JP6332166B2 - 光学活性物質の濃度算出システム及びプログラム - Google Patents
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Description
但し、A:測定された尿の旋光角[deg]
Ah:妨害旋光性物質によって発現する旋光角の最大値[deg]
Al:妨害旋光性物質によって発現する旋光角の最小値[deg]
α:旋光性物質の比旋光度[deg/cm・dl/kg]
L:測定光路長[cm]
の範囲であると判定する尿検査方法が記載されている。
請求項2に記載の発明は、前記第2の光学活性物質は、複数の光学活性物質を含み、前記第2の関数は、前記複数の光学活性物質における旋光度の波長依存性をまとめて単一の項として表す関数であって、当該単一の項における当該複数の光学活性物質の旋光分散の特性を規定する固有値が未知数で表される関数である請求項1に記載の光学活性物質の濃度算出システムである。
請求項3に記載の発明は、前記第1の関数における前記第1の光学活性物質の旋光分散の特性を規定する固有値の少なくとも一部は、とりうる範囲が制限された未知数であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学活性物質の濃度算出システムである。
請求項4に記載の発明は、前記第2の関数における前記第2の光学活性物質の固有値の少なくとも一部は、とりうる範囲が制限された未知数であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学活性物質の濃度算出システムである。
請求項5に記載の発明は、前記未知数の数と同じ数の波長によりそれぞれ測定された被測定物の観測旋光度は、人の眼球における眼房水を透過した光に対して得られることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学活性物質の濃度算出システムである。
請求項6に記載の発明は、コンピュータに、旋光度を表す数式に基づいて光学活性物質の濃度を算出する機能を実現させるためのプログラムであって、前記数式は、第1の光学活性物質における旋光度の波長依存性を表す第1の関数と、第2の光学活性物質における旋光度の波長依存性を表す第2の関数とを含み、前記第1の関数は、前記第1の光学活性物質の濃度が未知数であり、かつ前記第1の光学活性物質の旋光分散の特性を規定する固有値が既知数又はとりうる範囲が制限された未知数であり、前記第2の関数は、前記第2の光学活性物質の旋光分散の特性を規定する固有値が未知数であり、前記数式に含まれる未知数の数と同じ数の波長によりそれぞれ測定された被測定物の観測旋光度を旋光度とする複数の当該数式で構成される連立方程式を解くことで前記第1の光学活性物質の濃度を算出する機能を実現させるためのプログラムである。
請求項2の発明によれば、複数の光学活性物質における旋光度の波長依存性を複数の項として表す場合と比較し、数式に含まれる未知数の数を低減できる。
請求項3、4の発明によれば、とりうる範囲が制限されていない未知数の場合に比べて、光学活性物質の濃度の算出の精度がより向上する。
請求項5の発明によれば、眼球の眼房水に含まれる特定の光学活性物質の濃度が非侵襲にて求められる。
請求項6の発明によれば、被測定物に含まれるすべての光学活性物質の種類を知らなくとも、求めたい光学活性物質の濃度が算出できる。
(光学活性物質の濃度算出システム1)
図1は、本実施の形態が適用される光学活性物質の濃度算出システム1の一例を示す図である。
光学活性物質は、照射された直線偏光の偏光面を回転させる旋光性を備えている。ここで、偏光面とは、本実施の形態においては、直線偏光において電界が振動する面をいう。
図1に示す光学活性物質の濃度算出システム1は、光学活性物質が含まれる被測定物13に直線偏光を照射し、被測定物13を透過した後に観察される偏光面の回転角(観測旋光度αM)を測定することにより、被測定物13に含まれる光学活性物質の濃度を算出する。
ここでは、被測定物13に一つの光学活性物質が含まれる場合に観測される旋光度を旋光度αと表記し、被測定物13に複数の光学活性物質が含まれる場合に観測される旋光度を観測旋光度αMと表記する。後述するように、観測旋光度αMは、含まれるそれぞれの光学活性物質による旋光度αの和となる。被測定物13に含まれる光学活性物質のそれぞれの旋光度αは、被測定物13中に含まれる光学活性物質の濃度を反映する。
なお、被測定物13に複数の光学活性物質が含まれても、求めたい光学活性物質の濃度が分かればよい。
測定部10は、光学活性物質が含まれる被測定物13に直線偏光を照射し、被測定物13を透過した後に観察される偏光面の回転角(観測旋光度αM)を測定する。
制御部20は、測定部10における観測旋光度αMの測定を制御し、測定に使用した波長λと観測旋光度αMとを組み合わせた測定データをデータ処理部30に送信する。
データ処理部30は、制御部20から受信した波長λと観測旋光度αMとを組み合わせた測定データから、数値計算処理により被測定物13に含まれる光学活性物質の濃度を算出し、濃度をUI部40に送信する。
ユーザは、UI部40のキーボードなどの入力デバイスを介して、制御部20に対して測定部10の動作を指示し、データ処理部30に対して後述する数式や固有値を入力する。
