以下、図面が参照されつつ本発明の実施形態が説明される。なお、本実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨が変更されない範囲において、本実施形態が適宜変更されてもよいことは言うまでもない。
本実施形態におけるフィルタ装置20(本発明の血液フィルタ装置の一例)は、図1に示されるように、内部空間を有する円筒形状の本体容器21(本発明の容器の一例)と、本体容器21の内部空間に装填された血球細胞除去フィルタ24とで構成される。このフィルタ装置20は、供給された血液から血球細胞(典型的には白血球だが他の成分でもよい。)を除去して、つまり血液を濾過して排出する血球細胞除去処理を行う装置である。血球細胞除去処理の詳細は、後述する。なお、血液は、人間の血液であるのが通常であるが、人間以外の動物の血液であってもよい。
本体容器21は、例えば、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂によって形成されている。本体容器21には、図1に示されるように、内部空間と連続する第1ポート22(本発明の血液流入口の一例)及び第2ポート23(本発明の血液流出口の一例)が設けられている。第1ポート22は、本体容器21の一方側の端面に設けられており、第1血液回路(不図示)に接続されている。ここで、第1血液回路は、一端が患者に接続され他端が第1ポート22に接続されており、患者から第1ポート22へ血液を流通させる回路である。第1血液回路には、ポンプ、圧力センサ、及びチャンバが設けられている。
第2ポート23は、本体容器21の他方側の端面に設けられており、第2血液回路(不図示)に接続されている。ここで、第2血液回路は、一端が第2ポート23に接続され他端が患者に接続されており、第2ポート23から患者へ血液を流通させる回路である。なお、第2血液回路には、圧力センサ及びチャンバが設けられていてもよい。
血球細胞除去装置10の使用時における本体容器21は、第1ポート22を第2ポート23より重力方向の上側にして設置される。
血球細胞除去フィルタ24は、図2(A)に示されるように、フィルタシート26及びスペーサシート27(図2(B)参照)が重ねられた状態で渦巻き状に巻かれた円筒形状の巻き体25と、巻き体25の外周面を覆う円筒形状の外装シート28と、巻き体25の長手方向の両端部に設けられた封止部31と、で構成される。すなわち、血球細胞除去フィルタ24は、全体として円筒形状を呈している。また、巻き体25は、図2(B)に示されるように、フィルタシート26と、スペーサシート27とを重ねて構成された長尺シートである。
フィルタシート26は、血液を構成する成分のうち特定の成分を吸着する多孔体の材料で構成されており、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン等からなる不織布が挙げられる。これら材料は血球成分透過性のコントロールのために各種の表面処理をして用いてもよい。例えば、親水化処理をして用いてもよい。多孔体の材料で構成されたフィルタシート26の平均孔径は、血液の流動性を損ねてフィルタの圧力損失が大きくならない程度に大きく、且つ適度な白血球除去率を確保できる程度には小さくすることが好ましい。
以上より、フィルタシート26は、血液を構成する成分のうち特定の成分(本実施形態では白血球)が他の成分(例えば赤血球)よりも通過し難い。なお、本実施形態では、血液中から除去すべき細胞は、白血球であるが、血液中から除去すべき細胞は、白血球以外であってもよい。
スペーサシート27は、網目状のシートである。スペーサシート27の平均孔径は、フィルタシート26の平均孔径より大きく設定される。これにより、スペーサシート27は、フィルタシート26よりも上述した特定の成分が通過し易い。
巻き体25は、図2(B)に示される二つ折りされたフィルタシート26でスペーサシート27を挟み込んだものが渦巻き状に巻かれることによって、図3及び図4に示されるように構成される。つまり、巻き体25は、フィルタシート26及びスペーサシート27が重ねられた状態で渦巻き状に巻かれることによって構成される。
