JP6323526B2 - 車両の衝撃吸収構造 - Google Patents

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Description

本発明は、前後方向に連続して延びる複数の強化繊維を含む繊維強化樹脂により形成された左右1対の衝撃吸収部材と、この1対の衝撃吸収部材の先端部に架け渡すように取り付けられたバンパレインフォースメントを備えた車両の衝撃吸収構造に関する。
従来から車体前部または後部において、左右1対のフロントサイドフレームまたは左右1対のリヤサイドフレームが設けられ、これらサイドフレームの先端部に、衝突時の衝撃エネルギを吸収可能な左右1対の衝撃吸収部材(クラッシュカン)を介して車幅方向に延びるバンパレインフォースメントを取り付ける構造が知られている。これら1対のクラッシュカンは、通常、金属材料によって成形され、車両衝突時には、軸方向に圧縮破壊されることにより車室に伝達される衝撃エネルギを吸収している。
クラッシュカンは重量がある大型部品であり、軽量化のために繊維強化樹脂成形体で構成することも知られている。強化繊維には、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等があり、母材と組み合わせることによって繊維強化樹脂が形成される。このような繊維強化樹脂では、強化繊維が強度等の力学的特性を分担し、母材樹脂が繊維間の応力伝達機能と繊維の保護機能を分担している。
特に、炭素繊維強化樹脂(CFRP)は、高比強度(強度/比重)と高比剛性(剛性/比重)、所謂軽さと強度・剛性とを併せ持つ特性であるため、航空機や車両等の構造材料として広く使用されている。
クラッシュカンに要求される性能は、エネルギ吸収量(以下、EA(Energy Absorption)量という)が大きいことであり、更には、逐次的に圧縮破壊が進行する逐次破壊によって安定的に衝撃エネルギを吸収することである。
例えば、特許文献1のエネルギ吸収構造は、筒状の繊維強化樹脂製エネルギ吸収部材(衝撃吸収部材)と、エネルギ吸収部材の基端部と接合されたベース部材を備え、エネルギ吸収部材のベース部材との接合部分に排出部を設け、エネルギ吸収部材の先端部から基端部に向かって入力される荷重により圧縮破壊されたエネルギ吸収部材の破片を排出部から外部に排出することにより、エネルギ吸収部材の圧縮破壊を破片に妨げられないように構成されている。
しかし、特許文献1のエネルギ吸収構造では、エネルギ吸収部材が筒状であるため、排出部から排出されずに筒内に蓄積される破片によりエネルギ吸収部材の圧縮破壊が妨げられ、排出部からの破片排出によるEA量の増加は大きくない。
また、特許文献2のエネルギ吸収体の取付構造は、円筒状の繊維強化樹脂製エネルギ吸収体(衝撃吸収部材)と、このエネルギ吸収体の軸方向一端部分を収容する中空容器と、エネルギ吸収体の軸方向他端部と接合して車両に取り付けるための取付部材を備え、中空容器側から入力される衝撃荷重により中空容器で圧縮破壊されて発生するエネルギ吸収体の破片を外部に排出しないように構成されている。
しかし、特許文献2のエネルギ吸収体の取付構造では、エネルギ吸収体の破片を全て収容可能な中空容器を取り付けるため、エネルギ吸収体の取付構造が複雑且つ大きく重くなり、繊維強化樹脂製エネルギ吸収体による軽量化の効果が減殺されてしまう。
そこで、本出願人は既に、車両衝突時に逐次破壊によって衝撃エネルギを吸収可能なCFRP製クラッシュカンを備えた衝撃吸収構造を提案している(特願2015−227624等)。このCFRP製クラッシュカンは、圧縮荷重入力方向に炭素繊維が延びるように配列されたシート状の複数の第1炭素繊維層と、これら第1炭素繊維層の炭素繊維に交差して炭素繊維が延びるように配列されたシート状の複数の第2炭素繊維層とが交互に積層された板状の部材が所定形状の開断面を有する衝撃吸収部材に形成されており、圧縮荷重が入力されたとき、第2炭素繊維層が第1炭素繊維層から剥離するように構成されている。
