JP6354009B1 - 肌着 - Google Patents

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Abstract

【課題】ふんどし、特に越中ふんどしは、下腹及び股間周辺を柔らかく包み、全身の姿勢を決めていく骨盤及び腰椎に余分な力をかけずに添い包む、身体構造に沿って快適な着用感を具備している。圧倒的な普及品であるパンツの簡単に履ける長所は取り入れて、弾性素材による弊害を減らし、更に越中ふんどしの着用感にも切り換えられる肌着を提供する。【解決手段】包布10はふんどしのように着用部を包み、肌着1上端で伸縮帯11と接続して纏う。骨盤にかかる弾性力を規制する規制帯13は、腹側上端で弾性を有しない緩衝帯12bに固定され、背側のボタン13eに係止して、ふんどしのような着用感へ切り換える。更に腰椎下部に沿う背側緩衝帯12aを活用し、前だれ15に覆われる下腹の伸縮帯11aの効果的な縫製手段等を組み合わせて、全体としてより越中ふんどしの効用を持つ着用感を高める構成を採用できる。【選択図】図2

Description

本発明は、パンツのように簡単に履けて、越中ふんどしのような着用感に切り換えられる肌着に関する。
日本伝統の肌着である越中ふんどしは、普段使いの肌着としては、完全にパンツに置き換えられてしまった。例えば腰紐を結ぶことによるわずらわしさや、長時間の着用による横づれ及びたるみ等の着崩れ、腰紐の結び目による外装シルエットへの影響等、生活の近代化や西洋化に伴い、徐々に姿を見かけなくなってきたのには、それなりの訳を持つ。
パンツを履いたことのない日本人は、おそらくそうはいないであろう。パンツの長所はほとんどワンアクションで履ける脱着のしやすさや、ゴムなどの弾性素材による体型へのフィット性、並びに外装シルエットに影響しない形状や、様々なデザインを楽しめるバリエーションなどにあって、一般に「肌着といえばパンツである」と言えるぐらい、現代日本においては圧倒的な下半身用肌着の普及品となっている。
一方、最近ではパンツも問題を指摘され始めている。それは長所でもあるゴムの弊害によるもので、鼠径部、腰部を常に弾性力を持って締め付けることにより、血管、リンパなどの循環系の障害や、皮膚の色素沈着などに現れる肌ストレスから、さらには骨格、内臓などの器官の歪みへも繋がっているとされ、これらの症状を訴える着用者は常に一定数存在する。
他方でふんどしは、例えばヨガ、整体、及びボディワークなどに親しむ、人間の身体性に関心を持つ層より近年ある点から注目を集めていて、ふんどしを含む、例えばたすきやはちまきといった日本の生活用品には、新たな需要の潮流が生まれてきている。まさに温故知新としてこれらの生活用品群に共通する注目点は、紐の及ぼす身体への効用にある。
ふんどしにかかる身体への紐の効用は、腰紐による骨盤及び腰椎への効用にみられる。骨盤の状態は、人体構造から下半身の姿勢を決める元になる。姿勢の基礎である下半身を決める骨盤は、連携して動く腰椎の変化を伴って全身の姿勢を決める元になるとも言えるので「身体の要」と言われる。パンツ等の下半身用肌着は、その要の位置に着用される。
「帯で腰を立てる」「ふんどしの紐を締め直す」などのように、日本の生活用品の身体へ働きかける作用は慣用句の中に多く存在していて、日本人は昔からその効用を生活に活用してきた。ふんどしの腰紐は骨盤上縁付近に当接して、普段は着用者に意識されない程度の緩やかさで余分な力を掛けずに腰回りを包み、かつ体勢など着用者の姿勢の変化に対応して「ピン」と引き締めるように作用する。この作用を無意識下でも機能している身体感覚は認識して、骨盤を通した身体の調整作用を促していく効用を持っている。
身体の構造に沿った快適性を持つものの、何かと扱いづらいふんどしの装着性を改善したり、簡単に履けるパンツにふんどしを融合しようという試みは、既にいくつかの先行技術に見受けられる。更にここでは、骨盤矯正パンツなどの下半身用肌着に骨盤へ働きかける作用を付与する製品の調査も行ったので、それを含めて紹介していく。
特許文献1には、腰紐の一端を前だれに縫着し、背側の布に設けたループ片に一旦通した後、下腹の前で結ぶ構造により、長時間の着用から起きる、横づれやたるみ等の着崩れを防止するふんどしが開示されている。また特許文献2には、腰紐を排してゴムなどの弾性帯によりふんどしのような布部を支持した上で、臀部側面に前後の布を連結する横づれ防止紐を配置する構成により、横づれにより臀部及び陰部を露出してしまう着崩れを防止するふんどしパンツが開示されている。更に特許文献3には、環状のゴムベルトを骨盤周囲に配置した骨盤矯正パンツが開示されている。
特開2006−9222号公報 実用新案登録第3185617号公報 特開2014−50621号公報
ウィキペディア「ふんどし」(インターネットURL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B5%E3%82%93%E3%81%A9%E3%81%97)
本発明はふんどし(非特許文献1参照)の中でも、特に越中ふんどしの気持ち良さに着目する。布を紐で結び前だれを作って着用するというごくシンプルな構成である越中ふんどしから、快適性の元になる要素をできるだけ抽出するとともに、ふんどしの短所である装着性の諸問題を解消できる構成に置き換える。更には一般的なパンツのように簡単に履ける利便は取り入れて、従来のパンツのユーザーに、ふんどしを締める気持ち良さをより気軽に体感してもらえる肌着を未来に更新していくことを目的にしている。
特許文献1に記載のふんどしは、股下と鼠径部周辺に適度な通気性と開放感を確保する越中ふんどしの長所は残したまま、前だれと腰紐を効果的に配置することにより、横づれやたるみなどの着崩れを防止している。しかし前だれを左右に張られることにより、腰紐は遊びをなくして着用感はややタイトになり過ぎ、越中ふんどし独特の下腹への柔らかさも失われている。またふんどしのままの形状なので、紐結びの煩わしさや、結び目による外装シルエットへの影響といった点には、更なる改善を要する課題を残している。
また特許文献2に記載のふんどしパンツは、腰紐を拝して腰回りの構成をスッキリし、さらに臀部側面の横づれ防止紐で臀部のはみだし防止とヒップアップ効果を図っていて、主に装着を簡単にして外装シルエットへ及ぶ影響は抑えられるなど、所定の効果は得られている。しかし横づれ防止紐は臀部側面に斜めに位置していて、着用感はどちらかというとブリーフのようにならざるを得ず、ヒップアップ効果という美容的な効果は期待できるものの、鼠径部を含む股関節周辺の開放感には課題を残してしまう。また腰回りの構成は従来のパンツとさほど変わらず、弾性帯を巻回するのみであり、腰紐を結ぶふんどしのような着用感を引き出すには到らない。
腰回り、股関節を締め付けない開放的な緩めの締結感、並びに「ふんどしの紐を締める」という慣用句に現れるような、時に「ピン」と引き締める着用感。これらを兼ね備えて得られる骨盤に余分な力を掛けない快適な着用感こそ、ふんどしの着用感として希求されている点であり、腰紐を排してパンツのように着用する従来のふんどしパンツにおいて、現状で引き出すことができていない課題となっている。
そして特許文献3に記載の骨盤矯正パンツは、一般的なパンツの形態に骨盤矯正可能な緊結力を持つゴムベルトを、骨盤を広く覆う位置に取り入れる構成を採っている。この技術構成は、弾性力の大きいゴムを使い便利なパンツに骨盤矯正効果を持たせようという技術である。しかしここで問題となるのはこの「骨盤矯正可能な緊結力」にあり、従来の非伸縮性素材で緊縛固定する骨盤矯正ベルトのような製品よりは、弱くなっているとはいえ、それ自体が矯正力を期待される程の強い力になってしまうことにある。
また、弾性的挙動を多く含む素材で全周囲を覆い加圧する構成は、絶えず変化に同調するような伸長回復性、即ち弾性力を、装着部に連続的かつ恒常的にかけることとなり、身体感覚にとっては変化、即ち身体にかかる力のかかり具合の差違を、認識しづらくなってしまう問題を持つ。その結果、下半身用の肌着であれば骨盤の自然な動きを阻害して固定してしまい、全身の姿勢へも無理な影響を与えてしまう。このことは、上述した便利な装着性を持つパンツのゴムに起因する弊害と、程度は違えども一致する問題になっている。
生活習慣によってもたらされる体の癖や、こり、張り等を改善するのに、外部より緊結して矯正力となり特定の身体部位を固定するような強い力や、恒常的にかかる力に頼りすぎると、身体に新たな歪み、緊張を生む結果を生じやすい。本発明による肌着の設計哲学は、改善の主体を身体の反応、即ち身体の対応性に基づく「自然治癒力」に置いている。
越中ふんどしの布と腰紐による着用感は、普段着用者にとっては、無意識に気付かない程度の緩やかさで、ほとんど余分な力を掛けずに骨盤上縁を包んでいて、身体感覚に骨盤に水平に近い位置を伝えるガイドのような役割を果たす。運動による体勢の変化など、身体器官の位置関係の変化するような大きめの姿勢の変化には、「ピン」と軽く引き締めて差違をつくり、着用者の意識にも判る程度の作用に変化する。
これらすべての変化を、着用者にとっては無意識下であっても身体感覚は認識して、自然、即ち身体にとって抵抗の少ない状態へと向かう自然治癒力の流れに沿って、連動して対応する身体の調整機能を促して行く作用を起こす。越中ふんどしの布と紐により纏う構成は、いわば「自然治癒力の入口になる冶具」のように機能する着用感を持っている。
そして普段から働いていて、身体感覚には認識されているものの、着用者の意識にはほとんど感じることの無い程度のこの作用を、変化の生じている時に素直に感じ取れるようにする仕掛けは必要になってくる。それによりふんどしの効用に気づきやすい状態を作り出し、効果の定着につながっていく。
