JP6335187B2 - 色素の光活性化型ケミカルブリーチング - Google Patents

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Description

本発明は、生体試料中のバイオマーカーの検出を対象とする。より具体的には、本発明は、生体試料中の複数の標的を検出するための方法における光活性化型ケミカルブリーチングの使用(添加剤を任意選択的に使用して、光活性化型ケミカルブリーチングプロセス中の標的改質を防止することを含む)を対象とする。新規方法を実施するためのキット及びシステム、並びに新規方法を使用して作成される生体試料の画像も提供される。
生体試料中の異なる標的を検出するために、様々な方法が生物学及び医学において使用することができる。例えば、組織学的切片及び他の細胞学的調製物におけるタンパク質の分析は、組織化学、免疫組織化学(IHC)又は免疫蛍光法の技術を使用して実施することができる。生体試料中のタンパク質の分析はまた、例えば、固相免疫測定法を使用して、例えばウエスタンブロットの技術を使用して、又は例えばフローサイトメトリーを使用して実施することができる細胞ベースのアッセイを使用して行うことができる。
既存の技術の多くは、単一の試料中、(例えば、IHC又は検出可能な標的の数が蛍光ベース検出システムによって制限される蛍光ベースのウエスタンブロットのように)一度にごくわずかな数の標的しか検出することができない。標的のさらなる分析は、供給源からの追加の生体試料を使用することが必要となる場合があり、標的の相対的特性、例えば、生体試料中の複数の生体標的の存在、非存在、濃度及び/又は空間分布などを決定する能力が制限される。さらに、場合によっては、限られた量の試料しか分析に利用できないことがあり、或いは、さらなる分析に個別の試料が必要とされる場合がある。
個別の試料を反復的に分析する方法は、米国特許第7629125号及び米国特許第7741046号に開示されている。特に、米国特許第7741046号は、信号発生剤を不活性化するために(例えば、蛍光色素をブリーチングするために)酸化を使用することを含む、生体試料中の複数の標的を検出する方法を提供している。酸化反応系は、酸化剤、例えば過酸化水素を使用することにより達成される。
さらに、信号は、信号発生剤を照射に連続曝露することによって、すなわち、光退色によって不活性化することができる。酸化による信号不活性化と同様に、このプロセスは時間がかかる可能性があり、完結せず、信号ノイズ比が小さくなる場合がある。さらに、試料を照射に連続的に曝露することによって、生体試料に損傷をもたらすこともある。
しかしながら、これらの従来の方法はタンパク質エピトープに影響を与えることもあり、このような場合では、疾患に対するそれらの効果を研究するために、これらのエピトープを最初のラウンドで検出しなければならないか、又は別のエピトープもしくは下流経路タンパク質に対する抗体を使用しなければならない。いくつかの場合では、後続のラウンドで試験される標的に対する抗原性がさらに増強されて、有意義な発現比較が妨げられる。
ラジカルを除去するためのスカベンジャー一重項酸素を使用する概念は公知である。しかしながら、概念は、生体試料におけるシグナルサイクリングには使用されていない。Free radicals and singlet oxygen scavengers:Reaction of a peroxy−radical with β−carotene,diphenyl furan and 1,4−diazobicyclo(2,2,2)−octane,Biochemical and Biophysical Research Communication,Volume 98,Issue 4,27 February 1981,Pages 901−906。Oxygen Scavengers and Sensitizers for Reduced Oxygen Inhibition in Radical Photopolymerization Journal of Polymer Science Part A:Polymer Chemistry,Volume 46,Issue 20,6916。Reduced Photobleaching of Conjugated Polymer Films through Small Molecule Additives,Macromolecules 2008,41,8306−8308。
したがって、生体標的を逐次分析するためのより高速で、より穏やかで、より感度の高い方法が依然として必要とされている。
国際公開第2013/095896号
ハイスループット多重化試料分析のための新規方法が本明細書で開示される。これらの方法は、例えば、シグナルサイクリングプロセスを使用し、この場合、各サイクルにおいて、光反応工程は、同じ信号発生剤、例えば発蛍光団を追加のマーカー、例えばタンパク質を検出するための後続サイクルに再利用される。これらの方法は、例えば、識別しようとする生体試料、とりわけ、生体試料中の複数の生体標的の存在、非存在、濃度及び/又は空間分布を連続的に分析するために用いることができる。光反応工程は、電子移動剤、例えばボレート塩を適用し、例えば、試料に可視光を照射することによって光反応を開始し、信号発生剤、例えば蛍光色素を不活性化することを含み得る。光反応工程は、光反応の副生成物、例えばラジカル及び一重項酸素によって引き起こされる標的改質を防止する添加剤をさらに含み得る。
ある実施形態では、開示されている方法の利点は、各サイクルでの信号の速やかな破壊を含み得る。例えば、ある場合には、クエンチングは、従来法における15分間超と比較して約100ミリ秒間で観測される。ある実施形態では、開示されている方法は、例えば信号ノイズ比が大きくなる高発現標的においても残存蛍光がないことを特徴とし得る。また、開示されている方法は、生体試料又はその成分、例えばエピトープを損傷しないので、同じ試料を多数のサイクルで使用することができる。さらに、ある実施形態では、蛍光色素の直接的な光退色を比較した場合、開示されている方法は、生体試料成分を損傷し得る高出力光を必要としないので有利である。
ある実施形態では、本発明は、生体試料中の複数の標的をプローブする方法であって、
(a)1以上のプローブを、複数の標的を含む生体試料中に存在する1以上の標的に結合させる工程と、
(b)工程(a)で結合した1以上のプローブからの信号を検出する工程と、
(c)工程(a)の結合プローブを含む試料を、電子移動試薬及び工程(d)での標的改質を防ぐ添加剤と接触させる工程と、
(d)工程(c)の試料を照射する工程と、
(e)1以上のプローブを、工程(d)の試料中に存在する1以上の標的に結合させる工程と、
(f)工程(e)で結合したプローブからの信号を検出する工程と
を含む方法である。
ある実施形態では、工程(a)のプローブは光信号発生剤を含み、工程(b)で検出される信号は光信号である。さらなる実施形態では、光信号発生剤は蛍光信号発生剤であり、工程(b)で検出される光信号は蛍光信号である。
ある実施形態では、工程(a)は、2以上のプローブを2以上の標的に結合させることを含む。
ある実施形態では、工程(d)における試料の照射を緩衝液の存在下で行う。ある実施形態では、照射をpH5〜9で行う。ある実施形態では、照射をpH6〜8で行う。
ある実施形態では、工程(d)における試料の照射を4〜50℃の温度で行う。好ましい実施形態では、試料の照射を20〜30℃の温度で行う。
ある実施形態では、工程(d)における試料の照射を、350nm〜1.3μmの波長の光に試料を露光することによって達成する。ある実施形態では、試料の照射を、400〜700nmの波長の光に試料を露光することによって達成する。
ある実施形態では、電子移動試薬はボレート塩である。ある実施形態では、ボレート塩は以下の構造式で表される。
(式中、R1、R2及びR3は各々独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであって、これらのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールは、(C1〜C4)アルキル、(C1〜C4)アルコキシ、(C1〜C4)アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン又はニトロからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、
4は、アルキル、アルケニル又はアルキニルであって、これらのアルキル、アルケニル又はアルキニルは、(C1〜C4)アルキル、(C1〜C4)アルコキシ、(C1〜C4)アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン又はニトロからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、
+は、有機カチオン及び無機カチオンからなる群から選択される)

ある実施形態では、R1、R2及びR3はそれぞれアリールである。ある実施形態では、アリールはフェニルである。ある実施形態では、フェニルは非置換フェニルである。
ある実施形態では、R4はアルキル又は置換アルキルである。ある実施形態では、R4は非置換ブチルである。
ある実施形態では、R1、R2及びR3はそれぞれアリール又は置換アリールであり、R4はアルキル又は置換アルキルである。さらなる実施形態では、R1、R2及びR3はそれぞれ非置換フェニルであり、R4は非置換ブチルであり、ボレート塩はトリフェニルブチルボレート塩である。
ある実施形態では、電子移動試薬は、高水溶性ボレート塩である。ある実施形態では、高水溶性ボレート塩は、ペグ化ボレート塩である。他の実施形態では、高水溶性ボレート塩は、テトラアルキルボレート塩である。
ある実施形態では、M+は無機カチオンである。ある実施形態では、無機カチオンはLi+、Na+又はK+である。
ある実施形態では、プローブは結合剤及び信号発生剤を含む。ある実施形態では、信号発生剤は蛍光信号発生剤である。ある実施形態では、蛍光信号発生剤はシアニン色素を含む。ある実施形態では、シアニン色素はCy3又はCy5である。
ある実施形態では、シアニン色素はCy3であり、工程(e)の試料の照射は、光学フィルタを使用することによって達成され、520〜580nmの波長の光に試料を露光することを含み、Cy3の選択的光励起が生じる。
ある実施形態では、シアニン色素はCy5であり、工程(e)の試料の照射は、光学フィルタを使用することによって達成され、620〜680nmの波長の光に試料を露光することを含み、Cy5の選択的光励起が生じる。
ある実施形態では、工程(a)の生体試料は細胞オルガネラ、全細胞又は組織切片を含む。ある実施形態では、試料はタンパク質、炭水化物又は核酸を含む。
ある実施形態では、工程(c)〜(f)を1回以上繰り返す。ある実施形態では、工程(c)〜(f)を5回以上、15回以上、30回以上、60回以上、100回以上又は150回以上繰り返す。ある実施形態では、工程(c)〜(f)を25〜30回繰り返す。他の実施形態では、工程(c)〜(f)を2〜10回繰り返す。
ある実施形態では、工程(c)及び(d)を約1ミリ秒〜約60分間実施する。ある実施形態では、工程(c)及び(d)を約100ミリ秒〜約15分間実施する。ある実施形態では、工程(c)及び(d)を約1秒間〜約5分間実施する。
ある実施形態では、工程(c)及び(d)を4〜50℃の温度で実施する。好ましい実施形態では、工程(c)及び(d)を20〜30℃の温度で実施する。
ある実施形態では、方法は、検出工程(b)、工程(f)又は工程(b)及び(f)で検出される信号の1以上の強度値を測定することも含む。ある実施形態では、方法は、強度値と試料中に存在する標的の量とを相関させることをさらに含む。
ある実施形態では、工程(a)のプローブ及び工程(e)のプローブはそれぞれ信号発生剤を含む。ある実施形態では、工程(a)の信号発生剤は、工程(e)の信号発生剤と同一である。他の実施形態では、工程(a)の信号発生剤は、工程(e)の信号発生剤とは異なる。
ある実施形態では、工程(b)及び工程(f)で検出される信号は、単一の検出チャネルで両方とも検出可能である。他の実施形態では、工程(b)又は工程(f)で検出される信号は、異なる検出チャネルで独立して検出可能である。
ある実施形態では、プローブと異なる生体試料成分は、有意に改質されない。
ある実施形態では、工程(d)の後に、検出可能な信号が検出されない。
ある実施形態では、信号発生剤は、発色団又はラマン活性タグを含む。
ある実施形態では、標的改質を防止する添加剤は、ラジカルスカベンジャーである。好ましい実施形態では、ラジカルスカベンジャーは、アスコルビン酸、n−プロピルガレート、メルカプトエタノール、システインヒドロクロリド、t−ブチルヒドロキシトルエン、シクロヘプタトリエン、ジオクチルフタレート、1,4−ジヒドロ−o−トルアミド、a−トコフェロール及びトロロクスからなる群から選択される。
他の実施形態では、標的改質を防止する添加剤は、一重項酸素用クエンチャーである。好ましい実施形態では、一重項酸素用クエンチャーは、アスコルビン酸、a−トコフェロール、クルクミン及びDABCOからなる群から選択される。
ある実施形態では、生体試料中の複数の標的をプローブする方法は、工程(d)の後に、試料から残留電子移動試薬を有効に除去する洗浄溶液で試料を洗浄することをさらに含む。ある実施形態では、洗浄溶液への溶解度を増加させることによって残存電子移動試薬の除去を促進し得る1以上の助剤を洗浄溶液に追加し得る。ある実施形態では、これらの助剤は、有機溶媒、カチオン試薬、カオトロープ、界面活性剤又はそれらの組合せを含む。好ましい実施形態では、助剤は、エタノールである。最も好ましい実施形態では、助剤は、70%エタノールである。
ある実施形態では、本発明は、生体試料中の複数の標的をプローブする方法であって、
(a)複数のプローブを、複数の標的を含む生体試料中に存在する複数の標的に結合させる工程と、
(b)工程(a)で結合した第1のプローブセットからの第1の信号セットを検出する工程と、
(c)工程(a)の結合プローブを含む試料を、電子移動試薬及び工程(d)での標的改質を防ぐ添加剤と接触させる工程と、
(d)工程(c)の試料を照射する工程と、
(e)工程(a)で結合した第2のプローブセットからの第2の信号セットを発生させる工程と、
(f)第2の信号セットを検出する工程と
を含む方法である。
ある実施形態では、工程(d)における試料の照射は、光活性化型ケミカルブリーチングによって信号発生剤を実質的に不活性化する光反応を開始する。ある実施形態では、光反応は、分子間電子移動を含む。他の実施形態では、光反応は、分子内電子移動を含む。
ある実施形態では、信号発生剤は不可逆的に改質される。ある実施形態では、信号発生剤は、光活性化型ケミカルブリーチングによって信号発生剤を不活性化する光反応によって不可逆的に改質される。
ある実施形態では、生体試料中の複数の標的をプローブする方法は、工程(d)の後に、試料から残留電子移動試薬を有効に除去する洗浄溶液で試料を洗浄することをさらに含む。ある実施形態では、洗浄溶液は、エタノールを含有する。
ある実施形態では、本発明は、ハイスループット多重化生体試料分析法であって、各サイクルにおいて、染色及びイメージングし、続いて、電子移動試薬及び標的改質を防止する添加剤を適用し、生体試料を照射するシグナルサイクリングプロセスを含む方法である。
ある実施形態では、ハイスループット多重化生体試料分析法は、各サイクルにおいて、試料から残留電子移動試薬を有効に除去する洗浄溶液で試料を洗浄することをさらに含む。ある実施形態では、洗浄溶液は、エタノールを含有する。
ある実施形態では、方法は、プローブと異なる生体試料成分を有意に改質せずに迅速なシグナルサイクリングを可能にする。
ある実施形態では、本発明は、生体試料中の複数の標的を調べるための信号をブリーチングするためのキットであって、
信号発生剤と接触すると、照射により信号発生剤をブリーチングすることができる電子移動試薬と、
信号発生剤の光活性化型ケミカルブリーチング中の標的改質を防止する添加剤と
を含むキットである。
特定の実施形態では、信号をブリーチングするためのキットは、生体試料中の複数の標的を調べるためのさらなる要素をさらに含み得る。例えば、キットは、抗原回復溶液を含み得る。キットはまた、生体試料に対するプローブの非特異的結合を遮断する溶液を含み得る。他の実施形態では、キットはまた、助剤(洗浄溶液に追加すると、信号の除去後に残存ボレートを除去するのに役立つ試薬)を含み得る。
ある実施形態では、本発明は、生体試料中の複数の標的を調べるためのシグナルサイクリングプロセスが可能となるようにキットを使用して信号をブリーチングする方法であって、生体試料中に存在する1以上の標的に結合した1以上のプローブからの信号を検出した後に、試料を電子移動試薬及び標的改質を防止する添加剤と接触させ、試料を照射する工程とを含む、方法である。
ある実施形態では、本発明は、生体試料中の複数の標的を調べるためのキットであって、
信号発生剤と結合した結合剤を含む複数のプローブと、
信号発生剤と接触すると、照射により信号発生剤をブリーチングすることができる電子移動試薬と、
信号発生剤の光活性化型ケミカルブリーチング中の標的改質を防止する添加剤と
を含む、キットである。
特定の実施形態では、キットは、キットを使用するための説明書をさらに含む。
ある実施形態では、本発明は、光標識生体標的を示す一連の2以上の画像であって、
画像が、生体試料中の複数の標的をプローブするプロセスで得られるものであり、プロセスが、
(a)1以上の光プローブを、複数の標的を含む生体試料中に存在する1以上の標的に結合させる工程と、
(b)工程(a)で結合した光プローブからの信号を検出する工程と、
(c)工程(a)の結合光プローブを含む試料を、電子移動試薬及び工程(d)での標的改質を防ぐ添加剤と接触させる工程と、
(d)工程(c)の試料を照射する工程と、
(e)1以上の光プローブを、工程(d)の試料中に存在する1以上の標的に結合させる工程と、
(f)工程(e)で結合した光プローブからの信号を検出する工程と
を含む画像である。
ある実施形態では、本発明は、生体試料中の標的をプローブする方法であって、
(a)1以上のプローブを、複数の標的を含む生体試料中に存在する1以上の標的に結合させる工程と、
(b)工程(a)で結合したプローブからの信号を検出する工程と、
(c)工程(a)の結合プローブを含む試料を、電子移動試薬及び以下の工程(d)での標的改質を防ぐ添加剤と接触させる工程と、
(d)工程(c)の試料を照射する工程
を含む方法である。
ある実施形態では、本発明は、生体試料中の複数の標的をプローブする方法であって、
(a)1以上のプローブを、複数の標的を含む生体試料中に存在する1以上の標的に結合させる工程と、
(b)1以上の対照プローブを、試料中に存在する1以上の標的に結合させる工程と、
(c)工程(a)で結合したプローブからの信号、及び工程(b)で結合した対照プローブからの対照信号を検出する工程と、
(d)工程(c)における試料を、対照プローブではなくプローブと選択的に反応することができる電子移動試薬及び工程(e)での標的改質を防ぐ添加剤と接触させる工程と、
(e)工程(d)の試料を照射する工程と、
(f)1以上のプローブを、工程(e)の試料中に存在する1以上の標的に結合させる工程と、
(g)工程(f)で結合したプローブからの信号を検出する工程と
を含む方法である。
ある実施形態では、工程(a)及び(b)を同時に実施する。ある実施形態では、工程(g)は、工程(b)で結合した対照プローブからの信号を検出することも含む。
ある実施形態では、生体試料中の複数の標的をプローブする方法は、工程(e)の後に、試料から残留電子移動試薬を有効に除去する洗浄溶液で試料を洗浄することをさらに含む。ある実施形態では、洗浄溶液は、エタノールを含有する。
ある実施形態では、本発明は、フローセルデバイス内にロード/捕捉された生体試料の光活性化型ケミカルブリーチング用自動化プロセスであって、以下の自動化工程
a)1以上のプローブを、生体試料中に存在する1以上の標的に結合させる工程と、
b)工程(a)で結合した1以上のプローブからの信号を検出する工程と、
c)電子移動試薬及び場合により後続の試料照射中の標的改質を防止する添加剤をフローセルに充填する工程と、
d)露光により試料を照射してプローブからの信号を不活性化する工程と、
e)別のラウンドのイメージング用の1以上の他のプローブを用いて、工程a)及びb)を繰り返す工程と
を含む方法である。
特定の実施形態では、試料の照射後に、自動化方法はまた、電子移動試薬及び添加剤を洗い流す任意選択的な洗浄工程を含む。他の実施形態では、後のプローブ結合工程a)において、電子移動試薬及び添加剤を洗い流し得る。他の実施形態では、後の信号検出工程b)の前に過剰なプローブを除去する任意選択的な工程において、電子移動試薬及び添加剤を洗い流し得る。これらの後者の実施形態は、高溶解性ボレート電子移動試薬に特に適切である。
光活性化型ケミカルブリーチング用自動化プロセスの特定の実施形態では、光学フィルタ、顕微鏡対物レンズ及び移動台を使用して試料の特定領域を光に曝露することによって、試料の照射を達成する。他の実施形態では、試料全体を同時に露光することによって、試料の照射を達成する。
様々な濃度のトリフェニルブチルボレートリチウム塩と共にインキュベートし、4分間又は10分間照射した後の、550nmでのCy3色素の吸光度を示すグラフのグレイスケール画像である。 光活性化型ケミカルブリーチング前後の、Cy3結合サイトケラチンで染色した試料のグレイスケール画像を示す。 光活性化型ケミカルブリーチング前後の、Cy5結合パンカドヘリンで染色した試料のグレイスケール画像を示す。 光活性化型ケミカルブリーチング前後の、BODIPY色素の蛍光スペクトルのグレイスケール画像を示す。 光活性化型ケミカルブリーチング前後の、ローダミン色素の蛍光スペクトルのグレイスケール画像を示す。 光活性化型ケミカルブリーチング前後の、1,3−ジクロロ−7−ヒドロキシ−9,9−ジメチル−2(9H)−アクリジノン(DDAO)色素の蛍光スペクトルのグレイスケール画像を示す。 実施例の欄に記載及び議論されている様々な条件下で、TMAを光誘起電子移動ブリーチングに供した後に、蛍光標識TRIM29抗体で染色した試料の組織マイクロアレイ画像を示す。クエンチャーは、光誘起電子移動プロセスによるブリーチングに起因するTRIM29エピトープの損傷を防止することが示されている。 実施例の欄に議論されているように、蛍光標識MUC1抗体で染色した試料の組織マイクロアレイ画像を示す。クエンチャーは、光誘起電子移動プロセスによるブリーチングに起因するMUC1エピトープの損傷を防止することが示されている。 実施例の欄に議論されているように、蛍光標識ナプシンA抗体で染色した試料の組織マイクロアレイ画像を示す。クエンチャーは、光誘起電子移動プロセスによるブリーチングに起因するナプシンAエピトープの損傷を防止することが示されている。 後の染色及びイメージングからの信号に対する残存ボレートの効果、並びにエタノール洗浄による残存ボレートの除去を示す。 次のラウンドの染色及び長期の光曝露からの信号に対する後の効果によって測定した場合の、残存ボレートを除去するための様々な試薬/緩衝液の評価を示す。 残存ボレートを除去するための様々な試薬/緩衝液の評価:試薬濃度の効果を示す。 肺扁平上皮癌組織試料の浸潤性腺管癌における様々な洗浄後の(ホウ素含有量によって測定した場合の)残存ボレートを示す。 肝細胞癌組織試料の浸潤性腺管癌における様々な洗浄後の(ホウ素含有量によって測定した場合の)残存ボレートを示す。 乳房組織試料の浸潤性腺管癌における様々な洗浄後の(ホウ素含有量によって測定した場合の)残存ボレートを示す。 水溶性の増加は、抗NaKATPase−Cy5による後の染色及び光曝露からの信号に対する効果によって測定した場合のボレート保持率を減少させる。a)塩基性過酸化物で処理した対照スライド、b)モノベンジルトリフェニルボレートを使用してPICBによってブリーチングしたスライド、c)高水溶性ボレートでブリーチングしたスライドを示す。 高水溶性(テトラブチルボレート)ボレートの使用による余分な洗浄工程の排除。a及びb)モノベンジルトリフェニルボレートでブリーチングし、70%エタノール(3×1分)及びPBS(3×5分)で洗浄した試料;c及びd)テトラブチルボレートでブリーチングし、PBS(3x5分)のみで洗浄した試料を示す。 生体試料の多重分析のための光活性化型ケミカルブリーチング用自動化プロセスの例示的な工程のフローチャートである。
定義
単数形「a」「an」及び「the」は、文脈上明らかな指示がない限り、複数の指示語を含む。本出願において、本明細書及び特許請求の範囲を通して使用される似た言葉は、それが関連している基本的機能に変化を及ぼさない許容範囲で変動し得るすべての定量表現を修飾するために適用することができる。したがって、「約」などの用語によって修飾される数値は、指定された厳密な数値に限定するものではない。特に指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用されている、成分の量、分子量などの特性、反応条件などを示すすべての数字は、すべての事例において、「約」という用語によって修飾されているものとして理解すべきである。したがって、反対の指示がない限り、以下の本明細書及び添付の特許請求の範囲において示す数値パラメータは、本発明によって得ることが求められる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。最低限でも、各数値パラメータは、報告されている有効数字の数を踏まえ、通常の四捨五入の方法を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。
本明細書で使用される「添加剤」又は「標的改質を防止する添加剤」という用語は、ラジカルスカベンジャー又は一重項酸素クエンチャーのいずれかを意味する。ラジカルスカベンジャーは、ペルオキシラジカル(ROO.)、CCl3及びHO並びにスーパーオキシドラジカル(O2-)を含む様々なラジカルと直接反応する任意の添加剤を指す。このような添加剤の例としては、限定されないが、アスコルビン酸、n−プロピルガレート、メルカプトエタノール、システインヒドロクロリド、t−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、シクロヘプタトリエン(CHT)、ジオクチルフタレート(DOP)、1,4−ジヒドロ−o−トルアミド(TA)、a−トコフェロール及びトロロクスである。一重項酸素クエンチャーとしては、例えば、クルクミン及びDABCOが挙げられる。例えば、a−トコフェロール及びアスコルビン酸などのいくつかのラジカルスカベンジャーはまた、一重項酸素スカベンジャーとして作用し得る。
