JP6336828B2 - 粘着剤及び粘着フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、高分子架橋体及びその製造方法に関する。
プラスチック材料は電気絶縁性が高いため、これを使用するときの摩擦などによって静電気が発生し易い。そのなかでも、テレビ、携帯電話、スマートフォンの各種ディスプレイや偏光板などの光学部品に用いられる表面保護粘着フィルムは、例えば液晶ディスプレイの組み込みが完了した後、表面保護の役割を終えて剥離除去する際に静電気が発生して周囲のゴミを巻き込むという問題がある。さらに表面保護粘着フィルムを剥離する際に生じた静電気により液晶や電子回路が破壊されることがある。以上から、静電気の発生量が少ない粘着フィルムが求められている。
一方で、光学部品に用いられる表面保護粘着フィルムは、被着体に貼着している間も、被着体表面が粘着フィルムを介して検査できるようになっている必要がある。このため、静電気の発生量が少ないだけでなく、表面保護粘着フィルム自体も透明性に優れていることが求められている。
特許文献1では、アクリル系共重合体の架橋体に、帯電防止剤としてポリエーテル化合物とアルカリ金属塩を配合してなる粘着剤層を有している粘着フィルムを提案している。特許文献2では、アクリル系共重合体の架橋体に、帯電防止剤として金属系導電性充填剤、カーボンブラックなどを配合してなる粘着剤層を有している粘着フィルムを提案している。特許文献3では、分子側鎖及び/または分子末端に第4級オニウム塩基を有するアクリル系共重合体を架橋剤により架橋してなる粘着剤層を有している粘着フィルムを提案している。
特開平6−128539号公報 特開2004−307787号公報 特開2008−274255号公報
しかし、特許文献1、特許文献2の粘着フィルムは、帯電防止剤のブリードアウトにより被着体表面が汚染されたり、被着特性が経時的に変化するという問題がある。また、特許文献2の粘着フィルムは、カーボンブラックなどを配合しているため、粘着フィルムの透明性が低いという問題がある。特許文献3の粘着フィルムは、4級化反応と架橋反応を別々に行う必要あるため製造工程が多くなるという問題と、アクリル系共重合体の分子構造に制限があるという問題がある。
本発明の目的は、優れた帯電防止性能を有する高分子架橋体及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、以下の高分子架橋体及びその製造方法を提供する。
項1 (メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位と、第4級オニウム塩を形成する第1の官能基を含有するビニルモノマーに由来する構造単位とを含む共重合体に、前記第1の官能基と反応して前記第4級オニウム塩を形成する第2の官能基を1分子中に2個以上有する多官能性4級化剤を反応させてなることを特徴とする高分子架橋体。
項2 前記(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を70〜99質量%、前記ビニルモノマーに由来する構造単位を1〜30質量%含有していることを特徴とする項1に記載の高分子架橋体。
項3 項1または2に記載の高分子架橋体を含有することを特徴とする粘着剤。
項4 項3に記載の粘着剤を、基材の少なくとも片面における少なくとも一部に塗布してなる粘着フィルム。なお、本発明において、粘着フィルムには、粘着テープ及び粘着シートも含まれる。
項5 項1または2に記載の高分子架橋体を製造する方法であって、前記(メタ)アクリル酸エステル及び前記ビニルモノマーを含有するモノマー混合物を重合してなる共重合体を準備する工程と、前記共重合体に前記多官能性4級化剤を反応させる工程とを備えることを特徴とする高分子架橋体の製造方法。
項6 前記共重合体がリビングラジカル重合により重合して得られることを特徴とする項5に記載の高分子架橋体の製造方法。
本発明によれば、優れた帯電防止性能を有する高分子架橋体を得ることができる。
本発明の製造方法によれば、優れた帯電防止性能を有する高分子架橋体を簡易な工程で製造することができる。
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
本発明の高分子架橋体は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位と、第4級オニウム塩を形成する第1の官能基を含有するビニルモノマーに由来する構造単位とを含む共重合体に、第1の官能基と反応して第4級オニウム塩を形成する第2の官能基を1分子中に2個以上有する多官能性4級化剤を反応させてなることを特徴とする。なお、本発明において「(メタ)アクリル酸」は「アクリル及びメタクリルの少なくとも一方」を意味する。例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方」を意味する。また、本発明においてビニルモノマーとは、分子中にラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合を有するモノマーのことを意味する。
(共重合体)
<(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位>
(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位とは、(メタ)アクリル酸エステルがラジカル重合して形成される構造単位をいい、具体的には(メタ)アクリル酸エステルのラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合が炭素−炭素単結合になった構造単位をいう。
