JP6335136B2 - ステレオ画像処理方法およびその装置 - Google Patents

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本発明は、ステレオ画像処理方法およびその装置に関する。
前方に存在する物体の位置を三次元的に検出し、その物体までの距離を計測する方法として、ステレオ画像処理技術が知られている。ステレオ画像処理技術は、間隔を開けて水平等位に設置した左右のカメラで取得した画像(ステレオ画像)をコンピュータでマッチング処理を行うことにより視差を算出し、その視差を用いて三角測量の原理から対象物までの距離を算出する方法である(たとえば、特許文献1,2参照)。
図15に、ステレオ画像処理技術による距離計測の原理を示す。図15は、平行化により画像におけるy軸(v軸)が揃えられた左右2台のカメラで対象物mを撮像したときの画像I,Jを示す。u軸とu’軸は画像I,Jの横方向の位置、v軸は画像の縦方向の位置を示す。各カメラの画像上には当該カメラの視点と対象物mを結ぶ直線lとrと画面との交点p 、qに対象物mが写されるため、対象物mの3次元座標(X,Y,Z)は、pとqの座標(us1,v)、(us2,v)から求まる。そして、点p,qの座標位置の差d、つまり画素数が視差であり、次の式1から視差dを求めることができる。
d=us1−us2 ・・・・・・(式1)
また、カメラの焦点距離をf、二つの画像I,Jの中心位置間距離、すなわち、基線長をBとすると、mの世界座標と画像上の位置の関係は、次のとおりである。
X=Bus1/d, Y=Bv/d, Z=Bf/d
Zは、カメラ設置位置から対象物mまでの距離である。
したがって、ステレオ画像処理において対象物mまでの距離Zを計測するには、視差dを算出する必要がある。そのためには、左カメラの画像I(以下、基準画像という。)上の基準点pと相関を有する点、すなわち対応点qが右カメラの画像J(以下、対応画像という。)上のどこに存在するかを探索する画像マッチング(対応付け)が必要である。基準点とは基準画像における所定の点であり、対応点とは基準点と相関を求める対応画像上の点である。
画像マッチングには、従来、ブロックマッチング法と位相限定相関法とが用いられている。
ブロックマッチング法による画像マッチングの方法を、図16に基づいて説明する。基準画像Iと対応画像Jをそれぞれ同数の小面積の領域(以下、ブロックという。)に分割する。図16の(a)(b)は、基準画像IがブロックI11〜I16,I21〜I26,・・・I41〜I46に、対応画像JがブロックJ11〜J16,J21〜J26,・・・J41〜J46に分割された、簡略化した例を示している。
各ブロックには、図16の(c)(d)に、基準画像Iと対応画像JのブロックI11、J11について例示するように、横方向n個、縦方向m個の画素が含まれ、各画素は画素値(ピクセルデータ)を有する。そして、ブロックマッチングにおいては、基本画像Iの各ブロックの画素値の配列と同じ画素値の配列を有するブロックを対応画像Jの中から探索する。その探索を行うため、基準画像Iの第1行1列目のブロックI11の最初の画素IP11の画素値と対応画像Jの第1行1列目のブロックJ11の最初の画素JP11の画素値とを比較(減算)し、その差を図16の(e)に示すように、画素値差マトリックスDTの最初のエリアDP11に記録する。
そして、このような画素値の比較をブロックI11とブロックJ11内の全画素について行う。つまり、基準画像IのブロックI11の同行の他の画素IP12〜IP1n、他の行の画素IP21〜IP2n、・・・IPm1〜IPmnについても同様にそれぞれ画素値の差を取り、その差を画素値差マトリックスDTの他のエリアDP12〜DPmnに記録する。そして、全画素の画素値の差を合計し、その合計値t11を図16の(f)に示すように、画素値差合計マトリックスTTに記録する。
次に、対応画像Jの第1行2列目のブロックJ12についても同様に、基準画像Iの第1行1列目のブロックI11の全画素の画素値との差を取り、その差を画素値差マトリックスDTに記録し、その差を合計して、その合計値t12を画素値差合計マトリックスTTに記録する。
同様の処理を対応画像Jの第1行の最後のブロックJ16まで行う。そして、画素値差合計マトリックスTTの対応画像Jの第1行の全ブロックI11〜I16に対応する画素値差の合計値t11〜t16の中で、合計値が最小のブロックを基準画像Iの第1行1列目のブロックI11と対応する、すなわち、マッチングが取れたと判断する。
続いて、基準画像Iの第1行2列目のブロックI12について、対応画像Jの第1行の全ブロックをスキャンして前述と同様のマッチング処理を行う。さらに、基準画像Iの最後の行の全ブロックについてスキャンして前述と同様にマッチング処理を行う。
上記ブロックマッチング法においては、画素値差合計マトリックスTTの画素値の差の合計値が最小の対応画像J上のブロックが基準画像Iのブロックと対応するので、その時の基準画像Iのブロックから対応画像Jのブロックまで画素値は、視差を表す。視差が分かれば、カメラ設置位置から撮像対象までの距離に変換可能である。したがって、画素値差合計マトリックスTTは、距離画像でもある。
上述のように、ブロックマッチング法は、基準画像上で探索対象となるブロックを順次シフトさせながら、基準画像の全ブロックの各々について対応画像の全領域を探索する(特許文献3参照)。
位相限定相関法は、基準画像と対応画像の各ラインの各ブロックの画像をフーリエ変換し、フーリエ変換された信号の位相成分のみに着目するマッチング方法である。位相限定相関法においては、複雑な二次元離散フーリエ変換式(DFT)や正規化相互パワースペクトルの二次元逆離散フーリエ変換(IDFT)として定義される位相限定相関関数(POC関数等)が使用され、高精度な画像マッチングが可能である(特許文献4参照)。
近年、位相限定相関法では、各種の高精度化手法が開発され、ブロックマッチング法よりも格段に高精度なマッチングが可能となっている。
