JP6339396B2 - 燃料電池用シール一体部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池の構成部材であり、薄板とそれに一体化されたシール部材とを有するシール一体部材の製造方法に関する。
燃料電池においては、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を含む電極部材を、セパレータで挟持したセルが発電単位となる。燃料電池は、セルを多数積層して構成される。電極部材の周囲や、隣り合うセパレータの間には、ガスや冷媒に対するシール性と絶縁性とを確保するために、枠状のシール部材が配置される。
シール部材とセパレータおよび電極部材とが一体化された燃料電池セルアセンブリを製造する場合、例えば特許文献1に開示されているように、金型を用いてゴムの未架橋物製の予備成形体を成形し、該予備成形体を離型した後、セパレータおよび電極部材と共に金型内に配置して加熱することにより、予備成形体を架橋して他の部材と一体化している。また、特許文献2には、セパレータの厚さ方向両面にシール部材を成形する方法として、金型を用いてゴム組成物を仮成形して二つの仮成形シールを成形する工程と、二つの仮成形シールを離型せずに、仮成形シール間にセパレータをインサートする工程と、金型内で二つの仮成形シールを架橋する工程と、が開示されている。また、特許文献3には、セパレータの厚さ方向一面にシール部材を成形する方法として、金型を用いて基体の上面にゴムの未架橋物製の予備成形体を載置する配置工程と、基体および予備成形体を離型する離型工程と、予備成形体に放射線を照射して架橋する架橋工程と、が開示されている。
特開2012−243580号公報 特開2004−178977号公報 特許第4290655号公報
セパレータに一体化されるシール部材は、極めて薄く微細な形状を有する。上記特許文献1、3に記載されている方法においては、シール部材の前駆体としての予備成形体を、金型を用いて予め成形する。予備成形体はゴムの未架橋物からなるため、軟らかく、粘着性を有する。このため、金型への密着度が大きい。よって、予備成形体を金型から取り出す際に、微細な形状を維持することが難しく、予備成形体が破壊するおそれがある。また、離型作業を慎重にせざるを得ないため、時間がかかる。ゴムの未架橋物は、放置しておくと、材料の反応成分が揮発したり変質するおそれがある。このため、シール部材の材質が安定しにくい。また、後の架橋工程を急ぐ必要があるなど、工程設計における制約が大きい。予備成形体をセパレータの表面に成形した場合、予備成形体とセパレータとの界面にあるエアが抜けきらないなどの理由から、セパレータに対する予備成形体の接着性は充分ではない。このため、金型からセパレータおよび予備成形体を取り出す際に、予備成形体が位置ずれしやすい。このように、従来の方法によると、シール部材の品質、すなわちシール部材の材質や寸法精度を維持しながら、作業効率を向上させることは難しい。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、シール部材の品質を維持することができ、かつ、作業性に優れる燃料電池用シール一体部材の製造方法を提供することを課題とする。
(1)本発明の燃料電池用シール一体部材の製造方法は、薄板と、該薄板の厚さ方向の少なくとも一面に配置されるゴムの架橋物製のシール部材と、を有する燃料電池用シール一体部材の製造方法であって、該ゴムの未架橋物をゴム材料として、金型内に、該薄板と、該ゴム材料からなる予備成形体と、を配置して型締めする配置工程と、該金型を加熱して、該予備成形体の架橋を次式(1)で算出される架橋度が4%以上48%以下になるまで進行させて、該薄板の厚さ方向の少なくとも一面にゴムの仮架橋物を成形する仮架橋工程と、該ゴムの仮架橋物が成形された該薄板を該金型から取り出す離型工程と、該ゴムの仮架橋物を本架橋して該ゴムの架橋物とする本架橋工程と、を有することを特徴とする。
架橋度(%)=(ゴムの仮架橋物の弾性率−予備成形体の弾性率)/(ゴムの架橋物の弾性率−予備成形体の弾性率)×100・・・(1)
式(1)により算出される架橋度は、シール部材(ゴムの架橋物)を架橋度100%として、ゴムの仮架橋物の架橋がどの程度進行しているかを示す指標である。仮架橋工程においては、ゴムの未架橋物からなる予備成形体の架橋を途中まで進行させて、ゴムの仮架橋物を成形する。ゴムの仮架橋物は、架橋が進行している点においてゴムの未架橋物(予備成形体)とは異なる。ゴムの仮架橋物は、予備成形体よりも硬く、薄板との接着性に優れる。このため、次の離型工程において、仮架橋物を金型から剥離しやすい。仮に、仮架橋物が金型に付着した場合でも、仮架橋物は適度な硬さを有するため、離型時における仮架橋物の形状変化や破壊を回避することができる。このように、予備成形体を仮架橋物にしておくことにより、次の離型工程における作業が容易になり、離型工程に要する時間を減らすことができる。また、離型作業をロボットなどで自動化することも可能になる。
