JP6346587B2 - サービスホールカバーの取り付け構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用ドアのインナパネルの適宜箇所に形成されたサービスホールを覆うために設けられるサービスホールカバーを、インナパネルの車両内側に取り付けるサービスホールカバーの取り付け構造に関する。
従来から、防水性と防音性を備える防水・防音用シートを、ドアインナーパネルの車内側に設けた自動車のドア構造(自動車の防水・防音用シート付ドア構造、以下、第1の従来例のドア構造という)が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
第1の従来例のドア構造によれば、図7(A)の側面図及び図7(B)のa−a線断面図に示すように、ドアインナーパネル700の作業穴710を塞ぐことができる不透明の防水・防音用シート701の外周端部に、略リング状の透明フィルム702の内周端部を接着剤で固定し、この透明フィルム702の外周端部を、シーラー(接着材)703によってドアインナーパネル700に接着しているため、透明フィルム702上からシーラー703を視覚することができ、防水・防音用シート701がドアインナーパネル700に確実に接着されているか否かを容易に確認することで、耐水性と防音性に優れたドア構造を提供することができる。
また、第1の従来例のドア構造で開示された防音性と同様な遮音性を有するシート(遮音性シート)が、ドアインナーパネルの車内側に取り付けられてなる、自動車用ドア構造(以下、第2の従来例のドア構造という)についても開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
第2の従来例のドア構造によれば、図8(A)の外観斜視図及び図8(B)のb−b線断面図に示すように、ドアインナーパネル800と図示しないドアトリムとの間に設けられる遮音性シート801の外周端が、嵌合部材802によりドアインナーパネル800に止着されるため、第1の従来例のドア構造のようなシーラー703を、ドアインナーパネル800に塗布した後に遮音性シート801を取り付ける必要がなく作業性がよい。また、ドアインナーパネル800に対する遮音性シート801の止着が、ドアインナーパネル800に突起した突出部材800aと、遮音性シート801の車外側に固定した嵌合部材802とを嵌合させるだけであるため、取り付け作業も簡易で、かつ、皺を発生することなく確実に止着させることができる。
さらに、第3の従来例として、図9(A)の側面・作業遷移図及び図9(B)〜(D)のc−c線断面図に示すように、車両用ドアのインナパネル900の適宜箇所に形成されたサービスホール910を覆うために設けられる例えば、透明なポリエチレン材からなるサービスホールカバー901を、インナパネル900の車両内側に取り付ける構造(取り付け構造)についても広く知られている。
第3の従来例の取り付け構造によれば、サービスホールカバー901の外周縁(外周縁部)の形状に沿って予め加工したブチルテーブ902を車両内側に塗布した後、これを確保した状態でサービスホールカバー901の位置合わせを行い、取り付け作業を行う作業者の親指903を用いてサービスホールカバー901に押し付け荷重(図示せず)を加えることにより、ブチルテーブ902が有する粘着作用によって、サービスホールカバー901をインナパネル900の車両内側に取り付けることができる。
特許第3890568号掲載公報(特開2005−82064号公報) 特開2011−162146号公報
しかしながら、第1の従来例のドア構造によれば、防水・防音用シート700の外周端部の形状に合わせてリング状の透明フィルム702を貼り付けなければならず、位置合わせがし難く、その作業に煩雑さを有していた。また、第2の従来例のドア構造についても同様、遮音性シート801を取り付けるときの位置合わせがし難く、その作業に煩雑さを有しているばかりでなく、例えば、遮音性シート801等の各種部材の寸法の違いに起因して、作業時における高い正確性が必要とされていた。
一方、第3の従来例の取り付け構造のように、ブチルテープ902を用いたサービスホールカバー901の取り付け作業によれば、図9(D)に示すように、ブチルテープ902に面接触で当接されるサービスホールカバー901の面幅(当接面幅)W900が例えば、6mm以上、サービスホールカバー901が取り付けられた後におけるブチルテープ902の厚みH900が例えば、2mm以上となるように、これらの寸法管理を、その作業工程において行わなければならず、煩雑さを有していた。
また、第3の従来例の取り付け構造によれば、図9(B)に示すように、ブチルテープ902がインナパネル900の車両内側に塗布された後、サービスホールカバー901を速やかに取り付けることなく、そのまま放置した状態において、例えば、取り付け作業を行う作業者がブチルテープ902に触れてしまうと、汚れとして残るおそれがあった。
さらに、第3の従来例の取り付け構造によれば、ブチルテープ902は、その粘着作用により、サービスホールカバー901のみならず、望まない他の部材に対しても容易に貼り付けることができるため、サービスホールカバー901を取り付けるにあたって、事前に訓練を行う等、高い習熟度が必要とされるばかりでなく、サービスホールカバー901の外周端(外周端部)への貼り付け状態を簡単な目視で確認できなかった。
本発明は、これら従来例の難点を解消するためになされたもので、車両用ドアのインナパネルの適宜箇所に形成されたサービスホールを覆うために設けられるサービスホールカバーを、粘着材を用いてインナパネルの車両内側に取り付けるにあたり、粘着材による未貼り付け部分がなく、その取り付けが完了したことを、作業者の目視で行うことができる、サービスホールカバーの取り付け構造を提供することを目的としている。
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるサービスホールカバーの取り付け構造は、車両用ドアのインナパネルの適宜箇所に形成されたサービスホールを覆うために設けられるサービスホールカバーを、粘着材を用いてインナパネルの車両内側に取り付ける構造である。サービスホールカバーは、断面略M字状に形成され、インナパネルの車両内側と反対に向けて凹状に形成された凹部と、凹部の両側に形成された一対の凸部とを有している。凹部は、サービスホールカバーがインナパネルの車両内側で位置決めされるときに面接触で先付けされる、インナパネルの車両内側に向けて粘着材が塗布又は印刷された当接面を備えている。一対の凸部は、インナパネルの車両内側に向けられた内周面に粘着材が塗布又は印刷され、当接面がインナパネルの車両内側に面接触された後に押し付け荷重が加えられる押圧面と、押圧面から当接面に向かって鉛直下方に延びる縦面と、押圧面からサービスホールカバーの外周縁側又は内側に向かって斜め下方に所定の傾斜角で延びる傾斜面とを備えている。当接面に塗布又は印刷された粘着材には、押圧面に加えられる押し付け荷重により縦面が屈曲変形され一対の凸部の押し潰しが完了したことを目視するための切欠部が切り欠かれている。切欠部は、当接面の幅寸法の実質的に中央に位置し、前記一対の凸部の押し潰しが完了したときに前記粘着材によって覆われて隠れるものである。
