JP6332986B2 - ナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子の製造方法 - Google Patents

ナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6332986B2
JP6332986B2 JP2014019145A JP2014019145A JP6332986B2 JP 6332986 B2 JP6332986 B2 JP 6332986B2 JP 2014019145 A JP2014019145 A JP 2014019145A JP 2014019145 A JP2014019145 A JP 2014019145A JP 6332986 B2 JP6332986 B2 JP 6332986B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diamond particles
diamond
ferrocene
nanocarbon
containing polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014019145A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015145324A (ja
Inventor
将治 小泉
将治 小泉
坪川 紀夫
紀夫 坪川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eyetec Co Ltd
Original Assignee
Eyetec Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Eyetec Co Ltd filed Critical Eyetec Co Ltd
Priority to JP2014019145A priority Critical patent/JP6332986B2/ja
Publication of JP2015145324A publication Critical patent/JP2015145324A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6332986B2 publication Critical patent/JP6332986B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polishing Bodies And Polishing Tools (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Mechanical Treatment Of Semiconductor (AREA)

Description

本発明は、ダイヤモンド粒子の表面にカーボンナノチューブ等のナノカーボン繊維を付着させて被覆する製造方法に関する。
近年、中空体のカーボンナノチューブ又は中空体ではないナノカーボン繊維(本発明では、これらをまとめてナノカーボン繊維と称する)は、その特異な性質、すなわち繊維直径がナノサイズの微細な繊維であること、アスペクト比(繊維長/繊維直径)が大きいこと及び優れた機械強度を有すること等に着目され、様々な分野で用いられている。例えば、特許文献1では、電解めっきによる皮膜の中に、直径10〜100nm、アスペクト比(=長さ/直径)5〜200であるナノカーボン繊維を均一に含有する複合金属めっき被膜を表面に形成したナノカーボン繊維含有電着工具が記載されている。
シリコン結晶、サファイア、ガリウム砒素、水晶、ガラス、磁性材料等の脆性材料のスライシング加工には、走行するワイヤ(ソーワイヤ)に被切削材料を押し付けながら切削するワイヤソーが使用されている。ワイヤソーの方式としては、遊離砥粒式ワイヤソーが挙げられ、ソーワイヤを往復又は一方向に走行させ、遊離砥粒を含むスラリー液を連続供給しながら被加工物を切削加工する。
次世代の方式として、ダイヤモンド砥粒をソーワイヤ表面に金属めっき或いは樹脂バインダで固着させた固定砥粒式ワイヤソーが提案され、実用化されつつある。固定砥粒式ワイヤソーに用いられる電着ダイヤモンドソーワイヤは、スラリー液を用いる必要がないため、遊離砥粒式に比べてシリコンウェハの切削加工効率は優れている。また、遊離砥粒の飛散・廃液処理が生じないため、作業環境に優れるとともに製造コストを低減させることができるといった利点がある。しかしながら、ダイヤモンド砥粒をワイヤ表面に固着する製造コストが高く、また、表面のダイヤモンド砥粒が切削加工中に脱落することにより生じるワイヤ自体の断線や、切削能率の低下が課題となっている。従来市販されている電着ダイヤモンドワイヤは、ピアノ線へのコーティングのベースとなるニッケルめっきとの親和性を上げるために、ダイヤモンド砥粒の表面に炭化チタンや炭化珪素といった導電性炭素化合物やニッケル金属をコーティングしたものが用いられており、これによりニッケルめっき被膜との密着性を確保している(特許文献2参照)。