図2(B)に示されるように、スペーサシート27は、フィルタシート26に挟まれた状態において、フィルタシート26の開放側端部26Aから一部が露出している。例えば、フィルタシート26の長手方向の長さは約1600mmであり、スペーサシート27の長手方向の長さは約850mmである。また、スペーサシート27は、フィルタシート26の開放側へ20mmずれた状態で配置される。これにより、フィルタシート26の開放側端部26Aから露出したスペーサシート27の長さは約70mmである。もちろん、スペーサシート27は、フィルタシート26の開放側へずらされていなくてもよく、この場合のフィルタシート26の開放側端部26Aから露出したスペーサシート27の長さは約50mmである。そして、巻き体25は、フィルタシート26の開放側端部26A、つまりフィルタシート26の折り目とは反対側の端部を内側にし且つ折り目側端部26Bを外側にして渦巻き状に巻かれることによって、図2(A)、図3、及び図4に示される円筒形状に構成される。
なお、図2(A)では、巻き体25は簡略化されて描かれているために、フィルタシート26及びスペーサシート27は区別して描かれていないが、図4では、フィルタシート26及びスペーサシート27が区別して描かれている。
図4に示されるように、フィルタシート26の開放側端部26Aから露出したスペーサシート27は、巻き体25の内周面の全部を構成する。つまり、巻き体25の内周面は、スペーサシート27のみによって構成されている。
なお、フィルタシート26の開放側端部26Aから露出したスペーサシート27は、必ずしも巻き体25の内周面の全部を構成する必要はない。例えば、スペーサシート27は、フィルタシート26の開放側端部26Aから少しだけ露出することによって、巻き体25の内周面の一部を構成してもよい。つまり、巻き体25の内周面が、スペーサシート27及びフィルタシート26によって構成されていてもよい。
図2(B)に示されるように、スペーサシート27は、開放側端部26A(巻かれた状態において内周面側に位置する端部)以外において、フィルタシート26に挟まれている。これにより、図4に示されるように、巻き体25の外周面は、フィルタシート26で構成されている。
図2(B)、図3、及び図4に示されるように、フィルタシート26には、複数のフィルタ貫通孔39が形成されている。複数のフィルタ貫通孔39は、図3に示されるように、巻き体25の軸方向101に沿って等間隔に配置されている。また、複数のフィルタ貫通孔39は、図3及び図4に示されるように、巻き体25の周方向102に沿って等間隔に配置されている。なお、フィルタ貫通孔39は、1つだけ形成されていてもよい。
フィルタ貫通孔39は円形に構成されている。フィルタ貫通孔39の直径は、血液の流れが妨げられない長さに設定されている。フィルタ貫通孔39の直径は、好ましくは1mm〜10mmであり、更に好ましくは3mm〜7mmである。本実施形態において、フィルタ貫通孔39の直径は5mmである。
なお、本実施形態では、複数のフィルタ貫通孔39の軸方向101における間隔は同じ長さであり、複数のフィルタ貫通孔39の周方向102における間隔は同じ長さであるが、各間隔の長さは異なっていてもよい。また、本実施形態では、フィルタ貫通孔39は円形であるが、円形以外の形であってもよい。例えば、フィルタ貫通孔39は、楕円形であってもよい。
図2(B)に示されるように、複数のフィルタ貫通孔39は、スペーサシート27における折り目に対する一方側(図2(B)では折り目よりも上側)にのみ形成されている。また、複数のフィルタ貫通孔39は、スペーサシート27における折り目側(詳細には折り目から開放側端部26A側へ所定長の範囲)にのみ形成されている。これらにより、複数のフィルタ貫通孔39は、図4に示されるように、巻き体25の外周面のフィルタシート26にのみ形成される。つまり、上記所定長の範囲は、巻き体25の外周面のフィルタシート26の周方向102に沿った長さの範囲である。なお、フィルタ貫通孔39は、巻き体25の外周面以外のフィルタシート26にも形成されていてもよい。
図2(A)に示される外装シート28は、巻き体25より硬質の材料で形成された網目状のシートである。外装シート28は、例えば、繊維を編み込んだトリコット素材である。外装シート28の平均孔径は、フィルタシート26の平均孔径より大きく設定されるのが望ましい。外装シート28は、巻き体25の外径寸法より大きい円筒形状に構成されており、その内部に巻き体25を保持する。そして、フィルタシート26の折り目側端部26Bが外装シート28の内周面に取り付けられることによって、巻き体25の形状が維持される。
