実施の形態1.
図1〜図3は、本発明の実施の形態1にかかる形状可変鏡の構成について説明するためのもので、図1は形状可変鏡において反射鏡に荷重をかけて形状変化をさせる概念を示す図、図2は形状可変鏡の反射面に垂直な面(XZ面)による断面図、図3は形状可変鏡の構造を説明するための各部品をばらした状態を示す組立図である。
本発明の実施の形態1にかかる形状可変鏡の具体的な構成を説明する前に、反射鏡に形状変化を起こさせる概念について図1を用いて説明する。
反射鏡1は、光を反射する反射面であるミラー面1sfと裏面1sbが円形のお互いに平行な平面を有する薄板状の円盤である。ミラー面1sf上で、外周円の中心を通る第1軸であるX軸と外周円の中心でX軸に対して直交する第2軸であるY軸を定義する。また、裏面1sb上で、Y軸と平行で外周円の中心 で交差する第2軸であるYb軸を定義する。
そして、裏面1sbの外周円とYb軸との2箇所の交点Pyb付近で、裏面1sbに対して垂直に押す方向である+Z方向で荷重Fbを加える。一方、ミラー面1sfの外周円とX軸との2箇所の交点Pxf付近では、荷重Fbに対抗して荷重Ffが−Z方向にかかるように支持し、+Z方向に移動しないようにする。こうすると、反射鏡1のミラー面1sfがX軸に平行な直線上では中央が突き出た凸形状に、Y軸な平行な直線上では中央がへこんだ凹形状となり、ミラー面1sf全体として鞍型に変形する。このとき、X軸上での凸形の曲線形状と、Y軸上での凹形の曲線形状とは、向きが反対で同じような形状になる。
反射鏡1で反射する光の焦点距離が短い、すなわちパワーが強い方向をX軸に合わせると、X軸では凸面なので反射する光の焦点距離が長くなり、Y軸では凹面なので反射する光の焦点距離が短くなる。これは、X軸とY軸とのパワーの差を減少させることを意味する。つまり、鞍型の変形の度合いを適切に調整すれば、X軸とY軸のパワーを同じにして非点収差を補正できることになる。反射鏡1の変形の度合いは、数10mmの直径の反射鏡1に対して、0.1〜数μm程度を想定している。なお、変形の度合いがこの想定よりも大きい場合も小さい場合にも、この発明を適用できる。
つぎに、上述した反射鏡1に変形を生じさせる形状可変鏡10の構成について、図2と図3を用いて説明する。この実施の形態1での形状可変鏡10では、反射鏡1の裏面1sbには、押圧部材5に形成された2箇所の突起部5pによって、図1に示す2箇所のYb軸との交点Pyb付近で反射鏡1を押す方向である+Z軸方向の荷重Fbをかけることができる。そして、ミラー面1sf側には、第一保持部材3に形成された2箇所の突起部3pによって、円周とX軸との2箇所の交点Pxf付近で反射鏡1を+Z軸方向に対して移動しないように支えられている。また、反射鏡1の裏面1sb側には、押圧部材5を含み、反射鏡1のミラー面1sfを鞍型に変形させるための力(Fb)を発生させるとともに変形量を調整する変形量調整部4が形成されている。以下、詳細に説明する。
第一保持部材3は、軸方向の一端(天面3t)側に反射鏡1を設置するよう、反射鏡1の外径よりも大きな内径を有する筒状をなす。なお、ミラー面1sfが露出する天面3t側の開口3aは、第一保持部材3の外形と同心で、反射鏡1の外径よりも小さい円形になるように形成されている。つまり、第一保持部材3の内径部分には、例えば、開口3aに相当する貫通孔を有する中空の円柱に、天面3tの反対側(底面3b)の端部から、反射鏡1の外径よりも大きな径で、天面3tから所定厚みを残してザグリ加工をしたときのような面(ザグリ面3zと称する)が形成されている。
そして、ザグリ面3zには、ミラー面1sfの外周円とX軸との2箇所の交点Pxfのそれぞれに対応する箇所で、ミラー面1sfに接触して支える(押圧する)突起部3pが形成されている。
2つの突起部3pはそれぞれ、ザグリ面3zから同じ長さの角柱状の足を立てたようなものであり、ザグリ面、天面3t、底面3bはそれぞれ平行である。そのため、反射鏡1が突起部3pに接触しただけで荷重がかかっていない状態では、ミラー面1sf、ザグリ面3z、底面3bおよび天面3tはみな平行な関係にある。なお、突起部3pの軸方向に垂直な断面形状は、ほぼ正方形とし、突起部3pのミラー面1sfに接する面を支持面3psと称する。2本の突起部3pは、軸に対して点対称になるようにザグリ面3zの両端にあり、2つの支持面3psの中心を結ぶ線分は第一保持部材3の軸(中心)を通る。ここで、2つの支持面3psの中心を結ぶ直線が、上述したX軸となる。
なお、突起部3pと第一保持部材3は、一体に形成してもよいし、別部品として形成したものを合わせたものでも良い。一方、底面3b側の内壁には、変形量調整部4を第一保持部材3に固定するために、底面3bから所定の長さで、第一保持部材3の外形と同心の雌ネジが切られているネジ部3sが形成されている。
変形量調整部4は、裏面1sbの外周円とYb軸との2箇所の交点Pybに対応する2箇所で、反射鏡1の裏面1sbに接触する突起部5pを有する押圧部材5と、押圧部材5の反射鏡1に対向する面の反対側で、第一保持部材3のネジ部3sによって固定される第二保持部材6と、第二保持部材6と押圧部材5との間隔を変化させるネジ部品2と、押圧部材5と第二保持部材との回転を拘束する2個の回転止部材7から構成される。
ネジ部品2は、軸報向の両端側に、それぞれ、異なるピッチの雄ネジが形成されたネジ2st、2sbが設けられ、ネジ2sb側の端部に、回転力を与えるための例えば、六角穴のようなレンチ用の穴2bが形成されている。
押圧部材5は、反射鏡1とほぼ同じ径の円形で所定の厚みを有する円盤部5dと、円盤部5dの反射鏡1側の面の軸中心を挟む両端部分から、垂直に反射鏡1に向かって立ち上がるように形成された角柱状の2本の突起部5pとを有し、ネジ部品2の雄ネジ2stに対応するように円盤部5dの中心にネジ穴5sが設けられている。2本の突起部5pの長さは同じなので、反射鏡1の裏面1sbに接触しただけで荷重がかかっていない状態では、円盤部5dは反射鏡1と平行になる。突起部5pの軸方向に垂直な断面での形状は、第一保持部材3の突起部3pと同様に、ほぼ正方形で、裏面1sbに接する支持面5psが形成されている。2本の突起部5pは、軸に対して点対照の位置にあり、2つの支持面5psの中心を結ぶ線分は円盤部5dの軸(中心)を通る。ここで、2つの支持面5psの中心を結ぶ直線が、上述したYb軸となる。
また、円盤部5dには、ネジ穴5sよりも径方向の外側で、突起部5pよりも内側の位置に2個の位置決め穴5hが形成されている。円盤部5dと突起部5pは一体に形成してもよいし、別部品として形成したものを接触させたものでもよい。ネジ穴5sは貫通穴となっているが、所定の長さを持っていればとまり穴でもよい。ここで、位置決め穴5hは2箇所配置しているが、押圧部材5と第二保持部材6との回転方向を拘束できれば、それ以上(3箇所以上)でもそれ以下(1箇所)でもよく、径方向において突起部5pよりも内側に配置する必要もない。また、押圧部材5は円形である必要もなく、例えば、板ばねの両端に2つの突起部5pを設けたようなものでもよい。
