JP6325918B2 - 防火シャッタ用安全装置 - Google Patents

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Description

本発明は、商業用ビル、学校、病院、工場、その他の建物や施設等で利用される防火シャッタに関し、特に、人が防火シャッタに挟まる事故を防止する防火シャッタ用安全装置に関する。
近年商業用ビル、学校等における火災への対策として、防火シャッタが普及されている。従来の防火シャッタは、解放時には上方に巻き取られてブレーキで拘束されて収納されており、火災時又は点検時に、ブレーキの拘束を解いて自重によりシャッタを降下させて閉じる構造となっている。
しかしながら、近年、子供が、誤作動により降下した防火シャッタの下敷きとなり、その荷重で圧死するといういたましい事故が発生しており、防火シャッタの安全性の見直しが社会的な問題となっている。安全対策として、火災時あるいは点検時を除いてやたらに防火シャッタが降下しないように設計されているが、万が一に、防火シャッタの降下時に、防火シャッタの直下に人がいる場合は、それを光学的に検知して、緊急にブレーキをかける等の手段が考えられている。
しかし、そのためには、光学的検知装置やブレーキを制御する制御装置等が必要であり、構成が複雑となり新規に防火シャッタを設置する場合でも、既存の防火シャッタに付設する場合でも、設備費用が高くなる。しかも、光学的、電気的な検知装置、制御装置を使用すると、誤動作等の危険性も皆無とは言えない。
本発明者は、上記従来の問題点を解決することを目的とし、既存又は新設の防火シャッタに、簡単な付帯工事をするだけで取り付けることのできる、構造が簡単で低コストの防火シャッタ用安全装置に係る発明をすでに提案している(例えば、特許文献1〜3参照。)。
本発明者によるこれらの先行発明は、防火シャッタのガイドレールに、防火シャッタが設置面との間に隙間を残して停止するストッパ杆を設けるか、あるいは、防火シャッタを隙間を残して閉じる寸法に形成するとともに、防火シャッタの下端に防火補助部材として防火スライド板を設け、防火シャッタの閉鎖中は防火シャッタの一部となり防火機能を発揮するが、防火シャッタの降下時に子供等が挟まれると上方にスライドして退避し、防火シャッタと設置面の間に隙間を残すようにして、事故を防止する防火シャッタ用安全装置である。
上記従来の防火シャッタ用安全装置においては、人が挟まれると上方に退避する防火スライド板を設けることで、人が挟まれることによる事故は防ぐことができるようになった。そして、防火スライド板は、比較的に軽量であるから、防火シャッタが閉じている際に、簡単に持ち上げて開くことが可能である。
このように防火スライド板を簡単に持ち上げて開くことが可能であると、防火シャッタを屋内において、例えば、部屋と部屋の仕切り部や、廊下の仕切り部に防火用として設置する場合は、特に問題は生じない。
しかしながら、屋外に面して建物の入口を閉じるために設置するような場合は、防火スライド板を簡単に持ち上げて開くことが可能であると、不審者でも屋外から建物内に簡単に侵入することが可能となり、防犯上、問題である。
このようなことを解決するために、防火シャッタが閉じている状態では、防火スライド板を上方に持ち上げて開くことができないようにロックするロック装置が提案されている(特許文献4参照)。
特許第2940671号公報 特開2000−8740号公報 特許第3854245号公報 特許第5179837号公報
特許文献4に示されているロック装置は、多くの部品を防火シャッタのガイド部、ストッパ及び防火スライド板等に取付ける必要があり、複雑な構造である。そのために、ロック装置の取り付けは簡単ではないことが推察される。
また、このようなロック装置は、既存の防火シャッタに付設する場合に、特に、防火スライド板にロック装置の部品を取り付けるための加工をすると、予め設定されている防火スライド板の力学的な強度、耐火強度等を損なう可能性がある。
本発明は、上記従来の問題点を解決することを目的とし、簡単な構造でしかも防火シャッタの閉鎖時における防火スライド板のロックを確実にでき、既存の防火シャッタの防火スライド板を加工したり、部品を取り付けたりすることなく、防火シャッタに取り付けることが可能であり、防火スライド板のロックを可能とする防火シャッタ用安全装置を実現することを課題とする。
本発明は上記課題を解決するために、防火シャッタの最下段のスラットに固定された補強板部に、上下動可能に取り付けられた防火スライド板と自動ロック装置を備え、防火シャッタの閉鎖時に、防火スライド板と設置面の間に人が挟まった場合は、防火スライド板が上方に移動して退避する防火シャッタ用安全装置において、自動ロック装置は、補強板部に枢軸によって回動可能に取り付けられたつっかえ具と、該つっかえ具の姿勢を制御する制御具と、を備え、制御具は、防火シャッタが開いている時にはつっかえ具に力を付与して、つっかえ具を鉛直線に対して傾斜した姿勢になるように制御し、防火シャッタが閉鎖している時にはつっかえ具に上記力を付与することなく、つっかえ具が重力によって鉛直線に沿って吊り下がった姿勢になるように制御するものであり、つっかえ具が鉛直線に対して傾斜した姿勢の時には、防火スライド板は上方へ移動可能であり、つっかえ具が重力によって鉛直線に沿って吊り下がった姿勢の時には、防火スライド板の底部材がつっかえ具につっかえて、防火スライド板は上方へ移動できない構成であることを特徴とする防火シャッタ用安全装置を提供する。