図1に示されるように、巻き体25の長手方向(図1に示される軸方向101)の両端部には、接着剤などによって固められた封止部31が設けられている。封止部31は、接着剤などによって固められることにより、液体を通さない。つまり、封止部31は、巻き体25の長手方向の両端部を液密に封止している。なお、封止部31は、巻き体25の長手方向の両端部を液密に封止可能であるならば、接着剤などによって固められた構成に限らない。例えば、封止部31は、液体を通さないゴムなどによって構成された部材であり、当該部材が、巻き体25の長手方向の両端部に取り付けられていてもよい。
巻き体25の両端部に設けられた封止部31の一方の中央部には、貫通孔33が設けられている。この貫通孔33は、巻き体25の内周面と封止部31とによって規定される血球細胞除去フィルタ24の内部空間と連続している。
血球細胞除去フィルタ24は、図1に示されるように、第2ポート23が形成された本体容器21の壁面(使用時に底面となる壁面)に取り付けられる。血球細胞除去フィルタ24の軸方向101の長さ(図1における高さ)は、本体容器21の内部空間の軸方向101の長さより短い。また、血球細胞除去フィルタ24の外径寸法は、本体容器21の内径寸法(すなわち、内部空間の直径)より小さい。その結果、第1ポート22が形成された本体容器21の壁面(使用時に天面となる壁面)と血球細胞除去フィルタ24との間、及び本体容器21の内周面と血球細胞除去フィルタ24の外周面との間には、隙間が形成される。この隙間は、第1ポート22に通じる流路29となる。すなわち、本体容器21において、第1ポート22と血球細胞除去フィルタ24の外周面側の内部空間とが流路29によって連続する。
また、血球細胞除去フィルタ24は、貫通孔33が設けられた封止部31と本体容器21の壁面(使用時に底面となる壁面)とを接着することによって、本体容器21の壁面に取り付けられる。この際、血球細胞除去フィルタ24は、貫通孔33と本体容器21の壁面に設けられた第2ポート23とが重畳するように、本体容器21の壁面に取り付けられる。これにより、血球細胞除去フィルタ24の内部空間は、貫通孔33を介して第2ポート23と連続する。この血球細胞除去フィルタ24の内部空間は、第2ポート23に通じる流路30となる。すなわち、本体容器21において、血球細胞除去フィルタ24の内周面側の内部空間と第2ポート23とが流路30によって連続する。
また、血球細胞除去フィルタ24は、貫通孔33を完全に覆うように、本体容器21の壁面に取り付けられる。これにより、貫通孔33と流路29との間は、互いに接着された封止部31と本体容器21の壁面とによって、液密に封止される。
以上より、血球細胞除去フィルタ24が本体容器21に取り付けられた状態において、第1ポート22は血球細胞除去フィルタ24の外周面側の内部空間と連続する。また、第2ポート23は血球細胞除去フィルタ24の内周面側の内部空間と連続する。
次に、本実施形態におけるフィルタ装置20を用いた血球細胞除去処理を説明する。まず、フィルタ装置20を第1血液回路及び第2血液回路に接続する。これにより、第1血液回路から第1ポート22への血液の流通が許容され、第2ポート23から第2血液回路への血液の流通が許容される。次に、制御部(不図示)による制御の下で第1血液回路のポンプを駆動させることによって、血液が患者から第1血液回路に流出される。
第1血液回路から第1ポート22を通じて本体容器21の内部空間に流入した血液は、封止部31に流れ込まない。そのため、血液は、図1に示されるように、流路29に沿って血球細胞除去フィルタ24の外周面側に回り込み、血球細胞除去フィルタ24を外周面側から内周面側に向けて(すなわち、径方向内向きに)通過する。この過程で、血液中に含まれる白血球が血球細胞除去フィルタ24(主にはフィルタシート26)に捉えられる。つまり、血液が濾過される。なお、この過程については、後に更に詳述する。
濾過された血液は、流路30から貫通孔33及び第2ポート23を通じて第2血液回路へ流出し、患者に還元される。なお、図1では、流路29、30における血液の流れを矢印で示し、血球細胞除去フィルタ24内の血液の流れを白抜き矢印で示している。
次に、血液が血球細胞除去フィルタ24を外周面側から内周面側に向けて通過する過程について詳述する。
図1に示されるように、流路29に沿って血球細胞除去フィルタ24の外周面側に回り込んだ血液は、最初に、外装シート28(図2(A)参照)を通過する。この過程では、血液中に含まれる白血球が外装シート28に捉えられることは殆どない。
