JP6337192B1 - 水素担持粉末、並びに該水素担持粉末を含む食品及び肥料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、水分と接触することにより、水素担持粉末1g当たり0.1μL以上100μL以下の水素ガスを発生し、且つ、その水分の酸化還元電位が−400mV以上−30mV以下となる水素担持粉末の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る水素担持粉末の製造方法は、温度が450℃超900℃以下、水素濃度が5vol%以上100vol%以下、且つ圧力が0.1MPa以上1.5MPa以下であるガス雰囲気下において、炭酸カルシウム含有粉末を熱処理して水素担持粉末前駆体を製造する高温処理工程、及び
温度が150℃以上400℃以下、水素濃度が5vol%以上100vol%以下、且つ圧力が0.1MPa以上1.5MPa以下であるガス雰囲気下において、水素担持粉末前駆体を熱処理して水素担持粉末を製造する低温処理工程、
を含むことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、水素担持粉末の製造方法、水素担持粉末、並びに該水素担持粉末を含む食品及び肥料に関するものである。
近年、活性酸素の除去、癌の抑制、及びダイエット等に効果的に作用する可能性を有する食品として水素水が各社から提供されており、水素水に対する期待は高まっている。水素水とは、水素分子(水素ガス)の濃度を高めた水であり、水素水の製造に利用可能な材料が種々検討されている。例えば、特許文献1〜2には、水素ガスが保持された水素ガス含有炭酸カルシウムが開示されており、該水素ガス含有炭酸カルシウムを水に投入すると、水素ガス含有炭酸カルシウム中の水素ガスが放出されることが開示されている。
一方、人間の体内では様々な酸化反応が起こっており、日々、活性酸素や酸化物が生成している。活性酸素等の増加は、種々の疾患を引き起こす可能性があるため、抗酸化作用を有する食品の研究も進んでいる。活性酸素等の影響を低減するには、活性酸素等を還元することが効果的と考えられ、高い還元力を有する食品等も数多く提供されている。例えば、特許文献3には、該文献に開示される食べるマイナス水素イオンによれば水道水の酸化還元電位(ORP)の値を+750mVから−250mVにまで下げることができ、これにより還元力の高い飲料水が提供されることが開示されている。
特許第4472022号公報 特許第4729649号公報 特許第4404657号公報
しかし従来は、水と接触したときに、水素分子を放出し、且つ、高い還元力を示すような材料は提供されていなかった。そこで本発明は、水分と接触することにより、水素担持粉末1g当たり0.1μL以上100μL以下の水素ガスを発生し、且つ、その水分の酸化還元電位が−400mV以上−30mV以下となる水素担持粉末の製造方法を提供することを本発明の課題として掲げた。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、高温処理工程及び低温処理工程の二段階の熱処理工程を含む製造方法であれば、上記特性を満足できる水素担持粉末が製造されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る水素担持粉末の製造方法は、以下の点に要旨を有する。
[1] 温度が450℃超900℃以下、水素濃度が5vol%以上100vol%以下、且つ圧力が0.1MPa以上1.5MPa以下であるガス雰囲気下において、炭酸カルシウム含有粉末を熱処理して水素担持粉末前駆体を製造する高温処理工程、及び
温度が150℃以上400℃以下、水素濃度が5vol%以上100vol%以下、且つ圧力が0.1MPa以上1.5MPa以下であるガス雰囲気下において、水素担持粉末前駆体を熱処理して水素担持粉末を製造する低温処理工程、
を含むことを特徴とする水素担持粉末の製造方法。
[2] 前記高温処理工程を0.5時間以上2時間以下行い、前記低温処理工程を1時間以上6時間以下行う[1]に記載の水素担持粉末の製造方法。
[3] 前記炭酸カルシウム含有粉末が、サンゴ、貝類、真珠、有孔虫およびウミユリよりなる群から選択される少なくとも1種以上に由来する粉末である[1]または[2]に記載の水素担持粉末の製造方法。