このような現状を省みて、本発明においては、一般に普及していて簡単に履けるというパンツの長所は取り出して、身体に恒常的にかかる、伸縮性素材の弾性力による身体への悪影響はなるべく減らす。越中ふんどしからは、布に包まれて得られる、特に股間周辺と下腹に効果のある開放的で柔らかい履き心地を引き出すとともに、身体の要である骨盤周辺を緩やかに、かつ体勢などにより「ピン」と引き締める、腰紐を結ぶような着用感を引き出す。そして普段はパンツのように履けて、着用者の意志により、越中ふんどしのような着用感に切り換えることもできる構成の肌着を提供していくことを課題にする。
上述の目的に到達し、かかる課題を解決するために本発明の採る手段は、肌着であって、ふんどしのような長尺の包布と、前記肌着上端領域に前記包布を接続する、伸縮性を含む素材で構成される1又は複数の伸縮帯と、前記伸縮帯による弾性力の規制手段として、少なくとも骨盤の一部にかかる規制帯と、更に、前記肌着上端領域に配置する1又は複数の緩衝帯を備え、前記緩衝帯は、前記伸縮帯の伸縮を固定して無効にするステッチ又は弾性力を有しない箇所の少なくともいずれかで構成され、前記規制帯は、前記伸縮帯より伸度の小さい素材により構成され、1又は複数の任意の箇所について着脱可能な方法で、前記緩衝帯に固定されることを特徴とする。また例えば、前記包布の全幅を有する、前記肌着上端領域の背側は、前記緩衝帯により構成されることを特徴とする。
そして例えば、前記規制帯は、1又は複数の係止具を用いて機能することもでき、前記規制帯に用いる係止具は、ボタンとボタンホールの組み合わせから成ることもできる。また例えば、前記伸縮帯の直接皮膚に触れる弾性力を有する箇所を被覆するカバー生地を設けて、前記規制帯を前記カバー生地に接続して一体にして形成することもできる。
更に例えば、前記肌着上端領域の腹側に、前記包布に別構成の生地を接合して、又は、前記包布を折り返して上端を縫合して若しくは縫合しないで、形成する前だれを備えることもでき、そして例えば、前記肌着上端領域の腹側に位置する前記伸縮帯は、前記前だれに覆われて、前記包布及び前記前だれと共に、引き伸ばした状態で伸縮方向に直交して縦及び/又は斜めに、両端又はそれ以上のステッチで縫着することもできる構成となっている。
本発明により提供される上記構成の肌着は、臀部、股下部、及び下腹部を包むふんどしのような包布を、伸縮性を含む素材で構成される伸縮帯により纏い、パンツのような着用方法で、鼠径部及び股間を締め付けることなく履ける。前記伸縮帯の便利な着用性は取り入れて、着用者身体への弊害となり得る弾性力、特に身体の要である骨盤にかかる弾性力を、伸縮帯より伸度の小さい素材により構成される規制帯により規制して、一般的なパンツのような着用感から、腰紐を締めるふんどしのような着用感に、紐を締結することなく切り換えることを可能にする構成を採っている。
肌着上端領域に配置する、伸縮性を含む素材で構成される1又は複数の前記伸縮帯は、身体への弾性力に起因する悪影響をなるべく少なくするように配置され、同じく上端領域に配置される、弾性を有しない箇所で構成される1又は複数の緩衝帯は、着用感の調整や規制帯の安定した固定箇所として活用される。特に背側に配置する前記緩衝帯は、前記規制帯と連携して機能することで、腰椎と骨盤を一体的に添い包み、骨格へ及ぶ身体の調整機能を促す、越中ふんどしのような着用感を作り出す。
骨盤にかかる弾性力を規制して、着用感を切り換える規制手段である前記規制帯には、程良い嵌合具合のボタンとボタンホールの組み合わせを係止具として用いることは好ましく、着用者の肌ストレスへの対策として、前記伸縮帯のうち、直接皮膚に触れる弾性力を有する箇所を被覆するカバー生地を設けて、そこに前記規制帯を接続して一体にして取り付けることもできる構成になっている。
更に意匠のバリエーション、腹部の保温、及び陰部への視線をカバーする手段として前だれを腹側に取り付けることもでき、前記前だれに覆われる前記腹側の伸縮帯を、重なる生地と共に伸縮と直交方向に縦及び/又は斜めに縫着する縫製手段により、ふんわりとして下腹を圧迫しない緩やかさと、より柔らかなあたりで包布を纏うことを可能にする。
上記手段を組み合わせて、弾性素材を活用してパンツのように履ける肌着において、越中ふんどしに準ずる着用感を引き出して、骨盤にかかる余分な弾性力を、着用者の意志により規制して切り換えられる構成を採用している。
本発明の構成によれば、一般的なパンツのような簡単な履き方のまま、ふんどしの布に包まれる開放的な履き心地を得られ、さらに簡易な動作により、骨盤に余分な力をかけないふんどしのような着用感に切り換えることができ、更に越中褌に準ずる緩やかで柔らかい着用感を得ることもできる、手軽で実用的な肌着を提供することを可能にする。
本発明の実施例を示す、展開図である。 本発明の実施例を示す、規制帯無効時における外観前方斜視図である。 本発明の実施例を示す、規制帯有効時における外観後方斜視図である。 本発明の実施例に示す、カバー生地と一体で取り付ける規制帯の拡大図である。 本発明の実施例を示す、前だれをめくって上端領域腹側を下方から見た概念図である。 本発明の応用例を示す、展開図である。 本発明の応用例を示す、規制帯無効時における外観前方斜視図である。 本発明の応用例に示す、短縮版前だれを外側面、内側面、下方から、及び短縮版前だれの変形例を外側面から見た概念図である。
以下、本発明による実施形態を、基本的な製造工程、各構成要素の作用効果、そして使用方法という順番で、添付図面を参照にしながら詳細に紹介していく。添付図面のうち展開図において、破線を山折り、一点鎖線を谷折りで表現している。また同じく展開図において斜線は縫合にかかる領域、網掛は緩衝帯を形成する領域を表現している。すべて図面は概要であり、寸法及び寸法比などは表示以外の数値も取り得る。
本明細書では出来上がり着用時において、身体に当接する面を内側面、外側となる面を外側面として説明していく。また本明細書においての「胴囲」とは、様々な着用者の使用形態を鑑み、腰部においてもっとも細いウエスト近傍から臍下付近の高さの腸骨上部周囲の範囲を意味していて、男女とも同域を設定している。それでは、好適な実施形態である実施例から順に説明していく。
(実施例)
図1は実施例に示す肌着1の展開図である。また図2は実施例に示す肌着1の規制帯無効時における前方からの斜視図であり、図3は実施例に示す肌着1の規制帯有効時における後方からの斜視図である。
図1〜3に示すように肌着1は、臀部、股下部、及び下腹部を包む長尺の包布10、上端領域に配置される伸縮性素材による伸縮帯11、同じく上端領域に配置される非弾性素材による緩衝帯12、骨盤にかかる弾性力を規制して着用感を切り換える規制帯13、露出して皮膚に接する弾性素材を被覆するカバー生地14、腹側外側面に配置される前だれ15で構成される。
図2及び図3で示す肌着1の出来上がり形状に見る構成の概略は、包布10は着用者の臀部と腹部を股下を通って包み、肌着胴囲を形成する上端領域において伸縮帯11と接続してふんどしのように纏う。上端領域で包布10の背側と腹側ををつなぐ位置に露出する体側用伸縮帯11bをカバー生地14で被覆して、そこに規制帯13を一体にして縫いつけ、他方は背側のボタン13eに係止することにより、骨盤にかかる弾性力を規制してふんどしの着用感に切り換える仕組みになっている。更に背側緩衝帯12aを着用者の腰椎下部と腸骨後方上縁を覆う包布10の全幅に配置することや、腹側外側面に前だれ15を配置して、下腹用伸縮帯11aを効果的に縫製することにより、全体としてより骨盤を固定しない効用を持つ、越中ふんどしのような着用感を高められる構成になっている。
では、肌着1の基本的な製造工程から説明していく。
包布10は、図1において生地裏面、即ち内側面から見た展開を示している。四方端を3つ折りにして始末した包布10は、着用の際腹側になる短手一方端、即ち図1に示す100で、前だれ15を出来上がり状態にして袋縫いしておく。実施例は、包布10に綿地で柄物の布を採用している。また前だれ15には、包布10と同素材で別柄の生地を短手同幅かつ適切な長さに裁断し、端部を始末して用いている。包布10と前だれ15の縫合線は腹側の上端を形成する。
伸縮帯11には、平ゴムならば100mm〜350mm程度の幅を用いる。ここでは図1に示すようにあらかじめ下腹用の11a、両体側用の11bに裁断している。実施例は幅320mm、伸度230%の広幅の平織ゴムを採用して、下腹に沿わせる11aは160mm、両体側に沿わせる11bは120mmに裁断している。
先の工程で袋縫いしてある包布10と前だれ15の間の縫合線よりやや下方の位置、即ち図1に示す101に、下腹用伸縮帯11aを引き伸ばして合わせ、両端を前だれ15の上から3つの部材と共に縫着し、同方向即ち包布10の長手方向に、斜めやや外側に広がる角度で、略同間隔を空けて、ゴム幅の半分程度の長さに、2か所を縫い止める。上端領域に縫着された伸縮帯11aと包布10の左右両端の間は緩衝帯12bとなり、下腹用の伸縮帯11aより下方の領域で重なり合う生地は縫い止めないので、下から見て開放になる。
規制帯13は、図1において生地表面から見た展開を示している。規制帯13の主要構成要素であるベース帯13aは、実施例では包布10と共布を採用している。ここでは180mmx100mmの長方形に裁断した後、裏返して所定の位置に補強芯地13bを縫着の上、収納ボタン13cの取付とボタンホール13dの加工を施す。その後長手と短手の各一方端を縫い止めて表返しておく。収納ボタン13cは、規制帯無効時、即ち肌着1をパンツのように着用する際に、ベース帯13aを折りたたんで収納するためのものであり設置は任意である。