本発明は上記課題を解決するために、互いに連節された複数のスラットの左右両側縁部を左右のガイドレールの凹溝内で移動し開閉を行う防火シャッタに設けられた安全装置であり、防火シャッタの最下段のスラットに固定された補強板部に上下動可能に取り付けられた防火スライド板と、補強板部に設けられ且つその左右両側に下方に伸びるストッパ杆と、補強板部に取り付けられた自動ロック装置と、を備えて成り、スラットが下降しストッパ杆が設置面に当接して防火シャッタが閉鎖した際に、防火スライド板と設置面の間に人が挟まった場合は、防火スライド板が上方に移動して退避する防火シャッタ用安全装置において、自動ロック装置は、補強板部に枢軸によって回動可能に取り付けられたつっかえ具と、該つっかえ具の姿勢を制御する制御具と、を備え、制御具は、ストッパ杆が設置面の上方にあって防火シャッタが開いている時にはつっかえ具に力を付与して、つっかえ具を鉛直線に対して傾斜した姿勢になるように制御し、ストッパ杆が設置面に当接し防火シャッタが閉鎖している時にはつっかえ具に上記力を付与することなく、つっかえ具が重力によって鉛直線に沿って吊り下がった姿勢になるように制御するものであり、つっかえ具が鉛直線に対して傾斜した姿勢の時には、防火スライド板は上方へ移動可能であり、つっかえ具が重力によって鉛直線に沿って吊り下がった姿勢の時には、防火スライド板の底部材がつっかえ具につっかえて、防火スライド板は上方へ移動できない構成であることを特徴とする防火シャッタ用安全装置を提供する。
制御具は、補強板部に固定された固定案内部と、固定案内部に案内されて水平に移動可能な可動部と、可動部に取り付けられたカムフォロアと、固定案内部と可動部の間に装着されたバネと、ガイドレールに設けられたカムと、を備えており、可動部とつっかえ具の上端の間にワイヤが張設されており、防火シャッタが開いている時にはバネによる力がワイヤを介してつっかえ具に付与されており、ストッパ杆が設置面に当接し防火シャッタが閉鎖しているときには、カムフォロアがカムの面に当接してバネに抗して可動部を移動させてワイヤを緩め、バネによる上記力がつっかえ具に付与されないようにする構成であることが好ましい。
前記バネは引っ張りバネであり、ストッパ杆が設置面に当接しないで防火シャッタが開いている時には、引っ張りバネの力によって、可動部をガイドレール側に付勢し引き寄せるとともに、ワイヤを介してつっかえ具の上端部をガイドレール側に付勢し引き寄せており、ストッパ杆が設置面に当接し防火シャッタが閉鎖しているときには、カムフォロアがカムの面に当接し、可動部は引っ張りバネに抗してガイドレールと反対側に移動し、ワイヤを緩め、引っ張りバネの上記力がつっかえ具に付与されないようにする構成であることが好ましい。
つっかえ具は、その下端部に回動可能に取り付けられた下端片を有し、下端片は、その下部が防火スライド板の底部材に載置されている構成であることが好ましい。
防火スライド板は、防火シャッタの横幅方向に複数設置され、複数の防火スライド板に対応して、それぞれつっかえ具が防火シャッタの補強板部に設けられており、複数の防火スライド板のそれぞれに設けられたつっかえ具を、前記制御具が一括して制御する構成であることが好ましい。
上記ストッパ杆と、上記防火シャッタの最下段のスラットに固定される補強板部とが一体となり又は別体で、門型ストッパを構成していることが好ましい。
本発明によれば、次のような効果が生じる。
(1)本発明の防火シャッタ用安全装置は、人が挟まれた際に上方に移動して退避する防火スライド板により安全性を確保するとともに、自動ロック装置を付設したので、ストッパ杆が設置面に当接して防火シャッタが閉鎖されている状態では、外部(屋外)から防火スライドを開くことができないので、不審な部外者の侵入を阻止することができ、防犯効果が大きい。
(2)自動ロック装置は、最下段のスラットに固定された補強板部(門型ストッパの補強板部)に取り付ける構成であり、防火スライド板には、一切の加工や部品の取付け等をしないので、防火スライド板の防火機能、耐火機能、安全強度及び上方への退避機能を損なうことがなく、新設の防火シャッタだけでなく、既設の防火シャッタ、その他いろいろなタイプの防火シャッタに簡単に取り付けることができる。
本発明に係る防火シャッタ用安全装置の実施例1を説明する図であり、閉鎖していない状態の防火シャッタを屋内側から見た正面図である。 上記実施例1の要部を説明する図であり、(a)は図1のA−A断面図であり、(b)はB−B断面図であり、(c)は門型ストッパの正面図である。 上記実施例1の各部分を説明する図であり、(a)は図1の要部拡大図であり、(b)はガイド部材支持板とガイド部材を説明する屋内側で斜め下方から見た斜視図であり、(c)は(a)のC−C断面図であり、(d)は(c)の要部拡大図である。 上記実施例1の防火シャッタ用安全装置の作用を説明する図であり、閉鎖していない状態の防火シャッタを屋内側から見た正面図である。 上記実施例1の作用を説明する図であり、人が挟まれた状態を屋外側から見た正面図である。 上記実施例1の作用を説明する防火シャッタの要部を屋内側から見た図であり、(a)は防火シャッタが開いている状態を示し、(b)は人が挟まれた状態を示す。 (a)は上記実施例1の作用を説明する図であり、閉鎖した状態の防火シャッタを屋内側から見た図であり、(b)及び(c)は自動ロック装置の基本動作を説明する図であり、(b)はロックされていない状態及びその一部拡大図を示し、(c)はロックされた状態を示す図である。 上記実施例1の防火シャッタ用安全装置の自動ロック装置の作用を説明する図であり、(a)は防火シャッタが開いておりロックされていない状態を示し、(b)はロックされていない状態で人が挟まれた際の様子を示し、(c)は防火シャッタが閉鎖されておりロックされた状態を示す図である。 本発明に係る防火シャッタ用安全装置の実施例2を説明する図であり、(a)閉鎖していない状態の防火シャッタを屋内側から見た正面図であり、(b)は特に自動ロック装置を説明する図である。
本発明に係る防火シャッタ用安全装置を実施するための形態を実施例に基づき図面を参照して、以下説明する。本発明に係る防火シャッタ用安全装置は、屋内の廊下や、室と室の間に設けられる防火専用のシャッタだけでなく、建家の出入口に設けた防火及び防犯を兼ねたシャッタにも適用可能であるが、本明細書では、シャッタは防火シャッタとして説明する。なお、本明細書では、防火シャッタに対して屋内側を内側とし、屋外側を外側とする。また、防火シャッタの左右一対のガイドレールの間を通路側という。