ゴムを未架橋の状態ではなく、仮架橋の状態にすることにより、材料の反応成分の揮発や変質を抑制することができる。これにより、シール部材の材質を安定させることができる。また、次の離型工程、本架橋工程を急ぐ必要もない。このため、ゴムの仮架橋物を作り置きしておくことも可能になり、工程設計に自由度が生まれる。
ゴムの仮架橋物は、型締めされた金型内において、予備成形体を加熱して成形される。この際、金型により加圧され、予備成形体と薄板との界面にあるエアが抜けるため、成形されるゴムの仮架橋物は薄板との接着性に優れる。このため、離型時にゴムの仮架橋物が位置ずれしにくい。よって、予めゴムの仮架橋物を成形しても、薄板を扱いやすい。
このように、本発明の燃料電池用シール一体部材の製造方法によると、微細な形状を有するシール部材を、材質や寸法精度を維持しながら成形することができると共に、シール部材が薄板に一体化したシール一体部材を、効率良く製造することができる。架橋度の算出式(1)を含めて、本明細書における「弾性率」とは、JIS K6251:2010に規定される伸び100%時の引張応力(100%モジュラス)を意味する。引張応力については、ダンベル状5号形を使用した引張試験により算出する。
ちなみに、上記特許文献2においては、金型を用いてゴム組成物を仮成形して二つの仮成形シールを成形する工程と、金型内で二つの仮成形シールを架橋する工程と、が開示されている。「仮成形」について、特許文献2には、「「仮成形」とは、ゴム組成物からなるシールを所定の形状を保持できる状態であり、なおかつ、さらに硬化可能な状態で硬化(半硬化)させることができる状態をいう。」と、記載されている。したがって、特許文献2における「仮成形シール」は、未架橋の状態で所定の形状を保持できる程度に成形されている状態を意味し、本発明における予備成形体に相当すると考えられる。特許文献2に記載された方法においては、金型から仮成形シールを取り出さない。すなわち、離型工程を行わない。このため、仮成形シールの離型性や形状保持性を考慮する必要はない。また、セパレータとの接着性も関係ない。したがって、特許文献2においては、予備成形体の離型時に発生する上記課題の検討はなされておらず、予備成形体の架橋を途中まで進行させることを示唆する記載はない。
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記本架橋工程は、前記ゴムの仮架橋物に電子線またはガンマ線を照射して行う構成とするとよい。
本構成においては、ゴムの仮架橋物の架橋を完了させる本架橋を、電子線またはガンマ線を照射して行う。これにより、本架橋工程を、短時間で完了させることができる。したがって、加熱により本架橋させる場合と比較して、作業時間を短縮することができる。
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記ゴムは、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)から選ばれる一種以上を含むソリッドゴムである構成とするとよい。
ソリッドゴムは、常温において固体である。また、ソリッドゴムは、常温において混練可能である。よって、ソリッドゴムの未架橋物を射出成形するなどして、容易に予備成形体を成形することができる。また、液状ゴムの架橋物の引張り強さ、伸びに対して、ソリッドゴムの架橋物の引張り強さ、伸びは、大きい。このため、本構成によると、シール部材は、水分などによる電解質膜の伸縮に追従しやすく、耐久性に優れる。
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記ゴム材料は、架橋剤として有機過酸化物を含む構成とするとよい。
本構成によると、予備成形体およびゴムの仮架橋物の架橋を比較的短時間で進行させることができる。このため、仮架橋工程および本架橋工程を、比較的短時間で完了させることができ、作業時間を短縮することができる。また、有機過酸化物は、不純物、汚れなどにより硬化不良をおこしにくい。このため、作業時に周囲の環境の影響を受けにくく、取扱いが容易である。
(5)好ましくは、上記(2)の構成において、前記ゴム材料は、架橋助剤として不飽和結合を二つ以上有する化合物を含む構成とするとよい。
不飽和結合を二つ以上有する化合物は、本架橋を電子線またはガンマ線を照射して行う場合に、架橋を促進させる役割を果たす。したがって、本構成によると、架橋の進行を速めることができる。
実施形態の燃料電池セルアセンブリを備える燃料電池の斜視図である。 図1のII−II断面図である。 同燃料電池セルアセンブリの製造方法の配置工程において、射出成形に用いられる金型の型締め状態の上下方向断面図である。 同製造方法の配置工程で使用する金型の型締め前の状態の上下方向断面図である。 同製造方法の仮架橋工程における金型の上下方向断面図である。 同製造方法の本架橋工程における容器内に収容された第一セパレータの上下方向断面図である。 同製造方法の仮組付体準備工程で使用する金型の型締め状態の上下方向断面図である。 反転後の同金型の上下方向断面図である。 同製造方法の一体化工程で使用する金型の型締め状態の上下方向断面図である。
