JP6329566B2 - 水性ベースコート中の接着促進剤としてのアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル - Google Patents

水性ベースコート中の接着促進剤としてのアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル Download PDF

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Description

本発明は、着色された水性ベースコート材料に関する。本発明は、プラスチック基体上のマルチコート塗装系(塗装膜)を製造する方法、およびプラスチック基体上のマルチコート塗装系にさらに関する。最後に、本発明は、着色された水性ベースコート材料における接着性を改良するためのアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの使用方法に関する。
車両の仕上げという状況では、プラスチックが、車両部品用、ならびに内装および外装両方のための車両付属部品ならびに車両中または車両上に据え付ける部品用の材料として確立されるようになっている。プラスチックは、他の材料と同様に、装飾の理由(例えば、着色)のため、ならびに/または技術的有用性(例えば、光安定性および耐候性)のため、対応するコーティング組成物で被覆または塗装される。高品質のコーティングに関する重要な必要条件は、基体、換言すると、下にある面への接着性である。特に、プラスチックのコーティングまたは塗装において、時には重大な、プラスチック基体への接着性の問題が起こり得ることは共通の認識である。問題になっているコーティング組成物の許容される接着性を達成するために、このようなプラスチックは、通常、表面活性化前処理にかけられる。最も高い頻度で使用される方法は、火炎処理、プラズマ処理およびコロナ放電である。
接着性を改良する目的のために知られているものはまた、接着促進物質、特に塩素化ポリオレフィンの使用である。しかし、環境上の観点から、その使用は、極めて有害である。
接着促進物質は、例えば、接着用ベースコートを介して使用され、ベースコートは、接着促進物質を含み、別個のコーティング操作でプラスチック基体に適用される。同様に、コーティング組成物に接着促進物質を直接添加することも可能であり、これにより装飾物および/または技術的に有用なコーティングが製造される。水性コーティング組成物を使用する場合(これは、環境上の理由で、プラスチックのコーティングにおいても同様に、ますます広まっている)、プラスチック基体とコーティング組成物の間の接着性の問題が特に目立っている。
例えば、エチレン−プロピレン−ジエンコポリマー(PP−EPDM)で変性されたポリプロピレン、およびポリブタジエンテレフタレート(PC−PBT)で変性されたポリカーボネート、およびポリウレタン(PUR−RIM)等のプラスチック基体のコーティングにおいて、重大な問題が生じている。現況の知識によれば、PP−EPDM基体は、火炎処理による前処理後にのみコートすることができる。PC−PBTおよびPUR−RIM基体に関しては、火炎処理は必要でない。しかし、十分な接着性を達成するために、溶媒による対応する基体の拭きとりが少なくとも必要である。しかし、たとえこのような前処理後でも、すべての起こり得る場合において、接着性は十分ではない。
したがって、本発明の目的は、隣接する被膜への着色された水性ベースコート材料の接着性を改良することであった。より詳細には、目的は、プラスチック基体への着色された水性ベースコート材料の接着性を改良することであった。これは、ベースコート材料中への接着促進剤の使用によって、例えば、プラスチック表面の火炎処理、あるいは溶媒による拭きとり等のさらなる前処理工程を必要とせずに達成されることになる。
前記ベースコート材料の接着性は、基体の露出後(例として、風化後)でさえ保持されることになる。さらに、接着促進剤を含む着色された水性ベースコート材料は、優れた貯蔵寿命を有することになる。これは、特に、達成できる接着性の改良の有意の劣化が、数カ月の貯蔵後に存在しないことを意味する。
この目的は、驚くべきことに、25から95mgKOH/gのOH価、0.5から2.5mmol/gの理論的炭素−炭素二重結合含量、2500から6000g/molの数平均分子量、および15000から30000g/molの質量平均分子量を有する、少なくとも1種のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルを含み、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルが、少なくとも1個の部分的にまたは完全に塩化された酸基をさらに含み、すべてのアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの質量百分率の総計が、着色された水性ベースコート材料の総固体画分に対して、0.5から10質量%であることを特徴とする、着色された水性ベースコート材料によって達成される。
「ベースコート」という用語は、色彩付与中間コーティング材料と同一性のものとして機能する用語であり、ベースコートは、通例、自動車用仕上げまたは一般的な工業用コーティングにおいて慣例的であり、基体に適用される。ベースコートは、典型的には、2層仕上げの第1の層を形成する。したがって、第2の、最上層はクリアコートであり、これは、風化作用、ならびに機械的および化学的作用からベースコートを保護する。
以下において、完全な塩化とは、本発明により使用するアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル中に存在するすべての酸基の脱プロトン化を意味する。この目的のために、塩基、好ましくは有機塩基を使用するのが通例である。アミンを用いることが特に好ましい。特段の優先度を置くものは、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、トリエチルアミン(TEA)、ジエチルアミン、ピリジンおよびNHである。DMEAが特に好ましい。前記酸基の完全な脱プロトン化を達成するために、過剰の塩基を使用する必要がある。これは、それぞれの酸の当量に対して、1当量を超える塩基が使用されることを意味する。
部分的な塩化は、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル中に存在する酸の1当量当たり、塩基の1当量未満が使用されることを意味する。存在する酸基の量に対して、適した塩基の好ましくは0.2から1.0当量、より好ましくは0.3から0.9当量、および極めて好ましくは0.4から0.8当量を用いる。それぞれの場合、使用される塩基の量は、部分的にまたは完全に塩化された得られた生成物が、水分散性であるように選択されるべきである。これは、アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、完全に水溶性であってはならないことを意味する。当業者ならば、隣接する被覆の接着性を改良できるようにするために、水性コーティング系中の接着促進剤の適合性は、接着促進剤がコーティング系の界面に蓄積するようなものでなければならないことを知っている。水溶解度が高すぎる場合、この結果として前記界面における蓄積が生じず、接着性の改良が行われない。
「アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル」という用語は、それぞれアルファおよびオメガと識別される、その両端のそれぞれにヒドロキシル基を有するオリゴエステルを特定する。これは、このようなオリゴエステルは、両端においてそれぞれの場合、正確に1個のヒドロキシル基をそれぞれの場合担持するモノマー単位を末端とすることを意味する。オリゴエステルが分岐されている場合、アルファおよびオメガは、モノマー中の最長のポリマー鎖の両端を特定する。長さは、取り入れられているモノマー数によって測定される。さらに、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルによるさらなるヒドロキシル基の所有は排除されない。原則として、本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、正確に2個のヒドロキシル基を、1個はアルファ位に、および1個はオメガ位に有することが好ましい。本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルが、正確に2個のヒドロキシル基を、アルファ位に1個およびオメガ位に1個、さらに直鎖状になるように有することが特に好ましい。
上記に明示された特性からすでに明らかなように、「アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル」という用語は、異なる分子量を有する異なるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル種の混合物を特定する。本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、重縮合生成物を含む。当業者なら承知しているように、このような重縮合反応の実行は、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの混合物を自動的に生成する。
「オリゴ」という用語の使用は、本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルが、上記に規定された範囲内の小さい数平均および質量平均分子量を有する、比較的短鎖のポリエステルを含むということを示すことを意図する。前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、25から95mgKOH/g、好ましくは35から85mgKOH/g、より好ましくは45から65mgKOH/gのOH価を有する。OH価は、以下の通りDIN 53240に従って決定することができる。OH基は、過剰の無水酢酸とのアセチル化によって反応される。過剰な無水酢酸は、続いて水の添加によって切断されて、酢酸を形成し、全体の酢酸をエタノール性KOHで逆滴定する。OH価は、1gの物質のアセチル化において結合された酢酸の量と当量である、mg単位でのKOHの量を示す。
数平均および質量平均分子量について本特許明細書で定義された範囲に関しては、どの場合においても、数平均分子量と質量平均分子量の唯一の可能な組合せは、数加重分子量が、質量平均分子量より大きくなることはないということが、当業者には明らかであるという点に留意されたい。
前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、2500から6000g/mol、好ましくは3200から5000g/mol、より好ましくは3500から4500g/molの数平均分子量、および15000から30000g/mol、好ましくは15000から28000g/mol、より好ましくは20000から26000g/molの質量平均分子量をさらに有する。数平均分子量および質量平均分子量は、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、ポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される。カラム材料は、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーからなる。アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、その中和された形態で測定される。中和はDMEAを用いて実施する。
前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、0.5から2.5mmol/g、好ましくは1.5から2mmol/g、より好ましくは1.2から1.8mmol/gの理論的炭素−炭素二重結合含量を有することが、本発明に対して必須である。理論的炭素−炭素二重結合含量は、アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの質量(単位としてグラムを有する)に対する、炭素−炭素二重結合の物質量(単位としてmmolを有する)を意味する。本発明の意味における炭素−炭素二重結合は、形式的に芳香族環の一部であるものは含まない。したがって、例えば、形式的にベンゼン環中に含まれる3個の炭素−炭素二重結合は、理論的炭素−炭素二重結合含量の計算に対しては無視されたままである。理論的炭素−炭素二重結合含量(下記に示す式中の二重結合含量と呼ばれる)は、以下の通り計算される:
Figure 0006329566
この式において、「物質量(二重結合)」という表現は、炭素−炭素二重結合の物質量(単位としてmmolを有する)を表し、「質量(オリゴエステル)」という表現は、アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの質量(単位としてグラムを有する)を表す。
アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの質量は、すべての無水物および/またはカルボン酸基の完全な変換を仮定して、その製造に使用されるモノマーの質量の和−その製造の過程において形成される水の質量である。炭素−炭素二重結合の物質量は、使用される不飽和モノマーの物質量の積である。例えば、無水マレイン酸等のモノ不飽和モノマーが単独で使用された場合、炭素−炭素二重結合の物質量は、使用された不飽和モノマーの物質量に等しい。例えば、ジ不飽和モノマーが使用された場合、このようなモノマーによってアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル中に導入された炭素−炭素二重結合の物質量は、対応するジ不飽和モノマーの使用された物質量の2倍である。
本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの少なくとも1個の酸基は、好ましくは、カルボン酸基(−COH)、スルホン酸基(−SOH)、リン酸モノエステル(−O−P(O)(OH))、一般式
Figure 0006329566
[式中、Tは、脂肪族もしくは芳香族基、または一置換スルフェート(−OSOH)である]
のリン酸ジエステルである。特に好ましくは、Tは、カルボン酸基またはスルホン酸基である。特別好ましくは、問題になっている基はカルボン酸基である。
本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、平均して少なくとも1個の酸基を含む。前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、好ましくは平均して1から3個、より好ましくは1から2個、極めて好ましくは正確に1個の酸基を含む。
前記酸基は、本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの末端位に位置しないことがさらに好ましい。これは、酸基がそれを介してアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル中に導入されるモノマーが、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル内の末端モノマー単位ではないことを意味する。
本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、原則として異なる酸基を含んでもよい。これは、例えば、前記オリゴエステルの製造において、異なる酸基を有するモノマーを使用することによって可能である。それぞれのアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル種のモル質量に応じて、異なる酸基が、アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル種中に存在することが可能である。しかし、第1のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル種が1個の酸基を有し、一方、第2のものが、第1のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル種の酸基と異なる酸基を有することも考えうる。しかし、本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、好ましくは、正確に1種類の酸基を含む;換言すると、各アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル種が、ここで1個または複数の酸基を有するかどうかにかかわらず、同じ種類の酸基を有する。
本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの1グラムに対して、アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、好ましくは0.1から1.2mmol、より好ましくは0.2から1.0mmol、極めて好ましくは0.5から0.8mmolの酸基を含む。
前記酸基がスルホン酸基または一置換スルフェートである場合、アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル中に存在する酸基の物質量は、1H NMRによって測定される。この場合、重水素化溶媒としてd6−DMSOが、および標準としてテトラメチルシランが使用される。
前記酸基が、リン酸モノエステルまたはリン酸ジエステルである場合、アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル中に存在する酸基の量は、31P NMRによって測定される。重水素化溶媒としてd6−DMSOが、および標準としてトリフェニルホスファイトが使用される。
前記酸基がカルボン酸基である場合、アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル中に存在するカルボキシル基の物質量は、酸価を用いて示すことができる。該酸価は、好ましくは5から70mgKOH/g、より好ましくは10から60mgKOH/g、極めて好ましくは30から50mgKOH/gの範囲である。酸価は、DIN 53402に従って測定される。この測定において、試料中に存在する遊離の酸を、呈色指示薬の存在下、水酸化カリウム標準液で滴定する。酸価は、指定された条件下、1gのアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルを中和するのに必要な、水酸化カリウムの質量(mg単位)に対応する。
好ましい一実施形態において、アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、
(i)30から170mgKOH/gのOH価、1から2.5mmol/gの理論的炭素−炭素二重結合含量、800から2200g/molの数平均分子量および1000から6000g/molの質量加重分子量を有する、少なくとも1種のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)を、
(ii)構造式(I)
Figure 0006329566
[式中、Bは、少なくとも1個の酸基を含む脂肪族基または芳香族基である]
の少なくとも1種の環式ジカルボン酸無水物と、
反応させることによって製造することができ、
ただし、構造式(I)の環式ジカルボン酸無水物のジカルボン酸無水物基の開環から生じるカルボン酸基は、いずれの場合もアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)と完全に反応して、エステル結合を形成するということを条件とし、
(iii)少なくとも1個の酸基は、部分的にまたは完全に塩化される。
上記の完全な反応は、より詳細には、無水物基中に形式的に存在するカルボン酸基の95モル%超、好ましくは99モル%超、より好ましくは99.5モル%超が反応して、それぞれの場合エステル結合を形成することを意味する。
部分的および完全な塩化によってそれぞれ意味されることは、本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの一般的概要と関連して上記ですでに論じている。
少なくとも1個の酸基は、好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、または一置換スルフェートである。好ましくは、少なくとも1個の酸基は、カルボン酸基またはスルホン酸基である。極めて好ましくは、少なくとも1個の酸基は、カルボン酸基である。
アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)の説明
「アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)」という用語は、それぞれアルファおよびオメガと特定される、その両端のそれぞれに位置するヒドロキシル基を有するオリゴエステルを表す。これは、この種のオリゴエステルは、それぞれの場合、両端において、正確にはそれぞれの場合1個のヒドロキシル基を有する1個のモノマー単位を末端とすることを意味する。オリゴエステルが分岐されている場合、アルファおよびオメガは、モノマー中の最長のポリマー鎖の両端を表す。この場合、長さは取り込まれているモノマー数によって測る。さらに、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)によるさらなるヒドロキシル基の所有はさらには排除されない。原則として、本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)が、正確に2個のヒドロキシル基、即ち、アルファおよびオメガ位にそれぞれ1個を有することが好ましい。本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)が、正確に2個のヒドロキシル基を、アルファ位に1個およびオメガ位に1個、およびさらに直鎖状になるように有することが特に好ましい。
アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)は、本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルと異なることが、再び明らかにされる。すでに上記で説明されたように、アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)は、発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの製造における好ましい反応物をなす。
アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)は、好ましくは70から160mgKOH/g、より好ましくは130から160mgKOH/gのOH価、および好ましくは0から10mgKOH/g、より好ましくは0から5mgKOH/g、極めて好ましくは0から2mgKOH/gの酸価を有する。OH価および酸価は、すでに上記に説明されように、DIN 53240およびDIN 53402に従って測定される。
アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)は、好ましくは1.5から2mmol/g、極めて好ましくは1.6から1.9mmol/gの理論的炭素−炭素二重結合含量をさらに有する。理論的炭素−炭素二重結合含量によって意味されること、およびその計算方法は、アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルに関連してすでに上記で先に説明されている。
アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)は、好ましくは、1000から2000g/mol、より好ましくは1200から1800g/molの数平均分子量、および好ましくは2000から5000g/mol、より好ましくは2800から4000g/molの質量平均分子量をさらに有する。数平均分子量および質量平均分子量は、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、標準としてポリスチレンを使用したゲル浸透クロマトグラフィーによって測定する。カラム材料は、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーからなる。
アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)は、例えば、ポリカルボン酸とポリオールの反応から製造してもよい。好ましくは、ジカルボン酸およびこれらの無水物と、ジオール、トリオールおよびモノヒドロキシ官能性化合物の反応から製造される。ジオールを使用することが好ましい。
アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)が、ジカルボン酸により製造される場合、原理的にはこれらの無水物を使用することも可能である。したがって、以下の本文において、「ジカルボン酸」いう用語は、対応する無水物を同様に含むものと理解されるべきである。問題になっている化合物のジカルボン酸の形態または無水物の形態のいずれを使用するかを決定することは、当業者の一般知識の一部である。
また、本明細書で特定された、ジカルボン酸およびこれらの無水物は、上記に明示された種類の他の酸基、即ち、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸モノエステル、リン酸ジエステルまたは一置換スルフェートを全く含まないことを指摘しておく。したがって、どの場合においても、ジカルボン酸およびこれらの無水物は、構造式(I)の環式ジカルボン酸無水物とは異なる。
ジカルボン酸
本発明により使用されるジカルボン酸は、芳香族化合物または脂肪族化合物であってもよい。脂肪族化合物の場合、問題になっているものは、例えばベンゼン基等の芳香族基を含まない。本発明の意味における芳香族化合物は、例えば、ベンゼン基等の少なくとも1個の芳香族基を含むすべてのそれらの化合物を包含する。芳香族化合物の例として、例えば、ベンゼンジカルボン酸(当業者には知られている)の、およびテレフタル酸無水物の構造異性体を挙げてもよい。
脂肪族ジカルボン酸が好ましい。特に好ましくは、前記脂肪族ジカルボン酸は、飽和または一もしくは多不飽和である。特別好ましくは、前記脂肪族ジカルボン酸は、飽和または一もしくは多不飽和のいずれかである、直鎖状脂肪族ジカルボン酸である。さらに、脂環式ジカルボン酸を使用することも可能である。
少なくとも1種の飽和の、および少なくとも1種の一または多不飽和の脂肪族ジカルボン酸が使用されることがさらに好ましい。少なくとも1種の飽和直鎖状脂肪族ジカルボン酸および少なくとも1種の一または多不飽和直鎖状脂肪族ジカルボン酸を用いることが特に好ましい。
正確に1種の飽和の、および正確に1種の一または多不飽和の脂肪族ジカルボン酸を用いることが特に好ましい。特別好ましくは、正確に1種の飽和直鎖状の、および正確に1種の一または多不飽和直鎖状の脂肪族ジカルボン酸が使用される。
一および/または多不飽和に対する飽和の脂肪族ジカルボン酸のモル比は、好ましくは0.5:1.5から1.5:0.5、より好ましくは0.75:1.25から1.25:0.75、極めて好ましくは0.9:1.1から1.1:0.9である。提示した比率は、1種超の飽和の、および/または1種超の不飽和のジカルボン酸が使用される場合、ならびに正確に1種の飽和のおよび正確に1種の不飽和のジカルボン酸が使用される場合の両方に当てはまる。
使用される飽和脂肪族ジカルボン酸は、好ましくは4から18個、より好ましくは6から14個、極めて好ましくは6から10個の炭素原子を有するものである。特に好ましくは、これらは、直鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸である。
使用される一不飽和脂肪族ジカルボン酸は、好ましくは4から10個、より好ましくは4から8個、極めて好ましくは4から6個の炭素原子を有するものである。特に好ましくは、これらは、対応する不飽和直鎖状脂肪族ジカルボン酸である。
使用される多不飽和脂肪族ジカルボン酸は、好ましくは6から18個、より好ましくは8から16個、極めて好ましくは10から14個の炭素原子を有するものである。特に好ましくは、これらは、対応する不飽和直鎖状脂肪族ジカルボン酸である。
飽和脂肪族ジカルボン酸は、例えば、アルカン二酸である。好ましくは4から18個、より好ましくは6から14個、極めて好ましくは6から10個の炭素原子を含む飽和アルカン二酸を用いる。飽和アルカン二酸は、好ましくは対応する飽和直鎖状アルカン二酸である。適したアルカン二酸は、存在する場合は、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸およびヘキサデカン二酸、およびこれらの無水物である。
一不飽和脂肪族ジカルボン酸として、4から10個、より好ましくは4から8個、極めて好ましくは4から6個の炭素原子を含むアルケン二酸を使用することが可能である。適した一不飽和直鎖状アルケン二酸の一例は、マレイン酸である。
ジオール
好ましくは使用されるジオールは、芳香族化合物または脂肪族化合物であってもよい。脂肪族ジオールが好ましい。特に好ましくは、ジオールは、直鎖状または環式脂肪族ジオールである。ジオールは、飽和、さもなければ一または多不飽和のいずれかであってもよい。飽和直鎖状または飽和脂環式ジオールが好ましい。
例えば、4から18個、より好ましくは6から14個、極めて好ましくは6から10個の炭素原子を有する飽和脂肪族ジオールを使用することが可能である。好ましくは、飽和脂肪族ジオールは、対応する飽和直鎖状または飽和脂環式ジオールである。
飽和アルカンジオールまたは飽和シクロアルカンジオールを用いることが好ましい。後者は、単環式アルカンジオール、二環式アルカンジオールまたは三環式アルカンジオールであってもよい。
例えば、4から18個、より好ましくは6から14個、極めて好ましくは6から10個の炭素原子を有する飽和アルカンジオールを使用してもよい。好ましくは、飽和アルカンジオールは、対応する飽和直鎖状アルカンジオールである。適した飽和アルカンジオールは、例えば、1,4−ブタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールである。また、例えば、6から18個、より好ましくは6から14個、極めて好ましくは6から10個の炭素原子を有する飽和環式脂肪族ジオールを使用してもよい。
6から18個、より好ましくは6から14個、極めて好ましくは6から10個の炭素原子を有する、飽和シクロアルカンジオールを優先的に使用することが可能である。特別優先的に使用することができる飽和シクロアルカンジオールは、トリシクロデカンジオール、シクロヘキシルジメタノールおよびテトラメチルシクロブタンジオールである。
少なくとも1種の直鎖状脂肪族ジオールを使用することがさらに好ましい。少なくとも1種の直鎖状脂肪族ジオールおよび少なくとも1種の環式脂肪族ジオールを使用することも同様に好ましい。そこで、直鎖状脂肪族ジオールと環式脂肪族ジオールの間のモル比は、好ましくは0.5:1.5から1.5:0.5、より好ましくは0.75:1.25から1.25:0.75、極めて好ましくは0.9:1.1から1.1:0.9である。
アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)は、過剰のジオールを用いて製造される。そこで、ジオールに対するジカルボン酸のモル比は、例えばn:(n+1.1)からn:(n+2)、好ましくはn:(n+1.2)からn:(n+1.8)、より好ましくはn:(n+1.3)からn:(n+1.6)、極めて好ましくはn:(n+1.3)からn:(n+1.5)であり、ここで、nは、ジカルボン酸の物質量を表す。
アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)は、当業者には知られている方法で製造される。使用される反応物の定量的な変換を達成するために、反応の間に形成された水を化学平衡状態から除去する必要がある。これは、主として水分離器の使用を介して達成される。それゆえ、アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)は、重縮合生成物である。したがって、アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)は、異なる鎖長を有する対応するオリゴエステルの混合物を含む。過剰のジオールが使用される場合、前記混合物は、必然的に未反応のジオールも同様に含む。
本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの好ましい一実施形態において、これは、少なくとも1種の飽和直鎖状脂肪族ジカルボン酸、少なくとも1種の一不飽和直鎖状脂肪族ジカルボン酸および少なくとも1種の飽和脂肪族ジオールを用いて製造される。本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの同様に好ましい別の実施形態において、少なくとも1種の飽和直鎖状脂肪族ジカルボン酸、少なくとも1種の飽和脂環式ジカルボン酸、少なくとも1種の一不飽和直鎖状脂肪族ジカルボン酸、および少なくとも1種の飽和脂肪族ジオールを用いて製造される。使用される飽和直鎖状脂肪族ジカルボン酸は、好ましくは4から18個、より好ましくは6から14個および極めて好ましくは6から10個の炭素原子を有する直鎖状アルカン二酸である。一不飽和直鎖状ジカルボン酸は、好ましくは4から10個、より好ましくは4から8個、極めて好ましくは4から6個の炭素原子を有する一不飽和直鎖状アルケン二酸である。飽和脂肪族ジオールは、好ましくは4から18個、より好ましくは6から14個、極めて好ましくは6から10個の炭素原子を有する飽和直鎖状アルカンジオールを含む。飽和脂環式ジオールは、好ましくは6から18個、より好ましくは6から14個、極めて好ましくは6から10個の炭素原子を有する飽和シクロアルカンジオールを含む。さらに、2つの好ましい実施形態に関して、上に示した一および/または多不飽和脂肪族ジカルボン酸に対する飽和脂肪族ジカルボン酸のモル比が、好ましく、より好ましく、極めて好ましい。上に示した、直鎖状脂肪族ジオールと脂環式ジオールの間のモル比に関して、同じことが当てはまる。
さらに、アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)を製造する場合、トリオールおよびモノヒドロキシ官能性化合物を使用することも当然可能である。例えば、脂肪族トリオールおよび脂肪族モノヒドロキシ官能性化合物を使用してもよい。問題の化合物は、好ましくは対応する脂肪族炭化水素化合物である。
トリオールの一例は、トリメチロールプロパンである。モノヒドロキシ官能性化合物として、例えば、ドデカノールを使用することができる。
上に示した好ましい実施形態において、本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルを製造するために、少なくとも1種のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)を、構造式(I)の少なくとも1種の環式ジカルボン酸無水物
Figure 0006329566
[式中、Bは、少なくとも1個の酸基を含む脂肪族基、脂環式基または芳香族基である]
と反応させる。この酸基は、アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの一般的概要に関連してすでに上に開示されている、カルボン酸、スルホン酸、リン酸モノエステル、リン酸ジエステルまたは一置換スルフェートからなる基から好ましくは選択される。構造式(I)の環式ジカルボン酸無水物において、無水物がそれから形成された2個のカルボン酸基は、好ましくはそれぞれが互いにアルファ位に位置する。これは、以下の構造式
Figure 0006329566
を用いて図示することができる。
Bは、より好ましくは芳香族基、極めて好ましくはベンゼン基である。Bが、正確に1個の酸基のみを含むことも同様に好ましい。この場合、基は、好ましくはカルボン酸基またはスルホン酸基である。構造式(I)の環式ジカルボン酸無水物として、トリメリト酸無水物またはスルホイソフタル酸無水物を使用することが好ましい。
前記構造式(I)の環式ジカルボン酸無水物を、本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの製造において使用される、ポリカルボン酸、ポリオールおよび前記構造式(I)の少なくとも1種の環式ジカルボン酸無水物の総物質量に対して、好ましくは2から10モル%、より好ましくは3から9モル%、極めて好ましくは4から7モル%使用する。
アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)は、すでに上で説明したように、さらなる反応工程において反応することができ、本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルを生じる。前記反応条件は、構造式(I)の環式ジカルボン酸無水物の無水物基中に形式的に存在する2個のカルボン酸基が、アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)と完全に反応して、それぞれの場合、1個のエステル結合を形成するように選択される。さらに、B基の少なくとも1個の酸基のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)とのエステル化は存在しない。これは、5モル%未満、好ましくは1モル%未満、より好ましくは0.5モル%未満、極めて好ましくは0.1モル%未満の前記酸基がエステル化されることを意味する。したがって、例えば、反応温度は160℃を超えるべきではない。なぜなら、さもなければ、B基のより反応性の低い酸基ですら、アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)のヒドロキシル基と定量的に反応することになるからである。