このような第1の態様であるサービスホールカバーの取り付け構造によれば、断面略M字状に形成されたサービスホールカバーにおいて、凹部の当接面に塗布又は印刷された粘着材が、インナパネルの車両内側に先付けで貼り付けられることにより、サービスホールカバーの位置決め時において位置ずれがなく正確な位置決めが行われる。また、一対の凸部の押圧面に加えられる押し付け荷重により縦面が屈曲変形して当該一対の凸部の押し潰しが完了するため、このサービスホールカバーを、粘着材を用いてインナパネルの車両内側に取り付ける作業者は、粘着材による未貼り付け部分がなく、その取り付けが完了したことを、押し潰しの形状変化の目視と、当接面に塗布又は印刷された粘着材に切り欠かれている切欠部が埋没されたことの目視で確認することができる。
また、本発明の第2の態様であるサービスホールカバーの取り付け構造は、車両用ドアのインナパネルの適宜箇所に形成されたサービスホールを覆うために設けられるサービスホールカバーを、粘着材を用いてインナパネルの車両内側に取り付ける構造である。サービスホールカバーは、断面略M字状に形成され、インナパネルの車両内側と反対に向けて凹状に形成された凹部と、凹部の両側に形成された一対の凸部とを有している。凹部は、サービスホールカバーがインナパネルの車両内側で位置決めされるときに面接触で先付けされる、インナパネルの車両内側に向けて粘着材が塗布又は印刷された当接面を備えている。一対の凸部は、インナパネルの車両内側に向けられた内周面に粘着材が塗布又は印刷され、当接面がインナパネルの車両内側に面接触された後に押し付け荷重が加えられる押圧面と、押圧面から当接面に向かって鉛直下方に延びる縦面と、押圧面からサービスホールカバーの外周縁側又は内側に向かって斜め下方に所定の傾斜角で延びる傾斜面とを備えている。当接面には、押圧面に加えられる押し付け荷重により縦面が屈曲変形され一対の凸部の押し潰しが完了したことを目視するための表示部が備えられている。表示部は、当接面におけるインナパネルの車両内側と反対の面で当該当接面の幅寸法の実質的に中央に位置し、一対の凸部の押し潰しが完了したときに粘着材によって覆われて隠れるものである。
このような第2の態様であるサービスホールカバーの取り付け構造によれば、断面略M字状に形成されたサービスホールカバーにおいて、凹部の当接面に塗布又は印刷された粘着材が、インナパネルの車両内側に先付けで貼り付けられることにより、サービスホールカバーの位置決め時において位置ずれがなく正確な位置決めが行われる。また、一対の凸部の押圧面に加えられる押し付け荷重により縦面が屈曲変形して当該一対の凸部の押し潰しが完了するため、このサービスホールカバーを、粘着材を用いてインナパネルの車両内側に取り付ける作業者は、粘着材による未貼り付け部分がなく、その取り付けが完了したことを、押し潰しの形状変化の目視と、当接面に備えられている表示部が粘着材によって覆われて隠れたことの目視で確認することができる。
また、本発明の第3の態様であるサービスホールカバーの取り付け構造は、本発明の第1の態様又は第2の態様において、傾斜面が有する所定の傾斜角は、押圧面に加えられる押し付け荷重により縦面を屈曲変形させて一対の凸部を押し潰す押潰力に対して反発する角度に設定されている。
このような第3の態様であるサービスホールカバーの取り付け構造によれば、押圧面に加えられた押し付け荷重による縦面の屈曲変形が、鉛直下方に向けて行われるため、このサービスホールカバーを、粘着材を用いてインナパネルの車両内側に取り付ける作業者は、一対の凸部による押し潰しの形状変化を正確に目視することができる。
また、本発明の第4の態様であるサービスホールカバーの取り付け構造は、本発明の第1の態様乃至第3の態様のうち何れか1つの態様において、押圧面は、押し付け荷重が均等に加えられる一対の当該押圧面で形成されている。一対の押圧面における全幅寸法は、押し付け荷重を加える作業者の親指の幅寸法以下に設定されている。
このような第4の態様であるサービスホールカバーの取り付け構造によれば、一対の押圧面における全幅寸法が、押し付け荷重を加える作業者の親指の幅寸法以下に設定されており、押圧面に加えられた押し付け荷重による縦面の屈曲変形が、鉛直下方に向けて行われるため、作業者は、一対の凸部による押し潰しの形状変化を正確に目視することができる。
また、本発明の第5の態様であるサービスホールカバーの取り付け構造は、本発明の第1の態様乃至第4の態様のうち何れか1つの態様において、凹部は、押圧面に押し付け荷重を加える作業者の親指の進入を防止する溝幅寸法に設定されている。
このような第5の態様であるサービスホールカバーの取り付け構造によれば、押圧面に押し付け荷重を加える作業者の親指が凹部に進入することがないため、押圧面に対して、損失がない押し付け荷重を加えることができる。
本発明のサービスホールカバーの取り付け構造によれば、車両用ドアのインナパネルの適宜箇所に形成されたサービスホールを、断面略M字状に形成されたサービスホールカバーを用いて覆うにあたって、凹部の当接面に塗布又は印刷された粘着材が、インナパネルの車両内側に先付けで貼り付けられることにより、サービスホールカバーの位置決め時において位置ずれがない正確な位置決めを行うことができる。また、一対の凸部の押圧面に加えられる押し付け荷重により縦面が屈曲変形して当該一対の凸部の押し潰しが完了するため、このサービスホールカバーを、粘着材を用いてインナパネルの車両内側に取り付ける作業者は、粘着材による未貼り付け部分がなく、その取り付けが完了したことを、押し潰しの形状変化の目視と、当接面に塗布又は印刷された粘着材に切り欠かれている切欠部が埋没されたこと又は当接面に備えられている表示部が粘着材によって覆われて隠れたことの目視で確認することができる。これにより、サービスホールカバーの取り付け作業を行うにあたって、その作業が簡便であって、作業工程における寸法管理が不要とされるばかりでなく、事前に訓練を行う等の高い習熟度も不要とされる。