また、ユーザは、UI部40のディスプレイなどの出力デバイスを介して、測定部10の動作の状態や、データ処理部30からの求めたい光学活性物質の濃度を得る。
なお、図1に示す測定部10には、光源11、偏光子12、被測定物13、補償子14、検光子15、受光素子16のそれぞれの間において、光の進行方向から見た偏光の様子を円内の矢印で示している。
ここでは、被測定物13は複数の光学活性物質を含んでいるとする。
ここでは、光源11が出射する光は、図1中に示すように、ランダムな偏光面を持つ光を含んでいるとする。なお、光源11が出射する光が直線偏光であってもよい。この場合には、次に説明する偏光子12を不要としてもよい。
偏光子12を透過した直線偏光は、被測定物13に含まれる光学活性物質により、偏光面が回転する。図1では、偏光面は角度αM(観測旋光度αM)回転するとする。
受光素子16は、シリコンダイオードなどの受光素子であって、光の強度に対応した出力信号を出力する。
まず、被測定物13を挿入しないで(取り除いて)、光源11、偏光子12、補償子14、検光子15、受光素子16からなる光学系において、受光素子16の出力信号が最小になるように、補償子14及び検光子15を設定する。被測定物13を挿入しない状態において、偏光子12を透過した直線偏光の偏光面が、検光子15を透過する偏光面と直交している。
なお、図1では、偏光子12の偏光面と検光子15を透過する前の偏光面が共に、紙面に平行であるとしている。しかし、補償子14によって偏光面が回転する場合には、検光子15を透過する前の偏光面が紙面に平行な面から傾いていてもよい。すなわち、被測定物13を測定部10に挿入しない場合に、受光素子16の出力信号が最小になるように、補償子14と検光子15とを設定すればよい。
そして、補償子14によって回転させた偏光面の角度が、被測定物13に含まれる光学活性物質によって発生した観測旋光度αMに対応する。補償子14に印加した磁場の大きさと回転した偏光面の角度との関係は、事前に知られているので、補償子14に印加した磁場の大きさから、観測旋光度αMが分かる。
なお、観測旋光度αMを求める方法として補償子14を使用した例を述べたが、補償子14以外で観測旋光度αMを求めてもよい。また、図1では、回転角(旋光度)を測定する最も基本的な測定法である直交偏光子法(ただし補償子を使用)について示したが、回転検光子法やファラデー変調法、光学遅延変調法といった他の測定方法を適用してもよい。
データ処理部30は、波長λと観測旋光度αMとを組み合わせた測定データ(λ1:αM1、λ2:αM2、λ3:αM3、…)に基づいて、被測定物13に含まれる光学活性物質の濃度を算出する。
例えば、血液中のグルコース濃度は、血糖値と呼ばれ、糖尿病などの指標として広く用いられている。血清とほぼ同じ成分である眼房水においても、グルコース、アルブミン・グロブリンなどのタンパク質、アスコルビン酸をはじめとする旋光性を有する光学活性物質が多く含まれている。そして、血液中のグルコース濃度と眼房水中のグルコース濃度とは相関関係があることが知られている。
眼房水は透明性が高い。よって、旋光性を利用して眼房水中のグルコース濃度が測定できれば、非侵襲のグルコース濃度の測定法となりうる。
例えば、旋光性を利用してグルコース濃度を求める場合、観測旋光度αMから目的とするグルコースに対応する信号(濃度、旋光度αなど)を分離することが必要になる。
以下では、複数の光学活性物質が含まれる被測定物13において、測定された観測旋光度αMから、求めようとする光学活性物質の濃度を算出する方法について説明する。
まず、旋光度αについて説明する。
ある単一の光学活性物質を含む被測定物13において、波長λに対する旋光度αは、式(1)で示される。すなわち、旋光度α(deg)は、比旋光度[α](deg/(dm・g/ml))、光路長L(dm)、濃度C(g/ml)の積で表される。比旋光度[α]は、光学活性物質の濃度Cや光路長Lを含まない。そして、比旋光度[α]は、温度一定の下では光学活性物質に固有の定数である。
比旋光度[α]は、極大点・極小点より長い波長領域において単調減少又は単調増加となるドルーデ単項式で表すことができる。ドルーデ単項式は、光学活性物質の旋光分散を表す関数の一例であり、式(2)で示される非線形関数である。なお、図2では、極大点より長い波長領域において単調減少となる関数として示している。ここで、λが変数で、A、λ0は光学活性物質に固有の定数(光学活性物質の旋光分散の特性を規定する固有値)である。
ここでは、被測定物13が複数の光学活性物質を含む場合、それぞれの光学活性物質において旋光度αi、濃度Ci、比旋光度[αi]、固有値Ai、λiと表記する。なお、添え字“i”の代わりに光学活性物質の名前にちなんだ符号、例えばグルコースの場合には添え字“g”などを用いる場合がある。また、光路長Lは、被測定物13により定まるためそれぞれの光学活性物質に対して同じである。
グルコースは、右回りの旋光性(右旋性)を示し、アルブミンは左回りの旋光性(左旋性)を示すので、図3に示すように、グルコースの旋光度αgは、正であって、波長λに対して単調減少し、アルブミンの旋光度αaは、負であって、波長λに対して単調増加する。