以下、本発明の燃料電池用シール一体部材の製造方法の実施の形態について説明する。実施の形態において、本発明の燃料電池用シール一体部材の製造方法は、燃料電池セルアセンブリの製造方法の一部として具現化されている。
[燃料電池の構成]
まず、本実施形態の燃料電池セルアセンブリ(以下、適宜「セルアセンブリ」と略称する。)を備える燃料電池の構成について説明する。図1に、本実施形態の燃料電池セルアセンブリを備える燃料電池の斜視図を示す。図1に示すように、燃料電池1は、セルアセンブリ2が多数積層されて構成されている。燃料電池1は、固体高分子型燃料電池である。多数のセルアセンブリ2の上下方向両端には、一対のエンドプレート13、14が配置されている。一対のエンドプレート13、14は、各々、ステンレス鋼製であって矩形板状を呈している。
燃料電池1の左縁には、後方から前方に向かって、空気(酸化剤ガス)を供給する空気供給部材10a、冷却水を供給する冷却水供給部材12a、水素(燃料ガス)を供給する水素供給部材11aが接続されている。燃料電池1の右縁には、前方から後方に向かって、空気を排出する空気排出部材10b、冷却水を排出する冷却水排出部材12b、水素を排出する水素排出部材11bが接続されている。多数のセルアセンブリ2には、各々、複数の連通孔が形成されている。各連通孔が積層方向に連なることにより、燃料電池1には、セルアセンブリ2の積層方向に空気、水素、冷却水の流路が形成されている。
[燃料電池セルアセンブリの構成]
次に、本実施形態の燃料電池セルアセンブリの構成について説明する。図2に、図1のII−II断面図を示す。図2に示すように、セルアセンブリ2は、電極部材3と、第一セパレータ4Uと、第二セパレータ4Dと、第一シール部材5Uと、第二シール部材5Dと、を備えている。
(電極部材3)
電極部材3は、MEA30と、アノード多孔質層31と、カソード多孔質層32と、を備えている。MEA30は、電解質膜と、アノード触媒層と、カソード触媒層と、を備えている。電解質膜は、全フッ素系スルホン酸膜であって、矩形薄板状を呈している。アノード触媒層およびカソード触媒層は、各々、白金を担持したカーボン粒子を含んでいる。アノード触媒層およびカソード触媒層は、各々、矩形薄板状を呈している。アノード触媒層は電解質膜の下面に積層されている。カソード触媒層は電解質膜の上面に積層されている。
アノード多孔質層31は、ガス拡散層である。アノード多孔質層31は、焼結発泡金属製であって、矩形薄板状を呈している。アノード多孔質層31は、MEA30の下面に積層されている。カソード多孔質層32は、ガス拡散層である。カソード多孔質層32は、焼結発泡金属製であって、矩形薄板状を呈している。カソード多孔質層32は、MEA30の上面に積層されている。
(第一セパレータ4U)
第一セパレータ4Uは、ステンレス鋼製であって、矩形薄板状を呈している。第一セパレータ4Uは、電極部材3の上面に積層されている。第一セパレータ4Uは、上方から見て電極部材3と重なる領域に、凹凸部40Uを有している。第一セパレータ4Uは、本発明の「薄板」の概念に含まれる。本実施形態においては、上下方向が、本発明の薄板の厚さ方向に対応している。
(第二セパレータ4D)
第二セパレータ4Dは、ステンレス鋼製であって、矩形薄板状を呈している。第二セパレータ4Dは、電極部材3の下面に積層されている。第二セパレータ4Dは、上方から見て電極部材3と重なる領域に、凹凸部40Dを有している。
(第一シール部材5U)
第一シール部材5Uは、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)をゴム成分とするソリッドゴムの架橋物製である。第一シール部材5Uは、本発明の「シール部材」の概念に含まれる。第一シール部材5Uは、矩形枠状を呈している。第一シール部材5Uは、台座部50Uと、第一山部51Uと、第二山部52Uと、を有している。台座部50Uは、第一セパレータ4Uの上面の周縁部に接着されている。第一山部51Uは、台座部50Uの上面に突設されている。第一山部51Uの上下方向断面は、略半円状を呈している。第二山部52Uは、第一山部51Uから突出するように配置されている。第二山部52Uの上下方向断面は、略半円状を呈している。上下方向断面における第二山部52Uの曲率半径は、第一山部51Uの曲率半径よりも小さい。第一山部51Uおよび第二山部52Uは、燃料電池1を組み立てる際に、締結力により、積層方向(上下方向)に隣接する別のセルアセンブリ2の第二セパレータ4Dに弾接する。これにより、環状のシールラインが形成される。
(第二シール部材5D)
第二シール部材5Dは、EPDMをゴム成分とするソリッドゴムの架橋物製である。第二シール部材5Dは、矩形枠状を呈している。第二シール部材5Dは、第一セパレータ4Uと第二セパレータ4Dとの間に介装されている。第二シール部材5Dの枠内には、電極部材3が収容されている。第二シール部材5Dは、第二セパレータ4Dの上面の周縁部、第一セパレータ4Uの下面の周縁部、および電極部材3の外周側面に接着されている。このようにして、第二シール部材5Dは、電極部材3を外部から封止している。
[燃料電池セルアセンブリの製造方法]