外装シート28を通過した血液は、図4に示される巻き体25の外周面を構成するフィルタシート26を通過する。この過程で、血液中に含まれる白血球が、外装シート28を通過するときよりも多くフィルタシート26に捉えられる。また、外装シート28を通過した血液の一部は、巻き体25の外周面を構成するフィルタシート26に形成されたフィルタ貫通孔39を、白血球を捉えられることなく通過する。
巻き体25の外周面を構成するフィルタシート26または当該フィルタシート26に形成されたフィルタ貫通孔39を通過した血液は、当該フィルタシート26の内周面側において当該フィルタシート26と隣り合うスペーサシート27を通過する。この過程では、外装シート28を通過した際と同様に、血液中に含まれる白血球が外装シート28に捉えられることは殆どない。
その後、血液は、フィルタシート26及びスペーサシート27を交互に通過しながら流路30へ向かう。そして、この過程においては、血液がフィルタシート26を通過する度に、血液中に含まれる白血球がフィルタシート26に捉えられる。以上のようにして、血液がフィルタシート26によって濾過されるため、流路30に到達した血液に含まれる白血球の数は、フィルタシート26によって血液が濾過される前よりも少なくなっている。
フィルタシート26の濾過能力は、フィルタシート26を通過した血液の累積量が多くなると低下する。これは、フィルタシート26に形成された孔の多くに白血球や血小板などの血球成分が捉えられて、白血球を捉えた孔が塞がれた状態となるからである。これにより、フィルタシート26内における血液の流通が妨げられ、血液がフィルタシート26を通過できなくなる所謂目詰まりを生じるおそれがある。
そして、上記のようなフィルタシート26の濾過能力の低下は、巻き体25の外周面側から発生する。つまり、巻き体25の外周面のフィルタシート26の濾過能力が、最初に低下する。
しかし、巻き体25の外周面のフィルタシート26の濾過能力が低下しても、血液は、巻き体25の外周面のフィルタシート26に形成されたフィルタ貫通孔39を介して、巻き体25の内周面側へ進むことが可能である。これにより、血液は、当該フィルタシート26の内周面側において当該フィルタシート26と隣り合うスペーサシート27に到達する。その後、血液は、スペーサシート27を通過して、当該スペーサシート27の内周面側において当該スペーサシート27と隣り合うフィルタシート26、つまり巻き体26の外周面から2番目のフィルタシート26に到達する。そして、血液中に含まれる白血球は、当該2番目のフィルタシート26内で捉えられる。
以上のように、本実施形態では、巻き体25の外周面のフィルタシート26の濾過能力が低下しても、多くの血液が、巻き体25の外周面の全域に配置されているフィルタ貫通孔39を介して、巻き体26の外周面から2番目のフィルタシート26に到達することができる。
なお、巻き体25の外周面以外のフィルタシート26の濾過能力が低下することにより、血液が当該フィルタシート26を通過できない場合、血液は、スペーサシート27に沿って巻き体25の周方向102に移動しつつ、巻き体25の外周面側から内周面側へ移動することが可能である。また、上述したように、スペーサシート27は巻き体25の内周面の一部を構成しているため、血液は、スペーサシート27に沿って巻き体25の周方向102に移動することによって、巻き体25の内部空間に到達することができる。つまり、血液は、流路30に到達することができる。以上より、血液は、フィルタシート26が目詰まりした場合であっても、巻き体25の内部を完全に移動不可能となることはない。
実施例及び比較例のフィルタ装置に血液を流し続けた場合の経過時間(分)に対する圧力差(mmHg)を測定した。ここで、圧力差は、血球細胞除去フィルタ24の圧力損失である。また、実施例は、図1に示されるフィルタ装置20であり、巻き体25として図4に示されるものが使用された。また、比較例は、実施例とは使用される巻き体が異なるフィルタ装置20である。比較例は、巻き体としてフィルタ貫通孔39が設けられていないものが使用された。
上記測定の結果が図9に示される。図9において、比較例の圧力差は、経過時間60分ほどで、実施例の圧力差に比べて急激に上昇している。これは、60分が経過すると比較例の血液の流動性が実施例の血液の流動性よりも悪くなることを示している。つまり、実施例は、比較例よりも長時間にわたって良好な血液の流動性を維持することができる。