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、飽和脂肪族基を指し、例えば、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど)、枝分れアルキル基(イソプロピル、tert−ブチル、イソブチルなど)が挙げられる。特定の実施形態では、直鎖又は枝分れアルキルは、その骨格中に6個以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖についてはC1〜C6、枝分れについてはC3〜C6)か、又はその骨格に4個以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖についてはC1〜C4、分岐鎖についてはC3〜C4)。「C1〜C6」アルキルという用語は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基を指す。「C1〜C4」アルキルという用語は、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基を指す。さらに、アルキルという用語は、「非置換アルキル」及び「置換アルキル」の両方を含み、後者は炭化水素骨格の1個以上の炭素上の水素を置換している置換基を有するアルキル部分を指す。このような置換基としては、例えば、(C1〜C4)アルキル、(C1〜C4)アルコキシ、アミノ((C1〜C4)アルキルアミノ及び(C1〜C4)ジアルキルアミノを含む)、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン又はニトロが挙げられる。シクロアルキルは、例えば、上記置換基でさらに置換することができる。
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、上記アルキルに鎖長及び置換の可能性の点では類似しているが、ただし1以上の二重結合を含有する、不飽和脂肪族基を指す。例えば、「アルケニル」という用語には、直鎖アルケニル基(例えば、エチレニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニルなど)、枝分れアルケニル基が含まれる。さらに、「アルケニル」という用語は「非置換アルケニル」及び「置換アルケニル」の両方を含み、後者は、炭化水素骨格の1個以上の炭素上の水素を置換している置換基を有するアルケニル部分を指す。このような置換基としては、例えば、(C1〜C4)アルキル、(C1〜C4)アルコキシ、アミノ((C1〜C4)アルキルアミノ及び(C1〜C4)ジアルキルアミノを含む)、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン又はニトロが挙げられる。
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、上記アルキルに鎖長と置換の可能性という点では類似しているが、ただし1以上の三重結合を含有する、不飽和脂肪族基を指す。例えば、「アルキニル」という用語には、直鎖アルキニル基(例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニルなど)又は枝分れアルキニル基が含まれる。さらに、「アルキニル」という用語は「非置換アルキニル」及び「置換アルキニル」の両方を含み、後者は、炭化水素骨格の1個以上の炭素上の水素を置換している置換基を有するアルキニル部分を指す。このような置換基としては、例えば、(C1〜C4)アルキル、(C1〜C4)アルコキシ、アミノ((C1〜C4)アルキルアミノ及び(C1〜C4)ジアルキルアミノを含む)、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン又はニトロが挙げられる。
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、酸素原子に共有結合されている置換及び非置換のアルキル、アルケニル及びアルキニル基を指す。アルコキシ基の例としては、限定されないが、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシ及びペントキシ基が挙げられる。特定の実施形態では、直鎖又は枝分れアルコキシは、その骨格中に4個以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖についてはC1〜C4、枝分れについてはC3〜C4)。「C1〜C4」アルキルという用語は、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基を指す。
本明細書で使用される「アミン」又は「アミノ」という用語は、窒素原子が少なくとも1個の炭素又はヘテロ原子に共有結合されている化合物又は置換基を指す。この用語は、窒素が1以上のさらなるアルキル基に結合された基及び化合物を含む「アルキルアミノ」を含む。「ジアルキルアミノ」という用語は、窒素原子が少なくとも2個のさらなるアルキル基に結合された基を含む。特定の実施形態では、これらのアルキル基は、それらの骨格中に4個以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖についてはC1〜C4、枝分れについてはC3〜C4)。(C1〜C4)アルキルアミノという用語は、窒素が少なくとも1個のさらなるC1〜C4アルキル基に結合された基及び化合物を指す。(C1〜C4)ジアルキルアミノという用語は、窒素が少なくとも2個のさらなるC1〜C4アルキル基に結合された基及び化合物を指す。
本明細書で使用される「アリール」という用語は、0個〜4個のヘテロ原子を含み得る、例えば5員及び6員の単環芳香族基などの基を指し、例えば、ベンゼン、フェニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン及びピリミジンなどである。さらに、「アリール」という用語は、多環式アリール基を含み、例えば、三環式、二環式の基であって、例えば、ナフタレン、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン又はインドリジンである。環構造中にヘテロ原子を有するこれらのアリール基は、「アリール複素環」、「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」と称されることもある。芳香族環は、上記のような置換基、例えば、(C1〜C4)アルキル、(C1〜C4)アルコキシ、アミノ((C1〜C4)アルキルアミノ及び(C1〜C4)ジアルキルアミノを含む)、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン又はニトロにより環の1以上の位置で置換され得る。アリール基は、芳香族ではない脂環式環又はヘテロ環と縮合又は架橋され、多環(例えば、テトラリン)を形成することもできる。ヘテロアリールという用語は、不飽和環状化合物、例えば、アジリン、オキシレン、ジチエト、ピロリン、ピロール、フラン、ジヒドロフラン、ジヒドロチオフェン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、12,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ジチアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピラン、ピリミジン、ピラン、チオピラン、ジアジン、チアジン、ダイオキシン、トリアジン及びテトラゼンを含む。
本明細書で使用される「抗体」という用語は、別の分子の特定の空間的極性構造に特異的に結合し、それによりそれと相補的であると定義される免疫グロブリンを指す。抗体は、モノクローナルであり得るか、又はポリクローナルであり得、当技術分野で公知の技術、例えば、宿主を免疫化して血清(ポリクローナル)を回収することによって、又はハイブリッドの継代細胞系を調製して分泌タンパク質(モノクローナル)を回収することによって、又は天然抗体の特異的結合に要求されるアミノ酸配列を少なくともコードするヌクレオチド配列又はその変異型をクローニングして発現させることによって調製することができる。抗体としては、完全な免疫グロブリン又はその断片を挙げることができ、その免疫グロブリンとしては、様々なクラス及びアイソタイプ、例えば、IgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2a、IgG2b及びIgG3、IgMが挙げられる。機能性の抗体断片としては、全長抗体に似た親和性で結合を保持することが可能な抗体の部分(例えば、Fab、Fv及びF(ab’)2又はFab’)を挙げることができる。さらに、免疫グロブリン又はその断片の凝集体、ポリマー及びコンジュゲートも、特定分子への結合親和性が実質的に維持される限り使用することができる。
本明細書で使用される「結合剤」という用語は、生体試料中の1以上の標的に結合し得る分子を指す。結合剤は、標的に特異的に結合することができる。適切な結合剤としては、天然ペプチド又は改質ペプチド、タンパク質(例えば、抗体、アフィボディ又はアプタマー)、核酸(例えば、ポリヌクレオチド、DNA、RNA又はアプタマー)、多糖(例えば、レクチン、糖)、脂質、酵素、酵素基質又は阻害剤、リガンド、受容体、抗原又はハプテンの1以上を挙げることができる。適切な結合剤は、分析しようとする試料及び検出に利用可能な標的に応じて選択することができる。例えば、試料中の標的はリガンドを含み得、結合剤は受容体を含み得、或いは、標的は受容体を含み得、結合剤はリガンドを含み得る。同様に、標的は抗原を含み得、結合剤は抗体又は抗体断片を含み得、その逆もまた同様であり得る。ある実施形態では、標的は核酸を含み得、結合剤は相補的な核酸を含み得る。ある実施形態では、標的及び結合剤は両方とも、互いに結合し得るタンパク質を含み得る。
本明細書で使用される「生体試料」という用語は、対象となる生体より得られた試料を指し、例えば、インビボ又はインビトロで得られた生体組織又は体液に由来する試料が挙げられる。このような試料は、限定されないが、ヒトを含む哺乳動物から単離された体液(例えば、血液、血漿、血清又は尿)、器官、組織、画分、細胞及び細胞オルガネラであり得る。生体試料はまた、組織を含む生体試料の切片(例えば、器官又は組織の切片部分)を含み得る。生体試料はまた、生体試料からの抽出物、例えば、生体液(例、血液又は尿)からの抗原又は核酸を含み得る。生体試料は、タンパク質、炭水化物又は核酸を含み得る。
生体試料は、原核生物起源、古細菌起源又は真核生物起源(例えば、昆虫、原生動物、鳥類、魚類、爬虫類)のものであり得る。ある実施形態では、生体試料は、哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウシ、イヌ、ロバ、モルモット又はウサギ)である。特定の実施形態では、生体試料は、霊長類(例えば、チンパンジー又はヒト)起源である。
本明細書で使用される「対照プローブ」という用語は、電子移動試薬との接触とそれに続く照射後に信号発生剤が少なくとも80パーセントの信号を保持するように、信号発生剤に結合された結合剤又は直接染色可能な信号発生剤を有する薬剤を指す。対照プローブ中の適切な信号発生剤は、電子移動試薬と接触して照射されても実質的に不活性化されない(例えば、光活性化型ケミカルブリーチングにより実質的にブリーチングされない)。信号発生剤の適切な例としては、使用条件下でブリーチングを受けないフルオロフォア(例えば、DAPI)が挙げられる。
本明細書で使用される「助剤」という用語は、信号を除去した後の試料から残存電子移動試薬を除去するのに役立つ洗浄溶液に追加される材料を指す。適切な助剤は、水性緩衝液への電子移動試薬の溶解性を増加させるものである。助剤は、電子移動試薬と複合体を形成することによって機能して(例えば、電子移動試薬がアニオン塩である場合にはカチオン塩)非共有結合性相互作用及び凝集を破壊し得る(例えば、カオトロープ及び洗浄剤)か、又は洗浄液の親水性を調節して両親媒性電子移動試薬をより可溶性にし得る。適切な助剤の例としては、水溶性のモノカチオン又はポリカチオン、カオトロープ、洗浄剤及び有機溶媒が挙げられる。
本明細書で使用される「酵素」という用語は、基質の化学反応を触媒することができるタンパク質分子を指す。ある実施形態では、適切な酵素は、基質の化学反応を触媒して試料中に存在する受容体(例えば、フェノール基)に結合し得る反応生成物を生成する。受容体は、外因性(すなわち、試料又は固体支持体に外的に接着する受容体)でもよいし、内因性(試料又は固体支持体に本来存在する受容体)でもよい。適切な酵素の例としては、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、ホスファターゼ、エステラーゼ及びグリコシダーゼが挙げられる。適切な酵素の具体例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、リパーゼ及びグルコースオキシダーゼが挙げられる。
本明細書で使用される「酵素基質」という用語は、酵素により化学的に触媒され反応生成物を生成する化合物を指す。ある実施形態では、反応生成物は、試料中に存在する受容体に結合し得る。ある実施形態では、本明細書における方法で使用される酵素基質としては、非発色性基質又は非化学発光性基質を挙げることができる。信号発生剤は、標識として酵素基質に付着させることができる。
本明細書で使用される「電子移動試薬」という用語は、光励起を受けることができる分子との光反応に関与し得る試薬を指す。この用語はまた、光励起を受けることができる分子との光反応に関与し得る試薬を含む組成物を指す。ある実施形態では、光励起を受けることができる分子は、信号発生剤であり得る。ある実施形態では、電子移動試薬は、光反応の過程で信号発生剤に電子を供与することができる。代替の実施形態では、電子移動試薬は、光反応の過程で信号発生剤から電子を受容することができる。
ある実施形態では、光反応の過程で信号発生剤に電子供与する電子移動試薬は、ボレート塩であり得る。さらなる実施形態では、ボレート塩はトリフェニルブチルボレートである。
代替の実施形態では、光励起分子からの電子を受容する電子移動試薬は、オニウム塩[例えば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(DPI)もしくはジメチルフェナシルスルホニウムテトラフルオロボレート(DMPS)]又はテトラブチルアンモニウムブチルトリフェニルボレート(TBAB)であり得る。
本明細書で使用される「フルオロフォア」又は「蛍光信号発生剤」という用語は、特定波長の露光により励起されると、異なる波長の光を放出する化合物を指す。フルオロフォアは、それらの発光プロファイル又は「色」の観点から説明することもできる。緑色のフルオロフォア(例えば、Cy3、FITC及びオレゴングリーン)は、一般に、515〜540ナノメートルの波長範囲のそれらの発光を特徴とし得る。赤色のフルオロフォア(例えば、テキサスレッド、Cy5及びテトラメチルローダミン)は、一般に、590〜690ナノメートルの波長範囲のそれらの発光を特徴とし得る。フルオロフォアの例としては、限定されないが、4−アセトアミド−4’−イソチオシアナートスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、アクリジン、アクリジン及びアクリジンイソチオシアネートの誘導体、5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸(EDANS)、4−アミノ−N−[3−ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド−3,5−ジスルホネート(ルシファーイエローVS)、N−(4−アニリノ−1−ナフチル)マレイミド、アントラニルアミド、ブリリアントイエロー、クマリン、クマリン誘導体、7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC、クマリン120)、7−アミノ−トリフルオロメチルクルアリン(クマリン151)、シアノシン、4’,6−ジアミニジノ−2−フェニルインドール(DAPI)、5’,5’’−ジブロモピロガロール−スルホンフタレイン(ブロモピロガロールレッド)、7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアナートフェニル)−4−メチルクマリン、4,4’−ジイソチオシアナートジヒドロ−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジイソチオシアナートスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、5−[ジメチルアミノ]ナフタレン−1−スルホニルクロリド(DNS、ダンシルクロリド)、フルオレセイン及び誘導体、例えば5−カルボキシフルオレセイン(FAM)、5−(4,6−ジクロロトリアジン−2−イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアナート(FITC)、QFITC(XRITC)、フルオレスカミン誘導体(アミンとの反応の際に蛍光)、IR144、IR1446、マラカイトグリーンイソチオシアナート、4−メチルウンベリフェロン、オルトクレゾールフタレイン、ニトロチロシン、パラローズアニリン、フェノールレッド、B−フィコエリスリン、o−フタルジアルデヒド誘導体(アミンとの反応の際に蛍光)、ピレン及び誘導体、例えばピレン、ピレンブチレート及びスクシンイミジル1−ピレンブチレート、リアクティブレッド4(Cibacron.RTM.ブリリアントレッド3B−A)、ローダミン及び誘導体、例えば6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシローダミン(R6G)、リサミンローダミンBスルホニルクロリド、ローダミン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアナート、スルホローダミンB、スルホローダミン101及びスルホローダミン101のスルホニルクロリド誘導体(テキサスレッド)、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、テトラメチルローダミン、テトラメチルローダミンイソチオシアナート(TRITC)、リボフラビン、ロゾール酸とランタニドキレート誘導体、シアニン、ピレリウム色素、スクアライン、1,3−ジクロロ−7−ヒドロキシ−9,9−ジメチル−2(9H)−アクリジノン(DDAO)及びジメチルアクリジノン(DAO)が挙げられる。ある実施形態では、フルオロフォアは、シアニン、ローダミン、BODIPY又は1,3−ジクロロ−7−ヒドロキシ−9,9−ジメチル−2(9H)−アクリジノン(DDAO)の色素である。好ましい実施形態では、フルオロフォアはシアニン色素である。さらなる実施形態では、シアニン色素はCy3又はCy5である。
本明細書で使用される「インサイチュー」という用語は、一般に、ある事象が本来の位置で、例えば、インタクトな器官もしくは組織で、又は器官もしくは組織の代表的な部分で起こることを指す。ある実施形態では、標的のインサイチュー分析は、生物、器官、組織試料又は細胞培養物を含む、様々な供給源に由来する細胞で実施することができる。インサイチュー分析は、標的がその起源の部位から取り出された場合に失われる可能性がある文脈情報を提供する。したがって、標的のインサイチュー分析は、標的結合プローブが細胞内に残っている場合に細胞膜が完全にインタクトであるか又は部分的にインタクトであるかにかかわらず、全細胞内又は組織試料内にある標的結合プローブの分析を表す。さらに、本明細書で開示されている方法を利用し、固定されているか又は固定されていない細胞又は組織試料において標的をインサイチュー分析することができる。
本明細書で使用される「照射」又は「照射する」という用語は、試料又は溶液を非電離放射線に曝露する操作又はプロセスを指す。ある実施形態では、非電離放射線の波長は350nm〜1.3μmである。好ましい実施形態では、非電離放射線は、波長が400〜700nmの可視光である。照射は、試料又は溶液を、特定の波長又は波長範囲の照射を放射することができる放射線源、例えばランプに曝露することにより達成することができる。ある実施形態では、光励起を受けることができる分子は、照射の結果、光励起される。ある実施形態では、光励起を受けることができる分子は、信号発生剤、例えば蛍光信号発生剤である。ある実施形態では、蛍光信号発生剤へ照射すると、蛍光信号発生剤と電子移動試薬との間で光反応が開始される。ある実施形態では、照射により光反応が開始され、光活性化型ケミカルブリーチングによって信号発生剤を実質的に不活性化する。
光学フィルタを使用して、試料又は溶液の照射を特定の波長又は波長範囲に制限することができる。ある実施形態では、光励起を受けることができる1以上の分子を選択的光励起のために、光学フィルタを使用して、照射を狭い波長範囲に制限することができる。「選択的光励起」という用語は、照射後に基底電子状態のままで光励起を受けることができる1以上の他の分子の存在下で、光励起を受けることができる1以上の分子を光励起する操作又はプロセスを指す。
ある実施形態では、光励起を受けることができる分子は、蛍光色素、例えばシアニン色素である。さらなる一実施形態では、520〜580nmの波長範囲に限定される照射は、Cy3色素の選択的光励起に使用される。別のさらなる実施形態では、620〜680nmの波長範囲に限定される照射は、Cy5色素の選択的光励起に使用される。代替の実施形態では、特定波長での試料の照射は、レーザーを使用することにより達成することもできる。
本明細書で使用される「ペルオキシダーゼ」という用語は、電子ドナーと一緒に酵素基質の酸化反応を触媒する種類の酵素を指す。ペルオキシダーゼ酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、シトクロムCペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ又はダイズペルオキシダーゼが挙げられる。
本明細書で使用される「ペルオキシダーゼ基質」という用語は、ペルオキシダーゼによって化学的に触媒され反応生成物を生成する化合物を指す。ある実施形態では、本明細書における方法で使用されるペルオキシダーゼ基質としては、非発色性基質又は非化学発光性基質を挙げることができる。蛍光信号発生剤は、標識としてペルオキシダーゼ基質に付着させることができる。
本明細書で使用される「ブリーチング」、「光活性化型ケミカルブリーチング」又は「光誘起型ケミカルブリーチング」という用語は、信号発生剤によって形成された信号を光反応の過程で改質する操作又はプロセスを指す。特定の実施形態では、信号発生剤は不可逆的に改質される。
ある実施形態では、信号は、光活性化型ケミカルブリーチングの結果、縮小又は除去される。ある実施形態では、信号発生剤は完全にブリーチングされる(すなわち、信号強度が約100%減少する)。ある実施形態では、信号は光信号であり、信号発生剤は光信号発生剤である。「光活性化型ケミカルブリーチング」という用語は、例えば、フルオロフォアなどの信号発生剤の連続照射後おいて、又は光への連続曝露後において、電子移動試薬の非存在下で生じ得る信号(例えば、蛍光信号)の光退色又は消失を除くことを意味する。
本明細書で使用される「光励起」という用語は、分子が放射線エネルギーの吸収時に(例えば、照射時に)基底電子状態から励起電子状態に移行する操作又はプロセスを指す。光励起分子は、例えば、電子移動反応において、化学反応に関与し得る。ある実施形態では、光励起を受けることができる分子は信号発生剤(例えば、蛍光信号発生剤)である。
本明細書で使用される「光反応」又は「光誘起反応」という用語は、1以上の反応物質の光励起の結果、開始及び/又は進行する化学反応を指す。光反応における反応物質は、電子移動試薬及び光励起を受けることができる分子であり得る。ある実施形態では、光反応は、電子移動試薬から光励起を受けた分子(すなわち、光励起分子)までの電子移動を含み得る。他の実施形態では、光反応は、光励起を受けた分子から電子移動試薬への電子移動も含み得る。ある実施形態では、光励起を受けることができる分子は、蛍光信号発生剤(例えばフルオロフォア)である。ある実施形態では、光反応によって、光反応の1以上の成分の不可逆な改質が生じる。ある実施形態では、光反応は、光活性化型ケミカルブリーチングによって信号発生剤を実質的に不活性化する。
ある実施形態では、光反応は、電子移動試薬と光励起分子との間の分子間電子移動を含み得、例えば、電子移動試薬と光励起分子との間の結合が一時的な場合に電子移動が生じ、電子移動の直前に形成され、電子移動後に分離する。
ある実施形態では、光反応は、電子移動試薬と光励起分子との間の分子内電子移動を含み得る(例えば、電子移動プロセスの開始前に、共有結合又は静電的相互作用によって、例えば、電子移動試薬及び光励起分子が互いに結合した場合に電子移動が生じる)。分子内電子移動に関する光反応は、例えば、光励起を受けることができる分子及び電子移動試薬が逆の電荷を有し、静電相互作用によって保持される複合体を形成する場合に生じ得る。例えばカチオン色素、例えば、カチオン性シアニン色素とトリフェニルブチルボレートアニオンは複合体を形成することができ、この場合、分子内電子移動は照射時にシアニン部分とホウ酸部分との間で生じ得る。
本明細書で使用される「プローブ」という用語は、結合剤及び標識、例えば、信号発生剤又は酵素を有する薬剤を指す。ある実施形態では、結合剤及び標識(信号発生剤又は酵素)は、単一の実体において統合される。結合剤及び標識は、直接的に(例えば、結合剤へ取り込まれた蛍光分子を介して)又は間接的に(例えば、リンカーを介して)付着され、単一工程で生体試料に適用することができる。代替の実施形態では、結合剤及び標識は、個別の実体(例えば、標的及び酵素に結合可能な一次抗体又は一次抗体に結合可能な信号発生剤標識二次抗体)において統合される。結合剤及び標識(信号発生剤又は酵素)が別々の実体である場合、それらは、単一工程又は複数工程で生体試料に適用することができる。本明細書で使用される「蛍光プローブ」という用語は、蛍光信号発生剤に結合された結合剤を有する薬剤を指す。ある実施形態では、プローブは、検出信号が光信号であるように、光信号発生剤を含み得る。ある実施形態では、プローブは、検出信号が蛍光信号であるように、蛍光信号発生剤を含み得る。
本明細書で使用される「信号発生剤」という用語は、1以上の検出技術(例えば、分光分析、熱量測定、分光学又は目視検査)を使用して検出可能な信号を提供することができる分子を指す。検出可能な信号の適切な例としては、光信号及び電気信号が挙げられる。信号発生剤の例としては、1以上の発色団、フルオロフォア又はラマン活性タグが挙げられる。上記のように、プローブに関しては、ある実施形態では、信号発生剤に結合剤は単一の実体に存在し得る(例えば、蛍光標識を有する標的結合タンパク質)。或いは、結合剤と信号発生剤は、試料へ導入する前又は導入する際に互いに会合する個別の実体(例えば、受容体タンパク質と、その特定の受容体タンパク質に対する標識抗体)であり得る。
ある実施形態では、信号発生剤は光信号発生剤であり得る。ある実施形態では、光信号発生剤は蛍光信号発生剤、例えばフルオロフォアであり得る。好ましい実施形態では、蛍光信号発生剤はシアニン色素、例えばCy3、Cy5、Cy7であり得る。ある実施形態では、信号発生剤、例えばフルオロフォアは帯電していてもよい。一実施形態では、信号発生剤はカチオン性蛍光色素である。
本明細書で使用される「固体支持体」という用語は、生体試料中に存在する標的をその上に固定化し、続いて本明細書で開示されている方法によって検出し得る物品を指す。標的は、物理的な吸着により、共有結合形成により、又はそれらの組合せにより固体支持体上に固定化することができる。固体支持体としては、ポリマー、ガラス又は金属材料を挙げることができる。固体支持体の例としては、膜、マイクロタイタープレート、ビーズ、フィルタ、試験紙、スライド、カバースリップ及び試験管が挙げられる。
