通信ルート情報)を、テーブル形式で記憶している。具体的には、第2のテーブルは、表2に示すように「ノードID」、「ルート通信品質」、「ホップ数」、ホップ先としての「第1ホップ」,「第2ホップ」,…「第nホップ」の各フィールドが設けられている。
親機11が保持する第2のテーブルにおいて、「ノードID」は、通信ルートが構築された配下の子機2、つまり親機11と同一の通信セルに属する子機2に割り付けられたノードIDである。「ルート通信品質」は、「ノードID」フィールドに登録された子機2までの通信ルートにおける通信品質を示す。「ホップ数」は、「ノードID」フィールドに登録された子機2までの通信ルートにおけるホップ数を示す。ホップ先としての「第1ホップ」,「第2ホップ」,…「第nホップ」は、「ノードID」フィールドに登録された子機2までの通信ルートにおいて、各ホップにおける送信先の通信装置のノードIDを示す。
次に、子機2が保持する第3のテーブル(表3参照)は、同一の通信セルに属する子機2−親機11間の通信ルートに関する情報(通信ルート情報)を、テーブル形式で記憶している。具体的に、第3のテーブルは、表3に示すように「ノードID」、「ルート通信品質」、「ホップ数」、ホップ先としての「第1ホップ」,「第2ホップ」,「第3ホップ」の各フィールドが設けられている。
一の子機2に着目すると、着目する子機2の第3のテーブルにおいて、「ノードID」は、この子機2と通信可能な親機11に割り付けられたノードIDである。「ルート通信品質」は、「ノードID」フィールドに登録された親機11までの通信ルートにおける通信品質を示す。「ホップ数」は、「ノードID」フィールドに登録された親機11までの通信ルートにおけるホップ数を示す。ホップ先としての「第1ホップ」,「第2ホップ」,「第3ホップ」は、「ノードID」フィールドに登録された親機11までの通信ルートにおいて、各ホップにおける送信先の通信装置のノードIDを示す。
なお、上述した第2のテーブルおよび第3のテーブルにおいて、「ホップ数」は、着目する通信装置(親機11または子機2)から通信先までの通信ルートに含まれる通信装置の台数である。たとえば、子機22が子機21を介して親機11と通信を行う通信ルートの場合、子機22のホップ数は「2」となる。ホップ先としては、着目する通信装置(親機11または子機2)から通信先に至るまでに経由する通信装置のノードIDが経由順に登録され、最後は、「ノードID」フィールドに登録された通信装置のノードIDが登録される。
制御ブロック220は、第1〜第3のテーブルを用いて、子機2と親機11との間の通信ルートを直接的または間接的に構築する処理である通信ルート構築処理を実行する。また、制御ブロック220は、第1の通信部201でのパケットの送信に用いる送信チャネル、および第1の通信部201でのパケットの受信に用いる受信チャネルを設定・変更する処理であるチャネル設定処理を、設定部203にて実行する。
次に、本実施形態に係る通信システムにおける通信ルートの構築処理(通信ルート構築処理)について説明する。
まず、通信装置が起動されると、各通信装置の制御ブロック220は、ハローパケット(Hello Packet)を送信すべく計時を開始する。制御ブロック220は、タイムアップすると、ハローパケットの送信タイミングであると判断して、ハローパケットを無線ネットワークにブロードキャスト送信する。
ハローパケットは、ハローパケットの送信元となる通信装置が、他の通信装置に対してハローパケットの送信元の通信装置の生存を報知する通信パケットである。図3は、ハローパケットのフォーマットを示している。ハローパケットは、「送信元ID部」と、「送信先ID部」と、「セルID部」と、「オペレーションコード部」と、「種別部」と、「通信ルート部」と、「チャネル通知部」とを備えて構成される。
