本明細書においては、主に本発明のノズルアセンブリーを研削装置などの工作機械に適用した実施形態について説明するが、本発明の適用分野はこれに限定されない。本発明のノズルアセンブリーは、流体を供給する多様なアプリケーションに適用可能である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係るノズルアセンブリーを備える工作機械の一例を示す。本例の工作機械は、平面研削盤である。平面研削盤1は、研削刃(砥石)2と、保護カバー4と、高さ調整部6と、冷却剤パイプ8と、ノズルアセンブリー9とを含む。図示は省略するが、平面研削盤1は、被加工物W1を平面の上で移動させるテーブル、被加工物W1又は研削刃2を上下に移動させるコラム、等を備える。
研削刃2は、図示が省略された駆動源により、図1の平面において時計周りに回転駆動され、研削箇所Gでの研削刃2の外周面と被加工物W1との摩擦によって被加工物W1の表面が研削される。保護カバー4は高速で回転する研削刃2の周囲を囲んで、研削中に被加工物W1の切りくずが飛び散ることを防ぐことで研削盤の周囲の作業者を保護する。
高さ調整部6は保護カバー4に設けられ、上下に移動可能な冷却剤パイプ8を所望の高さに固定させる。これによって、冷却剤パイプ8に連結されているノズルアセンブリー9を、研削刃2及び被加工物W1に対して適合した高さに位置させることができる。冷却剤パイプ8は、一端部にノズルアセンブリー9が結合され、他の端部に冷却剤(例えば、水や油)を貯留するタンク(図示は省略)が連結される。ノズルアセンブリー9は、ベースモジュール10とノズルモジュール20とを含む。ベースモジュール10は、ノズルモジュール20を冷却剤パイプ8に固定するノズル固定構造であり、ノズルモジュール20と冷却剤パイプ8とを連結し、これによって冷却剤が冷却剤パイプ8を通じてノズルモジュール20へ流入される。また、ベースモジュール10はノズルモジュール20の複数のノズルを適合した位置に固定させる。
図2(A)は本発明の第1の実施形態に係るノズルアセンブリー9のベースモジュール10の分解図である。図2(B)は、図2(A)に示されたベースモジュール10の部品を組み立てた状態を示す。ベースモジュール10は、支持部材11と、連結部材12と、パッキング13、メッシュ部材14、パッキング15、ストッパー16と、E−リング17とを含む。支持部材11は作業者が手で回すことができるダイヤル型ハンドル11−1と、連結部材12が適当な位置に置かれるように案内する第1の段差部11−2及びリング11−3と、ベースモジュール10の中心部を貫く第1の軸部11−4と、ストッパー16の軸方向の位置を固定させる同時に冷却剤が外部へ流れ出すことを防ぐ第2の段差部11−5と、ストッパー16に形成されている貫通穴に挿入される第2の軸部11−6と、ストッパー16の貫通穴の外に露出する端部11−7とを含む。リング11−3以外の支持部材11の構成要素は、金属、例えば、ステンレススチールからなる金属シリンダーを加工することによって形成することができる。リング11−3は柔軟性及び弾性を有する物質(例えば、ゴム)から形成されることが好ましい。
支持部材11の第1の段差部11−2は第1の軸部11−4より直径が大きいし、ハンドル11−1より直径が小さい。第1の段差部11−2の外周面には溝が形成されており、その溝にリング11−3が挟み込まれる。支持部材11の第2の段差部11−5は第1の軸部11−4より直径が大きい。また、第2の段差部11−5の直径はストッパー16の貫通穴の直径より大きい。第2の軸部11−6の直径は第1の軸部11−4の直径より小さい。第2の軸部11−6の直径はストッパー16の貫通穴の直径に近似して、第2の軸部11−6がストッパー16に嵌合されることが好ましい。支持部材11の端部11−7にはE−リング17が装着される。ストッパー16及びE−リング17については後述する。
連結部材12は冷却剤パイプ8とノズルモジュール20とを連結する部材であり、冷却剤パイプ8から流入される冷却剤が連結部材12を通じて複数のノズルへ流れる。連結部材12は冷却剤流入部12−1とパイプ型のボディー部12−2とを含む。例えば、連結部材12はステンレススチールなどの金属からなっている。冷却剤流入部12−1は冷却剤パイプ8の一端部に連結される。例えば、冷却剤流入部12−1の外周面に雄ねじが形成され、冷却剤パイプ8の上記一端部の内周面には雌ねじが形成されることで、冷却剤流入部12−1と冷却剤パイプ8とがねじ結合によって連結される。ボディー部12−2の先端には外径が若干小さいストレート部Pが形成されている。
支持部材11と連結部材12とは下記のように連結される。連結部材12のボディー部12−2の先端に形成されているストレート部Pに支持部材11の第1の段差部11−2が嵌合され、この際に連結部材12のボディー部12−2の中心がハンドル11−1の中心にマッチングされるようにリング11−3が連結部材12をガイドする。第1の段差部11−2の外径はボディー部12−2の内径より若干小さくて、リング11―3の外径はボディー部12−2の内径より若干大きい。これによって、連結部材12に支持部材11が挿入されると同時に、位置決定が行われる。また、リング11−3は冷却剤が外部に流れ出すことを防ぐパッキングの役割も行う。他の実施形態においては、支持部材11のダイヤル型ハンドル11−1の内側の表面Sに段差が形成され、連結部材12のボディー部12−2の先端に形成されているストレート部Pにパッキングが提供される。上記パッキングを上記ダイヤル型ハンドル11−1の内側の表面Sに形成されている段差にはめ込むことで、リング11−3と共に二重パッキングを提供することができる。
メッシュ部材14はノズルモジュール20をベースモジュール10と結合する際に複数のノズルをガイドする役割を行い、例えば、ステンレススチールからなる。メッシュ部材14の少なくとも一部は、冷却剤がノズルへ流動するように多数の貫通穴が形成されている網の形態を有する。図2(A)に示された例において、メッシュ部材14は、一部の領域には多数の貫通穴を有する網が形成されており、他の一部の領域はオープンされたパイプの形態を有する。メッシュ部材14の内径は支持部材11の第1の軸部11−4の外径より大きい。一方、メッシュ部材14の外径は、後述するノズルのヘッド部(図3(B)の21−1及び図3(C)の27−1を参照)がメッシュ部材14にはめられるように、上記ヘッド部の内径より小さい。一例において、メッシュ部材14は、上記ノズルのヘッド部の内周面がメッシュ部材14の外周面に近接する程度の外径を有する。一方、他の実施形態においては、ベースモジュール10がメッシュ部材14を含まない。
ストッパー16及びE−リング17はノズルモジュール20をベースモジュール10に対して固定させるためのストップ部材である。ストッパー16はノズルモジュール20を脱着可能に固定する固定部材である。支持部材11の端部11−7がストッパー16の外に露出するように支持部材11の第2の軸部11−6をストッパー16の中心に形成された貫通穴に挿入し、支持部材11の端部11−7にE−リング(即ち、E形止め輪)17を装着することにより、ストッパー16とノズルモジュール20とを支持部材11に固定させることができる。E−リング17は軸との接触面積が小さいので、装着及び分離が容易である。例えば、ストッパー16とE−リング17とのそれぞれは、金属(例えば、ステンレススチール)からなる。ストッパー16の貫通穴の直径は支持部材11の第2の段差部11−5の外径より小さいので、第2の段差部11−5にてストッパー16の位置決定が可能である同時に、冷却剤が外部に流れ出すことも防ぐことができる。一方、本実施形態においては、ストッパー16とE−リング17とがストップ部材として用いられるが、ノズルモジュール20を支持部材11に固定させることができる構造であればどれでも本発明のストップ部材として採択可能である。例えば、支持部材11の第2の軸部11−6の外周面には雄ねじが形成され、ストッパー16の貫通穴には雌ねじが形成されることで、支持部材11とストッパー16とのねじ結合が形成される。この場合には、支持部材11に端部11−7が形成されなくても良く、ベースモジュール10がE−リング17を含まなくても良い。
連結部材12とメッシュ部材14(或いは、ノズルモジュール20)との間に、そして、メッシュ部材14(或いは、ノズルモジュール20)とストッパー16との間には、冷却剤の漏水を防ぐためのパッキング13と15とがそれぞれ提供される。例えば、パッキング13と15とはゴムからなる。実施形態によっては、パッキング13及び15の両方、又は、いずれか一方を含まない。図2(B)に示されたように、上記の部品を組み立てれば、支持部材11とストッパー16とは連結部材12に対して一体として回動自在に連結される。