図1(A)は、本発明の実施例によるサービスホールカバーの取り付け構造において適用される自動車等の車両用ドアとして、車両内側から見たフロントドアのインナパネルを示す側面図である。また、図1(B)は、同実施例によるサービスホールカバーの取り付け構造において適用される、第1、第2のサービスホールカバーを示す側面図である。また、図1(C)は、第1、第2のサービスホールカバーがインナパネルに取り付けられた状態を示す側面図である。さらに、図1(D)、(E)は、第1、第2のサービスホールカバーについて、押し付け荷重が加えられる前段階の形状を、その表面側から見た上面図である。 図2(A)、(B)は、本発明の実施例によるサービスホールカバーの取り付け構造において適用される、第1、第2のサービスホールカバーの曲げ加工前の形状と、第1、第2のサービスホールカバーについて曲げ加工を行うプレス成形金型の動作遷移の一例とを説明するための断面図である。 図3(A)〜(F)は、本発明の実施例によるサービスホールカバーの取り付け構造において適用される、第1、第2のサービスホールカバーの形状と比較する他の形状例について、その構成を簡略化した模式図である。 図4(A)は、本発明の実施例によるサービスホールカバーの取り付け構造において適用される第1のサービスホールカバーについて、曲げ加工後の形状を示す(図1(B)に示すA−A線で断面視された)断面図である。また、図4(B)〜(D)は、同図(A)の形状に曲げ加工された第1のサービスホールカバーに押し付け荷重が加えられたときの形状変化について、その一例を示す断面図である。さらに、図4(E)、(F)は、同図(A)と異なる形状に曲げ加工された第1のサービスホールカバーに押し付け荷重が加えられたときの形状変化について、その一例を示す断面図である。 図5(A)は、本発明の実施例によるサービスホールカバーの取り付け構造において適用される第2のサービスホールカバーについて、曲げ加工後の形状を示す(図1(B)に示すB−B線で断面視された)断面図である。また、図5(B)〜(D)は、同図(A)の形状に曲げ加工された第2のサービスホールカバーに押し付け荷重が加えられたときの形状変化について、その一例を示す断面図である。さらに、図5(E)、(F)は、同図(A)と異なる形状に曲げ加工された第2のサービスホールカバーに押し付け荷重が加えられたときの形状変化について、その一例を示す断面図である。 図6は、本発明の実施例によるサービスホールカバーの取り付け構造において適用される、第1、第2のサービスホールカバーを形成する凸部(の押圧面)に加えられる押し付け荷重の荷重値と、その押し付け荷重による凸部の形状変化の変形値との関係を示すグラフ図である。 図7(A)は、第1の従来例のドア構造を示す側面図である。また、図7(B)は、そのドア構造におけるa−a線断面図である。 図8(A)は、第2の従来例のドア構造を示す外観斜視図である。また、図8(B)は、そのドア構造におけるb−b線断面図である。 図9(A)は、第3の従来例としてブチルテープを用いたサービスホールカバーの取り付け構造を示す側面・作業遷移図である、また、図9(B)〜(D)は、その取り付け構造におけるc−c線断面図である。
以下、本発明のサービホールカバーの取り付け構造を適用した実施の形態例について、図面を参照して説明する。図1(A)は、自動車等の車両用ドアとして、車両内側から見たフロントドア1のドアパネル部として、図示しないアウタパネルと一定の空間を確保した状態で重ね合わされたインナパネル10を示す側面図である。
同図に示すインナパネル10には、例えば、ドアロック(施錠)や、窓ガラスの昇降を行うレグレータ等の構成部品を取り付けるための当該サービスホール、前述の構成部品を駆動させるケーブルやハーネス等を車両内側に取り出すための当該サービスホールのような、種々のサービスホール100が適宜箇所に形成されている。なお、インナパネル10において、サービスホール100が形成される位置や、その形成の目的は、例えば、セダン車、ワゴン車、RV車等のような、車両の形状や種類(車種)に対応して異なるものである。
また、インナパネル10に形成されたサービスホール100については、例えば、サービスホール100から車両内側に向けて水や埃が侵入しないようにする防水性及び防塵性や、サービスホール100からアウタパネル側に向けて冷風が漏れないようにする防風性等を確保するため、車両の組み立て時(組み立て工程)に、当該サービスホールカバーとして、ここでは、図1(B)の側面図に示すサービスホールカバー(以下、第1、第2のサービスホールカバーという)2a、2bを用いて車両内側から覆うことが必要される。ここで、第1、第2のサービスホールカバー2a、2bは、その外周縁(外周縁部)が、インナパネル10に形成されたサービスホール100を全体に亘って覆うような形状に対応させて予め加工されており、例えば、柔軟性を有する、透明なポリエチレン材からなるフィルム・シートが好適とされる。なお、第1のサービスホールカバー2aは、本発明の第1の実施例による当該カバーを示している一方、第2のサービスホールカバー2bは、本発明の第2の実施例による当該カバーを示している。
次に、第1、第2のサービスホールカバー2a、2bにおいて、インナパネル10の車両内側への取り付け時において後述する押し付け荷重(押圧力と同意)F1、F2が加えられる表面S1に対向する面、すなわち、反対側の裏面S2には、図2(A)、(B)の断面図に示すように、例えば、コロナ処理による表面処理が予めなされており、このような表面処理後において、例えば、シーラー塗布用のノズルガンを用いて粘着材3が塗布されている。ここで、粘着材3としては、水溶性を有するアクリル樹脂が好適とされるものの、これに限定されず、例えば、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、天然ゴム、合成ゴム等を適用することもできる。
また、粘着材3が有する色(有彩色)としては、前述のような水溶性を有するアクリル樹脂として例えば、灰色が適用されているものの、これに限定されず、第1、第2のサービスホールカバー2a、2bが有する色、すなわち、透明(透明色)と異なる色であれば、他の色であってもよく、さらには、粘着材3とインナパネル10(の表面)との判別が容易となるように、このインナパネル10が有する色(板金色)とも異なっていることが好ましいとされる。
なお、前述までの説明によれば、例えば、コロナ処理による表面処理が予めなされた第1、第2のサービスホールカバー2a、2bの裏面S2に対して粘着材3の塗布を行ったが、このような手段に限定されず、同様な表面処理が予めなされた裏面S2を印刷面として、粘着材3を印刷、例えば、シルク印刷することもできる。
次に、図2(A)、(B)に示す第1、第2のサービスホールカバー2a、2bと同様、例えば、プレス成形による曲げ加工前の形状である、その裏面S2に粘着材3が塗布又は印刷された図3(A)の模式図に示すサービスホールカバー2について曲げ加工を行うにあたっては、以下、図3(B)〜(F)の模式図に示す種々のサービスホールカバー2c、2d、2e、2f、2gが考えし得るものである。
