JP6350884B2 - レーザー溶断方法及び溶断面を有する板状ガラス製品 - Google Patents
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Description
本発明は、板状ガラスなどのワークにレーザーを照射して、レーザーが照射された領域を溶融させることで当該ワークを所定の形状に切断するレーザー溶断方法と、溶断面を有する板状ガラス製品に関する。
例えば板状ガラス製品の加工方法の1つにレーザー溶断と呼ばれる手法がある。この手法は、板状ガラスにレーザーを照射すると共に、板状ガラスの切断予定線に沿った軌跡でレーザーを走査することにより、板状ガラスのうちレーザーが照射された領域を溶融させて、板状ガラスから走査軌跡に準じた形状の板状ガラス製品を切り出す方法である。
板状ガラス製品の製造工程においては、公知の方法で成形した板状ガラスの周縁部を切断して製品部を切り出すことや、1枚の板状ガラスから複数枚の製品部を切り出すことが行われている。このような切り出し作業は、例えばレーザー溶断により板状ガラスから製品部を切り抜くことで行われる(例えば、特許文献1の第2図(c)を参照)。
このように、レーザー溶断で板状ガラスから製品部を切り抜くことを考えた場合、切断予定線上にレーザーの照射開始位置を設けることになるが、このような位置からレーザーの照射を開始すると、照射開始位置の近傍にマイクロクラックが発生し易い、との問題がある。また、照射終了位置についても同様の問題がある。そのため、レーザーの照射開始位置及び照射終了位置を、ワークの製品部(又は切断予定線)よりも外側に離れた位置に設定して、製品部におけるマイクロクラックの発生を防止する手段が提案されている(特許文献2を参照)。
このように、レーザー溶断による板状ガラス製品の切り出しは、レーザーの照射による加熱でワークを溶融させることにより行われるものであるから、製品部への加熱の影響を小さくするために、製品部になるべくレーザーを照射しないような工夫が必要となる。ここで、実際の板状ガラス製品の切り出しにレーザー溶断を採用することを検討したところ、特許文献2に記載の方法を板状ガラス製品の切り出しに応用すれば、製品部(板状ガラス製品)へのマイクロクラックの発生に対して一定の抑止効果が認められた。しかし、その一方で、レーザーの走査軌跡が交差する領域の周辺においては、製品部が無視できない程度にまで加熱されていることが判明した。以下、図面に基づき詳述する。
図13は、レーザー溶断による、板状ガラス101からの製品部102の切り出し作業の一例を概念的に説明するための平面図である。図13に示すように、板状ガラス101に対するレーザー溶断は、レーザー照射装置111(図13中、二点鎖線で表示)から板状ガラス101に向けてレーザー112を照射すると共に、このレーザー照射装置111と板状ガラス101との相対移動によりレーザー112を走査することで行われる。また、このレーザー112の走査は、切り出すべき製品部102の形状に準じた切断予定線103(図13中、一点鎖線で表示)に沿って製品部102のまわりを一周する(閉曲線を描く)ようにして行われる。ここで、特許文献2に記載の如く、レーザー112の照射開始位置P11及び照射終了位置P12を、製品部102から見て切断予定線103よりも外側、すなわち非製品部104の側に設定した場合、レーザー112は、例えば閉曲線をなす切断予定線103のうち、製品部102の所定の辺に沿った直線領域103a上に進入して、切断予定線103に沿って一周した後、直線領域103a上からその外側に離脱する軌跡120を描く。
図14は、レーザー112の切断予定線103上への進入開始位置P13、及び切断予定線103上からの離脱開始位置P14の周辺を拡大した図である。図14に示すように、レーザー112の照射によって板状ガラス101には、その切断予定線103を中心として一定の幅寸法Lを有し、板状ガラス101を表裏方向に貫通するスリット121が溶融形成される。このスリット121の幅寸法Lは、板状ガラス101の表面におけるレーザー112の照射領域113(図14中、細線ハッチングを施した領域)の幅寸法、すなわちスポット径Dよりも必ず小さくなることから、スリット121の幅方向両側にもレーザー112が照射され、スリット121の幅方向両側の領域が少なからず加熱される。そのため、図13及び図14に示すように、レーザー112が切断予定線103に沿って製品部102のまわりをちょうど一周分走査するようにした場合、レーザー112の進入開始位置P13と離脱開始位置P14とは一致し、レーザー112の走査軌跡120は、進入開始位置P13(すなわち離脱開始位置P14)で交差する。その結果、製品部102の周縁部が、溶断開始直後と溶断終了直前の2回にわたってレーザー112の照射を受ける。このように、重複してレーザー112の照射を受けた領域は、他所に比べて過剰に加熱されることになるので、軟化等による変形を生じ、ひいては製品部102の形状品質の低下を招来するおそれが生じる。