特開2007−253318号公報 特開2011−137213号公報
上述したコーティングダイヤモンド砥粒は、ソーワイヤの製造工程においてワイヤ表面にニッケルめっきにより固着しているため、ダイヤモンド砥粒表面にニッケルめっきが析出することによる初期切削性能の低下、ダイヤモンド砥粒とニッケルめっきとの密着性が十分でないことによる切削加工中のダイヤモンド砥粒の脱落、及び、こうしたトラブルによる切削加工能率の低下及びソーワイヤの断線の発生等の課題があった。そのため、ダイヤモンド砥粒を表面に固着したソーワイヤの初期切削性を向上させるとともに切削加工能率を持続させるような材料設計が盛んに行われている。
一方、ダイヤモンド砥粒に用いられるダイヤモンド粒子の表面処理についても研究開発が進められている。ダイヤモンド粒子の表面処理を行うためのグラフト反応は、粒子表面の官能基を足場にして行われるため化学的に安定であり、表面に存在する官能基の数が少ないダイヤモンド粒子表面のグラフト化は困難であった。そのため、ダイヤモンド粒子を酸処理し、カルボキシル基等を導入することで、これらを足場にアミノシランによるカップリング反応を用いた、ダイヤモンド粒子の表面処理方法が報告されている(坪田敏樹 外7名、「シランカップリング剤を利用したダイヤモンド粉末の表面改質」、表面技術、Vol.53、No.6、p.413-418、2002年)が、アミノシランは溶液中では加水分解を生じるため、こうした表面処理はソーワイヤに用いるダイヤモンド粒子には向いていない。
本発明は、上述した課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ナノカーボン繊維で表面を被覆したダイヤモンド粒子を製造し、得られたダイヤモンド粒子を砥粒として用いてめっき被膜との間の密着性を改善して、優れたダイヤモンド砥粒の保持力と安定した切削能率を有するソーワイヤを提供することを目的とするものである。
本発明に係るナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子の製造方法は、グラファイト化したダイヤモンド粒子表面の芳香族環とフェロセン含有ポリマーとの配位子交換反応をさせてフェロセン含有ポリマーをダイヤモンド粒子表面にグラフト化し、ダイヤモンド粒子表面にグラフト化されたフェロセン含有ポリマーとナノカーボン繊維との配位子交換反応をさせてフェロセン含有ポリマーを介してダイヤモンド粒子表面をナノカーボン繊維により被覆する。
本発明に係る別のナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子の製造方法は、ナノカーボン繊維とフェセロン含有ポリマーとの配位子交換反応をさせてフェセロン含有ポリマーをナノカーボン繊維にグラフト化し、ナノカーボン繊維にグラフト化されたフェロセン含有ポリマーとグラファイト化したダイヤモンド粒子表面の芳香族環との配位子交換反応をさせてフェロセン含有ポリマーを介してダイヤモンド粒子表面をナノカーボン繊維により被覆する。
本発明は、ナノカーボン繊維存在下において、グラファイト化ダイヤモンド表面の芳香族環とフェロセン含有ポリマーとの配位子交換反応をさせることで、ナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子を得ることができる。得られたダイヤモンド粒子を用いてソーワイヤのめっき処理を行うことで、ダイヤモンド粒子表面のナノカーボン繊維がめっき被膜中に取り込まれてアンカー効果を発揮するようになる。そのため、めっき被膜とダイヤモンド粒子との間の密着性が改善されて、優れたダイヤモンド砥粒の保持力と安定した切削能率を有するソーワイヤが得られる。
また、本発明は、ナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子を高温に晒すことなく製造できるため、母材であるダイヤモンド粒子の破壊強度、硬度等の機械的特性をほぼ維持したままで、ナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子を得ることが可能となり、ソーワイヤの砥粒として用いた場合に切削能率の低下を抑止することができる。
カーボンナノチューブ被覆ダイヤモンド粒子の製造工程を示す説明図である。 処理前のダイヤモンド粒子の表面を撮影した画像である。 処理後のダイヤモンド粒子の表面を撮影した画像である。 カーボンナノチューブ被覆ダイヤモンド粒子の別の製造工程を示す説明図である。 処理後のダイヤモンド粒子の表面を撮影した画像である。 カーボンナノチューブ被覆ダイヤモンド粒子のさらに別の製造工程を示す説明図である。 処理後のダイヤモンド粒子の表面を撮影した画像である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明におけるナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子の製造方法は、表面をグラファイト化したダイヤモンド粒子の表面にフェロセン含有ポリマー及びナノカーボン繊維をグラフト化することでナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子を製造することを特徴とする。