ここで、図3(A)に示すサービスホールカバー2は、何らの曲げ加工がなされていないものである。この形状によれば、粘着材3が塗布又は印刷されているサービスホールカバー2の裏面S2の該当部に対して、その表面S1側から押し付け荷重(図示せず)が加えられると、インナパネルの車両内側(図示せず)へのサービスホールカバー2の取り付けが開始された段階で、粘着材3がインナパネルの車両内側に貼り付けられるため、この粘着材3が有する色の目視のみで取り付けの完了を確認しようとしても、見極めが困難であった。
また、図3(B)に示すサービスホールカバー2cによれば、図3(A)に示すサービスホールカバー2について、その裏面S2に粘着材3が塗布又は印刷されている部分を、インナパネルの車両内側(図示せず)と反対に向けて曲げ加工させたものである。この形状によれば、粘着材3が塗布又は印刷されているサービスホールカバー2cの裏面S2の該当部に対して、その表面S1側から押し付け荷重(図示せず)が加えられると、サービスホールカバー2cの形状変化と粘着材3の貼り付け状態をもとに、取り付けの完了を確認しようとしても、見極めが困難であった。
また、図3(C)に示すサービスホールカバー2dによれば、図3(A)に示すサービスホールカバー2について、その裏面S2に粘着材3が塗布又は印刷されている部分を、インナパネルの車両内側(図示せず)に向けて断面略円弧形状の凸部200dに曲げ加工させたものである。この形状によれば、凸部200dに対して表面S1側から押し付け荷重(図示せず)が加えられる前段階において、その形状を維持することが困難であった。
また、図3(D)に示すサービスホールカバー2eによれば、図3(A)に示すサービスホールカバー2について、その裏面S2に粘着材3が塗布又は印刷されている部分を、インナパネルの車両内側(図示せず)と反対に向けて断面略円弧形状の凸部200eに曲げ加工させたものである。この形状によれば、凸部200eに対して表面S1側から押し付け荷重(図示せず)が加えられる前段階において、前述の図3(C)に示すサービスホールカバー2dと同様、その形状を維持することが困難であった。
また、図3(E)に示すサービスホールカバー2fによれば、図3(A)に示すサービスホールカバー2について、その裏面S2に粘着材3が塗布又は印刷されている部分を、インナパネルの車両内側(図示せず)と反対に向けて断面略コ字状の凸部200fに曲げ加工させたものである。この形状によれば、凸部200fの形状として、その頂部に略平坦状で設けられた押圧面に対して表面S1側から押し付け荷重(図示せず)が加えられると、一定の圧力で押し付ける荷重値が低く、確実に押し付けられたか否かの判別も困難であった。
さらに、図3(F)に示すサービスホールカバー2gによれば、図3(A)に示すサービスホールカバー2について、その裏面S2に粘着材3が塗布又は印刷されている部分を、インナパネルの車両内側(図示せず)と反対に向けて断面略コ字状の凸部200gに曲げ変形させるとともに、この凸部200gが凹部210gを介して対向配置されるように一対(200g、200g)備えられて断面略弓字状に曲げ加工させたものである。この形状によれば、一対の凸部200g、200gの形状として、その頂部に略平坦状で設けられた押圧面に対して表面S1側から押し付け荷重(図示せず)が加えられると、これら一対の凸部200g、200gに対して一定の圧力で押し付ける荷重値を高く確保できるものの、その押圧面の全幅寸法が大きい場合、押し付け荷重による凸部200g、200gの押し潰しが、凹部210gの底面に向かって一定に変形せず、凹部210gが左右外側に開いた状態で凸部200g、200gが押し潰されるおそれがあった。
そこで、本発明の実施例によれば、前述の図3(B)〜(F)とは異なる形状に曲げ加工を行うにあたって、図2(A)、(B)に示すプレス成形金型6を採用している。このプレス成形金型6は、その裏面S2に粘着材3が塗布又は印刷されている、曲げ加工前の形状の第1、第2のサービスホールカバー2a、2bを挟んで対向配置された一対の型であって、上型6a及び下型6bにより構成されている。
このうち、上型6aは、粘着材3が塗布又は印刷されている第1、第2のサービスホールカバー2a、2bの裏面S2側に配置され、下型6b及び当該カバー2a、2bに対して進退可能となっており、この上型6aには、当該上型6aを昇降させる図示しない昇降・付勢機構が設けられている。ここで、昇降・付勢機構とは、上型6aを昇降させることにより、当該上型6aを、下型6b及び第1、第2のサービスホールカバー2a、2bに対して前進(接近)、後退(離隔)させるものである。
この上型6aは、上型プレス成形面60aの全周に亘って、粘着材3を容易に剥がすことができるシリコーン系の表面処理が予めなされており、上型プレス成形面60aから(所定の角度/傾斜角で)斜め下方に傾斜する傾斜面610aを有する断面略台形状で一対の上型突起部61a、61aと、一対の上型突起部61a、61a間に形成された上型凹部62aとを備えている。また、一対の上型突起部61a、61aの先端には、プレス成形時において破損することがないような形状、例えば、断面略平坦状の頂部611aが形成されている。さらに、上型凹部62aの底面は、上型プレス成形面60aと同一の面で形成されている。
一方、下型6bは、第1、第2のサービスホールカバー2a、2bの表面S1側に配置され、例えば、図示しない載置台上に固定されている。この下型6bは、下型プレス成形面60bから前述の上型突起部61a、61aの突出高さ寸法分下がった下底面61bより鉛直上方に延びる断面略長方形状の下型突起部62bと、下型突起部62bの両側に形成され下型プレス成形面60bから下底面61bに向かって(所定の角度/傾斜角で)斜め下方に傾斜する傾斜面630bを有する一対の下型凹部63b、63bとを備えている。また、下型突起部62bの先端には、プレス成形時において破損することがないような形状、例えば、略断面平坦状の頂部620bが形成されている。さらに、さらに、一対の下型凹部63b、63bの底面は、下底面61bと同一の面で形成されている。
なお、前述の上型6a及び下型6bにおいて、一対の上型突起部61a、61aが有する傾斜面610aの傾斜角と一対の下型凹部63b、63bが有する傾斜面630bの傾斜角は、同一の角度で形成されている。
次に、前述のようなプレス成形金型6を用いた具体的な曲げ加工について説明する。先ず、図2(A)に示すように、第1のサービスホールカバー2aによれば、その曲げ加工前において、当該カバー2aの裏面S2に塗布又は印刷されている粘着材3の幅寸法の中央に位置する場所に、このサービスホールカバー2aの形状変化、すなわち、後述する押し潰しの完了を確認するための切欠部30が備えられるように予め形成しておく。
