JP6354127B2 - 放射線検出器 - Google Patents

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Description

本発明は、消滅放射線対の検出信号を補正する放射線検出器に係り、特に、放射線を蛍光に変換してこの蛍光を測定する構成となっている放射線検出器に関する。
従来の放射線薬剤の分布をイメージングするポジトロンエミッショントモグラフィー装置(PET)の具体的な構成について説明する。従来のPET装置は、放射線を検出する放射線検出器が円環状に並んで構成される検出器リングが備えられている。この検出器リングは、被検体内の放射性薬剤から放出される互いが反対方向となっている一対の放射線(消滅放射線対)を検出する。
放射線検出器51の構成について説明する。放射線検出器51は、図17に示すように、シンチレータ結晶が3次元的に配列されたシンチレータ52と、シンチレータ52に吸収された放射線から発した蛍光を検出する光検出器53とを備えている。光検出器53は、多数の光検出素子がマトリックス上に配列された検出面を備えている。そして、光検出器53の検出面とシンチレータ52の一面とが光学的に接続されている。
シンチレータ52に放射線が入射すると、シンチレータ52内部で蛍光が発する。この蛍光は、完全に減衰するのに時間を要する。したがって、シンチレータ52は、放射線が入射するとしばらくは弱く発光し続けるということになる。
この様な蛍光を測定する方法として、一定時間ごとに蛍光強度のサンプリングを行う方法がある。この様な方法は、蛍光の検出を離散的に行うという単純なものであるので、それだけ放射線検出器51の回路構成を単純化できるという利点がある。
図18の上段は、従来の蛍光の測定方法を説明するものである。シンチレータ52に蛍光が発生すると、蛍光強度は急峻に立ち上がり、その後徐々に減少する。放射線検出器51は、図18の上段の点線で示す時点のときにおける瞬間の蛍光の強度を計測する。そして、シンチレータ52にある時間幅をもって蛍光がどの程度の強さを有していたかを評価するときは、異なる瞬間で得られた蛍光の強度を積算することで得られた積算値が用いられる。この積算値が高いほど発生した蛍光は強いものであったということができる。
積算値を求めるに当たり瞬間の蛍光強度を何個足し合わせるかは、蛍光の検出に先立って予め決められられている。図18の下段の例では、7個の瞬間の蛍光強度を足し合わせて積算値をえるような構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−108750号公報
しかしながら、従来の放射線検出器には次のような問題点がある。
すなわち、従来の放射線検出器によれば、蛍光の強度によっては積算値を適切に算出することができない。
シンチレータ52に発生した蛍光が強いものであったとする。この様な強い蛍光は、通常の強さの蛍光に比べて完全に消滅するまで時間がかかる。この様な強い蛍光の強さを評価しようとして積算値を算出する場合を考える。積算値は、所定回数(図18の説明では7回)だけ瞬間の蛍光強度を足し合わせて算出される。この回数は、通常の強さの蛍光を基準に決められたものである。
この様にして得られた積算値は蛍光の強度を正確に表していない。強い蛍光の積算値を算出するときに積算が途中で打ち切られてしまうからである。図19の下段は強い蛍光の積算値を算出する場合を示している。積算値を算出するときに用いられた瞬間の蛍光強度のうち、最後のものに注目すると、この瞬間の蛍光強度は相当に高いものとなっており、これから蛍光が完全に消滅するまで更なる時間が必要である。しかし、積算値を算出するときには、これ以降の時点における瞬間の蛍光強度は加味されない。したがって、強い蛍光の積算値は低く見積もられてしまう。
また、シンチレータ52に発生した蛍光が弱いものであったとする。この様な弱い蛍光は、通常の強さの蛍光に比べて速やかに消滅する。この様な弱い蛍光の強さを評価しようとして積算値を算出する場合を考える。積算値は、所定回数(図18の説明では7回)だけ瞬間の蛍光強度を足し合わせて算出される。この回数は、通常の強さの蛍光を基準に決められたものである。
この様にして得られた積算値は蛍光の強度を正確に表していない。蛍光が既に消滅した後も瞬間の蛍光強度が積算に用いられているからである。蛍光が消滅した後の蛍光の測定値は0になるのが理想である。しかしながら実際はノイズ成分により0とはならない。蛍光が消滅したのに瞬間の蛍光強度の積算を続けるとこのノイズ成分を収集しながら積算値の算出がなされてしまう。したがって、弱い蛍光の積算値はノイズの影響を大きく受けた不正確なものとなる。
この様な積算点数が固定となっていることで生じる不都合を解消できるものとして、パルス信号を積算する際に所定の閾値を設定しておき、積算の開始位置と終了位置とを決定する方式が放射線検出器とは別分野の分析装置等で使用されている。しかし、分析装置等がこのような方式を採用しているのは、多様なパルス形状に対応できるようにするのが目的である。放射線検出器の場合、パルス形状がほぼ一定であり、パルス同士の経時的間隔も長いので、積算を行う時間範囲を一定とした構成となっている。しかしこの様な構成は、上述のような積算の打ち切りにより蛍光強度が過小評価される問題や、ノイズ成分が足し合わされてしまう問題について何ら検討されていない。
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、シンチレータに発生した蛍光の強弱によらず正確に積算値を算出することができる放射線検出器を提供することにある。