(実施例1)
全体構成:
図1〜8は、本発明に係る防火シャッタ用安全装置の実施例1を説明する図である。図1は、本発明に係る防火シャッタ用安全装置23を付設した防火シャッタ21が少し開いている状態を屋内側から見た図であり、そのA−A及びB−B断面を図2(a)及び図(b)(ガイドレール3の図示は省略した。)にそれぞれ示している。
この防火シャッタ21は、複数のスラット1が上下方向に連節されて成るシャッタカーテン2を備えている。左右一対のガイドレール3は、図3(c)に示すような断面が凹型の溝(以下、「凹溝」という。)4を有している。
互いに連節された複数のスラット1は、その左右両側縁の部分22が、図1に示すように、左右のガイドレール3の凹溝4内に移動可能(摺動可能)に嵌合されており、これにより、スラット1は、上下方向に案内されて昇降可能である。
防火シャッタ21は、火災や点検時ではない平常時においては開いており、また建家の出入口に設けられる防火シャッタ21も、日中等の出入りが必要な時間帯は開いている。防火シャッタ21が開いている時は、シャッタカーテン2は、上方に配設されたシャッタボックス8内に巻き取られて図示しないブレーキにより拘束され、シャッタカーテン2が降下しないようにされている。
通常の点検時においてシャッタカーテンの昇降動作をチェックするような場合、あるいは火災が発生して、その煙を煙検知器で検知し又は熱検知器で熱を検知した場合、さらには夜間に出入口を閉鎖する場合等には、ブレーキによる拘束が解除されて、シャッタカーテン2は、その自重により降下して、図4に示すように、防火シャッタ21が閉鎖される。
このような構成は、防火シャッタ21の従来から知られた構造であるが、本発明は、このような防火シャッタ21に取り付けられている防火シャッタ用安全装置23において、特に自動ロック装置70を備えた構成を特徴とする。
図1〜3において、この防火シャッタ用安全装置23は、シャッタカーテン2の最下段のスラット5に固定された補強板部27と、補強板部27に上下動可能に取り付けられる防火補助部材である防火スライド板25と、補強板部27の左右両側縁の部分28から下方に伸びるストッパ杆29と、補強板部27に所定範囲内(後記する長孔42の範囲内)で上下動可能に取り付けられたガイド部材支持板41と、ガイド部材支持板41に所定範囲でスライド可能に取り付けられ、防火スライド板25を案内するガイド部材26と、を備えている。
補強板部27とストッパ杆29は、別体に夫々形成し、ネジや溶接等で互いに固定する構造としてもよい。この実施例1では、図2(c)に示すように、補強板部27と、この補強板部27の左右両側縁の部分28から下方に伸びるストッパ杆29とを一体として成る門型ストッパ24を使用する。門型ストッパ24において、補強板部27は「頂部」に相当し、ストッパ杆29は脚部に相当する。
門型ストッパ24の補強板部27は、最下段のスラット5と左右方向の横幅が同じであり、最下段のスラット5にネジ30で固定されて取り付けられている。補強板部27の左右両側縁の部分28及びストッパ杆29は、左右のガイドレール3の夫々の凹溝4内に上下方向に移動(摺動)可能に嵌合されている。
防火スライド板25は、一枚の長方形の耐火金属板から成り、その長手水平方向の横幅(図1中の左右方向の横幅)は、左右一対のガイドレール3の間の間隔より小さく形成されている。具体的には、防火スライド板25の左右両側縁の部分32は、夫々左右のガイドレール3内に嵌合されていない状態であり、後記するガイド部材26等がない場合は、左右のガイドレール3との間に隙間33が生じる(図1参照)。
一方、防火スライド板25の上下方向の幅(縦幅)は、防火スライド板25がボックス8内に巻き込まれて収納されることが必要であるので、なるべく小さい方が良いが、人が挟まれた際に上方に退避するという安全防止機能を考慮するとある程度の幅が必要である。
なお、防火スライド板25の材料は、上述のとおり耐火金属板等の耐火性に富んだ材料を利用するが、金属板に耐火材料を塗布又は貼り付けて成る材料、或いは耐火性繊維材等を利用してもよい。
門型ストッパ24によって、設置面Sと補強板部27の下縁34との間に隙間35(隙間35の長さは後述するが「ストッパ杆29の高さh」に相当する。)が形成される(図2(c)、図4参照。)が、防火スライド板25の上下方向の幅(縦幅)は、この隙間35を閉じることのできる程度の幅が必要である。
これにより、設置面Sと補強板部27の下縁34の間の隙間35は、シャッタカーテン2が閉鎖すると防火スライド板25によって閉じられるが、防火スライド板25と設置面Sの間に人が挟まれても、防火スライド板25が上方に移動して退避し、安全が確保できる。この隙間35は、例えば、人(子供等)が挟まれても支障のない程度の幅(例えば30cm)である。
防火スライド板25の左右には、長孔36が上下方向に形成されている。図2(a)、(b)に示すように、防火スライド板25を、門型ストッパ24の前面側(例えば、屋外側)に配置し、長孔36を通して支持杆37が通され、防火スライド板25が補強板部27に上下方向に移動可能に取り付けられている。支持杆37の一端には抜け止めヘッド39が固着されており、他端は補強板部27及び最下段のスラット5とともに座金38を介してナット40で螺着されている。
このような構造により、防火スライド板25は、門型ストッパ24の補強板部27及びシャッタカーテン2に対して上下方向にスライド可能である。防火スライド板25の下端部における、左右のガイド部材26より通路側の部分には、図1及び図2(b)に示すように、断面がほぼ凹状の底部材31が固定されている。この底部材31の外側及び内側には、折返し部48が形成されている。
図2(c)において、ストッパ杆29の下端から補強板部27の下縁34までの長さ(「ストッパ杆29の高さ」とも言う。)hについては、人が防火シャッタ21で挟まれても防火スライド板25が上昇して安全な隙間35(例.30cm程度)が形成される程度の寸法にする必要がある。