第二保持部材6は、反射鏡1よりも少し大きい円形で所定の厚みの円盤部6dの中心に、ネジ部品2の片側の雄ネジ2sbに対応する雌ネジとなるネジ穴6siが形成されている。また、円盤部6dの外径面には、第一保持部材3のネジ部3sに対応する雄ネジとなるネジ部6seが形成されている。さらに、円盤部6dには、ネジ穴6siよりも径方向の外側で、押圧部材5の位置決め穴5hに対応するように位置と径(厳密には後述する回転止部材7が挿入できる径)を調節した2つの位置決め穴6hが設けられている。ここで、位置決め穴6hは、2箇所配置しているが、押圧部材5の位置決め穴5hと同様、押圧部材5と第二保持部材6との回転方向を拘束できれば、それ以上の数でもそれ以下の数(1)でもよい。
回転止部材7は、位置決め穴5hおよび位置決め穴6hに自在に抜き差しするための円柱部7cの一端側に頭部7dを設けて構成している。円柱部7cは、位置決め穴5hおよび位置決め穴6hに自在に抜き差しできるよう、位置決め穴5hおよび位置決め穴6hの径よりも外径が小さく、第二保持部材6の位置決め穴6hを通り、押圧部材5の位置決め穴5hに挿入できるだけの長さに調整している。頭部7dは、円盤部6dに接して止まるように、第二保持部材6の位置決め穴6hの径よりも外径を大きくしている。ここで、回転止部材7は2個使用しているが、押圧部材5と第二保持部材6との回転方向を拘束できれば、それ以上(3箇所以上)でもそれ以下(1箇所)でもよい。
ここで、形状可変鏡10の動作について説明する。
上述した各部材を組み上げる際、第二保持部材6を第一保持部材3にねじ込んだ時点で、第二保持部材6と第一保持部材3の位置関係が固定される。そして、押圧部材5と第二保持部材のネジ穴5s、6siに、ネジ部品2の雄ネジ2stと2sbを挿入して、押圧部材5と第二保持部材6の間隔の初期値を調整し、押圧部材5に対する第二保持部材の回転を回転止部材7により拘束する。この状態で、押圧部材5に対してネジ部品2を押し込む方向に回転させると、ネジ部品2の異なるピッチによりピッチ差に伴って、押圧部材5と第二保持部材6の間隔が初期値から変化する。この時、押圧部材5側の雄ネジ2stのピッチよりも第二保持部材6側の雄ネジ2sbのピッチの方が大きい場合、押し込む方向に回転させると、押圧部材5と第二保持部材6の間隔は、ピッチ差に伴った距離分広がることになる。
すると、押圧部材5がザグリ面3zに接近する方向に移動するので、突起部5pが裏面1sbの2箇所の交点Pyb近傍を、突起部3pがミラー面1sfの2箇所の交点Pxf近傍を垂直に押すことになる。これにより、反射鏡1の面の外周端側の、中心軸まわりの角度が90度ずれる位置ごとに、面に垂直な逆向きの力をかけ、ミラー面1sfを鞍型に変形させることができる。つまり、反射鏡1に対して、面(1sf、1sb)を押す力だけで、鞍型に変形させることができる。その結果、反射鏡1に対して接着剤を用いた接合を用いなくとも、鞍型に変形できる形状可変鏡10を得ることができる。
なお、反射鏡1、押圧部材5および第一保持部材3、第二保持部材6の剛性は、適度な変形が発生できるように材料や構造を調整する。例えば、押圧部材5の剛性を反射鏡1の剛性よりも小さくすれば、変形量調整部4による間隔の変化に対する反射鏡1の変形の比が小さくなり、反射鏡1の細かな変形の制御がしやすくなる。
次に、レーザ加工装置のレーザビームの非点収差を形状可変鏡10で補正する場合を例にして動作を説明する。レーザ加工装置の構成の詳細については、後の実施の形態で説明するとして、ここでは示さないが、レーザ発振器から加工点までの伝送光路の途中に、形状可変鏡10が設置されているとする。なお、レーザ加工装置以外に適用する場合でも、同様な動作により非点収差を補正できる。非点収差がある場合には、レーザビーム形状が楕円になる。円柱状の形状可変鏡10を鏡筒ホルダーの中で回転させて、レーザビーム形状の径が長い方向または短い方向と形状可変鏡のX軸またはY軸を一致させる。
間隔が初期値の場合、はじめにネジ部品2を押圧部材5に対して、押し込む方向に所定量回転させる。その際、レーザビーム形状が楕円から真円に近づくようであれば、そのままネジ部品2を同じ方向に回転させていき、レーザビーム形状が最も真円に近くなる回転位置に設定する。逆に押し込む方向で所定量だけ回転させたときに、扁平の度合いが大きくなる場合は、鏡筒ホルダー内の形状可変鏡10自体を軸中心に90度回転させた後、ネジ部品2を再び押し込む方向に回転させていく。このように、レーザビーム形状を監視しながらネジ部品2の回転量を変化させて、レーザビーム形状が最も真円に近くなる回転位置に設定する。
ここでは、形状可変鏡10の軸方向断面形状を円形としたが、円形でなくてもよい。ただし、円形にした方が、上述したように、扁平の度合いが大きくなるか小さくなるかによって、形状可変鏡10自体を軸中心に回転させることができる利点が有る。なお、前段落の冒頭で「初期値の場合」と記載したのは、運転中のように、押し込む方向に回転していて、反射鏡1にすでに一定の荷重がかかっている場合には、緩める方向に回転させることから始めることが好ましいからである。また、反射鏡についても等方性を考慮すると円形が好ましいが、必ずしも円形に限ることはなく、楕円や多角形でもよい。
なお、上記説明では、反射鏡1を変形させるために荷重をかける位置を決めるための2つの軸(X、Yr)を直交させるとしたが、必ずしも直交していなくてもよい。荷重をかける位置を決める2つの軸が直交していない場合でも、軸まわりの位置(角度)が異なっていれば、変形が凹に最大となる箇所と凸に最大となる箇所の角度はほぼ90度になる。そのため、変形が凹に最大となる箇所を通る直線をX軸と考え、変形が凸に最大となる箇所を通る直線をY軸と考えて、X軸またはY軸のどちらかを光の形状の長さが長い方または短い方の方向と合わせて、反射鏡1を変形させることにより、非点収差を補正できる。
なお、変形量調整部4では、応力(変形量)を調整するためにネジ部品2を用いたが、それに限ることはなく、例えば各特許文献に記載されたアクチュエータを用いるようにしてもよい。しかし、機械的に位置(間隔)が決まるネジ部品2を用いると、反射鏡1にかかる荷重を容易に維持することができるので、非点収差が時間によりほとんど変化しない対象には、ネジ部品2が適している。一方、ネジ部品2の両側のネジ2st、2sbは、所定のピッチ差があればよく、右ネジと左ネジというようにネジの向きを逆にすることで、ピッチ差を出すようにしてもよい。ただし、ネジ2st、2sb間のピッチの差を小さくする方が、反射鏡1の鞍型変形を微妙に調整することが容易になる。なお、ネジ2st、2sbは雄ネジに限ることはなく、両側にピッチが異なるネジ穴を設けたネジ部品を使用し、押圧部材5と第二保持部材6には、雄ネジを設けた棒状の部分を設け、ネジ部品のネジ穴に挿入するようにしてもよい。
また、以降の各実施の形態においても、詳細な記載を省略することはあるが、本実施の形態1と同様の構成を有する部分については、上記効果や形態の変形例(とくに好適な例)が適用可能なことは、言うまでもない。