また本発明に係る水素担持粉末は、以下の点に要旨を有する。
[4] 炭酸カルシウムマグネシウムを70質量%以上含み、
FT−IRスペクトルにおいて、波数500cm−1以上600cm−1以下および900cm−1以上1000cm−1以下に吸収帯を有することを特徴とする水素担持粉末。
[5] 水分と接触することにより、水素担持粉末1g当たり0.1μL以上100μL以下の水素ガスを発生し、且つ、その水分の酸化還元電位が−400mV以上−30mV以下となる[4]に記載の水素担持粉末。
[6] 前記炭酸カルシウムマグネシウムが、式(1):
(MgxCay)CO3 …(1)
(式中、x,yは、0.01≦x≦0.15、0.85≦y≦0.99を表し、x+y=1である)で表される構造を含む[4]または[5]に記載の水素担持粉末。
[7] 平均粒子径が1μm以上100μm以下である[4]〜[6]のいずれか1項に記載の水素担持粉末。
[8] [4]〜[7]のいずれか1項に記載の水素担持粉末を含むことを特徴とする食品。
[9] [4]〜[7]のいずれか1項に記載の水素担持粉末を含むことを特徴とする肥料。
本発明によれば、水分との接触により所望量の水素ガスを発生し、且つ、その水分の酸化還元電位が−400mV以上−30mV以下となる水素担持粉末の製造方法が提供される。また該水素担持粉末の製造方法によれば、従来知られていなかった新規な特性を有する水素担持粉末が提供される。
図1(a)は、実施例において原料として使用された炭酸カルシウム含有粉末についての回折パターンである。 図1(b)は、実施例5で得られた水素担持粉末についての回折パターンである。 図2は、実施例において原料として使用された炭酸カルシウム含有粉末及び実施例5で得られた水素担持粉末についてのFT−IRによる測定結果である。 図3(a)は、南瓜の生育状況の違いを示す写真である。 図3(b)は、胡瓜の生育状況の違いを示す写真である。 図3(c)は、トマトの生育状況の違いを示す写真である。 図3(d)は、バジルの生育状況の違いを示す写真である。 図3(e)は、ピーマンの生育状況の違いを示す写真である。 図3(f)は、トウモロコシの生育状況の違いを示す写真である。 図3(g)は、ズッキーニの生育状況の違いを示す写真である。 図3(h)は、ピオーネの生育状況の違いを示す写真である。 図3(i)は、桜桃の生育状況の違いを示す写真である。 図3(j)は、スプレー菊の生育状況の違いを示す写真である。
<水素担持粉末の製造方法>
本発明に係る水素担持粉末の製造方法は、
温度が450℃超900℃以下、水素濃度が5vol%以上100vol%以下、且つ圧力が0.1MPa以上1.5MPa以下であるガス雰囲気下において、炭酸カルシウム含有粉末を熱処理して水素担持粉末前駆体を製造する高温処理工程、及び
温度が150℃以上400℃以下、水素濃度が5vol%以上100vol%以下、且つ圧力が0.1MPa以上1.5MPa以下であるガス雰囲気下において、水素担持粉末前駆体を熱処理して水素担持粉末を製造する低温処理工程、
を含むことを特徴とする。原料の炭酸カルシウム含有粉末を、水素濃度が5vol%以上のガス雰囲気下、加圧した状態で2段階の熱処理を実施することにより、水分との接触により所望量の水素ガスを発生し、且つ、その水分の酸化還元電位が−400mV以上−30mV以下となる水素担持粉末が製造される。
高温処理工程における温度は、好ましくは500℃以上、より好ましくは550℃以上、更に好ましくは600℃以上であり、酸化還元電位を下げるためには、好ましくは680℃以上であり、好ましくは880℃以下、より好ましくは860℃以下であり、水分との接触による水素ガスの発生量を増やすためには、好ましくは650℃以下である。前記温度が高くなる程、酸化還元電位は下がる傾向にあり、一方で前記温度が低くなる程、水素ガスの発生量は増える傾向にある。
一方、低温処理工程における温度は、好ましくは160℃以上、より好ましくは180℃以上、更に好ましくは200℃以上であり、好ましくは380℃以下、より好ましくは360℃以下であり、水分との接触よる水素ガスの発生量を増やすためには、好ましくは250℃以下である。前記温度が高くなる程、酸化還元電位は下がる傾向にあり、一方で前記温度が低くなる程、水素ガスの発生量は増える傾向にある。