本発明は上述の課題を解決するために次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る放射線検出器は、放射線を蛍光に変換するシンチレータと、放射線がシンチレータに入射することにより生じた蛍光が発してから減衰していく一連の過程において、各検出時点における蛍光の強度を示す時点強度データを連続的に出力するデータモニタ手段と、時点強度データの積算の開始及び終了を閾値に基づいて決定し、シンチレータに発生した蛍光の強度を示す積算値を算出する積算手段と、放射線が前記シンチレータに入射することにより生じた蛍光が発してから減衰していく一連の過程における蛍光の強度の極大値である波高値と蛍光の強度を示す積算値とが関連したテーブルを記憶する記憶手段と、前記データモニタ手段が出力する前記時点強度データを基に前記波高値を取得する波高値取得手段と、放射線が前記シンチレータに入射して生じた蛍光が減衰していく過程で放射線が前記シンチレータに再び入射し、減衰を続けていた蛍光の強度が再び高まる現象であるパイルアップの発生を前記時点強度データの経時変化を基に判定するパイルアップ発生判定手段と、パイルアップの発生が判定されると、前記波高値取得手段が取得したパイルアップ発生前の前記波高値に対応する前記積算値を前記記憶手段より読み出すことによりパイルアップした二つの蛍光のうちの先に生じた蛍光の積算値を推定する先発推定手段と、前記先発推定手段により推定された積算値を前記積算手段が算出した前記積算値から減ずることによりパイルアップした二つの蛍光のうちの後に生じた蛍光の積算値を推定する後発推定手段とを備えることを特徴とするものである。
[作用・効果]本発明の放射線検出器によれば、シンチレータで発生した蛍光の強弱によらず常に正確な積算値を算出することができる。すなわち、本発明のような積算値の算出方法を採用すれば、シンチレータで蛍光が発生するごとに足し合わされる時点強度データの個数は、蛍光が強いほど増加する。時点強度データの足し合わせは、蛍光強度が閾値未満となるまで続けられるからである。この様にすることで、強い蛍光がシンチレータで発生した場合でも、蛍光が十分に消滅するまで時点強度データの足し合わせが継続されるので、強い蛍光の強度が過小評価されることがない。
また、本発明の積算手段は、信頼性が高い積算値が算出できる。積算値の算出に用いられる時点強度データは、閾値以上となっており、十分にS/N比が高く、信頼性も高いからである。本発明においては、S/N比が低く、信頼性が低い閾値未満の時点強度データは、積算値の算出には用いられない。
また、蛍光のパイルアップが発生したとしても正確な積算値を算出することができる。すなわち、パイルアップした二つの蛍光のうち先に生じた蛍光の積算値は、先に生じた蛍光の波高値に基づいて推定し、後に生じた蛍光の積算値は、パイルアップした二つの蛍光を区別せずに算出した積算値から先の蛍光の積算値の推定値を減算することで推定される。パイルアップした二つの蛍光を区別せずに算出した積算値は、本発明における積算手段によって得られたものであるので、従来の積算値の取得方法に比べて正確である。したがって、本発明によれば、後発の蛍光の積算値を正確に求めることができる。
また、上述の放射線検出器において、積算手段が参照する閾値は、データモニタ手段が出力する時点強度データにおけるノイズ成分がシグナル成分に対して増加するにつれて大きくなるように設定されればより望ましい。
[作用・効果]上述のように、閾値がデータモニタ手段が出力する時点強度データにおけるノイズ成分がシグナル成分に対して増加するにつれて大きくなるように設定されれば、時点強度データのノイズ成分が増加したとしても、より正確な積算値を算出することができる。
また、上述の放射線検出器において、記憶手段が記憶する積算値は、パイルアップが発生しない状態で放射線をシンチレータに照射することによりデータモニタ手段がモニタした蛍光の強度の経時変化を基に生成されればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線検出器をより具体的に表している。記憶手段が記憶する積算値がパイルアップが発生しない状態で放射線を実測したものであれば、より正確に蛍光強度の経時変化を推定できる。先発の蛍光強度の推定の基準となる蛍光のタイムコースを生成する際にパイルアップが生じると、蛍光の経時変化が乱れてしまうからである。
また、上述の放射線検出器において、記憶手段が記憶する積算値は、積算手段により算出されたものであればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線検出器をより具体的に表している。記憶手段が記憶する積算値は、積算手段により算出されたものであれば、より正確に積算値の推定が可能である。したがって、本発明によれば、先発の蛍光の積算値を正確に求めることができる。
本発明の放射線検出器によれば、シンチレータで発生した蛍光の強弱によらず常に正確な積算値を算出することができる。すなわち、本発明のような積算値の算出方法を採用すれば、シンチレータで蛍光が発生するごとに足し合わされる時点強度データの個数は、蛍光が強いほど増加する。この様にすることで、強い蛍光の強度が過小評価されることがない。また、本発明の積算手段は、信頼性が高い積算値が算出できる。積算値の算出に用いられる時点強度データは、閾値以上となっており、十分にS/N比が高く、信頼性も高いからである。