以上のように、本発明の実施の形態1にかかる形状可変鏡10によれば、反射鏡1と、反射鏡1の反射面(ミラー面1sf)の外周部の対向する2箇所(Pxf)に接触し、反射鏡1を反射面(ミラー面1sf)側から押圧する第一押圧部材(第一保持部材3および第二保持部材6、以降簡略化して第一保持部材3のみ示す。)と、反射鏡1の裏面1sbの外周部の対向する2箇所(Pyb)に接触し、反射鏡1を裏面1sb側から押圧する第二押圧部材(押圧部材5)と、第一押圧部材(第一保持部材3)が反射面(ミラー面1sf)を押圧する位置と第二押圧部材(押圧部材5)が裏面1sbを押圧する位置が、反射面(ミラー面1sf)の中心を通る軸(を仮想すると、仮想した軸)まわりで異なる位置(Pxf、Pyb)となるように、第一押圧部材(第一保持部材3)に対する第二押圧部材(押圧部材5)の前記軸まわりの位置を位置決めするとともに、軸方向での第一押圧部材(第一保持部材3)と第二押圧部材(押圧部材5)の間隔を変化させて、前記押圧による反射鏡1の変形量を調整する変形量調整部4と、を備えるように構成したので、反射鏡1と支持面3ps、5psとの接着の制約を受けず、非点収差を補正可能な形状可変鏡10を得ることができる。
また、変形量調整部4は、互いにピッチが異なるネジ2st、2sbを軸方向の両側のそれぞれに各別に設けたネジ部品2を用いて、第一押圧部材(第一保持部材3の天面3t)と第二押圧部材(押圧部材5の円盤部5d)の間隔を変化させるように構成したので、振動等が伝わっても、変形量を安定して維持することができる。
実施の形態2.
本実施の形態2にかかる形状可変鏡は、実施の形態1の形状可変鏡に対し、変形量調整部にロック機構を追加したことと、押圧部材を2つの部材で構成するようにしたものである。図4と図5は、本発明の実施の形態2にかかる形状可変鏡の構成について説明するためのもので、図4は形状可変鏡の反射面に垂直な面(XZ面)による断面図、図5は形状可変鏡の構造を説明するための各部品をばらした状態を示す組立図である。図中、上記実施の形態1で説明したものと同様のものには、同じ符号を付している。また、実施の形態1で用いた図1を本実施の形態2においても援用する。
この実施の形態2の形状可変鏡10でも、反射鏡1の裏面1sbには、押圧部材5に形成された2箇所の突起部5pによって、図1に示す2箇所のYb軸との交点Pyb付近で反射鏡1を押す方向である+Z軸方向の荷重Fbをかけることができる。そして、ミラー面1sf側には、第一保持部材3に形成された2箇所の突起部3pによって、円周とX軸との2箇所の交点Pxf付近で反射鏡1を+Z軸方向に対して移動しないように支えられている。また、反射鏡1の裏面1sb側には、押圧部材5を含み、反射鏡1のミラー面1sfを鞍型に変形させるための力(Fb)を発生させる変形量調整部4が形成されている。一方、本実施の形態2にかかる形状可変鏡10では、変形量調整部4に、ネジ部品2の第二保持部材6に対する無用な回転を止める(ロックする)ためのロック部材が備えられている。そして、押圧部材5が、反射鏡1を押圧する押圧部5Aと、変形力を発生させるために変位する変位部5Bとに分かれていることを特徴とする。以下、詳細に説明する。
第一保持部材3は、軸方向の一端(天面3t)側に反射鏡1を設置するよう、反射鏡1の外径よりも大きな内径を有する筒状をなす。なお、ミラー面1sfが露出する天面3t側の開口3aは、第一保持部材3の外形と同心で、反射鏡1の外径よりも小さい円形になるように形成されている。つまり、第一保持部材3の内径部分には、例えば、開口3aに相当する貫通孔を有する中空の円柱に、天面3tの反対側(底面3b)の端部から、反射鏡1の外径よりも大きな径で、天面3tから所定厚みを残してザグリ加工をしたときのようなザグリ面3zが形成されている。
そして、ザグリ面3zには、ミラー面1sfの外周円とX軸との2箇所の交点Pxfのそれぞれに対応する箇所で、ミラー面1sfに接触して支える突起部3pが形成されている。
2つの突起部3pはそれぞれ、ザグリ面3zから同じ長さの角柱状の足を立てたようなものであり、ザグリ面、天面3t、底面3bはそれぞれ平行である。そのため、反射鏡1が突起部3pに接触しただけで荷重がかかっていない状態では、ミラー面1sf、ザグリ面3z、底面3bおよび天面3tはみな平行な関係にある。なお、突起部3pの軸方向に垂直な断面形状は、ほぼ正方形とし、突起部3pのミラー面1sfに接する面を支持面3psと称する。2本の突起部3pは、軸に対して点対称になるようにザグリ面3zの両端にあり、2つの支持面3psの中心を結ぶ線分は第一保持部材3の軸(中心)を通る。ここで、2つの支持面3psの中心を結ぶ直線が、上述したX軸となる。
なお、突起部3pと第一保持部材3は、一体に形成してもよいし、別部品として形成したものを合わせたものでも良い。一方、底面3b側の内壁には、変形量調整部4を第一保持部材3に固定するために、底面3bから所定の長さで、第一保持部材3の外形と同心の雌ネジが切られているネジ部3sが形成されている。
変形量調整部4は、裏面1sbの外周円とYb軸との2箇所の交点Pybに対応する2箇所で、反射鏡1の裏面1sbに接触する突起部5pを有する押圧部材5と、押圧部材5の反射鏡1に対向する面の反対側で、第一保持部材3のネジ部3sによって固定される第二保持部材6と、第二保持部材6と押圧部材5との間隔を変化させるネジ部品2と、押圧部材5と第二保持部材との回転を拘束する2個の回転止部材7と、第二保持部材6の押圧部材5に対向する面の反対側の面に位置し、ネジ部品2の無用な回転を防止するロック部材9から構成される。
ネジ部品2は、軸方向の両端側に、それぞれ、異なるピッチの雄ネジが形成されたネジ2st、2sbが設けられ、ネジ2sb側の端部に、回転力を与えるための例えば、六角穴のようなレンチ用の穴2bが形成されている。そして、本実施の形態2では、ネジ2sbは、想定される回転範囲において、第二保持部材6の押圧部材5に対向する面の反対側の面から突き出て、ロック部材9と締結できるよう、実施の形態1で用いたものよりも軸長を長くしている。
押圧部材5は、押圧部5Aと変位部5Bとに分かれている。押圧部5Aは、反射鏡1とほぼ同じ径の円形で所定の厚みを有する円盤部5Adと、円盤部5Adの反射鏡1側の面の軸中心を挟む両端部分から、垂直に反射鏡1に向かって立ち上がるように形成された角柱状の2本の突起部5pとを有する。変位部5Bは、円盤部5dよりも径が小さく、所定の厚みの円盤状をなし、ネジ部品2の雄ネジ2stに対応するように中心にネジ穴5sが設けられるとともに、ネジ穴5sよりも径方向の外側で、押圧部5Aの突起部5pよりも内側の位置に2個の位置決め穴5hが形成されている。
この場合も、2本の突起部5pの長さは同じなので、反射鏡1の裏面1sbに接触しただけで荷重がかかっていない状態では、円盤部5Adは反射鏡1と平行になる。突起部5pの軸方向に垂直な断面での形状は、第一保持部材3の突起部3pと同様に、ほぼ正方形で、裏面1sbに接する支持面5psが形成されている。2本の突起部5pは、軸に対して点対照の位置にあり、2つの支持面5psの中心を結ぶ線分は円盤部5Adの軸(中心)を通る。ここで、2つの支持面5psの中心を結ぶ直線が、上述したYb軸となる。