カバー生地14は、直接皮膚に接する伸縮帯11bを被覆するために設けられる。ここでは180mmx100mmの長方形に裁断して短手端部を始末の後、長手端部同士を縫い止めて表返し、長手方向の空洞を持つように縫製する。実施例はカバー生地14に包布10と共布を採用している。カバー生地14の一方端とベース帯13aの収納ボタン13c側端部とをそろえて重ね、長手方向に所定の寸法(図1、図4に示す140)だけ上下の長手端部同士を縫い合わせておく。短手両端部は縫合しないので、カバー生地14は長手全長に渡り空洞のままである。
次に着用部を前後に包む包布10を、胴囲に沿って纏えるように左右の体側に配置する部材を接合していく。左右に配置する部材として、カバー生地14の長手全長に渡る空洞の中に体側用伸縮帯11bを貫通させて、先の工程でベース帯13aと縫い合わせた側の端部と揃え、図1に示す腹側緩衝帯12b端部の、包布10と前だれ15の間に挟んで、ベース帯13aとカバー生地14を覆う程度の幅寸法で縫着する。
更に包布10の背側全幅に形成する緩衝帯12aを、図1に示すように300〜450mm程度の幅で三つ折りにして、規制帯13に用いる係止ボタン13eを、図1に示す104に、芯地13fを施して取り付ける。104は互いに嵌合するボタンホール13dに対応する位置であり、規制帯13の機能有効時において、体側用の伸縮帯11bを自然状態で引き伸ばすことなく嵌合できる位置である。これにより骨盤にかかる弾性力を略規制することを可能にする。
次に先の工程で腹側緩衝帯12bの端部に縫合されている、体側用伸縮帯11b、規制帯13、及びカバー生地14の3部材の他方端を揃えて、図1に示す背側緩衝帯12aの端部に縫着してから、最後に背側緩衝帯12aに折り重なる生地の下端を縫合することで、実施例の肌着1は出来上がる。
次は包布10から順番に、各構成要素の機能、及び作用効果を解説していく。
「包布10」
包布10は、大人男性用Lサイズなら、長手800〜1000mm程度、短手300〜400mm程度の生地を用いる。これは裁断された1枚生地を用いても良いし、接続した複数の生地を用いても良い。越中ふんどしの特徴を活かし、着用中股下に出来る空間をつくるため、やや長めの寸法をとる。
形状は、長方形に限定することなく、多角形や、曲線を組み合わせても良く、それ以外の形状も取り得る。ただし実施例では、立位から座位などに変位することによって自然にドレープされ、適度に重なり合って陰部を包む越中ふんどしの履き心地を残すため、等幅の長方形を採用している。
適度な柔軟性を持つ綿、絹、麻などの天然素材は、アレルギー反応を起こしにくい点からも包布10の素材として好適といえる。特に晒の一枚布は「サラッ」とした通気性に富み、包布10の素材としては最適であり、綿ガーゼや綿シルク混紡、メリヤス系の生地も好ましい。また冬期向けの製品なら、例えば外側面に綿ジャージー素材を縫い合わせて、保温性を加味するなどしても良い。着用者に通気性、保温性、快適性等を提供するにあたって、当然上記の素材に限定されるものではない。また色、柄等も限定されず任意のものを用いて良い。
包布10の構成による作用効果は、
第1に、ふんどしのような布の形状により、ブリーフのように弾性素材で鼠径部を締め付けられることは無く、トランクスのように肌着の構造により下肢の動きを制限されることも無い。よって肌着の構造により、股関節及び鼠径部周辺を通るリンパ、血管系等の、循環系器官の流れを詰まらせることが無い。
第2に、股下の空間に余裕を作るやや長めの寸法を取ることにより、体勢の変位を伴っても布や縫い目が陰部に密着せず、股間の治まりを快適にする。
第3に、例えば内側面に通気性の良い素材を選択することなどにより、男性であれば陰部の温度上昇を防ぎ、女性であれば蒸れを防いで、健康衛生に寄与する。
例えば睾丸を冷やし、股間を締め付けない効果は成長期の男子、更には男性全般への履き心地を高め、下肢を自由に動かすことができるとともに、適度な空間とドレープで陰部を包む効果は主に女性に求められる履き心地を満たす。総じて着用者は、股関節及び鼠径部周辺に開放的なふんどしの履き心地を得て、肌着を弾性素材による身体への弊害なく健康的に着用できるようになる。
「伸縮帯11」
本発明では、パンツの簡単に履ける利便は取り入れたまま、弊害となる恒常的にかかる弾性力による身体への悪影響を、なるべく減らすことを設計課題の一つにしている。包布10にふんどしのような形状を取り入れて股関節周りにかかる弾性力をなくした肌着1では、規制帯13を無効にしてパンツのように履く際も、胴囲にかかる着用感を基本的に締め付けない緩めの着用感に設定することは望ましい。
具体的にはサイズ展開において、伸縮帯11の下端は腸骨上縁に引っかけてのせて離脱しない胴囲サイズで、かつ着用者の臍下の高さ付近で纏うように支持して履く際も、緩めの着用感をもたらす程度になる弾性の調整を、着用者の標準サイズを検討してあらかじめ設定していく。実際には、一般的なトランクスの胴囲設定より、着用前の自然状態でやや長めの寸法を採ることが望ましい。またトランクスのように1本の平織ゴムを巻回して取りつけるよりも、1又は複数の伸縮性を含む素材を断続的に配置することを推奨する。
本発明による肌着では、1又は複数の伸縮帯11を任意に配置できる。実施例の肌着1は、伸縮帯11を上端領域に3つ、断続的に配置して包布10に縫着固定している。伸縮帯を切り分けてそれぞれの伸縮の縁を切り、各伸縮帯11の間には弾性力の無い緩衝帯を設けている。3つの伸縮帯の縁を切り伸縮を必要とする箇所に配置することで、例えば体側用伸縮帯11bは、主に履き易くするための着用動作にかかる伸長をまかない、下腹用伸縮帯11aには、着用中に起こる胴囲の増減及び変化へ対応する役割を任せるような調整を可能にして、肌着1に着用感のバリエーションを増やせる。
体側用伸縮帯11bの寸法は、肌着1の構造から前後の包布10の端部を繋ぐ位置を形成するため、肌着1の基本的な胴囲サイズを決める要素になる。例えば実施例のような素材、伸度、寸法等で配置して、かつ下腹用伸縮帯11aにおいても素材、伸度、寸法等のバランスを調整して設定することで、着用動作を快適にする伸縮性を持たせ、基本的に緩めな着用感になる胴囲サイズを構成する長さを持ち、かつ着用中はほとんど伸長せず、骨盤にかかる弾性力を抑えるように設定できる。余分な力を恒常的にかけて、骨盤の自由な動きを阻害しかねない弾性力による影響を、伸縮帯11のみでパンツのように履く時においても効果的に減らすことができる。
また規制帯13の機能有効により体側用の伸縮帯11bの伸縮は略規制されるので、設定によっては脱ぎづらくなる。そこで下腹用の伸縮帯11aを急な用便にも対応して着脱することができる伸縮性を持たせ、かつ摂食による胴囲の増減にも過度に下腹を締め付けることなく対応できるように素材、寸法、伸度等を、実施例のように適切に設定する。実施例のような配置の場合、伸縮帯11bの設定は、着用中の離脱防止やサイズ調整にかかる伸縮を受け持ち、規制帯13の機能有効または無効の双方にかかる着用感の巾をつくり出す要素になる。更に緩め、きつめになる設定を含めて、求める効果を定めて適切に設定していく。
伸縮帯11の素材、伸度、寸法、配置、及び個数等は、実施例に限定されることなく、それ以外の構成を取り得る。素材であれば、シャーリング加工を施した生地、及びポリウレタンを含むストレッチ系の素材を含む構成などに変更しても良く、それ以外の構成も取り得る。例えば体側と下腹でゴムの幅、伸度を変えたり、あるいは一方に広幅ゴムを用い他方にシャーリング加工を用いるなどして別素材で構成したり、それ以外の組み合わせも取り得る。
配置であれば、上端領域の任意の位置に複数の伸縮帯を配置しても良いし、例えば背側の包布10左右上端から腹側を1本の伸縮帯11でつなぎ、包布10の背側を除く上端領域に配置しても良い。また腹側のみに伸縮帯11を配置して他を省くこともきる。
更に腹側の伸縮帯11にかかる縫製手段により、下腹の領域に越中ふんどしのような緩やかで柔らかい当たりを実現することも可能になる。腹側の伸縮帯11にかかる縫製手段については、実施例の最後に詳しく紹介する。
伸縮帯11の構成による作用効果は、
第1に、弾性挙動を有する伸縮性素材を活用することで、ふんどしのように紐を結ぶ手間を要さず、パンツのような簡単な着用動作で履ける利便を得られ、着用中のたるみの心配も無くなる。また、平坦な平ゴムなどの素材を用いることにより、胴囲の構成をすっきりし、上に着る服のシルエットへ及ぶ影響を抑えることができる。
第2に、1又は複数の伸縮帯11を、身体構造の特性に沿い間隔を空けて配置することで、弾性帯を巻回する肌着では出来なかった、細部にかかる弾性力の配分設定ができるようになる。よって一定のホールド感と履き心地を維持したまま、全体に過度に伸縮しない、基本的に緩めな着用感を作り出すことができる。また、特に骨盤にかかる余分な弾性力を効果的に減らすことができるので、変化に対応する自然治癒力の流れを阻害することがない。色素沈着に現れる肌ストレスから、姿勢の固定により生じる体の癖に至るまで、生活習慣病へ繋がる流れを未然に断ち切ることが出来る。さらに日常においても疲れにくいという効果を得られる。
「緩衝帯12」
本来身体は、器官を己にとって自然、即ち抵抗の少ない位置へと促す自然治癒力を備えていて、骨盤は決して固定されているものではない。関節を通して他の骨と繋がり、全身の骨格は連動して動いている。
身体サイズの細かい変化に常に同調して追従する弾性素材は、親切にも常に位置を補足し過ぎて、身体感覚にとっては、元に帰る位置を判らなくさせてしまう可能性を秘めている。これが長期間に渡り恒常的にかかる力となると、身体器官は自然に帰る位置ではない、無理な位置に固定されることになりかねず、そこが骨盤であれば、全身の姿勢に影響していく。例えば弾性帯を骨盤にかかる位置に巻回することは、いわば「親切に力をかけ過ぎる」事になってしまう。