これにより、第2炭素繊維層を境界部分として、第2炭素繊維層よりも板厚方向内側の第1炭素繊維層によって柱状のピラー部を形成することができ、車両衝突時に第2炭素繊維層よりも板厚方向外側の第1炭素繊維層がピラー部から枝状に剥離するフロンズ部を形成することができる。従って、衝撃吸収部材の板厚方向両端部を確実且つ安定的に逐次破壊させることができる。また、開断面部材に形成されているため、逐次破壊により発生する破片を外部に排出して衝撃吸収部材を潰し切ることができるので、EA量が増加する。
特開2012−137129号公報 特開平8−121519号公報
しかし、上記のような衝撃吸収構造であっても、衝撃吸収部材が安定的に破壊されず、EA量に有効に寄与できない場合がある。例えば、例えば、衝撃吸収部材は、圧縮破壊により衝撃エネルギを吸収する衝撃吸収壁部と、この衝撃吸収壁部に連なってバンパレインフォースメントを取り付ける先端壁部を有しているが、車両衝突時に衝撃吸収壁部と先端壁部が破断・分離する。このとき、バンパレインフォースメントを介して伝達される圧縮荷重により衝撃吸収壁部の破断した先端部が移動して、衝撃吸収壁部の姿勢が圧縮荷重の入力方向に対して傾斜し、衝撃吸収壁部が安定的に破壊されず衝撃エネルギを吸収できない虞がある。また、衝撃吸収壁部と先端壁部が破断・分離すると、バンパレインフォースメントが落下する虞がある。
本発明の目的は、衝撃吸収部材の衝撃吸収壁部と先端壁部が破断・分離しても、衝撃吸収壁部を安定的に破壊させて衝撃エネルギを吸収させることが可能な車両の衝撃吸収構造を提供することである。
第1の発明の車両の衝撃吸収構造は、車体前後方向先端部側に配設され且つ前後方向に連続して延びるように配列された複数の強化繊維を含む左右1対の繊維強化樹脂製衝撃吸収部材と、前記1対の衝撃吸収部材の先端部に取り付けられた車幅方向に延びるバンパレインフォースメントとを備えた車両の衝撃吸収構造において、前記衝撃吸収部材は、前後方向に延びる衝撃吸収壁部と、前記衝撃吸収壁部に連なり且つ前記バンパレインフォースメントと連結するための先端壁部とを備えた開断面部材に形成され、前記バンパレインフォースメントは、少なくとも先端側壁部と車室側壁部を備えた閉断面部材で構成され、前記先端壁部と前記車室側壁部を連結する連結部近傍で且つ前記衝撃吸収壁部の先端部に対向した部分には、車両衝突時に前記先端壁部から分離した前記衝撃吸収壁部が侵入可能な侵入許容部を備えていることを特徴としている。
これにより、車両衝突時にバンパレインフォースメントから伝達される圧縮荷重を、衝撃吸収部材の衝撃吸収壁部と先端壁部が接続される角部に集中的に作用させて破壊起点が生成される。圧縮荷重により破壊起点である角部で破壊が生じ衝撃吸収壁部と先端壁部が破断・分離しても、衝撃吸収壁部の破断した先端部は連結部近傍で且つ前記衝撃吸収壁部の先端部に対向した部分に設けられた侵入許容部に侵入可能なので、この破断と侵入によって衝撃エネルギを吸収することができる。
第2の発明の車両の衝撃吸収構造は、第1の発明において、前記衝撃吸収部材は、前記バンパレインフォースメントから伝達される圧縮荷重により前記先端壁部と前記衝撃吸収壁部を接続する角部が破断し、その後前記バンパレインフォースメントから伝達される圧縮荷重により前記衝撃吸収壁部の破断した先端部から逐次破壊することにより衝撃を吸収するように構成されていることを特徴としている。
これにより、衝撃吸収部材の衝撃吸収壁部が破断した先端部から安定的に逐次破壊するので、衝撃吸収部材に衝撃エネルギを吸収させることができる。