なお、変位部5Bと分離した押圧部5Aについても、円盤部5Adと突起部5pは一体に形成してもよいし、別部品として形成したものを接触させたものでもよい。ネジ穴5sは貫通穴となっているが、所定の長さを持っていればとまり穴でもよい。ここで、位置決め穴5hは2箇所配置しているが、変位部5Bと第二保持部材6との回転方向を拘束できれば、それ以上(3箇所以上)でもそれ以下(1箇所)でもよく、径方向において突起部5pよりも内側に配置する必要もない。
第二保持部材6は、反射鏡1よりも少し大きい円形で所定の厚みの円盤部6dの中心に、ネジ部品2の片側の雄ネジ2sbに対応する雌ネジとなるネジ穴6siが形成されている。また、円盤部6dの外径面には、第一保持部材3のネジ部3sに対応する雄ネジとなるネジ部6seが形成されている。さらに、円盤部6dには、ネジ穴6siよりも径方向の外側で、変位部5Bの位置決め穴5hに対応するように位置と径(厳密には後述する回転止部材7が挿入できる径)を調節した2つの位置決め穴6hが設けられている。ここで、位置決め穴6hは、2箇所配置しているが、変位部5Bの位置決め穴5hと同様、変位部5Bと第二保持部材6との回転方向を拘束できれば、それ以上の数でもそれ以下の数(1)でもよい。さらに、押圧部5Aにも貫通孔を設け、押圧部5Aの回転も同時に拘束するようにしてもよい。
回転止部材7は、位置決め穴5hおよび位置決め穴6hに自在に抜き差しするための円柱部7cの一端側に頭部7dを設けて構成している。円柱部7cは、位置決め穴5hおよび位置決め穴6hに自在に抜き差しできるよう、位置決め穴5hおよび位置決め穴6hの径よりも外径が小さく、第二保持部材6の位置決め穴6hを通り、変位部5Bの位置決め穴5hに挿入できるだけの長さに調整している。頭部7dは、円盤部6dに接して止まるように、第二保持部材6の位置決め穴6hの径よりも外径を大きくしている。ここで、回転止部材7は2個使用しているが、変位部5Bと第二保持部材6との回転方向を拘束できれば、それ以上(3箇所以上)でもそれ以下(1箇所)でもよい。
ロック部材9は、円盤部6dよりも小さい六角形で所定の厚みを持ち、六角形の中心には、ネジ部品2のネジ2sbに対応する雌ネジを有するロックナットである。なお、ロック部材9には、を六角形のナットを用いる例を示したが、これに限ることはなく、円形でもよい。
ここで、形状可変鏡10の動作について説明する。
上述した各部材を組み上げる際、第二保持部材6を第一保持部材3にねじ込んだ時点で、第二保持部材6と第一保持部材3の位置関係が固定される。そして、変位部5Bと第二保持部材のネジ穴5s、6siに、ネジ部品2の雄ネジ2stと2sbを挿入して、変位部5Bと第二保持部材6の間隔の初期値を調整し、変位部5Bに対する第二保持部材の回転を回転止部材7により拘束する。この状態で、変位部5Bに対してネジ部品2を押し込む方向に回転させると、ネジ部品2の異なるピッチによりピッチ差に伴って、押圧部材5と第二保持部材6の間隔が初期値から変化する。この時、変位部5B側の雄ネジ2stのピッチよりも第二保持部材6側の雄ネジ2sbのピッチの方が大きい場合、押し込む方向に回転させると、押圧部材5と第二保持部材6の間隔は、ピッチ差に伴った距離分広がることになる。
すると、変位部5Bに押された押圧部5Aがザグリ面3zに接近する方向に移動するので、突起部5pが裏面1sbの2箇所の交点Pyb近傍を、突起部3pがミラー面1sfの2箇所の交点Pxf近傍を垂直に押すことになる。これにより、反射鏡1の面の外周端側の、角度が90度ずれる位置ごとに、面に垂直な逆向きの力をかけ、ミラー面1sfを鞍型に変形させることができる。つまり、反射鏡1に対して、面(1sf、1sb)を押す力だけで、鞍型に変形させることができる。その結果、反射鏡1に対して接着剤を用いた接合を用いなくとも、鞍型に変形できる形状可変鏡10を得ることができる。
なお、反射鏡1、押圧部材5(変位部5B、押圧部5A)および第一保持部材3、第二保持部材6の剛性は、適度な変形が発生できるように材料や構造を調整する。例えば、押圧部5Aの剛性を反射鏡1の剛性よりも小さくすれば、変形量調整部4による間隔の変化に対する反射鏡1の変形の比が小さくなり、反射鏡1の細かな変形の制御がしやすくなる。例えば、押圧部5Aの剛性を反射鏡1よりも小さく、具体的には押圧部5Aの厚みを薄くすることにより、変形量調整部4による間隔の変化に対する反射鏡1の変形の比が小さくなり、反射鏡1の細かな変形の制御がしやすくなる。
しかし、押圧部5Aの厚みを薄くすると、実施の形態1のような構成では、ネジ部品2と押圧部材5の接触面積が小さくなり、変形量を与え保持した場合、加工機の持つ振動により緩む可能性があった。そのため、本実施の形態2では、押圧部材5を押圧部5Aと、ネジ部品とかみ合わせる変位部5Bの2つの部材に分け、剛性を下げるために押圧部5Aの厚みを薄くしても、ネジ部品2とかみあう変位部5Bの厚さを保持できるようにした。つまり、加工機の持つ振動が伝わっても、ネジ部品2と変位部5Bとのかみ合いが緩まないだけの接触面積を持つだけの厚みを確保することと、変形の細かな制御が可能とするように、押圧部5Aを薄くすることを両立できるようになる。これにより、反射鏡1の細かな制御が実施でき、なおかつ、接着等を用いず、振動等緩み防止を具備した形状可変鏡を提供できる。
次に、レーザ加工装置のレーザビームの非点収差を形状可変鏡10で補正する場合を例にして動作を説明する。レーザ加工装置の構成については、後の実施の形態で説明するとして、ここでは示さないが、レーザ発振器から加工点までの伝送光路の途中に、形状可変鏡10が設置されているとする。なお、レーザ加工装置以外に適用する場合でも、同様な動作により非点収差を補正できる。非点収差がある場合には、レーザビーム形状が楕円になる。円柱状の形状可変鏡10を鏡筒ホルダーの中で回転させて、レーザビーム形状の径が長い方向または短い方向と形状可変鏡のX軸またはY軸を一致させる。
間隔が初期値の場合、ロック部材9を緩め、はじめにネジ部品2を変位部5Bに対して、押し込む方向に所定量回転させる。その際、レーザビーム形状が楕円から真円に近づくようであれば、そのままネジ部品2を同じ方向に回転させていき、レーザビーム形状が最も真円に近くなる回転位置に設定する。逆に押し込む方向で所定量だけ回転させたときに、扁平の度合いが大きくなる場合は、鏡筒ホルダー内の形状可変鏡10自体を軸中心に90度回転させた後、ネジ部品2を再び押し込む方向に回転させていく。このように、レーザビーム形状を監視しながらネジ部品2の回転量を変化させて、レーザビーム形状が最も真円に近くなる回転位置に設定し、ロック部材9によりネジ部品2の回転をロックする。
ここでは、形状可変鏡10の軸方向断面形状を円形としたが、円形でなくてもよい。ただし、円形にした方が、上述したように、扁平の度合いが大きくなるか小さくなるかによって、形状可変鏡10自体を軸中心に回転させることができる利点が有る。また、開始時に緩めるか押し込むかについては、実施の形態1で説明したように、適宜変更していいのは言うまでもない。