本発明で使用する(メタ)アクリル酸エステルとしては、後述する第1の官能基を含有するビニルモノマーと重合し得るモノマーであれば特に制限なく使用することができ、これらは1種または2種以上を混合して使用される。かかる(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−ステリアルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの(メタ)アクリル酸脂環式アルキルエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシ置換アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、メトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;などが挙げられる。これらの中でも本発明の高分子架橋体を粘着剤に用いる場合は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシ置換アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが好ましい。
本発明で使用する共重合体における(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位の含有割合は、好ましくは70〜99質量%、より好ましくは85〜95質量%である。(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位が少なすぎると、高分子架橋体を粘着剤に使用した場合に粘着力が不足する傾向にある。
<第1の官能基を含有するビニルモノマーに由来する構造単位>
第1の官能基を含有するビニルモノマーに由来する構造単位とは、第1の官能基を含有するビニルモノマーがラジカル重合して形成される構造単位をいい、具体的には第1の官能基を含有するビニルモノマーのラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合が炭素−炭素単結合になった構造単位をいう。
第1の官能基は、第4級オニウム塩を形成することができる官能基であればよい。第1の官能基としては、具体的には第3級アミノ基、ピリジル基、イミダゾール基、ホスホニウム基などが挙げられ、これらの中でも第3級アミノ基が好ましい。
本発明で使用する第1の官能基を含有するビニルモノマーとしては、前述の(メタ)アクリル酸エステルと重合し得るモノマーであれば特に制限なく使用することができ、これらは1種または2種以上を混合して使用される。第1の官能基を含有するビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、ビニルベンジルジメチルアミン、ビニルベンジルジエチルアミンなどの第3級アミノ基を含有するビニルモノマー;ビニルピリジンなどのピリジル基を含有するビニルモノマー;ビニルイミダゾールなどのイミダゾール基を含有するビニルモノマー;スチリルジフェニルホスフィンなどのホスホニウム基を含有するビニルモノマー;などが挙げられる。これらの中でも第3級アミノ基を含有するビニルモノマーが好ましく、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルなどの第3級アミノ基を含有する(メタ)アクリル酸エステル;N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミドなどの第3級アミノ基を含有する(メタ)アクリルアミドがより好ましい。
本発明の共重合体における第1の官能基を含有するビニルモノマーに由来する構造単位の含有割合は、帯電防止性能の観点から、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは5〜15質量%である。
<その他のビニルモノマーに由来する構造単位>
本発明で使用する共重合体には、その他のビニルモノマーに由来する構造単位が含まれていてもよく、例えばスチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、2−ヒドロキシメチルスチレン、1−ビニルナフタレンなどの芳香族ビニルモノマー;1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等のα−オレフィン、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエン、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン等のカルボニル基含有ビニルモノマー;酢酸ビニル;安息香酸ビニル;(メタ)アクリロニトリルなどを挙げることができる。
本発明で使用する共重合体におけるその他のビニルモノマーに由来する構造単位の含有割合は、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜10質量%である。
(多官能性4級化剤)
本発明の高分子架橋体は、上述の共重合体に、多官能性4級化剤を反応させて得ることができる。多官能性4級化剤は、第1の官能基と反応して第4級オニウム塩を形成する第2の官能基を1分子中に2個以上有する。このため、共重合体に多官能性4級化剤を反応させることにより、多官能性4級化剤の第2の官能基が共重合体の第1の官能基と反応し、第4級オニウム塩を形成するとともに、多官能性4級化剤を介した架橋構造を形成することができる。したがって、本発明における多官能性4級化剤は、4級化剤と架橋剤の2つの機能を有している。