本明細書で使用される「特異的結合」という用語は、2つの異なる分子のうちの一方が他方を特異的に認識し、それに比べて他の分子の認識が実質的に低いことを指す。分子は、その表面上又は空洞中に、静電的相互作用、水素結合又は疎水性相互作用の1以上より生じる二分子間の特異的認識をもたらす領域を有し得る。特異的結合の例としては、限定されないが、抗体−抗原相互作用、酵素−基質相互作用、ポリヌクレオチド相互作用などが挙げられる。ある実施形態では、結合剤分子は、周囲条件下で、例えば、約6〜約8のpH、約0℃〜約37℃の範囲の温度の下で、標的に対して約105-1以上の固有の平衡結合定数(KA)を有し得る。
本明細書で使用される「標的」という用語は、生体試料中に存在する場合に検出され得る生体試料成分を指す。標的は、天然に存在する特異的結合剤(例えば、抗体)が存在する任意の物質、又は特異的結合剤(例えば、低分子結合剤もしくはアプタマー)を製造することができる任意の物質であり得る。一般に、結合剤は、標的の1以上の個別の化学部分又は標的の三次元構造成分(例えば、ペプチドフォールディングから得られる3D構造)を介して標的に結合することができる。標的としては、天然ペプチド又は改質ペプチド、タンパク質(例えば、抗体、親和体又はアプタマー)、核酸(例えば、ポリヌクレオチド、DNA、RNA又はアプタマー)、多糖(例えば、レクチン又は糖)、脂質、酵素、酵素基質、リガンド、受容体、抗原又はハプテンの1以上を挙げることができる。ある実施形態では、標的としては、タンパク質又は核酸を挙げることができる。
本明細書で使用される「標的改質」という用語は、プローブ結合を防止又は低減する標的構造の変化を含む。変化は、本質的に化学的なもの、例えば検出しようとする試料の1以上のアミノ酸、1以上の脂質成分、1以上の核酸塩基もしくは他の成分の酸化、もしくはこれらへのラジカルの付加であり得るか、又は物理的なもの、例えばタンパク質もしくはタンパク質の一部の変性、DNAの巻き戻し、フォールディングの増加などであり得る。
本発明は、分析、診断又は予後の用途に適用可能な方法、例えば、分析物検出、蛍光活性化細胞選別(FACS)、組織化学、免疫組織化学又は免疫蛍光などに一般に関する実施形態を含む。ある実施形態では、本明細書で開示されている方法は、組織化学、免疫染色、免疫組織化学、イムノアッセイ又は免疫蛍光法に特に適用され得る。ある実施形態では、本明細書で開示されている方法は、免疫ブロッティング法、例えば、ウエスタンブロット又はイムノアッセイ、例えば、酵素結合免疫吸着法(ELISA)に特に適用することができる。
開示されている方法は、一般に、単一生体試料中の複数の標的の検出に関する。ある実施形態では、同じ検出チャネルを使用して、単一生体試料中の複数の標的を検出する方法を開示する。標的は、懸濁液中の細胞の表面上、細胞塗抹標本の表面上、組織切片の表面上、DNAマイクロアレイの表面上、タンパク質マイクロアレイの表面上又は固体支持体(例えば、ゲル、ブロット、ガラススライド、ビーズ又はELISAプレート)の表面上に存在し得る。
本明細書で開示されている方法は、生体試料の完全性にほとんど又は全く影響することなく、同じ生体試料中の複数の標的を検出することができる。同じ生体試料中の標的を検出することによって、生体試料中の標的に関する空間的な情報をさらに提供することができる。本明細書で開示されている方法は、限られた量の生体試料が分析に利用可能であり、同じ試料を多重分析を行うために処理しなければならない場合の分析用途にも適用することができる。本明細書で開示されている方法はまた、プローブ及び標的を実質的に除去することなく、固体状態の試料(例えば、組織切片)又は固体支持体に接着している試料(例えば、ブロット)の多重分析を容易にすることもできる。さらに、同じ検出チャネルは試料中の異なる標的の検出に利用することができ、複数の標的の分析に関する化学的要求をより少なくすることが可能である。これらの方法は、分解可能な信号に限度があることから同時に検出可能な標的の数が制限され得る検出方法に基づいた分析をさらに容易にすることができる。例えば、蛍光ベースの検出を使用した場合、同時に検出することができる標的の数は、その励起光及び発光波長特性に基づき約5種の蛍光信号しか分解できないので、約5種まで限定される可能性がある。ある実施形態では、本明細書で開示されている方法は、蛍光ベースの検出システムを使用し、5種よりも多い標的を検出することができる。
ある実施形態では、方法は、シグナルサイクリングプロセスを含むハイスループット多重化生体試料分析であって、各サイクルにおいて、染色及びイメージングし、続いて、電子移動試薬及び標的改質を防止する任意選択的な添加剤を適用し、生体試料を照射する分析である。方法は、プローブと異なる生体試料成分を有意に改質せずに迅速なシグナルサイクリングを可能にする。
ある実施形態では、生体試料中の複数の標的を検出する方法は、生体試料中の標的の連続検出を含む。方法は、一般に、標的改質を防止する添加剤の任意選択的な存在下で、生体試料中の第1の標的セットを検出する工程、第1の標的セットからの信号を光誘起型ケミカルブリーチングによってブリーチングする工程を含む。ある実施形態では、方法は、試料から残留電子移動試薬を有効に除去する洗浄溶液で試料を洗浄する工程を含む。ある実施形態では、洗浄溶液は、エタノールを含有する。
ある実施形態では、方法は、生体試料中の第2の標的セットを検出することをさらに含む。方法は、第2の標的セットからの信号を光誘起型ケミカルブリーチングし、続いて、生体試料中の第3の標的セットを検出する工程を繰り返すことなどをさらに含み得る。
ある実施形態では、方法は、生体試料を第1のプローブと接触させる工程、及び第1のプローブを第1の標的に物理的に結合させる工程を含む。方法は、第1のプローブからの第1の信号を検出/観測する工程をさらに含む。電子移動試薬及び標的改質を防止する任意選択的な添加剤をプローブに適用し、電子移動試薬、添加剤及びプローブを含む試料を照射して第1の信号を改質する光反応を開始させる。方法は、生体試料を第2のプローブと接触させ、第2のプローブを生体試料中の第2の標的に物理的に結合させ、続いて、第2のプローブからの第2の信号を検出/観測することをさらに含む。ある実施形態では、方法は、試料から残留電子移動試薬を有効に除去する洗浄溶液で試料を洗浄する工程を含む。ある実施形態では、洗浄溶液は、エタノールを含有する。
ある実施形態では、方法はまた、生体試料を複数の多数のプローブセットと接触させる工程、及び複数のプローブを複数の標的に物理的に結合させる工程を含む。方法は、第1の複数のプローブセットからの第1の信号セットを検出することをさらに含む。電子移動試薬及び標的改質を防止する任意選択的な添加剤は複数のプローブに適用され、試料は照射され、それにより、第1の複数のプローブセットからの第1の信号セットを改質する光反応が開始される。方法は、第2の複数の標的セットからの第2の信号セットを形成させる工程と、第2の信号セットを検出することをさらに含む。第2の信号セットの形成は、第2のプローブセットを、信号発生剤を含む個別の成分に結合させることを含み得る。例えば、第2のプローブセットはビオチンタグを含み得、信号発生剤を含む成分はまた、ビオチンタグを結合することができるストレプトアビジンを含み得る。或いは、第2の信号セットの形成は、例えば、フルオロフォアとクエンチャーとの対の間の距離を変えることによって、信号形成成分をマスキングしないことを含み得る。さらなる他の実施形態では、第2の信号セットは、第2のプローブセットに関する非標識相補配列に標識核酸プローブをハイブリダイゼーションすることにより形成させることができる。ある実施形態では、方法は、試料から残留電子移動試薬を有効に除去する洗浄溶液で試料を洗浄する工程を含む。ある実施形態では、洗浄溶液は、エタノールを含有する。
他の実施形態では、方法は、複数の標的を含有する試料を準備する工程、及び酵素に結合された結合剤を有する1以上のプローブを試料中に存在する1以上の標的に結合させる工程を含む。方法には、結合プローブを信号発生剤に結合された酵素基質と反応させ、信号発生剤からの信号を検出することをさらに含む。光反応の過程で信号発生剤と酵素をともに実質的に不活性化する電子移動試薬を、光活性化型ケミカルブリーチング中の標的改質を防止する任意選択的な添加剤と一緒に試料に適用する。方法はまた、酵素を不活性化する任意の個別の工程をも含む。酵素不活性化の工程は、例えば、酵素不活性化試薬の適用を含み得る。方法は、酵素に結合された結合剤を有する1以上の後続のプローブを、試料中に存在する1以上の標的に結合させることをさらに含む。方法は、結合プローブを、信号発生剤に結合された酵素基質と反応させ、信号発生剤からの信号を検出することをさらに含む。ある実施形態では、方法は、試料から残留電子移動試薬を有効に除去する洗浄溶液で試料を洗浄する工程を含む。ある実施形態では、洗浄溶液は、エタノールを含有する。
さらに他の実施形態では、方法は、複数の標的を含む生体試料を準備する工程、及び1以上のプローブを試料中に存在する1以上の標的に結合させる工程を含む。方法は、結合プローブからの信号を検出することをさらに含む。結合プローブを電子移動試薬及び標的改質を防止する任意選択的な添加剤と接触させ、結合プローブ、添加剤及び電子移動試薬を含む試料に照射を行い、それによりプローブをブリーチングする。方法は、1以上の後続のプローブを、試料中に存在する1以上の標的に結合させ、続いて後続結合プローブからの信号を検出することをさらに含む。ある実施形態では、方法は、試料から残留電子移動試薬を有効に除去する洗浄溶液で試料を洗浄する工程を含む。ある実施形態では、洗浄溶液は、エタノールを含有する。
さらに他の実施形態では、方法は、複数の標的を含む生体試料を準備する工程、及び1以上の蛍光プローブを試料中に存在する1以上の標的に結合させる工程を含む。方法は、1以上の対照プローブを試料中の1以上の標的に結合させることをさらに含む。結合プローブを電子移動試薬及び標的改質を防止する任意選択的な添加剤と接触させ、結合プローブ、添加剤及び電子移動試薬を含む試料に照射を行い、それによりプローブはブリーチングされるが、対照プローブはブリーチングされない。方法は、1以上の後続のプローブを試料中に存在する1以上の標的に結合させ、続いて後続結合プローブからの信号を検出することをさらに含む。ある実施形態では、方法は、試料から残留電子移動試薬を有効に除去する洗浄溶液で試料を洗浄する工程を含む。ある実施形態では、洗浄溶液は、エタノールを含有する。
さらに他の実施形態では、上記方法は、光学的に標識した生体標的を示す一連の2以上の画像を提供する。
生体試料
本発明の一実施形態による生体試料は、固体でもよいし又は液体でもよい。生体試料の適切な例としては、限定されないが、培養物、血液、血漿、血清、唾液、脳脊髄液、胸膜液、乳、リンパ液、痰、精液、尿、糞、涙液、唾液、注射針による吸引物、皮膚の外部切片、気道、腸管及び尿生殖路、腫瘍、器官、細胞培養物もしくは細胞培養物成分又は固体組織切片が挙げられる。細胞培養物は、混合細胞培養物、幹細胞コロニー又は各種の癌もしくは初代細胞系に由来する培養物を含み得る。ある実施形態では、生体試料は、そのままの状態で、すなわち、対象とする標的の回収及び/又は単離を行うことなく分析することができる。代替の実施形態では、標的の回収及び単離は、分析前に実施することができる。ある実施形態では、本明細書で開示されている方法は、生体試料のインビトロ分析に特に適し得る。
生体試料としては、その物理状態、例えば、限定されないが、凍結もしくは染色されている状態又は別の方法で処理されている状態を問わない、任意の上記試料を挙げることができる。ある実施形態では、生体試料は、天然の試料と天然では混ざらない化合物、例えば、保存剤、抗凝固剤、緩衝液、固定剤、栄養素、抗生物質などを含み得る。
ある実施形態では、生体試料は、組織試料又は切片、全細胞、細胞成分、例えば、細胞オルガネラ、サイトスピン又は細胞塗抹標本を含み得る。ある実施形態では、生体試料は、組織試料を本質的に含む。組織試料は、類似機能を有し得る、生物学的被験体の組織から得られる類似細胞のコレクションを含み得る。ある実施形態では、組織試料は、ヒトの組織から得られる類似細胞のコレクションを含み得る。ヒト組織の適切な例としては、限定されないが、(1)上皮、(2)血管、骨及び軟骨を含む結合組織、(3)筋肉組織、並びに(4)神経組織が挙げられる。組織試料の供給源は、新鮮、凍結及び/又は保存状態の器官又は組織試料又は生検又は吸引物から得られる固体組織、血液又は任意の血液成分、体液、例えば、脳脊髄液、羊水、腹膜液又は間質液、或いは、被検体の妊娠期又は発生期におけるあらゆる時点の細胞であり得る。ある実施形態では、組織試料は、初代細胞又は培養細胞又は細胞系を含み得る。
ある実施形態では、生体試料は、健康又は疾患状態の組織試料由来の組織切片(例えば、結腸、乳房組織、前立腺由来の組織切片)を含む。組織切片は、組織試料の一部分又は小片、例えば、組織試料から切り取った組織又は細胞の薄片を含み得る。ある実施形態では、本明細書で開示されている方法を使用して、2以上の(形態学又は分子のレベルでの)異なる標的に関して組織試料の同じ切片を分析する場合、組織試料の複数の切片を取って分析へ供することができる。ある実施形態では、組織マイクロアレイを使用することができる。ある実施形態では、組織試料の同じ切片を5以上の(形態学又は分子のレベルで)異なる標的に関して分析することができる。ある実施形態では、組織試料の同じ切片は、5つ超の(形態学又は分子レベルで)異なる標的に関して分析することができる。ある実施形態では、組織試料の同じ切片は、形態学レベル及び分子レベルの両方で分析することができる。
組織切片は、生体試料として利用する場合、約100マイクロメートル未満の範囲、約50マイクロメートル未満の範囲、約25マイクロメートル未満の範囲又は約10マイクロメートル未満の範囲の厚さを有することができる。
ある実施形態では、生体試料は1以上のタンパク質、炭水化物又は核酸を含み得る。ある実施形態では、生体試料又は生体試料中の標的は固体支持体へ接着させることができる。固体支持体としては、マイクロアレイ(例えば、DNA又はRNAマイクロアレイ)、ゲル、ブロット、ガラススライド、ビーズ又はELISAプレートを挙げることができる。ある実施形態では、生体試料又は生体試料中の標的は、ナイロン、ニトロセルロース及びポリビニリデンジフルオリドから選択される膜へ接着させることができる。ある実施形態では、固体支持体は、ポリスチレン、ポリカーボネート及びポリプロピレンから選択されるプラスチック表面を含み得る。
標的
標的は、生体試料の表面に存在し得るか(例えば、組織切片の表面上の抗原)、又は試料のバルク中に存在し得る(例えば、緩衝溶液中の抗体)。ある実施形態では、標的は、生体試料の表面に本来存在していない可能性があり、標的を表面上で利用できるように生体試料を処理しなければならないことがある(例えば、抗原賦活化、酵素消化、エピトープ回復又はブロッキング)。ある実施形態では、標的は、体液、例えば、血液、血漿、血清又は尿などに存在し得る。一部の他の実施形態では、標的は、組織中に、細胞表面又は細胞内部のいずれかに固定化することができる。
分析しようとする標的の適切性は、生体試料に必要とされる分析の種類及び特性により決定することができる。ある実施形態では、標的は、生体試料中の分析物の存在又は非存在についての情報を提供することができる。他の実施形態では、標的は、生体試料の状態についての情報を提供することができる。例えば、生体試料が組織試料を含む場合には、本明細書で開示されている方法を使用し、異なる種類の細胞又は組織の比較、異なる発生段階の比較、疾患又は異常の存在の検出、或いは疾患又は異常の種類の決定に有用となり得る標的を検出することができる。
標的としては、1以上のペプチド、タンパク質(例えば、抗体、親和体又はアプタマー)、核酸(例えば、ポリヌクレオチド、DNA、RNA又はアプタマー)、多糖(例えば、レクチン又は糖)、脂質、酵素、酵素基質、リガンド、受容体、抗原又はハプテンが挙げられる。ある実施形態では、標的は、本質的に、タンパク質又は核酸を含むことができる。他の実施形態では、複数のタイプの標的、例えば、核酸、多糖、脂質、酵素、酵素基質、リガンド、受容体、抗原又はハプテンは、同じ生体試料中で、1以上のサイクルで検出及び/又は分析することができる。上記1以上の標的は特定の細胞に特徴的であり得るが、他の標的は特定の疾患又は症状に関連していてもよい。ある実施形態では、本明細書で開示されている方法を使用して検出及び分析され得る標的としては、限定されないが、予後標的、ホルモン標的又はホルモン受容体標的、リンパ球様標的、腫瘍標的、細胞周期関連標的、神経組織標的及び腫瘍標的、或いはクラスター分化標的を挙げることができる。
予後標的の適切な例としては、酵素標的、例えば、ガラクトシルトランスフェラーゼII、ニューロン特異的エノラーゼ、プロトンATPase−2又は酸ホスファターゼなどが挙げられる。
ホルモン標的又はホルモン受容体標的の適切な例としては、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(HCG)、副腎皮質刺激ホルモン、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異抗原(PSA)、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、アンドロゲン受容体、gC1q−R/p33補体受容体、IL−2受容体、p75神経栄養因子受容体、PTH受容体、甲状腺ホルモン受容体又はインスリン受容体を挙げることができる。
リンパ球様標的の適切な例としては、α−1−アンチキモトリプシン、α−1−アンチトリプシン、B細胞標的、bcl−2、bcl−6、Bリンパ球抗原36kD、BM1(骨髄性標的)、BM2(骨髄性標的)、ガレクチン−3、グランザイムB、HLAクラスI抗原、HLAクラスII(DP)抗原、HLAクラスII(DQ)抗原、HLAクラスII(DR)抗原、ヒト好中球デフェンシン、免疫グロブリンA、免疫グロブリンD、免疫グロブリンG、免疫グロブリンM、κ軽鎖、κ軽鎖、λ軽鎖、リンパ球/組織球抗原、マクロファージ標的、ムラミダーゼ(リゾチーム)、p80未分化リンパ腫キナーゼ、プラズマ細胞標的、分泌性白血球プロテアーゼ阻害剤、T細胞抗原受容体(JOVI1)、T細胞抗原受容体(JOVI3)、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ又は非クラスター化B細胞標的を挙げることができる。
腫瘍標的の適切な例としては、αフェトプロテイン、アポリポタンパク質D、BAG−1(RAP46タンパク質)、CA19−9(Sialyl lewisa)、CA50(癌関連ムチン抗原)、CA125(卵巣癌抗原)、CA242(腫瘍関連ムチン抗原)、クロモグラニンA、クラステリン(アポリポタンパク質J)、上皮膜抗原、上皮関連抗原、上皮特異的抗原、グロス嚢胞性疾患流体タンパク質−15、肝細胞特異的抗原、ヘレグリン、ヒト胃ムチン、ヒト乳脂肪球、MAGE−1、マトリックスメタロプロテイナーゼ、メランA、メラノーマ標的(HMB45)、メソセリン、メタロチオネイン、小眼球症転写因子(MITF)、Muc−1コア糖タンパク質、Muc−1糖タンパク質、Muc−2糖タンパク質、Muc−5AC糖タンパク質、Muc−6糖タンパク質、ミエロペルオキシダーゼ、Myf−3(横紋筋肉腫標的)、Myf−4(横紋筋肉腫標的)、MyoD1(横紋筋肉腫標的)、ミオグロブリン、nm23タンパク質、胎盤アルカリホスファターゼ、プレアルブミン、前立腺特異的抗原、前立腺酸性ホスファターゼ、前立腺インヒビンペプチド、PTEN、腎細胞癌標的、小腸ムチン抗原、テトラネクチン、甲状腺転写因子−1、マトリックスメタロプロテイナーゼ1の組織阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ2の組織阻害剤、チロシナーゼ、チロシナーゼ関連タンパク質−1、ビリン又はフォンウィルブラント因子が挙げられる。
細胞周期関連標的の適切な例としては、アポトーシスプロテアーゼ活性化因子−1、bcl−w、bcl−x、ブロモデオキシウリジン、CAK(cdk−活性化キナーゼ)、細胞アポトーシス感受性タンパク質(CAS)、カスパーゼ2、カスパーゼ8、CPP32(カスパーゼ−3)、CPP32(カスパーゼ−3)、サイクリン依存性キナーゼ、サイクリンA、サイクリンB1、サイクリンD1、サイクリンD2、サイクリンD3、サイクリンE、サイクリンG、DNA断片化因子(N末端)、Fas(CD95)、Fas結合デスドメインタンパク質、Fasリガンド、Fen−1、IPO−38、Mcl−1、ミニ染色体維持タンパク質、ミスマッチ修復タンパク質(MSH2)、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ、増殖細胞核内抗原、p16タンパク質、p27タンパク質、p34cdc2、p57タンパク質(Kip2)、p105タンパク質、Stat1α、トポイソメラーゼI、トポイソメラーゼIIα、トポイソメラーゼIIIα又はトポイソメラーゼIIβが挙げられる。
神経組織及び腫瘍標的の適切な例としては、αBクリスタリン、α−インターネキシン、αシヌクレイン、アミロイド前駆体タンパク質、βアミロイド、カルビンジン、コリンアセチルトランスフェラーゼ、興奮性アミノ酸トランスポーター1、GAP43、グリア線維性酸性タンパク質、グルタミン酸受容体2、ミエリン塩基性タンパク質、神経成長因子受容体(gp75)、神経芽細胞腫標的、ニューロフィラメント68kD、ニューロフィラメント160kD、ニューロフィラメント200kD、ニューロン特異的エノラーゼ、ニコチン性アセチルコリン受容体α4、ニコチン性アセチルコリン受容体β2、ペリフェリン、タンパク遺伝子産物9、S−100タンパク質、セロトニン、SNAP−25、シナプシンI、シナプトフィシン、tau、トリプトファンヒドロキシラーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ又はユビキチンを挙げることができる。
クラスター分化標的の適切な例としては、CD1a、CD1b、CD1c、CD1d、CD1e、CD2、CD3δ、CD3ε、CD3γ、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8α、CD8β、CD9、CD10、CD11a、CD11b、CD11c、CDw12、CD13、CD14、CD15、CD15s、CD16a、CD16b、CDw17、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD25、CD26、CD27、CD28、CD29、CD30、CD31、CD32、CD33、CD34、CD35、CD36、CD37、CD38、CD39、CD40、CD41、CD42a、CD42b、CD42c、CD42d、CD43、CD44、CD44R、CD45、CD46、CD47、CD48、CD49a、CD49b、CD49c、CD49d、CD49e、CD49f、CD50、CD51、CD52、CD53、CD54、CD55、CD56、CD57、CD58、CD59、CDw60、CD61、CD62E、CD62L、CD62P、CD63、CD64、CD65、CD65s、CD66a、CD66b、CD66c、CD66d、CD66e、CD66f、CD68、CD69、CD70、CD71、CD72、CD73、CD74、CDw75、CDw76、CD77、CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD85、CD86、CD87、CD88、CD89、CD90、CD91、CDw92、CDw93、CD94、CD95、CD96、CD97、CD98、CD99、CD100、CD101、CD102、CD103、CD104、CD105、CD106、CD107a、CD107b、CDw108、CD109、CD114、CD115、CD116、CD117、CDw119、CD120a、CD120b、CD121a、CDw121b、CD122、CD123、CD124、CDw125、CD126、CD127、CDw128a、CDw128b、CD130、CDw131、CD132、CD134、CD135、CDw136、CDw137、CD138、CD139、CD140a、CD140b、CD141、CD142、CD143、CD144、CDw145、CD146、CD147、CD148、CDw149、CDw150、CD151、CD152、CD153、CD154、CD155、CD156、CD157、CD158a、CD158b、CD161、CD162、CD163、CD164、CD165、CD166及びTCR−ζが挙げられる。
他の適切な予後標的としては、中心体タンパク質−F(CENP−F)、ジアンチン(giantin)、インボルクリン、ラミンA&C(XB10)、LAP−70、ムチン、核孔複合体タンパク質、p180ラメラ体タンパク質、ran、r、カテプシンD、Ps2タンパク質、Her2−neu、P53、S100、上皮標的抗原(EMA)、TdT、MB2、MB3、PCNA又はKi67が挙げられる。
プローブ
既に定義したとおり、プローブは、結合剤及び標識、例えば、信号発生剤又は酵素を有する薬剤を指す。
ある実施形態では、結合剤及び標識(信号発生剤又は酵素)を、直接的に(すなわち、いかなるリンカーも無しに)互いに結合させることができる。他の実施形態では、結合剤及び標識(信号発生剤又は酵素)は、リンカーを介して互いに結合させることができる。本明細書で使用される「結合させる」は、一般に、任意の物理化学的手段によって、互いに安定的に結合されている2つの実体(例えば、結合剤及び信号発生剤)を指す。この結合の特性は、それがいずれの実体の有効性も実質的に損なわないものであり得る。結合剤及び標識は、共有結合性又は非共有結合性の相互作用を介して互いに結合することができる。非共有結合性の相互作用としては、限定されないが、疎水性相互作用、イオン性相互作用、水素結合相互作用、高親和性相互作用(例えば、ビオチン−アビジン又はビオチン−ストレプトアビジン複合体形成)又は他の親和性相互作用を挙げることができる。
ある実施形態では、結合剤及び標識(信号発生剤又は酵素)を、適切な条件下で、反応して連結を形成させることができる官能基を介して、互いに化学的に連結させることができる。官能基の組合せの適切な例としては、限定されないが、アミンエステルとアミン又はアニリン、アシルアジドとアミン又はアニリン、ハロゲン化アシルとアミン、アニリン、アルコール又はフェノール、アシルニトリルとアルコール又はフェノール、アルデヒドとアミン又はアニリン、ハロゲン化アルキルとアミン、アニリン、アルコール、フェノール又はチオール、アルキルスルホネートとチオール、アルコール又はフェノール、無水物とアルコール、フェノール、アミン又はアニリン、ハロゲン化アリールとチオール、アジリジンとチオール又はチオエーテル、カルボン酸とアミン、アニリン、アルコール又はハロゲン化アルキル、ジアゾアルカンとカルボン酸、エポキシドとチオール、ハロアセトアミドとチオール、ハロトリアジンとアミン、アニリン又はフェノール、ヒドラジンとアルデヒド又はケトン、ヒドロキシアミンとアルデヒド又はケトン、イミドエステルとアミン又はアニリン、イソシアネートとアミン又はアニリン及びイソチオシアネートとアミン又はアニリンを挙げることができる。上記官能基対の一方の官能基は、結合剤に存在しており、対応する官能基は信号発生剤又は酵素に存在し得る。例えば、結合剤はカルボン酸を含み得、信号発生剤又は酵素はアミン、アニリン、アルコール又はハロゲン化アシルを含み得、またその逆もまた同様であり得る。結合剤と信号発生剤又は酵素との間のコンジュゲーションは、この場合、アミド又はエステル結合の形成によって行うことができる。
