JP6337583B2 - 構造色フィルターおよびこれを用いた光学機器 - Google Patents

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Description

本発明は、構造色を利用した構造色フィルターおよびこれを用いた光学機器に関する。特に、透明性薄膜材料と金属性薄膜材料からなる回折格子パターンと、透過率調整用の薄膜を持つ構造によって生じる色特性を利用する構造色フィルターに関する。
カラーフィルターは、ディスプレイ、イメージセンサー、各種光学機器、分析機器などで、色を表現または識別する素子として、様々な用途で利用される。その機能の実現には、一般的には色素を添加した高分子材料や、数十層の多層膜がつくる干渉色が使用されている。
他方、光の波長程度のスケール(厚さ、寸法)の薄膜や回折格子構造によって発生する光の干渉や回折の結果として発現する構造色を用いたカラーフィルター(以下、構造色フィルターと記す)が知られている。構造色フィルターは、色素合成プロセスを必要とせず、構造パラメータの最適化により多様な色特性を、同一基板上に一括形成できる、等の特長を有する。
光の波長程度のスケールの構造やパターンを形成する方法としては、従来、電子線描画などの半導体プロセス技術が必要とされ、構造色フィルターの製造コストを高める要因となっていたが、近年、より量産に適したナノインプリント技術が進展しつつあり、構造色フィルターの製造への適用が期待されている。(特許文献1、非特許文献1参照)。
しかしながら、構造色フィルターは、前述のように、回折格子による光の干渉、回折を利用することから、波長帯域(発色要因となる、反射率や透過率のスペクトルのピーク若しくはボトムの半値幅)が狭くなり、彩度の高い色を生じることが多い反面、入射光の入射角や観察方向に依存して色特性が変化する、いわゆる入射角依存性(視野角依存性)が大きいという欠点を有していた。
図14は、石英基板上11に、ナノインプリントにより高分子樹脂(以下、適宜ポリマーと略記)の回折格子12を形成した構造色フィルター30の断面模式図である。図14において、d1は形成した回折格子12の厚さ(深さ)、d2はナノインプリント後の残膜部の厚さであり、P、wはそれぞれ回折格子12の周期、線幅を表わしている。また、4、5、9はそれぞれ入射光、透過光、反射光であり、θは入射光の入射角を表わしている。
図14の構造において、d1=250nm、d2=100nm、F(回折格子の線幅/周期)=w/P=0.45とし(Fは通常Filling Factorと呼ばれる)、TE(Transverse Electric)偏光を、上面(回折格子側)から垂直入射(入射角θ=0)したときの分光反射率(反射率スペクトル)を計算すると、図15の(a)のようになる。ここで、ポリマーとしては、波長400nmから700nmにおける平均屈折率が1.70程度のものを用いている。計算には、コンピュータを用いた電磁界解析法の一種である、厳密結合波解析(RCWA)法を使用した(非特許文献2参照)。
ヒトの眼の分光感度特性によると、青色(B)と感じる光強度のピーク波長は約450nm、同じく緑色(G)、赤色(R)と感じる光強度のピーク波長はそれぞれ、約550nm、610nmである。図15の(a)によると、回折格子12の周期:P=300nm、375nm、415nmとしたときに、それぞれ光の波長=450nm、550nm、610nm付近にピークが出来ており、これらの周期で作製することで、加法混色用のB、G、Rの構造色フィルターとなることが分かる。
図15の(b)は、構造色フィルター30に対して、TE偏光を上面(回折格子側)から入射角θ=5deg(°)で入射したときの分光反射率を計算したものである。図15の(b)では、図15の(a)のB、G、Rのピークに、B1、B2、G1、G2、R1、R2と分離が発生している。このように、入射角をわずかに変化させただけで、分光反射率は変化し、図14の構造色フィルター30の視野角は狭いことが分かる。
