本明細書の開示は、当業者が開示される技術を実践することを可能にするために詳述され、精密であるが、本明細書に開示される物理的な実施形態は、本発明の種々の態様を例示するものにすぎず、それらは他の具体的な構造で具体化されてもよい。好ましい実施形態が記載されているが、詳細は、特許請求の範囲によって規定される本発明から逸脱することなく変更されてもよい。
I.関連する解剖学および生理学
A.交感神経系
交感神経系(SNS)は、腸神経系および副交感神経系と共に、自律神経系の支流である。それは常に基底レベルで活性(交感神経緊張と呼ばれる)であり、ストレス時中により活性となる。神経系の他の部分と同様に、交感神経系は、一連の相互接続されたニューロンを通じて作動する。交感神経ニューロンは、末梢神経系(PNS)の一部であると頻繁に考えられているが、多くは中枢神経系(CNS)内にある。脊髄の交感神経ニューロン(それはCNSの一部である)は、一連の交感神経節を介して末梢交感神経ニューロンと交通する。神経節内で、脊髄交感神経ニューロンは、シナプスを通じて末梢交感神経ニューロンに接合する。脊髄交感神経ニューロンはしがたって、シナプス前(または節前)ニューロンと呼ばれる一方で、末梢交感神経ニューロンは、シナプス後(または節後)ニューロンと呼ばれる。
交感神経節内のシナプスにおいて、節前交感神経ニューロンは、節後ニューロン上のニコチン性アセチルコリン受容体に結合してそれを活性化する化学的メッセンジャーである、アセチルコリンを放出する。この刺激に応答して、節後ニューロンは主に、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)を放出する。持続的な活性化は、副腎髄質からアドレナリンの放出を引き出す可能性がある。
一旦放出されると、ノルエピネフリンおよびエピネフリンは、末梢組織上のアドレナリン受容体に結合する。アドレナリン受容体への結合は、ニューロン応答およびホルモン応答を引き起こす。生理的な表れには、瞳孔拡張、増加した心拍数、時折の嘔吐、および増加した血圧が含まれる。増加した発汗もまた、汗腺のコリン作動性受容体の結合に起因して見られる。
交感神経系は、生存生物における多くの恒常性維持機構を上方調節および下方調節することに関与する。SNSからの線維は、ほぼあらゆる臓器系中の組織を神経支配し、瞳孔径、腸運動性、および尿量といった多様な事柄に対して、少なくともいくらかの調節機能を提供する。この応答はまた、副腎髄質で終わる節前交感神経線維が(しかし全ての他の交感神経線維もまた)アセチルコリンを分泌し、それによりアドレナリン(エピネフリン)およびより少ない程度にノルアドレナリン(ノルエピネフリン)の分泌を活性化するため、身体の交感神経副腎応答としても知られる。したがって、主に心血管系に作用するこの応答は、交感神経系を通じて伝達されるインパルスを介して直接に、および副腎髄質から分泌されるカテコールアミンを介して間接に、媒介される。
科学では典型的に、SNSを自動調節系、つまり、意識的思考の介入なしに作動する体系と見なす。一部の進化論者は、交感神経系が、身体を活動のために予備刺激することに関与するため、早期の生物において生存を維持するために作動したことを示唆する。この予備刺激の一例は、目覚め直前に見られ、ここで交感神経流出は、活動のための準備において自発的に増加する。
1.交感神経鎖
図1に示されているように、SNSは、脳が身体と交通することを可能にする神経のネットワークを提供する。交感神経は、脊柱の内側から発し、中間帯外側細胞柱(または側角)中の脊髄の中部に向かい、脊髄の第1胸節で始まり、第2または第3腰節まで延びていると考えられている。その細胞は、脊髄の胸部および腰部において始まるため、SNSは、胸腰椎流出を有すると言われる。これらの神経の軸索は、前小根/根を通じて脊髄を出る。それらは、背部(感覚)神経節の近くを通行し、そこでそれらは、脊髄神経の前枝に進入する。しかしながら、体性神経支配とは異なり、それらは、傍脊椎(脊柱の近くにある)または脊柱と並行して延びている脊椎前(大動脈分岐部の近くにある)神経節のいずれかに接続する、白枝接続子(white rami connector)を通じて迅速に分離する。
標的臓器および腺に到達するために、軸索は、身体中で長距離を移動しなければならず、これを遂行するために、多くの軸索は、シナプス伝達を通じてそれらのメッセージを第2の細胞に中継する。軸索の末端部は、隙間、シナプスを横切って、第2の細胞のデンドライトへと連結する。第1の細胞(シナプス前細胞)は、シナプス間隙を横切って神経伝達物質を送信し、そこで第2の細胞(シナプス後細胞)を活性化する。メッセージは次いで、最終目的地まで指示される。
末梢神経系のSNSおよび他の構成要素において、これらのシナプスは、神経節と呼ばれる部位で作製される。細胞の線維を送信する細胞は、節前細胞と呼ばれる一方で、細胞の線維が神経節を出る細胞は、節後細胞と呼ばれる。前述のように、SNSの節前細胞は、脊髄の第1胸(T1)節と第3腰(L3)節との間に位置する。節後細胞は、神経節中にそれらの細胞体を有し、それらの軸索を標的臓器または腺に送信する。
神経節は、交感神経幹だけでなく、交感神経線維を頭部および胸部臓器に送信する頚神経節(上部、中部、下部)、ならびに腹腔および腸間膜神経節(交感神経線維を腸に送信する)もまた含む。
2.腎臓の神経支配
図2が示すように、腎臓は、腎動脈に密接に関連する、腎神経叢(RP)によって神経支配される。腎神経叢は、腎動脈を囲む自律神経叢であり、腎動脈の外膜内に埋め込まれる。腎神経叢は、それが腎臓の実質に到達するまで、腎動脈に沿って延びている。腎神経叢に寄与する線維は、腹腔神経節、上腸間膜神経節、大動脈腎神経節、および大動脈神経叢から発生する。腎神経とも称される腎神経叢(RP)は、主に、交感神経構成要素からなる。腎臓の副交感神経支配は、何ら存在しない(または少なくとも非常に極小である)。
節前ニューロン細胞体は、脊髄の中間帯外側細胞柱中に位置する。節前軸索は、傍脊椎神経節(それらはシナプスしない(do not synapse))を通過して、小内臓神経、最小内臓神経、第1腰内臓神経、第2腰内臓神経となり、腹腔神経節、上腸間膜神経節、および大動脈腎神経節へと移動する。節後ニューロン細胞体は、腹腔神経節、上腸間膜神経節、および大動脈腎神経節から、腎神経叢(RP)へと退出し、腎脈管構造に分配される。
3.腎交感神経活性
メッセージは、双方向流でSNSを通じて移動する。遠心性メッセージは、身体の異なる部分における変化を同時に触発することができる。例えば、交感神経系は、心拍数を加速化し、気管支通路を広げ、大腸の運動性(動作)を減少させ、血管を収縮させ、食道内の蠕動を増加させ、瞳孔拡張、立毛(鳥肌)、および発汗(perspiration)(発汗(sweating))を引き起こし、また血圧を上昇させる。求心性メッセージは、身体中の種々の臓器および感覚受容体から、他の臓器、および特に脳へとシグナルを担持する。
高血圧、心不全、および慢性腎臓病は、SNS、とりわけ腎交感神経系の慢性的活性化からもたらされる、多くの病状のうちの少数である。SNSの慢性的活性化は、これらの病状の進行を駆動する不適応応答である。レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系(RAAS)の薬学的管理は、SNSの過剰活性を低減するための、長年続いているが、あまり効果のないアプローチである。
上述のように、腎交感神経系は、実験的におよびヒトにおいての両方で、高血圧、容量過負荷の状態(心不全等)、および進行性腎臓病の複雑な病態生理学に対する主要な寄与因子として特定されている。腎臓から血漿へのノルエピネフリンの流出を測定するために放射性トレーサ希釈手法を用いる研究は、本態性高血圧症を有する患者における、特に若年の高血圧の被験者における、増加された腎ノルエピネフリン(NE)溢流率を明らかにしたが、それは、心臓からの増加されたNE溢流と共同して、早期高血圧症において典型的に見られ、増加した心拍数、心拍出量、および腎血管抵抗性を特徴とする、血行力学プロフィールと一致する。本態性高血圧が一般的に神経原性であり、しばしば、著しい交感神経系過剰活性が伴うことは知られていない。
心腎交感神経活性の活性化は、心不全において、この患者群における心臓および腎臓から血漿へのNE流出の過大な増加によって実証されるように、更により著しい。全体的な交感神経活性、糸球体濾過量、および左心室駆出分画から独立した、鬱血性心不全を有する患者における、総死亡率および心臓移植に対する腎交感神経活性化の強力な陰性的中率の最近の実証は、この観念に即応している。これらの知見は、腎交感神経刺激を低減するように設計される治療レジメンが、心不全を有する患者における生存を改善する可能性を有するという観念を支持する。
慢性腎臓病および末期腎臓病の両方は、高められた交感神経活性化を特徴とする。末期腎臓病を有する患者において、中央値を上回るノルエピネフリンの血漿レベルは、総死亡率および心血管疾患による死亡に対して予測的であることが実証されている。これはまた、糖尿病性腎障害および造影剤腎障害を患う患者に対しても当てはまる。病的な腎臓から発せられる感覚求心性シグナルが、この患者群における、亢進された中枢交感神経流出の惹起および定着化に対する主要な寄与因子であり、それが、高血圧、左心室肥大、心室不整脈、心臓突然死、インスリン抵抗性、糖尿病、およびメタボリック症候群等の、慢性交感神経過剰活性の周知の有害事象の発現を促進することを示唆する、説得力のある証拠が存在する。
(i)腎交感神経遠心性活性
腎臓への交感神経は、血管、傍糸球体装置、および腎細管において終結する。腎交感神経の刺激は、増加されたレニン放出、増加されたナトリウム(Na+)再吸収、および腎血流の低減を引き起こす。腎機能の神経性調節のこれらの構成要素は、高められた交感神経緊張を特徴とする病状において大幅に刺激され、高血圧の患者における血圧の上昇に明らかに寄与する。腎交感神経遠心性刺激の結果としての腎血流および糸球体濾過量の低減は、心腎症候群における腎機能の喪失の礎石である可能性が高く、それは、慢性心不全の進行性合併症としての腎機能不全であり、典型的に患者の臨床状態および治療により変動する臨床経過を伴う。腎遠心性交感神経刺激事象を阻止するための薬理学的戦略には、中枢作用性交感神経遮断薬、ベータ遮断薬(レニン放出を低減することが意図される)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬および受容体遮断薬(レニン放出の結果として生じるアンジオテンシンIIおよびアルドステロン活性化の作用を遮断することが意図される)、ならびに利尿剤(腎交感神経媒介型ナトリウムおよび水分貯留に対抗することが意図される)が含まれる。しかしながら、現在の薬理学的戦略は、限定された有効性、服薬遵守問題、副作用、およびその他を含む、有意な限界を有する。
(ii)腎感覚求心性神経活性
腎臓は、腎感覚求心性神経を介して、中枢神経系における一体構造と交通する。「腎損傷」の複数の形態は、感覚求心性シグナルの活性化を誘発する可能性がある。例えば、腎虚血、拍出量もしくは腎血流の低減、または大量のアデノシン酵素は、求心性神経交通の活性化を触発し得る。図3Aおよび3Bに示されるように、この求心性交通は、腎臓から脳へとなされ得るか、または一方の腎臓から他方の腎臓へとなされ得る(中枢神経系を介して)。これらの求心性シグナルは、中枢で統合され、増加された交感神経流出をもたらす可能性がある。この交感神経駆動は、腎臓に向けられ、それによってRAASを活性化し、増加されたレニン分泌、ナトリウム貯留、容量貯留、および血管収縮を誘発する。中枢交感神経過剰活性はまた、心臓および末梢脈管構造等の、交感神経によって神経支配される他の臓器および身体的構造に影響を及ぼし、交感神経活性化の記載された有害作用をもたらし、その複数の側面がまた、血圧の上昇に寄与する。
生理学は、しがたって、(i)遠心性交感神経を有する組織の除神経が、不適切なレニン放出、塩類貯留、および腎血流の低減を低減すること、また(ii)求心性感覚神経を有する組織の除神経が、後部視床下部ならびに対側性腎臓へのその直接効果を通じて、高血圧、および増加された中枢交感神経緊張に関連する他の病状への全身性寄与を低減することを示唆する。求心性腎除神経の中枢血圧降下効果に加えて、心臓および脈管構造等の、種々の他の交感神経性で神経支配される臓器への中枢交感神経流出の望ましい低減が予想される。
B.腎除神経の更なる臨床的便益
上に提供されるように、腎除神経は、高血圧、メタボリック症候群、インスリン抵抗性、糖尿病、左心室肥大、慢性および末期腎臓病、心不全における不適切な体液貯留、心腎症候群、ならびに突然死等の、増加された全体的な交感神経活性、および特に増加された腎交感神経活性を特徴とする、複数の臨床的病態の治療に役立つ可能性が高い。求心性神経シグナルの低減は、交感神経緊張/駆動の全身性低減に寄与するため、腎除神経はまた、全身性交感神経機能亢進に関連する他の病態を治療する際にも有用であり得る。したがって、腎除神経はまた、図1で特定されたものを含む、交感神経によって神経支配される他の臓器および身体的構造を益する可能性がある。例えば、中枢交感神経駆動の低減は、メタボリック症候群およびII型糖尿病を有する人々を侵すインスリン抵抗性を低減し得る。更に、骨粗鬆症を有する患者もまた、交感神経性で活性化されるため、腎除神経に伴う交感神経駆動の下方調節から便益を得る場合がある。
C.腎動脈への血管内アクセスを達成する
本発明によれば、左および/または右腎動脈に密接に関連する、左および/または右腎神経叢(RP)の神経調節は、血管内アクセスを通じて達成され得る。図4Aが示すように、心臓の収縮によって動かされる血液は、大動脈によって心臓の左心室から運ばれる。大動脈は、胸部を通じて下行し、左および右腎動脈へと分岐する。腎動脈より下で、大動脈は、左および右腸骨動脈で二股に分かれる。左および右腸骨動脈は、それぞれ、左および右脚を通じて下行し、左および右大腿動脈に接合する。
図4Bが示すように、血液は、静脈中で収集され、大腿静脈を通じて腸骨静脈中に、および下大静脈中に入り、心臓に戻る。下大静脈は、左および右腎静脈へと分岐する。腎静脈より上で、下大静脈は、血液を心臓の右心房中へと運ぶために上行する。右心房から、血液は、右心室を通じて肺中へとポンプ送出され、そこでそれは酸素負荷される。肺から、酸素負荷された血液は、左心房中へと運ばれる。左心房から、酸素負荷された血液は、左心室によって再び大動脈に運ばれる。
後により詳細に記載されるが、大腿動脈は、鼡径靱帯の中間点の直下である大腿三角の底部で、曝露され、カニューレ処置され得る。カテーテルは、このアクセス部位を通じて、経皮的に大腿動脈中へと挿入し、腸骨動脈および大動脈中へと、左または右いずれかの腎動脈の中へと通行させることができる。これは、それぞれの腎動脈および/または他の腎血管への最小侵襲的アクセスを提示する、血管内経路を備える。
手首、上腕、および肩領域は、カテーテルの動脈系中への導入のための他の場所を提供する。橈骨、上腕、または腋窩のいずれかの動脈のカテーテル法が、選択例において利用されてもよい。これらのアクセス点を介して導入されるカテーテルは、標準的な血管造影技法を使用して、左側上の鎖骨下動脈を通じて(または右側上の鎖骨下および腕頭動脈を介して)、大動脈弓を通じて、下行大動脈を下り、腎動脈中へと通行させられてもよい。
D.腎脈管構造の特性および特徴
左および/または右腎神経叢(RP)の神経調節は、本発明によって血管内アクセスを通じて達成され得るため、腎脈管構造の特性および特徴は、このような腎神経調節を達成するための装置、システム、および方法の設計に対して制約を課する、および/またはそれらの設計を示教する場合がある。これらの特性および特徴のうちの幾つかは、患者集団にわたっておよび/または時間にわたった特定の患者の内で、ならびに高血圧、慢性腎臓病、血管疾患、末期腎臓病、インスリン抵抗性、糖尿病、メタボリック症候群等の病状に応じて、異なり得る。これらの特性および特徴は、下記に説明されるように、処置の臨床的安全性および有効性、ならびに血管内機器の具体的な設計に関連し得る。目的の特性には、例えば、物質的/機械的、空間的、流体機械的/血行力学、および/または熱機械的特性が含まれてもよい。
上述のように、カテーテルは、最小侵襲的血管内経路を介して、経皮的に左または右いずれかの腎動脈中へと前進させることができる。しかしながら、最小侵襲的腎動脈アクセスは、例えば、通例カテーテルを使用してアクセスされる幾つかの他の動脈と比較して、腎動脈がしばしば極めて蛇行しており、比較的小径であり得、かつ/または比較的短い長さであり得るため、難易度が高い可能性がある。更に、腎動脈アテローム硬化症が、多くの患者、特に心血管疾患を有する患者において一般的である。腎動脈の解剖学的構造もまた、患者から患者へとかなり異なり得、最小侵襲的アクセスを更に複雑化する。例えば、相対的な紆曲、直径、長さ、および/またはアテローム斑重荷において、ならびに腎動脈が大動脈から分岐する射出角において、有意な患者間の変動が見られる場合がある。血管内アクセスを介して腎神経調節を達成するための装置、システム、および方法は、腎動脈に最小侵襲的にアクセスするとき、患者集団にわたる腎動脈の解剖学的構造およびその変動の、これらのおよび他の側面を考慮しなければならない。
複雑な腎動脈アクセスに加えて、腎の解剖学的構造の明細もまた、神経調節装置と、腎動脈の管腔表面または壁との間の安定な接触の確立を複雑化する。神経調節装置が電極等のエネルギー送達要素を備えるとき、エネルギー送達要素と血管壁との間の一貫した位置決めおよび接触力適用は、予測性および安全性のために重要である。しかしながら、進路決定は、腎動脈内の緊密な隙間、ならびに動脈の紆曲によって、妨害される。更に、呼吸および/または心周期が、大動脈に対して腎動脈の有意な動作を引き起こし得、また心周期および/または神経調節装置は、腎動脈を一過性で膨張させ得、安定な接触の確立を更に複雑化する。
腎動脈にアクセスし、神経調節装置と動脈の管腔表面との間の安定な接触を促進した後でさえ、動脈の外膜(adventia)中およびその周囲の神経は、神経調節装置を介して安全に調節されなければならない。腎動脈内から熱処理を安全に適用することは、このような治療に関連する潜在的な臨床的合併症を考慮すると、ささいなことでない。例えば、腎動脈の内膜および中膜は、熱的損傷に対して非常に脆弱である。下記により詳細に述べるように、血管管腔をその外膜から分離する内中膜複合体厚とは、標的腎神経が、動脈の管腔表面から数ミリメートル離れ得ることを意味する。血管壁を過度に加熱し、乾燥させることなく、標的腎神経を調節するために、十分な熱エネルギーが、標的腎神経に送達されなければならない。過度の加熱に関連する別の潜在的な臨床的合併症は、動脈を通じて流動する血液を凝固させることによる血栓形成である。この血栓が腎梗塞を引き起こし得、それによって腎臓に不可逆的な損傷を引き起こすことを考慮すると、腎動脈内からの熱処理は、注意深く適用されなければならない。したがって、治療中の腎動脈中に存在する複雑な流体力学および熱機械的病態、特に、治療部位における熱伝達力学に影響を及ぼし得るものは、腎動脈内から熱処理を適用する際に重要である可能性がある。
治療の場所もまた、臨床的安全性および有効性に影響を及ぼし得るため、神経調節装置を、腎動脈内のエネルギー送達要素の調整可能な位置決めおよび再位置決めを可能にするように構成することもまた望ましい。例えば、腎神経が腎動脈の周囲で外周的に離間され得ることを考慮すると、腎動脈内から全外周の治療を適用することは魅力的であり得る。しかしながら、連続的な外周の治療からもたらされる可能性が高い全周の病変は、腎動脈狭窄の危険性を高める場合があり、それによって腎神経調節のいずれの可能性のある治療上の便益も打ち消す。したがって、腎動脈の長手方向の寸法に沿ったより複雑な病変の形成、および/または神経調節装置の多数の治療場所への再位置決めが、望ましい場合がある。更に、神経調節装置の可変の位置決めおよび再位置決めは、腎動脈が特に蛇行している場合、または腎動脈の主要な血管から分岐した近位の血管が存在する場合の、ある種の場所における治療の難易度を高める状況において、有用であることが判明し得る。
(1)腎動脈介入、(2)血管壁に対するエネルギー送達要素の一貫したかつ安定な配置、(3)血管壁を横切る熱処理の安全な適用、ならびに(4)多数の治療場所を可能にするための、治療装置の位置決めおよび再位置決め、という上述の課題に基づいて、関心の的となり得る腎脈管構造の種々の独立および依存した特性には、例えば、血管直径、長さ、内中膜複合体厚、摩擦および紆曲の係数;血管壁の膨張性、剛性、および弾性のモジュラス;ピーク収縮期および拡張末期血流速度、ならびに平均収縮期−拡張期ピーク血流速度、平均/最大容積測定血流量;血液および/または血管壁の比熱容量、血液および/または血管壁の熱伝導性、血管壁治療部位を過ぎた血流の熱対流性および/または放射熱伝達;ならびに呼吸および/または血流拍動性によって誘発される大動脈に対する腎運動、ならびに大動脈に対する腎動脈の射出角が含まれる。これらの特性は、腎動脈に関して、より詳細に説明される。しかしながら、腎神経調節を達成するために利用される装置、システム、および方法に依存して、腎静脈のこのような特性はまた、設計特徴を導きおよび/または制約し得る。
腎動脈内に位置決められる装置は、動脈の形状に適応しなければならない。腎動脈血管直径、DRAは、典型的に約2〜10mmの範囲にあり、平均は約6mmである。大動脈/腎動脈接合点におけるその心門と、その遠位分岐部分との間の腎動脈血管長、LRAは、一般に約5〜70mmの範囲にあり、より一般には約20〜50mmの範囲にある。標的腎神経叢は、腎動脈の外膜内に埋め込まれているため、複合的な内中膜複合体厚、IMT(すなわち、動脈の管腔表面から標的神経構造を含有する外膜への放射性の外向きの距離)もまた、顕著であり、一般に約0.5〜2.5mmの範囲にあり、平均は約1.5mmである。標的神経線維に到達するためにある種の深度の治療は重要であるが、治療は、腎静脈等の、非標的組織および解剖学的構造を回避するために、深すぎ(例えば、腎動脈の内壁から5mm超)ないべきである。
腎動脈内で進められる装置はまた、摩擦および紆曲に拮抗しなければならない。腎動脈の壁における、摩擦の係数、μ(例えば、静摩擦または動摩擦)は一般に、かなり低く、例えば、一般に、約0.05未満、または約0.03未満である。湾曲したセグメントの相対的なよじれの尺度である、紆曲、τは、種々の方法で定量化されている。弧−弦比は、湾曲の長さ、Lcurveを、弦、Ccurveで割り、湾曲の末端部を接続したものとして紆曲を規定する(すなわち、湾曲の末端部を分離する直線距離):
τ=Lcurve/Ccurve (1)
弧−弦比によって規定される腎動脈紆曲は、一般に約1〜2の範囲にある。
拡張期と収縮期との間の圧力変化は、腎動脈の管腔直径を変化させ、血管の集合体特性についての情報を提供する。実際の血圧に依存する特性である、膨張性係数、DCは、脈圧と直径変化との間の関係を捕捉する。
DC=2*((Dsys−Ddia)/Ddia)/ΔP=2*(ΔD/Ddia)/ΔP (2)
式中、Dsysは、腎動脈の収縮期直径であり、Ddiaは、腎動脈の拡張期直径であり、ΔD(それは一般に、約1mm未満であり、例えば、約0.1mm〜1mmの範囲にある)は、2つの直径の間の差異である:
ΔD=Dsys−Ddia (3)
腎動脈膨張性係数は、一般に約20〜50kPa−1*10−3の範囲にある。
また、心周期中の管腔直径変化を使用して、腎動脈剛性、βを決定してもよい。膨張性係数とは異なり、剛性は、無次元の特性であり、正常血圧患者における実際の血圧から独立している:
β=(ln[BPsys/BPdia])/(ΔD/Ddia) (4)
腎動脈剛性は一般に、約3.5〜4.5の範囲にある。
腎動脈の他の形状特性と組み合わせて、膨張性係数を利用して、腎動脈の増分弾性係数、Eincを決定してもよい:
Einc=3(1+(LCSA/IMCSA))/DC、 (5)
式中、LCSAは、管腔断面面積およびIMCSAは、内膜−中膜断面面積である:
LCSA=π(Ddia/2)2 (6)
IMCSA=π(Ddia/2+IMT)2−LCSA (7)
腎動脈については、LCSAは、約7〜50mm2の範囲にあり、IMCSAは、約5〜80mm2の範囲にあり、Eincは、約0.1〜0.4kPa*103の範囲にある。
有意な腎動脈狭窄(RAS)を有さない患者については、ピーク腎動脈収縮期血流速度、υmax−sysは一般に、約200cm/s未満である一方で、ピーク腎動脈拡張末期血流速度、υmax−diaは一般に、約150cm/s未満、例えば、約120cm/sである。
腎動脈の血流速度プロフィールに加えて、容積測定流量もまた関心の的となる。ポアズイユ流を想定すると、管を通じる容積測定流量、Φ(しばしば管の出口で測定される)は、管を通じる流体の流れの平均速度、υavgに、管の断面面積を掛けたものとして規定される:
Φ=υavg*πR2 (8)
0〜Rの全半径にわたる速度プロフィール(上記の方程式8で規定される)にわたって積分することによって、次のことが示され得る:
Φ=υavg*πR2=(πR4*ΔPr)/8η Δx (9)
上述のように、腎動脈の目的のために、ηは、η血液として規定され得、Δxは、LRAとして規定され得、Rは、DRA/2として規定され得る。腎動脈を横切る圧力における変化、ΔPrを、心周期における共通点で測定して(例えば、感圧ガイドワイヤーを介して)、心周期における選択された共通点での腎動脈を通じる容積測定流量を決定してもよい(例えば、収縮期中および/または拡張末期中に)。更にまたは代替的に、容積測定流量は、直接測定されてもよく、または血流速度測定値から決定されてもよい。腎動脈を通じる容積測定血流量は一般に、約500〜1000mL/分の範囲にある。
腎動脈の熱機械的特性もまた関心の的となる。このような特性には、例えば、血液および/または血管壁の比熱容量、血液および/または血管壁の熱伝導性、血管壁治療部位を過ぎた血流の熱対流性が含まれる。熱的放射もまた関心の的となり得るが、伝導性および/または対流性熱伝達の大きさは、放射性熱伝達の大きさよりも有意に高いことが予想される。
熱伝達係数は、実験的に測定されてもよく、または熱伝導性、血管直径、およびヌッセルト数の関数として算出されてもよい。ヌッセルト数は、レイノルズ数およびプラントル数の関数である。レイノルズ数の算出は、流速および流量、ならびに流体粘性および流体密度を考慮する一方で、プラントル数の算出は、比熱、ならびに流体粘性および熱伝導性を考慮する。腎動脈を通じて流動する血液の熱伝達係数は、一般に約500〜6000W/m2Kの範囲にある。
関心の的となり得る腎動脈の更なる特性は、呼吸および/または血流拍動性によって誘発される、大動脈に対する腎運動の度合いである。腎動脈の遠位端に位置する患者の腎臓は、呼吸可動域で頭方に5cmほど動く可能性がある。これは、大動脈と腎臓とを接続する腎動脈に有意な運動を付与する場合があり、それによって、神経調節装置に、呼吸の周期中に熱処理要素と血管壁との間の接触を維持するための、剛性と可撓性との固有のバランスを要求する。更に、腎動脈と大動脈との間の射出角は、患者の間で有意に異なり得、また、例えば、腎臓運動に起因して、患者の内でも動的に異なり得る。射出角は一般に、約30°〜135°の範囲にあり得る。
腎脈管構造のこれらのおよび他の特性は、血管内アクセスを介して腎神経調節を達成するための装置、システム、および方法の設計に対して制約を課する、かつ/またはそれらの設計を示教する場合がある。具体的な設計要件には、腎動脈にアクセスすること、神経調節装置と、腎動脈の管腔表面もしくは壁との間の安定な接触を促進すること、および/または神経調節装置により腎神経を安全に調節することが含まれてもよい。
II.腎神経調節のためのカテーテル装置、システム、および方法
A.概要
図5は、血管内アクセスを通じて、左および/または右腎神経叢(RP)の神経調節を熱的に誘発するためのシステム10を示す。
直前に述べたように、左および/または右腎神経叢(RP)は、それぞれの左および/または右腎動脈を囲む。腎神経叢(RP)は、それぞれの腎動脈に密接に関連して、腎臓の実質中へと延びている。本システムは、腎神経叢(RP)の神経調節を、それぞれの左または右腎動脈中への血管内アクセスによって熱的に誘発する。
システム10は、血管内治療機器12を含む。図6Aが示すように、治療機器12は、それぞれの腎動脈につながる血管内経路14を通じた、腎神経叢(RP)へのアクセスを提供する。
図5が示すように、治療機器12は、近位端領域18および遠位端領域20を有する細長いシャフト16を含む。
細長いシャフト16の近位端領域18は、任意に、ハンドルアセンブリ200に接続される。ハンドルアセンブリ200は、介護者によって、血管内経路14の外側で、確実にまたは人間工学的に保持され、操作されるようなサイズにされ、そのように構成される(例えば、図16Aおよび6Aを参照されたい)。血管内経路14の外側からハンドルアセンブリ200を操作することによって、介護者は、細長いシャフト16を、蛇行した血管内経路14を通じて前進させ、遠位端領域20を遠隔で操作または発動することができる。画像ガイダンス、例えば、CT、X線撮影、IVUS、OCT、もしくは別の好適なガイダンス様式、またはそれらの組み合わせを使用して、介護者の操作を補助することができる。
図6Bに示されているように、細長いシャフト16の遠位端領域20は、細長いシャフト16の操作によって、大幅な様式で撓み、それぞれの左/右腎動脈中への進入を得ることができる。図28Aおよび28Bに示されるように、細長いシャフト16の遠位端領域20は、ガイドカテーテル94内の通行を介して腎動脈への進入を得ることができる。細長いシャフト16の遠位端領域20は、少なくとも1つのエネルギー送達要素24(例えば、無線周波数電極、電極、冷却無線周波数電極、熱的要素、熱的加熱要素、電気抵抗加熱要素、冷凍切断アプリケーター、マイクロ波アンテナ、超音波振動子、高密度焦点式超音波振動子、レーザー放射体)を担持する。エネルギー送達要素24もまた、腎動脈内での操作および使用のために特定的なサイズにされ、そのために構成される。
図6Bが示すように、一旦、腎動脈への進入が得られると、それぞれの腎動脈内での遠位端領域20およびエネルギー送達要素(複数可)24の更なる操作により、それぞれの腎動脈の内壁に沿ったエネルギー送達要素(複数可)24と組織への近位性、およびそれらの間の位置合わせが確立される。幾つかの実施形態では、遠位端領域20の操作はまた、エネルギー送達要素24と腎動脈の壁との間の接触を促進する。本出願の文脈において、「エネルギー送達要素と腎動脈の壁との間の接触」という語句は、一般に、腎動脈壁の非外傷性膨張を伴うまたは伴わない、かつ腎動脈壁を穿刺または穿孔することを伴わない、隣接する物理的な接触を意味する。
図6Bの代表的な実施形態では、遠位端領域20の熱的加熱要素24は、遠位先端または遠位端領域の末端に沿って、例えば、任意の第3のまたは遠位撓み区域44の遠位端において、位置決められる。しかしながら、遠位端領域20は任意に、比較的より近位に位置決められる、1つ以上の更なる熱的加熱要素を備えてもよいことが理解されるべきである。多数の熱的加熱要素が提供されるとき、熱的加熱要素は、同時または進行的のいずれで、パワーを独立して送達してもよく(すなわち、単極様式で使用されてもよい)、かつ/または要素の任意の所望の組み合わせの間にパワーを送達してもよい(すなわち、双極様式で使用されてもよい)。更に、介護者は、所望に応じて、任意に、腎動脈内に高度にカスタマイズ可能な病変(複数可)を形成するために、どの熱的加熱要素(複数可)がパワー送達に使用されるかを機械的に選択することが可能であり得る。
図6Cに示される1つの代表的な実施形態では、1つ以上の更なる熱的加熱要素24aが任意に、遠位に位置する熱的加熱要素24と、長手方向に離間しているが、一般にはそれと角度方向に整列した(in angular alignment)位置(複数可)で、腎動脈の内壁に接触するために、熱的加熱要素24の近位に、例えば、第3の撓み区域44に沿って、任意の第3の撓み区域44の近位領域で、および/または任意の第2のもしくは中間撓み区域34の遠位領域で、位置決めされてもよい。熱的加熱要素24および24aの離間は、腎動脈内で要素を使用するとき、形成された病変の間に所望の離間を提供するように指定され得る。1つの代表的な実施形態では、熱的加熱要素24および24aは、約1cm程度まで離間される。他の実施形態では、熱的加熱要素24および24aの間の離間は、約2mm〜約5mmの範囲にある。1つの代表的な実施形態では、熱的加熱要素24および24aは、約5mm離間される。別の代表的な実施形態では、熱的加熱要素24および24aは、約2mm離間される。
更にまたは代替的に、図6Dに示されているように、1つ以上の熱的加熱要素24bは、遠位に位置する熱的加熱要素24から長手方向かつ角度的に離間した位置(複数可)で(例えば、角度的に反対側(angular opposition)で)、腎動脈の内壁に接触するために、比較的より近位に位置決めされてもよい。このような熱的加熱要素(複数可)24bは、例えば、任意の第2の撓み区域34の偏向中に形成される屈曲の頂点に、任意の第2の撓み区域34の近位領域に、および/または第1のもしくは近位撓み区域32の遠位領域に、位置決めされてもよい。熱的加熱要素24bを熱的加熱要素24から、および/または任意の熱的加熱要素24aから分離する離間は、所望に応じて、腎脈管構造内に形成された病変の間に所望の長手方向のかつ角度的な離間を提供するように指定され得る。1つの代表的な実施形態では、熱的加熱要素24および24bは、約5mm〜約25mm離間される。別の代表的な実施形態では、熱的加熱要素24および24bは、約30mm程度まで離間される可能性がある。別の代表的な実施形態では、熱的加熱要素24および24bは、約11mm離間される。更に別の代表的な実施形態では、熱的加熱要素24および24bは、約17.5mm離間される。
後にまたより詳細に記載されるが、細長いシャフトの異なる区分16は、使用時に、異なる機械的機能を果たす。区分は、(i)小径のアクセス部位を通じた大腿動脈中への経皮導入、(ii)腸骨動脈を通じる蛇行した血管内経路14を通じた、大動脈中への、およびそれぞれの左/右腎動脈中への非外傷性の通行のために、(iii)それぞれの左または右腎動脈中への進入を得るための、左/右腎動脈および大動脈の接合部の近くでの有意な撓み、(iv)それぞれの腎動脈の内壁への接近およびそれらとの所望の位置合わせを達成するための、それぞれの腎動脈内での制御された並進、偏向、回転、および/または発動、(v)少なくとも1つのエネルギー送達要素24の、内壁上の組織と接触した配置、(vi)呼吸および/または血流拍動性に起因する大動脈に関わる腎動脈の運動中に、少なくとも1つのエネルギー送達要素と内壁との間の実質的に安定な接触力を可能にすること、かつ(vii)その後の治療(複数可)のための、後退および/もしくは多方向の偏向を介した再位置決め、ならびに/または腎動脈内での回転を含む、それらのサイズ、構成、および機械的特性の点で、それによって望ましく区別される。