また、第1のサービスホールカバー2aをプレス成形金型6の当該型内に配置するにあたっては、粘着材3に備えられた切欠部30と、上型凹部62aの底面の幅寸法の中央と、下型突起部62bに形成された頂部620bの幅寸法の中央とがそれぞれ、鉛直方向で一致するように位置決めされている。
一方、図2(B)に示すように、第2のサービスホールカバー2bによれば、その曲げ加工前において、上型凹部62aの底面の幅寸法の中央と、下型突起部62bに形成された頂部620bの幅寸法の中央とそれぞれ一致する当該カバー2bの表面S1側の場所に、このサービスホールカバー2bの形状変化、すなわち、後述する押し潰しの完了を確認するための表示部4が例えば、印刷又は所定の形状で備えられている。
また、第2のサービスホールカバー2bをプレス成形金型6の当該型内に配置するにあたっては、当該カバー2bの表面S1に備えられた表示部4と、上型凹部62aの底面の幅寸法の中央と、下型突起部62bに形成された頂部620bの幅寸法の中央とがそれぞれ、鉛直方向で一致するように位置決めされている。
なお、前述のような位置決めを行うにあたっては、その一例として、上型6a及び下型6bのうち何れかの型より鉛直方向に延びる図示しない支持材が、第1、第2のサービスホールカバー2a、2bの所定の位置、例えば、外周端(外周端部)に穿設させた図示しない穴に挿通させることで可能となる。
次に、第1、第2のサービスホールカバー2a、2bの裏面S2を上型6aに、表面S1を下型6bにそれぞれ向けて前述のような位置決めがなされた後、具体的な曲げ加工を行うにあたっては、図示しない昇降・付勢機構によって上型6aを上死点の位置から下降させ、下型6b及び当該カバー2a、2bに対して前進(接近)させる。すると、上型6aの上型プレス成形面60aが、第1、第2のサービスカバー2a、2bの裏面S2に当接するよりも先に、一対の上型突起部61a、61aに形成された頂部611aが、当該カバー2a、2bの裏面S2に塗布又は印刷されている粘着材3に当接する。
この後、図示しない昇降・付勢機構によって上型6aがさらに下降すると、下型6bの下型突起部62bに形成された頂部620bが、第1、第2のサービスホールカバー2a、2bの表面S1に当接するよりも先に、下型プレス成形面60bが、当該カバー2a、2bの表面S1に当接するばかりでなく、一対の上型突起部61a、61aが、一対の下型凹部63b、63bの内周面で係合されるように押し下げられ、下底面61bに当接された位置で底付けされるため、一対の下型凹部63b、63bの内周面の形状に沿って当該カバー2a、2bが粘着材3と一体で曲げ加工される。また、下型突起部62bについても、上型凹部62aの内周面で係合されるように押し上げられ、第1、第2のサービスホールカバー2a、2bの裏面S2に塗布又は印刷されている粘着材3が、上型プレス成形面60aに当接された位置で底付けされるため、上型凹部62aの内周面の形状に沿って当該カバー2a、2bが粘着材3と一体で曲げ加工される。
すなわち、第1、第2のサービスホールカバー2a、2bは、上型6a及び下型6bによって拘束されることなる。また、前述のような拘束による曲げ加工がなされた後、図示しない昇降・付勢機構によって上型6aを上昇させて、下型6b及び第1、第2のサービスホールカバー2a、2bに対して後退(離隔)させる、すなわち、上死点の位置に戻して脱型を行うと、上型プレス成形面60aは、その全周に亘ってシリコーン系の表面処理が予めなされているため、当該カバー2a、2bの裏面S2に粘着材3が塗布又は印刷されている状態を確保して、その粘着材3を上型プレス成形面60aから容易に剥がしながら当該カバー2a、2bを取り外すことが可能となり、これによってプレス成形が終了する。
なお、前述までの曲げ加工において用いたプレス成形金型6によれば、上型6aに図示しない昇降・付勢手段を備えた構造を適用したが、これに限定されず、下型6bに図示しない昇降・付勢手段を備え、上型6aを固定させた構造で、下型6bを昇降させることにより、当該下型6bを、上型6a及び第1、第2のサービスホールカバー2a、2bに対して前進(接近)、後退(離隔)させることもできる。
次に、前述のようなプレス成形で曲げ加工された、曲げ加工後の第1、第2のサービスホールカバー2a、2bは、図1(B)のA−A線、B−B線で断面視された図4(A)、図5(A)の断面図に示すように、断面略M字状に形成され、インナパネル10と反対側に向けて凹状に形成された凹部20a、20bと、凹部20aの両側に形成された一対の凸部21a、22a、及び凹部20bの両側に形成された一対の凸部21b、22bとを有している。
同図に示す凹部20a、20bは、インナパネル10の適宜箇所に形成された図1(A)に示すサービスホール100を全体に亘り覆うにあたって、インナパネル10への位置決め時に、粘着材3により先付けで貼り付けられる当接面200a、200bを備えている。
ここで、第1のサービスホールカバー2aが有する凹部20aの当接面200aにおいて、粘着材3が塗布又は印刷されている裏面S2における当該当接面200aの幅寸法の実質的に中央には、粘着材3に切り欠かれた切欠部30が位置している。なお、実質的に中央とは、当接面200aの幅寸法の中央に限定されるものではなく、一対の凸部21a、22aの押し潰しが完了する前段階において目視で確認できるのであれば、中央の位置から多少はずれていても構わないことを意味している。
また、第1のサービスホールカバー2aによれば、表面S1側から見た形状として図1(D)の上面図に示すように、透明色の当該カバー2aを介して、粘着材3のみならず、この粘着材3に切り欠かれた切欠部30を目視で確認することができる。
一方、第2のサービスホールカバー2bが有する凹部20bの当接面200bにおいて、粘着材3が塗布又は印刷されている裏面S2とは逆面となる面、すなわち、表面S1における凹部20bの幅寸法の実質的に中央には、印刷又は所定の形状で備えられた表示部4が位置している。なお、実質的に中央とは、表面S1における凹部20bの幅寸法の中央に限定されるものではなく、一対の凸部21b、22bの押し潰しが完了する前段階において目視で確認できるのであれば、中央の位置から多少はずれていても構わないことを意味している。
また、第2のサービスホールカバー2bによれば、表面S1側から見た形状として図1(E)の上面図に示すように、透明色の当該カバー2bを介して、粘着材3のみならず表示部4を目視で確認することができる。