ある実施形態では、結合剤は、信号発生剤で(例えば、結合剤がタンパク質である場合、合成中に、検出可能な標識アミノ酸を使用して)又は酵素で(例えば、結合剤が酵素である場合)で内在的に標識することができる。内在的に標識されている結合剤は、検出に、別の信号発生剤又は酵素が必要でない場合がある。むしろ、内在的な標識は、プローブを検出可能にするのに十分であることもある。代替の実施形態では、結合剤は、特異的信号発生剤又は酵素にそれを結合させることによって標識することができる(すなわち、外因的標識)。
ある実施形態では、結合剤及び標識(信号発生剤又は酵素)は、単一の実体において統合される。代替の実施形態では、結合剤及び標識(信号発生剤又は酵素)は、個別の実体において統合される(例えば、標的に結合可能な一次抗体と、一次抗体に結合可能な酵素又は信号発生剤標識二次抗体、或いは標的に結合可能なハプテン標識一次抗体と、そのハプテン標識一次抗体に結合可能な酵素又は信号発生剤標識抗ハプテン抗体)。結合剤及び信号発生剤又は酵素が別々の実体である場合、それらを生体試料に単一の工程又は複数の工程で適用することができる。ある実施形態では、結合剤及び標識(信号発生剤又は酵素)は、生体試料への適用前に予め付着され、生体試料に単一の工程で適用される別々の実体である。さらに他の実施形態では、結合剤及び標識(信号発生剤又は酵素)は、生体試料へ独立して適用され、適用後に組み合わされる別々の実体である。
結合剤
本明細書で開示されている方法は、特定の方法で、標的へ物理的に結合する結合剤を使用するものである。ある実施形態では、結合剤は、十分な特異性をもって標的に結合することができる(すなわち、結合剤は、別のいかなる分子に結合するよりも大きな親和性で標的に結合することができる)。ある実施形態では、結合剤は、別の分子に結合することができるが、その結合は、非特異的結合がバックグラウンドレベル又はそれに近いものであり得るようなものであり得る。ある実施形態では、対象の標的に対する結合剤の親和性は、別の分子へのその親和性の少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍又はそれ以上の範囲であり得る。ある実施形態では、親和性の差が最大である結合剤を使用することができるが、それらは、標的に対する親和性が最大のものでなくてもよい。
ある実施形態では、標的と結合剤との間の結合は物理的な結合によって影響を受けることがある。物理的な結合は、非共有結合性相互作用の使用によりもたらされる結合を含み得る。非共有結合性相互作用としては、限定されないが、疎水性相互作用、イオン性相互作用、水素結合相互作用又は親和性相互作用(例えば、ビオチン−アビジン又はビオチン−ストレプトアビジン複合体形成)が挙げられる。ある実施形態では、標的及び結合剤は、物理的な結合をもたらすその2つの間の特異的認識を生じる、その表面上又は空洞中の領域を有し得る。ある実施形態では、結合剤は、それらの分子形状の一部の相互適合に基づいて生体標的に結合することができる。
結合剤及びその対応標的は、結合対と考えられ、その限定されない例としては、免疫型の結合対、例えば、抗原/抗体、抗原/抗体断片又はハプテン/抗ハプテン、非免疫型の結合対、例えば、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、葉酸/葉酸結合タンパク質、ホルモン/ホルモン受容体、レクチン/特定の炭水化物、酵素/酵素、酵素/基質、酵素/基質類似体、酵素/擬似基質(酵素活性により触媒されることがない基質類似体)、酵素/補因子、酵素/調節剤、酵素/阻害剤又はビタミンB12/内因子などが挙げられる。結合対の他の適切な例としては、相補的核酸断片(DNA配列、RNA配列、LNA配列及びPNA配列、又は文献で公知の他の改質された核酸)、プロテインA/抗体、プロテインG/抗体、核酸/核酸結合タンパク質又はポリヌクレオチド/ポリヌクレオチド結合タンパク質を挙げることができる。
ある実施形態では、結合剤は、配列特異的又は構造特異的結合剤であり得、この場合、結合剤によって認識及び結合される標的の配列又は構造は、その標的に十分に特異的であればよい。
ある実施形態では、結合剤は、構造特異的であり得、標的の一次、二次又は三次構造を認識することができる。標的の一次構造としては、その原子組成及びそれらの原子を連結している化学結合(立体化学を含む)の詳細が挙げられ、例えば、タンパク質のアミノ酸の線状配列の種類及び特質である。標的の二次構造は、生体分子の部分の全体的な三次元形態を指し得る。例えば、タンパク質においては、二次構造は、離れたアミノ酸が互いに近接することをもたらす、ペプチド「骨格」鎖の様々なコンホメーションへのフォールディングを指し得る。二次構造の適切な例としては、限定されないが、αヘリックス、βプリーツシート又はランダムコイルが挙げられる。標的の三次構造は、その全体的な三次元構造であり得る。標的の四次構造は、1以上の別の標的又は巨大分子とのその非共有結合性相互作用(例えばタンパク質相互作用)により形成される構造であり得る。四次構造の例は、ヘモグロビンがつくられる4つのグロビンタンパク質サブユニットによって形成される構造であり得る。本発明の実施形態による結合剤は、上記構造のいずれに対しても特異的である。
構造特異的結合剤の例としては、タンパク質標的に結合し得るタンパク質特異的分子が挙げられる。適切なタンパク質特異的分子の例としては、抗体及び抗体断片、核酸(例えば、タンパク質標的を認識するアプタマー)又はタンパク質基質(非触媒性)が挙げられる。
ある実施形態では、標的は抗原を含み得、結合剤は抗体を含み得る。適切な抗体としては、それらが標的抗原に特異的に結合する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)又は抗体断片が挙げられる。
ある実施形態では、生体試料は、細胞又は組織試料を含み得、本明細書で開示されている方法は、免疫組織化学(IHC)で使用することができる。免疫化学は、組織又は細胞に関する情報(例えば、正常細胞に対する疾患細胞)を提供するために、抗体ベースの結合剤に標的抗原を結合させることを伴う。本明細書で開示されている方法において結合剤として適する抗体(及び対応する疾患/病的細胞)の例としては、限定されないが、抗エストロゲン受容体抗体(乳癌)、抗プロゲステロン受容体抗体(乳癌)、抗p53抗体(複数の癌)、抗Her−2/neu抗体(複数の癌)、抗EGFR抗体(表皮増殖因子、複数の癌)、抗カテプシンD抗体(乳癌及び他の癌)、抗Bcl−2抗体(アポトーシス細胞)、抗E−カドヘリン抗体、抗CA125抗体(卵巣癌及び他の癌)、抗CA15−3抗体(乳癌)、抗CA19−9抗体(結腸癌)、抗c−erbB−2抗体、抗P−糖タンパク質抗体(MDR、多剤耐性)、抗CEA抗体(癌胎児性抗原)、抗網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)抗体、抗rasオンコプロテイン(p21)抗体、抗ルイスX(CD15ともいう)抗体、抗Ki−67抗体(細胞増殖)、抗PCNA(複数の癌)抗体、抗CD3抗体(T細胞)、抗CD4抗体(ヘルパーT細胞)、抗CD5抗体(T細胞)、抗CD7抗体(胸腺細胞、未熟T細胞、NKキラー細胞)、抗CD8抗体(サプレッサーT細胞)、抗CD9/p24抗体(ALL)、抗CD10(CALLAともいう)抗体(一般的な急性リンパ球性白血病)、抗CD11c抗体(単球、顆粒球、AML)、抗CD13抗体(骨髄単球細胞、AML)、抗CD14抗体(成熟単球、顆粒球)、抗CD15抗体(ホジキン病)、抗CD19抗体(B細胞)、抗CD20抗体(B細胞)、抗CD22抗体(B細胞)、抗CD23抗体(活性化B細胞、CLL)、抗CD30抗体(活性化T細胞及びB細胞、ホジキン病)、抗CD31抗体(血管新生マーカー)、抗CD33抗体(骨髄細胞、AML)、抗CD34抗体(内皮幹細胞、間質性腫瘍)、抗CD35抗体(樹状細胞)、抗CD38抗体(血漿細胞、活性化T細胞、B細胞及び骨髄細胞)、抗CD41抗体(血小板、巨核球)、抗LCA/CD45抗体(白血球共通抗原)、抗CD45RO抗体(ヘルパー、インデューサーT細胞)、抗CD45RA抗体(B細胞)、抗CD39、CD100抗体、抗CD95/Fas抗体(アポトーシス)、抗CD99抗体(ユーイング肉腫マーカー、MIC2遺伝子産物)、抗CD106抗体(VCAM−1、活性化内皮細胞)、抗ユビキチン抗体(アルツハイマー病)、抗CD71(トランスフェリン受容体)抗体、抗c−myc(オンコプロテイン及びハプテン)抗体、抗サイトケラチン(トランスフェリン受容体)抗体、抗ビメンチン(内皮細胞)抗体(B細胞及びT細胞)、抗HPVタンパク質(ヒト乳頭腫ウイルス)抗体、抗κ軽鎖抗体(B細胞)、抗λ軽鎖抗体(B細胞)、抗メラノソーム(HMB45)抗体(メラノーマ)、抗前立腺特異的抗原(PSA)抗体(前立腺癌)、抗S−100抗体(メラノーマ、唾液、グリア細胞)、抗tau抗原抗体(アルツハイマー病)、抗フィブリン抗体(上皮細胞)、抗ケラチン抗体、抗サイトケラチン抗体(腫瘍)、抗α−カテニン(細胞膜)又は抗Tn−抗原抗体(結腸癌、腺癌及び膵臓癌)が挙げられる。
適切な抗体の他の具体例としては、限定されないが、抗増殖細胞核内抗原、クローンpc10(Sigma Aldrich、P8825)、抗平滑筋αアクチン(SmA)、クローン1A4(Sigma、A2547)、ウサギ抗βカテニン(Sigma、C2206)、マウス抗パンサイトケラチン、クローンPCK−26(Sigma、C1801)、マウス抗エストロゲン受容体α、クローン1D5(DAKO、M7047)、βカテニン抗体、クローン15B8(Sigma、C7738)、ヤギ抗ビメンチン(Sigma、V4630)、サイクルアンドロゲン受容体クローンAR441(DAKO、M3562)、フォンウィルブラント因子7、ケラチン5、ケラチン8/18、e−カドヘリン、Her2/neu、エストロゲン受容体、p53、プロゲステロン受容体、βカテニン、ロバ抗マウス(Jackson Immunoresearch、715−166−150)又はロバ抗ウサギ(Jackson Immunoresearch、711−166−152)を挙げることができる。
ある実施形態では、結合剤は、配列特異的であり得る。配列特異的な結合剤は核酸を含み得、その結合剤は、標的中のヌクレオチド又はその誘導体の特定の線状配列を認識することができる。ある実施形態では、線状配列は、結合剤中の対応する相補的ヌクレオチドにそれぞれ結合し得る、連続するヌクレオチド又はその誘導体を含み得る。代替の実施形態では、この配列は、プローブ上に対応する相補的残基を有しない1、2又はそれ以上のヌクレオチドがある場合、連続していなくてもよい。核酸ベースの結合剤の適切な例としては、限定されないが、DNA又はRNAのオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが挙げられる。ある実施形態では、適切な核酸としては、核酸類似体、例えば、ジオキシゲニンdCTP、ビオチンdCTP 7−アザグアノシン、アジドチミジン、イノシン又はウリジンが挙げられる。
特定の実施形態では、結合剤及び標的の両方が核酸を含み得る。ある実施形態では、核酸ベースの結合剤は、核酸標的とワトソンクリック結合を形成することができる。他の実施形態では、核酸結合剤は、核酸標的とフーグスティーン結合を形成し、それにより三重鎖を形成することができる。フーグスティーン結合によって結合する核酸結合剤は、核酸標的の主溝に入り、そこに位置している塩基とハイブリダイズすることができる。上記結合剤の適切な例としては、核酸の副溝及び主溝を認識及び結合する分子が挙げられる(例えば、いくつかの形態の抗生物質)。特定の実施形態では、核酸結合剤は、核酸標的とワトソンクリック及びフーグスティーンの両結合を形成することができる(例えば、ビスPNAプローブは、核酸に対してワトソンクリックとフーグスティーンの両結合が可能である)。
核酸結合剤の長さはまた、結合の特異性を決定することもできる。結合剤と核酸標的との間の単一ミスマッチのエネルギーコストは、より短い配列がより長い配列よりも相対的に高くなり得る。ある実施形態では、より小さい核酸結合剤のハイブリダイゼーションは、より長い核酸プローブのハイブリダイゼーションよりも特異的である。その理由は、より長いプローブがミスマッチに対してより修正可能であって、条件に応じて核酸に連続して結合することができるからである。特定の実施形態では、より短い結合剤は、所定の温度及び塩濃度において、より低い結合安定性を示すことがある。この場合、短い配列への結合により高い安定性を示す結合剤を用いることができる(例えば、ビスPNA)。ある実施形態では、核酸結合剤は、約4ヌクレオチド〜約12ヌクレオチド、約12ヌクレオチド〜約25ヌクレオチド、約25ヌクレオチド〜約50ヌクレオチド、約50ヌクレオチド〜約100ヌクレオチド、約100ヌクレオチド〜約250ヌクレオチド、約250ヌクレオチド〜約500ヌクレオチド又は約500ヌクレオチド〜約1000ヌクレオチドの範囲の長さを有し得る。ある実施形態では、核酸結合剤は、約1000ヌクレオチドよりも大きい範囲の長さを有し得る。核酸結合剤の長さにかかわらず、結合剤のすべてのヌクレオチド残基は、核酸標的中の相補的ヌクレオチドへハイブリダイズしないこともある。例えば、結合剤は長さが50ヌクレオチドの残基を含み得、しかもこれらのヌクレオチド残基の25残基のみが核酸標的にハイブリダイズすることができる。ある実施形態では、ハイブリダイズし得るヌクレオチド残基は、相互に連続していてもよい。核酸結合剤は、一本鎖であり得るし又は二次構造を含み得る。ある実施形態では、生体試料は細胞又は組織試料を含み得、また生体試料は核酸結合剤を使用してインサイチューハイブリダイゼーション(ISH)に供することもできる。ある実施形態では、組織試料は、免疫組織化学(IHC)に加えてインサイチューハイブリダイゼーションに供し、試料から所望する情報を得ることができる。
結合剤の種類及び標的にかかわらず、結合剤と標的との間の結合特異性は、結合条件に依存して影響を受けることもある(例えば、相補的核酸の場合、ハイブリダイゼーション条件)。適切な結合条件は、pH、温度又は塩濃度の1以上を調節することにより実現することができる。
結合剤は、内在的に標識してもよいし(信号発生剤もしくは酵素が結合剤の合成中に付着される)、又は外在的に標識してもよい(信号発生剤又は酵素が後続の工程中に付着される)。例えば、タンパク質ベースの結合剤については、標識アミノ酸を使用することによって、内在的に標識した結合剤を製造することができる。同様に、内在的に標識した核酸は、核酸合成に用いられる方法に応じて伸長する核酸へ直接的に信号発生剤標識ヌクレオチド又は信号発生剤標識ヌクレオシドホスホラミダイトを取り込む方法を使用して合成することができる。ある実施形態では、結合剤は、信号発生剤又は酵素が後続の工程で取り込まれ得るような方法で合成することができる。例えば、この後続の標識は、活性アミノ基又はチオール基を核酸又はペプチド鎖へ導入することによる化学的な手段によって達成することができる。ある実施形態では、タンパク質(例えば、抗体)又は核酸(例えば、DNA)などの結合剤は、適正な化学物質を使用し直接的に化学標識することができる。
ある実施形態では、より大きな特異性又は特定の実施形態では信号の増幅を提供する、結合剤の組合せを使用することができる。したがって、ある実施形態では、結合剤のサンドイッチを使用することができ、この場合、第1の結合剤は標的に結合し二次結合を提供するのに用いられ、第2の結合剤は標識を含んでいても含んでいなくてもよく、それは(必要に応じて)三次結合をさらに提供することができ、この場合、三次結合メンバーは標識を含み得る。
結合剤の組合せの適切な例としては、一次抗体−二次抗体、相補的核酸又は他のリガンド−受容体対(例えば、ビオチン−ストレプトアビジン)が挙げられる。適切な結合剤対のいくつかの具体的な例としては、c−mycエピトープを有する組換え発現タンパク質に対するマウス抗myc、His−Tagエピトープを有する組換えタンパク質に対するマウス抗HisG、エピトープ−タグを有する組換えタンパク質に対するマウス抗express(商標)、ヤギIgG一次分子に対するウサギ抗ヤギ、核酸に対する相補的核酸配列、チオレドキシン融合タンパク質に対するマウス抗チオ、融合タンパク質に対するウサギ抗GFP、α−D−ガラクトースに対するジャカリン、並びに、炭水化物結合タンパク質、糖、ニッケル結合マトリクス又はヘパリンに対するメリビオースを挙げることができる。
ある実施形態では、一次抗体及び二次抗体の組合せを結合剤として使用することができる。一次抗体は、標的の特異的領域に結合することができ、二次抗体は、一次抗体に結合することができる。二次抗体は、一次抗体への結合の前に信号発生剤又は酵素に付着させてもよく、又は後続の工程で、信号発生剤又は酵素に結合させることができる。代替の実施形態では、一次抗体と特異的結合リガンド−受容体対(例えば、ビオチン−ストレプトアビジン)を使用することができる。一次抗体をこの対の一方のメンバー(例えば、ビオチン)に付着させ、他のメンバー(例えば、ストレプトアビジン)には信号発生剤又は酵素で標識することができる。二次抗体、アビジン、ストレプトアビジン又はビオチンは、互いに独立して、信号発生剤又は酵素で標識することができる。
ある実施形態では、本明細書で開示されている方法は、免疫染色法に利用することができ、一次抗体を使用して、標的タンパク質に特異的に結合させることができる。二次抗体を使用して一次抗体に特異的に結合させ、それにより、もしあれば、一次抗体と後続の試薬(例えば、信号発生剤又は酵素)との間に架橋を形成させることができる。例えば、一次抗体は、マウスIgG(マウスにおいて産生される抗体)であり得、対応する二次抗体は、マウスIgGの領域に結合することが可能な領域を有するヤギ抗マウス(ヤギにおいて産生される抗体)であり得る。
ある実施形態では、信号増幅は、いくつかの二次抗体が一次抗体上のエピトープに結合し得る場合に得ることができる。免疫染色法において、一次抗体は、方法で使用される第1抗体であり得、二次抗体は、方法で使用される第2抗体であり得る。他の実施形態では、第3抗体は、信号をさらに増加させるために使用することができる。例えば、マウスにおいて増強された抗体は、標的を結合させるために使用することができる。ヤギ抗マウス二次抗体は、一次抗体を結合するために使用することができ、標識ロバ抗ヤギ抗体は、それ自体が標的に結合された一次抗体に既に結合された二次抗体を結合するために、三次抗体として使用することができる。ある実施形態では、一次抗体は、免疫染色法において使用する唯一の抗体であり得る。
信号発生剤
本明細書で開示されている方法に適した信号発生剤の種類は、実施される分析の特性、使用するエネルギー源及び検出器の種類、利用する電子移動試薬の種類、結合剤の種類、標的の種類を含む、様々な要因に依存し得る。
適切な信号発生剤は、検出可能な信号を提供することができる分子又は化合物を含み得る。信号発生剤は、エネルギー源又は電流との相互作用の後に、特徴的な信号を提供することができる。エネルギー源は、電磁放射線源及び蛍光励起光源を含み得る。電磁放射線源は、可視光、赤外線及び紫外線を含む、あらゆる波長の電磁エネルギーを提供することができる。電磁放射線は、直接光源の形態であり得るか、又はドナーフルオロフォアなどの発光性化合物によって放出され得る。蛍光励起源は、起源に蛍光を発生させることができるものであり得るか、又は光子放出を生じるものであり得る(すなわち、電磁放射線、有向電場、温度、物理的接触又は機械的破壊)。適切な信号発生剤は、光学測定(例えば、蛍光)、電気伝導度又は放射活性を含む、様々な方法によって検出することができる信号を提供し得る。適切な信号発生剤は、例えば、発光、エネルギー受容、蛍光、放射活性又は消光であり得る。
適切な信号発生剤は、それが結合する成分、例えば、結合剤と立体的及び化学的に適合し得る。さらに、適切な信号発生剤は、結合剤の標的への結合に干渉することがなく、結合剤の結合特異性に影響を及ぼすものでもない。適切な信号発生剤は、有機の特性であり得るか、又は無機の特性であり得る。ある実施形態では、信号発生剤は、化学的特性、ペプチド特性又は核酸特性のものであり得る。
適切な信号発生剤は、直接的に検出することができる。直接的に検出できる部分は、例えば、別の低い波長の光による励起の後に特定波長の光を放出し、及び/又は特定波長の光を吸収する、蛍光標識などの信号を放出するその能力によって直接的に検出することができるものであり得る。
本明細書で開示されている方法に適した信号発生剤は、電子移動試薬を適用する際の操作にしたがうことができる。ある実施形態では、信号発生剤はブリーチングされることもあり、例えば、光反応の過程で信号発生剤が改質される結果、それが形成する信号は、減少又は破壊され得る。化学的改質は、信号発生剤の完全な崩壊、又は信号発生剤の信号形成成分の改質を含み得る。ある実施形態では、信号発生剤は帯電している。
信号形成成分の改質は、信号形成特性の改質を生じ得る任意の化学改質(例えば、付加、置換又は除去)を含み得る。例えば、コンジュゲートされた信号発生剤を非コンジュゲートすると、信号発生剤の発色特性が破壊される可能性がある。同様に、蛍光信号発生剤上の蛍光阻害性官能基を置換すると、その蛍光特性の改質が生じる可能性がある。ある実施形態では、特定の化学剤による不活性化に対して実質的に耐性のある1以上の信号発生剤を、提供する方法における対照プローブとして使用することができる。
ある実施形態では、信号発生剤は、発光性分子、放射性同位元素(例えば、32P又は3H、14C、125I及び131I)、光学密度又は電子密度マーカー、ラマン活性タグ、電子スピン共鳴分子(例えば、ニトロキシル基)、電荷移動分子(すなわち、電荷変換分子)、半導体ナノ結晶、半導体ナノ粒子、コロイド金ナノ結晶、ミクロビーズ、磁気ビーズ、常磁性粒子から選択することができる。
ある実施形態では、信号発生剤は光信号発生剤であり得、例えば、発光性分子を含み得る。発光性分子は、特定波長の光での照射に応答して発光することができる。発光性分子は、発光(励起時の材料による電磁放射線の非発熱放出)、リン光(放射線の吸収の結果としての遅延型発光)、化学発光(化学反応による発光)、蛍光又は偏光蛍光を介して光を吸収及び放出することができる。光信号発生剤の限定されない例としては、蛍光信号発生剤、例えば、フルオロフォア、ラマン活性タグ又は発色団が挙げられる。
ある実施形態では、信号発生剤は、本質的に、フルオロフォアを含み得る。ある実施形態では、信号発生剤は、本質的に、例えば、免疫組織化学分析において、抗体に付着されたフルオロフォアを含み得る。一次抗体にコンジュゲートされ得る適切なフルオロフォアとしては、限定されないが、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、VECTORRed、ELF(酵素標識蛍光)、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy7、FluorX、Calcein、Calcein−AM、CRYPTOFLUOR、Orange(42kDa)、Tangerine(35kDa)、Gold(31kDa)、Red(42kDa)、Crimson(40kDa)、BHMP、BHDMAP、Br−Oregon、Lucifer Yellow、Alexa色素ファミリー、N−[6−(7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル)アミノ]カプロイル](NBD)、BODIPY、ボロンジピロメテンジフルオリド、1,3−ジクロロ−7−ヒドロキシ−9,9−ジメチル−2(9H)−アクリジノン(DDAO)、ジメチルアクリジノン(DAO)、Oregon Green、MITOTRACKERRed、フィコエリスリン、フィコビリプロテインBPE(240kDa)、RPE(240kDa)、CPC(264kDa)、APC(104kDa)、Spectrum Blue、Spectrum Aqua、Spectrum Green、Spectrum Gold、Spectrum Orange、SpectrumRed、Infra−Red(IR)色素、サイクリックGDP−リボース(cGDPR)、Calcofluor White、Lissamine、Umbelliferone、Tyrosine又はTryptophanが挙げられる。ある実施形態では、フルオロフォアは、シアニン、ローダミン、クマリン又はピレリウム(pyrelium)色素であり得る。ある実施形態では、信号発生剤は、本質的に、シアニン色素を含み得る。さらなる実施形態では、信号発生剤は、本質的に、1以上のCy2色素、Cy3色素、Cy5色素又はCy7色素を含み得る。代替の実施形態では、信号発生剤は、BODIPY、ローダミン、1,3−ジクロロ−7−ヒドロキシ−9,9−ジメチル−2(9H)−アクリジノン(DDAO)又は7−ヒドロキシ−9,9−ジメチル−2(9H)−アクリジノン(DAO)であり得る。
ある実施形態では、信号発生剤は、FRET対の一部であり得る。FRET対は、近くに互いに位置している場合、FRETを受けて検出可能な信号を形成又は消失させることが可能な2つのフルオロフォアを含む。ドナーの一部の例としては、Alexa488、Alexa546、BODIPY493、Oyster556、Fluor(FAM)、Cy3又はTTR(Tamra)を挙げることができる。アクセプターの一部の例としては、Cy5、Alexa594、Alexa647又はOyster656を挙げることができる。
上記のとおり、1以上の上記分子を信号発生剤として使用することができる。ある実施形態では、1以上の信号発生剤は信号破壊に適しており、信号発生剤は、光活性化型ケミカルブリーチングによってブリーチングされ得る分子を本質的に含み得る。ある実施形態では、信号発生剤は、電子移動試薬及び照射をさらに伴う光反応において化学的に改質され得るフルオロフォアを含み得る。ある実施形態では、信号発生剤は、電子移動試薬の添加及び照射をさらに伴う光反応において改質され得る、シアニン、BODIPY、ローダミン又はアクリジノン(例えば、DDAO及びDAO)を本質的に含み得る。ある実施形態では、信号発生剤としては、光活性化型ケミカルブリーチングによってブリーチングされ得る1以上のCy2色素、Cy3色素、Cy5色素又はCy7色素を挙げることができる。
酵素及び酵素基質
ある実施形態では、プローブは、酵素に結合された結合剤を含み得る。ある実施形態では、適切な酵素は、基質の化学反応を触媒し、試料中に存在する受容体(例えば、フェノール基)に結合し得る反応生成物を形成する。受容体は、外因性(すなわち、試料又は固体支持体に外在的に接着する受容体)であり得るか、又は内因性(試料又は固体支持体に内在的に存在する受容体)であり得る。単一の酵素が基質の化学反応を触媒し、標的付近の複数の信号発生剤に共有結合させることができる場合、信号増幅が生じ得る。