高温処理工程及び低温処理工程は水素ガスを含むガス雰囲気下で実施され、前記ガス雰囲気中、高温処理工程及び低温処理工程における水素濃度は、それぞれ、好ましくは20vol%以上、より好ましくは50vol%以上、更に好ましくは80vol%以上、より更に好ましくは90vol%以上であり、特に好ましくは100vol%である。前記ガス雰囲気中、水素ガス以外の残部としては、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガスが好ましい。
高温処理工程及び低温処理工程における圧力は、それぞれ、好ましくは0.2MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上、更に好ましくは0.4MPa以上であり、好ましくは1.2MPa以下、より好ましくは1.1MPa以下、更に好ましくは1.0MPa以下である。前記圧力が高い程、製造される水素担持粉末の性能が良好となる。
本発明では、高温処理工程を、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは0.75時間以上、更に好ましくは1時間以上、好ましくは2時間以下、より好ましくは1.75時間以下、更に好ましくは1.5時間以下行うことが好ましい。
また低温処理工程を、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上、更に好ましくは3時間以上、好ましくは6時間以下、より好ましくは5.5時間以下、更に好ましくは5時間以下行うことが好ましい。
前記高温処理工程及び前記低温処理工程を十分な時間実施することにより、水分との接触により所望量の水素ガスを発生し、且つ、その水分の酸化還元電位が−400mV以上−30mV以下となる水素担持粉末が製造される。
高温処理工程及び低温処理工程のいずれにおいても、水素濃度の調整が容易なことから
、熱処理は水素濃度が5vol%以上100vol%以下にコントロールされたガスを流通しながら行っても良い。
原料として選択される炭酸カルシウム含有粉末としては、炭酸カルシウムを含む物質であれば特に制限なく使用できるが、得られる水素担持粉末を間接的に摂取しても安全なように、炭酸カルシウム含有粉末は生物由来の物質が好ましい。このような観点から、炭酸カルシウム含有粉末としては、サンゴ、貝類、真珠、有孔虫およびウミユリよりなる群から選択される少なくとも1種以上に由来する粉末が好ましく、サンゴに由来する粉末がより好ましい。サンゴの骨格、貝類、有孔虫、ウミユリの殻、並びに真珠は、いずれも石灰質であるため、これらには多量の炭酸カルシウムが含まれていることから、本発明の原料として適している。
炭酸カルシウム含有粉末は、更に炭酸カルシウムマグネシウムを含んでいてもよい。特に、サンゴ、貝類、真珠、有孔虫およびウミユリよりなる群から選択される少なくとも1種以上に由来する粉末は、炭酸カルシウムと炭酸カルシウムマグネシウムをバランス良く含むため、本発明の原料として最適である。炭酸カルシウム含有粉末に含まれる炭酸カルシウムマグネシウムは、例えば、後述する式(1)で表される構造、好ましくは後述する式(2)で表される構造および後述する式(3)で表される構造の少なくとも一方、より好ましくは式(2)で表される構造および式(3)で表される構造の両方を含んでいることが好ましい。
なお、炭酸カルシウム含有粉末の組成、及び後述する水素担持粉末の組成は、例えば、X線回折装置(XRD)から得られる回折パターンにより確認できる。
なお、前記炭酸カルシウム含有粉末、前記水素担持粉末前駆体、及び後述する水素担持粉末の粒径は、粉砕、分級等により適宜調整可能である。
<水素担持粉末>
本発明に係る水素担持粉末は、上述した水素担持粉末の製造方法により製造される。本発明者は種々検討したものの、上述した製造方法により得られる水素担持粉末の全容は解明できておらず、該水素担持粉末のどの構造が、本発明の効果に直接影響しているのかを未だ特定できていない。しかしながら、上述した製造方法により得られる水素担持粉末であれば、水分との接触により所望量の水素ガスを発生し、且つ、その水分の酸化還元電位が−400mV以上−30mV以下となる水素担持粉末となることは実施例の欄に示す通りであるので、以下では、解明できている水素担持粉末の構造上の特徴について詳述する。
