以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る情報通信システムの概略構成を示す図である。図1に示すように、情報通信システム1は、タグ100と、カメラ200とを備える。
カメラ200は、赤外光発光部210と、赤外光受光部220とを含む。カメラ200は、さらに、可視光受光部230を含んでもよい。なお、カメラ200に含まれる他の要素については後に図2を参照して説明する。
カメラ200として、たとえばデプスカメラを採用することができる。その場合、カメラ200は、後述する原理により、カメラ200から対象物(タグ100)までの距離を計測することができる。
赤外光発光部210は、赤外光(赤外線)を発する。赤外光発光部210は、たとえば、発光ダイオードなどの発光素子を含んで構成される。
赤外光受光部220は、赤外光を受ける。とくに、赤外光受光部220は、赤外光発光部210が発した赤外光のうち、タグ100で反射した赤外光(反射光)を受光することが想定されている。赤外光受光部220は、たとえばフォトダイオードなどの受光素子を含んで構成される。
可視光受光部230は、可視光を受ける。カメラ200が可視光受光部230を含む場合には、カメラ200はタグ100を撮像することができる。可視光受光部230は、たとえば半導体センサを用いた撮像装置などを含んで構成される。
情報通信システム1において、カメラ200は、赤外光発光部210が発した赤外光をタグ100に照射する。タグ100は、赤外光を、タグ100の情報(タグ情報)を含むように反射させる(詳細は後述する)。カメラ200は、赤外光受光部220によってタグ100で反射した赤外光を受光し、受光した赤外光を解読することによって、タグ100の情報を取得する。カメラ200がデプスカメラである場合には、カメラ200はさらに、カメラ200からタグ100までの距離を測定する。したがって、カメラ200は、タグ情報およびタグ100までの距離の2つの情報を取得することができる。
図2は、タグ100の構成の一例を示す図である。図2(a)はタグ100の分解斜視図であり、図2(b)はタグ100を正面(反射面110aの側)から見た図である。図2に示すように、タグ100は、再帰性反射材110と、液晶120と、制御部130とを含む。なお、図2において、カメラ200(図1)からタグ100に照射される赤外光を、赤外光IR1として図示する。
再帰性反射材110は、反射面110aを有する。再帰性反射材110は、反射面110aに入射した光を、入射方向に向かって反射させる。ここで、光は波長範囲などによって分類されるが、実施形態においては、反射面110aは、少なくとも赤外光IR1を反射すればよい。もちろん、反射面110aは、赤外光以外の光を反射してもよい。再帰性反射材110の構成は特に限定されるものでないが、たとえばガラスビーズでの屈折および反射を利用するタイプの再帰性反射材を採用することができる。なお、図2に示す例では、再帰性反射材110はシート形状(あるいは板形状)を有するが、再帰性反射材110の形状は特に限定されるものではない。
液晶120は、再帰性反射材110の反射面110aを覆う。液晶120は、オン状態とオフ状態のいずれかに切り替わる。これにより、赤外光に影響を与えることができる。たとえば、液晶120は、ヘイズ値を変化させることのできる液晶を含んで構成することができる。そのような液晶としては、たとえば高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)がある。PDLCを用いる場合には、液晶120はオン状態で光を透過させる一方で、オフ状態では光を拡散させることができる。PDLCにおける光の透過率は、一般的な液晶における光の透過率よりも高い。透過率が高いと、タグ100は、液晶120に向かって多くの光を反射させるので、カメラ200(図1)が受光する光の強度(光量)も大きくなる。その結果、カメラ200がタグ100の情報を読み取り可能な距離を伸ばすことができる。たとえば、カメラ200からタグ100までの距離が数メートル以上であっても、タグ情報を読み取ることができる。また、液晶120に一般的な液晶を用いた場合には、液晶120がオン状態のときとオフ状態のときでタグ100の色が変わってしまう。すなわち、液晶120がオン状態のときは再帰性反射材110の色が現れ、液晶120がオフ状態のときは黒色が現れる。このため、タグ100が目立ってしまい、環境に溶け込むことができなくなる。
なお、図2に示す例では、液晶120はシート形状を有しているが、液晶120の形状は特に限定されるものではない。たとえば液晶120がシート形状を有する場合には、液晶120は、液晶分子と液晶分子を挟む一対のシートと(いずれも図示しない)を含んで構成される。シートは、たとえばガラス製やプラスチック製のものを用いることができる。シートは折り曲げ可能なフレキシブルシートとすることもできる。
制御部130は、液晶120のオン・オフを切り替える。オン・オフの切り替えは、たとえば液晶120に印加する電圧を制御することによって行うことができる。制御部130は、再帰性反射材110の反射面110aで反射した赤外光がタグ100の情報(タグ情報)を含むように、液晶120のオン・オフの状態を切り替える。たとえば、反射した赤外光の強度の時間変化によって表されるディジタル情報をタグ情報とすることで、反射した赤外光にタグ情報を含ませることができる。
ここで、図3を参照して、制御部130の機能ブロックについて説明する。図3に示すように、制御部130は、電源部131と、電圧発生部132とを含む。
電源部131は、制御部130の電力源である。制御部130は、電源部131の電力で動作する。電源部131は、制御部130の外部(たとえば後述の図8の発電素子140)から供給される電力を受けるように構成されてもよい。たとえば、電源部131の電圧が所定値以上のときに、制御部130は動作する。なお、電源部131は、制御部130の内部のバッテリ(図示しない)などから電力を受けるように構成することもできる。
電圧発生部132は、液晶120(図2)に印加する電圧を発生する。電圧発生部132は、電源部131からの電力を受けて動作する。
制御部130の機能は、物理的には、半導体素子などの能動素子および抵抗、コイルおよびコンデンサなどの受動素子を含んだ回路や、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などを含んだIC(Integral Circuit)などによって実現される。