以上の事情に鑑み、形状品質を確保しつつ、レーザー溶断でワークから製品部を切り出すことを、本発明により解決すべき技術的課題とする。
前記課題の解決は、本発明に係るレーザー溶断方法により達成される。すなわち、この溶断方法は、一部又は全体が板状をなすワークに対してレーザーを照射すると共に、閉曲線となるワークの切断予定線に沿ってレーザーを走査して、ワークを溶融させることにより、ワークを製品部と非製品部とに切り分けるレーザー溶断方法であって、非製品部の側からレーザーを切断予定線上に進入させ、切断予定線に沿って走査した後、レーザーを切断予定線上から非製品部の側に離脱させる軌跡をとるものにおいて、レーザーが切断予定線上からの離脱を開始する離脱開始位置を、レーザーが切断予定線上への進入を開始する進入開始位置よりもレーザーの走査方向後方側にオフセットした点をもって特徴付けられる。
このように、本発明では、通常であれば、切り分けるべき製品部又は非製品部の形状に準じた切断予定線に沿って製品部又は非製品部のまわりをちょうど一周するようにレーザーを走査させるべきところ、敢えて、レーザーが切断予定線上からの離脱を開始する離脱開始位置を、レーザーが切断予定線上への進入を開始する進入開始位置よりもレーザーの走査方向後方側にオフセットするようにした。言い換えると、切断予定線上を一周する手前でレーザーの切断予定線上からの離脱を開始するようにした。このように、切断予定線の形状に固執することなく、実質的な切り出しが可能な程度にレーザーを早めに切断予定線から非製品部の側に離脱させることで、製品部の周縁部のうちレーザー照射が重複して行われる領域の面積を小さく抑えることができる。これにより、レーザーの進入開始位置の周辺における製品部の周縁部の過剰な加熱を抑止して、当該周縁部の軟化、変形を可及的に防止することが可能となる。
ここで、具体的な本発明の適用対象としては、切断予定線に沿ってレーザーを走査して、ワークを溶融させることにより、ワークから切断予定線で囲まれた製品部を切り出す場合が考えられる。あるいは、切断予定線に沿ってレーザーを走査して、ワークを溶融させることにより、切断予定線で囲まれた領域をくり抜いた製品部を得る場合が考えられる。ここで、製品部を切り出す場合、レーザーは、切断予定線の外側に位置する非製品部の側からレーザーを切断予定線上に進入させ、切断予定線に沿って走査した後、レーザーを切断予定線上から非製品部の側に離脱させる軌跡をとるのがよい。また、切断予定線に囲まれた領域をくり抜いた製品部を得る場合、レーザーは、切断予定線の内側に位置する非製品部の側からレーザーを切断予定線上に進入させ、切断予定線に沿って走査した後、レーザーを切断予定線上から非製品部の側に離脱させる軌跡をとるのがよい。
また、本発明に係るレーザー溶断方法は、進入開始位置を通過する際のレーザーの走査軌跡が切断予定線と接するよう、レーザーを切断予定線上に進入させるものであってもよい。あるいは、離脱開始位置を通過する際のレーザーの走査軌跡が切断予定線と接するよう、レーザーを切断予定線上から離脱させるものであってもよい。
本発明は、レーザーを、非製品部の側から切断予定線上に進入させる走査軌跡をとる関係上、切断予定線に対して所定の角度をもって進入した場合、進入開始位置において走査軌跡を屈曲させるような方向転換が必要となる。これでは、方向転換の際にレーザーの走査速度が落ちてしまうため、方向転換位置(進入開始位置)におけるレーザーの照射時間が長くなり、その分加熱量が増大する、との問題が起こり得る。ここで、進入開始位置を通過する際のレーザーの走査軌跡が切断予定線と接するようレーザーを進入させるようにすれば、レーザーの切断予定線上への進入軌跡を、例えば切断予定線に漸近するような曲線状にすることができる。そのため、進入開始時において走査速度を落とすことなくレーザー溶断を進行させることができ、製品部への過剰な加熱を抑止することが可能となる。以上の説明は、切断予定線から非製品部の側にレーザーを離脱させる際にも同様に当てはまる。よって、離脱開始位置において切断予定線と平行になるようレーザーを離脱させることで、離脱開始時においても走査速度を落とすことなくレーザー溶断を完了することができる。
また、本発明に係るレーザー溶断方法は、レーザーが円弧状の軌跡を描いて切断予定線上への進入を開始するよう、レーザーを走査するものであってもよい。あるいは、レーザーが円弧状の軌跡を描いて切断予定線上からの離脱を開始するよう、レーザーを走査するものであってもよい。
円弧状の軌跡を描いてレーザーが切断予定線上への進入を開始するようにすれば、進入開始位置におけるレーザーの進入角(レーザーの走査方向と切断予定線とがなす角)を極力小さくすることができる。これにより、切断予定線に沿った向きへのレーザーの方向転換が最小限で済むので、進入開始時において走査速度を極力落とすことなくレーザー溶断を進行させることができる。もちろん、既述の如く、走査速度の維持の観点からは、進入開始位置を通過する際のレーザーの走査軌跡が切断予定線と接するよう、円弧状の軌跡でレーザーを切断予定線上に進入させるようにすればなお良い。また、以上の説明は、切断予定線から非製品部の側にレーザーを離脱させる際にも同様に当てはまる。よって、円弧状の軌跡を描いてレーザーが切断予定線上から非製品部の側への離脱を開始するようにすれば、離脱開始時においても走査速度を極力落とすことなくレーザー溶断を完了することができる。