本発明者らは、塩化アルミニウム触媒存在下で、表面をグラファイト化したダイヤモンド粒子とフェロセン含有ポリマーとの反応を行うと、グラファイト化ダイヤモンド粒子表面の芳香族環とフェロセン含有ポリマーのフェロセン部位との配位子交換反応が進行し、ダイヤモンド粒子表面へフェロセン含有ポリマーがグラフト化することを見出した。
本発明では、ダイヤモンド粒子表面をグラファイト化することで、ダイヤモンド表面グラファイト層の芳香族環とフェロセン含有ポリマーとの配位子交換反応を利用し、従来法では困難であったダイヤモンド粒子表面のグラフト化の高効率化が可能となり、ナノカーボン繊維をダイヤモンド粒子表面に被覆することが可能である。
本発明に係るナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子の製造方法において使用されるダイヤモンド粒子は、窒素雰囲気中で表面をグラファイト化したダイヤモンド粒子を使用する。ダイヤモンド粒子の平均粒子径は、1μm〜1000μmが好ましく、より好ましくは、5μm〜50μmのものを使用するとよい。こうしたダイヤモンド粒子は、通常入手可能な、単結晶タイプ、多結晶タイプのものを用いることができる。また、ダイヤモンド粒子表面のグラファイト層の厚さは特に限定されないが、グラファイト自体は疎水性を示すため、この層が厚過ぎると疎水性相互作用によりダイヤモンド粒子同士が凝集し易くなるため、グラファイト層の厚さは0.1nm〜100nmが好ましく、より好ましくは0.5nm〜50nmであり、さらに好ましくは1nm〜20nmのものを使用するとよい。
ナノカーボン繊維においても特に限定されないため、一般に市販されている単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブを使用することが好ましく、繊維直径1nm〜200nm及びアスペクト比(=繊維長/繊維直径)1〜500に設定されたものを用いるのがよい。本発明では、ワイヤソーによる切削工程においてダイヤモンド粒子の脱落の抑制を目的とするため、ナノカーボン繊維を分散させる必要はなく、凝集し易い性質(バンドル化)を利用してグラファイト化ダイヤモンド粒子表面にナノカーボン繊維を被覆させることができる。そして、ダイヤモンド粒子表面を被覆するナノカーボン繊維が金属めっき被膜中に取り込まれてアンカー効果を発揮することで、ダイヤモンド砥粒として用いられた場合に優れた保持力が得られると考えられる。また、ダイヤモンド粒子のサイズが大きい場合でも、ダイヤモンド粒子をめっき被膜中に保持して脱落しにくくするようになる。
ナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子を製造するには、上述したようにダイヤモンド粒子表面に形成されたグラファイト層の芳香族環とフェロセン含有ポリマーとの配位子交換反応が必要である。既に塩化アルミニウム触媒存在下で、カーボンブラック表面の縮合芳香族環とフェロセンとの配位子交換反応が進行し、粒子表面ヘシクロペンタジエニル基が導入できることが報告されている(参考文献:M. Miyake, K. Yasuda, T. Takashima, T. Teranishi :Chem. Lett., 1999, 1037)。このような配位子交換反応を利用することにより、カーボンブラックの縮合芳香族環のエッジ部ではなく、グラフェンシート表面の利用が初めて可能になった。また、本発明者らは、カーボンブラック、炭素繊維、さらにはグラファイトなどの炭素材料表面の縮合芳香族環とビニルフェロセン含有コポリマーとの配位子交換反応による炭素材料表面へのグラフト反応について報告している(参考文献:N. Tsubokawa, N. Abe, Y. Seida, K. Fujiki : Chem. Lett.,2000, 900.)。こうした報告によれば、炭素繊維とビニルフェロセン−メタクリル酸メチル共重合体(poly(Vf-co-MMA))(Mn=2.1×104)との反応は、アルミニウムや塩化アルミニウムを加えない系では、グラフト率はわずか2%以下であったが、これに対して、塩化アルミニウムの存在下では、炭素繊維表面へのpoly(vf-co-MMA)のグラフト反応が進行し、グラフト率は4.4%であった。さらに、塩化アルミニウムとアルミニウムとの共存下では、poly(Vf-co-MMA)のグラフト反応が促進され、グラフト率は27.6%に達した。
