JP6348853B2 - 細胞培養用基板 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性高分子を利用した導電性ゲルを備えた細胞培養用基板に関する。
細胞の膜表面で発生する電気的活性を測定する技術は、脳、筋肉、心臓などの組織を構成する細胞の電気的性質と生理機能との関係を解明するうえで有用であり、信号生理学、薬理学、細胞生理学、基礎生物学などの学術分野だけでなく、創薬スクリーニングや再生医療などの応用分野にも利用されている。
細胞の電気的信号を測定する従来技術として、先端を極細に加工したガラスピペットに緩衝液を満たしてなる針状電極を、組織表面、組織内(細胞外)、細胞表面又は細胞内などに近接して設置し、細胞内外の電圧の測定を行う古典的な手法が現在も多用されている(非特許文献1)。この手法によれば、細胞に損傷を与えずに、単一の細胞又は単一の膜タンパク質にフォーカスして、電気的刺激を与え、その電気的活動を測定することが可能である。
しかし、これらの従来技術は針状電極を細胞の適切な部位に挿入するための専門的な知識と高い操作技術が求められる問題、並びに、一本の針状電極によって測定できるのは単一の細胞に限られる問題等がある。そのため、針状電極の精密な位置制御を行うことなく、且つ複数の細胞の電気的信号を一度にまとめて測定する新たな技術が求められている。
微細加工技術を駆使して基板表面に複数の微小な電極をパターニングし、その電極に隣接するように播種された細胞の細胞外電位の測定と電気刺激を行う方法が注目されている(非特許文献2)。この方法で測定される活動電位は、従来の細胞内に針状電極を挿入して測定する方法に比べてはるかに弱い(約1mV)が、一度に複数の細胞を対象として、その測定と刺激ができるため、簡便でスループットの高い方法として電気生理学や神経科学の分野において広く用いられている。
E. Neher and B. Sakaman, Nature 260, 799 (1976) Y. Jimbo, Archives Italiennes de Biologie, 145, 289, (2007) F. G. Omenetto and D. L. Kaplan, Nature Photonics 2, 641 (2008)
しかしながら、非特許文献2の方法においては、観測対象の細胞を基板上にランダムに播種して、基板表面に予め備えられた電極の上に細胞が自然に接着する原理に頼っているため、電極パターンと細胞の接着領域とに何ら対応関係が無い。このため、細胞の接着位置や形状を制御することが非常に困難である、という問題がある。また、使用後の基板の電極に接着した細胞を除去したとしても、当該細胞の膜成分やタンパク質成分等が電極上に残留する恐れがあり、電極を初期状態に戻すことが難しく、基板の再利用が妨げられる、という問題がある。
本発明は、上記背景を鑑みてなされたものであり、細胞が容易に接着可能な導電性ゲル、前記導電性ゲルの製造方法、並びに前記導電性ゲルを用いた、細胞の観測及びハンドリングシステムの提供を課題とする。
[1]パリレンによって表面がコーティングされた基板と、前記表面の一部に設けられた、導電性高分子及び水を含む導電性ゲルと、を有する細胞培養用基板。
[2]前記導電性ゲルが前記基板の表面上にパターニングされた、前記[1]に記載の細胞培養用基板
[3]前記導電性ゲルの総質量に対する水分含量が5〜95質量%である、前記[1]又は[2]に記載の細胞培養用基板。
[4]前記導電性ゲルの厚みが5nm〜10μmである、前記[1]〜[3]の何れか一項に記載の細胞培養用基板。
本発明の導電性ゲルは、ゲルの網目構造内に細胞培養液を含むことが可能であるため、細胞に対する親和性が高く、細胞が容易に接着する。さらに、導電性ゲル自体が細胞に接触した電極として機能し得る。このため、本発明の導電性ゲルに細胞が接着されてなる、細胞の観測及びハンドリングシステムによれば、針状電極の高度な操作技術がなくても、容易に電気生理学的な測定や電気刺激の付与を行うことができる。また、本発明の導電性ゲルの製造方法によれば、導電性に優れたゲルを容易に得ることができる。