また、図14のような構造の構造色フィルター30においては、上記のように反射光を利用することはできるが、透過光を利用してB、G、Rの色特性をもつ透過型構造色フィルターを作製することは困難であった。
特許第5023324号公報
金森義明著、「構造色を利用したカラーフィルターの開発」、月刊ディスプレイ、テクノタイムズ社、2009年、3月号、p.32 渋谷眞人、大木裕史著、「回折と結像の光学(光学ライブラリー)」、初版、朝倉書店、2005年12月、p.207
構造色フィルターは、前述のように、回折格子による光の干渉、回折を利用することから、波長帯域(発色要因となる、反射率や透過率のスペクトルのピーク若しくはボトムの半値幅)が狭くなり、彩度の高い色を生じることが多い反面、入射光の入射角や観察方向に依存して色特性が変化する、いわゆる入射角依存性(視野角依存性)が大きいという欠点を有していた。本発明は、彩度が高く(色特性が高く)、かつ、入射角依存性、すなわち視野角依存性の低い透過型構造色フィルターおよびこれを用いた光学機器を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するための本発明の一局面は、基板と、基板に積層された透過率調整用の薄膜と、透過率調整用の薄膜に積層された透明性薄膜と、透明性薄膜に形成された回折格子パターンの間隙に埋め込まれた金属性薄膜材料とを含み、透過率調整用の薄膜は、Ta および可視光域より短い波長領域から長い波長領域にかけて、消衰係数が単調に小さくなる方向へ変化するTaNを含む化合物膜であって、Ta :TaNの組成比が50:50から85:15の範囲内で、膜厚が100nm以上150nm以下であり、回折格子パターンは、格子部膜厚が、100nm以上150nm以下で、残膜部膜厚が、50nm以下で、回折格子の線幅が、104nm以上242nm以下で、回折格子の周期が、260nm以上605nm以下である、可視光域の所定の波長において透過率のピークを有する、構造色フィルターである。
また、金属性薄膜材料はAlであってもよい。
また、本発明の他の局面は、上述の構造色フィルターを含み、構造色フィルターへの入射光として、TE偏光を用いる、光学機器である。
本発明は、従来作製が困難であった透過型構造色フィルターの彩度等の色特性を向上するとともに、構造色フィルターの課題であった入射角依存性、すなわち視野角依存性が大きいという欠点を抑えることができる。また、金属性膜として安価で入手しやすいAlを使用することで他の金属を用いるより製造コストを低減でき、また、インプリント技術を用いることで、半導体プロセス技術を用いるより製造コストを低減できる。
本発明に係る構造色フィルターの断面模式図(回折格子側から入射光を入射する場合の概念図) 本発明に係る構造色フィルターの断面模式図(基板側から入射光を入射する場合の概念図) 透過率調整膜を持たない構造色フィルターの断面模式図 透過率調整膜を持たない構造色フィルターにTE偏光である入射光を回折格子側から垂直入射した場合の分光透過率を計算した結果を示す特性図 (a)TaN膜と、(b)Ta膜の波長に対する光学定数(n:屈折率、k:消衰係数)の変化を示す特性図 透過率調整膜を持たない構造色フィルターにTE偏光である入射光を基板側から垂直入射した場合の分光透過率を計算した結果を示す特性図 実施例1および2の構造色フィルターに、TE偏光である入射光を回折格子側から垂直入射した場合の分光透過率を計算した結果を示す特性図 実施例1の構造色フィルターに、TE偏光である入射光を回折格子側の斜め方向から入射した場合の分光透過率を計算した結果を示す特性図 実施例3および4の構造色フィルターに、TE偏光である入射光を基板側から垂直入射した場合の分光透過率を計算した結果を示す特性図 実施例3の構造色フィルターに、TE偏光である入射光を基板側の斜め方向から入射した場合の分光透過率を計算した結果を示す特性図 実施例5の構造色フィルターに、TE偏光である入射光を回折格子側の(a)垂直方向から、および(b)斜め方向から入射した場合の分光透過率を計算した結果を示す特性図 