上記から、従来の方法と比較して簡便に帯電防止性能を有する高分子架橋体を得ることができる。また、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤などの従来の架橋剤が反応する活性水素を有する官能基(カルボキシル基、水酸基、第1級アミノ基など)を、本発明に使用する共重合体に有していなくても良いことから、高分子架橋体の組成設計の幅が広くなるという利点もある。
本発明で使用する多官能性4級化剤としては、第1の官能基と反応して第4級オニウム塩を形成する第2の官能基を1分子中に2個以上有している化合物であれば特に制限なく使用することができ、これらは1種または2種以上を混合して使用される。
第2の官能基としては、ハロゲン化アルキル基などがある。第2の官能基は、多官能性4級化剤の1分子中に1種または2種以上を有することができ、好ましくは1種である。
ハロゲン化アルキル基としては、アルキル基の一部または全部が、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該アルキル基としては炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。該ハロゲンとしては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
本発明で使用する多官能性4級化剤の具体例としては、(1)α,α’−ジクロロ−p−キシレン、1,3−ジブロモプロパンなどのジハロゲン化アルキル、(2)ハロゲン化アルキル基を有する高分子、(3)後述する架橋剤に、活性水素を有する官能基(カルボキシル基、水酸基、第1級アミノ基など)を有するハロゲン化アルキルを反応して得られた化合物などがある。該架橋剤としては、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤などが挙げられる。
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびこれらのポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパンなどのポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体などが挙げられるが、これらの中でも、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのポリオール化合物とのアダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体が好ましく用いられ、トリメチロールプロパンの2,4−トリレンジイソシアネート付加物、トリメチロールプロパンの2,6−トリレンジイソシアネート付加物、または、それらの混合物がより好ましく用いられる。
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシングリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。
(高分子架橋体の製造方法)
本発明の高分子架橋体の製造方法は、上記(メタ)アクリル酸エステル及び上記ビニルモノマーを含有するモノマー混合物を重合してなる共重合体を準備する工程と、共重合体に多官能性4級化剤を反応させる工程とを備えることを特徴とする。モノマー混合物は、必要に応じてその他のビニルモノマーを含有していてもよい。
<モノマー混合物の重合方法>
上述のモノマー混合物の重合方法としては、公知のラジカル重合を用いることができる。しかし、フリーラジカル重合は、分子量の制御や、共重合体組成の均一性をとることが困難であり、その結果として低分子量成分(オリゴマー)やホモポリマーが生成する。フリーラジカル重合で得られた共重合体を粘着剤として使用すると、上述の成分により、使用環境下での耐熱性低下や、剥離時の糊残りによる被着体表面の汚染を招くおそれがある。そのため、本発明の高分子架橋体を粘着剤として用いる場合は、リビングラジカル重合法を用いることが好ましい。
リビングラジカル重合法とは、ラジカル重合の簡便性と汎用性を保ちつつ、分子構造の精密制御を可能にする重合法である。リビングラジカル重合法には、重合成長末端を安定化させる手法の違いにより、遷移金属触媒を用いる方法(ATRP)、硫黄系の可逆的連鎖移動剤を用いる方法(RAFT)、有機テルル化合物を用いる方法(TERP)などの方法がある。これらの方法のなかでも、使用できるモノマーの多様性、高分子領域での分子量制御、架橋点(多官能性4級化剤の反応部位)制御の観点から、有機テルル化合物を用いる方法(TERP)を用いることが好ましい。
TERP法とは、有機テルル化合物を重合開始剤として用い、ラジカル重合性化合物を重合させる方法であり、例えば、国際公開2004/14848号及び国際公開2004/14962号に記載された方法である。
具体的には、
(a)一般式(1)で表される有機テルル化合物、
(b)一般式(1)で表される有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤の混合物、
(c)一般式(1)で表される有機テルル化合物と一般式(2)で表される有機ジテルル化合物の混合物、または
(d)一般式(1)で表される有機テルル化合物、アゾ系重合開始剤及び一般式(2)で表される有機ジテルル化合物の混合物、
のいずれかを用いて重合する。
Figure 0006336828