なお、上記説明では、反射鏡1を変形させるために荷重をかける位置を決めるための2つの軸(X、Yr)を直交させるとしたが、必ずしも直交していなくてもよい。荷重をかける位置を決める2つの軸が直交していない場合でも、変形が凹に最大となる箇所と凸に最大となる箇所の角度はほぼ90度になる。そのため、変形が凹に最大となる箇所を通る直線をX軸と考え、変形が凸に最大となる箇所を通る直線をY軸と考えて、X軸またはY軸のどちらかを光の形状の長さが長い方または短い方の方向と合わせて、反射鏡1を変形させることにより、非点収差を補正できる。
なお、変形量調整部4では、応力(変形量)を調整するためにネジ部品2を用いたが、それに限ることはなく、例えば各特許文献に記載されたアクチュエータを用いるようにしてもよい。しかし、機械的に位置(間隔)が決まるネジ部品2を用いると、反射鏡1にかかる荷重を容易に維持することができるので、非点収差が時間によりほとんど変化しない対象には、ネジ部品2が適している。さらに、非点収差を補正したまま変形を固定する場合、ロック機構としてロックナット(ロック部材9)をネジ部品2に締めこむことにより、ダブルロック機構となり、さらに緩み防止となる。
一方、ネジ部品2の両側のネジ2st、2sbは、所定のピッチ差があればよく、右ネジと左ネジというようにネジの向きを逆にすることで、ピッチ差を出すようにしてもよい。ただし、ネジ2st、2sb間のピッチの差を小さくする方が、反射鏡1の鞍型変形を微妙に調整することが容易になる。なお、ネジ2st、2sbは雄ネジに限ることはなく、両側にピッチが異なるネジ穴を設けたネジ部品を使用し、押圧部材5と第二保持部材6には、雄ネジを設けた棒状の部分を設け、ネジ部品のネジ穴に挿入するようにしてもよい。
また、押圧部5Aと変位部5Bは、ばらばらである必要はなく、一つにまとめた部品として用いてもよい。その際、押圧部5Aに変位部5Bのネジ穴5sに対応するネジ穴を配置するようにしてもよい。
また、本実施の形態2における実施の形態1との差異分を他の各実施の形態に適用した際、その効果を生じさせることができることは、言うまでもない。また、本実施の形態において説明した変形例(とくに好適な例)が他の実施の形態や組合せ例に対して適用可能なことは、言うまでもない。
以上のように、本実施の形態2にかかる形状可変鏡10によれば、第二押圧部材(押圧部材5)は、板材(円盤部5Ad)の周縁部の2箇所に裏面1sbに接触する突起(突起部5p)を形成したものであり、板材(円盤部5Ad)の剛性が反射鏡1の剛性よりも低いように構成したので、変形量調整部4による間隔の変化に対する反射鏡1の変形の比が小さくなり、反射鏡1の細かな変形の制御がしやすくなる。その効果は、実施の形態1でも生じさせることができるが、本実施の形態2では、押圧部材5を変位部5Bと押圧部5Aに分離し、分離した変位部5Bの厚みを厚くして、ネジ部品2とのかみ合わせも確保することができる。
また、変形量調整部4には、ネジ部品2の回転をロックさせるロック機構(ロック部材9)が形成されているので、反射鏡1の変形量をさらに安定して維持することができる。
実施の形態3.
本実施の形態3にかかる形状可変鏡は、実施の形態2の形状可変鏡に対して、ネジ部品に回転制限機構を設け、設定値以上にネジが回転しないようにしたものである。図6は、本発明の実施の形態3にかかる形状可変鏡の構成について説明するためのもので、形状可変鏡の反射面に垂直な面(XZ面)による断面図である。図中、上記実施の形態1あるいは2で説明したものと同様のものには、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。また、実施の形態1で用いた図1および実施の形態2で用いた図5を本実施の形態3においても援用する。
本実施の形態3にかかる形状可変鏡10では、図6に示すように、ネジ部品2の構成が上記実施の形態1あるいは2と異なっている。本実施の形態3でも、ネジ部品2は、軸方向の両端側に、それぞれ、異なるピッチの雄ネジが形成されたネジ2st、2sbが設けられ、ネジ2sb側の端部に、回転力を与えるための例えば、六角穴のようなレンチ用の穴2bが形成されている。そして、ネジ2sbは、想定される回転範囲において、第二保持部材6の押圧部材5に対向する面の反対側の面から突き出て、ロック部材9と締結できるようにしている。一方、他の実施の形態と異なるところは、軸方向における両端の中間の任意の位置に位置決めできる、ネジ止円板2Wを設置するようにしたことである。ネジ止円板2Wを、例えば、中央にネジ2stに対応する雌ネジが切られた円盤状をなすように形成すると、ネジ2stの任意の位置に位置決めできる。
このように位置決めできるネジ止円板2Wを設置したネジ部品2を用いた場合でも、第二保持部材6を第一保持部材3にねじ込んだ時点で、第二保持部材6と第一保持部材3の位置関係が固定される。そして、変位部5Bと第二保持部材のネジ穴5s、6siに、ネジ部品2の雄ネジ2stと2sbを挿入して、変位部5Bと第二保持部材6の間隔の初期値を調整し、変位部5Bに対する第二保持部材の回転を回転止部材7により拘束する。この状態で、変位部5Bに対してネジ部品2を押し込む方向に回転させると、ネジ部品2の異なるピッチによりピッチ差に伴って、押圧部材5と第二保持部材6の間隔が初期値から変化する。この時、変位部5B側の雄ネジ2stのピッチよりも第二保持部材6側の雄ネジ2sbのピッチの方が大きい場合、押し込む方向に回転させると、押圧部材5と第二保持部材6の間隔は、ピッチ差に伴った距離分広がることになる。
すると、変位部5Bに押された押圧部5Aがザグリ面3zに接近する方向に移動するので、突起部5pが裏面1sbの2箇所の交点Pyb近傍を、突起部3pがミラー面1sfの2箇所の交点Pxf近傍を垂直に押すことになる。これにより、反射鏡1の面の外周端側の、角度が90度ずれる位置ごとに、面に垂直な逆向きの力をかけ、ミラー面1sfを鞍型に変形させることができる。
一方、ネジ部品2の変位部5Bに対して押し込む方向への回転を続けていくと、変位部5Bにネジ止円板2Wが接触し、それ以上ネジ部品2を押し込むことが不可能となる。つまり、所望の変形量を発生させるために、必要なネジ止円板2Wと変位部5Bの距離Dsをあらかじめ測定しておき、その必要な測定値となるようにミラー変形前の初期位置として、ネジ部品2と変位部5Bの距離10を決定する。このように組立時に距離設定することにより、所望の変形量以上の変形を物理的に発生させない機能を持たすことが可能となる。また、ネジ部品2とネジ止円板2Wは別部品でも一体部品でも構わない。以上のことは他の実施の形態にもあてはまる。ただし、本実施の形態3のように、ネジ止円板2Wによって変形の限界に対して制限を設ける場合、ネジ2st、2sbは、ピッチは異なるが、同じ向きのネジである必要があり、ピッチの小さな方のネジ側に取り付ける必要がある。
なお、本実施の形態3にかかる形状可変鏡10は、実施の形態2にかかる形状可変鏡10の構成に対して、変更した場合を示したが、その差異分を例えば、実施の形態1やその他の形態に適用した際、その効果を生じさせることができることは、言うまでもない。
以上のように、本実施の形態3にかかる形状可変鏡10によれば、(ザグリ面3zと円盤部5Adの)間隔が所定以下になったら、ネジ部品2の回転を止める回転止め機構(ネジ止円板2W)が設けられているので、反射鏡1の変形量の上限を任意に設定できる。
実施の形態4.