実施例1に係る放射線検出器の全体構成を説明する機能ブロック図である。 実施例1に係るシンチレータで発生する蛍光について説明する模式図である。 実施例1に係る時点強度データについて説明する模式図である。 実施例1に係る積算部の動作について説明する模式図である。 実施例1に係る時点強度データについて説明する模式図である。 実施例1に係る積算部の動作について説明する模式図である。 実施例1に係る時点強度データについて説明する模式図である。 実施例1に係る積算部の動作について説明する模式図である。 実施例2に係る放射線検出器の全体構成を説明する機能ブロック図である。 実施例2に係る蛍光のパイルアップについて説明する模式図である。 実施例2に係る蛍光のパイルアップについて説明する模式図である。 実施例2に係るパイルアップ発生判別部の動作について説明する模式図である。 実施例2に係る波高値取得部の動作について説明する模式図である。 実施例2に係る先発推定部の動作について説明する模式図である。 実施例2に係る先発推定部の動作について説明する模式図である。 実施例2に係る積算部の動作について説明する模式図である。 従来に係る放射線検出器の構成を説明する模式図である。 従来に係る放射線検出器の動作を説明する模式図である。 従来に係る放射線検出器の問題点を説明する模式図である。
以降、本発明に係る放射線検出器の実施例について説明する。γ線は放射線の一例である。
<放射線検出器の全体構成>
図1に示すように、実施例1に係る放射線検出器1は、シンチレータ結晶Cが縦横に配列されて構成されたシンチレータ2と、シンチレータ2の下面に設けられ、シンチレータ2から発する蛍光を検知する光検出器3と、シンチレータ2と光検出器3との間に介在する位置に配置されたライトガイド4とを備える。シンチレータ結晶Cの各々は、Ceが拡散したLu2(1−X)2XSiO(以下、LYSOとよぶ)によって構成されている。シンチレータ2に放射線が入射すると、放射線は蛍光に変換される。
光検出器3は、シンチレータ2で生じた蛍光を検出する。この光検出器3は、位置弁別機能を有しており、シンチレータ2で生じた蛍光がどのシンチレータ結晶Cに由来するかを弁別することができるようになっている。 ライトガイド4は、シンチレータ2で生じた蛍光を光検出器3に導くために設けられている。したがって、ライトガイド4は、シンチレータ2と光検出器3とに光学的に結合されている。
データモニタ部11は、光検出器3に等間隔にサンプリング信号を送出する。このサンプリング信号は、光検出器3にデータを送出する命令となっており、光検出器3は、サンプリング信号が送出されるごとに蛍光の検出信号をデータモニタ部11に算出する。このように、光検出器3が蛍光を検出する状況によらないで一定の時間幅で蛍光の発生をモニタする方式をフリーラン方式と呼ぶ。データモニタ部11は、フリーラン方式で時点強度データdをモニタする。データモニタ部11は、各検出時点における蛍光の強度を示す時点強度データdを連続的に出力する。データモニタ部11は、本発明のデータモニタ手段に相当する。
光検出器3が出力する蛍光の検出信号(出力データ)は、実体としてはアナログデータとなっている。データモニタ部11は、光検出器3の出力データを取得すると、これをデジタル化して蛍光の強度を示す時点強度データdを生成する。時点強度データdは、次々とデータモニタ部11に入力される光検出器3の出力データを基に経時的に生成される。従って、データモニタ部11は、時点強度データdを経時的にモニタしているということになる。このデータモニタ部11が出力する時点強度データdは、ある時点における瞬間的なシンチレータ発光の強度を表している。この時点強度データdがシンチレータ2で発生した蛍光の強度を評価する上で必要となる。
時点強度データdは、そのままではシンチレータ2の蛍光の強度の評価には用いることができない。その理由について説明する。図2は、シンチレータ2に蛍光が発したときに、光の強度が経時的にどのように変化するかを表している。1つのγ線光子がシンチレータ2に入射すると、それがシンチレータ2で蛍光に変換される。その蛍光が発光する様子は、時間的な幅を有している。すなわち、蛍光が発生すると、シンチレータが次第に強く発光するようになり、それから時間をかけて発光が減衰していく。このように、シンチレータ2で蛍光が発生すると、シンチレータ2の発光が収まるまである程度の時間を要するのである。なお、図2中のBは、シンチレータ2の発光が始まる前の発光強度である基底状態を表している。時点強度データdがこの基底状態にあるときの蛍光強度は0であることが望ましいが、実際はノイズの影響により0とはならない。
シンチレータ2に発生する蛍光は時間的な幅を有しているので、シンチレータ2で生じた蛍光の強さを評価するには、工夫が必要である。すなわち、データモニタ部11が出力する時点強度データdは、ある時点における瞬間的なシンチレータ発光の強度を表しているにすぎないからである。したがって、シンチレータ2が蛍光で発光している間にデータモニタ部11が出力した時点強度データdは、蛍光が強まり出した時点で測定されたものかも知れないし、蛍光が最高に強くなった時点で測定されたのかも知れない。または、時点強度データdは、蛍光が減衰している時点で測定されたのかも知れない。このように、単一の時点強度データdだけでは、シンチレータ2で生じた蛍光の強さを評価できない。
そこで、放射線検出器1は、経時的に出力される時点強度データdを積算して積算値Sを算出するようにしている。この積算値Sは、1つの蛍光が発生して強まりだし、最高に達した後徐々に減衰していく各場面で測定された複数の時点強度データdを足し合わせることで取得されるものである。この様な積算値Sの算出は、積算部15が行う。積算部15には、データモニタ部11から時点強度データdが経時的に送られてきている。積算部15は、これらの時点強度データdのうち、何個かを足し合わせることで積算値Sを取得する。積算部15は、本発明の積算手段に相当する。