ある実施形態では、適切な酵素はまた、光反応の過程で不活性化されることが可能であり得る。適切な酵素の例としては、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、ホスファターゼ、エステラーゼ及びグリコシダーゼが挙げられる。適切な酵素の具体例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、リパーゼ及びグルコースオキシダーゼが挙げられる。ある実施形態では、酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、シトクロムCペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ及びダイズペルオキシダーゼから選択されるペルオキシダーゼである。
ある実施形態では、酵素は、光反応の過程で不活性化されるものではないが、光反応が完了する前又は後に行う個別の不活性化工程で不活性化される。不活性化工程は、酵素を含む試料への酵素不活性剤の適用を含み得る。
ある実施形態では、結合剤と酵素を、単一の実体、例えば、標的に結合することが可能であって、しかも基質の化学反応を触媒することも可能なタンパク質分子で統合することができる。他の実施形態では、結合剤と酵素は、別々の実体で統合することができ、共有結合形成によるか又はリガンド−受容体コンジュゲート対(例えば、ビオチン−ストレプトアビジン)を使用することにより結合させることができる。
酵素基質は、利用する酵素と試料での結合に利用可能な標的に応じて選択することができる。例えば、HRPが酵素として含まれる実施形態では、基質は置換フェノール(例えば、チラミン)を含み得る。HRPのチラミンに対する反応によって、生体試料の表面タンパク質に存在する電子が豊富な部分(例えば、チロシン又はトリプトファン)又はフェノール基などの内因性受容体に結合することができる、活性化フェノール性基質が生じ得る。3−メチル−2−ベンゾチアゾリノン塩酸塩(MBTH)をHRP酵素と一緒に基質として利用することができる代替の実施形態では、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド(DMAB)などの外因性受容体は、基質と反応させる前に、固体支持体又は生体試料に接着させることができる。
ある実施形態では、酵素基質は、酵素との反応後に脱リン酸化することができる。脱リン酸化反応生成物は、試料又は固体支持体中の内因性又は外因性の受容体(例えば、抗体)に結合させることができる。例えば、酵素はアルカリホスファターゼ(AP)を含み得、基質はNADP、置換ホスフェート(例えば、ニトロフェニルホスフェート)又はリン酸化ビオチンを含み得る。したがって、受容体は、NAD結合タンパク質、脱リン酸化反応生成物に対する抗体(例えば、抗ニトロフェノール)、アビジン又はストレプトアビジンを含み得る。ある実施形態では、基質は酵素の作用時に不溶性生成物を生成するが、この不溶性生成物は、生成される場所の近傍に沈着し得る。このような基質の限定されない例としては、HRPに対するジアミノベンジジン(DAB)及びAPに対するELFを挙げることができる。
ある実施形態では、酵素はβ−ガラクトシダーゼを含み、基質はフルオレセイン又はクマリンのβ−ガラクトピラノシル−グリコシドを含み得る。受容体は、脱グリコシル化部分に対する抗体(例えば、抗フルオレセイン又は抗クマリン)を含み得る。ある実施形態では、HRP/APなどの複数の酵素の組合せを酵素として使用することができる。基質は、リン酸化置換フェノール、例えばチロシンホスフェートを含み得るが、これはHRPと反応させる前に、APにより脱リン酸化し、フェノール基又は電子が豊富な部分をベースとする受容体に結合させることが可能な反応生成物を生成することができる。
酵素基質の反応生成物は、検出可能な信号を提供することがさらに可能となり得る。ある実施形態では、本明細書で開示されている方法で利用される酵素基質は、非発色性又は非化学発光性の基質を含み得る。すなわち、酵素と酵素基質の反応は、それ自体で検出可能な信号を形成しなくてもよい。本明細書で開示されている方法で利用される酵素基質は、外在性信号発生剤(例えば、フルオロフォア)を標識として含み得る。信号発生剤と酵素基質は、直接的に(例えば、蛍光標識を有する酵素基質)又は間接的に(例えば、リガンド−受容体コンジュゲート対を介して)付着させることができる。ある実施形態では、基質は、保護化官能基(例えば、スルフヒドリル基)を含み得る。活性化基質を受容体に結合した後、官能基は、脱保護することができ、チオール反応基(例えば、マレインイミド又はヨードアセチル)を有する信号発生剤を使用して、信号発生剤へのコンジュゲーションを行うことができる。
ある実施形態では、プローブは、西洋ワサビペルオキシダーゼを含み得、基質は、置換フェノール類(例えば、チラミン)から選択される。ある実施形態では、西洋ワサビペルオキシダーゼは、活性化フェノール性基質を、試料中に存在するフェノール基に共有結合させる。ある実施形態では、プローブは、HRPに結合された結合剤を含み、基質は、フルオロフォアに結合したチラミンを含み得る。
電子移動試薬及び光反応
電子移動試薬は、光励起を受けることができる分子との光反応に関与することができる、1以上の化学物質を含み得る。光励起を受けることができる分子は、信号発生剤であり得る。電子移動試薬は、固体、溶液、ゲル又は懸濁液の形態の試料と接触させることができる。
ある実施形態では、電子移動試薬はボレート塩を含み得る。ある実施形態では、ボレート塩は、以下の構造式で表される。
式中、
1、R2及びR3は各々独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであって、これらのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールは、(C1〜C4)アルキル、(C1〜C4)アルコキシ、(C1〜C4)アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン又はニトロからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、
4は、アルキル、アルケニル又はアルキニルであって、これらのアルキル、アルケニル又はアルキニルは、(C1〜C4)アルキル、(C1〜C4)アルコキシ、(C1〜C4)アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン又はニトロからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、
+は、無機カチオン及び有機カチオンからなる群から選択される。
ある実施形態では、M+は無機カチオン、例えば、Li+、Na+又はK+の群から選択される。他の実施形態では、M+は有機カチオンの群から選択される。有機カチオンの限定されない例としては、NR4 +を挙げることができ、式中、Rは各々独立に、水素、置換又は非置換のアルキル基(例えば、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基又はアンモニウムアルキル基)、又は置換もしくは非置換のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル及びアントラシル、イミダゾリル、チエニル、フラニル、ピリジル、ピリミジル、ピラニル、ピラゾリル、ピロイル、ピラジニル、チアゾール、オキサゾリル及びテトラゾール)
である。
ある実施形態では、R1、R2及びR3はそれぞれアリールである。ある実施形態では、アリールはフェニルである。ある実施形態では、フェニルは非置換フェニルである。
ある実施形態では、R4は、アルキル又は置換アルキルである。ある実施形態では、R4は非置換ブチルである。
ある実施形態では、R1、R2及びR3はそれぞれアリール又は置換アリールであり、R4はアルキル又は置換アルキルである。さらなる実施形態では、R1、R2及びR3はそれぞれ非置換フェニルであり、R4は非置換ブチルであり、ボレート塩はトリフェニルブチルボレート塩である。
ある実施形態では、電子移動試薬は、高水溶性ボレート塩である。高水溶性ボレートは、助剤を追加せずに簡単なPBS洗浄によって、信号ブリーチング後の試料から除去され得るボレートである。ある実施形態では、高溶解性ボレートは、低級アルキル基C3〜C5を有するテトラアルキルボレートである。ある実施形態では、高水溶性ボレートは、ボレート塩のアルキル基又はアリール基に親水性官能基を有する。ある実施形態では、親水性基は、短いオリゴマーポリエチレングリコール鎖である。ある実施形態では、高水溶性ボレートの水溶解度は、 20mM超である。
ある実施形態では、M+は無機カチオンである。ある実施形態では、無機カチオンはLi+、Na+又はK+である。一実施形態では、M+はLi+である。
他の適切な電子移動試薬としては、スルフィナート、エノラート、カルボキシレート(例えば、アスコルビン酸)、有機金属及びアミン(例えば、トリエタノールアミン及びN−フェニルグリシン)を挙げることができる。これら及び他の電子移動試薬は既に記載されている(例えば、Macromolecules 1974,7,179−187;Photogr.Sci.Eng.1979,23,150−154;Topics in Current Chemistry,Mattay,J.,Ed.;Springer−Verlag:Berlin,1990,Vol.156,pp 199−225;及びPure Appl.Chem.1984,56,1191−1202参照)。
光活性化型ケミカルブリーチングに使用される電子移動試薬は、電子移動試薬と信号発生剤との間の光反応がエネルギー的に有利であるように選択される。ある実施形態では、電子移動試薬及び光励起信号発生剤は電子ドナー/アクセプター対を形成し、この場合、電子移動試薬から信号発生剤への電子移動はエネルギー的に有利である。電子移動は、信号発生剤の化学改質をさらにもたらし、信号発生剤のブリーチングを生じさせ得る。電子ドナー/アクセプター対を形成することができる電子移動試薬及び信号発生剤の例としては、電子移動試薬としてのトリフェニルホウ酸ブチルなどのトリアリールホウ酸アルキル及び信号発生剤としてのシアニン色素(例えば、Cy3及びCy5)、BODIPY、ローダミン又はアクリドン色素が挙げられる。
前述の1以上の電子移動試薬は、標的改質を防止する添加剤と組合せて、光励起及び/又は後続の電子移動試薬との光反応に対する信号発生剤、酵素、結合剤、標的又は生体試料の感受性に応じて、本明細書で開示されている方法において使用することができる。ある実施形態では、標的改質を防止する添加剤の存在下における、照射と電子移動試薬と光励起信号発生剤との間の後続の光反応による信号発生剤の光励起は、本質的に、結合剤、標的及び生体試料の完全性に影響を及ぼさない。ある実施形態では、標的改質を防止する添加剤の存在下における、照射と後続の光反応による信号発生剤の光励起は、結合剤と標的との間の結合特異性に影響を及ぼさない。
2以上(5つ以下)の信号発生剤を同時に利用し得るある実施形態では、光反応は、1以上の信号発生剤を選択的に改質することができる。この選択性は、特定波長の照射による信号発生剤の選択的光励起から導くことができる。照射波長は1以上の信号発生剤が光励起されるように選択するが、一方、試料中に存在し得る、1以上の残存信号発生剤は影響されず維持され得る。ある実施形態では、520〜580nmの波長範囲に限定される照射は、Cy3色素の選択的光励起に使用することができる。他の実施形態では、620〜680nmの波長範囲に限定される照射は、Cy5色素の選択的光励起に使用することができる。代替の実施形態では、選択的光励起はレーザーを使用することにより達成することができる。
さらに光反応を受ける光励起信号発生剤の性質は、上記のような、電子移動試薬の選択、並びに、温度、溶媒及びpHなどの反応条件に依存し得る。
ある実施形態では、光活性化型ケミカルブリーチングを4〜50℃の温度で、さらに好ましくは20〜30℃温度で行う。
ある実施形態では、光活性化型ケミカルブリーチングは、溶液中で行われる。ある実施形態では、溶液は緩衝液である。さらなる実施形態では、緩衝液はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)の緩衝溶液である。ある実施形態では、溶液はpH5〜9で緩衝化されている。好ましい実施形態では、溶液のpHは6〜8である。
標的改質を防止する添加剤
標的改質を防止する添加剤としては、ラジカルスカベンジャー及び一重項酸素クエンチャーが挙げられる。添加剤の使用は、試料の完全性の改善により光活性化型ケミカルブリーチング技術をさらに改善し、それにより、多くのバイオマーカー標的のスキャニングを可能にする複数ラウンドの染色、イメージング、ブリーチング及び再染色が可能になり、バイオマーカーの検出能を変化させずに単一の生体試料(例えば、組織切片)中の複数のバイオマーカーを定量分析することができる。
光活性化型ケミカルブリーチングのメカニズムは、励起色素(アクセプター)と電子移動試薬(ドナー)との間で電子を移動させ、続いて、電子移動試薬からのラジカルを色素分子に付加して、色素を非蛍光種に化学的に改質することに基づく。方法は、色素を消光するのに加えて、例えば、いくつかのタンパク質エピトープ、不飽和脂質又はDNA塩基と反応するラジカル中間体を生成するため、後のラウンドでこれらはあまりロバストに検出されない。別の潜在的な問題は、蛍光色素分子の光励起を介して高反応性の一重項酸素種が生成することであり、これは標的も破壊し得る。ラジカル及び一重項酸素クエンチャーは、色素周辺から遠くに拡散する任意のラジカル又は活性酸素種を除去し、それにより、いかなる標的改質も防止するのに使用される。電子移動試薬及び色素が互いに近い場合にのみ電子移動が起こり、したがって、ラジカルは色素周辺で発生し、色素と容易に反応し得るので、色素は消光したままである。同様に、色素励起中に生成した任意の一重項酸素又は他の活性酸素種は、遠くに拡散して、一重項酸素/ラジカルクエンチャーと相互作用する前に色素を破壊する可能性がある。ラジカル一重項酸素スカベンジャーの存在下では、このようなスカベンジャー添加剤の非存在下における光活性化型ケミカルブリーチングと比較して、抗原効果の低減が達成される。
抗酸化剤又はラジカルスカベンジャーは、ペルオキシラジカル(ROO.)、CCl3及びHO並びにスーパーオキシドラジカル(O2-)を含む様々なラジカルと直接反応する任意の添加剤を指す。このような添加剤の例としては、限定されないが、ビタミンC(アスコルビン酸)、n−プロピルガレート、メルカプトエタノール、システインヒドロクロリド、t−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、シクロヘプタトリエン(CHT)、ジオクチルフタレート(DOP)、1,4−ジヒドロ−o−トルアミド(TA)、ビタミンE(a−トコフェロール)及びトロロクスである。
一重項酸素は、フルオロフォアの三重項増感によって生成される別の種類の活性酸素種である。すべてのラジカルスカベンジャー/クエンチャーが一重項酸素に対して有効であるわけではないが、いくつかのラジカルクエンチャーは、一重項酸素を有効に消光し得る。例えば、a−トコフェロール及びアスコルビン酸などの抗酸化剤はまた、一重項酸素スカベンジャーとして作用し得る。クルクミン及びDABCOなどのいくつかのクエンチャーは優れた一重項酸素クエンチャーであるが、ラジカルに対しては有効ではない。
特定の実施形態では、標的改質を防止する添加剤は、無機化合物を含む。これらとしては、水素、ヒドロキシル基を除去する塩基性無機塩、例えば炭酸塩、重炭酸塩、過マンガン酸塩、ヨウ化物、硝酸塩、フェロシアン化物、塩化物塩が挙げられる。さらに他の実施形態では、これらの無機化合物としては、NO及び/又は活性酸素種(ROS)に結合してこれらと反応し得る金属イオン、例えばFe(II)、Co(II)、Mn(II)及びRu(II)を含有する遷移金属の塩又は錯体を挙げることができる。特定の実施形態では、標的改質を防止する添加剤としては、NOスカベンジャー、例えばジチオカルバメートとの鉄錯体、又はポリアミン−ポリカルボキシレート骨格を有するルテニウム化合物が挙げられる。他の実施形態では、無機添加剤としては、金属補因子、例えばセレン、鉄、マンガン、亜鉛又は銅、及び対応する抗酸化酵素、例えばスーパーオキシドジスムターゼ、グルタチオンレダクターゼ、カタラーゼなどが挙げられる。
添加剤のいくつかの化学構造をここに示す:
(アスコルビン酸)
(n−プロピルガレート)
(DABCO)
光活性化型ケミカルブリーチング中にラジカル又は一重項酸素クエンチャー(すなわち、添加剤)を使用して、さらなる標的の再染色のための生体試料の免疫原性を保持する。これは、1以上のラジカル/一重項酸素/活性酸素種スカベンジャーを電子移動試薬に追加してから、この混合物中で染色スライドを光に曝露することによって達成される。例示的なプロセスは、電子移動試薬(例えば、トリアルキルアリールボレート)及びラジカルスカベンジャー/一重項酸素スカベンジャー添加剤の水溶液であって、蛍光バイオマーカーで染色した組織を支えるスライドガラスが浸漬されている水溶液を含む透明容器にUV又は可視光(300〜700nmの波長)を照射することを含む。電子移動試薬からの光子は蛍光色素分子を直接励起してラジカル及び/又は活性酸素種を生成し、これが色素分子と反応して色素分子を化学的に改質することにより、その蛍光を消光する。色素及び生成した一重項酸素を消光するのに利用されないラジカルは、標的と反応することができるが、スカベンジャー添加剤によって有効に消光される。
以下に示されている実施例は、シアニン色素のブリーチングに関するものであるが、スカベンジャーの使用はこれらの色素に限定されない。スカベンジャーは、色素−電子移動試薬複合体によって生成されたラジカル種に起因して、事実の後に、又は光活性化型ケミカルブリーチングプロセス中に生成したラジカルを消光する。スカベンジャーによるラジカルのクエンチは、使用されるクエンチャー濃度、及び電子移動試薬と色素との間の電子移動のメカニズムに応じて、色素消光と競合し得る。分子内電子移動のメカニズムによって色素消光が起こると、生成したラジカルが色素と反応する可能性は、分子間電子移動(この場合、ラジカルは、色素から遠くに拡散し、試料又はラジカルクエンチャーのいずれかと反応する可能性がより高くなり得る)と比較して増加する。特定の実施形態では、スカベンジャーの濃度は、電子移動試薬の濃度よりも低い。特定の好ましい実施形態では、スカベンジャーの濃度は、電子移動試薬の濃度よりも少なくとも10倍低い。特定のより好ましい実施形態では、スカベンジャーの濃度は、電子移動試薬の濃度よりも少なくとも100倍低い。
好ましい実施形態では、電子移動試薬は、ボレート塩、例えばトリアリールアルキルボレート、例えばトリフェニルブチルボレートであり、信号発生剤としては、蛍光色素、例えばシアニン色素(例えば、Cy3及びCy5)、BODIPY、ローダミン又はアクリドン色素が挙げられる。
生体試料の連続的分析、プローブとの接触及び結合
生体試料は、プローブと接触させ、プローブを生体試料中の標的に結合させることができる。ある実施形態では、標的は、プローブとの結合に容易アクセス可能なものではなくてもよく、生体試料をさらに処理し、標的とプローブ中の結合剤との間の結合を、例えば、抗原復帰、酵素消化、エピトープ回復又はブロッキングなどを介して、促進させることができる。
ある実施形態では、プローブは溶液の形態の生体試料と接触させることができる。ある実施形態では、プローブは、標識(信号発生剤又は酵素)に結合された結合剤を含み得る。結合剤及び標識(信号発生剤又は酵素)は、単一の分子において統合され、プローブ溶液は単一の工程で適用され得る。或いは、結合剤及び標識(信号発生剤又は酵素)は、個別の実体であり得、プローブ溶液は単一の工程又は複数の工程で適用することができる。すべての実施形態では、対照プローブは、試料中の1以上の標的にさらに結合させることができる。
結合剤、標的及びこれら両方の間の結合特性に応じて、十分な時間、接触させることができる。ある実施形態では、過剰なプローブ分子(したがって、結合剤分子)を利用して、生体試料中のすべての標的が確実に結合するようにすることができる。この結合作用に十分な時間を提供した後、試料を洗浄溶液(例えば、適切な緩衝溶液)と接触させ、あらゆる未結合のプローブを洗い流すことができる。使用するプローブの濃度及び種類に応じて、生体試料は、同じ又は異なる洗浄溶液を各工程で使用するいくつかの洗浄工程に供することができる。
ある実施形態では、生体試料は、第1の結合工程において、複数のプローブと接触させることができる。複数のプローブは、生体試料中の異なる標的に結合させることができる。例えば、生体試料は、標的1及び標的2の2つの標的を含み得、この場合、2つのプローブセット:プローブ1(標的1への結合が可能な結合剤1を有する)及びプローブ2(標的2への結合が可能な結合剤2を有する)を使用することができる。複数のプローブはまた、複数の多数の標的−結合プローブセットを含み得る。複数のプローブは、生体試料と同時に(例えば、単一の混合物として)又は連続的に(例えば、プローブ1を生体試料と接触させ、続いて洗浄工程であらゆる未結合のプローブ1を除去し、続いてプローブ2を生体試料と接触させるなど)接触させることができる。
標的に同時に結合させることができるプローブの数は、利用する検出の種類、すなわち、達成可能なスペクトル分解に依存し得る。例えば、蛍光ベースの信号発生剤においては、5つ以下の異なるプローブ(5つ以下のスペクトル分解可能な蛍光信号を提供するもの)を開示されている方法にしたがって利用することができる。複数の蛍光信号発生剤に関して、スペクトル分解可能とは、各信号発生剤が付着された結合剤が、標準の光検出システムを使用して、各信号発生剤により生じる蛍光信号に基づいて識別され得るように、信号発生剤の蛍光放出バンドが十分に区別される(すなわち、十分に非重複性である)ことを示す。ある実施形態では、すべてのプローブは同時に結合させることができるが、1サイクル当たり1〜5つのプローブのセットで連続的に検出され得る。
ある実施形態では、生体試料は、第1の結合工程で5つ又は5つ未満のプローブと本質的に接触させることができる。酵素ベースのプローブを利用する実施形態では、標的に同時に結合させることができるプローブの数は、異なる酵素及び利用可能なそれらの対応する基質の数にも依存し得る。
ある実施形態では、生体試料は、全細胞、組織試料を含み得るか、又は生体試料は、マイクロアレイ、ゲル又は膜へ接着させ得る。ある実施形態では、生体試料は、組織試料を含み得る。組織試料は、限定されないが、外科的切除、吸引又は生検を含む、様々な方法により得ることができる。組織は、新鮮なものでもよいし、又は凍結されていてもよい。ある実施形態では、組織試料を固定し、パラフィン包埋し得る。従来の方法によって組織試料を固定してもよいし、又は別の形で保存してもよい。組織を組織学的に染色するか又は別の方法で分析する目的によって、固定剤の選択を決定することができる。固定の長さは、組織試料のサイズ、及び使用する固定剤に依存し得る。例えば、中性緩衝化ホルマリン、ブアン定液又はパラホルムアルデヒドを使用して組織試料を固定又は保存することができる。
ある実施形態では、組織試料をまず固定し、続いて上昇系列のアルコールで脱水し、浸透させ、組織試料を切片化可能なようにパラフィン包埋し得るか、又は他の切片化媒体に埋め込み得る。代替の実施形態では、組織試料は切断し、続いて固定することができる。ある実施形態では、組織試料はパラフィン包埋して処理することができる。使用できるパラフィンの例としては、限定されないが、Paraplast、Broloid及びTissuemayが挙げられる。組織試料が包埋されたら、試料をミクロトームにより、約3ミクロン〜約5ミクロンの範囲の厚さを有し得る切片へ切片化することができる。切片にしたら、切片は、接着剤を使用してスライドに付着させることができる。スライド接着剤の例としては、限定されないが、シラン、ゼラチン、ポリ−L−リジンを挙げることができる。実施形態では、包埋材料としてパラフィンを使用する場合、組織切片は、脱パラフィン処理し、水中に再水和させることができる。組織切片は、例えば、有機薬剤(例えば、キシレン、又は工程的に下降系列のアルコール)を使用することによって、脱パラフィン処理することができる。
ある実施形態では、上記で論じた試料調製方法とは別に、免疫組織化学の前、間、又は後に、組織切片にさらなる処理を施すことができる。例えば、ある実施形態では、組織切片は、エピトープ回復法、例えば、組織試料のクエン酸緩衝液又はトリス緩衝液又は両液の連続使用の加熱に供することができる。ある実施形態では、組織切片はブロッキング工程に場合により供し、あらゆる非特異的結合を最低限にすることができる。
ある実施形態では、生体試料又は生体試料の一部、又は生体試料中に存在する標的は、表面、例えば、DNAマイクロアレイもしくはタンパク質マイクロアレイ又は固体支持体(例えば、ゲル、ブロット、ガラススライド、ビーズ又はELISAプレート)の表面に接着させることができる。ある実施形態では、生体試料中に存在する標的は、固体支持体の表面に接着させることができる。生体試料中の標的は、物理的結合形成により、共有結合形成により、又はその両方により、固体支持体に接着させることができる。
ある実施形態では、生体試料中の標的は、本明細書で開示されている方法を使用して、膜に接着させ、連続的にプローブすることができる。ある実施形態では、生体試料中の標的は、試料と膜を接触させる前に処理することができる。例えば、組織試料中のタンパク質標的を調べるための方法を用いる実施形態は、組織ホモジェネート又は抽出物の生体試料からの標的タンパク質を抽出する工程を含み得る。まず、固体組織又は全細胞を、ブレンダー(容量の多い試料向け)を使用して、ホモゲナイザー(少量向け)を使用して、又は超音波処理によって、機械的に破砕することができる。様々な細胞画分及びオルガネラは、ろ過及び遠心分離の技術を使用して分離することができる。また界面活性剤、塩及び緩衝液を利用して、細胞の溶解を促進し、タンパク質を可溶化することができる。同様に、核酸をプローブする方法を用いる実施形態は、例えば、(DNA用の)制限エンドヌクレアーゼを使用して、DNA断片又はRNA断片を調製する工程を含み得る。
ある実施形態では、生体試料から抽出された標的は、ゲル電気泳動によってさらに分離することができる。標的は、等電点(pI)、分子量、電荷又はこれら因子の組合せによって分離することができる。分離の特性は、試料の処理及びゲルの特性に依存し得る。適切なゲルは、ポリアクリルアミドゲル、SDS−ポリアクリルアミドゲル又はアガロースゲルから選択することができる。
適切な膜は、膜が非特異的標的結合特性を有するように選択することができる。ある実施形態では、適切な膜は、フッ化ポリビニリデン膜、ニトロセルロース膜又はナイロン膜から選択することができる。ある実施形態では、適切な膜は、その膜が複数のプローブに実質的に安定であるように選択することができる。タンパク質プローブを使用する標的のプローブを用いる実施形態では、ブロッキング溶液を使用して膜をブロッキングし、タンパク質プローブの膜への非特異的結合を防止することができる。DNA断片のプローブを用いる実施形態では、DNAゲルを希HCl溶液又はアルカリ溶液で処理し、ゲルから膜へのDNAのより効率的な移動を促進することができる。
