JP6322080B2 - 分散剤、それを用いた微粒子分散体および微粒子分散体の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)親油性ポリマーから構成されるポリマーユニットに、トリアゾレン基を介して、カルボキシル基を含有する有機基から構成される親水性ユニットが結合された構造のポリマー誘導体を分散剤として用いること、
(2)無機微粒子を分散させる工程中で、前記ポリマー誘導体を合成すること、によって、前記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。則ち、本発明によれば、以下に示す分散剤等が提供される。
本発明によれば、無機微粒子を分散させるための分散剤であって、下記一般式(1)で示される親油性ポリマー(1)から構成されるポリマーユニットと、下記一般式(2)で示される親水性基(2)から構成される親水性ユニットと、前記ポリマーユニットと前記親水性ユニットとを結合させるトリアゾレン基と、を有するポリマー誘導体を含有することを特徴とする分散剤;が提供される。
[一般式(1)中、R1及びR2は相互に独立して水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、mは10〜500の整数を示す。]
[一般式(2)中、nは相互に独立して1〜5の整数を示す。]
前記トリアゾレン基が、下記構造式(3)で示されるトリアゾレン基(3)であること;
前記ポリマー誘導体が、下記一般式(4)で示されるポリマー誘導体(4)であること;が好ましい。
[一般式(4)中、R1、R2及びmは一般式(1)と同義であり、nは一般式(2)と同義である。]
また、本発明によれば、無機微粒子と、前記無機微粒子を分散させるための分散剤と、を含有する微粒子分散体であって、前記分散剤が、前記[1]に記載の分散剤であることを特徴とする微粒子分散体;が提供される。
さらに、本発明によれば、無機微粒子と、前記無機微粒子を分散させるための分散剤と、を含有する微粒子分散体の製造方法であって、無機微粒子と、下記一般式(5)で示されるアジド化合物(5)とを混合し、混合物を得る工程Iと、前記混合物と、下記一般式(1)で示される親油性ポリマー(1)に、アルキニル基が導入されたアルキニル基含有親油性ポリマーと、を反応させることにより、ポリマー誘導体を得る工程IIと、を備えた微粒子分散体の製造方法;が提供される。
[一般式(5)中、nは相互に独立して1〜5の整数を示す。]
[一般式(1)中、R1及びR2は相互に独立して水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、mは10〜500の整数を示す。]
本発明の分散剤は、無機微粒子を分散させるための分散剤である。本発明の分散剤は、ポリマーユニットと、親水性ユニットと、前記ポリマーユニットと前記親水性ユニットとを結合させるトリアゾレン基と、を有するポリマー誘導体を含有することを特徴とする。
ポリマーユニットは、分散剤の疎水性基として機能する部分であり、親油性ポリマーから構成される。
一般に、親油性ポリマーとしては、水に対する親和性が低く、水に不溶であるか、又は水と容易に混ざらない性質を有するポリマー、例えば、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル等を挙げることができる。但し、本発明において、ポリマーユニットは、下記一般式(1)で示される親油性ポリマー(1)から構成される。
親油性ポリマー(1)は、スチレン系モノマー(芳香族ビニル化合物等)の1種を単独重合させるか、2種以上を共重合させることにより得られる。
スチレン系モノマーの種類は特に限定されないが、例えば、スチレン、アルキルスチレン、ジ−アルキルスチレン等を挙げることができる。
親油性ポリマー(1)は、例えば、ラジカル重合法、アニオン重合法;原子移動ラジカル重合法(Atom transfer radical polymerization:ATRP)、可逆的付加開裂連鎖移動重合法(Reversible Addition-Fragmentation Chain Transfer polymerization:RAFT)等のリビングラジカル重合法;等の重合法により合成することができる。但し、本発明においては、親油性ポリマー(1)をリビングラジカル重合法、特にATRP法により合成することが好ましい。ATRP法は、他の重合法と比較して、分子鎖長(分子量)をより均一に揃えることができ、ポリマー末端にアルキニル基を導入することができる点において好ましい。このアルキニル基は、親油性ユニットと、親水性ユニットを結合させる際の反応点となる。