実施例6の構造色フィルターに、TE偏光である入射光を基板側の(a)垂直方向から、および(b)斜め方向から入射した場合の分光透過率を計算した結果の例を示す特性図 実施例7の構造色フィルターに、TE偏光である入射光を回折格子側の(a)垂直方向から、および(b)斜め方向から入射した場合の分光透過率を計算した結果を示す特性図 従来技術に係る構造色フィルターの断面模式図であり、回折格子側から入射光を入射する場合の概念図 従来技術の構造色フィルターに、TE偏光である入射光を回折格子側の(a)垂直方向から、および(b)斜め方向から入射した場合の分光反射率を計算した結果を示す特性図
図1および図2に、本発明に係る構造色フィルター10の一実施形態を示す。図1および図2に示すように、構造色フィルター10は、基板1(石英、アルミナなど透明性であることが好ましい)と、回折格子パターンが形成された透明性薄膜2と、回折格子パターンの間隙に埋め込まれた金属性薄膜材料3と、透過率調整用の薄膜である透過率調整膜4とが積層されて構成される。
金属性薄膜材料3は、安価で入手しやすいAl(アルミニウム)が好適である。Alを使用することで他の金属を用いるより製造コストを低減できる。また、インプリント技術を用いることで、半導体プロセス技術を用いるより製造コストを低減できる。
透過率調整膜4は、Ta(タンタル)、窒素および酸素を含んでもよい。
図1および図2に示すように、構造色フィルター10においては、TE偏光である入射光(図1では5、図2では7)が回折格子側(図1)、または基板側(図2)から入射し、それらの透過光(図1では6、図2では8)は、加法混色用の3原色である、B(青)、G(緑)、R(赤)として利用することができる。
以下、構造色フィルター10における、透明性薄膜2と金属性薄膜材料3の組み合わせからなる回折格子による波長選択性の発現と、透過率調整膜4の役割について、波長400nmから700nmの可視光域におけるTE偏光入射の分光透過率を計算した結果を用いて説明する。計算方法は、図15と同様、RCWA法であり、基板1の材料には石英、透明性薄膜2の材料には図15の場合と同じポリマー、金属性薄膜材料3としてはAl、透過率調整膜4の材料にはTaN、またはTaNとTaとの一定組成からなる化合物薄膜を用いた。計算に必要な屈折率は、石英は1.46で一定とし、Al、TaN、Taについては、次の情報から得た数値を用いた。
Nanolithography Research Labs、「Optical Properties of Thin Films for DUV and VUV Microlithography」、[online]、2012年4月26日、インターネット<URL: http://www.rit.edu/kgcoe/microsystems/lithography/thinfilms/thinfilms/thinfilms>
また、ポリマーは光の波長400nmから700nmの領域における平均屈折率が約1.70のポリマーであり、分光エリプソメーターで実際に測定した数値を用いた。
まず、図3に示す、構造色フィルター20に回折格子側から光が入射する場合について説明する。構造色フィルター20は、本発明に係る構造色フィルター10と比較して、透過率調整膜4がない構造である。構造色フィルター20は、ヒトの目の分光感度特性に即して、B(青):450nm、G(緑):550nm、R(赤):610nmの光の波長にピークができるよう、構造パラメータである格子部膜厚:d1、残膜部膜厚:d2、周期:P、およびF=w/Pを調整して設計した。構造色フィルター20の2つの例について、分光透過率を計算した結果を図4の(a)、(b)に示す。それぞれの場合のパラメータの数値は、(a)が、d1=150nm、d2=100nm、F=w/P=0.5、回折格子の周期:P=270nm、430nm、520nm、(b)が、d1=150nm、d2=50nm、F=w/P=0.5、回折格子の周期:P=270nm、430nm、520nmとした。なお、図4の(a)、(b)に示した結果は、後述する実施例において「比較例1」と呼ぶ。