図3は、シンチレータ2に蛍光が生じたときに出力される時点強度データdと時間との関係を表している。時点強度データdは、所定の時間tが経過する度にデータモニタ部11により取得され、積算部15に送出される。
<本発明における特徴的な構成>
本発明は、積算部15が積算値Sを算出するごとに足し合わせる時点強度データdの個数を変化させることに特徴がある。すなわち、シンチレータ2で蛍光が発生したときに積算部15が積算値Sの算出に用いた時点強度データdの個数は、次にシンチレータ2で蛍光が発生したときに積算部15が積算値Sの算出に用いた時点強度データdの個数と同じであるとは限らないのである。このように足し合わせる時点強度データdを可変とすることで、積算値Sの信頼性を高めることができる。
積算部15が積算値Sを算出する際に時点強度データdを足し合わせるかどうかの判断は、閾値aにより判断される。すなわち、積算部15は、時点強度データdのうち強度が閾値aよりも小さいものは、破棄し、積算値Sの算出に用いない。そして、時点強度データdのうち強度が閾値a以上のものは、積算値Sの算出に用いる。
積算部15が行う実際の動作としては、データモニタ部11より出力される時点強度データdが閾値a未満となっている状態が連続する場合、何も行わず待機し、時点強度データdが閾値a以上となったところで積算値Sの算出を開始し、以降、時点強度データdの足し合わせを続ける。そして、時点強度データdが閾値aに満たなくなったときには、その閾値a未満の時点強度データdの足し合わせを行わず、そのまま積算値Sの算出を終了する。
図4においては、閾値a以上となっている時点強度データdは、時点強度データd3〜d7である。したがって、積算部15は、図4における閾値a未満の時点強度データd1,d2,d8,d9,d10は破棄し、閾値a以上の時点強度データd3〜d7を足し合わせる。この様な足し合わせによって得られるのが積算値Sである。このように、積算部15は、蛍光強度が閾値a以上となっている時点強度データdを積算して、シンチレータ2に発生した蛍光の強度を示す積算値Sを算出する。
この様な積算部15が足し合わせる時点強度データdの個数はシンチレータ2で生じた蛍光の強さによって変化するのでこの様子について説明する。
<シンチレータ2で生じた蛍光が強い場合>
図5は、シンチレータ2で生じた蛍光がより強かったときを表している。このような蛍光がシンチレータ2で発生すると消滅するのには、より長い時間が必要である。図6は、この様な場合の積算部15の動作を説明している。図6において、閾値a以上となっている時点強度データdは、時点強度データd2〜d50である。したがって、積算部15は、図6における閾値a未満の時点強度データd1,d51は破棄し、閾値a以上の時点強度データd2〜d50を足し合わせる。この様な足し合わせによって得られるのが積算値Sである。この様に、シンチレータ2で生じた蛍光が強いと、それだけ閾値a以上の時点強度データdの個数が増え、積算値Sを算出する時に用いられる時点強度データdの個数は増加する。
このとき、積算部15は、S/N比が十分に高い時点強度データdの全てを足し合わせて積算値Sを算出している。このとき算出に用いられた時点強度データdは、足し合わせることでより積算値Sの正確性に寄与するものである。図5のように強い蛍光が発生した場合、蛍光の消失に時間を要する。この様な事情があっても、積算部15は、有効な時点強度データdを全て積算値Sの算出に用いる構成となっている。したがって、積算部15は、正確な積算値Sの算出をすることができる。
<シンチレータ2で生じた蛍光が弱い場合>
図7は、シンチレータ2で生じた蛍光がより弱かったときを表している。このような蛍光がシンチレータ2で発生すると消滅するのは、より短い時間で済む。図8は、この様な場合の積算部15の動作を説明している。図8において、閾値a以上となっている時点強度データdは、時点強度データd3〜d5である。したがって、積算部15は、図6における閾値a未満の時点強度データd1,d2,d6〜d10は破棄し、閾値a以上の時点強度データd3〜d5を足し合わせる。この様な足し合わせによって得られるのが積算値Sである。この様に、シンチレータ2で生じた蛍光が弱いとそれだけ、閾値a以上の時点強度データdの個数が減少し、積算値Sを算出する時に用いられる時点強度データdの個数は減少する。
このとき、積算部15は、S/N比が低すぎる時点強度データdを足し合わせないで積算値Sを算出している。図7のように弱い蛍光が発生した場合、蛍光はすぐに消失する。この様な事情があっても、積算部15は、S/N比が低すぎて無効な時点強度データdを積算値Sの算出に用いない構成となっている。したがって、積算部15は、正確な積算値Sの算出をすることができる。
閾値a未満の時点強度データdが無効である点について説明する。閾値aは、時点強度データdの信頼性を表している。時点強度データdが閾値aに満たない場合、時点強度データdはS/N比が低すぎることを表している。このような時点強度データdは、僅かなシグナル成分と相当に大きいノイズ成分の両方を含んでいる。このようなシグナル成分に対するノイズ成分の割合が多い時点強度データdを積算値Sに足し合わせてしまうと、僅かなシグナル成分と相当に大きいノイズ成分の両方が積算値Sに足し込まれてしまう。このような時点強度データdは、むしろ積算値Sに足し合わせない方が正確な積算値Sを算出する上で有利である。そこで、積算部15は、閾値aに満たない時点強度データdを積算値Sに足し合わせないような構成となっている。