次に、第1、第2のサービスホールカバー2a、2bが有する一対の凸部21a、22a、21b、22bにおいて、当該カバー2a、2bの外周縁(図中「OUT」)寄りの第1凸部21a、21bには、当該カバー2a、2bの取り付け作業を行う、図4(B)、(C)の断面図及び図5(B)、(C)の断面図に示す親指5による押し付け荷重F1、F2が、後述する第2押圧面220a、220bとあわせて均等に加えられる一対の当該押圧面であって前述の当接面200a、200bに略平行で対向配置された第1押圧面210a、210bと、第1押圧面210a、210bの両端領域に設けられる一対の折り曲げ部211a、212a、211b、212bのうち、一方の折り曲げ部211a、211bから当該カバー2a、2bの外周縁側に向けて所定の傾斜角θで斜め下方に延びる第1傾斜面213a、213bと、他方の折り曲げ部212a、212bから凹部20a、20bの当接面200a、200bに向けて鉛直下方に向けて延びる第1縦面214a、214bとが備えられている。なお、一対の折り曲げ部211a、212a、211b、212bにより連結された、第1傾斜面213a、213bから第1押圧面210a、210bを介して第1縦面214a、214bまでの第1凸部21a、21bにおける内周面、すなわち、インナパネル10の車両内側の面である当該カバー2a、2bの裏面S2には、粘着材3が塗布又は印刷されている。
一方、第1、第2のサービスホールカバー2a、2bの内側(図中「IN」)寄りの第2凸部22a、22bには、当該カバー2a、2bの取り付け作業を行う作業者の親指5による押し付け荷重F1、F2が、前述の第1押圧面210a、210bとあわせて均等に加えられる当該押圧面であって前述の当接面200a、200bに略平行で対向配置された第2押圧面220a、220bと、第2押圧面220a、220bの両端領域に設けられる一対の折り曲げ部221a、222a、221b、222bのうち、一方の折り曲げ部221a、221bから当該カバー2a、2bの内側に向けて所定の傾斜角θで斜め下方に延びる第2傾斜面223a、223bと、他方の折り曲げ部222a、222bから凹部20a、20bの当接面200a、200bに向けて鉛直下方に向けて延びる面であって前述の第1縦面214a、224bに略平行で対向配置された第2縦面224a、224bとが備えられている。なお、一対の折り曲げ部221a、222a、221b、222bにより連結された、第2傾斜面223a、223bから第2押圧面220a、220bを介して第2縦面224a、224bまでの第2凸部22a、22bにおける内周面、すなわち、インナパネル10の車両内側の面である当該カバー2a、2bの裏面S2には、粘着材3が塗布又は印刷されている。
また、第1、第2のサービスホールカバー2a、2bにおいて、第1凸部21a、21bに備えられた第1押圧面210a、210bの幅寸法と、第2凸部22a、22bに備えられた第2押圧面220a、220bの幅寸法とは同一であって、第1押圧面210a、210bに設けられた一方の折り曲げ部211a、211bから第2押圧面220a、220bに設けられた一方の折り曲げ部221a、221bまでの幅寸法、すなわち、当該押圧面全体としての全幅寸法W1は、例えば、AIST人体寸法・形状データベース(公開元:独立行政法人 産業技術総合研究所 デジタルヒューマン研究センター)から導出される親指5の幅寸法、例えば、図4(B)、(C)及び図5(B)、(C)に示す後述の幅寸法W21、W22に対応している。ここでは、全幅寸法W1として、16mmが適用されているものとする。
また、第1、第2のサービスホールカバー2a、2bにおいて、第1凸部21a、21bに備えられた第1縦面214a、214bの高さ寸法と、第2凸部22a、22bに備えられた第2縦面224a、224bの高さ寸法とは同一であって、第1押圧面210a、210b及び第2押圧面220a、220bに対して均等な押し付け荷重F1、F2が加えられる前段階において安易な押し潰れを防止する所定の高さに設定されている。ここでは、高さ寸法H1として、5mmが適用されているものとする。
さらに、第1、第2のサービスホールカバー2a、2bにおいて、凹部20a、20bの溝幅寸法、すなわち、凹部20a、20bの内周面における当接面200a、200bの幅寸法は、前述のような親指5が凹部20a、20bに進入して第1押圧面210a、210b及び第2押圧面220a、220bに対して押し付け荷重F1、F2が均等に加えられないことを防止する所定の長さに設定されている。ここでは、幅寸法W11として、3mmが適用されているものとする。
次に、図4(A)に示す曲げ加工後の第1のサービスホールカバー2aについて、インナパネル10の車両内側に取り付け、このインナパネル10の適宜箇所に形成されたサービスホール100を全体に亘り覆うにあたり、第1のサービスホールカバー2aは、その全周において、凹部20aに備えられた当接面200aに塗布又は印刷されている粘着材3のみが、図4(B)に示すようにインナパネル10の車両内側に先付けで貼り付けられており、その他の部分は何ら当接していない状態で位置決めがなされているため、位置ずれの発生を防止することができる。
このような位置決めがなされた後、第1のサービスホールカバー2aの取り付け作業を行う作業者の親指5、ここでは、第1凸部21aに備えられた第1押圧面210aに設けられている一方の折り曲げ部211aから第2凸部22aに備えられた第2押圧面220aに設けられている一方の折り曲げ部221aまでの全幅寸法W1と同一の幅寸法W21である16mmの親指5による押し付け荷重F1が、図4(B)に示すように第1押圧面210a及び第2押圧面220aに対して均等に加えられると、他方の折り曲げ部212a、222aを介して第1押圧面210a及び第2押圧面220aに連結された第1縦面214a及び第2縦面224aの屈曲変形が、図6のグラフ図に示すように開始される。
ここで、一方の折り曲げ部211a、221aを介して連結された第1傾斜面213a及び第2傾斜面223aが有する所定の傾斜角θは、第1押圧面210a及び第2押圧面220aが一体として、第1縦面214a及び第2縦面224aを鉛直下方に屈曲変形させて第1凸部21a及び第2凸部22aを押し潰す力(押潰力)と反発する例えば、45度に形成されているため、図6に示すように、押し付け荷重F1が加えられてから、その荷重値が10Nに達した時点で、前述のように5mmの高さ寸法H1を有する第1縦面214a及び第2縦面224aが底付けの変形状態となり、図4(D)の断面図に示すように、第1凸部21a及び第2凸部22aが完全に押し潰されることになる。
また、第1凸部21a及び第2凸部22aが完全に押し潰されると、図4(D)に示すように、第1凸部21a及び第2凸部22aの内周面に塗布又は印刷されている粘着材3が互いに凹部20aを塞ぐように折れ曲がることで貼り付くため、当接面200aに塗布又は印刷されている粘着材3に切り欠かれた切欠部30が埋没されることになる。ここで、粘着材3は、第1のサービスホールカバー2aが有する透明色(及びインナパネル10が有する色)と異なり灰色であるため、その色の違いの判別が容易であるため、粘着材3による未貼り付け部分がないことも目視により確認することができる。