そして、図3に示すように、観測旋光度αMは、グルコースの旋光度αgとアルブミンの旋光度αaの和で表される。
なお、眼房水においては、図3に示すように、一般的には、グルコースはアルブミンに比べ観測旋光度αMへの影響が大きく、さらには、グルコース、アルブミンが、他の光学活性物質に比較して、比旋光度[α]が大きく、濃度Cが高い。
次に、複数の光学活性物質が含まれた被測定物13において、観測旋光度αMから、未知数である求めたい光学活性物質の濃度Ciを算出する方法について説明する。
本実施の形態においては、式(3)で示すような、被測定物13の旋光度の波長依存性を表す数式(理論式)を用いて、少なくとも求めたい光学活性物質の濃度Ciを未知数とし、非線形最小二乗法により濃度Ciを算出する。
よって、式(3)に示すように、これらの15種類程度の光学活性物質すべての旋光度αiの和で表現した数式に基づいて、グルコースなどの特定の光学活性物質の濃度Ciを算出する方法を採用することが考えられる。
しかし、眼房水は人の眼球内部に存在しており、体外に排出される涙や尿などのように容易に採取することができないため、含まれる光学活性物質の種類を正確に調査することは困難であり、明確になっていない。さらには、個人ごとの生活習慣や薬の服用等に起因して、眼房水に含まれる光学活性物質の種類や濃度比も変化すると考えられるため、単に、上記の15種類程度の光学活性物質すべての旋光度αiの和で表現した数式に基づいて、グルコースなどの特定の光学活性物質の濃度Ciを算出しようとしても、所望の精度で算出することが困難と考えられる。
すなわち、式(5)に示すように、観測旋光度αMは、特定の光学活性物質に対する旋光度αiと残りの光学活性物質をまとめた旋光度αxとの和に近似する。つまり、観測旋光度αMは、特定の光学活性物質に対する旋光分散を表すドルーデ単項式を含む関数の和と、残りの光学活性物質における旋光度の波長依存性をまとめて旋光分散を表すX(λ、A)との和とする。
ここで、nは、被測定物13に含まれる光学活性物質の全数、kは、被測定物13に含まれるすべての光学活性物質のうち、特定の光学活性物質の数である。よって、1≦k<nである。例えば、被測定物13に15種の光学活性物質が含まれている場合には、n=15である。特定の光学活性物質は、被測定物13の観測旋光度αMへの影響度の大きい物質(比旋光度の絶対値が大きい物質)の方が濃度算出の精度が高くなるため、影響度が最大の物質を含むようにすれば、その算出濃度の精度は高くなる。また、特定の光学活性物質として複数選択する場合は、影響度の大きい物質順に複数選択してもよい。
なお、特定の光学活性物質の少なくとも1種が濃度を求めたい光学活性物質であればよく、濃度を求めたい光学活性物質については、濃度は未知数とし、かつ濃度を求めたい光学活性物質の固有値は既知の値(既知数)、又は後述するように、とりうる範囲が制限された未知数とする。X(λ、A)においては、残りの光学活性物質の固有値の少なくとも1つは未知数とする。
また、後述するように、残りの複数の光学活性物質の旋光度αxに比例するX(λ、A)が観測旋光度αMに対して影響が小さいと分かっている場合は、X(λ、A)を“0”としてもよい。
観測旋光度αMの波長依存性は、図2、図3に示したように、波長λに対して、非線形となる。そこで、非線形最小二乗法によって関数g(λ)の関数当てはめが行える。すなわち、求めたい濃度Ciなどの未知数に数値を当てはめつつ、二乗和が最小になる関数g(λ)を求める。
ここでは、レーベンバーグ・マルカート法を用いて、求めたい光学活性物質の濃度Cを算出する。レーベンバーグ・マルカート法は、ガウス・ニュートン法の解の収束不安定性を改善するために開発され、非線形最小二乗法のアルゴリズムとして広く使われている。レーベンバーグ・マルカート法はよく知られた方法であるので、説明を省略する。
また、測定データとしては、複数の観測旋光度αM、すなわち、2以上の波長λに対する観測旋光度αMを用いる。波長λの数が多いほど、求められる未知数の精度が向上する。しかし、波長λの数が多いと数値計算に時間がかかる。よって、状況に応じて波長λの数を選択すればよい。
ここでは、レーベンバーグ・マルカート法を用いたが、他のアルゴリズムを適用してもよい。
ここでは、グルコースを含む19種の光学活性物質を混合した被測定物13に対して、複数の波長λにおける観測旋光度αMから、レーベンバーグ・マルカート法を用いた非線形最小二乗法により、グルコースの濃度(算出値)Cgcを算出した。そして、被測定物13に含まれる(混合した)グルコースの濃度(真値)Cgrと比較した。
なお、被測定物13は、人の眼房水に近似するように、把握できている範囲で光学活性物質の種類及びそれぞれの濃度Ciが設定されている。なお、人においてばらつきがあるので、可能性のある上限、下限及び中央の3条件を設定した。以下に示す図5〜8において、3条件を○、□、△の記号で示している。
図5は、グルコース濃度Cgを観測旋光度αMから計算によって求めた算出例1を示す図である。図5(a)は、波長λと観測旋光度αMの関係、図5(b)は、グルコース濃度(真値)Cgrとグルコース濃度(算出値)Cgcとの関係を示す図である。
算出例1では、グルコースを含む19種の光学活性物質を混合した被測定物13に対して、式(6)によりグルコース濃度Cgを計算した。