本発明の一実施形態の、細胞の観測及びハンドリングシステムの模式的な斜視図である。 本発明の一実施形態の導電性ゲルにパターニングを施すプロセスを示した模式的な断面図である。 実施例で製造した薄膜状導電性ゲルのパターンを電子顕微鏡で観察したSEM像の一例である。 実施例で製造した薄膜状導電性ゲルのパターンを電子顕微鏡で観察したSEM像の一例である。 実施例で製造した、細胞の観測及びハンドリングシステムについて、薄膜状導電性ゲルのパターンと、その導電性ゲルの上に接着した細胞の様子を倒立顕微鏡で観察した写真の一例である。 実施例で製造した、細胞の観測及びハンドリングシステムについて、細胞が接着した薄膜状導電性ゲルを切り出し、これを移動する様子を光学顕微鏡で観察した写真の一例(a)(b)と、導電性ゲルの上に接着した細胞に電気刺激を与えたことにより、当該細胞が発光する様子を光学顕微鏡で観察した写真の一例(c)である。
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されない。
《導電性ゲル》
本発明の第一実施形態の導電性ゲルは、導電性高分子とゲルを含む。
導電性ゲルは、光が透過可能な透明なゲルであってもよいし、光が透過し難い又は光が散乱され易い色合いのゲルであっても構わない。導電性ゲルに接着した細胞を透過型光学顕微鏡で観察することが容易である観点から、導電性ゲルは透明であることが好ましい。導電性ゲルの光透過率(入射光強度I0÷透過光強度I×100%)は特に限定されないが、30%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。後述するシルクの導電性ゲルは90%以上の光透過率を有し得る。
導電性ゲルの形状は特に限定されず、使用形態に応じて種々の形状が選択可能であり、例えば、薄膜状(フィルム状)、薄膜状よりも厚い板状、板状よりも厚いブロック状等が挙げられる。これらの形状のうち、光透過率が高くなる観点から、薄膜状又は板状が好ましく、薄膜状がより好ましい。
薄膜状導電性ゲルの厚みは特に限定されず、用途に応じた充分な構造強度を保てる厚みであることが好ましい。後述する好適な高分子をゲル前駆体として使用した薄膜状導電性ゲルの場合、その厚みは5nm〜10μmが好ましく、10nm〜2μmがより好ましく、20nm〜0.2μm程度がさらに好ましい。5nm以上の厚みであると、支持部材を有さずとも薄膜形状を維持することができる。10μm以下であると、高い透明性(光透過率)が得られ易い。
導電性ゲルの表面の形態は特に限定されず、平滑な平面であってもよいし、凹凸を有する凹凸面であってもよいし、任意の表面粗さを有する粗面であってもよいし、任意の曲率又はウネリを有する曲面であってもよい。これらの表面形態のうち、細胞が容易に接着し、光学的な観察が容易になる観点から、平滑な平面であることが好ましい。
導電性ゲルは独立して操作可能な構造的強度を有することが好ましい。充分な構造的強度を有する場合であっても、導電性ゲルを他の部材によって支持してもよい。前記部材の種類は特に限定されず、不透明であっても構わないが、透明であることが好ましく、導電性であってもよいし、非導電性であってもよい。好適な支持部材として、例えば、樹脂製基板、ガラス基板、酸化金属基板(例えば酸化Mg基板)、シリコン基板、サファイア基板等の公知の基板が挙げられる。
基板上に設置した導電性ゲル及び細胞を光学的に観測する場合、使用する光の波長が当該基板の吸収波長帯と重ならないことが望ましい。細胞が基板表面に直に接着することを抑制するために、基板表面をパリレンによってコーティングすることが好ましい。また、基板表面の生体適合性を向上させる目的で、基板表面をMPCポリマーによってコーティングしてもよい。
導電性ゲルは基板上において、ランダムな位置に設置されてもよいし、任意のパターンで設置されてもよい。導電性ゲルの形状、大きさ、面積、厚み、は用途に応じて自由に設定することができる。ここで、基板等の支持部材上にパターニングされた薄膜状の導電性ゲルは、複数に分割又は細分化された領域或いは任意の配線、回路、模様又は絵柄として認識され得る形状で支持部材上に配置され得る。前記複数に分割又は細分化された領域の各々の形状(例えば輪郭)は、互いに同一であってもよいし、類似していてもよいし、異なっていてもよい。
後述するように、導電性ゲルが細胞に好まれる性質(細胞嗜好性)又は細胞誘引性を有する場合、導電性ゲルの配置パターンに対応して細胞が接着するように細胞を誘導することができる。