また、本発明に係るレーザー溶断方法は、レーザーの進入開始位置と離脱開始位置とが共に、切断予定線のうち製品部の所定の辺に対応する直線領域上に位置するよう、レーザーの走査軌跡を設定するものであってもよい。
切り出すべき製品部が辺を有する形状(例えば矩形状)を成すものである場合、この辺に対応する切断予定線の直線領域上にレーザーの進入開始位置と離脱開始位置とを配置するのがよい。このように走査軌跡を定めることで、切断予定線上への進入速度やその進入軌跡の具体的形状又は寸法など、レーザーの走査条件を容易に設定できる。また、走査条件の設定が容易な分、実際の走査も精度良く行い易い。よって、高品質の製品部を安定して切り出すことが可能となる。
また、本発明に係るレーザー溶断方法は、円弧状の軌跡を描いて切断予定線上への進入を開始するレーザーの進入軌跡の半径をR1、円弧状の軌跡を描いて切断予定線上からの離脱を開始するレーザーの離脱軌跡の半径をR2、レーザーのスポット径をD、レーザーの照射によりワークを溶融することで形成されるスリットの幅寸法をLとした場合、進入開始位置から離脱開始位置までのオフセット量Sが、下記の数式1を満足するものであってもよい。
また、好ましくは、上記オフセット量Sが、下記の数式2を満足するものであってもよく、
より好ましくは、上記オフセット量が、下記の数式3を満足するものであってもよい。
本発明者が、具体的に、レーザーの進入開始位置から離脱開始位置までのオフセット量と、レーザーの走査条件に関する各種パラメータとの関係を精査したところ、特に、円弧状の軌跡を描くレーザーの進入軌跡の半径R1、離脱軌跡の半径R2、レーザーのスポット径D、及びレーザーの照射によりワークを溶融することで形成されるスリットの幅寸法Lが、オフセット量Sに対して支配的であることが判明した。そこで、更なる精査、検討を行ったところ、製品部の周縁部形状が許容できる範囲に収まるオフセット量の範囲を上記パラメータによる数式により算出可能なことが判明した。上記数式1〜3は、以上の鋭意検討に基づき成されたもので、上記数式を満たす範囲内でオフセット量Sを設定すれば、製品部の周縁部からの変形量(突出量)を、製品部の形状品質に問題がない程度の大きさに抑えつつ、生産性を維持可能な程度の速度でレーザーを走査(溶断)することが可能となる。
また、本発明に係るレーザー溶断方法は、製品部が略矩形状の板ガラスであるものであってもよい。
上述のように、本発明は、レーザーの進入開始位置の周辺における製品部の周縁部の過剰な加熱を抑止して、当該周縁部の軟化、変形を可及的に防止することを可能とするものであるから、略矩形状の板ガラスのように高い形状品質が要求される板状ガラス製品に好適に適用することができる。
また、前記課題の解決は、本発明に係る板状ガラス製品によっても達成される。すなわち、このガラス製品は、一部又は全体が板状をなすワークを、溶断により非製品部と切り分けることで得られ、一又は複数の辺を有する板状ガラス製品において、溶断により生じた溶断面が辺に沿って形成され、溶断面には、非製品部の側に向けて突出する突出部が形成され、突出部の非製品部の側への最大突出量が10μm以上でかつ100μm以下である点をもって特徴付けられる。
上記範囲に突出部のサイズを規制することで、辺に沿って形成された溶断面に研磨等の端面加工を施すことなく、溶断により切り分けられた板状ガラスをそのまま板状ガラス製品として提供することが可能となる。
また、本発明に係る板状ガラス製品は、突出部の辺に沿った方向の長さ寸法が100μm以上でかつ2000μm以下であってもよく、またその場合に突出部の板厚方向の寸法が突出部以外の部位における厚み方向の寸法よりも5μm以上でかつ100μm以下の範囲で大きいものであってもよい。
以上に述べたように、本発明によれば、形状品質を確保しつつ、レーザー溶断でワークから製品部を切り出すことが可能となる。また、製品部が板状ガラス製品の場合、板状ワークから溶断により切り分けられた板状ガラスをそのまま板状ガラス製品として提供することが可能となる。
以下、本発明に係るレーザー溶断方法の一実施形態を図1〜図10を参照して説明する。本実施形態では、所定の方法で成形された板状ガラス1を切断対象(ワーク)とし、この板状ガラス1から1枚又は複数枚の板状ガラス製品(製品部2)を切り出す場合を例にとって説明する。なお、以下の方法によりレーザー溶断処理が施される板状ガラス1としては、10μm以上でかつ500μm以下の厚みを有するものが良く、10μm以上でかつ300μm以下の厚みを有するものがより良く、10μm以上でかつ200μm以下の厚みを有するものがさらに良い。また、板状ガラス1から切り出される製品部2は、例えば携帯用電子デバイスに組み込まれるタッチパネルのカバー材(保護カバー)に用いられるもので、本実施形態では、各々の角部を丸めた略矩形状(長方形状)となるよう、製品部2の切り出し形状(製品部2と非製品部3との境界となる切断予定線4の形状)が設定される。