ハローパケットの「送信元ID部」は、ハローパケットを送信した通信装置のノードIDが収容される。「送信先ID部」は、ハローパケットの送信先となる通信装置のノードIDが収容され、ハローパケットの場合は、ブロードキャスト(同報通信)のコード「BC」が収容される。「セルID部」は、ハローパケットを送信した通信装置が属する通信セルに割り当てられたセルIDが収容される。本実施形態では、親機11のノードIDを、当該親機11が属する通信セルのセルID部として用いている。「オペレーションコード部」は、ハローパケットのコードが収容される。「種別部」は、ハローパケットを送信した通信装置が親機11と子機2とのいずれであるかを識別するための情報が収容される。「チャネル通知部」は、後述の第2チャネルの情報が収容される。
さらに、ハローパケットの送信元が子機2である場合、ハローパケットの「通信ルート部」は、ハローパケットの送信元である子機2から親機11までの通信ルートを表す通信ルート情報、およびこの通信ルートの通信品質を表すルート品質情報が収容される。通信ルート情報は、子機2から親機11までの通信ルートにおいて経由する通信装置のノードIDが順に並べられることによって表される。ルート品質情報は、通信ルート内のリンク通信品質の和(以下、「ルート通信品質」という)で表される。
たとえば、子機22が子機21を介して親機11との間で通信ルートを構築し、そのルート通信品質が「17」であると仮定する。この場合、子機22が送信するハローパケットの「通信ルート部」には、「T2→T1→M1;17」が収容される。この通信ルートのホップ数は「2」になる。
また、ハローパケットの送信元が親機11である場合、ハローパケットの「通信ルート部」は、「null」(または空データ)となり、ホップ数「0」、ルート通信品質「0」に相当する。
なお、ハローパケットは、無線ネットワークの通信トラフィックを抑制するために、通信装置が親機11に設定されている場合、および通信装置が、親機11までの通信ルートが構築されている子機2である場合に、各通信装置から送信される。そして、このハローパケットの送信処理は、起動後、一定時間間隔で行われる。
また親機11までの通信ルートが構築されていない子機2は、このハローパケットを受信して、ハローパケットの「通信ルート部」などに基づいて親機11までのルート通信品質を求め、ルート通信品質が最もよい親機11までの通信ルートを構築する。なお、親機11−子機2間の通信ルートを構築する方法については、既知の技術であるので詳細な説明は省略する。
以下に、本実施形態に係る通信システムにおける第1の通信部201の送信チャネルおよび受信チャネルの設定処理(チャネル設定処理)について説明する。
まず、親機11におけるチャネル設定処理について説明する。親機11は、起動されると、複数のチャネルCh1,Ch2,…,ChNのうち任意の第1チャネルを、パケットの送信用の送信チャネル、およびパケットの受信用の受信チャネルとして設定する。このとき設定される親機11の送信チャネルおよび受信チャネルが、通信セル内での通信に基本的に用いられる主チャネルとなる。
なお、親機11は、複数のチャネルCh1,Ch2,…,ChNの各々について通信環境を検出し、通信環境が最も良好なチャネルを主チャネルに選択してもよく、あるいは複数のチャネルCh1,Ch2,…,ChNからランダムに主チャネルを選択してもよい。
ここで、親機11の周囲に配置された子機2は、親機11から主チャネル(第1チャネル)を用いて送信されたハローパケットを受信した場合、この親機11との間で通信ルートを構築する。さらに、親機11からのハローパケットを受信した子機2が送信したハローパケットを受信した他の子機2も、この親機11との間で通信ルートを構築する。
これにより、複数台の子機21,22,…は、送信チャネルおよび受信チャネルを親機11と同じ第1チャネルに設定し、親機11との間で第1チャネルを用いて直接的・間接的に通信を行う。しかして、この親機11と複数台の子機21,22,…とを含む通信セルが形成され、同一の通信セルに属する親機11および複数台の子機21,22,…は、基本的に、主チャネルである第1チャネルを用いてパケットの送信、受信を行う。なお、子機2は、親機11に付与されたノードIDを、セルIDとして記憶部230に記憶する。
図1の例では、親機11−子機21−子機22−子機23−子機24の経路で通信ルートが構築されている。さらに、親機11−子機21−子機22−子機25の経路、親機11−子機21−子機22−子機26の経路でも通信ルートが構築されている。これらの通信ルートを構成する各通信リンク間では、主チャネルとして設定された第1チャネルを用いて、パケットの伝送が行われる。なお、図1の例では、子機21〜26以外の子機2も、親機11との間に図示しない通信ルートを構築しており、主チャネルである第1チャネルを用いてパケットの伝送を行っている。
