JP6323587B1 - 接合用ペースト、および該接合用ペーストで接合されてなる物品 - Google Patents

接合用ペースト、および該接合用ペーストで接合されてなる物品 Download PDF

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Abstract

【課題】金属粒子を高い比率で含有しながらも塗工適正に優れ、熱的特性等の物性を低下させず優れた接合強度を有する接合用ペーストの提供。【解決手段】金属粒子(A)と焼結促進剤(B)と液状分散媒(C)を含有し、(A)〜(C)の合計100質量%中に金属粒子(A)を80質量%以上、焼結促進剤(B)を0.1〜1.5質量%含み、金属粒子(A)は、(A)100質量%中、金属ナノ粒子を25〜100%含有する、塗工適正、熱的物性、接合強度に優れた接合用ペースト。【選択図】図1

Description

本発明は接合用ペースト、および該接合用ペーストで接合されてなる物品に関する。
従来、金属部材同士、金属部材と半導体素子、または金属部材とLED素子等を接合するための接合材料としては、はんだが使用されていた。次世代パワーエレクトロニクスの分野では、高温動作可能なSiCなどのデバイスのための接合剤としては環境に配慮する側面からはんだの代替材(鉛を含まない)が求められている。例えば、特許文献1〜4に示すように銀ナノ粒子を用いた接合用ペーストの利用が提案されている。
特開2002−126869号公報 特開2011−240406号公報 特開2013−4309号公報 特開2016−54098号公報
接合用ペーストに金属ナノ粒子を含有するだけでは、焼結が進まず十分な接合強度が得られないことから、添加剤や樹脂を用いることが提案されている。
しかし、はんだ代替材として上記したような従来の導電性接着剤を電子部品の接続に用いた場合には、初期的な接合強度、接続抵抗等の特性、及び、それらの特性の耐湿性、耐熱衝撃性、耐高温放置性等の各種耐久試験による安定性という面で、満足な導電性接合用ペーストが得られていないのが現状である。
また、銀ナノ粒子を用いた従来の接合用ペーストは、ペーストとしての粘度が高く、塗工適性が悪いため、接合強度が小さくなってしまうという問題があった。
この問題に対し、液状分散媒の量を増加させることにより、ペーストの粘度を低下させることはできる。しかし、接合時に加熱することによりペースト中の液状分散媒は揮散し、接合完了時には存在しなくなるにも関わらず、ペースト中の液状分散媒の量を増やすと、接合強度が低下してしまうという新たな問題が生じた。
さらに現状では、冷熱サイクル試験における高温条件として200℃を超える高温に耐える材料が出てきておらず、高温動作を実現するための大きな課題となっている。
本発明は、金属微粒子を高い比率で含有しながらも低粘度で塗工適性に優れる接合用ペーストであって、初期および冷熱サイクル試験後の接合強度に優れる物品を形成できる接合用ペーストを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の課題を解決するため、鋭意検討の結果、特定量の焼結促進剤(C)を利用することにより、塗工適性に優れ、接合強度にも優れる接合用ペーストを見出した。
すなわち、本発明は下記[1]〜[7]の接合用ペーストに関し、さらに[8]の物品の製造方法、[9]の物品に関する。
[1]金属粒子(A)と焼結促進剤(B)と液状分散媒(C)とを含有し、
金属粒子(A)は金属粒子(A)100質量%中、金属ナノ粒子を25〜100質量%含有し、
前記(A)〜(C)の合計100質量%中に、金属粒子(A)を80質量%以上含み、焼結促進剤(B)を0.1〜1.5質量%含む接合用ペースト。
[2]金属ナノ粒子の表面の少なくとも一部が、炭素数が3〜22である飽和または不飽和の脂肪酸により被覆されている、前記[1]記載の接合用ペースト。
[3]前記接合用ペーストを焼結させた場合の示差熱曲線(DTA曲線)のピーク高さが、焼結促進剤(B)を含有していない接合用ペーストを焼結させた場合の示差熱曲線のピーク高さの1.5倍以上である、前記[1]〜[2]記載の接合用ペースト。
[4]焼結促進剤(B)の融点が150〜250℃である、前記[1]〜[3]いずれか1項に記載の接合用ペースト。