基板上に導電性ゲルをパターン化して設置する方法として、例えば、基板上に大面積の薄膜状導電性ゲルを配置して、これをフォトリソグラフィ法、電子ビームリソグラフィ法、ドライエッチング法等の公知の微細加工技術によって細分化したパターンに成形する方法が挙げられる。また、他の方法として、導電性ゲルがゲル化する前の材料溶液を公知のインクジェットプリント技術によって基板上に任意のパターン形状で描画し、基板上にパターン化された前記材料溶液をゲル化する方法が挙げられる。CADによる設計技術を併用して精密な描画を行うことができる。
薄膜状導電性ゲルを基板に設置したり、逆に剥離したりする操作においては、ガラスキャピラリ、光ピンセット等のマニピュレータを使用することができる。
任意の多角形状にパターン化された薄膜状導電性ゲルの一辺の長さは特に限定されないが、個々の導電性ゲルを独立的に操作し易く、観察に適した複数の細胞を接着させることが容易である観点から、50μm〜500μm程度であることが好ましい。略円形状にパターン化された薄膜状導電性ゲルの直径又は長径は、上記と同様の観点から、50μm〜500μm程度であることが好ましい。
導電性ゲルを設置する前記支持部材(例えば基板)の表面には、任意のパターンを有する電極を配置してもよい。例えば、従来のMEA基板(a cell-culture dish with embedded micro-electrodes)を使用し、その電極パターン上に設置した導電性ゲル及びその導電性ゲルに接着した細胞に対して、当該電極パターンを介して、電圧を印加したり、細胞外電位を測定したりすることができる。
導電性ゲルに細胞を接着させる場合、細胞に対する親和性を向上させる観点から、導電性ゲルを構成するゲル構造内に水が含まれることが好ましい。すなわち、導電性ゲルは水分を含有するハイドロゲルであることが好ましい。導電性ゲルに含まれる水分の含有量は特に限定されないが、導電性及び構造的強度を維持する観点から、例えば、導電性ゲルの総質量に対する水分含量は、5〜95質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましく、20〜70質量%がさらに好ましい。ゲル構造を構成する分子の種類や含有量(ゲル濃度)を調整することによって、前記水分含量を調整することができる。
導電性ゲルのゲル構造を構成する分子は高分子であってもよいし、低分子であってもよい。導電性ゲルの導電性は主に導電性高分子によって得られることが好ましい。導電性ゲルの基材としてのゲル構造は、主に、導電性高分子以外の前記高分子又は前記低分子によって構成されることが好ましい。
前記高分子としては、細胞培養液などの水系溶媒を充分に含浸してハイドロゲルを構成可能な親水性高分子であることが好ましい。前記高分子の分子量(Mw)は、当該高分子がゲル構造を構成可能であれば特に限定されず、例えば分子量が5千〜100万Da程度の高分子を使用することができる。
前記高分子は、化学合成された高分子(合成高分子)であってもよいし、生体から抽出された生体高分子であってもよい。好適な合成高分子として、例えば、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。好適な生体高分子として、例えば、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、アガロースなどの多糖類、ゼラチン、シルクなどのタンパク質、コラーゲン、コンドロイチン硫酸などの細胞外マトリクス、等が挙げられる。これらの高分子は、本発明の第一実施形態の導電性ゲルに適用可能な、親水性で透明なゲル構造を構成し得る。生体高分子は特に細胞に対する親和性が優れるため、好ましい。
前記低分子としては、物理架橋によってゲル構造を構成可能な低分子が好ましく、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)が好適なゲル材料として挙げられる。PVAの分子量(Mw)は特に限定されず、例えば1000以上5000Da未満程度のPVAが、溶解性及びゲル特性の観点から好ましい。
導電性ゲルのゲル構造を構成する前記高分子又は低分子の濃度、すなわちゲル濃度は、構造的強度及び溶媒含量等を勘案して適宜設定することができる。例えば、導電性ゲルの総質量に対して、前記高分子及び低分子の含有量が、0.1〜80質量%の範囲、0.5〜60質量%の範囲、1.0〜40質量%の範囲、2.0〜30質量%の範囲、3.0〜20質量%の範囲等で設定することができる。通常、ゲル濃度が高い程、ゲルの剛性が高まり、溶媒量が低下する。
