JP6322852B2 - タイヤまたはタイヤ付ホイールの試験装置 - Google Patents
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Description
下記特許文献1では、ユニフォーミテイ試験および動釣合い試験の両方を実施できる複合試験装置が開示されている。複合試験装置の装置フレームを構成するベースには、スピンドルハウジングが、棒ばねを介して取り付けられている。スピンドルハウジングは、タイヤを保持して回転させるスピンドルを、回転可能に支持している。ベースには、振動規制シリンダによって駆動される押圧部材が設けられ、スピンドルハウジングには、押圧部材を受ける凹部が形成されている。
この発明は、かかる問題を解決するためになされたもので、シンプルな構成でユニフォーミテイ試験および動釣合い試験を行える試験装置を提供することを目的とする。
この試験装置では、回転体(タイヤまたはタイヤ付ホイール)が水平方向に取り付けられた取付装置から垂直下方に延びた回転軸が、保持手段によって振動可能に保持されている。保持手段は、第1の保持フレームと、第2の保持フレームと、第3の保持フレームとを有する。
第1の保持フレームのX方向の振動は、第1のセンサによって検出され、第1の保持フレームのねじり振動は、第2のセンサによって検出され、第2の保持フレームのY方向の振動は、第3のセンサによって検出される。
回転体がY方向の荷重を受けながら回転する状態でユニフォーミテイ試験が行われ、第1、第2および第3のセンサの出力に基づいて回転体のユニフォーミテイが算出される。Y方向へ振動可能な第2の保持フレームと第3の保持フレームとをつなぐ第2のばねは、第1のばねよりも剛性が高いので、ユニフォーミテイ試験中においてY方向に変位せずに、Y方向の荷重を支える。よって、ユニフォーミテイ試験中において、Y方向の所定の荷重が回転体に正確にかかるので、ユニフォーミテイ試験を正確に実施できる。
ちなみに、タイヤやタイヤ付ホイールのユニフォーミティ試験では、タイヤ接地面におけるラジアルフォースバリエーション(RFV)、ラテラルフォースデビエーション(LFD)、ラテラルフォースバリエーション(LFV)、トラクティブフォースバリエーション(TFV)、ステアトルクデビエーション(STD)、ステアトルクバリエーション(STV)という6つの値が主に検査される。RFVは、タイヤの半径方向の力の変動の大きさであり、LFDは、タイヤの厚み方向の力の変動の平均値であり、LFVは、タイヤの幅方向の力の変動の大きさである。TFVは、タイヤの進行方向の力の変動の大きさであり、STDは、操舵トルク(タイヤ接地面の回転トルク)の平均値であり、STVは、操舵トルクの変動の大きさである。
この構成によれば、動電型の振動センサによって、検出対象となる振動を、容易かつ精度よく検出することができる。これに対し、圧電素子やひずみゲージを用いたセンサの場合には、センサにプリロードを正確にかけるための調整が困難であったり、温度や湿度の影響によって検出精度が低下したり、センサの取付誤差に起因して検出精度が不安定になったりする問題がある。しかし、動電型の振動センサでは、このような問題を排除できる。
この構成によれば、検出対象となる振動の振幅が小さくても、振幅拡大装置によって拡大されるので、センサでは、小さな振動も正確に検出できる。
図1は、この発明の一実施形態に係る試験装置1の全体図である。
図1において、図1の紙面に直交する方向をX方向といい、図1の左右方向をY方向といい、図1の上下方向をZ方向という。X方向とY方向とは、水平方向Hに含まれ、互いに直交している。Z方向は、水平方向Hに直交する垂直方向である。
計測装置6は、タイヤ2またはタイヤ付ホイール4(この実施形態ではタイヤ付ホイール4)を保持した状態で、タイヤ付ホイール4のユニフォーミテイや動不釣合いを測定する装置である。負荷装置5は、計測装置6によって保持されたタイヤ付ホイール4にY方向の荷重(接地荷重)を与える装置である。負荷装置5と計測装置6とは、Y方向に並んで配置されている。