さらに好ましい実施形態において、アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、構造式(II)
Figure 0006329566
[式中、
(m+n+2)個のR基は互いに独立に、直鎖状または環式のアルキレン基の群から選択され、
(m+n)個のR基は互いに独立に、アルキレン基またはアルケニレン基の群から選択され、アルケニレン基に対するアルキレン基の比は、前記構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルが、0.5から2.5mmol/gの理論的炭素−炭素二重結合含量を有するようにちょうど選択され、
指数mおよびnは、前記構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの数平均分子量が、2500から6000g/molであるように選択され、
B基は、部分的にまたは完全に塩化された、少なくとも1個の酸基を含む脂肪族基または芳香族基である]
を有する。
部分的および完全な塩化によって意味されることは、それぞれ、本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの一般的概要と関連してすでに上で論じられている。
指数mおよびnは整数であり、ゼロであることもできる。前記構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの数平均分子量が2500から6000g/molであるように、指数mおよびnが選択される必要条件は、以下に説明される。すべての(m+n+2)個のR基は、ヘキサメチレン基であり、すべての(m+n)個のR基の半分は、それぞれがテトラメチレン基であり、残りの半分は、それぞれが式−CH=CH−の基であると想定するべきである。さらに、Aは、4位にカルボン酸を含むベンゼン基であると想定される。さらに、すべてのカルボン酸は、正確に1当量のDMAEで完全に塩化される。数平均分子量が例えば、3600g/molである場合、この場合m+nは、平均して14から15の間である。
構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの数平均分子量は、好ましくは3200から5000g/molの範囲、極めて好ましくは3500から4500g/molの範囲に設定される。さらに、構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの質量平均分子量は、好ましくは15000から28000g/mol、より好ましくは20000から26000の範囲に設定される。
構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、好ましくは35から85mgKOH/g、極めて好ましくは45から65mgKOH/gのOH価を有する。
さらに、構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、好ましくは1から2mmol/g、極めて好ましくは1.2から1.8mmol/gの理論的炭素−炭素二重結合含量を有する。
構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの好ましい一実施形態において、mまたはnのいずれかは0である。
構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、好ましくは正確に1個の酸基を含む。この場合、したがってK=1である。
は、直鎖状または環式のアルキレン基である。直鎖状アルキレン基の場合、該直鎖状アルキレン基は、例えば4から18個、より好ましくは6から14個、極めて好ましくは6から10個の炭素原子を含む。特別好ましくは、直鎖状アルキレン基は、現在のところヘキサメチレン基である。環式アルキレン基の場合、環式アルキレン基は、例えば6から18個、より好ましくは6から14個、極めて好ましくは6から10個の炭素原子を含む。特別好ましくは、環式アルキレン基は、現在のところトリシクロデカン基である。
構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルにおいて、正確には1種のR基、換言すると、直鎖状または環式いずれかのアルキレン基が存在してもよい。正確には、2種のR基、即ち、直鎖状アルキレン基および環式アルキレン基が存在することも同様に好ましい。その場合、直鎖状アルキレン基と環式アルキレン基の間のモル比は、好ましくは0.5:1.5から1.5:0.5、より好ましくは0.75:1.25から1.25:0.75、極めて好ましくは0.9:1.1から1.1:0.9である。
構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル中に複数の種類のR基が存在する場合、オリゴマー中のこれらの配置はランダムである。
は、アルキレンまたはアルケニレン基のいずれかである。この場合、アルキレン基とアルケニレン基の間のモル比は、好ましくは0.5:1.5から1.5:0.5、より好ましくは0.75:1.25から1.25:0.75、極めて好ましくは0.9:1.1から1.1:0.9である。
がアルキレン基の場合、アルキレン基は、好ましくは直鎖状であり、好ましくは2から16個、より好ましくは4から12個、極めて好ましくは4から8個の炭素原子を含む。同様に、特別好ましくは、アルキレン基は、テトラメチレン基である。Rはまた、アルケニレン基である。一不飽和アルケニレン基の場合、好ましくは直鎖状であり、2から8個、より好ましくは2から6個、極めて好ましくは2から4個の炭素原子を含む。特別好ましくは、一不飽和アルケニレン基は、構造−CH=CH−のアルケニレン基である。構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル中に、複数の種類のR基が存在する場合、オリゴマー中のこれらの配置は、ランダムである。
構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル中のB基は、好ましくは基
A(Q)
[式中
Aは、脂肪族基または芳香族基であり、
Q基は、部分的にまたは完全に塩化された酸基であり、
K=1から3である]
である。
Qは、好ましくは、部分的にまたは完全に塩化されたカルボン酸またはスルホン酸である。同様に、好ましくは、Aは、アルキレン基、環式アルキレン基または芳香族基である。
より好ましくは、Aは、2個のカルボン酸エステル基がそれぞれの場合互いにアルファ位に位置するベンゼン基であり、またK=1である。より好ましくは、Qは、さらに、部分的にまたは完全に塩化されたカルボン酸基である。2個のカルボン酸エステル基が、それぞれが互いにアルファ位に位置するという事実によって意味されることは、以下の構造式で図示される。
Figure 0006329566
構造式(II)の本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの特に好ましい実施形態を、以下に詳述する:
a)構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの特に好ましい一実施形態において、これは、3500から4500g/molの数平均分子量を有する。
b)構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの別の特に好ましい実施形態において、これは、20000から26000g/molの質量平均分子量を有する。
c)構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの別の特に好ましい実施形態において、これは、45から65mgKOH/gのOH価を有する。
d)構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの別の特に好ましい実施形態において、これは、1から2mmol/gの理論的炭素−炭素二重結合含量を有する。
e)構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの別の特に好ましい実施形態において、(m+n)個のR基は、4から8個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン基の群から、および2から4個の炭素原子を有する直鎖状アルケニレン基の群から選択される。この場合、極めて好ましくは、直鎖状アルキレン基と直鎖状アルケニレン基の間のモル比は、0.9:1.1から1.1:0.9である。
f)構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの別の特に好ましい実施形態において、(m+n+2)個のR基は、6から10個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン基の群から選択される。(m+n+2)個のR基は、6から10個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン基の群から、および6から10個の炭素原子を有する環式アルキレン基の群から選択されることが同様に可能である。この場合極めて好ましくは、直鎖状アルキレン基と環式アルキレン基の間のモル比は、0.9:1.1から1.1:0.9である。
g)構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの別の特に好ましい実施形態において、B基は、上で定義されたA(Q)基であり、ここで、Aは、2個のカルボン酸エステル基がそれぞれ、互いにアルファ位に位置するベンゼン基であり、またK=1である。
構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの極めて好ましい一実施形態において、a)からg)の下で示したすべての特徴は、組み合わせて実現される。
アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)を製造する場合、過剰のジオールを使用することが好ましく、それゆえ反応混合物は、反応したジオールも含む。アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)を、適した環式ジカルボン酸無水物と反応させる場合、それによって、3つの本質的に異なる種類の生成物が形成される。
生成物1:mおよびnがともにゼロを超える、構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル。
生成物2:mまたはnのいずれかがゼロである、構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル。それぞれの場合、他の変数はゼロを超える値をとる。
生成物3:mおよびnがともにゼロである、構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル。
反応混合物は、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、極めて好ましくは少なくとも80%の生成物2を含み、百分率の数字は、生成物1から3の物質の総量に対するものである。
着色水性ベースコート
本発明の着色された水性ベースコート材料が、本発明により使用される上述したアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルを、着色された水性ベースコート材料の総固体画分に対して0.5から10質量%の量で含むことが本発明にとって必須である。本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、好ましくは1から9質量%、より好ましくは1から8質量%、極めて好ましくは1.5から7.5質量%の量で使用される。前記量が、0.5質量%の下限値未満の場合、接着性は改良されない。前記量が10質量%の上限値を超える場合、例えば、得られたコーティング中に黄変等の欠点が生じる。