次に、複数台の21,22,…のうちの任意の1台の子機2である第1の子機2が、第1の通信部201の送信チャネルおよび受信チャネルを第1チャネル(主チャネル)に設定した状態から、受信チャネルを変更する動作について説明する。以下では、図1において、住宅43に設けられている子機23が第1の子機2である場合を例に説明する。
ここでは、第1の子機23は、第2の通信部202において外部装置3との通信に用いる副チャネルとして、通信セルで共通の主チャネルである第1チャネルとは異なる第2チャネルが設定されると仮定する。副チャネルは、上述したように複数のチャネルCh1,Ch2,…,ChNの中から選択されるチャネルであって、たとえば外部装置3のユーザが任意に選択する。第1の子機23は、副チャネルとしての第2チャネルを、外部装置3からの通知や、ユーザの操作入力によって指定する。つまり、第1の子機23は、外部から指定されるチャネル(第2チャネル)を、副チャネルとして第2の通信部202での外部装置3との通信に用いる。
第1の子機23は、副チャネルとして、第1チャネルとは異なる第2チャネルが指定されると、設定部203にて、第1の通信部201の受信チャネルを第1チャネルから第2チャネルに切り替える。つまり、第1の子機23は、基本的には、第1の通信部201の送信チャネルおよび受信チャネルが主チャネルである第1チャネルに設定されているが、副チャネルとして第2チャネル(≠第1チャネル)が設定されると、受信チャネルを第2チャネルに変更する。第1の子機23は、第1の通信部201でのパケットの送信に用いる送信チャネルとしては、主チャネルである第1チャネルを継続して用いる。
すなわち、第1の子機23は、主チャネルである第1チャネルとは異なる第2チャネルが副チャネルに指定されたことをトリガにして、送信チャネルを第1チャネルのまま、受信チャネルのみを第2チャネルに切り替える。以降、第1の子機23は、第1チャネルを用いてパケットを送信し、第2チャネルを用いてパケットを受信する。
さらに、第1の子機23は、上述のように受信チャネルを第2チャネルに切り替えたときに、第2チャネルの情報を第1の通信部201から第1チャネルを用いてブロードキャスト送信する。
ここで、第1の子機23は、一定時間間隔でハローパケットを送信するように構成されている。そこで、本実施形態では、第1の子機23は、第2チャネルの情報を含むハローパケットを、第1の通信部201から第1チャネルを用いてブロードキャスト送信することにより、第2チャネルの情報をブロードキャスト送信する。つまり、第1の子機23は、ハローパケットの「チャネル通知部」(図3参照)に第2チャネルの情報を格納し、ハローパケットをブロードキャスト送信する。
なお、第1の子機23は、副チャネルとして主チャネルと同一のチャネル(第1チャネル)が指定された場合には、第1の通信部201の送信チャネルおよび受信チャネルとして、主チャネルを継続して用いることになる。
一方、複数台の子機21,22,…のうち第1の子機23からの上記のハローパケットを受信した第2の子機2は、第1の子機23へのパケットの送信に用いる送信チャネルとして第2チャネルを用いるように構成されている。ここでは、第2の子機2は、第1の子機23の隣接ノードとなる子機22,24,25,26である。つまり、第2の子機2は、「チャネル通知部」に第2チャネルの情報が格納されたハローパケットを第1の子機23から受信すると、第1のテーブルにおいて、第1の子機23に対応する「チャネル情報」のフィールドに第2チャネルの情報を格納する。すなわち、第1の子機23の隣接ノードである第2の子機2は、第1の子機23からのハローパケットによって、受信チャネルに主チャネル(第1チャネル)ではなく第2チャネルを用いている第1の子機23の存在を認識することができる。ただし、第1の子機23からのハローパケットを受信する第2の子機2は、複数台の子機21,22,…のうちの1台のみであってもよい。