ある実施形態では、膜を約60℃〜約100℃の範囲の温度に供して、標的を膜へ、例えば、DNA標的をニトロセルロース膜へ共有結合させることができる。ある実施形態では、膜を紫外線放射に曝露し、標的を膜へ、例えば、DNA標的をナイロン膜へ共有結合させることができる。ある実施形態では、生体試料中の標的は、膜にブロットする前に電気泳動による分離を行わず、例えば、ドットブロット技術において、膜上で直接プローブすることができる。
組織試料又は膜の調製後、プローブ溶液(例えば、標識抗体溶液)は、十分な時間、結合剤の標的(例えば、抗原)への結合に適した条件下で、組織切片又は膜と接触させることができる。先に記載したように、2つの検出方法:直接法又は間接法を使用することができる。直接的な検出においては、信号発生剤標識一次抗体(例えば、フルオロフォア標識一次抗体又は酵素標識一次抗体)は、組織試料又は膜中の抗原と共にインキュベートとすることができ、それは、さらなる抗体と相互作用させることなく可視化することができる。間接的な検出においては、非コンジュゲート一次抗体を抗原と共にインキュベートし、続いて標識二次抗体を一次抗体に結合させることができる。いくつかの二次抗体は一次抗体上の異なるエピトープと反応することができるので、信号の増幅が起こり得る。ある実施形態では、2以上(多くとも5つ)の(異なる種由来の標識又は非標識)一次抗体を組織試料と接触させることができる。続いて、非標識抗体は、対応する標識二次抗体と接触させることができる。代替の実施形態では、一次抗体及び特異的結合リガンド−受容体対(例えば、ビオチン−ストレプトアビジン)を使用することができる。一次抗体をこの対の一方のメンバー(例えば、ビオチン)に付着させ、別のメンバー(例えば、ストレプトアビジン)を信号発生剤又は酵素で標識することができる。二次抗体、アビジン、ストレプトアビジン又はビオチンは、各々独立に、信号発生剤又は酵素で標識することができる。
一次抗体又は二次抗体を酵素標識へコンジュゲートすることができる実施形態では、蛍光信号発生剤結合基質を加えて、抗原を可視化させることができる。ある実施形態では、基質及び蛍光信号発生剤は単一の分子において統合され、単一の工程で適用され得る。他の実施形態では、基質及び蛍光信号発生剤は個別の実体であり得、単一の工程又は複数の工程で適用することができる。
結合剤に結合された酵素は基質と反応し基質の化学反応を触媒して、蛍光信号発生剤結合基質を生体試料と共有結合させることができる。ある実施形態では、酵素は西洋ワサビペルオキシダーゼを含み得、基質はチラミンを含み得る。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)とチラミン基質との反応は、チラミン基質を、試料中に存在するフェノール基へ共有結合させる。酵素−基質コンジュゲートを利用する実施形態では、1つの酵素が複数の基質分子を触媒することができるので、信号が増幅され得る。ある実施形態では、本明細書で開示されている方法を利用し、間接検出方法を使用して(例えば、一次−二次抗体を使用して)、HRP−チラミド信号増幅方法を使用して、又は両方法の組合せ(例えば、間接的なHRP−チラミド信号増幅方法)を使用して少量の標的を検出することができる。本明細書で開示されている方法への信号増幅技術の組み込みと、それに対応した、組み込まれる信号増幅技術の種類は、特定の標的に要求される感度及びプロトコールに関与する工程の数に依存し得る。
プローブからの信号の検出、又は第1の複数プローブセットからの信号の検出
信号発生剤からの信号は、検出システムを使用して検出することができる。使用する検出システムの特性は、使用する信号発生剤の特性に依存し得る。検出システムとしては、電荷結合素子(CCD)検出システム、蛍光検出システム、電気系検出システム、写真フィルム検出システム、化学発光検出システム、酵素検出システム、光学的検出システム、近接場検出システム又は全内部反射(TIR)検出システムを挙げることができる。
1以上の上記技術を使用して、(結合剤に結合した、又は酵素基質に結合した)信号発生剤からの信号の1以上の特徴を検出することができる。ある実施形態では、信号強度、信号波長、信号位置、信号頻度又は信号シフトは上記技術の1以上を使用して決定することができる。ある実施形態では、信号の1以上の上記特徴を観測、測定及び記録することができる。
ある実施形態では、観測及び検出される信号は蛍光信号であり、生体試料中の標的に結合されたプローブは、フルオロフォアである信号発生剤を含み得る。ある実施形態では、蛍光信号は、蛍光検出システムを使用して、蛍光波長又は蛍光性強度を決定することにより測定することができる。ある実施形態では、信号はインサイチューで検出することができる。すなわち、信号は、生体試料中の標的に結合剤を介して結合している信号発生剤から直接検出することができる。ある実施形態では、信号発生剤からの信号は、生体試料の内部で分析することができ、個別のアレイ系検出システムの必要性を回避することができる。
ある実施形態では、信号の検出は、生体試料の画像を取り込むことを含み得る。ある実施形態では、本明細書で開示されている方法にしたがって、撮像デバイスに接続した顕微鏡を検出システムとして使用することができる。ある実施形態では、信号発生剤(例えば、フルオロフォア)を励起し、得られた信号(例えば、蛍光信号)をデジタル信号の形態(例えば、デジタル化画像)で検出し記録することができる。同じ手順は、適正な蛍光フィルタを使用して試料中に結合された様々な信号発生剤(存在した場合)に対して繰り返すことができる。
ある実施形態では、複数の異なる種類の信号は、同じ試料で検出することができる。例えば、第1の標的は蛍光プローブで検出し、同じ試料中の第2の標的は発色性プローブで検出することができる。
電子移動試薬の適用、及び光反応を開始し信号を改質するための照射
信号を改質するためには、電子移動試薬を試料に適用し、続いて試料に照射し光反応を開始させることができる。特定の実施形態では、電子移動試薬の適用前、電子移動試薬の適用中又は電子移動試薬の適用後で試料の照射前に、標的改質を防止する添加剤を試料に適用する。ある実施形態では、信号改質は、1以上の信号の特徴の変化、例えば、信号強度の低下、信号ピークのシフト又は共鳴周波数の変化を含み得る。ある実施形態では、光反応は、蛍光信号発生剤と酵素(利用した場合)を実質的に不活性化する、すなわちブリーチングすることによって信号を改質することができる。
ある実施形態では、電子移動試薬及び標的改質を防止する添加剤は溶液の形態であり得る。一実施形態では、電子移動試薬及び標的改質を防止する添加剤は緩衝化水溶液の形態で存在する。
ある実施形態では、電子移動試薬はボレート塩であり得る。さらなる実施形態では、電子移動試薬は、0.001mM〜1000mMの濃度で存在するトリフェニルブチルボレートのリチウム塩であり得る。好ましい実施形態では、ボレートの濃度は20mM〜100mMである。ある実施形態では、電子移動試薬、例えばボレート塩の濃度は、信号発生剤、例えば蛍光色素の濃度の1〜60当量を示し得る。
ある実施形態では、標的改質を防止する添加剤は、抗酸化剤又はラジカルスカベンジャーであり得る。さらなる実施形態では、抗酸化剤又はラジカルスカベンジャーは、アスコルビン酸、n−プロピルガレート、メルカプトエタノール、システインヒドロクロリド、t−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、シクロヘプタトリエン(CHT)、ジオクチルフタレート(DOP)、1,4−ジヒドロ−o−トルアミド(TA)、a−トコフェロール及びトロロクスであり得る。ある実施形態では、標的改質を防止する添加剤は、一重項酸素クエンチャーであり得る。さらなる実施形態では、一重項酸素クエンチャーは、a−トコフェロール、アスコルビン酸、クルクミン又はDABCOである。
特定の実施形態では、スカベンジャーの濃度は、電子移動試薬の濃度よりも低い。特定の好ましい実施形態では、スカベンジャーの濃度は、電子移動試薬の濃度よりも少なくとも10倍低い。特定のより好ましい実施形態では、スカベンジャーの濃度は、電子移動試薬の濃度よりも少なくとも100倍低い。
電子移動試薬と接触させた試料の照射は、所定の時間で実施することができる。照射時間は、電子移動試薬と光励起信号発生剤との間の光反応の所望する時間に依存し得る。ある実施形態では、照射工程は、約1ミリ秒〜約60分、好ましくは約100ミリ秒〜約15分間、さらに好ましくは約1秒間〜約5分間で実施することができる。ある実施形態では、照射工程は、残存信号が信号発生剤から検出されなくなるまで実施することができる。ある実施形態では、照射工程は室温で実施することができる。
ある実施形態では、光反応は4〜50℃の温度で、さらに好ましくは20〜30℃の温度で実施する。
ある実施形態では、光反応は溶液で実施する。ある実施形態では、溶液は緩衝液である。さらなる実施形態では、緩衝液はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で緩衝された溶液である。ある実施形態では、溶液はpH5〜9で緩衝化される。好ましい実施形態では、溶液のpHは6〜8である。
ある実施形態では、光反応の条件(例えば、照射波長)は、結合剤、標的、生体試料及び結合剤と標的との間の結合が光反応によって影響を受けないように選択することができる。ある実施形態では、光反応は、信号発生剤及び酵素(使用する場合)並びに電子移動試薬だけに影響を及ぼすことができ、しかも、標的/結合剤の結合又は結合剤の完全性には影響を及ぼすことはない。したがって、例としては、結合剤は、一次抗体又は一次抗体/二次抗体の組合せを挙げることができる。本明細書で開示されている方法による光反応は、信号発生剤にのみ影響を及ぼすことができ、しかも、一次抗体又は一次抗体/二次抗体の組合せには本質的に影響を及ぼすことはない。ある実施形態では、結合剤(例えば、一次抗体又は一次抗体/二次抗体の組合せ)は、電子移動試薬及び標的改質を防止する任意選択的な添加剤と試料を接触させ、続いて照射を行って光反応を開始した後に、生体試料中の標的に結合させることができる。
ある実施形態では、試料の照射後に、試料から残留電子移動試薬を除去するための洗浄溶液で試料を洗浄する。特定の実施形態では、PBS溶液で試料を洗浄する。試料中の残存ボレートは、後の染色からの信号に影響を与え得るので、残存ボレートの効果的な除去は重要である。PBS洗浄後の残存ボレートの量は、使用されるボレート塩に依存する。高水溶性ボレート塩は、PBS洗浄のみによって実質的に除去される。他の場合において、大量のボレート塩を除去するためには、PBSのみでは不十分である。このような場合において、助剤をPBSに追加してもよいし、又はPBS洗浄前に使用してもよい。このような実施形態では、PBS溶液による洗浄に代えて、又はPBS溶液による洗浄前に、試料から残留電子移動試薬を有効に除去する助剤を含有する洗浄溶液で試料を洗浄する。ある実施形態では、これらの助剤としては、有機溶媒、カチオン試薬、カオトロープ、洗浄剤又はそれらの組合せが挙げられる。特定の好ましい実施形態では、助剤はエタノールである。
ある実施形態では、信号の特徴を光反応の後に検出して、信号改質の有効性を決定することができる。例えば、色は光反応の前に検出することができるが、光反応後に色は存在しない可能性がある。別の例において、蛍光信号発生剤からの蛍光強度は、光反応の前後で検出することができる。ある実施形態では、所定量までの信号強度の低下は、信号改質、光活性化型ケミカルブリーチング又はブリーチングと称されることがある。ある実施形態では、信号改質又は光活性化型ケミカルブリーチングは、約50パーセントを超える範囲の量まで信号強度の低下が示され得る。ある実施形態では、信号改質又は光活性化型ケミカルブリーチングは、約60パーセントを超える範囲の量まで信号強度の低下が示され得る。ある実施形態では、信号改質又は光活性化型ケミカルブリーチングは、約80パーセントを超える範囲の量まで信号強度の低下が示され得る。ある実施形態では、信号改質又は光活性化型ケミカルブリーチングは、約90パーセントを超える範囲の量まで信号強度の低下が示され得る。ある実施形態では、信号改質又は光活性化型ケミカルブリーチングは、約95パーセントを超える範囲の量まで信号強度の低下が示され得る。ある実施形態では、信号改質又は光活性化型ケミカルブリーチングは、約100パーセントの範囲の量まで信号強度の低下又は完全なブリーチングが示され得る。
試料と後続のプローブとの接触、及び後続の標的への結合
生体試料又は試料は、第1のプローブに関して上記1以上の方法を使用して、後続のプローブと接触させることができる。後続のプローブは、前の工程において結合した標的と異なる標的に結合することができる。複数のプローブを前のプローブ接触工程で生体試料と接触させることができる実施形態では、後続のプローブは、先のプローブセットにより結合される標的と異なる標的に結合することができる。ある実施形態では、生体試料は、後続のプローブ接触工程において複数のプローブと接触させることができる。ある実施形態では、複数の多数のプローブセットが第1の工程の生体試料に適用される場合、後続のプローブセットからの後続の信号セットが形成され得る。第2の信号セットの形成は、信号発生剤を含む個別の成分を第2のプローブセットに結合させることを含み得る。例えば、第2のプローブセットはビオチンタグを含み得、また、信号発生剤を含む成分は、ビオチンタグを結合することができるストレプトアビジンをさらに含み得る。或いは、第2の信号セットの形成は、例えば、フルオロフォアクエンチャー対の間の距離を変化させることによって、信号形成成分をマスキングしないことを含み得る。ある実施形態では、第2の信号セットの形成は、第2のプローブセットに付着した配列に相補的な標識プローブのハイブリダイゼーションによるものであり得る。
酵素に結合された結合剤をプローブとして使用することができる実施形態では、結合工程は、蛍光信号発生剤に結合された酵素基質と酵素との反応を伴う反応工程をさらに含み得る。
ある実施形態では、異なる結合工程で使用される信号発生剤(例えば、蛍光信号発生剤)は同じものであり得る。すなわち、同じ検出チャネルで検出可能であり得る。異なる結合工程において同じ信号発生剤を利用する方法は、限られた数の検出チャネルが利用可能である場合、複数の標的の検出を可能にする。ある実施形態では、あるプローブセット(2〜5つのプローブ)が第1の結合工程において利用され得る場合、後続のプローブは、前の結合工程と同じ信号発生剤を含み得る。例えば、第1の結合工程は、Cy3、Cy5及びCy7がコンジュゲートされている異なる結合剤を含み得る。ある実施形態では、後続の結合工程もまた同じ色素のセット、すなわち、Cy3、Cy5及びCy7を含み得る。
ある実施形態では、異なる結合工程で使用される信号発生剤(例えば、蛍光信号発生剤)は異なるものであり得る。すなわち、異なる検出チャネルにおいて独立して検出可能であり得る。例えば、ある実施形態では、第1のプローブは、緑色の領域に蛍光放出波長を有するCy3色素を含み得、後続のプローブは、近赤外領域に蛍光放出波長を有するCy7色素を含み得る。
結合剤が結合した酵素をプローブとして利用する実施形態では、異なる結合工程及び反応工程に利用する酵素と基質は同じものであり得る。先の酵素は、試料を後続の酵素に結合する前の光反応の過程で、又は個別の不活性工程で不活性化し、先の酵素と後続の基質との交差反応を防止することができる。例えば、第1の結合工程及び反応工程は、HRPに結合された結合剤及び第1のフルオロフォアに結合されたチラミンを含み得る。光誘起型ケミカルブリーチング工程は、フルオロフォアを実質的に不活性化する工程、及びHRPを実質的に不活性化する工程を含み得る。ある実施形態では、光誘起型ケミカルブリーチング工程及び不活性化工程は同時に起こり得る。ある実施形態では、光誘起型ケミカルブリーチング工程及び不活性化工程は連続的に起こり得る。好ましい実施形態では、標的改質を防止する添加剤の存在下で、光誘起型化学ブリーチングを実施する。光誘起型ケミカルブリーチング工程及び不活性化工程の後、試料は、HRPに結合された後続の結合剤と接触させることができ、これは第2のフルオロフォアに結合されたチラミンとさらに反応させることができる。同様に、後続の結合工程反応工程は、多回反復のHRP−チラミンを酵素基質コンジュゲートとして使用して作用させることができ、それぞれの結合工程反応工程に光誘起型ケミカルブリーチング工程及び不活性化工程が続く。第1のフルオロフォア及び後続のフルオロフォアは、検出に利用可能な検出チャネルの数に応じ、同じものでもよいし、又は異なるものでもよい。
ある実施形態では、第1の結合工程には、あるプローブセット(例えば、2〜5のプローブ)を含み得、各プローブは異なる標的に結合することが可能な結合剤と、異なる基質の化学反応を触媒することが可能な各酵素を含み得る。例えば、一実施形態では、第1のプローブセットは、HRPに結合された結合剤1と、APに結合された結合剤2を含み得る。反応工程は、Cy3に結合されたチラミン及びCy7に結合されたNADPと試料とを接触させることを含み得る。酵素のその対応する基質との反応及び信号の検出に続き、標的改質を防止する添加剤の任意選択的な存在下で、シアニン色素は光誘起型ケミカルブリーチングにより不活性化され、酵素は光反応の過程で、又は適切な不活性化剤の添加により不活性され得る。後続のプローブ工程は、結合剤−酵素及び基質−フルオロフォア対の同じセット、又は結合剤−酵素及び基質−フルオロフォア対の異なるセットを含み得る。複数のプローブ及び基質−信号発生剤は、生体試料と同時に(例えば、単一の混合物として)接触させるか、連続的に接触させることができる(例えば、プローブ1は生体試料と接触させ、続いて洗浄工程を行いすべての未結合のプローブ1を除去し、続いてプローブ2を生体試料と接触させるなど)。
後続のプローブからの後続信号の検出
上記1以上の検出方法を使用して、後続の信号発生剤(後続のプローブに存在する)からの後続(例えば、第2、第3など)の信号の1以上の特徴を検出することができる。ある実施形態では、信号強度、信号波長、信号位置、信号頻度又は信号シフトは、上記技術の1以上を使用して決定することができる。第1の信号と同様に、得られる後続の信号(例えば、蛍光信号)は、デジタル信号の形態(例えば、デジタル化画像)で記録することができる。ある実施形態では、後続の信号の検出は、生体試料の光学像を取り込むことも含み得る。
接触工程、結合工程及び検出工程の反復
ある実施形態では、試料を後続(例えば、第2、第3など)のプローブと接触させた後、光反応の信号発生剤のブリーチングと、後続のプローブ投与/既に結合されたプローブからの信号形成は、複数回繰り返すことができる。ある実施形態では、第2のプローブからの第2の信号を検出した後、生体試料は、電子移動試薬と接触させ、照射し、第2プローブからの信号を改質することができる。場合により、標的改質を防止する添加剤の存在下で、接触工程及び照射工程を実施する。さらに、第3のプローブは、この生体試料と接触させることができ、この場合、第3のプローブは、第1及び第2のプローブと異なる標的に結合させることができる。同様に、第3のプローブからの信号を検出し、続いて電子移動試薬を適用し、標的改質を防止する添加剤の存在下で場合により照射を行いその信号を改質することができる。この結合工程、検出工程及びブリーチング工程は、さらなる標的に結合可能なn番目のプローブを使用して反復的に複数回繰り返し、様々なプローブ及び/又は信号発生剤を使用して、様々な標的に関する情報を利用者に提供することができる。酵素に結合された結合剤をプローブとして利用することができる実施形態では、結合工程は、蛍光信号発生剤に結合された酵素基質と酵素との反応を伴う反応工程をさらに含み得る。
ある実施形態では、このブリーチング工程、結合工程、反応工程(適用可能な場合)及び検出工程は1回以上繰り返すことができる。ある実施形態では、このブリーチング工程、結合工程、反応工程(適用可能な場合)及び検出工程は、5回以上、15回以上、30回以上、60回以上、100回以上又は150回以上繰り返すことができる。ある実施形態では、一連の工程は、25〜30回繰り返すことができる。ある実施形態では、一連の工程は、2〜10回繰り返すことができる。
ある実施形態では、一連のプローブは、生体試料と連続的な方法で接触させ、生体試料の多重化分析を得ることができる。ある実施形態では、一連のプローブセット(1つのセットに、多くとも5つのプローブを含む)を生体試料と連続的な方法で接触させ、生体試料の多重化分析を得ることができる。多重化分析は、一般に、同じ検出機構を使用する生体試料中の複数の標的分析を指す。
ある実施形態では、生体試料を第1の工程で複数の多数のプローブセットと接触させる場合、ブリーチング、後続のプローブセットからの信号の形成、及び信号の検出を含む一連の工程は、5回以上、15回以上以上、30回以上、60回以上、100回以上又は150回以上繰り返すことができる。ある実施形態では、一連の工程は25〜30回繰り返すことができる。他の実施形態では、一連の工程は2〜10回繰り返すことができる。
ある実施形態では、生体試料成分は、ブリーチング工程、結合工程、反応工程(適用可能な場合)、及び信号検出工程のサイクルを繰り返した後、有意な改質はない。ある実施形態では、生体試料成分は、ブリーチング工程中、有意な改質はない。ある実施形態では、ブリーチング工程中に有意に改質されていない生体試料の成分が標的である。ある実施形態では、標的の80%以上は、ブリーチング工程の過程で、有意に改質されない。ある実施形態では、標的の95%以上は、ブリーチング工程の過程で、有意に改質されない。
試料と1以上の形態染色剤との接触
ある実施形態では、生体試料は細胞又は組織を含み得、試料は、第1のプローブ又は後続のプローブとの接触工程の前、間又は後に、形態染色剤と接触させることができる。形態染色剤は、細胞型又は疾患状態の同定を容易にするために、異なる細胞成分を染色することができる色素を含み得る。ある実施形態では、形態染色剤は、プローブ中の信号発生剤から容易に識別することができる(すなわち、染色剤は、プローブからの信号と重複し得る信号を放出しなくてもよい)。例えば、蛍光形態染色剤においては、形態染色剤からの信号は、プローブで使用されるフルオロフォアと同じ波長において自己蛍光を発することができない。
形態染色剤は、上記工程のいずれか1つの前、間又は後に、生体試料と接触させることができる。ある実施形態では、形態染色剤は、第1のプローブとの接触工程と同時に生体試料と接触させることができる。ある実施形態では、形態染色剤は試料を電子移動試薬及び標的改質を防止する任意選択的な添加剤と接触させる前に生体試料と接触させ、第1のプローブを標的に結合させた後に照射することができる。ある実施形態では、形態染色剤は、試料を電子移動試薬及び標的改質を防止する任意選択的な添加剤と接触させ、照射して信号を改質した後に、生体試料と接触させることができる。ある実施形態では、形態染色剤は、第2のプローブの接触工程と同時に生体試料と接触させることができる。ある実施形態では、生体試料は、第2のプローブを標的に結合させた後に、形態染色剤と接触させることができる。ある実施形態では、形態染色剤が信号発生剤からの蛍光信号に対するバックグラウンドノイズを生じる可能性がある場合、形態染色剤は、プローブ工程、ブリーチング工程、及び再プローブ工程の後で、生体試料と接触させることができる。例えば、H&Eなどの形態染色剤は、本明細書で開示されている方法の後、連続的に撮像し記録することができる。
ある実施形態では、発色団、フルオロフォア又は酵素/酵素基質を形態染色剤として使用することができる。形態染色剤として使用することができる発色団(及びその標的細胞、細胞内成分又は細胞成分)の適切な例としては、限定されないが、ヘマトキシリン(核酸)、オレンジG(赤血球、膵臓及び下垂体細胞)、ライトグリーンSF(コラーゲン)、ロマノフスキーギムザ(細胞形態全般)、メイグリュンワルド(血液細胞)、ブルー対比染色剤(Trevigen)、エチルグリーン(CAS)(アミロイド)、フォイルゲン−ナフトールイエローS(DNA)、ギムザ(様々な細胞成分を分別的に染色)、メチルグリーン(アミロイド)、ピロニン(核酸)、ナフトールイエロー(赤血球細胞)、ニュートラルレッド(核)、パパニコラウ染色剤(ヘマトキシリン、オレンジG及びビスマルクブラウン混合物の混合物(細胞形態全般))、レッド対比染色剤B(Trevigen)、レッド対比染色剤C(Trevigen)、シリウスレッド(アミロイド)、フォイルゲン試薬(パラローズアニリン)(DNA)、ガロシアニンクロム明礬(DNA)、ガロシアニンクロムビョウバン及びナフトールイエローS(DNA)、メチルグリーン−ピロニンY(DNA)、チオニン−フォイルゲン試薬(DNA)、アクリジンオレンジ(DNA)、メチレンブルー(RNA及びDNA)、トルイジンブルー(RNA及びDNA)、アルシアンブルー(炭水化物)、ルテニウムレッド(炭水化物)、スーダンブラック(脂質)、スーダンIV(脂質)、オイルレッド−O(脂質)、ワンギーソントリクローム染色剤(酸性フクシン及びピクリン酸混合物)(筋肉細胞)、マッソントリクローム染色剤(ヘマトキシリン、酸性フクシン及びライトグリーン混合物)(コラーゲン、細胞質、核小体を分別的に染色)、アルデヒドフクシン(エラスチン線維)又はワイゲルト染色剤(細網線維及びコラーゲン線維を分別)が挙げられる。
適切な蛍光形態染色剤(及びその標的細胞、細胞内成分又は適用可能な場合に細胞成分)の例としては、限定されないが、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)(核酸)、ヘキスト33258及びヘキスト33342(2つのビスベンズイミド)(核酸)、ヨウ化プロピジウム(核酸)、スペクトルオレンジ(核酸)、スペクトルグリーン(核酸)、キナクリン(核酸)、フルオレセイン−ファロイジン(アクチン線維)、クロモマイシンA3(核酸)、アクリフラビン−フォイルゲン反応液(核酸)、オーラミンO−フォイルゲン反応液(核酸)、臭化エチジウム(核酸)、ニッスル染色剤(ニューロン)、POPO、BOBO、YOYO及びTOTOなどのような高親和性DNAフルオロフォア、並びに、ヒストンなどのDNA結合タンパク質に融合されている緑色蛍光タンパク質、ACMA、キナクリン及びアクリジンオレンジが挙げられる。
適切な酵素(及びその主要な細胞部位又は活性)の例としては、限定されないが、ATPases(筋肉線維)、コハク酸デヒドロゲナーゼ(ミトコンドリア)、シトクロムcオキシダーゼ(ミトコンドリア)、ホスホリラーゼ(ミトコンドリア)、ホスホフルクトキナーゼ(ミトコンドリア)、アセチルコリンエステラーゼ(神経細胞)、ラクターゼ(小腸)、酸性ホスファターゼ(リソソーム)、ロイシンアミノペプチダーゼ(肝細胞)、デヒドロゲナーゼ(ミトコンドリア)、ミオアデニル酸デアミナーゼ(筋肉細胞)、NADHジアホラーゼ(赤血球)及びスクラーゼ(小腸)が挙げられる。
ある実施形態では、形態染色剤は、光活性化型ケミカルブリーチングに対して安定である。すなわち、形態染色剤の信号形成特性は、形態染色剤と電子移動試薬及び標的改質を防止する任意選択的な添加剤との接触と後続の照射を含む光反応によって実質的に影響を受けない場合がある。ある実施形態では、生体試料をプローブと形態染色剤で同時に染色することができる場合、プローブからの信号のブリーチングは、形態染色剤からの信号を改質しなくてよい。ある実施形態では、形態染色剤は、分子情報(反復的なプローブ工程を介して得られるもの)及び形態情報(形態染色を介して得られるもの)を同時に記録するための対照として使用することができる。ある実施形態では、形態染色剤は、試料への照射時に電子移動試薬及び標的改質を防止する添加剤により改質されない。
