JP6347676B2 - ファイバレーザ装置及び被加工物の加工方法 - Google Patents

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本発明は、ファイバレーザ装置に係り、特にファイバレーザ装置から出射されたレーザ光を被加工物に照射して該被加工物を加工する方法に関するものである。
レーザを用いた加工においては被加工物に対するレーザの入熱量が重要な要素である。一般的なレーザ加工では、被加工物への入熱量が十分に得られるパワーまでレーザの出力を上げて加工を行うか、あるいは加工速度を遅くして被加工物の単位面積当たりの入熱量を上げて加工を行っている。
このようなレーザを用いた加工では、低出力で多種多様の加工ができることが望まれているが、上述したレーザの出力を上げて加工を行う方法では低出力化を達成することができない。また、高い出力のレーザ光を得るためには、出力に比例して高いパワーの励起光源が必要になるため、消費電力が増加し、また装置が大型化してしまうという問題がある。一方、加工速度を遅くして被加工物の単位面積当たりの入熱量を上げて加工を行う場合には、生産性が悪化してしまうという問題がある。
さらに、被加工物として一般的である金属は、波長が800nm〜1060nmのレーザ光に対して高い反射率を有しているため、このような波長のレーザ光を用いて室温で金属の加工を行った場合には、金属のレーザ吸収率が低いために、加工するために十分な熱量を効率よく金属に与えることができない。
ところで、ファイバレーザ装置においては、励起光源を起動した直後からファイバレーザの定常出力前にかけて光ファイバの励起状態が過渡的に高まり、尖頭値の高いジャイアントパルスと呼ばれるサージパルスが発生する現象が知られている。このようなジャイアントパルスは、光ファイバのコアや端面、励起光源などを損傷させる可能性があるため、従来からジャイアントパルスの発生を抑制する方法が種々考えられている(例えば、特許文献1,2参照)。しかしながら、このようなジャイアントパルスをレーザ加工に積極的に利用しようという試みはこれまでなされていなかった。
特開2012−129423号公報 特開2007−142380号公報
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、低出力のファイバレーザ装置を用いて生産性を低下させることなく安価に効率よく被加工物を加工することができる方法を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、低出力を維持しつつ生産性を低下させる安価に効率よく被加工物を加工することができるファイバレーザ装置を提供することを第2の目的とする。
本発明の第1の態様によれば、ファイバレーザ装置から出射されたレーザ光を被加工物に照射して該被加工物を加工する方法が提供される。この被加工物の加工方法では、上記ファイバレーザ装置の励起光源に、所定の立ち上がり時間で所定の電流値まで立ち上がる電流を供給し、上記所定の立ち上がり時間を調整して上記励起光源の起動時に発生するジャイアントパルスのピークパワーを制御し、上記調整された所定の立ち上がり時間の間上記電流を上記励起光源に供給することにより、上記ピークパワーが制御されたジャイアントパルスを上記被加工物に照射して該被加工物の温度を上げてレーザ光の吸収率を上昇させ、上記ジャイアントパルスの発生後に、上記所定の電流値の電流を上記励起光源に供給することにより、定常出力のレーザ光を上記被加工物に照射して該被加工物を加工する。
ここで、上記励起光源を複数回起動させる際に上記ジャイアントパルスのピークパワーを略一定に維持するように上記励起光源に供給する電流を制御することにより上記ジャイアントパルスのピークパワーを制御することが好ましい。より具体的には、上記励起光源に供給する電流の立ち上がり時間とオフ時間を調整することにより上記ジャイアントパルスのピークパワーを制御することが好ましい。