導電性ゲルに含まれる溶媒は、製造時、保存時、使用時の各々において、互いに同じであってもよいし、異なってもよい。細胞を接着させる際には、細胞培養液や生理的食塩水等の水を主成分とする水系溶媒が導電性ゲルに含まれていることが好ましい。一方、導電性ゲルの製造時や保存時においては、安定性や保存性を高めるために、アルコール、アセトン、DMSO等の有機溶媒や、抗菌剤、防腐剤等を含む水系溶媒を含んでいても構わない。導電性ゲルに含まれる溶媒は、必要に応じて、共洗い、浸漬等の方法で置換することができる。
導電性ゲルには種々の添加剤を加えることができる。前記添加剤の種類は特に限定されず、例えば、導電性高分子の導電性を向上させ得るドーパント、塩類、生体親和性を向上させ得る生体分子、細胞誘引性物質等が挙げられる。
導電性ゲルに対する細胞の短期若しくは長期の接着性、増殖性、安定性、機能発現性等をさらに向上させる観点から、前記添加剤の好適な具体例として、フィブロネクチン、コラーゲン、ラミニンなどの公知の細胞外マトリクス成分が挙げられる。
導電性ゲルに添加剤を加える方法は特に限定されず、前記高分子又は低分子等のゲル材料がゲル化する前に添加剤を加えてもよいし、導電性ゲルに含まれる溶媒を置換する際に、当該溶媒に添加剤を加えてもよい。前記添加剤を前記ゲル材料がゲル化する前に添加することにより、導電性ゲル内に添加剤がより均一に分散されるため、好ましい。
導電性高分子を含有する本実施形態の導電性ゲルは、それ自体が高い電導性を有するフレキシブルな(柔軟な)電極として機能し得る。導電性ゲルを構成する導電性高分子の種類は特に限定されず、公知の導電性高分子が適用可能であり、例えば、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、及びポリアニリン系導電性高分子からなる群より選ばれる一種類又は二種類以上の導電性高分子が挙げられる。これらの導電性高分子のうち、PEDOT-PSS(3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリ(4−スチレンスルホン酸)は高い導電性及び安定性を有し、細胞に対する親和性も有することから特に好適である。
導電性ゲルを構成する導電性高分子の濃度は、目的の導電性が得られれば特に限定されず、例えば、導電性ゲルの総質量に対して、前記導電性高分子の含有量は、0.001〜10質量%の範囲が好ましく、0.01〜0.5質量%の範囲がより好ましく、0.1〜0.25質量%の範囲が更に好ましい。
前記含有量が0.001質量%以上であることにより、導電性ゲルの導電性が発揮され易い。前記含有量が10質量%であることにより、導電性ゲルを構成するゲル構造に対して導電性高分子が与える物理的な影響を抑えて、当該ゲル構造の強度を充分に維持することができる。
《細胞の観測及びハンドリングシステム》
本発明の第二実施形態の細胞の観測及びハンドリングシステムは、第一実施形態の導電性ゲルと、前記導電性ゲルに接着した細胞と、を備える。ここで、「細胞」の用語は、独立した個々の細胞に限られず、生体組織の一部若しくは全部及び生体(生物個体)を含む。生体組織及び生体は、単一の細胞によって構成されていてもよいし、複数の細胞によって構成されていてもよい。生体には、動物性又は植物性の微生物を含む。また、導電性ゲルに接着した細胞が複数である場合、それらの細胞は1種類の細胞であってもよいし、2種類以上の細胞であってもよい。個々の細胞は、独立した状態で接着していてもよいし、互いに接触していてもよい。個々の細胞の種類は特に限定されず、例えば公知の接着性細胞が適用可能である。
導電性ゲルに細胞が接着している状態としては、当該細胞の全体が導電性ゲルに接着していてもよいし、当該細胞の一部のみが導電性ゲルに接着していてもよい。例えば、比較的大きなサイズの神経細胞を使用する場合、神経細胞の細胞体の全体又は一部が導電性ゲルに接着していてもよいし、神経細胞の神経軸索又は樹上突起のみが導電性ゲルに接着していてもよい。
図1に、本実施形態の「細胞の観測及びハンドリングシステム」の概略構成を示す。基板本体10の表面にはパリレン層3がコーティングされており、二種類の異なる大きさの薄膜状導電性ゲル1がパリレン層3上に配置されている。各薄膜状導電性ゲル1を構成する材料は同一であってもよいし、異なっていてもよい。薄膜状導電性ゲル1をパリレン層3上に配置する方法は特に限定されず、物理的にパリレン層3に吸着させてもよいし、薄膜状導電性ゲル1の一部、例えば端部に接着剤を塗布して、化学的にパリレン層3に接着させてもよい。
