JP6344795B2 - リグニン炭素繊維の製造方法 - Google Patents

リグニン炭素繊維の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6344795B2
JP6344795B2 JP2014189394A JP2014189394A JP6344795B2 JP 6344795 B2 JP6344795 B2 JP 6344795B2 JP 2014189394 A JP2014189394 A JP 2014189394A JP 2014189394 A JP2014189394 A JP 2014189394A JP 6344795 B2 JP6344795 B2 JP 6344795B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lignin
polyethylene glycol
carbon fiber
lignin derivative
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014189394A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016060985A (ja
Inventor
山田 竜彦
竜彦 山田
信一 垰口
信一 垰口
稲垣 孝司
孝司 稲垣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Forest Research and Management Organization
Original Assignee
Unitika Ltd
Forest Research and Management Organization
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd, Forest Research and Management Organization filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP2014189394A priority Critical patent/JP6344795B2/ja
Publication of JP2016060985A publication Critical patent/JP2016060985A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6344795B2 publication Critical patent/JP6344795B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Inorganic Fibers (AREA)

Description

本発明は、木材等に含まれているリグニンから炭素繊維を製造する方法を提供するものである。
紙パルプ等を製造する際に大量に副生するリグニンは、従来より、主に熱源として用いられている。リグニンは安価であるため、熱源ではなく、なんらかの原料として用いることが望まれていた。本発明者は、リグニンを炭素繊維製造用の原料として用いることを提案した(特許文献1)。すなわち、リグニンに親水性基を導入してリグニン誘導体を得る第一工程、リグニン誘導体を溶融紡糸して前駆体繊維を得る第二工程、この前駆体繊維に酸処理を施して安定化処理する第三工程及び不活性ガス雰囲気中で加熱処理する第四工程からなる炭素繊維を得る方法を提案した。
特開2013−147768号公報
本発明者等がさらに研究を進めたところ、特定の方法でリグニンに親水性基を導入すれば、前駆体繊維を酸で安定化処理しなくても、不活性ガス雰囲気中で加熱処理しうることが判明した。本発明はかかる知見に基づいてなされたものである。したがって、本発明の課題は、特許文献1記載の方法を改良して安定化処理を不要とすることにある。
本発明は、リグニンに平均分子量1000〜2000のポリエチレングリコールを親水性基として導入することにより、上記課題を解決したものである。すなわち、本発明は、リグニンに平均分子量1000〜2000のポリエチレングリコールを反応させてリグニン誘導体を得る第一工程、前記リグニン誘導体から前駆体繊維を得る第二工程及び前記前駆体繊維に酸による安定化処理を施すことなく、前記前駆体繊維に加熱処理を施す第三工程からなることを特徴とする炭素繊維の製造方法に関するものである。