(式中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基または芳香族ヘテロ環基を示す。R及びRは、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。Rは、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基またはシアノ基を示す。)
(RTe) (2)
(式中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基または芳香族ヘテロ環基を示す。)
一般式(1)で示される有機テルル化合物は、具体的には(メチルテラニルメチル)ベンゼン、(メチルテラニルメチル)ナフタレン、エチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート、エチル−2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオネート、(2−トリメチルシロキシエチル)−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピネート、(2−ヒドロキシエチル)−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピネート、(3−トリメチルシリルプロパルギル)−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピネートなどを例示することができる。
一般式(2)で示される有機ジテルル化合物は、具体的には、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジイソプロピルジテルリド、ジシクロプロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリド、ジ−s−ブチルジテルリド、ジ−t−ブチルジテルリド、ジシクロブチルジテルリド、ジフェニルジテルリド、ビス−(p−メトキシフェニル)ジテルリド、ビス−(p−アミノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−ニトロフェニル)ジテルリド、ビス−(p−シアノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−スルホニルフェニル)ジテルリド、ジナフチルジテルリド、ジピリジルジテルリドなどを例示することができる。
アゾ系重合開始剤は、通常のラジカル重合で使用するアゾ系重合開始剤であれば特に制限なく使用することができる。例えば2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(MAIB)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)(ACVA)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルアミド)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70)、2,2’−アゾビス(2−メチルアミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)などを例示することができる。
一般式(1)の化合物の使用量は、目的とする共重合体の物性により適宜調節すればよいが、通常、モノマー1molに対し一般式(1)の化合物を0.05〜50mmolとするのがよい。
一般式(1)の化合物とアゾ系重合開始剤を併用する場合、通常、一般式(1)の化合物1molに対して、アゾ系重合開始剤0.01〜10molとするのがよい。
一般式(1)の化合物と一般式(2)の化合物を併用する場合、通常、一般式(1)の化合物1molに対して、一般式(2)の化合物0.01〜100molとするのがよい。
一般式(1)の化合物、一般式(2)の化合物及びアゾ系重合開始剤を併用する場合、通常、一般式(1)の化合物と一般式(2)の化合物の合計1molに対して、アゾ系重合開始剤0.01〜100molとするのがよい。
重合反応は、無溶剤でも行うことができるが、ラジカル重合で一般に使用される有機溶媒あるいは水性溶媒を使用し、上記混合物を撹拌して行われる。使用できる有機溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、ジオキサン、ヘキサフルオロイソプロパオール、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、トリフルオロメチルベンゼンなどを例示することができる。また、水性溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール、ジアセトンアルコールなどを例示することができる。
反応温度、反応時間は、得られた共重合体の分子量或いは分子量分布により適宜調節すればよいが、通常、0〜150℃で、1分〜100時間撹拌する。TERP法は、低い重合温度及び短い重合時間であっても高い収率と精密な分子量分布を得ることができる。
重合反応の終了後、得られた反応混合物から、通常の分離精製手段により、目的とする共重合体を分離することができる。
<共重合体と多官能性4級化剤の反応>
共重合体に多官能性4級化剤を反応させる工程は、無溶剤でも行うことができるが、4級化反応で一般に使用される有機溶媒を使用し、共重合体と多官能性4級化剤の混合物を攪拌して行われる。使用できる有機溶媒は、共重合体を溶解できる溶媒であれば特に制限なく使用でき、例えば、酢酸エチル、2−ブタノン、トルエンなどを挙げることができる。
反応温度と反応時間は、共重合体と多官能性4級化剤の種類に応じて適宜調整されるが、通常60〜150℃、1〜5分であることが好ましい。