各導電性ゲル1には円形の接着性細胞4がほぼ等間隔で接着している。個々の細胞4は、基板表面のパリレン層3よりも生体親和性の高い導電性ゲル1に対して優先的に接着している。また、一つの導電性ゲル1に対して、針状電極5が刺入されており、当該導電性ゲルに接着した複数の細胞4に対して電気刺激を加えたり、各細胞4の細胞外膜電位を測定したりすることができる。針状電極5を細胞に直接刺入する必要はないため、針状電極の高度な操作技術は要求されない。
図1に示したように、本実施形態の「細胞の観測及びハンドリングシステム」は、細胞が接着した導電性ゲルに電極が接触した構成を有していてもよい。電極の種類は特に制限されず、従来の電極が適用可能であり、例えば、ガラスキャピラリと組み合わせた針状電極であってもよいし、基板表面に予め設置された金属製の薄層電極であってもよい。前記薄層電極は、スパッタ法、フォトリソグラフ法等の公知方法によって任意のパターンで配置されていてもよい。具体例として、図1の各導電性ゲル1の直下に矩形状のパターンを有する薄層電極(不図示)を配置し、これらの薄層電極を介して外部装置(不図示)と導電性ゲル1とを電気的に接続した構成が挙げられる。
本実施形態の「細胞の観測及びハンドリングシステム」は、前記導電性ゲルを介して前記細胞に電気的に接続された、前記細胞に電気刺激を与える機能及び前記細胞からの電気信号を測定する機能のうちの少なくとも何れか一方の機能を有する機器、を更に備えた構成を有していてもよい。
前記機器と前記導電性ゲルとを電気的に接続することにより、当該導電性ゲルを介して、当該機器と前記細胞とを電気的に接続することができる。この構成においては、前記細胞に対して前記導電性ゲルが従来の針状電極の代替物として機能し得る。なお、前記導電性ゲルは前記細胞の表面に接着しているため、当該細胞の表面に電気刺激を加えたり、当該細胞の表面から電気信号を取得したりすることができる。
前記機器と前記導電性ゲルとを電気的に接続する方法は特に限定されず、例えば、前記機器が有する電極若しくは配線を前記導電性ゲルに接触させる又は前記導電性ゲル内に刺入する方法等が挙げられる。
殆どの接着性細胞4は導電性ゲル1の上に接着しているため、導電性ゲル1を剥がすことによって、細胞4を基板10から容易に除去することができる。この際、細胞4の成分が基板10の表面のパリレン層3に残留することがない。このため、基板10を容易に再利用することができる。導電性ゲル1を基板10から除去する方法は特に限定されず、キャピラリの先端で掻いて物理的に剥がしてもよいし、化学的に溶解させて除去してもよい。
《導電性ゲルの製造方法》
本発明の第三実施形態の導電性ゲルの製造方法は、導電性高分子とゲル前駆体とを混合し、ゲル化することにより、前記ゲル前駆体がゲル化したゲル基材中に前記導電性高分子が分散してなる導電性ゲルを得る製造方法である。
ゲル前駆体は、ゲル化後にゲル構造を構成可能な材料であれば特に限定されず、例えば、前記高分子又は低分子を使用することが好ましい。
導電性高分子とゲル前駆体とを混合する方法は特に限定されず、予め溶媒に導電性高分子及びゲル前駆体のうち少なくとも一方を分散又は溶解させたうえで、両者を混合することが好ましい。混合方法としては、従来の樹脂組成物の材料を混合する方法が適用可能であり、例えば、タンブラー、ミル等の公知の混合機が適用できる。混合の程度、温度及び時間は、各材料が分解したり変性したりしない範囲で設定することが好ましい。
導電性高分子とゲル前駆体を充分に混合して得られた混合物をゲル化する方法は、ゲル前駆体の種類に応じて公知のゲル化方法を適用することができる。
ゲル前駆体として前記高分子を構成するモノマーを使用し、これを公知方法により重合し、さらにゲル化してもよい。ゲル前駆体として前記高分子を使用する場合は、加熱又は乾燥によって前記混合物から溶媒の全部又は一部を除去することによってゲル化する(ゲル構造を形成する)ことができる。前記加熱の温度及び時間は、材料が分解したり変性したりしない温度範囲であることが好ましい。前記乾燥方法は特に限定されず、例えば、減圧乾燥、温風吹付け乾燥、風乾等の公知方法が適用できる。
前記混合物を基板等の平面に塗布して、得られた塗工膜から溶媒を除去することによって、薄膜状の導電性ゲルを容易に得ることができる。塗工膜の厚みを調整することによって、導電性ゲルの厚みを調整することができる。また、所望の容器や型に前記混合物を注入した状態で溶媒を除去することによって、所望の形態を有するブロック状(塊状)の導電性ゲルを得ることができる。