試料と1以上の対照プローブとの接触
ある実施形態では、対照プローブは、生体試料中の1以上の標的に結合させることができる。ある実施形態では、対照プローブは、第1のプローブの接触工程と同時に標的に結合させることができる。ある実施形態では、対照プローブは、第1のプローブと同時に生体試料に適用することができる。ある実施形態では、対照プローブは、連続的に、すなわち、第1のプローブの適用の前又は後に、しかし電子移動試薬及び標的改質を防止する任意選択的な添加剤の適用及び後続の照射の前に、生体試料に適用することができる。
対照プローブは、光活性化型ケミカルブリーチングに対して安定である信号発生剤を含み得るか、又は信号発生剤の信号形成特性は、電子移動試薬及び標的改質を防止する任意選択的な添加剤と接触させ後続の照射を行った場合に、実質的に影響を受けない。信号発生剤は、電子移動試薬及び標的改質を防止する添加剤と照射への曝露中に安定である放射性同位元素又は電子移動試薬及び標的改質を防止する添加剤と照射への曝露時に化学的に改質されないフルオロフォアを含み得る。適切な放射性同位元素としては、32P又は3H、14C、125I又は131Iが挙げられる。適切なフルオロフォアとしては、DAPIを挙げることができる。
ある実施形態では、適切な信号発生剤を結合剤に結合させ、対照プローブを形成させることができる。例えば、放射活性標識を抗体に結合させ、対照プローブを形成させることができ、この抗体は、生体試料中に存在する1以上の標的抗原に結合することができる。他の実施形態では、適切な信号発生剤は、試料中の1以上の標的に結合することができ、また、電子移動試薬及び標的改質を防止する添加剤の存在時と照射中に安定である検出可能な信号を提供することもできる。例えば、適切な対照プローブは、DAPIであり得、これは、試料中の核酸に結合することが可能であり、しかも光活性化型ケミカルブリーチングに対して実質的に安定である、すなわち、電子移動試薬及び標的改質を防止する添加剤の添加及び後続の照射の後に実質的に改質されない、蛍光信号を提供することも可能である。
ある実施形態では、対照プローブを本明細書で開示されている方法に利用し、反復の染色工程に対する標的の安定性の指標を提供することができる。例えば、対照プローブを試料中の公知の標的に結合させ、対照からの信号を検出し定量することができる。続いて、対照信号を反復染色工程中にモニタリングし、電子移動試薬及び標的改質を防止する添加剤及び後続の照射に対する標的又は結合剤の安定性に関する指標を提供することができる。ある実施形態では、対照信号の定量的測定(例えば、信号強度)をモニタリングし、反復プローブ工程の後に、試料中に存在する標的の量を定量することができる。
ある実施形態では、対照プローブを利用し、対象の試料の定量的情報、例えば、試料中の標的の濃度、又は試料中の標的の分子量を得ることができる。例えば、対照の標的(公知の濃度又は公知の分子量を有するもの)を、ブロッティング技術において、対象の試料と同時にロードすることができる。対照プローブを対照の標的に結合させ、対照信号を検出することができる。続いて、対照信号を、下記に記載の方法を使用して、対象の試料から検出される信号と相関させることができる。
ある実施形態では、対照プローブを本明細書で開示されている方法に利用し、複数の分子情報(反復的なプローブ工程を介して得られるもの)及び形態情報(例えば、DAPIを使用して得られるもの)の同時記録を提供することができる。ある実施形態では、本明細書で開示されている方法は、複数の蛍光画像、及び例えば、H&Eを使用して得られる明視野形態画像の同時記録を含み得る。ある実施形態では、反復プローブ工程で利用されるプローブは、H&E画像で記録するために使用することができるいかなる共通のコンパートメント情報も有しなくてもよい。DAPI核染色などの対照プローブを利用し、明視野画像でヘマトキシリンにより染色される核を、蛍光画像と一緒に同時記録することができる。蛍光画像と明視野画像は、2つのカテゴリー:強度ベースの技術及び特徴ベースの技術に分類することができる画像記録アルゴリズムを使用して、同時記録することができる。
第1の信号と後続の信号との相関
ある実施形態では、第1の信号、後続の信号、又は第1の信号及び後続の信号を分析して、生体試料に関する情報を得ることができる。例えば、ある実施形態では、第1の信号の存在又は非存在は、生体試料中の第1の標的(第1の結合剤に結合可能)の存在又は非存在を示し得る。同様に、第2の信号の存在又は非存在は、第2の標的(生体試料中の第2の結合剤に結合可能)の存在又は非存在を示し得る。複数のプローブを使用して多数の標的を分析することができる実施形態では、特定の信号の存在又は非存在は、生体試料中の対応する標的の存在又は非存在を示し得る。
ある実施形態では、検出工程は、試料中の1以上の標的の定量的測定を含み得る。ある実施形態では、信号の強度値(例えば、蛍光強度)を測定することができ、生体試料中の標的の量に相関させることができる。標的の量と信号強度との間の相関性は、較正基準を使用して決定することができる。ある実施形態では、第1の信号及び第2の信号の強度値を測定し、標的の各量に相関させることができる。ある実施形態では、2つの信号強度を比較することによって、第1の標的及び第2の標的の(相互に対する又は対照に対する)相対量を確定することができる。同様に、複数のプローブを使用して複数の標的を分析することができる場合、異なる標的の生体試料中の相対量は、異なる信号強度を測定することによって決定することができる。ある実施形態では、1以上の対照試料は、上記のように使用することができる。試料中の信号の(対象の生体試料の対照に対する)存在又は非存在を検出することによって、生体試料に関する情報を得ることができる。例えば、罹患組織試料を正常な組織試料に対して比較することにより、罹患組織試料中に存在する標的に関する情報を得ることができる。同様に、試料間(すなわち、対象の試料及び1以上の対照)の信号強度を比較することによって、試料中の標的の発現に関する情報を得ることができる。
ある実施形態では、検出工程は、試料中の2以上の標的を共局在化することを含む。試料中の標的を共局在化するための方法は、「System and Methods for Analyzing Images of Tissue Samples」という表題の米国特許出願第11/686,649号(2007年3月15日出願)、「System and Method for Co−Registering Multi−Channel Images of a Tissue Micro Array」という表題の米国特許出願第11/500,028号(2006年8月7日出願)、「System and Methods for Scoring Images of a Tissue Micro Array」という表題の米国特許出願第11/606,582号(2006年11月30日出願)及びAutomated Segmentation of Image Structuresという表題の米国特許第8036462号に開示されている(これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる)。
ある実施形態では、生体試料中の信号の位置を検出することができる。ある実施形態では、生体信号中の信号の局在性は、形態染色剤を使用して検出することができる。ある実施形態では、2以上の信号の相対位置を観測することができる。信号の位置は、生体試料中の標的の位置に相関させることができ、生体試料中の異なる標的の局在性に関する情報を得ることができる。ある実施形態では、信号の強度値と信号の位置を相関させ、生体試料中の異なる標的の局在性に関する情報を得ることができる。例えば、特定の標的は、核と比べると細胞質でより多く発現され得る。またその逆もある。ある実施形態では、標的の相対的な局在性に関する情報は、2以上の信号の位置及び強度値を比較することによって得ることができる。
ブロッティング技術を利用する実施形態では、検出工程は、ブロット上の信号の位置を検出することを含み得る。続いて、ブロットの信号の位置を、試料と一緒にゲルにロードした較正基準と相関させ、異なるバンドの標的の分子量に関する情報を得ることができる。ある実施形態では、ブロット上の信号の位置は、例えば2D−PAGEにおいて、標的の分子量及び標的の等電点に相関させることができる。ある実施形態では、アクチン又はチューブリンなどの構造タンパク質は、ウエスタンブロットで対照プローブを使用してプローブし、試料中の標的の量を定量することができる。
ある実施形態では、1以上の検出工程又は相関工程は、コンピュータ支援手段を使用して実施することができる。信号発生剤からの信号をデジタル画像の形式で保存することができる実施形態では、画像のコンピュータ支援解析を実施することができる。ある実施形態では、画像(例えば、プローブからの信号及び形態染色剤)は、コンピュータ支援の重ね合わせを使用して重ね合わせ、生体試料の完全な情報、例えば、位相及び相関性情報を得ることができる。
ある実施形態では、上記方法の1以上は自動化することができ、自動化システムを使用して実施することができる。ある実施形態では、すべての工程は、自動化システムを使用して実施することができる。
本明細書で開示されている方法は、生物学及び医学における分析、診断及び治療用途において適用を見出すことができる。ある実施形態では、本明細書で開示されている方法は、組織化学、特に、免疫組織化学において適用を見出すことができる。患者由来の細胞又は組織試料の分析は、本明細書に記載の方法にしたがって、診断的に(例えば、特定の疾患を有する患者、特定の毒素に曝された患者、又は特定の療法又は器官移植に十分応答している患者を同定するために)、また予後的に(例えば、特定の疾患を発症し得る患者、特定の療法に十分応答し得る患者、又は特定の器官移植の受容の可能性のある患者を同定するために)利用することができる。本明細書で開示されている方法は、同じ生体試料由来の複数(例えば、潜在的に無限である数)の標的(例えば、疾患マーカー)の分析を正確かつ信頼性高く促進することができる。
以下の実施例は単に本発明による方法及び実施形態を例示するためのものであり、特許請求の範囲に限定を課すものと解釈すべきではない。
実施例1.シアニン色素の光活性化型ケミカルブリーチング:用量反応
Cy3のPBS溶液に、2〜60当量のトリフェニルブチルボレートリチウム塩を追加し、この溶液を4分間又は10分間照射した。550nmの吸光度を測定して光活性化型ケミカルブリーチングをモニタリングし、結果を図1に示されているようにプロットした。四角形の実線は、様々な濃度のトリフェニルブチルボレートの存在下でCy3色素を4分間照射した後のA550吸光度を表す。菱形の実線は、様々な濃度のトリフェニルブチルボレートの存在下でCy3色素を10分間照射した後のA550吸光度を表す。結果は、ボレート塩の濃度が増加するにつれてCy3ブリーチングの程度が増加することを実証している。
実施例2.光反応と熱酸化によるCy3ブリーチングの比較
3つのCy3ブリーチング方法を比較した。光活性化型ケミカルブリーチング反応の場合、Cy3をトリフェニルブチルボレートリチウム塩と混合し、20秒間照射した。熱酸化反応の場合、Cy3を塩基性過酸化水素と混合し、20秒間インキュベートした。対照反応の場合、Cy3を水と共に20秒間インキュベートした。各インキュベーション及び/又は反応の前後において、3つの反応すべてにおけるCy3溶液の色を比較した。対照反応では、その濃いピンク色は変化していない。熱酸化反応の色は、20秒間の熱酸化後に、濃いピンク色から薄いピンク色に変化している。光活性化型ケミカルブリーチング反応では、20秒間の照射後に、濃いピンク色から無色に変わっている。
実施例3.組織におけるCy3及びCy5の光活性化型ケミカルブリーチング
Cy3コンジュゲートサイトケラチン及びCy5コンジュゲートパンカドヘリンで組織マイクロアレイ(TMA,Pantomics Catalog No.MTU541C)を染色した。染色したTMAをトリフェニルブチルボレーチリチウム塩と共にインキュベートし、2分間照射することにより、Cy3及びCy5の光活性化型ケミカルブリーチングを達成した。ブリーチング前後にオリンパス顕微鏡上で画像を撮影した。ブリーチング前後のCy3コンジュゲートサイトケラチンで染色した試料の画像を図2に示す。ブリーチング前後のCy5コンジュゲートパンカドヘリンで染色した試料の画像を図3に示す。このデータは、光活性化型ケミカルブリーチングが、染色組織中のCy3及びCy5信号を有効に破壊することを実証している。
実施例4.BODIPYの光活性化型ケミカルブリーチング
トリフェニルブチルボレートリチウム塩の100mM溶液の有無の下、メタノール/水中で、BODIPYの光活性化型ケミカルブリーチング反応を行った。100Wハロゲンランプを使用して、両試料の照射を2分間行った。BODIPY及びトリフェニルブチルボレート塩を含む反応バイアルの鮮やかな黄色は、照射後に淡黄色になっている。照射前(不均一な破線)及び照射後(実線)の反応の蛍光スペクトルを図4に示す。蛍光スペクトルは、光活性化型ケミカルブリーチングによるBODIPYの蛍光消光が完全であることを実証している。トリフェニルブチルボレート塩が無い場合のBODIPYを含む反応バイアルの鮮やかな黄色は、照射後にその鮮やかな黄色を維持している。
実施例5.ローダミンの光活性化型ケミカルブリーチング
トリフェニルブチルボレートリチウム塩の100mM溶液の有無の下、メタノール/水中で、ローダミンの光活性化型ケミカルブリーチング反応を行った。100Wハロゲンランプを使用して、両試料の照射を2分間行った。ローダミン及びトリフェニルブチルボレートリチウム塩を含む反応バイアルの鮮やかな赤色は、照射後に消失している。照射前(不均一な破線)及び照射後(実線)の反応の蛍光スペクトルを図5に示す。蛍光スペクトルは、光活性化型ケミカルブリーチングによるローダミンの蛍光消光が完全であることを実証している。トリフェニルブチルボレート塩が無い場合のローダミンを含む反応バイアルの鮮やかな赤色は、照射後にその鮮やかな赤色を維持している。
実施例6.1,3−ジクロロ−7−ヒドロキシ−9,9−ジメチル−2(9H)−アクリジノン(DDAO)の光活性化型ケミカルブリーチング
トリフェニルブチルボレートリチウム塩の100mM溶液の有無の下、メタノール/水中で、アクリドンの光活性化型ケミカルブリーチング反応を行った。100Wハロゲンランプを使用して、両試料の照射を2分間行った。反応の茶色の色は、照射後に黄色になっている。照射前(不均一な破線)、1分間の照射後(実線)及び2分間の照射後(均一な破線)の反応の蛍光スペクトルを図6に示す。蛍光スペクトルはまた、照射に使用した時間が限られていたDDAOの蛍光消光が不完全であることを実証している。トリフェニルブチルボレート塩が無い場合のDDAOを含む反応バイアルの茶色は、照射後にその茶色を維持している。
実施例7.Cy3の光活性化型ケミカルブリーチングにおけるスカベンジャーの使用
1.組織試料の調製
パラフィン包埋した組織スライドとしてヒト肺組織アレイ試料を得た。これらの試料は、腺癌、扁平癌、小細胞肺癌及び大細胞肺癌のマイクロアレイを含んでいた。
2.スライドの透明処理
組織を上に向け、オーブンラックと平行にした状態で、3つのパラフィン包埋スライドを60℃で1時間ベークした。ベーク後、穏やかに10分間撹拌しながらキシレンで洗浄することによって、スライドを脱パラフィン処理した。次いで、100%、95%、70%及び50%の順に濃度が低下する4つのエタノール溶液で洗浄し、続いて、1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)で洗浄することによって、試料を再水和した。再水和の後、1×PBSでスライドを洗浄した。組織の膜透過処理のために、0.3%TritonX−100のPBS溶液による10分間の洗浄を実施し、続いて、1×PBSで洗浄した。
3.抗原回復
スライドの透明処理工程後、二重バッファ熱誘導エピトープ回復によってスライドを処理した。プレッシャークッカを使用して、スライドを70℃のクエン酸緩衝液pH6.0(Vector Unmasking Solution)に曝露し、110℃の温度に加熱し、これを4分間保持して約7psiの圧力に達してから、徐々に冷却した(最終温度96℃)。スライドをクエン酸緩衝液中に合計20分間入れてから、高温(96℃)のトリス−EDTA緩衝液(pH9.0)に移し、大気圧のクッカ内に置いて20分間かけて徐々に冷却した。この後、10分間かけて室温に冷却し、1×PBSによる一連の洗浄を行った。
4.ブロッキング
抗原回復後、4℃の10%ロバ血清、3%ウシ血清アルブミン(BSA)溶液中で一晩インキュベートすることによって、非特異的結合に対してスライドをブロッキングした。
5.染色及びイメージング
DAPIでスライド染色し、カバースリップを被せた。Cy3及びCy5のチャネルからの自己蛍光ベースラインに対するタンパク質染色の前に、画像を20倍で撮影した。1×PBSでスライドからカバースリップを外し、以下の表に示されているように、3%BSAの1×PBS溶液(ラウンド1)で希釈したCy3及びCy5直接コンジュゲートのカクテルで染色した。室温で1時間インキュベートした。インキュベーション後、1×PBSによる一連の洗浄により過剰な抗体を除去し、スライドにカバースリップを被せた。試料をイメージングし、次いでカバースリップを外した。カバースリップを外した後、表の条件を用いて、各スライドを下記のようにブリーチングする。
ブリーチングプロトコール:
(a)スライド1−PBS中で調製したブチルボレート10mMで処理し、可視ランプを用いてスライドを照射する(光活性化型ケミカルブリーチング)
(b)スライド2−PBS中で調製したブチルボレート(10mM)及びプロピルガレート100uMで処理し、可視ランプを用いてスライドを照射する(光活性化型ケミカルブリーチング)
(c)スライド3−PBS中で調製したブチルボレート(10mM)及びDABCO10uMで処理し、可視ランプを用いてスライドを照射する(光活性化型ケミカルブリーチング)
(d)スライド4−PBS中で調製したブチルボレート(10mM)及びアスコルビン酸100uMで処理し、可視ランプを用いてスライドを照射する(光活性化型ケミカルブリーチング)
(e)スライド5−NaHCO3及びH2O2で15分間処理する(熱ブリーチング)
ブリーチング後、PBSですべてのスライドを洗浄し、カバースリップを被せて、ブリーチングしたバックグラウンド画像を取得した。スライドからカバースリップを外し、染色及びイメージングに記載されているように、次のラウンドの抗体を適用した。後続の工程のブリーチングは、ブリーチングプロトコールに記載されているのと同じである。
6.結果及び考察
染色及びイメージングに記載されているように、蛍光標識PCK26抗体で組織マイクロアレイの連続切片を染色した。次いで、一重項酸素及び/又はラジカルクエンチャーの存在下又は非存在下で、蛍光色素とトリフェニルブチルボレートとの間の光誘起電子移動によって、各スライドをブリーチングした。1つのスライドは、塩基性過酸化水素でブリーチングした。次いで、TRIM29についてスライドを染色した。2つの組織コア(P002及びP003)の画像は、上に示されている。クエンチャーは、光誘起電子移動プロセスによるブリーチングに起因するTRIM29エピトープの損傷を防止することが示されている(図7)。DABCO、プロピルガレート及びアスコルビン酸のようなラジカルスカベンジャーを用いると、酸化剤(NaHCO3/H22)ベースのブリーチングを受けたスライドのように、後続のTRIM29バイオマーカーによる再染色が効果的に染色されたように見える。
TRIM29に対する抗体からのCy3信号のブリーチング後、MUC1に対するCy3標識抗体でスライドを染色した。図8は、トリアリールブチルボレートを使用して、TRIM29バイオマーカーに結合した先のCy3信号をブリーチングした場合の、ラジカルスカベンジャーの非存在下における抗原効果(エピトープ損傷)を含む結果を示している。DABCO、プロピルガレート及びアスコルビン酸のようなラジカルスカベンジャーを用いると、酸化剤(NaHCO3/H22)ベースのブリーチングを受けたスライドのように、後続のMUC1バイオマーカーによる再染色が効果的に染色されたように見える。DABCO及びプロピルガレートは、標的改質の防止の点で、アスコルビン酸と比較して有効であることが示されている。
MUC1に対する抗体からのCy3信号のブリーチング後、ナプシンAに対するCy3標識抗体でスライドを染色した。図9は、トリアリールブチルボレートを使用して、MUC1バイオマーカーに結合した先のCy3信号をブリーチングした場合の、ラジカルスカベンジャーの非存在下における抗原効果(標的改質)を含む結果を示している。DABCO、プロピルガレート及びアスコルビン酸のようなラジカルスカベンジャーを用いると、酸化剤(NaHCO3/H22)ベースのブリーチングを受けたスライドのように、後続のナプシンAバイオマーカーによる再染色が効果的に染色されたように見える。
実施例8.光活性化型ケミカルブリーチングサイクル後の残存ボレートの除去
1.組織試料の調製
パラフィン包埋した組織スライドとしてヒト多組織アレイ試料を得た。これらの試料は、正常組織、前癌組織及び進行性癌組織のマイクロアレイを含んでいた(Pantomics,MNT241)。
2.スライドの透明処理(実施例7参照)
3.抗原回復(実施例7参照)
4.ブロッキング(実施例7参照)。
実験1:ブリーチングサイクル中に保持された組織からの残存ボレートの除去
500ulのモノベンジルトリフェニルボレート(1mM)/DABCO(100uM)溶液の存在下で可視光に7分間曝露することによって、予め染色したスライド(Cy5標識抗S6抗体で染色したもの)をブリーチングした。スライドをPBSで3回洗浄し、又は50%エタノールで3回洗浄し、続いてPBSで3回洗浄した。スライドをイメージングし、顕微鏡それ自体のCy5チャネルにおいて光に1分間曝露し、次いで再イメージングした。塩基性過酸化物でブリーチングし、抗S6抗体で染色し、PBSで3回洗浄した別のスライドを対照として使用した。図10に示されているように、光誘起電子移動プロセスで予めブリーチングし、PBSのみで洗浄したスライドは信号の減少を示し、これは、長期の曝露によりさらに減少した。さらなるエタノール洗浄を受けたスライドからの信号は、劇的な影響を受けなかった。
図10:後続の染色及びイメージングからの信号に対する残存ボレートの効果、並びにエタノールによる残存ボレートの除去。a)塩基性過酸化物でブリーチングした対照スライドの画像、b)PICBでブリーチングしたが、PBSのみで洗浄したスライドの画像、c)PICBでブリーチングし、次いでPBS洗浄前に50%エタノールで洗浄したスライドの画像、d)及びe)再イメージングの1分前に、Cy5チャネルにおいてスライドを光に曝露した後のb)及びc)それぞれの画像。
実験2:残存ボレートを除去するための他の試薬/緩衝液の評価
PICBでブリーチングした後、PBSによる洗浄前に、様々な試薬/緩衝液でスライドを3×5分間洗浄した以外は実験1について上に記載されているように実験を行った。抗NaKATPase−Cy5及び抗CD79−Cy3又はAE1−Cy3抗体コンジュゲートでスライドを染色した。スライドをイメージングし、光に1分間曝露し、次いで上記のように再イメージングした。実験1について上に記載されているように、対照スライドも使用した。結果を図11に示す。
図11(a)次のラウンドの染色及び長期の光曝露からの信号に対する後の効果によって測定した場合の、残存ボレートを除去するための様々な試薬/緩衝液の評価。a)50%エタノールによる洗浄、b)0.1%ポリエチレンイミンによる洗浄、c)市販のLeica Bond洗浄溶液による洗浄、d)0.1%リジンによる洗浄、e)市販のBiocare洗浄溶液による洗浄、f)0.1%CTABによる洗浄、及びg)0.1%グアニジンによる洗浄。様々な試薬が異なる程度に有効である。図11(b):残存ボレートを除去するための様々な試薬/緩衝液の評価:試薬濃度の効果:a)50%エタノールで洗浄したスライドの画像、b)0.5%リジンで洗浄したスライドの画像、c)5%リジンで洗浄したスライドの画像、d)10%リジンで洗浄したスライドの画像、e)対照スライドの画像、a’〜e’)光に1分間曝露した後のa〜eの画像。より高濃度のリジンがより有効であり、これは、洗浄条件をさらに微調整し得ることを示している。
実験3:残存ボレートの除去に対する様々な割合のエタノールの効果。
実験1に記載されているように、予め染色した組織マイクロアレイスライドをPICBによってブリーチングし、次いで、様々な割合のエタノール(3×5分)で洗浄し、続いて脱イオン水で洗浄してから、スライドを残存ホウ素(ホウ素−10及びホウ素−11)のTof−SIMS質量分光分析に供した。図12は、約70%のエタノール濃度が、残存ボレートの大部分を除去するのに最も有効であることを示している。
図12(a):肺扁平上皮癌組織試料における様々な洗浄後の(ホウ素含有量によって測定した場合の)残存ボレート。
図12(b):肝細胞癌組織試料における様々な洗浄後の(ホウ素含有量によって測定した場合の)残存ボレート。
図12(c):乳房の浸潤性腺管癌における様々な洗浄後の(ホウ素含有量によって測定した場合の)残存ボレート。他の組織種の組織試料を用いて、同様の結果が観察された。
実施例9:高水溶性ボレートの合成
(a)ジフェニル−ビス−2−(4−(メトキシPEG(10)メチル)フェニル)エチルボレート−リチウム塩の調製:
磁気撹拌棒及び窒素バイパスを備える250mL三つ口丸底フラスコに、4−(メトキシPEG(10)メチル)−1−ビニルベンゼン10.0g(13.7ミリモル)の乾燥ジエチルエーテル溶液80mLを入れた。この溶液を氷浴で0℃に冷却した。濁った/不透明な混合物が観察された。シリンジを介して、0.714ml(6.85ミリモル)のクロロジヒドロボラン−ジメチルスルフィド錯体をこの溶液に滴下した。不透明な反応溶液を0℃で約1時間撹拌した。氷浴を除去し、NMRによって反応溶液を分析したところ、出発物質の一部が存在することが示された。次いで、それを室温(r.t.)で一晩撹拌し続けた。分析により、反応がさらに進行しなかったことが示された。次いで、反応溶液を0℃に再度冷却し、別の0.3当量のボラン錯体を追加した。30分後に氷浴を除去し、混合物を室温(r.t.)で3時間撹拌した。
ドライアイス−アセトン浴によって、反応混合物を−78℃に冷却した。冷却した混合物に、7.4mL(13.4ミリモル)のフェニルリチウムを追加した。反応混合物は粘性になり、部分的に固化して懸濁液になった(紫色/茶色の固体)。−78℃で2時間撹拌した後、冷却浴を除去し、混合物を撹拌しながら一晩かけて室温(r.t.)に徐々に加温した。固体は色が黄色になった。デカンテーションによって、エーテルを除去した。ゴム状固体を撹拌しながら新たなジエチルエーテルで2回洗浄した。次いで、固体をTHFに溶解して、食塩水で洗浄した。THF層を分離及び濃縮して、2.5gの粗生成物を得た。800mLの水に溶解することによって、未精製のゴム状固体を精製し(濁った溶液が観察された)、ろ過した。次いで、水を減圧下で蒸発させ、残留物(濁った淡黄色の液体)を真空下で一晩乾燥した。収量:1.79g(16%)
1H−NMR(D2O):7.22−7.66ppm(d,m,18H);4.47ppm(s,4H);3.73ppm(t,4H);3.57ppm(bs,80H),3.19ppm(s,6H);2.76ppm(t,4H).