図1は、本発明の一実施形態に係るレーザー溶断装置10の概略平面図、図2はこのレーザー溶断装置10の要部A−A断面図をそれぞれ示している。図1及び図2に示すように、このレーザー溶断装置10は、板状ガラス1の切断予定線4(図1中、一点鎖線で示す)に沿って板状ガラス1に溶断用のレーザー11を照射するレーザー照射装置12と、レーザー11の照射領域13に向けてアシストガス14を噴射するアシストガス噴射装置15と、載置された板状ガラス1を支持する支持台16とを主に備える。なお、図3以降においては、レーザー11の走査態様に関する理解を容易にするため、レーザー照射装置12及びアシストガス噴射装置15を省略している。
レーザー照射装置12は、例えば炭酸ガスレーザーやYAGレーザー等に代表されるレーザー11の発生源である発振器と、集光レンズ(何れも図示は省略)とを少なくとも有するもので、板状ガラス1に向けて所定の角度(本実施形態では略垂直)でレーザー11を照射可能となるよう構成されている。なお、照射されるレーザー11は、連続光であってもよいし、パルス光であってもよい。また、レーザー11の出力は、板状ガラス1の材質や厚み、レーザー11の走査速度等によって適宜に調整される。
なお、図示は省略するが、本発明に係るレーザー溶断装置10は、所定の態様でデフォーカスした徐冷用レーザーを板状ガラス1に向けて照射する徐冷用レーザー照射装置をさらに備えたものであってもよい。このように徐冷用レーザーを板状ガラス1のうちレーザー11の照射領域13の前後、言い換えると、レーザー11の走査方向前方側及び後方側の領域に向けて照射することにより、走査方向前方側の領域を予め加熱しておくと共に、溶断(溶融切断)直後の領域周辺を引き続き加熱することができる。これにより、板状ガラス1の急冷を抑制して、製品部2の周縁部(切断端部)における残留歪みの発生を可及的に防止することができる。
アシストガス噴射装置15は、板状ガラス1にレーザー11を照射するのに伴って発生する溶融物を吹き飛ばすために、レーザー11の照射領域13に向けてアシストガス14を噴射可能なように構成される。本実施形態では、板状ガラス1の製品部2となる領域の上方にアシストガス噴射装置15が配置されており、アシストガス14が製品部2となる領域の上方からレーザー11の照射領域13に向けて斜め下方に噴射口が設置される。これにより、板状ガラス1の切断(溶融)領域で発生した溶融物は、アシストガス14によって非製品部3の側に向けて吹き飛ばされる。そのため、製品部2の切断端面等に異物としての溶融物が付着し、製品部2に形状不良が生じるような事態が可及的に防止される。なお、使用可能なアシストガス14の種類は特に限定されず、例えば酸素ガス、水蒸気、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アルゴンガスなど、公知のガスが単独で若しくは複数種混合して使用される。
もちろん、アシストガス噴射装置15の噴射態様は上記形態に限定されるものではない。例えば図示は省略するが、製品部2上にアシストガス噴射装置15を配置し、レーザー11の照射領域13に対して略水平方向にアシストガス14を噴射可能なように構成してもよい。また、アシストガス噴射装置15は必要に応じて設ければ足り、必ずしも設ける必要はない。
支持台16は、切断すべき板状ガラス1を下方から横姿勢で支持するもので、本実施形態では、略長方形状の製品部2となる領域を支持可能な第1支持部17と、製品部2の周囲に位置し、中抜き矩形状の非製品部3となる領域を支持可能な第2支持部18とを有する。これら第1支持部17と第2支持部18とは、溝部19によって区分されている。この溝部19は、予め所定の軌跡に設定されるレーザー11の走査領域下に設けられる。
なお、図示は省略するが、本発明に係るレーザー溶断装置10は、板状ガラス1を下方から吸着した状態で支持台16により支持可能とするための吸着手段をさらに備えたものであってもよい。このような吸着手段を設け、板状ガラス1を支持台16に吸着支持した状態で切断予定線4に沿った板状ガラス1のレーザー溶断(溶融切断)処理を順次実行することで、板状ガラス1の支持台16に対する位置ずれを防止することができる。よって、切断精度の向上、ひいては高品質な製品部2の切り出しを図ることが可能となる。
次に、レーザー11の走査態様について説明する。