したがって、放射線検出の状況により、データモニタ部11が出力する時点強度データdにより多くのノイズが含まれるようになった場合は、閾値aは大きくなるように設定される。この様にすることで、例えデータモニタ部11から出力されるノイズ成分が大きくなったとしても、S/N比が低すぎる時点強度データdを確実に排除して確実に正確な積算値Sを算出することができる。積算部15が参照する閾値aは、データモニタ部11が出力する時点強度データdにおけるノイズ成分がシグナル成分に対して増加するにつれて大きくなるように設定されている。
<放射線検出器が有するその他の構成>
放射線検出器1は、各部を統括的に制御する主制御部21を備えている。この主制御部21は、CPUによって構成され、各種プログラムを実行することにより、各部11,15を実現する。なお、上述の各部はそれらを担当する制御装置に分割されて実現されてもよい。また、記憶部35は、放射線検出器1の制御に関する閾値、テーブル等の一切を記憶する。記憶部35は、本発明の記憶手段に相当する。
以上のように、本発明の放射線検出器1によれば、シンチレータ2で発生した蛍光の強弱によらず常に正確な積算値Sを算出することができる。すなわち、本発明のような積算値Sの算出方法を採用すれば、シンチレータ2で蛍光が発生するごとに足し合わされる時点強度データdの個数は、蛍光が強いほど増加する。時点強度データdの足し合わせは、蛍光強度が閾値未満となるまで続けられるからである。この様にすることで、強い蛍光がシンチレータ2で発生した場合でも、蛍光が十分に消滅するまで時点強度データdの足し合わせが継続されるので、強い蛍光の強度が過小評価されることがない。
また、本発明の積算部15は、信頼性が高い積算値Sが算出できる。積算値Sの算出に用いられる時点強度データdは、閾値以上となっており、十分にS/N比が高く、信頼性も高いからである。本発明においては、S/N比が低く、信頼性が低い閾値未満の時点強度データdは、積算値Sの算出には用いられない。
上述のように、閾値がデータモニタ部11が出力する時点強度データdにおけるノイズ成分がシグナル成分に対して増加するにつれて大きくなるように設定されれば、時点強度データdのノイズ成分が増加したとしても、より正確な積算値Sを算出することができる。
続いて実施例2に係る放射線検出器について説明する。実施例2に係る放射線検出器は、図9に示すように、実施例1で説明した放射線検出器と同様な構成となっているが、パイルアップ発生判別部12,波高値取得部13,先発推定部14および後発推定部16とを備えている点が実施例1の放射線検出器とは異なる。これら各部12,13,14は、蛍光が重なり合う現象であるパイルアップを考慮して設けられた構成である。パイルアップ発生判別部12は、本発明のパイルアップ発生判定手段に相当し、波高値取得部13は、本発明の波高値取得手段に相当する。先発推定部14は、本発明の先発推定手段に相当すし、後発推定部16は、本発明の後発推定手段に相当する。
実施例2の主制御部21は、CPUによって構成され、各種プログラムを実行することにより、各部11,12,13,14,15,16を実現する。なお、上述の各部はそれらを担当する制御装置に分割されて実現されてもよい。
<蛍光のパイルアップについて>
各部12,13,14の動作説明に先立ち、蛍光のパイルアップについて説明する。図10は、放射線検出器1が放射線を一度だけ検出した場合の時点強度データdの経時変化を表している。放射線がシンチレータ2に入射すると、図10に示すように蛍光の強度が増加し、最大に達する。そして、蛍光の強度は、蛍光の強度が増加する時間よりも長い時間をかけて徐々に減衰する。
図11は、放射線検出器1が放射線を二度検出した場合の時点強度データdの経時変化を表している。まず、1回目の放射線がシンチレータ2に入射すると、図10で説明した蛍光強度の増減が生じる。したがって、図11で示す蛍光強度の経時変化は、蛍光が発し始める時点T0から時点T1までの間は図10と同様の挙動を示す。ここで、時点T1のときに再び放射線がシンチレータ2に入射したとする。すなわち、蛍光が十分に減衰しないうちに2回目の放射線がシンチレータ2に入射してしまったのである。すると、図11に示すようにこのまま減衰するはずであった蛍光の強度が時点T1から再び高まることになる。
このように放射線がシンチレータ2に入射して生じた蛍光が減衰していく過程で放射線がシンチレータ2に再び入射し、減衰を続けていた蛍光の強度が再び高まる現象を蛍光のパイルアップと呼ぶ。つまり、短い時間に2つの放射線がシンチレータ2に入射すると、蛍光のパイルアップが生じるというわけである。したがって、シンチレータ2の蛍光が十分に消滅した後に次の蛍光がシンチレータ2に生じたとしても、これはパイルアップとは言わないのである。
この様なパイルアップが生じると、データモニタ部11が出力する時点強度データdが乱れる。正確な放射線検出には、この乱れを取り除く必要がある。そこで、実施例2の構成によれば、パイルアップして重なった二つの蛍光を分離する構成を備えている。これを実現するのが、実施例2の放射線検出器1に備えられている各部12,13,14である。以降、これらの動作について順を追って説明する。
<パイルアップ発生判別部12の動作>
パイルアップ発生判別部12は、蛍光のパイルアップの発生を時点強度データdの経時変化を基に判定する。以降、その具体的な動作について説明する。パイルアップ発生判別部12には、データモニタ部11より時点強度データdが逐次送出されている。これにより、パイルアップ発生判別部12は、時点強度データdの経時変化を知ることができる。