第3の発明の車両の衝撃吸収構造は、第1または第2の発明において、前記侵入許容部は、前記衝撃吸収壁部の侵入を所定距離許容して前記衝撃吸収壁部を受け止めることを特徴としている。
これにより、車両衝突時には衝撃吸収壁部が侵入許容部に所定距離侵入した状態で受け止められるので、衝撃吸収壁部の破断した先端部の移動が規制され、衝撃吸収壁部の姿勢が維持される。そのため、バンパレインフォースメントから伝達される圧縮荷重により衝撃吸収壁部を安定的に破壊させて、衝撃エネルギを吸収することができる。また、バンパレインフォースメントは、受け止めた衝撃吸収壁部によって支持されるので、バンパレインフォースメントの落下を防ぐことができる。
第4の発明の車両の衝撃吸収構造は、第1〜第3の発明のいずれかにおいて、前記侵入許容部は、前記先端側壁部の板厚よりも薄い板厚の薄板壁部であって、前記車室側壁部に形成された薄板壁部を有することを特徴としている。
これにより、侵入許容部は、圧縮荷重による衝撃吸収壁部の破断した先端部との衝突により容易に変形するので、車両衝突時には衝撃吸収壁部の侵入を許容して先端側壁部に向かって凹入する。凹入した侵入許容部により、衝撃吸収壁部が受け止められて衝撃吸収壁部の姿勢が維持される。そのため、バンパレインフォースメントから伝達される圧縮荷重により衝撃吸収壁部を安定的に破壊させて、衝撃エネルギを吸収することができる。
第5の発明の車両の衝撃吸収構造は、第1〜第4の発明のいずれかにおいて、前記バンパレインフォースメントは、少なくとも前記先端側壁部と前記車室側壁部とこれらの中段部を接続する中段棚壁部とを含む閉断面部材で構成され、前記侵入許容部は、前記中段棚壁部に形成された開口部を有することを特徴としている。
これにより、侵入許容部は、圧縮荷重による衝撃吸収壁部の破断した先端部との衝突により変形し易くなるので、車両衝突時には衝撃吸収壁部の侵入を許容して先端側壁部に向かって凹入する。凹入した侵入許容部により、衝撃吸収壁部が受け止められて衝撃吸収壁部の姿勢が維持される。そのため、バンパレインフォースメントから伝達される圧縮荷重により衝撃吸収壁部を安定的に破壊させて、衝撃エネルギを吸収することができる。
本発明の車両の衝撃吸収構造によれば、衝撃吸収部材の衝撃吸収壁部と先端壁部が破断・分離しても、衝撃吸収壁部を安定的に破壊させて衝撃エネルギを吸収させることができる。
本発明の衝撃吸収構造を備えた車両の車体後部の斜視図である。 車体後部左側の平面図である。 車体後部左側の側面図である。 クラッシュカンの後端側部分周辺の斜視図である。 図3のV −V 線断面図である。 図5において衝撃吸収壁部が侵入許容部に侵入し受け止められた状態を示す図である。 図5において衝撃吸収壁部が侵入許容部に侵入し先端側壁部に受け止められた状態を示す図である。 図3のVIII−VIII線断面図である。 図8の要部拡大図である。 クラッシュカン、外側ブラケット、内側ブラケット、ボルト取付部材、バンパレインの分解斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。図中の矢印Fは前方を示し、矢印Lは左方を示し、矢印Uは上方を示す。
図1〜図3に示すように、車両の後端部は、左右1対のリヤサイドフレーム1と、これら1対のリヤサイドフレーム1の間を架け渡すように設けられたフロアパネル2と、バンパフェイシャ(図示略)に後側外周部分を覆われ且つ左右に延びるバンパレインフォースメント(以下、バンパレインと省略する)3と、1対のリヤサイドフレーム1とバンパレイン3との間に配設された左右1対のクラッシュカン4(衝撃吸収部材)と、これら1対のクラッシュカン4を1対のリヤサイドフレーム1に夫々取り付けるための左右1対の内側ブラケット7及び左右1対の外側ブラケット8等を備えている。