[5]焼結促進剤(B)が下記式にて示される化合物である、前記[1]〜[4]いずれか1項に記載の接合用ペースト。
[6]金属粒子(A)100質量%中に金属ナノ粒子を80〜100質量%以上含む、前記[1]〜[5]いずれか1項に記載の接合用ペースト。
[7]金属ナノ粒子の平均粒径が2〜200nmである、前記[1]〜[6]いずれか1項に記載の接合用ペースト。
[8]金属部材同士、金属部材と半導体素子、または金属部材とLED素子との間に、前記[1]〜[7]いずれか1項に記載の接合用ペーストを挟み、加熱し、液状分散媒(C)を除去すると共に、金属粒子(A)の少なくとも一部を溶融し、焼結体を形成し、
金属部材同士、金属部材と半導体素子、または金属部材とLED素子との間を、前記焼結体で接合することを特徴とする、
物品の製造方法。
[9]金属部材同士、金属部材と半導体素子、または金属部材とLED素子とが、前記[1]〜[7]いずれか1項に記載の接合用ペーストから形成される焼結体で接合されている物品。
本発明により、金属微粒子を高い比率で含有しながらも低粘度で塗工適性に優れる接合用ペーストであって、初期および冷熱サイクル試験後の接合強度に優れる物品を形成できる接合用ペーストを提供することができた。
実施例3、および比較例1の接合用ペーストのDTA曲線。
本発明の接合用ペーストは、前述の通り、金属粒子(A)と焼結促進剤(B)と液状分散媒(C)とを含む組成物である。
(金属粒子(A))
例えば金、銀、銅、ニッケル、クロム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、ケイ素、アルミニウム、タングステン、モリブデン、および白金等の金属粉、ならびにこれらの合金、ならびにこれらの複合粉が挙げられる。また、核体と、前記核体物質とは異なる物質で被覆した微粒子、具体的には、例えば、銅を核体とし、その表面を銀で被覆した銀コート銅粉等が挙げられる。また、例えば酸化銀、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ルテニウム、ITO(スズドープ酸化インジウム)、AZO(アルミドープ酸化亜鉛)、およびGZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)等の金属酸化物の粉末、ならびにこれらの金属酸化物で表面被覆した粉末等が挙げられる。
使用する金属の種類は1種でもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明では、金属粒子(A)100質量%中、いわゆる金属ナノ粒子を25〜100質量%含むものを金属粒子(A)として用いる。
金属ナノ粒子の平均粒径は、ナノレベルであれば特に限定されない。例えば、1〜500nmの金属ナノ粒子を使用することが好ましく、2〜300nmを使用することがより好ましくは、2〜200nmの金属ナノ粒子を使用することが特に好ましい。金属ナノ粒子は、特定の粒径範囲のものを単独で使用してもよいし、異なる粒径範囲のものを複数組み合わせて使用してもよい。
金属ナノ粒子を必須とする金属粒子(A)を使用することにより、粒子表面の活性が上がり、ナノサイズ効果により融点が下がり低温での焼結が可能となる。低温焼結により電子部品の実装時の温度を下げることが可能になるので熱ストレスを低減できる。そして、金属ナノ粒子は、焼結により互いに結合してサイズが大きくなると、通常サイズの金属材料(バルク金属材料)と同等の高い融点を示すようになるので、実装後は耐熱温度を向上できる。
本発明では、金属粒子(A)として、ナノサイズの金属粒子の他に、ナノサイズ以外の金属粒子も用いることができるが、金属粒子(A)100質量%中、金属ナノ粒子は25〜100質量%であり、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。
なお、本発明における金属粒子(A)のうち、金属ナノ粒子の平均粒径は、ナノトラック UPA−EX150 (日機装社製)用いて、体積粒度分布の累積粒度(D50)を測定した。また、ナノサイズ以外の金属粒子の平均粒径は、島津製作所社製レーザー回折粒度分布測定装置「SALD−3000」を用いて、体積粒度分布の累積粒度(D50)を測定した。