緩衝帯12は、肌着1上端領域において、伸縮帯を配置しない箇所、又は伸縮帯の少なくとも一部をあらかじめ弾性力を有しない状態で縫着固定して、あるいは同領域に在る例えば包布10端部等の弾性を有しない箇所を用いて設定する。実施例では、肌着1の上端領域の背側に緩衝帯12aを、腹側に緩衝帯12bを設定している。
特に背側の緩衝帯は、骨格に余分な力をかけずに包む、越中ふんどしのような快適な着用感を得る要素の一つになっている。実施例では肌着1の上端領域背側に伸縮帯11を配置せず、300〜450mm程度の幅で三つ折りにした包布10の生地端部により、背側緩衝帯12aを形成している。この領域は規制帯13の有効により左右から張り出されて後方から腰椎下部に当接する。全身、特に上半身の姿勢を決める上で大切な要素である腰椎の生理的弯曲に、着用者の後方から程良い加減で寄り添うように幅を設定するとともに、フィット性を持ち基本的には薄く柔らかい性質の繊維を用いる。
また包布10の端部を折り返して形成するだけでなく、例えば包布10に伸縮性の比較的大きい厚手の生地を用いる場合などは、伸度の小さい別生地で構成して包布10と接合しても良い。または芯地13fを腰椎と腸骨後縁に沿う程度に拡大して配置しても良い。緩衝帯12aと芯地13fは、包布10の伸縮性や厚みなどに応じて、平ゴムのような弾性素材と比べて伸度の小さい素材を用いるなどして配置する。緩衝帯12は、包布の素材をよく検討の上、配置、素材、個数、寸法等を、製品サイズ展開において適切に設定していく。
また伸縮帯をあらかじめ弾性力を有しない状態で固定して設定する緩衝帯の例としては、例えば製造工程の簡易化等で、伸縮帯11として平ゴムなどの弾性帯をパンツのように胴囲に巻回、即ち一周して用いる場合を挙げられる。この構成は上述の通り、恒常的な弾性力の弊害を最も受けやすい構成であり、骨盤を初めとする骨格の自然な動きを阻害して固定化しかねないので、伸縮帯11の伸度、寸法及びサイズ等には特段の配慮を要する。
このような構成を採用する際は基本的に、サイズ展開において未着用時の胴囲サイズを長めの寸法に設定するとともに、特に腰椎を中心に、少なくとも仙腸関節(仙骨と腸骨の間の関節)を覆う程度の幅は、伸縮帯11をあらかじめ、自然状態のまま伸ばさずに縫着固定して弾性を無力化したり、所定の長さの当て布を縫着するなどして、緩衝帯12を設定することが望ましい。
これにより着用者後方から、腰椎の生理的湾曲を中心に両腸骨後方上縁までを、程良い張りを持って当接することができ、例えば規制帯13の無効時においてパンツのように着用する際に、腰椎に伸縮自在の弾性帯が当たらないことで、無理な姿勢が固定される「腰の抜け」を防止できる。
また、背側の領域に規制帯13の安定した係止箇所、及び固定箇所を設けられる効果は大きい。実施例のような規制帯13では、他方の固定箇所は、骨盤前方上縁を略覆う位置にあるので、緩衝帯12aは規制帯13の有効により、骨盤と連携して動く腰椎を、一体的に添い包むことができるようになる。連動して全身の姿勢を決めていく骨盤と腰椎に、より大きく作用を伝えて、身体の骨格に及ぶ調整機能を促す効果を高められる。
上述の2例のように、背側に設ける緩衝帯12は、腰部の構造に沿って快適性を提供する、越中ふんどしのような着用感を得るための要素の一つになっている。本発明による肌着では、少なくとも上半身の姿勢に影響を与える腰椎の生理的弯曲を覆う程度、更に好ましくは上端領域背側における包布10の全幅を、緩衝帯12にすることを推奨する。
さらに、実施例では腹側緩衝帯12bを幅30mm〜70mm程度設定している。ここの寸法も、規制帯13の機能無効時、即ちパンツのように肌着1を履く時と、規制帯13の機能有効時、即ちふんどしの効用を引き出して履く時の、機能と着用感を決める要素になる。
実施例において緩衝帯12bは、腸骨前方上縁と下腹の柔らかい部分の境目に配置され、パンツのように履く際には、ずれを防止してホールドする機能を高め、ふんどしのように履く時においては、しっかりと腸骨を非弾性素材で包み込むことに貢献していて、規制帯13の機能有効時、又は機能無効時双方の着用感を高める効果を発揮する。
緩衝帯12の構成による作用効果は、
第1に、弾性素材の使用箇所を抑えることができるので、規制帯13無効時、即ちパンツのように履く際の着用感を基本的に緩めの着用感に設定できる。特に胴囲に分かれて配置される伸縮帯11による弾性力の及ぼす作用を緩衝して、締め付け感を軽減する効果は顕著である。
第2に、身体構造に沿った適所に配置されることにより、規制帯13無効時、即ちパンツのように履く際の着用感を変化させられる。骨盤の縁など適所に配置することにより、緩めの着用感を得たまま、横ずれ等の着崩れを防止するホールド力を得ることが出来る。 第3に、規制帯13の安定した固定、及び係止箇所を提供できるので、骨盤にかかる弾性力を規制する規制帯13の機能をより高めて、骨盤に余分な力をかけないふんどしのような着用感を作り出すことに寄与する。結果、着用感の巾を拡げ、着用者の細かいニーズに対応できるようになり、製品のバリエーションを増やすことを可能にする。またその他にも収納ボタン13cや、着脱可能な前だれ15に用いる係止具等のオプションを設定する領域を確保できるので、肌着1をより使い易い仕様にすることができる。
請求項2にかかる、上端領域背側において包布10の全幅を有する緩衝帯12aの作用効果は、
第1に、腰椎下部と両腸骨後方の上縁に程良い張りを持ってフィットすることで、規制帯13無効時において、例えば体育座りなどで体勢変化の大きい時や無理な姿勢の時に、弾性素材を使う従来品に現れるような、胴囲の締め付けや腰の抜けを防いで、骨盤周辺を自然な位置へと促すことができる。よって姿勢の固定化などを未然に防ぐ効果がある。
第2に、規制帯13の機能有効時に連携して、連動して全身の姿勢を決めていく骨盤と腰椎に、一体化して働きかけることができるようになり、より大きく作用を及ぼすことを可能にする。よって身体の骨格に及ぶ調整機能を促す効用を持つ、越中ふんどしのような着用感を得ることができる。
「規制帯13」
身体の要の位置にある骨盤は、身体に等しくかかる重力と平衡して略水平になるときに最も安定して最も自由に動きやすくなり、骨盤が安定することにより全身の姿勢も整いやすくなる。よって規制帯13は、肌着1の胴囲を形成する領域において立位略水平に着用できる位置に配置される。また骨盤上縁付近の胴囲には、腸骨、仙骨、腰椎下部が位置していて、規制帯13の機能有効による作用を効果的に用いるためには、個人差はあるものの、だいたい臍下の高さ辺りに着用されることは望ましい。
固定箇所及び係止箇所を設ける緩衝帯12には、上述のように伸縮帯11を配置しない箇所や、包布10の端部等だけでなく、例えば伸縮帯11の途中で規制帯13の一方端を包布10の生地等とともに縫着固定しても設定できるが、規制帯13の機能を出来るだけ安定して発揮させるには、伸縮帯11を配置しない箇所や、包布10の端部等に設定する緩衝帯12を用いることは、より好ましい。
実施例の肌着1で左右一対の規制帯13は、着用者の胴囲にかかる上端領域において、両腸骨上縁を添い包むようにかかり、且つ並列して在る伸縮帯を覆う長さでかかる位置に在り、着脱可能な一方端の係止具を嵌合することにより、骨盤にかかる弾性力を略規制して有効に機能している。全周を紐で囲まず、骨盤にかかる領域を効果的に規制することで、身体の要である骨盤に余分な力をかけず、普段は着用者に意識されない程度に緩く、体勢などの着用者の姿勢変化に応じて軽く「ピン」と引き締める、腰紐を結ぶふんどしのような着用感へ切り換えることを可能にする。
また実施例では、係止ボタン13eのある背側の緩衝帯12aは、着用者後方から腰椎の生理的湾曲を中心に程良い張りを持って当接している。規制帯13は骨盤領域にかかる弾性力を規制するので、両者連携して腰椎と骨盤を一体的に添い包み、身体感覚により大きく作用を伝える越中ふんどしのような着用感を、紐結びによらず引き出す。
更に規制帯13の前端は、腹側の緩衝帯12bの端部に固定されているので、規制帯13有効時にはより着実に腸骨上縁の領域を包むことができ、ふんどしのような着用感に、緩やかさと安定性を上乗せする。規制帯13は、あらかじめ設定している緩衝帯12と連携することで、このように着用感の巾を作り出すことができる。
ベース帯13aは、規制帯13の主要構成要素であり、体側用の伸縮帯11bによる弾性力を規制するため、平ゴムのような弾性素材と比べて、伸度の小さい素材を用いる。形状、寸法、素材等は、実施例に限らず、それ以外も取り得る。
一般に、弾性素材である平織ゴムの伸度は180%〜400%程度である。対して弾性的挙動を示さない汎用的な繊維の伸度は、綿で3〜7%程度、絹で15〜25%程度、ナイロンで25〜60%程度とされる。これは湿度標準時の値であり、天然繊維は湿潤時に更に伸度の上がる傾向を持っている。
規制帯13は、機能を有効にすることにより普段は緩やかに、かつ体勢等の姿勢の変化により「ピン」とテンションをかけて骨盤の水平に近い位置を身体感覚に伝える。作用の変化を伝える際に、急に張るような挙動は身体に余分な力が入ることになりやすいので、適度な伸度を持ち、弾性的挙動を起こさず、かつ適度な可とう性を持つ繊維製の素材は、ベース帯13aの素材としては適切である。ただしこの機能を発揮できる性能を持てば、繊維製の素材に限定されるものではないので、皮革及び人工皮革等も含めて、それ以外の選択を限定するものではない。