本発明は、これらの反応を利用したものであり、塩化アルミニウム触媒存在下で、表面をグラファイト化したダイヤモンド粒子とフェロセン含有ポリマーを反応させ、グラファイト化ダイヤモンド粒子表面の芳香族環とフェロセン含有ポリマーのフェロセン部位との配位子交換反応により、ダイヤモンド粒子表面へフェロセン含有ポリマーをグラフト化させる。そして、ナノカーボン繊維を加えることで、ナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子を得ることができる。
ソーワイヤの素線としては、ピアノ線等の鋼母線が一般に用いられており、素線の線径は、用途に応じて適宜設定され、特に限定されないが、0.1mm〜0.2mmのものが好ましい。素線には、黄銅、銅、ニッケル等のめっき処理が予め施されていてもよい。
素線のめっき処理に使用されるめっき液としては特に制限はないが、ニッケルイオン、コバルトイオン、銅イオン、金イオン、鉄イオン、パラジウムイオン、白金イオン、スズイオン及びロジウムイオンよりなる群から選ばれた1種又は2種以上の金属イオンを含むものが使用でき、特に好ましいものとしてはニッケルイオンを含む金属めっき液が挙げられる。
めっき液中において、上述したナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド微粒子を均一に分散させるために、超音波振動による機械的な撹拌も可能であるが、ダイヤモンド微粒子の凝集・沈殿を抑制し、めっき液中でダイヤモンド粒子を安定して分散させるために、分散剤として界面活性剤を添加することが好ましい。添加する界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性等のイオン性界面活性剤、又は非イオン性界面活性剤が挙げられる。例えば、イオン性界面活性剤の場合、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等であり、これらはダイヤモンド粒子の表面に導入したイオン性官能基により適宜選択すればよい。ここで用いるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜6の整数である。
めっき液に添加するダイヤモンド粒子の添加量は、めっき液中の組成において0.5〜10g/リットルであることが好ましい。ダイヤモンド粒子の添加量をこの範囲に調整しためっき液を用いてめっき処理すれば、金属めっき被膜中にダイヤモンド粒子を均一に分散させることができ、さらに切削時に最適なダイヤモンド粒子の付着量を任意で調整することもできる。
上述のように製造されためっき液を用いて公知の電解めっき処理を実施する場合、ダイヤモンド粒子が安定して分散されためっき液に対して、ソーワイヤの素線を電解めっき処理させることにより、素線の表面において、ダイヤモンド粒子が分散された金属めっき被膜を形成させることができる。そして、ダイヤモンド粒子の表面を被覆するナノカーボン繊維が金属めっき被膜中に取り込まれてアンカー効果を発揮し、ダイヤモンド粒子の保持力を高めることが可能となる。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制約されるものではない。
(実施例1)
1.ビニルフェロセン−メタクリル酸メチル共重合体[Poly(vinyl ferrocene-co-methyl methacrylate);poly(Vf-co-MMA)]の合成
重合試験管に、ビニルフェロセン(Vf;Sigma-Aldrich Co.製)を5.40ミリモル、メタクリル酸メチル(MMA;関東化学株式会社製)を48.0ミリモル、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN;関東化学株式会社製)を0.54ミリモル、トルエン(関東化学株式会社製)を5.0ミリリットルを加え、真空封管とし、70℃で24時間重合処理を行った。重合処理後、反応溶液を過剰のメタノール(関東化学株式会社製)中に滴下し、生成したPoly(Vf-co-MMA)を吸引濾過した。その後、得られたPoly(Vf-co-MMA)を再びトルエン中に溶かし、同様の操作を2回繰り返した後、減圧乾燥させてから使用した。
得られたPoly(Vf-co-MMA)の分子量は1.3×104、ビニルフェロセン含有量は9.3モル%であった。
2.カーボンナノチューブ被覆ダイヤモンド粒子の製造(1段階法)
図1に示すように、還流冷却器を取り付けた試験管にPoly(Vf-co-MMA)を0.05g、カーボンナノチューブとして多層カーボンナノチューブ(MW-CNT;Nanocyl Ltd.製)を0.025g、表面がグラファイト化したダイヤモンド粒子(GD;住石マテリアルズ株式会社製)を0.1g加え、次いで、無水塩化アルミニウム(AlCl3;関東化学株式会社製)を92.4mgとアルミニウム粉(Al;粒子径53μm〜150μm)を4.73mg、反応溶媒として1,4-ジオキサン(関東化学株式会社製)を10ミリリットル加えた。