レーザー11の走査は、レーザー照射装置12とアシストガス噴射装置15を、支持台16とこれに支持された状態の板状ガラス1に対して水平方向に相対移動させることにより行われる。そして、このレーザー11の走査は、溶断対象となる板状ガラス1に対してレーザー11を照射し、かつ閉曲線となる板状ガラス1の切断予定線4に沿ってレーザー11を走査することで板状ガラス1を溶融させ、板状ガラス1から切断予定線4で囲まれた製品部2を切り出し可能な軌跡を描くようにして行われる。
詳述すると、レーザー11は、図3中の二点鎖線で示すように、製品部2から見て切断予定線4の外側からレーザー11を切断予定線4上に進入させ、切断予定線4に沿って走査した後、レーザー11を切断予定線4上からその外側に離脱させる走査軌跡20をとる。この場合、レーザー11の照射開始位置P1は走査軌跡20の始点(正確には、走査軌跡20の中心線の始点)となり、切断予定線4の外側(非製品部3の側)に設定される。また、レーザー11の照射終了位置P2は走査軌跡20の終点となり、照射開始位置P1と同様、切断予定線4の外側に設定される。なお、ここでいう走査軌跡20は、正確にはレーザー11の照射領域13がなす軌跡を示しており、それが故に、一定の幅方向を有する領域(二点鎖線で囲まれた領域)として表示されている。本実施形態では、レーザー11が円弧状の軌跡を描いて切断予定線4上への進入を開始するよう、レーザー11の走査軌跡20(進入軌跡20a)が設定される。また、切断予定線4上への進入を開始する進入開始位置P3を通過する際のレーザー11の走査軌跡が切断予定線4と接するよう、レーザー11を切断予定線4上に進入させる(進入軌跡20aを設定する)ようにしている。
離脱する際も同様に、レーザー11が円弧状の軌跡を描いて切断予定線4上からの離脱を開始するよう、レーザー11の走査軌跡20(離脱軌跡20b)が設定される。また、切断予定線4上からの離脱を開始する離脱開始位置P4を通過する際のレーザー11の走査軌跡が切断予定線4と接するよう、レーザー11を切断予定線4上から離脱させる(離脱軌跡20bを設定する)ようにしている。
また、本実施形態では、製品部2が各々の角部を丸めた略長方形状をなすことから、対応する切断予定線4もまた各々の角部を丸めた略長方形状をなす。そこで、レーザー11の進入開始位置P3と離脱開始位置P4とが共に、切断予定線4のうち製品部2の所定の辺(ここでは図3中、上側の短辺)に沿った直線領域4a上に位置するよう、レーザー11の走査軌跡20が設定される。
図3に示すような走査軌跡20をとった場合、この走査軌跡20は、切断予定線4の直線領域4a上で交差することになる。図4は走査軌跡20の交差部を拡大して示したもので、レーザー11の切断予定線4上からの離脱開始位置P4を、切断予定線4上への進入開始位置P3よりもレーザー11の走査方向後方側(図4でいえば、進入開始位置P3からみて左側)にオフセットしている。
ここで、図4に示すように、円弧状の軌跡を描いて切断予定線4上への進入を開始するレーザー11の進入軌跡20aの半径(正確には、進入軌跡20aの中心線の半径)をR1、同じく円弧状の軌跡を描いて切断予定線4上からの離脱を開始するレーザー11の離脱軌跡20bの半径(正確には、離脱軌跡20bの中心線の半径)をR2、レーザー11のスポット径(すなわち、走査軌跡20をなす走査領域の幅方向寸法)をD、レーザー11の照射により板状ガラス1を溶融することで形成されるスリット21(後述する図6を参照)の幅寸法をLとした場合、前記進入開始位置から前記離脱開始位置までのオフセット量Sは、上記の数式1を満足するように設定されるのがよい。また、好ましくは、上記の数式2を満足するように設定されるのがよく、さらに好ましくは、上記の数式3を満足するように設定されるのがよい。
以下、上記構成の溶断装置10を用いた板状ガラス1に対するレーザー溶断方法の一例を説明する。
まず、図5に示すように、レーザー照射装置12(図5中、二点鎖線で表示)を、板状ガラス1の製品部2から見て切断予定線4の外側、すなわち非製品部3の側に位置する照射開始位置P1上に配置する。そして、レーザー照射装置12からレーザー11を照射すると共に、上述の如く予め設定した走査軌跡20(この段階では円弧状の進入軌跡20a)に沿ってレーザー11を走査することで、板状ガラス1に対するレーザー溶断を開始する。
こうして、板状ガラス1の非製品部3を溶融しながらレーザー11を進入軌跡20aに沿って走査していき、切断予定線4上に進入させる(図6を参照)。この際、レーザー11は、図6に示すように切断予定線4に漸近するようにして切断予定線4上に進入することになるため、走査速度を維持した状態で切断予定線4上に進入することができる。
このようにして切断予定線4上に進入し、レーザー11を切断予定線4に沿って走査することにより、切断予定線4を含む領域を溶融して、切断予定線4を中心とし、板状ガラス1を表裏方向に貫通するスリット21を切断予定線4に沿って順次形成していく(図7を参照)。
こうしてレーザー11を予め設定した走査軌跡20に沿って走査し、製品部2のまわりを約一周した後、レーザー11の切断予定線4上からの離脱を開始する(図8を参照)。この際、レーザー11は、図8に示すように、切断予定線4と離脱開始位置P4において接する円弧状の軌跡(離脱軌跡20b)に沿って切断予定線4上から離脱していくことになるため、走査速度を維持した状態で切断予定線4上からレーザー11を離脱させることができる。