このパイルアップ発生判別部12が動作するのに際し、閾値nを用いる。この閾値nは、記憶部35に記憶されている設定値であり、パイルアップ発生判別部12は、記憶部35より閾値nを示すデータを読み出して動作する。記憶部35は、本発明の記憶手段に相当する。
図12は、パイルアップ発生判別部12の動作を表している。パイルアップ発生判別部12は、データモニタ部11が出力した時点強度データdの各々について、強度と、強度の微分値とを取得する。そして、パイルアップ発生判別部12は、特定の条件が揃ったときに図11で説明した蛍光のパイルアップが生じたと判別する。その条件とは、時点強度データdの経時変化の極小値が閾値n以上となっているかどうかである。具体的には、極小値が閾値nとなっている場合は、パイルアップが生じているものと判別される。
この様な条件を設定すれば、パイルアップの発生を的確に判別することができる。まず、強度に極小が存在しているということは、弱まっていた蛍光が途中から強くなったということを表している。ということは、放射線が2回に分けてシンチレータ2に入射したことを示している。より正確に言うならば、強度が極小になっている時点の前後で1回ずつ放射線がシンチレータ2に入射したということができる。
仮に、放射線が2回に分けてシンチレータ2に入射していたということが分かったからと言ってパイルアップが生じているかどうかまでは分からない。蛍光が十分に減衰した状態で放射線にシンチレータ2が入射したとも考えられるからである。この様な場合は、図10で示した単一の放射線検出と考えたほうがより実際に近い。
そこで、パイルアップ発生判別部12は、極小値が閾値n以上であるかを基にパイルアップの判別を行っている。極小値が閾値n以上であると、蛍光が十分に減衰しきっていない状態でシンチレータ2に放射線が入射したことが分かる。蛍光は、次第に弱まりながら減衰していくからである。この閾値nは、パイルアップを判別するのに必要なパラメータであり、放射線検出の状況に合わせて適宜調整することができる。
図12のような時点強度データdの経時変化が得られた場合におけるパイルアップ発生判別部12の動作について説明する。パイルアップ発生判別部12は、時点強度データdの経時変化に極小点mの存在を認め、さらに、パイルアップ発生判別部12は、この極小点mに関する極小値が閾値n以上となっていることを認める。したがって、この様な場合、パイルアップ発生判別部12は、極小点mが生じた時点の前後でパイルアップが生じたものと判別する。パイルアップ発生判別部12は、放射線がシンチレータ2に入射して生じた蛍光が減衰していく過程で放射線がシンチレータ2に再び入射し、減衰を続けていた蛍光の強度が再び高まる現象であるパイルアップの発生を時点強度データdの経時変化を基に判定する。
<波高値取得部13の動作>
パイルアップ発生判別部12がパイルアップの発生を認めた場合、その旨を波高値取得部13に送信する。波高値取得部13は、データモニタ部11が出力する時点強度データdを基に波高値を取得する。波高値とは、放射線がシンチレータ2に入射することにより生じた蛍光が発してから減衰していく一連の過程における蛍光の強度の極大値である。波高値取得部13は、本発明の波高値取得手段に相当する。
波高値取得部13の具体的な動作について説明する。波高値取得部13は、データモニタ部11より時点強度データdが経時的に送出されている。そして、パイルアップ発生判別部12がパイルアップの発生を判別すると、その旨を示す信号と、パイルアップの判別の基準となった極小点mの生じた時点を示すデータとを波高値取得部13に送出する。波高値取得部13は、パイルアップ発生判別部12より上述の信号及びデータを送出すると、まず、図13に示すように極小点mの生じた時点よりも先に現れる極大点pを取得する。この極大点pは、極小点mの生じた時点から時間を遡る方向に時点強度データdを見ていって初めて現れる極大点と一致する。したがって、図13に示す後発の蛍光に係る極大点qは、極小点mの生じた時点よりも後に現れているので、波高値取得部13により極大点としての認定を受けない。
そして、波高値取得部13は、極大点pの強度である極大値を取得し、これを波高値h0として認識する。この様に波高値取得部13に取得される波高値は、シンチレータ2に入射した2つの放射線のうち先に入射した放射線についての波高値である。つまり、波高値取得部13は、パイルアップ発生直前の波高値を取得するということになる。
<テーブルについて>
先発推定部14の動作の説明に先立って、先発推定部14が使用するテーブルTについて説明する。このテーブルTは、記憶部35に記憶されているものであり、先発推定部14が記憶部35より適宜読み出して用いる。図14は、テーブルTを模式的に表している。テーブルTは、値の異なる波高値hとこれに対応する積算値Saとが関連したテーブルとなっている。このテーブルTは、シンチレータ2で生じた蛍光の経時変化を推定する目的で設けられている。記憶部35は、放射線がシンチレータ2に入射することにより生じた蛍光が発してから減衰していく一連の過程における蛍光の強度の極大値である波高値と蛍光の強度を示す積算値Sとが関連したテーブルTを記憶する。
図15は、波高値h0とこれに関連する積算値Saについて説明している。この積算値Saは、単一の放射線が放射線検出器1に検出されたときの実測値を基に構成されている。すなわち、積算値Saは、放射線検出器1が蛍光のパイルアップがない状態で放射線を検出したときの検出結果を表しているのである。この積算値Saは、図4で説明した方法で算出される。