フロアパネル2は、前端側部分にリヤシート(図示略)が搭載され、後端側部分にスペアタイヤ(図示略)を格納可能なスペアタイヤパン2aが形成されている。このフロアパネル2の左右両端部分は、1対のリヤサイドフレーム1の夫々の内壁部に溶接にて接合されている。スペアタイヤパン2aは、フロアパネル2の荷室に対応する部位において下方に凹入するように形成されている。
車両の後端部に設けられた衝撃吸収構造Cは、衝突によりバンパレイン3に入力されて車室側の1対のリヤサイドフレーム1に伝達される衝撃エネルギを1対のクラッシュカン4が吸収するように構成されている。衝撃吸収構造Cは、左右対称構造であるため、以下では主に車両後端部の左側について説明し、右側の説明を省略する。
次に、リヤサイドフレーム1について説明する。
リヤサイドフレーム1は、アルミ合金材料を押出成形にて一体部品として成形され、フロアパネル2等を支持する。リヤサイドフレーム1は、図10に示すように、前後方向に直線状に延びる外壁部と、この外壁部の車幅方向内側(右側)に配設されて前後方向に直線状に延びる内壁部と、外壁部と内壁部の上端部同士を連結する上壁部と、外壁部と内壁部の下端部同士を連結する下壁部を備えて、上壁部と下壁部が略平行な台形状の閉断面を有する。
次に、バンパレイン3について説明する。
バンパレイン3は、アルミ合金材料を押出成形にて一体部品として成形されている。このバンパレイン3は、図1〜図4に示すように、先端側壁部3aと車室側壁部3bと、先端側壁部3a上端部と車室側壁部3b上端部を接続する上壁部3cと、先端側壁部3a下端部と車室側壁部3b下端部を接続する下壁部3dと、先端側壁部3a中段部と車室側壁部3b中段部を接続する中段棚壁部3eを有して略水平状に左右に延びる閉断面部材に形成され、これら壁部の板厚は押出成形時に適宜調節可能である。また、バンパレイン3は、平面視にて車幅方向中央部分が後方に凸に湾曲した緩湾曲状に形成されている。
図5に示すように、バンパレイン3の車室側壁部3bの左端側部分にはボルト6を挿通可能な上下1対のボルト穴3fが夫々形成され、先端側壁部3aの左端側部分には締結作業用の上下1対の作業穴3hが夫々形成されている。バンパレイン3とクラッシュカン4の連結部近傍には侵入許容部3gが形成されている。侵入許容部3gは、車室側壁部3bに形成された薄板壁部3iと、中段棚壁部3eに形成された開口部3jを有する。侵入許容部3gは、薄板壁部3iまたは開口部3jのいずれか一方を有するものであってもよい。薄板壁部3iと開口部3jは、押出成形されたバンパレイン3を切削等加工することにより形成されるが、押出成形時に板厚調節により形成してもよい。
次に、クラッシュカン4について説明する。
クラッシュカン4は、長繊維の炭素繊維を強化材とした炭素繊維強化樹脂(CFRP)成形体を例えばRTM法により成形し、図1〜図4に示すように、左側部分が車幅方向外側(左側)に開いた開断面部材として一体形成されている。RTM法とは、炭素繊維のプリフォームを分離可能な成形型のキャビティ内にセットし、このキャビティ内に溶融させた合成樹脂を射出する成形方法である。
クラッシュカン4は、前後に延びる衝撃吸収壁部4aと、この衝撃吸収壁部4aの後端部から左方に折り曲げられた先端壁部4b等を備えている。図8に示すように、衝撃吸収壁部4aは、この衝撃吸収壁部4aの中段部分である縦壁部4cと、この縦壁部4cの上下両端部に夫々連なる傾斜上壁部4d及び傾斜下壁部4eを有し、傾斜上壁部4dはその上端部から上方に延びるフランジ部を有し、傾斜下壁部4eはその下端部から下方に延びるフランジ部を有して、車幅方向外側(左側)に開口する略断面ハット形の開断面部材に形成されている。
傾斜上壁部4d下端部と縦壁部4c上端部が湾曲状に連なり、傾斜下壁部4e上端部と縦壁部4c下端部が湾曲状に連なっている。縦壁部4c中段部分には車幅方向外側(左側)に膨出する膨出部4fが形成されている。このように形成された衝撃吸収壁部4aは、上下方向にコンパクトであると共に前後方向の圧縮荷重による折れ曲がりが発生し難く、衝撃吸収壁部4aの実効的な幅を大きくしてEA量の増大に寄与している。