次に、本実施形態の燃料電池セルアセンブリの製造方法について説明する。本実施形態の燃料電池セルアセンブリの製造方法は、配置工程と、仮架橋工程と、離型工程と、本架橋工程と、仮組付体準備工程と、一体化工程と、を有している。この中で、配置工程、仮架橋工程、離型工程、本架橋工程は、順に、本発明の配置工程、仮架橋工程、離型工程、本架橋工程に対応している。
(配置工程)
本工程においては、まず、金型6Aを用いて、第一シール部材5Uを成形するための第一予備成形体5UFを射出成形し、第一予備成形体5UFを下型61内に配置する。図3に、射出成形に用いられる金型の型締め状態の上下方向断面図を示す。図3に示すように、金型6Aは、上型60と下型61とを備えている。EPDMをゴム成分とするソリッドゴムの未架橋物(ゴム材料)G1を、下型61の凹部610(金型6Aのキャビティ)に注入する。ゴム材料G1は、架橋剤としてジアルキルパーオキサイドを、架橋助剤としてマレイミド化合物を含んでいる。注入の際、ゴム材料G1は、80℃に加熱されている。それから、金型6Aの型開きを行い、上型60を取り外す。下型61の凹部610には、第一予備成形体5UFが配置されている。第一予備成形体5UFは、第一シール部材5Uと同じ形状を呈している。
次に、金型6B内に、第一セパレータ4Uと第一予備成形体5UFとを配置して、型締めする。図4に、本工程で使用する金型の型締め前の状態の上下方向断面図を示す。図4に示すように、金型6Bは、上型62と下型61とを備えている。金型6Bの下型61には、前工程の金型6Aの下型61をそのまま使用している。下型61の凹部610には、第一予備成形体5UFが配置されている。この状態において、下型61の上面に、前出図2における第一セパレータ4Uの上面が下側になるように、第一セパレータ4Uを載置する。第一セパレータ4Uの上面(図4においては下面)において、第一予備成形体5UFと接触する領域には、プライマーが塗布されている。それから、上型62を配置して、金型6Bの型締めをする。この際、第一セパレータ4Uは、上型62の凹部620に収容される。
(仮架橋工程)
本工程においては、金型6Bを加熱して、第一予備成形体5UFの架橋を架橋度が4%以上48%以下になるまで進行させる。図5に、本工程における金型の上下方向断面図を示す。図5に示すように、型締めされた金型6Bを180℃で0.5分間加熱する。これにより、第一予備成形体5UFの架橋が途中まで進行して、仮架橋物5UMになる。本実施形態においては、仮架橋物5UMの架橋度(上記式(1)により算出)は、17%である。このようにして、第一セパレータ4Uの上面(図5においては下面)に、仮架橋物5UMを成形する。
(離型工程)
本工程においては、金型6Bの型開きを行い、仮架橋物5UMが成形された第一セパレータ4Uを取り出す。
(本架橋工程)
本工程においては、仮架橋物5UMを本架橋して第一シール部材5U(架橋物)にする。図6に、容器内に収容された第一セパレータの上下方向断面図を示す。図6に示すように、前工程において取り出された第一セパレータ4Uを、仮架橋物5UMが上側になるように、箱状の容器63の中に収容する。そして、図6中、白抜き矢印で示すように、仮架橋物5UMに対して、線量150kGyの電子線を照射する。これにより、仮架橋物5UMは架橋して第一シール部材5Uになると共に、第一セパレータ4Uに接着される。このようにして製造された第一シール部材5U付き第一セパレータ4Uは、本発明の燃料電池用シール一体部材の概念に含まれる。
(仮組付体準備工程)
本工程においては、第二予備成形体5DFと、電極部材3と、第二セパレータ4Dと、からなる仮組付体70を金型内に配置する。図7に、本工程で使用する金型の型締め状態の上下方向断面図を示す。図7に示すように、金型6Cは、上型64と、中型65と、下型66と、を備えている。
まず、下型66および中型65に囲まれた凹部660に、第二予備成形体5DFを配置する。第二予備成形体5DFは、EPDMをゴム成分とするソリッドゴムの未架橋物を射出成形して成形されている。第二予備成形体5DFは、第二シール部材5Dと同じ形状を呈している。次に、第二予備成形体5DFの枠内に、電極部材3を配置する。さらに、第二予備成形体5DF、電極部材3の上面に、前出図2における第二セパレータ4Dの上面が下側になるように、第二セパレータ4Dを載置する。第二セパレータ4Dの上面(図7においては下面)において、第二予備成形体5DFと接触する領域には、プライマーが塗布されている。そして、上型64を配置して、金型6Cの型締めをする。それから、金型6Cを上下反転させて、上側に配置される下型66を取り外す。
図8に、反転後の金型の上下方向断面図を示す。図8に示すように、反転後の金型6Cにおいては、上型64が下側に配置され、下型66が取り外されている。上型64および中型65に囲まれた凹部640には、第二予備成形体5DFと、電極部材3と、第二セパレータ4Dと、からなる仮組付体70が配置されている。
(一体化工程)