本発明による肌着には、実施例のように規制帯13に用いる係止具にボタンとボタンホールの組み合わせを用いることを推奨している。ボタンの適度に緩い嵌合具合は、ふんどしにおける適度なゆるみの如く遊びをつくるので、規制帯13の着用感に程良い加減を作り出す。
規制帯13の有効時に越中ふんどしのような着用感を作り出すには、この適度なゆるみは必要になる。規制帯13有効の平時、即ち骨盤水平な時の緩やかに無意識下に働く着用感、及び規制帯13有効の変化時、即ち座屈など骨盤の傾きを伴う時の、軽く「ピン」と張る着用感の両方において、必要不可欠な要素になる。
越中ふんどしにおいてこの適度なゆるみは、着用者による紐の結び加減と、腹側の紐に載せる前だれの具合により作られている。ゆるみという付加価値を紐結びでなく、より簡易な着用動作で得られる構成の一つが、本発明による肌着において規制帯13の係止具にボタンとボタンホールを用いる組み合わせになる。
ボタンホールはボタンを無理なく掛けるため、必然的にボタン幅より大きい径の穴となっている。実施例においてボタンホールの配置されているベース帯13aの生地は、綿地でボタンより柔らかいので、引っ張り力の働く方向には構成繊維の伸度分だけ生地は緩やかに引き伸ばされ、逆にゆるむ方向に力が働く際にはボタンホールの中にボタンが動く遊びを作ってくれる。着用中に力のかかる向きの両方において、かかる力の具合を緩やかにする作用を及ぼしている。急激に力がかかって、体に余計な力が入るようなこともなく、姿勢の変化などの際に起こる「ピン」と張るテンションにも、より滑らかな程良い加減を作り出してくれる。これは常に変化に同調あるいは追従する、ゴムのような弾性素材では得にくい効果となる。
またボタンとボタンホールは、例えば各着用者の骨盤の前傾、後傾度に合わせて係止箇所を起点に、プラスマイナス5度程度の傾度をつけて着用するという使い方もできる。姿勢は、生活習慣等から生じる骨盤の傾きといった人による個性から作られていくので、自分で傾きを確認できる人にとっては、ボタンを起点にして簡単に位置を調整ができることで、より効果的に肌着1の効能を取り扱うことができる。
係止箇所は、実施例のように一方端を背側に設ける後ろ止めだけでなく腹側に設ける前止めとしても良い。また、両端を縫着等によりあらかじめ固定して、規制帯13の長さ全域の任意の箇所に係止具を設けることもできる。さらに実施例のように両端の一方を固定、他方を着脱可能にするだけでなく、両端を着脱可能とする変形も可能である。この構成においては、ベース帯13aにスナップボタン等の係止具等を設けて、規制帯13自体を着脱可能とすることもできる。また係止箇所は1つに限らず複数設けることもでき、規制帯13が長くなる場合は、肌着上端領域の任意の箇所に、規制帯13が安定して機能する補助機構として中継のベルトループ等を設置しても良い。
係止具はボタンとボタンホールに限定するものではない。例えばベース帯13aに用いる繊維生地を介して、平紐、打紐などの弾性力を持たない伸度の小さい素材、及び/又は面ファスナー、ホック、コードストッパー、若しくは足袋に用いるこはぜなどの係止具を、縫着その他の手段で接合して、組み合わせるなどの変形も可能であり、それ以外の構成も取り得る。
例えばこはぜ等の場合、爪と掛糸による係止は、係止具合をタイトにしすぎる可能性もある。ゆるみをつくるため、ベース帯13aに用いる生地や組み合わせる素材の選択、及び接合する位置などを、任意に調整して設定することを推奨する。
また、ベース帯13aに用いる繊維生地と組み合わせて弾性力を持たない平紐、打紐などの素材を用いたり、ベース帯13a自体を変形して一方端をテーパー状に紐とするような加工にする場合は、紐結びによる締結も可能になる。この場合、紐結びの加減により、伸縮帯11の規制度合を変えて、着用者により微調整することも可能になる。
このような仕様の場合、着用者は紐を締め直すにあたっても、伸縮帯11により包布10を安定して胴囲に纏ったまま、着崩れを心配することなく調整できるので、従来のふんどしのように、締め直しの都度、安定性を失う布の状態を気にしながら調整するという手間は必要なくなる。
規制帯13の構成による作用効果は、
第1に、全周を紐で囲まず、胴囲にかかる弾性力のうち、骨盤にかかる領域を効果的に規制することで、骨盤の自由な動きを阻害せず、自然治癒力を引き出すふんどしのような着用感を、着用者の意志で簡単に得られるようになる。例えばボタンを各一回掛け外しするだけで、着用感を切り換えることができるし、紐結びのような形態としても、従来のふんどしのように不安定な体勢での作業を伴うことは無い。よって着用者はより簡単にふんどしの紐のような効用を楽しむことが出来る。
第2に、骨盤にかかる弾性力を略規制することで、伸縮帯11を効果的に使えるようになる。例えば規制の範囲外にある腹側の伸縮帯11を組み合わせることで、摂食や排便等による一過性の胴囲の変化がある際も、腹側の伸縮帯11に対応を任せることで、一度機能を有効にすれば何もしないでサイズ調整を行える。骨盤にかかる規制帯の効用を得たまま、従来のふんどしのように「ふんどしの紐を締め直す」様な作業はいらなくなる。着用者はより簡易にふんどしの紐のような効用を味わうことが出来る。
また、請求項3又は請求項4にかかるボタンとボタンホールの組み合わせ、及び/又はその他の係止具で機能する規制帯13の作用効果は、
第1に、着用感の切り換えに手間を要しないことにある。よって着用者は簡易に着用感を切り換えて、ふんどしの紐を締めるような効用を得ることができる。
第2に、係止具の創る遊びにより、適度なゆるみをつくり、作用時に骨盤に余計な力をかけることを防げるので、規制帯13有効時の着用感をより滑らかにして、得られる越中ふんどしのような着用感の質を高めることができる。よって身体の自然な調整機能を促し、結果疲れにくい効用を得られる。
総じて規制帯13は、一構成の肌着で胴囲にかかる着用感を、従来のパンツのような着用感と、ふんどしの腰紐を締めるような着用感に切り換えることを可能にしている。全周囲を紐で囲まず骨盤にかかる領域を効果的に規制することで、パンツのような簡単な着用動作で履ける肌着に、腰紐を結ぶようなふんどしの着用感を兼ね備える、従来のふんどしパンツ等には無い効果を得られる構成となっている。
「カバー生地14、及び一体で取り付ける規制帯13」
図4はカバー生地14、及び一体で取り付ける規制帯13の拡大図である。実施例では、体側用の伸縮帯11bを被覆するカバー生地14の一部に規制帯13の構成要素であるベース帯13aの一方端側を縫い付けた上で、背側12aと腹側12bの端部に縫着固定する、カバー生地と一体で取り付ける規制帯13を採用している
カバー生地14の長さは、体側用伸縮帯11bより長く設定されていて、体側用伸縮帯11bを中に貫通させて、ベース帯13aと縫合されていない幅、図4に示す141だけ蛇腹状に伸縮する。この構造により12a、12bの両緩衝帯の端部間で、体側用伸縮帯11bはカバー生地14全長分の範囲に伸縮を許容される。
一般に、広幅ゴムのような伸縮性素材は、伸ばして使用するほど、その弾性的挙動により身体を締め付け、使用による弊害を引き起こす可能性も高くなり、着用者にとっては、着用に問題のない範囲で弾性効果を下げる使用法は望ましい。実施例では体側用伸縮帯11bの寸法を長く取ることで、かかる弾性帯全体の伸びを抑え、カバー生地14を体側用伸縮帯11bに対して150%程度の寸法に設定することで、骨盤にかかる弾性力は一定以上かからない構造にしている。
カバー生地14の長さは、素材や肌着1の着脱に必要な伸縮等を配慮して任意に設定する。骨盤にかかる領域においては、伸縮帯11の伸度によって、縫い代分も含めて概ね130%〜180%程度が望ましい。またカバー生地14の素材は実施例に限定されない。例えば常に胴囲を締め付けて身体の調整機能に影響を及ぼすような、強い弾性を持たないように設定すれば、ストレッチ系の繊維を用いることも構わないし、それ以外の構成も取り得る。
請求項5にかかるカバー生地14、及び一体に取り付ける規制帯13の作用効果は、 第1に、直接皮膚に接する伸縮帯11の内側面を、例えば天然繊維等によりカバーすることでゴムかぶれ等の肌ストレスを防ぎ、皮膚の弱い着用者への対応性を高められる。 第2に、実施例の仕様では、カバー生地14の長さを弾性帯11より長くすることで、より伸度の小さく長い弾性帯を限定的に用いることができるようなり、骨盤にかかる弾性力を有効に制限できる。よって規制帯無効時においても骨盤に弾性力のかかる負担を減らす設定を可能にする。
第3に、規制帯13と一体にして縫製することで、伸縮帯11の伸びる長さは同じでも、カバー生地14の蛇腹の長さを短くすることができるようになり、かさばらず皮膚への摩擦を抑えることができる。また、カバー生地14の蛇腹による膨らみの上に平面な規制帯13を重ねることで、上に着る服のシルエットへ及ぼす影響を抑える効果を寄与する。
「前だれ15」
実施例で前だれ15は、包布10の端部と上端腹側で縫合し、左右の側縁上端には、体側用伸縮帯11b、カバー生地14、及び規制帯13の、各前方端を揃えて包布10との間に挟み、これら部材の幅を覆う程度の寸法で縫着固定して形成されている。
前だれ15の左右両側縁で下方へ延びる生地は縫着されないので、「ひらひら」となびいて越中ふんどしのような独特の意匠を形成する。着用中の前だれ15は、下端に向けて台形状に広がって体のラインに一層沿うことで、見えそうで見えない程度に程よく、気になる鼠径部への視線をカバーすることに貢献する。