本発明に係る水素担持粉末は、炭酸カルシウムマグネシウムを70質量%以上含み、FT−IRスペクトルにおいて、波数500cm−1以上600cm−1以下および900cm−1以上1000cm−1以下に吸収帯を有する点に特徴を有する。水素担持粉末が上記特性を有することにより、水分との接触により所望量の水素ガスを発生し、且つ、その水分の酸化還元電位が−400mV以上−30mV以下となる水素担持粉末となるものと推察される。
水素担持粉末100質量%中、炭酸カルシウムマグネシウムの含有率は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上であり、特に好ましくは100質量%である。また原料に含まれる炭酸カルシウムは、高温処理工程及び低温処理工程を経る過程で分解されるため、水素担持粉末100質量%中、炭酸カルシウムの含有率は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0質量%である。
水素担持粉末に含まれる炭酸カルシウムマグネシウムは、式(1):
(MgxCay)CO3 …(1)
(式中、x,yは、0.01≦x≦0.15、0.85≦y≦0.99を表し、x+y=1である)で表される構造を含んでいることが好ましい。xは、好ましくは0.02以上0.14以下である。yは、好ましくは0.86以上0.98以下である。
式(1)は、好ましくは式(2)または式(3)である。x2は、好ましくは0.02以上0.04以下であり、y2は、好ましくは0.96以上0.98以下である。x3は、好ましくは0.10以上0.14以下であり、y3は0.86以上0.90以下である。
式(2):
(Mgx2Cay2)CO3 …(2)
(式中、x2,y2は、0.01≦x2≦0.05、0.95≦y2≦0.99を表し、x2+y2=1である)
式(3):
(Mgx3Cay3)CO3 …(3)
(式中、x3,y3は、0.05<x3≦0.15、0.85≦y3<0.95を表し、x3+y3=1である)
水素担持粉末に含まれる炭酸カルシウムマグネシウムは、式(2)で表される構造および式(3)で表される構造の少なくとも一方を含んでいることが好ましく、より好ましくは式(2)で表される構造を含んでいることが望ましい。
水素担持粉末の平均粒子径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは20μm以下である。
なお、本明細書における平均粒子径とは、体積基準の累積粒度分布から求められるメジアン径、すなわち体積累積が50%に相当する粒子径(D50)を意味する。体積基準の累積粒度分布および平均粒子径は、一般的には、レーザー回折散乱法に基づいて測定することが可能である。
水素担持粉末は、水分と接触することにより、水素担持粉末1g当たり0.1μL以上、好ましくは0.2μL以上、より好ましくは0.3μL以上、100μL以下、好ましくは50μL以下、より好ましくは10μL以下、更に好ましくは5μL以下の水素ガスを発生する。水素担持粉末1g当たりの水素ガスの発生量の求め方は、実施例の欄で詳述する。
また水素担持粉末は、水分と接触することにより、その水分の酸化還元電位が−30mV以下、好ましくは−70mV以下、より好ましくは−100mV以下、更に好ましくは−150mV以下となり、通常−400mV以上、好ましくは−350mV以上、より好ましくは−300mV以上となる。
<水素担持粉末の用途>
本発明に係る水素担持粉末は、様々な用途に展開することが可能である。一つの用途例としては、前記水素担持粉末を含む食品が挙げられる。前記食品としては、前記水素担持粉末をカプセル充填あるいは錠剤化して直接経口できるようにした水素サプリメント;前記水素担持粉末を含む飴、ガム、グミ等の加工食品;等が例示される。また本発明の水素担持粉末は、水と接触したときに水素分子を放出するため、前記水素担持粉末を水道水、ミネラルウォーター、海洋深層水、清涼飲料水等の飲料水に添加するなど、水素水の製造
にも好ましく利用できる。