特開2002−250605号公報 特開2008−039491号公報 特開2014−235615号公報 特開2014−179703号公報
IEEJ Transactions on Industry Applications Vol.134 No.10 pp921−929,2014
しかしながら、従来のステレオ画像処理方法においては、ブロックマッチング法と位相限定相関法のいずれにおいても、基準画像の基準点の存在位置と対応画像の対応点の存在位置が、案内する手段がないため全くわからないので、基準画像と対応画像の全領域に対してマッチング処理を行わなければならないから、相関値を求める計算量が膨大で、処理に多くの時間がかかる。したがって、たとえば、軌道を走行中の車上から線路上の障害物を検知すること等に適用する場合は、リアルタイムで視差算出および距離計測ができないという問題がある。
また、位相限定相関法は、高精度なマッチングが可能であるという利点を有するが、基準画像と対応画像の各ラインの各ブロックに対して複雑なフーリエ変換を行うため、計算量が膨大になり、コンピュータの演算負荷が大きいとともに、計算コストが高いという問題がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ステレオ画像をマッチング処理して視差を算出するステレオ画像処理方法における視差算出の高速化および距離画像の生成速度の向上および高精度化を図ることを目的とする。
本発明の一側面は、列車運転台に設置された2台のカメラで取得されるステレオ画像をマッチング処理して視差を算出するステレオ画像処理方法であって、基準画像の基準点と同じ座標となる対応画像上の点を検出して一次対応点とし、その一次対応点から同じ走査線上を「レール抽出による視差」だけずらした点を二次対応点とし、その二次対応点から対応画像の左端まで、または右端までマッチング処理を行って相関値を算出し、その相関値が予め設定した閾値に対して所定の条件を満たす場合は「レール抽出による視差」を視差とし、相関値が所定の条件を満たさない場合は粗密探索法を実施して視差を算出することを特徴とする。
本発明の他の側面においては、列車運転台に設置された2台のカメラで取得されるステレオ画像に含まれるレールをそれぞれ抽出し、その抽出されたレールの各画像上の座標を基に特定の領域に絞り込んだ探索範囲を設定し、その設定された探索範囲内で基準画像の基準点と同じ座標となる対応画像上の点を検出して一次対応点とし、その一次対応点から同じ走査線上を「レール抽出による視差」だけずらした点を二次対応点とし、その二次対応点から対応画像の左端まで、または右端までマッチング処理を行って相関値を算出し、その相関値が予め設定した閾値に対して所定の条件を満たす場合は「レール抽出による視差」を視差とし、相関値が所定の条件を満たさない場合は粗密探索法を実施して視差を算出することを特徴とする。
上記ステレオ画像処理方法において、前記探索範囲は、レール抽出部が抽出したレールの指定された位置を基準として設定された特定の領域であることを特徴とする。
また、前記探索範囲は、基準画像と対応画像のそれぞれにおいて左右のレールの座標が算出された時、横方向の位置として最も左と判断された座標と、最も右と判断された座標をそれぞれ左端と右端とし、これを通る縦直線と画像の上辺と下辺を辺とした特定の形状としたことを特徴とする。
前記探索範囲は、画面の最下部のレールまたは見たい距離のレール端部の座標を基準として設定された鉄道の建築限界または車両限界であることが好ましい。
本発明の他の側面は、ステレオ画像をマッチング処理して視差を算出するステレオ画像処理装置であって、間隔を開けて水平等位に設置した左右のカメラ装置と、各カメラ装置で取得される画像信号からそれぞれレールの映像を抽出するレール抽出部と、抽出されたレールの映像を有するステレオ画像をマッチング処理して視差を算出する視差算出部とを有し、視差算出部は、基準画像のレール映像の基準点と同じ座標となる対応画像上の一次対応点を検出して、その座標を出力する一次対応点検出手段と、一次対応点から同じ走査線上を「レール抽出による視差」と等しい距離だけ左又は右方向にずらした点を二次対応点とする二次対応点検出手段と、二次対応点から対応画像の左端または右端までマッチング処理を行って相関値を求めるマッチング処理手段と、マッチング処理手段により算出された相関値を所定の閾値と比較し、相関値が所定の閾値に対して所定の条件を満たすときは第1判定信号を出力し、相関値が所定の閾値に対して所定の条件を満たさないときは第2判定信号を出力する相関値比較手段と、相関値比較手段が第1判定信号を出力したときは、メモリ部に記憶されている「レール抽出による視差値」を読み出し、その「レール抽出による視差値」を基準点の視差と確定する視差読出手段と、相関値比較手段が第2判定信号を出力したときは、粗密探索法によるマッチング処理を実行して視差値を算出する視差算出手段とを有することを特徴とする。
本発明のさらに他の側面は、ステレオ画像をマッチング処理して視差を算出するステレオ画像処理装置であって、列車運転台に設置された2台のカメラ装置と、各カメラ装置でそれぞれ取得される取得されるステレオ画像に含まれるレールを抽出する2台のレール抽出部と、各レール抽出部により抽出されたレールの各画像上の座標を基に特定の領域に絞り込んだ探索範囲を設定する探索範囲設定部と、抽出されたレールの映像を有するステレオ画像を設定された探索範囲内でマッチング処理して視差を算出する視差算出部とを有し、視差算出部は、設定された探索範囲内で基準画像のレール映像の基準点と同じ座標となる対応画像上の一次対応点を検出して、その座標を出力する一次対応点検出手段と、一次対応点から同じ走査線上を「レール抽出による視差」と等しい距離だけ左又は右方向にずらした点を二次対応点とする二次対応点検出手段と、二次対応点から探索範囲の左端または右端までマッチング処理を行って相関値を求めるマッチング処理手段と、マッチング処理手段により算出された相関値を所定の閾値と比較し、相関値が所定の閾値に対して所定の条件を満たすときは第1判定信号を出力し、相関値が所定の閾値に対して所定の条件を満たさないときは第2判定信号を出力する相関値比較手段と、相関値比較手段が第1判定信号を出力したときは、メモリ部に記憶されている「レール抽出による視差値」を読み出し、その「レール抽出による視差値」を基準点の視差と確定する視差読出手段と、相関値比較手段が第2判定信号を出力したときは、粗密探索法によるマッチング処理を実行して視差値を算出する視差算出手段とを有することを特徴とする。