本発明の第2の態様によれば、低出力を維持しつつ生産性を低下させる安価に効率よく被加工物を加工することができるファイバレーザ装置が提供される。このファイバレーザ装置は、レーザ光を増幅可能な増幅用光ファイバと、上記増幅用光ファイバに励起光を供給する励起光源と、上記レーザ光を発振させる光共振器と、上記光共振器により発振させたレーザ光を被加工物に向かって出射して該被加工物を加工するレーザ出射部と、上記励起光源に、所定の立ち上がり時間で所定の電流値まで立ち上がる電流を供給するとともに、上記所定の立ち上がり時間を調整して上記励起光源の起動時に発生するジャイアントパルスのピークパワーを制御する制御部とを備えている。上記ファイバレーザ装置は、上記調整された所定の立ち上がり時間の間上記電流を前記励起光源に供給することにより、上記ピークパワーが制御されたジャイアントパルスを上記レーザ出射部から上記被加工物に照射して該被加工物の温度を上げてレーザ光の吸収率を上昇させるとともに、上記ジャイアントパルスの発生後に、上記所定の電流値の電流を上記励起光源に供給することにより、定常出力のレーザ光を上記被加工物に照射して該被加工物を加工するように構成されている。
ここで、上記制御部は、上記励起光源を複数回起動させる際に上記ジャイアントパルスのピークパワーを略一定に維持するように上記励起光源に供給する電流を制御することが好ましい。また、上記励起光源に供給する電流の立ち上がり時間とオフ時間を制御することが好ましい。
本発明によれば、ファイバレーザ装置の励起光源の起動時に発生するジャイアントパルスのピークパワーを適切に制御し、このピークパワーが制御されたジャイアントパルスを被加工物に照射することにより、被加工物の温度を上昇させて被加工物のレーザ吸収率を上げることができる。したがって、その後に出力される低い定常パワーで被加工物の加工を継続することができる。このように、ファイバレーザ装置の定常パワーを低く維持することができるので、ファイバレーザ装置を安価に構成できるとともに、その消費電力を低減することができる。また、ジャイアントパルスのピークパワーを適切に制御しているので、ジャイアントパルスのピークパワーが大きくなりすぎて光共振器などの破壊が生じるのを防止することができる。
本発明の一実施形態におけるファイバレーザ装置を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態における励起光源に供給する電流の立ち上がり時間とオフ時間の定義を説明する図である。 励起光源に供給する電流の立ち上がり時間と発生するジャイアントパルスのピークパワーとの関係を示すグラフである。 励起光源に供給する電流のオフ時間と発生するジャイアントパルスのピークパワーとの関係を示すグラフである。 励起光源のパワーと出力レーザ光のパワーとの関係を示すグラフである。 励起光源に供給する電流のオフ時間と立ち上がり時間と発生するジャイアントパルスのピークパワーとの関係を示すグラフである。
以下、本発明に係るファイバレーザ装置の実施形態について図1から図6を参照して詳細に説明する。なお、図1から図6において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態におけるファイバレーザ装置100を模式的に示す図である。図1に示すように、本実施形態におけるファイバレーザ装置100は、例えばYb(イッテルビウム)などの希土類元素が添加された増幅用光ファイバ10と、増幅用光ファイバ10の第1の端部10A側に接続された高反射ファイバブラッググレーティング(Fiber Bragg Grating(FBG))12と、増幅用光ファイバ10の第2の端部10B側に接続された低反射FBG14と、増幅用光ファイバ10の第1の端部10Aから増幅用光ファイバ10に励起光を導入する複数の励起光源20Aと、複数の励起光源20Aからの励起光を合波するコンバイナ22Aと、増幅用光ファイバ10の第2の端部10Bから増幅用光ファイバ10に励起光を導入する複数の励起光源20Bと、複数の励起光源20Bからの励起光を合波するコンバイナ22Bと、増幅用光ファイバ10からの出力レーザ光(レーザ発振光)を例えば被加工物に向けて出射するレーザ出射部30とを備えている。