そして、窒素気流中で、マグネチックスターラーで攪拌しながら80℃で24時間グラフト化反応させた。反応後、メタノールを加え、塩化アルミニウムの活性を失活させて反応を停止させた。また、反応後に得られた生成物中におけるアルミニウムの除去は、生成物を超音波照射により溶媒中へ分散させ、数分後、沈殿したアルミニウムを除去した。
なお、上澄み液には非グラフトポリマーも含まれているので、これを取り除くため、反応生成物をポリマーの良溶媒であるジオキサン中へ分散させ、約5分間超音波洗浄を行い、その後1.5×104rpmで約40分間遠心分離を行って、非グラフトポリマーが溶解している上澄み液を除去した。この操作を3回繰り返し、非グラフトポリマーを除去した。
さらに、生成物中に含まれている塩化アルミニウムの除去は、塩化アルミニウムが塩酸中に溶解するので、1モル/リットルの希塩酸を用いて超音波洗浄を行い、その後遠心分離を行って上澄み液を除去することにより行った。得られたカーボンナノチューブ被覆ダイヤモンド粒子を減圧下、50℃で十分乾燥させた。なお、未反応のカーボンナノチューブの分離は、ダイヤモンド微粒子とカーボンナノチューブとの比重差を利用して行った。
得られたカーボンナノチューブ被覆ダイヤモンド微粒子の表面を走査型電子顕微鏡(SEM;日本電子株式会社製)で撮影した。図2Aは、処理前のダイヤモンド粒子の表面を撮影した画像を示し、図2Bは、処理後のダイヤモンド粒子の表面を撮影した画像を示す。これらの画像を比較すると、ダイヤモンド粒子の表面がカーボンナノチューブにより被覆されていることがわかる。
(実施例2)
に示すように、Poly(Vf-co-MMA)及びグラファイト化ダイヤモンド粒子(GD)をグラフト化した後カーボンナノチューブ(CNT)と反応させる2段階法によりカーボンナノチューブ被覆ダイヤモンド粒子を製造した。
1.Poly(Vf-co-MMA)グラフト化ダイヤモンド粒子の合成
還流冷却器を取り付けた試験管に、実施例1で用いたグラファイト化ダイヤモンド粒子(GD)を0.1gと実施例1で得られたPoly(Vf-co-MMA)を0.05g加え、次いで、実施例1と同様に、無水塩化アルミニウム92.4mg及びアルミニウム粉4.73mg、反応溶媒として1,4-ジオキサンを10ミリリットル加え、窒素気流中で、マグネチックスターラーで攪拌しながら80℃で24時間グラフト化反応させた。反応後、メタノールを加え、塩化アルミニウムの活性を失活させて反応を停止させた。また、反応後に得られた生成物中におけるアルミニウムの除去は、生成物を超音波照射により溶媒中へ分散させ、数分後、沈殿したアルミニウムを除去した。
なお、上澄み液には非グラフトポリマーも含まれているので、これを取り除くため、反応生成物をポリマーの良溶媒であるジオキサン中へ分散させ、約5分間超音波洗浄を行い、その後1.5×104rpmで約40分間遠心分離を行って、非グラフトポリマーが溶解している上澄み液を除去した。この操作を3回繰り返し、非グラフトポリマーを除去した。
さらに、生成物中に含まれている塩化アルミニウムの除去は、塩化アルミニウムが塩酸中に溶解するので、1モル/リットルの希塩酸を用いて超音波洗浄を行い、その後遠心分離を行って上澄み液を除去することにより行った。得られたPoly(Vf-co-MMA)グラフト化ダイヤモンド粒子を減圧下、50℃で十分乾燥させた。ダイヤモンド粒子へのPoly(Vf-co-MMA)のグラフト率(グラフトしたポリマーのダイヤモンド粒子に対する質量%)は、32.7%であった。
2.Poly(Vf-co-MMA)グラフト化ダイヤモンド粒子とカーボンナノチューブとの反応
還流冷却器を取り付けた試験管に、得られたPoly(Vf-co-MMA)グラフト化ダイヤモンド粒子0.05g及び実施例1で用いたカーボンナノチューブ0.025gを加え、次いで、実施例1と同様に、無水塩化アルミニウム92.4mg及びアルミニウム粉4.73mg、反応溶媒として1,4-ジオキサンを10ミリリットル加え、窒素気流中で、マグネチックスターラーで攪拌しながら80℃で24時間反応させた。反応後、メタノールを加え、塩化アルミニウムの活性を失活させて反応を停止させた。また、反応後に得られた生成物中におけるアルミニウムの除去は、前述の方法と同様に行った。
なお、未反応のカーボンナノチューブの分離は、実施例1と同様に、ダイヤモンド粒子とカーボンナノチューブとの比重差を利用して行った。得られたカーボンナノチューブ被覆ダイヤモンド粒子の表面をSEMで撮影した。図4に撮影した画像を示す。撮影画像をみると、ダイヤモンド粒子の表面がカーボンナノチューブにより被覆されていることがわかる。
(実施例3)
に示すように、Poly(Vf-co-MMA)及びカーボンナノチューブ(CNT)をグラフト化した後グラファイト化ダイヤモンド粒子(GD)と反応させる2段階法によりカーボンナノチューブ被覆ダイヤモンド粒子を製造した。
1.Poly(Vf-co-MMA)グラフト化カーボンナノチューブの合成