負荷装置5は、摺動機構13を含む。摺動機構13は、ガイドレール12の上方で水平方向Hに延びる載置板14と、載置板14の下面に設けられてガイドレール12に上から係合する複数のスライド脚15とを含む。摺動機構13は、載置板14に固定された送りナット16と、送りナット16に組み付けられた送りネジ17と、送りネジ17に連結されたモータ18とをさらに含む。モータ18は、取付部材19によって基台11に固定されている。モータ18が駆動されると、送りネジ17が回転するので、送りナット16が、載置板14を伴って、ガイドレール12に沿ってY方向にスライドする。
計測装置6は、マシンベース10に固定された基台35と、基台35の上端部に固定され、回転軸33を振動可能に保持するための保持手段としての保持フレーム36と、マシンベース10に固定された駆動装置37とをさらに含む。駆動装置37は、モータ38を含み、モータ38の出力軸39は、Z方向に沿って上方へ突出している。出力軸39には、プーリ40が固定されていて、プーリ40と回転軸33のプーリ34とは、ベルト41によって連結されている。モータ38が駆動されて出力軸39が回転すると、出力軸39の回転がベルト41を介して回転軸33に伝達される。これにより、回転軸33が回転するので、タイヤ付ホイール4は、所定の回転速度で回転される。
動釣合い試験を行う場合には、回転ドラム21がタイヤ付ホイール4から離れていて、荷重を受けていない状態のタイヤ付ホイール4が、モータ38によって所定速度で回転駆動される。この状態におけるタイヤ付ホイール4の振動が計測装置6に検出されることによって、動釣合い試験が実施される。
図2は、保持フレーム36を上方から見た斜視図である。図3は、保持フレーム36の平面図である。
主に図2を参照して、保持フレーム36は、第1の保持フレーム51と、第2の保持フレーム52と、第3の保持フレーム53とを有する。第1の保持フレーム51、第2の保持フレーム52および第3の保持フレーム53のそれぞれは、Z方向から見た平面視において、X方向に沿う二辺とY方向に沿う二辺とを有する四角形状である。
第2のばね56が、X方向における第2の保持フレーム52の両側に同数ずつ(この実施形態では2つずつ)配置されている。それぞれの第2のばね56は、第2の保持フレーム52および第3の保持フレーム53においてX方向の同じ側の端部同士の間に架設されている。それぞれの第2のばね56は、Z方向に延びる板ばねであり、主にY方向に撓むことができる。そのため、第3の保持フレーム53は、第2のばね56を介して、第2の保持フレーム52を、Y方向へ振動可能に保持している。
計測装置6は、第3の保持フレーム53に固定された第1のセンサ61、第2のセンサ62および第3のセンサ63を含む。
このように、第1のセンサ61、第2のセンサ62および第3のセンサ63のそれぞれは、回転軸33が振動できる3つの方向のいずれかの振動を独立して検出する。そのため、第1のセンサ61、第2のセンサ62および第3のセンサ63のそれぞれの検出結果は、他の方向の振動の影響を受けにくいので、高精度の検出結果を得られる。
ユニフォーミテイ試験において、演算装置70は、第1のセンサ61、第2のセンサ62および第3のセンサ63の出力に基づいて、タイヤ付ホイール4のユニフォーミテイを算出する。ユニフォーミテイの算出方法は、公知なので、その説明を省略する。
動釣合い試験中において、動不釣合いによる第1の保持フレーム51の振動が小さくても、X方向のばね定数が小さい第1のばね54は、X方向に大きく振動したり、大きくねじり振動したりする。そのため、第1の保持フレーム51の振動は、第1のセンサ61および第2のセンサ62によって高精度に検出される。
振幅拡大装置74は、ケース部75と、スプリング76と、ロッド77と、ビーム78とを含む。なお、以下では、前述したX〜Z方向を用いて各部品を説明する。
図5を参照して、ケース部75は、X方向に扁平なボックス状であり、その上端部においてY方向における一方側には、上方へ延びる一対の支持部80が、X方向に間隔を隔てて形成されている。それぞれの支持部80の上端面には、複数(ここでは2つ)のねじ穴81がY方向に並んで形成されている。ケース部75の上端面において支持部80に対してY方向から並ぶ領域には、ケース部75の内部空間を上方へ露出させる開口82が形成されている。ケース部75において、Y方向で支持部80とは反対側の側壁75Aには、ケース部75の内部空間にY方向から連通する貫通穴83が形成されている。ケース部75において、X方向における両側の側壁75Bには、ケース部75の内部空間をX方向に露出させる開口84が形成されている。