図3(A)は本発明の第1の実施形態に係るノズルアセンブリー9のノズルモジュール20の分解図である。図3(A)に示されたように、ノズルモジュール20は複数のノズル21乃至27を含む。ノズル21と23との間、23と25との間、25と27との間、27と26との間、26と24との間、そして、24と22との間にはそれぞれパッキング28が配置される。本実施形態においてはノズルモジュール20が7個のノズルを含んでいるが、ノズルの個数はこの例に限定されない。
各々のノズルの構造を図3(B)及び図3(C)を参照して説明する。図3(B)は上記複数のノズルの中の一つであるノズル21を図示し、図3(C)はノズル27を図示する。ノズル21はヘッド部21−1と、管部21−2と、屈曲した端部21−3と、冷却剤吐出口21−4とを有する。ヘッド部21−1はノズル21をベースモジュール10に結合させるためのリングの部分と、管部21−2と連結されるネック部分を有する。ヘッド部21−1はパッキング15を挟んでベースモジュール10のストッパー16の一断面に嵌合される。例えば、ヘッド部21−1の一面に形成されたリセス部に、ストッパー16の上記一断面に形成されているストレート部がはめ込まれる。上記ストレート部は、ストッパー16の上記一断面から突出し、ストッパー16の他の部分に比べ外径がちょっと小さい。本実施形態においては、ノズル22、24、26、27、25、23、21のヘッド部がメッシュ部材14の外周面にはめられ、これらが順次に嵌合されることでノズルモジュール20が構成される。例えば、2つの隣接するノズルのヘッド部の対向面に形成されている突出部とリセス部とを嵌合することで、上記2つのノズルが互いに連結される。この時、2つの隣接するノズルのヘッド部の間にはリング形態のパッキング28が配置される。パッキング28は上記ヘッド部のリセス部に入り、隣接する2つのノズルの間で冷却剤の流出を防止できる程度の大きさを有することが好ましい。ノズル22のヘッド部はパッキング13を挟んでベースモジュール10の連結部材12の末端に嵌合される。例えば、ノズル22のヘッド部に形成された突出部が連結部材12の上記末端に形成されたリセス部にはめ込まれる。
ノズル27はヘッド部27−1と、管部27−2と、冷却剤吐出口27−3とを有する。ノズル27のヘッド部27−1は上記のノズル21のヘッド部21−1と同一の構造を有する。管部27−2はノズル21の管部21−2に比べて長さが短くて、ノズル21と違い屈曲した端部を有しない。ヘッド部27−1はパッキング28を挟んでノズル25及び26のヘッド部と嵌合される。ノズル23乃至26の構造は上記のノズル27の構造と同様である。本実施形態において、ノズル21乃至27のそれぞれは、ベースモジュール10の支持部材11の軸部(第1の軸部11−4及び第2の軸部11−6)に対して直交する方向に配列される。ノズル21乃至27のそれぞれは、ベースモジュール10に対して個別的に脱着可能である。また、ノズル21乃至27の各々のヘッド部は隣接する他のノズルのヘッド部に対して回動自在に連結されて、各々のノズルの地面に対する角度を調整可能である。加えて、ノズル21乃至27のそれぞれは、ヘッド部21−1、…、27−1に接続される2本ずつの管部21−2、…、27−2から構成されていた(勿論、管部の先端には、端部や冷却剤吐出口が備わっている)が、この管部21−2、…、27−2の管の本数は1本、または3本以上であってもよい。この場合、管の本数が異なるノズルを適宜組み合わせて使用することができる。例えば、両端のもの、或いは両端ものと中心のものの管の本数を多くし、他の中間に位置するものの管の本数を少なくするといったこともできる。
冷却剤パイプ8を通じてノズルアセンブリー9に流入する冷却剤がノズル21の管部21−2へ流れるように、管部21−2がヘッド部21−1のネック部分を貫通する。管部21−2の長さは、例えば、研削盤1の構造や研削刃2の直径に基づいて決まる。図3(A)に示されたように、本実施形態においてはノズル21と22、ノズル23と24、そしてノズル25と26とが互いに対称の関係を有する。対をなす2個のノズルは同一の長さの管部を有し、地面に対して同一の角度の傾きを有する。研削刃2を中心として最も外側に配置されるノズル21と22とは冷却剤吐出口が互いに対向するように屈曲した端部を有する。図3(B)に示されたように、ノズル21はノズル22に向かう屈曲した端部21−3を有し、その結果、冷却剤吐出口21−4が研削刃2に向かう。屈曲した端部21−3の屈曲の角度は、例えば、研削盤1の構造や研削刃2の厚さに基づいて決まる。ノズル23と24は、ノズル21と22に比べて短い長さの管部を有し、屈曲した端部を有しない。ノズル25と26は、ノズル23と24に比べて短い長さの管部を有し、屈曲した端部を有しない。複数のノズルの中で最も中心に配置されるノズル27は、ノズル25と26に比べて短い長さの管部を有し、屈曲した端部を有しない(図3(C)参照)。本実施形態において、ノズル27は研削刃2の厚さの方向の中心に向かって冷却剤を噴射するように配置されることが好ましい。本実施形態においては、ノズル21及び22のみが屈曲した端部を有しているが、本発明はこの実施形態に限定されない。他の実施形態においては、ノズル23乃至27の中の少なくとも1つのノズルが屈曲した端部を有する。この場合、ノズル21、22は屈曲した端部を有していなくても良い。さらなる他の実施形態においては、ノズル21乃至27のいずれも屈曲した端部を有していない。また、本実施形態においては、7個の中の6個のノズルが2個ずつ対をなして特定の関係(即ち、対称関係)を有するが、 他の実施形態においては、3個又はそれ以上のノズルが特定の関係を有する1つのセットを構成する。さらなる他の実施形態においては、ノズルの間にこのような特定の関係が存在していない。
以下、図2(A)及び図3(A)を参照して、ノズルアセンブリー9の組み立て方法を説明する。先に、ベースモジュール10の支持部材11の第1の段差部11−2とリング11−3とに連結部材12の先端部をはめてポジショニングした後、パッキング13を挟んでメッシュ部材14を連結部材12の端部に位置させ、メッシュ部材14にノズル22をはめて連結部材12の末端に嵌合する。例えば、ノズル22のヘッド部の一断面に形成された突出部を連結部材12の末端に形成されたリセス部に嵌め込む。次に、パッキング28、ノズル24、パッキング28、ノズル26、パッキング28、ノズル27、パッキング28、ノズル25、パッキング28、ノズル23、パッキング28、及びノズル21をメッシュ部材14にはめながら順序に嵌合する。次に、パッキング15及びストッパー16を支持部材11の第2の軸部11−6に挿入しながらパッキング15を挟んでストッパー16の一断面をノズル21のヘッド部に嵌合する。例えば、ヘッド部21−1の一面に形成されたリセス部にストッパー16の上記一断面に形成されたストレート部をはめ込む。そしてストッパー16の貫通穴の外に露出した端部11−7にE−リング17を装着することによりノズルアセンブリー9の組み立てが完了する。
図4は、上述したようにベースモジュール10とノズルモジュール20との部品を組み立てることにより形成されたノズルアセンブリー9の斜視図である。ノズルアセンブリー9の冷却剤流入部12−1が冷却剤パイプ8の端部に連結され(例えば、ねじ結合によって)、冷却剤パイプ8に冷却剤が流入すれば、冷却剤がベースモジュール10の内部の空間を通過してそれぞれのノズル(21乃至27)へ流れて吐出口を通じて研削刃2と被加工物W1に向かって噴射される。ダイヤル型ハンドル11−1を作業者が手で回すことによって地面に対するノズルモジュール20の角度を調整することができる。また、それぞれのノズルが他のノズルに対して回動可能であるので、ノズルアセンブリー9を冷却剤パイプ8に連結した後にも各々のノズルの角度を調整することが可能である。このような構成によって、研削刃2と被加工物W1とに冷却剤を噴射できる最適な位置に複数のノズル21乃至27を配置することができる。
図5は本発明の第2の実施形態に係るノズルアセンブリーを備える工作機械の一例を示す。本例の工作機械は、平面研削盤である。平面研削盤100に設けられるノズルアセンブリー90はベースモジュール10と、ノズルモジュール30とを含む。ノズルモジュール30以外の構成要素は第1の実施形態と同一であるので、詳細な説明は省略する。ノズルモジュール30は3個のノズルを含む。