他の用途例としては、水素担持粉末を含む肥料が挙げられる。本発明に係る水素担持粉末を含む肥料は、例えば、米;無花果、桜桃、ぶどう等の果樹;茄子、南瓜、胡瓜、トマト、バジル、ピーマン、トウモロコシ、ズッキーニ等の野菜類;用の肥料として好ましく用いることができ、前記肥料によれば、果実が大きくなる、病気にかかり難くなる、結実が早くなる、といった効果が発揮される。また、植物の枯死には活性酸素が関与していることが指摘されているが(Takagi Daisuke他4名,Superoxide and Singlet Oxygen Produced within the Thylakoid Membranes Both Cause Photosystem I Photoinhibition,Plant Physiology,171(3),p.1626-1634)、本発明に係る水素担持粉末を含む肥料を用い
れば、活性酸素の除去効果により植物の延命効果も期待されるため、従来にはない画期的な肥料が提供される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
サンゴ由来の炭酸カルシウム含有粉末(サンゴ未焼成カルシウム、コーラルバイオテック株式会社「コーラルバイオ(登録商標)PW」)36質量部を耐圧容器に封入し、温度:850℃、圧力:0.9MPaの条件下、水素濃度が100vol%のガスを10L/minで流通しながら1時間高温処理し、次いで、温度:350℃、圧力:0.9MPaの条件下、水素濃度が100vol%のガスを10L/minで流通しながら4時間低温処理した。
その後、粉砕により、平均粒子径が14μmの水素担持粉末33質量部を得た。得られた水素担持粉末を用いて、H2発生量及び酸化還元電位を評価した。結果を表1に示す。
<H2発生量の評価>
(1)試料の作製;バイアル瓶(容積40ml)に、実施例で得られた水素担持粉末(3g)を入れ、そこへ純水(15ml)を加えて蓋をし、その後、バイアル瓶を35℃に加温した。35℃を維持したまま、バイアル瓶を24時間振盪した。
(2)ガスクロマトグラフィーによる分析;24時間振盪後のバイアル瓶中の気相を、ガスクロマトグラフィーに導入して分析を行った。分析条件は以下の通りである。
<<ガスクロマトグラフィー分析条件>>
・ガスクロマトグラフィー:島津製作所社製「Tracera(登録商標)」
・検出器:バリア放電イオン化検出器(BID)
・カラム:信和化工社製「MICROPACKED ST」
・カラム温度:35℃(2.5min)−20℃/min−250℃(0min)−15℃/min−270℃(5.42min) Total:20min
・ガス注入方式:ガスタイトシリンジ
・圧力プログラム:250kPa(2.5min)−15kPa/min−400kPa He
・注入モード:Split(1:10)
・気化室温度:150℃
・検出器温度:280℃
・放電ガス流量:70mL/min
・注入量:100μL
(3)H2発生量の計算;(2)により得られるGC H2濃度をA(ppm)とし、バイ
アル瓶中の気相の体積をV(mL)とすると、前記気相V(mL)に含まれるH2の容量
H2は、式(E−1)で表される。
H2=A(ppm)×V(mL)
=A×V×10-3(μL) …(E−1)
本試験では、水素担持粉末を3g使用しているから、水素担持粉末1g当たりの水素ガスの発生量は、式(E−2)により求められる。
水素担持粉末1g当たりの水素ガスの発生量
=A×V×10-3(μL)/3(g)
=A×(40−15)×10-3(μL)/3(g)
=A×25×10-3/3(μL/g) …(E−2)
<酸化還元電位の評価>
100mlガラスビーカーに、実施例で得られた水素担持粉末(1g)を入れ、そこへ純水(100ml)を加えて1分間撹拌し、液温を25℃に保持したまま3時間静置した後、酸化還元電位測定器(笠原理化工業社製pH/ORP計「KP−10Z」)の電極を前記静置した液に浸漬して酸化還元電位を測定した。
実施例2〜8、比較例1
実施例2〜8では、高温処理工程及び低温処理工程を、表1に示す条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして水素担持粉末を製造した。また比較例1では、原料の炭酸カルシウム含有粉末を使用して評価を行った。結果を表1に示す。
<X線回折装置(XRD)による回折パターンの測定>
X線回折装置(リガク(株)社製「型番UltimaIV」)を用いて、原料として使用された炭酸カルシウム含有粉末及び実施例5で得られた水素担持粉末についての回折パターンの測定を行った。結果を図1(a)及び図1(b)に示す。図1(a)では、CaCO3、(Mg0.03Ca0.97)CO3及び(Mg0.129Ca0.871)CO3に帰属するピーク