再び図5を参照すると、システム10はまた、エネルギー発生器26(例えば、無線周波数発生器)を含む。介護者または自動制御アルゴリズム102(後により詳細に記載される)の制御下で、発生器26は、選択された形態および大きさのエネルギーを生成する。ハンドルアセンブリ200に作動的に取り付けられたケーブル28は、エネルギー送達要素24を発生器26に電気的に接続する。細長いシャフト16に沿って、または細長いシャフト16中の管腔を通じて、ハンドルアセンブリ200からエネルギー送達要素24へと通行する、少なくとも1つの供給ワイヤー(図示されず)は、治療エネルギーをエネルギー送達要素24へと運ぶ。踏子100等の制御機構は、臨床オペレータが、パワー送達を含むが、これらに限定されない発生器の種々の作動的特徴を惹起する、終結する、および任意に調整することを可能にするために、発生器26に接続される可能性がある(例えば、含気性で接続されるか、または電気的に接続される)。
エネルギー送達要素24を介して単極電場の送達を提供するシステムについては、中性または伝播(dispersive)電極38が、発生器26に電気的に接続され、患者の外部に取り付けられる可能性がある。更に、1つ以上の温度(例えば、熱電対、サーミスタ等)、インピーダンス、圧力、光学、流量、化学、または他のセンサ等の1つ以上のセンサ52(例えば、図9Aおよび9Bを参照されたい)は、エネルギー送達要素に近接してまたはその内部に位置し、供給ワイヤーのうちの1つ以上に接続される可能性がある。例えば、総計2つの供給ワイヤーが含まれる可能性があり、ここで両方のワイヤーは、センサからのシグナルを伝達し得、かつ1つのワイヤーは、二重目的を果たし、エネルギーをエネルギー送達要素へとまた運び得る。代替的に、両方のワイヤーは、エネルギーをエネルギー送達要素へと伝達し得る。
一旦、エネルギー送達要素24と組織との間の近位性、それらとの位置合わせ、およびそれらの間の接触がそれぞれの腎動脈内で確立されると(図6Bが示すように)、エネルギー送達要素24による発生器26から組織へのエネルギーの意図的な適用は、腎動脈の局在領域、および腎動脈の外膜内に密接してまたはそれに隣接して置かれる腎神経叢(RP)の隣接領域に対する、1つ以上の所望の神経調節効果を誘発する。神経調節効果の意図的な適用により、RPの全てまたはその一部分に沿って、神経調節を達成することができる。
神経調節効果には、熱的切除、非切除性熱変質または損傷(例えば、持続的加熱および/または抵抗加熱を介して)の両方、および電磁神経調節が含まれる可能性がある。所望の熱的加熱効果には、標的神経線維の温度を、非切除性熱変質を達成するために所望の閾値を上回って、または切除性熱変質を達成するためにより高い温度を上回って、上昇させることが含まれてもよい。例えば、標的温度は、非切除性熱変質のために、体温(例えば、およそ37℃)を上回るが、約45℃未満である可能性があり、あるいは標的温度は、切除性熱変質のために、約45℃以上である可能性がある。所望の電磁神経調節効果には、神経中で伝達される電気シグナルを変化させることが含まれてもよい。
次に、細長いシャフト16、遠位端領域20、およびエネルギー送達要素24の特別のサイズ、構成、および機械的特性の更なる詳細、ならびにシステム10の他の態様が記載される。更に他の実施形態では、システム10は、異なる構成を有しても、かつ/または異なる特徴を含んでもよい。例えば、多重電極バスケット、螺旋もしくは輪索、またはバルーン拡張機器等の代替的な多重エネルギー送達要素機器が、神経調節性の治療を血管内に送達するために、血管壁への接触を伴ってまたは伴わずに実装されてもよい。
B.腎動脈への血管内アクセスを達成するための細長いシャフトのサイズおよび構成
上述したように、腎動脈の内部への血管内アクセスは、例えば、大腿動脈を通じて、達成することができる。図6Aが示すように、細長いシャフト16は、大腿動脈中の経皮アクセス部位から腎動脈内の標的の治療部位へとつながる、この血管内経路14の通行に応じるように特別なサイズにされ、そのように構成される。このようにして、介護者は、その意図される目的のために、エネルギー送達要素24を腎動脈内で配向することが可能である。
実用的な目的のために、細長いシャフト16の任意の区分の最大外法寸法(例えば、直径)は、それが担持するエネルギー送達要素24を含めて、細長いシャフト16の通路であるガイドカテーテルまたは送達カテーテルの内径によって決定付けられる。例えば、8フレンチガイドカテーテル(およそ0.091インチの内径を有する)は、臨床的観点から、腎動脈にアクセスするために使用される最大のガイドカテーテルである可能性が高いであろうと想定し、かつエネルギー送達要素24とガイドカテーテルとの間の妥当なクリアランス耐性を許容すると、最大外法寸法は、現実的におよそ0.085インチ以下であるように表される可能性がある。しかしながら、より小さい5フレンチガイドカテーテル94の使用は、細長いシャフト16に沿ってより小さい外径の使用を要求する場合がある。例えば、5フレンチガイドカテーテル内で送られるべきエネルギー送達要素24は、0.053インチ以下の外法寸法を有する。別の例では、6フレンチ(French)のガイドカテーテル内で送られるべきエネルギー送達要素24は、0.070インチ以下の外法寸法を有する。
1.力伝達区分
図7Aが示すように、細長いシャフト16の近位端領域18は、ハンドルアセンブリ200に連結されて、力伝達区分30を含む。力伝達区分30は、それが、アクセスされる大腿動脈(左または右)から、それぞれの腸骨分岐動脈を通じて、大動脈中へと、かつ標的の腎動脈(左または右)に近位で通るとき、血管内経路14の物理的な通過およびその内部での力の伝達に応じる、選択された機械的特性を有するようなサイズにされ、そのように構成される。力伝達区分30の機械的特性には、少なくとも好ましい有効な長さが含まれる(インチまたはセンチメートルで表される)。力伝達区分という用語は、細長い管状シャフトまたは近位の力伝達区分と交換可能に使用され得ることが理解されるべきである。
図7Aが示すように、力伝達区分30は、好ましい有効な長さL1を含む。好ましい有効な長さL1は、血管内経路14内での、アクセス部位と大動脈および腎動脈の接合部に近接する場所との間の解剖学的距離の関数である。好ましい有効な長さL1は、一般に介護者の標的の部位の知識によって補足して、ヒト解剖学の教本から、あるいは標的の部位の特定の形態学の事前分析から誘導されるように、誘導することができる。好ましい有効な長さL1はまた、存在する場合、使用されるガイドカテーテルの長さにも依存する。代表的な実施形態では、通常のヒトについて、好ましい有効な長さL1は、約30cm〜約110cmを含む。ガイドカテーテルが使用されない場合、好ましい有効な長さL1は、約30cm〜約35cmを含む。55cm長のガイドカテーテル使用される場合、好ましい有効な長さL1は、約65cm〜約70cmを含む。90cm長のガイドカテーテル使用される場合、好ましい有効な長さL1は、約95cm〜約105cmを含む。
力伝達区分30はまた、好ましい軸方向の剛性および好ましい捩れ剛性を含む。好ましい軸方向の剛性は、座屈または実質的な変形を伴わずに、血管内経路14の長さに沿って前進または撤退される、力伝達区分30の能力を表す。幾らかの軸方向の変形が、力伝達区分30が、過度の抵抗性を提供することなく、蛇行した血管内経路14を進むために必要であるため、力伝達区分の好ましい軸方向の剛性はまた、この能力を提供すべきである。好ましい捩れ剛性は、力伝達区分30の、もつれまたは永久的な変形を伴わずに、細長いシャフト16を、その長手方向の軸の周りでその長さに沿って回転させる能力を表す。後により詳細に記載されるが、細長いシャフト16の遠位端領域20を、それぞれの腎動脈内で前進および後退、ならびに回転させる能力が望ましい。
力伝達区分30についての所望の大きさの軸方向の剛性および回転剛性は、軸方向の剛性および捩れ剛性の指標である、所望の弾性モジュラス(例えば、ヤング率(E)の単位で表される)を提供するための構成物質(単数または複数)の選択、ならびに例えば、その内径、外径、壁厚、ならびに断面の寸法および形状を含む構造的特徴の点で、力伝達型区分の構築および構成を選択することによって得ることができる。代表的な例は、下記により詳細に記載される。
2.第1の撓み区域
図7Aおよび7Bが示すように、細長いシャフト16の遠位端領域20は、力伝達区分30に連結される。力伝達区分30の長さL1は一般に、遠位端領域20をそれぞれの腎動脈および大動脈の接合部の近傍へと携える機能を果たす(図6Bが示すように)。力伝達領域の軸方向の剛性および捩れ剛性は、後により詳細に記載されるように、軸方向力および回転力をハンドルアセンブリ200から遠位端領域20に転送する。第1の撓み区域という用語は、可撓性管状構造体と交換可能に使用され得ることが理解されるべきである。
図7Bに示されているように、遠位端領域20は、力伝達区分30に近接する第1の撓み区域32を含む。第1の撓み区域32は、定められた好ましいアクセス角度α1での有意な撓みまたは屈曲に応じ、細長いシャフト16の破損、折り畳み、実質的な歪み、または有意なよじれを伴わずに、回転中にトルクの伝達を提供する機械的特性を有するようなサイズにされ、そのように構成される。第1の撓み区域32は、遠位端領域20が、ガイドカテーテルを実質的に一直線にすることなく、ガイドカテーテルを介して腎動脈中へと前進するのに十分な撓みに応じるべきである。
角度α1は、治療機器12が、大動脈(それに沿って力伝達区分30が揃えられる)と、標的の腎動脈(それに沿って遠位端領域20が揃えられる)との間を移行するために進まなければならない角度偏位によって規定される(これはまた、図6Bにも示される)。これは、細長いシャフト16の力伝達区分30が、大動脈の生来の軸と整列したままで(図6Bが示すように)、第1の撓み区域32が、細長いシャフト16の遠位端領域20を標的の腎動脈と揃えるために近似しなければならない角度である。血管がより蛇行するほど、または腎動脈と大動脈との間の射出角がより激しいほど、治療機器の遠位端領域が腎動脈にアクセスするために、第1の撓み区域32がなすべき屈曲は大きくなり、かつ角度α1はより小さくなる。
カテーテルが患者の外側にあり、第1の撓み区域32が実質的に一直線で、非偏向された構成にあるとき、角度α1(図7Bに示されているように)は、およそ180°である。第1の撓み区域32が完全に偏向すると、角度α1は、約30°〜180°の間の任意の角度まで低減される。代表的な実施形態では、完全に偏向すると、角度α1は、約30°〜約135°である。別の代表的な実施形態では、完全に偏向すると、角度α1は、約90°である。
第1の撓み区域32は、大動脈および腎動脈の接合部の近くで、定められた好ましいアクセス角度α1での有意な突然の撓みまたは屈曲に応じる機械的特性を有するようなサイズにされ、そのように構成される。そのサイズ、構成、および機械的特性に起因して、第1の撓み区域32は、破損、折り畳み、ひずみ、または有意なよじれを伴わずに、これらの撓みまたは屈曲力を解消しなければならない。第1の撓み区域のこのような撓みまたは屈曲は、ガイドカテーテルを実質的に一直線にすることなく、少なくとも一部には、ガイドカテーテルの遠位領域内で生じ得る。第1の撓み区域32によるこれらの撓みまたは屈曲力の解消は、細長いシャフト16の遠位端領域20が、血管内経路14に沿って、標的の左または右腎動脈中への進入を得ることを可能にする。
第1の撓み区域32は、長さL2が長さL1未満であるようなサイズにされ、そのように構成される(図7Aを参照されたい)。それは、大腿アクセス部位と、大動脈および腎動脈の接合部との間の距離(典型的に約40cm〜約55cmに近似する)が、典型的に約7cm未満である、大動脈と、腎動脈の長さに沿った最遠位治療部位との間の腎動脈の長さよりも一般に大きいためである。好ましい有効な長さL2は、一般に介護者の部位の知識によって補足して、ヒト解剖学の教本から、あるいは標的の部位の特定の形態学の事前分析から導かれるように、導くことができる。例えば、長さL2は一般に、約15cm未満であり得、例えば、約10cm未満であり得る。1つの代表的な実施形態では、長さL2は、約9cmであり得る。
望ましくは、長さL2は、第1の撓み区域32の一部分を、部分的に長さL1の場所またはその近くの大動脈中に静置すること、ならびに第1の撓み区域32の残りの部分を部分的に腎動脈内に静置することを可能にするよう選択される(図6Bが示すように)。このようにして、第1の撓み区域32は、脈管構造内で支持され、安定である、移行領域屈曲部を規定する。
図7Bの偏向された構成において、第1の撓み区域32は、曲率の半径RoC1を備える。第1の撓み区域32の曲率が変化しないか、または長さL2に沿って一貫している場合の実施形態では、長さL2および偏向角度α1が、曲率の半径RoC1を規定し得る。第1の撓み区域32の曲率、およびそれによって、第1の撓み区域の曲率の半径RoC1は代替的に、長さL2に沿って変化し得ることが理解されるべきである。
曲率が変化しない場合のような実施形態では、長さL2は、同等の曲率の半径RoC1を有する円の外周C1の一部(180°−α1)/360°を規定し得る。故に、このような同等の円の外周は:
(10)
曲率の半径RoC1についての解:
(11)
故に、第1の撓み区域の曲率が長さL2に沿って変化せず、長さL2が約9cm以下であり、かつ角度α1が約30°〜約135°である場合の、第1の撓み区域32の代表的な実施形態では、曲率の半径RoC1は、約3.5cm〜約11.5cmである。第1の撓み区域の曲率が長さL2に沿って変化せず、長さL2が約9cm以下であり、かつ角度α1が約90°である場合の、第1の撓み区域32の代表的な実施形態では、曲率の半径RoC1は、約5.75cm以下である。
明らかなように、方程式(11)は、長さL2および曲率の半径RoC1が角度α1を規定するように、組み替えられてもよい。更に、方程式(11)は、曲率の半径RoC1および角度α1が長さL2を規定するように、組み替えられてもよい。故に、第1の撓み区域の曲率34が長さL2に沿って変化しない場合の実施形態では、長さL2、角度α1、および曲率の半径RoC1のうちのいずれか1つは、他の2つの変数を指定することによって指定され得る。
下記で詳述し、かつ図6Bに示されているように、第1の撓み区域32の長さL2は、任意に、腎動脈の標的の長さの全長に延びない。それは、細長いシャフト16の遠位端領域20が任意に、治療機器12の治療目的に重要な他の異なる機能に応じるために、第1の撓み区域32に遠位(腎臓の実質に向かって)の、1つ以上の更なる撓み区域を含むためである。後に記載されるが、第1の撓み区域32を通じてトルクを伝達する能力は、腎動脈内のエネルギー送達要素を治療のために適切に位置決めするために、熱的加熱機器を回転させることを可能にする。
軸方向の剛性および捩れ剛性の点で、第1の撓み区域32の機械的特性は、力伝達区分30の機械的特性から異なる可能性があり、望ましくは異なる。これは、第1の撓み区域32および力伝達区分が、使用中に異なる機能を果たすためである。代替的に、第1の撓み区域32および力伝達区分30の機械的特性は、類似している可能性がある。
力伝達区分30は、使用中に、軸方向の負荷およびトルクを、血管経路内の比較的長い長さ(L1)にわたって伝達する機能を果たす。対照的に、第1の撓み区域32は、軸方向の負荷およびトルクを、それぞれの腎動脈に近接するまたはその内部のより短い長さL2にわたって伝達する必要がある。重要なことに、第1の撓み区域32は、破損、折り畳み、実質的なゆがみ、もしくは有意なよじれ、またはアクセス角度α1を付与しているガイドカテーテルを一直線にすることを伴わずに、大動脈およびそれぞれの腎動脈の接合部の近くのアクセス角度α1に、突然に適応しなければならない。これは、力伝達区域が行う必要のない機能である。したがって、第1の撓み区域32は、力伝達区分30よりも剛性が低く、それよりも高い可撓性を有するようなサイズにされ、そのように構成される。
更に、第1の撓み区域32は、エネルギー送達要素(複数可)24が、それぞれの腎臓が患者の呼吸に起因して動くとき、腎動脈の内壁との安定な接触を維持することを可能にし得る。患者が呼吸するとき、腎臓が動く場合があり、腎動脈に、腎動脈が大動脈に接合する場所である、心門の周りでの旋回を引き起こす。エネルギー送達要素(複数可)24と腎動脈の内壁との間の安定な接触が、エネルギー送達中に所望される。したがって、エネルギー送達要素(複数可)24は、大動脈に対して、腎動脈と共に動かなければならない。大動脈および腎動脈の接合部の近くのアクセス角度α1での、有意な、突然の撓みまたは屈曲に応じる、第1の撓み区域32の機械的特性はまた、第1の撓み区域32に遠位のカテーテルの区分が、有意な妨害を伴わずに心門の周りを旋回することも可能にし、エネルギー送達要素が、腎動脈の内壁との安定な接触力を維持することを可能にする。幾つかの実施形態では、第1の撓み区域32に遠位の偏向可能な区分34は、それが制御可能に偏向されるとき、第1の撓み区域32よりも剛性となり得る。偏向可能な区分34の更なる剛性は、エネルギー送達要素24と腎動脈の内壁との間の安定な接触力を維持する一助となり、カテーテルが、第1の撓み区域32の可撓性変形に起因して、十分な自由度で大動脈に対して腎動脈と共に動くことを可能にする。腎動脈は、腎動脈の動作が大動脈との接合点からの距離と共に増加するように、大動脈との接合点の周りを旋回する。第1の撓み区域32の長さに沿った第1の撓み区域32に遠位の遠位端領域20の長さは、治療部位が遠位であるほど、第1の撓み区域32の更なる部分が腎動脈中に位置決められるように構成されて、とりわけより遠位の治療部位での増加された運動中に、エネルギー送達要素24と、腎動脈の内壁のより遠位の治療部位との間の安定な接触力を可能にするために、大動脈との接合点の領域における十分に増加された可撓性が提供される。
第1の撓み区域32のための軸方向の剛性、回転剛性、および可撓性の所望の大きさは、可撓性の指標である、所望の弾性モジュラス(例えば、ヤング率(E)の単位で表される)を提供するための構成物質(単数または複数)の選択、ならびに、力伝達型区分の構築および構成を、例えば、その内径、外径、壁厚、ならびに断面の寸法および形状を含む構造的特徴の点で、選択することによって得ることができる。代表的な例が、下記で詳述する。
力伝達区分30および第1の撓み区域32は、それらのそれぞれの機能に固有である剛性および可撓性特性を有することが望ましいが、力伝達区分30および第1の撓み区域32は、力伝達区分30および第1の撓み区域32が同じ区分を構成するように、同じ材料、サイズ、および形状構成を備えることが可能である。
3.第2の撓み区域
図7A、7B、および7Cに示されるように、細長いシャフト16の遠位端領域20はまた、任意に、第1の撓み区域32に対して遠位に、第2の撓み区域34を含んでもよい。幾つかの実施形態では、エネルギー送達要素24は、第2の撓み区域34によって支持されてもよい。第2の撓み区域という用語は、偏向可能な区分または中間撓み区域または偏向可能な管状体または多方向に偏向可能なアセンブリと交換可能に使用され得ることが理解されるべきである。
第2の撓み区域34は、第1の撓み区域32から独立して、好ましい接触角度α2で、破損、折り畳み、実質的なゆがみ、または有意なよじれを伴わずに、更なる撓みまたは屈曲に応じるサイズにされ、そのように構成され、かつそのような機械的特性を有する。第2の撓み区域34はまた、遠位端領域20が、ガイドカテーテルを一直線にすることなく、ガイドカテーテルを介して腎動脈中へと前進するのに十分な撓みに応じるべきである。第2の撓み区域34は、幾つかの実施形態では、多方向に制御可能な偏向のために構成されてもよい。
好ましい接触角度α2は、エネルギー送達要素24とそれぞれの腎動脈の内壁との間の接触を確立するために、エネルギー送達要素24が腎動脈内で径方向に偏向され得る角度によって規定される(図6Bが示すように)。接触角度α2の大きさおよび第2の撓み区域L3の長さは好ましくは、エネルギー送達要素24が静置される場所であり、約2mm〜約10mmの間で変化し得る、それぞれの腎動脈の生来の内径、ならびにエネルギー送達要素24の直径に基づく。腎動脈の直径は、最も一般的には、約2mm〜約8mmの間で変化し、平均直径は、約6mmである。
第2の撓み区域34は、第1の撓み区域32から遠位に、長さL3にわたって、標的の腎動脈中へと延びている(図6Bを参照されたい)。望ましくは、長さL3は、エネルギー送達要素24(遠位端領域20の末端において指示される)を、標的の治療部位にまたはその近くに能動的に配置するために(図6Bが示すように)、腎動脈中へと延びている第1の撓み区域32の長さL2、ならびにそれぞれの腎動脈の解剖学的構造を考慮して選択される。長さL3は、長さL2を考慮して、一般に介護者の部位の知識と一緒に、ヒト解剖学の教本から、あるいは標的の部位の特定の形態学の事前分析から誘導されるように、誘導することができる。
図7Aが示すように、第2の撓み区域34は望ましくは、長さL3が長さL2未満であるサイズにされ、そのように構成される。これは、長さの点で、エネルギー送達要素24を腎動脈の壁と接触するように能動的に偏向させるために必要とされる距離が、大動脈から腎動脈中へのアクセスを得るために細長いシャフト16を屈曲させるのに必要とされる距離よりも有意に短いためである。故に、腎動脈の長さは、大部分が、第1の撓み区域32よりも、第2の撓み区域34によって占有される。
代表的な実施形態では、L2は、約9cm以下であり、L3は、約5mm〜約15mmである。ある種の実施形態では、特に、比較的長い血管中での治療については、L3は、約20mm以下である可能性がある。別の代表的な実施形態では、また下記で詳述するように、L3は、約12.5mm以下である。別の代表的な実施形態では、特に第2の撓み区域がヒンジ継手を備える場合、L3は、3mm以下、約12.5mmである。
カテーテルが患者の外側にあり、第2の撓み区域34が実質的に一直線にあるとき、非偏向された構成、接触角度α2(図7Cに示されているように)は、およそ180°である。第2の撓み区域34が完全に偏向すると、角度α2は、約45°〜180°の間の任意の角度まで低減される。代表的な実施形態では、完全に偏向すると、角度α2は、約75°〜約135°である。別の代表的な実施形態では、完全に偏向すると、角度α2は、約90°以下である。
図7Cの偏向された構成において、第2の撓み区域34は、曲率の半径RoC2を備える。第2の撓み区域34の曲率は変化しないか、または長さL3に沿って一貫している場合の実施形態では、長さL3および偏向角度α2は、曲率の半径RoC2を規定し得る。第2の撓み区域34の曲率、およびそれによって、第2の撓み区域の曲率の半径RoC2は代替的に、長さL3に沿って変化し得ることが理解されるべきである。
曲率が変化しない場合のような実施形態では、長さL3は、同等の曲率の半径RoC2を有する円の外周C2の一部(180°−α2)/360°を規定し得る。故に、このような同等の円の外周は:
(12)
曲率の半径RoC2についての解:
(13)
故に、第2の撓み区域の曲率が長さL3に沿って変化せず、長さL3が約5mm〜約20mmであり、かつ接触角度α2が約75°〜約135°である場合の、第2の撓み区域34の代表的な実施形態では、曲率の半径RoC2は、約3mm〜約25mmである。第2の撓み区域の曲率が長さL3に沿って変化せず、長さL3が約12.5mm、例えば、12.5mm以下であり、かつ角度α2が約75°〜約135°である場合の、第2の撓み区域34の代表的な実施形態では、曲率の半径RoC2は、約7mm〜約16mm、例えば、約15mm以下である。第2の撓み区域の曲率が長さL3に沿って変化せず、長さL3が約12.5mmであり、かつ角度α2が約90°である場合の、第2の撓み区域34の代表的な実施形態では、曲率の半径RoC2は、約8mmである。
明らかであるように、方程式(13)は、長さL3および曲率の半径RoC2が接触角度α2を規定するように組み替えられてもよい。更に、方程式(13)は、曲率の半径RoC2および角度α2が長さL3を規定するように、組み替えられてもよい。故に、第2の撓み区域の曲率34が長さL3に沿って変化しない場合の実施形態では、長さL3、角度α2、および曲率の半径RoC2のうちのいずれか1つは、他の2つの変数を指定することによって指定され得る。
図7Cの偏向された構成において、第2の撓み区域34は、エネルギー送達要素24を、第1の撓み区域32の直ぐ遠位の第2の撓み区域34の長手方向の軸Aから寸法Yで位置決めする。寸法Yは、約2mm〜約20mmで変化する可能性がある。幾つかの構成において、ほとんどの腎動脈の寸法を所与として、寸法Yは、約5mm〜約15mmである可能性がある。ほとんどの腎動脈の平均直径は、下記に記載されるように、一般に10mm未満であり、寸法Yが10mm以下であることが望ましい場合がある。例えば、Y寸法は、6mmもしくは8mm、または6mm〜10mmの間であり、かつそれらを含む、任意の長さである可能性がある。
例として、ヒト腎動脈の平均直径は、約2mm〜約8mmであるが、約2mm〜約10mmの範囲であってもよい。したがって、第1の撓み区域32の遠位端が、8mm直径を有する動脈の壁に隣接して位置決められる場合、第2の撓み区域34は、エネルギー送達要素24が動脈の反対側の壁に接触するのに十分に偏向することが可能であろう。しかしながら、他の実施形態では、寸法Yは、異なる値を有してもよく、一直線のまたは湾曲した血管中での接触を促進するために、過大のサイズにされてもよい。第2の撓み区域34もまた、エネルギー送達要素24を、第1の撓み区域32の遠位端から寸法Xで位置決めするように構成される。寸法Xは、例えば、寸法Yおよび長さL3に基づいて異なる可能性がある。
図7Cが示すように、第1および第2の撓み区域32および34を有して、細長いシャフト16の遠位端領域20は、使用中に、複雑な多重屈曲構造体36へと配置することができる。複雑な多重屈曲構造体36は、長さL2(第1の撓み区域32)にわたってアクセス角度α1での1つの偏向領域、および長さL3(第2の撓み区域34)にわたって接触角度α2での第2の偏向領域を備える。複雑な多重屈曲において、L2およびL3ならびに角度α1および角度α2の両方は、異なる可能性がある。これは、角度α1および長さL2が、大腿動脈アクセス点を通じて大動脈からそれぞれの腎動脈中へのアクセスを得るように特別なサイズにされ、そのように構成され、また角度α2および長さL3が、エネルギー送達要素24を腎動脈内側の内壁と揃えるように特別なサイズにされ、そのように構成されるためである。
例示の実施形態では(例えば、図7Cを参照されたい)、第2の撓み区域34は、介護者が、エネルギー送達要素24を腎動脈の内壁と接触して径方向に位置決めするために、腎動脈内で第2の撓み区域34を遠隔で偏向させることを可能にするようなサイズにされ、そのように構成される。
例示の実施形態では、制御機構が第2の撓み区域34に連結される。制御機構は、第2の撓み区域34の遠位端に取り付けられた制御ワイヤー40を含む(代表的な実施形態は、図12Bおよび12Cに示され、下記で詳述する)。制御ワイヤーという用語は、撓み制御要素と交換可能に使用され得ることが理解されるべきである。制御ワイヤー40は、細長いシャフト16を通じて近位に通行させられ、ハンドルアセンブリ200上の発動装置260(撓み制御装置とも呼ばれる)に連結される。発動装置260の作動(例えば、介護者が発動装置260上で近位に引くか、またはそれを前方に押すことによって)は、制御ワイヤー40を引き戻して、第2の撓み区域34に圧縮力および屈曲力を適用し(図7Cおよび12Cが示すように)、屈曲をもたらす。第2の撓み区域34の任意の方向バイアスをかけられた剛性と組み合わせた圧縮力(下記に更に記載される)は、第2の撓み区域34を偏向させ、それによって、エネルギー送達要素24を腎動脈の内壁に向かって径方向に動かす(図6Bが示すように)。
望ましくは、下記で詳述するように、細長いシャフト16の遠位端領域20は、第2の撓み区域34の剛性をその外周の周りで変化させるようなサイズにされ、そのように構成される可能性がある。可変の外周剛性は、第2の撓み区域34に優先的および方向的な屈曲を付与する(すなわち、方向バイアスをかけられた剛性)。発動装置260の作動に対応して、第2の撓み区域34は、単一の優先的な方向に屈曲するように構成されてもよい。この特徴を例示する代表的な実施形態は、下記で詳述する。多方向的な屈曲を示す更なる代表的な実施形態もまた、下記で詳述する。
圧縮力および屈曲力、ならびに第2の撓み区域34の偏向からの結果として生じる方向的な屈曲は、第2の撓み区域の軸方向の剛性を変化させる事象をもたらす。制御ワイヤー40の発動は、第2の撓み区域の軸方向の剛性を増加させる機能を果たす。後に記載されるように、偏向された第2の撓み区域の軸方向の剛性は、カテーテル治療機器の遠位端領域の他の可撓性側面と組み合わせて、腎動脈神経調節治療において好ましい性能を可能にする。
軸方向の剛性および捩れ剛性の点で、第2の撓み区域34の機械的特性は、第1の撓み区域32の機械的特性から異なる可能性があり、望ましくは異なる。これは、第1の撓み区域32および第2の撓み区域34が、使用中に異なる機能を果たすためである。
第1の撓み区域32は、軸方向の負荷およびトルクを、第2の撓み区域34(L3)よりも長い長さ(L2)にわたって伝達する機能を果たす。重要なことに、第2の撓み区域34もまた、介護者によって、腎動脈内で遠隔で偏向されるようなサイズにされ、そのように構成される。この方式においては、偏向に対する低い抵抗性が、望ましい。これは、第1の撓み区域32が行う必要のない機能である。したがって、第2の撓み区域34は望ましくは、第1の撓み区域32よりも剛性が低く(制御ワイヤー40が発動されないとき)、かつ重要なことに、少なくとも1つの運動平面上で第1の撓み区域32よりも高い可撓性を有するようなサイズにされ、そのように構成される。
それでも、第1の撓み区域32に遠位にある第2の撓み区域34が、アクセス角度アクセス角度α1を通じて第1の撓み区域32に先行するため、第2の撓み区域34はまた、好ましいアクセス角度α1で、細長いシャフト16の破損、折り畳み、実質的なゆがみ、または有意なよじれを伴わずに、その撓みまたは屈曲に応じる機械的特性も含む。
第2の撓み区域34のための軸方向の剛性、回転剛性、および可撓性の所望の大きさは、可撓性の指標である、所望の弾性モジュラス(例えば、ヤング率(E)の単位で表される)を提供するための構成物質(単数または複数)の選択、ならびに第2の撓み区域34の構築および構成を、例えば、その内径、外径、壁厚、ならびに断面の寸法および形状を含む構造的特徴の点で、選択することによって得ることができる。代表的な例が下記で詳述する。軸方向の剛性、捩れ剛性、および可撓性は、慣習的な方法で測定し、特徴付けることができる特性である。
前述のように、第1および第2の撓み区域32および34の両方は望ましくは、エネルギー送達要素24に軸方向の位置決め力を伝達するのに十分な、軸方向の剛性の機械的特性を含む。ハンドルアセンブリ200上で引くことによって、軸方向の力が力伝達区分30によって伝達されて、第1および第2の撓み区域32および34は、エネルギー送達要素24を腎動脈内で近位方向に(腎臓から離れて)後退させる。同様に、ハンドルアセンブリ200上で前方に押すことによって、軸方向の力が力伝達区分30によって伝達されて、第1および第2の撓み区域32および34は、エネルギー送達要素24を腎動脈内で遠位方向(腎臓に向かって)に前進させる。故に、腎動脈内での遠位端領域20およびエネルギー送達要素24の近位の後退は、介護者が血管内経路14の外側からハンドルアセンブリ200またはシャフトを操作することによって、達成することができる。
前述のように、第1および第2の撓み区域32および34の両方はまた、望ましくは、第2の撓み区域34が偏向されるときにエネルギー送達要素24が血管壁の外周と並ぶように、治療機器12の遠位端領域20を回転させるのに十分な回転トルクの伝達を可能にする捩れ強度特性を含む。血管壁接触を達成するようにエネルギー送達要素24を偏向させるために、発動装置上で引くかまたは押し、次いで力伝達区分30、ならびにそれと共に第1および第2の撓み区域32および34を回転させることによって、エネルギー送達要素24を、腎動脈内の外周経路で回転させることができる。後に記載されるように、この回転特徴は、エネルギー送達要素24が別の治療部位に再配置されているときに、臨床オペレータが血管壁接触を維持することを可能にする。治療の合間に壁接触を維持することによって、臨床オペレータは、その後の治療において、不十分な可視化での配向においてより高い確信度を持って、壁接触を達成することが可能である。
4.第3の撓み区域
図7A、7B、7C、および7Dが示すように、細長いシャフト16の遠位端領域20はまた、任意に、任意の第2の撓み区域34に遠位に、第3の撓み区域44を含んでもよい。第3の撓み区域は、遠位撓み区域および力減衰区分と交換可能に使用されてもよい。この構成においては、第2の撓み区域34の長さL3は、第3の撓み区域44の長さを備える長さL4の分だけ短縮されてもよい。この構成においては、エネルギー送達要素24は、第3の撓み区域44の末端部において指示される。
図7Dが示すように、第3の撓み区域44は、第1の撓み区域32および第2の撓み区域34から独立して、好ましい処置角度α3での更なる撓みまたは屈曲に応じるサイズにされ、そのように構成され、かつそのような機械的特性を有する。第3の撓み区域44はまた、遠位端領域20が、ガイドカテーテルを一直線にするか、または血管への損傷を引き起こすことなく、ガイドカテーテルを介して腎動脈中へと前進するのに十分な撓みに応じるべきである。処置角度α3は、遠位端領域20の軸の周りでの有意な撓みを提供する(代表的な実施形態は、図15Cに示される)。医師の直接制御下になく、第3の撓み区域における撓みは、第2の撓み区域34におけるエネルギー送達要素24の径方向の偏向によって引き起こされる、エネルギー送達要素24と壁組織との間の接触に応答して生じる(図6Bを参照されたい)。第3の撓み区域の受動的偏向は、血管壁の接触の蛍光透視または他の血管造影ガイダンスを介して(図46A〜46Eに示されるように)、臨床オペレータに可視的なフィードバックを提供する。更に、第3の撓み区域は望ましくは、組織接触の領域をエネルギー送達要素24の一側面に沿って配向させ、それによって接触の面積を増加させる。第3の撓み区域44はまた、組織に対してエネルギー送達要素24にバイアスをかけ、それによってエネルギー送達要素24を安定化する。
第3の撓み区域44の機能は、更なる便益を治療法に提供する。制御ワイヤー40の発動が第2の撓み区域34を偏向させ、エネルギー送達要素24を動脈の内壁に対して圧迫するとき、第3の撓み区域は、エネルギー送達要素24と血管壁との間の接触力を効果的に減衰させる。この効果は、呼吸および/または拍動流によって引き起こされる腎動脈の動作に起因して、腎動脈治療に特に役立つ。第1の撓み区域の可撓性は、呼吸中に治療カテーテルの遠位端領域が腎動脈の動作に従うことを可能にする一方で、偏向された第2の撓み区域の増加された軸方向の剛性は、遠位端領域に対して、エネルギー送達要素と血管壁との間の接触を維持するために役立つ統合性を提供する。第3の撓み区域は、非外傷性接触が、特に腎動脈の動作中に達成または維持され得るように、接触力和らげるか、または緩衝する一助となる。この接触力を減衰させることによって、第3の撓み区域は、血管壁への機械的損傷の機会を最小化し、エネルギー送達要素と血管壁との間の過度の接触を回避する(活性表面積の考察を参照されたい)。