再び図2に戻って、タグ100の形状は特に限定されるものではないが、たとえばシート形状を有する再帰性反射材110および液晶120を重ね合わせた形状とすることができる。図2(b)に示す例では、液晶120の面積は再帰性反射材110の面積よりも大きい。この場合、再帰性反射材110と液晶120とが重ならない部分に、制御部130を配置することができる。このようにすれば、タグ100の面積は液晶120の面積よりも大きくならないため、タグ100の面積が大きくなるのを抑制することができる。また、タグ100がシート形状となるので、タグ100が薄型化される。したがって、タグ100を小型化することができる。なお、制御部130を再帰性反射材110の裏面に配置することもできる。これによっても、タグ100の面積が大きくなるのを抑制することができる。
図4は、カメラ200の機能ブロックを示す図である。図4に示すように、カメラ200は、赤外光発光部210と、赤外光受光部220と、可視光受光部230と、表示部240と、解読部250と、操作部260とを含む。
赤外光受光部220については先に説明したが、より詳細に説明すると、赤外光受光部220は、赤外光発光部210が発した赤外光のうち、タグ100(図2)の情報を含むように、タグ100の液晶120を透過するとともにタグ100の再帰性反射材110で反射した赤外光、を受ける部分である。
表示部240は、カメラ200によって撮像した画像などを表示する部分である。画像は、たとえば可視光受光部230が受けた光に基づいて作成される。なお、表示部240は、カメラ200のユーザがカメラ200を操作するのに必要な種々の情報を表示することもできる。
解読部250は、赤外光受光部220が受けた赤外光に含まれるタグ100(図2)の情報を解読する部分である。解読は、たとえば、赤外光の強度の時間変化からディジタル情報を読み取ることによって行われる。
図5は、タグ100の動作を説明するための図である。図5(a)は液晶120がオン状態のときを示す図である。図5(b)は液晶120がオフ状態のときを示す図である。
図5(a)に示すように、液晶120がオン状態のときには、カメラ200からの赤外光IR1は、液晶120を透過する。この場合、赤外光IR1は、再帰性反射材110の反射面110aで反射し、再び液晶120を透過してカメラ200に戻る。なお、図5(a)において、反射した赤外光を赤外光IR2として図示する。
一方、図5(b)に示すように、液晶120がオフ状態のときには、カメラ20からの赤外光IR1は、液晶120を透過しない。たとえば液晶120がPDLCの場合には、赤外光IR1は拡散する。拡散した光は、再帰性反射材110で反射し、再び液晶120で再び拡散する。図5(b)において、拡散した赤外光を赤外光IR3として図示する。赤外光IR3は、様々な方向に向かうので、カメラ200に戻る赤外光はわずかである。なお、液晶120が一般的な液晶の場合には赤外光IR1は遮断(吸収)されるが、この場合も、カメラ200に戻る赤外光はわずかとなる。
以上より、液晶120がオン状態のときとオフ状態のときとでは、液晶120がオン状態のときの方が、カメラ200に戻ってくる赤外光(反射光)の光量が大きくなる。すなわち、液晶120がオン状態のときにはタグ100における反射強度が大きくなり、液晶120がオフ状態のときにはタグ100における反射強度が小さくなる。そのため、たとえば所定のタイミングで液晶120のオンとオフを切り替えて反射強度を変化させることによって、カメラ200の赤外光受光部220が受ける反射光の強度(光量)に時間変化を持たせることができる。この所定のタイミングに基づく反射光の強度の時間変化をタグ100の情報(タグ情報)に対応付けることによって、カメラ200はタグ情報を読み取ることができる。すなわち、カメラ200の解読部250は、反射光の強度の時系列データに基づいてタグ情報を解読することができる。反射光の強度の時間変化の設定を変えることにより、種々の方式でタグ100からカメラ200にタグ情報を送信することができる。送信方式は特に限定されるものではないが、たとえばマンチェスター符号を用いることができる。また、反射光の強度の時間変化の有無を検出することによって、解読部250は、タグ100の有無を検出するともできる。
このように反射光の強度の時系列データに基づいてタグ情報を解読するというカメラ200の機能は、従来のデプスカメラとは異なる。すなわち、従来のデプスカメラは、距離を測定するために赤外光を利用するものの、対象物において反射して戻ってくる反射光の強度は、対象物までの距離の測定には利用されない。これは、反射光の強度が、距離だけでなく、それぞれの対象物に固有な反射率の影響を受けるためである。なお、反射光の強度を測定する場合もあるが、距離を測定する際にその結果(計測結果)の信頼性を表す指標として取得されるにとどまっている。これに対し、第1実施形態では、カメラ200は、反射光の強度の時間変化からタグ情報を読み取る。こうすることで、カメラ200がデプスカメラである場合には、カメラ200は、カメラ200からタグ100までの距離の測定と、タグ情報の読み取りとを並行して行うことができる。
ここで、カメラ200の赤外光受光部220は、タグ100からの反射光以外の周囲の光も受光し得る。受光した周囲の光がノイズとして現れると、タグ情報を精度よく読み取ることができなくなる。そこで、解読部250は、赤外光発光部210および赤外光受光部220と協働して、赤外光発光部210が赤外光を発しするときに赤外光受光部220が受光した赤外光の強度と、赤外光発光部210が赤外光を発しないときに赤外光受光部220が受光した赤外光の強度との差に基づいてタグ情報を解読することもできる。これにより、赤外光発光部210が赤外光を発光しないときに赤外光受光部220が受光した赤外光の強度(すなわちノイズとしての周囲の光)の影響をキャンセルすることができるので、ノイズの影響を低減させ、タグ情報を精度よく読み取ることができる。
図6は、タグ100における反射強度の時間変化の一例を示す図である。図6に示すグラフにおいて、横軸は時刻を示し、縦軸はタグ100における反射強度を示す。