メモリ部に記憶されている「レール抽出による視差」は、次のいずれかの式により演算されたものである。
=L(I)−L(J)
=R(I)−R(J)
={(L(I)―L(J))+(R(I)―R(J))}/2
ここで、dは画像中の高さhでのレールの視差、
(I)は左画像中の高さhにおける左レールのu座標を表す関数、
(J)は右画像中の高さhにおける左レールのu’座標を表す関数、
(I)は左画像中の高さhにおける右レールのu座標を表す関数、
(J)は右画像中の高さhにおける右レールのu’座標を表す関数である。
上記ステレオ画像処理装置は、視差読出手段が読み出した視差値または視差算出手段が算出した視差値を与えられる距離計測部をさらに有することが望ましい。
本発明によれば、ステレオ画像をマッチング処理して視差を算出するとき、視差算出の高速化を図ることができる。また、距離画像生成の高速化および高精度化を図ることができる。
本発明の実施の形態に係る第1のステレオ画像処理方法を実施するステレオ画像処理装置の構成を示すブロック図である。 図1のカメラ装置の構成を示すブロック図である。 図1のレール抽出部の構成を示すブロック図である。 図3のレール映像推定部の作用を説明するフローチャートである。 図3の記憶部に登録された典型的なレール形状パターンを示す図である。 図3のレール映像比較部の作用を説明するフローチャートである。 抽出されたレールを表示しているステレオ画像の一例を示す図である。 図1の視差算出部の機能を実現する手段を示す図である。 「レール抽出による視差」を説明する図である。 「レール抽出による視差」の求め方を説明する図である。 マッチング処理の具体的な方法を説明する模式図である。 本発明の実施の形態に係る第2のステレオ画像処理方法を実施するステレオ画像処理装置の構成を示すブロック図である。 ステレオ画像中に設定された探索範囲の一例を示す図である。 ステレオ画像中に設定された探索範囲の他例を示す図である。 ステレオ画像処理技術による距離計測の原理を説明する図である。 従来のブロックマッチング法におけるデータ処理を説明する図である。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態に係るステレオ画像処理方法は、左右2台のカメラである撮像手段による撮像対象が鉄道線路である場合に適用される。列車運転台に設置された左右2台のカメラで列車前方を撮像した場合、左右各画像に写される映像のうち、線路または線路を含む近傍の映像が写される範囲は限定される。
また、撮像対象が鉄道線路である場合は、列車前方画像からレール抽出アルゴリズムによりレールを抽出することができ、その抽出したレールの画像上の座標を検出することができる。レール抽出アルゴリズムには、レールのエッジと輝度勾配に着目した方法がある(非特許文献1参照)。この方法では、レールを列車運転台から2〜30m程度までの近傍領域のレールと、それ以上の距離の遠方領域のレールに分けて処理を行う。近傍領域は予め用意した代表的レールテンプレートとのマッチングにより、また、遠方領域は近傍領域で得られた情報を基にレール形状パターンを動的に生成して、短い直線と曲線セグメントを連結しながら、遠方までレールを追跡する。
レール抽出アルゴリズムは、上記の代表的レールテンプレートとのマッチングおよびレール形状パターンとのマッチングによる方法のほか、画像中の特徴量抽出による方法、色や強度による特徴に基づく方法、輝度勾配を用いる方法、その他がある。本発明では、これら既知のレール抽出アルゴリズムのいずれを用いてもよい。
左右2台のカメラで列車前方を撮影したとき、レール抽出アルゴリズムにより左のカメラの画像(基準画像)と右のカメラの画像(対応画像)からレールを抽出すると、抽出したレールの画像上の座標が分かる。この基準画像と対応画像でレールの同じ地点を示す座標間の画素数が「レール抽出による視差」である。
レールは2本が平行に敷かれているため、「レール抽出による視差」は、左右いずれか1本のレールの座標から算出することができる。また、左右のレールの座標の差(各レールのレール抽出による視差)の平均値を「レール抽出による視差」としてもよい。したがって、「レール抽出による視差」は、次のいずれかの式を演算することにより求めることができる。
=L(I)−L(J)
=R(I)−R(J)
={(L(I)―L(J))+(R(I)―R(J))}/2
ここで、dは画像中の高さhでのレールの視差、
(I)は左画像中の高さhにおける左レールのu座標を表す関数、
(J)は右画像中の高さhにおける左レールのu’座標を表す関数、
(I)は左画像中の高さhにおける右レールのu座標を表す関数、
(J)は右画像中の高さhにおける右レールのu’座標を表す関数である。
本発明は、左右各画像に写される映像のうち、線路または線路を含む近傍の映像が写される範囲は限定される、レール抽出アルゴリズムにより抽出したレールの座標が分かる、レールの直線部と曲線部のいずれにおいても画面上の高さ位置に対応する「レール抽出による視差」の変化率はほぼ一定であるという事実を、ステレオ画像の視差算出の高速化に利用することを基本的な技術思想とする。