図7Aが示すように、第3の撓み区域44は望ましくは、長さL4が長さL3未満であるサイズにされ、そのように構成される。これは、長さの点で、エネルギー送達要素24を腎動脈の壁と接触するように配向し、安定化するために必要とされる距離が、腎動脈内でエネルギー送達要素24を径方向に偏向させるのに必要とされる距離よりも有意に短いためである。幾つかの実施形態では、長さL4は、約1cm程度までに長い可能性がある。他の実施形態では、長さL4は、約2mm〜約5mmである。1つの代表的な実施形態では、長さL4は、約5mm以下である。別の代表的な実施形態では、長さL4は、約2mm以下である。偏向可能な区分34がヒンジ継手からなる場合の、別の代表的な実施形態では、長さL4は、約16mm以下であり、この実施形態では、それは偏向可能な区分34の長さL3よりも長い可能性がある。
カテーテルが患者の外側にあり、第3の撓み区域44が、実質的に一直線にあるとき、非偏向された構成、処置角度α3(図7Dに示されているように)は、およそ180°である。第3の撓み区域44が完全に偏向すると、角度α3は、約45°〜180°の間の任意の角度まで低減される。代表的な実施形態では、完全に偏向すると、角度α3は、約75°〜約135°である。別の代表的な実施形態では、完全に偏向すると、角度α3は、約90°である。
図7Dの受動的に偏向された構成において、第3の撓み区域44は、曲率の半径RoC3を備える。第3の撓み区域44の曲率が変化しないか、または長さL4に沿って一貫している場合の実施形態では、長さL4および偏向角度α3は、曲率の半径RoC3を規定し得る。第3の撓み区域44の曲率、およびそれによって、第3の撓み区域の曲率の半径RoC3は代替的に、長さL4に沿って変化し得ることが理解されるべきである。
曲率が変化しない場合のような実施形態では、長さL4は、同等の曲率の半径RoC3を有する円の外周C3の一部(180°−α3)/360°を規定し得る。故に、このような同等の円の外周は:
(14)
曲率の半径RoC2についての解:
(15)
故に、第3の撓み区域の曲率が長さL4に沿って変化せず、長さL4が約2mm〜約5mmであり、かつ接触角度α3が約75°〜約135°である場合の、第3の撓み区域44の代表的な実施形態では、曲率の半径RoC3は、約1mm〜約6mmである。
明らかなように、方程式(15)は、長さL4および曲率の半径RoC3が接触角度α3を規定するように組み替えられてもよい。更に、方程式(15)は、曲率の半径RoC3および角度α3が長さL4を規定するように、組み替えられてもよい。故に、第3の撓み区域の曲率44が長さL4に沿って異ならない場合の実施形態では、長さL4、角度α3、および曲率の半径RoC3のうちのいずれか1つは、他の2つの変数を指定することによって指定され得る。
軸方向の剛性、捩れ剛性、および可撓性の点で、第3の撓み区域44および第2の撓み区域34の機械的性質は、同程度である可能性がある。しかしながら、第3の撓み区域44は、第2の撓み区域34よりも剛性が低く、かつ重要なことに、それよりも高い可撓性を有するようなサイズにされ、そのように構成される。
直前に記載した実施形態では(および図7Dに示されているように)、遠位端領域20は、第1のまたは近位撓み区域32、第2の撓み区域34、および第3の撓み区域44を備えてもよい。第1、第2、および第3の撓み区域は、細長いシャフト16の遠位端領域20が、使用中に、より複合の複雑な多重屈曲構造体36中に配置され得るように、相互に独立して機能する。複合の複雑な多重屈曲構造体36は、長さL2(第1の撓み区域32)にわたってアクセス角度α1での第1の偏向領域、長さL3(第2の撓み区域34)にわたって接触角度α2での第2の偏向領域、および長さL4(第3の撓み区域44)にわたって処置角度α3での第3の偏向領域を備える。複合の複雑な多重屈曲構造体36において、全ての長さL2、L3、およびL4、ならびに全ての角度α1、α2、およびα3は、異なる可能性がある。これは、角度α1および長さL2が、大腿動脈アクセス点を通じて大動脈からそれぞれの腎動脈中へのアクセスを得るように特別なサイズにされ、そのように構成され、角度α2および長さL3が、エネルギー送達要素24を腎動脈内側の内壁と揃えるように特別なサイズにされ、そのように構成され、また角度α3および長さL4が、組織とエネルギー送達要素との間の接触を最適化するように特別なサイズにされ、そのように構成されるためである。
遠位端領域20の、それぞれ第1、第2、および第3の撓み区域の、L2、L3、およびL4の複合的な長さは、力伝達区分30の長さL1およびエネルギー送達要素24の長さL5(図8Aを参照されたい)と共に(すなわち、L1+L2+L3+L4+L5に等しい複合的な長さ)、治療機器12の細長いシャフト16の作業長を指定する。幾つかの代表的な実施形態では、この作業長は、約40cm〜約125cmである。ガイドカテーテルが使用されない場合の代表的な実施形態では、この作業長は、約40cm〜約50cmであってもよい。代替的に、55cm長のガイドカテーテルが使用される場合には、この作業長は、約70cm〜約80cmであってもよい。代替的に、90cm長のガイドカテーテルが使用される場合には、この作業長は、約105cm〜約115cmであってもよい。
C.腎動脈中での神経調節を達成するためのエネルギー送達要素のサイズおよび構成
患者によっては、腎動脈の長手方向の軸に沿って外周的に離間された多数の巣状病変を作り出すことが望ましい場合がある。しかしながら、所望の長手方向の寸法および/もしくは外周寸法を有する単一の巣状病変、1つ以上の全周病変、一般的な長手方向の位置で多数の外周的に離間された巣状病変、ならびに/または代替的にもしくは更に、一般的な外周位置で多数の長手方向に離間された巣状病変が作り出されてもよいことが理解されるべきである。
腎動脈の長手方向の軸に沿って外周的に離間された多数の巣状病変を作り出すことは、全周病変の作成を回避し、それによって血管狭窄の危険性を低減する一方で、依然として、腎動脈の周りに分配される腎神経叢を外周的に治療する機会を提供する。腎神経叢に作用する見込みを増加させるために、各病変が、血管外周の少なくとも10%をカバーすることが望ましい。しかしながら、狭窄効果の危険性(または血栓形成もしくは付帯的損傷等の他の望ましくない治癒応答)が増加しないように、各病変が大きすぎ(例えば、血管外周の60%超)ないことが重要である。一実施形態では、エネルギー送達要素24は、血管外周の少なくとも30%(すなわち、30%以上)の病変を作り出すように構成される。別の実施形態では、エネルギー送達要素24は、血管外周の30%以上であるが、60%未満の病変を作り出すように構成される。外膜中におよび外膜を超えて浸透して、それによって腎神経叢に作用するために、各病変が十分に深いこともまた重要である。しかしながら、深すぎる(例えば、5mm超)病変は、非標的組織および組織構造(例えば、腎静脈)を妨げる危険を冒すため、制御された深度の熱処理が望ましい。
下記でより詳細に記載されるように、エネルギー送達要素24が、腎神経叢を治療するために動脈の内壁と接触して位置決められるように、エネルギー送達要素24は、腎動脈内の第1の治療部位に送達されてもよい(図43Cを参照されたい)。一旦、所望に応じて動脈内に位置決められると、エネルギーは、この第1の治療部位で第1の巣状病変を作り出すために、エネルギー送達要素を介して送達されてもよい(図43Dを参照されたい)。第1の巣状病変は、壁に対してまたは動脈の長手方向の軸に対して垂直な放射面または断面における腎動脈の外周の周囲で完全に連続的ではない、第1の治療区域98aを作り出す(すなわち、第1の巣状病変は、血管壁の外周の周囲全体を通じては延びない)。結果として、動脈の長手方向の軸に対して垂直な第1の治療区域の放射面における動脈の外周の周りで、個別的な治療されない区域が存在する。
第1の治療区域98aにおける第1の巣状病変の形成後、エネルギー送達要素24は、任意に、腎動脈に対して角度的に再位置決め(angularly repositioned)されてもよい(図43Eおよび43Fを参照されたい)。この角度的な再位置決め(angular repositioning)は、例えば、治療機器12の細長いシャフト16を、ハンドルアセンブリ200を介して角度的に回転(angularly rotating)させることによって達成され得る(図16Aを参照されたい)。エネルギー送達要素24の角度的な再位置決め(angular repositioning)に加えて、エネルギー送達要素は、任意に、腎動脈の縦方向または長手方向の寸法に沿って再位置決めされてもよい(図43Eを参照されたい)。この長手方向の再位置決めは、例えば、治療機器12の細長いシャフト16を、ハンドルアセンブリ200を介して並進させることによって達成され得、エネルギー送達要素24の角度的な再位置決め(angular repositioning)の前、後、またはそれと同時に生じ得る。
エネルギー送達要素24を、長手方向の寸法および角度寸法の両方で再位置決めすることにより、エネルギー送達要素は、腎神経叢を治療するために、第2の治療部位における腎動脈の内壁と接触して配置される(図43Eを参照されたい)。エネルギーは次いで、この第2の治療部位において第2の巣状病変を形成するために、エネルギー送達要素を介して送達されてもよく、それによって第2の治療区域98bおよび第2の治療されない区域を作り出す(図43Fを参照されたい)。
第1の巣状病変によって作り出される第1の治療区域と同様に、第2の治療区域は、腎動脈の完全な外周の周りで連続的でない。しかしながら、第1および第2の治療区域(ならびに第1および第2の治療されない区域)は、それぞれ、腎動脈の角度寸法および縦方向の寸法の周りで、互いから角度的に(angularly)および長手方向にずれて位置する(図43Gを参照されたい)。共通の断面の周りで、腎動脈の異なる断面または放射面に沿って位置決められる、第1および第2の治療区域を重ね合わせることは、いずれかの治療区域を個々にカバーするよりも、動脈の外周の大きい部分をカバーする、複合的な治療区域を提供する。この複合的な治療区域は、連続的でない(すなわち、それは多数の長手方向および角度的に離間した治療区域から形成される)ため、単一の治療部位における(すなわち、腎動脈の単一の縦方向の位置における、または単一の断面の周りの)動脈外周の同等の部分をカバーする単一の巣状病変の形成と比較して、血管狭窄の危険性を低減しながら、動脈壁の外周のより大きい部分が治療され得ることが予想される。
任意に、更なる角度的に(angularly)および長手方向に離間した治療区域を作り出すために、1つ以上の更なる角度的に(angularly)および長手方向に離間した治療部位において、1つ以上の更なる巣状病変が形成されてもよい(図43G〜43Kを参照されたい)。1つの代表的な実施形態では、治療区域の全てまたはその一部分の重ね合わせは、非連続的であるが(すなわち、腎動脈の縦方向の寸法または長手方向の軸に沿って細分化される)、なおも実質的に外周的である(すなわち、動脈の縦方向のセグメントにわたる腎動脈の外周の周囲全体を通じて実質的に延びている)、複合的な治療区域を提供する。この重ね合わされた治療区域は有益なことに、動脈に対して垂直な、任意の個々の放射面または断面に沿って連続的な外周病変を作り出さず、それは、このような連続的な外周病変を作り出す外周治療と比較して、急性または遅発性狭窄形成の危険性を低減し得る。
エネルギー送達要素(複数可)を、多数の縦方向の場所に沿って異なる角度配向において位置決めすることによる非連続的な外周の治療は、動脈の縦方向の寸法に沿って実質的に伝播する解剖学的構造に優先的に作用し得る。このような解剖学的構造は、神経線維(例えば、腎神経叢)を支持する、神経線維および/または構造である可能性がある。更に、このような非連続的な外周の治療は、平滑筋細胞等の、動脈の角度寸法の周りで伝播される構造において誘発される、潜在的に望ましくない効果を軽減または低減し得る。仮に、連続的な外周病変が代替的に形成されるとすれば、動脈に対する平滑筋細胞の角度配向または外周配向は、急性もしくは遅発性狭窄または急性血管攣縮の危険性を増加させ得る。
図6Cおよび6Dにあるもの等の、多数のエネルギー送達要素構成(例えば、多重電極構成)において、多数の非連続的な外周の治療区域は、腎動脈内での単一のカテーテル配置中に作り出すことができる。多数のエネルギー送達要素は、それらが互いから長手方向および角度的に離間されるように、またそれらが長手方向にずれ、角度的に対向(angularly opposed)もしくはずれて位置する治療区域を作り出すように離間され、そのように位置する可能性がある。治療機器12の後退および回転は、更なる長手方向におよび角度的に(angularly)分離した治療区域を作り出すために、エネルギー送達要素を再位置決めすることができ、それによって開業医の、1回のカテーテル配置当たり多数の治療区域、および2回のみのカテーテル配置を介した複数の治療区域を作り出す能力を可能にする。
幾つかの実施形態では、図26に関して後述するように、治療機器12の遠位端領域20は、多数の熱的加熱要素がその長さに沿って位置決められる、螺旋状に偏向された構成を備えてもよい。腎動脈内で螺旋状に偏向された構成において位置決められるとき、多数の熱的加熱要素24は、動脈の壁と接触している遠位端領域の長手方向の長さに沿って、外周的に離間されてもよい。幾つかの実施形態では、非連続的な外周の治療は、遠位端領域20の角度的なまたは長手方向の再位置決めを伴わずに、単一のカテーテル配置を介して達成されてもよい。
記載されるように(および図8Aが示すように)、エネルギー送達要素24は、使用中に、腎動脈の内壁に接触するようなサイズにされ、そのように構成される。例示の実施形態では(図8Aを参照されたい)、エネルギー送達要素24は、発生器26からの高周波(RF)エネルギーを備える電場を血管壁に適用するようなサイズにされ、そのように構成される、電極46の形態をとる。例示の実施形態では、電極46は、単極(monopolar)または単極(unipolar)モードで作動させられる。この方式においては、適用されるRF電場のための復路は、例えば、不関電極または中性電極とも呼ばれる、外部伝播(dispersive)電極(図6Aで38として示される)によって確立される。RF電場エネルギーの単極適用は、電極46の近傍の組織をオーム加熱または抵抗加熱する機能を果たす。RF電場の適用は、組織を熱損傷する。治療目的は、標的の神経線維中での神経調節(例えば、壊死、熱変質、または切除)を熱的に誘発することである。熱的損傷は、血管壁において病変を形成し、それは、例えば、図9Bに示される。代替的に、RF電場は、組織を熱損傷しない振動強度で送達することができ、それによって、標的の神経における神経調節は、神経シグナルの電気改質によって達成される。
エネルギー送達要素24または電極46と、血管壁との間の接触の活性表面積(ASA)は、腎神経叢(RP)中の標的の神経線維に熱的に作用するための、血管壁を横切る熱エネルギー場の転送の効率および制御に大きく関係する。エネルギー送達要素24および電極46の活性表面積は、組織に対して密接に接触して配置され得る、要素24または電極46のエネルギー伝達面積として規定される。エネルギー送達要素と血管壁との間の過度の接触および/または過度のパワーは、組織とエネルギー送達要素との間の界面においてまたはその周囲で、不当に高い温度を作り出す場合があり、それによってこの界面における過度の熱生成、ならびに/または血管壁の攣縮および収縮を作り出す。この過度の熱はまた、外周的に大きすぎる病変を作り出す可能性もあり、狭窄の危険性を増加させる。この過度の熱はまた、血管壁における望ましくない熱的損傷につながる可能性もあり、それは血管組織を硬直させ、乾燥させ、それを穿刺および穿孔により敏感にさせる。更に、組織乾燥(すなわち、脱水)は、組織の電気伝導性および熱伝導性を低減する。低減された伝導性は、潜在的に、神経線維に到達するには浅すぎる病変を作り出す場合があり、また過度の熱の蓄積をもたらす場合もあり、血管壁に対して増加されたおよび望ましくない損傷を引き起し、血栓形成の可能性を増加させる。過度の壁接触および加熱の危険性は多いが、エネルギー送達要素と血管壁との間の少なすぎる接触は、治療の有効性を損なう場合がある。例えば、少なすぎる接触は、血管壁の表在性の加熱をもたらし得、それによって、標的腎神経線維に到達するには小さすぎる(例えば、血管外周の10%未満)および/または浅すぎる病変を作り出す。
エネルギー送達要素24および電極46の活性表面積(ASA)が、望ましいサイズおよび深度の病変を作り出すために重要である一方で、エネルギー送達要素24および電極46の活性表面積(ASA)と総表面積(TSA)との間の比率もまた、重要である。ASA対TSA比は、次の2つの方法で病変形成に影響を及ぼす:(1)電場を介した抵抗加熱の度合い、および(2)血流または注射もしくは注入食塩水等の他の対流性冷却要素の効果。上述のように、RF電場は、電場に曝露された組織の抵抗加熱を介して病変形成を引き起こす。ASA対TSA比が高いほど(すなわち、電極と組織との間のより大きい接触)、抵抗加熱は大きくなる。下記により詳細に述べるように、電極(TSA−ASA)の曝露部分にわたる血液の流動は、電極の伝導性および対流性冷却を提供し、それによって過剰の熱エネルギーを血管壁と電極との間の界面から運び去る。ASA対TSAの比率が高すぎる(例えば、50%)場合、組織の抵抗加熱は、積極的すぎる可能性があり、十分な過剰の熱エネルギーが運び去られず、過度の熱生成、ならびに狭窄損傷、血栓形成、および望ましくない病変サイズの可能性の増加をもたらす。ASA対TSAの比率が低すぎる(例えば、10%)場合、組織の抵抗加熱が少なくなりすぎ、それによって表在性の加熱およびより小さくより浅い病変をもたらす。
エネルギー送達要素24に対する種々のサイズ制約が、臨床的理由で、ガイドカテーテルの最大の所望の寸法によって、ならびに腎動脈自体のサイズおよび解剖学的構造によって課せられる場合がある。典型的には、電極46の最大外径(または非円形の断面についての断面の寸法)は、ハンドルアセンブリ200に遠位の細長いシャフト16の長さに沿って遭遇する最大の直径を備える。故に、力伝達区分30、第1、第2、および第3の撓み区域32、34、および44の外径は、電極46の最大外径に等しいか、または(望ましくは)その最大外径未満である。
図8Aに示される代表的な実施形態では、電極46は、その直径よりも大きい長さL5を有する、直円柱の形態をとる。電極46は更に望ましくは、非外傷性末端表面48を形成するように丸くされた遠位領域を含む。図8Bに示される代表的な実施形態では、電極46は、長さL5が電極の直径に等しいような、球状の形である。球形も、組織界面に非外傷性表面を提示する。
図8Aおよび8Bに示されるように、遠位撓み区域44の角度α3および長さL4は、それぞれの電極のTSAを所与として、組織とそれぞれの電極46(ASA)との間の接触の活性表面積を最適化するような特別なサイズにされ、そのように構成される。遠位撓み区域44の角度α3および長さL4は、電極46の少なくとも一側面の四分円50を、組織に寄せて望ましく置くことを可能にするが(図8Cを参照されたい)、電極46は、パワー送達前に、必ずしもその一側面の四分円50が組織に寄せられるように位置決められる必要はないことが理解されるべきである。代表的な実施形態では、組織(ASA)に接触する電極46の活性表面積は、ASA≧0.25TSAおよびASA≦0.50TSAとして表され得る。
低減されたパワー送達プロフィールにより、50%を超えるASA対TSA比が有効であり得る。代替的に、電極の伝導性または対流性冷却を増加させることにより(例えば、強制冷却を介して)、より高いASA対TSA比を補償することができる。下記で詳述するように、これは、食塩水(例えば、室温の食塩水または冷えた食塩水)等の冷却流体を、電極上および血流中に注射または注入することによって達成される可能性がある。
第2および第3の撓み区域34および44の各々の剛性もまた、電極を介して、電極46を血管壁組織とほぼ確実に接触させて位置決めする安定化力を適用するよう選択される。この安定化力はまた、エネルギー送達要素(すなわち、ASA対TSA比)によって達成される壁接触の量にも影響を及ぼす。より大きい安定化力では、エネルギー送達要素は、より多くの壁接触を有し、より少ない安定化力では、より少ない壁接触が達成される。安定化力の更なる利点には、(1)血管壁への機械的損傷の危険性を最小化するために、遠位端20と血管壁との間の接触力を軟化させること、(2)電極46の血管壁に対する一貫した位置決め、および(3)電極46を血管壁に対して安定化させること、が含まれる。第1の撓み区域および第2/第2の撓み区域の組み合わされた効果に関して上述されるように、この安定化力は、呼吸中の腎動脈の動作中であっても、カテーテル治療機器が、血管壁との一貫した接触を維持することを可能にする。安定化力はまた、電極が壁との接触から除去された後に、電極が中性位置に戻ることを可能にする。
前述のように、臨床的理由のために、電極46の最大外径(または断面の寸法)は、血管内経路14を通過するべき細長いシャフト16の通路となる、ガイドカテーテルの最大内径によって制約される。8フレンチガイドカテーテル94(およそ0.091インチの内径を有する)は、臨床的観点から、腎動脈にアクセスするために使用される最大の所望のカテーテルであることを想定し、かつ電極46とガイドカテーテルとの間の妥当なクリアランス耐性を許容すると、電極46の最大直径は、約0.085インチに制約される。8フレンチガイドカテーテルの代わりに6フレンチ(French)のガイドカテーテル使用される場合には、電極46の最大直径は、約0.070インチに制約される。5フレンチガイドカテーテル使用される場合には、電極46の最大直径は、約0.053インチに制約される。これらの制約および前述のパワー送達考慮事項に基づいて、電極46は望ましくは、約0.049〜約0.051インチの最大外径を有する。電極46はまた、望ましくは、十分な冷却および病変サイズを提供するために、約0.020インチの最小外径を有する。幾つかの実施形態では、電極46(すなわち、エネルギー送達要素24)は、約1mm〜約3mmの長さを有してもよい。エネルギー送達要素が抵抗加熱要素である場合の幾つかの実施形態では、それは、約0.049〜0.051インチの最大外径および約10mm〜30mmの長さを有する可能性がある。
D.エネルギー送達要素を介してエネルギーを組織に適用する
再び図5を参照すると、例示の実施形態では、発生器26は、電極46にパルスまたは連続RF電場を供給し得る。RFエネルギーの連続的な送達が望ましいが、パルスでの熱エネルギーの適用は、相対的により高いエネルギーレベル(例えば、より高いパワー)、より長いもしくはより短い総持続時間、および/またはよりよく制御された血管内腎神経調節療法の適用を可能にし得る。パルスエネルギーはまた、より小さい電極の使用を可能にし得る。
温熱療法は、例えば、温度センサ(例えば、熱電対、サーミスタ等)、インピーダンスセンサ、圧力センサ、光学センサ、流動センサ、化学センサ、力センサ、歪みセンサ等の1つ以上のセンサ52により収集されたデータを介して、監視および制御されてもよい(図9Aおよび9Bを参照されたい)。センサ(複数可)52は、電極46中もしくはその上に、かつ/または遠位端領域20上の隣接域中/その上に組み込まれてもよい。
有利なことに、第2の撓み区域34は、制御された様態で偏向するため、治療中に組織に接触する電極46の表面は知られ得る。したがって、センサ(複数可)52は、センサ(複数可)が、治療部位において組織と接触しているかどうか、かつ/または血流に面しているかどうかを指定する様態で電極中に組み込まれてもよい。組織および血流に対するセンサ配置を指定する能力は、血流に面する側から血管壁と接触している側の電極にわたった温度勾配が最大約15℃であり得るため、非常に有意である。他の感応データ(例えば、流動、圧力、インピーダンス等)における電極にわたった有意な勾配もまた、予想される。
センサ(複数可)52は、例えば、パワーおよびエネルギー送達中に、治療部位において血管壁に接触する電極の側面上に組み込まれてもよく(図9Bを参照されたい)、電極の先端中に組み込まれてもよく、エネルギー送達中に、血流に面した電極の対向側面上に組み込まれてもよく(図9Aを参照されたい)、かつ/または電極のある種の領域内(例えば、遠位、近位、四分円等)に組み込まれてもよい。幾つかの実施形態では、多数のセンサが、電極に沿ったおよび/または血流に対する多数の位置において提供されてもよい。例えば、複数の外周的におよび/または長手方向に離間されたセンサが提供されてもよい。一実施形態では、第1のセンサは、治療中に血管壁に接触してもよく、第2のセンサは、血流に面してもよい。
更にまたは代替的に、種々のマイクロセンサを使用して、エネルギー送達要素、血管壁、および/またはエネルギー送達要素を横切って流動する血液に対応するデータを獲得することができる。例えば、数々のマイクロ熱電対および/またはインピーダンスセンサを実装して、エネルギー送達要素または治療機器の他の部分に沿って、データを獲得することができる。センサデータは、エネルギーの送達前に、それと同時に、もしくはその後に、または該当する場合、エネルギーのパルスの合間に、獲得または監視することができる。監視されたデータは、治療法をよりよく制御するため、例えば、治療を継続するべきか中止するべきかを決定するために、フィードバックループで使用されてもよく、またそれは、増加もしくは低減されたパワーの制御された送達、またはより長いもしくはより短い持続期間の治療法を促進し得る。
非標的組織は、過剰の熱エネルギーを運び去る伝導性および/または対流性熱シンクとしての機能を果たす、それぞれの腎動脈内での血流(F)によって保護されてもよい。例えば(図9Aおよび9Bが示すように)、血流(F)は、細長いシャフト16およびそれが担持する電極46によって遮断されないため、それぞれの腎動脈中での血液の生来の循環は、過剰の熱エネルギーを非標的組織およびエネルギー送達要素から除去する機能を果たす。血流による過剰の熱エネルギーの除去はまた、より高いパワーの治療を可能にし、ここで更なるパワーは、熱エネルギーが電極および非標的組織から運び去られるとき、標的組織に送達することができる。このようにして、血管内送達型熱エネルギーは、標的神経線維を調節するために、血管壁に近接して位置する標的神経線維を加熱する一方で、それぞれの腎動脈内での血流(F)は、血管壁の非標的組織を過度のまたは望ましくない熱的損傷から保護する。エネルギーがパルスで送達されるとき、熱エネルギーパルスの送達の間の時間間隔は、同等の大きさまたは持続期間の連続的な熱エネルギーを適用することと比較して、血管壁の非標的組織の更なる対流性冷却または他の冷却を促進し得る。
エネルギー送達要素を横切って更なる生来の血流を誘発することによって、強化された冷却を提供することもまた望ましい場合がある。例えば、介護者は、技法および/または技術を実装して、腎動脈を通じるまたはエネルギー送達要素自体への灌流を増加させることができる。これらの技法には、エネルギー送達要素を横切る流動を改善するために、大動脈または腎動脈の近位部分等の上流脈管体内で、部分遮蔽要素(例えば、バルーン)を位置決めすることが含まれる。更にまたは代替的に、動脈を通じて流動する血液の容積測定流量および/または速度を増加させるために、脈管構造の別の領域からの自家血液がサイホンで吸い上げられ、腎動脈中に方向転換されてもよい。
加えて、または代替手段として、血流(F)を熱シンクとして受動的を利用するために、強制冷却を提供して、過剰の熱エネルギーを除去し、非標的組織を保護してもよい。例えば、熱流体注入液が、開回路系で血管中に注射、注入、あるいは送達されてもよい。更にまたは代替的に、エネルギー送達要素24(例えば、電極46)が、過剰の熱エネルギーを除去するために、閉回路系で(すなわち、いずれの薬剤も血流中に送達することなく)、熱流体注入液(例えば、低温のまたは冷えた流体)を遠位端領域20内で循環させることによって、または幾つかの他の機構によって等で、強制冷却されてもよい。
強制冷却のために使用される熱流体注入液には、例えば、(室温のまたは冷えた)食塩水または幾つかの他の生体適合性流体が含まれる。熱流体注入液(複数可)は、例えば、1つ以の注入管腔および/またはポートを介して、治療機器12を通じて導入されてもよい。血流中に導入されるとき、熱流体注入液(複数可)は、例えば、エネルギー送達要素24もしくは電極46から上流の場所で、または保護が求められる組織に対する他の場所で、ガイドカテーテルを通じて導入されてもよい。治療部位の近傍での熱流体注入液の送達(開回路系を介しておよび/または閉回路系を介して)は、例えば、増加された/より高いパワーの適用を可能にし得、エネルギー送達中の血管壁でのより低い温度の維持を可能にし得、より深いもしくはより大きい病変の作成を促進し得、治療時間の低減を促進し得、より小さい電極サイズの使用を可能にし得、急激に低減された血流を補償し得、治療部位における比較的低い血流をもたらす解剖学的特徴を補償し得るか、またはそれらの組み合わせであり得る。
本明細書実施形態に記載されるの多くは、RFエネルギーの送達のために構成される電気システムに関するが、所望の治療は、他の手段によって、例えば、可干渉光もしくは非干渉光;直接熱改質(例えば、加熱または冷却された流体または抵抗加熱要素を用いて);マイクロ波;超音波(高密度焦点式超音波を含む);ダイオードレーザ;放射線;組織加熱流体;および/または低温流体によって、達成され得ることが企図される。
III.代表的な実施形態
A.第1の代表的な実施形態(遠位に指示されたエネルギー送達要素を備える第1、第2、および第3の撓み区域)
図10A〜15Hは、上述の物理的および機械的特徴を有する、力伝達区分30、ならびに第1、第2、および第3の撓み区域32、34、および44を含む、細長いシャフト16の代表的な実施形態を示す。この実施形態では、熱的加熱要素24は、第3の撓み区域44の遠位に指示される(例えば、図11Aを参照されたい)。
1.力伝達区分
例示の実施形態では、図10Aおよび10Bに示されるように、力伝達区分30は、第1の細長い、望ましくは管状構造体を備え、それは、例えば、第1の管状構造体54の形態をとることができる。第1の管状構造体54は、すでに記載されたように、力伝達区分30のために必須の軸方向の剛性および捩れ剛性を有するために、望ましくは、金属物質製、例えば、ステンレス鋼、または形状記憶合金、例えば、ニッケルチタン(ニチノールまたはNiTiとしても知られる)製であるハイポチューブ(hypo tube)である。すでに記載されたように、力伝達区分30は、細長いシャフト16の軸方向の動作、ならびに血管内経路14内での細長いシャフト16の回転操作を促進するために、細長いシャフト16に沿って最も剛性の区分を備える。代替的に、第1の管状構造体54は、中空のコイル、中空のケーブル、中実ケーブル(埋め込まれたワイヤーを備える)、編組状または編組補強シャフト、コイル補強ポリマーシャフト、金属/ポリマー複合体等を備えてもよい。
剛性は、物質的選択、ならびに所望の軸方向の剛性および捩れ剛性特徴を提供するために、ハイポチューブ(hypo tube)物質をマイクロエンジニアリング、機械加工、切断、および/またはスカイビングすることによって作製される、内径、外径、壁厚、形状、および他の特徴等の構造的特徴の関数である。例えば、細長いシャフトは、所望の機能的特性を達成するために、種々の形および断面形状にレーザー切断される、ハイポチューブ(hypo tube)である可能性がある。
第1の管状構造体54が、導電性金属物質から作製されるとき、第1の管状構造体54は、電気絶縁ポリマー物質(単数または複数)から作製される鞘56またはカバーを含んでもよく、それは、下層管状構造体の外径を覆って配置される。ポリマー物質はまた、第1の管状構造体54の所望の全体的な剛性に寄与するように、所望のデュロメータ(durometer)(剛性またはその欠如の度合いを表す)を有するように選択することができる。ポリマー物質のための候補物質には、ポリエチレンテレフタレート(PET);Pebax(登録商標)物質;ナイロン;ポリウレタン、Grilamid(登録商標)物質、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。ポリマー物質は、管の外径に積層、浸漬コーティング、スプレーコーティングされるか、あるいは堆積/付着される可能性がある。
2.第1の撓み区域
図11A、11B、および11Cが示すように、第1の撓み区域32は、第2の細長い、望ましくは管状構造体を備え、それは、例えば、第2の管状構造体58の形態をとることができる。第2の管状構造体58は、第1の管状構造体54と同じまたは異なる物質から作製される可能性がある。第2の管状構造体58の軸方向の剛性および捩れ剛性は、すでに記載されたように、第1の撓み区域32のために必須の軸方向の剛性および捩れ剛性を有する。すでに記載されたように、第1の撓み区域32は、大動脈およびそれぞれの腎動脈の接合部における、およびその前の激しい屈曲を進むために、力伝達区分30よりも剛性が低く、それよりも可撓性であり得る。第2の管状構造体は、望ましくはハイポチューブ(hypo tube)であるが、代替的に中空のコイル、中空のケーブル、編組状シャフト等を備えることができる。
第1および第2の管状構造体54および58が同じ物質を共有することが、望ましい場合がある。この場合、第2の管状構造体58の形態および物理的特徴は、所望の剛性および可撓性差異を達成するために、第1の管状構造体54と比較して変化させられてもよい。例えば、第2の管状構造体58の内径、外径、壁厚、および他の工作される特徴は、所望の軸方向の剛性および捩れ剛性ならびに可撓性特徴を提供するために、仕立てることができる。例えば、第2の管状構造体58は、屈曲可能なばね様構造を提供するために、その長さに沿ってレーザー切断される可能性がある。製造性の簡便さに依存して、第1および第2の管状構造体は、同じピースの物質から、または2つの分離したピースから生産されてもよい。第1の管状構造体および第2の管状構造体が同じ物質製でない場合には、第2の管状構造体58の外径は、第1および第2の管状構造体54および58の間の剛性における所望の区別を作り出すために、第1の管状構造体54の外径未満である(またはより小さい壁厚を有する)可能性がある。
第2の管状構造体58が導電性金属物質から作製されるとき、第2の管状構造体58は、第1の管状構造体54と同様に、すでに記載されたように、電気絶縁ポリマー物質(単数または複数)から作製される鞘60(図11Bおよび11Cを参照されたい)またはカバーを含む。鞘60またはカバーはまた、第1および第2の管状構造体58の間の剛性および可撓性における所望の区別に寄与するように、所望のデュロメータを有するように選択することができる。
第2の管状構造体58は、第1および第2の管状構造体58の間の剛性および可撓性における所望の区別を付与するために、第1の管状構造体54とは異なる物質を備えることができる。例えば、第2の管状構造体58は、ステンレス鋼の代わりに、コバルト−クロム−ニッケル合金を備えることができる。代替的に、第2の管状構造体58は、剛直性のより低いポリマー、編組状もしくは編組補強シャフト、コイル補強ポリマーシャフト、金属/ポリマー複合体、ニチノール、または中空のケーブル様構造を備えることができる。物質的選択に加えて、剛性および全体的な可撓性における所望の区別は、すでに記載されたように、第2の管状構造体58の内径、外径、壁厚、および他の工作される特徴の選択によって達成することができる。更に、上述のように、電気絶縁ポリマー物質から作製される鞘60またはカバーはまた、第1および第2の管状構造体54および58の間の所望の区別を付与するために、第2の管状構造体58の外径を覆って配置することもできる。