図6に示すグラフにおいて、反射強度は、η1とη2との2つの値を取る。η1は、液晶120(図2など)がオン状態のときの反射強度であり、η2は、液晶120がオフ状態のときの反射強度である。図6に示す例では、時刻t10〜t20における反射強度の変化、時刻t20〜t30における反射強度の変化、および時刻t30〜t40における反射強度の変化が、ディジタル信号の0,1,1にそれぞれ対応している。図6に示す例では、マンチェスター符号が用いられており、時刻t10〜20の間で、反射強度がη1(時刻t10〜t15)からη2(時刻t15〜t20)に変化している。また、時刻t20〜t30において反射強度がη2(時刻t20〜t25)からη1(時刻t25〜t30)に変化し、同様に、時刻t30〜t40において反射強度がη2(時刻t30〜t35)からη1(時刻t35〜t40)に変化している。このように、ディジタル情報(0または1)を信号の変化する向き(η1からη2またはη2からη1)に変換することによって、タグ100からカメラ200へタグ情報を伝送することができる。
図7は、情報通信システム1(図1)において実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、たとえば、カメラ200において、タグ100の情報を読み取るためのアプリケーションが実行されたことに応じて開始される。
まず、カメラ200の赤外光発光部210は、赤外光を発する(ステップS101)。
そして、タグ100は、カメラ200からの赤外光を受ける(ステップS102)。
次に、タグ100は、液晶のオン状態およびオフ状態を切り替えつつ赤外光を反射する(ステップS103)。具体的に、制御部130が液晶120に印加される電圧を制御することによって、液晶120のオン状態およびオフ状態を切り替える。これにより、赤外光は、タグ100の情報を含むように、再帰性反射材110で反射する。
そして、カメラ200の赤外光受光部220は、反射した赤外光を受ける(ステップS104)。
そして、カメラ200の解読部250は、赤外光に含まれるタグ情報を解読する(ステップS105)。
次に、第1実施形態に係る情報通信システム1の作用効果について説明する。この情報通信システム1によれば、カメラ200から発せられた赤外光がタグに100照射されると、赤外光は、タグ100の情報を含むように、液晶120を透過するとともに再帰性反射材110で反射する(ステップSS101〜S103)。カメラ200は、反射した赤外光を受けてタグ情報を解読する(ステップS104,S105)。これにより、カメラ200は、タグ情報を取得することができる。ここで、タグ100では液晶120および再帰性反射材110を用いることによってタグ情報を赤外光に付与するので、タグ100側においては赤外光の発光装置などは不要となる。したがって、タグ100を小型化することができる。さらに、時間方向に埋め込まれたタグ情報を取得するので、たとえばバーコードのような空間方向に埋め込まれたタグの情報をカメラ画像から解読する場合よりも、タグ情報を読み取ることができる距離を長くすることができる。
図8は、タグの変形例を示す正面図である。図8に示すように、タグ100Aは、再帰性反射材110Aと、液晶120と、制御部130とを含む。さらに、タグ100Aは、発電素子140を含んでもよい。
再帰性反射材110Aは、色の異なる複数の再帰性反射材を含む。図8に示す例では、再帰性反射材110は、再帰性反射材111(第1の再帰性反射材)と、再帰性反射材112(第2の再帰性反射材)との2種類の再帰性反射材を含む。ただし、再帰性反射材110に含まれる再帰性反射材の数は2よりも大きい数であってもかまわない。
再帰性反射材112は、カメラ200(図1)のユーザ等の人間にとって視認可能な色および形状を有している。液晶120がPDLCの場合には、液晶120がオン状態およびオフ状態のいずれの状態であっても、ユーザ等は、液晶120の裏側(タグ100Aの正面とは反対側)に配置された再帰性反射材112を視認することができる。そのため、再帰性反射材112の形状を工夫することによって、ユーザに情報提供することができる。図8に示す例では、再帰性反射材112は「EXIT」との文字列を表すように形成されている。すなわち、液晶120のオン状態およびオフ状態に限らず、常に「EXIT」の文字情報を、タグ100からユーザに提供することができる。なお、液晶120がPDLCでなく通常の液晶の場合には、液晶がオン状態のときにのみ、ユーザは「EXIT」の文字を視認できることになる。
ここで重要なことは、このように再帰性反射材112によって「EXIT」という文字情報をユーザに提供したとしても、タグ100Aの性能には影響を及ぼさないとういことである。すなわち、たとえば、再帰性反射材112に代えてインクで「EXIT」の文字を表すと、「EXIT」の文字情報をユーザに提供することはできるが、再帰性反射材の反射面の面積がインクの分だけ小さくなる。その結果、タグ100Aで反射してカメラ200(図1)に戻る赤外光の光量も減少するので、たとえばタグ100Aの情報を読み取ることができる距離が短くなってしまう。これに対し、図8に示すように、色等が異なるがいずれも再帰性反射材である2種類の再帰性反射材111および再帰性反射材112によって、「EXIT」の文字列を表すようにすれば、反射面の大きさ(面積)が維持されるので、タグ100Aの反射性能(反射強度)は損なわれない。したがって、タグ100Aのタグ情報を遠くからでも読み取ることができる。
先に述べたように、タグ100Aは、発電素子140を含んでもよい。発電素子140は、液晶120のオン状態およびオフ状態を切り替えるための電力を発生する。発電素子140として、たとえば太陽電池を用いることができる。図8に示す例では、発電素子140は、複数の太陽電池セル140a〜140fを含んで構成される。
タグ100Aは、たとえば赤外光の発光装置などを含まないので小型化されるだけでなく、その分、消費電力も小さくなる。具体的に、液晶120を駆動するための電力(制御部130が動作するための電力)があればよく、そのような電力は、赤外光の発光装置の消費電力よりもかなり小さい。したがって、小さな太陽電池であっても、タグ100Aの発電素子140として十分に機能する。したがって、タグ100Aの小型化を維持することができる。
図9は、タグの別の変形例を示す図である。図9(a)はタグ100Bの分解斜視図であり、図9(b)はタグ100Bを正面から見た図である。図9に示すように、タグ100Bは、再帰性反射材110と、液晶120と、光学フィルタ150と、インク160とを含む。