即ち、シャッタカーテン2が上方から降下してくると、門型ストッパ24の左右両端に設けられたストッパ杆29が設置面S(ガイドレール3を設置する基礎となる面、例えば、建屋床面等。)に衝突して停止される。この時、ストッパ杆29の高さhに相当する設置面Sとから門型ストッパ24の補強板部27の下縁34までの隙間35は、防火スライド板25が上方に移動して退避し、人が挟まれても安全な隙間となる。
また、ストッパ杆29は、シャッタボックス8内にシャッタカーテン2が巻き上げられる際に、シャッタボックス8内につっかえない程度の長さに形成する必要がある。又、ストッパ杆29は、シャッタカーテン2の全荷重を受けるので剛性を有する仕様(幅、肉厚、形状等)で設計する必要がある。
ガイド部材支持板41には、図2(a)、図3(a)〜(c)に示すようにガイドレール3の凹溝4内に嵌合される一端側の部分43おいて、その上下2箇所に上下方向の長孔42が形成されている。この長孔42に支持杆45が挿通され、両端に抜け止めヘッド46が装着されて、門型ストッパ24のストッパ杆29に取り付けられている。
これにより、ストッパ杆29とガイド部材支持板41は、ガイドレール3の凹溝4内を上下動するとともに、ガイド部材支持板41は、ストッパ杆29に対して所定の範囲内(上下方向に長孔42の範囲内)で上下方向に移動可能である。
ガイド部材支持板41の通路側には、図3(b)〜(d)に示すように、水平断面が略矩形のガイド枠44が上下方向に延びるように形成されている。ガイド枠44内にガイド部材26の上下方向の移動を規制する規制ピン71が突出するように設けられている。
ガイド部材26は、図3(b)〜(d)に示すように、通路側に二股状のガイド部75が形成されており、ガイドレール3側に矩形の筒部72が形成されている。この筒部72は、ガイド部材支持板41のガイド枠44内に摺動可能に嵌合されている。
ガイド部材26の筒部72のガイドレール3側には、長孔73が形成されており、この長孔73に規制ピン71が突出している。これによって、ガイド部材26はガイド部材支持板41に支持され、ガイド部材支持板41のガイド枠44に沿って、所定の範囲内(規制ピン71が筒部72の長孔73の上端及び下端に当接する範囲内)で、上下方向に案内されて移動可能である。
二股状のガイド部75は、その中に防火スライド板25の左右両端部32が摺動可能に嵌合されており、これによって、防火スライド板25はガイド部材26にガイドされて、所定の範囲内(防火スライド板25の長孔36の範囲内)で上下方向に移動する。
以上の構成によって、ガイド部材26は門型ストッパ24の補強板部27に対して上下方向に移動可能である。そして、防火スライド板25とガイドレール3との間の隙間33は、ガイド部材26及びガイド部材支持板41で遮蔽される。
自動ロック装置:
以上の構成から成る本発明に係る防火シャッタ用安全装置23は、新規な構成の自動ロック装置70を備えている。この点が、本発明の特徴的な構成である。以下、この自動ロック装置70について説明する。
自動ロック装置70は、ストッパ杆29が設置面Sに当接して防火シャッタ21が閉鎖した時には、防火スライド板25をら開くことが出来ないように自動的にロックする装置である。特に、防火スライド板25を設けた側を屋外側にした場合は、屋外側から開くことが出来ない。
自動ロック装置70は、図1〜4、図6〜7等に示すように、防火シャッタ21における防火スライド板25と反対側、即ち、防火スライド板25を屋外側に設けた場合は、自動ロック装置70は、屋内側(内部側)に設けられている。自動ロック装置70は、制御具80と、つっかえ具81と、ガイドカム82と、ワイヤ84と、を備えている。
制御具80は、門型ストッパ24の補強板部27の内部側に設けられており、図7(a)〜(c)に示すように、固定案内部86、可動部87及び引っ張りバネ88を備えている。固定案内部86は、門型ストッパ24の補強板部27の内面に固定されるように取り付けられている。
可動部87は、転動輪91を有し、この転動輪91が固定案内部86に形成された転動溝92内を転動することで、図7(b)、(c)に示すように、固定案内部86に対して水平方向に移動可能である。可動部87の基端部(図7中では左側の端部)にはカムフォロア93が取り付けられている。カムフォロア93としては、ガイドカム82の面に沿って転動可能ばカム輪(ローラ)等が利用される。
固定案内部86の基部と可動部87の先端部との間に引っ張りバネ88が装着されており、防火シャッタ21が、図1に示すように開いている状態では、可動部87は、引っ張りバネ88によって図7(b)では左側のガイドレール3側に付勢されており、カムフォロア93がガイドレール3の通路側の側面に向けて付勢されている。
なお、図示はしないが、引っ張りバネ88に替えて圧縮バネを利用し、この圧縮バネを、固定案内部86の先端部(図7(b)、(c)の右端部)と可動部87の先端部との間に装着することで、可動部87をガイドレール33側に付勢する構成としてもよい。
つっかえ具81は、互いにリンク状に回動可能に連結された、上部リンク片96と、下部リンク片97と、下端片98と、を備えている。上部リンク片96の下端部に下部リンク片97の上端部が連結軸によって回動可能に連結されており、下部リンク片97の下端部に下端片98の上端部が連結軸によって回動可能に連結されている。
なお、図7(b)、(c)、特に図7(b)部分拡大図で示すように、上部リンク片96の下端部の一側には、規制突起99が起立するように(図7(b)、(c)では紙面に対して垂直に上方に向けて起立するように)設けられている。図7(b)、(c)以外の図では、規制突起99を表現するには、微細となりすぎるので、省略する。
この規制突起99を設けることによって、上部リンク片96と下部リンク片97は、図7(b)、図8(b)等に示す方向には回動して屈曲するが、その反対方向への回動すると、下部リンク片97の上端部の側面が規制突起99に当接して回動ないし屈曲することは規制(拘束)される。