本発明における金属ナノ粒子は、その表面の少なくとも一部が、炭素数が3〜22である飽和または不飽和の脂肪酸により被覆されていることが好ましい。
被覆前の金属ナノ粒子と前記脂肪酸との合計100質量%中、被覆前の金属ナノ粒子は70〜99質量%、前記脂肪酸は1〜30質量%であることが好ましく、被覆前の金属ナノ粒子は80〜95質量%、前記脂肪酸は5〜20質量%であることがより好ましい。前記脂肪酸の量が5〜20質量%であることによって、被覆後の金属ナノ粒子の凝集を抑制でき、優れた接合強度を発現できる。
なお、前記脂肪酸で被覆された金属ナノ粒子を用いる場合は、被覆後の金属ナノ粒子全体を、金属粒子(A)に含まれる金属ナノ粒子とするものとする。
本発明の接合用ペーストは、金属粒子(A)と後述する焼結促進剤(B)と後述する液状分散媒(C)との合計100質量%中に、金属粒子(A)を80質量%以上含むものであり、85〜99質量%含むことが好ましく、90〜99質量%含むことがより好ましい。金属粒子(A)を80質量%以上含むことによって、後述する接合対象である部材同士を強固に接合することが可能である。
本発明の接合用ペーストは、特定量の焼結促進剤(B)を含む。本発明における焼結促進剤は、金属ナノ粒子に親和性の高い官能基を有する化合物であり、その親和性の高さから、金属ナノ粒子の周囲を覆っている有機物を引き剥がす働きを持つ。有機物が引き剥がされた金属ナノ粒子は分散安定性を失い凝集が起こるため、粒子同士の接触、融着が促進され、緻密な金属の膜を形成することが可能となる。金属ナノ粒子に親和性の高い官能基は、特に限定されず極性基等が例として挙げられるが、特に、窒素原子を含有するものは金属ナノ粒子との親和性が高く、焼結促進剤として好適に用いられる。(窒素原子を含有する焼結促進剤(B)は特に限定されないが、例えば、)焼結促進剤(B)として、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族アミン、2−エチル-4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、2−メチルイミダゾリン等のイミダゾリン化合物、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド化合物、アミキュアPN−23、アミキュアMY−24等のアミンアダクト類、ジシアンジアミド等が挙げられる。中でも、焼結促進効果が高いことからジシアンジアミドが好適に用いられる。
本発明において、焼結促進剤(B)は一種のみを単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。複数を併用した場合、それぞれの融点の違いを利用し焼結温度設定の許容幅が広がることや焼結性等が向上するといった相乗効果が発揮されるため望ましい。焼結促進剤の使用量は、金属粒子(A)と焼結促進剤(B)と液状分散媒(C)との合計100質量%中、0.1〜1.5質量%であり、0.3〜1.0質量%であることが好ましい。特定量の焼結促進剤(B)を使用することにより、塗工適性を向上でき、金属ナノ粒子を被覆する有機物を引き剥がす効果を利用し焼結を促進させることでバルクに近い緻密な金属の膜を形成でき、冷熱サイクル試験後も高レベルで接合強度を維持できる。
本発明の接合用ペーストは、液状分散媒(C)を含有する。液状分散媒(C)は、分散質である金属粒子(A)を分散する機能を担う。また、液状分散媒(C)は前述の焼結促進剤(B)を溶解せず、分散することが好ましい。
液状分散媒(C)のうち、比較的沸点の低いものとしては、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン、イソプロパノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル等が挙げられる。液状分散媒(C)のうち、比較的沸点の高いのものとしては、カルビトールアセテート、メトキシプロピルアセテート、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、イソボルニルシクロヘキサノール、オクタノール、炭化水素系溶剤に含まれるイソパラフィン系溶剤等が挙げられる。