前記混合物から溶媒を除去する際、形成されたゲル構造から完全に溶媒を除去してもよいし、ゲル構造が形成された時点で溶媒の除去を終了し、ゲル構造中に溶媒の一部が残留してもよい。完全に溶媒を除去した場合は、乾燥したゲル構造に所望の溶媒を含浸させることによって湿潤な導電性ゲルが得られる。
ゲル前駆体としてPVAを使用する場合は、公知の凍結解凍法によるPVAゲルの作製方法が適用できる。すなわち、導電性高分子及びPVAを混合した溶液を凍結して、その後解凍することによって、導電性高分子がPVAゲル内に分散してなる導電性ゲルを得ることができる。
ゲル前駆体としてシルクを使用する場合は、まず、公知方法によってシルクの溶液(シルク溶液)を調製し(非特許文献3を参照)、導電性高分子とシルク溶液とを混合した後、得られた混合物から加熱又は乾燥によって溶媒を除去する。その後、得られた乾燥物にアルコールを含浸させて膨潤することにより、前記シルクがゲル化してなるゲル構造中に前記導電性高分子が分散してなる目的の導電性ゲルが得られる。
前記アルコールの種類は特に限定されず、例えば、公知のアルコールが適用可能であり、具体例としてメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の1級アルコールが挙げられる。
アルコールを前記乾燥物に含浸させることにより、当該乾燥物を構成するゲル構造の一部が未完成(ゲル化が未完成)であった場合に、タンパク質の立体構造中のβシート構造への変化を誘導することで、そのゲル化を促進又は完成し、構造的強度が一層優れた導電性ゲルが得られる。
本実施形態において、導電性高分子と組み合わせるゲル材料として、生体適合性の高い素材であるシルクが特に好ましい。セリシン等の糖タンパク質や不純物を除去した純粋なシルクを構成するフィブロイン(silk-fibroin protein)は水系溶媒に溶解する。このシルク溶液と導電性高分子を混合すると粘性が向上するため、スピンコート法等の塗工によって薄膜状に成形することが容易である。薄膜状の塗膜を加熱又は乾燥した後、さらにアルコールを浸み込ませて完全にゲル化することによって優れたゲル構造を形成することができる。このように形成した薄膜状導電性ゲルは、細胞が有する牽引力にも負けない高い堅牢性を有する。シルクを基材とするゲル構造は、生体適合性が高いため、合成高分子や無機材料からなる基板の表面に比べて、細胞が好んで接着する傾向がある。シルクを基材とする導電性ゲルは、生体高分子をゲル構造内に保持して、その活性を維持することができる。したがって、細胞外マトリクス、成長因子等の細胞に作用し得る因子を、導電性ゲルの材料であるシルク溶液に混合することにより、導電性ゲルに接着する細胞に対する親和性を調節したり、細胞に分化誘導を与えたりすることができる。
シルクを基材とする薄膜状導電性ゲルの形状や面積は、例えばリソグラフィ技術によって任意に成形できるため、目的の細胞種の特性や、播種若しくは培養する細胞数に応じて薄膜の形状等を任意に加工することができる。任意の加工においては、二次元の平面パターンだけでなく、三次元の立体パターンも設計可能である。例えば、単純な凹凸や溝を組み合わせることによって、細胞の運動、増殖、成長の方向を制御することが可能な立体パターンを設計することができる。神経細胞は比較的複雑な形態を有する細胞であるため、この特異な形状に合わせた三次元構造を有する導電性ゲルを作製することもできる。リソグラフィ技術に替えて、例えばインクジェットプリンティングによっても平面パターン及び立体パターンの形成が可能である。
シルクを基材とする薄膜状導電性ゲルは高い構造的強度を有するため、その表面に細胞が接着してなる「細胞の観測及びハンドリングシステム」をマニピュレータで操作することによって任意の位置へ移動することが容易である。シルクを基材とする薄膜状導電性ゲルは非常に透明であるため、その表面に接着した細胞を光学的に観察する際に、薄膜状導電性ゲルはその観察に殆ど影響を与えない。このため、細胞の挙動や細胞中のタンパク質の活性を高い精度、高い解像度で観察することができる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[実施例1]
(シルク溶液の調製)