仮に、シンチレータ2で生じた蛍光の強さが常に一定であるとすれば、蛍光が増減する様子を予想することは容易である。シンチレータ2で生じた蛍光は常に同じ経過を辿りながら経時変化するはずだからである。しかし、実際にシンチレータ2で生じる蛍光には、強いものと弱いものがある。この蛍光の強さに応じて蛍光が増減する様子は異なるのである。そこで、実施例2の構成によればシンチレータ2で生じた蛍光の経時変化を正確に推定する目的で、蛍光の強さに応じた複数の積算値Saを用意することにしている。
その際、蛍光の強さの指標としては、波高値を用いることができる。つまり、蛍光の経時変化における波高値が大きい場合は、この経時変化は強い蛍光についてのものであることが分かる。同様に、蛍光の経時変化における波高値が小さい場合は、この経時変化は弱い蛍光についてのものであることが分かるのである。このように、波高値が同じであれば、蛍光の経時変化は定まる。したがって、波高値さえ分かればシンチレータ2で生じた蛍光の積算値を推定できるということになる。
図15は、波高値h0とこれに関連する蛍光のタイムコースTc0について説明している。積算値S0は、タイムコースTc0に基づいて算出されるものである。なお、テーブルTの他の波高値h1,h2,h3の各々には、それぞれに対応するタイムコースTc1.Tc2,Tc3を基に算出された積算値Sa1,Sa2,Sa3が関連づけられている(図14参照)。
したがって、実施例2の構成によれば、放射線検出の前にテーブルTを用意しておく必要がある。このテーブルTの生成方法について説明する。テーブルTは、図1で説明した構成と同じ構成の放射線検出器1で放射線を検出することで得られる。このとき、蛍光のパイルアップが生じないように放射線の線量を十分に少なくして放射線の検出が行われる。放射線の検出を続けていくと様々な強さの蛍光が検出される。テーブルTは、上述したデータモニタ部11の動作と同じ要領でそれぞれの蛍光の時点強度データdの経時変化をモニタし、この結果を波高値取得部13に送出することで波高値とを取得して得られる。実際のテーブルTは、波高値の大きさの順に積算値Saがリストアップされている。
記憶部35が記憶する積算値Saは、積算部15により算出されたものである。すなわち、積算値Saは、図4の説明と同様、閾値a以上となっている時点強度データdのみを足し合わせることにより算出されたものである。このように積算値Saは、従来の算出方法と比べより信頼性の高いものとなっている。
また、テーブルTを生成する際に蛍光のパイルアップが生じたときに得られる時点強度データdをテーブルTの生成に用いないように工夫することもできる。このときのパイルアップの発生の判断は、パイルアップ発生判別部12が行う。いずれにせよ、記憶部35が記憶する積算値Saの基となった蛍光強度のタイムコースTcは、パイルアップが発生しない状態で放射線をシンチレータ2に照射することによりデータモニタ部11がモニタした蛍光の強度の経時変化となっている。パイルアップが発生しない状態とは、放射線の発生源から発する放射線の線量を十分に減らすようにすることで実現できる。
テーブルTを生成する際に、実際の検出に用いる放射線検出器1と同じ構成の検出器でテーブルTを作成するようにすれば、蛍光の経時変化をより正確に推定することができる。蛍光を検出するときの時点強度データdの経時変化は、放射線検出器の装置構成によって違いがある。したがって、放射線検出器の装置構成が違えば、シンチレータ2で生じた蛍光がたとえ同じであっても出力される時点強度データdの経時変化が異なってしまう。実施例2の構成によれば、実際の放射線検出の条件と同じ条件で放射線を検出しテーブルTを生成するようにしているので、蛍光の強度を示す積算値Saが正確に予測できる。
<先発推定部14の動作>
パイルアップ発生判別部12がパイルアップの発生を認めた場合、波高値取得部13は、波高値h0を先発推定部14に送出する。先発推定部14は、パイルアップの発生が判定されると、テーブルTを参照して波高値h0に対応する積算値Sa0を記憶部35より読み出す。この積算値Sa0は、2回に亘る放射線入射のうち先に入射した放射線についての蛍光強度の強度を表していることになる。先発推定部14は、パイルアップの発生が判定されると、波高値取得部13が取得したパイルアップ発生前の波高値h0に対応する積算値Sa0を記憶部35より読み出すことによりパイルアップした二つの蛍光のうちの先に生じた蛍光の積算値を推定する。
<積算部15の動作>
後に入射した放射線についての蛍光強度の強度は、積算部15により算出されるのでこの動作について説明する。データモニタ部11は、パイルアップ発生判別部12,および先発推定部14のみならず積算部15にも時点強度データdを送出している。積算部15は、データモニタ部11より出力される時点強度データdが閾値a未満となっている状態が連続する場合、何も行わず待機し、時点強度データdが閾値a以上となったところで積算値Sの算出を開始し、以降、時点強度データdの足し合わせを続ける。そして、時点強度データdが閾値aに満たなくなると、時点強度データdの足し合わせを中断する。
図16は、このときの積算部15の動作について説明している。積算部15は、閾値パイルアップの発生の有無に係わらず、時点強度データdが閾値a以上となった時点強度データd2から時点強度データdの足し合わせを開始し、時点強度データdが閾値a未満となった時点強度データd13を発見すると、この時点強度データd13の前の時点強度データd12を最後に足し合わせを終了する。積算部15は、パイルアップした2つの蛍光についての積算値Sを算出することになる。このとき得られる積算値Sは、先発の蛍光の積算値と後発の蛍光の積算値との合計となっている。
<後発推定部16の動作>