下部リンク片97に対するこの規制突起の位置や角度によって反対方向への回動、屈曲における規制角度が、適宜、決められる。なお、この規制突起99を設けることは好ましいが、必須ではない。また、このような規制突起は、上部リンク片96ではなく、下部リンク片97の上端に起立して設けてもよい。
上部リンク片96は、その上端部101が、枢軸102によって門型ストッパ24の補強板部27の内面に回動可能に取り付けられている。ワイヤ84は、その基端が可動部87に固定されており、その先端が上部リンク片96の上端部101における枢軸102とは偏心した上方の部位に取付軸103によって取り付けられている。
下部リンク片97の下端部には水平面106が形成されている。下部リンク片97が重力によって鉛直線に沿って自然状態に吊り下がった姿勢の時に、水平面106が設置面Sに水平に当接し、上部リンク片96及び下部リンク片97が鉛直線に沿ってより安定した状態で一直線となり、後記するロック動作がより確実となる。
下端片98の下端部には、ローラ107が回動可能に取り付けられており、防火スライド板25の底部材31上に載置されている。ガイドカム82は、ガイドレール3の通路側の側面に固定されており、通路側に向けて突出するように山型の突出面83が形成されている。
上記のとおり、防火シャッタ21が、図1に示すように開いた状態では、引っ張りバネ88によって、可動部87はガイドレール3側(つっかえ具70から離れる方向)に引っ張られているので、上部リンク片96は、図7(b)に示すように、ワイヤ84を介して枢軸102を中心に反時計方向への回動力が付与されており、その結果、上部リンク片96と下部リンク片97は、それぞれ鉛直線に対して傾斜し、全体としてはくの字型の姿勢に保持される。
しかし、防火シャッタ21が、図4、図7(a)に示すように閉鎖した状態では、カムフォロア93がガイドカム82によって案内されてその突出面83に乗り上げる。すると、可動部87は引っ張りバネ88の弾力に抗して、図7(c)に示すように、固定案内部86に対してつっかえ具70に近づく方向に移動するので、ワイヤ84は緩む。
その結果、上部リンク片96に付与されていた反時計方向への上記回動力(図7(b)参照)は解除され付与されなくなるので、図7(c)に示すように、上部リンク片96及び下部リンク片97は、重力によって鉛直線に沿って上下一直線に自然状態で吊り下がった姿勢となり、全体として、1の字型の状態に保持される。
なお、本発明において、上部リンク片96及び下部リンク片97は、上記のように鉛直線に沿って上下一直線に自然状態で吊り下がった姿勢に完全にならなくても、即ち、上部リンク片96及び下部リンク片97が、互いに180°とならないがそれに近い程度をなし、少し屈曲した状態であっても、後記する本発明の効果は生じる可能性がある。従って、上部リンク片96及び下部リンク片97は、重力によって鉛直線に沿って上下一直線に自然状態で吊り下がった姿勢には、このように互いに僅かに屈曲した状態も実質的に含まれる。
このようなことからすると、重力によって鉛直線に沿って上下一直線に自然状態で吊り下がった姿勢は、上部リンク片96に付与されていた上記回動力は、必ずしも100%解除され付与されなくなる場合について生じるのではない。従って、本発明において、上部リンク片96に付与されていた反時計方向への上記回動力は解除され付与されなくなる場合とは、回動力が減じられ、上部リンク片96に付与されていた上記回動力が100%付与されなくなる場合だけでなく、回動力が僅かに残っている場合も、実質的に含まれる。
なお、上部リンク片96及び下部リンク片97の全体の長さ、即ち上部リンク片96及び下部リンク片97が鉛直線に沿って上下一直線に吊り下がった姿勢における全体の長さは、図7(c)に示すように、下部リンク片97の下端部の水平面が、防火スライド板25の底部材31の上面に当接する程度の長さにする。
実施例1の作用:
以上のような構成より成る防火シャッタ21の防火シャッタ用安全装置23の作用について説明する。火災や点検時(建物の出入口に設けた防火シャッタは夜間の閉鎖時等)等以外の平常時は、防火シャッタ21は、シャッタカーテン2が上方のシャッタボックス8内に巻き取られて図示しないブレーキで降下しないように拘束されて収納されている。
今、点検又は火災が発生して、あるいは誤作動により、防火シャッタ21を閉鎖するための信号が図示しないブレーキ制御装置に入ると、ブレーキによる拘束を解いてシャッタカーテン2の互いに連節された複数のスラット1が、ガイドレール33に案内されて自重により降下する。そして、門型ストッパ24の左右両端に設けられたストッパ杆29が設置面Sに衝突して停止する。
この状態では、図4に示すように、シャッタカーテン2の最下段のスラット5は、設置面Sより上方にあり、設置面Sと門型ストッパ24の補強板部27の下縁34との隙間35を防火スライド板25により閉じ防火することができる。
ストッパ杆29が設置面Sに当接し防火シャッタ21が閉鎖した状態では、前記したとおり、カムフォロア93がガイドカム82によって案内されてその突出面83に乗り上げ、可動部87は、引っ張りバネ88の弾力に抗して、図7(a)、(c)、図8(c)に示すように、固定案内部86に対してつっかえ具81の方向に移動し、ワイヤ84は緩んでいる。その結果、上部リンク片96及び下部リンク片97は、重力によって鉛直線に沿って上下一直線に自然状態に吊り下がった姿勢に保持されている。
この状態では、防火スライド板25の底部材31に手を掛けて防火スライド25を持ち上げようとしても、防火スライド板25の底部材31は、下部リンク片97の下端部の水平面106に係合し、つっかえ具81の上部リンク片96及び下部リンク片97は、全体として、鉛直線に沿って一直線状の姿勢に保持され、あたかもつっかえ棒のように機能するので、防火スライド25を持ち上げて開くことができないロック状態となる。
従って、防火シャッタ21が閉鎖されている状態では、防火スライド板25の設けられている側(例えば、屋外側)から防火スライド25を開くことができないので、不審な部外者の侵入を阻止することができ、防犯効果が大きい。