図4の(a)、(b)を見ると、どちらの場合においても、透明性薄膜2と金属性薄膜材料3の組み合わせからなる周期:P=270nm、430nm、520nmの回折格子とすることで、目的とする光の波長(B(青):450nm、G(緑):550nm、R(赤):610nm)付近にピークはできている。しかしながら、特にG(緑)、R(赤)においては、ピーク以外の透過率がまだかなり高く、色特性を反映する波長選択性は不十分であるといえる。
また、図4の(a)、(b)に依れば、上記の波長選択性を劣化させている要因は、ピークより短い波長領域における透過率が高いことである。そこで、透過光が透過率調整膜4を通る図1および2のような構造とすることで、ピークより短い波長領域における透過率を低下させることができると考えられる。
ピークより短い波長領域における透過率を、透過率調整膜4を通すことで低下させるためには、ピークよりも短い波長領域からピークよりも長い波長領域にかけて、次第に光吸収が小さくなるような透過率調整膜4を用いればよい。そのためには、ピークより短い波長領域から長い波長領域にかけて、吸収を左右する消衰係数(複素屈折率の虚数部分)が単調に小さくなる方向へ変化する材料を選択することが考えられる。
種々の材料の波長に対する消衰係数kおよび屈折率nを比較した結果、TaNの変化は上述のアドレスの情報を参照すると図5の(a)のようであり、波長400nmから700nmの可視光域において、消衰係数kが直線的に小さくなり、望ましい変化をしていることが分かった。
しかしながら、検討の結果、TaN膜単独では消衰係数kの値が大きすぎ、透過率が低くなりすぎることが分かった。一方、Ta膜の消衰係数kおよび屈折率nの変化は、上述のアドレスの情報を参照すると、図5の(b)のようであり、波長400nmから700nmの可視光域において、消衰係数kがほぼ0の透明な膜であることが分かる。
そこで、TaN膜とTa膜の好適な組成からなる化合物薄膜(TaO膜。以下適宜TaON膜と略記)を透過率調整膜4とすれば、目的に叶う分光透過率特性が得られることが分かった。
なお、上記のTa膜の役割は、TaN膜をより透明化し、組成比の調整により好適な光学特性とすることであるので、十分透明な膜であればよく、Ta膜に限らず、SiN膜やSiO膜であってもよい。これらの場合のTaN膜との化合物薄膜はそれぞれ、TaSiON膜、TaSiN膜となるが、いずれにおいてもTa、窒素および酸素を含むことでは共通しており、本発明の透過率調整膜4に用いることができる。
次に、図6の(a)、(b)には、構造色フィルター20の、基板1側から光が入射する場合について、図4の場合と同様、ヒトの目の分光感度特性に即して、B(青):450nm、G(緑):550nm、R(赤):610nmの光の波長にピークができるよう、構造色フィルター20の構造パラメータである格子部膜厚:d1、残膜部膜厚:d2、周期:P、およびF=w/Pを調整して設計した2つの例を示す。それぞれの場合のパラメータの数値は、(a)が、d1=120nm、d2=100nm、F=w/P=0.45、回折格子の周期:P=350nm、560nm、690nm、(b)が、d1=150nm、d2=50nm、F=w/P=0.45、回折格子の周期:P=305nm、480nm、590nmとした。なお、図6の(a)、(b)に示した結果は、後述する実施例において「比較例2」と呼ぶ。
図6の(a)、(b)を見ると、図4の(a)、(b)の透過率と比較すると高くはないが、やはりG(緑)、R(赤)においては、ピーク以外の透過率がいく分高く、色特性を反映する波長選択性が不十分であるといえる。
図6のように、基板1側から光が入射する場合においても、本発明に係るTa、窒素および酸素を含む透過率調整膜4を使用することで、分光透過率特性を改善することができると考えられる。