光学フィルタ150は、液晶120の上面を覆うように配置される。液晶120の上面とは、液晶120の再帰性反射材110とは反対側の面であり、また、タグ100Aの正面側の面である。タグ100Aの正面とは、赤外光IR1が照射される側の面である。光学フィルタ150は、赤外光を透過させる一方で、可視光を吸収しもしくは反射させる。図9に示す例では、光学フィルタ150はシート形状(あるいは板形状)を有する光学フィルムであるが、光学フィルタ150の形状は特に限定されるものではない。光学フィルタ150は、複数のシート、たとえば、赤外光を透過させるシートおよび可視光を吸収する(もしくは反射させる)シートを組み合わせて構成することもできる。
インク160は、光学フィルタ150の上面の一部に塗布される。光学フィルタ150の上面は、光学フィルタ150におけるタグ100Aの正面側の面である。図9に示す例では、インク160によって「EXIT」の文字が表される。これにより、ユーザ等は、「EXIT」の文字情報を視認することができる。
タグ100Bによれば、光学フィルタ150が可視光を吸収するので、タグ100Bを正面からみた場合、タグ100Bの構成要素のうち、光学フィルタ150から後ろ側(正面とは反対の側)に配置されている構成要素が、ユーザ等からは視認できなくなる。図9(b)に示す例では、再帰性反射材110と、液晶120および制御部130の一部が視認されない。このように多くの構成要素をユーザ等から見えないようにすることで、タグ100Bを目立たなくすることができる。一方、ユーザ等は、光学フィルタ150のよりも正面側に配置されるインク160については、視認することができる。そのため、「EXIT」の文字情報を常時(液晶120のオン状態およびオフ状態に依存せず)ユーザ等に提供することができる。
また、インク160に代えて、光学フィルタ150とは別の図示しない光学フィルタ(第2の光学フィルタ)を用いてもよい。別の光学フィルタは、光学フィルタ150とは、可視光の吸収スペクトルが異なるように構成される。なお、別の光学フィルタは、赤外光を透過させる点において、光学フィルタ150と同様に構成されてもよい。光学フィルタ150と、光学フィルタ150とは可視光の吸収スペクトルの異なる別の光学フィルタとは、ユーザ等から見て異なる色に見えるため、ユーザ等は、たとえば別の光学フィルタによって形成される「EXIT」の文字情報を読み取ることができる。また、インク160が用いられないので、反射面の面積が低下してタグ100Bの読み取り性能が低下することを防ぐことができる。
図10は、別の変形例に係るタグの構成を示す図である。図10(a)は、タグ100Cを上方から見た図である。図10(b)は、タグ100Cを背面から見た図である。
図10に示すように、タグ100Cは、再帰性反射材110Cと、液晶120Cとを含む。なお、図10においては、タグ100Cに含まれる他の要素(図2の制御部130など)の図示は省略する。
図10(a)に示すように、再帰性反射材110Cは、液晶120Cが配置された側(赤外光IR1が照射される側)に向かって凸となる凸形状を有する。このため、再帰性反射材110Cは、フラットでない反射面を有するように構成される。図10に示す例では、再帰性反射材110Cは、反射面110Ca,110Cbおよび110Ccの3つの反射面を有するように構成される。ただし、反射面の数は特に限定されるものではない。反射面110Cbおよび110Ccの面方向は、反射面110Caの面方向と異なる。反射面110Caは、タグ100Cの正面に照射された赤外光IR1を、正面方向に反射する。同様に、反射面110Cbおよび反射面110Ccも、タグ100Cの正面に照射された赤外光IR1を、正面方向に反射する。これにより、タグ100Cの反射特性を維持しつつ、カメラからタグ100Cを見たときの再帰性反射材の面積の、角度への依存性を低減することができる。反射面110Ca,110Cb,110Ccを適切に設計することによって、異なる角度でカメラからタグ100Cを見た場合であっても、再帰性反射材の面積をほぼ一定に保つことができる。
液晶120Cは、再帰性反射材110Cの形状に合わせて、赤外光IR1が照射される側に向かって凸となる凸形状を有する。そのような液晶120Cは、たとえば、再帰性反射材110Cの3つの反射面110Ca,110Cbおよび110Ccにそれぞれフィットする、3つの板状(シート状)の液晶を組合わせて構成することができる。
タグ100Cによれば、異なる角度でカメラからタグ100Cを見た場合であっても、タグ100Cの面積をほぼ一定に保つことができる。このため、カメラ200(図1)がタグ100Cと向かい合う位置(たとえばタグ100Cの正面)になくとも、カメラ200から100Cに赤外光を照射するための面積が確保され、赤外光を照射しやすくなる。すなわち、カメラ200は、タグ100Cの正面になくとも、正面にある場合と同様に、タグ情報を読み取ることができる。この効果は、タグ100Cの再帰性反射材110Cが、液晶120Cが配置された側に向かって凹となる凹形状を有する場合でも同様に得られる。このことは、後述するタグ100Dの再帰性反射材110Dについても同様である。
一方、タグ100Cと同様の機能を有するタグとして、図11に示す構成を採用することもできる。
図11に示すように、タグ100Dは、再帰性反射材110Dと、液晶120Dとを含む。図11においても、他の要素(図2の制御部130など)の図示は省略する。
図11(a)に示すように、再帰性反射材110Dも、再帰性反射材110C(図10)と同様に、液晶120Dが配置された側(赤外光IR1が照射される側)に向かって凸となる凸形状を有する。ここで、再帰性反射材110Dは、フラットでない1つの反射面110Daを有するように構成される。反射面110Daは、たとえば、再帰性反射材を湾曲させることによって形成することができる。反射面110Daは、タグ100Dの正面に照射された赤外光IR1を、正面方向に反射する。
液晶120Dは、再帰性反射材110Dの形状に合わせた形状を有する。
タグ100Dによっても、タグ100C(図10)と同様に、異なる角度でカメラからタグ100Dを見たときの再帰性反射材の面積をほぼ一定に保つことができる。また、タグ100Dは、たとえば再帰性反射材および液晶を湾曲させるだけで構成することができるので、容易に制作することができる。
以上では、タグからタグ情報をカメラで読み取る手法について説明した。一方で、カメラからタグへ情報を伝達することができれば、タグとカメラとの間で相互に情報をやり取りすることができるので、情報通信システムの用途が広がる。具体的に、たとえば、ユーザがカメラを操作することによってタグ側においてタグ情報を切り替える、カメラがタグを撮像しているときだけタグが動作することによって消費電力を低減させる、タグの設定を変更するなどの用途が考えられる。