本発明の着色された水性ベースコート材料において、すべてのアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの質量百分率の総計は、着色された水性ベースコート材料の総固体画分に対して0.5から10質量%である。前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの好ましい実施形態が使用される場合、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルのすべての好ましい実施形態の質量百分率の総計は、着色された水性ベースコート材料の総固体画分に対して、好ましくは同様に0.5から10質量%である。特に好ましくは、本発明の着色された水性ベースコート材料中に存在する唯一のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルが、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの好ましい実施形態である。
本発明の着色された水性ベースコート材料の好ましい一実施形態において、すべてのアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの質量百分率の総計は、着色された水性ベースコート材料の総固体画分に対して1から9質量%である。前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの好ましい実施形態が使用される場合、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルのすべての好ましい実施形態の質量百分率の総計は、着色された水性ベースコート材料の総固体画分に対して、好ましくは同様に1から9質量%である。特に好ましくは、本発明の着色された水性ベースコート材料中に存在する唯一のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルが、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの好ましい実施形態である。本発明の着色された水性ベースコート材料の特に好ましい一実施形態において、すべてのアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの質量百分率の総計は、着色された水性ベースコート材料の総固体画分に対して1から8質量%である。前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの好ましい実施形態が使用される場合、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルのすべての好ましい実施形態の質量百分率の総計は、着色された水性ベースコート材料の総固体画分に対して、好ましくは同様に1から8質量%である。特に好ましくは、本発明の着色された水性ベースコート材料中に存在する唯一のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルが、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの好ましい実施形態である。
本発明の着色された水性ベースコート材料の好ましい一実施形態において、すべてのアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの質量百分率の総計は、着色された水性ベースコート材料の総固体画分に対して1.5から7.5質量%である。前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの好ましい実施形態が使用される場合、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルのすべての好ましい実施形態の質量百分率の総計は、着色された水性ベースコート材料の総固体画分に対して、好ましくは同様に1.5から7.5質量%である。特に好ましくは、本発明の着色された水性ベースコート材料中に存在する唯一のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルが、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの好ましい実施形態である。
この意味で好ましいアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの実施形態の一例は、構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルである。
この意味で好ましい、本発明のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル実施形態のさらなる例として、以下の特に好ましい実施形態を挙げることができる。
a)構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの特に好ましい一実施形態において、これは、3500から4500g/molの数平均分子量を有する。
b)構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの別の特に好ましい実施形態において、これは、20000から26000g/molの質量平均分子量を有する。
c)構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの別の特に好ましい実施形態において、これは、45から65mgKOH/gのOH価を有する。
d)構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの別の特に好ましい実施形態において、これは、1から2mmol/gの理論的炭素−炭素二重結合含量を有する。
e)構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの別の特に好ましい実施形態において、(m+n)個のR基は、4から8個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン基および2から4個の炭素原子を有する直鎖状アルケニレン基の群から選択される。この場合、極めて好ましくは、直鎖状アルキレン基と直鎖状アルケニレン基の間のモル比は、0.9:1.1から1.1:0.9である。
f)構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの別の特に好ましい実施形態において、(m+n+2)個のR基は、6から10個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン基の群から選択される。(m+n+2)個のR基は、6から10個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン基の群から、および6から10個の炭素原子を有する環式アルキレン基の群から選択されることも同様に可能である。この場合極めて好ましくは、直鎖状アルキレン基と環式アルキレン基の間のモル比は、0.9:1.1から1.1:0.9である。
g)構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの別の特に好ましい実施形態において、B基は、上で定義されたA(Q)基であり、ここで、Aは、2個のカルボン酸エステル基がそれぞれ、互いにアルファ位に位置するベンゼン基であり、またK=1である。
この意味において同様に好ましいアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの実施形態は、a)からg)の下で特定したすべての特徴を組み合わせて実現するものである。
着色された水性ベースコート材料の固体含量または総固体画分は、約2gの試料を予備乾燥したアルミニウム皿中に秤量し、125℃の乾燥キャビネット中でこれを60分間乾燥させ、デシケーター中でこれを冷却し、次いでこれを再秤量することによって測定してもよい。残留物は、使用した試料の総量に対して、固体画分に対応する。固体は、EN ISO 3251(1〜2g、1時間、125℃)に従って測定された。
着色された水性ベースコート材料は、結合剤として少なくとも1種の有機ポリマーを含む。これらの有機ポリマーは、例えば、当業者には公知である、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂および/またはエポキシ樹脂である。同様に可能なものは、慣用のポリアクリレート樹脂およびポリメタクリレート樹脂(以下にポリ(メタ)アクリレート樹脂と称される)の使用である。結合剤として提示された有機ポリマーは、好ましくは、化学的架橋のための異なる官能基(ヒドロキシル基が好ましい)をさらに含む。結合剤として、好ましくはヒドロキシル基を含有する、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂および/またはポリ(メタ)アクリレート樹脂を使用することが好ましい。これらの種類の、有機ポリマーおよび樹脂は、例えば、Roempp−Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、1998年、73から74頁に記載されている。有機ポリマーまたは樹脂の水中での分散性は、当業者には知られている方法を介して達成することができる。これは、例えば、カルボキシレート基またはスルホネート基を含むモノマーの導入を介して、有機ポリマーのイオン性修飾が関与してもよい。また、可能なものは、例えば、ポリグリコールエーテル鎖を介する非イオン性修飾、または後で以下に説明する、分散剤、例えば乳化剤等の特定の添加剤の使用である。
前記有機ポリマーは、物理的硬化性、または化学的硬化性、即ち、化学的架橋性であってもよい。後者の場合、前記有機ポリマーは、自己架橋性、および/または外部架橋性であってもよい。これは、硬化条件、例えば可熱下で反応して、架橋されたコーティング膜を形成する相補的官能基が、1つの、同じ有機ポリマー中に存在してもよい(自己架橋性)ことを意味する。しかし、相補的官能基が異なる化合物中に存在することも(外部架橋性)可能である。
外部架橋系の場合、上に挙げた樹脂系に加えて、例えば、架橋剤として水性コーティング組成物中に存在する、完全にエーテル化されたおよび/または部分的にエーテル化されたアミノ樹脂、モノマーおよび/またはポリマーのポリアミン、ならびに、モノマーおよび/もしくはポリマーのブロックされた、および/または遊離のポリイソシアネートがさらに存在する。本発明の目的では、完全にエーテル化されたおよび/または部分的にエーテル化されたアミノ樹脂、より好ましくは完全にエーテル化されたおよび/または部分的にエーテル化されたメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を使用することが好ましい。
適した、有機ポリマーおよびモノマー、例えば、適した官能基、好ましくはヒドロキシル基を有する、適した、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、および/またはエポキシ樹脂、ならびに任意に、アミノ樹脂、ポリアミンおよび/またはポリイソシアネートの選択および組合せは、製造下のコーティング系の所望のおよび/または所要の特性に従って行われる。選択のためのさらなる基準は、所望のおよび/または必要な硬化条件、より詳細には硬化温度である。このような選択を行う方法は、塗装技術分野の当業者なら承知しており、それに応じて適合させることができるものである。この場合の可能性には、従来の1成分および2成分コーティング系が含まれる(これに関しては、Roempp−Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、1998年、274〜276頁および641〜642頁も参照されたい)。1成分系の使用が好ましい。
本発明の状況で特に好ましいものは、結合剤として、少なくとも1種のヒドロキシ官能性のポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリ(メタ)アクリレート樹脂、ならびに架橋剤として、少なくとも1種の完全におよび/または部分的にエーテル化されたメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の組合せの使用である。