以下、図7乃至図13に、本発明に係る構造色フィルター10について、波長400nmから700nmの可視光域におけるTE偏光入射時の分光透過率を計算した結果を示す。
(実施例1、2)
実施例1および2の計算結果を図7および8に示す。実施例1(図7の(a))では、透明性薄膜2をポリマー、金属性薄膜材料3をAl、透過率調整膜4をTaONとし、TE偏光である入射光を回折格子側から入射した場合の分光透過率の計算を行った。詳細には、透過率調整膜4がTa:TaN=80:20の組成比からなる化合物膜で、d1=150nm、d2=50nm、d3=100nm、F=w/P=0.4、回折格子の周期:P=350nm、465nm、595nmとした。この結果、光の波長=450nm、550nm、610nm付近に透過率のピークができるとともに、透過率調整膜4のない比較例1の場合と比べ、ピーク以外の透過率が抑えられ、加法混色用のB、G、Rの構造色フィルター10として望ましい結果になっていることが確認された。
また、実施例2(図7の(b))では、透明性薄膜2と金属性薄膜材料3は実施例1と同じ材料の組み合わせとして、透過率調整膜4をTa:TaN=70:30の組成比からなる化合物膜として分光透過率の計算を行った。また、d1、d2、d3、Fも実施例1と同じ数値とし、回折格子の周期をP=345nm、465nm、600nmとした。この結果、光の波長=450nm、550nm、610nm付近に透過率のピークができるとともに、透過率調整膜4のない比較例1の場合と比べ、ピーク以外の透過率が抑えられ、加法混色用のB、G、Rの構造色フィルターとして望ましい結果になっていることが確認された。
図8は、実施例1の構造色フィルターに対して、TE偏光を回折格子側から入射角θ=5degおよび20degで斜め入射したときの分光透過率を計算したものである。図8から分かるように、実施例1の構造色フィルターは、入射角を20deg程度まで変化させてもB、G、Rのピーク形状に、大きな変化は見られない。また、図では省略するが、実施例2の構造色フィルターに対しても同様である。このように、本発明に係る構造色フィルター10は、TE偏光の回折格子側からの斜め入射に対する依存性が従来構造の構造色フィルターよりも小さく、視野角依存性が改善されることが確認された。
(実施例3、4)
実施例3および4の計算結果を図9および10に示す。実施例3(図9の(a))では、透明性薄膜2をポリマー、金属性薄膜材料3をAl、透過率調整膜4をTaONとし、TE偏光である入射光を基板側から入射した場合の分光透過率の計算を行った。詳細には、透過率調整膜4がTa:TaN=85:15の組成比からなる化合物膜で、d1=150nm、d2=50nm、d3=100nmとし、F=w/P=0.4、回折格子の周期:P=345nm、465nm、590nmとした。この結果、光の波長=450nm、550nm、610nm付近に透過率のピークができるとともに、透過率調整膜4のない比較例2の場合と比べ、ピーク以外の透過率が抑えられ、加法混色用のB、G、Rの構造色フィルター10として望ましい結果になっていることが確認された。
また、実施例4(図9の(b))では、透明性薄膜2と金属性薄膜材料3は実施例3と同じ材料の組み合わせで、透過率調整膜4をTa:TaN=70:30の組成比からなる化合物膜として分光透過率の計算を行った。また、d1、d2、d3、Fも実施例3と同じ数値とし、回折格子の周期をP=340nm、465nm、605nmとした。この結果、光の波長=450nm、550nm、610nm付近に透過率のピークができるとともに、透過率調整膜4のない比較例2の場合と比べ、ピーク以外の透過率が抑えられ、加法混色用のB、G、Rの構造色フィルター10として望ましい結果になっていることが確認された。
図10は、実施例3の構造色フィルター10に対して、TE偏光を基板1側から入射角θ=5degおよび20degで斜め入射したときの分光透過率を計算したものである。図10から分かるように、実施例3の構造色フィルター10は、入射角を20deg程度まで変化させてもB、G、Rのピーク形状に、大きな変化は見られない。また、図では省略するが、実施例4の構造色フィルターに対しても同様である。このように、本発明の構造色フィルターは、TE偏光の基板1側からの斜め入射に対する依存性が従来構造の構造色フィルターよりも小さく、視野角依存性が改善されることが確認された。