ここでは、式(6)において、グルコース濃度Cg、アルブミン濃度Ca、アルブミンの固有値Aa、グルコースとアルブミンとを除いた残りの光学活性物質をまとめたX(λ、A)における定数である固有値λxを未知数とし、X(λ、A)におけるAxとCxは、その積を1つの未知数とした。
グルコースの固有値Ag、λg及びアルブミンの固有値λaは既知の値(既知数)として、それぞれ1.72×107、150、250とした。
観測旋光度αMの測定には、図5(a)に示す4つの波長λを用いた。そして、波長λ1(410nm)に対して観測旋光度αM1(2.89mdeg)、波長λ2(420nm)に対して観測旋光度αM2(2.79mdeg)、波長λ3(440nm)に対して観測旋光度αM3(2.60mdeg)、波長λ4(470nm)に対して観測旋光度αM4(2.33mdeg)を得た。なお、観測旋光度αMの分解能は、小数第二位まで測定できたとした。
上記の結果から分かるように、波長λ1(410nm)から波長λ4(470nm)までの波長範囲において、観測旋光度αMは単調に減少する。
図5(b)に示すように、レーベンバーグ・マルカート法を用いた非線形最小二乗法により算出したグルコース濃度(算出値)Cgcとグルコース濃度(真値)Cgrとは、グルコース濃度(真値)Cgrが0〜400mg/dlの範囲において、比例する関係が得られている。そして、グルコース濃度Cgの値に比べて、3条件(○、□、△)における差(ばらつき)が小さい。すなわち、グルコースを含む19種の光学活性物質を混合した被測定物13に対して、観測旋光度αMからグルコース濃度Cgが精度よく算出できる。
以上のように、眼房水のように被測定物13に含まれる残りの光学活性物質の種類や濃度比が不明確な場合、一見すると濃度算出が困難と思われる。しかしながら、本算出例のように、X(λ、A)における固有値を未知数とすることで、所望の精度で濃度が算出されうる。
すなわち、上記の計算では、未知数の数を5個としたが、未知数の数はこれよりも多くても少なくてもよい。
また、波長λを4波長としたが、複数であればよく、2波長であっても、3波長であってもよい。また、4波長を超えてもよい。
さらに、数値計算では、未知数に対して初期値を設定することが必要である。実施例1では、グルコース濃度Cgに初期値として500mg/dlを設定したが、これより大きくても、小さくてもよい。
算出例2では、式(6)において、グルコースとアルブミンとを除いた残りの光学活性物質による旋光度αx(X(λ、A))を“0”とした。すなわち、式(6)の代わりに、式(10)を用いた。なお、式(10)は、式(4)である。
観測旋光度αMの測定には、図6(a)に示す4波長を用いた。これらの4波長は、図5(a)に示した4波長と同じであるが、それぞれの波長λに対する観測旋光度αMの分解能を小数第一位までとした。得られる観測旋光度αMは、サブミリ度オーダーであると想定されるため、観測旋光度αMに対して分解能が得られにくい場合の影響を明らかにするためである。
なお、アルブミンの固有値Aaを未知数としたが、既知の値を用いてもよい。ただし、アルブミンの固有値Aa及びλaを既知の値とした場合、個人ごとの生活習慣や薬の服用等に起因して、眼房水に含まれる光学活性物質の種類や濃度比が変化した場合、所望の精度で濃度算出ができない可能性が考えられる。このような場合は、算出例1における式(6)または、後に説明する算出例3における式(11)を採用すればよい。
また、式(10)を眼房水以外の他の被測定物に応用する場合は、被測定物13の観測旋光度への影響度の大きい物質(比旋光度の絶対値が大きい物質)を順に複数選択し、その他の物質による旋光度を“0”としてもよい。
図7(a)に示すように、波長λ5(660nm)から波長λ8(850nm)までの長波長領域において、観測旋光度αMは単調に減少する。しかし、図6(a)に示した短波長領域の光を用いた場合に比べて、観測旋光度αMの変化が小さい。
そして、図7(b)に示すように、グルコース濃度(算出値)Cgcとグルコース濃度(真値)Cgrとは、グルコース濃度(真値)Cgrが0〜600mg/dlの範囲において、比例する関係となっているが、3条件(○、□、△)における差(ばらつき)が、図6(b)に示した場合より大きい。これは、波長λに対して、観測旋光度αMの変化が小さいためと考えられる。すなわち、この長波長領域は、図2において、比旋光度[α]の変化が小さい波長λの領域に該当するためである。
ここに示した半導体レーザは一例であって、波長λに対応する半導体レーザを選択して用いればよい。
半導体レーザは小型であるとともに、波長幅が狭いことから、光学活性物質の濃度算出システム1の小型化に寄与する。
算出例3では、式(10)におけるアルブミンに対する旋光度αaを、グルコースを除いた残りの光学活性物質をまとめて記述する旋光度αxに置き換えた式(11)を用いた。グルコースを除いた残りの光学活性物質をまとめて濃度Cx、グルコースを除いた残りの光学活性物質をまとめて定数Ax、λxとすることで、単一の項としている。
観測旋光度αMの測定には、図8(a)に示す4波長を用いた。これらの4波長は、図7(c)に示した4波長と同じである。観測旋光度αMの差が大きくなる波長領域を用いた。