還流冷却器を取り付けた試験管に、実施例1で用いたカーボンナノチューブ0.1gとPoly(Vf-co-MMA)0.1gを加え、次いで、実施例1と同様に、無水塩化アルミニウム92.4mg及びアルミニウム粉4.73mg、反応溶媒として1,4-ジオキサンを20ミリリットル加え、窒素気流中で、マグネチックスターラーで攪拌しながら80℃で24時間グラフト化反応させた。反応後、メタノールを加え、塩化アルミニウムの活性を失活させて反応を停止させた。また、反応後に得られた生成物中におけるアルミニウムの除去は、生成物を超音波照射により溶媒中へ分散させ、数分後、沈殿したアルミニウムを除去した。
なお、上澄み液には非グラフトポリマーも含まれているので、これを取り除くため、反応生成物をポリマーの良溶媒であるジオキサン中へ分散させ、約5分間超音波洗浄を行い、その後1.5×104rpmで約40分間遠心分離を行って、非グラフトポリマーが溶解している上澄み液を除去した。この操作を3回繰り返し、非グラフトポリマーを除去した。
さらに、生成物中に含まれている塩化アルミニウムの除去は、塩化アルミニウムが塩酸中に溶解するので、1モル/リットルの希塩酸を用いて超音波洗浄を行い、その後遠心分離を行って上澄み液を除去することにより行った。得られたPoly(Vf-co-MMA)グラフト化カーボンナノチューブを減圧下、50℃で十分乾燥させた。なお、カーボンナノチューブへのPoly(Vf-co-MMA)のグラフト率(グラフトしたポリマーのカーボンナノチューブに対する質量%)は54.5%であった。
2.Poly(Vf-co-MMA)グラフト化カーボンナノチューブとダイヤモンド粒子との反応
還流冷却器を取り付けた試験管に、得られたPoly(Vf-co-MMA)グラフト化カーボンナノチューブ0.05g及び実施例1で用いたダイヤモンド粒子0.05gを加え、次いで、実施例1と同様に、無水塩化アルミニウム92.4mg及びアルミニウム粉4.73mg、反応溶媒として1,4-ジオキサンを10ミリリットルを加え、窒素気流中で、マグネチックスターラーで攪拌しながら80℃で24時間反応させた。反応後、メタノールを加え、塩化アルミニウムの活性を失活させて反応を停止させた。また、反応後に得られた生成物中におけるアルミニウムの除去は、1.と同様の方法で行った。なお、未反応カーボンナノチューブの分離は、実施例1と同様に、ダイヤモンド粒子とカーボンナノチューブとの比重差を利用して行った。得られたカーボンナノチューブ被覆ダイヤモンド粒子の表面をSEMで撮影した。図6に撮影した画像を示す。撮影画像をみると、ダイヤモンド粒子の表面がカーボンナノチューブにより被覆されていることがわかる。
(実施例4)
作製されたカーボンナノチューブ被覆ダイヤモンド粒子を純水中に1g/リットルの濃度で分散させ、超音波処理により十分に分散させた後、カチオン性界面活性剤(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド)を0.02g/リットルの濃度となるように添加し、さらに超音波処理により十分に分散させた。
得られたダイヤモンド微粒子及び界面活性剤が均一に分散した分散液を金属めっき液に添加し、下記の組成のめっき液を調製した。
・硫酸ニッケル四水和物500g/リットル
・塩化ニッケル5g/リットル
・ホウ酸10g/リットル
・カーボンナノチューブ被覆ダイヤモンド粒子10g/リットル
調製しためっき液は、スルファミン酸又は炭酸ニッケル溶液を適宜添加してpH5.0に調整した。次に、めっき液の温度を60℃(めっき液の使用温度)に昇温させた。このとき、攪拌によりめっき液中のカーボンナノチューブ被覆ダイヤモンド微粒子は、良好な分散状態を維持しており、製造されためっき液は、使用温度に昇温しても安定した分散状態を保持することが確認できた。分散状態は、凝集による沈殿或いは浮遊物の有無を目視でチェックして良好な分散状態であることを確認した。
調製したカーボンナノチューブ被覆ダイヤモンド粒子含有めっき液を用いて、ピアノ線(線径0.12mm;トクセン工業株式会社製)に脱脂、下地処理、ダイヤモンド粒子固着めっき処理(電流密度:1A/dm2)、最後に仕上げめっき(電流密度:3A/dm2)による砥粒の固着処理を行い、ソーワイヤを製造した。
得られたソーワイヤ及び従来のソーワイヤをシングルワイヤソー(株式会社タカトリ製)によるシリコンインゴットの切削を行うことで、砥粒保持力向上の検証を行った。切削加工条件は以下の通りである。
<単結晶シリコン切削条件>
・ワークサイズ 直径150mm×長さ125mm
・ワイヤ仕様 直径0.12mm
・固着したダイヤモンド粒子 粒径10μm〜20μm
・線速度 800m/分
・ワイヤピッチ 1.0mm
・張力 20N
・クーラント ユシロ化学工業株式会社製
・シングルワイヤソー WSD−K2(株式会社タカトリ製)
・切断時間 30分
・ワイヤ供給量 0.3m/分
評価方法としては、シリコンの移動量を30mm/回とし、昇降速度を1.2mm/分にて切削を行い、これを3回繰り返した後のソーワイヤ表面のダイヤモンド砥粒の残存個数を観察した。その結果、従来品に比べて得られたソーワイヤは、表面のダイヤモンド粒子が多く残存しており、切削時におけるダイヤモンド粒子の保持力の向上が認められた。