3.第2の撓み区域
図12A、12B、12C、および12Dが示すように、第2の撓み区域34は、第3の細長い、望ましくは管状構造体を備え、それは、例えば、第3の管状構造体62の形態をとることができる。第3の管状構造体62は、第1および/または第2の管状構造体54および58と同じまたは異なる物質から作製され得る。第3の管状構造体62の軸方向の剛性および捩れ剛性は、すでに記載されたように、第2の撓み区域34のために必須の軸方向の剛性および捩れ剛性を有する。すでに記載されたように、第2の撓み区域34は、それぞれの腎動脈内での第2の撓み区域34の制御された偏向を促進するために、第1の撓み区域32よりも剛性が低く、それよりも可撓性であり得る。
第2および第3の管状構造体58および62が同じ物質を共有する場合、第3の管状構造体62の形態および物理的特徴は、所望の剛性および可撓性差異を達成するために、第2の管状構造体58と比較して変化させられる。例えば、第3の管状構造体62の内径、外径、壁厚、および他の工作される特徴は、所望の軸方向の剛性および捩れ剛性ならびに可撓性特徴を提供するために、仕立てることができる。例えば、第3の管状構造体62は、第2の管状構造体58よりも屈曲可能で、それよりもばね様の構造を提供するために、その長さに沿ってレーザー切断される可能性がある。
第3の管状構造体62が、導電性金属物質から作製されるとき、第3の管状構造体62もまた、すでに記載されたように、電気絶縁ポリマー物質(単数または複数)から作製される鞘64(図12B、12C、および12Dを参照されたい)またはカバーを含んでもよい。鞘64またはカバーはまた、第2および第3の管状構造体62の間の剛性および可撓性における所望の区別に寄与するように、所望のデュロメータを有するように選択することができる。
第3の管状構造体62は、第2および第3の管状構造体62の間の剛性および可撓性における所望の区別を付与するために、第2の管状構造体とは異なる物質を備えることができる。例えば、第3の管状構造体62は、第2および第3の管状構造体58および62の間の剛性における所望の区別を付与するために、ニチノール物質を含むことができる。物質的選択に加えて、剛性および全体的な可撓性における所望の区別は、すでに記載されたように、第3の管状構造体62の内径、外径、壁厚、および他の工作される特徴の選択によって達成することができる。
例えば、直径において、第3の管状構造体62の外径は、望ましくは、第2の管状構造体58の外径未満である。外径または壁厚の低減は、第2および第3の管状構造体58および62の間の剛性における所望の区別に影響を及ぼす。
上記により詳細に記載されるように、第2の撓み区域の優先的な偏向が望ましい。これは、第3の管状構造体62を、所望の偏向方向に圧縮性にし、かつ偏向方向の反対側の圧縮に対して弾力的にすることによって達成することができる。例えば、図12Bおよび12Cに示されるように、第3の管状構造体62(第2の管状構造体58とは異なり)は、接続リブ68を有する背骨部材66を含む、レーザー切断パターンを含むことができる。パターンは、第3の管状構造体62の遠位端に連結される制御ワイヤー40上の引きに応答して、所望の方向に向かって、第3の管状構造体62の偏向にバイアスをかける。制御ワイヤー40は、偏向可能な区分の遠位端にはんだ130で取り付けられる。制御ワイヤーが引かれるとき、第3の管状構造体は、圧縮性側面上で圧縮し、圧縮性側面の方向に、偏向にバイアスをかける。腎動脈内での優先的な偏向の便益は、すでに記載された。
図12Dにもまた示されるように、フラットリボン物質70(例えば、ニチノール、ステンレス鋼、またはばねステンレス鋼)を、第3の管状構造体62に取り付けることができる。引く力が制御ワイヤー40から除去されるとき、偏向可能な第3の管状構造体62を補強する機能を果たすフラットリボンは、偏向可能な第3の管状構造体62を弾性で一直線にする。
更に、上述のように、電気絶縁ポリマー物質から作製され、所望のデュロメータを有する鞘64(図12B、12C、および12Dを参照されたい)またはカバーはまた、第1および第2の管状構造体54および58の間の所望の区別を付与するために、第2の管状構造体58の外径を覆って配置することができる。
図12B〜12Dの実施形態では、背骨部材66の幅(すなわち、リブ68を含まない、第3の管状構造体62の長手方向の軸に沿った領域における、背骨部材66の径方向の弧の長さ)は、第3の管状構造体62の相対的な剛性および弾性に作用する。背骨部材66の幅は、所望の相対的剛性および/または弾性を有する第3の管状構造体62を提供するように指定され得ることが理解されるべきである。更に、背骨部材66の幅は、第3の管状構造体62の長手方向の軸に沿って変化し得、それによって、その長さに沿って変化する相対的剛性および/または弾性を有する第3の管状構造体を提供する。背骨部材66の幅におけるこのような変動は、段階的、連続的、突然の、断続的、またはそれらの組み合わせであり得る。
偏向可能な区分34の長さL3は、約5mm〜20mmの間、例えば、約12.5mm以下である。遠位端領域20が、ガイドカテーテルから腎動脈中へと前進するとき、エネルギー送達要素24は、腎動脈壁の上面に接触する。長さL3は、エネルギー送達要素24が、偏向可能な区分34の一部分がガイドカテーテルから突出する限り、短い距離内で腎動脈壁の背面、腹面、および内面に接触するために、偏向可能な区分34の偏向を通じて操作されることを可能にする。故に、偏向可能な区分34の長さL3は、腎動脈中での使用に特別に適するように選択される。
リブ68の幅(すなわち、各リブが第3の管状構造体62の長手方向の軸に沿って及ぶ距離)、ならびにリブ68の離間(すなわち、背骨部材66が隣接リブ68の間で第3の管状部材62の長手方向の軸に沿って及ぶ距離)は、任意に、隣接リブ68が互いに接触する前に、第2の撓み区域34によって達成可能な極大の優先的な偏向に作用し得、すなわち圧縮性である第3の管状構造体の側面に対する最大量の圧縮を限定し得る。隣接リブ68の間のこのような接触は、任意に、このような極大の優先的な偏向下で偏向可能な区分34の曲率の半径および/または角度α2を規定し得る(図7Cを参照されたい)偏向可能な区分は、最大の撓みの状態になるように構成され、ここで最大の撓みの状態は、偏向可能な本体が、エネルギー送達要素を細長い管状体の軸から離して所定距離だけ動かすときに達成される。最大の撓みは、長さL3の偏向可能な区分34が腎動脈の直径よりも有意に偏向される場合に起こり得る、腎動脈壁に対する外傷を引き起こす危険性を回避する。下記で詳述するが、力減衰区分44は、偏向可能な区分34が偏向されるとき、動脈壁に対して発揮される力を減衰させるように構成される。エネルギー送達要素24と腎動脈の内壁との間の安定な接触力は、不安定な力よりも大きく、外傷性の力よりも小さい力を発揮することによって、作り出すことができる。力減衰区分44は、偏向可能な区分34が、エネルギー送達要素24を、細長い管状体の軸から離して腎動脈の直径よりも大きい距離だけ動かすときであっても、接触力を、安定でありながらなおも非外傷性の範囲内に保ちながら減衰させる。例えば、力減衰区分44は、偏向可能な区分34が、所定距離が腎動脈直径よりも約4mm大きくなるような、最大の撓みの状態になるように構成されるのに十分に撓み得る。一実施形態では、遠位アセンブリ53は、約3mm〜6mm(例えば、5mm以下)の長さを有し、偏向可能な区分34は、約8mm〜15mm(例えば、12.5mm以下)の長さL3を有し、エネルギー送達要素24を約10〜14mmの所定距離でずらす最大の撓みを有する。代替的にまたは更に、所定距離は、発動装置260が制御ワイヤーを最大量でずらすことを限定し、故に、偏向を調整された最大の撓みの状態に限定する、ハンドル200における偏向リミッターによって調整される可能性がある。
リブ68の幅および/または離間は、所望の極大の優先的な偏向を達成するように、所望に応じて指定され得ることが理解されるべきである。更に、リブ68の幅および/または離間は、第3の管状構造体62の長手方向の軸に沿って変化し得、それによって第2の撓み区域34に、このような極大の優先的な偏向下で変化する曲率の半径を提供する。リブ68の幅および/または離間におけるこのような変動は、段階的、連続的、突然の、断続的、またはそれらの組み合わせであり得る。
上述のように、低減された剛性からの偏向方向の優先的な偏向は、幾つかの異なる方法で達成することができる。例えば、図13Bが示すように、第3の管状構造体62は、D1>D2である、異なる剛性D1およびD2を有するセグメントを有する(つまり、D1のセグメントは、D2のセグメントよりも機械的に剛性である)、管状ポリマーまたは金属/ポリマー複合体を備えることができる。第3の管状構造体62もまた、D1>D2である、異なる剛性D1およびD2を有するセグメントを有する、楕円形の、または長方形の、または平らにされた金属コイルまたはポリマーの形態をとることができる(図13Cに示されているように)。いずれの方式においても、より低い剛性D2を有するセグメントは、発動装置ワイヤーが取り付けられる側面と同じ側面上の、第3の管状構造体62上に配向される。
代替的に、図14Bおよび14Cが示すように、第3の管状構造体62は、編組状またはコイル状である可能性がある、偏心的なポリマーまたは金属/ポリマー複合体を備えることができる。第3の管状構造体62もまた、楕円形の、または長方形の、または平らにされた金属コイルまたはポリマーの形態をとることができる(図14Cが示すように)。いずれの方式においても、より薄い(より低い剛性)壁セグメント76は、発動装置ワイヤーが取り付けられる側面と同じ側面上の、第3の管状構造体62上に配向される。
4.第3の撓み区域
図15A〜15Hに示されるように、第3の撓み区域44は、可撓性管状構造体74を備える。可撓性構造体74は、金属、ポリマー、または金属/ポリマー複合体を備えることができる。可撓性構造体74の物質的および物理的特徴は、第3の撓み区域44が、(1)エネルギー送達要素24が腎動脈の内壁に外傷を引き起こす危険性が高い圧力未満である圧力を適用するとき、弾性で変形するのに十分な可撓性であるが、(2)エネギー送達および安定な接触を可能にする、エネルギー送達要素24と腎動脈の内壁との間の接触力または圧力を作り出すのに十分な剛性を有するように選択される。第3の撓み区域44の可撓性は、第2の撓み区域34が広範囲にわたって偏向されるとき、力がこの好適な範囲に留まるように、エネルギー送達要素24によって動脈壁に適用される力を減衰させる。更に、弾性で変形することによって、第3の撓み区域44は、前述のように、その一側面が動脈壁と接触しているように、エネルギー送達要素24を揃える。
可撓性構造体74の物質的および物理的特徴は、任意に、可撓性構造体74の軸方向の剛性および捩れ剛性が、第3の管状構造体62の軸方向の剛性および捩れ剛性以下であるように選択され得る。可撓性構造体74の全体的な可撓性は、任意に、第3の管状構造体が制御ワイヤー40によって偏向されていないとき、少なくとも第3の管状構造体62の可撓性以上である。
第3の撓み区域44の一部として、可撓性構造体74は、上述のように、第2の撓み区域に連結することができる。代替的に、第2の撓み区域を提供しない実施形態では、第3の撓み区域は、第1の撓み区域に連結することができる。図15Bに示されているように、エネルギー送達要素24は、それぞれの腎動脈の血管壁に沿って組織と接触した配置のために、可撓性構造体74の遠位端に指示される。
可撓性構造体74のために選択された物質は、放射線不透過性または非放射線不透過性である可能性がある。例えば、放射線不透過性物質、例えば、ステンレス鋼、プラチナ、プラチナイリジウム、または金を使用して、可視化および画像ガイダンスを可能にすることができる。非放射線不透過性物質を使用するとき、物質には、任意に、可視化および画像ガイダンスを促進するために、硫酸バリウム等の放射線不透過性材料が添加されてもよい。
可撓性構造体74の構成は、異なる可能性がある。例えば、図15Bおよび15Cに示される実施形態では、可撓性構造体74は、ポリマーコーティングもしくは包装110内に箱詰めされた、またはそれでカバーされた糸104を備える。糸104は、第2の撓み区域34の遠位端に取り付けられた近位の係留108、および加熱要素24/電極46内に固定またはそれらに統合された遠位係留106を通じて送られる。遠位係留106は、例えば、はんだを使用して、加熱要素24/電極46内に固定されてもよい。代替的に、遠位係留106および加熱要素24/電極46は、単一ピースまたは単位構造体として製作されてもよい。
第2の撓み区域34およびエネルギー送達要素24に確実に接続する可撓性構造体74を有するために、種々の種類の物質を使用して、前述の構造体を構築することができるが、糸104はケブラーまたは同様のポリマー糸からなり、近位の係留108および遠位係留106はステンレス鋼からなることが望ましい。コーティング110は、任意の電気絶縁物質、特に、鞘80に関して後に列挙されるものからなる可能性がある一方で、可撓性構造体74の構造体は、カルボタン(carbothane)積層物110等の低デュロメータ(low-durometer)のポリマーによって箱詰め/コーティング/カバーされることが望ましい。図15Cに示されているように、1つ以上の供給ワイヤー29は、可撓性構造体74と並行してまたはその内部で走行してもよい。前述のようにこれらのワイヤーは、エネルギー送達要素24に発生器26からの電流/エネルギーを提供してもよく、またセンサ52によって獲得されるデータシグナルを運んでもよい。図15Cに示されるように、ハンドル発動装置260から延びている制御ワイヤー40は、近位の係留108へと形成され、はんだ130を使用して細長いシャフトに取り付けられる可能性がある。
可撓性構造体74の上述の構成の1つの利点は、可撓性構造体74が、エネルギー送達要素と細長いシャフトの残りの部分との間に、電気分離の領域を作り出すことである。ケブラー糸104および積層物110の両方は、電気絶縁性であり、それによって、電気接続性のための唯一の手段として供給ワイヤー(複数可)29を提供する。したがって、可撓性構造体74および第3の撓み区域44の外面は、電気的に不活性である。
図15D〜15Fに示されるように、可撓性構造体74は、エネルギー送達要素24が血管壁と接触させられるとき、第3の撓み区域44の相当な受動的偏向を可能にする。すでに記載されたように、この可撓性は、複数の潜在的な便益を有する。1つのこのような便益は、仮に、第3の撓み区域44が除去され、またエネルギー送達要素が、第2の撓み区域34の遠位端に直接連結されるとすれば、第2の撓み区域34が、第2の撓み区域34の偏向中に血管壁に適用される力または応力に対して偏向されるとき、またはそれと同時に、第3の撓み区域44が、エネルギー送達要素24と血管壁との間に適用される力または応力を低減する能力であり得る。これは、外傷の危険性を低減し得る。更に、エネルギー送達要素24によって血管壁に対して適用される力または応力は、第2の撓み区域34の偏向中、特に、呼吸および/または拍動流によって引き起こされる動作中に、一貫した範囲で維持されてもよく、それは一貫したおよび/または制御された病変作成を促進し得る。
可撓性構造体74のサイズおよび構成は、第3の撓み区域は、遠位端領域の軸を通じた任意の平面で角度Θだけ屈曲し得るため、エネルギー送達要素が多くの方向に偏向することを可能にする。腎動脈等の末梢血液血管内での治療のために、角度Θは、90度以下であることが望ましい。任意に、可撓性構造体74は、さほど弾力的でなく、すなわち、偏向されたとき有意な復元または一直線にする動力を提供しない。
エネルギー送達要素24は、望ましくは、エネルギーの、実質的にいずれのまたは全ての方向への全方向的な送達を提供してもよい。第3の撓み区域44が、治療部位において、所与の患者の解剖学的形状に適切な角度Θで受動的に偏向するとき、エネルギー送達要素24の任意の部分が、標的腎神経へのエネルギー送達のために、腎動脈の内壁と揃えられてもよい。血流は、このようなエネルギー送達中に熱を除去し得、それによって、第3の撓み区域44を望ましくないほどに、より剛性または嵩高にし得る、標的腎神経に送達されるエネルギーの遮蔽、または他の優先的な方向付けに対する必要性を低減もしくは軽減する。遮蔽/優先的な方向付けを伴わない、このような全方向的なエネルギー送達は、遮蔽または方向付けされたエネルギー送達要素、例えば、マイクロ波または放射性パワー源を備えるエネルギー送達要素と比較して、治療部位におけるエネルギー送達要素24のより単純またはより安全な位置決めを促進し得る。
第3の撓み区域44の代替的な実施形態では、可撓性構造体74は、図15Hが示すように、管状金属コイル、ケーブル、編組、ポリマーまたは金属/ポリマー複合体の形態をとることができる。代替的に、可撓性構造体74は、図15Gが示すように、楕円形の、または長方形の、または平らにされた金属コイルまたはポリマーの形態をとることができる。代替の実施形態では、可撓性構造体74は、エネルギー送達要素24が、動作の少なくとも1つの平面で旋回することを可能にする、他の機械的構造またはシステムを備えてもよい。例えば、可撓性構造体74は、ヒンジ、またはボール/ソケットの組み合わせを備えてもよい。
可撓性部材が、全体でまたは部分的に、導電性物質を備える場合、第3の撓み区域44は、望ましくは、電気絶縁ポリマー物質から作製される、可撓性構造体74を覆う外鞘80(図15Gおよび15Hを参照されたい)またはカバーを含む。ポリマー物質はまた、可撓性部材の可撓性のために所望のデュロメータ(durometer)を有する(例えば、25D〜55D)。
ポリマー物質のための候補物質には、ポリエチレンテレフタレート(PET);ペバックス;ポリウレタン;ウレタン、カルボタン(carbothane)、テコタン(tecothane)、低密度ポリエチレン(LDPE);シリコン;またはそれらの組み合わせが含まれる。ポリマー物質は、可撓性構造体74上に積層、浸漬コーティング、スプレーコーティングされるか、あるいは堆積/適用される可能性がある。代替的に、ポリマー物質の薄膜(例えば、PTFE)は、可撓性構造体74の周りを包むことができる。代替的に、可撓性構造体74は、本質的に絶縁されており、分離した鞘80またはカバーを必要としない可能性がある。例えば、可撓性構造体は、ポリマーコーティングされたコイル状ワイヤーを備えることができる。
任意に、第3の撓み区域44は、図16Aに示されているように、第3の撓み区域44の偏向の量を示すセンサ42を含むことができる。センサ42は、例えば、第3の撓み区域44の全長または部分長であり、第3の撓み区域の一側面に搭載することができる、ピエゾ抵抗要素である可能性がある。細長いシャフト16を通じて走行する一対の導体(図示されず)は、センサ42を電気供給源および感応回路(図示されず)に接続する。第3の撓み区域44が、腎動脈の内壁によってエネルギー送達要素24または第3の撓み区域44の一部分に適用される力に応答して偏向されるとき、センサ42は、偏向の量を定量化するシグナルを送達する。センサ42がピエゾ抵抗要素であるとき、その抵抗性は、その拘束に比例して変化する。第3の撓み区域44の偏向の量は、腎動脈の内壁との接触力の指標である。
5.回転制御装置
下記で詳述するが、エネルギー送達要素が血管壁と接触した後、腎動脈内で機器を回転させることが望ましい。しかしながら、または臨床開業医が、機器の近位端でハンドルアセンブリ全体を回転させることは、特に腎の解剖学的構造の寸法を考慮すると、厄介かつ面倒であり得る。1つの代表的な実施形態では、図16Aおよび16Bに示されるように、シャフト16の近位端は、回転子230によってハンドルアセンブリ200に連結される。
力伝達区分30の近位端は、回転子230上の静止連結器88に取り付けられる。回転子230の回転(図16Aが示すように)はそれによって、ハンドルアセンブリ200の回転を伴わずに、力伝達区分30、およびそれと共に、細長いシャフト16全体を回転させる。図16Aが示すように、介護者は、それによってハンドルアセンブリ200の近位の部分を、片手で回転静止したまま保持し、かつ同じまたは異なる手で、細長いシャフト16を回転させるために、捩れ力を回転子230に適用することができる。これは、発動装置が、制御された偏向のために簡便にアクセスできるように留まることを可能にする。
ハンドルアセンブリから機器のシャフトを通じて走行するケーブルおよびワイヤーが存在するため(例えば、制御40、電気伝達ワイヤー、および/またはセンサ/熱電対ワイヤー(複数可)29等)、これらのワイヤーの不必要なもつれおよびよじれを回避するために、これらのワイヤーに対してシャフトの回転を限定することが望ましい。この問題に対処するために、回転限定要素は、ハンドルアセンブリおよび回転子中に組み込まれる可能性がある。回転子230およびハンドルアセンブリは、このような構造的または寸法的制約(例えば、ワイヤー)を所与として、シャフトのために最適な回旋数を可能にするように構成される可能性がある。ハンドルアセンブリの構成要素は、例えば、ハンドルアセンブリから独立したシャフトの有限の回旋数(例えば、2回)を可能にするために構成されてもよい。シャフトの回転を最適な回旋数に限定することは、任意の数の一般的に既知の機械的特徴によって達成され得る。
記載されたように、また下記で詳述するが、血管内アクセスによって、介護者は、それぞれの腎動脈内で細長いシャフト16の遠位端領域20を位置決めするために、ハンドルアセンブリ200を操作することができる。介護者は次いで、第2の撓み区域34の周りでエネルギー送達要素24を偏向させるために、ハンドルアセンブリ200上で発動装置260を作動させることができる(図16Aおよび16Bを参照されたい)。介護者は次いで、細長いシャフト16に沿って回転力を適用するために、ハンドルアセンブリ200上で回転子230を作動させることができる(図16Aおよび16Bを参照されたい)。第2の撓み区域34がそれぞれの腎動脈内で偏向されているときの、細長いシャフト16の回転は、エネルギー送達要素24をそれぞれの腎動脈内で回転させ、血管壁との接触を達成し、特に、血管造影の可視化が不十分な平面において、壁接触が存在するかどうかを決定することを簡便にする。
開示される技術の更なる態様では、ハンドルアセンブリ200は、機器が患者の内部にある間の、オペレータ/介護者によるその取り扱いを最小化するように構成されてもよい。例えば、図16Bに示されるように、ハンドルアセンブリはまた、表層下(例えば、手術台)に実質的に適応する1つ以上の表面243を備える。図16Bにおいて実質的に平坦であるように示されるこの表面243は、下層面の構成および/または形状に依存して、代替的に湾曲している、成形される、または角度をつけられる可能性がある。適応表面243は、治療機器12が患者内部にあるとき、臨床オペレータがハンドルアセンブリ200を安定に保つことを可能にする。機器を、それが患者の内側にあるときに回転させるために、オペレータは、ハンドルアセンブリを持ち上げるいかなる必要性も伴わずに、単純に回転子230をダイアル操作することができる。オペレータが、機器をその後の治療のために後退させることを所望するとき、オペレータは、単純にハンドルアセンブリを下層面に沿って次の位置まで摺動させることができる。再び、これは、オペレータの誤りまたは治療機器の過度の取り扱いに起因する、損傷の危険性を軽減する。更にまたは代替的に、より低い表面は、クリップ、織地、接着剤等を使用して、下層の表面を係合させることができる。
本明細書に開示される回転機構に対する更なる強化には、オペレータが機器を回転させる際に、より大きい制御および注意を行使することができるように、回転用器具上での触覚のおよび/または可視的なフィードバックを提供することが含まれる。回転子230はまた、オペレータが治療機器を特定の角度の位置に保持することを望む場合、選択的にハンドルアセンブリにロックし、それによって更なる回転を防止することができる。別の任意の強化には、治療機器を後退させるとき、オペレータが距離を計測することを可能にするために、シャフト/ハンドルアセンブリに沿って距離マーカーを提供することが含まれる。
B.第2の代表的な実施形態(第3の撓み区域は、可撓性熱的加熱要素を備える)
図17Aおよび17Bは、力伝達区分30、第1のまたは近位撓み区域32、第2の撓み区域34、および第3の撓み区域44を含む、細長いシャフト16の代表的な実施形態を示す。この実施形態では、近位の力伝達区分30、第1の撓み区域32、および第2の撓み区域34の物質、サイズ、および構成は、第1の代表的な実施形態に記載されるそれぞれの対応物と同程度である。
この実施形態では、しかしながら、第3の撓み区域44は、それ自体が可撓性エネルギー送達90としての機能を果たすようなサイズにされ、そのように構成される。直径において、可撓性エネルギー送達要素90は、第2の撓み区域34以上であるようなサイズにされ、そのように構成される。可撓性熱的加熱要素90の総表面積TSAは、それによって増加され、その結果、積電極46の可能性のある活性表面も同様に増加される。
また、この方式においては、可撓性熱的加熱要素90の全長は、前述のように、第3の撓み区域44の可撓性特性を共有する。可撓性熱的加熱要素は、活性可撓性電極である可能性がある。所望の可撓性を付与することに加えて、導電性でもある物質が選択される。活性可撓性電極は、可撓性伝導性ワイヤーもしくは管、レーザー切断された伝導性管、コイル状導体、または多数のフィラメントブラシ電極から作製される可能性がある。代替的に、可撓性熱的加熱要素90は、電流が通って送達されるとき加熱する電気絶縁抵抗金属から作製される可能性がある、可撓性抵抗加熱要素である。可撓性熱的加熱要素90は、血管壁に対して密接に適応するために、その全長に沿って十分に可撓性であり、それによって可能性のある熱的加熱要素の活性表面積を更に増加させる。可撓性熱的加熱要素90はまた、血管壁を正面から係合させるとき、血管壁から離れてより容易に偏向して、それによって、可撓性熱的加熱要素90が血管壁との側方関係に配置されるときに血管壁に対して発揮される力を最小化し得る。可撓性熱的加熱要素90は、それによってより非外傷性であると考えられる。
例示の実施形態では、活性な可撓性電極90は更に、望ましくは、平滑な非外傷性末端表面48を形成するために、先細にされた遠位領域を含む。末端表面48は、レーザー、抵抗溶接、または機械加工技法によって、金属物質から形成される可能性がある。末端表面48はまた、結合、積層、またはインサート成形によって、ポリマー物質から形成される可能性もある。
C.第3の代表的な実施形態(第3の撓み区域は、実質的に球形の活性電極を含む)
図18A〜18Cは、近位の力伝達区分30、第1の撓み区域32、および第2の撓み区域34、および第3の撓み区域44を含む、細長いシャフト16の代表的な実施形態を示す。この実施形態では、近位の力伝達区分30、第1の撓み区域32、および第2の撓み区域34の物質、サイズ、および構成は、第1および第2の実施形態におけるそれぞれの対応物と同程度である。
この実施形態では、しかしながら、第3の撓み区域44は、その遠位端からより近位に離間された場所に、少なくとも1つの実質的に球形の活性電極92を担持するようなサイズにされ、そのように構成される。少なくとも1つの活性電極92は代替的に、活性電極が帯状電極となるように、実質的に円筒状の構成を備えてもよい一方で、少なくとも1つの活性電極92の、好ましい実質的に球形の構成は有利なことに、円筒状形の電極の末梢の比較的鋭利なエッジにおいて存在するより突然の移行時に遭遇し得る、電気的エッジ効果を低減することが予想される。本発明の目的のために、実質的に球形の電極は、細長いシャフト16から外向きに突出し、丸くされたエッジを有する電極を含む。故に、実質的に球形の電極は、球形、長楕円形、楕円体、丸くされたエッジを有する円筒状、複雑な輪郭形成等であり得る。
この実施形態では、第3の撓み区域44は、前の実施形態に関して記載された、第3の撓み区域44の可撓性特徴を共有する。直径において、図18に示される第3の代表的な実施形態の第3の撓み区域44は、第2の撓み区域34の直径より小さいか、またはそれとおよそ等しいようなサイズにされ、そのように構成されてもよい。直径において、少なくとも1つの球形の活性電極92は、第3の撓み区域44の直径よりも大きいサイズにされる。したがって、第3の撓み区域44の撓みは、球形電極92をより大きい組織面積と接触して配置することができ、それによって電極の活性表面積(ASA)を増加させる。
例示の実施形態では、第3の撓み区域44は、望ましくは、平滑な非外傷性末端表面48を形成するために、先細にされた遠位領域を含む。末端表面48は、レーザー、抵抗溶接、または機械加工技法によって、金属物質から形成される可能性がある。末端表面48はまた、結合、積層、またはインサート成形によって、ポリマー物質から形成される可能性もある。
少なくとも1つの球形電極92は、遠位撓み区域44に、例えば、クリンピング、熱収縮、成形、スポット溶接、レーザー溶接、またはんだ付け技法によって取り付けられる可能性がある。第3の撓み区域44の長さに沿った少なくとも1つの球形電極92の配置は、異なる可能性がある。それは、例えば、第3の撓み区域44のおよそ中間領域に、近位端よりも遠位端により近く、もしくはその逆で、配置される可能性がある。
図18Aおよび18Bは、単一の球形電極92を有する第3の実施形態を例示する。しかしながら、所望に応じて、任意の数の更なる球形電極92が、第3の撓み区域44に沿って提供されてもよい。例えば、図18Cは、第3の撓み区域44の長さに沿って位置決められる3つの球形電極92を有する、第3の実施形態を例示する。幾つかの実施形態では、1つ以上の球形電極92は、本明細書に後述されるように、第2の撓み区域34に沿って更にまたは代替的に配置することができる。
D.第4の代表的な実施形態(第3の撓み区域は、実質的に半球形の活性電極を含む)
図19A〜19Cは、近位の力伝達区分30、第1の撓み区域32、および第2の撓み区域34、および第3の撓み区域44を含む、細長いシャフト16の代表的な実施形態を示す。この実施形態では、近位の力伝達区分30、第1の撓み区域32、および第2の撓み区域34の物質、サイズ、および構成は、第1、第2、および第3の実施形態におけるそれぞれの対応物と同程度である。
この実施形態では、しかしながら、第3の撓み区域44は、その遠位端からより近位に離間された場所に、少なくとも1つの実質的に半球形の活性電極92aを担持するようなサイズにされ、そのように構成される。半球形活性電極は、それが第3の撓み区域の偏向された構成において標的組織に向けられるように、第3の撓み区域44に取り付けられる。少なくとも1つの活性電極92aは代替的に、実質的に半円筒状の構成を含んでもよい一方で、少なくとも1つの活性電極92aの、好ましい実質的に半球形の構成は、有利なことに、半円筒状形の電極の末梢の比較的鋭利なエッジにおいて遭遇し得る、電気的エッジ効果を低減することが予想される。本発明の目的のために、実質的に半球形の電極は、細長いシャフト16の一側面から外向きに突出し、丸くされたエッジを有する電極を含む。故に、実質的に球形の電極は、半球形、半長楕円形、半楕円体、丸くされたエッジを有する半円筒状、シャフト16の一側面に沿った複雑な輪郭形成等であり得る。
この実施形態では、第3の撓み区域44は、前の実施形態に関して記載される、第3の撓み区域44の可撓性特徴を共有する。半径において、図19に示される第3の代表的な実施形態の第3の撓み区域44は、第2の撓み区域34の半径とおよそ等しいようなサイズにされ、そのように構成される。半径において(すなわち、第3の撓み区域44の断面中心から)、少なくとも1つの半球形活性電極92aは、第3の撓み区域44の半径よりも大きいサイズにされる。したがって、第3の撓み区域44の撓みは、半球形電極92aを、より大きい組織面積と接触して配置することができ、それによって電極の活性表面積(ASA)を増加させる。球形電極92の使用よりもむしろ、半球形電極92aの使用は、電極のASA対TSA比を増加させることが予想される。
例示の実施形態では、第3の撓み区域44は、望ましくは、平滑な非外傷性末端表面48を形成するために、先細にされた遠位領域を含む。末端表面48は、レーザー、抵抗溶接、または機械加工技法によって、金属物質から形成される可能性がある。末端表面48はまた、結合、積層、またはインサート成形によって、ポリマー物質から形成される可能性もある。
少なくとも1つの半球形電極92は、遠位撓み区域44に、例えば、スポット溶接、レーザー溶接、またはんだ付け技法によって取り付けられる可能性がある。第3の撓み区域44の長さに沿った少なくとも1つの球形電極92の配置は、異なる可能性がある。それは、例えば、第3の撓み区域44のおよそ中間領域に、近位端よりも遠位端により近く、もしくはその逆で、配置される可能性がある。
図19Aおよび19Bは、単一の半球形電極92を有する第4の実施形態を例示する。しかしながら、所望に応じて、任意の数の更なる半球形電極92が、第3の撓み区域44に沿って提供されてもよい。例えば、図18Cは、第3の撓み区域44の長さに沿って位置決められる3つの半球形電極92を有する、第4の実施形態を例示する。幾つかの実施形態では、1つ以上の半球形電極92は、本明細書に後述されるように、第2の撓み区域34に沿って更にまたは代替的に配置することができる。
E.第5の代表的な実施形態(第3の撓み区域は、多重フィラメントブラシ活性電極を含む)
図20Aおよび20Bは、近位の力伝達区分30、第1の撓み区域32、および第2の撓み区域34、および第3の撓み区域44を含む、細長いシャフト16の代表的な実施形態を示す。この実施形態では、近位の力伝達区分30、第1の撓み区域32、および第2の撓み区域34の物質、サイズ、および構成は、前述の実施形態におけるそれぞれの対応物と同程度である。
この実施形態では、しかしながら、第3の撓み区域44は、その遠位端に複数のフィラメントを有するブラシ活性電極96を担持するようなサイズにされ、そのように構成される。直径において、ブラシ電極96は、第2の撓み区域34以上であるようなサイズにされ、そのように構成される。ブラシ電極96の直径および多数のフィラメントは、電極46の可能性のある活性表面積が同様に増加されるように、ブラシ電極96の総表面積TSAを増加させる。
また、この方式においては、ブラシ電極96の全長は、前述のように、第3の撓み区域44の可撓性特性を共有するか、またはそれよりも可撓性である。所望の可撓性を付与することに加えて、導電性でもある物質が選択される。ブラシ電極96はそれによって、血管壁に対して密接に適応するために、その全長に沿って十分に可撓性であり、このうち電極の個々のフィラメントは、独立して偏向し、壁に適応し、それによって電極の可能性のある活性表面積を更に増加させる。
電極46の前述の実施形態と比較して、ブラシ電極96のフィラメントはより容易に、血管壁を正面から係合させるとき、血管壁から離れて偏向し得、それによって、電極96が血管壁と接触して配置されるときに血管壁に対して発揮される力を低減する。多重フィラメントブラシ電極96はそれによって、非外傷性と考えられ得、第3の撓み区域44に対する必要性を軽減し得る(例えば、第3の撓み区域44が提供されない場合、ブラシ電極96は、第2の撓み区域34の遠位端に連結され得る)。更に、ブラシ電極96の増加されたTSAは、電極の能動的(例えば、注射された熱流体を介して)または受動的(例えば、血流を介した)冷却に起因する熱伝達を強化し得、それは、標的腎神経の熱誘発調節のために、腎脈管構造の非標的組織に対する損傷を低減しながら、電極を通じたより高いパワー電場の送達を促進し得る。