すべての膜形成性成分の割合、より詳細には、結合剤として、少なくとも1種のヒドロキシ官能性のポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリ(メタ)アクリレート樹脂、ならびに架橋剤として少なくとも1種の完全におよび/または部分的にエーテル化されたメラミン−ホルムアルデヒド樹脂は、それぞれの場合、着色された水性ベースコート材料の総量に対して、有利には10から90質量%、より詳細には15から60質量%の範囲、より好ましくは20から50質量%の範囲である。結合剤として別々に検討された任意の樹脂および架橋剤は、水性コーティング組成物の総量に対して、有利には3質量%以上である。
着色された水性ベースコート材料は、少なくとも1種の通例のおよび公知の、色彩付与顔料および/または効果付与顔料をさらに含む。
このような顔料の例は、例えば、二酸化チタン、酸化鉄およびカーボンブラック等の無機系顔料、あるいは例えば慣用の金属顔料(例は、市販のアルミニウムブロンズ、ステンレス鋼ブロンズである)および非金属効果顔料(例は、パール光沢顔料および干渉顔料である)である。同様に、アゾ顔料およびフタロシアニン顔料等の有機物ベースの色彩付与顔料を使用してもよい。顔料の割合は、それぞれの場合、着色された水性ベースコート材料の総量に対して、例えば1から20質量%、好ましくは2から10質量%の範囲で設定される。使用される顔料の性質および量の選択は、当業者には知られている方法で、コーティング組成物に所望または所要の特性によって導かれる。さらに詳細には、Roempp−Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、1998年、451頁を参照されたい。
水に加えて、さらに、着色された水性ベースコート材料は、有機溶媒を含んでもよい。存在してもよいものの例には、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、Solvesso 100、Shellsol A、アセトン、メチルエチルケトンもしくはメチルアミルケトン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ペンチルアセテートもしくはエチルエトキシプロピオネート等のエステル、ブチルグリコール、ジプロピレングリコールメチルエーテル等のエーテル、エチルヘキサノール、ブトキシプロパノール、イソプロパノールもしくはブチルジグリコール等のアルコール、または前述の溶媒の混合物等の、脂肪族および/または芳香族の炭化水素が含まれる。水混和性有機溶媒を用いることが好ましい。
着色されたベースコート材料は水性である。水性は、溶媒として有機溶媒を排他的に含まないが、その代わりに溶媒としてまた水をベースとするコーティング組成物のための、当業者には知られている仕様である。本発明の状況における水性は、本発明のベースコート材料が、それぞれの場合、着色された水性ベースコート材料の総量に対して、好ましくは少なくとも10質量%、より好ましくは少なくとも20質量%、極めて好ましくは少なくとも25質量%の水を含むことをさらに特定的に意味する。特に好ましくは、水性とは、「着色された水性ベースコート材料の総量に対して、少なくとも10質量%(または少なくとも20もしくは25質量%)の水」であると提示された条件に加えて、さらに満たされるべき必要条件が、前記ベースコート材料中の有機溶媒の割合が、それぞれの場合、着色された水性ベースコート材料の総量に対して、25質量%未満、より詳細には20質量%未満であることを意味するものと理解されるべきである。
着色された水性ベースコート材料は、少なくとも1種のコーティング添加剤をさらに含んでもよい。このようなコーティング添加剤の非排他的な例には、以下のものが含まれる:
消泡剤、
反応性希釈剤、
重合禁止剤、
滑剤、
シロキサン、フッ素含有化合物、カルボン酸モノエステル等の湿潤剤、
例えば、置換ホスホン酸ジエステルもしくは置換リン酸エステルをベースとする、酸性リン含有触媒等の触媒、
レベリング剤、
レオロジー制御添加剤、
分散剤、
UV安定剤、
二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウムもしくは硫酸バリウム等の充填剤、
および/または難燃剤。
これらの種類のコーティング添加剤は、例えば、様々な供給業者から商業的に入手可能である。個々の添加剤の割合は、それぞれの場合、着色された水性ベースコート材料の総量に対して、有利には10質量%以下、より詳細には5質量%以下、より好ましくは3質量%以下に設定される。
本発明の着色された水性ベースコート材料は、特に自動車仕上げに使用してもよいが、色彩付与コーティング、より詳細には、マルチコート塗装系の一部としての色彩付与中間コーティング、より詳細にはプラスチック基体上のものを構成する目的の一般の工業用コーティングに使用してもよい。次いで、クリアコートが、明示したように構成された中間コーティング上にしばしば構成され、それによってマルチコートコーティング系が製造される。
その方法という点から見ると、着色された水性ベースコート材料の製造は、いかなる固有の特徴も示さず、むしろ、撹拌タンクまたは溶解機等の通例のおよび公知の混合アセンブリを用いる、通例のおよび公知の方法により行われる。
本発明の着色された水性ベースコート材料を用いて作製されたコーティング膜は、プラスチック基体への優れた接着性を有する。例えば、得られたコーティングが風化作用に暴露された場合、対応する再生時間後に、接着性におけるいかなる有意の劣化も観察することはできなかった。さらに、本発明の着色された水性ベースコート材料の貯蔵寿命は、傑出している。
本発明は、
(A)本発明の着色された水性ベースコート材料を、プラスチック基体に適用して、第1の層を付与する工程と、
(B)(A)で適用された層を乾燥させる工程と、
(C)第2の透明な層を適用する工程と、
(D)(A)および(C)で適用された層を一緒に硬化する工程と
を含む、プラスチック基体上にマルチコート塗装系を作製する方法をさらに提供する。
本発明の着色されたベースコート材料に関してすでに上で論じたすべての特徴は、検討中の本発明の方法に対しても同様に好ましい。
使用されるプラスチック基体
本発明の着色された水性ベースコート材料は、特にプラスチック基体のコーティングに適している。問題の基体は、例えば、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、ガラス繊維強化不飽和ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリ尿素、ポリブタジエンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、ポリプロピレン(PP)およびエチレン−プロピレン−ジエンコポリマー(EPDM)で変性されたポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン等の通例のプラスチックから作製されたものである。この場合、また可能なものは、様々な提示されたプラスチック、したがって、これらのプラスチックの混合物を含むプラスチック基体である。
本発明の着色された水性ベースコート材料を、例えば、無極性プラスチック、例えばより詳細には、PPおよびEPDM画分で変性されたPP等のポリオレフィンの塗装のために使用することができる。EPDMによるPPの修飾は、本質的には、プラスチックに弾性を持たせる役割を果たし、塗装性を決める要素の1つである。低いEPDM割合では、塗装性および接着性は一般に乏しい。およそ20から25質量%のEPDMの割合に対してのみ、プラスチックは、塗装することが困難であるプラスチックとは一般にもはや見なされない。本発明の着色された水性ベースコート材料は、例えば、25質量%以下、より詳細には20質量%以下のEPDMの低い割合を有するポリプロピレン/EPDMプラスチックの塗装により特に適している。
さらに、本発明の着色された水性ベースコート材料は、極性プラスチック、例えば、より詳細には、ポリウレタン、ポリカーボネート、またはPBTで変性されているポリカーボネート等のコーティングに適している。本発明の着色された水性ベースコート材料は、そのPBT含量が例えば、35質量%以下、より詳細には30質量%以下のポリカーボネートのコーティングに特に適している。
本発明の水性ベースコート材料は、無処理のプラスチック基体のコーティングに特に適している。これは、当業者には知られている、例えば、火炎処理、プラズマ処理、溶媒による拭きとり、またはコロナ放電による電気的表面処理等の、プラスチックを前処理する方法が使用されないことを意味する。
プラスチック基体は、プラスチックの単純なシートまたはパネルであってもよい。しかし、また基体として可能なものは、プラスチック製の車体、または個々の車両部品、ならびに、車両の内装および外装の両方のための、車両付属部品および車両中または車両上に据え付ける部品である。
プラスチック基体上のコーティングの作製
上述のようなプラスチック基体への着色された水性ベースコート材料の適用を、例えば、スプレー、ナイフコーティング、延展、流し込み、ディッピング、含浸、トリックリング(trickling)またはローリング等の任意の通例の適用技術によって、好ましくはスプレー適用によって実施してもよい。適用において、適用装置またはユニットが移動し、被覆されるプラスチック基体自体が静止していてもよい。あるいは、適用ユニットが基体に対して静止し、または適切に移動し、被覆される基体が移動してもよい。単独で、または例えば、ホット−エアスプレー等のホットスプレー適用との組合せで、例えば、圧縮空気スプレー(空気圧式適用)、エアレススプレー、高速度回転、静電気スプレー適用(ESTA)等のスプレー適用技術を用いることが好ましい。
着色された水性ベースコート材料は、通例のおよび公知の膜厚、例えば10から200マイクロメーター、好ましくは50から150マイクロメーターの湿潤膜厚で適用される。硬化後に得られる乾燥膜厚は、この場合、例えば2から40マイクロメーター、より詳細には5から20マイクロメーターの範囲である。
通常、適用されたベースコート膜にクリアコート膜を適用する。ベースコート膜は、好ましくは、クリアコートが適用される前に乾燥される。本発明の目的では、「乾燥させる」という用語は、適用されたコーティング材料から溶媒を除去することを表す。結合剤の性質に応じて、この段階において、当然架橋反応がすでに起こっていてもよい。しかし、架橋はまだ完成していない。これは、この段階では、完全に硬化されたコーティング膜は生じていないことを意味する。「硬化する」という用語が正確に意味するものは、説明のさらなる過程において説明される。乾燥は、最初に室温で5から30分間、好ましくは10から20分間、および続いて、30から90℃、より詳細には50から80℃の温度で、再び5から30分間、好ましくは10から20分間行われる。
知られているように、クリアコート材料は、適用および硬化に続いて、保護および/または装飾特性を有する透明なコーティング(クリアコート膜)を形成するコーティング材料である。保護特性とは、例えば、かき傷耐性および風化耐性、より詳細にはUV耐性である。装飾特性は、例えば優れた光沢である。使用されるクリアコート材料は、プラスチックコーティングの分野で一般的に使用され、その選択および使用が当業者には公知である(これに関しては、Roempp−Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、1998年、325頁を参照されたい)クリアコート材料である。
クリアコート材料のための一般的な適用技術は、ベースコート材料のために上に前述されたものに相当する。
クリアコート材料は、通例のおよび公知の膜厚、例えば50から250マイクロメーター、好ましくは100から180マイクロメーターの湿潤膜厚で適用される。硬化後に得られる乾燥膜厚は、この場合、例えば15から80マイクロメーター、より詳細には25から50マイクロメーターの範囲である。
次いで、ベースコートおよびクリアコートの硬化が一緒に行われる。硬化は、方法という点からは独特のものを有さず、むしろ、例えば、通風オーブン中での加熱またはIRランプによる照射等の通例のおよび公知の方法により行われる。また、可能なものは、例えば放射線硬化系の場合、UV線による化学線硬化である。硬化条件、より詳細には硬化温度は、例えば、使用されるプラスチック基体の熱感受性によって、および使用される水性コーティング組成物によって、即ち、例えば使用される個々の水性コーティング組成物が、自己架橋性または外部架橋性の結合剤および任意に架橋剤を含むかどうかによって導かれる。このようにして、硬化を、例えば、室温の領域において、あるいは、例えば40℃から120℃、好ましくは60℃から90℃の範囲の高温において実施してもよい。同様に硬化段階の持続時間は、個々に選択され、すでに提示されたもの(例えば、結合剤の選択および/または硬化温度)を含む要因に依存する。例えば、硬化は、5から120分間、好ましくは10分間から40分間にわたり行われてもよい。硬化は、任意にまた、フラッシングまたは予備乾燥段階(例えば、室温で1から60分間)によって先行されてもよい。どのような基体および/またはコーティング組成物に対してどのような硬化条件を使用するかは、当分野の共通の一般知識の一部であり、それゆえ条件は、当業者によって、適合され選択され得る。