図2,図3に示すように、衝撃吸収壁部4aは、先端壁部4b側ほど傾斜上壁部4d及び傾斜下壁部4eが小さくなるように形成されている。それ故、衝撃吸収壁部4aは、側面視にて、先端側(後側)ほど上下幅及び左右幅が小さくなるように形成されている。これにより衝撃吸収壁部4aの先端側に圧縮荷重を集中的に作用させることができる。
図2〜図4に示すように、先端壁部4bは、バンパレイン3の車室側壁部3bに沿うように衝撃吸収壁部4aの先端部から折り曲げられ、衝撃吸収壁部4aの先端部に上端部から下端部にわたって前後方向の略全域を閉塞するように形成されている。先端壁部4bでは、衝撃吸収壁部4aからの第1炭素繊維21が先端壁部4bの左端部まで延長されているため、第1炭素繊維21が略一様に左右方向に延びるように配設されている。また、先端壁部4bには、バンパレイン3を装着するために上下1対の取付部が形成されている。そのため、バンパレイン3を介して入力された車両衝突による圧縮荷重は、先端壁部4bによって衝撃吸収壁部4a全域に一様に分散伝達される。
ここで、クラッシュカン4を形成するCFRPについて説明する。
図9に示すように、CFRPに含まれる炭素繊維の大部分に相当する第1炭素繊維21は、CFRP成形体の前端から後端にわたって連続して一様に延びる単繊維(フィラメント)が所定数(例えば12k)束ねられた繊維束(トウ)で構成され、CFRPに含まれる炭素繊維の一部に相当する第2炭素繊維22は、CFRP成形体の上端から下端にわたって連続して一様に延びる単繊維が所定数束ねられた繊維束で構成されている。炭素繊維の単繊維の直径は、例えば7〜10μmである。CFRP成形体の母材23には、熱硬化性エポキシ系合成樹脂が使用されている。
第1炭素繊維21は、衝撃吸収壁部4aの厚さ方向両端部に1層ずつ配置され、それらの内側に第1炭素繊維21に直交する第2炭素繊維22を2層ずつ配置している。そして、左右両第2炭素繊維22の間に複数層の第1炭素繊維21が配置されている。これにより、車両衝突時、厚さ方向両端部に配置された第1炭素繊維21に相当する部分にフロンズ部の機能を持たせると共に、厚さ方向中間部分に配置された第1炭素繊維21に相当する部分にピラー部の機能を持たせている。
それ故、衝撃吸収壁部4aの第1炭素繊維21が延びる方向に圧縮荷重が作用した場合、フロンズ部に相当する第1炭素繊維21部分がピラー部に相当する第1炭素繊維21部分に先行して剥離破壊し、その後、ピラー部に相当する第1炭素繊維21部分が圧縮破壊される。この剥離破壊と圧縮破壊とが、衝撃吸収壁部4aの破断した先端部から逐次前方に進行し、衝撃吸収壁部4aが逐次破壊される。
このように形成されたクラッシュカン4は、車両衝突時、衝撃吸収壁部4aにおいて先端壁部4b側から逐次破壊が生じ、逐次破壊により発生した破片をクラッシュカン4の外部に排出することができるので、クラッシュカン4を潰し切ることができ、EA量が増加する。
次に、クラッシュカン4の組み付け手順について図10に基づいて説明する。
車両側において、リヤサイドフレーム1の後端部に内側ブラケット7を溶接により接合する。次に、この内側ブラケット7にクラッシュカン4の前端側部分の内周側を重ね合わせ、クラッシュカン4の前端側部分の外周側に外側ブラケット8を重ね合わせた状態で、複数のボルト9により締結する。こうして、内側ブラケット7と外側ブラケット8を介してリヤサイドフレーム1とクラッシュカン4を連結する。
次に、バンパレイン3を、クラッシュカン4に連結する。図5に示すように、ボルト穴3fとクラッシュカン4の先端壁部4bの取付部にボルト6を挿通して締結することによりクラッシュカン4とバンパレイン3を連結する。