これら液状分散媒(C)は、適宜単独で、または複数用いることができる。
なお、本発明の接合用ペーストは、導電ペーストであり、接合した物品としては、電子基板にある電気回路とその上に搭載する電子部品に展開できる。具体的には、ICチップなどが挙げられる。
本発明の接合用ペーストには、凝集を防止する観点で適宜分散剤を添加してもよい。市販分散剤の例としては、ソルスパース9000、ソルスパース12000、ソルスパース17000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース35100、ソルスパース54000、ソルシックス250(以上、日本ルーブリゾール株式会社製)、EFKA 4008、EFKA 4009、EFKA 4010、EFKA 4015、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA 7462、EFKA 4020、EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 6220、EFKA 6225、EFKA 6700、EFKA 6780、EFKA 6782、EFKA 8503(以上、エフカアディディブズ社製)、アジスパーPA111、アジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPN411、フェイメックスL−12(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)、DisperBYK101、DisperBYK102、DisperBYK106、DisperBYK108、DisperBYK111、DisperBYK116、DisperBYK130、DisperBYK140、DisperBYK142、DisperBYK145、DisperBYK161、DisperBYK162、DisperBYK163、DisperBYK164、DisperBYK166、DisperBYK167、DisperBYK168、DisperBYK170、DisperBYK171、DisperBYK174、DisperBYK180、DisperBYK182、DisperBYK192、DisperBYK193、DisperBYK2000、DisperBYK2001、DisperBYK2020、DisperBYK2025、DisperBYK2050、DisperBYK2070、DisperBYK2155、DisperBYK2164、BYK220S、BYK300、BYK306、BYK320、BYK322、BYK325、BYK330、BYK340、BYK350、BYK377、BYK378、BYK380N、BYK410、BYK425、BYK430(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が用いることができる。
添加する分散剤の量としては、接合用ペースト100質量%中、5質量%以下、好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは、0.5質量%以下である。凝集防止効果の点から0.1質量%以上が好ましく、焼結の際残らないように5質量%以下であることが好ましい。
(接合方法及び接合物品)
本発明は、上記接合用ペーストを少なくとも第1の部材に塗布する工程と、前記第1の部材上の接合用ペーストに第2の部材を接触させ、焼成することにより、第1の部材と第2の部材とを接合することができる。
接合する部材の種類は特に限定されず、金属部材、電子素子、プラスチック材料、セラミック材料等を挙げることができる。金属部材同士、金属部材と半導体素子、金属部材とLED素子とを接合することが好ましい。
即ち、金属部材同士、金属部材と半導体素子、または金属部材とLED素子との間に、本発明の接合用ペーストを挟み、加熱し、液状分散媒(C)を除去すると共に、金属粒子(A)の少なくとも一部を溶融し、焼結体を形成し、金属部材同士、金属部材と半導体素子、または金属部材とLED素子との間を、前記焼結体で接合することが好ましい。
金属部材としては、例えば、銅基板、金基板、アルミ基板等を挙げることができる。