第1スプリング85は、Z方向に薄い板ばねで構成され、平面視でY方向に長手の長方形状である。第1スプリング85では、Y方向における一方側端部が基端部85Aであり、Y方向における他方側端部が遊端部85Bである。第1スプリング85において基端部85Aと遊端部85Bとの間の中間領域には、当該中間領域をZ方向に貫通する開口85Cが形成されている。基端部85Aには、Y方向に延びて基端部85AをX方向に二分するスリット85Dが形成されている。スリット85Dは、開口85Cにつながっている。第1スプリング85をZ方向に貫通する挿通穴85Eが、基端部85Aでは、X方向におけるスリット85Dの両側に2つずつY方向に並んで形成され、遊端部85Bでは、X方向およびY方向のそれぞれに2つずつ並ぶように合計4つ形成されている。
ビーム78は、ロッド77の他端部から下方へ延びるレバーである。ビーム78において、上端部が一端部78Aであり、下端部が他端部78Bである。一端部78Aの上端面には、ねじ穴78Cが、X方向およびY方向のそれぞれに2つずつ並ぶように合計4つ形成されている。他端部78Bには、他端部78BをY方向に貫通する連結穴78Dが形成されている。ビーム78において一端部78Aと他端部78Bとの間には、肉抜き穴78Eが形成されてもよい。
振幅拡大装置74の組み立て手順の一例として、まず、完成したスプリング76における第2スプリング86の遊端部86Bをビーム78の上端面に載せて、第1スプリング85の遊端部85Bと第2スプリング86の遊端部86Bとの間にスペーサ91を差し込む。そして、第1スプリング85の遊端部85Bの上にスペーサ92を載せる。この状態では、スペーサ91およびスペーサ92の貫通穴95と、第1スプリング85の遊端部85Bの挿通穴85Eと、第2スプリング86の遊端部86Bの挿通穴86Dと、ビーム78の上端面のねじ穴78Cとが、1つずつZ方向に連続している。これらの穴に上方からボルト96を挿入してねじ穴78Cに1つずつ組み付けると、第1スプリング85の遊端部85Bと第2スプリング86の遊端部86B(つまり、スプリング76の遊端部76A)がビーム78の一端部78Aに連結される。
その後、第1スプリング85の基端部85Aを支持部80の上端面に載せて、第1スプリング85の基端部85Aと第2スプリング86の基端部86Aとの間にスペーサ93を差し込む。そして、第2スプリング86の基端部86Aの上にスペーサ94を載せる。この状態では、スペーサ93およびスペーサ94の貫通穴95と、第1スプリング85の基端部85Aの挿通穴85Eと、第2スプリング86の基端部86Aの挿通穴86Dと、支持部80の上端面のねじ穴81が、1つずつZ方向に連続している。これらの穴に上方からボルト96を挿入してねじ穴81に1つずつ組み付けると、第1スプリング85の基端部85Aと第2スプリング86の基端部86A(つまり、スプリング76において遊端部76Aとは反対側の基端部76B)が支持部80の上端面に固定される。この状態は、図4に示される。
ロッド77には、検出対象となる第2の保持フレーム52の振動が直接伝達される。これにより、ロッド77は、主にY方向に振動する。ロッド77の振動は、ビーム78の一端部78Aに伝達され、ビーム78は、支点Cを基準として振動する。支点Cの位置がスプリング76の途中にあって固定されていないので、第2の保持フレーム52からロッド77にY方向以外から様々な力が入力されても、支点Cが弾性的にずれることによって、この力が適宜吸収される。これにより、ロッド77が受ける負担を減らすことができる。
もちろん、振幅拡大装置74は、第3のセンサ63だけに限らず、第1のセンサ61や第2のセンサ62に取り付けられてもよい。第1のセンサ61や第2のセンサ62に取り付けられる際の振幅拡大装置74の姿勢は、適宜変更される。
たとえば、前述した実施形態では、試験装置1は、タイヤ付ホイール4のユニフォーミテイ試験および動釣合い試験を行う。これに代え、ホイール3に相当する構成を取付装置32に予め設けることによって、試験装置1において、タイヤ2を単体で取付装置32に水平方向Hに取り付けて、タイヤ2の単体についてのユニフォーミテイ試験および動釣合い試験を行えるようにしてもよい。