積算部15が算出した積算値Sと、先発推定部14が推定した積算値Saとは、後発推定部16に送出される。後発推定部16は、積算値Sから積算値Saを減算することで積算値Sbを算出する。積算値Sは、先発の蛍光と後発の蛍光とを1つとして考えたときの積算値であり、積算値Saは先発の蛍光の積算値であるから、積算値Sbは、後発の蛍光の積算値であることになる。この様にして後発推定部16は、パイルアップした2つの蛍光のうち後発の蛍光についての積算値Sbを算出する。このように、後発推定部16は、先発推定部14により推定された積算値Saを積算部15が算出した積算値Sから減ずることによりパイルアップした二つの蛍光のうちの後に生じた蛍光の積算値Sbを推定する。
以上のように、本発明の放射線検出器1によれば、蛍光のパイルアップが発生したとしても正確な積算値Sa,Sbを算出することができる。すなわち、パイルアップした二つの蛍光のうち先に生じた蛍光の積算値Saは、先に生じた蛍光の波高値に基づいて推定し、後に生じた蛍光の積算値Sbは、パイルアップした二つの蛍光を区別せずに算出した積算値Sから先の蛍光の積算値Saの推定値を減算することで推定される。パイルアップした二つの蛍光を区別せずに算出した積算値Sは、本発明における積算部15によって得られたものであるので、従来の積算値Sの取得方法に比べて正確である。したがって、本発明によれば、後発の蛍光の積算値Sを正確に求めることができる。
上述の構成は、本発明の放射線検出器1をより具体的に表している。記憶部35が記憶する積算値Saがパイルアップが発生しない状態で放射線を実測したものであれば、より正確に蛍光強度の経時変化を推定できる。先発の蛍光強度の推定の基準となる蛍光のタイムコースを生成する際にパイルアップが生じると、蛍光の経時変化が乱れてしまうからである。
上述の構成は、本発明の放射線検出器1をより具体的に表している。記憶部35が記憶する積算値Saは、積算部15により算出されたものであれば、より正確に積算値Saの推定が可能である。したがって、本発明によれば、先発の蛍光の積算値Saを正確に求めることができる。
本発明は、上述の構成に限られず、下記のように変形実施することができる。
(1)各実施例における各設定値は、例示である。従って、各設定値は自由に変更することができる。
(2)上述した各実施例のいうシンチレータ結晶は、LYSOで構成されていたが、本発明においては、その代わりに、LGSO(Lu2(1−X)2XSiO)やGSO(GdSiO)などの他の材料でシンチレータ結晶を構成してもよい。本変形例によれば、より安価な放射線検出器が提供できる放射線検出器の製造方法が提供できる。
(3)上述した各実施例において、光検出器は、光電子増倍管で構成されていたが、本発明はこれに限らない。光電子増倍管に代わって、フォトダイオードやアバランシェフォトダイオードや半導体検出器などを用いてもよい。
2 シンチレータ
11 データモニタ部(データモニタ手段)
12 パイルアップ発生判別部(パイルアップ発生判定手段)
13 波高値取得部(波高値取得手段)
14 先発推定部(先発推定手段)
15 積算部(積算手段)
16 後発推定部(後発推定手段)
35 記憶部(記憶手段)

Claims (4)

  1. 放射線を蛍光に変換するシンチレータと、
    放射線が前記シンチレータに入射することにより生じた蛍光が発してから減衰していく一連の過程において、各検出時点の蛍光の強度を示す時点強度データを連続的に出力するデータモニタ手段と、
    前記時点強度データの積算の開始及び終了を閾値に基づいて決定し、前記シンチレータに発生した蛍光の強度を示す積算値を算出する積算手段と
    放射線が前記シンチレータに入射することにより生じた蛍光が発してから減衰していく一連の過程における蛍光の強度の極大値である波高値と蛍光の強度を示す積算値とが関連したテーブルを記憶する記憶手段と、
    前記データモニタ手段が出力する前記時点強度データを基に前記波高値を取得する波高値取得手段と、
    放射線が前記シンチレータに入射して生じた蛍光が減衰していく過程で放射線が前記シンチレータに再び入射し、減衰を続けていた蛍光の強度が再び高まる現象であるパイルアップの発生を前記時点強度データの経時変化を基に判定するパイルアップ発生判定手段と、
    パイルアップの発生が判定されると、前記波高値取得手段が取得したパイルアップ発生前の前記波高値に対応する前記積算値を前記記憶手段より読み出すことによりパイルアップした二つの蛍光のうちの先に生じた蛍光の積算値を推定する先発推定手段と、
    前記先発推定手段により推定された積算値を前記積算手段が算出した前記積算値から減ずることによりパイルアップした二つの蛍光のうちの後に生じた蛍光の積算値を推定する後発推定手段とを備えることを特徴とする放射線検出器。
  2. 請求項1に記載の放射線検出器において、
    前記積算手段が参照する閾値は、前記データモニタ手段が出力する前記時点強度データにおけるノイズ成分がシグナル成分に対して増加するにつれて大きくなるように設定されることを特徴とする放射線検出器。
  3. 請求項1または2に記載の放射線検出器において、
    前記記憶手段が記憶する前記積算値は、パイルアップが発生しない状態で放射線を前記シンチレータに照射することにより前記データモニタ手段がモニタした蛍光の強度の経時変化を基に生成されることを特徴とする放射線検出器。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の放射線検出器において、
    前記記憶手段が記憶する前記積算値は、前記積算手段により算出されたものであることを特徴とする放射線検出器。
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