励起光源20A,20Bとしては、例えば、波長915nmの高出力マルチモード半導体レーザ(LD)を用いることができる。励起光源20Aからの励起光は、コンバイナ22Aにより合波され、高反射FBG12側から増幅用光ファイバ10に導入される。同様に、励起光源20Bからの励起光は、コンバイナ22Bにより合波され、低反射FBG14側から増幅用光ファイバ10に導入される。増幅用光ファイバ10は、内部クラッドと、内部クラッドの屈折率よりも低い外部クラッドとを備えたダブルクラッド構造を有することが好ましい。コンバイナ22Bには、レーザ出射部30まで延びるシングルクラッドの光ファイバ(デリバリファイバ)32が接続されている。
ここで、高反射FBG12及び低反射FBG14は、レーザ光の波長に対応した波長の光を反射するように構成されており、所定の共振条件を満たすように配置されており、増幅用光ファイバ10、高反射FBG12、及び低反射FBG14により、増幅用光ファイバ10に生じたレーザ光を発振させる光共振器16が構成されている。高反射FBG12の反射率は90%〜100%であることが好ましく、低反射FBG14の反射率は30%以下であることが好ましい。
このような構成において、励起光源20A,20Bから例えば915nmの波長の励起光を増幅用光ファイバ10に導入すると、増幅用光ファイバ10のYbが励起され、1000nm帯の波長の放出光を発する。このYb放出光は、所定の共振条件を満たすように配置された高反射FBG12及び低反射FBG14により1000nm帯の波長でレーザ発振する。光共振器16内で生じたレーザ光は、その一部が低反射FBG14で反射して増幅用光ファイバ10に戻るが、そのほとんどが低反射FBG14を透過して光ファイバ32を通ってレーザ出射部30から出力レーザ光として被加工物に照射される。
このような出力レーザ光を被加工物に照射して被加工物の加工を行う場合、上述したように、出力レーザ光のパワーをなるべく低く維持しつつ、被加工物の単位面積当たりの入熱量を加工に必要な量だけ確保し、かつ加工速度を増加させることが望まれる。本発明者は、金属のレーザ吸収率には温度依存性があることに着目し、この金属の温度依存性とジャイアントパルスとを利用することによりこれらを同時に実現できることを見出した。すなわち、金属の温度が高くなると、結晶中のフォノンによって電子が散乱され電気伝導度が低下するため、レーザ光が吸収されやすくなる。さらに金属の温度が上昇すると、表面酸化や溶融、キーホール形成が生じ、よりレーザ光が吸収されやすくなる。したがって、加工の初期段階で高パワーのレーザ光で金属の温度を上昇させ、表面酸化や溶融、キーホール形成を生じさせれば、レーザ光の吸収率が上昇するので、その後の加工に必要なレーザ光の出力を低くすることができる。加工の初期段階で金属の温度を上昇させるためには、ファイバレーザ装置の定常出力前に発生する尖頭値の高いジャイアントパルスを利用することができる。本発明者は、ファイバレーザ装置の定常出力前に発生するジャイアントパルスを被加工物に照射して被加工物の温度を上昇させ、キーホール形成などによりレーザ光の吸収率を上げておき、その後は比較的低い定常出力のレーザ光で被加工物の加工を行うことができることを見出した。
ここで、ジャイアントパルスの発生原理について説明する。励起光源20A,20Bは、停止状態から連続発振に至るまでに所定の立上り時間を必要とし、励起光源20A,20Bを起動した直後は励起光源20A,20Bのパワーが低い。このときの増幅用光ファイバ10のYb原子は基底状態にあるため、励起光源20A,20Bから励起光が供給される位置の近傍では励起光の大きな吸収が生じる。このため、励起光が供給される位置の近傍だけが励起状態となり、Yb原子が励起されていない領域は励起光に対して吸収体となる。Yb原子が励起されて誘導放出が生じる領域では、発生した自然放出光が誘導放出により増幅されるが、光共振器16内で増幅された誘導放出光の一部は、増幅用光ファイバ10中で後方に散乱される。この後方散乱光は、増幅用光ファイバ10内の励起された領域を戻りながら増幅される。この増幅された誘導放出光の一部は、増幅用光ファイバ10中で再度後方に散乱される。このような散乱と増幅を繰り返すことで、寄生発振による尖頭値の高いジャイアントパルスが発生する。なお、散乱されなかった光は光共振器16を伝搬するが、増幅用光ファイバ10内で吸収体として作用する領域が大きいため、光共振器16における損失の方が利得を上回り、光共振器16ではレーザ発振が生じない。