重合開始剤の種類は特に限定されず、従来公知の重合開始剤の中から原料の種類等に合わせて適宜選択すればよい。但し、リビングラジカル重合法によって、親油性ポリマー(1)を合成する場合には、末端にアルキニル基を有する重合開始剤を用いることが好ましい。末端にアルキニル基を有する重合開始剤としては、例えば、プロパルギル−2−ブロモイソブチラート等を挙げることができる。重合開始剤の使用量は特に限定されず、モノマーの仕込量や、得ようとするポリマーの分子量に合わせて適宜調整すればよい。
親油性ポリマー(1)を合成する際には、従来公知の重合触媒を用いてもよい。但し、リビングラジカル重合法によって、親油性ポリマーを合成する場合には、反応性が高い重合触媒を用いることが好ましい。反応性が高い重合触媒としては、例えば、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)等の銅触媒;等を挙げることができる。
親油性ポリマー(1)を合成する際には、重合触媒の活性を向上させる目的で、重合触媒とリガンド(配位子)を併用することが好ましい。リガンドの種類は特に限定されないが、例えば、ペンタメチルジエチレントリアミンを挙げることができる。
親油性ポリマー(1)を合成する際には、重合溶媒を用いることが一般的である。重合溶媒の種類は特に限定されない。モノマーや重合触媒をよく溶解し、重合反応に悪影響を及ぼさず、重合反応の後、未反応のモノマーや重合触媒を分離、除去し易いものを適宜選択して用いればよい。
合成された親油性ポリマー(1)は、精製することが好ましい。精製方法は特に限定されないが、例えば、透析法と分液抽出法を併用した精製方法が好ましい。透析法と分液抽出法を併用することにより、未反応のモノマー、重合触媒(銅触媒等の金属触媒)、及びリガンド等を効率的に除去することができる。
親水性ユニットは、分散剤の親水性基として機能する部分であり、親水性基から構成される。
一般に、親水性基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の極性基を挙げることができる。但し、本発明において、親水性ユニットは、下記一般式(2)で示される親水性基(2)から構成される。親水性基(2)は、1価の分岐状炭化水素基に複数のカルボキシル基が結合された構造の基であり、より具体的には1価の分岐状炭化水素基の分岐鎖の各末端に、各1個のカルボキシル基が結合された構造の基である。この複数のカルボキシル基が無機微粒子の表面に対して高い吸着性を示す。
本発明において、親水性基(2)を有する化合物として好ましいのは、後述する一般式(5)で示されるアジド化合物(5)である。アジド化合物(5)は、3本の分岐鎖のメチレン基の数nが異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
トリアゾレン基は、前記ポリマーユニットと前記親水性ユニットとを結合させる基である。トリアゾレン基とは、トリアゾール環から水素原子を2個取り除いた構造の2価の基であり、具体的な構造は特に限定されない。但し、下記構造式(3)で示されるトリアゾレン基(3)、則ち、1,2,3−トリアゾール環構造を有するトリアゾレン基が好ましい。
ポリマー誘導体は、ポリマーユニットと、親水性ユニットと、前記ポリマーユニットと前記親水性ユニットとを結合させるトリアゾレン基と、を有する。例えば、前記一般式(1)で示される親油性ポリマー(1)から構成されるポリマーユニットと、前記一般式(2)で示される親水性基(2)から構成される親水性ユニットと、前記構造式(3)で示されるトリアゾレン基と、を有するポリマー誘導体を挙げることができる。
微粒子分散体は、無機微粒子と、前記無機微粒子を分散させるための分散剤と、を含有する。そして、本発明の微粒子分散体は、前記分散剤が、本発明の分散剤であることを特徴とする。本発明の微粒子分散剤は、本発明の分散剤を含有するため、無機微粒子の分散安定性に優れており、しかも分散体中にフリーな分散体が極めて少ない。従って、例えば発光素子の封止材料等の特性に悪影響を及ぼすことがない。
[2−1−1]材質:
無機微粒子は、無機材料からなる微粒子である。無機材料の種類は特に限定されないが、金属酸化物であることが好ましい。特に光学材料として用いる場合には、透明性及び屈折率が高い酸化インジウムスズ(ITO)、ジルコニア等であることが好ましい。
