JP6341758B2 - 研磨パッド - Google Patents
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Description
[1] 熱可塑性ポリウレタン(A)およびそれ以外のポリマー(B)を含む研磨層を有する研磨パッドであって、
熱可塑性ポリウレタン(A)が、高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させることにより得られるものであり、
ポリマー(B)が、ガラス転移温度が60〜120℃である非晶性ポリマーであり、且つ熱可塑性ポリウレタン(A)中に分散しており、
研磨層の−80〜−50℃における損失正接の最大値が8.00×10−2以下であることを特徴とする、研磨パッド。
[2] 熱可塑性ポリウレタン(A)中に分散しているポリマー(B)の平均粒径が50〜150μmである、前記[1]に記載の研磨パッド。
[3] ポリマー(B)と熱可塑性ポリウレタン(A)との質量比(ポリマー(B)の質量/熱可塑性ポリウレタン(A)の質量)が30/70〜50/50である、前記[1]または[2]に記載の研磨パッド。
[4] ポリマー(B)がアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびスチレンからなる群から選ばれる少なくとも一つのモノマーに由来する構造単位を有するポリマーである、前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の研磨パッド。
[5] ポリマー(B)がスチレン−アクリル酸共重合体、ポリメチルメタクリレートおよびアクリロニトリル−スチレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一つである、前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の研磨パッド。
[6] 研磨層表面に深さ0.1mm以上の溝を有する、前記[1]〜[5]のいずれか一つに記載の研磨パッド。
[7] 深さ0.1mm以上の溝が幅0.1〜5.0mmおよび深さ0.1〜3.0mmの筋状溝である、前記[6]に記載の研磨パッド。
[8] ポリマー(B)の60〜120℃における損失正接の最大値が6.00×10−1以上である、前記[1]〜[7]のいずれか一つに記載の研磨パッド。
[9] 研磨層が無発泡構造である、前記[1]〜[8]のいずれか一つに記載の研磨パッド。
[10] 熱可塑性ポリウレタン(A)の50℃の水で飽和膨潤させた後の引張弾性率が130〜800MPaである、前記[1]〜[9]のいずれか一つに記載の研磨パッド。
[11] 熱可塑性ポリウレタン(A)の50℃における損失正接が0.2以下である、前記[1]〜[10]のいずれか一つに記載の研磨パッド。
[12] 熱可塑性ポリウレタン(A)の水との接触角が80度以下である、前記[1]〜[11]のいずれか一つに記載の研磨パッド。
[13] 熱可塑性ポリウレタン(A)の下記式(1):
引張弾性率の保持率=100×50℃の水で飽和膨潤させた後の引張弾性率/50℃で乾燥させたときの引張弾性率 (1)
で計算される引張弾性率の保持率が55%以上である、前記[1]〜[12]のいずれか一つに記載の研磨パッド。
[14] 熱可塑性ポリウレタン(A)におけるイソシアネート基由来の窒素原子の含有量が4.8質量%以上6.0質量%未満である、前記[1]〜[13]のいずれか一つに記載の研磨パッド。
[15] 高分子ジオールの数平均分子量が1400〜5000である、前記[1]〜[14]のいずれか一つに記載の研磨パッド。
[16] 高分子ジオールがポリエステルジオールおよび/またはポリエーテルジオールである、前記[1]〜[15]のいずれか一つに記載の研磨パッド。
[17] 高分子ジオールが炭素数6〜12の低分子ジオールから得られるポリエステルジオールである、前記[1]〜[15]のいずれか一つに記載の研磨パッド。
[18] 高分子ジオールがポリ(エチレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(ノナメチレンアジペート)ジオール、ポリ(2−メチル−1,8−オクタメチレンアジペート)ジオール、ポリ(2−メチル−1,8−オクタメチレン−co−ノナメチレンアジペート)ジオールおよびポリ(メチルペンタンアジペート)ジオールからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、
