JP6322003B2 - 融雪機能付き屋根 - Google Patents
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Description
これに対し、省エネ効果の高いヒートポンプ等によって昇温された熱媒体が循環する融雪パイプを用いて融雪すれば、電気エネルギーを熱エネルギーに変換することによって発熱する電熱線や電気マットを用いる場合よりも消費電力を抑えることができる。しかし、現状では、折板屋根に融雪パイプを取り付ける手法として熱ロスを抑えることのできる手法がなく、消費電力を十分に抑制することができないため、普及するまでに至っていない。そのため、人力で屋根上の除雪を行うという危険な作業が依然として行われている。
連設された複数の折板からなり山部と谷部とを交互に有する下側屋根部および上側屋根部と、前記下側屋根部の流れ方向と前記上側屋根部の流れ方向とが平行した状態で当該下側屋根部と当該上側屋根部とを連結する連結部材と、により構成される二重折板屋根と、
前記下側屋根部と前記上側屋根部との間に配設された発泡系断熱材および繊維系断熱材と、
前記下側屋根部と前記上側屋根部との間に配設され、内部を昇温された熱媒体が循環するパイプと、
を備え、
前記繊維系断熱材は、前記下側屋根部と前記上側屋根部との間の空間のうち、前記発泡系断熱材が配設されていない部分を埋めるように配設されており、
前記発泡系断熱材は、前記下側屋根部の谷部内に当該下側屋根部に接触した状態で配設され、上面側に前記パイプを係合するための溝部が設けられており、
前記パイプは、前記溝部に係合した状態で前記発泡系断熱材上に載置されて、前記上側屋根部に接している。
前記上側屋根部は、連設された複数の金属折板からなり、
前記パイプは、前記上側屋根部のうち、当該上側屋根部の谷部の底面のみに当接するよう前記発泡系断熱材によって固定支持されているように構成する。
前記パイプは、前記樋まで延出しているように構成する。
以下の説明では、本実施形態における融雪機能付き屋根1の流れ方向を前後方向、雪が積もる側を上側、雪が積もる側の反対側を下側とし、前後方向と上下方向との双方に直交する方向を左右方向とする。
本実施形態の融雪機能付き屋根1は、例えば、駅のプラットホームの屋根として用いられる。融雪機能付き屋根1は、図1および図2に示すように、下側屋根部11と上側屋根部12とこれらを所定間隔離間した状態で連結するための連結部材13とにより構成される二重折板屋根10と、下側屋根部11と上側屋根部12との間に配設された断熱材20と、下側屋根部11と上側屋根部12との間に配設された融雪パイプ30と、を備えて構成される。
同様に、上側屋根部12は、連設された複数の折板Sからなり、略台形状の山部12aと谷部12bとを交互に有する折板屋根である。
連結部材13は、下側屋根部11の流れ方向と上側屋根部12の流れ方向とが平行した状態で、下側屋根部11の上方で上側屋根部12を支持する部材である。
具体的には、図2および図3に示すように、下側屋根部11は、梁等に固定されたタイトフレームTに取り付けられている吊子Uを介して、隣接する折板S,S同士がハゼ締めによって接合されて形成されている。
また、連結部材13は、当該連結部材13を下側屋根部11(具体的には、山部11aに形成されたハゼ締め部)に取り付けるための取付部131と、当該連結部材13の上部を構成する吊子132と、吊子132を挟持した状態で取付部131に挟持されることによって取付部131と吊子132とを接続する接続部133と、からなる。
また、上側屋根部12は、下側屋根部11に取り付けられている連結部材13(具体的には、吊子132)を介して、隣接する折板S,S同士がハゼ締めによって接合されて形成されている。
また、二重折板屋根10の構造は、本実施形態の構造に限ることはなく、適宜任意に変更可能である。具体的には、折板Sのタイプは、ハゼ式折板に限ることはなく、例えば重ね式折板であってもよい。また、下側屋根部11のタイトフレームTへの取り付け方や、下側屋根部11と上側屋根部12との連結の仕方などは、折板Sのタイプ等に応じて適宜任意に変更可能である。
本実施形態の場合、1本の融雪パイプ30を1つの谷部11bに割り当てて、U字状に折り曲げた当該1本の融雪パイプ30を当該1つの谷部11bに配設しているが、谷部11bに対する融雪パイプ30の割り当て方や、融雪パイプ30の折り曲げ方は、融雪パイプ30の長さ、谷部11bの幅(すなわち、左右方向の長さ)、隣接する谷部11b,11b同士の間隔、下側屋根部11の奥行き(すなわち、前後方向の長さ)等に応じて、適宜任意に変更可能である。例えば、図5や図6に示すように、1本の融雪パイプ30を2つの谷部11bに割り当てて、U字状に折り曲げた当該1本の融雪パイプ30を当該2つの谷部11bに跨るように配設してもよいし、図7に示すように、1本の融雪パイプ30を複数(図7に示す例では2つ)の谷部11bに割り当てて、蛇行状に折り曲げた当該1本の融雪パイプ30を当該複数の谷部11bに跨るように配設してもよい。
