JP6338180B2 - 光学シミュレーション方法およびそれを実行させるためのプログラム - Google Patents
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に関する。
光透過面は、互いに垂直なx方向とy方向により規定される矩形を組み合わせた形状である。x方向とy方向に対して垂直な方向をz方向とする。
この方法は、
コンピュータが、発光素子を含むxz断面とyz断面でそれぞれ、放射光に含まれる複数の光線について光線追跡を行う工程と、
コンピュータが、発光素子を含むxz断面とyz断面でそれぞれ、光線追跡の結果に基づいて、光透過面を透過する放射光の強度についての1次元分布Hx,Vyを得る工程と、
コンピュータが、xz断面での1次元分布Hxとyz断面での1次元分布Vyとを乗算し、光透過面を透過する放射光の強度についての2次元分布を得る工程と
を含む。
以下、図1中の互いに垂直なx方向、y方向をそれぞれ水平方向(horizontal direction)、垂直方向(vertical direction)とする。x方向、y方向に対して垂直な方向をz方向(上下方向)とし、+z方向を上側、−z方向を下側とする。なお、これらの方向を表す用語は、図面中の方向を特定するため便宜的に用いており、本発明を限定するものではない。
キャビティ1は、底面と側面により規定される錐体である。底面はz軸に対して垂直な面内に位置し、側面は底面に対して傾斜している。LED3は、キャビティ1の底面に載置されている。キャビティ1の底面にはリードフレーム5が露出している。リードフレーム5は、ワイヤ(図示せず)によりLED3の電極に電気的に接続されている。LED3は発光素子の一例である。封止樹脂4は光透過材料の一例である。
θc=arcsin(n2/n1) …(1)
で与えられる。θiが臨界角θcより小さい場合、屈折角θrは
θr=arcsin(n1/n2sinθi) …(2)
で与えられる。
この方法は、光学シミュレーション用のプログラムが組み込まれた光学シミュレータ(図示せず)を用いて実行される。光学シミュレータは、CPU(中央演算装置)、メモリ、入力部、表示部などを備えたコンピュータにより実現される。本実施形態による光学シミュレーション方法の実行には高い処理能力は要求されない。それゆえ、コンピュータとして、タブレット端末、スマートフォンなどを用いてもよい。タブレット端末、スマートフォンの場合、タッチパネルが入力部と表示部を兼ねる。
光学シミュレータのユーザ、例えば光学装置10の設計者などは、コンピュータの入力部を介して、各コンポーネントの寸法と光学特性(dimensions and optical properties)、およびシミュレーションパラメータ(simulation parameters)をユーザインタフェースに入力する。ユーザインタフェースには、入力画面と一緒にシミュレーションの結果が表示される(図3の左上)。
(1)各コンポーネントの寸法と光学特性
(a)キャビティ1の上部長さ(top length)と下部長さ(bottom length)
(b)キャビティ1の上部幅(top width)と下部幅(bottom width)
(c)キャビティ1の深さ(depth)
(d)パッケージ2の反射率(reflectance)と反射タイプ(reflection type)
(e)リードフレーム5の反射率(reflectance)と反射タイプ(reflection type)
(f)封止樹脂4の屈折率(refractive index)n2
(g)LED3の長さ、幅、高さ(length, width, height)
(h)LED3の発光タイプ(light emitting)
(2)シミュレーションパラメータ
(a)光線発射回数N(a number of rays)
(b)光透過面Tのメッシュ数(mesh of top surface)
(c)減衰係数(attenuation factor)
放射光に含まれる各光線は、上方向(+z方向)または下方向(−z方向)に対してθe傾斜した方向に向けて、LED3の上面から発射される。発射される方向が上方向であるか下方向であるかは、それぞれ1/2の確率で選択される。反射タイプについてガウス分布(Gaussian)が選択された場合、θeは、平均0で標準偏差σの正規分布N(0,σ2)に従う乱数(正規乱数)である。ランバート分布(Lambertian)が選択された場合、θeは一様乱数である。
鏡面反射(mirror)が選択された場合、θl=θiである。ガウス反射(Gaussian)、ランバート反射(Lambertian)が選択された場合、θl=θi+θvである(−90°≦θl≦90°)。ガウス反射では、θvは、平均0で標準偏差σの正規分布N(0,σ2)に従う乱数(正規乱数)である。ランバート反射では、θvは一様乱数である。
この方法は、光透過面Tを透過して発光装置10の外部へ出射される放射光の強度についてシミュレーションを行う方法である。以下、フローチャートのYesを肯定、Noを否定と記載する。
既に光線が発射された回数(放射光に含まれる光線の数)がN回より小さいか否かが判定される(工程S1)。工程S1が肯定の場合、1本の光線が発射される(工程S2)。工程S2は、放射光に含まれる各光線の発射位置および発射角度を入力パラメータとするモンテカルロ法に基づいて行われる。
光線がパッケージ2またはリードフレーム5の表面で反射する場合、反射前の光強度I(in)と反射後の光強度I(re)の関係は、水平方向(添え字xn)と垂直方向に(添え字yn)ついてそれぞれ、
Ixn(re)=ρIxn(in) …(3)