(b)フェニル−トリス−2−(4−メトキシPEG(10)メチルフェニル)エチルボレート−リチウム塩の調製:
磁気撹拌棒及び窒素バイパスを備える100mL三つ口丸底フラスコに、4−(メトキシPEG(10)メチル)−1−ビニルベンゼン3.82g(5.22ミリモル)の乾燥ジエチルエーテル溶液40mLを入れた。この溶液を氷浴で0℃に冷却した。わずかに濁った溶液が観察された。シリンジを介して、0.14ml(1.74ミリモル)のクロロジヒドロボラン−ジメチルスルフィド錯体をこの溶液に滴下した。反応溶液を0℃で約15分間撹拌した。氷浴を除去し、反応混合物を、すべての出発物質が消失するまで(1H−NMRによる分析)室温(r.t.)で4時間撹拌した。次いで、不透明な反応混合物を−78℃に冷却し、シリンジを介して、0.99mL(1.74ミリモル)のフェニルリチウムを滴下した。反応混合物は、30秒以内にホットピンク色になった。それを室温に徐々に加温しながら、冷却浴で一晩撹拌した。溶媒の蒸発後、500mLの水に溶解することによって、未精製のゴム状固体を精製し(濁った溶液が観察された)、ろ過した。次いで、水を減圧下で蒸発させ、残留物(淡黄色の液体)を真空下で一晩乾燥した。
1HNMR(D2O):7.0−7.5ppm(m,19H);4.54ppm(s,6H);3.8ppm(m,6H);3.63ppm(bs,120H),3.37(s,9H),2.8−3.0ppm(m,6H).
(c)テトラ−n−ブチルボレート−リチウム塩の調製
250mL三つ口丸底フラスコに、1.0Mトリ−n−ブチルボランのTHF溶液20mL(20ミリモル)を窒素下で入れた。さらに40mLの乾燥THFを追加した。ドライアイスアセトン浴を使用して、この溶液を−78℃に冷却した。シリンジを介して、冷却した溶液に、2.5M n−ブチルリチウムのヘキサン溶液8.8mL(22ミリモル)を約10分で滴下した。追加が完了した後、反応溶液を−78℃で1時間撹拌し、冷却浴を除去して、反応混合物を室温に徐々に加温した。次いで、それを窒素下、室温で一晩撹拌し続けた。
乾燥窒素ボックス中で、透明な反応溶液を丸底フラスコに移し、次いで、溶媒を減圧下で除去した。白色の固体を得た。ヘキサン(3×100mL)でこの固体を繰り返し洗浄し、乾燥した。収量:5.7g。
1H−NMR(D2O):1.24ppm(quintet,8H),1.08ppm(quintet,8H),0.85ppm(t,12H),−0.14ppm(m,8H)
実施例10:後続の染色からの信号に対するその効果によって測定した場合の高水溶性ボレート保持率の減少
実施例8の実験1のようにモノベンジルトリフェニルボレートを用いて、又は高水溶性ボレートであるビス−(4−m−dPEG10−フェネチル)ジフェニルボレート塩を用いてブリーチングを実施し、ブリーチング後に、スライドをPBSのみ(3×5分)で洗浄した以外は実施例8の実験1について上に記載されているように、実験を行った。図13は、高水溶性ボレートでは、1分間の光曝露後に染色強度の大部分が(対照スライドと比較して)保存されていることを示している。
実施例11:後続の染色からの信号に対するその効果によって測定した場合の高水溶性ボレート保持率の減少
実施例8の実験1のようにモノベンジルトリフェニルボレートを用いて、又は高水溶性ボレートであるテトラブチルボレート塩を用いてブリーチングを実施し、ブリーチング後に、モノベンジルトリフェニルボレートで処理したスライドを70%エタノール(3×1分)で洗浄し、次いでPBS(3×5分)で洗浄し、テトラブチルボレートで処理したスライドをPBS(3×5分)のみで洗浄した以外は実施例8の実験1について上に記載されているように、実験を行った。図14は、テトラブチルボレートがさらなるエタノール洗浄を必要とせず、PBSのみによって有効に除去され、70%エタノールでさらに3回洗浄したモノベンジルトリフェニルボレートと同程度の信号が得られることを示している。
実施例12.光活性化型ケミカルブリーチング用自動化プロセス
生体試料の反復染色のための自動化デバイスは、米国特許出願公開第20120135458号に記載されている。自動化デバイスは、染色剤ユニット及びブリーチング剤ユニットと流体連結されたフローセルを含み、フローセルは、試料をそれと作動可能に係合するように構成された表面と、生体試料の少なくとも一部を照射するための照射面と、フローセルと作動可能に結合されたモニタリングユニットであって、染色剤及びブリーチング剤の1以上の適用前、適用中及び/又は適用後に、生体試料の1以上の光学特性をモニタリングするように設定されたモニタリングユニットとを含む。デバイスは、生体試料の光学特性の少なくとも1つに基づいて性能指数を決定するためのプロセシングユニットと、プロセシングユニット及びフローセルと連結された制御ユニットとをさらに含み、制御ユニットは、少なくとも部分的には性能指数に基づいて、染色剤及びブリーチング剤の1以上の適用を制御するように設定されている。「性能指数」という用語は、限定されないが、光強度、画像のコントラスト、ブレンナー勾配又は信号対バックグラウンド比を含む。モニタリングユニットは、カメラに作動可能に結合された顕微鏡を含み得る。
生体試料を染色するための閉ループ自動化方法も、米国特許出願公開第20120135458号に記載されている。方法は、生体試料をフローセルに提供すること、生体試料の少なくとも一部を染色すること、染色中に生体試料の1以上の光学特性をモニタリングすること、及び光学特性の少なくとも1つに基づいて性能指数を決定することを含む。方法は、生体試料の少なくとも一部を洗浄すること、洗浄中に生体試料の一部の1以上の光学特性をモニタリングすること、及び光学特性の少なくとも1つに基づいて性能指数を決定することをさらに含み得る。方法はまた、生体試料の少なくとも一部をブリーチングすること、ブリーチング中に生体試料の一部の1以上の光学特性をモニタリングすること、及び光学特性の少なくとも1つに基づいて性能指数を決定することを含み得る。生体試料を染色後に所定時間にわたってインキュベートして、抗体が生体試料中の分子に結合するのに十分な時間を提供し得る。インキュベーション期間中に、染色工程のためのイメージングを実施し得る。一例では、染色、ブリーチング及び洗浄の1以上の間のモニタリングは、生体試料の画像を取得することを含み、性能指数の決定は、取得した画像を使用して生体試料の一部からの光強度を決定することを含む。フローセル内に配置された生体試料に対して特定の試薬を含有する溶液を流し込むことによって、染色工程、洗浄工程及びブリーチング工程をそれぞれ達成し得る。ある実施形態では、自動化方法において、フローセルを顕微鏡台上に固定化し得る。
限定されないが、染色試薬及び酸化剤の追加などの染色サイクルに関与するプロセス工程の1以上のコンピュータ制御を介して、自動化を達成し得る。フローセルシステムを複合的な試料加工画像取得システムに組み込む場合、LabVIEW又はCで書かれているプログラムなどのソフトウェアによっても、画像取得要素(例えば、顕微鏡又はカメラ)を制御し得る。
任意の適切なフローセルを生体試料の自動化染色方法に使用し得る。代表的なフローセルは、米国特許出願公開第20130287645号「Microfluidic chamber device and fabrication」及び米国特許出願公開第20120135449号「Iterative staining of biological samples」(これらは両方とも、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものである。
図15のワークフローにしたがって、光活性化型ケミカルブリーチングの自動化プロセスを実施した。生体試料をフローセルデバイスにロード/捕捉することによって、このプロセスを開始した。次いで、フローセルデバイスを介して、プローブを含有する溶液を流し込むことによって、1以上のプローブをフローセルチャンバーに充填した。プローブが試料内の標的に結合するように、プローブを所定条件下で所定時間にわたってインキュベートした。デバイスを介して洗浄緩衝液を流し込むことによって、未結合のプローブを洗い流した。染色試料の画像をキャプチャした。次に、電子移動試薬(モノベンジルトリフェニルボレート(1mM))、及び後続の試料照射中の標的改質を防止する添加剤(DABCO(100uM))をフローセルチャンバーに充填した。次いで、特定波長の光に1秒間曝露することによって試料を照射して、プローブからの信号を不活性化した(すなわち、10倍対物レンズOlympus IX−81顕微鏡を用いて1秒間曝露)。次いで、70%エタノールを含有するPBS緩衝液を使用して、電子移動試薬及び添加剤を洗い流した。信号不活性化の有効性を示すために、試料の画像をキャプチャした。プローブからの信号はもはや検出不可能であった(データは示さず)。
画像キャプチャの前に、画像キャプチャを増強する媒体をデバイスを介して流し込むことによって、媒体をフローセルチャンバーに場合により充填した。画像キャプチャの後、デバイスを介して洗浄緩衝液を流し込むことによって、媒体を洗い流した。
電子移動試薬及び添加剤を洗い流した後、別のラウンドのイメージング及びブリーチング用の1以上の他のプローブをフローセルチャンバーに充填し得る。
様々な方法によって、試料の照射を達成し得る。例えば、光学フィルタ及び顕微鏡対物レンズを使用して、所望の波長によって試料の特定領域を曝露することによって、試料の照射を達成し得る。自動化移動台は、対物レンズに対して試料を正確に配置するのを可能にし得る。曝露間に、対物レンズに対して試料を移動させることによって、試料の複数領域を照射し得る。或いは、光を限定領域に集中させずに、所望の波長によって試料全体を同時に曝露することによって、試料の照射を達成し得る。
本発明の特定の実施形態を示して説明したが、本発明の教示から逸脱することなく変更及び改質を行い得ることは当業者には明らかであろう。説明及び添付の図面に記載されている事項は、限定としてではなく例示として示されているに過ぎない。従来技術に基づいて適切な観点で見ると、本発明の実際の範囲は、以下の特許請求の範囲に規定されることを意図する。

Claims (35)

  1. 生体試料中の複数の標的をプローブする方法であって、
    (a)1以上のプローブを、複数の標的を含む生体試料中に存在する1以上の標的に結合させる工程と、
    (b)工程(a)で結合した1以上のプローブからの信号を検出する工程と、
    (c)工程(a)の結合プローブを含む試料を、電子移動試薬及び以下の工程(d)での標的改質を防ぐ添加剤であってラジカルスカベンジャー又は一重項酸素用クエンチャーから選択される添加剤と接触させる工程と、
    (d)工程(c)の試料を照射する工程と、
    (e)1以上のプローブを、工程(d)の試料中に存在する1以上の標的に結合させる工程と、
    (f)工程(e)で結合したプローブからの信号を検出する工程と
    を含んでおり、電子移動試薬が以下の構造式で表されるボレート塩である、方法。
    式中、R 1 、R 2 及びR 3 は各々独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、これらのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールは、(C 1 〜C 4 )アルキル、(C 1 〜C 4 )アルコキシ、(C 1 〜C 4 )アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン又はニトロからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、
    4 は、アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニル又はアルキニルは、(C 1 〜C 4 )アルキル、(C 1 〜C 4 )アルコキシ、(C 1 〜C 4 )アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン又はニトロからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、
    + は、有機カチオン及び無機カチオンからなる群から選択される。
  2. 工程(a)のプローブが光信号発生剤を含み、工程(b)で検出される信号が光信号である、請求項1記載の方法。
  3. 工程(a)のプローブが蛍光信号発生剤を含み、工程(b)で検出される信号が蛍光信号である、請求項2記載の方法。
  4. 工程(d)における試料の照射がpH5〜9の緩衝液の存在下で実施される、請求項1記載の方法。
  5. 工程(d)における試料の照射が、350nm〜1.3μmの波長の光に試料を露光することによって達成される、請求項1記載の方法。
  6. 工程(d)における試料の照射が、400〜700nmの波長の光に試料を露光することによって達成される、請求項5記載の方法。
  7. 1、R2及びR3が各々アリール又は置換アリールであり、R4がアルキル又は置換アルキルである、請求項記載の方法。
  8. 1、R2及びR3が各々非置換フェニルであり、R4が非置換ブチルであり、ボレート塩がトリフェニルブチルボレート塩である、請求項記載の方法。
  9. プローブが形態染色剤である、請求項1記載の方法。
  10. 電子移動試薬が高水溶性ボレート塩である、請求項3記載の方法。
  11. 高水溶性ボレート塩が、テトラ−n−ブチルボレート塩、フェニル−トリス−2−(4−メトキシPEG(10)メチルフェニル)エチルボレート塩又はジフェニル−ビス−2−(4−(メトキシPEG(10)メチル)フェニル)エチルボレート塩である、請求項10記載の方法。
  12. 工程(c)〜(f)が1回以上繰り返される、請求項1記載の方法。
  13. 工程(c)及び(d)が約100ミリ秒〜約15分間実施される、請求項1記載の方法。
  14. 工程(d)の後に、試料から残留電子移動試薬を有効に除去する洗浄溶液で試料を洗浄することをさらに含む、請求項1記載の方法。
  15. 洗浄溶液が助剤を含有する、請求項14記載の方法。
  16. 工程(a)のプローブ及び工程(e)のプローブが各々信号発生剤を含み、工程(a)の信号発生剤が工程(e)の信号発生剤とは異なる、請求項1記載の方法。
  17. 工程(d)における試料の照射が、光活性化型ケミカルブリーチングによって信号発生剤を実質的に不活性化する光反応を開始する、請求項1記載の方法。
  18. 工程d)の後に、検出可能な信号が検出されない、請求項1記載の方法。
  19. 標的改質を防止する添加剤がラジカルスカベンジャーである、請求項1記載の方法。
  20. ラジカルスカベンジャーが、アスコルビン酸、n−プロピルガレート、メルカプトエタノール、システインヒドロクロリド、t−ブチルヒドロキシトルエン、シクロヘプタトリエン、ジオクチルフタレート、1,4−ジヒドロ−o−トルアミド、a−トコフェロール及びトロロクスからなる群から選択される、請求項19記載の方法。
  21. 標的改質を防止する添加剤が一重項酸素用クエンチャーである、請求項1記載の方法。
  22. 一重項酸素用クエンチャーが、アスコルビン酸、a−トコフェロール、クルクミン及びDABCOからなる群から選択される、請求項21記載の方法。
  23. 生体試料中の複数の標的をプローブする方法であって、
    (a)第1のプローブセット及び第2のプローブセットを含む複数のプローブを、複数の標的を含む生体試料中に存在する複数の標的に結合させる工程と、
    (b)工程(a)で結合した第1のプローブセットからの第1の信号セットを検出する工程と、
    (c)工程(a)の結合プローブを含む試料を、電子移動試薬及び以下の工程(d)での標的改質を防ぐ添加剤であってラジカルスカベンジャー又は一重項酸素用クエンチャーから選択される添加剤と接触させる工程と、
    (d)工程(c)の試料を照射する工程と、
    (e)工程(a)で結合した第2のプローブセットからの第2の信号セットを発生させる工程と、
    (f)第2の信号セットを検出する工程と
    を含んでおり、電子移動試薬が以下の構造式で表されるボレート塩である、方法。
    式中、R 1 、R 2 及びR 3 は各々独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、これらのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールは、(C 1 〜C 4 )アルキル、(C 1 〜C 4 )アルコキシ、(C 1 〜C 4 )アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン又はニトロからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、
    4 は、アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニル又はアルキニルは、(C 1 〜C 4 )アルキル、(C 1 〜C 4 )アルコキシ、(C 1 〜C 4 )アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン又はニトロからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、
    + は、有機カチオン及び無機カチオンからなる群から選択される。
  24. ハイスループット多重化生体試料分析方法であって、
    各サイクルにおいて、染色及びイメージングし、続いて、電子移動試薬及び標的改質を防止する添加剤を適用し、生体試料を照射するシグナルサイクリングプロセスを含んでおり、添加剤がラジカルスカベンジャー又は一重項酸素用クエンチャーから選択され、電子移動試薬が以下の構造式で表されるボレート塩である、方法。
    式中、R 1 、R 2 及びR 3 は各々独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、これらのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールは、(C 1 〜C 4 )アルキル、(C 1 〜C 4 )アルコキシ、(C 1 〜C 4 )アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン又はニトロからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、
    4 は、アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニル又はアルキニルは、(C 1 〜C 4 )アルキル、(C 1 〜C 4 )アルコキシ、(C 1 〜C 4 )アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン又はニトロからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、
    + は、有機カチオン及び無機カチオンからなる群から選択される。
  25. プローブと異なる生体試料成分を有意に改質せずに迅速なシグナルサイクリングを可能にする、請求項24記載の方法。
  26. プローブが結合剤と信号発生剤を含んでいて、結合剤及び信号発生剤が単体において統合されている、請求項1記載の方法。
  27. 単体が小分子プローブである、請求項26記載の方法。
  28. 小分子プローブが有機色素である、請求項27記載の方法。
  29. 有機色素が、試料中の特定の構造又はタンパク質に結合する、請求項28記載の方法。
  30. 生体試料中の複数の標的を調べるための信号をブリーチングするためのキットであって、
    信号発生剤と接触すると、照射により信号発生剤をブリーチングすることができる電子移動試薬と、
    信号発生剤の光活性化型ケミカルブリーチング中の標的改質を防止する添加剤であってラジカルスカベンジャー又は一重項酸素用クエンチャーから選択される添加剤
    を含んでおり、添加剤がラジカルスカベンジャー又は一重項酸素用クエンチャーから選択され、電子移動試薬が以下の構造式で表されるボレート塩である、キット。
    式中、R 1 、R 2 及びR 3 は各々独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、これらのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールは、(C 1 〜C 4 )アルキル、(C 1 〜C 4 )アルコキシ、(C 1 〜C 4 )アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン又はニトロからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、
    4 は、アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニル又はアルキニルは、(C 1 〜C 4 )アルキル、(C 1 〜C 4 )アルコキシ、(C 1 〜C 4 )アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン又はニトロからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、
    + は、有機カチオン及び無機カチオンからなる群から選択される。
  31. 生体試料中の複数の標的を調べるためのシグナルサイクリングプロセスが可能となるように請求項30記載のキットを使用して信号をブリーチングする方法であって、生体試料中に存在する1以上の標的に結合した1以上のプローブからの信号を検出した後に、試料を電子移動試薬及び標的改質を防止する添加剤と接触させる工程と、試料を照射する工程とを含む、方法。
  32. フローセルデバイス内にロード/捕捉された生体試料の光活性化型ケミカルブリーチング用自動化プロセスであって、以下の自動化工程
    a)1以上のプローブを、生体試料中に存在する1以上の標的に結合させる工程と、
    b)工程(a)で結合した1以上のプローブからの信号を検出する工程と、
    c)電子移動試薬及び後続の試料照射中の標的改質を防止する添加剤であってラジカルスカベンジャー又は一重項酸素用クエンチャーから選択される添加剤をフローセルに充填する工程と、
    d)露光により試料を照射してプローブからの信号を不活性化する工程と、
    )別のラウンドのイメージング用の1以上の他のプローブを用いて、工程a)及びb)を繰り返す工程と
    を含んでおり、電子移動試薬が以下の構造式で表されるボレート塩である、光活性化型ケミカルブリーチング用自動化プロセス。
    式中、R 1 、R 2 及びR 3 は各々独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり、これらのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールは、(C 1 〜C 4 )アルキル、(C 1 〜C 4 )アルコキシ、(C 1 〜C 4 )アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン又はニトロからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、
    4 は、アルキル、アルケニル又はアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニル又はアルキニルは、(C 1 〜C 4 )アルキル、(C 1 〜C 4 )アルコキシ、(C 1 〜C 4 )アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン又はニトロからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、
    + は、有機カチオン及び無機カチオンからなる群から選択される。
  33. 電子移動試薬及び添加剤を洗い流す工程をさらに含む、請求項32記載の光活性化型ケミカルブリーチング用自動化プロセス。
  34. 光学フィルタ、顕微鏡対物レンズ及び移動台を使用して試料の特定領域を光に曝露することによって、試料の照射を達成する、請求項32記載の光活性化型ケミカルブリーチング用自動化プロセス。
  35. 試料全体を同時に露光することによって、試料の照射を達成する、請求項32記載の光活性化型ケミカルブリーチング用自動化プロセス。
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