また、上記においては、最小二乗法によって濃度を算出する例を示したが、連立方程式を解くことで濃度を算出してもよく、この場合は、波長λの数は、連立方程式における未知数の数と同じ数の波長数とすればよい。
また、式(6)に比べて、式(11)の方が、数式が単純であるため計算時間が短縮される。よって、計算時間を短縮したい場合は、式(6)ではなく式(11)を使用すればよい。なお、他の被測定物13に対しては、求めたい光学活性物質の種類や、被測定物13に含まれる光学活性物質の種類に応じて、式(6)、式(10)、式(11)における光学活性物質を変更して用いればよい。
また、式(5)に示すように、観測旋光度αMを、被測定物13中に含まれる光学活性物質の数より少ない数の非線形関数の和で表している。つまり、濃度を求めたい光学活性物質以外の複数の光学活性物質に対して、旋光度の波長依存性をまとめて単一の項として表す関数を使用している。これにより、被測定物13中に含まれる全ての光学活性物質の各々に対応する非線形関数の和として数式を表現する必要がないため、数式に含まれる未知数の数が低減される。これにより、例えば、計算時間が短縮されうる。
また、非線形最小二乗法による関数当てはめを行うことで、未知数の数が測定に用いる波長λの数より多くても、求めたい光学活性物質の濃度Cが計算できる。そして、未知数の数よりも測定に用いる波長λの数を多くすれば、少ない場合と比較して、濃度算出の精度が高まる。
算出値は、真値と相関性(比例関係)が高いことが求められる。そこで、算出値と真値との相関性を高める方法について説明する。
数値計算アルゴリズムとして用いられるレーベンバーグ・マルカート法や準ニュートン法などの勾配法による局所最適化計算は、関数の最小値ではなく、ある領域の極小値を探す。このため、適切な領域で計算できなければ、求められる解(算出値)が真値と大きく異なってしまうことになる。また、与える初期値(初期推定値)によっても、計算によって求められる解(算出値)が真値と大きく異なってしまうことがある。
このような場合においても、光学活性物質の濃度Cや固有値等の未知数に対して、とりうる範囲を制限する制約条件を設けることで、算出値と真値とを一致又は近づけられる。
また、未知数の初期値(初期推定値)を替えることによっても、算出値と真値とを一致又は近づけられる。
すなわち、算出値の精度が向上する。
図9は、グルコース濃度(算出値)Cgcを式(11)を用いて算出する際に、未知数に制約条件を設けない場合と制約条件を設けた場合とを比較する図である。図9(a)は、制約条件を設けない場合、図9(b)、(c)は、制約条件を設けた場合である。図9(a)、(b)、(c)では、グルコース濃度(真値)Cgrとグルコース濃度(算出値)Cgcとの関係を示している。
図9(a)、(b)、(c)において、符号◇、□、△、■、〇は、グルコースを含む19種の光学活性物質を混合した被測定物13において、光学活性物質の混合比が異なる場合を示している。
なお、後述するグルコース濃度Cgcの初期値は、300mg/dlとした。
図9(b)のCgc>0、Ax<0とする制約条件を設けた場合でも、図9(a)と同様に、算出値(プロット点)がやや広く散らばっている。
しかし、図9(c)のCgc>0、Ax<0、250≦λx≦300とする制約条件を設けた場合では、図9(a)、(b)と異なって、算出値(プロット点)がそれほど散らばっておらず、グルコース濃度(真値)Cgcとグルコース濃度(算出値)Cgcとの相関性(比例関係)が高い。
図10は、グルコース濃度(算出値)Cgcを式(11)を用いて算出する際に設定されるグルコース濃度Cgcの初期値を比較する図である。図10(a)は、初期値が100ml/dlの場合、図10(b)は、初期値が300ml/dlの場合、図10(c)は、初期値が500ml/dlの場合である。
図10(a)、(b)、(c)における符号◇、□、△、■、〇は、図9(a)、(b)、(c)の場合と同じである。
なお、未知数にたいする制約条件は、図9(c)と同じCgc>0、Ax<0、250≦λx≦300とした。
これに対し、図10(b)のグルコース濃度Cgcの初期値を300mg/dlとした場合には、算出値(プロット点)は、グルコース濃度(真値)Cgrとグルコース濃度(算出値)Cgcとが比例関係に近く分布している。
さらに、図10(c)のグルコース濃度Cgcの初期値を500mg/dlとした場合には、算出値(プロット点)が、グルコース濃度(真値)Cgrとグルコース濃度(算出値)Cgcとの比例関係にさらに近づいて分布している。
同様に、未知数に対する初期値についても、ある値に限定するのではなく、複数の初期値で(初期値を可変にして)光学活性物質の濃度Cを算出することとした。そして、複数の初期値でそれぞれ得られた算出値から、好ましい算出値を光学活性物質の濃度Cとしている。
なお、未知数に対する制約条件と初期値との、いずれか一方又は両方を複数設けて、すなわち、制約条件と初期値との組み合わせを複数設けて、光学活性物質の濃度Cを算出するようにしてもよい。
よって、式(9)を目的関数として、未知数に対する複数の制約条件や複数の初期値などのそれぞれにおける目的関数の値を比較し、好ましい算出値を選択すればよい。
図11(b)の制約条件Bは、Cgc>0、Ax<0、250≦λx≦300である。なお、グルコース濃度Cgcの初期値は300mg/dlとした。制約条件Bは、図9(c)と同じである。制約条件Bでは、算出値(プロット点)がそれほど散らばらずに、グルコース濃度(真値)Cgrとグルコース濃度(算出値)Cgcとが比例関係に近い。