「レール抽出による視差」が分かれば、対応画像の対応点が大体どのあたりに存在するかを推定することができる。つまり、基準点(座標)に対応する対応画像上の同一座標(一次対応点)から「レール抽出による視差」分だけ左または右にずらした点(二次対応点)の近傍に真の対応点が存在すると考えることができる。そこで、本発明では、その二次対応点からマッチングを開始し、同一画素が見つかった点を真の対応点と決定し、基準点から真の対応点までの移動画素数を視差とするものである。左右の画像のうち、どちらを基本画像とし、どちらを対応画像とするかにより「レール抽出による視差」分だけずらす方向が異なる。左の画像を基本画像とする場合は左にずらし、右の画像を基本画像とする場合は右にずらすことになる。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明に係る第1のステレオ画像処理方法を実施するためのステレオ画像処理装置の一例を示す。このステレオ画像処理装置1は、2台のカメラ装置10L,10Rと、各カメラ装置10L,10Rから映像信号を与えられるレール抽出部20L,20Rと、レール抽出部20L,20Rに接続された一つの視差算出部30と、視差算出部30に接続された距離計測部40とを有する。
カメラ装置10L,10Rとレール抽出部20L,20Rには、特許文献3に開示されたものを用いることができる。以下に、特許文献3の記載を引用して説明する。
カメラ装置10L,10Rは、同一の構成を有する。カメラ装置10Lを例に説明すると、図2に例示するように、カメラ装置10Lは、光学レンズ11と、光学レンズ11から入射する被写体の光学映像を電気信号に変換する撮像素子12と、撮像素子12の出力に基づいて映像信号を生成する映像信号生成部13と、撮像制御部14とを有する。
光学レンズ11は、被写体の映像を光学的に撮像素子12の上に結像させる。光学レンズ11は、レンズの焦点を調整するための焦点調整機構および撮像素子12への入射光量を調整するための絞り調整機構を有する。さらに、光学レンズ11は、焦点距離を変えるズーム機構を有してもよい。
撮像素子12には、たとえば数百万個程度のCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(相補性金属酸化膜半導体)などの電荷結合素子の集合体が用いられる。
撮像制御部14は、光学レンズ11、撮像素子12および映像信号生成部13による被写体の撮像を制御する。つまり、撮像制御部14は光学レンズ11の焦点調整機構、絞り調整機構、またはズーム機構などを制御する。
映像信号生成部13は、撮像素子12の出力(すなわち画素値)に基づいて映像信号を生成する。映像信号生成部13は、撮像制御部14の制御により、たとえば、周期的に撮像素子12の各電荷結合素子の出力を取り込んで映像信号を生成する。映像信号生成部13が映像信号を生成する周期は、たとえば数十分の1秒程度である。このようにして周期的に生成された複数の映像信号を静止画像として時系列順に表示したときに、人の目には動画として認識される。
図1のレール抽出部20L,20Rは、同一の構成を有する。以下には、レール抽出部20Lを例に説明する。レール抽出部20Lの機能は、要約すると、カメラ装置10Lの映像信号生成部13が生成した映像信号を取り込み、その映像信号に含まれるレールを抽出することである。さらに具体的に説明すると、レール抽出部20Lは、所定のレールの映像として予め登録されている複数のレール形状パターン(の映像信号)と、実際に撮像されたレール(の映像信号)とを比較して「一致」または「不一致」を抽出結果として出力する。すなわち、レール抽出部20Lが「一致」を出力したときには、映像信号生成部13が生成した映像信号に所定のレール(の映像信号)が含まれており、レール抽出部20Lがその所定のレール(の映像)を抽出したことになる。また、レール抽出部20Lが「不一致」を出力したときには、映像信号生成部13が生成した映像信号に所定のレール(の映像信号)が含まれておらず、レール抽出部20Lが所定のレール(の映像)を抽出できなかったことになる。
レール抽出部20Lは、図3に例示するように、映像信号生成部13から出力される映像信号を入力し、映像信号の中からレールを含むと推定される映像信号を取り出すレール映像推定部21と、複数のレール形状パターンを記憶しているメモリである記憶部22と、レール映像推定部21で推定されたレール(の映像)と複数のレール形状パターンとを比較するレール映像比較部23と、データ蓄積部24とを有する。
レール映像推定部21は、映像信号生成部13から出力された映像信号の中からレール(の映像)であると推定される映像信号を取り出す。たとえば、カメラ装置10は、鉄道車両(以下、単に車両という。)の先頭に搭載されているので、通常、カメラ装置10の視野の下部にレールの映像が映り込む。したがって、視野の下部から縦方向に伸びる2本の線(の映像)がレール(の映像)であると推定する。そこで、レール映像推定部21は、レールであると推定される映像信号の部分のみを残し、他の映像信号を消去した映像信号を生成し、レール映像比較部22に送出する。この映像信号は、撮像素子12の縦横の電荷結合素子の配設位置に対応する縦横の画素値が記録された座標情報として表される。
図4のフローチャートを参照しながらレール映像推定部21の動作をさらに詳細に説明する。映像信号生成部13から出力される映像信号がレール映像推定部21に入力されると、図4の「START」の条件が満たされ、フローはステップS1に進む。なお、図4の「START」から「END」までの処理は1周期分の処理であり、フローが「END」になった後は、「START」の条件が満たされたとき、フローは再び実行される。
ステップS1において、レール映像推定部21は、映像信号生成部13から入力した映像信号の中で、視野下部におけるレール(の映像)の位置を検索し、フローはステップS2に進む。
ステップS2において、レール映像推定部21は、2本の縦方向に伸びる線を見付けたか否かを判定する。ステップS2において、見付けたと判定されると、フローはステップS3に進む。一方、ステップS2において、見付からないと判定されると、フローはステップS1に戻る。
ステップS3において、レール映像推定部21は、レールと推定される映像信号以外の映像信号を消去して、フローはステップS4に進む。