有機ジイソシアネートが4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、
鎖伸長剤が1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも一つである、
前記[1]〜[15]のいずれか一つに記載の研磨パッド。
本発明の研磨パッドは、熱可塑性ポリウレタン(A)およびそれ以外のポリマー(B)から構成される研磨層を有する。熱可塑性ポリウレタン(A)は、高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させることにより得られるものであり、ポリマー(B)は、ガラス転移温度が60〜120℃である非晶性ポリマーである。本発明の研磨パッドの研磨層では、ポリマー(B)が熱可塑性ポリウレタン(A)中に分散している。また、本発明の研磨パッドが有する研磨層の−80〜−50℃における損失正接の最大値は8.00×10−2以下である。本発明の研磨パッドは、前記研磨層からなる単層パッドでもよく、前記研磨層と他の層(例えば、研磨パッドの分野で多用されている弾性体層)とが積層されてなる積層パッドでもよい。
熱可塑性ポリウレタン(A)の50℃の水で飽和膨潤させた後の引張弾性率は、好ましくは130〜800MPaである。該引張弾性率が130MPaよりも小さいと、研磨層が柔らかくなり過ぎるため、被研磨面の平坦性が低下し、また研磨効率が低下する場合がある。一方、該引張弾性率が800MPaよりも大きいと、被研磨面にスクラッチが発生し易くなる場合がある。被研磨面の平坦性とスクラッチ抑制の観点から、該引張弾性率は、より好ましくは180〜750MPa、さらに好ましくは230〜700MPa、特に好ましくは280〜650MPaである。該引張弾性率は、後述の実施例に記載する方法により測定される。
引張弾性率の保持率=100×50℃の水で飽和膨潤させた後の引張弾性率/50℃で乾燥させたときの引張弾性率 (1)
で計算される引張弾性率の保持率は55%以上であることが好ましい。該保持率が55%未満の場合には、水分による研磨層の研磨特性変化が大きく、例えば研磨終了後、数時間〜数日間、湿潤状態で研磨層を放置した場合に、その研磨性能(例えば研磨速度など)が低下する場合がある。該保持率は、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは75%以上である。該保持率は、高いほど好ましいが、通常、その上限は85%程度である。該保持率は、後述の実施例に記載する方法により測定される。
高分子ジオールとしては、例えばポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。これらの高分子ジオールは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、親水性の観点から、ポリエーテルジオールおよびポリエステルジオールが好ましい。
有機ジイソシアネートとしては、通常の熱可塑性ポリウレタンの製造に従来から用いられている有機ジイソシアネートのいずれを使用してもよい。有機ジイソシアネートとしては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロへキセンなどの脂肪族または脂環式ジイソシアネート;2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、m−またはp−フェニレンジイソシアネート、m−またはp−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートが挙げられる。これらの有機ジイソシアネートは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
鎖伸長剤としては、通常のポリウレタンの製造に従来から使用されている鎖伸長剤(即ち、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する化合物)のいずれを使用してもよい。鎖伸長剤の分子量は、好ましくは300以下、より好ましくは60〜300である。