本工程においては、金型6D内に、仮組付体70と第一シール部材5U付き第一セパレータ4Uとを配置して、型締め後に金型6Dを加熱することにより、第一セパレータ4U、第二予備成形体5DF、電極部材3、および第二セパレータ4Dを一体化する。図9に、本工程で使用する金型の型締め状態の上下方向断面図を示す。図9に示すように、金型6Dは、上型67と、中型68と、下型69と、を備えている。上型67には、第一シール部材5Uを収容する凹部670が凹設されている。凹部670は、下方に開口している。中型68、下型69は、各々、金型6Cの中型65、上型64である。すなわち、下型69および中型68に囲まれた凹部690には、第二予備成形体5DFと、電極部材3と、第二セパレータ4Dと、からなる仮組付体70が配置されている。
まず、上面に第一シール部材5U付き第一セパレータ4Uを、第二予備成形体5DFおよび電極部材3の上面に載置する。第一セパレータ4Uの下面において、第二予備成形体5DFと接触する領域には、プライマーが塗布されている。次に、上型67を配置して、金型6Dの型締めをする。それから、金型6Dを150℃で10分間加熱する。これにより、第二予備成形体5DFは架橋して第二シール部材5Dになると共に、電極部材3、第一セパレータ4U、および第二セパレータ4Dに接着される。このようにして、本実施形態のセルアセンブリ2は製造される。
[作用効果]
次に、本実施形態の燃料電池セルアセンブリの製造方法の作用効果について説明する。本実施形態のセルアセンブリ2の製造方法においては、本発明の燃料電池用シール一体部材の製造方法により、第一シール部材5U付き第一セパレータ4Uを製造する。すなわち、第一シール部材5Uを製造する際に、仮架橋工程において、第一予備成形体5UFの架橋を途中まで進行させて、仮架橋物5UMとしておく。仮架橋物5UMは、第一予備成形体5UFと比較して、硬く、第一セパレータ4Uとの接着性に優れる。このため、次の離型工程において、金型6Bから剥離しやすい。仮に、仮架橋物5UMが金型6Bに付着した場合でも、仮架橋物5UMは適度な硬さを有するため、離型時に形状が変化しにくく、破壊されにくい。このように、第一予備成形体5UFを仮架橋物5UMにしておくことにより、離型工程における作業が容易になり、離型工程に要する時間を減らすことができる。また、離型作業をロボットなどで自動化することも可能になる。
また、ゴム材料G1を未架橋の状態ではなく、仮架橋の状態にすることにより、ゴム材料G1の反応成分の揮発や変質を抑制することができる。これにより、第一シール部材5Uの材質を安定させることができる。また、仮架橋工程に続く離型工程、本架橋工程を急ぐ必要もない。このため、仮架橋物5UMを作り置きしておくことも可能になり、工程設計に自由度が生まれる。
仮架橋物5UMは、型締めされた金型6B内において、第一予備成形体5UFを加熱して成形される。この際、金型6Bにより加圧され、第一予備成形体5UFと第一セパレータ4Uとの界面にあるエアが抜けるため、成形される仮架橋物5UMと第一セパレータ4Uとの接着性が向上する。このため、離型時に仮架橋物5UMが位置ずれしにくい。よって、予め仮架橋物5UMを成形しても、第一セパレータ4Uを扱いやすい。
このように、本発明の燃料電池用シール一体部材の製造方法によると、微細な形状を有する第一シール部材5Uを、材質や寸法精度を維持しながら成形することができると共に、第一シール部材5U付き第一セパレータ4Uを、効率良く製造することができる。
上記実施形態においては、仮架橋物5UMの本架橋を電子線を照射して行うことにより、本架橋を比較的短時間で完了させることができる。したがって、加熱により本架橋させる場合と比較して、作業時間を短縮することができる。
上記実施形態においては、第一シール部材5Uおよび第二シール部材5Dを、EPDMをゴム成分として含むソリッドゴムの架橋物製とした。ソリッドゴムは、常温において固体である。また、ソリッドゴムは、常温において混練可能である。よって、ソリッドゴムの未架橋物(ゴム材料G1)を射出成形して、容易に第一予備成形体5UFおよび第二予備成形体5DFを成形することができる。また、液状ゴムの架橋物の引張り強さ、伸びに対して、ソリッドゴムの架橋物の引張り強さ、伸びは、大きい。このため、第一シール部材5Uおよび第二シール部材5Dは、水分などによる電解質膜の伸縮に追従しやすく、耐久性に優れる。
また、ゴム材料G1は、架橋剤としてジアルキルパーオキサイドを、架橋助剤としてマレイミド化合物を含む。マレイミド化合物は、不飽和結合を二つ以上有する化合物であり、電子線照射による本架橋を促進させる役割を果たす。このため、第一予備成形体5UFおよび仮架橋物5UMの架橋を、比較的短時間で進行させることができる。すなわち、仮架橋工程および本架橋工程を、比較的短時間で完了させることができ、作業時間を短縮することができる。また、ジアルキルパーオキサイドなどの有機過酸化物は、不純物、汚れなどにより硬化不良をおこしにくい。このため、作業時に周囲の環境の影響を受けにくく、取扱いが容易である。
<その他>
以上、本発明の燃料電池用シール一体部材の製造方法の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