F.第6の代表的な実施形態(第3の撓み区域は、軸外し力再分配を含む)
図21A、21B、および21Cは、力伝達区分30、第1の撓み区域32、および第2の撓み区域34、および第3の撓み区域44を含む、細長いシャフト16の代表的な実施形態を示す。この実施形態では、近位の力伝達区分30、第1の撓み区域32、および第2の撓み区域34の物質、サイズ、および構成は、前述の実施形態におけるそれぞれの対応物と同程度である。
この実施形態では、しかしながら、第3の撓み区域44は、幾つかの前述の実施形態と比較して、血管壁接触力を低減しながら、第1および/または第2の撓み区域における座屈または屈曲を助長するようなサイズにされ、そのように構成される。これは、細長いシャフト16の長手方向の軸から軸外しされた、第3の撓み区域と血管壁との間に適用される垂直力ベクトルを位置決めする、軸外し屈曲49によって達成され得る。軸外し屈曲49は、i)カテーテルシャフトの座屈を促進するために、カテーテル支柱に対する軸方向の負荷を、偏心的な負荷および/もしくは側面負荷へとずらす、ii)腎動脈壁に適用される力の方向を変更する、iii)表面積を増加させることによって、腎動脈壁に対して発揮される圧力を低減する、ならびに/またはiv)鋭利な屈曲周囲の進路決定を促進する手段によって、外傷の危険性を低減することができる。軸外し屈曲という用語は、力方向転換要素、または予成形形状と交換可能に使用され得ることが理解されるべきである。
例えば、図21に示されているように、第3の撓み区域44の可撓性構造体74、ポリマーコーティングまたは包装110は、無制約の構成において軸外し屈曲49を備えることができる。可撓性構造体74の物質的および物理的特徴は、可撓性構造体74の軸方向の剛性および捩れ剛性が、第3の管状構造体62の軸方向の剛性および捩れ剛性以下であり、可撓性構造体74の全体的な可撓性が、第3の管状構造体が制御ワイヤー40によって偏向されていないとき、第3の管状構造体62の可撓性に少なくとも等しく、望ましくはそれよりも大きいように選択される。代替的に、力方向転換要素49は、所望の可撓性が、物質的選択および寸法を用いて力減衰区分44中に組み込まれた、ワイヤーまたは管から作製される、第3の撓み区域44における屈曲である可能性がある。例えば、力減衰区分44は、約0.10〜0.20mmの直径を有するニチノールワイヤーから作製される可能性がある。
無制約の構成における可撓性構造体74の曲率または軸外し屈曲(図21Aおよび21Bに示されているように)は、腎動脈内でのカテーテルの前進時に、第3の撓み区域44が血管壁を係合させるときに発揮される垂直力ベクトルを、第1の撓み区域32および/または第2の撓み区域34の軸と揃えずに位置決めする。垂直力ベクトルのこの位置決めは、第1および/または第2の撓み区域の座屈または屈曲を生じさせるために必要とされる血管接触力を低減し得ることが予想され、それはまた、血管壁への外傷力適用の危険性を低減し得る。更に/代替的に、このような第2の撓み区域は、細長いシャフト16の回転を必要とすることなく、腎動脈の角度的に対抗(angularly opposed)する管腔表面における接触および治療の確立を促進し得る。
カテーテルと動脈壁との間の力相互作用を考察する目的のために、事実上剛性で一直線のカテーテル300による単純化された例(図21Dに示されているように)が続く。下記で詳述するように、本発明によって代表されるカテーテル可撓性、寸法、および形状等の変数は、力相互作用を修正する。あらゆる力が、大きさおよび方向の両方を有する。事実上剛性で一直線のカテーテルによって適用される、動脈壁に対する力の大きさは、カテーテルを身体中へと前進させる介護者によって適用される力に本質的に等しい。この例において、本質的に一直線で剛性のカテーテルは、カテーテルの近位端を押すことによって腎動脈中へと前進し、故に、カテーテルの前進軌道は、カテーテルの軸に沿った並進である。したがって、カテーテルによって適用される動脈壁に対する力の方向は、カテーテルの軸に沿って順方向である。この単純化された例において、動脈壁は、最大膨張および壁強度を有する弾性壁によって代表される。動脈壁によって発揮される力は、動脈壁の膨張および穿刺に耐える能力を特徴とする(弾性および強度の関数である)、表面に対して垂直の構成要素である垂直力、ならびに動脈壁とカテーテル表面との間の摩擦を特徴とする、動脈壁表面に対して平行の構成要素を含む。
一直線のカテーテルシャフトは、変形前にその軸に沿った有意な負荷に耐え得る支柱と同様である。支柱の側面に適用される負荷は、軸方向の負荷よりも低い力でそれを屈曲させる。支柱に対して平行であるが、その軸から距離をおいて適用される負荷、つまり偏心的な負荷は、軸方向の負荷よりも小さい負荷で支柱を座屈させる。負荷がより偏心的であるほど、支柱を座屈させるために必要とされる力はより小さくなる。要素49を方向転換させる、特別に構成された力は、遠位先端が腎動脈壁中へと前進するとき、遠位端領域20の全ての部分に適用される負荷が偏心的であるように、カテーテルの遠位先端を軸から引き離す。特に、力減衰区分44に適用される負荷は、軸とある角度をなし、それによって力減衰区分44の変形または座屈を助長し、偏向可能な区分に適用される負荷は、偏心的であり、図21Fおよび21Gに示されるように、それを座屈させる。故に、遠位端領域20は、過度の外傷を引き起こす圧力を動脈壁に適用し得る負荷未満である負荷の下で変形するように構成され、それによって腎動脈壁に対する外傷の危険性を低減する。力方向転換要素49の異なる実施形態を備える遠位端領域20の例は、図21H〜21Lに示される。
更に、カテーテルによって動脈壁に適用される圧力は、接触の面積によって分割された力である。カテーテルの先端が動脈壁に接触しさえすれば、圧力は、先端の接触表面積によって分割された力に等しい。図21Fに示されるように、カテーテルが、エネルギー送達要素24および力減衰区分44の側面に沿って等、大きい接触表面積SAにわたって動脈壁に接触する場合、圧力は、力がはるかに大きい面積によって分割されるため、大幅に低減される。例えば、0.049”直径先端を有するカテーテルによって発揮される圧力は、力方向転換要素49により、遠位アセンブリの長さにわたって分散されて発揮される圧力よりも約75%大きい。
幾つかの実施形態では、力方向転換要素49および力減衰区分44は、同じ構造を備え、ここで力方向転換要素は、図21Hおよび21Jに示されるように、力減衰区分44において行われる屈曲または湾曲である。代替的に、力方向転換要素は、図21Iおよび21Kに示されるように、2つの力減衰区分44において行われる2つの屈曲または湾曲である可能性があり、あるいは力方向転換要素は、図21Lに示されるように、エネルギー送達要素24の遠位先端57を細長い本体16の軸から引き離す、任意の数および組み合わせの屈曲または湾曲である可能性がある。
他の実施形態では、力方向転換要素49および力減衰区分44は、分離した構造を備えることができる。例えば、図21Nに示されるように、力方向転換要素49は、行われる角度的な屈曲(angular bend)を有する、ワイヤーまたは管である。力方向転換要素は、図21Nにおいては、ばねコイルである、分離した力減衰区分44に接続される可能性がある。
図21Hを参照すると、力方向転換要素49は、約135°〜170°の間、例えば、約160°以下の角度α4を有する角度的な屈曲(angular bend)、および約0mm〜1mmの間、例えば、約0.25mm以下の曲率の半径RoC4を備えることができる。力方向転換要素49は、力減衰区分44の近位端から約0mm〜2mm以内、例えば、約0.25mm以下で、力減衰区分44に沿って位置決められる可能性がある。力方向転換要素49に遠位の遠位アセンブリ53の長さは、3mm〜10mmの間、例えば、約5mm以下である可能性がある。
図21Iを参照すると、力方向転換要素49は、角度α5および曲率の半径RoC5を有する第1の角度的な屈曲(angular bend)、ならびに角度α6および曲率の半径RoC6を有する第2の角度的な屈曲(angular bend)を備えることができ、ここで角度α5およびα6は、135°〜170°の間、例えば、約145°以下であり、曲率の半径RoC5およびRoC6は、0mm〜2mmの間、例えば、約0.25mm以下である。
図21Jおよび21Kに示されるように、第1の代表的な実施形態の力方向転換要素49は、1つまたは2つの湾曲を備えることができる。力方向転換要素49は、湾曲力減衰区分44である可能性がある。
図21Kに示されるように、力方向転換要素49は、カテーテルの遠位端を偏向可能な区分34の軸に対して、初期設定角度α7および距離L7によって配置する、任意の予形成形状を備えることができ、ここで初期設定角度α7は、約15°〜45°の間、例えば、約20°以下であり、距離L7は、約1mm〜6mmの間、例えば、約2mm以下である。
上述の力方向転換要素は、エネルギー送達要素24が、所定バイアスをかけられた偏向可能な区分34の撓みと、ほぼ反対側の方向かつ同じ平面にある方向にずらされるように、配向される可能性がある。代替的に、力方向転換要素は、エネルギー送達要素24が、所定バイアスをかけられた偏向可能な区分34の撓みと、ほぼ同じ方向および平面にある方向にずらされるように、配向される可能性がある。
G.第7の代表的な実施形態(第2の撓み区域は、予形成形を含む)
図22A〜22Kは、力伝達区分30、第1の撓み区域32、第2の撓み区域34、および任意の第3の撓み区域44を含む細長いシャフト16を有する、第7の実施形態の代表的な実施形態を示す。これらの実施形態では、力伝達区分30、第1の撓み区域32、および任意の第3の撓み区域44の物質、サイズ、および構成は、前の実施形態のいずれかに記載されるそれらのそれぞれの対応物と同程度である。
これらの実施形態では、しかしながら、第2の撓み区域34は、無拘束の構成において、細長いシャフト16の長手方向の軸から軸外しまたは偏向された、予形成形または形状を備える力方向転換要素49を有する、第3の管状構造体62を備えてもよく(例えば、図22Aおよび22Bを参照されたい)、それは、エネルギー送達要素24の腎動脈内の治療部位と接触した位置決めを促進し得る。第2の撓み区域34の長さおよび直径は、第2の撓み区域34の前の実施形態のいずれかに記載されるものと同程度であり得る。一実施形態では、第3の管状構造体62の予形成形は、第2の撓み区域34に、前述のもの等の、所望の曲率の半径RoC2および角度α2(図7Cを参照されたい)を提供するように指定され得る。他の実施形態では、予形成形は、他の形状的および寸法的形態をとることができる。第3の管状構造体62は、予形成形を提供するために、例えば、ニッケル−チタン合金(すなわち、ニチノール)等の形状記憶物質的からまたはばね鋼から製作されてもよい。
血管内経路を介して、腎動脈内で前進させられ、そこから回収されるとき、第2の撓み区域34は、ガイドカテーテル96等のガイドカテーテル内に位置決めされてもよく、それは、このような血管内送達および回収中に、第3の管状構造体62を実質的に一直線にしても、制約してもよい。ガイドカテーテルの遠位の第2の撓み区域34の前進後、第3の管状構造体62は、例えば、エネルギー送達要素24を腎動脈の壁と接触するように携えるために、その軸外しされた予形成形を再び呈してもよい。第2の撓み区域34は任意に、第3の管状構造体62の予形成形によって提供される受動的偏向に加えて、能動的に偏向され得る(例えば、前述されるように、ハンドル発動装置260に取り付けられた制御ワイヤー40を介して)。代替的に、第2の撓み区域34の偏向は、完全に受動的であり(すなわち、第3の管状構造体の予形成形に完全に起因してもよい)、ワイヤー40および発動装置260に対する必要性を軽減し得る。
1.予形成形の方向への能動的偏向
第2の撓み区域34が能動的および受動的偏向の両方のために構成されるとき、第3の管状構造体62は、第2の撓み区域の能動的偏向が、第3の管状構造体の予形成形の方向に付勢されるように、構成されてもよい。これは、第3の管状構造体62を構造体の予形成形の方向に圧縮性、かつ構造体の予形成形の反対側の圧縮に対して弾力的にすることによって達成することができる。このような構成において、能動的偏向は、第3の管状構造体の予形成形によって提供される受動的偏向を補足および拡大する。
図22Cは、予形成形を有し、予形成形の方向の能動的偏向のために構成される、第2の撓み区域34の代表的な実施形態を提供する。図22Cにおいて、第3の管状構造体62は、接続リブ68を有する背骨部材66を含む、レーザー切断パターンを備える。背骨部材66は、第2の撓み区域34を、無拘束の構成において、細長いシャフト16の長手方向の軸から軸外しまたは偏向されるように位置決めする、予形成形を備える。予形成形の方向は、レーザー切断パターンが、第3の管状構造体62の遠位端に連結される制御ワイヤー40上の引きに応答して、予形成形の方向に向かって、第3の管状構造体62の能動的偏向にバイアスをかけるような方向である。制御ワイヤー40は、第2の撓み区域の遠位端にはんだ130で取り付けられる。
2.単一の制御ワイヤーを介した、双方向的な偏向のための、予形成形の反対側の方向への能動的偏向
図22Cの実施形態の代替手段として、第2の撓み区域34が能動的および受動的の両方の偏向のために構成されるとき、第3の管状構造体62は、第2の撓み区域の能動的偏向が、第3の管状構造体の予形成形の実質的に反対側の方向に付勢されるように、構成されてもよい。これは、第3の管状構造体62を構造体の予形成形の反対側の方向に圧縮性、かつ構造体の予形成形の方向の圧縮に対して弾力的にすることによって達成することができる。このような構成において、能動的偏向は、第3の管状構造体の予形成形によって提供される受動的偏向を低減または逆転させる。
図22Dは、予形成形を有し、予形成形の反対側の方向の能動的偏向のために構成される、第2の撓み区域34の代表的な実施形態を提供する。図22Dにおいて、第3の管状構造体62は再び、接続リブ68を有する背骨部材66を含む、レーザー切断パターンを備える。図22Cの実施形態にあるように、背骨部材66は、第2の撓み区域34を、無拘束の構成において、細長いシャフト16の長手方向の軸から軸外しまたは偏向されるように位置決めする、予形成形を備える。しかしながら、図22Cの実施形態とは対照的に、予形成形の方向は、レーザー切断パターンが、第3の管状構造体62の遠位端に連結される制御ワイヤー40上の引きに応答して、予形成形の方向から離れて、第3の管状構造体62の能動的偏向にバイアスをかけるような方向である。
図22E〜22Gに示されているように、第2の撓み区域34が予形成形を有し、予形成形の反対側の方向への能動的偏向のために構成されるとき、第2の撓み区域は、望ましくは、単一の制御ワイヤー40を介した双方向的な屈曲を達成し得る。図22Eに示されているように、能動的偏向を伴わない第2の撓み区域34の無拘束の構成において(例えば、制御ワイヤー40が引張状態で引かれていないとき)、第2の撓み区域34は、その第3の管状構造体62の予形成形を呈する。図22Fに示されているように、制御ワイヤー40に適用される引張は、第2の撓み区域34における屈曲を部分的または完全に一直線にする。図22Gに示されているように、幾つかの実施形態では、制御ワイヤー40の更なる引き(すなわち、近位の後退)は、第2の撓み区域をその予形成形の反対側の方向に偏向し得、それによって、単一の制御ワイヤー40により第2の撓み区域の双方向的な屈曲を提供する。
任意に、制御ワイヤー40は、図22Fにあるように、腎動脈内でのエネルギー送達要素24の送達および/または回収中に、第2の撓み区域34の予形成形をこのような送達/回収中に少なくとも部分的に一直線にするために、引張下にあり得る。腎動脈内に位置決められるとき、引張は、エネルギー送達要素24を腎動脈の壁と接触するようにを携えるために、図22Eにあるように、第2の撓み区域をその予形成形の方向に偏向させるために、制御ワイヤー40から除去されてもよい。更にまたは代替的に、制御ワイヤー40は、細長いシャフト16の回転を必要とすることなく、エネルギー送達要素24を腎動脈の対向する壁と接触するように携えるために、図22Gにあるように、第2の撓み区域をその予形成形の反対側の方向に偏向させるために、より近位に引かれてもよい。上述のように、第3の撓み区域44は、望ましくは、腎動脈の任意の壁との接触に応じ、受動的に偏向して、エネルギー送達要素24を、接触される動脈の壁と少なくとも部分的に揃えるように携え、それによって第2の撓み区域34の双方向的な偏向に応じる。
3. 予形成形と組み合わせた任意の所望の方向での能動的偏向
図22C〜22Gは、第2の撓み区域の能動的および受動的偏向の両方のために構成される、第2の撓み区域34の代表的な実施形態を例示し、ここで能動的偏向は、受動的偏向の方向(すなわち、第2の撓み区域の予形成形の方向)の方向にあるか、またはそれに対向するかのいずれかである。しかしながら、他の企図される実施形態では、第2の撓み区域の能動的偏向は、所望に応じて、任意の平面(複数可)にあってもよく、予形成形の方向のまたは予形成形の反対側の方向の能動的偏向に限定されないことが理解されるべきである。
4.予形成形から長手方向にずれる能動的偏向
図22C〜22Gにおいて、第2の撓み区域の能動的偏向および受動的偏向は、共通の長手方向のセグメントに沿って生じる。能動的および受動的偏向は代替的に/更に、互いから長手方向に離間またはずれ得る。例えば、第2の撓み区域34は、能動的偏向のために構成されるより近位の区分、および予形成形を有するより遠位の区分、またはその逆を備えてもよい。能動的偏向は、所望に応じて、予形成形の方向に、予形成形の反対側の方向に、または任意の他の方向に生じ得る。
図22Hは、能動的偏向のために構成されるより近位の区分、および予形成形を有するより遠位の区分を有する、第2の撓み区域34の代表的な実施形態を例示する。第2の撓み区域34のより近位の区分は例示的に、より遠位の区分の予形成形の反対側の方向への能動的偏向のために構成される。しかしながら、予形成形は代替的に、能動的偏向の方向にまたは任意の他の方向に向けられてもよいことが理解されるべきである。
図22Hに示されているように、第3の管状構造体62は、接続リブ68を有する背骨部材66を含む、レーザー切断パターンを備える。図22A〜22Gの実施形態とは対照的に、はんだ130は、制御ワイヤー40を、第2の撓み区域の遠位端の近位の第3の管状構造体62に、例えば、第3の管状構造体62のより近位の区分の遠位端で、および/または第3の管状構造体のより遠位の区分の近位端で接続する。制御ワイヤー40の第3の管状構造体62への取り付けの遠位で、背骨部材66は、予形成の軸外し形を備える、力方向転換要素49を備える。第3の管状構造体のレーザー切断パターンは、背骨部材の予形成形の近位の第3の管状構造体62に連結される制御ワイヤー40上の引きに応答して、予形成形の反対側の方へと、第3の管状構造体62の能動的偏向にバイアスをかける。
次に図22I〜22Kを参照すると、第2の撓み区域34が、より遠位の区分の予形成形の反対側の方向への能動的偏向のために構成されるより近位の区分を有するとき、第2の撓み区域は、望ましくは、エネルギー送達要素24によって血管壁に適用される接触力を低減しながら、第1もしくは第2の撓み区域における座屈を助長し得、それは外傷性のより低い治療を提供し得、かつ/または任意の第3の撓み区域44に対する必要性を軽減し得る。更に/代替的に、このような第2の撓み区域は、細長いシャフト16の回転を必要とすることなく、腎動脈の角度的に対抗(angularly opposed)する管腔表面における接触および治療の確立を促進し得る。
図22Iに示されているように、能動的偏向を伴わない第2の撓み区域34の無拘束の構成において(例えば、制御ワイヤー40が引張状態で引かれていないとき)、第2の撓み区域34のより遠位の区分は、その第3の管状構造体62の予形成形を呈する。上述のように、腎動脈内に位置決められるとき、第1の撓み区域32は、腎動脈の上壁表面に沿って、またはその近くに置かれてもよい(例えば、図7Eを参照されたい)。図22Jに示されているように、能動的に偏向されないとき、より遠位の区分第2の撓み区域の予形成形は、エネルギー送達要素24および任意の第3の撓み区域44がその壁表面と接触するように促し得る。任意の第3の撓み区域の前述の受動的偏向は、示されるように、エネルギー送達要素24を上壁表面と少なくとも部分的に揃え得る。
図22Kに示されているように、制御ワイヤー40に適用される引張は、第2の撓み区域34のより近位の区分を、より遠位の予形成形の反対側の方向に、例えば、動脈の内面腎に向かって、偏向させる。予形成形は、エネルギー送達要素24を、予形成形を伴わずに他の方法で接触する場合よりも低い接触角度で(すなわち、表面に対して垂直未満の角度をなして)内面に接触させ、それによって、加熱要素に(例えば、加熱要素に、および/または任意の第3の撓み区域44に)適用される座屈力、ならびに血管壁に適用される穿刺力を低減し、それはより非外傷性の治療を提供し得、かつ/または任意の第3の撓み区域44に対する必要性を軽減し得る。任意の第3の撓み区域の前述の受動的偏向は、示されるように、エネルギー送達要素24を下壁表面と少なくとも部分的に揃え得る。図22Jおよび22Kは、細長いシャフト16の回転を必要とすることなく、腎動脈の角度的に対抗(angularly opposed)する管腔表面での接触および治療の確立を例示する。
H.第8の代表的な実施形態(力方向転換要素は、多方向的なアクセスを促進するように構成される)
図23A〜23Gは、力伝達区分30、第1の撓み区域32、および力方向転換要素を備える力減衰区分44を含む細長いシャフト16を有する、第8の実施形態の代表的な実施形態を示す。これらの実施形態では、力伝達区分30、第1の撓み区域32、力減衰区分44、力方向転換要素49、およびエネルギー送達要素24の物質、サイズ、および構成は、前の実施形態のいずれかに記載されるそれらのそれぞれの対応物と同程度である。
しかしながら、第8の代表的な実施形態では、力減衰区分44および力方向転換要素49は、エネルギー送達要素24が種々の場所で腎動脈の内壁と接触して配置され得るように、エネルギー送達要素24を多方向に偏向させるように構成される。このような実施形態では、力方向転換要素49は、多数の(すなわち、1つを超える)屈曲を含む。例えば、図23Dに示されているように、屈曲49’および49’’は、カテーテルの軸に沿って離間される。第8の実施形態は、送達鞘95中で後退させられながら、腎動脈中へと前進するように構成される。遠位アセンブリが送達鞘中で後退させられるとき、力減衰区分44および力方向転換要素49は、可撓性で送達鞘に適応する(図23Bを参照されたい)。遠位アセンブリが、腎動脈中で所望の深度へと前進するとき、送達鞘は、力減衰区分44を第1の角度α8で偏向させるために弾性で変形する力方向転換要素49の第1の屈曲49’を曝露するために、手前に引かれ、エネルギー送達要素24を細長い管状体16の軸から第1の方向に引き離す(図23Cを参照されたい)。送達鞘が、第2の屈曲49’’を更に曝露するために手前に引かれるとき、第2の屈曲は、弾性で変形し、力減衰区分44を第2の角度α9で偏向させ、エネルギー送達要素24を細長い管状体16の軸から第2の方向に引き離す(図23Dを参照されたい)。
力方向転換要素49は、図23Aに示されているように、腎動脈中で展開されるとき、エネルギー送達要素24が、図23Eおよび23Fに示されるように、送達鞘から突出する力方向転換要素49の部分に依存して、腎動脈の内壁と多方向に接触して配置されるように、多数の角度α8およびα9で構成される可能性がある。角度α8およびα9は、第1の角度α8マイナス第2の角度α9が0°超〜90°未満であるように、90°超〜180°未満である可能性があり、例えば、第1の角度α8は、約130°〜150°の間、例えば、140°以下である可能性があり、第2の角度α9は、約90°〜130°の間、例えば、約110°以下である可能性がある。力減衰区分44の長さおよび力方向転換要素49の位置は、エネルギー送達要素24が、腎動脈の内壁と安定な接触力により接触して配置されるように構成される。例えば、エネルギー送達要素24の遠位端からの長さは、力減衰区分44を含めて第1の屈曲49’までで、約8mm〜11mm(例えば、9.5mm以下)である可能性があり、第1の角度α8は、約130°〜150°(例えば、140°以下)である可能性があり、第1および第2の角度の間の長さは、約1.25mm〜3mm(例えば、1.5mm以下)である可能性があり、第2の角度α9は、約90°〜130°(例えば、110°以下)である可能性がある。
代替的に、力方向転換要素49は、図23Gに示されているように、送達鞘から突出する力方向転換要素49の割合に依存して、このような力減衰区分44が多数の3次元方向に偏向されるように、螺旋状形等の段階的曲率により構成される可能性がある。力減衰区分44と組み合わせた力方向転換要素49は、力方向転換要素49がその可撓性で適応した後退状態で送達鞘から前進するとき、それが弾性で変形して、力減衰区分44の遠位端上に搭載されるエネルギー送達要素24を、腎動脈の内壁と接触して配置するように構成される。例えば、力方向転換要素49は、約20°〜50°(例えば、30°以下)の間の螺旋状角度、約2mm〜4mm(例えば、3mm以下)の直径、および約0.5〜3回の転回(例えば、1回以下の転回)を有する螺旋状構造を備えることができ、および力方向転換要素49は、エネルギー送達要素24の遠位端から約7mm〜11mm(例えば、以下9.5mm)に位置決められる可能性がある。
I.第9の代表的な実施形態(力減衰区分の長さは、望遠鏡の方式で調整される可能性がある)
図24A〜24Dは、力伝達区分30、第1の撓み区域32、力方向転換要素49、および力減衰区分44を含む細長いシャフト16を有する、第9の実施形態の代表的な実施形態を示す。これらの実施形態では、力伝達区分30、第1の撓み区域32、力方向転換要素49、力減衰区分44、およびエネルギー送達要素24の物質、サイズ、および構成は、前の実施形態のいずれかに記載されるそれらのそれぞれの対応物と同程度である。
しかしながら、第9の代表的な実施形態では、力方向転換要素49は、第1の撓み区域32に接続され、力減衰区分44は、力方向転換要素49および細長い管状体16を通過する、管腔17中に摺動可能に収容される細長い可撓性ワイヤーまたは管を備え、その結果、力減衰区分44は、管腔17を通じて力減衰区分44の近位端を前進させることによって、管腔17の遠位開口部から望遠鏡の方式で引き離される。前の実施形態と同様に、力方向転換要素49は、ガイドカテーテルの内管腔に可撓性で適応し、ガイドカテーテルによって制約されないとき、所定角度に弾性で偏向するように構成される。力方向転換要素49は、カテーテルが軸方向の軌道に沿って前進させられ、接触する内動脈壁によって力がエネルギー送達要素24に適用されるとき、力減衰区分44および細長い管状体が座屈するように仕向けられ、軌道が動脈を通じて流動するように修正されるように、エネルギー送達要素24を細長い管状体16の軸から引き離す、上述した角度を備える。力減衰区分44の望遠鏡の方式で調整可能な長さは、遠位アセンブリ53が腎動脈を通じて前進させられている間に、短縮される可能性がある。遠位アセンブリが、腎動脈中の所望の距離まで前進するとき、力減衰区分44は、エネルギー送達要素24と腎動脈の内壁との間の接触を促進するために、望遠鏡の方式で延長される可能性がある。
力方向転換要素49は、力減衰区分44を、前の実施形態における角度(図7Bに示される角度α4等)と同様の角度で偏向させることができる。例えば、力方向転換要素49の角度は、約130°〜170°の間(例えば、160°以下)である可能性がある。力方向転換要素49の屈曲部から遠位に突出する力減衰区分44の最小長もまた、前の実施形態における力減衰区分44の長さL4(図7Aに示されているように)と同様である可能性がある。例えば、力減衰区分44の最小の突出長は、約2mm〜5mmの間である可能性がある。管腔17の遠位開口部から突出する力減衰区分44の長さは、約5mm〜30mmの間(例えば、以下20mm)の最大限まで、望遠鏡の方式で増加される可能性がある。代替的に、望遠鏡の方式で突出する力減衰区分44の角度α4および長さの組み合わせは、エネルギー送達要素24を、細長い管状体16の軸から約1mm〜15mmの間の距離だけ引き離すことができる。
図24Dに示されているように、力減衰区分44は、力減衰区分44が望遠鏡の方式で前進させられるとき、動脈との接触によって作り出される負荷が、力減衰区分44の軸から引き離されて、力減衰区分44の座屈を助長するように、エネルギー送達要素24の遠位先端を力減衰区分44の軸から引き離す、第2の力方向転換要素49’を更に備えることができる。
力減衰区分44は、例えば、エネルギー送達要素24へのおよびそこからのエネルギーおよびセンサシグナルを担持する、電気絶縁ニチノールワイヤーおよび導線からなる可能性があり、発生器26は、電気絶縁部とニチノールワイヤーとの間の隙間に保持される可能性がある。力減衰区分44の近位端は、管腔を通じて、細長い管状体の管腔中の近位開口部まで延びている可能性があり、そこでそれは、管腔17の遠位開口部から突出する力減衰区分44の遠位部分を望遠鏡の方式で延長するように操作される可能性がある。代替的に、力減衰区分44の近位端は、ハンドル200中の発動装置260によって操作される可能性がある。
J.第10の代表的な実施形態(第2の撓み区域は、制御された多方向的な偏向を促進する)
図25A〜25Wは、力伝達区分30、第1の撓み区域32、第2の撓み区域34、エネルギー送達要素24、および任意の第3の撓み区域44を含む細長いシャフト16を有する、代表的な実施形態を示す(図25Aを参照されたい)。これらの実施形態では、力伝達区分30、第1の撓み区域32、および任意の第3の撓み区域44の物質、サイズ、および構成は、前の実施形態のいずれかに記載されるそれらのそれぞれの対応物と同程度である。更に、図25の実施形態における第2の撓み区域34の長さおよび直径は、第2の撓み区域34の前の実施形態のいずれかに記載されるものと同程度であり得る。また、第2の撓み区域34の制御された屈曲は、第2の撓み区域に、前述のもの等の、所望の曲率の半径RoC2および角度α2(図7Cを参照されたい)を提供してもよい。
しかしながら、本発明のこの実施形態では、第2の撓み区域34は、多数の異なる方向への制御された偏向を促進し得、例えば、第2の撓み区域を多数の異なる方向に制御可能に偏向させるための、多数の制御ワイヤー40を備えてもよい。第2の撓み区域の制御された多方向的な屈曲は、エネルギー送達要素24の、腎動脈内の1つの治療部位または多数の治療部位と安定に接触した配置を促進し得る。エネルギー送達要素の配置に対するこのような制御は、比較的蛇行した血管を有する患者においてとりわけ有用であり得る。例えば、エネルギー送達要素24の腎動脈の治療部位と接触した配置が、第2の撓み区域の第1の方向への制御された屈曲下で最適以下である場合、第2の撓み区域は、エネルギー送達要素を、その治療部位または代替的なもしくは更なる治療部位と接触してより最適に配置するために、第2の方向に制御可能に偏向され得る。更に、安定な接触およびエネルギー送達は、第2の撓み区域の制御された多方向的な偏向を介して、多数の治療部位で達成可能であり得る。
幾つかの代表的な実施形態では、第2の撓み区域は、リブに連結されたまたはコイルによって囲まれた、中心に位置決めされた背骨部材を備えてもよく、中心に位置決めされた背骨部材は、制御された多方向的な屈曲を促進する形状を有してもよい。第2の撓み区域は、リブによって接続された、多数の外周的に位置決めされた背骨部材、または制御された多方向的な屈曲を促進するために中心に位置決めされた背骨部材を備えてもよい。
1.中心に位置決めされた背骨部材
図25B〜25Mは、中心の背骨部材および多数の制御ワイヤーを有する、制御された多方向的な屈曲のために構成される第2の撓み区域34を有する、代表的な実施形態を提供する。
図25Bおよび25Cの実施形態では、第2の撓み区域は、制御された双方向的な屈曲のために構成される。図25Bの断面に示されているように、第2の撓み区域34の第3の管状構造体62は、第3の管状構造体を実質的に半分に分割する、実質的に平坦形またはリボン形を有する(すなわち、背骨部材の幅は、その深度よりも有意に大きい)、中心に位置決めされた背骨部材66を備える。背骨部材の深度未満の中心管腔の直径は、電気伝達ワイヤー(複数可)および/またはセンサ/熱電対ワイヤー(複数可)29の通行のための、背骨部材66の中心を通じて形成されてもよい。代替的に、ワイヤー(複数可)29は、中心に位置決めされた背骨部材66およびリブ68によって規定される管腔を通過することができる。
第3の管状構造体62は、管腔を有するリボンにより管を形成するために、例えば、放電加工(EDM)、微細加工、および/または押出しを介して製作されてもよく、ここでリボンは、図25Bにあるように、管を二分する。図25Cに示されているように、レーザー切断パターンは次いで、第3の管状構造体62の外周の周りで背骨部材66の対向側面上に延びている管の長さに沿って、離間された間隔で接続リブ68aおよび68bを形成するために、リボン状の管の区分をその長さに沿って除去し得る。制御ワイヤー40aおよび40bは、背骨部材66の対向側面上で、第2の撓み区域の遠位端にはんだ130で取り付けられ、背骨部材66とリブ68との間に径方向に位置決められる第3の管状構造体の長さに沿って移動する。
代替的に、偏向可能な区分34は、圧縮に対して弾力的であり、第3の管状構造体62によって囲まれる、中心に位置決めされた背骨部材66を備えてもよい。第3の管状構造体は、圧縮性であり、レーザー切断ハイポチューブ(hypo tube)、ゆるいピッチを有する中空のコイル、中空のケーブル、編組状シャフト等を備えてもよい。背骨部材は、第3の管状構造体の長さに沿って62に接続されてもよく、1つのみもしくは少数の場所で(例えば、その遠位端で)構造体に接続されてもよく、またはコイル状の第3の管状構造体内で浮動するか、もしくは摩擦嵌めされてもよい。
背骨部材66の形状は、リブ68aおよび68bの形状ならびに制御ワイヤー40aおよび40bの遠位取り付け場所と組み合わせて、例えば、背骨部材の幅に対して垂直の平面へのワイヤー40aまたは40bの引きに応答して、背骨部材66の座屈または屈曲を実質的に制約することによって、第2の撓み区域34の制御された双方向的な屈曲を促進する。第2の撓み区域は、制御ワイヤー40bが有意な引張下にない間に、制御ワイヤー40a上の引きに応答して第1の方向に偏向する(図25Cを参照されたい)。第2の撓み区域は、制御ワイヤー40aが有意な引張下にない間に、制御ワイヤー40b上の引張りに応答して第2の対向方向に偏向する。