上述したジャイアントパルスの発生後、励起光源20A,20Bのパワーがさらに増加して所定値を超えると、増幅用光ファイバ10のYb原子の反転分布状態が光共振器16全体にわたって形成される。これにより、光共振器16全体としての利得が、上述した散乱による寄生的な共振の利得より大きくなるため、寄生発振が生じず、光共振器16による連続発振に至る。
ジャイアントパルスはこのような原理により生ずるため、励起光源20A,20Bの起動時における増幅用光ファイバ10中のYb原子の励起状態の分布を制御すれば、ジャイアントパルスのピークパワーを制御することができる。この励起光源20A,20Bの起動時における増幅用光ファイバ10中のYb原子の励起状態の分布は、励起光源20A,20Bに供給する電流の立ち上がり時間とこの電流のオフ時間とを調整することにより制御することが可能である。
図2は、励起光源20A,20Bに供給する電流のタイミングチャートである。本実施形態においては、図2に示すように、励起光源20A,20Bに供給する電流の立ち上がり時間TRを電流が振幅の10%から90%になるまでの時間として定義し、オフ時間TOFFを電流が振幅の10%に下がってから再度10%に上がるまでの時間として定義する。
励起光源20A,20Bに供給する電流の立ち上がり時間TRを調整することにより、ジャイアントパルス発生時における励起光が供給される位置近傍のYb原子の励起状態を制御することができる。この結果、ジャイアントパルスのピークパワーを制御することができる。例えば、励起光源20A,20Bに供給する電流の立ち上がり時間TRを長くすると、ジャイアントパルス発生時におけるYb原子の励起の程度が小さくなるため、尖頭値の低いジャイアントパルスを得ることができる。
図3は、上述したファイバレーザ装置100において励起光源20A,20Bに供給する電流の立ち上がり時間TRを変化させた場合のジャイアントパルスのピークパワーの変化を示すグラフである。図3に示す例では、ファイバレーザ装置100の定常出力は200Wで固定した。図3のグラフで示されるように、励起光源20A,20Bに供給する電流の立ち上がり時間TRを短くすればジャイアントパルスのピークパワーを大きくでき、立ち上がり時間TRを長くすればジャイアントパルスのピークパワーを小さくできることがわかる。このように、励起光源20A,20Bに供給する電流の立ち上がり時間TRを調整することによりジャイアントパルスのピークパワーを制御することができる。
また、励起光源20A,20Bに供給する電流のオフ時間TOFFを調整することにより、増幅用光ファイバ10全体におけるYb原子の励起状態を制御することができ、この結果、ジャイアントパルスのピークパワーを制御することができる。例えば、オフ時間TOFFを長くすると、増幅用光ファイバ10中で励起されていないYb原子が多くなり、吸収体として作用する領域が多くなる。このような状態で、励起光源20A,20Bを起動すると、尖頭値の高いジャイアントパルスを得ることができる。一方、オフ時間TOFFを短くすると、励起光源20A,20Bの起動時に増幅用光ファイバ10中で吸収体として作用するYb原子が少なくなり、尖頭値の低いジャイアントパルスを得ることができる。
図4は、ファイバレーザ装置100において励起光源20A,20Bに供給する電流のオフ時間TOFFを変化させた場合のジャイアントパルスのピークパワーの変化を示すグラフである。図4において、●は電流の立ち上がり時間TRを10μ秒とした場合、▲は60μ秒とした場合を示している。図4のグラフで示されるように、励起光源20A,20Bに供給する電流のオフ時間TOFFを長くすればジャイアントパルスのピークパワーを大きくでき、オフ時間TOFFを短くすればジャイアントパルスのピークパワーを小さくできることがわかる。このように、励起光源20A,20Bに供給する電流のオフ時間TOFFを調整することによりジャイアントパルスのピークパワーを制御することができる。