Claims (3)

  1. グラファイト化したダイヤモンド粒子表面の芳香族環とフェロセン含有ポリマーとの配位子交換反応をさせてフェロセン含有ポリマーをダイヤモンド粒子表面にグラフト化し、ダイヤモンド粒子表面にグラフト化されたフェロセン含有ポリマーとナノカーボン繊維との配位子交換反応をさせてフェロセン含有ポリマーを介してダイヤモンド粒子表面をナノカーボン繊維により被覆するナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子の製造方法。
  2. ナノカーボン繊維とフェセロン含有ポリマーとの配位子交換反応をさせてフェセロン含有ポリマーをナノカーボン繊維にグラフト化し、ナノカーボン繊維にグラフト化されたフェロセン含有ポリマーとグラファイト化したダイヤモンド粒子表面の芳香族環との配位子交換反応をさせてフェロセン含有ポリマーを介してダイヤモンド粒子表面をナノカーボン繊維により被覆するナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法により製造されたナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子を0.5g〜10g/リットルの添加量で分散させた金属めっき液を調製し、調製された金属めっき液を用いて金属製素線の表面をめっき処理して前記ナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子を表面に分散しためっき被膜を形成するソーワイヤの製造方法。
JP2014019145A 2014-02-04 2014-02-04 ナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子の製造方法 Active JP6332986B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014019145A JP6332986B2 (ja) 2014-02-04 2014-02-04 ナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014019145A JP6332986B2 (ja) 2014-02-04 2014-02-04 ナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015145324A JP2015145324A (ja) 2015-08-13
JP6332986B2 true JP6332986B2 (ja) 2018-05-30