無機微粒子の平均粒子径は特に限定されないが、100nm以下であることが好ましい。無機微粒子の平均粒子径を100nm以下、好ましくは50nm以下とすることで、微粒子の表面における散乱、ひいては光学材料としての機能が損なわれる不具合を抑制することができる。一方、無機微粒子の平均粒子径は、5nm以上であることが好ましい。無機微粒子の平均粒子径を5nm以上とすることで、調製されるスラリーの粘度が増加することを防止し、前記スラリーのハンドリング性が低下することを抑制することができる。なお、本明細書において、無機微粒子の平均粒子径というときは、動的光散乱式の粒度分布測定装置を用いて測定した値を意味するものとする。
無機微粒子の含有量は特に限定されないが、微粒子分散体の全質量に対して1〜20質量%であることが好ましい。無機微粒子の含有量を1質量%以上、好ましくは8質量%以上とすることにより、過剰の分散媒を留去する時間を短縮することができ、製造コストを低廉化することができる。一方、無機微粒子の含有量を20質量%以下、好ましくは13質量%以下とすることで、無機微粒子同士の凝集を抑制することができ、製品寿命を長くすることができ、微粒子分散体を用いて成膜した封止材料にムラが生じる等の不具合を防止することができる。
分散剤としては、既に説明した本発明の分散剤を用いる。分散剤の含有量は特に限定されないが、微粒子分散体の全質量に対して0.01〜30質量%であることが好ましい。分散剤の含有量を0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上とすることにより、無機微粒子の分散性を良好なものとすることができる。一方、分散剤の含有量を30質量%以下、好ましくは5質量%以下とすることで、透明性が低下する等の不具合を防止することができる。
分散媒の種類は特に限定されないが、例えば、微粒子分散体を封止材料を成膜する際の塗工液として使用する場合には、添加剤であるバインダーの溶解性、基板に対する濡れ性、レベリング性等が良好な有機溶媒を選択することが好ましい。このような有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等の直鎖状アルコール;2−エチル−ブタノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール等の分岐状アルコール;エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル;等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
微粒子分散体には、必要に応じて、バインダー、粘度調整剤、pH調整剤等の各種添加剤を添加してもよい。
本発明の微粒子分散体の製造方法は、微粒子無機微粒子と、前記無機微粒子を分散させるための分散剤と、を含有する微粒子分散体の製造方法であり、以下に説明する工程Iと工程IIを備える。
アジド化合物(5)は、分岐状炭化水素基の分岐鎖の各末端に結合された、複数のカルボキシル基と、アジド基を有する。複数のカルボキシル基は、無機微粒子の表面に強固に吸着する性質を有し、アジド基は後述するアルキニル基含有親油性ポリマーのアルキニル基との反応点となる。
アジド化合物(5)は、従来公知の方法により合成することが可能である。例えば、以下に説明するようなスキームで合成することができる。
まず、反応式(8)に示すように、一般式(9)で示されるヒドロキシカルボン酸(9)の水酸基を塩基性条件下でトリフラート化し、一般式(10)で示されるトリフラート(10)を得る。トリフラート化剤としてはメタンスルホン酸無水物を用いることができる。反応溶媒としては、塩基触媒の効果も有するピリジンを用いることが好ましい。
次に、反応式(11)に示すように、トリフラート(10)のカルボキシル基をt−ブチル化(エステル化)して、一般式(12)で示されるt−ブチルエステル(12)とする。具体的には、t−ブチルアルコール溶媒中に、トリフラート(10)、DCC(N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、脱水縮合剤)、及びDMAP(N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、求核剤・強塩基)を加え、室温条件下で攪拌することにより、反応を進行させることができる。
更に、反応式(13)に示すように、t−ブチルエステル(12)のトリフリル基にアジ化ナトリウムを作用させることにより、アジド化を行い、一般式(14)で示されるアジド体(14)を得る。反応溶媒としては、DMFを用いることができる。
最後に、反応式(15)に示すように、アジド体(14)を加水分解することにより、t−ブチル基を脱離させ、アジド化合物(5)を得る。反応溶媒としてはジオキサンを用いることができる。また、加水分解を速やかに進行させるため、触媒量の塩酸を添加した状態で反応を行うことが好ましい。