このようにして被覆されたプラスチック基体は、車両の仕上げ、より詳細には自動車の仕上げの、審美的におよび技術的に要求が厳しい分野に全体的に適している。被覆されたプラスチック基体、特にマルチコートコーティング系で被覆されたプラスチック基体は、車両部品として、ならびに車両の内装および外装の両方のための、車両付属部品および車両中および車両上に据え付ける部品として使用してもよい。作製されたコーティング系またはマルチコートコーティング系の傑出した接着性に加えて、さらに、優れたおよび可変の装飾効果を達成することが可能である。
本発明は、
(A)本発明の着色された水性ベースコート材料の適用で得られた、少なくとも1つの第1のコーティング膜、および
(B)少なくとも1つの第2の、透明なコーティング膜
をこの順序で重ねて含むプラスチック基体上のマルチコート塗装系を提供する。
使用することができるプラスチック基体の例は、上に明示されたすべてのものである。本発明の着色されたベースコート材料に関してすでに上で論じたすべての特徴は、本発明のマルチコート塗装系に対しても同様に好ましい。第2の透明なコーティング膜は、好ましくはクリアコート膜である。すでに上述したように、原理的には、当業者には公知のすべてのクリアコート材料をこの目的ために使用することが可能である。本発明のマルチコート塗装系は、本発明の着色された水性ベースコート材料の説明の一部としてすでに上述したように作製することができる。さらに、前記プラスチック基体が無処理であることが好ましい。無処理のプラスチック基体が意味することは、すでに上に述べている。
最後に、本発明は、着色された水性ベースコート材料における接着性を改良するための、少なくとも1種のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの使用方法であって、ここで、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルが、25から95mgKOH/gのOH価、0.5から2.5mmol/gの理論的炭素−炭素二重結合含量、2500から6000g/molの数平均分子量および15000から30000g/molの質量平均分子量を有し、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルが、少なくとも1個の部分的にまたは完全に塩化された酸基をさらに含み、すべてのアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの質量百分率の総計が、着色された水性ベースコート材料の総固体画分に対して、0.5から10質量%である、使用方法も提供する。
本発明の着色されたベースコート材料に関してすでに上で論じたすべての特徴は、検討中の本発明の使用に対しても同様に好ましい。
前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、無処理のプラスチック基体上の接着性を改良するために好ましくは使用される。無処理のプラスチック基体によって知られることは、すでに上に示されている。
接着性は、例えば、DIN EN ISO 66552(Daimlerパラメーター)に従ってスチームジェット試験を用いて測定してもよい。本発明のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、好ましくは、プラスチック基体とベースコート膜の間の接着性を改良するために使用される。同様に、本発明のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、好ましくは、風化後にプラスチック基体およびベースコート膜の間の接着性を改良するために使用される。このような風化作用は、例えば、DIN EN ISO 6270−2 CHに従って、定常気候試験によってシミュレートすることができる。
さらに、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルは、OEM自動車仕上げに使用される接着性を改良するための着色された水性ベースコート材料中に、好ましくは使用される。
測定方法
固体の測定
コーティング組成物中の固体の測定は、EN ISO 3251(1から2g、1時間、125℃)に従って実施される。約2gの試料を予備乾燥したアルミニウム皿中に秤量し、125℃の乾燥キャビネット中で60分間乾燥させ、デシケーター中で冷却し、次いで再秤量する。残留物は、使用した試料の総量に対して、固体の割合に対応する。
本発明のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの固体の測定は、EN ISO 3251(1g、1時間、130℃)に従って実施される。この場合、1gの試料を予備乾燥したアルミニウム皿中に秤量し、130℃の乾燥キャビネット中で60分間乾燥させ、デシケーター中で冷却し、次いで再秤量する。残留物は、使用した試料の総量に対して、固体の割合に対応する。
酸価の測定
酸価は、DIN 53402に従って測定される。試料中に存在する遊離の酸は、呈色指示薬の存在下、水酸化カリウム標準液で滴定される。酸価は、指定された条件下で1gの試験材料を中和するのに必要な、mg単位の、水酸化カリウムの質量に対応する。
OH価の測定
OH価は、DIN 53240に従って測定される。OH基は、過剰の無水酢酸とアセチル化によって反応される。次いで、過剰の無水酢酸は、水の添加によって酢酸に分解され、総酢酸がエタノール性KOHで逆滴定される。OH価は、mg単位でのKOHの量を示し、これは、1gの物質のアセチル化において結合する酢酸の量に当量である。
数加重分子量および質量加重分子量の測定
数加重分子量および質量加重分子量は、溶離液としてテトラヒドロフランおよびポリスチレン標準を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定される。カラム材料は、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーからなる。アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルを、その中和形態で測定する。中和はDMEAを用いて実施する。
本発明を以下の実施例を用いてより詳細に説明する。
実施例
1.本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの製造
1.1.本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(A)の製造
表1で確認される反応物を、前記表に示されたモル比で、以下に説明するように反応させた。最初に、無水マレイン酸(MAn)、アジピン酸(AD)および1,6−ヘキサンジオール(HD)を、ステンレス鋼で作製され、カラム、凝縮器および水分離器を備えた4リットルの反応器に導入した。これに続いて、共沸混合物形成剤として3%のキシレンおよび0.1%のメチルヒドロキノンを添加した(百分率の数値は、使用するMAn、ADおよびHDの量に基づく)。生じた反応混合物を、希薄空気下で5時間の過程にわたって加熱した。反応期間を通して、反応混合物の温度は230℃以下であった。オリゴエステルに基づいて、2mgKOH/gの酸価に達したとき、反応混合物を80℃まで冷却した。得られたアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)は、以下の特性を有していた:
OH価:148mgKOH/g
酸価:2mgKOH/g
数平均分子量:1412g/mol
質量平均分子量:3313g/mol
理論的炭素−炭素二重結合含量:1.87mmol/g
次いでトリメリト酸無水物(TMAn)をin situで添加した。これに続いて160℃まで緩徐に加熱し、次いで得られたオリゴエステルに基づいて、35mgKOH/gの酸価に達するまで、この温度を保持した。
再び80℃まで冷却した後、ジメチルエタノールアミン(DMEA)を30分の期間にわたり添加した。これに続いて、25質量%の固体含量に合わせるために、水を30分の期間にわたり添加した。得られた分散体を80℃でさらに1時間撹拌し、次いで室温まで冷却した。得られた本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(A)は、以下の特性を有していた:
OH価:58mgKOH/g
酸価:35mgKOH/g
数平均分子量:3618g/mol
質量平均分子量:25400g/mol
理論的炭素−炭素二重結合含量:1.66mmol/g
Figure 0006329566
1.2 本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(B)の製造
表1.2で確認される反応物を、前記表に示されたモル比で、以下に説明するように反応させた。最初に、無水マレイン酸(MAn)、アジピン酸(AD)、トリシクロデカンジオール(TCD)および1,6−ヘキサンジオール(HD)を、ステンレス鋼で作製され、カラム、凝縮器および水分離器を備えた4リットルの反応器に導入した。これに続いて、共沸混合物形成剤として3%のキシレンおよび0.001%のメチルヒドロキノンを添加した(百分率の数値は、使用するMAn、AD、TCDおよびHDの量に基づく)。生じた反応混合物を、希薄空気下で5時間の過程にわたって加熱した。反応期間を通して、反応混合物の温度は、230℃以下であった。オリゴエステルに基づいて、2mgKOH/gの酸価に達したとき、反応混合物を80℃まで冷却した。得られたアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)は、以下の特性を有していた:
OH価:136mgKOH/g
酸価:2mgKOH/g
数平均分子量:1516g/mol
質量平均分子量:3560g/mol
理論的炭素−炭素二重結合含量:1.81mmol/g
次いでTMAnをin situで添加した。これに続いて160℃まで緩徐に加熱し、次いで得られたオリゴエステルに基づいて、32.7mgKOH/gの酸価に達するまで、この温度を保持した。
再び80℃まで冷却した後、DMEAおよび水を30分の期間にわたり添加した。得られた分散体を80℃でさらに1時間撹拌し、次いで室温まで冷却した。得られた本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(B)は、以下の特性を有していた:
OH価:56mgKOH/g
酸価:32.7mgKOH/g
数平均分子量:2278g/mol
質量平均分子量:18700g/mol
理論的炭素−炭素二重結合含量:1.63mmol/g
Figure 0006329566
2.アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルを含む黒色水性ベースコート材料の製造
市販の黒色水性ベースコート材料を使用した。組成を表2に示す。アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルを、溶解機を用いて添加した。1.5%、2.5%、5%および7.5%の、本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(A)により組成物を製造した。これらは、黒色水性ベースコート材料の総固体画分に対する質量パーセントの数値である。
Figure 0006329566
被覆されたプラスチック基体の製造
様々なプラスチック基体を、それぞれの場合、10×10×0.3cmのサイズを有する試験プレートの形態で使用した。使用したプラスチック材料は、PC−PBT、PUおよびPP−EPDMであった。
添加された黒色水性ベースコート材料を、空気圧により適用した。生じたベースコート膜を、最初に室温で10分間、およびその後80℃の通風オーブン中でさらに10分間乾燥させた。
これに続いてクリアコート材料を適用した。使用したクリアコート材料の組成を、表3に示す。適用された水性ベースコートと適用されたクリアコート材料の一緒の硬化を、最初に室温で10分間、およびその後80℃の通風オーブン中で30分間実施した。得られた基体における、ベースコートは15マイクロメーターの乾燥膜厚を有し、クリアコートは35マイクロメーターの乾燥膜厚を有する。
Figure 0006329566
3.接着特性の調査