図6は本発明の第2の実施形態に係るノズルアセンブリー90のノズルモジュール30の分解図である。ノズルモジュール30は複数のノズル31乃至33を含む。ノズル31と33との間、そして、33と32との間にはパッキング34が配置される。ノズル31と32とのそれぞれの構造は、図3(B)と関連して説明した第1の実施形態のノズル21の構造と同様である。具体的に、ノズル31と32とのそれぞれは、ヘッド部と、管部と、屈曲した端部と、冷却剤吐出口とを有する。また、ノズル31と32との屈曲した端部はそれぞれの冷却剤吐出口が互いに対向する方向に屈曲される。本実施形態においては、ノズル31と32とが互いに対称の関係を有する。ノズル33の構造は図3(C)と関連して説明した第1の実施形態のノズル27の構造と同様である。具体的に、ノズル33はヘッド部と、管部と、冷却剤吐出口とを有し、ノズル33の管部の長さはノズル31及び32の管部の長さより短い。ノズル33は研削刃2の厚さ方向の中心に向かって冷却剤を噴射するように配置されることが好ましい。本実施形態のノズル31乃至33のそれぞれの管部の直径は、第1の実施形態の各ノズルの管部の直径より大きい。本実施形態においては、ノズル31及び32が屈曲した端部を有しているが、本発明はこの実施形態に限定されない。また、本実施形態においては、ノズル31と32とが対をなして特定の関係(即ち、対称関係)を有するが、本発明はこの実施形態に限定されない。他の実施形態においては、ノズル31乃至33の全てが同一の長さ及び屈曲した端部を有し、互いに特定の位置関係を有する1つのセットを構成する。さらなる他の実施形態においては、ノズル31と32とが対称関係を有しなくて、ノズル31乃至33の間にこのような特定の関係が存在しない。例えば、1個のノズルのみが屈曲した端部を有し、他のノズルとの間に特定の関係を有しない。
図7は本発明の第2の実施形態に係るノズルアセンブリー90の斜視図である。以下、図6と図7とを参照して、ノズルアセンブリー90の組み立て方法を説明する。先に、ベースモジュール10の支持部材11の第1の段差部11−2に連結部材12のボディー部12−2の先端をはめた後、パッキング13を挟んでメッシュ部材14を連結部材12の末端に位置させメッシュ部材14にノズル32をはめて連結部材12に嵌合する。次に、パッキング34、ノズル33、パッキング34、及びノズル31をメッシュ部材14にはめながら順序に嵌合する。次に、ストッパー16を支持部材11の第2の軸部11−6にはめながらパッキング15を挟んで連結部材12に嵌合する。ストッパー16の貫通穴の外に露出した端部11−7にE−リング17を装着することによりノズルアセンブリー90の組み立てが完了する。本実施形態において、ノズル31乃至33のそれぞれは、ベースモジュール10の支持部材11の軸部(第1の軸部11−4及び第2の軸部11−6)に対して直交する方向に配列される。また、ノズル31乃至33のそれぞれは、ベースモジュール10に対して個別的に脱着可能である。
ノズルアセンブリー90の冷却剤流入部12−1が冷却剤パイプ8の端部に連結され(例えば、ねじ結合によって)、冷却剤パイプ8に冷却剤が流入すると、冷却剤がノズルアセンブリー90の内部の空間を通過してそれぞれのノズルへ流動する。そして、それぞれのノズルの吐出口を通じて研削刃2及び被加工物W1に向かって冷却剤が噴射される。ダイヤル型ハンドル11−1を回すことにより地面に対するノズルモジュール30の角度を調整することができる。また、各々のノズルが他のノズルに対して回動可能であるので、ノズルアセンブリー90を冷却剤パイプ8に連結した後にも各々のノズルの角度を調整することが可能である。このような構成によって、研削刃2と被加工物W1とに冷却剤を噴射できる最適の位置に複数のノズル31乃至33を配置することができる。
図8は本発明の第3の実施形態に係るノズルアセンブリーの斜視図である。第3の実施形態のノズルアセンブリー190はベースモジュール110と、ノズルモジュール40とを含む。ノズルモジュール40は3個のノズル41と、42と、43とを含む。本実施形態において、ノズル41乃至43のそれぞれは、ベースモジュール110の支持部材の軸部に対して直交する方向に配列される。また、ノズル41乃至43のそれぞれは、ベースモジュール110に対して個別的に脱着可能である。第3の実施形態のノズルアセンブリー190については、第2の実施形態のノズルアセンブリー90と同一の部分の説明は省略し、差がある部分のみについて説明する。ベースモジュール110は、連結部材112が第1の実施形態の連結部材12と違い冷却剤流入部12−1を有しない点と、E−リング17を含まない点とを除けば、図2(A)に示されたベースモジュール10と同一である。第3の実施形態においては、ノズルアセンブリー190のノズルモジュール40に含まれた複数のノズルの中の一つであるノズル43に冷却剤流入部121が形成されている。ノズルモジュール40のノズル41及び42はそれぞれ第2の実施形態のノズル31及び32と同一の構造を有する。即ち、ノズル41及び42はそれぞれ、ヘッド部と、管部と、屈曲した端部と、冷却剤吐出口とを有し、ノズル41の冷却剤吐出口とノズル42の冷却剤吐出口とは互いに対向する。ノズル43は、ノズル33と同様にヘッド部と、管部と、冷却剤吐出口とを有するが、ヘッド部が冷却剤流入部121を有する点において差がある。
具体的には、第2の実施形態のノズルアセンブリー90ではベースモジュール10の連結部材12に冷却剤パイプ8と連結される冷却剤流入部12−1が形成されている反面、第3の実施形態のノズルアセンブリー190では複数のノズルの中の一つであるノズル43に冷却剤流入部121が形成される。冷却剤流入部121は冷却剤パイプ8の一端部と連結される。例えば、冷却剤流入部121の外周面に雄ねじが形成され、冷却剤パイプ8の上記一端部の内周面には雌ねじが形成されて、冷却剤流入部121と冷却剤パイプ8とがねじ結合される。ノズルアセンブリー190の冷却剤流入部121が冷却剤パイプ8の端部に連結され(例えば、ねじ結合によって)、冷却剤パイプ8に冷却剤が流入すると、冷却剤がノズルアセンブリー190の内部の空間を通過してそれぞれのノズルへ流動する。そして、それぞれのノズルの吐出口を通じて研削刃2と被加工物W1に向かって冷却剤が噴射される。
本実施形態においてはベースモジュール110がE−リング17を含まないが、その代わり、ストッパー116は支持部材11の第2の軸部11−6にねじ結合される。勿論、ノズルアセンブリー90と同様に、ストッパー116がE−リングにより支持部材11に固定されることも可能である。また、図2(A)と関連して説明したように、他の実施形態ではベースモジュール110はメッシュ部材14を含まない。また、本実施形態では、冷却剤流入部121がノズル43のみに形成されているが、他の実施形態においてはノズル41又は42に冷却剤流入部が形成される。また、他の実施形態においては3個のノズル41乃至43の中で2個又は3個に冷却剤流入部が形成される。尚、本実施形態では、ノズル41及び42が屈曲した端部を有しているが、本発明はこの実施形態に限定されない。また、本実施形態では、ノズル41と42とが対をなして特定の関係(即ち、対称関係)を有するが、本発明はこの実施形態に限定されない。上述のように、他の実施形態においては、ノズル41乃至43が互いに特定の位置関係を有する1つのセットを構成する。さらなる他の実施形態においては、ノズル41乃至43の間にこのような特定の関係が存在しない。
図9は本発明の第4の実施形態に係るノズルアセンブリーを備える工作機械の一例を示す。本例の工作機械は平面研削盤である。平面研削盤200に設けられるノズルアセンブリー290はベースモジュール10とノズルモジュール50とを含む。図10は本実施形態に係るノズルアセンブリー290のノズルモジュール50の分解図である。図11は本実施形態に係るノズルアセンブリー290の斜視図である。図12(A)と(B)のそれぞれは、図11のノズルアセンブリー290の相異なる角度で見た断面図である。ノズルモジュール50以外のノズルアセンブリー290の他の構成要素は第1の実施形態と同一であるので、これらについては詳細な説明を省略する。
図10に示されたように、ノズルモジュール50は一字管51と、パッキング52と、エルボー管53と、支持部材54と、マルチノズル55とを含む。図2(A)を一緒に参照すれば、一字管51はノズルモジュール50のエルボー管53とベースモジュール10のストッパー16との間に配置されることが分かる。一字管51の末端はパッキング15を挟んでストッパー16の一断面と嵌合される。例えば、一字管51の上記末端に形成されているリセス部に、ストッパー16の上記一断面に形成されているストレート部がはめ込まれる。一字管51の幅(即ち、支持部材11の第1の軸部11−4に沿う長さ)は支持部材11の第1の軸部11−4の長さ及び後述するエルボー管53の幅に基づいて決まる。具体的に、一字管51の幅は、{第1の軸部11−4の長さ−(エルボー管53の幅+連結部材12の幅)}として決まる。