そこで、先に図8を参照して説明したような、発電素子140を含む構成を有するタグ100Aを応用することによって、カメラからタグへの情報伝達を可能にする手法について説明する。
[応用例]
図12は、カメラからタグに情報を伝達する手法の一例について説明するための図である。図12(a)は、タグ100Aにおける発電素子140および制御部130等の構成の一例を示す図である。図12(b)は、発電素子140の電圧および制御部130を動作(駆動)させるための電圧の時間変化を説明するための図である。
図12(a)に示すように、制御部130は、発電素子140で発生した電力を受ける。先に図3を参照して説明したように、タグに含まれる制御部130は、電圧発生部132が電源部131からの電力を受けて動作することによって、液晶120(図2)のオン状態およびオフ状態を切り替える。たとえば、電源部131の電圧が所定値以上のときに、制御部130は動作する。図12(a)に示す構成においては、発電素子140で発生した電圧V1に応じた電圧が、制御部130の電源部131に印加される。そして、電源部131に印加される電圧が所定値以上のときに、制御部130が動作することとなる。
この応用例では、制御部130は、発電素子140の電圧V1を検出する。たとえば、図12(b)に示すように、発電素子140の電圧V1をモニタするための電圧センサ(電圧計測部)133が設けられる。電圧センサ133のモニタ結果(検出結果)を取得することによって、制御部130は、発電素子140の電圧V1を検出することができる。
ここで、先に述べたように、発電素子140はたとえば太陽電池である。太陽電池が受ける光量は環境によって変化するので一定でなく、発電素子140の電圧V1は安定しない。そこで、安定した電圧(電力)を制御部130に供給するために、ダイオード141およびコンデンサ142にから構成される回路が、発電素子140と制御部130との間に接続される。具体的には、ダイオード141が、発電素子140から制御部130に向かって電流が流れるように、発電素子140と制御部130との間に接続される。コンデンサ142は、制御部130に電圧を印加できるように、制御部130に並列に接続される。こうすることで、発電素子140の電圧V1によって、コンデンサ142を充電しつつ、制御部130に電圧を印加(電力を供給)することができる。したがって、制御部130は安定して動作する。なお、制御部130には、コンデンサ142および制御部130の電圧は、発電素子140の電圧V1に対して、ダイオード141の順方向電圧の分だけ低い電圧(電圧V2)となる。
さらに、発電素子140として、単結晶シリコン系の太陽電池を用いることができる。単結晶シリコン系の太陽電池は、可視光だけでなく、赤外光によっても発電する。したがって、発電素子140は、周囲の光(可視光)による発電だけでなく、カメラ200(図1)からの赤外光による発電も行うことができる。この場合、カメラ200からの赤外光の光量に応じて、発電素子140の電圧V1が変化する。たとえば、タグ100がカメラ200の画角内に位置しているときには、カメラ200から赤外光がタグ100に照射されるので、発電素子140の電圧V1(発電電力)は大きくなる。逆に、タグ100がカメラ200の画角外に位置しているときには、タグ100には赤外光が照射されないので、発電素子140の電圧V1は小さくなる。この原理を利用することによって、次に説明するように、カメラ200からタグ100Aに情報を伝達することができる。
図12(b)に示すグラフは、横軸が時刻を示し、縦軸が電圧を示す。図12(b)に示す例では、制御部130によって、タグ情報の送信が間隔を空けて繰り返し実行されている。具体的に、時刻0〜t110および時刻t140〜t150においては、タグ情報が送信され、時刻t110〜t140および時刻t150から次のタグ情報の送信が開始されるまでは、タグ情報が送信されない。
具体的に、時刻0〜t110および時刻t140〜t150においては、制御部130が液晶120のオン状態およびオフ状態を切り替えることによって、カメラ200から照射された赤外光がタグ情報を含むように反射する。このために制御部130が消費する電力が、発電素子140だけでなくコンデンサ142からの放電によっても賄われるので、コンデンサの電圧V2および発電素子140の電圧V1はいずれも低下していく。
一方、時刻t110〜t120および時刻t150以降においては、タグ情報が送信されず、制御部130は液晶120のオン状態およびオフ状態の切り替えを行わない。このため、コンデンサ142が、発電素子140の電力で充電されるので、コンデンサの電圧V2および発電素子140の電圧V1はいずれも上昇していく。
ここで、時刻t120およびt130においては、カメラ200からタグ100Aへの赤外光の照射が停止される。このとき、太陽電池としての発電素子140の受光量(すなわち発電量)が減少するので、発電素子140の電圧V1は大きく低下する。ただし、カメラ200からタグ100Aへの赤外光の照射が停止される時間が短いので、その間は、充電されたコンデンサ142の放電によって、制御部130への電圧印加(電力供給)が維持される。すなわち、電圧V1が低下しても、電圧V2は低下しない。このように、カメラ200からタグ100Aへの赤外光の照射を停止する時間が比較的短ければ、制御部130の動作が停止しないように制御部130に電圧V2を印加しつつ、発電素子140の電圧V1を変化させることができる。
そこで、発電素子140の電圧V1の変化を利用して、カメラ200からタグ100に情報を伝達することができる。たとえば、発電素子140の電圧V1の低下(電圧降下)の持続時間、回数、および電圧降下が複数回現れる場合はそれらの時間間隔などを、カメラ200からタグ100への情報とすることができる。タグ100は、制御部130によって発電素子140の電圧V1をモニタすることで、カメラ200からの情報を受けることができる。なお、たとえばBluetoothなどによってカメラ200からタグ100へ情報を伝達することもできるが、装置の大型化や消費電力の増加などを伴う。一方、この応用例のように、発電素子140の電圧V1を利用することで、たとえばダイオード141およびコンデンサ142からなる回路などを用いるだけでカメラ200からタグ100への情報伝達が可能となる。そのため、装置が大型化せず、消費電力もほとんど増加しない。
[第2実施形態]
図13は、第2実施形態に係る情報通信システムの概略構成を示す図である。図13に示すように、情報通信システム1Aは、複数のタグ100a〜100eと、カメラ200Aと、サーバ300とを含む。