このように、励起光源20A,20Bに供給する電流の立ち上がり時間TRとオフ時間TOFFとを調整することにより、ジャイアントパルスのピークパワーを制御することができる。したがって、ジャイアントパルスのピークパワーを適切に制御すれば、加工の初期段階でジャイアントパルスを被加工物に照射することによって被加工物に表面酸化や溶融、キーホール形成を生じさせることができる。このジャイアントパルスの照射によって被加工物の温度を上昇させることでレーザ光の吸収率を上げることができる。ジャイアントパルスの照射によりレーザ光の吸収率が上がった後は、ファイバレーザ装置100が定常状態となり、低い定常出力のレーザ光でも被加工物の加工を継続して行うことが可能となる。
図1に示すように、本実施形態におけるファイバレーザ装置100は、励起光源20A,20Bに供給される電流の立ち上がり時間TRとオフ時間TOFFとを制御してジャイアントパルスのピークパワーを制御する制御部60を備えている。この制御部60により励起光源20A,20Bに供給される電流の立ち上がり時間TRとオフ時間TOFFとを適切に制御することで、ファイバレーザ装置100が定常出力に至る前に発生する尖頭値の高いジャイアントパルスのピークパワーを制御することができる。そして、このピークパワーが制御されたジャイアントパルスを被加工物に照射することで被加工物の温度を上昇させて被加工物のレーザ吸収率を上げることができる。したがって、その後に出力される低い定常パワーで被加工物の加工を継続することができる。このように、本実施形態によれば、ファイバレーザ装置100の定常パワーを低く維持することができるので、ファイバレーザ装置100を安価に構成できるとともに、その消費電力を低減することができる。また、ジャイアントパルスのピークパワーを適切に制御しているので、ジャイアントパルスのピークパワーが大きくなりすぎて光共振器16などの破壊が生じるのを防止することができる。
上述した立ち上がり時間TRとオフ時間TOFFは、被加工物のキーホール形成に必要とされるパワー(ジャイアントパルスのピークパワー)、キーホール形成後に被加工物の溶融を維持するのに必要なパワー(定常出力)、及びレーザ光のパルス幅と繰り返し周波数から決定することができる。例えば、被加工物である金属の表面が溶融してキーホールが形成されるのに必要なパワーが600Wであり、その後金属の溶融を維持するのに必要なパワーが200W、レーザ光のパルス幅が180μ秒、繰り返し周波数が5kHzである場合、ピークパワーが600Wのジャイアントパルスを得るためには、定常出力を200W、図3から立ち上がり時間TRを10μ秒、図4からオフ時間TOFFを20μ秒とすればよいことがわかる。図5は、この加工条件における励起光源20A,20Bのパワーとファイバレーザ装置100の出力レーザ光のパワーとの関係を示すグラフである。図5に示すように、ジャイアントパルスのピークパワーは600Wに達し、定常出力は200Wとなっており、好適な加工条件が得られていることがわかる。
また、上述したジャイアントパルスは、励起光源20A,20Bを起動するたびに発生するが、励起光源20A,20Bに供給する電流のオフ時間TOFFは、被加工物に対する加工の仕方によってその都度変わることがある。そのような場合であっても、上述したように励起光源20A,20Bに供給する電流の立ち上がり時間TRとオフ時間TOFFとを調整することにより、これらのジャイアントパルスのピークパワーが略一定になるように制御することも可能である。