図25Bおよび25Cが、第2の撓み区域34の双方向的な屈曲の実施形態を例示するが、第3の管状構造体62は、所望に応じて任意の数の方向への屈曲を促進する、中心に位置決めされた背骨部材により製作されてもよい。図25D〜25Jは、制御された四方向的な偏向のために構成される、中心に位置決めされた背骨部材を有する第2の撓み区域の実施形態を例示する。図25G〜25Iに示されているように、第3の管状構造体62は、第3の管状構造体の長さに沿って交互のパターンで互いから約90°角度的にずれて配置される幅を有する、長手方向に離間された背骨部材リボン区分66aおよび66bを有する、中心に位置決めされた背骨部材66を備える。中心に位置決められる管腔は、電気伝達ワイヤー(複数可)および/またはセンサ/熱電対ワイヤー(複数可)29の通行のために、第3の管状構造体の長さに沿ってリボン区分を通じて延びている。背骨部材リボン区分66aおよび66bの各対の間で、背骨部材66は、径方向に外向きに広がって、背骨部材リボン区分の対を接続する背骨部材リボン接続子区分66cを形成する。
図25G〜25Iの実施形態では、各接続子区分66cは、第3の管状構造体62の外周まで延びている、4つの側面または延在部を有する。4つの側面または延在部は、リボン区分66aおよび66bの幅から約45°角度的にずれて配置される径方向の頂点(radial−most point)を有する。接続リブ68a、68b、68c、および68dは、径方向の頂点(radial−most point)で各接続子区分66cの4つの側面または延在部の各々を接続して、各接続子区分66cのレベルで外周環またはループを形成する。
第3の管状構造体62は故に、構造体の長さに沿って、一連の反復セグメントを備える。各反復セグメントは、リブ68備える第1の接続子区分66c;続いて縦方向に、第1の接続子区分66cの側面または延在部の径方向の頂点(radial−most point)から45°角度的にずれて配置される幅を有するリボン区分66a;続いて縦方向に、リブ68備える第2の接続子区分66c(この第2の接続子区分は、リボン区分66aの幅から45°角度的にずれて配置され、かつ第1の接続子区分66cの側面または延在部の径方向の頂点(radial−most point)と角度方向に整列した(angularly aligned)、径方向の頂点(radial−most point)を備える側面または延在部を有する);続いて縦方向に、第2の接続子区分66cの側面または延在部の径方向の頂点(radial−most point)から45°角度的にずれて配置され、かつリボン区分66aの幅から90°角度的にずれて配置される幅を有するリボン区分66b;続いて縦方向に、反復する第1の接続子区分66c;等を有する。図25Gの第3の管状構造体62は、例えば、EDM、微細加工、および/または押出しの組み合わせから製作されてもよく、リブ68を備えるレーザー切断、リボン区分66bの幅から45°角度的にずれて配置され、かつ第2の接続子区分66cの側面または延在部の径方向の頂点(radial−most point)と角度方向に整列した(angularly aligned)、径方向の頂点(radial−most point)を備える側面または延在部を有する、反復する第1の接続子区分;等も同様である。
リボン区分66aおよび66bは好ましくは、第3の管状構造体62の反復セグメントの形状が、第3の管状構造体の長さに沿って4つの縦方向の空隙を形成するように、各接続子区分66cのレベルで、第3の管状構造体62の直径未満(例えば、リブ68によって形成される環の直径未満)である幅を有する。空隙のうちの2つは、背骨部材リボン区分66aの幅と実質的に揃っているが、その径方向の外向きに位置決められる一方で、残りの2つの空隙は、背骨部材リボン区分66bの幅と実質的に揃っているが、その径方向の外側へ位置決められる。故に、4つの空隙は、接続子区分66cの側面または延在部の径方向の頂点(radial−most point)から約45°角度的にずれて配置され、すなわち空隙は、その側面または延在部が第3の管状構造体62の外周まで延び、リブ68によって接続される場所である、側面または延在部の間の隙間を占有する。
制御ワイヤー40a、40b、40c、または40dは、第3の管状構造体の長さに沿って空隙の各々の内部に位置決められ、第2の撓み区域の遠位端にはんだ130で取り付けられる。制御ワイヤーのうちのいずれか1つの上の、他の3つの制御ワイヤーが有意な引張下にない間の引きは、引かれているワイヤーの方向への第2の撓み区域34の制御された偏向を提供してもよい(代替的に、引かれていない制御ワイヤーの反対側の方向への第2の撓み区域の制御された偏向を提供するために、任意の3つの制御ワイヤーが、第4の制御ワイヤーが有意な引張下にない間に引かれてもよい)。この様態では、第2の撓み区域34は、互いから約90°角度的にずれて配置されるか、または位相外である、4つの方向への制御された四方向的な屈曲のために構成されてもよい。
例えば、図25Hに示されているように、ワイヤー40a上の引張りは、ワイヤー40aの平面に対して垂直の平面にある幅を有するリボン区分66aを、ワイヤー40aの方向へ座屈または屈曲させて、第3の管状構造体62および第2の撓み区域34の、ワイヤー40aの方向への制御された屈曲を提供する。同様に、図25Iに示されているように、ワイヤー40b上の引きは、リボン区分66bをワイヤー40bの方向に座屈または屈曲させて、第2の撓み区域34の、ワイヤー40bの方向への制御された屈曲を提供する。逆に、ワイヤー40c上の引きは、リボン区分66a(およびそれによって第2の撓み区域34)を、ワイヤー40aにより達成される方向の反対側の方向に座屈または屈曲させる一方で(図示されず)、ワイヤー40d上の引きは、リボン区分66b(およびそれによって第2の撓み区域34)を、ワイヤー40bにより達成される方向の反対側の方向に座屈または屈曲させる(図示されず)。
図25G〜25Jに示されるもの等の、幾つかの多方向的な偏向の実施形態では、任意の2つの隣接制御ワイヤー上の、残りの制御ワイヤーが有意な引張下にない間の引きは、任意の単一の制御ワイヤー40上の引きによって達成される方向からずれる、または位相外の更なる方向への、第2の撓み区域34の制御された偏向を提供してもよい。2つの隣接ワイヤーが引かれるとき、交互のリボン区分66aおよび66bの実質的に全ては、座屈または屈曲することが予想される。リボン区分66aは、それらの可撓性でバイアスをかけられた平面において、第1の制御ワイヤーによって適用される引張の方向に屈曲することが予想される一方で、代替のリボン区分66bは、それらの可撓性でバイアスをかけられた平面において、第2の隣接制御ワイヤーによって適用される引張の方向に屈曲することが予想される。交互のリボン区分は、互いから約90°ずれる方向に屈曲する。交互のリボン区分66aおよび66bを屈曲させる量は、各それぞれの制御ワイヤーによって適用される引張の量に比例する。第2の撓み区域34の総長に沿って、両方の交互のリボン区分を屈曲させる累積効果は、2つの可撓性でバイアスをかけられた平面の間の方向への屈曲であろう。この様態では、第2の撓み区域34は、4つの制御ワイヤー40のうちの1つの引きによる4つの方向への、および等しいまたは不釣合な引張での、2つの隣接制御ワイヤー40の引きによる更なる方向への、制御された偏向のために構成されてもよい。
図25Dに示されているように、第3の管状構造体は、EDM、微細加工、および/または押出しを介して、背骨部材接続子区分66cの断面と共に製作されてもよい。図25Fに示されているように、第3の管状構造体の内部が管状外部に接続する点から約45°角度的にずれて配置される、第3の管状部材62の第1の側断面平面におけるレーザー切断は、背骨部材リボン区分66a、ならびに背骨部材リボン区分66bのレベルでの直径の狭小化を形成し得る。同様に、図25Eに示されているように、第1の側断面平面に対して垂直の(すなわち、それから90°角度的にずれて配置される)、第3の管状部材62の第2の側断面平面におけるレーザー切断は、背骨部材リボン区分66bおよび背骨部材接続子区分66c、ならびに背骨部材リボン区分66aのレベルでの直径の狭小化を形成し得る。これは、図25Gにあるように、背骨部材接続子区分66cに4つの側面を提供する。
次に図25Jを参照すると、四方向的な制御された偏向のために構成される第3の管状構造体の代替的な構成(および前述のように、2つの隣接制御ワイヤーが引かれるときの更なる方向への偏向)が記載される。図25Jにおいて、背骨部材リボン区分66aおよび66bの各々は、径方向に外向きに広がって、第3の管状構造体62の外周まで延びている2つのみの側面または延在部に沿って、背骨部材接続子区分66cに接続する。2つの側面または延在部は、それぞれ、リボン区分66aおよび66bの各々の幅と実質的に整列した径方向の頂点(radial−most point)を有する。接続リブ68aおよび68b、68cおよび68dは、各接続子区分66cにおいて見出される4つの側面または延在部の各々を接続して(2つのこのような側面または延在部は、それぞれ、リボン区分66aおよび66bの各々から発出し、他の2つの側面または延在部と約90°位相外である)、各接続子区分66cのレベルで外周環またはループを形成する。
第3の管状構造体62は故に、構造体の長さに沿って、一連の反復セグメントを備える。各反復セグメントは、リブ68備える第1の接続子区分66c;続いて縦方向に、第1の接続子区分66cの側面または延在部の径方向の頂点(radial−most point)のうちの2つと角度に揃い、第1の接続子区分の他の2つの側面または延在部と約90°位相外である幅を有するリボン区分66a;続いて縦方向に、リブ68を備える第2の接続子区分66c(この第2の接続子区分は、4つの径方向の頂点(radial−most point)を備える4つの側面または延在部を有し、そのうちの2つは再びリボン区分66aの幅と揃い、2つはリボン区分66aと約90°位相外である);続いて縦方向に、リボン区分66aの幅と整列した第2の接続子区分66cの側面または延在部の2つの径方向の頂点(radial−most point)から90°角度的にずれて配置される幅を有し、かつ第2の接続子区分66cの残りの2つの径方向の頂点(radial−most point)と角度方向に整列した(angularly aligned)幅を有するリボン区分66b;続いて縦方向に、リブ68を備える反復する第1の接続子区分66c(この反復する第1の接続子区分は、4つの径方向の頂点(radial−most point)を備える4つの側面または延在部を有し、そのうちの2つは再びリボン区分66bの幅と揃い、2つはリボン区分66bと約90°位相外である);等を有する。
図25Jの実施形態では、2つの管腔は、各リボン区分の幅の両端の近くで、それぞれ、各リボン区分66aおよび66bを通じて延びている(すなわち、ワイヤー29の通行のために中心に位置決められる管腔に加えて、合計で4つのこのような管腔)。制御ワイヤー40は、前述されるように、第2の撓み区域34の制御された四方向的な偏向(および前述のように、2つの隣接制御ワイヤーが引かれるときの更なる方向への偏向)のために、これらの管腔を通じて送られてもよい。
図25Bおよび25Cは、双方向的な制御された偏向のために構成される中心に位置決めされた背骨部材66を有する、第2の撓み区域34を例示するが、図25G〜25Iは、四方向的な制御された偏向(および前述のように、2つの隣接制御ワイヤーが引かれるときの更なる方向への偏向)のために構成される中心に位置決めされた背骨部材66を有する、第2の撓み区域34を例示する。第2の撓み区域は代替的に、所望に応じて、任意の数の更なる方向への偏向のために構成される、中心に位置決めされた背骨部材66を備えてもよい。例えば、更なるリボン区分が、更なる角度のずれにおいて提供され、更なる側面を有する背骨部材接続子区分によって接続されてもよい(例えば、図25Kに示されているように、6方向的な屈曲について、3つの交互の背骨部材リボン区分は、60°角度のずれにおいて提供され、6つの側面または延在部を有する背骨部材接続子区分によって接続されてもよく、その径方向の頂点(radial−most point)は、背骨部材リボン区分のエッジと角度的に揃って(in angular alignment)第3の管状構造体62の外周まで延び、その結果、任意の背骨部材リボン区分の幅から約30°ずれる6つの空隙が作り出される)。適切なリブ68および制御ワイヤー40と組み合わせられるとき、任意の数の方向への制御された偏向が達成され得る。しかしながら、第2の撓み区域34は、交互のリボン区分の数が増加するにつれて、次第に剛性となり得ることが予想され、それは制御された偏向方向の達成可能な数に実用限界を課する場合がある。
次に図25Lおよび25Mを参照すると、接続リブを形成するレーザー切断パターンと組み合わせた、中心に位置決めされた背骨部材を備える第3の管状構造体62を有する第2の撓み区域34の代替手段として、第2の撓み区域34は、第3の管状構造体62をコイル状に巻くことによって囲まれる中心に位置決めされた背骨部材66を備えてもよい。コイル状の第3の管状構造体は、第2の撓み区域34の可撓性を増加させ得る。コイル状の第3の管状構造体は、レーザー切断ハイポチューブ(hypo tube)、中空のコイル、中空のケーブル、編組状シャフト等を備えてもよい。背骨部材は、コイル状の第3の管状構造体62にその長さに沿って接続されてもよく、1つのみまたは少数の場所で(例えば、その遠位端で)構造体に接続されてもよく、またはコイル状の第3の管状構造体内で浮動するか、もしくは摩擦嵌めされてもよい。
背骨部材66は、図25B〜25Kに見られる背骨部材のうちのいずれを備えてもよく(例えば、図25Bおよび25Cにあるように、平坦もしくはリボン様であってもよく、または図25G〜25Kにあるように、角度的にずれて配置される交互のリボンを備えてもよい)、または所望に応じて、任意の数の方向への制御された偏向を促進するために、所望に応じて、任意の更なる数の交互のリボンを備えてもよい。背骨部材は、例えば、EDM、微細加工、および/または押出しを介して製作されてもよく、その長さに沿って、可撓性を増加させるレーザー切断パターンを備えてもよい。背骨部材は、例えば、螺旋状のレーザー切断パターンで、その長さに沿って交互になってもよい。
図25Lおよび25Mにおいて、第2の撓み区域34は例示的に、制御された双方向的な偏向のために構成される。背骨部材66は、平坦またはリボン形の背骨部材を備え、コイル状の第3の管状構造体62が、背骨部材を囲む。制御ワイヤー40aおよび40bは、背骨部材66の対向側面上で、第2の撓み区域の遠位端にはんだ130で取り付けられる。図25Bおよび25Cの実施形態にあるように、制御ワイヤー40bが有意な引張下にない間の、制御ワイヤー40a上の引き(図25Mを参照されたい)は、第2の撓み区域34を第1の方向に偏向させる。第2の撓み区域は、制御ワイヤー40aが有意な引張下にない間に、制御ワイヤー40b上の引張りに応答して第2の対向方向に偏向する。
実施形態を含む多方向の偏向は、前述の可撓性構造体74を備える、第3の撓み区域44を更に備えてもよい。
代替的な多方向的な発動装置260は、図25Wにあるように、多数の制御ワイヤーに連結される多方向的なジョイスティックを備えてもよい。代替的に、各々が所与の平面における2つの方向への発動のためである、1つ以上の双方向的な発動装置が提供されてもよい。
2.外周的に位置決めされた背骨部材
図25N〜25Sは、近位の力伝達区分30、第1のまたは近位撓み区域32、第2のまたは中間撓み区域34、および任意の第3のまたは遠位撓み区域44を含む細長いシャフト16を有する、第2の実施形態の代表的な実施形態を示す。これらの実施形態では、近位の力伝達区分30、第1の撓み区域32、および任意の第3の撓み区域44の物質、サイズ、および構成は、前の実施形態のいずれかに記載されるそれらのそれぞれの対応物と同程度である。
これらの実施形態では、しかしながら、第2の撓み区域34は、2つ以上の外周的に位置決めされた背骨部材66を有する第3の管状構造体62を備えてもよい。上記により詳細に記載されるように、第2の撓み区域の多方向への優先的な偏向が望ましい。これは、第3の管状構造体62を、所望の偏向方向に圧縮性にし、かつ偏向に対して垂直の平面に沿った圧縮に対して弾力的にすることによって達成することができる。この実施形態では、このような可変の圧縮性は、圧縮に対して弾力的であるが、なおもバイアスをかけられた圧縮性の方向の屈曲に対して十分に可撓性である、2つ以上の外周的に位置決めされた背骨部材により達成される。圧縮に対して弾力的である2つの外周的に位置決めされた背骨部材は、圧縮に対して弾力的であり、かつ2つの外周的に位置決めされた背骨部材を通過する、平面を形成する。図25N〜25Sは、制御された多方向的な屈曲のために構成される、多数の外周的に位置決めされた背骨部材および制御ワイヤー40を有する第2の撓み区域34を有する、第2の実施形態の代表的な実施形態を例示する。
図25Nおよび25Oの実施形態では、第2の撓み区域34は、制御された双方向的な屈曲のために構成される。図25Nの断面で見られるように、第2の撓み区域34の第3の管状構造体62は、第3の管状構造体の外周を、第3の管状構造体の両側上にその外周の周りで位置決められる、それぞれ、接続リブ68aおよび68bによって接続される二等分に分割する、角度的に対抗(angularly opposed)した(すなわち、約180°角度的にずれて配置される)、外周的に位置決めされた背骨部材66aおよび66bを形成する、レーザー切断パターンを備える。接続リブ68aおよび68bは各々、第3の管状構造体の外周の周りの約180°の弓状のセグメントに及ぶ。制御ワイヤー40aおよび40bは、それぞれ第3の管状構造体62の対向側面上で、背骨部材66aおよび66bから角度的にずれて配置され、第2の撓み区域の遠位端にはんだ130aおよび130bで取り付けられる。
各背骨部材66aおよび66bの幅は、背骨部材の方向への偏向を制限しながら(すなわち、2つの背骨部材を含む平面における偏向を制限しながら)、第3の管状構造体62の、リブ68aおよび68b方向への双方向的な偏向を促進するために、それぞれ、各背骨部材の深度よりも有意に大きいことはない(例えば、各背骨部材の幅は、その深度以下であり得る)。任意に、第3の管状構造体62の第1の側面上のリブ68aは、構造体の長さに沿って第3の管状構造体の反対側の側面上でリブ68bと交互になってもよく、それは可撓性を増加させ、かつ/または第2の撓み区域34の制御された偏向を促進し得る。
背骨部材66aおよび66bの、ならびにリブ68aおよび68bの形状は、制御ワイヤー40aおよび40bの、遠位の角度的にずれて配置される取り付け場所と組み合わせて、第2の撓み区域34の制御された双方向的な屈曲を促進する。第2の撓み区域は、制御ワイヤー40bが有意な引張下にない間に、制御ワイヤー40a上の引きに応答して第1の方向に偏向する(図25Oを参照されたい)。第2の撓み区域は、制御ワイヤー40aが有意な引張下にない間に、制御ワイヤー40b上の引張りに応答して第2の対向方向に偏向する。
図25Nおよび25Oは、第2の撓み区域34の双方向的な屈曲の実施形態を例示するが、所望に応じて、第3の管状構造体62が、任意の数の方向への屈曲を促進するために、リブによって接続される更なる外周的に位置決めされた背骨部材を追加することによって、および更なる制御ワイヤーを追加することによって、製作されてもよい。例えば、図25Pおよび25Qは、制御された三方向的な偏向のために構成される、第2の撓み区域の実施形態を例示する。図25Pおよび25Qにおいて、第2の撓み区域34の第3の管状構造体62は、第3の管状構造体の外周を、第3の管状構造体の外周の周りに位置決められる、それぞれ、接続リブ68a、68b、および68cによって接続される三等分に分割する、角度的にずれて配置された、外周的に位置決めされた背骨部材66a、66b、および66cを形成する、レーザー切断パターンを備える。背骨部材は、第3の管状構造体の外周の周りで、互いから約120°角度的にずれて配置され得る。
背骨部材は、引張り屈曲中の背骨部材の適度な伸びを促進しながら圧縮性屈曲中の背骨部材の圧縮に抵抗する、緩波状またはS字形の要素等の、長手方向に離間された拡張要素67を備える。背骨部材66が背を伸ばす様態で屈曲する(例えば、背骨部材を引張状態に配置する)とき、拡張要素67は、このような背骨部材の伸びに応じるために少なくとも部分的に一直線になる。逆に、背骨部材66が背を短縮させる様態で屈曲する(例えば、背を圧縮状態に置く)とき、拡張要素67は、このような背部の圧縮に抵抗する形状を有する。この様態では、拡張要素67は、背骨部材66が、他の方向への偏向に抵抗しながら、所望の方向への制御された偏向に応じることを可能にする。任意に、拡張要素67(ならびに背骨部材66または第3の管状構造体62)は、拡張要素が、背骨部材66から引張を除去した後にそれらの緩波状形を取り戻すように、ニチノール等の形状記憶合金から製作されてもよい。
背の間に位置決められる第3の管状構造体62の外周の、各3分の1の弧セグメントにおいて、制御ワイヤー40a、40b、または40cは、第2の撓み区域の遠位端にはんだ130で取り付けられる。制御ワイヤー40a、40b、および40cは、例えば、制御ワイヤーのための管腔を備える可撓性押出しポリマー管であり得る離間要素(図示されず)によって、背骨部材66a、66b、および66cに対して定置に保持することができる。制御ワイヤーのうちのいずれか1つの上の、他の2つの制御ワイヤーが有意な引張下にない間の引きは、引かれているワイヤーの方向への第2の撓み区域34の制御された偏向を提供してもよい。例えば、制御ワイヤー40cが引かれるとき、2つの隣接背骨部材66cおよび66bは、圧縮に抵抗し、屈曲動力を提供する。第3の管状構造体62は、制御ワイヤー40cが引かれている屈曲動力の側面上で圧縮し、屈曲動力の対向側面上で拡張する。引かれている制御ワイヤー40cに対して実質的に角度的に反対側(angular opposition)に位置決めされた背骨部材66aの拡張要素67は、第3の管状構造体の屈曲に応じるために、少なくとも部分的に拡張(少なくとも一時的に)する。この様態では、第2の撓み区域34は、互いから約120°角度的にずれて配置されるか、または位相外である、3つの方向への制御された三方向的な屈曲のために構成されてもよい。
図25Rおよび25Sは、制御された四方向的な偏向のために構成される、第2の撓み区域の実施形態を例示する。図25Rおよび25Sにおいて、第2の撓み区域34の第3の管状構造体62は、拡張要素を有し、第3の管状構造体の外周を、第3の管状構造体の外周の周りに位置決められる、それぞれ、接続リブ68a、68b、68cおよび68dによって接続される四分に分割する、角度的にずれて配置された、外周的に位置決めされた背骨部材66a、66b、66c、および66dを形成する、レーザー切断パターンを備える。背は、第3の管状構造体の外周の周りで、約90°角度的にずれて配置され得る。
背の間に位置決められる第3の管状構造体62の外周の、各四分弧セグメントにおいて、制御ワイヤー40a、40b、40c、または40dは、第2の撓み区域の遠位端にはんだ130で取り付けられる。制御ワイヤーのうちのいずれか1つの上の、他の3つの制御ワイヤーが有意な引張下にない間の引きは、引かれているワイヤーの方向への第2の撓み区域34の制御された偏向を提供してもよい。この様態では、第2の撓み区域34は、互いから約90°角度的にずれて配置されるか、または位相外である、4つの方向への制御された四方向的な屈曲のために構成されてもよい。
図25N〜25Sは、二方向、三方向、または四方向的な制御された偏向のために構成される、外周的に位置決めされた背骨部材を有する、第2の撓み区域34を例示する。当業者には明らかなように、第3の管状構造体62のレーザー切断パターンは、拡張要素67を有し、所望に応じて、外周を任意の数の弧セグメント(例えば、半分、三分、四分、五分、六分、七分、八分、九分、十分等)に分割するために構造体の外周の周りで接続リブ68によって接続される、任意の数の外周的に位置決めされた背骨部材66を備えてもよい。適切な制御ワイヤーと組み合わせられるとき、任意の数の方向への制御された偏向が達成され得る。しかしながら、第2の撓み区域34は、その外周の周りの弧セグメントの数(すなわち、外周的に位置決めされた背骨部材の数)が増加するにつれて、次第に剛性となることが予想され、それは制御された偏向方向の達成可能な数に実用限界を課する場合がある。
3.外周的に位置決めされた背骨部材と組み合わせた中心に位置決めされた背骨部材
図25T〜25Uは、多数の外周的に位置決めされた背骨部材66と組み合わせた中心に位置決めされた背骨部材66、および多数の制御ワイヤー40を有する、制御された多方向的な偏向のために構成される第2の撓み区域34を有する、第8の実施形態の代表的な実施形態を例示する。
図25Tおよび25Uの実施形態では、第2の撓み区域34は例示的に、制御された双方向的な偏向のために構成される。中心に位置決めされた背骨部材66aは、実質的に平坦またはリボン形である一方で、第2の撓み区域34の第3の管状構造体62は、中心に位置決めされた背骨部材66aのエッジと角度方向に整列した(angularly aligned)外周的に位置決めされた背骨部材66bおよび66cを形成し(すなわち、背骨部材66bおよび66cは、第3の管状構造体の外周の周りで約180°角度的にずれて配置され得る)、かつリブ68aおよび68bを形成する、レーザー切断パターンを備える(図25Tを参照されたい)。接続リブ68aおよび68bによって接続される、中心に位置決めされた背骨部材66aならびに外周的に位置決めされた背骨部材66bおよび66cは、第3の管状構造体の外周を二等分に分割する。制御ワイヤー40aおよび40bは、中心に位置決めされた背骨部材66aの対向側面上で、第2の撓み区域の遠位端にはんだ130で取り付けられ、外周的に位置決めされた背骨部材66bおよび66cから角度的にずれて配置される。
中心に位置決めされた背骨部材66aの幅Wは、中心に位置決めされた背骨部材66aの厚さTよりも実質的に大きい。中心に位置決めされた背骨部材66aならびに外周的に位置決めされた背骨部材66bおよび66cの形状は、外周的に位置決めされた背骨部材66bおよび66cの方向(すなわち、中心に位置決めされた背骨部材66aの幅に対して平行)への偏向を制限しながら、第3の管状構造体62の、リブ68aおよび68bの方向(すなわち、中心に位置決めされた背骨部材66aの幅に対して垂直)への双方向的な偏向を促進する。
中心に位置決めされた背骨部材66aのエッジは、それらの長さの全てもしくはその一部分に沿って(例えば、中心に位置決めされた背骨部材66aの遠位端に)、外周的に位置決めされた背骨部材66bおよび66cに取り付けられてもよく、または中心に位置決めされた背骨部材66aは、第3の管状構造体62内で実質的に浮動していてもよい。代替的に、中心に位置決めされた背骨部材66aのエッジは、長手方向の位置合わせにおける変動を促進しながら(これは、第2の撓み区域34の可撓性を強化し得る)、中心に位置決めされた背骨部材ならびに外周的に位置決めされた背骨部材66bおよび66cのエッジの間の角度的な位置合わせを維持するために、外周的に位置決めされた背骨部材66bおよび66cにより形成される、またはそれらの近位にある、チャネルまたは戻り止め(図示されず)中に位置決めされてもよい
中心に位置決めされた背骨部材66aならびに外周的に位置決めされた背骨部材66bおよび66cの形状、ならびに接続リブ68aおよび68bの形状は、制御ワイヤー40aおよび40bの遠位の角度的にずれて配置される取り付け場所と組み合わせて、第2の撓み区域34の制御された双方向的な屈曲を促進する。第2の撓み区域は、制御ワイヤー40bが有意な引張下にない間に、制御ワイヤー40上の引張りに応答して第1の方向に偏向する(図25Uを参照されたい)。第2の撓み区域は、制御ワイヤー40aが有意な引張下にない間に、制御ワイヤー40b上の引張りに応答して第2の対向方向に偏向する。
図25Tおよび25Uの第2の撓み区域34は例示的に、制御された双方向的な偏向ために構成される一方で、中心に位置決めされた背骨部材および多数の外周的に位置決めされた背骨部材を有する第2の撓み区域は代替的に、中心に位置決めされた背骨部材の長さの周りで、交互の角度的にずれて配置される背骨部材リボンセグメントの数を増加させることによって、および拡張要素67を有し、中心に位置決めされた背骨部材の背骨部材リボンセグメントと整列した、外周的に位置決めされた背骨部材の数を増加させることによって、所望に応じて、任意の更なる数の方向への制御された偏向のために構成されてもよいことが理解されるべきである。例えば、図25G〜25Kおよび図25P〜25Sに関して前述された、中心に位置決めされた背骨部材および外周的に位置決めされた背骨部材を参照されたい。例えば、図25G〜25Jの四方向的な中心に位置決めされた背骨部材は、第2の撓み区域34の制御された四方向的な偏向を達成するために、図25Rおよび25Sの4つの外周的に位置決めされた背骨部材と組み合わせて利用されてもよい。更なる方向的な制御が、所望に応じて提供されてもよい。
4.制御された多方向的な偏向のためのハンドル発動装置
1つの代表的な実施形態では、図25Vに示されているように、ハンドルアセンブリ200の発動装置260は、発動装置にて近位に終結し、かつ第2の撓み区域において遠位に終結する、1つ以上の制御ワイヤー40上の制御された引きを介した、第2の撓み区域34の制御された多方向の偏向のためのボール・ソケット継手を備える。図25Vは、ハンドルアセンブリ200の周りで外周的に離間され、第2の撓み区域まで外周に延びている、4つの制御ワイヤー40を例示的に示す。発動装置260は、ハンドルアセンブリに対して全ての方向に転回することができ、任意のワイヤー(単数または複数)が引張状態で引かれ、所望に応じて、第2の撓み区域34を制御された様態で多方向に偏向させることを可能にする。
代替的な多方向的な発動装置260は、図25Wにあるように、多数の制御ワイヤーに連結される多方向的なジョイスティックを備えてもよい。代替的に、各々が所与の平面における2つの方向への発動のためである、1つ以上の双方向的な発動装置が提供されてもよい。
K.第11の代表的な実施形態(螺旋状の偏向のために構成される第2の撓み区域)
図26A〜26Lは、近位の力伝達区分30、第1の撓み区域32、第2のまたは中間撓み区域34、および任意の第3のまたは遠位撓み区域44を含む細長いシャフト16を有する、第11の実施形態の代表的な実施形態を示す(図26Aを参照されたい)。これらの実施形態では、近位の力伝達区分30、第1の撓み区域32、および任意の第3の撓み区域44の物質、サイズ、および構成は、前の実施形態のいずれかに記載されるそれらのそれぞれの対応物と同程度である。更に、図26の実施形態における第2の撓み区域34の長さおよび直径は、第2の撓み区域34の前の実施形態のいずれかに記載されるものと同程度であり得る。
しかしながら、本発明の第11の実施形態では、第2の撓み区域34は、螺旋状の偏向のために構成される。第2の撓み区域の螺旋状の偏向は、第2の撓み区域と腎動脈の内壁との間の完全なまたは部分的な外周接触の確立を促進し得る。これは、熱的要素24と動脈の内壁との間の接触の角度を低減し得、それは熱的要素によって血管壁に適用される力を低減し得、外傷性のより低い治療を提供し得、動脈壁の急性解離の危険性を低減し得、熱的要素の一側面と血管壁との間のよりよい並置を提供し得、かつ/または治療の持続期間にわたっておよび心周期を通じて、熱的要素を血管壁に対して定置に安定化し得る。更に、螺旋は、腎動脈の内壁とのその接触路に沿って長手方向に離間された輪強度を提供し得、それは治療中の血管攣縮に起因する管腔狭小化および血流遮断の危険性を低減し得る。
第11の実施形態の幾つかの代表的な実施形態では、第2の撓み区域34の螺旋状の偏向は、任意の第3の撓み区域44に対する必要性を軽減し得る。
第11の実施形態の幾つかの代表的な実施形態では、1つ以上の熱的要素24は、螺旋状に偏向する第2の撓み区域34の長さに沿っておよび/またはその遠位端で位置決めされてもよい。多数の熱的要素が提供されるとき、展開された構成における熱的要素の長手方向のおよび/または外周の離間は、熱的要素の回転および/または長手方向の再位置決めを完全に回避しながら、または低減しならがのいずれかで、所望の長手方向のおよび/または外周の離間を有する、腎動脈内での治療区域の作成を促進するように指定され得る。
第11の実施形態の幾つかの代表的な実施形態では、1つ以上の実質的に球形、円筒状、半球形、または半円筒状の電極(前述されるように)は、第2の撓み区域の長さに沿って位置決めされてもよい。
第11の実施形態の幾つかの代表的な実施形態では、長く、実質的に連続的な熱的要素は、螺旋状に偏向する第2の撓み区域の長さに沿って位置決めされてもよい。熱的要素は、第2の撓み区域内への熱流体の注射を介して、および/もしくは抵抗加熱を介して、または螺旋状の第2の撓み区域のペルチェ冷却を介して等の、組織の直接の熱改質のために構成されてもよい。熱的要素24の直接加熱は、電極により達成可能であろうものよりも長い治療区域の作成を促進し得、例えば、腎動脈内で長手方向に離間した外周の治療区域を提供する、螺旋状の治療区域の作成を促進し得る。
直接加熱はまた、電極ベースの熱的要素により達成可能であろうものよりも、比較的長めの期間にわたって、比較的低めのエネルギー密度でのエネルギー送達を介して、腎神経調節を促進し得る。これは、血流が腎動脈の内壁から過剰の熱エネルギーを除去することを可能にし得、それによって(熱的要素24を介して適用される直接の熱改質に応答して)標的腎神経の温度の、所望の腎神経調節を達成するのに十分な温度までの変更を促進しながら、非標的壁組織に対する損傷の危険性を低減する。
熱的要素の螺旋状の実施形態だけでなく、前述の熱的要素24のうちのいずれも、長く、連続的であってもよく、かつ/または組織の直接の熱改質のために構成されてもよいことが理解されるべきである。例えば、図17に見られる第2の代表的な実施形態の可撓性電極90は代替的に、組織の直接の熱改質のために構成される熱的要素を備えてもよい。
第2の撓み区域34が螺旋状の偏向のために構成されるとき、その螺旋の特性は、腎動脈等の標的血管中の配置のため、および所望の治療区域の作成のために、適切であるべきである。例えば、螺旋は、直径および長手方向の長さが、第2の撓み区域34の前の実施形態のいずれかに記載されるものと同程度であり、かつ/または長手方向の長さが、前述の腎動脈の長さと同程度である、低姿勢構成における送達のために構成されるべきである(例えば、直径が5〜8フレンチ(French)のガイド内の配置のために構成され、長さL3が約5mm〜30mmの間、例えば、約10〜30mmの長さL3である)。更に、螺旋は、直径が、所望の長手方向の長さに沿った、血管の内壁との部分的または完全な外周接触の確立のために適切である、拡張された構成への展開のために構成されるべきである。上述のように、腎動脈の生来の内側の直径は、約2mm〜約10mmの間で変化し得、すなわち、腎動脈の生来の内側の半径は、約1mm〜5mmの間で変化し得る。腎動脈の直径が約2mm〜約8mmの間で変化し、すなわち、腎動脈の半径が約1mm〜約4mmの間で変化することが、最も一般的である。
螺旋の半径(すなわち、1/2直径)、rHelixは、次のように規定され:
(16)
式中、LArcは、螺旋に沿った弧長であり、tHelixは、螺旋の長手方向の長さに沿って取り囲まれる弓状の角度(すなわち、螺旋の長手方向の長さに沿った、細長いシャフト16の軸の周りの回転の角度)であり、PHelixは、螺旋のピッチである。螺旋状ピッチは、螺旋の1回の全回旋によって分離される、螺旋上の2つの点の間の長手方向の距離として規定される。