なお、カムフォロア93がガイドカム82の上方の位置に戻せば、可動部87は引っ張りバネ88によりガイドレール33側に戻り、上部リンク片96と下部リンク片97をくの字型の姿勢にすることができ、防火スライド板25を持ち上げて開くことが可能となる。しかしながら、そのためには、シャッタカーテン2全体を上方に持ち上げなくてはならず、人が手によって持ち上げることは事実上不可能である。
本発明では、防火シャッタ21が、閉鎖されておらず、図1、図3(a)、図6(a)、図8(a)に示すように開いた状態では、カムフォロア93がガイドカム82の突出面83に乗り上げていないので、可動部87は引っ張りバネ88によってガイドレール3側に引っ張られ、ワイヤ84を介して上部リンク片96は枢軸102を中心に図7(b)、図8(a)に示すように、反時計方向への回動力が付与されている。その結果、上部リンク片96と下部リンク片97は、全体として、くの字型の姿勢に保持されている。
従って、火災や誤作動等で防火シャッタ21が閉鎖した際に、誤って人(子供等)Pが防火シャッタ21の直下にいて防火シャッタ21に挟まれた場合は、図6(b)、図8(b)に示すように、防火スライド板25の底部材31を介して上部リンク片96及び下部リンク片97に下方から押し上げ力が加わる。
すると、上部リンク片96は枢軸102を中心に反時計方向に回動し、下部リンク片97は連結軸を中心に時計方向に回動し、よりくの字型に折りたたまれる。その結果、防火スライド板25はロックされるようなことなく、上方への移動が許容される。
そのため、図5に示すように、防火スライド板25は、挟まれた人Pによってシャッタカーテン2に対して上方にスライドして退避し、最大限で門型ストッパ24のストッパ杆29の高さhに相当する隙間35が残される。従って、この隙間35内にいる人Pに対しては、シャッタカーテン2の荷重が直にかかるようなことがなく、シャッタカーテン2の荷重が人Pにかかる事により生じる事故を回避する事ができ、きわめて安全である。
本発明の防火シャッタ用安全装置23に付設する自動ロック装置70は、門型ストッパ24の補強板部27に取り付ける構成であり、防火スライド板25には、一切の加工をしたり部品を取り付けたりしないので、防火スライド板25の防火機能、耐火機能、安全強度及び上方への退避機能を損なうことがなく、新設の防火シャッタだけでなく、既設の防火シャッタへも簡単に取り付けることができる。
また、自動ロック装置70は、上方へ退避する防火スライド板25を有する防火シャッタ用安全装置23備えた、色々な構造の防火シャッタ(例えば、特許文献1〜3記載の防火シャッタ)において、門型ストッパに取り付けて適用できる。門型ストッパがないタイプの防火シャッタ用安全装置を備えた防火シャッタの場合でも、最下段のスラットに補強板を取り付けてその補強板に、自動ロック装置70を取り付ければ適用できる。
本発明に係る防火シャッタ用安全装置23では、門型ストッパ24のストッパ杆29とともに移動するガイド部材支持板41及びガイド部材26を設け、ガイド部材26の二股部内で、防火スライド板25を案内するような構成としたので、図5に示すように防火シャッタ21に人が挟まれた場合でも、防火スライド板25は、ガイド部材26で案内されるので、滑らかに上方に移動し退避可能となり安全動作の信頼性がきわめて大きい。
このように防火スライド板25を、直接的はガイド部材26で案内するとともに、間接的にはガイド部材支持板41で支えるために、熱風や強風(屋外に面して設置する場合)で吹き付けられても、防火スライド板25がめくれたり、ぶらぶらしたり、あるいは破損したりすることがない。又、防火スライド板25とガイドレール3との間の隙間33は、ガイド部材支持板41及びガイド部材26で閉じられるから、火災に際してもこの隙間を通して火炎や煙が移動したり漏れ出たりすることが防止される。
ところで、ガイド部材26が門型ストッパ24に固定され門型ストッパ24に対して上下動して上方へ退避できないと、ガイド部材26と設置面Sとの間に人の手足等が挟まった場合は、シャッタカーテン2の荷重が門型ストッパ24及びガイド部材26を介して人Pの手足にかかってしまうので安全性上、問題である。
また、ガイド部材26が門型ストッパ24に固定され門型ストッパ24に対して上下動できないと、ガイド部材26と設置面Sとの間に何か物が挟まった場合は、ストッパ杆29が設置面Sまで到達しないので、防火スライド板25の横幅方向全縁にわたって設置面Sとの間に大きく隙間が形成されてしまい防火上問題である。
この発明に係る防火シャッタ用安全装置23によれば、ガイド部材26と設置面Sとの間に物が挟まった場合は、ガイド部材26は、門型ストッパ24に移動可能に取り付けられたガイド部材支持板41に対して、所定の範囲内(ガイド部材26の筒部72の長孔73の範囲内)で上下動可能な構成としたので、ガイド部材26のみ上方に退避することができ、ガイド部材26に手足が挟まった場合でも安全である。
さらに、ガイド部材支持板41は、ストッパ杆29に対して所定の範囲内(上下方向に長孔42の範囲内)で上下方向に移動可能としたので、例えば、人の指等がガイド部材支持板41のガイド枠44の下端と設置面Sとの間に挟まったような場合でも、ガイド部材支持板41は、上方に退避することができ、安全である。
(実施例2)
図9(a)、(b)は本発明の実施例2を説明する図である。この実施例2に係る防火シャッタ用安全装置60は、防火シャッタの横幅が大きく(間口が広く)なった場合に安全上有効な構造である。
即ち、実施例1の構成の防火シャッタ用安全装置23において、防火シャッタ21の横幅が大きくなると、防火スライド板25の縦幅は同じでも重量は大きくなり、火災時等に防火シャッタ21が閉鎖した際に、防火スライド板25が人に当たると、その大きな重量が人にかかるので安全上問題となる。
そこで、実施例2に係る防火シャッタ用安全装置60は、横幅の大きくなった防火スライド板による安全上の問題を解決するために、横幅が大きい防火シャッタ50の防火スライド板を、左側の防火スライド板61と右側の防火スライド板62の2枚に分けて構成し、夫々が独立して上下動及び傾動可能な構成とするものである。