そして、第2の子機2である子機22,24は、隣接ノードである第1の子機23に対してパケットをユニキャスト送信(中継を含む)する場合、第1の子機23へのパケットの送信に用いる送信チャネルとして第2チャネルを用いるように構成されている。つまり、第2の子機2は、第1の子機23へパケットを送信する際、第1のテーブル上で第1の子機23に対応する「チャネル情報」を参照し、「チャネル情報」に格納されている第2チャネルを送信チャネルとして使用する。ここで、第2の子機2は、送信するパケット(中継するパケットを含む)に設定された送信先ノードIDおよび通信ルートの各情報に基づいて、パケットの送信種別(ブロードキャスト送信、ユニキャスト送信等)、送信先を判別することができる。
また、第1の子機23からハローパケットを受信した第2の子機(子機22,24,25,26)2は、ブロードキャスト送信(フラッディング送信を含む)を行う場合、第1チャネルと第2チャネルとをそれぞれ用いて、パケットをブロードキャスト送信する。つまり、第2の子機2は、パケットをブロードキャスト送信する際、第1のテーブル上で第1の子機23に対応する「チャネル情報」を参照し、主チャネルである第1チャネルだけでなく、第2チャネルも用いてブロードキャスト送信を行う。具体的には、子機22,24,25,26は、ハローパケット等のパケットをブロードキャスト送信する場合、主チャネルである第1チャネルを送信チャネルとしてパケット送信した後、第2チャネルを送信チャネルとしてもパケット送信する。なお、このパケット送信における第1チャネルと第2チャネルとの使用順序は、逆であってもよい。
したがって、第1の子機23は、第2の子機2が送信するハローパケット等のルーティングパケットや、ブロードキャスト送信されるアプリケーション層パケット、あるいはユニキャスト送信される各パケットを、第2チャネルを用いて受信できる。
また、第1の子機23からハローパケットを受信した第2の子機2が複数台ある場合、複数台の第2の子機2のうちの1台のみが、第1チャネルと第2チャネルとをそれぞれ用いて、パケットをブロードキャスト送信してもよい。すなわち、複数台の第2の子機2のうち、第1の子機23から親機11までの通信ルートにおいて、第1の子機23の1つ上位に位置する第2の子機2のみが、第1チャネルと第2チャネルとをそれぞれ用いて、ブロードキャスト送信してもよい。
本実施形態では、第2の子機2である子機22,24,25,26のうち、子機22は、親機11−第1の子機23間の通信ルートにおいて、第1の子機23の1つ上位(親機11に近い側)に位置している。そこで、第1の子機23の隣接ノードのうち、子機22のみが、第1チャネルと第2チャネルとの両方をブロードキャスト送信に用いることになる。要するに、パケットをブロードキャスト送信する場合、子機22のみが、第1チャネルを送信チャネルとしてパケット送信した後、第2チャネルを送信チャネルとしてパケット送信する。
以下、本実施形態に係る通信システムの動作例を、図4〜6を参照して説明する。以下では、主チャネルとして用いられる第1チャネルが「Ch1」、副チャネルとして用いられる第2チャネルが「Ch3」である場合を例示する。
図4は、親機11から第1の子機23へのユニキャスト送信時の通信シーケンスを示す。
親機11は、住宅4における電力使用量、ガス使用量、水道使用量等の検針情報を第1の子機23から取得する場合、主チャネルである第1チャネルCh1を用いて、第1の子機23を送信先とする要求パケットをユニキャスト送信する(S1)。子機21は、主チャネルである第1チャネルCh1を用いて要求パケットを中継処理する(S2)。
次に、第2の子機2である子機22は、主チャネルである第1チャネルCh1を用いて要求パケットを受信し、第2チャネルCh3を用いて第1の子機23へユニキャスト送信する(S3)、中継処理を行う。第1の子機23は、第2チャネルCh3を用いて、第2の子機2である子機22で中継処理された要求パケットを受信する。