エルボー管53はヘッド部53−1と連結管53−2とを有し、例えば、T字エルボー管である。ヘッド部53−1はマルチノズル55をベースモジュール10に結合させるためのリングの部分と、連結管53−2と連結されるネック部分を有する。ヘッド部53−1は、一断面はパッキング52を挟んで一字管51の一断面と嵌合され、他断面はパッキング13を挟んでベースモジュール10の連結部材12の一断面と嵌合される。例えば、ヘッド部53−1の上記一断面に形成されているリセス部に、一字管51の上記一断面に形成されているストレート部がはめ込まれ、ヘッド部53−1の上記他断面に形成されている突出部がベースモジュール10の連結部材12の上記一断面に形成されているリセス部にはめ込まれる。冷却剤パイプ8を通じてノズルアセンブリー290へ流入する冷却剤が連結管53−2へ流れるように、連結管53−2がヘッド部53−1のネック部分を貫通する。本実施形態では、一字管51とエルボー管53とが別個の部品として製造されているが、他の実施形態においては一字管51とエルボー管53とが一体として、即ち、一つの部品として製造される。
支持部材54は、図11に示されたように、本体部54−1と延長部54−2とを有する。本実施形態のノズルアセンブリー290の断面図である図12(A)及び12(B)に示されたように、本体部54−1と延長部54−2とにはマルチノズル55へ冷却剤が流動可能になるように内部に空洞が形成されている。例えば、エルボー管53の連結管53−2は外周面に雄ねじが形成され(図10参照)、支持部材54の本体部54−1の内部には雌ねじが形成されることで(図12(B)参照)、エルボー管53と支持部材54とがねじ結合によって連結される。図12(A)に示されたように、支持部材54の本体部54−1と延長部54−2との間で冷却剤の流路が急激に狭くなることにより、冷却剤はマルチノズル55から高流圧で吐き出される。延長部54−2の内部の空間には複数の流路54−4が形成され、各流路54−4の流入口54−3が支持部材54の本体部54−1と延長部54−2との連結部位に形成される。図12(A)および図12(B)に示されたように、流入口54−3は、流体の誘い込みのための誘い込み形状(例えば、凸部、凹部、又は凸部と凹部の適宜の組合わせによる。)のガイド部を有し、ガイド部が冷却剤を各流路54−4に案内することで、冷却剤の吐出効果を増している。具体的には、複数の流入口54−3の一部又は全ては、本体部54−1と延長部54−2との連結部位の表面から本体部54−1に向けて突出した形状のガイド部を有したり、本体部54−1と延長部54−2との連結部位の表面の窪まった形状のエッジをガイド部として有したりする。マルチノズル55は複数のノズル(パイプ)を含み、これらの複数のノズルのそれぞれは、支持部材11の軸部(第1の軸部11−4及び第2の軸部11−6)に対して直交する方向に平行に支持部材54の延長部54−2の内部に形成されている複数の流路54−4内に挿入される。これによって、支持部材54の内部の空間へ流入する冷却剤が複数のノズルに流入することができる。複数のノズルのそれぞれはノズルモジュール50の支持部材54に対して脱着可能である。上記複数のノズルは、流入側端部が支持部材54の上記冷却剤流入口54−3に達するように、又は、流路54−4の内の所定の地点に達するように挿入される。また、支持部材54の延長部54−2は、高流圧で冷却剤が噴射されるようにマルチノズル55を支持する役割を行う。このマルチノズル55によって、ノズルモジュール50の吐出口から研削刃2や被加工物W1までの距離を、各ノズル(パイプ)の長さを調整しながら近づけることで、最適なものとすることができ、研削時の加工熱を効果的に軽減または除去することができる。複数のノズル(パイプ)は、個別に、流路54−4に対して出し入れ自在に保持されることが望ましい。つまり、複数のノズルは、延長部54−2の複数の流路54−4の端部から挿入され、その長さを流路54−4に出し入れすることにより変化可能に保持されることになる。エルボー管53と支持部材54とを通称してノズル保持部材と称する。本実施形態ではエルボー管53と支持部材54とを別個の部品として製造することで、研削装置の種類、研削刃の大きさ、等によってノズルモジュール50に様々な個数、タイプ、又は、大きさのノズルを容易に脱着することができる。他の実施形態においては、エルボー管53と支持部材54とを一つの部品として製造する。この場合は、上記一つの部品を取り替えることによりマルチノズルを取り替えることができる。
図13は本発明の第4の実施形態に係るノズルアセンブリー290を備える工作機械の他の例を示す。本例の工作機械は円筒研削盤である。円筒研削盤300は、研削刃302と、保護カバー304と、位置調整部306と、冷却剤パイプ308と、ノズルアセンブリー290とを含む。上記のように、ノズルアセンブリー290はベースモジュール10と、ノズルモジュール50とを含み、ノズルモジュール50はマルチノズル55を含む。図示は省略されるが、円筒研削盤300は被加工物W2を両端面の中心で支持して回転させ、中心軸に沿って(即ち、Z軸方向に)移動させる移送装置を含む。研削刃302は、図示が省略された駆動源により、図13の平面において時計周りに回転駆動され、研削刃302の外周面と被加工物W2との当接面の摩擦によって被加工物W2の表面が研削される。保護カバー304は、高速で回転する研削刃302の周囲を囲んで、研削中に被加工物W2の切りくずが飛び散ることを防ぐことで研削盤の周囲の作業者を保護する。
位置調整部306は保護カバー304に設けられ、X軸方向に移動可能な冷却剤パイプ308を所望の位置に固定させる。これによって、冷却剤パイプ308に連結されているノズルアセンブリー290が研削刃302及び被加工物W2に対して適合した位置に配置されることができる。冷却剤パイプ308は、一端部にノズルアセンブリー290が結合され、他の端部には冷却剤を貯留するタンク(図示は省略)が連結される。ベースモジュール10はノズルモジュール50と冷却剤パイプ308とを連結し、これによって冷却剤が冷却剤パイプ308を通じてノズルモジュール50へ流入される。また、ベースモジュール10はノズルモジュール50のマルチノズルを適合した位置に固定させる。なお、本円筒研削盤300には、他の実施形態に係るノズルアセンブリー9、90、190および後述のノズルアセンブリー390も適用できる。
図14は本発明の第5の実施形態に係るノズルアセンブリーを備える工作機械の一例を示す。本例の工作機械は平面研削盤である。平面研削盤400に設けられるノズルアセンブリー390はベースモジュール10とノズルモジュール60とを含む。図15は本実施形態に係るノズルアセンブリー390のノズルモジュール60の分解図である。図16は本実施形態に係るノズルアセンブリー390の斜視図である。図17は図16のノズルアセンブリー390の断面図である。ノズルモジュール60以外のノズルアセンブリー390の他の構成要素は第1の実施形態と同一であるので、これらについては詳細な説明を省略する。
図15に示されたように、ノズルモジュール60は冷却剤と空気とを吐き出すための2階(上下段)の構造を有する。具体的に、ノズルモジュール60は、一字管61と、パッキング62と、エルボー管63と、支持部材64と、マルチノズル67と、エアーノズル68と、空気流入口69とを含む。図2(A)を一緒に参照すれば、一字管61はノズルモジュール60のエルボー管63とベースモジュール10のストッパー16との間に配置されることが分かる。一字管61の末端はパッキング15を挟んでストッパー16の一断面と嵌合される。例えば、一字管61の上記末端に形成されているリセス部に、ストッパー16の上記一断面に形成されているストレート部がはめ込まれる。一字管61の幅は支持部材11の第1の軸部11−4の長さ及び後述するエルボー管63の幅に基づいて決まる。具体的に、一字管61の幅は、{第1の軸部11−4の長さ−(エルボー管63の幅+連結部材12の幅)}として決まる。