工程IIは、工程Iで得られた混合物と、下記一般式(1)で示される親油性ポリマー(1)に、アルキニル基が導入されたアルキニル基含有親油性ポリマーと、を反応させることにより、ポリマー誘導体を得る工程である。無機微粒子の表面に強固に吸着されたアジド化合物(5)に対して、アルキニル基含有親油性ポリマーを反応させて、分散剤となるポリマー誘導体を合成することにより、フリーな高分子分散剤の含有量が極めて少ない微粒子分散体を製造することができる。
[一般式(1)中、R1及びR2は相互に独立して水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、mは10〜500の整数を示す。]
アルキニル基含有ポリマーは、前記一般式(1)で示される親油性ポリマー(1)に導入されたアルキニル基を有する。アルキニル基は、アジド化合物(5)のアジド基と選択的に付加環化反応(クリック反応)を起こし、1,2,3−トリアゾール環を形成する。この反応により、ポリマーユニットと親水性ユニットとが、トリアゾレン基を介して直接的に、又は間接的に結合された構造のポリマー誘導体を得ることができる。
工程IIの反応条件は特に限定されないが、前記混合物と、前記アルキニル基含有親油性ポリマーとを、せん断力を加えながら反応させることが好ましい。例えば、分散媒となる有機溶媒中に、アジド化合物(5)、クリック反応の反応触媒及びリガンド、並びに無機微粒子を加え、分散機器によりせん断力をかけながら、ポリマー(6)を加える。このような方法により、無機微粒子の表面に強固に吸着されたアジド化合物(5)に、ポリマー(6)を反応させることができる。
アジド化合物(5)の量は、微粒子分散体における分散剤(則ち、ポリマー誘導体(4))の含有量を想定して定めればよい。既に説明したように、微粒子分散体における分散剤の含有量は、微粒子分散体の全質量に対して0.01〜30質量%の範囲内であることが好ましいから、アジド化合物(5)の量は、この範囲内の量のポリマー誘導体(4)を合成するのに必要な量に応じて定めればよい。
クリック反応の反応触媒としては、リビングラジカル重合法の重合触媒と同様のものを用いることができる。反応触媒としては、例えば、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)等の銅触媒;等を挙げることができる。使用量は特に限定されないが、アジド化合物1質量部に対する銅触媒の使用量を0.0001〜1質量部とすることが好ましく、0.0005〜0.005質量部とすることが更に好ましい。
クリック反応のリガンドとしては、例えば、トリス[(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル]アミン(以下、「TBTA」と記す場合がある。)等が使用できる。リガンドの使用量は特に限定されないが、反応触媒1質量部に対し0.1〜50質量部とすることが好ましい。リガンドを0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上とすることで、クリック反応を効率よく進行させることができる。一方、リガンドを50質量部以下、好ましくは10質量部以下とすることで、透明性が低下する等、微粒子分散体を用いて形成された膜の不具合を防止することができる。
分散機器の種類は特に限定されないが、例えばビーズミル、ボールミル、スターバースト、ホモジナイザー等を挙げることができる。但し、せん断応力が高く、微粒子分散体の粒度を所望の粒度とすることができる等の理由から、ビーズミルが特に好ましい。
反応の後、未反応のアジド化合物(5)を分離除去するために精製を行ってもよい。精製方法は特に限定されないが、例えば、透析等の精製方法が好ましい。本発明の製造方法においては、無機微粒子に吸着され、活性化されたアジド化合物(5)を反応させるため、無機微粒子に吸着されていない結合していない遊離の分散剤が殆ど存在しない。また、アルキニル基含有ポリマーの添加量を、プレ実験によって求めた最大添加量以下とすることにより、未反応のアルキニル基含有ポリマーを殆ど存在しないようにすることもできる。従って、無機微粒子を分散させた後であっても精製を行うことができる。
(合成例1)
アジド化合物として、4−アジド−4−カルボキシエチルヘプタン二酸を合成した。
下記反応式(17)に示すように、3−ヒドロキシ−3−カルボキシメチルペンタン二酸(以下、「ヒドロキシカルボン酸(18)」と記す。)の分岐鎖の伸長(増炭反応)を行った。
3−ヒドロキシ−3−カルボキシメチルペンタン二酸をヒドロキシカルボン酸(9a)としたこと以外は、合成例1と同様にして、下記構造式(5b)で示される5−アジド−5−カルボキシプロピルノナン二酸(以下、「アジド化合物(5b)と記す。n=3)を得た。