実施例では前だれ15を、包布10の端部に別構成の生地を縫い合わせて接合している。他にも例えば、注染や無地の生地であれば裏表の別なく採用できるので、包布10の長さを前だれ分だけ余分に採り、上端領域を形成する伸縮帯11を間に挟んで、折り返して縫着することでも形成できる。この場合は後述する腹側伸縮帯11の機能的な縫製手段により、両生地の重なる上端領域を見栄え良く固定することができるので、折り返した後、上端付近の両生地を横方向一直線に縫い止めて、上端の縫合線を形成しなくても良い。
長さは概ね陰部への視線を遮る程度、成人男性用で250〜300mmが一般的だが、これには限定されない。特に下方の「ひらひら」を省いて短縮して、肌着1の上端領域腹側を袴のような帯状にする変形もある。応用例に判りやすいので後ほど詳しく紹介する。
形状は、矩形だけでなく曲線を用いた形状や、刺繍などの意匠を施しても良いし、それ以外もとり得る。前だれ15は、様々な形状、サイズ、素材、柄、及び色等を用いて良い意匠性豊かな部位であり、実施例の仕様には限定されない。
請求項6にかかる前だれの構成による作用効果は、
腹側前面の一番目立つ場所に配置して、主に意匠のバリエーションを増やせることにある。また適切な素材の選択により、通気性を保ったまま腹部の保温ができる。また形状、サイズ等を工夫することにより、陰部や鼠径部への視線をカバーする手段となる。
「上端領域腹側に配置する伸縮帯11の縫製手段」
越中ふんどしにおける前だれの作り方は本来、ふんどしパンツ等の従来技術では取り入れられたことのない作用を具有していて、本発明による肌着1には、これにかかる作用効果を取り入れる縫製手段を開発している。
そもそも越中ふんどしは装着の際、腰紐を左右の手で伸ばしながら、背側の布端部を、両骨盤の後方上縁に当てて、軽く引っ張りながら下腹の前で紐を結ぶ。その後、結び目を作った腹側の腰紐と着用者下腹の間に、下側から前だれとなる布の一方端を通して腰紐の上に載せて引っ掛け、下腹より垂れ下がる前だれの形状を作りながら装着していく。
骨盤周辺の骨格は、胴囲においておよそ3分の2の長さを占めていて、下腹一帯は、胴囲において器質的に柔らかい唯一の領域になっている。内包する主に腸などの内臓による胴囲増減に対応するため、特に柔らかいあたりを要求される領域になっていて、越中ふんどしでは、紐の結び加減を調整して、更にいくばくかの自重のある前だれを、着用者にとっていい塩梅となるドレープで寄せて紐の上に載せることにより、適度なゆるみを含む、柔らかくふんわりとした感触を起こす着用感を、下腹に当接する領域に作り出している。
越中ふんどしの具有する着用感の快適性と、例えばもっこふんどし等の他のふんどしとの違いは、この腹側の領域に設定する柔らかさとゆるみにより生じていて、腹側の柔らかさは、人体の構造上、前後屈の多い腰部において、体勢の変化や摂食などにより波及して下腹に現れる胴囲サイズ変化を吸収し、かつ胴囲全体にゆるみを含むことになる紐結びによる腰紐のテンションは、骨盤へ余分な力を掛けずにホールドする安定した着用感をつくる構成を採っていることにある。この前だれを紐に掛けることによって得られる着用感こそ、越中ふんどしを往時の肌着のスタンダードにしていた要因といっても過言ではない。
しかしこの着用形態は、前だれは載せているだけでどこにも固定されていないので、長時間の着用や、激しい運動等を経ることにより、前だれが中央部に寄る横づれを生じてしまったり、前だれの自重や運動によってかかる応力等により、腰紐に負荷がかかってたるみを生じてしまったり、結果、前だれが長くなっていき、包布が引っ張られて股間を締め付けたりするなど、しばしば不快になる問題を併せ持っている。
着用者はその都度紐を締め直す手間が生じるうえ、越中ふんどしの構造から締め直しの際には前だれを外し、いったん紐を解かなければ成らないので、着用者は常に不安定な状態で作業を行わなければない。「ふんどしの紐の締め直し」は場所も選ぶので容易ではなく、このことは現在でも越中ふんどしの再導入を妨げる大きな要因になっている。
本発明による肌着1では、第1に前だれが中央に寄る横づれを解消するために、前だれ15を縫着することにより固定している。そして第2に腰紐の締結に代わり伸縮帯11を配置して、紐を結ばずに着用を保つ構成に変えている。この2点は引用文献2のような、従来のふんどしパンツにおいても、同様の効果を得られる技術となる。以上の技術は、主に横づれ、たるみを解消する構成とも言える。
更に第3として本発明では、伸縮帯11aを規制帯13の有効範囲外の下腹に置き、身体構造から下腹に現れる、摂食、排便や身体の激しい動きによる一過性の胴囲サイズ変化への調整を任せ、骨盤にかかる弾性力の規制手段である規制帯13を有効に設けることで、弾性素材を用いる肌着でも、ふんどしのような着用感に切り換えられる構成を開発している。これは従来技術には無い構成となっていて、その作用及び効果については規制帯13の説明で上述した通りである。
そして更に第4として、腹側に配置する伸縮帯11と、包布10及び前だれ15との縫製手段を新たに開発することにより、弾性素材を用いて着用する肌着において、胴囲サイズ調整の負担がかかる下腹に、越中ふんどしでは前だれと腰紐の具合で着用者により作られていた、ふんわりと柔らかいあたりを実現することを可能にしている。
従来、肌着において弾性帯と身頃になる生地を固定するに当っては、主に2つの手段が採られていて、これは腰紐を弾性帯に置き換えるふんどしパンツにおいても同様であった。また外側面になる生地に、肌着の上端から配置する前だれを用いるとしても同様である。
1つは、主にトランクスに見られるように、肌着上端の外側面に生地を置き、内側面には弾性帯を置いて、弾性帯の上下端部及びその間の領域を伸縮方向に沿って、直線あるいはジグザグ縫いの数本のステッチで一直線に縫い止めて、外側面に細かいギャザーを寄せる手段である。
この手段は弾性帯の伸縮方向に一気に縫い上げることができ、手間が省ける点と、細かい均一のギャザーを生成出来る点で有効であり一般的であった。しかし胴囲を横切る長い数本のステッチが入り、伸縮のたびにギャザーとともに縫い目も伸縮する。特に皮膚の弱い人にとっては摩擦が大きくなり、また構造上弾性帯は常に露出して肌に密着するので、肌ストレスからくるゴムかぶれ、色素沈着等の原因になる。
2つ目は、主にブリーフに見られるような、上端に筒状の空洞を設けて中にゴムを通す構成である。パンツのような身頃を有する形態であれば、中のゴムは生地とはどこにも縫着せずに、またふんどしパンツのような布を纏う形態であれば、例えば包布や前だれ等の左右端部で中のゴムを縫着して、範囲内の一帯にギャザーを寄せる縫製手段である。
しかしこの手段で必須となる筒状下部端を一直線に横切るステッチは、2枚の生地を重ねることで、伸縮の際2枚分のテンションがかかる。引きつりが強くなり下腹を締め付けて履き心地を害する。また下腹は摂食による胴囲の増減も伴うので、圧迫感も強くなる。さらに前だれを用いるとなると、上述のステッチ一帯は、数の多いギャザーの下側にできる前だれの皺を抑えきれずに膨らんでしまうとともに、前だれを伝わるギャザーはゆったりとした越中ふんどしのようなものにはならず、安っぽくなってしまい、意匠の面でもバリエーションを著しく制限してしまう。
そこで実施例では、包布10、前だれ15の両生地とともに、伸縮帯11aを引き伸ばした状態で、伸縮方向に直交して縦及び/又は斜めに、両端又はそれ以上のステッチ11cにより間隔を空けて、上端領域腹側にフラシ11dを形成する縫製手段を採っている。
実施例の肌着1では、包布10と前だれ15の間に挟んで引き伸ばした伸縮帯11aに、両端及びその間の計4本のステッチ11cを、両生地と共に、伸縮と直交方向に、略同間隔を空けて、やや外側に向けて斜めに、ゴム幅の半分程度の長さで施している。伸縮帯11aより下方の領域で重なり合う生地は、下方に向けて開放となるように治める。
この縫製により、伸縮帯11aと、内側面で皮膚に接する包布10の生地、及び外側面になる前だれ15の生地との間には、間隔のあるステッチ11cでブロック状に分かれたフラシ11dが形成される。フラシ11dには、伸縮帯11aをはさんで上端16より下方の開放へ広がって抜ける空間11eが計6個形成され、内側面の包布10と外側面の前だれ15には、各々巾の広いひだ10a、15bがこの空間11eを介して形成される。
図5は、肌着1の上端領域腹側において、前だれをめくり上げて下から見た状態を表す概念図である。伸縮帯11aが胴囲サイズの増減、あるいは体勢の変位などによる変化を受けてA方向に伸縮する際、フラシ11c内に形成される空間11dの高さはB方向に向かって増減する。ステッチ11cで適度な間隔に区画されることにより、それぞれのフラシ11d間にはゆったりと折り重なる幅の広いひだが形成される。伸縮帯11aの伸縮は、生地との間の余裕となる空間11cを介して、緩やかな動きに変わって生地に伝わり圧迫感を与えない。よって直接肌に触れる弾性帯や細かいギャザーの寄る従来品に比べて、下腹に密着しないふんわりとしたあたりを作って接する。
内側面になる包布10の生地と、外側面になる前だれ15の生地は、互いに縫合されている上端16付近に、下方に比べてやや縮み寄るひだを生じるものの、フラシ11c間で伸縮帯11aとは伸縮方向に縫合されていないので、伸縮に伴い直接テンションがかからず内外の生地は各々の運動に干渉を起こしにくい。さらに下方に両生地の左右方向への動きを収束する長いステッチが存在しないので、上端16付近のひだは下方に広がる空間11dに抜けて開放されていき、結果下腹の領域に引きつりは発生せず、生地はかさばらない。横方向に一直線に縫い止める従来手段では得られない、緩やかで締め付けない着用感を得られる。