ステップS4において、レール映像推定部21は、レール映像比較部23に対し、レール(の映像)と推定される映像信号を出力して処理を終了する(END)。
レール映像比較部23は、レール映像推定部21から出力されたレール(の映像)と推定される映像信号と、記憶部22に記憶されているレール形状パターン(の映像信号)とを比較する。
記憶部22には、カメラ装置10の位置から見えるレールが複数種類のレール形状パターンで記憶されている。図5に、記憶部22に記憶されている7種類(#1〜#7)のレール形状パターンを例示する。このレール形状パターンは、カメラ装置10が搭載された車両の線区において、車両が直進状態であるとき、またはカーブを走行中であるときなど、想定されるレールの見え方の種類を表している。このようなレール形状パターンは、カメラ装置10を搭載した車両を試験走行させて撮像したレールの映像信号に基づいて設定される。
記憶部22に記憶されているレール形状パターン#1〜#7も、レール映像推定部21から出力される映像信号と同様に、撮像素子12の縦横の電荷結合素子の配設位置に対応する縦横の画素値が記録された座標情報として表される。
レール映像比較部23は、レール映像推定部21から出力されたレールの映像と推定される映像信号と記憶部22に記憶されているレール形状パターンの映像信号との互いに対応する座標を比較する。レール映像比較部23は、比較の結果、座標が一致する割合が所定の割合(たとえば80%程度)以上であれば「一致」と判定し、所定の割合未満であれば「不一致」と判定する。
次に、図6のフローチャートを参照しながらレール映像比較部23の動作をさらに詳細に説明する。レール映像推定部21から出力される映像信号がレール映像比較部23に入力されると図6の「START」の条件が満たされ、フローはステップS10に進む。なお、図6の「START」から「END」までの処理は、1周期分の処理であり、フローが「END」になった後は、「START」の条件が満たされたとき、フローは再び実行される。
ステップS10において、レール映像比較部23は比較するパターン#nをレール形状パターン#1に設定して、フローはステップS11に進む。
ステップS11において、レール映像比較部23は、レール映像推定部21から受け取った映像信号と記憶部22に記憶しているレール形状パターンのうちのパターン#n(ここではn=1)とを比較して、フローはステップS12に進む。
ステップS12において、レール映像比較部23は、ステップS11の比較結果が「一致」であるか否かを判定する。ステップS12において、比較結果が「一致」であると判定されると、フローはステップS13に進む。一方、ステップS12において、比較結果が「一致」でない(すなわち「不一致」)と判定されると、フローはステップS14に進む。
ステップS13において、レール映像比較部23は、「一致」とする比較結果を不図示の正常性判定部に出力するとともに、「一致」とされたときの記憶部22に記憶されているレール形状パターンの映像信号をデータ蓄積部24に格納して、処理を終了する(END)。
ステップS14において、レール映像比較部23は、全レール形状パターンとの比較が終了したか否かを判定する。すなわち、パターン#nはパターン#7であるか否かを判定する。ステップS14において、全パターンとの比較が終了したと判定されると、フローはステップS15に進む。一方、ステップS14において、未だ全パターンとの比較が終了していないと判定されると、フローはステップS16に進む。
ステップS15において、レール映像比較部23は、「不一致」とする比較結果を不図示の正常性判定部に出力して処理を終了する(END)。
ステップS16において、レール映像比較部23は、パターン#nをパターン#(n+1)に変更(ここでは、パターン#1をパターン#2に変更)して、フローはステップS11に戻る。
このようにして、ステップS12で比較結果が「一致」とならないときには、ステップS11→ステップS12→ステップS14→ステップS16→ステップS11のフローが全パターン#1〜#7について繰り返し実行される。
上記のようにして、レール抽出部20Lにより抽出されたレール映像は、データ蓄積部24に蓄積される。
カメラ装置10L,10Rおよびレール抽出部20L,20Rは、基準画像と対応画像を取得するために、図1に示すように左右2組が備えられる。図7は、レール抽出部20L,20Rによって抽出されたレールが表示された基準画像I(n)と対応画像J(n)を例示する。
そして、各レール抽出部20L,20Rのデータ蓄積部24のレール映像データは、基準画像と対応画像からレールの視差を算出するために、視差算出部30に与えられる。
視差算出部30は、図8に一例を示すように、一次対応点検出手段31と、二次対応点生成手段32と、マッチング処理手段33と、相関値比較手段34と、視差値読出手段35と、視差算出手段36と、図示されていないメモリを有する。
一次対応点検出手段31は、基準画像I(n)のレール映像の基準点と同じ座標となる対応画像上の同じ走査線上の点(一次対応点)を検出して、その座標を出力する。二次対応点生成手段32は、一次対応点から同じ走査線上を「レール抽出による視差」と等しい距離だけ左方向にずらした点を二次対応点とする。マッチング処理手段33は、二次対応点から対応画像の左端までマッチング処理を行って相関値を求める。
「レール抽出による視差」は、事前の列車走行時に既知のマッチング手法を用いて取得される。図9(a)に示すように、基準画像I(n)のレールRの任意の基準点rの座標をr(ur1,v)、対応画像J(n)のエポーラ線上のレールRの対応点sの座標をs(ur2,v)とすると、基準点uと対応点sの視差、すなわち、画像中の高さhにおける「レール抽出による視差」d’は、次の式、
’=ur1−ur2
から求めることができる。