そして、第1の子機23は、主チャネルである第1チャネルCh1を用いて、住宅4における電力使用量、ガス使用量、水道使用量等の検針情報を含む応答パケットを、親機11を送信先としてユニキャスト送信する(S4)。子機22は、主チャネルである第1チャネルCh1を用いて応答パケットを中継処理する(S5)。子機21も、第1チャネルCh1を用いて応答パケットを中継処理する(S6)。親機11は、子機21から中継された応答パケットを、主チャネルである第1チャネルCh1を用いて受信する。
図5は、親機11、子機21,22,23の間で発生するハローパケットの通信シーケンスを示す。
親機11は、主チャネルである第1チャネルCh1を用いてハローパケットをブロードキャスト送信する(S11)。子機21は、主チャネルである第1チャネルCh1を用いてハローパケットをブロードキャスト送信する(S12)。第1の子機23は、主チャネルである第1チャネルCh1を用いてハローパケットをブロードキャスト送信する(S13)。
一方、第2の子機2である子機22は、主チャネルである第1チャネルCh1を用いて、ハローパケットをブロードキャスト送信し(S14)、さらに、第2チャネルCh3を用いて、ハローパケットをブロードキャスト送信する(S15)。
そして、親機11、子機21,22は、主チャネルである第1チャネルCh1を用いて、それぞれの隣接ノードからハローパケットを受信する。第1の子機23は、第2チャネルCh3を用いて、隣接ノードである子機22からハローパケットを受信する。
図6は、親機11によるデータパケットのフラッディング送信の通信シーケンスを示す。
親機11は、主チャネルである第1チャネルCh1を用いて、データパケットをフラッディング送信する(S21)。子機21は、主チャネルである第1チャネルCh1を用いてデータパケットを受信し、第1チャネルCh1を用いてデータパケットをフラッディング送信する(S22)。
第2の子機2である子機22は、主チャネルである第1チャネルCh1を用いてデータパケットを受信する。そして、子機22は、第1チャネルCh1を用いてデータパケットをフラッディング送信し(S23)、さらに、第2チャネルCh3を用いてデータパケットをフラッディング送信する(S24)。この場合に、第1の子機23は、第2チャネルCh3を用いてデータパケットを受信し、子機25,26は、主チャネルである第1チャネルCh1を用いてデータパケットを受信する。
以上説明した本実施形態の構成によれば、第1の子機2は、外部装置3との通信用の副チャネルとして第1チャネルとは異なる第2チャネルを指定されると、受信チャネルを第2チャネルに切り替え、且つ、第2チャネルの情報をブロードキャスト送信する。すなわち、第1の子機2は、マルチホップ通信に使用中の第1チャネル以外の第2チャネルが副チャネルに指定されると、受信チャネルのみを変更し、変更後の受信チャネル(第2チャネル)を隣接ノードに通知する。
これにより、本実施形態の通信システムは、通信セル全体で基本的に使用される主チャネルとして第1チャネルを変更することなく、複数台の子機21,22,…のうち一部の子機2のみが局所的に第2チャネルを用いてマルチホップ通信を行うことができる。したがって、複数台の子機21,22,…のうちの一部の子機2において、通信セル外の通信(外部装置3との通信)に用いるチャネルに合わせて通信セル内の通信に用いるチャネルを変更可能になる。その結果、通信セル外の通信と通信セル内の通信とで同一のチャネルを設定することができ、通信セル内の通信用のモジュールと通信セル外の通信用のモジュールとの共用化を図ることが可能になる。
なお、参考例として、第1の通信部201と第2の通信部202とを共用する構成において主チャネルと副チャネルとが異なる場合、第1の子機23が、主チャネルと副チャネルとを切り替えてチャネルスキャンし、パケット受信を行うことも考えられる。ただし、この構成では、パケットのプリアンブル部が長くなる等、本実施形態の構成に比べ、伝送効率の悪化が懸念される。
また、本実施形態のように、第1の子機2は、第2チャネルの情報を含むハローパケットを第1の通信部201から第1チャネルを用いてブロードキャスト送信することにより、第2チャネルの情報をブロードキャスト送信することが好ましい。この場合、複数台の子機21,22,…のうち第1の子機2からのハローパケットを受信した第2の子機2は、第1の子機2へのパケットの送信に用いる送信チャネルとして第2チャネルを用いることが好ましい。