本実施の形態4は、上述した実施の形態1〜3の何れかにかかる形状可変鏡をレーザ加工装置に適用した場合を示すものである。図7に本実施の形態4にかかるレーザ加工装置の構成図を示す。
レーザ加工装置100は、図7に示すように、レーザビームLBの光源であるレーザ発振器50と、形状可変鏡10を含む図示しない複数の反射鏡で構成され、レーザ発振器50より出射されたレーザビームLBの伝送光路を形成するミラー群と、伝送光路から伝わったレーザビームLBを光軸に垂直な2次元方向にスキャンするための2つのガルバノスキャナミラー20と、ガルバノスキャナミラー20によってスキャンされたレーザビームLBを被加工物200にむけて集光する集光レンズ60と、被加工物200を設置するテーブル70と、テーブル70を2次元方向に駆動する駆動機構80と、を備えている
なお、2つのガルバノスキャナミラー20に対しては、それぞれを独立して回転駆動するガルバノメータ21が接続されている。また、形状可変鏡10には、レーザ発振器50から発振されたレーザビームLBの状態に応じて、反射鏡1の変形量や形状可変鏡10自体の向きを調節する非点収差調整装置11が接続されている。なお、非点収差調整装置11等の回転数や角度調整は、例えば、ステッピングモータのような一般的に用いられるもので実現できる。なお、手動での調整で事足りるのであれば、非点収差調整装置11等の制御装置は必ずしも必要ではない。
つぎに、動作について説明する。
レーザ発振器50より出射されたレーザビームLBは、形状可変鏡10を含む図示しない複数の反射鏡によって伝送され、2つのガルバノスキャナミラー20で2次元スキャンされ、集光レンズ60によって被加工物200上に位置決め、照射される。被加工物200上の点線で囲んだ四角の範囲は、ビームスキャンによる加工範囲Rwである。被加工物200はテーブル70に載せられ、テーブル70は、互いに直交する方向に駆動する2個の駆動部位81、82を有する駆動機構80によって、ビーム軸に垂直な2次元方向の所定の範囲で移動可能である。
この加工光学系に対し、実施の形態1〜3の何れかの形状可変鏡10を反射鏡のひとつとして使用し、非点収差を補正する。非点収差を補正することにより、レーザ加工時の加工穴の真円度を向上させることができ、また非点収差の減少により焦点深度が拡大する。このとき、実施の形態1〜3で説明したように、レーザ加工装置100の振動に対して形状可変鏡10のミラー変形量は変化せず、また反射鏡1と支持面(5ps、3ps)とを固定するために接着剤を使用していないため、光路中に接着剤等の有機溶剤が発生することは無い。なお、形状可変鏡10は、図で示した位置に配置する必要はなく、光路途中の図示しない別の位置の反射鏡に形状可変鏡10を用いてもよい。
本実施の形態4では、図7に示すようにレーザビームLBも、被加工物200を保持するテーブル70も2次元スキャン(移動)可能なレーザ加工装置100を示したがこれに限ることはない。形状可変鏡10を使用する効果は加工光学系の非点収差に対して作用するものであり、スキャンの方法に依存するものではないからである。すなわち、レーザビームLB、集光レンズ60、テーブル70のいずれかが1次元、2次元もしくは3次元のスキャンをする場合、あるいは全くスキャンをしないレーザ加工装置においても、同様の効果が得られる。
また、レーザビームLBは、単パルス、複数パルスあるいは連続発振の何れであってもよい。加工内容は、穴あけに限定されず、切断、変形、溶接、熱処理、あるいはマーキングなどのレーザにより加工可能なものであればどのようなものでもよい。また、被加工物200には、燃焼、溶融、昇華あるいは変色などのレーザにより変化を生じさせる加工であれば、どのような変化を生じさせる加工でもよい。
上述したように、どのような発振形態のレーザビームLBを用い、被加工物200面にどのような変化を生じさせる加工を行うレーザ加工装置でも、各実施の形態1〜3で説明した形状可変鏡10を用いると、接着等を用いずともミラー面1sfを鞍形または蒲鉾形になるように変形でき、加工装置の振動等があっても変形量が変化しないように固定可能である。つまり、レーザビームの非点収差を補正でき、加工精度を向上させることができる。
以上のように、本実施の形態4にかかるレーザ加工装置100によれば、レーザビームLBを発振するレーザ発振器50と、被加工物200を設置する設置台(テーブル70)と、複数の反射鏡を有し、レーザ発振器50から発振されたレーザビームLBを設置台(テーブル70)に設置された被加工物200まで伝送する伝送光路とを備え、伝送光路を構成する複数の反射鏡のいずれかに、上述した各実施の形態にかかる形状可変鏡10を用いたので、反射鏡1に対する接着の制約を受けず、非点収差を補正可能なレーザ加工装置100を得ることができる。
実施の形態5.