ゆったりとした動きは、両生地の巾の広いひだ10a、15bに伝わり、内外側面の両生地にそれぞれ別の形状、運動を示して伸縮する。内側面のひだ10aにあっては、伸縮帯の伸長を伴っても、ある程度の生地の動きはドレープの重なりに包含されるので、柔らかい肌ざわりとなって下腹に接する。外側面のひだ15bにあっては、ドレープは下方にゆくに連れて更にゆったりとした波になって伝わり、細かいギャザーの寄る横に一直線に縫うステッチでは成し得ない品のある意匠を形成する。また内側面にあってステッチ11cは、4箇所縦方向に入っているのみなので、伸縮帯と同時に伸縮することは無く、従来技術の横方向に入るステッチと比べて肌との摩擦を大幅に減少する。
実施例の肌着1では、伸縮帯11aの長さ160mmに、両端のステッチから約50mmの間隔で、両端を含む計4本のステッチ11aを施している。間隔と本数は特に限定せず、腹側に配置する伸縮帯11の場所、寸法、伸度、及び個数等により決まってくるが、10mm〜90mm程度が好ましく、30mm〜70mm程度がより好ましい。また、ステッチ11aは伸縮と直交方向に縦及び/又は斜めに施し、例えば図8dのように斜めにジグザグのステッチを施しても良い。ステッチの長さは実施例では伸縮帯の幅の半分程度にしているがこれには限定されない。伸縮帯の幅を少し越える程度までの範囲、及び前だれ15の左右上端に縫着する規制帯13等の他部材との兼ね合いにより適切に決定する。
請求項7にかかる伸縮帯11の腹側上端領域における縫製手段の作用効果は、
前だれ15に覆われる伸縮帯11を、包布及び前だれとともに、間隔を空けて伸縮に直交する縦及び/又は斜めのステッチで縫着する構成から、
第1に、内側面に触れるステッチは縦及び/又は斜め方向に数本となり、横に縫着するステッチと比べて、伸縮帯の伸縮に伴う摩擦を減らして肌ストレスを軽減する。よって肌の弱い人へ対応性を高めることができる。
第2に、生地のゆとりを多く含む巾の広いひだにより、内側面に折り成すドレープは細かいギャザーを形成する従来品と比べて柔らかい肌ざわりとなり、下腹における快適感を高め、肌ストレスを減らす。
第3に、内側面と外側面との間に伸縮帯11を挟んでできる空間に緩衝されて、内側面のひだは緩やかに変化を起こし、下腹に密着せず圧迫感を与えないふんわりとしたあたりを実現する。またこの空間を介して内側面と外側面とを形成する生地は、上端以外はどことも縫合されないので、一様でない別々の形状を示して伸縮し、下方の開放に抜けていく。よって腹部を横切るステッチで縫製する従来品と比べて、引きつりを起こさず、かさばらない。摂食や排便、特に前後屈にかかる胴囲サイズ調整においての不快を減らし、下腹を締め付けないゆったりとした着用感を寄与する。
第4に、外側面の巾の広いひだは、下方にゆくに連れて更にゆったりとした波状になって伝わり、細かいギャザーの寄る横に一直線に縫うステッチでは得られない、越中ふんどしのような品のある意匠を得られる。
総じてこの縫製手段は下腹部の領域において、前だれを具備する越中ふんどしに準ずるふんわりと柔らかいあたりを提供できる。伸縮帯を内包するフラシを介して出来る空間、及び巾の広いひだによって形成される柔らかいあたりは、越中褌では、着用者によって形作られていた、前だれのゆるみと寄りの具合で出来る着用感を、弾性帯を用いる肌着において実現可能にしている。
本発明の肌着においてこの縫製手段により寄与される腹部への作用は、上述してきた
1.弾性力を規制して骨盤に余分な力を掛けずに引き締める規制帯13の作用、
2.紐結びのような適度なゆるみを寄与する各種係止具の遊びによる作用、
3.規制帯13と連携して腰椎下部と骨盤を一体的に添い包む背側の緩衝帯12aの作用等を互いに組み合わせることにより、腰紐、布、及び前だれの具合で緩やかに締める越中ふんどしのような、身体構造に沿って効能する快適な着用感を作り出す。
腹側の伸縮帯は、身体構造から下腹にかかってくる胴囲のサイズ調整を「褌の紐を締め直す」ことの代わりに受け持つことになる。ここにさらに柔らかい肌ざわりと、ふんわりと緩やかなあたりを寄与する構成を用いることは、ふんどし、パンツのゴム、及びギャザーに対する固定観念と縫製の手間等により、従来技術において実現できていない効果であり、本発明では、越中ふんどしの構造に対してより理解を深めることにより到達した。
着用者は伸縮帯11、緩衝帯12及び規制帯13の作用効果によりふんどしの紐を締める手間を伴うことなく、より簡易に越中ふんどしに準ずる着用感へ切り換えることができる。さらに背側の緩衝帯12a、カバー生地14、前だれ15に覆われる腹側の伸縮帯11の縫製手段等を組み合わせる構成により、弾性素材を用いてパンツのように簡単に履ける肌着において、越中ふんどしのように効能する快適な着用感を余すことなく提供することを可能にしていて、従来技術では得ることのできない本発明による特徴になっている。
次に、応用例について説明する。本明細書及び図面においては、実質的に同一の機能構成を有する構成要素には、同一の符号を付与することにより重複説明を省略している。応用例の基本的な構成は、実施例と同様であるので、同じ部分についての説明は省略し、変更箇所のみを説明する。
(応用例)
図6は応用例に示す肌着1の展開図である。図7は応用例に示す肌着1の規制帯13無効時における前方からの斜視図である。また図8は応用例に採用する短縮版前だれ15の形状を表す概念図である。図8aは外側面から、図8bは内側面から、図8cは下方から見た形状を表し、図8dは短縮版前だれ15にかかる変形例の外側面から見た形状を表している。ここでは、応用例に形成する短縮版前だれ15を、その形状から「袴帯15a」と呼称して説明していく。
応用例の肌着1は、露出する伸縮帯11の広幅ゴムをカバー生地14で被覆せず、規制帯13は単体で取り付ける構成を採用している。また上端領域腹側の包布10端部を折り返して袴帯15aを形成して、前方に垂れる部分を省き簡素化している。胴囲、腹側前方の構成をよりスッキリさせて、上に着る服のシルエットへ及ぶ影響を抑えるとともに、構成材料と製造工程を簡易化して提供価格を下げることを可能にする。
応用例の規制帯13は、ベース帯13aの生地を長手方向に2つ折りにして、ボタンホールなどの縫製加工をした後、包布10と袴帯15aの間の腹側緩衝帯12b端部に縫着する。規制帯13を用いない時は腹側緩衝帯12bに設けた収納ボタン13cに仮止めしておくこともでき、機能を用いる時は、背側の係止ボタン13eに係止して使用する。収納ボタン13cの設置は任意である。
応用例のように規制帯13を単体で用いる肌着1においても、カバー生地14で直接皮膚に触れる伸縮帯11を被覆する構成は可能になる。例えば別構成で用意した生地を、体側用伸縮帯11bより長い幅で空洞を持つ形状に縫製して、規制帯13とは縫合しないで包布10の前後両端部間に縫着しても良いし、体側用伸縮帯11b自体を、シャーリング加工を施した生地により構成しても良く、それ以外にも任意の構成を取り得る。
図6で包布10は、生地裏面、即ち内側面から見た展開を示している。応用例の袴帯15aは、図6に示すように包布10の腹側上端部の生地を、300〜450mm程度端部から谷折り、山折りの順番に折り返した後、端部を少し内側に折り込んで、下端を除く3方端を縫着して形成している。下腹用伸縮帯11aは、下方に開放にしている袴帯15aと包布10の間に引き伸ばして、実施例と同様に、伸縮方向と直交に、縦に5本のステッチ11cで、伸縮帯11aの幅をやや超える寸法で縫着して、袴帯15aの左右両端部には体側用伸縮帯11bと規制帯13を縫着する。
袴帯15aの上下方向となる幅は、当接する伸縮帯11を覆う程度の幅があれば、特に限定されない。また、包布10を端部から折り返すだけでなく、別構成の生地を接合しても形成できる。
図8b、図8cに示すように、内側面のひだ10aは、生地のゆとりを多く含む巾の広いドレープを形成し、柔らかい肌ざわりとなって下腹に接する。内側面のひだ10aは、フラシ11d間の余裕になる空間11eに緩衝されて、緩やかに変化を起こし、下腹に密着せず圧迫感を与えないふんわりとしたあたりを実現する。包布10と袴帯15aの生地は、上端16付近以外はどことも縫合されないので、一様でない別々の形状を示して伸縮して下方の開放に抜けて行く。横切るステッチやギャザーにより形成される腹部の領域と比べると、格段に着用感は変化する。
外側面においては、図8aのように特徴のある輪郭のはっきりした線の出やすい意匠になる。中にコシのある素材である伸縮帯11aを内包しているため、芯地を施したような効果をもたらし、格調高い袴のような形状の意匠を得られる。また上端領域に形成される下方に向かって広がる空間11eを含み持つひだ15bは、実施例の前だれ15と同様に形成される。応用例のような帯状の袴帯15aを形成する肌着1においても、実施例と同様に、前だれを垂らして紐を結ぶ越中ふんどしに準ずる着用感を得ることができる。
さらに図8dに示す変形例のように、斜めのステッチを活用してジグザグの意匠とすることもできる。このような場合は、上列の逆三角形状のステッチで囲まれる領域は下方に開放とはならないので、この領域で折り成すひだ10aの面積は、実施例のステッチよりはやや減るものの、空間11eの余裕は一定程度保たれていて、内外側面両生地の伸縮を緩衝してふんわりと柔らかいあたりを作り出す。
下列の領域に形成される内側面のひだ10aのドレープは、開放されている下方へ向けて抜けていくので、ひきつりを起こしたり、かさばったりせず、実施例及び応用例同様に、下腹を締め付けない効果を得られる。また外側面の意匠においても、バリエーションを増やし、より現代的な模様を造形することを可能にする。
変形例のような45°程度斜めのステッチにおいても、横向きのステッチのように伸縮帯11と同時に伸縮するようなことは無いので、肌への摩擦は減少する。総じて斜めのステッチ11cを活用することにより、縦に近いステッチ11cに比べると、やや緩やかさは減少するものの、ふんわりと柔らかいあたりを下腹部に作ることができ、越中ふんどしのような着用感を得ることはできる。