まず、シルク溶液を次の方法で調製した。市販の絹糸を200mM炭酸カルシウム水溶液に浸けて煮沸した後、純水中で洗浄した絹糸を9M臭化リチウム水溶液に投入して、絹糸を溶解させた。得られたシルク溶液の溶媒を透析によって純水に置換した後、シルク溶液の溶媒を留去して、乾燥したシルク材料を得た。
次に、使用の直前に上記シルク材料を水に再溶解させて、得られたシルク溶液をポアサイズ0.2μmのフィルターで濾過し、200nmを超えるサイズのシルク材料を除去した。続いて、任意成分であるタンパク質剤を所望の濃度で添加したシルク溶液と、導電性高分子PEDOT:PSS溶液(ヘリウス社製, クレビオス(登録商標) P)とを混合することによって、基板に塗工する目的に適した粘性を有する混合溶液を得た。この際、シルク溶液中のシルク濃度を0.1mg/mL〜5mg/mLの範囲で調整した。 5mg/mLよりも高い濃度のシルク溶液とPEDOT:PSS溶液とを混合すると、完全に混和しない場合があるためである。
(薄膜状導電性ゲルの作製)
スピンコーターを使用して、上記混合溶液をガラス基板の表面に厚さ200nmで塗工した。ガラス基板の表面については、予めパリレン層でコーティングするか又は酸素プラズマによって親水化処理した。続いて、混合溶液が塗工された基板を90℃のオーブン中で加熱してシルク材料を焼結した後、さらにメタノール中に基板ごと浸漬することによって、焼結体のゲル化反応を促進し、薄膜状導電性ゲル1が表面に備えられた基板10を得た(図2(a))。
(薄膜状導電性ゲルのパターニング)
基板10の薄膜状導電性ゲル1の上に、所望のパターニングを施したポジ型フォトレジスト膜2を常法により形成した(図2(a))。このレジスト膜を物理マスクとして、酸素プラズマを用いたドライエッチングを行い、マスクで保護されていない領域の薄膜状導電性ゲルを完全に除去した。除去した領域には基板表面のパリレン層3が現れた(図2(b))。続いて、アセトンを塗布してレジスト膜の物理マスクを除去することによって、上記所望のパターニングを施した薄膜状導電性ゲルが備えられた基板10を得た(図2(c))。この電子顕微鏡(SEM)写真の一例を図3に示す。
[実施例2]
(インクジェットプリンターを使用したパターニング)
導電性高分子溶液とシルク溶液の混合溶液を、実施例1と同様の方法で得た。この混合溶液を、インクジェットプリンター(株式会社SIJテクノロジ社製、サブフェムトインクジェット加工装置)のインクジェットヘッド部に充填し、最細キャピラリの先端部から基板上に向けて吐出し、二次元平面での最小幅が10μmの線で所望のパターンを描画した。ここでは、基板表面が導電性のITOガラス基板を使用した。Si基板等の他の導電性基板を使用した場合にも同様に描画できた。描画後に得た基板を実施例1と同様に焼結し、さらにメタノールでゲル化を促進することによって、目的のパターンが描かれた薄膜状導電性ゲルを備えた基板を得た。この電子顕微鏡(SEM)写真の一例を図4に示す。図4(b)は図4(a)の拡大図であり、基板表面と薄膜状導電性ゲルの境界線を写している。
[実施例3]
(細胞の観測及びハンドリングシステムの作製)
実施例1で作製した薄膜状導電性ゲルが備えられた基板を細胞培養液に浸漬して、薄膜状導電性ゲル内に細胞培養液を浸透させた後、所望の接着性細胞を播種して、薄膜状導電性ゲルの表面に対する接着性を確認した。
その一例として、株化培養細胞の一種であるCHO細胞を播種して接着させた状態の顕微鏡像を図5(a)に示す。別の例として、ラット脳組織から単離した初代培養神経細胞を播種して接着さえた状態の顕微鏡像を図5(b)に示す。
上記CHO細胞の場合には、一日程度の短期培養だけでなく一週間程度の長期培養においても、安定的な細胞のパターニングが観察された。培養において、薄膜状導電性ゲルの上に優先的に細胞が移動して接着する一方、薄膜状導電性ゲルが無い剥き出しのパリレン層の上には少量の細胞が付着しているのみであった。薄膜状導電性ゲルに含まれるシルク又は任意成分のタンパク質剤が細胞を誘引していると考えられる。
上記初代培養神経細胞の場合にも、CHO細胞と同様な細胞のパターニングが可能であった。また、薄膜状導電性ゲルは、神経細胞体だけでなく、神経情報伝達のための神経軸索に対しても親和性が高いことが確認された。したがって、神経軸索が薄膜状導電性ゲルのパターンに沿って伸展し得るため、単一の神経細胞の移動や神経軸索の伸展の方向を、薄膜状導電性ゲルのパターニングによって制御することが可能である。