電子素子としては、半導体素子、LED素子を挙げることができる。
半導体素子としては、シリコン(ケイ素)やゲルマニウムのほかに、ヒ化ガリウム、リン化ガリウム、硫化カドミウムなどが用いられる。LED素子としてはアルミニウム、窒化珪素、ダイヤモンド、黒鉛、酸化イットリウム及び酸化マグネシウムなどが用いられる。特に、炭化ケイ素や窒化ガリウム等のパワーデバイス素子を使用することができる。
プラスチック材料としては、例えば、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート等を挙げることができる。
セラミック材料としては、例えば、ガラス、シリコン等を挙げることができる。
第1の部材及び第2の部材は、同じ種類だけではなく、異なる種類の部材であってもよい。上記部材は、接合強度を大きくするため適宜コロナ処理、メッキ等で加工してもよい。
接合用ペーストを塗布する方法としては、部材上に均一に塗布できる方法であれば特に限定されるものではない。例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、およびグラビアオフセット印刷等の各種印刷法、ディスペンサー等が挙げられる。
接合工程における焼成条件は、適宜変更されるが、例えば、大気圧下、窒素雰囲気、真空中、加圧または還元雰囲気で200〜300℃等の条件を挙げることができる。
焼成装置としては、熱風オーブン、赤外線オーブン、リフローオーブン、マイクロウエーブオーブンおよび光焼成装置等が挙げられる。光焼成装置の場合、照射する光の種類はとくに限定されないが、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、レーザー光等が挙げられる。これら装置を適宜単独でまたは複数用いることができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。部は質量部の意である。
(銀粉)
銀粉Aの製造方法
セパラブル4口フラスコに冷却管、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置を取り付け、窒素雰囲気下、室温で攪拌しながらトルエン200部およびヘキサン酸銀22.3部を仕込み、0.5Mの溶液とした後に、分散剤としてジエチルアミノエタノール2.3部(金属1molに対し0.2mol倍)、オレイン酸2.8部(金属1molに対し0.1mol倍)を添加し溶解させた。その後、還元剤として濃度20%のこはく酸ジヒドラジド(以下、SUDHという)水溶液73.1部(金属1molに対しヒドラジド基2mol倍)を滴下すると液色が淡黄色から濃茶色に変化した。さらに反応を促進させるために40℃に昇温し、反応を進行させた。静置、分離した後、水相を取り出すことで過剰の還元剤や不純物を除去し、さらにトルエン層に数回蒸留水を加え、洗浄、分離を繰り返した後、乾燥させて銀粉Aを得た。銀粉Aの平均粒径は0.01μm(=10nm)であった。
銀粉B:製品名 銀ナノ粒子乾粉-2 (D50粒子径60nm、比表面積5〜8m/g)DOWAエレクトロニクス株式会社製
銀粉C:球状銀粉(D50粒子径1.6μm、比表面積1.0m/g)
焼結促進剤:製品名 jERキュア DICY7(D50粒子径3μm)三菱化学株式会社製
エポキシ樹脂:製品名 jER828 (エポキシ当量184〜194)三菱化学株式会社製
液状分散媒:製品名 ターピネオールC 日本テルペン化学株式会社製
実施例1(接合用ペーストの調製)
銀粉A:95部、焼結促進剤:1.24部、液状分散媒:3.76部を混合し、接合用ペーストを調製した。
実施例2〜5、比較例1〜7
表1、2に示す組成に従って、実施例1と同様に接合用ペーストを調製した。
(DTA曲線)
実施例3、および比較例1で得られた各接合用ペーストについて測定したDTA曲線を図1に示す。測定装置は、株式会社リガク製示差熱天秤 Thermo Plus EV02を使用した。測定条件は、大気中で昇温速度は10℃/min.、試料量10mgとした。横軸は温度であり、縦軸は示差熱曲線(DTA曲線)である。DTA曲線のピーク高さを比較したところ、実施例3のピーク高さは比較例1のピーク高さの1.7倍であった。即ち、わずかな量の焼結促進剤によって、金属粒子の溶融(焼結)が促進されることが確認できた。