すなわち、制約条件Bを用いてグルコース濃度Cgcを算出すれば、制約条件Aを用いる場合よりも濃度算出の精度が高まる。
制約条件Aと制約条件Bとでは、制約条件Bの方が、目的関数の大きさが小さい。すなわち、真値と算出値との差が小さい。よって、制約条件Bのもとで算出された198mg/dlをグルコース濃度Cgcとして選択すればよい。
図11(a)、(b)は、制約条件Bを選択する方が真値と算出値との差が小さいことを裏付けるとともに、図11(c)は、目的関数の大きさにより真値により近い算出値を選択しうることを示している。
パラメータに対して複数の制約条件や複数の初期値で算出したり、これらを組み合わせたりすることで、真値と相関関係が高い算出値が得られる。
以下では、データ処理部30について、実施例を説明する。
図12は、データ処理部30の概要を説明する図である。データ処理部30は、波長λと波長λにより測定された観測旋光度αMとを組み合わせた測定データ(λ1:αM1、λ2:αM2、λ3:αM3、…)及び光路長Lから、求めようとする光学活性物質の濃度Cを出力する。
図13は、実施例1におけるデータ処理部30の機能ユニットを説明する図である。
データ処理部30は、制御部20及びUI部40に接続されている。そして、データ処理部30は、濃度算出ユニット101を備えている。
データ処理部30の濃度算出ユニット101は、制御部20から送信された波長λと観測旋光度αMとを組み合わせた測定データ(λ1:αM1、λ2:αM2、λ3:αM3、…)及び光路長Lに基づいて光学活性物質の濃度Cを算出する。そして、算出した光学活性物質の濃度CをUI部40に送信する。
そして、測定データ(λ1:αM1、λ2:αM2、λ3:αM3、…)及び光路長Lが、制御部20から入力されると、直ちにグルコース濃度Cgcを算出して、出力する。
例えば、光路が前眼房を横切るように設定される場合における光路長Lは、予め定められた標準的な人の前眼房における光路長としてもよい。光路長Lが固定値である場合には、濃度算出ユニット101が予め備えていてもよい。
また、医療機関等において、測定された自己の前眼房における光路長としてもよい。これらの場合、光路長Lは、UI部40から入力されてもよい。濃度算出ユニット101が予め備える複数の光路長から自己の光路長に近いものをUI部40から選択するようにしてもよい。
このように、光路長Lを外部から入力する場合、データ処理部30は、制御部20を経由しないで光路長Lを取得してもよい。
図14は、実施例2におけるデータ処理部30の機能ユニットを説明する図である。
データ処理部30は、濃度算出ユニット111、数式記憶ユニット112及び固有値記憶ユニット113を備えている。
数式記憶ユニット112は、被測定物13に含まれる、求めたい光学活性物質の濃度Cを算出する式(6)、式(10)、式(11)などの数式(アルゴリズム)を記憶している。数式記憶ユニット112は、複数の数式を記憶していてもよい。
固有値記憶ユニット113は、光学活性物質の濃度Cを算出する数式に代入する光学活性物質の固有値を記憶している。固有値記憶ユニット113は、複数の数式のそれぞれに対応する複数の固有値を記憶していてもよい。
そして、算出された光学活性物質の濃度Cを、UI部40のディスプレイなどに表示する。
数式記憶ユニット112は、例として、#1〜#5の複数の数式を記憶している。なお、数式記憶ユニット112は、数式を記憶するとしたが、数式を実行するプログラムであってもよい。この場合であっても、数式を記憶していると表記する。
前述したように、数式は、濃度をUI部40に表示させたい光学活性物質(第1の光学活性物質)と眼房水に含まれる第1の光学活性物質以外の光学活性物質(第2の光学活性物質)との組み合わせに応じて設定されている。よって、第1の光学活性物質と第2の光学活性物質との組み合わせによって、数式が選択されるようになっている。
#2のアルブミンを第1の光学活性物質とし、アルブミンを除いた残りの光学活性物質をまとめて第2の光学活性物質とする場合には、式(12)が選択される。
#3のグルコース及びアルブミンを第1の光学活性物質とし、グルコース及びアルブミンを除いた残りの光学活性物質をまとめて第2の光学活性物質とする場合には、式(6)が選択される。
#4のグルコースを第1の光学活性物質とし、アルブミンと、グルコース及びアルブミンを除いた残りをまとめた光学活性物質とを第2の光学活性物質とする場合には、式(6)が選択される。
#5のグルコースを第1の光学活性物質とし、アルブミンを第2の光学活性物質とする場合には、式(10)が選択される。
なお、数式記憶ユニット112には、他の組み合わせが記憶されていてもよい。
固有値記憶ユニット113は、例えば、グルコースの固有値Ag、λgとアルブミンの固有値λaが記憶されている。そして、数式記憶ユニット112から選択された数式に応じて、必要な固有値が読み出される。なお、アルブミンの固有値としてはλaだけでなく、式(6)等におけるAaも記憶されていてもよい。
データ処理部30は、中央演算処理装置(以下ではCPUと表記する。)31、RAM32、ROM33、ハードディスクドライブ(以下ではHDDと表記する。)34、入出力インターフェイス(以下ではI/Oと表記する。)35を備えている。