図6は、励起光源20A,20Bに供給する電流のオフ時間TOFFと立ち上がり時間TRと発生するジャイアントパルスのピークパワーとの関係を示すグラフである。例えば、図6に示すように、ジャイアントパルスのピークパワーとして650W〜700Wのピークパワーが必要であるとすると、オフ時間TOFFが30μ秒から40μ秒に変化した場合には、立ち上がり時間TRを20μ秒(点A)から27μ秒(点B)程度に増やすことで、ジャイアントパルスのピークパワーを650W〜700Wの範囲に維持することができる。
上述した実施形態では、高反射FBG12側と低反射FBG14側の双方に励起光源20A,20Bとコンバイナ22A,22Bが設けられており、双方向励起型のファイバレーザ装置となっているが、高反射FBG12側と低反射FBG14側のいずれか一方にのみ励起光源とコンバイナを設置することとしてもよい。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
10 増幅用光ファイバ
10A 第1の端部
10B 第2の端部
12 高反射FBG
14 低反射FBG
16 光共振器
20A,20B 励起光源
22A,22B コンバイナ
30 レーザ出射部
32 光ファイバ
60 制御部
100 ファイバレーザ装置

Claims (6)

  1. ファイバレーザ装置から出射されたレーザ光を被加工物に照射して該被加工物を加工する方法であって、
    前記ファイバレーザ装置の励起光源に、所定の立ち上がり時間で所定の電流値まで立ち上がる電流を供給し、
    前記所定の立ち上がり時間を調整して前記励起光源の起動時に発生するジャイアントパルスのピークパワーを制御し、
    前記調整された所定の立ち上がり時間の間前記電流を前記励起光源に供給することにより、前記ピークパワーが制御されたジャイアントパルスを前記被加工物に照射して該被加工物の温度を上げてレーザ光の吸収率を上昇させ、
    前記ジャイアントパルスの発生後に、前記所定の電流値の電流を前記励起光源に供給することにより、定常出力のレーザ光を前記被加工物に照射して該被加工物を加工する、
    ことを特徴とする被加工物の加工方法。
  2. 前記ジャイアントパルスのピークパワーの制御は、前記励起光源を複数回起動させる際に前記ジャイアントパルスのピークパワーを略一定に維持するように前記電流を制御することにより行うことを特徴とする請求項1に記載の被加工物の加工方法。
  3. 前記ジャイアントパルスのピークパワーの制御は、前記電流の前記所定の立ち上がり時間を調整することに加えて前記電流のオフ時間を調整することにより行うことを特徴とする請求項2に記載の被加工物の加工方法。
  4. レーザ光を増幅可能な増幅用光ファイバと、
    前記増幅用光ファイバに励起光を供給する励起光源と、
    前記レーザ光を発振させる光共振器と、
    前記光共振器により発振させたレーザ光を被加工物に向かって出射して該被加工物を加工するレーザ出射部と、
    前記励起光源に、所定の立ち上がり時間で所定の電流値まで立ち上がる電流を供給するとともに、前記所定の立ち上がり時間を調整して前記励起光源の起動時に発生するジャイアントパルスのピークパワーを制御する制御部と、
    を備え、
    前記調整された所定の立ち上がり時間の間前記電流を前記励起光源に供給することにより、前記ピークパワーが制御されたジャイアントパルスを前記レーザ出射部から前記被加工物に照射して該被加工物の温度を上げてレーザ光の吸収率を上昇させるとともに、前記ジャイアントパルスの発生後に、前記所定の電流値の電流を前記励起光源に供給することにより、定常出力のレーザ光を前記被加工物に照射して該被加工物を加工するように構成された
    ことを特徴とするファイバレーザ装置。
  5. 前記制御部は、前記励起光源を複数回起動させる際に前記ジャイアントパルスのピークパワーを略一定に維持するように前記電流を制御することを特徴とする請求項に記載のファイバレーザ装置。
  6. 前記制御部は、前記電流の前記所定の立ち上がり時間に加えて前記電流のオフ時間を制御することを特徴とする請求項4又は5に記載のファイバレーザ装置。
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