本発明で用いるリグニンとしては、従来公知の各種のものが挙げられる。たとえば、高圧の飽和水蒸気で処理し、瞬時に圧力を開放することにより得られる蒸煮爆砕リグニン、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムの混合水溶液を蒸解液として高温で木材チップを蒸解することにより得られるクラフトリグニン、木粉を亜硫酸水溶液にて高温で蒸解することにより得られるリグニンスルホン酸塩、木粉を有機酸あるいは有機溶剤で蒸解することにより得られるオルガノソルブリグニン、バイオマス変換技術で副産される硫酸リグニンやアルカリリグニン等が挙げられる。特に、本発明においては、バイオマス変換技術で副産されるアルカリリグニンを用いるのが好ましい。本発明では、ポリエチレングリコールがアルカリの存在下でリグニンと反応しやすいためである。また、リグニンも、従来公知の素材から採取される。たとえば、スギやヒノキ等の針葉樹、ブナやナラ等の広葉樹又は稲わらやモミ等から採取することができる。なお、本発明で用いるリグニンには、セルロースやヘミセルロースなどリグニンを得る際に混入する可能性がある不純物を含んでいてもよい。
本発明においては、第一工程でリグニンに平均分子量1000〜2000のポリエチレングリコールを反応させてリグニン誘導体を得る。具体的には、リグニンにポリエチレングリコールを添加して、所定温度で所定時間加熱することにより、リグニンとポリエチレングリコールが反応して、リグニン誘導体を得ることができる。所定温度としては120〜200℃である。また、所定時間としては5〜180分であり、好ましくは60〜120分である。ポリエチレングリコールの平均分子量が1000未満であると、熱流動性が乏しく押出紡出しにくいリグニン誘導体となり、前駆体繊維を得にくくなるので、好ましくない。なお、ポリエチレングリコールの平均分子量の有効数字は2桁である。
ポリエチレングリコールを反応させる際、アルカリの存在下で反応させるのが好ましい。特に、水酸化ナトリウムの存在下で反応させると、反応を促進させるので好ましい。アルカリの量は、ポリエチレングリコール100重量部に対して、1〜30重量部であるのが好ましい。
リグニン誘導体を得た後、第二工程で、これを紡出して前駆体繊維を得る。具体的には、リグニン誘導体を押出装置に投入し、高温度及び高圧力下で、リグニン誘導体をノズルを通して押し出せばよい。具体的には、200〜250℃程度の温度で、2〜10MPa程度の押出圧力を負荷して紡出する。温度が200℃未満であると、リグニン誘導体が流動しにくいので、高い押出圧力を掛けても、前駆体繊維を紡出しにくくなる傾向が生じる。また、押出圧力が2MPa未満であると、高い温度を掛けてもリグニン誘導体が流動しにくく、前駆体繊維を紡出しにくくなる傾向が生じる。
紡出した前駆体繊維を、第三工程において、従来公知の方法で加熱処理すれば炭素繊維が得られる。具体的には、不活性雰囲気下で加熱処理を施すことにより、炭素繊維が得られる。ここで、不活性雰囲気とは酸素の存在しない雰囲気という意味である。酸素の存在下で加熱処理すると、前駆体繊維が燃焼してしまうので好ましくない。不活性雰囲気は、たとえば窒素ガスを加熱装置内に流入及び充満させることにより実現しうる。加熱温度及び加熱時間も従来公知の条件で行われ、具体的には、加熱温度が1000℃程度、加熱時間が0.5〜5時間程度であるのが好ましい。
本発明においては、前駆体繊維に加熱処理を施す第三工程の前に、酸処理による安定化処理という工程を経なくてもよい。特許文献1に記載されているように、リグニン誘導体から得られた前駆体繊維は、加熱処理を施す前に、酸で処理して安定化しなければならないとされていた。しかるに、本発明のような方法で、特定のポリエチレングリコールを反応させて得られたリグニン誘導体は、酸で安定化処理しなくとも、加熱処理を施しうるようになるのである。それは、リグニン側鎖のベンジル位のアルコール性水酸基の反応性によるものと考えられる。アルカリ存在下で特定のポリエチレングリコールに溶解したリグニンは、加熱により、そのベンジル位に特定のポリエチレングリコールが結合して、押出紡出可能なリグニン誘導体となる。ポリエチレングリコールと反応可能な、リグニン中のベンジル位アルコールの数は限られているので、熱流動性を付与するポリエチレングリコールの導入量を達成するためには、平均分子量1000以上のポリエチレングリコールを作用させる事が好都合となる。加えて、この結合形態は、加熱等により比較的容易にポリエチレングリコールを脱離して、安定化するため(すなわち、熱及び圧力で分解しにくい構造になるため)、結果として、酸による処理工程を必要としなくなると考えられる。