ポリ(エチレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(ノナメチレンアジペート)ジオール、ポリ(2−メチル−1,8−オクタメチレンアジペート)ジオール、ポリ(2−メチル−1,8−オクタメチレン−co−ノナメチレンアジペート)ジオールおよびポリ(メチルペンタンアジペート)ジオールからなる群から選ばれる少なくとも一つの高分子ジオールと、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも一つの有機ジイソシアネートと、
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも一つの鎖伸長剤と
を反応させて得られるものである。
熱可塑性ポリウレタン(A)の製造方法は特に制限されず、ウレタン化反応を行う公知のプレポリマー法またはワンショット法等によって熱可塑性ポリウレタン(A)を製造することができる。熱可塑性ポリウレタン(A)は、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合する方法によって製造することが好ましく、多軸スクリュー型押出機を用いて連続溶融重合する方法によって製造することがより好ましい。
ポリマー(B)は、熱可塑性ポリウレタン(A)中に分散することによって、熱可塑性ポリウレタン(A)およびポリマー(B)から構成される研磨層の靱性を低下させ(即ち、研磨層の−80〜−50℃における損失正接の最大値を8.00×10−2以下に低下させ)、且つ発生したバリが剥がれ落ちる際の起点として作用するものである。そのため、ポリマー(B)は、非晶性であること、そのガラス転移温度が60〜120℃であること、且つ熱可塑性ポリウレタン(A)に完全に混和せず、分散相を形成し得るものであることが必要である。なお、熱可塑性ポリウレタン(A)中にポリマー(B)の分散相が形成される限り、ポリマー(B)の一部が熱可塑性ポリウレタン(A)中に混和してもよい。
以下のようにして製造した熱可塑性ポリウレタンを、実施例および比較例で用いた。
数平均分子量2000のポリ(テトラメチレングリコール)[略号:PTMG]、1,4−シクロヘキサンジメタノール[略号:CHDM]、1,4−ブタンジオール[略号:BD]、1,5−ペンタンジオール[略号:MPD]、および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート[略号:MDI]を、PTMG:BD:MPD:MDIの質量比が32.3:12.6:5.5:49.6となるような割合で用いて、定量ポンプにより同軸で回転する2軸押出機に連続的に供給して、連続溶融重合を行って熱可塑性ポリウレタンを製造した。生成した熱可塑性ポリウレタンの溶融物をストランド状に水中に連続的に押出した後、ペレタイザーで細断してペレットを得た。このペレットを70℃で20時間除湿乾燥することにより、熱可塑性ポリウレタンを得た(イソシアネート基由来の窒素原子の含有量:5.6質量%、重量平均分子量:120,000)。
・アクリロニトリル−スチレン共重合体(日本エイアンドエル株式会社製「ライタックA 120PCF」、重量平均分子量:100,000)
・ポリメチルメタクリレート(株式会社クラレ製「パラペット GF1000」、重量平均分子量:80,000)
・スチレン−アクリル酸共重合体(積水化成品工業株式会社製「デュオマスターCS−40」、重量平均分子量:60,000)
<120℃を超えるガラス転移温度を有するその他のポリマー>
・ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製「ユーピロン S−3000R」、重量平均分子量:30,000)
アクリロニトリル−スチレン共重合体と熱可塑性ポリウレタンを質量比40:60の割合で小型ニーダーに仕込み、温度230℃、スクリュー回転数60rpm、混練時間5分で溶融混錬した。次いで、減圧乾燥機内で60℃で16時間以上放置して、乾燥した混合物を得た。乾燥した混合物を金属板に挟み、次いでこれらを熱プレス成形機(株式会社神藤工業所 卓上用テストプレス)に挟み、加熱温度230℃で2分間、混合物を溶融させた後、ゲージ圧50kg/cm2で加圧して1分間放置した。熱プレス成形機および金属板から、厚さ2.0mmのプレス成形シートを取り出した。
アクリロニトリル−スチレン共重合体と熱可塑性ポリウレタンの質量比を50:50に変更した以外は実施例1と同様にしてプレス成形シートおよび研磨パッドを得た。
アクリロニトリル−スチレン共重合体の代わりにポリメチルメタクリレートを用いた以外は実施例1と同様にしてプレス成形シートおよび研磨パッドを得た。