無論、融雪パイプ30を、上側屋根部12の傾斜面(すなわち、山部12aの頂面と谷部12bの底面との間の面)や山部12aの頂面に当接するように配設することも可能である。しかし、融雪パイプ30は、トータル長さが長いほど、融雪には有利であるが、施工費や維持費がかかる。そこで、本実施形態では、“融雪パイプ30のトータル長さを抑えること”と“二重折板屋根10上に積もった雪を全面的に融雪すること”とを両立するため、融雪パイプ30を、上側屋根部12のうちの谷部12bの底面のみと当接するように配設している。
ここで、「融雪パイプ30のトータル長さ」とは、1つの二重折板屋根10に取り付ける融雪パイプ30の本数が1本であれば、当該1本の融雪パイプ30の長さのことであり、図4〜図7のように、1つの二重折板屋根10に取り付ける融雪パイプ30の本数が複数本であれば、当該複数本の融雪パイプ30の長さの合計のことである。
また、融雪パイプ30のトータル長さを抑えるために、融雪パイプ30を上側屋根部12のうちの山部12aの頂面のみと当接するように配設した場合には、融雪パイプ30からの熱で、上側屋根部12の山部12aの頂面に積もった雪を融雪することはできるが、上側屋根部12の傾斜面や谷部12bの底面に積もった雪は融雪しにくい。
これに対し、本実施形態のように、融雪パイプ30を上側屋根部12のうちの谷部12bの底面のみと当接するように配設した場合には、融雪パイプ30からの熱で、上側屋根部12の谷部12bの底面に積もった雪を融雪することができ、さらに、それに伴い上側屋根部12の傾斜面に積もった雪が自重で谷部12bの底面へと移動してくるとともに、上側屋根部12の山部12aの頂面に積もった雪が自重で傾斜面を経て谷部12bの底面へと移動してくるため、上側屋根部12の傾斜面や山部12aの頂面に積もった雪も融雪することができる。したがって、融雪パイプ30を上側屋根部12のうちの谷部12bの底面のみと当接するように配設することで、融雪パイプ30のトータル長さを抑えつつ、二重折板屋根10上に積もった雪を全面的に融雪することが可能となる。
具体的には、発泡系断熱材21は、図2および図4に示すように、下側屋根部11の谷部11b内に嵌合する形状、具体的には前後方向から見ると下底より上底の方が長い略台形をなし左右方向から見ると略矩形をなす形状に形成されている。そして、発泡系断熱材21の上面側には、融雪パイプ30を係合するための溝部21aが前後方向に沿って設けられており、谷部11b内に配設された発泡系断熱材21の溝部21a内に融雪パイプ30を押し入れることによって、融雪パイプ30を固定することができる。
また、同一の谷部11b内に配設する発泡系断熱材21の個数は、発泡系断熱材21や谷部11bの奥行き、融雪パイプ30の強度等に応じて適宜設定可能である。同一の谷部11b内に複数の発泡系断熱材21を配設する場合、隣接する発泡系断熱材21,21同士の間隔は、融雪パイプ30の強度等に基づく適度な間隔に設定される。
一方、下側屋根部11と上側屋根部12との間に配設する断熱材20として発泡系断熱材21のみを用いると、下側屋根部11と上側屋根部12との間の空間を埋めるために様々な形状の発泡系断熱材21をボード状のものから切り出さなければならず、手間がかかる。そのため、本実施形態では、繊維系断熱材22によって下側屋根部11と上側屋根部12との間の空間のうちの発泡系断熱材21が配設されていない部分を埋めている。
また、溝部21aの深さは、融雪パイプ30の直径と略同一に設定されていることが好ましく、発泡系断熱材21の高さは、下側屋根部11と上側屋根部12とを連結部材13で連結した状態において、下側屋根部11の谷部11bの底面と上側屋根部12の谷部12bの底面との間の間隔と略同一に設定されていることが好ましい。これにより、融雪パイプ30を溝部21aに嵌めるだけで融雪パイプ30の上下方向の位置決めができる、すなわち、下側屋根部11の谷部11b内に発泡系断熱材21を入れ、当該発泡系断熱材21の溝部21a内に融雪パイプ30を入れて、下側屋根部11と上側屋根部12とを連結部材13で連結するだけで、融雪パイプ30が上側屋根部12の谷部12bの底面と当接する位置に配設されるため、施工性が向上する。