また、伸縮帯11を包布10と袴帯15aの間に置かず、袴帯15aの中に内包して、重なる生地とともに縫着することもできる。この場合、伸縮帯11の下方は開放とならないものの、袴帯15aはフラシ11dによる空間11eを中に含みもち、かつ包布10と袴帯15aの生地の間はフラシとなり、伸縮の際連動せず空間も保たれる。一定の効果は得られるので、変形例として採用することを限定しない。
また、応用例の肌着1の構成によれば、袴帯15aの外側面にスナップボタン及び面ファスナーなどを取り付けて、更に着脱式の長い前だれを取り付けることもできる。前だれを着脱可能にすれば、意匠のバリエーションをさらに楽しめる肌着になる。
短縮版の前だれ(袴帯)にかかる作用効果は、
第1に、前だれ15の上下方向の寸法を短縮することで、外側面に格調高い袴のようなひだを持つ形状を得られ、意匠のバリエーションを増やせる。
第2に、構成をよりスッキリさせることができるので、上に着る服のシルエットへ及ぼす影響を軽減して女性への用途を拡げることを可能にする。
前だれを短縮しても、下腹部の領域に、前だれを具備する越中ふんどしに準ずるふんわりと柔らかいあたりを作り出すことができる。
以上、本発明における好適な実施例と応用例及びその変形例を説明してきた。上記の例は、任意に組み合わせることも可能であり、その他の変更例も可能である。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかで、それらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解できる。
また、開発中に行ったモニター調査において快適な着用感を挙げる回答が多いのは、前だれを取り付けて腹側の伸縮帯は伸縮と直交して縦及び/斜めに縫い付ける構成と、背側の緩衝帯を設けてボタンによる後ろ止めの規制帯を設ける構成になるので、本発明による肌着には特に採用を推奨している。
最後に着用手順に添って、着用者が全体の構成から得られる作用効果を簡単に記す。
本発明による肌着は、胴囲付近に配置される伸縮帯を手に取り、伸縮帯と包布の間に形成される左右の空間に両下肢を通して、一般的なパンツのように履ける。胴囲サイズは、従来のパンツと同じく、S,M,Lなどのサイズ展開を用いて設定し、サイズに応じて股下部に適度な空間を持つように包布の長さを決め、伸縮帯の配置、素材、伸度、寸法及び個数等を適切に設定することで、着用者の胴囲近傍にも、臍下の高さにある腸骨上部の縁にも、ずれなく着用できる。例えば「胴囲76−84 Mサイズ」と設定する間に含まれる着用者ならば快適に着用できるサイズにする。
この肌着の胴囲付近は、着用者を体側面より見ると背側から、背側の緩衝帯、体側の伸縮帯と、それを並列に覆い有効により規制する規制帯、伸縮性のある下腹の伸縮帯という順に並ぶ構成で、これを身体に置き換えると、背側から骨格、内臓とそれを覆う深層筋群、表層筋に対応する。硬度、伸縮率、役割等、器質により変化の違う領域に合わせた配置を採り、機能的に着用者の変化に対応する構成となっている。
そして、規制帯を有効に切り換えることによって緩やかに、かつ「ピン」と張る着用感へと変化する。背側の緩衝帯は左右に張り出され、着用者の体勢の変位などにより、姿勢を決める上で大切な腰椎の生理的な弯曲に後ろから沿うように当接する。さらに、規制帯は骨盤上部、即ち両腸骨の上縁付近を添い包むように緩やかにホールドする。着用者身体において、骨、関節、内臓などの器官を、張り、凝りなどの起きにくい(抵抗の少ない)自然な位置へと調整する身体の機能を促していく。
人間の姿勢は、骨盤を水平にするとき最も安定する。骨盤と腰椎の生理的弯曲は連携していて、骨盤の傾きは背骨全体、頭部にも影響を与えていく。規制帯の性質は、骨盤ベルトのような矯正力になく、またパワーネットやゴムなどの伸縮性素材で全周囲を覆い、体型の変化に合わせて自在に同調するものにもない。用いる係止具等の調整により適切なゆるみを付加した規制帯は、普段は着用者に意識されない程度の緩い具合で骨盤上縁を包み、体勢など着用者の姿勢に変化に応じて軽く「ピン」と張るテンションを滑らかに掛けて、骨盤にかかる引き締めを意識できる着用感になる。
本発明で伸縮性素材は、包布のずり落ちによる離脱と、例えば摂食や排便など一過性の変化に対応する機構として活用される。例えば規制帯有効時においても、規制帯に規制される範囲外に存在する伸縮帯の伸縮性素材は、上記のような一過性の胴囲の変化には対応する。規制帯は両腸骨の上縁を添い包むようにカバーしているので、着用者にとっては、規制帯による程良い着用感を得たまま、ふんどしの紐を締め直すような作業もいらない。さらに身体の構造に沿って効果的に緩衝帯を配置したり、身体の要である骨盤にかかる弾性力を制限するカバー生地や、器質的に柔らかい当たりを要求される下腹の縫製手段を工夫するなど、無意識下で働く身体の持つ調整機能を、全体として固定化する働きを持たないよう配慮されている。
一般に身体に限らず物事は「差違」によって認識されうる。従って一般に普及するパンツの構造を引き継ぎ、それに差違を生ずる切り換え機能を併せ持つ構成は、着用者の身体感覚へ働きかける上で重要な要素になる。
規制帯を無効にして履く時は、伸縮性素材の配置や伸度、寸法、及び個数などを配慮された伸縮帯により、過度に締め付けられること無く、パンツのように履ける。かつ規制帯の有効により、骨盤上縁、並びに連携する腰椎を添い包むように引き締めるふんどしのような着用感に、着用者の意志で切り換えられる。さらに、規制帯有効中にあり得る、摂食や排便により伸縮する一過性の胴囲の変化、並びに着用者の体勢の変化などによる骨盤周辺の骨格の変動に対しては、骨盤をカバーする規制帯と規制帯にカバーされていない伸縮帯、例えば下腹に在る伸縮帯等による伸縮機能によって、紐を締め直すような動作を伴わず、かつ過度に引き締められることなく程よい加減で一過性の変化前との差違をつくり出す。
副次的な効果としては、着用及び洗濯回数を重ねることによって、延びる(変形する)伸縮帯の支持力を、規制帯によって補う形で用いることもでき、製品寿命を延ばせることは、この新しいタイプの肌着の普及にも貢献できる。
この肌着は、従来パンツのユーザーにも古風然とせず、普段使いとしてより手軽にふんどしの着用感を楽しめる構成になっている。身体の要である骨盤をゴムにより締めつけられず、下肢をパンツ自体の構造に制限されることなく自由に動かせ、サラッとした布に包まれるような開放的な履き心地のまま、パンツのように履ける。
さらに快適なふんどしのモードに切り換えながら着用感の変化を楽しめるこの肌着は、これから人生を共に歩んで行く、自らの身体を育む途上にある、体つき変化の大きい成長期の子ども達に着用を推奨する肌着である。
1 肌着
10 包布
100 縫製位置
101 〃
102 〃
10a 腹側内側面のひだ
11 伸縮帯
11a 下腹用伸縮帯
11b 体側用伸縮帯
11c 伸縮と直交方向に縦又は斜めのステッチ
11d ステッチ間のフラシ
11e 空間
12 緩衝帯
12a 背側緩衝帯
12b 腹側緩衝帯
13 規制帯
13a ベース帯
13b 補強芯地
13c 収納ボタン
13d ボタンホール
13e 係止ボタン
13f 補強芯地
14 カバー生地
140 縫製位置
141 蛇腹部
15 前だれ
15a 短縮版前だれ(袴帯)
15b 腹側外側面のひだ
16 上端(腰天)

Claims (7)

  1. 肌着であって、
    ふんどしのような長尺の包布と、
    前記肌着上端領域に前記包布を接続する、伸縮性を含む素材で構成される1又は複数の伸縮帯と、
    前記伸縮帯による弾性力の規制手段として、少なくとも骨盤の一部にかかる規制帯と、
    更に、
    前記肌着上端領域に配置する1又は複数の緩衝帯を備え、
    前記緩衝帯は、前記伸縮帯の伸縮を固定して無効にするステッチ又は弾性力を有しない箇所の少なくともいずれかで構成され、
    前記規制帯は、前記伸縮帯より伸度の小さい素材により構成され、1又は複数の任意の箇所について着脱可能な方法で、前記緩衝帯に固定されることを特徴とする肌着。
  2. 前記包布の全幅を有する、前記肌着上端領域の背側は、前記緩衝帯により構成されることを特徴とする請求項1の肌着
  3. 前記規制帯は、1又は複数の係止具を用いて機能することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の肌着。
  4. 前記規制帯に用いる係止具は、ボタンとボタンホールの組み合わせから成ることを特徴とする請求項3に記載の肌着。
  5. 前記伸縮帯の直接皮膚に触れる弾性力を有する箇所を被覆するカバー生地を設けて、前記規制帯を前記カバー生地に接続して一体にして形成することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の肌着。
  6. 前記肌着上端領域の腹側に、前記包布に別構成の生地を接合して、又は、前記包布を折り返して上端を縫合して若しくは縫合しないで、形成する前だれを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の肌着。
  7. 前記肌着上端領域の腹側に位置する前記伸縮帯は、前記前だれに覆われて、前記包布及び前記前だれと共に、引き伸ばした状態で伸縮方向に直交して縦及び/又は斜めに、両端又はそれ以上のステッチで縫着することを特徴とする請求項6に記載の肌着。
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