Family

ID=53889816

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014019145A Active JP6332986B2 (ja) 2014-02-04 2014-02-04 ナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6332986B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110509199A (zh) * 2019-08-30 2019-11-29 华侨大学 一种制备长线金刚石与碳纳米管纤维复合材料的方法

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114959841B (zh) * 2022-05-25 2023-07-14 石家庄雷力工具有限公司 一种金刚石绳锯的电镀工装及电镀工艺
CN115353117A (zh) * 2022-10-20 2022-11-18 四川大学 一种超疏水沙粒及其制备方法与应用

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5261687B2 (ja) * 2008-09-12 2013-08-14 山形県 砥粒加工用工具及び被覆砥粒
JP5548982B2 (ja) * 2009-12-25 2014-07-16 日本精線株式会社 ソーワイヤー及びその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110509199A (zh) * 2019-08-30 2019-11-29 华侨大学 一种制备长线金刚石与碳纳米管纤维复合材料的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015145324A (ja) 2015-08-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Guo et al. Templateless, surfactantless, simple electrochemical route to rapid synthesis of diameter-controlled 3D flowerlike gold microstructure with “clean” surface
Gül et al. Effect of particle concentration on the structure and tribological properties of submicron particle SiC reinforced Ni metal matrix composite (MMC) coatings produced by electrodeposition
CN104903492B (zh) 化学镀用催化剂、使用其的金属皮膜以及其制造方法
CN101050542A (zh) 使用电镀制造金属/碳纳米管纳米复合材料的方法
JP6332986B2 (ja) ナノカーボン繊維被覆ダイヤモンド粒子の製造方法
WO2011089933A1 (ja) ダイヤモンド微粒子を分散させた複合めっき液及びその製造方法
Afroukhteh et al. Corrosion behavior of Ni–P/nano-TiC composite coating prepared in electroless baths containing different types of surfactant
WO2016088395A1 (ja) ニッケルめっき液、固体微粒子付着ワイヤーの製造方法及びその固体微粒子付着ワイヤー
Sun et al. POSS functionalized graphene oxide nanosheets with multiple reaction sites improve the friction and wear properties of polyamide 6
KR20060127584A (ko) 반도성 및 금속성 탄소나노튜브의 분리방법
WO2019079882A9 (en) Modified boron nitride nanotubes and solutions thereof
Chen et al. Carbon nanotube composite deposits with high hardness and high wear resistance
Li et al. Electroless deposition of open-end Cu nanotube arrays
Kim et al. Roles of Ni/CNTs hybridization on rheological and mechanical properties of CNTs/epoxy nanocomposites
Danilov et al. Electrodeposition of composite coatings using electrolytes based on deep eutectic solvents: A mini-review
WO2013039097A1 (ja) 固体微粒子付着ワイヤー及びその固体微粒子付着ワイヤーの製造方法
Wu et al. Electroless nickel metallization to prepare SiO2–Ni composite particles via polyelectrolytes route
Martis et al. Impact of surface functionalization of MWCNTs on electrogenerated Ni/MWCNT composites from aqueous solutions
Ergul et al. Electroless nickel–phosphorus and cobalt–phosphorus coatings on multi-walled carbon nanotubes
US12018377B2 (en) Electroless plating of objects with carbon-based material
JP2011202245A (ja) 銅合金微粒子の製造方法、及び該製造方法で得られる銅合金微粒子
US10895013B2 (en) Gold nanostructures and processes for their preparation
Yusrini et al. Dispersion of strengthening particles on the nickel-iron-silicon nitride nanocomposite coating
Wang et al. Synthesis and characterization of peptide nucleic acid–platinum nanoclusters
KR20150014752A (ko) 은 나노입자의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161213

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20161213

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20161213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170919

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170914

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180403

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180424

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6332986

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250