3−ヒドロキシ−3−カルボキシメチルペンタン二酸をヒドロキシカルボン酸(9a)とし、増炭反応を3回繰り返したこと以外は、合成例1と同様にして、下記構造式(5c)で示される7−アジド−7−カルボキシペンチルトリデカン二酸(以下、「アジド化合物(5c)」と記す。n=5)を得た。
3−ヒドロキシ−3−カルボキシメチルペンタン二酸をトリカルボキシルメタノールとし、増炭反応を行わない以外は、合成例1と同様にして、下記構造式(5d)で示されるアジドトリカルボキシメタン(以下、「アジド化合物(5d)」と記す。n=0)を得た。
(合成例5)
下記反応式(19)に示すように、アルキニル基含有親油性ポリマーとして、ポリ−p−メチルスチレンに、アルキニル基が導入されたホモポリマー(6a)を合成した。
重合反応の時間を短縮したこと以外は合成例5と同様にして、合成反応及び再沈を行い、ホモポリマー(6b)を合成した。得られたホモポリマー(6b)を、前記高速GPC装置により分析したところ、重量平均分子量(Mw)は1,900であり、重量平均分子量から算出されたホモポリマー(6b)の繰返し単位数mは15であった。
重合反応の時間を延長したこと以外は合成例5と同様にして、合成反応及び再沈を行い、ホモポリマー(6c)を合成した。得られたホモポリマー(6c)を、前記高速GPC装置により分析したところ、重量平均分子量(Mw)は58,200であり、重量平均分子量から算出されたホモポリマー(6c)の繰返し単位数mは492であった。
重合反応の時間を短縮したこと以外は合成例5と同様にして、合成反応及び再沈を行い、ホモポリマー(6d)を合成した。得られたホモポリマー(6d)を、前記高速GPC装置により分析したところ、重量平均分子量(Mw)は1,100であり、重量平均分子量から算出されたホモポリマー(6d)の繰返し単位数mは8であった。
重合反応の時間を延長したこと以外は合成例5と同様にして、合成反応及び再沈を行い、ホモポリマー(6e)を合成した。得られたホモポリマー(6e)を、前記高速GPC装置により分析したところ、重量平均分子量(Mw)は66,000であり、重量平均分子量から算出されたホモポリマー(6e)の繰返し単位数mは558であった。
下記反応式(22)に示すように、アルキニル基含有親油性ポリマーとして、ポリ−o,p−ジメチルスチレンに、アルキニル基が導入されたホモポリマー(6f)を合成した。p−メチルスチレン85部をo,p−ジメチルスチレン(23)85部に変更した以外は、合成例5と同様にしてホモポリマー(6f)を得た。得られたホモポリマー(6f)を、前記高速GPC装置により分析したところ、重量平均分子量(Mw)は11,100であり、重量平均分子量から算出されたホモポリマー(6f)の繰返し単位数mは83であった。
下記反応式(24)に示すように、アルキニル基含有親油性ポリマーとして、ポリ−m−メチルスチレンに、アルキニル基が導入されたホモポリマー(6g)を合成した。p−メチルスチレン85部をm−メチルスチレン(25)85部に変更した以外は、合成例5と同様にして、ホモポリマー(6g)を得た。得られたホモポリマー(6g)を、前記高速GPC装置により分析したところ、重量平均分子量(Mw)は8,500であり、重量平均分子量から算出されたホモポリマーの繰返し単位数mは71であった。
下記反応式(26)に示すように、アルキニル基含有親油性ポリマーとして、ポリ−p−ヘキシルスチレンに、アルキニル基が導入されたホモポリマー(6h)を合成した。p−メチルスチレン85部をp−ヘキシルスチレン(27)85部に変更した以外は、合成例5と同様にして、ホモポリマー(6h)を得た。得られたホモポリマー(6h)を、前記高速GPC装置により分析したところ、重量平均分子量(Mw)は15,500であり、重量平均分子量から算出されたホモポリマー(6h)の繰返し単位数mは86であった。
(実施例1)
トルエン(分散媒)130gに対し、合成例1のアジド化合物(5a)1g、ITO粉末30g、塩化銅(I)(重合触媒)0.001g、TBTA(リガンド)0.005g、及び合成例5のホモポリマー(6a)2gを加え、これらをジルコニアビーズ(粒径0.050mm)500gが入っているビーズミルに投入した。ITO粉末としては、1次粒子径が20nmのITO粉末(商品名「ITO−R」、CIKナノテック製)を用いた。ホモポリマー(6a)の量はプレ実験により求めた。
微粒子分散体については、以下に示す方法によりフリーポリマーの量と、無機微粒子の分散性について評価した。