エルボー管63はヘッド部63−1と連結管63−2とを有し、例えば、T字エルボー管である。ヘッド部63−1はエルボー管63をベースモジュール10に結合させるためのリングの部分と、連結管63−2と連結されるネック部分を有する。ヘッド部63−1は、一断面はパッキング62を挟んで一字管61の一断面と嵌合され、他断面はパッキング13を挟んでベースモジュール10の連結部材12の一断面と嵌合される。例えば、ヘッド部63−1の上記一断面に形成されているリセス部に一字管61の上記一断面に形成されているストレート部がはめ込まれ、ヘッド部63−1の上記他断面に形成されているストレート部がベースモジュール10の連結部材12の上記一断面に形成されているリセス部にはめ込まれる。冷却剤パイプ8を通じてノズルアセンブリー390に流入する冷却剤が連結管63−2へ流れるように、連結管63−2がヘッド部63−1のネック部分を貫通する。本実施形態では一字管61とエルボー管63とが別個の部品として製造されているが、他の実施形態においては一字管61とエルボー管63とが一体として、即ち、一つの部品として製造される。
支持部材64は、冷却剤を吐出するための第1のセクション65(下段)と空気を吐出するための第2のセクション66(上段)とから構成される。支持部材64の第1のセクション65は本実施形態のノズルアセンブリー390の断面図である図17に示されたように、冷却剤がマルチノズル67へ流動することができるように内部に空洞が形成されている本体部65−1と延長部65−2とを有する。例えば、エルボー管63の連結管63−2は外周面に雄ねじが形成され(図15参照)、支持部材64の第1のセクション65の本体部65−1の内部には雌ねじが形成されて(図17参照)、エルボー管63と支持部材64とがねじ結合される。図17に示されたように、支持部材64の第1のセクション65の本体部65−1と延長部65−2との間で冷却剤の流路が急激に狭くなることにより、冷却剤はマルチノズル67から高流圧で吐出される。延長部65−2の内部の空間には複数の流路65−4が形成されており、各流路65−4の流入口65−3(冷却剤を案内するガイド部がついていてもよい。)が支持部材64の第1のセクション65の本体部65−1と延長部65−2との連結部位に形成される。マルチノズル67は複数のノズルを含み、上記複数のノズルのそれぞれは、支持部材11の軸部(第1の軸部11−4及び第2の軸部11−6)に対して直交する方向に平行に延長部65−2の内部に形成されている複数の流路65−4の内に挿入される。このようにして、支持部材64の第1のセクション65の内部の空間に流入する冷却剤が複数のノズルへ流入することができる。複数のノズルのそれぞれはノズルモジュール60の支持部材64に対して脱着可能である。複数のノズルは流入側端部が支持部材64の第1のセクション65の上記冷却剤流入口65−3に達するように、又は、流路65−4の内の所定の地点に達するように挿入される。また、支持部材64の第1のセクション65の延長部65−2は、高流圧で冷却剤が噴射されるようにマルチノズル67を支持する役割を行う。本実施形態ではエルボー管63と支持部材64とを別個の部品として製造することで、研削装置の種類、研削刃の大きさ、等によってノズルモジュール60に様々な個数、タイプ、又は、大きさのノズルを容易に脱着することができる。他の実施形態においては、エルボー管63と支持部材64とを一つの部品として製造する。この場合は、上記一つの部品を取り替えることによりマルチノズルを取り替えることができる。
支持部材64の第2のセクション66はエアーノズル68と空気流入口69とを含む。第2のセクション66には、圧縮空気が空気流入口69から供給され、第2のセクション66の内部の中空の空間からエアーノズル68の細い径路へさらに圧縮されて、圧縮空気は高圧で吐出されることになる。なお、第2のセクション66の内部に特別の空気吐出機構を設けることも可能である。本実施形態で、エアーノズル68は複数のノズルを含む。通常の研削装置においては高速で回転する研削刃の外周面に連れ回り空気層が生じることにより、研削刃と被加工物との当接部に冷却剤が十分に到達できない問題がある。この問題を解決するために本実施形態では、冷却剤を吐き出すマルチノズル67より上流に高速で空気を吐き出すエアーノズル68を配置する。エアーノズル68から吐き出される空気が研削刃の外周面に沿ってつれ回る空気を遮断することにより、それより下流に配置されているマルチノズル67から吐き出される冷却剤が研削刃2と被加工物W1に十分に到達することができる。
第4の実施形態及び第5の実施形態においては、マルチノズル55、67が支持部材(54,64)の内に形成された複数の流路(54−4、65−4)に挿入される構成を有する。他の実施形態においては、支持部材(54、64)の内に形成された複数の流路の流出口から直接冷却剤が吐き出される。即ち、複数の流路(54−4、65−4)がマルチノズル55、67を用いることなく、ノズルとして用いられる。この場合、複数の流路(54−4、65−4)は、支持部材11の軸部(第1の軸部11−4及び第2の軸部11−6)に対して、直交する方向に並行に配列されている。このような第6の実施形態(図示は省略)は、部品の個数を減らすことによりノズルアセンブリーの製造費用を低くすることができ、支持部材(54、64)を取り替えることにより容易にノズルのタイプや個数を変えることができる。そして、上記のように、流入口(54−3、65−3)は、流体の誘い込みのための誘い込み形状(例えば、凸部、凹部、又は凸部と凹部の適宜の組合わせによる。)のガイド部を有し、ガイド部が冷却剤を各流路に案内することで、冷却剤の吐出効果を増しても良い。また、ベースモジュール10のダイヤル型ハンドル11−1を作業者が手で回すことによって地面に対するノズルモジュールの角度を調整することができる。これによって、研削刃と被加工物とに冷却剤を噴射できる最適な位置にノズルを配置することができる。
図18は、本発明に適用可能なノズルの管部の断面図である。上記の実施形態においてはノズル(例えば、第1の実施形態を示した図3(C)のノズル27、第2の実施形態を示した図6のノズル33、第3の実施形態を示した図8のノズル43、第4の実施形態を示した図10のマルチノズル55の各ノズル、第5の実施形態を示した図15のマルチノズル67の各ノズル、第6の実施形態の複数の流路のそれぞれ)の管部が一つの円形吐出口を有する円形パイプの形態を有する。一般的に、管部の断面の形態は、吐出口が形成されている端部の形態と同一である。ノズルの管部又は流路の形態は上記の円形パイプに限定されず、図18の(A)乃至(F)に示されたように様々な形態の断面を有しても良い。図19の(A)乃至(F)は、図18に示された断面図に対応する各ノズルの管部又は各流路の斜視図である。このような所定の配列の複数の小穴、星形の穴、多角形の穴、花弁形の穴など様々な形態の穴が形成されている断面を有する管部を通じて冷却剤を吐き出すことにより、一つの円形吐出口を有する場合に比べて、吐出圧力を高めたり冷却剤の分散を押えたりすることが可能である。複数の小穴のそれぞれは、例えば、円形の穴、星形の穴、多角形の穴、又は花弁形の穴である。特に、図18の(D)に示されたように、星形の吐出口を有するノズルを用いることにより、吐出圧力を高めると同時に冷却剤の吐出方向と異なる方向への広がり(分散)を防止することができる。星形の穴は、図18の(D)に限らず、5以上の頂点があるものでもよい。また、多角形の穴は、図18の(E)の6角形に限らず5角形以上のものであってもよい。ノズル又は流路の断面(即ち、吐出口)は、これ以外の形状とすることも可能である。図18の(F)の花弁形の穴は、冷却剤の吐出方向と異なる方向への広がり(分散)を防止することができ、且つ冷却剤(流体)の圧力損失を少なくすることできる。花弁(はなびら)の数は4枚に限らず、複数(偶数でも奇数でもよい)枚であればよく、例えば、偶数であれば、6枚、8枚などとすることもできる。
図20は本発明の第7の実施形態に係るノズルアセンブリーを備える工作機械の一例を示す。本例の工作機械は、平面研削盤である。平面研削盤500に設けられるノズルアセンブリー490は、ベースモジュール210とノズルモジュール70とを含む。ノズル固定構造であるベースモジュール210は、ノズルモジュール70と冷却剤パイプ8とを連結し、これによって冷却剤(例えば、水や油)が冷却剤パイプ8を通じてノズルモジュール70へ流入される。また、ベースモジュール210はノズルモジュール70の後述する複数の流路70−4を含む流体吐出部70−2を適合した位置に固定させる。ノズルアセンブリー490以外の平面研削盤500の他の構成要素は第1の実施形態と同一であるので、これらについては詳細な説明を省略する。