このように、第1のサービスホールカバー2aについてインナパネル10の車両内側に取り付け作業を行う作業者は、当該カバー2aの外周端(外周端部)の形状に沿って全周に亘り、第1凸部21aに備えられた第1押圧面210a及び第2凸部22aに備えられた第2押圧面220aに対して均等に押し付け荷重F1を加えることにより、第1凸部21a及び第2凸部22aが完全に押し潰されたその形状変化の目視と、凹部20aに備えられた当接面200aに塗布又は印刷されている粘着材3の切欠部30が埋没されたことの目視を行うことによって、粘着材3による未貼り付け部分がなく、図1(C)の側面図に示すように、その取り付けが完了したことを確認することができる。
次に、図5(A)に示す曲げ加工後の第2のサービスホールカバー2bについて、インナパネル10の車両内側に取り付け、このインナパネル10の適宜箇所に形成されたサービスホール100を全体に亘り覆うにあたり、第2のサービスホールカバー2bは、その全周において、凹部20bに備えられた当接面200bに塗布又は印刷されている粘着材3のみが、図5(B)に示すようにインナパネル10の車両内側に先付けで貼り付けられており、その他の部分は何ら当接していない状態で位置決めがなされているため、位置ずれの発生を防止することができる。
このような位置決めがなされた後、第2のサービスホールカバー2bの取り付け作業を行う作業者の親指5、ここでは、第1凸部21bに備えられた第1押圧面210bに設けられている一方の折り曲げ部211bから第2凸部22bに備えられた第2押圧面220bに設けられている一方の折り曲げ部221bまでの全幅寸法W1と同一の幅寸法W21である16mmの親指5による押し付け荷重F2が、図5(B)に示すように第1押圧面210b及び第2押圧面220bに対して均等に加えられると、他方の折り曲げ部212b、222bを介して第1押圧面210b及び第2押圧面220bに連結された第1縦面214b及び第2縦面224bの屈曲変形が、図6に示すように開始される。
ここで、一方の折り曲げ部211b、221bを介して連結された第1傾斜面213b及び第2傾斜面223bが有する所定の傾斜角θは、第1押圧面210b及び第2押圧面220bが一体として、第1縦面214b及び第2縦面224bを鉛直下方に屈曲変形させて第1凸部21b及び第2凸部22bを押し潰す力(押潰力)と反発する例えば、45度に形成されているため、図6に示すように、押し付け荷重F2が加えられてから、その荷重値が10Nに達した時点で、前述のように5mmの高さ寸法H1を有する第1縦面214b及び第2縦面224bが底付けの変形状態となり、図5(D)の断面図に示すように、第1凸部21b及び第2凸部22bが完全に押し潰されることになる。なお、第1凸部21b及び第2凸部22bが完全に押し潰されるまでの動作は、前述のような、第1のサービスホールカバー2aを形成する第1凸部21a及び第2凸部22aが完全に押し潰されるまでの動作と同一である。
また、第1凸部21b及び第2凸部22bが完全に押し潰されると、図5(D)に示すように、第1凸部21b及び第2凸部22bの内周面に塗布又は印刷されている粘着材3が互いに凹部20aを塞ぐように折れ曲がることで貼り付くため、当接面200bに印刷又は所定の形状で備えられている表示部4が、凹部20aを塞ぐように折れ曲がることで貼り付いた粘着材3によって覆われることで隠れて目視できなくなる。ここで、粘着材3は、第2のサービスホールカバー2bが有する透明色(及びインナパネル10が有する色)と異なり灰色であるため、その色の違いの判別が容易であるため、粘着材3による未貼り付け部分がないことも目視により確認することができる。
このように、第2のサービスホールカバー2bについてインナパネル10の車両内側に取り付け作業を行う作業者は、当該カバー2bの外周端(外周端部)の形状に沿って全周に亘り、第1凸部21bに備えられた第1押圧面210b及び第2凸部22bに備えられた第2押圧面220bに対して均等に押し付け荷重F2を加えることにより、第1凸部21b及び第2凸部22bが完全に押し潰されたその形状変化の目視と、凹部20bに備えられた当接面200bに印刷は所定の形状で設けられている表示部4が粘着材3によって覆われて隠れたことの目視を行うことによって、粘着材3による未貼り付け部分がなく、図1(C)に示すように、その取り付けが完了したことを確認することができる。
なお、前述までの取り付け作業の説明においては、第1、第2のサービスホールカバー2a、2bの取り付け作業を行う作業者の親指5として、その幅寸法W21を、一対の凸部21a、22a、21b、22bに備えられた第1押圧面210a、210b及び第2押圧面220a、220bの全幅寸法W1と同一の16mmとしたが、この形態に限定されるものではない。図4(C)、図5(C)の断面図に示すように、前述の全幅寸法W1よりも大きな幅寸法、例えば、AIST人体寸法・形状データベースから導出される23mmの幅寸法W22の親指5で押し付け荷重F1、F2を加えた場合であっても同様な効果が得られるものである。
これに対し、第1、第2のサービスホールカバーの2a、2bの曲げ加工後における他の形状例として、図4(E)、(F)及び図5(E)、(F)の断面図に示すように、一対の凸部21a、22a、一対の凸部21b、22bに備えられた第1押圧面210a、210b及び第2押圧面220a、220bの全幅寸法W31、W32が、取り付け作業を行う作業者の親指5による幅寸法W21(=16mm)と比較して大きい、例えば、23mmである場合には、第1縦面214a、214b及び第2縦面224a、224bが十分に屈曲変形せずに図中矢印で示すように傾き、凹部20a、20bが左右外側に開いた状態で押し潰されるおそれがあり、粘着材3に切り欠かれた切欠部30が埋設されずに目視でき得る状態のまま残る、又は表示部4が粘着材3によって覆われずに目視でき得る状態のまま残ることになるため、前述のような実施例による効果は得られないものである。
前述までの説明から明らかなように、本発明の実施例においては、車両用ドアのインナパネル10の適宜箇所に形成されたサービスホール100を、略断面M字状に形成された第1、第2のサービスホールカバー2a、2bを用いて覆うにあたって、凹部20a、20bに備えられた当接面200a、200bに塗布又は印刷されている粘着材3が、インナパネル10の車両内側に先付けで貼り付けられることにより、当該カバー2a、2bの位置決め時において位置ずれがない正確な位置決めを行うことができる。また、一対の凸部(第1凸部、第2凸部)21a、22a、21b、22bに備えられた押圧面(第1押圧面、第2押圧面)210a、220a、210b、220bに加えられる押し付け荷重F1、F2により縦面(第1縦面、第2縦面)214a、224a、214b、224bが屈曲変形して一対の凸部1a、22a、21b、22bの押し潰しが完了するため、当該カバー2a、2bを、粘着材3を用いてインナパネル10の車両内側に取り付ける作業者は、粘着材3による未貼り付け部分がなく、その取り付けが完了したことを、押し潰しの形状変化の目視と、当接面200aに塗布又は印刷された粘着材3に切り欠かれている切欠部30が埋没されたこと又は当接面200bに備えられている表示部4が粘着材3によって覆われて隠れたことの目視で確認することができる。これにより、第1、第2のサービスホールカバー2a、2bの取り付け作業を行うにあたって、その作業が簡便であって、作業工程における寸法管理が不要とされるばかりでなく、事前に訓練を行う等の高い習熟度も不要とされる。