微粒子分散体を、14,100rpm、3時間の条件で遠心分離して上澄み液を得、ハロゲン水分計を用い、200℃の条件で、前記上澄み液の固形分量を測定した。この固形分量をフリーポリマーの量とし、下記の評価基準により評価した。下記評価基準において、A〜Cの場合を良好、D又はEの場合、不良とした。その結果を表1に示す。なお、遠心分離器としては、商品名「MiniSpin plus」(エッペンドルフ製)を用いた。また、ハロゲン水分計としては、商品名「HB43」(メトラー・トレド製)を用いた。
A:N.D.(検出されず)
B:1質量%以下
C:1質量%超、2質量%以下
D:2質量%超、5質量%以下
E:5質量%超
微粒子分散体について粒度分布を測定し、測定されたメディアン径(D50[nm])を分散性の指標とし、下記の評価基準により評価した。その結果を表1に示す。なお、粒度分布の測定は、動的光散乱式のナノトラック粒度分析計(商品名「UPA−EX250」、日機装製)を用いて行った。下記評価基準において、A〜Cの場合を良好、D又はEの場合、不良とした。その結果を表1に示す。
A:D50が30nm以下
B:D50が30nm超、40nm以下
C:D50が40nm超、50nm以下
D:D50が50nm超、100nm以下
E:D50が100nm超
アジド化合物とアルキニル基含有親油性ポリマーの種類を表1に記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして微粒子分散体を得た。これらの微粒子分散体の内容および評価を表1に、得られた微粒子分散体の組成を表2又は表3に示す。
比較例5においては、無機微粒子を添加しない状態で、アジド化合物と、ホモポリマーの反応(クリック反応)を試みた。具体的には、トルエン(分散媒)130gに対し、合成例2のアジド化合物(5b)1g、塩化銅(I)(重合触媒)0.001g、TBTA(リガンド)0.005g、及び合成例5のホモポリマー(6a)2gを加え室温(25℃)で攪拌することにより、アジド化合物と、ホモポリマーの反応を試みた。この反応においては、反応液をサンプリングし、スライドガラスの上で加熱乾燥させ、乾燥させた残渣をFT−IRで分析することにより反応追跡を行った。その結果、ホモポリマー(6a)のアルキニル基に帰属されるピークの消失が確認されなかったため、アジド化合物と、ホモポリマーの反応は進行していないと判断した。これは、無機微粒子を添加しない状態で、アジド化合物と、ホモポリマーの反応を行ったため、アジド化合物(5b)のアジド基が活性化されず、アルキニル基含有親油性ポリマー(ホモポリマー(6a))のアルキニル基と反応することができなかったためと考えられる。この微粒子分散体の内容および評価を表1に示す。
トルエン(分散媒)130gに対し、市販の分散剤6g、及びITO粉末30gを加え、これらをジルコニアビーズ(粒径0.050mm)500gが入っているビーズミルに投入した。ITO粉末としては、一次粒子径が20nmのITO粉末(商品名「ITO−R」、CIKナノテック製)を用いた。市販の分散剤としては、カチオン系吸着基を有する湿潤分散剤(商品名「DYSPERBYK−160」、ビッグケミー・ジャパン製)を用いた。
市販の分散剤として、変性アクリル系ブロック共重合物からなる高分子量タイプの湿潤分散剤(商品名「DYSPERBYK−2000」、ビッグケミー・ジャパン製)を用いたこと以外は、比較例6と同様にして、微粒子分散体を得た。この微粒子分散体の内容および評価を表1に、得られた微粒子分散体の組成を表3に示す。
実施例1〜7の微粒子分散体は、フリーポリマーの量、無機微粒子の分散性とも良好な結果を示した。比較例1〜7の微粒子分散体は、フリーポリマーの量と、無機微粒子の分散性のいずれか一方又は双方が不良であった。比較例2〜4の微粒子分散体は、フリーポリマーの量については良好な結果を示したが、無機微粒子の分散性が不良であった。比較例5の微粒子分散体は分散剤のみでの合成が不可能であったため、フリーポリマーの量、無機微粒子の分散性とも評価することができなかった。比較例6の微粒子分散体は、無機微粒子の分散性については良好な結果を示したが、フリーポリマーの量が不良であった。
Claims (7)
- 無機微粒子と、前記無機微粒子を分散させるための分散剤と、を含有する微粒子分散体であって、
前記分散剤が、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の分散剤であることを特徴とする微粒子分散体。 - 前記混合物と、前記アルキニル基含有親油性ポリマーとを、せん断力を加えながら反応させる請求項5又は6に記載の微粒子分散体の製造方法。
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