先端壁部4bの取付部の周辺は、第1炭素繊維21が切断されているため、バンパレイン3の支持強度が低下している。そこで、取付部は、ボルト6と螺合可能なナット部材5を内嵌している。これにより、バンパレイン3の上下1対のボルト穴3fに挿通された1対のボルト6を先端壁部4bに内嵌されたナット部材5に締結することにより、バンパレイン3をクラッシュカン4の先端壁部4bに連結している。
図5に示すように、衝撃吸収壁部4aの車幅方向内側端部(右側端部)で規定される端線と先端壁部4bに取り付けられたバンパレイン3が成す車幅方向内側の交差角は鋭角である。衝撃吸収壁部4aの車幅方向外側端部(傾斜上壁部4dの上端部及び傾斜下壁部4eの下端部)は、平面視において車両の前後方向に沿っている。
次に、本実施例の車両の衝撃吸収構造Cにおける作用、効果について説明する。
衝撃吸収構造Cは、車両衝突時にバンパレイン3から伝達される圧縮荷重を、クラッシュカン4の衝撃吸収壁部4aと先端壁部4bを接続する角部に集中的に作用させて破壊起点を生成することができる。また、角部の破壊により衝撃吸収壁部4aの先端部は、先端壁部4bと破断・分離して侵入許容部3gに侵入可能であり、この破断と侵入によって衝撃エネルギの一部を吸収することができる。
衝撃吸収壁部4aの破断した先端部は、バンパレイン3から伝達される圧縮荷重により侵入許容部3gに衝突し、侵入許容部3gに所定距離侵入した状態で受け止められて移動が規制される。そのため、衝撃吸収壁部4aの姿勢が維持され、バンパレイン3から伝達される圧縮荷重により衝撃吸収壁部4aを破断した先端部から安定的に逐次破壊させて、衝撃エネルギを吸収することができる。逐次破壊により発生する衝撃吸収壁部4aの破片は、衝撃吸収壁部4aの未破壊部分により侵入許容部3gから押し出されて外部に排出されるので、逐次破壊が破片に妨げられることなく衝撃吸収壁部4aを潰し切ることができる。一方、バンパレイン3は受け止めた衝撃吸収壁部4aによって支持されるので、バンパレイン3の落下を防ぐことができる。
侵入許容部3gは、薄板壁部3iを備えているので、圧縮荷重による衝撃吸収壁部4aとの衝突により変形する。そのため、車両衝突時には、侵入許容部3gが先端側壁部3a側に凹入し、衝撃吸収壁部4aの侵入を所定距離許容して受け止めることができる。従って、侵入許容部3gが受け止めた衝撃吸収壁部4aの姿勢を維持して衝撃吸収壁部4aを破断した先端部から安定的に逐次破壊させ、衝撃エネルギを吸収することができる。尚、所定距離は、車室側壁部3bと先端側壁部3aの間の距離を上限とし、侵入許容部3gの大きさや曲げ強度、衝撃吸収壁部4aの圧縮強度等により適宜設定される。
また、侵入許容部3gは、バンパレイン3の中段棚壁部3eに形成された開口部3jを有するので、圧縮荷重による衝撃吸収壁部4aとの衝突により変形する。そのため、車両衝突時には、侵入許容部3gが先端側壁部3a側に凹入し、衝撃吸収壁部4aの侵入を所定距離許容して受け止めることができる。従って、侵入許容部3gが受け止めた衝撃吸収壁部4aの姿勢を維持して衝撃吸収壁部4aを破断した先端部から安定的に逐次破壊させ、衝撃エネルギを吸収することができる。
図7に示すように、衝撃吸収壁部4aが侵入許容部3gの薄板壁部3iを突き抜けて先端側壁部3aに衝突するように構成することも可能である。侵入許容部3gが衝撃吸収壁部4aの姿勢を維持し、先端側壁部3aに衝突した衝撃吸収壁部4aの破断した先端部から逐次破壊が進行する。逐次破壊により発生する衝撃吸収壁部4aの破片はバンパレイン3内に排出されるが、破片を収容する空間が十分確保されているので、破片により逐次破壊を妨げられることなく衝撃吸収壁部4aを潰し切って衝撃エネルギを吸収することができる。
次に、前記実施例を部分的に変更した変形例について説明する。