作製されたコーティングの接着特性を、スチームジェット試験(DIN EN ISO 66552)を用いて調査した。この試験において、スチームの噴流を、60℃の温度および67バールで1分間、10cmの距離から試験片に向けて垂直に方向づけた。総計6個の試料を、各コーティングから作製し、それぞれを独立に調査した。続いて平均値を出した。
接着性を、0から5の評点による評点システムを用いて評価し、この場合、スチームジェット処理の後、可視の軌跡を有さないコーティング(極めて優れた接着性)に対して0の評点が、スチームジェット試験の後、有意に分離した領域を示したコーティング(不十分な接着性)に対して5の評点が与えられる。
表4は、作製されたコーティングの接着特性を、使用された添加剤(本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(A))の量の関数として示す。その結果、本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの使用を介して、接着性の有意な改良を達成することができる。
Figure 0006329566
4.定常気候試験後の接着性
黒色水性ベースコート材料を製造し、上述のように適用し、次いで、気候チャンバー中で風化作用に暴露させた(DIN EN ISO 6270−2 CHに従った定常気候試験)。この試験において、試料を大気湿度100%および40℃の気候チャンバー中で10日間保管した。次いで、試料の接着性を、気候チャンバーから取り出して1時間および24時間後に、すでに上述したようにスチームジェット試験を用いて調べた。
それぞれの場合、黒色水性ベースコート材料の総固体画分に対して5%の、本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(A)および(B)を使用した。PC−PBTおよびPU−RIM基体と本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(A)に対する、ならびにPC−PBTと、本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(B)との組合せに対する結果を表5.1および5.2に示す。その結果、本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの使用を介して、気候チャンバー中に試料を保管後、接着性の有意の改良を達成することができる。
Figure 0006329566
Figure 0006329566
6.顔料の影響
1種の銀色、1種の白色および1種の赤色水性ベースコート材料を製造した。前記ベースコート材料の組成を表6.1に示す。本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(A)および(B)を、異なる濃度で、溶解機を用いて添加した。
Figure 0006329566
コーティング材料を、異なる量の、本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(A)および(B)と共に、上述のように添加した。生じたベースコート材料をPC−PBT基体に適用し、その接着性をスチームジェット試験を用いて調べた。結果を表6.1および6.2に示す。その結果、本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの使用を介して、接着性の有意の改良を達成することができる。
Figure 0006329566
Figure 0006329566
7.貯蔵の影響
黒色水性ベースコート材料を、上述のように製造した。それぞれの場合、黒色水性ベースコート材料の総固体画分に対して、7.5%の本発明により使用されるアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(A)および(B)を使用した。このようにして製造されたベースコート材料を、室温で合計7カ月間貯蔵した。1、3および7カ月後、ベースコート材料を、3節に記載されたようにPC−PBT基体に適用し、スチームジェット試験を用いて接着性を調べた。結果を表7に示す。その結果、数カ月の貯蔵後でも、接着特性の結果には有意の劣化が見られなかった。
Figure 0006329566

Claims (15)

  1. 25から95mgKOH/gのOH価、0.5から2.5mmol/gの理論的炭素−炭素二重結合含量、2500から6000g/molの数平均分子量、および15000から30000g/molの質量平均分子量を有する、少なくとも1種のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルを含み、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルが、少なくとも1個の部分的にまたは完全に塩化された酸基をさらに含み、すべてのアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの質量百分率の総計が、着色された水性ベースコート材料の総固体画分に対して、0.5から10質量%であることを特徴とする、着色された水性ベースコート材料。
  2. すべての前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの質量百分率の総計が、前記着色された水性ベースコート材料の総固体画分に対して1.5から7.5質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の着色された水性ベースコート材料。
  3. 前記少なくとも1種のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルが、
    (i)30から170mgKOH/gのOH価、1から2.5mmol/gの理論的炭素−炭素二重結合含量、800から2200g/molの数平均分子量、および1000から6000g/molの質量加重分子量を有する、少なくとも1種のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)を、
    (ii)構造式(I)
    Figure 0006329566
    [式中、Bは、少なくとも1個の酸基を含む脂肪族基または芳香族基である]
    の少なくとも1種の環式ジカルボン酸無水物と、
    反応させることによって得られた反応生成物であり
    ただし、前記構造式(I)の環式ジカルボン酸無水物のジカルボン酸無水物基の開環から生じるカルボン酸基は、いずれの場合も前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステル(I)と完全に反応して、エステル結合を形成することを条件とし、
    (iii)前記少なくとも1個の酸基は、部分的にまたは完全に塩化されることを特徴とする、請求項1および2の少なくとも一項に記載の着色された水性ベースコート材料。
  4. 前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルが、構造式(II)
    Figure 0006329566
    [式中、
    (m+n+2)個のR基は互いに独立に、直鎖状または環式のアルキレン基の群から選択され、
    (m+n)個のR基は互いに独立に、アルキレン基またはアルケニレン基の群から選択され、アルケニレン基に対するアルキレン基の比は、前記構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルが、0.5から2.5mmol/gの理論的炭素−炭素二重結合含量を有するようにちょうど選択され、
    指数mおよびnは、前記構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの数平均分子量が、2500から6000g/molであるように選択され、
    B基は、部分的にまたは完全に塩化された少なくとも1個の酸基を含む脂肪族基または芳香族基である]
    を有することを特徴とする、請求項1から3の少なくとも一項に記載の着色された水性ベースコート材料。
  5. 前記構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルが、3500から4500g/molの数平均分子量を有することを特徴とする、請求項4に記載の着色された水性ベースコート材料。
  6. 前記構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルが、20000から26000g/molの質量平均分子量を有することを特徴とする、請求項4および5の少なくとも一項に記載の着色された水性ベースコート材料。
  7. 前記構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルにおいて、前記(m+n)個のR基が、4から8個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン基の群から、および2から4個の炭素原子を有する直鎖状アルケニレン基の群から選択されることを特徴とする、請求項5から6の少なくとも一項に記載の着色された水性ベースコート材料。
  8. 前記構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルにおいて、前記(m+n+2)個のR基が、6から10個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン基の群から選択されることを特徴とする、請求項5から7の少なくとも一項に記載の着色された水性ベースコート材料。
  9. 前記構造式(II)のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルにおいて、前記(m+n+2)個のR基が、6から10個の炭素原子を有する直鎖状アルキレン基の群から、および6から10個の炭素原子を有する環式アルキレン基の群から選択されることを特徴とする、請求項5から8の少なくとも一項に記載の着色された水性ベースコート材料。
  10. 前記B基が、基
    A(Q)
    [式中
    Aは、脂肪族基または芳香族基であり、
    前記Q基は、部分的にまたは完全に塩化された酸基であり、
    K=1から3である]
    であることを特徴とする、請求項5から9の少なくとも一項に記載の着色された水性ベースコート材料。
  11. Aは、構造式(II)の2個のカルボン酸エステル基がそれぞれ、互いにアルファ位に位置するベンゼン基であり、K=1であることを特徴とする、請求項10に記載の着色された水性ベースコート材料。
  12. Qが、部分的にまたは完全に塩化されたカルボン酸基であることを特徴とする、請求項11に記載の着色された水性ベースコート材料。
  13. (A)請求項1から12の少なくとも一項に記載の着色された水性ベースコート材料の適用で得られた、少なくとも1つの第1の層、および
    (B)少なくとも1つの、第2の透明な層
    をこの順序で重ねて含む、プラスチック基体上のマルチコート塗装
  14. (A)請求項1から12の少なくとも一項に記載の着色された水性ベースコート材料を、プラスチック基体に適用して、第1の層を付与する工程と、
    (B)(A)で適用された前記層を乾燥させる工程と、
    (C)第2の透明な層を適用する工程と、
    (D)(A)および(C)で適用された前記層を一緒に硬化する工程と
    を含む、プラスチック基体上にマルチコート塗装を製造する方法。
  15. 着色された水性ベースコート材料における接着性を改良するための、少なくとも1種のアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの使用方法であって、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルが、25から95mgKOH/gのOH価、0.5から2.5mmol/gの理論的炭素−炭素二重結合含量、2500から6000g/molの数平均分子量、および15000から30000g/molの質量平均分子量を有し、前記アルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルが、少なくとも1個の部分的にまたは完全に塩化された酸基をさらに含み、すべてのアルファ,オメガ−ヒドロキシ官能化オリゴエステルの質量百分率の総計が、着色された水性ベースコート材料の総固体画分に対して、0.5から10質量%である、使用方法。
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