Iyn(re)=ρIyn(in) …(4)
で表される。ρは、パッケージ2またはリードフレーム5の反射率である(0.0≦ρ≦1.0)。Ixn、Iynの初期値はそれぞれ1.0とする。以下、添え字のnは、第n番目に発射された光線であることを示す(n=1,2…N)。
Hx=H0+ΣIxn …(5)
Vy=V0+ΣIyn …(6)
で与えられる。なお、H0、V0はHx、Vyの初期値であり、通常は0とする。このようにして、LED3を含むxz断面とyz断面で、それぞれ、光透過面Tを透過する放射光の強度についての1次元分布Hx,Vyが計算される。
Dyx=HxVy …(7)
Dn=D/max(D) …(8)
ここで、得られる相対強度分布Dnでは、LED3からの距離が大きくなる2次元分布の端部、特に4つの隅部では、実際に発光装置10を製造した場合に得られる分布よりも大きい値となり誤差が大きくなることが判っている。誤差を無視することもできるが、2次元分布Dyxの計算の際に重み関数wyxを乗算することにより、当該誤差を補正できる。重み関数wyxは、例えば下記の式で表される。
次に、本実施形態による光学シミュレーション方法の実施例について説明する。
・OS:Windows(登録商標)7 Professional 64bit
・IDE(統合開発環境):Visual C# 2010(Microsoft Visual Studio 2010)
・CPU:Intel Core i7−3770 3.4GHz
・RAM(ランダムアクセスメモリ):16GB
実施例4から6では、LED3の発光タイプとしてランバート分布を選択し、その他のパラメータは実施例1から3と同一にしてシミュレーションを行った。図10から図12と図7C、図8C、図9Cとを比較すると、ガウス分布の方がより光透過面Tでの均一な光強度分布が得られている。したがって、条件1から3で設定したキャビティ1などのパラメータの場合、ユーザはガウス分布を選択するのが好ましいと言える。
次に、本実施形態の変形例について、図16および図17を用いて説明する。図16は発光装置10を光透過面T側から見た図である。図17(a)〜(c)は、それぞれ図16のA−A線断面図、B−B線断面図、C−C線断面図であって、キャビティ1の内部のみを示す。
2 パッケージ
3 LEDチップ
4 封止樹脂
5 リードフレーム
10 光学装置
T 光透過面
Claims (7)
- 凹部を有するパッケージと、凹部の底面に載置されて放射光を発生させる発光素子と、凹部に充填された光透過材料とを備えた発光装置において、光透過材料が規定する光透過面を透過して発光装置の外部へ出射される放射光の強度についてコンピュータを用いてシミュレーションを行う光学シミュレーション方法であって、光透過面は、互いに垂直なx方向とy方向により規定される矩形を組み合わせた形状であって、x方向とy方向に対して垂直な方向をz方向とし、
コンピュータが、発光素子を含むxz断面とyz断面でそれぞれ、放射光に含まれる複数の光線について光線追跡を行う工程と、
コンピュータが、発光素子を含むxz断面とyz断面でそれぞれ、光線追跡の結果に基づいて、光透過面を透過する放射光の強度についての1次元分布Hx,Vyを得る工程と、
コンピュータが、xz断面での1次元分布Hxとyz断面での1次元分布Vyとを乗算し、光透過面を透過する放射光の強度についての2次元分布を得る工程と
を含むことを特徴とする光学シミュレーション方法。 - コンピュータが、発光素子からの距離に応じて2次元分布を補正するための補正関数を計算する工程を含み、
2次元分布を得る工程は、xz断面での1次元分布Hxとyz断面での1次元分布Vyとの積HxVyに対して補正関数を乗算するサブ工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の光学シミュレーション方法。 - 光透過面が非矩形面である場合に、光線追跡を行う工程では、互いに異なる形状を有する複数のxz断面、および/または、互いに異なる形状を有する複数のyz断面で光線追跡を行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の光学シミュレーション方法。
- 光線追跡を行う工程は、放射光に含まれる各光線が光透過面を透過するまで、発光装置内での反射による光強度の減衰計算を行うサブ工程を含み、
1次元分布Hx,Vyを得る工程は、予めメッシュ分割された光透過面の計算格子に対して、減衰計算を経た各光線の光強度を積算するサブ工程を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の光学シミュレーション方法。 - 発光素子が載置される凹部の底面にはリードフレームが露出し、
減衰計算を行うサブ工程では、発光素子の寸法、凹部の寸法、パッケージの反射率および反射タイプ、リードフレームの反射率および反射タイプ、封止樹脂の屈折率ならびにこれらの組合せ、からなる群から選択されるパラメータを基に減衰計算を行うことを特徴とする、請求項4に記載の光学シミュレーション方法。 - 光線追跡を行う工程では、放射光に含まれる各光線の発射位置および発射角度を入力パラメータとするモンテカルロ法に基づいて各光線を発射することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の光学シミュレーション方法。
- コンピュータに請求項1から6のいずれか1項に記載の光学シミュレーション方法を実行させるためのプログラム。
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