この実施例2に係る防火シャッタ用安全装置60も、実施例1と同様に、シャッタカーテン2の最下段のスラット5に固定される補強板部27を設け、補強板部27の左右両端にストッパ杆29を一体又は別体で固定し、門型ストッパ24が形成されている。左側の防火スライド板61と右側の防火スライド板62は、門型ストッパ24の補強板部27に対して、左右においてガイド部材26で案内し上下動可能に取り付けられている。ガイド部材26は実施例1と同様に、ガイド部材支持板41で上下動可能に支持されている。
左右の防火スライド板61、62の長孔51を正面から見て隠すように、閉鎖板54が設けられている。この閉鎖板54は、特許文献3に記載されているので、ここでは詳細な構成は説明しないが、その下端部がピンで左側防火スライド板61及び右側スライド板62に回動可能に取り付けられている。左側防火スライド板61及び右側スライド板62の間の隙間63は、遮蔽部材64で遮蔽されている。
そして、閉鎖板54には湾曲状のカム溝56が形成され、このカム溝56内に支持杆が摺動可能に挿入されている。閉鎖板54は、左右の防火スライド板61、62の移動や傾動に応じて、しかも左右の防火スライド板61、62の面に沿って、ピン55を中心にして回転し、左右の防火スライド板61、62の長孔51を閉鎖することができる。
このように実施例2の防火シャッタ用安全装置60は、防火スライド板を2枚に分けて設けた構成以外は、実施例1に係る防火シャッタ用安全装置21とほぼ同じである。防火スライド板を2枚に分けて設けた構成とすることにより、実施例1のように防火スライド板25を一枚板とする場合に較べて、左右の防火スライド板61、62の人に対する衝突荷重を軽減することができる。
実施例2に係る防火シャッタ用安全装置60には、実施例1と同じ構成の自動ロック装置70が付設されている。左側の防火スライド板61と右側の防火スライド板62に対して共通な1つの制御具80が門型ストッパ25の補強板部27に取り付けられている。つっかえ具81は、左側の防火スライド板61と右側の防火スライド板62に対応してそれぞれ補強板部27に設けられている。
制御具80の可動部87に基端が固定されたワイヤ84は、その先端は右側の防火スライド板62に対応するつっかえ具81の上端部に固定されており、その途中で左側の防火スライド板61に対応するつっかえ具81に固定されている。実施例2の自動ロック装置70の作用は、実施例1と基本的には同じである。
実施例2では、防火シャッタ50が図9(a)に示すように開いている際には、1つの制御具80及びワイヤ84によって、左右の防火スライド板61、62それぞれに対する左右のつっかえ具81の上端を左方に引っ張り、それぞれ上部リンク片96と下部リンク片97を、図9(a)、(b)に示すように、くの字型の状態に保持している。
図示はしないが、防火シャッタ50が閉鎖して、カムフォロア93がガイドカム82の突出面83に乗り上げた場合は、ワイヤ84は緩み、左右のつっかえ具81は、それぞれ上部リンク片96及び下部リンク片97は、重力によって鉛直線に沿って一直線状の自然状態の姿勢に吊り下がり保持される。
この結果、左側防火スライド板61及び右側防火スライド板62は、それぞれ実施例1と同様にロックされて、上方へ移動して開くことができなくなる。なお、実施例2では防火スライド板は2枚から成るが、3枚以上であっても、複数の防火スライド板のそれぞれに対応してつっかえ具81を設けることで、実施例2と同様に自動ロック装置を付設することが可能である。
以上、本発明に係る防火シャッタ用安全装置を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
例えば、実施例1、2では、つっかえ具81は、上部リンク片96と下部リンク片97を備えた構成としたが、つっかえ具は、1本の杆材であってもよい。即ち、上部リンク片96と下部リンク片97に替えて、1本の杆材を、その上端を補強板部27に回動可能に取付けた構成としてもよい。
そのような構成にすると、防火シャッタが開いている時には、引っ張りバネによる力がワイヤを介して杆材に付与され、杆材は鉛直線に対して傾斜された姿勢となり、防火スライド板は、上方へ移動可能である。
また、防火シャッタが閉鎖している時には、引っ張りバネによる上記力がワイヤを介して杆材に付与されないので、杆材は自重で鉛直線に沿って自然状態で吊られた姿勢となり、防火スライド板を上方に持ち上げようとしても、防火スライド板の底部材が杆材につっかえて移動不可能となる。
本発明に係る防火シャッタ用安全装置は上記のような構成であるから、建物、ガレージ、店舗等の屋内(廊下、室と室の仕切り部等)に又は屋外に面して設置され、防犯が必要な防火シャッタに適用可能である。
1 スラット
2 シャッタカーテン
3 ガイドレール
4 凹溝
5 最下段のスラット
8 シャッタボックス
21 防火シャッタ
22 スラットの左右両側縁の部分
23 防火シャッタ用安全装置
24 門型ストッパ
25 防火スライド板
26 ガイド部材
27 補強板部(門型ストッパの補強板部)
28 補強板部の左右両側縁の部分
29 ストッパ杆(門型ストッパのストッパ杆)
30 ネジ
31 防火スライド板の底部材
32 防火スライド板の左右両側縁の部分
33 防火スライド板とガイドレールとの隙間
34 補強板部の下縁
35 設置面と補強板部の下縁との隙間
36 防火スライド板の長孔
37 支持杆
38 座金
39 抜け止めヘッド
40 ナット
41 ガイド部材支持板
42 ガイド部材支持板の長孔
43 ガイドレールの凹溝内に嵌合されるガイド部材支持板の一端側の部分
44 ガイド部材支持板のガイド枠
45 支持杆
46 抜け止めヘッド
48 防火スライド板の底部材の折返し部
50 防火シャッタ
51 防火スライド板の長孔
54 閉鎖板
55 ピン
56 カム溝
60 防火シャッタ用安全装置
61 左側防火スライド板