この構成によれば、第2の子機2は、第1の子機2から第2チャネルの情報をハローパケットに含めて受信することで、第1の子機2へのパケット送信時には第2チャネルを用いることができる。これにより、第2の子機2から第1の子機2へのパケットの伝送が可能である。
また、この場合、本実施形態のように、ハローパケットを受信した第2の子機2は、第1チャネルと第2チャネルとをそれぞれ用いて、パケットをブロードキャスト送信するように構成されていることが好ましい。この構成によれば、第2の子機2は、宛先が第1の子機2であるか否かに関わらず、パケットをブロードキャスト送信するだけで、第1の子機2においては第2チャネルを用いて第2の子機2からのパケットを受信可能となる。
あるいは、複数台の第2の子機2のうち、第1の子機2から親機11までの通信ルートにおいて、第1の子機2の1つ上位に位置する第2の子機2のみが、第1チャネルと第2チャネルとをそれぞれ用いて、パケットをブロードキャスト送信する構成でもよい。この構成によれば、第2チャネルを用いてブロードキャスト送信する子機2の台数を最小限に抑えることができ、不要なブロードキャストパケットの発生を抑制できる。
ところで、本実施形態の変形例として、第1の子機2が受信チャネルを第2チャネルに切り替えたことを通信ルートの構築に反映させる構成とすることも考えられる。
第1の変形例としては、複数台の子機21,22,…のうち、親機11までの通信ルートに中継器として第1の子機2を含む第3の子機2は、以下のようにして親機11までの通信ルートを再構築する。すなわち、第3の子機2は、第1の子機2が受信チャネルを第2チャネルに切り替えた場合、第1の子機2を含まない親機11までの通信ルートを再構築するように構成されている。
たとえば図1の例では、子機24は、親機11との間に構築した通信ルート上に第1の子機23を中継器として含む、第3の子機2である。したがって、図1における親機11−子機24間の通信ルートでは、主チャネルである第1チャネルと第2チャネルとの両方を用いており、通信効率が低下する可能性がある。つまり、第3の子機24は、第1の子機23を介してマルチホップ通信を行う場合、受信時に用いる第1チャネルと送信時に用いる第2チャネルとを切り替える必要があるため、処理オーバーヘッドの増加により、通信効率が低下してしまう。
そこで、第3の子機24は、第1の子機23を含まない新たな通信ルート(たとえば親機11−子機21−子機22−子機25−子機24の経路)を親機11との間に構築する。新たな通信ルートでは、親機11−子機24間の通信において、親機11および子機21,22,25,24の全てが、主チャネルである第1チャネルのみを用いてパケットを伝送できるので、第1の子機23による通信効率の低下を回避できる。
また、第2の変形例としては、複数台の子機21,22,…のうち、親機11までの通信ルートに中継器として第1の子機2を含む第4の子機2は、以下のようにして親機11までの通信ルートを再構築する。すなわち、第4の子機2は、第1の子機2を含む通信ルートが選択され難くなるように、第1の子機2を含む通信ルートの通信品質レベルに重み付けを行うように構成されている。
具体的には、第4の子機2である子機24は、たとえば表3に示す第3のテーブルにおいて、第1の子機23を含む通信ルートのルート通信品質(通信品質値SQ)を増加させる。また、第4の子機2である子機24は、第3のテーブルにおいて、第1の子機23を含む通信ルートのホップ数を増加させてもよい。この増加幅は予め決められた固定値でもよく、または通信ルートに含まれる第1の子機2の台数が多いほど、増加幅を大きくしてもよい。
このように、第4の子機24は、第1の子機23を含む通信ルートの通信品質レベルに重み付けを行うことによって、第1の子機23を含む現在の通信ルートと、主チャネルのみを用いる他の通信ルートとの比較をすることができる。したがって、第4の子機24は、通信品質レベルが大幅に低下する他の通信ルートを選択しにくくなり、通信品質と通信効率との両方を考慮して、より良好な通信ルートを選択できる。