情報通信システム1Aは、カメラ200Aの位置を測定することができる(詳細は後述する)。図13に示す例では、タグ100a〜100eおよびカメラ200Aは、家屋2の内部に配置されており、情報通信システム1Aは、カメラ200Aの屋内測位を行うことができる。
タグ100a〜100eは、図1のタグ100と同様の構成および機能を含む。
カメラ200Aは、図1のカメラ200と比較して機能が相違するが、カメラ200の機能を含んでいてもよい。さらに、カメラ200Aは、通信ネットワークを介して、サーバ300と通信可能に構成される。
サーバ300は、タグ100a〜100eの位置情報を蓄積している。位置情報は、たとえば、サーバ300内のデータベース301に記憶されている。データベース301は、タグ100a〜100eの各々のIDと、位置情報とを対応づけて記述する。
サーバ300の機能は、物理的には、CPU、RAMおよびROMなどを含んだIC(Integral Circuit)およびデータ送受信デバイスである通信モジュールなどによって実現される。
図14は、カメラ200Aの機能ブロックを示す図である。図14に示すように、カメラ200Aは、赤外光発光部210と、赤外光受光部220と、可視光受光部230と、表示部240と、解読部250と、操作部260と、通信部270と、位置情報取得部280と、測定部290と、加速度センサ295とを含む。
通信部270は、サーバ300(図13)と通信を行う部分である。通信の手法は特に限定されないが、たとえば通信部270と基地局(図示しない)との無線通信、および、基地局とサーバ300との有線通信などを用いることができる。
位置情報取得部280は、解読部250の解読結果に基づいて、タグ100a〜100e(以下、単にタグ100a等という場合もある)の位置情報を蓄積しているサーバ300からタグの位置情報を取得する部分である。
測定部290は、カメラ200Aの画角内での複数のタグ100a等の撮像データおよびカメラ200Aと複数のタグ100a等との距離データの少なくともいずれかのデータと、位置情報取得部280によって取得された位置情報とに基づいて、カメラ200Aの位置を測定する部分(第1の測定部)である。カメラ200Aと複数のタグ100a等との距離データは、たとえばカメラ200Aがデプスカメラである場合に、デプスセンサを用いて取得することができる。距離データは必須ではないので、距離データが取得できない場合であっても、測定部290は、カメラ200Aの位置を測定することができる。なお、その場合、測定部290は、測定したカメラ200Aの位置と、タグ100a等の位置情報とに基づいて、カメラ200Aとタグ100aの各々との距離を測定することもできる。
また、測定部290の変形例も考えられる。変形例としての測定部290xは、加速度センサ295を用いてカメラ200Aの位置を測定し得る。加速度センサ295は、カメラ200Aのピッチ、ロールおよびヨーをカメラ200Aの姿勢を表すパラメータとして検出する、姿勢検出部として機能する。測定部290xは、加速度センサ295よって検出されたパラメータと、カメラ200Aの画角内でのタグ100a等の撮像データおよびカメラ200Aとタグ100a等との距離データの少なくともいずれかのデータと、位置情報取得部280によって取得された位置情報とに基づいて、カメラ200Aの位置を測定する部分(第2の測定部)である。カメラ200Aとタグ100a等との距離データは、たとえばカメラ200Aがデプスカメラである場合に、デプスセンサを用いて取得することができる。距離データは必須ではないので、距離データが取得できない場合であっても、測定部290は、カメラ200Aの位置を測定することができる。なお、その場合、測定部290は、測定したカメラ200Aの位置と、タグ100a等の位置情報とに基づいて、カメラ200Aとタグ100aの各々との距離を測定することもできる。
図13に戻って、カメラ200Aは、たとえばタグ100aからタグ情報を読み取り、サーバ300にタグ100aの設置場所を問い合わせて取得することができる。ここで、カメラ200Aがデプスカメラの場合には、カメラ200Aは、カメラ200Aからタグ100aまでの距離を測定することもできる。その場合、カメラ200Aは、カメラ200Aの画角内でのタグ100aの位置と、タグ100aまでの距離とに基づいて、カメラ200Aの位置を測定することができる。しかし、カメラ200Aとタグ100aとの間の距離が計測可能な距離よりも長いと、カメラ200Aは、タグ100aまでの距離を測定することができない。そのため、カメラ200Aは、屋内測位を行うことができなくなる。
一方、カメラ200Aが複数のタグ100a〜100eの各々からタグ情報を読み取ることによって、次に説明するように、デプスカメラによる距離測定を行わなくとも、カメラ200Aの位置を推定して測定することができる。なお、デプスカメラによる距離測定が可能な場合には、測定した距離データを用いることもできる。
図15は、カメラ200Aによって撮像される、複数のタグ100a〜100eを含む画像の一例を示す図である。
図15に示すように、タグ100a〜100eのそれぞれの位置(設置場所)は、それらのタグ情報(ID:1〜ID:5)を取得することによって、サーバ300に問い合わせて取得することができる。タグ100a〜100eの位置情報が取得できれば、図15に示す画像(カメラ200Aの画角内)でのタグ100a〜100eの撮像データと、タグ100a〜100eの位置情報とに基づいて、カメラ200Aの位置を計算して求めることができる。また、このようにして求めたカメラ200Aの位置と、タグ100a等との位置とを比較することによって、カメラ200Aと、タグ100a等との距離を求めることができる。このカメラ200Aの位置およびタグ100a等との距離の計算は、測定部290によって行われる。なお、カメラ200Aの位置の測定および、タグ100aとの距離の測定は、上記とは別に、たとえば次のようにして行うこともできる。
すなわち、たとえば、加速度センサ295のような、カメラ200Aの姿勢パラメータを検出できるセンサによって、タグ100a等の撮像データと位置情報とに加えて、姿勢パラメータを用いて、カメラ200Aの位置を推定することができる。この場合も、カメラ200Aからタグ100a等までの距離も計算することができる。このカメラ200Aの位置およびタグ100a等との距離の計算は、測定部290xによって行われる。