螺旋の長手方向の長さ、LLongは故に、次のように規定される:
(17)
方程式(17)を方程式(16)に置換することによって、次のことが示され得る:
(18)
送達構成における、第2の撓み区域の最初の螺旋の半径、rHelix1、および最初の長手方向の長さ、LLong1は、前述の適切な直径(半径)および第2の撓み区域34の長さによって、ならびに/または腎動脈の長さによって制約される。更に、展開された構成における第2の撓み区域の偏向された螺旋の半径、rHelix2は、治療が行われるべき腎動脈の内径(半径)によって制約される。方程式(18)において指定されるように、第2の撓み区域の螺旋の半径は、螺旋のtHelix、LArcもしくはLLong(またはPHelix)、またはそれらの組み合わせを可逆的に変化させることによって、rHelix1kからrHelix2へと可逆的に拡張され得る。更に、方程式(17)から、螺旋の長手方向の長さは、螺旋のPHelixおよび/またはtHelixが変化するときに変化してもよい。
螺旋状に偏向する第2の撓み区域が、その長さに沿って位置決められる多数の熱的要素24を備えるとき、熱的要素は、第2の撓み区域の展開された構成における熱的要素の所望の長手方向のおよび/または外周の離間を提供するために(例えば、極大の予想される腎動脈半径で、熱的要素の極小の所望の長手方向のおよび/または外周の離間を提供するために)、第2の撓み区域の螺旋の展開されたピッチPHelix2に沿って位置決めされてもよい。これは、最初の展開後に熱的要素の回転または長手方向の再位置決めを必要とすることなく、所望の外周および長手方向の離間を有する、腎動脈内での治療区域の作成を促進し得る。
第11の実施形態の幾つかの代表的な実施形態では、第2の撓み区域の螺旋は、螺旋の長手方向の長さを、最初の長手方向の長さ、LLong1から、偏向された長手方向の長さ、LLong2へと低減することによって、rHelix1からrHelix2へと拡張する一方で、tHelixおよびLArcは、一定に留まる(すなわち、螺旋のピッチをPHelix1からPHelix2へと低減することによって)。第11の実施形態の幾つかの代表的な実施形態では、第2の撓み区域は、螺旋の弓状の角度を、最初の弓状の角度、tHelix1から、偏向された弓状の角度、tHelix2へと低減することによって、rHelix1からrHelix2へと螺旋状に拡張する一方で、LLongおよびLArcは、一定に留まる(すなわち、螺旋のピッチをPHelix1からPHelix2へと増加させることによって)。第11の実施形態の幾つかの代表的な実施形態では、第2の撓み区域は、螺旋の弧長を、最初の弧長、LArc1から、偏向された弧長、LArc2へと拡大することによって、rHelix1からrHelix2へと螺旋状に拡張する一方で、tHelixおよびLLong(および故に、PHelix)は、一定に留まる。第11の実施形態の幾つかの代表的な実施形態では、第2の撓み区域は、螺旋の長手方向の長さの低減、螺旋の弓状の角度の低減、および/または螺旋の弧長の拡大の組み合わせを介して、rHelix1からrHelix2へと螺旋状に拡張する。
1.長手方向の長さの低減を介した螺旋の半径拡張
第2の撓み区域の螺旋、すなわちrHelix1、LLong1、tHelix1、およびLArc1の送達条件は、指定されるか、既知である。例えば、rHelix1およびLLong1は、ガイドカテーテル送達および腎の解剖学的構造が、それぞれ、送達構成において第2の撓み区域34に課する制約によって指定される一方で、tHelix1およびLArc1は、第2の撓み区域に所望の展開条件を提供するように選択され得る。この実施形態では、第2の撓み区域は、螺旋の長手方向の長さをLLong1からLLong2へと低減することによって(すなわち、螺旋のピッチをPHelix1からPHelix2へと低減することによって)、rHelix1からrHelix2へと(例えば、腎動脈の内径へと)螺旋状に拡張する一方で、tHelixおよびLArcは、一定に留まる(すなわち、tHelix1=tHelix2=tHelix、およびLArc1=LArc2=LArc)。
方程式(18)を組み替えることによって、次のことが示され得る:
(19)
LArcおよびtHelix(および故に、LArc/tHelix比)は、螺旋の径方向の拡張中に一定に保持されるため、螺旋の送達および展開条件は、次のように関連する:
(20)
故に、拡張された構成における長手方向の長さ、LLong2は、次のように規定される:
(21)
例えば、0.5mmの最初の半径rHelix1、4mmの所望の最終半径rHelix2(例えば、8mm直径腎動脈中で使用するための)、27mmの最初の長手方向の長さLLong1、および2πの所望の弓状の角度tHelix(例えば、腎動脈内での外周接触を達成するための、螺旋の360°または1回の完全な回旋)を所与とすると、第2の撓み区域の螺旋は、10mmを若干超える、展開された長手方向の長さLLong2まで短縮されるべきである。
逆に、方程式(21)は、展開された構成において所望のrHelix2およびLLong2を提供するtHelix(およびそれによって、LArc)を選択するために組み替えられ、利用されてもよい:
(22)
例えば、0.5mmの最初の半径rHelix1、4mmの所望の最終半径rHelix2(例えば、8mm直径腎動脈中で使用するための)、27mmの最初の長手方向の長さLLong1、および10mmの所望の最終長手方向の長さLLong2(例えば、螺旋の近位端、中間点、および遠位端に位置決められる多数の熱的要素24の間の約5mm離間を達成するため)を所与とすると、その長手方向の長さに沿って螺旋によって取り囲まれる弓状の角度tHelixは、2πを若干超える(すなわち、螺旋の360°または1回の完全な回旋を若干超える)ものに等しいべきである。
有利なことに、LLong1からLLong2への第2の撓み区域34の長手方向の短縮を介した、拡張中の螺旋の展開された半径rHelix2は、最大で、螺旋の展開された長手方向の長さLLong2がゼロに等しい最大半径まで、機械的に変化させられてもよい:
(23)
これは、最大で最大半径までの種々の半径である腎動脈の内壁との、少なくとも部分的な外周接触の確立を促進し得る。
螺旋状に偏向する第2の撓み区域が、その長さに沿って位置決められる多数の熱的要素24を備えるとき、方程式(16)−(23)が、第2の撓み区域の展開された構成における熱的要素の所望の長手方向のおよび/または外周の離間を提供するために利用されてもよい。例えば、熱的要素は、第2の撓み区域の螺旋の展開されたピッチPHelix2に沿って、所望に応じて位置決めされてもよい。これは、最初の展開後に熱的要素の回転または長手方向の再位置決めを必要とすることなく、所望の外周および長手方向の離間を有する、腎動脈内での治療区域の作成を促進し得る。
図26B〜26Gの代表的な実施形態では、第2の撓み区域34の第3の管状構造体62は、接続リブ68を有する螺旋状の背骨部材66を形成するレーザー切断パターンを含む。制御ワイヤー40は、第2の撓み区域34の遠位端にはんだ130で取り付けられる。螺旋状の背骨部材は、制御ワイヤー40の近位の後退に応答して、最初の螺旋の半径rHelix1(rHelix1は、第3の管状構造体62のおよそ1/2直径である)および最初の長手方向の長さLLong1を有する、実質的に一直線の構成(図26Bおよび26Cを参照されたい)から、偏向された螺旋の半径rHelix2および偏向された長手方向の長さLLong2を有する、長手方向により短く径方向により幅広い螺旋状の構成(26Dを参照されたい図)へと、第3の管状構造体62の偏向にバイアスをかける。
螺旋状の背骨部材66の弧長LArcおよび弓状の角度tHelixは、所望の展開条件を達成するように指定され、それらは、長手方向の短縮を介した螺旋の径方向の拡張中に変化しない。しかしながら、背骨部材66の弧長LArcおよび/または弓状の角度tHelixは、比較的大きめの値で指定されるため、第2の撓み区域を、患者の腎動脈の内壁と外周接触させて螺旋状に偏向するために必要であろう、制御ワイヤー40に適用される引張り力(例えば、約1〜5mmの範囲にある螺旋の半径を提供することが予想される力)は、背骨部材の弧長LArcおよび/または弓状の角度tHelixが比較的小さめの値で指定されるときと比較して、増加されることが予想される。
螺旋状に偏向する第2の撓み区域34は、第3の撓み区域44によって指示される熱的加熱要素24の近位に位置決めされてもよい。代替的に、図26Eに示されているように、前述の実質的に球形の電極92または実質的に半球形の電極92a等の1つ以上の熱的要素24は、第2の撓み区域34の長さに沿って位置決めされてもよい。図26Eにおいて、第3の撓み区域44が、非外傷性の遠位先端として提供されるが、細長いシャフト16が代替的に、第3の撓み区域44を伴わずに提供されてもよいことが理解されるべきである。
図26Fにおいて、長く、実質的に連続的な熱的要素24は、螺旋状に偏向する第2の撓み区域34の長さに沿って位置決められる。図26Fの熱的要素24は、第2の撓み区域内への熱流体の注射を介して、抵抗加熱を介して、および/または螺旋状の第2の撓み区域のペルチェ冷却を介して等の、組織の直接の熱改質のために構成されてもよい。図26Fにおける熱的要素24は、長く、実質的に連続的であるように示されるが、熱的要素は代替的に、一緒に密接な間隔にされた多数の熱的要素を備えてもよいことが理解されるべきである。更に、図26Fにおいて、細長いシャフト16は例示的に、第3の撓み区域44を伴わずに提供されるが、第3の撓み区域が代替的に提供されてもよい。
図26Gにおいて、制御ワイヤー40は、第2の撓み区域に沿って、第3の管状構造体62に対して外部に位置決められる。例えば、制御ワイヤーは、第2の撓み区域34の近位端において、またはその近くで、例えば、側方ポートを通じて、または接続リブ68の間の長手方向の隙間を通じて、細長いシャフトを退出してもよい。制御ワイヤー40を、第2の撓み区域に対して、その長さに沿って外部に位置決めすることは、第2の撓み区域を螺旋状に偏向するために必要である、制御ワイヤー40に適用される引張り力を低減し得る。明らかなように、制御ワイヤー(複数可)40は、任意に、前述の平面屈曲する第2の撓み区域のいずれか等、前述の第2の撓み区域のいずれにおいても、第2の撓み区域に対して外部に位置決めされてもよい。
図26Hを参照すると、第2の撓み区域34が、ニチノール等の弾性または超弾性物質またはワイヤーである、第2の撓み区域34の別の実施形態が記載される。図26Hにおいて、第2の撓み区域34は、制御ワイヤーの近位の後退が、第2の撓み区域を、径方向に拡張された螺旋を有する展開された構成へと長手方向に短縮するように、制御ワイヤー40に遠位に連結され、第1の撓み区域32に近位に連結される。制御ワイヤーからの引張の除去は、第2の撓み区域に、実質的に一直線の送達構成を取り戻させる。
図26Hの第2の撓み区域34は代替的に、ポリマーまたは金属ワイヤーまたはコイル等の、可塑的に変形可能な物質を備えてもよい。このような実施形態では、制御ワイヤー40の近位の後退は、その螺旋の長手方向の短縮および径方向の拡張中に、第2の撓み区域を可塑的に変形し得る。制御ワイヤー40は、ワイヤーを長手方向に遠位に押すことによって、第2の撓み区域が延長され、その螺旋が送達および/または回収のために径方向に折り畳まれるように、十分に剛性であり得る。代替的に、ガイドカテーテル等の鞘を、細長いシャフト16および拡張された第2の撓み区域34にわたって前進させることにより、第2の撓み区域は一直線に、かつ延長され得、それによって、その螺旋が送達および/または回収のために径方向に折り畳まれる。
2.弓状の角度の低減を介した螺旋の半径拡張
上述のように、第2の撓み区域の螺旋、すなわちrHelix1、LLong1、tHelix1、およびLArc1の送達条件は、指定されるか、既知である。例えば、rHelix1およびLLong1は、ガイドカテーテル送達および腎の解剖学的構造が、それぞれ、送達構成において第2の撓み区域34に課する制約によって指定される一方で、tHelix1およびLArc1は、第2の撓み区域に所望の展開条件を提供するように選択され得る。この実施形態では、第2の撓み区域は、螺旋によって取り囲まれる弓状の角度をtHelix1からtHelix2へと低減することによって(すなわち、螺旋のピッチをPHelix1からPHelix2へと増加させることによって)、rHelix1からrHelix2へと(例えば、腎動脈の内径へと)螺旋状に拡張する一方で、LLongおよびLArcは、一定に留まる(すなわち、LLong1=LLong2=LLong、およびLArc1=LArc2=LArc)。
方程式(18)を組み替えることによって、次のことが示され得る:
(24)
LArcおよびLLong(および故に、LArc2−LLong2)は、螺旋の径方向の拡張中に一定に保持されるため、螺旋の送達および展開条件は、次のように関連する:
(25)
故に、送達構成における弓状の角度、tHelix1は、次のように規定される:
(26)
例えば、0.5mmの最初の半径rHelix1、4mmの所望の展開された半径rHelix2(例えば、8mm直径腎動脈中で使用するための)、固定された送達および展開された長手方向の長さ(例えば、LLong=20mm)、ならびに2πの所望の展開された弓状の角度tHelix2(すなわち、腎動脈内での外周接触を達成するための螺旋の360°または1回の完全な回旋)を所与とすると、送達中の第2の撓み区域の弓状の角度tHelix1は、約16π(すなわち、約2880°または8回の回旋)であるべきである。所望の展開された弓状の角度tHelix2がπまで低減されるとき(すなわち、180°または半回旋)、送達中の第2の撓み区域の弓状の角度tHelix1は、約8π(すなわち、約1440°または4回の回旋)まで比例的に低減される。
有利なことに、弓状の角度の低減を介した、拡張中の螺旋の展開された半径rHelix2は、半径を増加させるために、展開された弓状の角度tHelix2を減少させることによって機械的に変化させられてもよい。これは、種々の半径の腎動脈の内壁との、少なくとも部分的な外周接触の確立を促進し得る。
螺旋状に偏向する第2の撓み区域が、その長さに沿って位置決められる多数の熱的要素24を備えるとき、方程式(16)−(18)および(24)−(26)が、第2の撓み区域の展開された構成における熱的要素の所望の長手方向のおよび/または外周の離間を提供するために利用されてもよい。例えば、熱的要素は、第2の撓み区域の螺旋の展開されたピッチPHelix2に沿って、所望に応じて位置決めされてもよい。これは、最初の展開後に熱的要素の回転または長手方向の再位置決めを必要とすることなく、所望の外周および長手方向の離間を有する、腎動脈内での治療区域の作成を促進し得る。
次に図26Iおよび26Jを参照すると、第2の撓み区域34は、第2の撓み区域に対して外部に位置決められる、制御ワイヤーまたはシャフト40の周囲を螺旋状に包んでもよい。制御ワイヤーは、第2の撓み区域の遠位端にはんだ130を介して接続され、少なくとも第2の撓み区域34の近傍において、前述の制御ワイヤー40と比較して、比較的剛性であり得る。
図26Iに示されているように、送達構成において、第2の撓み区域は、送達中に制御ワイヤーの周囲を比較的緊密に包む(例えば、rHelix1は、制御ワイヤーの直径と比較的に同様である)。図26Jに示されているように、第2の撓み区域は、制御ワイヤー40の回転を介して、その長手方向の軸に沿って、送達半径rHelix1から展開された半径rHelix2へと螺旋状に拡張し、それは螺旋のよじれを解消する。LArcおよびLLongは、このような拡張中に一定に留まる一方で、螺旋の弓状の角度は、tHelix1からtHelix2へと低減される。
3.弧長の拡大を介した螺旋の半径拡張
上述のように、送達条件第2の撓み区域の螺旋、すなわちrHelix1、LLong1、tHelix1、およびLArc1は、指定されるか、既知である。この実施形態では、第2の撓み区域は、螺旋の弧長をLArc1からLArc2へと増加させることによって、rHelix1からrHelix2へと(例えば、腎動脈の内径へと)螺旋状に拡張する一方で、LlongおよびtHelix(および故に、PHelix)は、一定に留まる(すなわち、LLong1=LLong2=LLong、およびtHelix1=tHelix2=tHelix)。
方程式(18)を組み替えることによって、次のことが示され得る:
(27)
故に、螺旋の弧長は、次のように規定される:
(28)
更に、LLongおよびtHelixは、螺旋の径方向の拡張中に一定に保持されるため、螺旋の送達および展開条件は、次のように関連する:
(29)
故に、送達構成における弧長、LArc1は、次のように規定される:
(30)
例えば、4mmの所望の展開された半径rHelix2(例えば、8mm直径腎動脈中で使用するための)、15mmの固定された送達および展開された長手方向の長さLLong、ならびに2πの所望の送達および展開された弓状の角度tHelix(すなわち、展開された構成における腎動脈内での外周接触を達成するための螺旋の360°または1回の完全な回旋)を所与とすると、展開条件を使用した方程式(28)からの所望の展開された弧長LArc2は、29mmを若干超える。故に、0.5mmの送達半径rHelix1を所与とすると、方程式(28)または方程式(30)からの、送達中の第2の撓み区域の弧長LArc1は、15mmを若干超えるべきである。所望の展開された弓状の角度tHelixが4π(720°または2回の回旋)まで増加されるとき、第2の撓み区域の展開された弧長LArc2は、約52.5mmまで増加される一方で、送達弧長LArc1は、16mmを若干超えるまで増加される。
有利なことに、弧長の拡大を介した、拡張中の螺旋の展開された半径rHelix2は、螺旋の展開された弧長LArc2が増加されるときに半径を増加させるために、機械的に変化させられてもよい。これは、種々の半径の腎動脈の内壁との、少なくとも部分的な外周接触の確立を促進し得る。
螺旋状に偏向する第2の撓み区域が、その長さに沿って位置決められる多数の熱的要素24を備えるとき、方程式(16)−(18)および(27)−(30)が、第2の撓み区域の展開された構成における熱的要素の所望の長手方向のおよび/または外周の離間を提供するために利用されてもよい。例えば、熱的要素は、第2の撓み区域の螺旋の送達および展開されたピッチPHelixに沿って、所望に応じて位置決めされてもよい。これは、最初の展開後に熱的要素の回転または長手方向の再位置決めを必要とすることなく、所望の外周および長手方向の離間を有する、腎動脈内での治療区域の作成を促進し得る。
次に図26Kおよび26Lを参照すると、第2の撓み区域34は、第2の撓み区域に対して外部に位置決められる、制御ワイヤーまたはシャフト40の周囲を螺旋状に包んでもよい。制御ワイヤーは、第2の撓み区域の遠位端にはんだ130を介して接続され、少なくとも第2の撓み区域34の近傍において、前述の制御ワイヤー40と比較して、比較的剛性であり得る。
第2の撓み区域は、送達中に制御ワイヤーの周囲を比較的緊密に包んでもよい(例えば、rHelix1は、制御ワイヤーの直径と比較的に同様である)。図26Kに示されているように、治療部位に位置決められるとき、第2の撓み区域の遠位端は、ガイドカテーテル94からの所望の長手方向の距離LLongに位置決めされてもよい。図26Lに示されているように、LLongおよびtHelix(および故に、PHelix)を一定に保ちながら、細長いシャフト16は、制御ワイヤー40およびガイドカテーテル94に対して遠位に前進させられてもよい。これは、第2の撓み区域の弧長LArcを、送達弧長LArc1から展開された弧長LArc2へと増加させて、送達半径rHelix1から展開された半径rHelix2への螺旋の径方向の拡張を引き起こす。
4.長手方向の長さの低減、弓状の角度の低減、弧長の拡大、および/またはピッチの変更の組み合わせを介した螺旋の半径拡張
上述のように、送達条件第2の撓み区域の螺旋、すなわちrHelix1、LLong1、tHelix1、およびLArc1は、指定されるか、既知である。送達半径rHelix1から展開された半径rHelix2への(例えば、腎動脈の内径への)螺旋状の拡張は、螺旋の長手方向の長さLLongの低減、螺旋の弓状の角度tHelixの低減、螺旋の弧長Larcの拡大、および/または螺旋のピッチPHelixの変更の組み合わせを介して達成され得る。方程式(16)−(30)が、適切な場合(径方向の拡張の具体的な機構を所与として)、所望の展開条件rHelix2、LLong2、tHelix2、およびLArc2を達成するために、利用されてもよい。更に、多数の熱的要素24が第2の撓み区域の長さに沿って位置決められるとき、第2の撓み区域の展開された構成における熱的要素の所望の長手方向のおよび/または外周の離間を提供するために、適切な場合、それらの方程式が使用されてもよい。例えば、熱的要素は、第2の撓み区域の螺旋の展開されたピッチPHelix2に沿って、所望に応じて位置決めされてもよい。これは、最初の展開後に熱的要素の回転または長手方向の再位置決めを必要とすることなく、所望の外周および長手方向の離間を有する、腎動脈内での治療区域の作成を促進し得る。
螺旋の長手方向の長さLLongの低減、螺旋の弓状の角度tHelixの低減、螺旋の弧長Larcの拡大、および/または螺旋のピッチPhelixの変更の種々の組み合わせが、螺旋の径方向の拡張を達成するために利用されてもよい。例えば、図26Iおよび26Jの実施形態では、制御ワイヤー40は、所望の螺旋の径方向の拡張を達成するために、両方の螺旋の長手方向の長さを低減し、かつ螺旋の弓状の角度を低減するように展開中に回転かつ近位に並進させられてもよい。別の例として、図26Kおよび26Lの実施形態では、制御ワイヤー40は、所望の螺旋の径方向の拡張を達成するために、螺旋の長手方向の長さを低減し、かつ螺旋の弧長を増加させるように、細長いシャフト16が遠位に前進させられ、ガイドカテーテル94が定置に保持されるときに、近位に後退させられてもよい。なおも別の例として、図26Kおよび26Lの実施形態では、制御ワイヤー40は、所望の螺旋の径方向の拡張を達成するために、螺旋の弓状の角度を低減し、かつ螺旋の弧長を増加させるように、細長いシャフト16が前進するときに、その長手方向の軸の周りを回転させられてもよい。依然として更に、図26Kおよび26Lの実施形態では、制御ワイヤー40は、所望の螺旋の径方向の拡張を達成するために、螺旋の弓状の角度を低減し、螺旋の長手方向の長さを低減し、螺旋の弧長を増加させるように、細長いシャフト16が遠位に前進し、ガイドカテーテル94が定置に保持されるときに、その長手方向の軸の周りを回転させられ、かつ近位に並進させられてもよい。
L.第12の代表的な実施形態(複雑な偏向のために構成される第2の撓み区域)
図27A〜27Dは、近位の力伝達区分30、第1のまたは近位撓み区域32、第2のまたは中間撓み区域34、および任意の第3のまたは遠位撓み区域44を含む細長いシャフト16を有する、第12の実施形態の代表的な実施形態を示す(図27Aを参照されたい)。これらの実施形態では、近位の力伝達区分30、第1の撓み区域32、および任意の第3の撓み区域44の物質、サイズ、および構成は、前の実施形態のいずれかに記載されるそれらのそれぞれの対応物と同程度である。更に、図27の実施形態における第2の撓み区域34の長さおよび直径は、第2の撓み区域34の前の実施形態のいずれかに記載されるものと同程度であり得る。
しかしながら、本発明の第12の実施形態では、第2の撓み区域34は、螺旋状の偏向のために構成される。複雑な偏向は、例えば、単一の平面における多方向の偏向、多数の平面における多方向の偏向、螺旋状の偏向と組み合わせた平面偏向等を備えてもよい。第2の撓み区域34の複雑な偏向は、所望の長手方向のおよび/または外周位置(複数可)で腎動脈の内壁と接触するように、第2の撓み区域の長さに沿って位置決めされても、かつ/または任意の第3の撓み区域44に連結されてもよい、1つ以上の熱的要素24の配置を促進し得る。
図27Bの代表的な実施形態では、第2の撓み区域34の第3の管状構造体62は、接続リブ68を有する背骨部材66を含むレーザー切断パターンを備える。制御ワイヤー40は、第2の撓み区域の遠位端にはんだ130で取り付けられる。背骨部材66は、長手方向に離間され、角度的に対抗(angularly opposed)する(すなわち、互いから約180°角度的にずれて配置される)第1のセグメント66’および第2のセグメント66’’、ならびに長手方向に離間され、第2のセグメント66’’に角度的に対抗(angularly opposed)するが、第1のセグメント66’と角度方向に整列した(angularly aligned)第3のセグメント66’’’を備える。制御ワイヤー40上の引張りに応答して、背骨部材の第1および第2のセグメントの位置決めは、第3の管状構造体のレーザー切断パターンが、背骨部材の第1および第2のセグメントに直交の平面において、第3の管状構造体の偏向に前後にバイアスをかけるようなものであり、その結果、第2の撓み区域は、図27Cの偏向された構成において「S」字形を有する。示されるように、熱的要素24は、任意に、偏向された構成において、熱的要素が、長手方向に離間され、外周的に対向する位置で腎動脈の内壁に接触し得る屈曲の頂点に位置決められるように、第2の撓み区域の長さに沿って、ならびに第3の撓み区域44の遠位端に位置決めされてもよい。
図27Dの代表的な実施形態では、背骨部材66は、長手方向に離間され、角度的に対抗(angularly opposed)する第1のセグメント66’および第2のセグメント66’’、ならびに長手方向に離間され、互いから角度的に対抗(angularly opposed)し、ならびに第1のセグメント66’および第2のセグメント66’’から直交する(すなわち、約90°角度的にずれて配置される)第3のセグメント66’’’’および第4のセグメント66’’’’’を備える。制御ワイヤー40上の引張りに応答して、背骨部材の第1および第2のセグメントの位置決めは、第3の管状構造体のレーザー切断パターンが、2つの直交する平面の各々において、第3の管状構造体の偏向に前後にバイアスをかけるようなものであり、その結果、第2の撓み区域は、図27Eの偏向された構成において「U」字形を有する。示されるように、熱的要素24は、任意に、偏向された構成において、熱的要素が、約90°角度的にずれて配置される長手方向に離間された外周位置で腎動脈の内壁に接触し得る屈曲の頂点に位置決められるように、第2の撓み区域34の長さに沿って、ならびに第3の撓み区域44の遠位端に位置決めされてもよい。
第2の撓み区域34の複雑な偏向は、任意に、多数の制御ワイヤー40を使用して達成され得る。例えば、図27Bの実施形態では、第1の制御ワイヤーは、第1の背骨部材セグメント66’の遠位端に遠位に取り付けられてもよく、第2の制御ワイヤーは、第2の背骨部材セグメント66’’の遠位端に遠位に取り付けられてもよく、第3の制御ワイヤーは、第3の背骨部材セグメント66’’’の遠位端に遠位に取り付けられてもよい。第1の制御ワイヤー上の引きは、第1の背骨部材セグメントのみを偏向させる一方で、第2の制御ワイヤー上の引きは、第1および第2の背骨部材セグメントの両方を偏向させることになり、第3の制御ワイヤー上の引きは、全ての3つの背骨部材セグメントを偏向させる(図27Bにあるように)。多数の引きワイヤーの使用は、それによって、所望に応じて、第2の撓み区域34の部分または全ての偏向を促進し得る。
M.第13の代表的な実施形態(電気的に惹起される偏向のために構成される第2の撓み区域)
図28Aおよび28Bは、近位の力伝達区分30、第1のまたは近位撓み区域32、第2のまたは中間撓み区域34、および任意の第3のまたは遠位撓み区域44を含む細長いシャフト16を有する、第13の実施形態の代表的な実施形態を示す(図28Aを参照されたい)。これらの実施形態では、近位の力伝達区分30、第1の撓み区域32、および任意の第3の撓み区域44の物質、サイズ、および構成は、前の実施形態のいずれかに記載されるそれらのそれぞれの対応物と同程度である。更に、図28の実施形態における第2の撓み区域34の長さおよび直径は、第2の撓み区域34の前の実施形態のいずれかに記載されるものと同程度であり得る。
しかしながら、本発明の第13の実施形態では、第2の撓み区域34は、電気的に惹起される偏向のために構成される。図28Bの代表的な実施形態では、第2の撓み区域34の第3の管状構造体62は、接続リブ68を有する背骨部材66を含むレーザー切断パターンを備えるが、レーザー切断またはレーザー切断以外の機構によって形成される背骨部材または他の構造的設計体にバイアスをかける他のパターンが、代替的に利用されてもよいことが理解されるべきである。制御ワイヤー40は、第2の撓み区域の遠位端にはんだ130で取り付けられる。前の実施形態と同様に、第2の撓み区域の遠位端上で近位に引く制御ワイヤー40に応答して、第3の管状構造体のレーザー切断パターンは、背骨部材に対して直交の平面において第3の管状構造体の偏向にバイアスをかける。しかしながら、前述の実施形態の場合とは異なり、制御ワイヤー40は、その長さに沿って機械的に惹起される引張よりもむしろ、制御ワイヤーの電気的に惹起される短縮に起因して、第2の撓み区域の遠位端上で引く。
図28Bに示されているように、制御ワイヤー40はまた、第2の撓み区域の近位端にはんだ130’を介して取り付けられる。前の実施形態の場合とは異なり、制御ワイヤー40は、第2の撓み区域の近位で、細長いシャフト16を通じてハンドルアセンブリ200まで延びない。むしろ、電気供給ワイヤー29が、ハンドル200から細長いシャフトを通じて移動し、はんだ継手130および130’において制御ワイヤー40に電気的に接続される。ハンドルアセンブリ200の発動装置260は、供給ワイヤー29に電流を適用し、それは電流を制御ワイヤー40に転送する。制御ワイヤー40は、電流に応答して短縮され、それは第2の撓み区域34の偏向を生じさせる。
この第13の実施形態とは対照的に、本発明の前述の実施形態のうちの幾つかは、細長いシャフト16全体を通じてハンドルアセンブリ200まで延びている、1つ以上の制御ワイヤー40を有する。引張は、第2の撓み区域34上で引き、その偏向を生じさせるために、制御ワイヤー(複数可)40に、それらの全長に沿って発動装置260を介して適用される。このような偏向を促進するために、第2の撓み区域の近位の細長いシャフト16は、制御ワイヤー(複数可)40に引張が適用されるとき、シャフトがその長さに沿って圧縮状態で配置されるため、座屈に対して比較的抵抗性である。故に、細長いシャフト16は、比較的剛性であり得、それは、第2の撓み区域の偏向中により剛性となり得る。第13の実施形態では、制御ワイヤー40は、第2の撓み区域の近位で延びないため、細長いシャフト16のより近位の区分は、圧縮されず、さほど積極的に座屈に抵抗する必要がない。故に、細長いシャフトは、より高い可撓性を提供する様態で製作されてもよく、それは、送達性を強化し得、かつ/または回転中のカテーテル柔軟性を低減し得る。電気的に惹起される制御ワイヤー形の変化または短縮は、前述の第2の撓み区域34および制御ワイヤー40のうちのいずれかと併せて利用されてもよい。
第13の実施形態の代表的な一実施形態では、制御ワイヤー40は、ニチノール等の形状記憶物質を備える。第2の撓み区域へのその取り付け前に、制御ワイヤーの温度は、ニチノールをオーステナイト相中に配置するため、その変態温度(例えば、合金中のニッケルおよびチタンの相対的な割合に依存して、約20℃〜60℃の範囲にある)を上回るまで高められる。制御ワイヤーは、一直線にされ、ワイヤーがマルテンサイト相中に配置されるように、その変態温度を下回るまで冷却させられる。制御ワイヤーは次い」で、有意な弾性変形下で(例えば、約6〜10%の範囲にある歪み)、第2の撓み区域の近位端および遠位端に取り付けられる。供給ワイヤー29に適用される電気は、制御ワイヤー40をその変態温度を上回るまで抵抗性で加熱して、制御ワイヤーを再びオーステナイト相へと変態させ、実質的に歪みのないオーステナイト構成である、その前のヒートセットを取り戻させる。制御ワイヤーのこの短縮は、第2の撓み区域に偏向を生じさせる。制御ワイヤーまたは第3の管状構造体62(それは任意に、供給ワイヤー29を介して抵抗性で加熱され得る)は代替的に、第2の撓み区域を屈曲の方向に引く、屈曲するオーステナイト形を備えてもよい。
第13の実施形態の代表的な一実施形態では、制御ワイヤー40は、一般的に人工筋肉と称される電気活性ポリマーを備える。電気活性ポリマー制御ワイヤーに適用される電気は、制御ワイヤーを短縮し、第2の撓み区域に偏向を生じさせる。電気がオフにされるとき、制御ワイヤーは、その最初の形を取り戻して、第2の撓み区域を一直線にさせる(または一直線にさせられるようにする)。
N.第14の代表的な実施形態(継手における偏向のために構成される第2の撓み区域)
図29A〜29Eは、近位の力伝達区分30、第1のまたは近位撓み区域32、継手35、および任意の第3のまたは遠位撓み区域44を含む細長いシャフト16を有する、第14の実施形態の代表的な実施形態を示す(図29Aを参照されたい)。これらの実施形態では、近位の力伝達区分30、第1の撓み区域32、および任意の第3の撓み区域44の物質、サイズ、および構成は、前の実施形態のいずれかに記載されるそれらのそれぞれの対応物と同程度である。
しかしながら、本発明の第14の実施形態では、第2の撓み区域34は、第3の撓み区域44の偏向を促進するために、1つ以上の継手35によって置き換えられる。継手35は、継手が一貫した偏向力学を示し得るため、正確な偏向制御を提供し得る。更に、継手は、継手が曲率半径に対して旋回点を代表するため、第2の撓み区域の前述の実施形態のうちの幾つかにより達成可能であろうものよりも鋭利な屈曲を提供し得る。故に、継手のある第2の撓み区域の長さは、前述のバイアスをかけられた背骨部材の第2の撓み区域未満の長さであり得る。これは、より短い腎動脈中での熱的神経調節を促進し得、かつ/または図29Eに示されているように、より長い第3の撓み区域44の使用を促進し得る。より長い第3の撓み区域は、脈動血流および呼吸運動中の安定な電極接触を提供するために、そのより長い長さにわたって血管接触力を消散し、圧力を血管壁に弾力的に適用し得る。また、より長い第3の撓み区域は、蛍光透視による可視化がより簡便であり得る。第3の撓み区域44は、約6mm〜16mm長の間、例えば、約9.5mm以下であり得、それは腎動脈中での十分な撓みを提供するために好適である可能性がある。
図29Bを参照すると、第14の実施形態の代表的な一実施形態では、第1の撓み区域32を第3の撓み区域44に接続するヒンジ継手35。制御ワイヤー40aおよび40bは、力減衰区分44をヒンジ継手の回転軸Rの周りで回転させるための回転軸Rに遠位で、継手35の両側に取り付けられる。代替的に、1つの制御ワイヤーは、力減衰区分44をヒンジ継手の回転軸Rの周りで回転させるための回転軸Rに遠位で、継手35の一側面に取り付けられ、ばねは、制御ワイヤーにおける引張が軽減されるとき、力減衰区分44を回転させてその偏向されていない状態に戻す。