そして、CPU31、RAM32、ROM33、HDD34、I/O35は、信号バス36で接続されている。
I/O35は、光学活性物質の濃度算出システム1における制御部20、UI部40に接続されている。
なお、CPU31、RAM32、ROM33、I/O35が、ASIC37などとして構成されていてもよい。
RAM(Random Access Memory)32は、CPU31による演算の実行に用いるプログラム、データを保持する。通常、RAM32は揮発性の記憶媒体であって、電源が供給されている間において、データの読み書きができ、書き込まれたデータを保持し、電源が供給されていないとデータが失われる。
ROM33は不揮発性の記憶媒体(不揮発性メモリ)であって、電源が供給されている間において、データの読み書きができるとともに、電源が供給されていないときにおいても、書き込まれたデータを保持する。ここでは、ROM33は、データの書き換えができないROM(Read Only Memory)であってもよく、データの書き換えが可能なフラッシュメモリであってもよい。
HDD34は、大容量の書き換え可能な不揮発性メモリであって、プログラムやデータを保持する。なお、ROM33が、ファームウエアとして、プログラムやデータを保持していてもよい。この場合、データ処理部30は、HDD34を備えなくてもよい。
そして、CPU31は、制御部20から送信された波長λと波長λにより測定された観測旋光度αMとを組み合わせた測定データをRAM32に書き込むと共に、プログラム(数式)に固有値及び測定データ(λ1:αM1、λ2:αM2、λ3:αM3、…)を代入して、光学活性物質の濃度Cを算出する。
その後、求められた光学活性物質の濃度CをUI部40の備えるディスプレイに表示する。
図17は、実施例3におけるデータ処理部30の機能ユニットを説明する図である。
データ処理部30は、濃度出力ユニット121及びLUT(lookup table)記憶ユニット122を備えている。なお、LUT記憶ユニット122は、記憶手段の一例である。
LUT記憶ユニット122は、後述する参照テーブル(LUT)を記憶している。
データ処理部30における濃度出力ユニット121は、制御部20から送信された波長λと観測旋光度αMとを組み合わせた測定データ(λ1:αM1、λ2:αM2、λ3:αM3、…)に基づいて、LUT記憶ユニット122が記憶するLUTを参照して、波長λと観測旋光度αMとの組み合わせと一致する光学活性物質の濃度Cを、UI部40に出力する。
なお、LUTに波長λと観測旋光度αMとの組み合わせと一致する組み合わせがない場合には、最も近い組み合わせを選択したり、複数の近い組み合わせを用いた補完計算をしたりなどをしてもよい。
また、LUT記憶ユニット122は、LUTを記憶できるものであればよく、ROM、HDDなどの不揮発性メモリであってよく、書き換え可能な不揮発性メモリであってもよい。
LUT記憶ユニット122を使用した本実施例3では、予め計算されてLUT記憶ユニット122に記憶されているグルコース濃度Cgcを読み出せばよいので、LUT記憶ユニット122を使用しない実施例1又は実施例2のように、入力された測定データ(λ1:αM1、λ2:αM2、λ3:αM3)に基づいてグルコース濃度Cgを計算して算出することを要しない。このため、実施例1又は実施例2に示した入力された測定データ(λ1:αM1、λ2:αM2、λ3:αM3)に基づいてグルコース濃度Cgを算出して出力する場合に比べて、測定データ(λ1:αM1、λ2:αM2、λ3:αM3)が入力された後、グルコース濃度Cgが出力されるまでの時間が短い。
なお、製造に際しては、最小二乗法ではなく、数式に含まれる未知数の数と同じ数の方程式で構成される連立方程式を解く方法を採用してもよい。
なお、LUT記憶ユニット122は、複数のLUTを記憶していてもよい。
また、LUT記憶ユニット122が記憶するLUTから算出されるグルコース濃度Cgcは、単位光路長に対するものであってもよい。この場合、光路長LをUI部40などから入力し、光路長Lに対する補正を行うことになる。しかし、光路長Lに対する補正は、単純な乗算であるので、濃度出力ユニット121において処理しうる。そして、この処理は、入力された測定データ(λ1:αM1、λ2:αM2、λ3:αM3)に基づいてグルコース濃度Cgcを算出することに比べて、短い時間で行える。よって、測定データ(λ1:αM1、λ2:αM2、λ3:αM3)が入力された後、グルコース濃度Cgcが出力されるまでの時間への影響が小さい。
光学活性物質の濃度算出システム1におけるUI部40に備えられたディスプレイへの光学活性物質の濃度Cの表示例を説明する。ここでは、算出されたグルコース濃度Cgcを表示するとして説明する。
図19は、光学活性物質の濃度算出システム1をグルコース濃度測定器に適用した場合において、UI部40の備えるディスプレイへの光学活性物質の濃度Cの表示例を示す図である。図19(a)は、数値で示した表示例、図19(b)は、バーグラフ(レベル)で示した表示例、図19(c)は、OK/NGで示した表示例、図19(d)は、グルコース濃度Cgに加え、他の光学活性物質の濃度を数値で示した表示例である。