なお、発泡系断熱材21に設ける溝部21aの数は、谷部11bに対する融雪パイプ30の割り当て方や、融雪パイプ30の折り曲げ方などに応じて適宜任意に変更可能である。また、発泡系断熱材21に設ける溝部21aの数が複数である場合、隣接する溝部21a,21a同士の間隔は、谷部11bに対する融雪パイプ30の割り当て方や、融雪パイプ30の折り曲げ方などに応じて適宜任意に変更可能である。
まず、図8に示すように、下側屋根部11の谷部11b内に発泡系断熱材21を配設する。
次いで、融雪パイプ30を溝部21aに係合した状態で発泡系断熱材21上に載置することによって、下側屋根部11の谷部11b内に融雪パイプ30を配設する。
次いで、下側屋根部11に連結部材13を取り付けて、発泡系断熱材21が配設されていない部分を埋めるように繊維系断熱材22を敷設する。
そして、図9に示すように、連結部材13を介して下側屋根部11と上側屋根部12とを連結することによって、融雪機能付き屋根1を組み立てることができる。
なお、図8および図9では、便宜上、連結部材13や繊維系断熱材22などの図示を省略している。
融雪機能付き屋根1は、二重折板屋根10の流れ方向(前後方向)一端側に、当該流れ方向に直交する方向(左右方向)に沿って配設された樋(雨樋)40を備えていてもよい。
さらに、融雪機能付き屋根1が樋40を備えている場合、図10や図11に示すように、融雪パイプ30が当該樋40まで延出していてもよい。これにより、融雪パイプ30からの熱で、二重折板屋根10上に積もった雪を融雪できるだけでなく、樋40内に積もった雪を融雪したり、樋40内に溜まった水の凍結を防いだりすることができる。
なお、図10および図11では、便宜上、上側屋根部12や繊維系断熱材22などの図示を省略している。
樋40を上側屋根部12に取り付ける場合、図13や図14に示すように、融雪パイプ30の延出部分を、上側屋根部12に取り付けた樋40に当接させることが好ましい。これにより、効率よく樋40内を温めることが可能となる。
なお、屋根部11,12に対する樋40の取り付け方は、従来公知の取り付け方を適用できるので、ここでは詳述しない。
また、山部11a,12aの形状は、略台形状でなくてもよく、例えば山型形状であってもよい。
このように構成することで、融雪パイプ30からの熱で上側屋根部12の谷部12bの底面略全体を温めることができるため、融雪パイプ30のトータル長さを抑えつつ、屋根上に積もった雪を全面的に融雪することが可能となる。
このように構成することで、融雪パイプ30からの熱で、二重折板屋根10上に積もった雪を融雪できるだけでなく、樋40内に積もった雪を融雪したり、樋40内に溜まった水の凍結を防いだりすることができる。
10 二重折板屋根
11 下側屋根部
11a 山部
11b 谷部
12 上側屋根部
12a 山部
12b 谷部
13 連結部材
21 発泡系断熱材
21a 溝部
22 繊維系断熱材
30 融雪パイプ(パイプ)
S 折板
Claims (3)
- 連設された複数の折板からなり山部と谷部とを交互に有する下側屋根部および上側屋根部と、前記下側屋根部の流れ方向と前記上側屋根部の流れ方向とが平行した状態で当該下側屋根部と当該上側屋根部とを連結する連結部材と、により構成される二重折板屋根と、
前記下側屋根部と前記上側屋根部との間に配設された発泡系断熱材および繊維系断熱材と、
前記下側屋根部と前記上側屋根部との間に配設され、内部を昇温された熱媒体が循環するパイプと、
を備え、
前記繊維系断熱材は、前記下側屋根部と前記上側屋根部との間の空間のうち、前記発泡系断熱材が配設されていない部分を埋めるように配設されており、
前記発泡系断熱材は、前記下側屋根部の谷部内に当該下側屋根部に接触した状態で配設され、上面側に前記パイプを係合するための溝部が設けられており、
前記パイプは、前記溝部に係合した状態で前記発泡系断熱材上に載置されて、前記上側屋根部に接していることを特徴とする融雪機能付き屋根。 - 前記上側屋根部の谷部の形状は、略台形状であり、
前記上側屋根部は、連設された複数の金属折板からなり、
前記パイプは、前記上側屋根部のうち、当該上側屋根部の谷部の底面のみに当接するよう前記発泡系断熱材によって固定支持されていることを特徴とする請求項1に記載の融雪機能付き屋根。 - 前記二重折板屋根の流れ方向一端側に、当該流れ方向に直交する方向に沿って配設された樋を備え、
前記パイプは、前記樋まで延出していることを特徴とする請求項1または2に記載の融雪機能付き屋根。
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