また、図2を参照して、第1の保持フレーム51は、X方向へ振動したり、Y方向に延びる軸まわりにねじれ振動したりするだけでなく、X方向に延びる軸まわりにねじれ振動できてもよい。この場合、第1の保持フレーム51によって保持された回転軸33と、回転軸33の上端の取付装置32に取り付けられたタイヤ付ホイール4(図1参照)とは、X方向およびY方向と、X方向に延びる軸まわりのねじれ方向Mと、Y方向に延びる軸まわりのねじれ方向Nという合計4つの方向に振動可能である。計測装置6は、ねじれ方向Nにおける第1の保持フレーム51のねじり振動を検出する第2のセンサ62の他に、ねじれ方向Mにおける第1の保持フレーム51のねじり振動を検出する第2のセンサ98(図3参照)も含む。
また、第2のセンサ98は、第2のセンサ62と同様の構成であってもよいので、たとえば、振幅拡大装置74が取り付けられたり、動電型の振動センサを含んだりしてもよい。
2 タイヤ
4 タイヤ付ホイール
5 負荷装置
32 取付装置
33 回転軸
36 保持フレーム
51 第1の保持フレーム
52 第2の保持フレーム
53 第3の保持フレーム
54 第1のばね
56 第2のばね
61 第1のセンサ
62 第2のセンサ
63 第3のセンサ
70 演算装置
74 振幅拡大装置
75 ケース部
76 スプリング
76A 遊端部
76B 基端部
77 ロッド
78 ビーム
78A 一端部
78B 他端部
97 検出部
98 第2のセンサ
C 支点
H 水平方向
L1 第1の距離
L2 第2の距離
X X方向
Y Y方向
Z Z方向
Claims (4)
- タイヤまたはタイヤ付ホイールを水平方向に取り付けるための取付装置と、前記取付装置から垂直下方に延びた回転軸と、前記回転軸を振動可能に保持するための保持手段とを含み、
前記保持手段は、
前記回転軸を垂直方向に保った状態で保持する第1の保持フレームと、
第1のばねを介して、前記第1の保持フレームを、水平なX方向へ振動可能に保持する第2の保持フレームと、
前記X方向と直交する水平なY方向の剛性が前記第1のばねよりも高い第2のばねを介して、前記第2の保持フレームを、前記Y方向へ振動可能に保持する第3の保持フレームとを有し、
前記取付装置に取り付けられたタイヤを、荷重を受けずに回転する状態と、前記Y方向の荷重を受けながら回転する状態とに切り換え可能な負荷装置と、
前記第1の保持フレームの前記X方向の振動を検出する第1のセンサと、
前記第1の保持フレームのねじり振動を検出する第2のセンサと、
前記第2の保持フレームの前記Y方向の振動を検出する第3のセンサと、
前記第1、第2および第3のセンサの出力に基づいて、タイヤまたはタイヤ付ホイールのユニフォーミテイおよび動不釣合いを算出する手段とを含むことを特徴とする、タイヤまたはタイヤ付ホイールの試験装置。 - 前記第1、第2および第3のセンサの少なくともいずれかは、動電型の振動センサを含むことを特徴とする、請求項1記載のタイヤまたはタイヤ付ホイールの試験装置。
- 前記第1、第2および第3のセンサの少なくともいずれかのセンサに取り付けられ、検出対象となる振動の振幅を拡大させる振幅拡大装置を含むことを特徴とする、請求項2記載のタイヤまたはタイヤ付ホイールの試験装置。
- 前記振幅拡大装置は、
前記第1、第2および第3のセンサにおけるいずれかのセンサが取り付けられるケース部と、
前記ケース部に固定された基端部と、前記基端部とは反対側の遊端部とを有するスプリングと、
前記ケース部に非接触であり、検出対象となる振動が直接伝達されるロッドと、
前記スプリングの遊端部および前記ロッドのそれぞれが連結される一端部と、前記いずれかのセンサにおいて前記ロッドと平行に延びる検出部が連結される他端部とを有し、前記スプリングにおける所定位置を支点として振動可能なビームとを含み、
前記ロッドに伝達された振動は、前記ロッドに直交する方向における前記支点から前記ロッドまでの第1の距離と、前記検出部に直交する方向における前記支点から前記検出部までの第2の距離との比に応じて拡大されてから前記検出部に伝達されることを特徴とする、請求項3記載のタイヤまたはタイヤ付ホイールの試験装置。
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