図21(A)は本発明の第7の実施形態に係るノズルアセンブリー490の分解図である。図21(B)は、図21(A)に示されたノズルアセンブリー490の組み立て途中の状態を示す。ベースモジュール210は、支持部材11と、連結部材12と、パッキング13と、小型のパッキング18と、ストッパーの役割も果たす固定部材19と、E−リング17とを含む。支持部材11は作業者が手で回すことができるダイヤル型ハンドル11−1と、連結部材12が適当な位置に置かれるように案内する第1の段差部11−2及びリング11−3と、ベースモジュール210の中心部を貫く第1の軸部11−4と、固定部材19の軸方向の位置を固定させると同時に冷却剤が外部へ流れ出すことを防ぐ第2の段差部11−5と、固定部材19に形成されている貫通穴19−3に挿入される第2の軸部11−6と、固定部材19の貫通穴19−3の外に露出する端部11−7とを含む。リング11−3以外の支持部材11の構成要素は、金属、例えば、ステンレススチールからなる金属シリンダーを加工することによって形成することができる。リング11−3は柔軟性及び弾性を有する物質(例えば、ゴム)から形成されることが好ましい。
支持部材11の第1の段差部11−2は第1の軸部11−4より直径が大きいし、ハンドル11−1より直径が小さい。第1の段差部11−2の外周面には溝が形成されており、その溝にリング11−3が挟み込まれる。支持部材11の第2の段差部11−5は第1の軸部11−4より直径が大きい。また、第2の段差部11−5の直径は固定部材19の貫通穴19−3の直径より大きい。第2の軸部11−6の直径は第1の軸部11−4の直径より小さい。第2の軸部11−6の直径は固定部材19の貫通穴19−3の直径に近似して、第2の軸部11−6が固定部材19に嵌合されることが好ましい。支持部材11の端部11−7にはE−リング17が装着される。固定部材19及びE−リング17については後述する。
連結部材12は冷却剤パイプ8と連結され、冷却剤パイプ8から流入される冷却剤がさらに固定部材19を経由して、ノズルモジュール70へ流れる。連結部材12の構成及び支持部材11と連結部材12との連結方法は第1の実施形態と関連して説明したものと同一であるので、その説明を省略する。固定部材19およびE−リング17はベースモジュール210を組み立て固定させるためのストップ部材である。支持部材11の端部11−7が固定部材19の外に露出するように支持部材11の第2の軸部11−6を固定部材19の中心に形成された貫通穴19−3に挿入し、支持部材11の端部11−7にE−リング(即ち、E形止め輪)17を装着することにより、固定部材19とノズルモジュール70とを支持部材11に固定させる。E−リング17は軸との接触面積が小さいので、装着及び分離が容易である。例えば、固定部材19とE−リング17とのそれぞれは、金属(例えば、ステンレススチール)からなる。固定部材19の貫通穴19−3の直径は支持部材11の第2の段差部11−5の外径より小さいので、第2の段差部11−5にて固定部材19の位置決定が可能であると同時に、冷却剤が外部に流れ出すことも防ぐことができる。これに加え、支持部材11の第2の軸部11−6の外周面に雄ねじを形成し、固定部材19の貫通穴19−3の内の端部に雌ねじを形成することもできる。これによって、第2の軸部11−6を固定部材19の貫通穴19−3の端部に形成されたねじ穴にねじ込むことで、支持部材11と固定部材19とを更に固定する。一方、他の実施形態においては、支持部材11と固定部材19とは上述したねじ結合によって連結され、ベースモジュール210がE−リング17を含まない。この場合、支持部材11に端部11−7が形成されなくても良い。
連結部材12と固定部材19との間には、冷却剤の漏水を防ぐためのパッキング13と小型のパッキング18とがそれぞれ提供される。例えば、パッキング13と18とはゴムからなる。パッキング13は、連結部材12の末端に、パッキング18は、支持部材11の第2の段差部11−5の端面(図21(B)の矢印の箇所)に位置することになる。実施形態によっては、パッキング13及び18の両方、又は、いずれか一方を含まない。図21(B)に示されたように、上記の部品を組み立ててゆけば、支持部材11と固定部材19とは連結部材12に対して一体として回動自在に連結される。
固定部材19には、ヘッド部19−1および連結管19−2が設けられている。連結管19−2の外周面に雄ねじが形成され、ノズルモジュール70の本体部70−1の内部に雌ねじが形成されることで(図23参照)、固定部材19の連結管19−2とノズルモジュール70の本体部70−1とがねじ結合によって連結される。冷却剤パイプ8を通じてノズルアセンブリー490へ流入する冷却剤が連結管19−2へ流れるように、連結管19−2がヘッド部19−1のネック部分を貫通する。固定部材19とノズルモジュール70の本体部70−1との連結は、ねじ結合(螺合)に限られるものではない。嵌合や圧入などによってもよく、要は、脱着自在に結合できればよい。
ノズルモジュール70は、本体部70−1と流体吐出部70−2とを有する。本実施形態のノズルアセンブリー490の断面図である図23および図24に示されたように、本体部70−1と流体吐出部70−2とには冷却剤が流動可能になるように内部に空洞が形成されている。流体吐出部70−2の内部の空間には複数の流路70−4が形成されている。例えば、図23に示されたように、ノズルモジュール70の本体部70−1と流体吐出部70−2との間で冷却剤の流路が急激に狭くなることにより、冷却剤は複数の流路70−4の端部(即ち、吐出口)70−5から高流圧で吐き出される。また、各流路70−4の流入口70−3がノズルモジュール70の本体部70−1と流体吐出部70−2との連結部位に形成される。図23および図24に示されたように、流入口70−3は、流体の誘い込みのための誘い込み形状(例えば、凸部、凹部、又は凸部と凹部の適宜の組合わせによる。)のガイド部を有し、ガイド部が冷却剤を各流路70−4に案内することで、冷却剤の吐出効果を増している。具体的には、複数の流入口70−3の一部又は全ては、本体部70−1と流体吐出部70−2との連結部位の表面から本体部70−1に向けて突出した形状のガイド部を有したり、本体部70−1と流体吐出部70−2との連結部位の表面の窪まった形状のエッジをガイド部として有したりする。
以下、図21(A)および(B)を参照して、ノズルアセンブリー490の組み立て方法を説明する。先に、ベースモジュール210の支持部材11の第1の段差部11−2とリング11−3とに連結部材12の先端部をはめてポジショニングした後、パッキング13を連結部材12の末端に位置させ、更に、小型のパッキング18を第2の段差部11−5の端部に位置させる。次に、固定部材19の一端部の突出部を連結部材12の末端に形成されたリセス部にパッキング13とともにはめ込む。このとき、第2の軸部11−6は、固定部材19の内部端部に形成されたねじ穴にねじ込まれ、第2の段差部11−5およびパッキング18により冷却剤の漏水を防止する。そして、固定部材19の貫通穴19−3の外に露出した端部11−7にE−リング17を装着することによりベースモジュール210が組み立てられる。そして、固定部材19の連結管19−2とノズルモジュール70の本体部70−1の間をねじ結合で(あるいはその他の態様の結合によって)脱着可能に固定すれば、ノズルアセンブリー490の組み立てが完了する。
図22は、上述したようにベースモジュール210とノズルモジュール70との部品を組み立てることにより形成されたノズルアセンブリー490の斜視図である。ノズルアセンブリー490の冷却剤流入部12−1が冷却剤パイプ8の端部に連結され(例えば、ねじ結合によって)、冷却剤パイプ8に冷却剤が流入すれば、冷却剤がベースモジュール210の内部の空間を通過してノズルモジュール70のそれぞれの流路70−4へ流れて端部70−5を通じて研削刃2と被加工物W1に向かって噴射される。つまり、複数の流路70−4は、支持部材11の軸部(第1の軸部11−4および第2の軸部11−6)に対して直交する方向に、平行に形成され、複数の流路70−4の端部70−5から冷却剤が吐出されることになる。ダイヤル型ハンドル11−1を作業者が手で回すことによって地面に対するノズルモジュール70の角度を調整することができる。このような構成によって、研削刃2による被加工物W1の研削箇所Gを中心に冷却剤を噴射できる最適な位置に、ノズルモジュール70を配置することができる。