共重合体中の第1の官能基と多官能性4級化剤の第2の官能基との当量比は、目的とする帯電防止性能、架橋度などに応じて適宜選択すればよいが、通常0.2〜1が好ましく、0.4〜1がさらに好ましく、0.6〜0.9がより好ましい。
多官能性4級化剤としてα,α'-ジクロロ−p−キシレンを用いた場合の共重合体と多官能性4級化剤との反応スキームは、以下の通りであると推測される。
Figure 0006336828
多官能性4級化剤としてイソシアネート系架橋剤とクロロ酢酸の反応物を用いた場合の共重合体と多官能性4級化剤との反応スキームは、以下の通りであると推測される。
Figure 0006336828
なお、共重合体の第1の官能基として、上述の多官能性4級化剤の第2の官能基を用い、多官能性4級化剤の第2の官能基として、上述の共重合体の第1の官能基を用いてもよい。すなわち、共重合体の第1の官能基として、ハロゲン化アルキル基等を用い、多官能性4級化剤の第2の官能基として、第3級アミノ基等を用いてもよい。
(高分子架橋体の用途)
上述のように得られた本発明の高分子架橋体の用途は、特に制限されないが、帯電防止性に優れているので、帯電防止性が求められる用途において特に好ましく用いられる。例えば、(粘着テープ及び粘着シートを含む)粘着フィルムの粘着剤として好適に使用することができる。
本発明の高分子架橋体を粘着剤として使用する場合、ゲル分率は、耐久性と粘着力の観点から30〜99%であることが好ましく、40〜99%であることがより好ましく、50〜99%であることが更に好ましい。ゲル分率が低すぎると凝集力が不足することに起因する耐久性不足や、剥離時に糊残りしやすい。なお、ゲル分率は、多官能性4級化剤の量を調整することなどにより、調整することができる。
上記ゲル分率とは、架橋度(硬化度合い)の目安となるものである。本発明においてゲル分率とは、乾燥重量W1(g)の硬化後の粘着剤をメタノールでソックスレー抽出後、取り出したときの重量をW2(g)としたとき、下記式により算出される値を意味する。
ゲル分率(重量%)=(W2/W1)×100
本発明の高分子架橋体を粘着フィルムの粘着剤として使用する場合においては、共重合体と多官能性4級化剤を基材に塗布し、乾燥することによって多官能性4級化剤を反応させることが好ましい。また、塗工上の観点から、本発明で使用する共重合体と多官能性4級化剤を溶媒に加えた溶液を基材に塗布することが好ましい。この溶液には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて他の成分を添加することもできる。他の成分としては、例えば染料、顔料、色素、蛍光増白剤、湿潤剤、表面張力調製剤、増粘剤、防黴剤、防腐剤、酸素吸収剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤、水溶性消光剤、酸化防止剤、香料、金属不活性剤、造核剤、帯電防止剤、アルキル化剤、架橋剤、難燃剤、滑剤、加工助剤、シランカップリング剤、粘着性付与樹脂などが挙げられ、これらは粘着剤の用途や使用目的に応じて、適宜選択して配合して使用される。
上記溶媒としては、酢酸エチル、トルエン、2−ブタノン、n−プロパノールなどが挙げられる。溶媒の使用量は、塗工性の観点から、溶液の固形分濃度が、10〜95質量%となるように用いることが好ましく、さらに好ましくは20〜90質量%である。
本発明における粘着フィルムは、基材と粘着剤層を含み、粘着剤層は基材の少なくとも片面の少なくとも一部に形成される。
上記粘着剤層の形成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば以下の(1)及び(2)の方法などが挙げられる。
(1)種々の塗工装置を用いて、基材の片面または両面に、共重合体と多官能性4級化剤を溶媒に加えた溶液を塗布し、溶媒の乾燥除去を行うとともに4級化反応を進行させ、必要に応じて熟成を行う方法
(2)表面に離型処理が施された離型フィルムの離型面に、種々の塗工装置を用いて、共重合体と多官能性4級化剤を溶媒に加えた溶液を塗布し、溶媒の乾燥除去を行うとともに4級化反応を進行させ、必要に応じて熟成後、基材の片面または両面に転写する方法
上記塗工装置としては、グラビアコータ、ロールコータ、リバースコータ、ドクターブレード、バーコータ、コンマコータ、ファウンテンダイコータ、リップコータ、ナイフコータ等が挙げられる。
上記基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル、ポリアミド、ポリウレタンなどの各種プラスチックス;ステンレス、鋼、アルミニウムなどの各種金属;ガラス;クラフト紙、和紙などの紙;マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維などの天然繊維、半合成繊維または合成繊維の繊維状物質などからなる単独または混紡などの織布や不織布;などからなるフィルムが挙げられる。これらの基材のうち、帯電しやすいものについては、種々の帯電防止剤を添加または塗布することにより帯電防止性を付与したものであることが好ましい。
上記溶媒の乾燥の手段としては、60〜150℃程度の熱風、近赤外線、赤外線及び高周波などが挙げられる。また、上記熟成の条件としては、例えば23℃で3〜7日間程度が挙げられる。
上記粘着剤層の厚さ(乾燥・熟成後)は特に制限されるものではないが、通常5〜250μm、粘着剤の接着力の観点から好ましくは10〜100μmである。