(1)塗工適性
調製した各接合用ペーストを鋼板に下記条件で塗工し、その塗工適性を下記基準で判断した。
<塗工条件>
・メタルマスク:開口部4mm角、板厚50μm(セリアコーポレーション製)
・メタルスキージ:40mm×250mm、厚み1mm(セリアコーポレーション製)
<評価基準>
○:接合用ペーストが、開口部(4mm角)全体に均一に付着している状態。塗工適性良好。または、接合用ペーストの粘度が25℃において80Pa・s以上、120Pa・s未満。
△:接合用ペーストが、開口部の一部(2〜3mm角の範囲)に付着するが、付着していない部分がある状態。または、接合用ペーストの粘度が25℃において120Pa・s以上、200Pa・s未満。
×:接合用ペーストが、開口部のうち、2mm角範囲以下にしか付着せず、付着した部分がひび割れしている状態。塗工適性不良。または、接合用ペーストの粘度が25℃において200Pa・s以上。
(接合条件)
前記塗工条件にて、適性調製した各接合用ペーストを下記基材1に塗工し、下記基材2を貼り付けた。これを250℃×60分間、大気雰囲気で焼結して試験片を得た。
基材1:銅板 1.3cm×1.3cm(厚み2mm)
基材2:Siチップ 5mm×5mm(厚み300μm)
なお、塗工時の接合用ペーストの厚みは用いたメタルマスクの板厚:50μmである。
(2)接合強度(シェア強度)
得られた試験片について、冷熱サイクル試験の前・後の接合強度(ダイシェア強度)[MPa]を測定した。
[冷熱サイクル試験]
試験片を−40℃の温度条件で10分保持した後、250℃の温度条件で10分間保持する処理工程を1サイクルとし、この処理を1000サイクル行った。
測定装置:万能型ボンドテスタ(デイジ・ジャパン株式会社製、4000シリーズ)
試験条件
・測定高さ:100μm
・測定スピード:500μm/s
具体的には基材1を固定し、基材1と焼結体との界面を起点として基材2に向かって高さ100μmの位置を、500μm/sの速度で押し、接合が破壊される強度を求めた。
○:20MPa以上。良好。
△:10〜20MPa未満。
×:10MPa未満。不良。

Claims (6)

  1. 金属粒子(A)と焼結促進剤(B)と液状分散媒(C)とを含有し、
    金属粒子(A)は金属粒子(A)100質量%中、金属ナノ粒子を25〜100質量%含有し、
    前記(A)〜(C)の合計100質量%中に、金属粒子(A)を80質量%以上含み、焼結促進剤(B)を0.1〜1.5質量%含み、
    金属ナノ粒子が銀粉であり、
    金属ナノ粒子の平均粒径が2〜200nmであり、
    金属ナノ粒子の表面の少なくとも一部が、炭素数が3〜22である飽和または不飽和の脂肪酸により被覆されており、
    焼結促進剤(B)が下記式にて示される化合物であり、
    エポキシ樹脂を含まない接合用ペースト。
  2. 前記接合用ペーストを焼結させた場合の示差熱曲線(DTA曲線)のピーク高さが、焼結促進剤(B)を含有していない接合用ペーストを焼結させた場合の示差熱曲線(DTA曲線)のピーク高さの1.5倍以上である、請求項1に記載の接合用ペースト。
  3. 焼結促進剤(B)の融点が150〜250℃である、請求項1又は2に記載の接合用ペースト。
  4. 金属粒子(A)100質量%中に、金属ナノ粒子を80〜100質量%以上含む、請求項1〜いずれか1項に記載の接合用ペースト。
  5. 金属部材同士、金属部材と半導体素子、または金属部材とLED素子との間に、請求項1〜いずれか1項に記載の接合用ペーストを挟み、加熱し、液状分散媒(C)を除去すると共に、金属粒子(A)の少なくとも一部を溶融し、焼結体を形成し、
    金属部材同士、金属部材と半導体素子、または金属部材とLED素子との間を、前記焼結体で接合することを特徴とする物品の製造方法。
  6. 金属部材同士、金属部材と半導体素子、または金属部材とLED素子とが、請求項1〜いずれか1項に記載の接合用ペーストから形成される焼結体で接合されている物品。
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