何れの接着性細胞を薄膜状導電性ゲルの上で培養した場合においても、細胞の移動や増殖に伴って薄膜状導電性ゲルが変形することはなく、その形態を安定に維持した。このことから、薄膜状導電性ゲルが細胞の発揮する牽引力に対して充分な構造的強度を有することが明らかである。
[実施例4]
(細胞の観測及びハンドリングシステムを使用した細胞操作及び刺激応答性の観測)
実施例1で作製した薄膜状導電性ゲルが備えられた基板を細胞培養液に浸漬して、薄膜状導電性ゲル内に細胞培養液を浸透させた後、電気刺激応答性(電位応答性)の膜タンパク質(Cav2.1)を発現している接着性細胞を播種した。薄膜状導電性ゲルの表面に接着した当該細胞は安定に培養されて、薄膜状導電性ゲルのパターンに対応した細胞のパターンを有する、細胞の観測及びハンドリングシステムを得た。
上記のシステムを構成する、細胞が接着した薄膜状導電性ゲルの一部を、パターンの境界線に沿って切り出した。具体的には、ガラスキャピラリの先端をゲル端部に刺入して、培養液中でガラスキャピラリを引き上げると、パターンの一画が基板表面のパリレン層から剥離した。この様子を撮影した顕微鏡像を図6(a)に示す。
切り出された「細胞の観測及びハンドリングシステム」は、培養液中で三次元的に自由に移動することが可能な程度に強い構造的強度を有し、且つ柔軟であった。この様子を撮影した顕微鏡像を図6(b)に示す。このことから、上記のシステムを三次元的にあらゆる方向から多角度で観察したり、細胞を立体的に観測したり、位置制御できることが明らかである。細胞が接着した薄膜状導電性ゲルからなる上記のシステムを、x−y平面だけでなく、z軸(顕微鏡の光軸又は焦点深度方向)に沿って動かすことが可能であり、且つ、その角度制御(傾斜制御)も可能であることは、細胞の多角度観察において極めて有用である。
上記のシステムを構成する薄膜状導電性ゲル内に、銀/塩化銀電極を中に内包したガラスキャピラリを挿入して、電圧を印加することにより、当該薄膜状導電性ゲルに接着した上記接着性細胞に対して電気刺激を加えた。銀/塩化銀電極に接続したスティムレータとアイソレータによって、各細胞に対して100 mV程度の電圧の印加となるように電圧を調節した。
電気刺激を加えた上記接着性細胞が有する膜タンパク質(Cav2.1)は電位依存性カルシウムイオンチャネルであり、生体膜電位の変化に応じてイオン透過孔の開閉を調節する機能を有する。上記電気刺激でその開閉を制御することによって、培養液中のカルシウムイオンが細胞内へ透過したことを、細胞内に導入したカルシウム蛍光プローブ(Fluo4-AM)を使用して観察した。その様子を図6(c)に示す。電気刺激から25秒後に観測視野の右側にある細胞から発光が観測され、電気刺激から55秒後に観測視野の左側にある細胞から発光が観測された。この発光時間のギャップは、各細胞が接着した薄膜状導電性ゲルのパターンに応じて、各細胞に対する電圧印加の程度又はタイミングが異なることに起因すると考えられる。想定された充分な強度の発光が観察されたことから、「細胞の観測及びハンドリングシステム」による細胞操後においても細胞の形状や活性は充分に保たれていることが確認された。
上記の様に切り出した「細胞の観測及びハンドリングシステム」を、従来のMEA基板の上に配置することによって、MEA基板が備えるパターン化された電極を介して「細胞の観測及びハンドリングシステム」上の任意の細胞に電圧刺激を加えたり、任意の細胞から発せられる膜電位(細胞外電位)を観測したりすることも可能である。
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。
本発明にかかる導電性ゲルは、細胞の電気生理学的な測定に有用であり、創薬分野、再生医療分野等に広く適用可能である。
1…導電性ゲル、2…レジスト膜(物理マスク)、3…パリレン層、4…接着性細胞、5…電極

Claims (4)

  1. パリレンによって表面がコーティングされた基板と、
    前記表面の一部に設けられた、導電性高分子及び水を含む導電性ゲルと、
    を有する細胞培養用基板。
  2. 前記導電性ゲルが前記基板の表面上にパターニングされた、請求項1に記載の細胞培養用基板
  3. 前記導電性ゲルの総質量に対する水分含量が5〜95質量%である、請求項1又は2に記載の細胞培養用基板。
  4. 前記導電性ゲルの厚みが5nm〜10μmである、請求項1〜3の何れか一項に記載の細胞培養用基板。
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