流路70−4の断面の形態は円形に限定されず、図18の(A)乃至(F)に示されたように様々な形態の断面を有しても良い。このような所定の配列の複数の小穴、星形の穴、多角形の穴、花弁形の穴など様々な穴が形成されている断面を有する流路70−4を通じて冷却剤を吐き出すことにより、円形の吐出口を有する場合に比べて、吐出圧力を高めたり冷却剤の分散を押えたりすることが可能である。複数の小穴のそれぞれは、例えば、円形の穴、星形の穴、多角形の穴、又は花弁形の穴である。特に、図18の(D)に示されたように、星形の吐出口を有する流路を用いることにより、吐出圧力を高めると同時に冷却剤の吐出方向と異なる方向への広がり(分散)を防止することができる。星形の穴は、図18の(D)に限らず、5以上の頂点があるものでもよい。また、多角形の穴は図18の(E)の6角形のものに限らず5角形以上のものであってもよい。各流路の断面をこれ以外の形状とすることも可能である。図18の(F)の花弁形の穴の場合は、冷却剤の吐出方向と異なる方向への広がり(分散)を防止することができ、且つ冷却剤(流体)の圧力損失を少なくすることできる。花弁(はなびら)の数は4枚に限らず、複数枚であればよく、例えば、6枚、8枚などとすることもできる。
本実施形態では、ベースモジュール210に対してノズルモジュール70を別個の部品として製造することで、研削装置の種類、研削刃の大きさ、等によってベースモジュール210に対し、流路の数、流路径の大きさ、又は流路の断面形状などの異なるノズルモジュール70を容易に脱着し、交換することができる。
図25は、第8の実施形態に係るノズルアセンブリー590を示し、第7の実施形態に係るノズルアセンブリー490に対して、マルチノズル55が追加された構成となる。マルチノズル55は複数のノズルを含み、これらの複数のノズルのそれぞれは、図25のノズルアセンブリーの断面図である図26に示されたように、支持部材11の軸部(第1の軸部11−4および第2の軸部11−6)に対して直交する方向に、平行に、ノズルモジュール70の流体吐出部70−2の内部に形成されている複数の流路70−4内に挿入される。これによって、ノズルモジュール70の内部の空間へ流入する冷却剤が複数のノズルに流入することができる。複数のノズルのそれぞれはノズルモジュール70の流体吐出部70−2に対して脱着可能である。上記複数のノズルは、流入側端部がノズルモジュール70の上記冷却剤流入口70−3に達するように、又は、流路70−4の内の所定の地点に達するように挿入される。また、ノズルモジュール70の流体吐出部70−2は、高流圧で冷却剤が噴射されるようにマルチノズル55を支持する役割を行う。このマルチノズル55によって、ノズルモジュール70の流体吐出部70−2から研削刃2や被加工物W1までの距離を、各ノズル(パイプ)の長さを調整しながら近づけることで、最適なものとすることができ、研削時の加工熱を効果的に軽減または除去することができる。複数のノズル(パイプ)は、個別に、流路70−4に対して出し入れ自在に保持されることが望ましい。つまり、複数のノズルは、流体吐出部70−2の複数の流路70−4の端部70−5から挿入され、その長さを流路70−4に出し入れすることにより変化可能に保持されることになる。
このマルチノズル55の各ノズルにおいて、一般的に、その管部の断面の形態は、吐出口が形成されている端部の形態と同一である。上述のように、ノズルの管部の形態は円形パイプに限定されず、図19の(A)乃至(F)に示されたように様々な形態の断面を有しても良い。各ノズルは、ノズルを貫通する一つ又は複数の穴を有し、これらの穴は一つ又は複数の流路を形成する。図19の(A)乃至(F)に示された複数の小穴、星形の穴、多角形の穴、花弁形の穴など様々な形態の穴が形成されている断面を有するノズルを通じて冷却剤を吐き出すことにより、一つの円形吐出口を有する場合に比べて、吐出圧力を高めたり冷却剤の分散を押えたりすることが可能である。上記の複数の小穴のそれぞれは、例えば、円形の穴、星形の穴、多角形の穴、又は花弁形の穴である。特に、図19の(D)に示されたように、星形の吐出口を有するノズルを用いることにより、吐出圧力を高めると同時に冷却剤の吐出方向と異なる方向への広がり(分散)を防止することができる。星形の穴は、図19の(D)に限らず、5以上の頂点があるものでもよい。また、多角形の穴は図19の(E)の6角形のものに限らず5角形以上のものであってもよい。各ノズルの断面をこれ以外の形状とすることも可能である。図19の(F)の花弁形の穴は、冷却剤の吐出方向と異なる方向への広がり(分散)を防止することができ、且つ冷却剤(流体)の圧力損失を少なくすることできる。花弁(はなびら)の数は4枚に限らず、複数枚であればよい。
本実施形態では、ベースモジュール210に対してノズルモジュール70を別個の部品として製造することで、研削装置の種類、研削刃の大きさ、等によってベースモジュール210に対して、流路の数(ノズルの本数)、流路径の大きさ(ノズルの径の大きさ)、流路の断面形状(ノズルの断面の形状)の異なるノズルモジュール70を容易に脱着し、交換することができる。
図27は本発明の第7の実施形態に係るノズルアセンブリー490を備える工作機械の他の例を示す。本例の工作機械は円筒研削盤である。円筒研削盤600は、研削刃602と、保護カバー604と、位置調整部606と、冷却剤パイプ608と、ノズルアセンブリー490とを含む。上記のように、ノズルアセンブリー490はベースモジュール210と、ノズルモジュール70とを含む。図示は省略されるが、円筒研削盤600は被加工物W2を両端面の中心で支持して回転させ、中心軸に沿って(即ち、Z軸方向に)移動させる移送装置を含む。研削刃602は、図示が省略された駆動源により、図27の平面において時計周りに回転駆動され、研削刃602の外周面と被加工物W2との当接面の摩擦によって被加工物W2の表面が研削される。保護カバー604は、高速で回転する研削刃602の周囲を囲んで、研削中に被加工物W2の切りくずが飛び散ることを防ぐことで研削盤の周囲の作業者を保護する。
位置調整部606は保護カバー604に設けられ、X軸方向に移動可能な冷却剤パイプ608を所望の位置に固定させる。これによって、冷却剤パイプ608に連結されているノズルアセンブリー490が、研削刃602による被加工物W2の研削箇所Gを中心に冷却剤を噴射できる最適な位置に配置されることができる。冷却剤パイプ608は、一端部にノズルアセンブリー490が結合され、他の端部には冷却剤を貯留するタンク(図示は省略)が連結される。ベースモジュール210はノズルモジュール70と冷却剤パイプ608とを連結し、これによって冷却剤が冷却剤パイプ608を通じてノズルモジュール70へ流入される。また、ベースモジュール210はノズルモジュール70の流路70−4の端部70−5を適合した位置に固定させる。なお、円筒研削盤600には、第8の実施形態に係るノズルアセンブリー590も適用できる。この場合は、マルチノズル55の各ノズル(パイプ)の端部が研削刃602による被加工物W2の研削箇所Gを中心に冷却剤を噴射できる最適な位置に配置されることができる。
図28は本発明の第9の実施形態に係るノズルアセンブリーを備える工作機械の一例を示す。本例の工作機械は、平面研削盤である。平面研削盤700に設けられるノズルアセンブリー690は、ベースモジュール210とノズルモジュール80とを含む。ノズル固定構造であるベースモジュール210は、ノズルモジュール80と冷却剤パイプ8とを連結し、これによって冷却剤(例えば、水や油)が冷却剤パイプ8を通じてノズルモジュール80へ流入される。また、ベースモジュール210はノズルモジュール80の後述する流体吐出部80−2を研削箇所Gに対して適合な位置に固定させる。ノズルアセンブリー690以外の平面研削盤700の他の構成要素は第1の実施形態と同一であり、ベースモジュール210は第7の実施形態と同一であるので、これらについては詳細な説明を省略する。
図29は、ベースモジュール210(図21(A)を参照)とノズルモジュール80を含むノズルアセンブリー690の組み立て途中の状態を示す。固定部材19には、ヘッド部19−1および連結管19−2が設けられている。連結管19−2の外周面に雄ねじが形成され、ノズルモジュール80の本体部80−1の内部には雌ねじが形成されることで(図31参照)、固定部材19の連結管19−2とノズルモジュール80の本体部80−1とがねじ結合によって連結される。冷却剤パイプ8を通じてノズルアセンブリー690へ流入する冷却剤が連結管19−2へ流れるように、連結管19−2がヘッド部19−1のネック部分を貫通する。固定部材19とノズルモジュール80の本体部80−1との連結は、ねじ結合(螺合)に限られるものではない。嵌合や圧入などによってもよく、要は、脱着自在に結合できればよい。