(実施例5)
実施例5の計算結果を図11に示す。実施例5では、透明性薄膜2をSiN膜、金属性薄膜材料3をAl、透過率調整膜4をTaONとし、TE偏光である入射光を回折格子側から入射した場合の分光透過率の計算を行った。詳細には、透過率調整膜4がTa:TaN=50:50の組成比からなる化合物膜で、d1=100nm、d2=50nm、d3=140nmとし、B(青)に対してはF=w/P=0.35、G(緑)とR(赤)に対してはF=w/P=0.40、回折格子の周期:P=310nm、400nm、600nmとした。この結果、光の波長=450nm、550nm、610nm付近に透過率のピークができるとともに、透過率調整膜のない比較例1の場合と比べ、ピーク以外の透過率が抑えられ、加法混色用のB、G、Rの構造色フィルターとして望ましい結果になっていることが確認された(図11の(a))。
図11の(b)は、実施例5の構造色フィルター10に対して、TE偏光を回折格子側から入射角θ=20degで斜め入射したときの分光透過率を計算したものである。図11の(b)から分かるように、実施例5の構造色フィルター10は、入射角を20deg程度まで変化させてもB、G、Rのピーク形状に、色特性に影響するような変化は見られない。このように、本発明に係る構造色フィルター10は、SiN膜を透明性薄膜2とする場合においても、TE偏光の回折格子側からの斜め入射に対する依存性が従来構造の構造色フィルターよりも小さく、視野角依存性が改善されることが確認された。
(実施例6)
実施例6の計算結果を図12に示す。実施例6では、透明性薄膜2をSiN膜、金属性薄膜材料3をAl、透過率調整膜4をTaONとし、TE偏光である入射光を基板1側から入射した場合の分光透過率の計算を行った。詳細には、透過率調整膜4がTa:TaN=50:50の組成比からなる化合物膜で、d1=130nm、d2=50nm、d3=120nm、F=w/P=0.40、回折格子の周期:P=260nm、370nm、460nmとした。この結果、それぞれ波長=450nm、550nm、610nm付近に透過率のピークができるとともに、透過率調整膜4のない比較例2の場合と比べ、ピーク以外の透過率が抑えられ、加法混色用のB、G、Rの構造色フィルター10として望ましい結果になっていることが確認された(図12の(a))。
図12の(b)は、実施例6の構造色フィルター10に対して、TE偏光を基板側から入射角θ=20degで斜め入射したときの分光透過率を計算したものである。図12の(b)から分かるように、実施例6の構造色フィルター10は、入射角を20deg程度まで変化させてもB、G、Rのピーク形状に、色特性に影響するような変化は見られない。このように、本発明に係る構造色フィルター10は、SiN膜を透明性薄膜とする場合においても、TE偏光の基板側からの斜め入射に対する依存性が従来構造の構造色フィルターよりも小さく、視野角依存性が改善されることが確認された。
(実施例7)
実施例7の計算結果を図13に示す。実施例7では、透明性薄膜2の残膜部がない(d2=0nm)構造色フィルター10を用いた。一般に回折格子のパターンをインプリントで形成する場合には、ポリマーの残膜部が発生するが、半導体プロセスでエッチングにより形成する場合は、残膜部をつくることもできるが、基板表面までエッチングすることで残膜部を無くすこともできる。実施例7では、構造色フィルター10を、回折格子の透明性薄膜2がSiN膜、回折格子の金属性薄膜材料3がAl、透過率調整膜4がTa:TaN=70:30の組成比からなる化合物膜で、d1=150nm、d3=150nmであるが、残膜部は無く(d2=0nm)、B(青)に対してはF=w/P=0.40、G(緑)とR(赤)に対してはF=w/P=0.35の条件で、回折格子の周期:P=265nm、410nm、470nmとして作製した。この結果、波長=450nm、550nm、610nm付近に透過率のピークができるとともに、透過率調整膜4のない比較例1の場合と比べ、ピーク以外の透過率が抑えられ、透明性薄膜の残膜部がない場合においても、加法混色用のB、G、Rの構造色フィルター10として望ましい結果になることが確認された(図13の(a))。