アクリロニトリル−スチレン共重合体の代わりにポリメチルメタクリレートを用いた以外は実施例2と同様にしてプレス成形シートおよび研磨パッドを得た。
熱可塑性ポリウレタンとポリメチルメタクリレートとスチレン−アクリル酸共重合体を質量比50:37.5:12.5の割合で用いた以外は実施例1と同様にしてプレス成形シートおよび研磨パッドを得た。
アクリロニトリル−スチレン共重合体と熱可塑性ポリウレタンの質量比を20:80に変更した以外は実施例1と同様にしてプレス成形シートおよび研磨パッドを得た。
ポリメチルメタクリレートと熱可塑性ポリウレタンの質量比を10:90に変更した以外は実施例1と同様にしてプレス成形シートおよび研磨パッドを得た。
アクリロニトリル−スチレン共重合体の代わりにポリカーボネートを用いた以外は実施例1と同様にしてプレス成形シートおよび研磨パッドを得た。
熱可塑性ポリウレタン(A)、ポリマー(B)またはその他のポリマーを金属板に挟み、次いでこれらを熱プレス成形機(株式会社神藤工業所 卓上用テストプレス)に挟み、加熱温度230℃で2分間、熱可塑性ポリウレタン(A)等を溶融させた後、ゲージ圧50kg/cm2で加圧して1分間放置した。熱プレス成形機および金属板から、厚さ0.3mmのプレス成形シートを取り出した。該シートを110℃で3時間熱処理して、該シートより幅5mm、長さ30mmに打ち抜き、試験片を作製した。動的粘弾性測定装置[DVEレオスペクトラー(商品名、株式会社レオロジー製)]を使用して、動的粘弾性率を周波数1.59Hzで測定することにより、熱可塑性ポリウレタン(A)、ポリマー(B)またはその他のポリマーのガラス転移温度を求めた。結果を下記表に示す。
上述のようにして得られた熱可塑性ポリウレタン(A)を金属板に挟み、次いでこれらを熱プレス成形機(株式会社神藤工業所 卓上用テストプレス)に挟み、加熱温度230℃で2分間、熱可塑性ポリウレタン(A)を溶融させた後、ゲージ圧50kg/cm2で加圧して1分間放置した。熱プレス成形機および金属板から、厚さ300μmのプレス成形フィルムを取り出した。このフィルムから2号型試験片(JIS K7113)を打ち抜き、50℃温水に3日間浸漬して、水膨潤試験片を作製した。島津製作所社製オートグラフAG5000に、チャック間距離40mmで試験片を装着した後、雰囲気温度50℃において5分間静置してから、引張速度500mm/分にて引張弾性率を測定した。このようにして測定した熱可塑性ポリウレタン(A)の50℃の水で飽和膨潤させた後の引張弾性率は620MPaであった。
50℃の水で飽和膨潤させた後の引張弾性率の評価法で得られた2号試験片を、20℃および65%RHの条件下に3日間放置して、乾燥試験片を作製した。該試験片を用いて上述と同様にして、熱可塑性ポリウレタン(A)の50℃で乾燥させたときの引張弾性率を測定した。50℃の水で飽和膨潤させた後の引張弾性率(620MPa)および50℃で乾燥させたときの引張弾性率(740MPa)の値から計算した熱可塑性ポリウレタン(A)の引張弾性率の保持率は84%であった。
50℃の水で飽和膨潤させた後の引張弾性率の評価法で得られた厚さ300μmのプレス成形フィルムを20℃および65%RHの条件下に3日間放置した後、該フィルムの接触角を協和界面科学株式会社製Drop Master500を用いて測定したところ、熱可塑性ポリウレタン(A)の水との接触角は70度であった。
上述のようにして得られた熱可塑性ポリウレタン(A)を金属板に挟み、次いでこれらを熱プレス成形機(株式会社神藤工業所 卓上用テストプレス)に挟み、加熱温度230℃で2分間、熱可塑性ポリウレタン(A)を溶融させた後、ゲージ圧50kg/cm2で加圧して1分間放置した。熱プレス成形機および金属板から、厚さ0.3mmのプレス成形シートを取り出した。該シートを110℃で3時間熱処理して、該シートより幅5mm、長さ30mmに打ち抜き、試験片を作製した。動的粘弾性測定装置[DVEレオスペクトラー(商品名、株式会社レオロジー製)]を使用して、動的粘弾性率を周波数1.59Hzで測定することにより、該試験片の50℃における損失正接(tanδ値)を測定した。このようにして測定した熱可塑性ポリウレタン(A)の50℃における損失正接は2.3×10−2であった。
実施例および比較例で得られたプレス成形シートを110℃で3時間熱処理して、該シートより幅5mm、長さ30mmに打ち抜き試験片を作製した。動的粘弾性測定装置[DVEレオスペクトラー(商品名、株式会社レオロジー製)]を使用して、動的粘弾性率を周波数1.59Hzで測定することにより、該試験片の−80〜−50℃における損失正接(tanδ値)を測定し、その最大値(ピーク値)を、研磨層の−80〜−50℃における損失正接(tanδ値)の最大値として求めた。結果を下記表に示す。