上述のように測定部290または測定部290xによってカメラ200Aの位置を測定することができる理由は、次のように説明することができる。すなわち、タグの位置情報を取得することができれば、1つのタグの画角内の位置(撮像データ)およびカメラからタグまでの距離データの少なくともいずれかが分かる。未知数であるカメラ200Aの位置パラメータは6つであるから、カメラの位置パラメータに関連するパラメータを6つ以上計測できればよい。測定部290の場合には、2つ以上のタグの画角内の位置およびカメラからタグまでの距離データのいずれかを合わせて、6つの既知パラメータを取得することができるので、カメラ200Aの位置を測定することができる。一方、測定部290xの場合には、1つ以上のタグの画角内の位置およびカメラからタグまでの距離データの少なくともいずれかからを合わせて、3つの既知パラメータを取得するとともに、加速度センサ295によってピッチ、ロールおよびヨーの3つのパラメータを検出することによって合計6つのパラメータが取得できるので、カメラ200Aの位置を推定(測定)することができる。なお、カメラ200Aの位置が測定できれば、位置情報が分かっているタグ100a等までの距離は容易に計算することができる。
さらに別の方法として、たとえば、カメラ200Aが受光するタグ100a等から反射した赤外光の強度から、タグ100a等までの距離を推定することができる。反射した赤外光の強度は、タグ100a等の反射係数、およびカメラ200Aからタグ100a等までの距離に依存する。そのため、タグ100a等の反射係が分かれば、タグ100a等から反射した赤外光の強度に基づいて、カメラ200Aからタグ100aまでの距離を算出することができる。タグ100a等の反射係数は、たとえばサーバ300のデータベース301に予め記憶させておくことができる。カメラ200Aは、サーバ300から、タグ100a等の反射係数を取得することができる。別の方法として、デプスカメラとしてのカメラ200Aの他に、もう一台のカメラを用いる方法もある。これについては、後述の変形例にて説明する。
なお、タグ100a〜100eは必ずしも同時に撮像される必要はない。たとえば、SLAM(Simultaneously Localization and Mapping)などの画像処理手法を適用したり、カメラ200Aに加速度センサや角速度センサを搭載することで、過去に撮像されたタグであって、現在の画角内に存在しないタグを、屋内測位に用いることもできる。なお、SLAMなどの画像処理手法を別に設置されたカメラが撮像した画像群に適用し、その結果をカメラ200Aに用いることで、カメラ200Aが取得する画像を安定化させ、タグをより確実に検出できるようにすることもできる。
図16は、情報通信システム1A(図13)において実行される処理の一例を示すフローチャートである。ステップS201〜S205については、図7のステップS101〜S105と同様である。すなわち、カメラ200A(たとえばデプスカメラ)は、赤外光を発する(ステップS201)。タグ100a等は、カメラ200Aからの赤外光を受け(ステップS202)、液晶のオン・オフを切り替えつつ赤外光を反射する(ステップS203)。カメラ200Aは、反射した赤外光を受け(ステップS204)、タグ情報を解読する(ステップS205)。
次に、カメラ200Aの通信部270は、タグ情報をサーバ300に送信する(ステップS206)。
サーバ300は、カメラ200Aから送信されたタグ情報を受信する(ステップS207)。
そして、サーバ300は、タグの位置情報を、カメラ200Aに送信する(ステップS207)。具体的に、サーバ300は、ステップS207において受信したタグ情報に基づいて、タグ情報と、タグの位置情報とを関連づけて記述しているデータベース301を検索する。そして、サーバ300は、この検索によって得られたタグの位置情報を、カメラ200Aに送信する。
カメラ200Aの通信部270は、サーバ300から、タグの位置情報を受信する(ステップS209)。位置情報取得部280は、タグの位置情報を取得する。
そして、カメラ200Aは、カメラ200Aの位置を測定する(ステップS210)。具体的に、測定部290が、カメラ200Aの画角内での複数のタグ100a等の撮像データおよびカメラ200Aと複数のタグ100a等との距離データの少なくともいずれかのデータと、位置情報取得部280によって取得された位置情報とに基づいて、カメラ200Aの位置を測定する。あるいは、測定部290xが、加速度センサ295よって検出されたパラメータと、カメラ200Aの画角内でのタグ100a等の撮像データおよびカメラ200Aとタグ100a等との距離データの少なくともいずれかのデータと、位置情報取得部280によって取得された位置情報とに基づいて、カメラ200Aの位置を測定する。さらに、カメラ200Aとタグ100a等との距離が測定されてもよい。なお、距離の測定は、タグの位置情報を用いない他の手法、たとえば先に述べたような反射した赤外光の強度からタグ100a等までの距離を推定する手法によって行われてもよい。
次に、第2実施形態に係る情報通信システム1Aの作用効果について説明する。この情報通信システム1Aによれば、カメラ200Aは、タグ100a等の位置情報を蓄積しているサーバ300からタグ100a等の位置情報を取得する(ステップS206〜S209)。また、カメラ200Aは、カメラ200Aの画角内での複数のタグ100a等の撮像データおよびカメラ200Aと複数のタグ100a等との距離データの少なくともいずれかのデータと、位置情報取得部280によって取得された位置情報とに基づいて、カメラ200Aの位置を測定する。あるいは、カメラ200Aは、加速度センサ295よって検出されたパラメータ(カメラ200Aの姿勢パラメータ)と、カメラ200Aの画角内でのタグ100a等の撮像データおよびカメラ200Aとタグ100a等との距離データの少なくともいずれかのデータと、位置情報取得部280によって取得された位置情報とに基づいて、カメラ200Aの位置を測定する(ステップS210)。これにより、カメラ200Aの位置を測定することができる。さらにカメラ200Aとタグ100aとの距離を測定することもできる。また、たとえばカメラ200Aがデプスカメラであり、カメラ200Aからタグ100a等までの距離がデプスセンサによっては計測できないほど離れている場合であっても、上述のカメラ200Aの位置の測定手法においては距離データが必須ではないので、カメラ200Aの位置を測定することができる。
[変形例]