上記実施形態においては、本発明の燃料電池用シール一体部材の製造方法を、燃料電池セルアセンブリの製造方法の一部として具現化した。しかし、本発明の燃料電池用シール一体部材の製造方法は、上記実施形態とは異なる構成の燃料電池セルアセンブリの製造方法、あるいは燃料電池アセンブリの構成が同じでも上記実施形態とは異なる製造方法などにおいて、実施することができる。薄板は、燃料電池の構成部材であればよく、セパレータに限定されない。
燃料電池セルアセンブリを構成する各部材の材質、形状などは、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、電極部材を構成するアノード多孔質層、カソード多孔質層の構造は、特に限定されない。上記実施形態のように、ガス拡散層のみの単層構造としてもよく、ガス拡散層およびガス流路層の二層構造としてもよい。上記実施形態においては、第二シール部材と第一シール部材とを、同じソリッドゴムの架橋物製とした。しかし、第二シール部材の材質は、特に限定されない。第二シール部材の材質は、第一シール部材の材質と異なってもよい。なお、第二シール部材においても、後述するゴム成分などを用いることができる。また、上記実施形態においては、上下方向を本発明の「薄板の厚さ方向」に対応させた。しかしながら、方向の対応については、特に限定されない。
燃料電池用シール一体部材を構成する部材の形状、材質などは、上記実施形態に限定されない。例えば、セパレータの形状は、凹凸部を有しない平板状でもよい。上記実施形態においては、セパレータのシール部材が配置される領域に、プライマーを塗布した。しかし、プライマーの塗布は必ずしも必要ではなく、セパレータ(薄板)に、予備成形体を直接接触させてもよい。
上記実施形態においては、シール部材(第一シール部材)を、EPDMをゴム成分とするソリッドゴムの架橋物製とした。しかし、シール部材は、ゴムの架橋物製であればよく、ゴムの種類は特に限定されない。燃料電池のシール部材として好適なゴム成分としては、EPDMの他、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)などが挙げられる。
ゴムの架橋物は、ゴム成分の他、架橋剤、架橋助剤、接着成分などを含んでいてもよい。架橋剤としては、ジアルキルパーオキサイドの他、パーオキシケタール、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、パーオキシジカーボネートなどの有機過酸化物が好適である。架橋助剤としては、不飽和結合を二つ以上有する化合物が好適である。不飽和結合を二つ以上有する化合物は、電子線やガンマ線照射による架橋の場合に、架橋を促進する役割を果たす。不飽和結合を二つ以上有する化合物としては、マレイミド化合物、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3ブタンジオールジアクリレート、1,3ブタンジオールジメタクリレート、1,4ブタンジオールアクリレート、1,4ブタンジオールメタクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2,2′ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2′ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、グリセリンジメタクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンジアクリレート、テトラメチロールメタンジメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールテトラメタクリレート、ダイマージオールジアクリレート、ダイマージオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルイソシアヌレートなどが挙げられる。
上記実施形態においては、第一シール部材を、台座部、第一山部、および第二山部から構成したが、シール部材の形状は、特に限定されない。また、本発明の燃料電池用シール一体部材の製造方法においては、シール部材を、薄板の厚さ方向一面だけでなく両面に成形してもよい。
上記実施形態の配置工程においては、予備成形体を成形した後に一旦型開きをして、セパレータを配置した。しかし、配置工程においては、予め金型に薄板を配置した状態でゴム材料を射出成形してもよい。この場合、射出成形の後、型開きをせず、次の仮架橋工程を行うことができる。また、仮架橋工程、本架橋工程における架橋条件(温度、時間など)、架橋手法については、特に限定されない。本架橋工程においては、ガンマ線を照射したり、オーブン中で加熱してもよい。
次に、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
<ゴム材料の調製>
下記表1に示す原料を配合して、実施例および比較例の各々のゴム材料を調製した。具体的には、まず、ゴム成分および補強剤を、バンバリーミキサーを用いて120℃で5分間混練した。次に、混練物を冷却した後、架橋剤および架橋助剤を追加して、オープンロールを用いて50℃で10分間混練した。表1中、各原料については以下のものを使用した。なお、表1においては、後述するサンプルの製造工程および評価についても併せて示す。