そして、視差はカメラからの距離が遠くなるほど小さく、近いほど大きくなる。したがって、図9(b)に比喩的に示すように、画像I(n)、J(n)のレールの長手方向の各地点における「レール抽出による視差」d’(画素数)は、カメラ設置位置から各地点までの距離(画面中の高さh)に応じて、30,25,20,…,5,2のように漸減する。このような「レール抽出による視差」d’が視差算出部30のメモリに記憶されている。
視差は、カメラの仰角によって異なる。したがって、メモリにはカメラの仰角に対応する「レール抽出による視差値」d’が記憶される。
図10および図11を用いて、上記視差算出部30の一次対応点検出手段31、二次対応点生成手段32およびマッチング処理手段33による作用を具体的に説明する。
一次対応点算出手段31は、図10に示すように、基準画像I(n)上の基準点rの座標r(ur1,v)と同じ座標となる対応画像J(n)上の点rを求め、この点rを一次対応点とする。二次対応点生成手段32は、一次対応点rと同じエポーラ線上の対応画像J(n)上の「レール抽出による視差」d’=ur1−ur2と等しい距離だけ左に離れた点を基準点rに対応する二次対応点sとする。続いて、マッチング処理手段33は、マッチング処理により基準点rの座標(ur1,v)と二次対応点sの座標(ur2,v)との相関値αを求める。
図11は、基準画像I(n)および対応画像J(n)の同じ走査線上の一つのブロックIi1,Ji1を示す。基準画像I(n)のブロックIi1の基準点r(ur1,v)に対応する対応点s(ur2,v)を探索するときは、対応画像J(n)のブロックJi1の同じ走査線上の基準点r(ur1,v)と同じ座標点r’(ur1,v)、すなわち一次対応点から同じ走査線上を「レール抽出による視差」d’だけ左にずらした点s’(ur2,v)を二次対応点とする。そして、その二次対応点s’(ur2,v)からブロックJi1の同じ走査線上の左端までの画素値についてブロックIi1の同じ走査線上の画素値との相関値αを取り、図16(e)の画素値差マトリックスDTと同様な画素値差マトリックス、および図16(f)の画素値差合計マトリックスTTと同様な画素値差合計マトリックスを生成する。
二次対応点を探索するときに「レール抽出による視差」をずらす方向は、左右の画像のいずれを基準画像とし、いずれを対応画像とするかにより異なる。図10,11は左の画像を基準画像とし、右の画像を対応画像とした例であるので、「レール抽出による視差」だけ左にずらしたが、右の画像を基準画像とし、左の画像を対応画像とした場合は、右にずらされる。
マッチング処理手段33によるマッチング処理により得られた相関値αは、相関値比較手段34に与えられる。相関値比較手段34は、その相関値αを所定の閾値tと比較する。相関値αが所定の閾値tに対して所定の条件を満たすときは第1判定信号aを出力して、視差値読出手段35に入力する。また、相関値αが所定の閾値tに対して所定の条件を満たさないときは第2判定信号bを出力して、視差算出手段36に出力する。
相関値の算出方法は、マッチング処理の手法により異なる。マッチング処理の手法がブロックマッチングである場合は、相関値の算出方法にはSSD(Sum of Squared Difference)とSAD(Sum of Absolute Difference)がある。これらの場合は、マッチングが取れていれば取れているほど(類似度が高いほど)相関値が小さくなる。したがって、この場合は、算出された相関値αが閾値t以下(α≦t)のときは所定の条件が満たされたことになり、閾値tを上回った(α>t)ときは所定の条件が満たされないこととなる。これに対し、マッチング処理の手法が位相限定相関法である場合は、マッチングが取れていれば取れているほど相関値が大きくなる。したがって、算出された相関値αが閾値tを上回った(α>t)ときは所定の条件が満たされたことになり、閾値t以下(α≦t)のときは所定の条件が満たされないこととなる。
そして、視差値読出手段35は、第1判定信号aを入力されたときは、不図示のメモリ部にそのマッチング処理を行った走査線に対応して記憶されている「レール抽出による視差値」を読み出す。そして、その「レール抽出による視差値」をその走査線における基準点と対応点との視差と確定し、距離計測部40に与える。つまり、基準点と対応点との相関値が所定の条件を満たす場合は、計算処理に時間がかかる粗密探索手法は実行されない。したがって、粗密探索手法が実行されない分、視差算出の時間が短縮される。
相関値比較手段34が第2判定信号bを視差算出手段36に出力したときは、視差算出手段36は、そのマッチング処理を行った走査線に対して周知の粗密探索法を適用して視差値を算出し、得られた視差値を距離計測部40に与える。
距離計測部40は、視差読出手段35が出力した視差値または視差算出手段36が出力した視差値を用いてカメラ設置位置から列車前方のレールの注目点(撮像対象物)までの距離を周知の演算式により計測する。
[第2の実施の形態]
図12は、本発明に係る第2のステレオ画像処理方法を実施するためのステレオ画像処理装置の一例を示す。このステレオ画像処理装置1は、図1のレール抽出部20L,20Rの後段に探索範囲設定部50L,50Rを設け、その探索範囲設定部50L,50Rの後段に図1の視差算出部30を接続したものである。
探索範囲設定部50L,50Rは、レール抽出部20L,20Rによる抽出されたレールの座標を基に基準画像および対応画像に探索範囲を絞り込むための特定の領域を設定するものである。すなわち、探索範囲設定部50L,50Rは、それぞれレール抽出部20L,20Rが抽出したレールの指定された位置を基準として特定の領域を探索範囲として設定する。
特定の領域は、画面の最下部のレールまたは見たい距離のレール端部の座標を基準として設定することができる。つまり、監視対象となるレールの全体が探索範囲に入るように設定される。このような領域としては、たとえば、図13に例示するように、基準画像I(n)および対応画像J(n)のそれぞれにおいて左右のレールRの座標が算出された時、横方向の位置として最も左と判断された座標と、最も右と判断された座標をそれぞれ左端と右端とし、これを通る垂直線と画像の上辺と下辺を辺とした矩形Wa1,Wa2とすることができる。また、鉄道の建築限界あるいは車両限界と同様の形状とすることもよい。図14のWb1,Wb2は、建築限界に基づいて設定された探索範囲の一例である。