本発明の粘着フィルムの粘着力は、被着体の材料、粘着フィルムの用途により、共重合体の組成、架橋度などにより適宜選択することができる。好ましくは、剥離時の作業性ならびに保護対象物の保護の観点から、粘着力は0.1N/24mm以上であることが好ましい。粘着力が0.1N/24mm未満の場合は、粘着力が小さすぎるため、工程中や輸送中に被着体表面からの浮きや剥がれが生じやすい。
本発明の粘着フィルムは、優れた帯電防止性だけでなく、高い光透過性を有し、ヘイズを発生しくいことから、テレビ、携帯電話、スマートフォンの各種ディスプレイや偏光板などの光学部品に用いられる表面保護粘着フィルムなどに好適に使用することができる。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
なお、共重合体の重合率、粘着剤組成物のゲル分率、粘着フィルムの表面抵抗、粘着力、糊残り、ヘイズ値、全光線透過率、ボールタック、保持力は、下記の方法に従って測定した。
(重合率)
NMR(商品名:AVANCE 500(500MHz)、ブルカー・バイオスピン社製)を用いてH−NMRを測定し、モノマーのビニル基とポリマーピークの面積比から重合率を算出した。
(ゲル分率)
塗布溶液をセパレーターに塗布し120℃で3時間乾燥した。セパレーター上に形成された粘着剤組成物を剥離することで粘着剤組成物を得た。
重量がW1(500mg)の粘着剤組成物を重量がW0の円筒型ろ紙に量り取り、ソックスレー抽出器に設置し、メタノール200mlで還流下、14時間ソックスレー抽出を行った。抽出試験終了後、円筒型ろ紙を取り出し、80℃で8時間減圧乾燥後の重量W2を測定して、以下の式によりゲル分率を算出した。
ゲル分率(重量%)=〔(W2-W0)/W1〕×100
(表面抵抗)
粘着フィルムを塗工後23℃、50%RHにて1週間静置した後、抵抗率計(三菱アナリテック社製 ハイレスタUP MCP−HT450型)を用いてJIS K 6911の抵抗率に準拠して表面抵抗を測定した。
(粘着力)
粘着フィルムを塗工後23℃、50%RHにて1週間静置した後、23℃、50%RHにて粘着フィルムを被着体(ステンレス板(SUS304)、PET板、ガラス板、アクリル板)に接着させてJIS Z 0237の粘着力の測定法に準拠して180度剥離強度を測定した。
(被着体糊残り)
上記粘着力測定後、被着体表面の糊残りの有無を目視により下記基準で判定した。
○:糊残りなし
×:糊残りあり
(ヘイズ値、全光線透過率)
粘着フィルムを塗工後23℃、50%RHにて1週間静置した後、23℃、50%RHにて上記粘着フィルムを被着体(ガラス板(ホウ珪酸ガラス))に接着させてヘイズメーター(商品名:HDC2000、日本電色工業社製)を用いてヘイズ値、全光線透過率を測定した。
(ボールタック)
粘着フィルムを塗工後23℃、50%RHにて1週間静置した後、傾斜角30度の傾斜板を用いてJIS Z 0237の傾斜式ボールタックに準拠してボールタック試験を行った。
(保持力)
粘着フィルムを塗工後23℃、50%RHにて1週間静置した後、40℃、80℃、100℃及び120℃の条件でJIS Z 0237の保持力の測定法に準拠して上記粘着フィルムの保持力を測定し、下記基準で判定した。
○:1440分後においてもズレなし
×:1440分後において1mm以内のズレあり
[重合触媒の製造]
(合成例1):エチル−2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオネート(以下「BTEE」という)
金属テルル(商品名:Tellurium(−40mesh)、Aldrich社製)6.38g(50mmol)をTHF50mlに懸濁させ、これにn−ブチルリチウム(Aldrich社製、1.6Mヘキサン溶液)34.4ml(55mmol)を、室温でゆっくり滴下した(10分間)。この反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで撹拌した(20分間)。この反応溶液に、エチル−2−ブロモ−イソブチレート10.7g(55mmol)を室温で加え、2時間撹拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を濃縮し、続いて減圧蒸留して、黄色油状物8.98g(収率59.5%)を得た。
[共重合体の製造]
(合成例2):ポリアクリル酸2−メトキシエチル−co−ポリアクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル−co−ポリアクリル酸2−ヒドロキシエチル
アルゴン置換したグローブボックス内で、攪拌子を備えたフラスコにBTEE 115.9μl(0.51mmol)、アクリル酸2−メトキシエチル(東京化成社製)332ml(2.58mol)、アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(東京化成社製)46.1mL(304mmol)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(東京化成社製)15.9ml(152mmol)および2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)(商品名:AIBN、大塚化学社製)24.9mg(0.15mmol)を仕込み、60℃で22時間反応させた。重合率は81.4%であった。
反応終了後、反応器をグローブボックスから取り出し、反応溶液にTHFを加え、攪拌下のヘプタン中に注いだ。析出した共重合体を吸引濾過、乾燥後、酢酸エチルに溶解した。得られた共重合体溶液の固形分は40.2質量%であった。
(合成例3):ポリアクリル酸2−メトキシエチル−co−ポリN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド−co−ポリアクリル酸2−エチルヘキシル