炭素繊維を得た後、この炭素繊維に賦活処理して活性炭繊維を得ることもできる。賦活処理も、従来公知の各種の方法で行われる。たとえば、水蒸気等の賦活ガスの存在下で、1000℃弱の温度で2〜3時間加熱することにより、賦活処理される。
本発明に係るリグニン誘導体から炭素繊維を得る方法は、リグニンに平均分子量1000〜2000のポリエチレングリコールを反応させて、リグニンに親水性基を導入したリグニン誘導体を用いているため、前駆体繊維を加熱処理して炭化させる前に、前駆体繊維を酸処理して安定化させる必要がない。したがって、簡略化した工程で、リグニン誘導体から炭素繊維を得ることができ、合理的に炭素繊維を得ることができるという効果を奏する。
実施例1
スギチップをアルカリ蒸解して木質バイオエタノールを製造した際に副生した蒸解黒液を、噴霧乾燥機で乾燥造粒した。得られた粉末を真空乾燥機で脱水し調整して、黒液粉末を得た。この黒液粉末は、約2割のリグニンと約1割の水酸化ナトリウムと約7割の炭酸ナトリウムで構成されていた。30gの黒液粉末に、150gの平均分子量1000のポリエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製、PEG−1000)を加えて、攪拌羽を装着したフラスコで室温下1時間攪拌した。その後、このフラスコを120℃に加熱されたオイルバスに120分間浸漬して、リグニンとポリエチレングリコールとを反応させた。その後、このフラスコを冷水を浸漬して反応を終了させて反応物を得た。この反応物を蒸留水で洗い出し、さらに蒸留水を加えて、ビーカー内で約3Lに調製した。ビーカー内の溶液を攪拌しながら、塩酸でpH2に調製して、沈殿物を精製せしめた後、直ちにガラスフィルターで濾過して沈殿物を採取し、リグニン誘導体を得た。得られたリグニン誘導体は約5gであった。
得られたリグニン誘導体を、押出装置(株式会社島津製作所製のキャピラリーレオメーターの押出口に孔径0.5mmのモノホールノズルを装着した装置)に投入し、220℃に加熱しながら、押出圧を2.9MPaとしてモノホールノズルからリグニン誘導体を紡出し、前駆体繊維を得た。得られた前駆体繊維に安定化処理を施すことなく、炭化炉に静置して、窒素ガス雰囲気下1000℃で1時間加熱して炭素繊維を得た。
得られた炭素繊維を、水蒸気を用いて850℃で1時間の賦活処理を行った。活性炭繊維の収率は53%であった。得られた活性炭繊維の全細孔容積及び比表面積を、QUANTA CHROME社製自動ガス吸着装置を用いて測定したところ、全細孔容積は0.87cm3/gであり、BET1点法で算出された比表面積は1660m2/gであった。
実施例2
平均分子量1000のポリエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製、PEG−1000)に代えて、平均分子量2000のポリエチレングリコール(純正化学株式会社製、ポリエチレングリコール2000)を用いた他は、実施例1と同一の方法でリグニン誘導体を得た。
得られたリグニン誘導体を、押出装置(株式会社島津製作所製のキャピラリーレオメーターの押出口に孔径0.3mmのモノホールノズルを装着した装置)に投入し、220℃に加熱しながら、押出圧を9.8MPaとしてモノホールノズルからリグニン誘導体を紡出し、前駆体繊維を得た。得られた前駆体繊維に安定化処理を施すことなく、炭化炉に静置して、窒素ガス雰囲気下1000℃で1時間加熱して炭素繊維を得た。この炭素繊維を実施例1と同一の方法で賦活処理して、活性炭繊維を得た。得られた活性炭繊維の全細孔容積は0.68cm3/gであり、BET1点法で算出された比表面積は1470m2/gであった。
比較例1
平均分子量1000のポリエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製、PEG−1000)に代えて、平均分子量400のポリエチレングリコール(純正化学株式会社製、ポリエチレングリコール400)を用いたこと、リグニンとポリエチレングリコールの反応温度を160℃としたことの他は、実施例1と同一の方法でリグニン誘導体を得た。
得られたリグニン誘導体を、実施例1と同一の方法で前駆体繊維を得る試みを行ったが、リグニン誘導体は流動せずに分解して、前駆体繊維を得ることができなかった。