熱可塑性ポリウレタン(A)、ポリマー(B)またはその他のポリマーを金属板に挟み、次いでこれらを熱プレス成形機(株式会社神藤工業所 卓上用テストプレス)に挟み、加熱温度230℃で2分間、ポリマー(B)またはその他のポリマーを溶融させた後、ゲージ圧50kg/cm2で加圧して1分間放置した。熱プレス成形機および金属板から、厚さ0.3mmのプレス成形シートを取り出した。該シートを110℃で3時間熱処理して、該シートより幅5mm、長さ30mmに打ち抜き、試験片を作製した。動的粘弾性測定装置[DVEレオスペクトラー(商品名、株式会社レオロジー製)]を使用して、動的粘弾性率を周波数1.59Hzで測定することにより、該試験片の60〜120℃における損失正接(tanδ値)を測定し、その最大値(ピーク値)を、熱可塑性ポリウレタン(A)、ポリマー(B)またはその他のポリマーの60〜120℃における損失正接(tanδ値)の最大値として求めた。結果を下記表に示す。
熱可塑性ポリウレタン(A)を金属板に挟み、次いでこれらを熱プレス成形機(株式会社神藤工業所 卓上用テストプレス)に挟み、加熱温度230℃で2分間、熱可塑性ポリウレタン(A)を溶融させた後、ゲージ圧50kg/cm2で加圧して1分間放置した。熱プレス成形機および金属板から、厚さ0.3mmのプレス成形シートを取り出した。該シートを110℃で3時間熱処理して、該シートより幅5mm、長さ30mmに打ち抜き、試験片を作製した。動的粘弾性測定装置[DVEレオスペクトラー(商品名、株式会社レオロジー製)]を使用して、動的粘弾性率を周波数1.59Hzで測定することにより、23℃における貯蔵弾性率(E’23)と50℃における貯蔵弾性率(E’50)との比(E’23/E’50)を測定した。その結果は1.25であった。
実施例および比較例で得られたプレス成形シートを切削加工して、厚さ2.0mmのプレス成形シートを作製した。該シートを110℃で3時間熱処理して、試験片を作製した。該試験片の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により写真撮影し、観察断面20mm2の熱可塑性ポリウレタン内に存在するポリマー(B)またはその他のポリマーの最大直径を10点測定し、その平均値を、分散しているポリマー(B)またはその他のポリマーの平均粒径として算出した。結果を下記表に示す。
実施例および比較例で得られたプレス成形シートを切削加工して、厚さ2.0mmのプレス成形シートを作製した。該シートを110℃で3時間熱処理して、試験片を作製した。該試験片の比重を電子比重計MD−200S(アルファーミラージュ株式会社)で測定し、これを研磨層の比重とみなした。結果を下記表に示す。
実施例および比較例で得られた研磨パッドを日本電産シンポ株式会社製電動ろくろ研磨機(RK−3D形)に設置し、株式会社アライドマテリアル製ダイヤモンドドレッサー(ダイヤ番手#100)を用い、スラリーを150mL/分の速度で流しながらドレッサー回転数61rpm、研磨パッド回転数60rpm、ドレッサー荷重2.75psiにて5時間、研磨層表面を研削した。表面を研削した研磨層の溝を走査型電子顕微鏡(SEM)により写真撮影し、バリにより溝が閉塞されているか否かを観察した。50μmを超えるバリによって溝が閉塞されている場合を×と評価し、50μm未満のバリしか存在せず、溝が閉塞されていない場合を○と評価した。結果を下記表に示す。
Claims (18)
- 熱可塑性ポリウレタン(A)およびそれ以外のポリマー(B)を含む研磨層を有する研磨パッドであって、
熱可塑性ポリウレタン(A)が、高分子ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させることにより得られるものであり、
ポリマー(B)が、ガラス転移温度が60〜120℃である非晶性ポリマーであり、且つ熱可塑性ポリウレタン(A)中に分散しており、
研磨層の−80〜−50℃における損失正接の最大値が3.00×10 −2 以上7.00×10−2以下であることを特徴とする、研磨パッド。 - 熱可塑性ポリウレタン(A)中に分散しているポリマー(B)の平均粒径が50〜150μmである、請求項1に記載の研磨パッド。
- ポリマー(B)と熱可塑性ポリウレタン(A)との質量比(ポリマー(B)の質量/熱可塑性ポリウレタン(A)の質量)が30/70〜50/50である、請求項1または2に記載の研磨パッド。