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、巻き体25の外周面側から内周面側へ流れる血液は、フィルタシート26に設けられたフィルタ貫通孔39を介して内周面側のフィルタシート26に進入可能である。これにより、フィルタシート26の利用効率を向上させることができる。
また、巻き体25の外周面の広範囲に亘ってフィルタ貫通孔39を設けることにより、血液が内周面側のフィルタシート26へ進入する進入経路を増やすことができる。
また、濾過を実行する際に外周面側のフィルタシート26に加えてフィルタ貫通孔39を介して内周面側のフィルタシート26にも血液が進入可能であるため、血液が進入可能なフィルタシート26の体積を増やすことができる。これにより、フィルタ貫通孔39が形成されていない従来型のフィルタ装置20と同等の濾過能力を維持しつつ、フィルタ装置20を巻き体25の軸方向101に小型化することができる。
また、巻き体25の外周面側は内周面側よりも表面積が大きいため、巻き体25の外周面側のフィルタシート26を効率よく利用できることが望ましい。本実施形態によれば、巻き体25の径方向において外周面のフィルタシート26に対して1周内周面側のフィルタシート26には、外周面のフィルタシート26に設けられたフィルタ貫通孔39を介して血液が進入可能である。よって、表面積が大きい巻き体25の外周面のフィルタシート26及び外周面よりも1周内側のフィルタシート26を利用することができる。
また、本実施形態によれば、スペーサシート27の表裏両面側にフィルタシート26が配置されるため、巻き体25におけるフィルタシート26の割合を高めることができる。また、スペーサシート27が両面においてフィルタシート26に当接されているため、スペーサシート27のフィルタシート26に対するずれを低減することができる。
また、本実施形態によれば、フィルタシート26が目詰まりして、血液がフィルタシート26に進入できない事態が生じても、血液は、外周面のフィルタシート26に設けられたフィルタ貫通孔39からスペーサシート27を介して巻き体の内周面に到達することができる。これにより、血液が巻き体25を通過できない事態の発生を防止することができる。
[変形例1]
上述の実施形態では、フィルタ貫通孔39は、スペーサシート27における折り目に対する一方側(図2(B)では折り目よりも上側)にのみ形成されているが、フィルタ貫通孔39は、スペーサシート27における折り目に対する両側に形成されていてもよい。
[変形例2]
上述の実施形態では、フィルタ貫通孔39は、図4に示されるように、巻き体25の外周面にのみ形成されているが、フィルタ貫通孔39は、巻き体25の外周面以外の周面にも形成されていてもよい。
例えば、図5及び図6に示されるように、フィルタ貫通孔39は、巻き体25の外周面及び当該外周面から2番目の周面に形成されていてもよい。なお、図5では、外周面から2番目の周面に形成されたフィルタ貫通孔39は、破線で示されている。この場合、巻き体25の外周面に形成されたフィルタ貫通孔39Aと、巻き体25の外周面から2番目の周面に形成されたフィルタ貫通孔39Bとは、周方向102または軸方向101の少なくとも一方において異なる位置に配置されていることが望ましい。つまり、巻き体25の外周面に形成されたフィルタ貫通孔39Aと、巻き体25の外周面から2番目の周面に形成されたフィルタ貫通孔39Bとは、重複しない位置に配置されていることが望ましい。
図5(A)及び図6には、巻き体25の外周面に形成されたフィルタ貫通孔39Aと、巻き体25の外周面から2番目の周面に形成されたフィルタ貫通孔39Bとが、周方向102において異なる位置且つ軸方向101において同位置に配置された例が示されている。一方、図5(B)には、巻き体25の外周面に形成されたフィルタ貫通孔39Aと、巻き体25の外周面から2番目の周面に形成されたフィルタ貫通孔39Bとが、周方向102及び軸方向101の双方において異なる位置に配置された例が示されている。
なお、フィルタ貫通孔39は、外周面及び当該外周面から2番目の周面以外の周面にも形成されていてもよい。この場合、フィルタシート26の各フィルタ貫通孔39は、当該各フィルタ貫通孔39よりも巻き体25の径方向において1周分外周面側の周面及び1週分内周面側の周面に設けられた他のフィルタ貫通孔39に対して重複しない位置に配置されていることが望ましい。