さらに、第3の変形例として、ハローパケットを受信した第2の子機2は、受信した第2チャネルの情報を少なくとも1つ含む候補チャネル群を記憶する記憶部230と、候補チャネル群に含まれるチャネルを通知する通知部とを有することが好ましい。ここでは、第2の子機2は、図2に示した子機(第1の子機)2と同じ構成を採用しており、設定部203が通知部として機能すると仮定する。
つまり、第2の子機2は、「チャネル通知部」に第2チャネルの情報が格納されたハローパケットを第1の子機2から受信すると、第2チャネルの情報を候補チャネル群に含めるようにして記憶部230に格納する。本変形例では、第2の子機2は、第1のテーブルにおいて、第1の子機2に対応する「チャネル情報」のフィールドに第2チャネルの情報を格納するので、第1のテーブルの「チャネル情報」に格納されたチャネルが候補チャネル群を構成する。候補チャネル群は複数のチャネルを含んでいてもよい。
そして、第2の子機2は、候補チャネル群に含まれるチャネル(以下、「候補チャネル」という)の情報を、通知部(設定部203)より外部に通知する。ここで、候補チャネルの情報の通知先は、第2の子機2において副チャネルとして用いるチャネルを指定する主体であることが好ましい。たとえば、第2の子機2が副チャネルとして用いるチャネルを、外部装置3からの通知によって指定する場合には外部装置3が、ユーザの操作入力によって指定する場合にはユーザが、それぞれ候補チャネルの通知先となる。なお、通知部は、通知先が外部装置3であれば外部装置3で受信可能な信号により通知可能であり、通知先がユーザであれば表示等により通知可能である。
これにより、候補チャネルの通知を受けた外部装置3あるいはユーザは、第2の子機2の副チャネルを決める際に、候補チャネルを優先的に用いることが可能になる。ここで、候補チャネルは、第2の子機2が第1の子機2から通知された第2チャネルと同じチャネルである。したがって、外部装置3あるいはユーザが候補チャネルを第2の子機2の副チャネルとして指定し、第2の子機2が受信チャネルを候補チャネルに切り替えることで、第1の子機2と第2の子機2とで受信チャネルを揃えることができる。その結果、1つの通信セル内で使用するチャネルを極力統一することができる。通信装置(親機11または子機2)がブロードキャスト送信を行う場合、通信セル内で使用されているチャネル数の分だけ送信を行う必要があるが、通信セル内で使用するチャネルを極力統一することでブロードキャスト送信の回数が抑制されるという効果がある。
なお、親機11−子機2間、並びに子機2−外部装置3間の通信方式は、本実施形態では電波を伝送媒体に用いた無線通信方式である場合を例示したが、この例に限らず、たとえば電力線搬送通信など有線通信方式であってもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係る通信システムは、複数台の子機21,22,…のうち、第1の子機2から第2チャネルの情報を受信した第5の子機2が、受信した第2チャネルの情報を少なくとも1つ含む候補チャネル群を記憶する記憶部と、第3の通信部とを有している。第3の通信部は、マルチホップ通信を行う。
ここでは、第5の子機2は、図2に示した子機(第1の子機)2と同じ構成を採用しており、制御ブロック220における記憶部230が候補チャネル群を記憶する記憶部となり、第1の通信部201が第3の通信部となる。
第5の子機2は、第3の通信部(第1の通信部201)でのパケットの受信に用いる受信チャネルを第1チャネルに設定した状態で、通信干渉の度合いが閾値を超えると、以下の処理を行う。つまり、第5の子機2は、この場合に、第3の通信部での受信チャネルを候補チャネル群に含まれる1つのチャネルである第3チャネルに切り替え、且つ、第3チャネルの情報を第3の通信部から第1チャネルを用いてブロードキャスト送信する。
以下では、図1の例において、第1の子機2が子機23で、第5の子機2が子機24であると仮定する。
すなわち、第5の子機2である子機24は、妨害信号を受信すると、この妨害信号による通信干渉の度合いを導出する。ここでいう妨害信号とは、他の通信セルに属する通信装置(親機または子機)が送信したパケット、その他の無線通信システムから発せられたパケット、電気機器から発せられたノイズ等である。