Claims (5)

  1. リグニンに平均分子量1000〜2000のポリエチレングリコールを反応させてリグニン誘導体を得る第一工程、
    前記リグニン誘導体から前駆体繊維を得る第二工程及び
    前記前駆体繊維に酸による安定化処理を施すことなく、前記前駆体繊維に不活性雰囲気下で加熱処理を施す第三工程からなることを特徴とする炭素繊維の製造方法。
  2. 第一工程において、アルカリの存在下で、平均分子量1000〜2000のポリエチレングリコールを反応させる請求項1記載の炭素繊維の製造方法。
  3. 工程において、リグニン誘導体を押出装置から紡出して前駆体繊維を得る場合、加熱温度を200〜250℃に設定し、押出圧を2〜10MPaに設定する請求項1記載の炭素繊維の製造方法。
  4. 請求項1記載の第三工程の後に、炭素繊維を賦活する第四工程を付加することを特徴とする活性炭繊維の製造方法。
  5. リグニンに平均分子量1000〜2000のポリエチレングリコールを反応させて得られたリグニン誘導体を紡出することにより得られた炭素繊維製造用前駆体繊維。
JP2014189394A 2014-09-17 2014-09-17 リグニン炭素繊維の製造方法 Active JP6344795B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014189394A JP6344795B2 (ja) 2014-09-17 2014-09-17 リグニン炭素繊維の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014189394A JP6344795B2 (ja) 2014-09-17 2014-09-17 リグニン炭素繊維の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016060985A JP2016060985A (ja) 2016-04-25
JP6344795B2 true JP6344795B2 (ja) 2018-06-20

Family

ID=55797302

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014189394A Active JP6344795B2 (ja) 2014-09-17 2014-09-17 リグニン炭素繊維の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6344795B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108330569A (zh) * 2018-02-08 2018-07-27 北京林业大学 一种木质素基活性碳纤维前驱体及其制备方法与应用
CN110424071B (zh) * 2019-08-02 2021-12-10 深圳市源兴医药股份有限公司 载银活性炭纤维及制备方法
JP7539638B2 (ja) 2021-01-06 2024-08-26 国立研究開発法人森林研究・整備機構 摺動材

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010242248A (ja) * 2009-04-03 2010-10-28 Teijin Ltd 超微細炭素繊維の製造方法
JP5892487B2 (ja) * 2012-01-19 2016-03-23 国立研究開発法人森林総合研究所 リグニン炭素繊維および活性炭素繊維の製造方法
EP2644758B1 (en) * 2012-03-29 2014-12-10 Honda R&D Europe (Deutschland) GmbH Stabilization of lignin carbon fibers with crosslinkers
SE537712C2 (sv) * 2012-11-13 2015-10-06 Stora Enso Oyj Termiskt reaktiv termoplastisk mellanprodukt innefattande barrträdslignin samt förfarande för framställning av denna

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016060985A (ja) 2016-04-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10035957B2 (en) Method for treating lignin-based material
JP6050762B2 (ja) リグニン繊維の製造方法
US7678358B2 (en) Carbon fibers from kraft softwood lignin
US7794824B2 (en) Carbon fibers from kraft softwood lignin
US11286582B2 (en) Method for stabilizing lignin fiber for further conversion to carbon fiber
JP5892487B2 (ja) リグニン炭素繊維および活性炭素繊維の製造方法
AU2016282411B2 (en) Method for activating and precipitating lignin
JP2013542276A (ja) カーボンファイバの製造のための熱可塑性のリグニン
JP6344795B2 (ja) リグニン炭素繊維の製造方法
US20200011012A1 (en) Method for producing reactive lignin
Zhang et al. Crystal and thermal response of cellulose isolation from bamboo by two different chemical treatments
Yoon et al. Thermal Melting of Lignin Derivates Prepared from Dried Black Liquor Powder of Softwood Soda-AQ Cooking and Polyehylene Glycol
JP2018130683A (ja) 木質由来固体酸の製造方法
FI128836B (en) Method for producing reactive lignin
KR20230164523A (ko) 리그닌 유래 탄화물 및 이의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170816

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180410

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180411

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180425

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180517

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180517

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6344795

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250