変形例2によれば、例えば巻き体25の外周面側から内周面側へ巻き体25の径方向に沿って血液が流れる場合、ある周面のフィルタシート26に設けられたフィルタ貫通孔39を通じて1周内周面側のフィルタシート26へ流れる血液は、当該フィルタシート26のフィルタ貫通孔39ではない領域に到達して当該フィルタシート26に進入する。つまり、上記構成のようにフィルタ貫通孔39を重複させないことにより、血液が進入可能なフィルタシート26の表面積を大きくすることができる。これにより、フィルタシート26の利用効率を向上させることができる。
[変形例3]
図10(A)に示されるように、スペーサシート27に、スペーサ貫通孔40が形成されていてもよい。スペーサ貫通孔40の個数は、1個でも複数個でもよい。
スペーサ貫通孔40は、フィルタ貫通孔39と重畳する位置に形成されている。ここで、「重畳する」とは、以下のような意味である。つまり、スペーサ貫通孔40は、径方向においてフィルタ貫通孔39の1周分内周側または外周側に設けられ、且つ軸方向101及び周方向102の双方において少なくとも一部がフィルタ貫通孔39と同位置となるように設けられている。
外周面に位置するフィルタ貫通孔39の1周分内周側に設けられたスペーサ貫通孔40は、径方向に沿って視認した場合に、外周面に位置するフィルタ貫通孔39を内側に完全に含むことが好ましい。しかし、外周面に位置するフィルタ貫通孔39の1周分内周側に設けられたスペーサ貫通孔40は、径方向に沿って視認した場合に、外周面に位置するフィルタ貫通孔39と完全に一致してもよい。または、外周面に位置するフィルタ貫通孔39の1周分内周側に設けられたスペーサ貫通孔40は、径方向に沿って視認した場合に、外周面に位置するフィルタ貫通孔39と一部だけ重畳していてもよい。
図10(A)に示される構成のフィルタシート26及びスペーサシート27が巻かれた図10(B)に示される巻き体25では、外周面に位置するフィルタ貫通孔39の1周分内周側に設けられたスペーサ貫通孔40は、外周面に位置するフィルタ貫通孔39よりも大きい。
ここで、スペーサ貫通孔40及びフィルタ貫通孔39の大きさは、巻き体25の周面に沿った大きさであって、巻き体25の径方向に沿った長さ(各貫通孔40、39の深さ)ではない。そして、スペーサ貫通孔40がフィルタ貫通孔39よりも大きいとは、フィルタ貫通孔39の中心をスペーサ貫通孔40の何れかの位置と一致させたときに、フィルタ貫通孔39がスペーサ貫通孔40の内側の領域に完全に含まれるの意味である。
この場合、例えば、スペーサ貫通孔40及びフィルタ貫通孔39が円形の場合、スペーサ貫通孔40の直径はフィルタ貫通孔39の直径以上である。また、スペーサ貫通孔40及びフィルタ貫通孔39が楕円の場合、スペーサ貫通孔40の長径がフィルタ貫通孔39の長径以上であり且つスペーサ貫通孔40の短径がフィルタ貫通孔39の短径以上である。また、スペーサ貫通孔40及びフィルタ貫通孔39が長方形の場合、スペーサ貫通孔40の長い方の辺の長さがフィルタ貫通孔39の長い方の辺の長さ以上であり且つスペーサ貫通孔40の短い方の辺の長さがフィルタ貫通孔39の短い方の辺の長さ以上である。
図10(B)に示される巻き体25において、フィルタ貫通孔39及びスペーサ貫通孔40は、巻き体25の最外周に図4に示されたものよりも深い凹部を形成する。この凹部の底面は、巻き体25の外周面よりも内周面側に設けられたフィルタシート26である。つまり、この凹部を通じて外部に露出されるのは、フィルタシート26である。
変形例3によれば、外周面のフィルタシート26に設けられたフィルタ貫通孔39を通じて内周面側を見た場合、当該フィルタ貫通孔39及び当該フィルタ貫通孔39と重畳するスペーサ貫通孔40を通じて、内周面側のフィルタシート26が露出される。よって、血液は、巻き体25に形成されたフィルタ貫通孔39及びスペーサ貫通孔40を通じて内周面側のフィルタシート26にスペーサシート27を経ることなく流れることができる。
また、変形例3によれば、外周面に位置するフィルタ貫通孔39の1周分内周側のスペーサ貫通孔40は、外周面に位置するフィルタ貫通孔39よりも大きい。そのため、フィルタシート26及びスペーサシート27が巻かれることによって、フィルタ貫通孔39及びスペーサ貫通孔40の周方向の位置が互いにずれた場合であっても、両貫通孔の周方向における重畳を維持できる可能性を高くできる。
[変形例4]