そして、引き続き走査軌跡20(ここでは、離脱軌跡20b)に沿ってレーザー11の走査を続行し、図9に示すように、レーザー照射装置12を、非製品部3の側にまで移動し、レーザー11が非製品部3上の照射終了位置P2に到達したら、レーザー11の照射を終了する。このようにして、レーザー11の走査による板状ガラス1からの製品部2の切り出し作業が完了する。
このように、本発明では、レーザー11の離脱開始位置P4を、進入開始位置P3よりもレーザー11の走査方向後方側にオフセットするようにした。言い換えると、実質的な切り出しが可能な程度にレーザー11を早めに切断予定線4からその外側(非製品部3の側)に離脱させるようにした。これにより、製品部2の周縁部のうちレーザー11の照射が重複して行われる領域の面積を小さく抑えることができる。そのため、特にレーザー11の進入開始位置P3又は離脱開始位置P4の周辺における製品部2の周縁部の過剰な加熱を抑止して、当該周縁部の軟化、変形を可及的に防止することが可能となる。よって、特にレーザー11の進入、離脱に係る製品部2の辺2aの端面形状精度を高めることが可能となる。
図10は、本発明に係るレーザー溶断方法により切り出した板状ガラス製品としての製品部2の辺2aのうち、レーザー11の進入開始位置P3及び離脱開始位置P4に最も近い領域を拡大して模式的に示したものである。図10に示すように、本発明に係るレーザー溶断方法で切り出した製品部2の辺2a(周縁部)の、進入開始位置P3及び離脱開始位置P4の付近においては、溶断により辺2aに沿って形成された溶断面(図示は省略)から外側に突出した突出部2a1がみられるが、その突出度合い(後述する最大突出量2a1r)は僅かである。また、突出部2a1の形状(例えば、後述する長さ寸法2a1lに対する最大突出量2a1rの比)も比較的なだらかである。対して、従来の走査軌跡(図13及び図14を参照)に係るレーザー溶断方法で切り出した製品部2においては、図10中の二点鎖線で示すように、外側に大きく突出した形態の突出部2a1’がみれらる。このことからも、本発明に係るレーザー溶断方法で切り出した製品部の端面形状精度が向上していることがわかる。
なお、ここで、突出部2a1の外側への最大突出量2a1r(図10)は、10μm以上でかつ100μm以下であることが好ましく、15μm以上でかつ80μm以下であることがより好ましく、20μm以上でかつ60μm以下であることがさらに好ましい。また、突出部2a1の辺2aに沿った方向の長さ寸法2a1l(図10)は100μm以上でかつ2000μm以下であることが好ましく、200μm以上でかつ1500μm以下であることがより好ましく、300μm以上でかつ1000μm以下であることがさらに好ましい。また、突出部2a1の板厚方向の寸法(図示は省略)は突出部2a1以外の部位における厚み方向の寸法よりも5μm以上でかつ100μm以下の範囲で大きいことが好ましく、10μm以上でかつ90μm以下の範囲で大きいことがより好ましく、15μm以上でかつ80μm以下の範囲で大きいことがさらに好ましい。上記範囲に突出部2a1のサイズを規制することで(特に、上述したサイズの板状ガラス1から上述した用途の製品部2を切り出す場合には、上述したより好ましい範囲に突出部2a1のサイズを規制することで)、研磨等の端面加工を別途に施すことなく、製品部2をそのまま製品として提供することが可能となる。
また、本実施形態では、レーザー11の進入軌跡20aを切断予定線4に漸近するような形状とし、進入開始位置P3を通過する際のレーザー11の走査軌跡が切断予定線4と接するよう、レーザー11を切断予定線4上に進入させるようにしたので、レーザー11の走査速度を維持してレーザー溶断を進行することができる。また、本実施形態では、レーザー11の離脱軌跡20bを切断予定線4から徐々に遠ざかる形状とし、離脱開始位置P4を通過する際のレーザー11の走査軌跡が切断予定線4と接するよう、レーザー11を切断予定線4上から離脱させるようにしたので、これによってもレーザー11の走査速度を維持してレーザー溶断を進行することができる。従って、製品部2の切り出し品質(形状品質)をより高めることが可能となる。
また、本実施形態では、上述した数式1〜3の何れかを満足するよう、適切なオフセット量Sを定めるようにしたので、これによっても製品部2の切り出し品質を高めることができる。また、この際、切断予定線4上への進入軌跡20a、及び切断予定線4上からの離脱軌跡20bを、円弧領域で構成したので、オフセット量Sの設定に必要な数式(例えば上記数式1〜3)の導出が容易にでき、かつその精度を高めることができる。よって、このことによっても、更なる切り出し精度の向上を図ることが可能となる。