アルゴン置換したグローブボックス内で、攪拌子を備えたフラスコにBTEE 112.7μl(0.49mmol)、アクリル酸2−メトキシエチル(東京化成社製)323.4ml(2.51mol)、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(興人フィルム&ケミカルズ社製)48.5ml(295mmol)、アクリル酸2−エチルヘキシル(東亞合成社製)30.7ml(148mmol)および2,2‘−アゾビス(4−メトキシ−2.4−ジメチルバレロニトリル)〔商品名:V−70、和光純薬社製〕30.1mg(0.10mmol)を仕込み、30℃で24時間反応させた。重合率は90.9%であった。
反応終了後、反応器をグローブボックスから取り出し、反応溶液にTHFを加え、攪拌下のヘプタン中に注いだ。析出した共重合体を吸引濾過、乾燥後、酢酸エチルに溶解した。得られた共重合体溶液の固形分は41.9質量%であった。
(合成例4):ポリアクリル酸2−メトキシエチル−co−ポリN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド
アルゴン置換したグローブボックス内で、攪拌子を備えたフラスコにBTEE 100.6μl(0.44mmol)、アクリル酸2−メトキシエチル(東京化成社製)305.7ml(2.37mol)、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(興人フィルム&ケミカルズ社製)43.2ml(264mmol)および2,2‘−アゾビス(4−メトキシ−2.4−ジメチルバレロニトリル)(商品名:V−70、和光純薬社製、)40.7mg(0.13mmol)を仕込み、30℃で24時間反応させた。重合率は90.9%であった。
反応終了後、反応器をグローブボックスから取り出し、反応溶液にTHFを加え、攪拌下のヘプタン中に注いだ。析出した共重合体を吸引濾過、乾燥後、酢酸エチルに溶解した。得られた共重合体溶液の固形分は48.2質量%であった。
[多官能性4級化剤の製造]
(合成例5)
イソシアネート系化合物(商品名:コロネートHL、日本ポリウレタン工業社製)100gとクロロ酢酸(東京化成社製)25gを混合し、20℃で24時間反応させることで多官能性4級化剤を得た。NMR分析により、定量的に反応が進行したことを確認した。
(合成例6)
イソシアネート系化合物(コロネート2770、日本ポリウレタン工業社製)100gとクロロ酢酸(東京化成社製)38.9gを混合し、20℃で24時間反応させることで多官能性4級化剤を得た。NMR分析により、定量的に反応が進行したことを確認した。
[粘着剤組成物の製造]
(実施例1)
合成例2で調製した共重合体溶液に、α,α'-ジクロロ−p−キシレン(東京化成社製)を表1に示す割合で配合し、固形分濃度が30.9質量%となるように酢酸エチルで希釈し、塗布溶液を得た。ゲル分率を測定し、結果を表1に示した。
得られた塗布溶液をPETフィルム上に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、105℃で2分間乾燥させて粘着フィルムを作製した。表面抵抗、粘着力、被着体糊残りを測定し、結果を表1に示した。
(比較例1)
合成例2で調製した共重合体溶液に、イソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートHXR、固形分100質量%、日本ポリウレタン工業社製)を表1で示す割合で配合し、固形分濃度が30.9質量%となるように酢酸エチルで希釈し、塗布溶液を得た。ゲル分率を測定し、結果を表1に示した。
得られた塗布溶液をPETフィルム上に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、105℃で2分間乾燥させて粘着フィルムを作製した。表面抵抗、粘着力、被着体糊残りを測定し結果を表1に示した。
(比較例2)
合成例2で調製した共重合体溶液に、クロロメチルメチルエーテル(東京化成社製)を表1で示す割合で配合し、固形分濃度が20.1質量%となるように酢酸エチルで希釈し、塗布溶液を得た。ゲル分率を測定し、結果を表1に示した。
得られた塗布溶液をPETフィルム上に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、105℃で2分間乾燥させて粘着フィルムを作製した。表面抵抗、粘着力、被着体糊残りを測定し、結果を表1に示した。
なお、表1〜表3における共重合体の質量部は、共重合体溶液中の固形分である共重合体の質量部である。
Figure 0006336828
表1に示すように、本発明に従う実施例1の高分子架橋体は、比較例1の高分子架橋体に比べ、表面抵抗値が低く、優れた帯電防止性能を有することがわかる。また、本発明に従う実施例1の高分子架橋体は、比較例1及び2の高分子架橋体に比べ、ゲル分率が高く、被着体糊残りが少ないことがわかる。
本発明によれば、4級化反応と架橋反応を同時に行うことができるので、簡易な工程で高分子架橋体を製造することができる。また、共重合体と多官能性4級化剤を混合した溶液を塗布した後、乾燥させる工程において4級化反応と架橋反応を同時に行い、ゲル分率を高めることができる。このため、高いゲル分率を有する高分子架橋体であっても、容易に塗布することができる。
(実施例2)
合成例3で調製した共重合体溶液に、合成例5で得た多官能性4級化剤を、表2で示す割合で配合し、固形分濃度が25.0質量%となるようにn−プロパノールで希釈し、塗布溶液を得た。ゲル分率を測定し、結果を表2に示した。