子機24は、たとえば単位時間に対して妨害信号が発生している時間の割合を、通信干渉の度合い(干渉レベル)として導出する。単位時間当たりにおける妨害信号の発生時間が長ければ、干渉レベルは高く、単位時間当たりにおける妨害信号の発生時間が短ければ、干渉レベルは低い。また、通信干渉の度合いを導出する際、子機24は妨害信号の強度を考慮してもよい。
子機24は、上述のようにして求めた通信干渉の度合い(干渉レベル)が予め決められた閾値以下であれば、第3の通信部(第1の通信部201)の送信チャネルおよび受信チャネルとして主チャネルである第1チャネルを継続して用いる。一方、子機24は、通信干渉の度合い(干渉レベル)が閾値を超えると、第3の通信部(第1の通信部201)の受信チャネルを、主チャネルである第1チャネルとは異なる第3チャネルに切り替える。また、子機24は、送信チャネルとしては、主チャネルである第1チャネルを継続して用いる。
要するに、妨害信号の通信干渉が大きいと判断した子機24は、送信チャネルとして、主チャネルを継続して用いながら、受信チャネルのみを第3のチャネルに切り替える。
ここで、第5の子機2である子機24は、第1の子機23から受信した第2チャネルの情報を候補チャネル群として記憶部230に貯めており、候補チャネル群に含まれる1つのチャネルを第3チャネルとして採用する。つまり、第3チャネルは、第1の子機23から通知された第2チャネルと同じチャネルである。
さらに、第5の子機24は、上述のように受信チャネルを第3チャネルに切り替えたときに、第3チャネルの情報を第3の通信部(第1の通信部201)から第1チャネルを用いてブロードキャスト送信する。
ここで、第5の子機24は、一定時間間隔でハローパケットを送信するように構成されている。そこで、本実施形態では、第5の子機24は、第3チャネルの情報を含むハローパケットを、第1チャネルを用いてブロードキャスト送信することにより、第3チャネルの情報をブロードキャスト送信する。
一方、複数台の子機21,22,…のうち第5の子機24からの上記のハローパケットを受信した第6の子機2は、第5の子機24へのパケットの送信に用いる送信チャネルとして第3チャネルを用いるように構成されている。詳しい説明は省略するが、この構成は、第1の子機2からのハローパケットを受けた第2の子機2が第1の子機2へのパケットの送信に第2チャネルを用いる構成と同様である。
以上説明した本実施形態の構成によれば、主チャネルを変更することなく、通信障害が発生する可能性がある子機2の受信チャネルのみを変更することで、通信セル内の各子機2における通信干渉を抑制することができる。しかも、第3チャネルは、第5の子機2が第1の子機2から通知された第2チャネルと同じチャネルである。したがって、第5の子機2が受信チャネルを第3チャネルに切り替えることで、第1の子機2と第5の子機2とで受信チャネルを揃えることができ、1つの通信セル内で使用するチャネルを極力統一することができる。通信装置(親機11または子機2)がブロードキャスト送信を行う場合、通信セル内で使用されているチャネル数の分だけ送信を行う必要があるが、通信セル内で使用するチャネルを極力統一することでブロードキャスト送信の回数が抑制されるという効果がある。
また、候補チャネル群は複数の候補チャネルを含んでいてもよい。この場合に、第5の子機2は、複数の候補チャネルのうち、第2チャネルの情報として受信した回数が最も多い候補チャネルを第3チャネルとして用いるように構成されていることが好ましい。すなわち、第5の子機2は、隣接ノードである複数台の第1の子機2から第2チャネルの情報を受信すると、その中で最も多くの第1の子機2に使用されている第2チャネルを第3チャネルとして選択する。
この構成によれば、第5の子機2が受信チャネルを第3チャネルに切り替えることで、第5の子機2は、受信チャネルを、通信セル内での第1の子機2の受信チャネルとしての使用率が高いチャネルに揃えることができる。したがって、第5の子機2は、通信セル内の通信干渉を抑制しつつ、1つの通信セル内で使用するチャネルを極力統一することができる。これにより、ブロードキャスト送信の回数を抑制できる。
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。