[1]前記実施例においては、リヤサイドフレーム1に取り付けられるリヤ側のクラッシュカン4に適用した例を説明したが、フロントサイドフレームに取り付けられるフロント側のクラッシュカンに適用することもできる。
[2]前記実施例においては、クラッシュカン4が車幅方向外側に開口した例を説明したが、クラッシュカン4は車幅方向内側に開口していてもよい。この場合、侵入許容部3gはクラッシュカン4の開口の向きに対応して形成される。
[3]前記実施例においては、強化繊維として炭素繊維用いたCFRP製のクラッシュカン4の例を説明したが、ガラス繊維や金属繊維等を用いた強化繊維樹脂でクラッシュカン4を形成しても良い。また、母材樹脂についても、クラッシュカン4の仕様等に応じて適宜選択可能である。
[4]前記実施例においては、第2炭素繊維22が第1炭素繊維21に直交するように配置した例を説明したが、第2炭素繊維22は第1炭素繊維21に対して少なくとも交差すれば良く、例えば第1炭素繊維21に対して30°、或いは45°の交差角をなす第2炭素繊維22を用いることも可能である。
[5]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
1 リヤサイドフレーム
3 バンパレイン
3a 先端側壁部
3b 車室側壁部
3e 中段棚壁部
3g 侵入許容部
3i 薄板壁部
3j 開口部
4 クラッシュカン
4a 衝撃吸収壁部
4b 先端壁部
C 衝撃吸収構造

Claims (5)

  1. 車体前後方向先端部側に配設され且つ前後方向に連続して延びるように配列された複数の強化繊維を含む左右1対の繊維強化樹脂製衝撃吸収部材と、前記1対の衝撃吸収部材の先端部に取り付けられた車幅方向に延びるバンパレインフォースメントとを備えた車両の衝撃吸収構造において、
    前記衝撃吸収部材は、前後方向に延びる衝撃吸収壁部と、前記衝撃吸収壁部に連なり且つ前記バンパレインフォースメントと連結するための先端壁部とを備えた開断面部材に形成され、
    前記バンパレインフォースメントは、少なくとも先端側壁部と車室側壁部を備えた閉断面部材で構成され、
    前記先端壁部と前記車室側壁部を連結する連結部近傍で且つ前記衝撃吸収壁部の先端部に対向した部分には、車両衝突時に前記先端壁部から分離した前記衝撃吸収壁部が侵入可能な侵入許容部を備えていることを特徴とする車両の衝撃吸収構造。
  2. 前記衝撃吸収部材は、前記バンパレインフォースメントから伝達される圧縮荷重により前記先端壁部と前記衝撃吸収壁部を接続する角部が破断し、その後前記バンパレインフォースメントから伝達される圧縮荷重により前記衝撃吸収壁部の破断した先端部から逐次破壊することにより衝撃を吸収するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両の衝撃吸収構造。
  3. 前記侵入許容部は、前記衝撃吸収壁部の侵入を所定距離許容して前記衝撃吸収壁部を受け止めることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の衝撃吸収構造。
  4. 前記侵入許容部は、前記先端側壁部の板厚よりも薄い板厚の薄板壁部であって、前記車室側壁部に形成された薄板壁部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両の衝撃吸収構造。
  5. 前記バンパレインフォースメントは、少なくとも前記先端側壁部と前記車室側壁部とこれらの中段部を接続する中段棚壁部とを含む閉断面部材で構成され、
    前記侵入許容部は、前記中段棚壁部に形成された開口部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の衝撃吸収構造。
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