上述の実施形態では、巻き体25は、二つ折りされたフィルタシート26でスペーサシート27を挟み込んだものが渦巻き状に巻かれることによって構成されているが、このような構成に限らない。例えば、巻き体25は、1枚のフィルタシート26と1枚のスペーサシート27とが重ねられたもの(図7(A)参照)が、フィルタシート26が径方向の外周面側となるように渦巻き状に巻かれることによって、図8に示されるように構成されていてもよい。
また、例えば、巻き体25は、2枚のフィルタシート26でスペーサシート27を挟み込んだもの(図7(B)参照)が渦巻き状に巻かれることによって構成されていてもよい。この場合、2枚のフィルタシート26は、図7(B)に示されるように、一方側(図7(B)における右側)においてスペーサシート27よりも延びた状態で配置される。そして、巻き体25は、当該一方側が外周面側となるように渦巻き状に巻かれることによって構成される。
また、巻き体25が、2枚のフィルタシート26でスペーサシート27を挟み込んだものが渦巻き状に巻かれることによって構成されている場合、図7(C)に示されるように、2枚のフィルタシート26のうちの1枚(図7(C)における下側のフィルタシート26)は、一方側(図7(C)における右側)においてスペーサシート27よりも延びていない状態で配置されてもよい。この場合、巻き体25は、2枚のフィルタシート26のうちの長い方、つまり一方側においてスペーサシート27よりも延びた状態で配置された方が径方向の外側となるように渦巻き状に巻かれることによって構成される。
また、スペーサシート27にスペーサ貫通孔40が形成された構成、つまり変形例3の構成においても、巻き体25が、1枚のフィルタシート26と1枚のスペーサシート27とが重ねられたもの(図11(A)参照)がフィルタシート26が径方向の外周面側となるように渦巻き状に巻かれることによって、図11(B)に示されるように構成されていてもよい。
[変形例5]
上述の実施形態では、スペーサシート27が、巻き体25の内周面の少なくとも一部を構成していたが、図10及び図11に示されるように、フィルタシート26が、巻き体25の内周面の全部を構成していてもよい。
この場合、血液は、巻き体25の内部空間に到達するために、内周面を構成するフィルタシート26を通過する必要がある。すると、内周面を構成するフィルタシート26が目詰まりした場合、血液は、巻き体25の内部空間に到達することができなくなる。しかし、巻き体25の巻き数を多くすることによって、内周面を構成するフィルタシート26が目詰まりする可能性を低くすることができる。
[変形例6]
上述したように、変形例5において、巻き体25の巻き数を多くした場合、内周面を構成するフィルタシート26が目詰まりする可能性を低くすることができるが、当該可能性をゼロにすることはできない。また、巻き体25を小型化したい場合など、巻き体25のの巻き数を多くすることができない場合がある。
上記のような場合、この変形例6が有効である。変形例6における巻き体25は、図12に示されるように、変形例5における巻き体25と同様に、フィルタシート26が巻き体25の内周面の全部を構成している。また、変形例6における巻き体25では、フィルタシート26における巻き体25の外周面を構成する部分の他に、内周面を構成する部分にも、変形例3において設けられたフィルタ貫通孔39及びスペーサ貫通孔40が形成されている。つまり、巻き体25は、フィルタ貫通孔39が外周面及び内周面に位置するように渦巻き状に巻かれたものである。
また、図12に示される巻き体25では、内周面に位置するフィルタ貫通孔39の1周分外周側のスペーサ貫通孔40は、内周面に位置するフィルタ貫通孔39と重畳しており、また、内周面に位置するフィルタ貫通孔39よりも大きい。ここで、「重畳」及び「大きい」の意味は、変形例3において説明した意味と同様である。
変形例6によれば、フィルタシート26における巻き体25の内周面を構成する部分が目詰まりした場合であっても、血液は、当該部分に形成されたフィルタ貫通孔39及びスペーサ貫通孔40を介して内周面を通過することができる。
また、変形例6によれば、内周面に位置するフィルタ貫通孔39の1周分外周側のスペーサ貫通孔40は、内周面に位置するフィルタ貫通孔39よりも大きい。そのため、変形例3と同様に、フィルタシート26及びスペーサシート40が巻かれることによって、フィルタ貫通孔39及びスペーサ貫通孔40の周方向の位置が互いにずれた場合であっても、両貫通孔の周方向における重畳を維持できる可能性を高くできる。