図14の探索範囲Wb1,Wb2は、画面のレールRの最下部を基準として建築限界が設定された例である。画面上の建築限界の寸法(画素数)は、軌間に対応する画素数の比を建築限界の実寸法に乗じて設定することが可能である。建築限界の寸法は、在来線と新幹線とで異なり、また、在来線も鉄道事業者により異なる。適用対象線区における建築限界に応じて、画面上の建築限界の寸法(画素数)が決められる。探索範囲Wa1,Wa2やWb1,Wb2の表示位置は、その領域の底辺中間点を画像中の求める距離における軌間の中間点に合致させて設定される。
探索範囲設定部50L,50Rによりそれぞれ探索範囲が設定されると、図12の視差算出部30により、その設定された探索範囲(Wa1,Wa2またはWb1,Wb2)内のみで図1の視差算出部30について説明したと同じ方法でマッチング処理が行われ、視差が算出される。その探索範囲の外側、たとえば、図14の探索範囲Wb1,Wb2の外側の斜線部分では、マッチング処理を行わない。
この実施の形態によれば、絞り込まれた探索範囲内でのみマッチング処理を行い、探索範囲外ではマッチング処理を行わないので、相関値を求める計算回数が探索範囲外の画素数分だけ少なくなる。
上記レール抽出、探索範囲設定およびマッチング処理は各カメラにより取得される画像の1フレーム毎に実行される。
上述したように、従来の対応点探索方法においては、1フレームの中のラインのどの位置から探索を開始するかについて案内する手段を有していないため、全ラインの先端ブロックから終端ブロックまでマッチング処理を行っていた。これに対し、本発明の第2の実施の形態は、上記レール抽出の特殊性により、基準点uと対応点sの「レール抽出による視差」d’はd’=ur1−ur2で表される点に着目して、図13,図14の探索窓Wa1,Wa2;Wb1,Wb2内でさらに探索範囲を狭くする点に特徴がある。
[探索範囲の縮小]
左カメラで撮影した画像(基準画像)と右カメラで撮影した画像(対応画像)で同じ対象物を見た場合、対応画像では基準画像よりも左の位置に対象物がある。さらに、レールの注目箇所での「レール抽出による視差」が分かっている場合、注目箇所よりもカメラ側に対象物があると、基準画像と対応画像の同じ縦方向の位置における「レール抽出による視差」よりも対象物の視差の方が大きな視差となる。よって、対応画像での探索範囲は基準点と同じ座標の点よりも「レール抽出による視差」だけ左にずらした点の左側のみに限定して探索し、対象物の視差を算出することができる。
したがって、本発明を、たとえば、鉄道線路の障害物検知に適用する場合は、対応画像J(n)の座標s(ur2,v)から左側にレール抽出による視差d’=ur1−ur2と等しい距離だけずらした点から探索窓Wa1,Wa2;Wb1,Wb2内の左側を探索することが好ましい。これにより、限られた探索範囲のみを探索するので、探索時間を著しく短縮することができる。
対応点探索は、上述した既知のブロックマッチングや位相限定相関法などの画像マッチング法により行う。これらの画像マッチング法には、計算速度がより速く、より高精度なマッチングが可能なものが出てきた。
上記の限られた探索範囲における対応点探索は、基準画像の各ラインに対応する対応画像のラインに対して行なわれる。1つのラインと次のラインの中間領域を探索する方法も知られているが、その場合も、上述と同様の限られた探索範囲において行われることとなる。
以上のように、対応画像での探索範囲を基準点と同じ座標の点よりもレール抽出による視差だけ左にずらした点の左側のみに限定してマッチング処理を行い、対象物の視差を算出するので、画像全体についてマッチング処理を行う従来方法に比し、計算量が大幅に削減される。したがって、視差算出の高速化が可能であり、リアルタイムで視差算出を行うことができる。また、画像マッチング処理に位相限定相関法を適用する場合は、さらに視差算出の高精度化を図ることができる。
続いて、上記ステレオ画像処理方法に従来の粗密探索法を適用する場合の処理手順について説明する。
●ステップ1
画像I(n)およびJ(n)を、それぞれ2−k倍(k=0,1,2,…,kmax−1)だけ縮小する(k=0の時は原画像I(n)およびJ(n)を示し、k=kmaxの時に抽出すべき探索窓より小さくならない最小の縮小画像とするようにkmaxを定める)ことにより、一連の階層画像I(n)およびJ(n)を生成する。
●ステップ2
第kmax階層上の画像Ikmax(n)の基準点をpkmax、画像Jkmax(n)の対応点をqkmaxとする。また、pkmaxの座標を(2−kmaxu,2−kmaxv)、qkmaxの座標を(2−kmaxu,2−kmaxv)とする。
●ステップ3
画像Ikmax (n)において、中心がpkmaxとなるように探索窓を抽出する。
同様に、画像Jkmax(n)において、中心がq’kmaxとなるように探索窓を抽出する。
マッチング処理を用いて、ピクセル精度の平行移動量δを求める。第kmax階層における対応点qkmaxの座標を次式で与える。
kmax=q’kmax+(δ,0)
このとき、δ>0とならないように探索範囲を限定しておく。または、上記[探索範囲の縮小]に記載の探索範囲とする。
●ステップ4
k=m(m≦kmax)の時、第m階層上の画像I(n)の対応点qの座標(u,2−mv)を求めていたとすると、I=m−1として、第m−1階層上の基準点p−1の座標を次式で与える。
m−1=(2−(m−1)u,2−(m−1)v)
次に、第m−1階層上の対応点qm−1の初期値q’m−1を次式で与える。
q’m−1=(2u,2−(m−1)v)
●ステップ5
画像Im−1(n)において、中心がpm−1となるように探索窓を抽出する。同様に、画像Jm−1(n)において、中心がq’m−1となるように探索窓を抽出する。マッチング処理を用いて、平行移動量δを求める。第m−1階層における対応点qm−1の座標を次式で与える。