上述した各実施の形態においては、反射鏡を変形させるための構成やその構成による作用効果について説明した。本実施の形態5では、とくに、形状可変鏡をレーザ加工装置に適用した際の、反射面自体の構成、および反射面側の突起部の構成について検討した。
図8〜図16は、本実施の形態5にかかる形状可変鏡について説明するためのもので、図8は形状可変鏡に入射するビームの第一例として、垂直方向に長軸があらわれる場合を示す図であり、図9は反射鏡に第一例の形状のビームが入射したときの反射面における入射光の分布を示す図である。図10は形状可変鏡に入射するビームの第二例として、水平方向に長軸があらわれる場合を示す図であり、図11は反射鏡に第二例の形状のビームが入射したときの反射面における入射光の分布を示す図である。図12は形状可変鏡に入射するビームの第三例として、45度の位置に長軸があらわれる場合を示す図であり、図13は反射鏡に第三例の形状のビームが入射したときの反射面における入射光の分布を示す図である。図14は形状可変鏡に真円のビームが入射する例を示す図であり、図15は反射鏡に真円のビームが入射したときの反射面における入射光の分布を示す図である。また、図16は反射鏡に入射するビーム形状を考慮した第一保持部材の形状を示す図である。
通常レーザ加工装置100において、非点収差がある場合には、レーザビームLBの形状は楕円になる。一般的に、レーザ加工装置100に使用するレーザ発振器50から出射されるレーザビームLBの楕円率(短軸÷長軸)は最大80%程度である。また、レーザ加工装置100において、レーザ発振器50から加工点まで3次元的な光路が適用される場合が多く、使用される反射鏡には、90度折り返しミラーを使用するのが一般的である。そのため、反射鏡の有効径はレーザビームLBの長軸方向の径の√2倍の径が必要となる。
上記レーザビームLBの性質をもとに、形状可変鏡10の第一保持部材3の突起部3pの形状について詳細に述べる。
<第一ビーム形状例>
例えば、図8のように垂直方向にビーム形状の楕円の長軸方向a(短軸方向bに対して最大でb=0.8a)があり、形状可変鏡を図8の水平方向に反射する反射鏡として搭載した場合、形状可変鏡10に入射される光は図9(a)の領域Rpのようになる。そのため、ミラー面1sfがCmを中心とする半径√2aの円形領域Rmの場合、垂直方向での入射光が当たらない領域Rs(√2a−a=(√2−1)a)が発生する。そのため、ビーム形状の楕円の長軸方向に対して第一保持部材3の突起部3pを図9(a)の領域Rsの位置に配置し、支持面3psの形状を((√2−1)a×(√2−1)a)以下とすれば、入射光をさえぎることは無い。
この状態においてネジ部品2を押圧部材5(または変位部5B)に対して押し込む方向に回転させる。所定量だけ回転させるとレーザビームLBの形状が楕円から真円に近くなれば、そのままネジ部品2を同じ方向に回転させていき、レーザビームLBの形状が最も真円に近くなる回転位置に設定する。ネジ部品2を所定量だけ回転させると、レーザビームLBの形状の扁平の度合いが大きくなる場合は、図示しない垂直方向に反射する反射鏡として搭載する。
その場合、ミラー面1sfに入射される光は図9(b)のようになる。ミラー面1sfがCmを中心とする半径√2aの円形領域Rmの場合、先ほどとは90度回転した方向に入射光が当たらない領域Rs(√2a−b=(√2−0.8)a)が発生する。そのため、先ほどとは90度回転した方向に、第一保持部材3の突起部3pを図9(b)の領域Rsの位置に配置し、支持面3psの形状を((√2−0.8)a×(√2−0.8)a)以下とすれば、入射光をさえぎることは無い。
そのため、垂直方向、水平方向いずれの方向に反射する場合でも、入射光をさえぎらない突起部3pの支持面3psの形状は、(√2−1)a×(√2−1)a以下となる。なお、支持面3psが正方形の場合を述べたが、上記の入射光をさえぎらなければ正方形でなくてもよい。
<第二ビーム形状例>
次に、図10のように水平方向にビーム形状の楕円の長軸方向aがあり、形状可変鏡10を図10の水平方向に反射する反射鏡として搭載した場合、形状可変鏡10に入射される光は図11(a)のようになる。そのため、ミラー面1sfがCmを中心とする半径√2aの円形領域Rmの場合、垂直方向での入射光が当たらない領域Rs(√2a−b=(√2−0.8)a)が発生する。そのため、ビーム形状の楕円の長軸方向に対して第一保持部材の突起部3pを図11(a)の領域Rsの位置に配置し、支持面3psの形状を((√2−0.8)a×(√2−0.8)a)以下とすれば、入射光をさえぎることは無い。
この状態においてネジ部品2を押圧部材5(または変位部5B)に対して押し込む方向に回転させる。所定量だけ回転させるとレーザビームLBの形状が楕円から真円に近くなれば、そのままネジ部品2を同じ方向に回転させていき、レーザビームLBの形状が最も真円に近くなる回転位置に設定する。ネジ部品2を所定量だけ回転させると、レーザビームLBの形状の扁平の度合いが大きくなる場合は、図示しない垂直方向に反射する反射鏡として搭載する。
その場合、ミラー面1sfに入射される光は図11(b)のようになる。反射鏡が反射鏡1のように円形(領域Rm)の場合、先ほどとは90度回転した方向に入射光が当たらない領域Rs(√2a−a=(√2−1)a)が発生する。そのため、先ほどとは90度回転した方向に、第一保持部材3の突起部3pを領域Rsの位置に配置し、支持面3ps形状を(√2−1)a×(√2−1)a以下とすれば、入射光をさえぎることは無い。
そのため、垂直方向、水平方向いずれの方向に反射する場合でも、入射光をさえぎらない突起部3pの支持面3psの形状は、(√2−1)a×(√2−1)a以下となる。なお、支持面3psが正方形の場合を述べたが、上記の入射光をさえぎらなければ正方形でなくてもよい。
<第三ビーム形状例>
次に、図12のように、水平方向+45度方向に、ビーム形状の楕円の長軸方向があり、形状可変鏡10を水平方向に反射する反射鏡として搭載した場合、形状可変鏡10に入射される光は図13(a)のようになる。そのため、ミラー面1sfがCmを中心とする半径√2aの円形領域Rmの場合、45度方向での入射光が当たらない領域Rsが発生する。そのため、ビーム形状の楕円の長軸方向に対して第一保持部材の突起部3pを図13(a)の領域Rsの位置に配置すれば、入射光をさえぎることは無い。
この状態においてネジ部品2を押圧部材5(または変位部5B)に対して押し込む方向に回転させる。所定量だけ回転させるとレーザビームLBの形状が楕円から真円に近くなれば、そのままネジ部品2を同じ方向に回転させていき、レーザビームLBの形状が最も真円に近くなる回転位置に設定する。ネジ部品2を所定量だけ回転させると、レーザビーム形状の扁平の度合いが大きくなる場合は、図13(b)の領域Rsの位置(先ほどとは90度回転した方向)に、第一保持部材3の突起部3pを配置し、この状態においてネジ部品2を押圧部材5に押し込む方向に回転させる。
図13(a)と図13(b)では、図13(a)の方が、領域Rsの大きさが小さいので、図13(a)において入射ビームをさえぎらない形状にすれば、図13(b)においても領域Rsの範囲内に収まることになる。そこで、支持面3psの形状を正方向とした場合に、実際に入射光をさえぎらない支持面3psの最大形状を求める。図13(a)の形状可変鏡10に入射されるビーム径の計算式は水平方向をX、垂直方向をYとした場合、水平方向+45度方向の楕円ビーム形状の式(x,Y))は、以下のようになる。