[ゴム成分]
EPDM:住友化学(株)製「エスプレン(登録商標)505」。
EPM:JSR(株)製「EP11」。
[補強剤]
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製「ショウブラック(登録商標)IP200」。
[架橋剤]
ジアルキルパーオキサイド:日油(株)製「パーヘキシン(登録商標)25B−40」。
[架橋助剤]
マレイミド化合物:大内新興化学工業(株)製「バルノック(登録商標)PM」。
Figure 0006339396
<サンプルの製造>
調製したゴム材料を用いて、以下のサンプルを製造した。
[物性測定用サンプル]
(1)予備成形体サンプル
ゴム材料を、表1中の予備成形工程の条件で圧縮成形して、厚さ2mmのシート状のサンプルを製造した。このようにして製造したサンプルを、「予備成形体サンプル」と称す。
(2)仮架橋物サンプル
実施例については、ゴム材料を、表1中の予備成形工程、仮架橋工程の条件で順に圧縮成形して、厚さ2mmのシート状のサンプルを製造した。このようにして製造したサンプルを、「仮架橋物サンプル」と称す。
(3)架橋物サンプル
実施例については、ゴム材料を、表1中の予備成形工程、仮架橋工程の条件で順に圧縮成形した後、本架橋工程の条件で架橋させて、厚さ2mmのシート状のサンプルを製造した。比較例については、ゴム材料を、表1中の予備成形工程の条件で圧縮成形した後、本架橋工程の条件で架橋させて、厚さ2mmのシート状のサンプルを製造した。このようにして製造したサンプルを、「架橋物サンプル」と称す。
[シール一体部材サンプル]
上記実施形態の第一シール部材5U(前出図2)と同じ形状のシール部材を薄板の表面に成形して、シール一体部材のサンプルを製造した。薄板には、120mm四方のステンレス鋼製平板を使用した。シール部材の台座部の幅(図2における前後方向長さ)は2mm、高さ(図2における上下方向長さ)は1mmとした。また、以下においては、シール部材の第一山部と第二山部とをまとめて「リップ部」と称す。
(1)実施例のサンプル
まず、予備成形体製造用金型にゴム材料を配置し、表1中の予備成形工程の条件で圧縮成形して予備成形体を製造した。次に、型開きを行い、下型に配置された予備成形体の上面に薄板を載置した後、上型を被せて型締めした。そして、表1中の仮架橋工程の条件で圧縮成形して、薄板の表面に仮架橋物を成形した。この状態、すなわち仮架橋物が成形された薄板を、「中間サンプル」と称す。続いて、金型から中間サンプルを取り出して、表1中の本架橋工程の条件で、仮架橋物を架橋した。このようにして製造されたシール部材付き薄板を、「シール一体部材サンプル」と称す。
(2)比較例のサンプル
まず、予備成形体製造用金型に薄板とゴム材料とを配置し、表1中の予備成形工程の条件で圧縮成形して、薄板の表面に予備成形体を製造した。比較例においては、この状態、すなわち予備成形体が成形された薄板を、実施例に対応させて「中間サンプル」と称す。次に、比較例1、2については、金型から中間サンプルを取り出して、表1中の本架橋工程の条件で、予備成形体を架橋した。また、比較例3については、中間サンプルを離型せずにそのまま表1中の本架橋工程の条件で加圧加熱して、予備成形体を架橋した。このようにして製造されたシール部材付き薄板を、「シール一体部材サンプル」と称す。
<サンプルの評価方法>
[弾性率]
物性測定用サンプルについて、JIS K6251:2010に規定される引張試験を行い、伸び100%時の引張応力(100%モジュラス)を測定した。引張試験の試験片としては、ダンベル状5号形を使用した。得られた100%モジュラスの値を弾性率とした。そして、予備成形体サンプル、仮架橋物サンプル、および架橋物サンプルの弾性率を上記式(1)に代入して、仮架橋物サンプルの架橋度を算出した。
[中間サンプルの離型性]
金型から中間サンプルを取り出す際の離型性を評価した。離型性については、スムーズに離型できた場合を離型性良好(表1中、○印で示す)、仮架橋物(比較例においては予備成形体)の形状は維持できたが、離型がやや難しかった場合を離型性普通(表1中、△印で示す)、仮架橋物の形状を維持できなかった場合を離型性不良(表1中、×印で示す)と評価した。
[中間サンプルの密着性]
中間サンプルのリップ部をピンセットで摘まんで金型から剥離させて、薄板とシール部材との密着性を評価した。密着性については、シール部材が破壊した場合を密着性良好(表1中、○印で示す)、シール部材の破壊と界面剥離とが混在した場合を密着性普通(表1中、△印で示す)、界面で剥離した場合を密着性不良(表1中、×印で示す)と評価した。
[シール部材の接着性]
シール一体部材サンプルを試験片として、JIS K6256−2:2013に規定される90°剥離試験を行い、薄板に対するシール部材の接着性を評価した。剥離方向は、前出図2における紙面手前から奥方向(左右方向)とした。接着性については、剥離強さ(T)が1.0N/mm以上の場合を接着性良好(表1中、○印で示す)、1.0N/mm未満の場合を接着性不良(表1中、×印で示す)と評価した。
[シール部材の耐へたり性]