図17は、変形例に係る情報通信システムの概略構成を示す図である。図17に示すように、情報通信システム1Cは、タグ100と、カメラ200B,201と、サーバ300とを含む。
情報通信システム1Cは、カメラ200Bと、カメラ201との2つのカメラを用いて、カメラ200Cの位置を測定する(詳細は後述する)。
カメラ200Bは、図13のカメラ200Aと比較して機能が相違するが、カメラ200Aの機能を含んでいてもよい。さらに、カメラ200Bは、カメラ201と通信可能に構成される。
カメラ201は、たとえばRGBカメラである。カメラ201は、可視光を受光する可視光受光部230を含む。一方で、カメラ201は、カメラ200Bのような赤外光発光部210や赤外光受光部220を含んでいない点において、カメラ200Bと比較して相違する。
すなわち、情報通信システム1Cは、カメラ201およびカメラ200Bの2つのカメラのうち、一方は、赤外光を利用して対象物までの距離を測定する機能を有するカメラ(カメラ200B)であり、他方は、そのような機能を有さないカメラ(カメラ201)である、という特徴を有する。
図18は、一例として、カメラ200Bおよびカメラ201の2つのカメラによって撮像される、タグ100aを含む画像の一例を示す図である。なお、タグ100b〜100eについても画像に含まれるが、ここでは図示を省略する。図18(a)において、カメラ201によって撮像される画像におけるタグ100aの位置が、実線白丸として図示される。図18(a)において、参考として、カメラ200Bによって撮像される画像におけるタグ100aの位置が、破線白丸として重ねて図示される。図18(b)において、カメラ200Bによって撮像される画像におけるタグ100aの位置が、実線白丸として図示される。図18(b)において、参考として、カメラ201によって撮像される画像におけるタグ100aの位置が、破線白丸として重ねて図示される。
図18に示すように、カメラ200Bと、カメラ201とが離れた配置されている場合、カメラ200Bによって撮像された画像と、カメラ201によって撮像された画像との2つの画像におけるタグ100aの各位置は、それぞれ相違する。相違の程度は、カメラ200Bおよびカメラ201と、タグ100aとのそれぞれの距離によって変化する。そのため、2つの画像におけるタグの位置関係から、カメラ200B(あるいはカメラ201)からタグ100aまでの距離を算出することができる。なお、この場合、先に図15を参照して説明したような、タグから反射した赤外光の強度からタグまでの距離を推定するという手法を併用することによって、カメラ200Bからタグ100aまでの距離をさらに精度良く計測することができる。
ここで、カメラ201によって撮像した画像におけるタグ100aの位置を正確に検出することが重要となる。タグ100aが、カメラ200Bの距離計測範囲外にあるような場合には、画像におけるタグ100aの大きさはかなり小さくなる。そのため、カメラ201によって撮像された画像からはタグ100aを検出できない可能性がある。
そこで、タグ情報に基づいて、タグ100aが付されている対象物の特徴に関する情報をサーバ300に問い合わせて取得し、その情報を利用することが考えられる。対象物の特徴としては、たとえば、対象物の色(たとえば赤色)や形状(たとえば丸形状)、あるいは大きさ(たとえば画像に占めるピクセル数)などが挙げられる。対象物の特徴が分かれば、カメラ201によって撮像された画像において、そのような特徴を有している対象物を特定することによって、タグ100aの位置を検出することができる。この場合にも、先に図15を参照して説明したような、タグから反射した赤外光の強度からタグまでの距離を推定するという手法を併用することによって、カメラ200Bからタグ100aまでの距離をさらに制度良く計測することができる。
さらに、カメラ200Bによって撮像された画像におけるタグ100aの位置情報から、カメラ201における対象物の大きさと位置を計算することもできる。
このようにして、カメラ201によって撮像された画像において、タグ100aが付された対象物を特定する手法について、図19を参照して説明する。図19は、カメラ200Bおよびカメラ201の2つのカメラによって撮像される、タグ100および対象物などを含む画像の一例を示す図である。
図19(a)に示すように、この例では、タグ100aは、対象物12に付されている。また、対象物12の近傍には、他の対象物として、対象物11,13,14が存在している。
図19(b)は、カメラ201によって撮像された画像である。カメラ201は、タグ100aを検出できないので、タグ100aの近傍に存在するものとして、対象物11〜14が表示される。対象物11〜14は、タグ100aが付された対象物の候補とされる。
図19(c)は、カメラ200Bによって撮像された画像である。カメラ200Bは、タグ100aの位置と、カメラ200Bからタグ100aまでの距離を検出している。図19(c)に示す例では、タグ100aの位置が黒色の四角として表され、距離が4mとして表される。
ここで、タグ100aが付された対象物の特徴の一つである対象物の大きさに基づいて、カメラ201によって撮像された画像における対象物の占める大きさを求めることができる。このような処理は、カメラ201において実行されてもよいし、カメラ200B側において測定部290などが実行してもよい。また、カメラ200Bが対象物の色や形状の情報をサーバ300に問い合わせることによって、タグ100aが対象物11〜14のどの対象物に付されているのか、を正確に判断することができる。このようにして、図19に示す例においては、対象物12にタグ100aが付されており、対象物12が検出すべき対象である、との判断を行うことができる。
以上説明した変形例によっても、カメラ200Bの位置の測定(たとえば屋内測位)を行うことができる。
なお、たとえば、RGBカメラとしてのカメラ201は、カメラ201に動きが生じた場合であっても,撮像した画像を安定化させる機能および移動する対象物を追跡する機能を有していてもよい。そして、画像を安定化させるための画像の補正情報および移動する対象物の情報を、デプスカメラとしてのカメラ200Bに提供し,カメラ201はそれらの情報を利用してタグ100a等の検出、追跡、およびタグ100a等からのタグ情報の解読を行ってもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。各実施形態および各変形例の特徴部分を適宜組み合わせた構成についても、本発明の実施形態とすることができる。