図19(a)、(d)は、数値で示しているので、グルコース濃度Cgcの変化を追跡しやすい。図19(b)は、バーグラフ(レベル)で示しているので、グルコース濃度Cgcのレベルが一目で把握できる。図19(c)は、予め定められたしきい値以下の場合をOK、超える場合をNGとし、NGの場合にユーザに注意を促す。このとき、OKを緑で、NGを赤で表示するようにしてもよい。
上記の表示例は、一例であって、これらを組み合わせてもよく、他の表示方法を適用してもよい。また、UI部40の出力は、聴覚情報を与えるデバイスのように、ディスプレイのような視覚情報を示すデバイスには限らない。
なお、血糖値を測定する目的の場合は、血液中のグルコース濃度と眼房水中のグルコース濃度との相関関係から、眼房水において測定(算出)されたグルコース濃度Cgcを血液中のグルコース濃度に換算して表示してもよい。
本実施の形態を、人の眼球の眼房水の適用する以外に、光学セルなどを使用した計測機に適用してもよい。光学セル(容器)に光学活性物質を含む被測定物13を入れ、光が光学セルを横切って通過するように光学系を設ければよい。この場合、光路長Lは光学セルによって決まる。
例えば、PCのユーザが、PCが備えるディスプレイ(表示画面)において、光学活性物質の濃度Cの算出のための数式、固有値、光路長L、光学活性物質の濃度Cを算出するために使用する波長λと旋光度αとの少なくとも一つの組み合わせなどを指定する。すると、PCは、プログラムを実行して、最小二乗法によって、光学活性物質の濃度Cを算出して、算出された光学活性物質の濃度Cをディスプレイ(表示画面)に表示する。なお、本プログラムの実行の際に使用する固有値、光路長L、波長λと旋光度αの組み合わせ等は必ずしも実際の測定結果を使用する必要はない。例えば、旋光度αは、実際に被測定物に光を照射して取得してもよいし、実際に被測定物に光を照射せずに、光を照射したと仮定した場合の、仮定上の旋光度であってもよい。このように、ユーザが仮に設定する条件で濃度が算出されるようになっていることで、様々なシミュレーション等に活用しうる。また、最小二乗法に代えて、数式に含まれる未知数の数と同じ数の方程式で構成される連立方程式を解く方法を採用してもよい。
Claims (6)
- 旋光度を表す数式に基づいて光学活性物質の濃度を算出するシステムであって、
前記数式は、第1の光学活性物質における旋光度の波長依存性を表す第1の関数と、第2の光学活性物質における旋光度の波長依存性を表す第2の関数とを含み、
前記第1の関数は、前記第1の光学活性物質の濃度が未知数であり、かつ前記第1の光学活性物質の旋光分散の特性を規定する固有値が既知数又はとりうる範囲が制限された未知数であり、
前記第2の関数は、前記第2の光学活性物質の旋光分散の特性を規定する固有値が未知数であり、
前記数式に含まれる未知数の数と同じ数の波長によりそれぞれ測定された被測定物の観測旋光度を旋光度とする複数の当該数式で構成される連立方程式を解くことで前記第1の光学活性物質の濃度を算出する
光学活性物質の濃度算出システム。 - 前記第2の光学活性物質は、複数の光学活性物質を含み、
前記第2の関数は、前記複数の光学活性物質における旋光度の波長依存性をまとめて単一の項として表す関数であって、当該単一の項における当該複数の光学活性物質の旋光分散の特性を規定する固有値が未知数で表される関数である請求項1に記載の光学活性物質の濃度算出システム。 - 前記第1の関数における前記第1の光学活性物質の旋光分散の特性を規定する固有値の少なくとも一部は、とりうる範囲が制限された未知数であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学活性物質の濃度算出システム。
- 前記第2の関数における前記第2の光学活性物質の固有値の少なくとも一部は、とりうる範囲が制限された未知数であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学活性物質の濃度算出システム。
- 前記未知数の数と同じ数の波長によりそれぞれ測定された被測定物の観測旋光度は、人の眼球における眼房水を透過した光に対して得られることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学活性物質の濃度算出システム。
- コンピュータに、旋光度を表す数式に基づいて光学活性物質の濃度を算出する機能を実現させるためのプログラムであって、
前記数式は、第1の光学活性物質における旋光度の波長依存性を表す第1の関数と、第2の光学活性物質における旋光度の波長依存性を表す第2の関数とを含み、
前記第1の関数は、前記第1の光学活性物質の濃度が未知数であり、かつ前記第1の光学活性物質の旋光分散の特性を規定する固有値が既知数又はとりうる範囲が制限された未知数であり、
前記第2の関数は、前記第2の光学活性物質の旋光分散の特性を規定する固有値が未知数であり、
前記数式に含まれる未知数の数と同じ数の波長によりそれぞれ測定された被測定物の観測旋光度を旋光度とする複数の当該数式で構成される連立方程式を解くことで前記第1の光学活性物質の濃度を算出する機能を実現させるためのプログラム。
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