シール一体部材サンプルのシール部材の耐へたり性を評価した。まず、シール部材を高さ方向に25%圧縮した状態で、100℃下で48時間放置した。次に、圧縮を解放して、シール部材の高さ(リップ部の高さ)をレーザー変位計により測定した。耐へたり性については、次式(2)により算出されるへたり率が25%以下である場合を耐へたり性良好(表1中、○印で示す)、25%を超える場合を耐へたり性不良と評価した。また、所定の位置に形状を維持できず、へたり率を測定できなかった場合については、表1中、××印で示す。
へたり率(%)=(圧縮前のリップ部高さ−圧縮後のリップ部高さ)/(圧縮前のリップ部高さ×0.25)×100・・・(2)
[生産性]
製造工程のうち、表1に示す予備成形工程から本架橋工程までの間において、金型を使用する時間が5分以内の場合を生産性が高い(表1中、○印で示す)、5分を超える場合を生産性が低い(表1中、×印で示す)と評価した。
<サンプルの評価結果>
表1に示すように、仮架橋を行った実施例1〜10においては、ゴムの仮架橋物の架橋度が4%以上48%以下であることが確認された。このため、実施例1〜10の中間サンプルにおいては、離型性、密着性が良好であった。なお、実施例7、8の中間サンプルにおいては、離型性、密着性が若干低下した。これは、架橋剤および架橋助剤の配合量が少ないため、他の実施例と比較して架橋速度が小さくなり、同じ仮架橋時間では他の実施例ほど架橋が進行しなかったためである。このことは、実施例7、8におけるゴムの仮架橋物の架橋度が、4〜14%と小さいことからもわかる。
実施例1〜10においては、シール部材の接着性および耐へたり性も良好であった。また、製造工程における金型使用時間が短くて済む分だけ、生産性が向上した。実施例2〜8、10のように、電子線照射により本架橋を行うと、製造工程全体に要する時間をより短くすることができる。
これに対して、比較例1、2においては、仮架橋を行わずにサンプルを製造した。このため、比較例1、2の中間サンプル(薄板に予備成形体が成形されたもの)においては、離型性、密着性のいずれも不良であった。また、シール部材の接着性および耐へたり性も不良であった。これは、仮架橋を行わなかった分、実施例と同じ本架橋時間では架橋が充分でなかったためと考えられる。また、比較例3のサンプルについては、予備成形体を成形後、離型せずにそのままの金型内で加圧加熱して架橋を行った。したがって、本架橋工程に要する時間が長くなり、生産性が低下した。
1:燃料電池、2:セルアセンブリ、3:電極部材、4U:第一セパレータ(薄板)、4D:第二セパレータ、5U:第一シール部材、5D:第二シール部材、5UF:第一予備成形体、5UM:仮架橋物、5DF:第二予備成形体、6A、6B、6C、6D:金型、10a:空気供給部材、10b:空気排出部材、11a:水素供給部材、11b:水素排出部材、12a:冷却水供給部材、12b:冷却水排出部材、13、14:エンドプレート、30:MEA、31:アノード多孔質層、32:カソード多孔質層、40U、40D:凹凸部、50U:台座部、51U:第一山部、52U:第二山部、60、62、64、67:上型、61、66、69:下型、65、68:中型、63:容器、70:仮組付体、610、620、640、660、670、690:凹部、G1:ゴム材料。

Claims (5)

  1. 薄板と、該薄板の厚さ方向の少なくとも一面に配置されるゴムの架橋物製のシール部材と、を有する燃料電池用シール一体部材の製造方法であって、
    該ゴムの未架橋物をゴム材料として、
    金型内に、該薄板と、該ゴム材料からなる予備成形体と、を配置して型締めする配置工程と、
    該金型を加熱して、該予備成形体の架橋を次式(1)で算出される架橋度が4%以上48%以下になるまで進行させて、該薄板の厚さ方向の少なくとも一面にゴムの仮架橋物を成形する仮架橋工程と、
    該ゴムの仮架橋物が成形された該薄板を該金型から取り出す離型工程と、
    該ゴムの仮架橋物を本架橋して該ゴムの架橋物とする本架橋工程と、
    を有することを特徴とする燃料電池用シール一体部材の製造方法。
    架橋度(%)=(ゴムの仮架橋物の弾性率−予備成形体の弾性率)/(ゴムの架橋物の弾性率−予備成形体の弾性率)×100・・・(1)
  2. 前記本架橋工程は、前記ゴムの仮架橋物に電子線またはガンマ線を照射して行う請求項1に記載の燃料電池用シール一体部材の製造方法。
  3. 前記ゴムは、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)から選ばれる一種以上を含むソリッドゴムである請求項1または請求項2に記載の燃料電池用シール一体部材の製造方法。
  4. 前記ゴム材料は、架橋剤として有機過酸化物を含む請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の燃料電池用シール一体部材の製造方法。
  5. 前記ゴム材料は、架橋助剤として不飽和結合を二つ以上有する化合物を含む請求項2に記載の燃料電池用シール一体部材の製造方法。
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