X=cos45×a×cosθ-sin45×b×sinθ
Y=sin45×a×cosθ+cos45×b×sinθ
(θは0〜360)
この楕円ビーム形状が半径√2aの円形領域Rmのミラー面1sfに投射された場合、以下のようになる。
XT=√2X=√2(cos45×a×cosθ-sin45×b×sinθ)
YT= sin45×a×cosθ+cos45×b×sinθ
また、楕円の長軸方向(水平方向+45度)の直線と、ミラー有効径との交点をPαとした場合、Pαの座標(X1,X2)は、以下のようになる。
X1=√2×a×cos45
Y1=√2×a×sin45
さらに、突起部3pの断面形状、つまり支持面3psが正方形の場合は、交点Pαから支持面3psの内径側の角点Pβに向かう線Lγが存在する。線Lγは、支持面3psの形状を正方形に保ったまま、大きさを変化させた場合の角点Pβの軌跡であり、以下のようにして示すことが出来る。
YT=3(XT-a)+a
つまり、線Lγの式とミラー面1sfに投射された(XT,YT)の交点が支持面3psを有する突起部3pがレーザビームLBをさえぎらない最大形状となる。この解から最大形状の正方形の1辺の長さδは以下のように導き出される。
δ=0.225279a
また、仮にレーザビーム形状が図14のように真円の場合(半径aの円)で、形状可変鏡10を水平方向に反射する反射鏡として搭載した場合、形状可変鏡10に入射される光は図15のようになる。そのため、ミラー面1sfがCmを中心とする場合、垂直方向での入射光が当たらない領域Rs(√2a−a=(√2−1)a)が発生する。そのため、ビーム形状の楕円の長軸方向に対して第一保持部材3の突起部3pを図13(a)の領域Rsの位置に配置し、支持面3psの形状を((√2−1)a)×(√2−1)a))以下とすれば、入射光をさえぎることは無い。
上記各ビーム形状での結果を全て満足するためには、突起部3pの断面形状、つまり支持面3psの形状を(0.225279a)×(0.225279a)以下とすれば、入射光をさえぎることは無い。
また、第一保持部材3のミラー面1sf側の形状を、開口3aの径を√2×aとし、支持面3psを(0.225279a)×(0.225279a)以下の大きさとする。そして、図16に示すように、突起部3pを天面3tに向かって狭まるように厚み方向に対して45度の面取り(テーパー)をとれば、ミラー面1sfの面積を通常よりも大きくすること無く、入射光のビームをさえぎらない形状可変鏡10を提供できる。
なお、反射鏡の反射面側に光路障害となるものを配置することは、一般的な光学設計では、全く想定されておらず、本発明の各実施の形態にかかる形状可変鏡10のように、ミラー面1sfを押圧する部材を設置することなど、あり得ないことである。しかし、例えば、レーザ加工装置100を対象とするものでは、使用するレーザビームLBの性質や装置の配置に応じて、支持面3psの配置を考慮すれば、支障なく使用できることが分かった。さらに、レーザ加工装置100は、CDやDVDのようなAV機器と比べて装置内のスペースに余裕があるため、形状可変鏡10部分が大きくなる許容度が大きく、適用性が増す。
以上のように、本実施の形態5にかかるレーザ加工装置100によれば、反射面(ミラー面1sf)は、レーザ発振器50から発振されたレーザビームLBの長軸方向の径aに対して√2倍の径を有する円を包含し、第一押圧部材(第一保持部材3)が反射面(ミラー面1sf)に接触する接触面(支持面3ps)が、長軸方向の径aに対して0.23倍の長さの辺を有する正方形内に収まるように構成したので、反射面(ミラー面1sf)に入射するレーザビームLBを損なうことなく、被加工物200まで伝送して、確実な加工ができる。
実施の形態6.
本実施の形態6にかかる形状可変鏡は、実施の形態1〜3の形状可変鏡に対して、第一保持部材3に、反射鏡1の径方向のロック機構を設け、反射鏡1が径方向に対して移動しないようにしたものである。さらに第一保持部材3のネジ部3sに対してロック機構を設け、第二保持部材6が第1保持部材3に対してネジが回転しないようにしたものである。
図17と図18は、本発明の実施の形態6にかかる形状可変鏡の構成について説明するためのもので、図17は形状可変鏡の反射面に垂直な面(XZ面)による断面図、図18は形状可変鏡の構造を説明するための各部品をばらした状態を示す組立図である。図中、上記実施の形態1あるいは2、3で説明したものと同様のものには、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施の形態6にかかる形状可変鏡10では、図17および図18に示すように、第一保持部材の構成が上記実施の形態1〜3と異なっている。本実施の形態6における第一保持部材3は、反射鏡1を径方向に保持する部分において、径方向に対して120°振り分けた位置の3ヶ所に径方向雌ねじ部3cを形成し、径方向止めネジ11をそれぞれの径方向雌ねじ部3cに2個(11a、11b)ねじ込むことができるようにしたことである。これにより、反射鏡1の径方向の固定を実施でき、なおかつ、接着等を用いず、振動等径方向の移動防止を具備した形状可変鏡を提供できる。なお、反射鏡1に接触する径方向固定ネジ11aを、デルリン(登録商標)等の樹脂部材とすることにより、変形方向に対して反射鏡1の側面が滑りやすくなり、反射鏡1の反射面1sfの変形を妨げない。なお、ここで、径方向雌ねじ部3cは3箇所配置しているが、反射鏡1の径方向を拘束できれば、それ以上(4箇所以上)でもそれ以下(2箇所、1箇所)でもよい。また、径方向止めネジ11をそれぞれの径方向雌ねじ部3cに2個(11a、11b)設置するようにしているが、1個の設置でも構わない。
さらに、第一保持部材3は、第2保持部材をネジ止めする雌ネジ部3sに対応する部分において、雌ねじ部3sの径方向に対して120°振り分けた位置に3ヶ所の径方向雌ねじ部3dを形成し、径方向止めネジ11をそれぞれの径方向雌ねじ部3dに2個(11c、11d)ねじ込むことができるようにしたことである。これにより、第二保持部材の径方向の固定を実施でき、なおかつ、接着等を用いず、振動等第二保持部材と第一保持部材のネジの緩み防止を具備した形状可変鏡を提供できる。なお、ここで、径方向雌ねじ部3dは3箇所配置しているが、反射鏡1の径方向を拘束できれば、それ以上(4箇所以上)でもそれ以下(2箇所、1箇所)でもよい。また、径方向止めネジ11をそれぞれの径方向雌ねじ部3dに2個(11c、11d)設置するようにしているが、1個の設置でも構わない。
以上のように、本実施の形態6にかかるレーザ加工装置100によれば、第一押圧部材(第一保持部材3)は、反射鏡1を径方向に保持する部分においては径方向雌ねじ部3cを形成し、第2保持部材をネジ止めする雌ネジ部3sに対応する部分においては径方向雌ねじ部3dを形成し、それぞれ径方向止めネジ11をねじ込むことができるように構成したので、反射鏡1の径方向の固定及び第二保持部材の径方向の固定を実施でき、かつ、接着等を用いず、振動等による径方向の移動や第一保持部材のネジの緩みを防止でき、反射鏡1の変形量をさらに安定して維持することができる。
なお、この発明は、発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。