以上、本発明に係るレーザー溶断方法の一実施形態を説明したが、この溶断方法は、当然に本発明の範囲内において任意の形態を採ることができる。
例えば、上記実施形態では、レーザー11の進入開始位置P3に対する離脱開始位置P4のオフセット量Sを、上記の数式1〜3の何れかを満足するように設定した場合を例示視したが、もちろん、このオフセット量Sは、レーザー11の走査軌跡20によって適宜設定するべきものである。よって、図3及び図4以外の走査軌跡20をとる場合には、その走査軌跡に合わせて適切なオフセット量Sを設定するのがよい。
また、上記実施形態では、レーザー11の進入開始位置P3と離脱開始位置P4とが共に、切断予定線4のうち製品部2の所定の辺(例えば図10に示す2a)に対応する直線領域4a上に位置するよう、レーザー11の走査軌跡20を設定した場合を例示したが、もちろんこれ以外の領域に進入開始位置P3と離脱開始位置P4とが位置するよう、レーザー11の走査軌跡20を設定しても構わない。例えば図示の形態であれば、製品部2のうち円弧状をなす角部に対応する円弧領域上に、進入開始位置P3と離脱開始位置P4とが位置するよう、レーザー11の走査軌跡20を設定することも可能である。
また、上記実施形態では、板状ガラス1から切り出した部分が製品部2となる場合を例示したが、板状ガラス1から切り出された部分が製品部となる場合に本発明を適用しても構わない。換言すれば、図11に示すように、切断予定線4の外側が製品部2で、内側が非製品部3となる場合(例えば、各々の角部を丸めた略矩形状の穴を製品部2に開ける場合)に本発明を適用しても構わない。この場合、レーザー11は、製品部2から見て切断予定線4の内側から、言い換えると、切断予定線4により閉じられた領域である非製品部3の側からレーザー11を切断予定線4上に進入させ、切断予定線4に沿って走査した後、レーザー11を切断予定線4上からその内側(非製品部3の側)に離脱させる軌跡をとる。また、この際、レーザー11が切断予定線4上からの離脱を開始する離脱開始位置P4を、レーザー11が切断予定線4上への進入を開始する進入開始位置P3よりもレーザー11の走査方向後方側にオフセットする。これにより、上記実施形態と同様、レーザー11の進入開始位置P3又は離脱開始位置P4の周辺における製品部2の周縁部の過剰な加熱を抑止して、当該周縁部の軟化、変形を可及的に防止することができ、これによりレーザー11の進入、離脱に係る製品部2の辺2aの端面形状精度を高めることが可能となる。
以下、本発明の実施例を示す。なお、以下の説明において、既述の構成要素と同一の機能、又は形状を有するものについては、上記実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略している。
本実施例では、照射開始位置P1から進入開始位置P3へと至り、円弧状をなすレーザー11の進入軌跡20aの半径R1と、離脱開始位置P4から照射終了位置P2へと至り、円弧状をなすレーザー11の離脱軌跡20bの半径R2(共に図4を参照)、及びオフセット量Sを変化させた場合における、製品部2の辺2a(図10を参照)の形状を数値化して評価した。
溶断条件は以下の通りである。まず共通条件として、レーザー溶断の対象となる板状ガラス1には、日本電気硝子株式会社製のOA−10G(厚み:100[μm])を使用した。また、溶断用のレーザー11に関し、その出力を9[W]、スポット径Dの大きさを130[μm]、加工速度(走査速度)を10[mm/s]、レーザー11の照射により板状ガラス1に溶融形成されたスリット21の幅寸法Lの大きさを60[μm]とした。アシストガス噴射装置15からのアシストガス14の噴射量を60[l/min]とした。
また、進入軌跡20aの半径R1と離脱軌跡20bの半径R2を共に3,5,10[mm]の3種類に設定すると共に、各々の場合におけるオフセット量Sを数段階(例えば5段階)に変化させた際の、製品部2の辺2aの進入開始位置P3及び離脱開始位置P4付近の端面形状を数値化して評価した。具体的には、辺2aの周端部のうち、辺2aの長手方向に沿った所定長さ(例えば4mm)の領域を測定対象とし、顕微鏡にて当該測定対象を製品部2表面の法線方向から撮影することで、当該測定対象の拡大写真を得た。その後、この領域の長手方向両端位置を結んで得た線を基準線として製品部2の辺2aの先端の位置を一定間隔(例えば50μm)ごとに測定し、この基準線から外側(非製品部3の側)に突出した量の最大値(最大突出量2a1r)と、上記領域における外側への突出量の偏差(何れも単位はμm)を測定した。
図12に、実験結果を示す。なお、図12中における中実プロットは最大突出量2a1r、白抜きプロットは偏差をそれぞれ示している。また、オフセット量Sは何れも、数式1〜3に基づき規格化している(オフセット率としている)。同図に示すように、半径R1,R2の大きさ如何によらず、オフセット率を0%よりも大きくするにつれて、突出部2a1の最大値(最大突出量2a1r)は減少する傾向にあることが分かった(偏差についても同様である)。また、オフセット率(オフセット量S)には、設定した半径R1,R2の大きさによって多少のばらつきはあるものの、ある程度最適な範囲があり、具体的には0%を超えかつ125%未満がよく、25%を超えかつ100%未満がよりよく、40%を超えかつ70%未満がさらによいことが分かった。