ノズルモジュール80は、本体部80−1と流体吐出部80−2(本例においては、円管状のノズルである)とを有する。この本体部80−1および流体吐出部80−2は、金属、例えばステンレススチールから成る。本体部80−1の突出部80−6の内面には、雌ねじが形成され、流体吐出部80−2の対応する部分(流入口80−3)には、雄ねじが形成されて、ねじ結合されるようになっている。勿論、本体部80−1と流体吐出部80−2との連結はねじ結合(螺合)に限られるものではなく、嵌合や圧入などによってもよく、要は、脱着自在に結合できればよい。本実施形態のノズルアセンブリー690の断面図である図31および図32に示されたように、本体部80−1と円管状の流体吐出部80−2とには冷却剤が流動可能になるように内部に空洞が形成されている。図31に示されたように、本体部80−1は、中空の内部空間がベースモジュール210の支持部材11の軸部(第1の軸部11−4および第2の軸部11−6)と平行な方向に、広い幅を有する。従って、ノズルモジュール80の本体部80−1に対し流体吐出部80−2においての冷却剤の流路が狭くなることにより、冷却剤は端部80−5から高流圧で吐き出される。流体吐出部80−2の内部の空間には流路80−4が形成され、流路80−4の流入口80−3がノズルモジュール80の本体部80−1と流体吐出部80−2との連結部位に形成される。
図29を参照して、ノズルアセンブリー690の組み立て方法を説明する。ベースモジュール210の組み立て方法は第7の実施形態と関連して説明したものと同様である。そして、固定部材19の連結管19−2とノズルモジュール80の本体部80−1の間をねじ結合で(あるいはその他の態様の結合によって)脱着可能に固定する。更に、本体部80−1と流体吐出部(ノズル)80−2をねじ結合すれば(あるいはその他の態様の結合によって)、ノズルアセンブリー690の組み立てが完了する。
図30は、上述したようにベースモジュール210とノズルモジュール80との部品を組み立てることにより形成されたノズルアセンブリー690の斜視図である。ノズルアセンブリー690の冷却剤流入部12−1が冷却剤パイプ8の端部に連結され(例えば、ねじ結合によって)、冷却剤パイプ8に冷却剤が流入すれば、冷却剤がベースモジュール210の内部の空間を通過してノズルモジュール80の流路80−4へ流れて端部80−5を通じて研削刃2と被加工物W1に向かって噴射される。つまり、流体吐出部80−2の流路80−4は、支持部材11の軸部(第1の軸部11−4および第2の軸部11−6)に対して直交する方向に位置されて、流路80−4の端部80−5から冷却剤が吐出されることになる。ダイヤル型ハンドル11−1を作業者が手で回すことによって地面に対するノズルモジュール80の角度を調整することができる。このような構成によって、研削刃2による被加工物W1の研削箇所Gを中心に冷却剤を噴射できる最適な位置に、ノズルモジュール80を配置することができる。
流体吐出部(ノズル)80−2の管部の形態は円管状に限定されず、図33の(A)乃至(G)に示されたような形状を有しても良い。図34はその断面を示す。一般的に、ノズルの管部の断面の形態は、吐出口が形成されている端部の形態と同一である。流体吐出部、即ち、ノズルは、ノズルを貫通する一つ又は複数の穴を有し、これらの穴は一つ又は複数の流路をノズルの内に形成する。図34の(A)乃至(G)に示された所定の配列の複数の小穴、星形の穴、多角形の穴、花弁形の穴など様々な形態の穴が形成されている断面を有する流路80−4を通じて冷却剤を吐き出すことにより、円形の吐出口を有する場合に比べて、流路が狭くなるため吐出圧力を高めたり冷却剤の分散を押えたりすることが可能である。上記の複数の小穴のそれぞれは、例えば、円形の穴、星形の穴、多角形の穴、又は花弁形の穴である。複数の小穴が開けられた場合は、流体の流路が支持部材11の軸部(第1の軸部11−4および第2の軸部11−6)に対して直交する方向に、複数本、平行にあることになる。特に、図33、図34の(D)に示されたように、星形の吐出口を有するノズルを用いることにより、吐出圧力を高めると同時に冷却剤の吐出方向と異なる方向への広がり(分散)を防止することができる。星形の穴は、図33、図34の(D)に限らず、5以上の頂点があるものでもよい。また、多角形の穴は図33、図34の(E)の6角形のものに限らず5角形以上のものであってもよい。各ノズルの断面をこれ以外の形状とすることも可能である。図33、図34の(F)は、V字状に小穴をあけて、上部の一部をカットしてフラットにしたものであり、研削刃の形状に冷却液の吐出形状を一致させたものである。このように、複数の小穴の配列も適宜変化させることができる。図33、図34の(G)の花弁形の穴は、冷却剤の吐出方向と異なる方向への広がり(分散)を防止することができ、且つ冷却剤(流体)の圧力損失を少なくすることできる。花弁(はなびら)の数は4枚に限らず、複数枚(偶数でも奇数でもよい)であればよく、例えば、偶数ならば、6枚、8枚などとすることもできる。そして、これらの流体吐出部(ノズル)80−2は、ねじ結合などで本体部80−1と脱着可能となっているので、研削刃や被加工物の加工条件などに応じて、適宜取り換えることも容易にできる。
本実施形態では、ベースモジュール210に対してノズルモジュール80を別個の部品として製造することで、研削装置の種類、研削刃の大きさ、等によってベースモジュール210に対し、流路の断面形状(即ち、吐出口の形状)の異なるノズルモジュール80を容易に脱着し、交換することができる。
図35は、図33の(A)および図34の(A)に示された小穴が一列に配列されたノズルの流体、例えば、冷却剤の流入側(流入口)の構造を示す図である。図35(A)は、ノズルの一部断面図であり、図35(B)は、ノズルの外観を示す斜視図である。図から理解される通り、流入側の端面は、フラットな面ではなく、流体を複数の小穴から形成された流路に誘い込むように、円錐形状としている。その円錐の頂点の角度(頂角)は、例えば、120度であるが、この角度は、流体の粘度などに依存して適宜変更でき、流出口(吐出口)からの吐き出しを最適にするようにするとよい。
図36は、図33の(D)および図34の(D)に示された穴が星形に形成されたノズルの流体、例えば、冷却剤の流入側(流入口)の構造を示す図である。図36(A)は、ノズルの一部断面図であり、図36(B)は、ノズルの外観を示す斜視図である。図から理解される通り、流入側の端面は、フラットな面ではなく、流体を星形の流路に誘い込むように、球面形状としている。その球面の半径は、ノズルの半径とほぼ同じ半径である。この球面の半径も流体の粘度などに依存して適宜変更でき、流出口(吐出口)からの吐き出しを最適にするようにするとよい。
以上は、図33および図34の(A)、(D)の2つの流路のタイプのノズルについて説明したが、他のタイプ(B)、(C)、(E)、(F)、(G)についても、流入口の端面を円錐形状や球面形状に加工すること、或いはそのほかの形状の加工によって、流体の誘い込みを実現することができる。また、夫々の穴に対して流体の流入部分のみに凹凸をつけて、誘い込みを実現することも可能である。勿論、他の実施形態によれば、何らこのような誘い込みのための構造を取らない。
本実施形態では、ベースモジュール210に対してノズルモジュール80を別個の部品として製造することで、研削装置の種類、研削刃の大きさ、等によってベースモジュール210に対し、流路の数、流路径の大きさ、流路の断面形状の異なるノズルモジュール80を容易に脱着し、交換することができる。
図37は本発明の第9の実施形態に係るノズルアセンブリー690を備える工作機械の他の例を示す。本例の工作機械は円筒研削盤である。円筒研削盤800は、研削刃802と、保護カバー804と、位置調整部806と、冷却剤パイプ808と、ノズルアセンブリー690とを含む。上記のように、ノズルアセンブリー690はベースモジュール210と、ノズルモジュール80とを含む。研削刃802と、保護カバー804と、位置調整部806と、冷却剤パイプ808との構成及び機能は、図13に示された円筒研削盤300の研削刃302と、保護カバー304と、位置調整部306と、冷却剤パイプ308との構成及び機能と同様であるので詳細な説明を省略する。ベースモジュール210はノズルモジュール80の流体吐出部80−2(流路80−4)の端部80−5を適合した位置に固定させて、冷却剤の吐き出しを最適にする。
以上、本発明を、複数の実施形態を利用して説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されることではない。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、上記説明及び関連図面から本発明の多くの変形及び他の実施形態を導出することができる。本明細書では、複数の特定用語が使われているが、これらは一般的な意味として単に説明の目的のために使われただけであり、発明を制限する目的で使われたものではない。添付の特許請求の範囲及びその均等物により定義される一般的な発明の概念及び思想を抜け出さない範囲で多様な変形が可能である。