得られた粘着剤組成物をPETフィルム上に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、105℃で2分間乾燥させて粘着フィルムを作製した。表面抵抗、粘着力、全光線透過率、ヘイズ値を測定し結果を表2に示した。
(実施例3)
合成例3で調製した共重合体溶液に、合成例5で得た多官能性4級化剤を、表2で示す割合で配合し、固形分濃度が25.0質量%となるようにn−プロパノールで希釈し、塗布溶液を得た。ゲル分率を測定し、結果を表2に示した。
得られた塗布溶液をPETフィルム上に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、105℃で2分間乾燥させて粘着フィルムを作製した。表面抵抗、粘着力、被着体糊残り、全光線透過率、ヘイズ値を測定し、結果を表2に示した。
(実施例4)
合成例3で調製した共重合体溶液に、合成例5で得た多官能性4級化剤とベンジルクロライド(東京化成社製)を表2で示す割合で配合し、固形分濃度が25.0質量%となるようにn−プロパノールで希釈し、塗布溶液を得た。ゲル分率を測定し、結果を表2に示した。
得られた塗布溶液をPETフィルム上に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、105℃で2分間乾燥させて粘着フィルムを作製した。表面抵抗、粘着力、被着体糊残り、全光線透過率、ヘイズ値を測定し、結果を表2に示した。
(実施例5)
合成例3で調製した共重合体溶液に、α,α’−ジクロロ−p−キシレン(東京化成社製)を表2で示す割合で配合し、固形分濃度が30.0質量%となるように酢酸エチルで希釈し、塗布溶液を得た。ゲル分率を測定し、結果を表2に示した。
得られた塗布溶液をPETフィルム上に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、105℃で2分間乾燥させて粘着フィルムを作製した。表面抵抗、粘着力、被着体糊残り、全光線透過率、ヘイズ値を測定し、結果を表2に示した。
(実施例6)
合成例3で調製した共重合体溶液に、合成例6で得た多官能性4級化剤を表2で示す割合で配合し、固形分濃度が30.0質量%となるように酢酸エチルで希釈し、塗布溶液を得た。ゲル分率を測定し、結果を表2に示した。
得られた塗布溶液をPETフィルム上に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、105℃で2分間乾燥させて粘着フィルムを作製した。表面抵抗、粘着力、被着体糊残り、全光線透過率、ヘイズ値を測定し、結果を表2に示した。
(実施例7)
合成例3で調製した共重合体溶液に、合成例6の多官能性4級化架橋剤とベンジルクロライド(東京化成社製)を表2で示す割合で配合し、固形分濃度が30.0質量%となるように酢酸エチルで希釈し、塗布溶液を得た。ゲル分率を測定し、結果を表2に示した。
得られた塗布溶液をPETフィルム上に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、105℃で2分間乾燥させて粘着フィルムを作製した。表面抵抗、粘着力、被着体糊残り、全光線透過率、ヘイズ値を測定し、結果を表2に示した。
Figure 0006336828
(実施例8)
合成例4で調製した共重合体溶液に、合成例6で得た多官能性4級化剤を表3で示す割合で配合し、固形分濃度が30.0質量%となるように酢酸エチルで希釈し、塗布溶液を得た。ゲル分率を測定し、結果を表3に示した。
得られた塗布溶液をPETフィルム上に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、105℃で2分間乾燥させて粘着フィルムを作製した。表面抵抗、粘着力、被着体糊残り、ボールタック、保持力、全光線透過率、ヘイズ値を測定し、結果を表3に示した。
(実施例9)
合成例4で調製した共重合体溶液に、α,α’−ジクロロ−p−キシレン(東京化成社製)を表3で示す割合で配合し、固形分濃度が30.0質量%となるように酢酸エチルで希釈し、塗布溶液を得た。ゲル分率を測定し、結果を表3に示した。
得られた塗布溶液をPETフィルム上に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、105℃で2分間乾燥させて粘着フィルムを作製した。表面抵抗、粘着力、被着体糊残り、ボールタック、保持力、全光線透過率、ヘイズ値を測定し、結果を表3に示した。
Figure 0006336828

Claims (3)

  1. (メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位と、第3級アミノ基、ピリジル基、イミダゾール基、又はホスホニウム基を含有するビニルモノマーに由来する構造単位とを含む共重合体に、前記第3級アミノ基、ピリジル基、イミダゾール基、又はホスホニウム基と反応して第4級オニウム塩を形成する第2の官能基を1分子中に2個以上有する多官能性4級化剤を反応させてなる高分子架橋体を含有することを特徴とする粘着剤
  2. 前記高分子架橋体が、前記(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を70〜99質量%、前記ビニルモノマーに由来する構造単位を1〜30質量%含有していることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤
  3. 請求項1または2に記載の粘着剤を、基材の少なくとも片面における少なくとも一部に塗布してなる粘着フィルム。
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