1 板状ガラス
2 製品部
3 非製品部
4 切断予定線
10 レーザー溶断装置
11 レーザー
12 レーザー照射装置
13 照射領域
14 アシストガス
15 アシストガス噴射装置
16 支持台
20 走査軌跡
20a 進入軌跡
20b 離脱軌跡
21 スリット
D スポット径(レーザー)
L 幅寸法(スリット)
P1 照射開始位置
P2 照射終了位置
P3 進入開始位置
P4 離脱開始位置
S オフセット量
2a1r 突出部の最大突出量
2a1l 突出部の辺に沿った方向の長さ寸法
2 製品部
3 非製品部
4 切断予定線
10 レーザー溶断装置
11 レーザー
12 レーザー照射装置
13 照射領域
14 アシストガス
15 アシストガス噴射装置
16 支持台
20 走査軌跡
20a 進入軌跡
20b 離脱軌跡
21 スリット
D スポット径(レーザー)
L 幅寸法(スリット)
P1 照射開始位置
P2 照射終了位置
P3 進入開始位置
P4 離脱開始位置
S オフセット量
2a1r 突出部の最大突出量
2a1l 突出部の辺に沿った方向の長さ寸法
Claims (14)
- 一部又は全体が板状をなすワークに対してレーザーを照射すると共に、閉曲線となる前記ワークの切断予定線に沿って前記レーザーを走査して、前記ワークを溶融させることにより、前記ワークを製品部と非製品部とに切り分けるレーザー溶断方法であって、
前記非製品部の側から前記レーザーを前記切断予定線上に進入させ、前記切断予定線に沿って走査した後、前記レーザーを前記切断予定線上から前記非製品部の側に離脱させる軌跡をとり、
前記レーザーが前記切断予定線上からの離脱を開始する離脱開始位置を、前記レーザーが前記切断予定線上への進入を開始する進入開始位置よりも前記レーザーの走査方向後方側にオフセットしたことを特徴とするレーザー溶断方法。 - 前記切断予定線に沿って前記レーザーを走査して、前記ワークを溶融させることにより、前記ワークから前記切断予定線で囲まれた製品部を切り出す場合において、
前記レーザーは、前記切断予定線の外側に位置する前記非製品部の側から前記レーザーを前記切断予定線上に進入させ、前記切断予定線に沿って走査した後、前記レーザーを前記切断予定線上から前記非製品部の側に離脱させる軌跡をとる請求項1に記載のレーザー溶断方法。 - 前記切断予定線に沿って前記レーザーを走査して、前記ワークを溶融させることにより、前記切断予定線で囲まれた領域をくり抜いた前記製品部を得る場合において、
前記レーザーは、前記切断予定線の内側に位置する前記非製品部の側から前記レーザーを前記切断予定線上に進入させ、前記切断予定線に沿って走査した後、前記レーザーを前記切断予定線上から前記非製品部の側に離脱させる軌跡をとる請求項1に記載のレーザー溶断方法。 - 前記進入開始位置を通過する際の前記レーザーの走査軌跡が前記切断予定線と接するよう、前記レーザーを前記切断予定線上に進入させる請求項1〜3の何れかに記載のレーザー溶断方法。
- 前記離脱開始位置を通過する際の前記レーザーの走査軌跡が前記切断予定線と接するよう、前記レーザーを前記切断予定線上から離脱させる請求項1〜4の何れかに記載のレーザー溶断方法。
- 前記レーザーが円弧状の軌跡を描いて前記切断予定線上への進入を開始するよう、前記レーザーを走査する請求項1〜5の何れかに記載のレーザー溶断方法。
- 前記レーザーが円弧状の軌跡を描いて前記切断予定線上からの離脱を開始するよう、前記レーザーを走査する請求項1〜6の何れかに記載のレーザー溶断方法。
- 前記レーザーの前記進入開始位置と前記離脱開始位置とが共に、前記切断予定線のうち前記製品部の所定の辺に対応する直線領域上に位置するよう、前記レーザーの走査軌跡を設定する請求項1〜7の何れかに記載のレーザー溶断方法。
- 前記製品部が略矩形状の板ガラスである請求項1〜11の何れかに記載のレーザー溶断方法。
- 一部又は全体が板状をなすワークを、溶断により非製品部と切り分けることで得られ、一又は複数の辺を有する板状ガラス製品において、
溶断により生じた溶断面が前記辺に沿って形成され、前記溶断面には、前記非製品部の側に向けて突出する突出部が形成され、
前記突出部の前記非製品部の側への最大突出量が10μm以上でかつ100μm以下であることを特徴とする、板状ガラス製品。 - 前記突出部の前記辺に沿った方向の長さ寸法が100μm以上でかつ2000μm以下で、前記突出部の厚み方向の寸法が、前記突出部以外の部位における厚み方向の寸法よりも5μm以上でかつ100μm以下の範囲で大きい請求項13に記載の板状ガラス製品。
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