図13の(b)は、実施例7の構造色フィルター10に対して、TE偏光を回折格子側から入射角θ=20degで斜め入射したときの分光透過率を計算したものである。図13の(b)から分かるように、実施例7の構造色フィルター10は、入射角を20deg程度まで変化させてもB、G、Rのピーク形状に、色特性に影響するような変化は見られない。このように、本発明に係る構造色フィルター10は、SiN膜を透明性薄膜とし、その残膜部がない場合においても、TE偏光の回折格子側からの斜め入射に対する依存性が従来構造の構造色フィルターよりも小さく、視野角依存性が改善されることが確認された。
図を用いた説明は省略するが、残膜部がない構造においては、TE偏光の基板側からの入射や、透明性薄膜をポリマーとする場合においても本発明に係る構造色フィルター10は、TE偏光の斜め入射に対する依存性が従来構造の構造色フィルターよりも小さく、視野角依存性が改善されることが確認された。
以上の結果から、本発明に係る構造色フィルター10は、従来作製が困難であった透過型構造色フィルターの色特性を向上するとともに、構造色フィルターの課題であった入射角依存性、すなわち視野角依存性が大きいという欠点を抑えることが確認できた。また金属性膜として安価で入手しやすいAlを使用することで他の金属を用いるより製造コストを低減でき、また、インプリント技術を用いることで、半導体プロセス技術を用いるより製造コストを低減できた。
また、本発明に係る構造色フィルターは、入射光としてTE偏光を用いたカラーディスプレイ等の各種光学機器に用いることもできる。
本発明は、色素を添加した高分子材料を使わず、透明性材料と金属性材料からなる回折格子パターンと、透過率調整膜を使い、構造パラメータ(膜厚、周期、線幅)を最適化することにより、多様で、視野角依存性が小さく視野角が広く、彩度等の色特性に優れた透過型カラーフィルターを、同一基板上に一括形成できるので、ディスプレイ、イメージセンサー、分析機器などの各種光学機器への応用が期待される。
1 基板
2 透明性薄膜
3 金属性膜
4 透過率調整膜
5、7 入射光
6、8 透過光
9 反射光
10、20、30 構造色フィルター
11 石英基板
12 回折格子

Claims (3)

  1. 基板と、前記基板に積層された透過率調整用の薄膜と、前記透過率調整用の薄膜に積層された透明性薄膜と、前記透明性薄膜に形成された回折格子パターンの間隙に埋め込まれた金属性薄膜材料とを含み、
    前記透過率調整用の薄膜は、
    Ta および可視光域より短い波長領域から長い波長領域にかけて、消衰係数が単調に小さくなる方向へ変化するTaNを含む化合物膜であって、Ta :TaNの組成比が50:50から85:15の範囲内で、
    膜厚が100nm以上150nm以下であり、
    前記回折格子パターンは、
    格子部膜厚が、100nm以上150nm以下で、
    残膜部膜厚が、50nm以下で、
    回折格子の線幅が、104nm以上242nm以下で、
    回折格子の周期が、260nm以上605nm以下である、
    可視光域の所定の波長において透過率のピークを有する
    前記構造色フィルター。
  2. 前記金属性薄膜材料はアルミニウムである、請求項1に記載の構造色フィルター。
  3. 請求項1または2に記載の構造色フィルターを含み、前記構造色フィルターへの入射光として、TE偏光を用いる、光学機器。
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