m−1=q’m−1+(δ,0)
●ステップ6
k=m−2,m−3,…,0を代入して、ステップ4からステップ6を繰り返し、pを最終的な基準点p、qを最終的な対応点qとする。
以上に示した処理ステップ1〜6によって、基準点pの対応点qを求めることができる。
線路上に物体が存在する場合は、その物体は列車の進行とともにカメラとの距離が短くなるので、カメラの画像上、その物体は列車の進行とともにレール注目点の上側から下側に移動する。そして、カメラと対象物との距離が短いほど視差が大きくなる。したがって、レール注目点における視差は線路上に物体が存在しないときよりも、線路上に物体が存在するときの方が大きい。
したがって、列車前方の線路上に障害物が存在しないときは、基準画像I(n)および対応画像J(n)での通常のステレオ画像処理(マッチング処理)により算出されるレール注目点における視差はdであるが、列車前方の線路上に障害物が存在するときは、そのレール注目点における視差はdよりも大きい値となる。よって、視差がdよりも大きい値なったことを検出することにより障害物を検知することができるとともに、その時の視差を用いて障害物までの距離を計測することが可能である。
I,I(n) 基準画像
J,J(n) 対応画像
p,r 基準点
q,s 対応点
Wa1,Wa2;Wb1,Wb2 探索範囲
1 ステレオ画像処理装置
10L,10R カメラ装置
20L,20R レール映像抽出装置
30 視差算出部
40 距離計測部
50L,50R 探索範囲設定部

Claims (7)

  1. 列車運転台に設置された2台のカメラで取得されるステレオ画像をマッチング処理して視差を算出するステレオ画像処理方法であって、
    基準画像の基準点と同じ座標となる対応画像上の点を検出して一次対応点とし、
    その一次対応点から同じ走査線上を「レール抽出による視差」だけずらした点を二次対応点とし、
    その二次対応点から対応画像の左端まで、または右端までマッチング処理を行って相関値を算出し、
    その相関値が予め設定した閾値に対して所定の条件を満たす場合は「レール抽出による視差」を視差とし、
    相関値が所定の条件を満たさない場合は粗密探索法を実施して視差を算出する、
    ことを特徴とするステレオ画像処理方法。
  2. 列車運転台に設置された2台のカメラで取得されるステレオ画像をマッチング処理して視差を算出するステレオ画像処理方法であって、
    2台のカメラで取得されるステレオ画像に含まれるレールをそれぞれ抽出し、
    その抽出されたレールの各画像上の座標を基に特定の領域に絞り込んだ探索範囲を設定し、
    その設定された探索範囲内で基準画像の基準点と同じ座標となる対応画像上の点を検出して一次対応点とし、
    その一次対応点から同じ走査線上を「レール抽出による視差」だけずらした点を二次対応点とし、
    その二次対応点から対応画像の左端まで、または右端までマッチング処理を行って相関値を算出し、
    その相関値が予め設定した閾値に対して所定の条件を満たす場合は「レール抽出による視差」を視差とし、
    相関値が所定の条件を満たさない場合は粗密探索法を実施して視差を算出する、
    ことを特徴とするステレオ画像処理方法。
  3. 請求項2に記載のステレオ画像処理方法において、前記探索範囲は、レール抽出部が抽出したレールの指定された位置を基準として設定された特定の領域であることを特徴とするステレオ画像処理方法。
  4. 請求項2に記載のステレオ画像処理方法において、前記探索範囲は、基準画像と対応画像のそれぞれにおいて左右のレールの座標が算出された時、横方向の位置として最も左と判断された座標と、最も右と判断された座標をそれぞれ左端と右端とし、これを通る縦直線と画像の上辺と下辺を辺とした形状としたことを特徴とする。
  5. 請求項2に記載のステレオ画像処理方法において、前記探索範囲は、画面の最下部のレールまたは見たい距離のレール端部の座標を基準として設定された鉄道の建築限界または車両限界であることを特徴とするステレオ画像処理方法。
  6. ステレオ画像をマッチング処理して視差を算出するステレオ画像処理装置であって、
    間隔を開けて水平等位に設置した左右のカメラ装置と、各カメラ装置で取得される画像信号からそれぞれレールの映像を抽出するレール抽出部と、抽出されたレールの映像を有するステレオ画像をマッチング処理して視差を算出する視差算出部とを有し、
    視差算出部は、基準画像のレール映像の基準点と同じ座標となる対応画像上の一次対応点を検出して、その座標を出力する一次対応点検出手段と、一次対応点から同じ走査線上を「レール抽出による視差」と等しい距離だけ左又は右方向にずらした点を二次対応点とする二次対応点検出手段と、二次対応点から対応画像の左端または右端までマッチング処理を行って相関値を求めるマッチング処理手段と、マッチング処理手段により算出された相関値を所定の閾値と比較し、相関値が所定の閾値に対して所定の条件を満たすときは第1判定信号を出力し、相関値が所定の閾値に対して所定の条件を満たさないときは第2判定信号を出力する相関値比較手段と、相関値比較手段が第1判定信号を出力したときは、メモリ部に記憶されている「レール抽出による視差値」を読み出し、その「レール抽出による視差値」を基準点の視差と確定する視差読出手段と、相関値比較手段が第2判定信号を出力したときは、粗密探索法によるマッチング処理を実行して視差値を算出する視差算出手段とを有することを特徴とするステレオ画像処理装置。
  7. 請求項6記載のステレオ画像処理装置において、視差読出手段が読み出した視差値または視差算出手段が算出した視差値を与えられる距離計測部をさらに有することを特徴とするステレオ画像処理装置。
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