- ポリマー(B)がアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびスチレンからなる群から選ばれる少なくとも一つのモノマーに由来する構造単位を有するポリマーである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨パッド。
- ポリマー(B)がスチレン−アクリル酸共重合体、ポリメチルメタクリレートおよびアクリロニトリル−スチレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨パッド。
- 研磨層表面に深さ0.1mm以上の溝を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の研磨パッド。
- 深さ0.1mm以上の溝が幅0.1〜5.0mmおよび深さ0.1〜3.0mmの筋状溝である、請求項6に記載の研磨パッド。
- ポリマー(B)の60〜120℃における損失正接の最大値が6.00×10−1以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の研磨パッド。
- 研磨層が無発泡構造である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の研磨パッド。
- 熱可塑性ポリウレタン(A)の50℃の水で飽和膨潤させた後の引張弾性率が130〜800MPaである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の研磨パッド。
- 熱可塑性ポリウレタン(A)の50℃における損失正接が0.2以下である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の研磨パッド。
- 熱可塑性ポリウレタン(A)の水との接触角が80度以下である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の研磨パッド。
- 熱可塑性ポリウレタン(A)の下記式(1):
引張弾性率の保持率=100×50℃の水で飽和膨潤させた後の引張弾性率/50℃で乾燥させたときの引張弾性率 (1)
で計算される引張弾性率の保持率が55%以上である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の研磨パッド。 - 熱可塑性ポリウレタン(A)におけるイソシアネート基由来の窒素原子の含有量が4.8質量%以上6.0質量%未満である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の研磨パッド。
- 高分子ジオールの数平均分子量が1400〜5000である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の研磨パッド。
- 高分子ジオールがポリエステルジオールおよび/またはポリエーテルジオールである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の研磨パッド。
- 高分子ジオールが炭素数6〜12の低分子ジオールから得られるポリエステルジオールである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の研磨パッド。
- 高分子ジオールがポリ(エチレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(ノナメチレンアジペート)ジオール、ポリ(2−メチル−1,8−オクタメチレンアジペート)ジオール、ポリ(2−メチル−1,8−オクタメチレン−co−ノナメチレンアジペート)ジオールおよびポリ(メチルペンタンアジペート)ジオールからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、
有機ジイソシアネートが4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、
鎖伸長剤が1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも一つである、
請求項1〜15のいずれか一項に記載の研磨パッド。
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