が明確に検出されたが、図1(b)では、(Mg0.03Ca0.97)CO3に帰属するピーク
のみが検出された。このことから、原料に含まれる炭酸カルシウムは、高温処理工程及び低温処理工程を経る過程で分解されることがわかった。
<FT−IRによる測定>
フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光(株)社製「型番FT/IR−4600」)を用いて、原料として使用された炭酸カルシウム含有粉末及び実施例5で得られた水素担持粉末について測定を行った。結果を図2に示す。図2に示されるように、高温処理工程及び低温処理工程を経て製造された水素担持粉末は、波数500cm−1以上600cm−1以下および900cm−1以上1000cm−1以下に、それぞれ原料の炭酸カルシウ
ム含有粉末にはない吸収帯が発現することが分かった。
<肥料実験>
水素担持粉末を含む肥料による効果について検討した。検討に使用した野菜は、南瓜、胡瓜、トマト、バジル、ピーマン、トウモロコシ、ズッキーニである。水素担持粉末を含む肥料を根の周辺に散布し、1カ月間隔で合計3回散布した後の野菜の生育状況を確認した(1回あたり肥料15〜20g)。比較試験として、前記肥料を使用しないこと以外は同様の生育状況条件下で、野菜の成長に違いが出るかを検討した。結果を図3(a)〜図3(g)に示す。これらの写真が示すように、水素担持粉末を含む肥料を使用することにより、葉、茎、ツル、実等の成長が促進されることが分かる。
同様に、ピオーネ(肥料を根元に合計3回散布、1回あたり肥料100〜175g使用)、無花果(肥料を根元に1カ月間隔毎に合計6回散布、1回あたり肥料100〜150g使用)、桜桃(肥料を根元に3カ月間隔毎に合計2回散布、1回あたり肥料500g使用)、ひのひかり(肥料を育苗・田植え前・追肥のタイミングで合計3回散布、1回あたり肥料15〜25g使用)、スプレー菊(肥料を根元に1カ月間隔毎に合計3回散布、1回あたり肥料40〜60g使用)についても同様の検討を行った。結果を図3(h)〜図3(j)に示す。これらの写真が示すように、水素担持粉末を含む肥料を使用することにより、葉、枝、実等の成長が促進されることが分かる。特にピオーネでは、水素担持粉末を含む肥料を使用することにより、収穫された実の糖度が、上記肥料を使用しない場合には17.4〜18.3%程度であったところ、17.9〜20.1%にまで上昇した。また無花果では、上記肥料を使用しない場合には、苗木をした場合、実がなるまで約3年かかるところ、上記肥料を使用した場合には、2年で果実がついた。更に桜桃では、灰星病が減少し、病気に対する有効性も確認された。

Claims (4)

  1. 温度が450℃超900℃以下、水素濃度が5vol%以上100vol%以下、且つ圧力が0.1MPa以上1.5MPa以下であるガス雰囲気下において、炭酸カルシウム含有粉末を熱処理して水素担持粉末前駆体を製造する高温処理工程、及び
    温度が150℃以上400℃以下、水素濃度が5vol%以上100vol%以下、且つ圧力が0.1MPa以上1.5MPa以下であるガス雰囲気下において、水素担持粉末前駆体を熱処理して水素担持粉末を製造する低温処理工程、を含む製造方法により製造された水素担持粉末であり、
    平均粒子径が1μm以上100μm以下であり、
    炭酸カルシウムマグネシウムを70質量%以上含み、
    FT−IRスペクトルにおいて、波数500cm-1以上600cm-1以下および900cm-1以上1000cm-1以下に吸収帯を有し、
    水分と接触することにより、水素担持粉末1g当たり0.1μL以上100μL以下の水素ガスを発生し、且つ、その水分の酸化還元電位が−400mV以上−30mV以下となることを特徴とする水素担持粉末。
  2. 前記炭酸カルシウムマグネシウムが、式(1):
    (MgCa)CO …(1)
    (式中、x,yは、0.01≦x≦0.15、0.85≦y≦0.99を表し、x+y=1である)で表される構造を含む請求項1に記載の水素担持粉末。
  3. 請求項1または2に記載の水素担持粉末を含むことを特徴とする食品。
  4. 請求項1または2に記載の水素担持粉末を含むことを特徴とする肥料。
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