62 右側防火スライド板
63 左右側防火スライド板の間の隙間
64 遮蔽部材
70 自動ロック装置
71 ガイド部材支持板の規制ピン
72 ガイド部材の筒部
73 ガイド部材の筒部の長孔
75 ガイド部材のガイド部
80 制御具
81 つっかえ具
82 ガイドカム
83 ガイドカムの突出面
84 ワイヤ
86 制御具の固定案内部
87 可動部
88 引っ張りバネ
91 転動輪
92 転動溝
93 カムフォロア
96 上部リンク片
97 下部リンク片
98 下端片
99 規制突起
101 上部リンク片の上端部
102 補強板部に上部リンク片回動可能に取り付ける枢軸
103 ワイヤの先端を上部リンク片に取り付ける取付軸
106 下部リンク片の下端部の水平面
107 下端片のローラ
P 人
S 防火シャッタの設置面

Claims (7)

  1. 防火シャッタの最下段のスラットに固定された補強板部に、上下動可能に取り付けられた防火スライド板と自動ロック装置を備え、防火シャッタの閉鎖時に、防火スライド板と設置面の間に人が挟まった場合は、防火スライド板が上方に移動して退避する防火シャッタ用安全装置において、
    自動ロック装置は、補強板部に枢軸によって回動可能に取り付けられたつっかえ具と、該つっかえ具の姿勢を制御する制御具と、を備え、
    制御具は、防火シャッタが開いている時にはつっかえ具に力を付与して、つっかえ具を鉛直線に対して傾斜した姿勢になるように制御し、防火シャッタが閉鎖している時にはつっかえ具に上記力を付与することなく、つっかえ具が重力によって鉛直線に沿って吊り下がった姿勢になるように制御するものであり、
    つっかえ具が鉛直線に対して傾斜した姿勢の時には、防火スライド板は上方へ移動可能であり、つっかえ具が重力によって鉛直線に沿って吊り下がった姿勢の時には、防火スライド板の底部材がつっかえ具につっかえて、防火スライド板は上方へ移動できない構成であることを特徴とする防火シャッタ用安全装置。
  2. 互いに連節された複数のスラットの左右両側縁部を左右のガイドレールの凹溝内で移動し開閉を行う防火シャッタに設けられた安全装置であり、防火シャッタの最下段のスラットに固定された補強板部に上下動可能に取り付けられた防火スライド板と、補強板部に設けられ且つその左右両側に下方に伸びるストッパ杆と、補強板部に取り付けられた自動ロック装置と、を備えて成り、スラットが下降しストッパ杆が設置面に当接して防火シャッタが閉鎖した際に、防火スライド板と設置面の間に人が挟まった場合は、防火スライド板が上方に移動して退避する防火シャッタ用安全装置において、
    自動ロック装置は、補強板部に枢軸によって回動可能に取り付けられたつっかえ具と、該つっかえ具の姿勢を制御する制御具と、を備え、
    制御具は、ストッパ杆が設置面の上方にあって防火シャッタが開いている時にはつっかえ具に力を付与して、つっかえ具を鉛直線に対して傾斜した姿勢になるように制御し、ストッパ杆が設置面に当接し防火シャッタが閉鎖している時にはつっかえ具に上記力を付与することなく、つっかえ具が重力によって鉛直線に沿って吊り下がった姿勢になるように制御するものであり、
    つっかえ具が鉛直線に対して傾斜した姿勢の時には、防火スライド板は上方へ移動可能であり、つっかえ具が重力によって鉛直線に沿って吊り下がった姿勢の時には、防火スライド板の底部材がつっかえ具につっかえて、防火スライド板は上方へ移動できない構成であることを特徴とする防火シャッタ用安全装置。
  3. 制御具は、補強板部に固定された固定案内部と、固定案内部に案内されて水平に移動可能な可動部と、可動部に取り付けられたカムフォロアと、固定案内部と可動部の間に装着されたバネと、ガイドレールに設けられたカムと、を備えており、
    可動部とつっかえ具の上端の間にワイヤが張設されており、防火シャッタが開いている時にはバネによる力がワイヤを介してつっかえ具に付与されており、ストッパ杆が設置面に当接し防火シャッタが閉鎖しているときには、カムフォロアがカムの面に当接してバネに抗して可動部を移動させてワイヤを緩め、バネによる上記力がつっかえ具に付与されないようにする構成であることを特徴とする請求項2に記載の防火シャッタ用安全装置。
  4. 前記バネは引っ張りバネであり、ストッパ杆が設置面に当接しないで防火シャッタが開いている時には、引っ張りバネの力によって、可動部をガイドレール側に付勢し引き寄せるとともに、ワイヤを介してつっかえ具の上端部をガイドレール側に付勢し引き寄せており、ストッパ杆が設置面に当接し防火シャッタが閉鎖しているときには、カムフォロアがカムの面に当接し、可動部は引っ張りバネに抗してガイドレールと反対側に移動し、ワイヤを緩め、引っ張りバネの上記力がつっかえ具に付与されないようにする構成であることを特徴とする請求項3に記載の防火シャッタ用安全装置。
  5. つっかえ具は、その下端部に回動可能に取り付けられた下端片を有し、下端片は、その下部が防火スライド板の底部材に載置されている構成であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防火シャッタ用安全装置。
  6. 防火スライド板は、防火シャッタの横幅方向に複数設置され、複数の防火スライド板に対応して、それぞれつっかえ具が防火シャッタの補強板部に設けられており、複数の防火スライド板のそれぞれに設けられたつっかえ具を、前記制御具が一括して制御する構成であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の防火シャッタ用安全装置。
  7. 上記ストッパ杆と、上記防火シャッタの最下段のスラットに固定される補強板部とが一体となり又は別体で、門型ストッパを構成していることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の防火シャッタ用安全装置。
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