本発明の実施例においては、前述のように図面で示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる形態であっても採用できることはいうまでもないことである。
具体的には、サービスホール100が適宜箇所に形成されたインナパネル10として、このインナパネル10を有するフロントドア1を適用したが、この形態に限定されるものでなない。例えば、当該インナパネルを有するドアパネル部として、リアドアやバックドアに適用することもできる。
また、第1、第2のサービスホールカバー2a、2bの裏面S2に粘着材3を設けるにあたって、その手段として前述のような塗布又は印刷を適用したが、これらの手段に限定されるものではない。例えば、粘着材3が予め接着された離型紙を第1、第2のサービスホールカバー2a、2bの裏面S2に貼り付けておくことにより、この離型紙を剥がすのみで粘着材3を露出させることもできる。
2a……第1のサービスホールカバー
20a……凹部
200a……当接面
21a……第1凸部(一対の凸部)
210a……第1押圧面(一対の押圧面)
213a……第1傾斜面(傾斜面)
214a……第1縦面(縦面)
22a……第2凸部(一対の凸部)
220a……第2押圧面(一対の押圧面)
223a……第2傾斜面(傾斜面)
224a……第2縦面(縦面)
2b……第2のサービスホールカバー
20b……凹部
200b……当接面
21b……第1凸部(一対の凸部)
210b……第1押圧面(一対の押圧面)
213b……第1傾斜面(傾斜面)
214b……第1縦面(縦面)
22b……第2凸部(一対の凸部)
220b……第2押圧面(一対の押圧面)
223b……第2傾斜面(傾斜面)
224b……第2縦面(縦面)
3……粘着材
30……切欠部
4……表示部
5……親指
10……インナパネル
F1、F2……押し付け荷重

Claims (5)

  1. 車両用ドアのインナパネルの適宜箇所に形成されたサービスホールを覆うために設けられるサービスホールカバーを、粘着材を用いて前記インナパネルの車両内側に取り付けるサービスホールカバーの取り付け構造あって、
    前記サービスホールカバーは、断面略M字状に形成され、前記インナパネルの車両内側と反対に向けて凹状に形成された凹部と、前記凹部の両側で凸状に形成された一対の凸部とを有し、
    前記凹部は、前記サービスホールカバーが前記インナパネルの車両内側で位置決めされるときに面接触で先付けされる、前記インナパネルの車両内側に向けて前記粘着材が塗布又は印刷された当接面を備え、
    前記一対の凸部は、前記インナパネルの車両内側に向けられた内周面に前記粘着材が塗布又は印刷され、前記当接面が前記インナパネルの車両内側に面接触された後に押し付け荷重が加えられる押圧面と、前記押圧面から前記当接面に向かって鉛直下方に延びる縦面と、前記押圧面から前記サービスホールカバーの外周縁側又は内側に向かって斜め下方に所定の傾斜角で延びる傾斜面とを備え、
    前記当接面に塗布又は印刷された前記粘着材には、前記押圧面に加えられる前記押し付け荷重により前記縦面が屈曲変形して前記一対の凸部の押し潰しが完了したことを目視するための切欠部が切り欠かれ、
    前記切欠部は、前記当接面の幅寸法の実質的に中央に位置し、前記一対の凸部の押し潰しが完了したときに前記粘着材によって覆われて隠れることを特徴とするサービスホールカバーの取り付け構造。
  2. 車両用ドアのインナパネルの適宜箇所に形成されたサービスホールを覆うために設けられるサービスホールカバーを、粘着材を用いて前記インナパネルの車両内側に取り付けるサービスホールカバーの取り付け構造あって、
    前記サービスホールカバーは、断面略M字状に形成され、前記インナパネルの車両内側と反対に向けて凹状に形成された凹部と、前記凹部の両側で凸状に形成された一対の凸部とを有し、
    前記凹部は、前記サービスホールカバーが前記インナパネルの車両内側で位置決めされるときに面接触で先付けされる、前記インナパネルの車両内側に向けて前記粘着材が塗布又は印刷された当接面を備え、
    前記一対の凸部は、前記インナパネルの車両内側に向けられた内周面に前記粘着材が塗布又は印刷され、前記当接面が前記インナパネルの車両内側に面接触された後に押し付け荷重が加えられる押圧面と、前記押圧面から前記当接面に向かって鉛直下方に延びる縦面と、前記押圧面から前記サービスホールカバーの外周縁側又は内側に向かって斜め下方に所定の傾斜角で延びる傾斜面とを備え、
    前記当接面には、前記押圧面に加えられる前記押し付け荷重により前記縦面が屈曲変形して前記一対の凸部の押し潰しが完了したことを目視するための表示部が備えられ、
    前記表示部は、前記当接面における前記インナパネルの車両内側と反対の面で当該当接面の幅寸法の実質的に中央に位置し、前記一対の凸部の押し潰しが完了したときに前記粘着材によって覆われて隠れることを特徴とするサービスホールカバーの取り付け構造。
  3. 前記傾斜面が有する前記所定の傾斜角は、前記押圧面に加えられる前記押し付け荷重により前記縦面を屈曲変形させて前記一対の凸部を押し潰す押潰力に対して反発する角度に設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のサービスホールカバーの取り付け構造。
  4. 前記押圧面は、前記押し付け荷重が均等に加えられる一対の当該押圧面で形成され、
    前記一対の押圧面における全幅寸法は、前記押し付け荷重を加える作業者の親指の幅寸法以下に設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち何れか1項記載のサービスホールカバーの取り付け構造。
  5. 前記凹部は、前記押圧面に前記押し付け荷重を加える作業者の親指の進入を防止する溝幅寸法に設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れか1項記載のサービスホールカバーの取り付け構造。
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