代替的に、多数の第3の撓み区域は、1つ以上の継手を介して、第1の撓み区域に接続される可能性がある。各遠位撓み区域は、電極に取り付けられるか、または電極を備えることができる。各遠位撓み区域は、独立してまたは単一の制御ワイヤーと一緒に、継手の周りを回転させるために発動させることができる。代替的に、ばねは、遠位撓み区域を押し開けるために継手中に位置決められる可能性があり、それらは、送達鞘中へと後退させられることによって閉じられる可能性がある。遠位撓み区域が開くとき、電極は、互いから離れて動き、血管壁と接触して配置される。
力減衰区分44は、その長手方向の長さに沿って、力方向転換要素49を備え、それは先の実施形態に記載されるものと同様の角度および距離で、エネルギー送達要素24を力減衰区分44の軸から引き離す。細長比(長さ:直径)は、より長い力減衰区分44についてより大きいため、より長い力減衰区分44は、とりわけ適用される負荷がその軸から引き離されるとき、座屈の影響をより受けやすい。遠位アセンブリ53が腎動脈中へと前進し、エネルギー送達要素24が腎動脈壁に接触するとき、エネルギー送達要素24に適用される負荷は、力減衰区分44の軸から引き離され、外傷性負荷よりも低い負荷で力減衰区分44に座屈を生じさせる可能性がある。力方向転換要素49は、およそ中間点で、力減衰区分44上に長手方向に位置する可能性がある。例えば、9.5mm長の力減衰区分44上で、力方向転換要素49は、遠位端に約4〜5mm近位である可能性がある。図29Cを参照すると、第14の実施形態の代表的な一実施形態では、第2の撓み区域34は、第1のヒンジ継手35および第2のヒンジ継手35’を備える。制御ワイヤー40aおよび40bは、遠位撓み区域をヒンジ継手35の回転軸Rの周りで回転させるために継手35の両側に取り付けられる一方で、制御ワイヤー40cおよび40dは、ヒンジ継手35’の回転軸R’の周りで第3の撓み区域を回転させるために第2の継手35’の両側に取り付けられる。ヒンジ継手35’の回転軸R’は好ましくは、2つの直交する平面において遠位撓み区域44の偏向を提供するために、ヒンジ継手35の回転軸Rに対して直交である。
図29Dを参照すると、第14の実施形態の代表的な一実施形態では、第2の撓み区域34は、近位および遠位撓み区域に接合し、かつ約ゼロの曲率半径RoCを有する任意の平面において回転を促進する、ボール・ソケット継手35を備える。任意の数の制御ワイヤー40(例示的に4つの制御ワイヤー)が、第2の撓み区域34を偏向させるために提供されてもよい。
O.第15の代表的な実施形態(強制冷却されたエネルギー送達要素)
1.強制冷却と組み合わせた血管内組織へのエネルギー適用
単極様式で利用されるとき、前述のエネルギー送達要素24は、患者の皮膚上に位置決められる、中性電極38等の、RF電流を電極から組織を通じて戻り電極(return electrode)へと伝導する電極を備えてもよい。双極様式で利用されるとき、熱的加熱要素24は、これもまた細長いシャフト16上に位置決められる、RF電流を活性電極24から組織を通じて戻り電極(return electrode)へと伝導する電極を備えてもよい。RF電流は、並列組織回路に沿って、組織を通じて活性電極から戻り電極(return electrode)へと伝導する。
RF電流は、活性電極の表面近くの組織中で最も集中する。比較的球形の電極のための均一組織中の電流密度の単純化された関係は、電流密度が、活性電極表面からの距離と共にr4の率で減衰することを説明する。電気的および熱的特性における実質的な差異(特に、インピーダンス、熱容量、対流における差異)を有する環境において、かつ電極形が球形から逸脱するにつれて、この関係はより複雑になる。
RF等の迅速な交番電流は、組織中のイオンを振動させて、熱を生成する。加熱効果は、電流密度、ならびに組織および血液中での伝導、対流、および/または放射に起因する熱伝達の率に比例する。一般的に言って、最も高温の組織は、電極の表面またはその近くであり、温度は、距離と共に迅速に減少する。
図30B〜30Dに関して、熱的加熱要素の近傍において熱的加熱要素および/または非標的組織を強制冷却することが有益であり得る。このような冷却は、冷却の不在下で達成可能であろうものよりも、強化された安全性(例えば、より低い管腔内組織表面温度)、強化された有効性、より短い(またはより長い)持続期間、より高いパワー、より高い深度、および/またはより大きいサイズで、病変の形成を促進し得る。図30Aに示されているように、血管内治療機器12が開回路強制冷却を備えるとき、システム10は、熱流体を流体源11aから流体送達管11bを通じて、および治療機器12の管腔を通じて、熱的加熱要素24の近傍におけるその遠位端領域20へとポンプ送液するための、流体ポンプ11を備えてもよい。血管内治療機器12が閉回路強制冷却を備えるとき、例えば、図30Cおよび30Dに示されているように、システム10は更に、熱流体を再循環のために流体源に戻す、または熱流体を患者の外部に処分する、流体戻り管(図示されず)と流体連通している治療機器の戻り管腔45bを備えてもよい。
流体ポンプ11を介した熱流体ポンプ送液の速度、容積測定流量、および総体積は、介護者によって手動で制御されてもよく、または、図30Aにあるように、アルゴリズム102によって制御されてもよい。治療機器12には、ポンプ11を介した安全な注入または熱流体の送達を促進するために、破裂に対する十分な強度が提供される。更に、治療機器およびその遠位端領域20は、注入液が注入または送達されている間に熱的加熱要素24の位置を維持するための、物質的および機械的特性を備える。
例えば、熱流体注入液(例えば、室温のまたは冷えた食塩水)等の注入液は、熱エネルギーを除去する伝導性および/または対流性熱シンクとして作用するために、パワーまたはエネルギー送達中に、治療部位の近傍において患者の血流中に注射されてもよい(開回路系)(図30Bを参照されたい)。注入液注射(例えば、連続的な注入液注射)は、受動的冷却によって提供される脈動血流と比較して、更なるもしくはより迅速な熱伝達、ならびにより一様なおよび/または予測可能な熱伝達力学を提供し得る。注入液注射または、血液タンパク質を熱的加熱要素から除去し得、それによって血塊形成の危険性を低減する。注入液注射に加えてまたはその代替手段として、強制冷却は、パワーまたはエネルギー送達中に、熱を熱的加熱要素から、および非標的組織から間接に除去する、循環または静的冷却材(例えば、低温流体、冷えた食塩水等)を有する閉回路系を備えてもよい(図30Cおよび30Dを参照されたい)。
エネルギーは、パワー×時間として規定される。閉回路または開回路強制冷却が提供されるとき、エネルギーを送達するパワーおよび時間が、強制冷却が提供されないときと比較して変化させられない場合、送達されるエネルギーもまた、変化させられない。故に、図31Aおよび31Bに示されているように、強制冷却は更に、血管壁の管腔表面からの標的組織TiTARGET内での所望の治療深度dLESIONで所望の組織温度TLESIONを維持しながら、非標的組織TiNON-TARGETを、血管壁においてまたはその近くで熱的損傷から保護し得、例えば、強制冷却を伴わない治療TSURF-INACTIVEと比較して、パワー送達中の血管壁の表面温度TSURF-ACTIVEを低下させ得る。
しかしながら、強制冷却が、増加されたパワーであるが一貫したパワー送達の持続期間と組み合わせて提供される場合、送達されるエネルギーは増加され、それは血管壁における非標的組織を保護する強制冷却を伴わずに実行可能であろうものよりも、より深いまたはより大きい病変の安全な作成を促進し得る。同様に、増加されたパワー送達の持続期間であるが一貫した大きさのパワーレベルと組み合わせて強制冷却を提供することは、送達されるエネルギーを増加させることになり、再び潜在的に、強制冷却の不在時に実行可能であろうものよりも、より深いまたはより大きい病変の安全な作成を促進する。例えば、図32Aおよび32Bに示されているように、強制冷却の存在下で増加されたエネルギー送達は、強制冷却の不在下でより低いエネルギーにより達成されるものと一貫した表面温度Tsを維持し得る(または表面温度を減少させ得る)一方で、強制冷却の不在下dLESION-INACTIVEでより低いエネルギーを利用するときに標的温度に到達する治療の深度と比較して、標的温度TLESIONに到達する治療の深度dLESION-ACTIVEを増加させる。
強制冷却はまた、減少されたパワー送達持続期間と組み合わせた、増加されたパワーレベルを介したエネルギーの送達を促進し得る。図33Aおよび33Bに示されているように、これは、より迅速な病変作成を促進し得、それは、標的温度TLESIONが達成される所望の病変深度dLESION、ならびに所望のレベルのまたはそれを下回る表面組織温度Tsを維持しながら、パワー送達がオフにされるまでの時間、tFINISHである、パワー送達の持続期間を短縮する可能性がある。パワーの大きさの増加およびパワー持続期間の減少の相対的な度合いに依存して、このような変更はまた、より少ない時間での更なるエネルギーの送達を促進し得、それは、より少ない時間でのより深いまたはより大きい病変の安全な作成を促進し得る。例えば、図33Aは、標的組織TTARGET内での熱的加熱要素24から距離を置いた温度対時間を示す。治療部位の表面を冷却することによって、パワーは、より速い率で増加される可能性があり、標的組織の温度を、標的温度TLESIONを上回るまでより早く上昇させる可能性があり、標的組織の温度は、等しい持続期間にわたって標的温度を上回って保持される可能性があり、パワーは、より速くオフにされる可能性があり、結果として冷却を伴わない終了時間tFINISH-NON-COOLEDと比較して、より早期の終了時間tFINISH-COOLEDをもたらす。故に、治療持続期間は、低減される可能性がある。異なるアルゴリズムにおいては、標的組織内での熱的加熱要素から距離を置いた温度対時間を示す図33Bに示されているように、治療持続期間は、より短い持続期間にわたってより高い温度である、同等の熱照射を提供することによって低減される可能性がある。
前述の冷却の3つの効果(より低い表面温度、より大きい/より深い病変、およびより迅速な病変)は、考察の目的のために変数を一定に保つことによって単純化された。これらの効果の変形または組み合わせは、次の物を含む変数を変化させることによって達成することができる:パワー、パワー増加の率、パワー送達の持続期間、および冷却率。アルゴリズム102等のアルゴリズムは、任意に、これらの変数を制御するために利用されてもよい。
2.開回路強制冷却中の注入液注入の容量および率
強制冷却が、血管内注入液(例えば、食塩水)注入を利用する開回路系を介して達成されるとき(例えば、図30Bを参照されたい)、注入液注入の容量および率に留意すべきである。血管内注入液注入は、例えば、パワー送達前、次いでパワー送達中に約0〜10秒(例えば、約5秒)、およびパワー送達後に約0〜10秒(例えば、約5秒)、治療部位の近傍において提供される。患者によっては、有意な食塩水容量の血管内注入は、肺浮腫または心不全を誘発し得、幾つかの患者群には、このような合併症のより高い危険性があり得る。これらのより高危険患者群には、例えば、心不全もしくは心臓病、腎機能不全、および/または糖尿病の病歴を有する群を含む、腎神経調節に治療的に適応があるとされた患者群が含まれ得る。
有利なことに、本出願に記載される実施形態によると、腎神経調節治療中に送達される最大パワーの大きさは、例えば、心組織切除を達成するために電気生理学治療において利用されるパワーレベル(例えば、約15ワットよりも大きい、例えば、約30ワットよりも大きいパワーレベル)と比較して、比較的低い(例えば、約15ワット未満、例えば、約10ワット未満または約8ワット未満)。更に、腎神経調節のための腎脈管構造における使用のために構成される、本出願内の実施形態に記載される電極のまたは熱的加熱要素24の相対的容量は、心組織切除を達成するために利用される電極の容量(例えば、約10%相対的容量)よりも有意に低いことが予想される。
比較的低いパワーレベルが、腎神経調節を達成するために相対的に小さい電極と組み合わせて利用され得るため、パワー送達中に熱的加熱要素および/または非標的組織を所望の温度以下で(例えば、約50℃以下で、例えば、約45℃以下で)維持するために必要とされる血管内注入液注射の流量および/または総体積はまた、例えば、電気生理学治療において使用される、より高いパワーレベルで必要とされるもの(例えば、約15ワットを上回るパワーレベル)よりも、比較的低めであり得る。血管内注入液注入の流量および/または総体積のこの相対的な低減は、有利なことに、仮に、より高いパワーレベル、および故に、それに対応してより高い注入液率/容量が利用されるとすれば、禁忌となる、より高危険患者群(例えば、心臓病、心不全、腎機能不全、および/または糖尿病を有する患者)における血管内注入液の使用を促進し得る。
血管内注入液が食塩水を備えるとき、1リットルの食塩水は、約3.6グラムのナトリウムを含む、約9グラムの塩化ナトリウムを備えてもよい。3.6グラムのナトリウムは、心不全または高血圧を有する患者に対して推奨される1日許容量の約150%である。食塩水の各リットルはまた、約1,000単位の抗凝血性のヘパリンも含有し得る。更に、食塩水注射は、静脈圧力、およびそれによって毛細血管圧を増加し、それは、脈管構造を出る流体の量を増加させる。リンパ排出および腎排泄(尿量)が恒常性を維持できない場合、流体は蓄積し、肺浮腫または心不全を引き起こし得る。
前述に基づいて、食塩水(例えば、室温の食塩水)注入を、約1リットル未満、例えば、約500mL未満、約250mL未満、または約100mL未満に限定することが望ましい場合がある。食塩水注入容量のこのような限界は、より高い危険患者群、例えば、心臓病、心不全、糖尿病、および/または腎機能不全を有する群における注入を促進し得る。最大パワーレベルが約15ワットを超えない、例えば、約10ワットを超えないとき、約15mL/分以下、例えば、約10mL/分以下の注入率が、熱的加熱要素を所望の温度以下で、例えば、約50℃以下で、例えば、約45℃以下で維持するのに十分であろうことが予想される。2分以下の治療時間について、これらの注入率は、約1リットル、500mL、250mLおよび/または100mLを下回る総注入容量を維持しながら、多数の部位における治療を促進する。アルゴリズム102等の制御アルゴリズム、または手動制御装置が、注入率および/または総注入容量を制御するために提供されてもよい一方で、流体ポンプが、細長いシャフト16を通じて所望の(例えば、制御された)率で注入液を推進するために提供されてもよい。
例として、仮に、食塩水が治療前および後に5秒間、ならびに2分間の治療中に注射されるとすれば(すなわち、仮に、食塩水が1治療部位につき約130秒間注射されるとすれば)、15mL/分の注入率での各治療は、約32.5mLの総注入容量をもたらすであろう。故に、治療は、約100mLを下回る総注入容量を維持しながら約3つの治療部位で、約250mLを下回る総注入容量を維持しながら7つを超える治療部位で、約500mLを下回る総注入容量を維持しながら約15の治療部位で、および約1リットルを下回る総注入容量を維持しながら30を超える治療部位で行われてもよい。2分間未満の治療は、所与の数の治療部位に対して更により低い総注入容量を促進し得、かつ/または所望の閾値を下回る総注入容量を維持しながら更なる部位での治療を促進し得る。
同様に、仮に、食塩水が治療前および後に5秒間、ならびに2分間の治療中に注射されるとすれば(すなわち、仮に、食塩水が1治療部位につき約130秒間注射されるとすれば)、10mL/分の注入率での各治療は、約21.7mLの総注入容量をもたらすであろう。故に、治療は、約100mLを下回る総注入容量を維持しながら4つを超える治療部位で、約250mLを下回る総注入容量を維持しながら11を超える治療部位で、約500mLを下回る総注入容量を維持しながら約23の治療部位で、および約1リットルを下回る総注入容量を維持しながら約46治療部位で行われてもよい。2分間未満の治療は、所与の数の治療部位に対して更により低い総注入容量を促進し得る(かつ/または所望の閾値を下回る総注入容量を維持しながら更なる部位での治療を促進し得る)。
腎神経調節中に血管内(intrasvascularly)に注入される注入液の容量を限定することに加えてまたはその代替手段として、過剰の流体の負荷を取り除くために尿路カテーテル法が提供されてもよい。また、開放および閉鎖ハイブリッド冷却系が、注入液の容量を低減または限定するために、冷却系の閉鎖構成要素を介して(例えば、図30Cおよび30Dにあるように循環させられる冷却材を介して)、あらゆる過剰の熱エネルギーの少なくとも一部分を除去することによって提供されてもよい。
なおも別の代替手段として、食塩水を注入するよりはむしろ、注入液は、自家のまたは外部ドナーからのいずれかである血液を備えてもよい。自家であるとき、血液は、動脈でも静脈でもよく、腎動脈内での注射のために、大腿動脈アクセス点において、またはその近くで等、脈管構造中の何らかの他の点から採取され得る。この様態では、患者における総流体容量は、変化させられない一方で、腎動脈を通じる流量および容量(およびそれによって、熱的加熱要素および/または非標的壁組織からの熱的熱伝達の率)は、増加される。
3.開回路冷却の、熱的加熱要素接触安定性に及ぼす影響、およびその軽減
図30Bにあるもの等の灌注式電極からの注入液注射を介した強制冷却は、治療部位における組織と電極46との間の界面における安定な接触を不安定にする場合がある。流体がポート47を通じて電極から、例えば、電極から径方向におよび/または垂直に流出するとき、流体は、電極を治療部位組織から離れるように促し得る。
図34〜34Lに示されているように、治療部位組織と電極との間の安定な接触の維持を強化または促進し得る、灌注式電極46のおよび/またはポート47の種々の実施形態が提供されてもよい。これらの実施形態では、ポート47は、熱流体注入液を組織/電極界面から離して向けるように、かつ/または注入液を、界面に対して垂直に向けられるより低い力ベクトルで向けるように構成される。注入液は、組織/電極界面に向けられない(または同様に大きい力で界面に向けられない)ため、注入液が共通の断面に沿って界面に対して垂直に向けられる場合に達成されるものよりも、界面における冷却が低い場合がある。しかしながら、電極を通じた流体の流れは、依然として熱を、組織から電極を通じて血液中へと引くであろう。
図34Aを参照すると、電極46の灌漑ポート47は、熱流体注入液を組織/電極界面から離して向けるために、組織に接触しない電極の側面上に位置決めされてもよい。更にまたは代替的に、1つ以上の灌漑ポート47が、図34Bにあるように、電極46の先端において提供されてもよい(例えば、灌注式電極先端)。図34Cに見られる更なる実施形態では、電極46は、細長いシャフト12の遠位端領域20のより近位の部分よりも直径において幅広く、近位対面ポート(複数可)47は、細長いシャフトと電極の外径との間の電極の近位表面に沿って位置決められる。図34Dにおいて、電極46は、円筒状の電極の長さに沿って位置決められる、少なくとも1つの低減された直径の腰部または溝を有する輪郭形を備え、ポート(複数可)47は、溝内に位置決められ、組織/電極界面から凹ませられる。
図34E〜34Hにおいて、灌漑ポート(複数可)47は、組織/電極界面での垂直力ベクトルがより小さくなるように、流動を電極表面に対してより小さい角度で向ける。図34Eにおいて、ポート(複数可)47は、遠位(すなわち、順方向または血流の方向に)に向けられた流体を、血管壁に対して鋭角で送達するように角度をつけられる。図34Fにおいて、ポート(複数可)47は、近位(すなわち、逆方向にまたは血流の反対側の方向に)に向けられた流体を、血管壁に対して鋭角で送達するように角度をつけられる。図34Gにおいて、ポート(複数可)47は、流体を、血管壁に対して鋭角で、外周方向に(すなわち、順方向でも逆方向でもない)送達するように角度をつけられる。図34Hにおいて、ポート(複数可)47は、流体を血管壁に対して鋭角で送達するために電極46の最外側の直径に対して角度をつけられ、凹ませられる。明らかなように、血管壁に対して鋭角で、遠位に向けられた、近位に向けられた、および/または外周に向けられた流体注入の任意の組み合わせが提供されてもよい。
任意に、ポート(複数可)47は、熱的加熱要素から血液への熱伝達を増加させるために、血液を熱的加熱要素24中に引き出すために利用されてもよい。血液は、例えば、図34Bにあるように、1つ以上の先端ポート等の1つ以上のポート47を通じて、および細長いシャフト12を通じて、身体の外部に位置決められるシリンジまたは血液貯蔵所へと引き出されてもよい。血液は任意に、処置中または処置後に、同じまたは異なる場所で患者の血流中へと再び堆積されてもよい。更にまたは代替的に、ポート(複数可)47を通じて引き出される血液は、腎動脈から大腿動脈または静脈等のより低血圧の場所へと再び送られてもよい。
図34I〜34Lに示されているように、灌漑ポート(複数可)47は任意に、流体注入液が、電極から流出するよりもむしろ、電極上にわたって腎血流の方向に流動するように、電極自体の中または上よりもむしろ、電極46の近位に位置してもよい。腎動脈を通じる血流は、実質的に層状であり得、壁に位置決められる電極上にわたる流動は、血管の中心を通じるものよりもはるかに少ない。故に、電極46の近位に位置決められる(例えば、第3の撓み区域44または第2の撓み区域34に沿って位置決められる)灌漑ポート47を通じて送達される注入液は、電極上にわたって流動する流体の温度を低減し得、かつ/または、壁における流動を増加させ得る。
図34Iにおいて、電極46の近位に位置決められるポート(複数可)47は、注入液を細長いシャフト12に対して実質的に垂直に送達するために、半径方向に向けられる。図34Jにおいて、ポート(複数可)は、注入液をシャフトに対して鋭角で送達するために、細長いシャフト12に対して(遠位に向けられたおよび/または近位に向けられた)鋭角で、半径方向に向けられる。図34Kにおいて、ポート(複数可)47は、一般に組織/電極界面から離して血管の中心に向けられる。図34Lにおいて、ポート(複数可)は、血管に対して外周に向けられ、それは、電極46の近傍において渦を確立し、かつ/または血流を治療部位に向かって方向転換させ得る。
熱流体注入液を組織/電極界面から離して向けるための、および/または注入液を界面に対して垂直に向けられる、より低い力ベクトルで向けるための更なる技法は、ポート(複数可)47を通じる速度または圧力注入を変化させることを備えてもよい。例えば、各ポートを通じる容積測定流動が、所与の容積測定流量に対してより少なくなるように、比較的大きめの数のポートが、全ての方向に提供されてもよく、これは、各ポートを通じる流動の速度または圧力を低減し得る。更にまたは代替的に、電極46および/または細長いシャフト12の界面側面上に位置決められるポート(複数可)は、電極の血液流動対面側面上に位置決められるポートよりも比較的小さめであり得る。更に、容積測定流量は、上述のように、所望の冷却効果を達成するために必要最小限の流動を提供するために制御されてもよい。開回路および閉回路ハイブリッド冷却系を有する冷却電極46もまた、所望の冷却効果を達成するために必要とされる注入の容積測定流量を低減し得る。
ポート47を通じた注入液の送達中の、治療部位組織と電極との間の安定な接触の維持はまた、遠位端領域20およびその複雑な屈曲構成に、十分な機械的安定化を提供することによって達成され得る。機械的安定化は、灌漑によって誘発されるいずれの不安定化も補うために、機器中に設計される可能性がある。例えば、大きい表面積上にわたって適用される大きい力は、安定化を提供しながらより低い圧力を適用する。これは、大きい表面積上にわたる接触カテーテルと動脈壁との間の接触を、縦方向の接触、螺旋状接触、屈曲を伴う多数点の接触、展開可能な接触等の場合と同様にすることによって達成することができる。更に、組織/電極界面安定性が有効な切除のために不十分であるか否かを介護者に伝えるために、接触または安定化フィードバックが提供されてもよい(例えば、1つ以上のセンサ(複数可)52を介して)。このようなフィードバックは、例えば、界面でまたはその近傍におけるインピーダンスまたは圧力測定のフィードバックを備えてもよい。依然として更に、開回路冷却中に管腔45を通じて流動する流体は、細長いシャフト12の遠位端領域20を硬直させ得、それは、このような流体の注入によって誘発されるいずれの不安定化も相殺し得る。
電極46を血管壁から押し離す灌漑誘発直交力は任意に、血管壁と安定に接触した電極の送達を補助するために利用されてもよい。例えば、このような力は、電極および/または遠位端領域20が動脈壁中へと前進するときに、潜在的に外傷性の力を低減し得る。更に、力および注入液は、電極の配置、再位置決め、および/または撤退中に、電極の配置を補助するかつ/または摩擦もしくは擦過を低減する滑らかな層を確立し得る。灌漑または注入が、血管壁に対して鋭角で逆方向に向けられるとき(図34Fを参照されたい)、注入液は、電極を血管壁から押し離し、かつ電極を血管中へと前方に推進し、それは、電極の送達および配置を補助し得る。
4.強制冷却の温度測定に及ぼす影響、およびその軽減
強制冷却を利用するとき、温度測定は、冷却が提供されないときよりも、正確でないか、有用でない場合がある。図35に示されているように、電極および組織表面は冷却されるため(開回路系において直接に、閉回路系において間接に)、温度センサ52(例えば、熱電対)が電極中または電極上に提供されるとき、管腔表面Tlesionからの病変深度での組織温度の有意な上昇は、電極および/または表面温度TS(および故に、監視される温度センサ温度)の小さい上昇のみに相当し得る。冷却電極温度とこのより深い病変組織温度との間の相関ができる可能性があるが、このような相関は、強制冷却の存在下で正確性が有意に低いことが予想される。
治療部位における温度測定の減少された正確性または有用性を説明するために、電極温度と深い組織温度との間の相関の正確性を強化するための、アルゴリズム102の実施形態等の複雑なアルゴリズムが提供されてもよい。アルゴリズムは、温度センサおよび/または治療部位の近傍における、複雑な流体機械的および熱機械的環境をモデルとし得る。このようなアルゴリズムにおいて利用される変数には、例えば、流量、注入液もしくは冷却材温度、血流量、血液温度、組織温度、組織電気的および熱的特徴、治療部位の下流の冷却材および血液温度等が含まれてもよい。更なるおよび代替的な変数が使用されてもよい。これらの変数のうちの1つ以上を測定するために、更なるセンサが提供されてもよい。
更にまたは代替的に、温度以外の、治療の有効性および安全性の表示器が利用されてもよい。例えば、病変が作り出されているときの、経時的な電極におけるインピーダンス測定における相対的な変化が、病変形成の表示器として使用されてもよい。典型的には、組織が加熱するとき、そのインピーダンスは、最大で、ある種の温度閾値まで減少し、増加する温度と共に組織特性が変化するとき、インピーダンスは次いで、増加する。好適な病変サイズは、例えば、インピーダンスセンサ52において測定したときの、インピーダンスの相対的な減少、インピーダンス曲線の傾きの相対的な変化、および/またはインピーダンスの減少に続く相対的な増加に相関し得る。
電極46および/または灌漑ポート(複数可)47に対する温度センサ(複数可)52の配置は、所望の深度において病変温度Tlesionを査定する際に、強制冷却の、表面温度TS測定正確性および/または有用性に及ぼす影響を低減または軽減するように指定され得る。温度センサ(複数可)52は、温度センサ(複数可)が、注入液または冷却材の送達によって冷却されないか、またはより冷却されにくいように、例えば、電極46および/またはポート(複数可)47に対して、外部にまたは遠隔で配置されてもよい。例えば、電極から突出し、組織中に膨張または挿入する突出する温度センサが提供されてもよい。更にまたは代替的に、触針温度センサが、機器から標的深度へと展開されてもよい。灌漑が組織/電極界面から離して向けられるとき(例えば、図34Aを参照されたい)、温度センサ(複数可)52は、組織に接触する電極の側面上に位置してもよい。
更に、図36に関して下記により詳細に記載されるように、エネルギーは、間欠的なパワー送達および冷却を組み込むアルゴリズムにより送達することができ、それは、より正確および/または有用な温度測定を促進し得る。
5.強制冷却中のエネルギー送達のための制御システム
上述のように、開回路冷却中に送達される注入液の容量を、低減、制御、または最小化することが望ましい場合がある。前述のアルゴリズム102等の制御アルゴリズムは、パワー送達の1つ以上の監視されるパラメータ(例えば、パワーの大きさ、パワー送達の持続期間、温度、流動、圧力、および/またはインピーダンス測定等の、パワー送達のセンサ測定に及ぼす影響等)に応答して、注入液注入の容積測定流量を制御または変化させる1つ以上の制御ループを備えてもよい。例えば、アイドル状態中(すなわち、エネルギーが送達されていない間)に、患者の内部への食塩水注入を低減/制御するために、比較的低い容積測定流量の注入液注入が提供されてもよい(例えば、ポート(複数可)47および/または管腔(複数可)45内で血液の凝固を防止するのに十分な率)。任意に、低パワーの治療前エネルギーパルスが、電極/組織界面における安定な接触を検証するために、測定インピーダンスおよび/または相対的インピーダンスに対して低い流動注入の存在下で提供されてもよい。エネルギー送達を活性化するとき、パワーには、より高い注入液流量が必要とされるまで比較的低い注入液流量を維持しながら、傾斜が与えられてもよい。例えば、測定温度が、所定パワーレベル以下で、所定レベルを上回って増加する、例えば、5W以下でベースラインから5℃以上増加する場合、注入液流量は、増加されてもよい。低い注入液流量によるエネルギー送達のこの最初の相は、より高い注入液流量と比較して、より正確な温度測定を提供することができる。この温度測定は、血流が十分であるか、低すぎるかどうか、または組織との接触が不十分であるかどうかを示すために、送達されるエネルギーと比較することができる。例えば、高い温度上昇は、低い血流を示す可能性があり、冷却が増加される可能性があり、理想的な温度上昇は、十分な血流を示す可能性があり、低い温度上昇は、組織との不十分な接触を示す可能性がある。血流の表示は、エネルギーの送達のその後の相において、エネルギー送達アルゴリズム中に組み込むことができる。例えば、低い血流は、増加された注入液流量または減少されたパワーにより補償される可能性があり、理想的な血流は、低い注入液流量の維持をもたらす可能性があり、不十分な組織接触は、電極接触および位置を再確認するためのメッセージをもたらす可能性がある。
前述のように、電極の寸法は、腎動脈の内壁と接触して配置されるとき、活性表面積対総表面積比(ASA:TSA)が、適切な範囲の容積測定血流量を用いる環境において使用されるときに好適なサイズの病変をもたらし得るように、構成される可能性がある。容積測定血流量が適切な範囲よりも低い場合、電極および組織表面からの熱の対流は、十分でない場合があり、血液凝固、および/もしくは血管壁の表面における過度の組織損傷を引き起こす、かつ/または標的組織の温度を効果的に上昇させる能力を妨害する可能性がある、より高い表面温度をもたらす。電極は、範囲内の腎動脈容積測定血流を有する患者の大部分において、極小のまたは低い強制冷却を用いて有効な病変を作り出すために、所与のパワー送達プロフィールで適切なASA:TSAを有するように構成される可能性がある。強制冷却は、それぞれの腎動脈中の容積測定血流量が範囲を下回る場合、必要に応じて、惹起または増加される可能性がある。例えば、治療されている腎動脈中での容積測定血流量は、動脈が狭窄しているとき、1つを超える主要な腎動脈が同じ腎臓を補給するとき、主要な腎動脈が非常に短く、血流が支流の間で分割されるとき、範囲を下回る可能性がある。これら等の状況において、容積測定血流が、電極が構成される範囲よりも低いとき、強制冷却は、手動制御によってまたは自動的に増加される可能性がある。強制冷却の自動的増加は、前述の監視されるパラメータに応答する、制御アルゴリズムによって惹起される可能性がある。
灌漑または注入はまた、電極接触および/または腎血流における突然の変化を補償するために流量を調整する、アルゴリズム制御ループと併せて使用されてもよい。例えば、腎血流における突然の変化は、腎動脈の急性収縮、心拍数における変化、腎脈管構造抵抗性における変化によって引き起こされる可能性がある。強制冷却は、腎血流突然の変化に応答して、手動でまたは自動的に惹起または増加される可能性がある。
パワー送達が定常状態に到達した後、流量および/またはパワーは任意に、温度測定の実用性を増加させるために、正常な血液温度を超えるある測定可能な量だけ、しかし血液凝固または過度の組織損傷等の潜在的な加熱問題を引き起こすほどには高くない程度に、温度が上昇することを可能にするように、初期設定範囲内で一時的に調整されてもよい。温度の上昇を可能にすることは、有効な病変が作り出されたという更なるフィードバックを提供し得る。温度の上昇が検出された後、次いで流量および/またはパワーは、測定温度が上昇しないか、またはベースラインまで再び減少するレベルに戻ってもよい。
アルゴリズム102は任意に、間欠的なパワー送達および(開回路または閉回路)強制冷却を組み込んでもよい。図36に示されているように、冷却、またはパワーと冷却が、短期間にわたって間欠的に停止または低減されとき、熱は、病変深度での組織から、組織表面および温度センサまで伝導する。表面温度TSは、このような間欠的なアイドル期間中に、病変温度Tlesionとよりよく近似するか、またはそれとより確かに相関する。故に、アイドル期間中に集められる情報を使用して、病変温度Tlesionのより正確な表示を算出してもよい。
6.更なる代表的な実施形態
i.開回路実施形態
多数の灌漑ポート47および多数の温度センサ52(例えば、多数の熱電対)が電極46中に組み込まれるとき、各ポートへの(または共通の注入管腔45に連結されるポートの各群への)流量は、局所温度測定に基づいて調整されてもよい。例えば、より低い温度を測定する温度センサは、電極のその部分が組織/電極界面から比較的離れていることを示し得る。故に、温度センサの近傍におけるポート(複数可)47への灌漑流量は、患者における食塩水注入の量を低減するために、および/または温度の変化に対する感受性を改善するために低減されてもよい。
同様に、より暖かい温度を測定する温度センサは、電極のその部分が組織/電極界面に比較的近いことを示し得、より暖かい温度センサの近傍におけるポート(複数可)への灌漑流量は、組織/電極界面の近傍における熱伝達を増加させるために増加されてもよい。血流に面した電極の側面上の灌漑または注入を低減することは、所望の閾値を下回る総注入液容量を維持しながら、電極の組織/電極界面側面上の更なる灌漑の送達を促進し得る。
ii.閉回路実施形態
図37は、本発明の更なる実施形態を例示する。図37において、細長いシャフト12の遠位端領域20は、拡張可能なバルーンの内部または外部に結合、連結、または積層された1つ以上の電極46を有するバルーンカテーテル300を備える。各電極46への電気接続は、バルーンカテーテル300の表面上のワイヤー29または電気トレースによって提供されてもよい。ワイヤー/電気トレースは、発生器26に電気的に連結される。
バルーンカテーテル300は、柔軟であり、腎動脈内での拡張時に予想される解剖学的構造の範囲に適応し得る。バルーンを拡張させるために使用される流体は、電極(複数可)46のおよび/または接触される組織の閉回路冷却のための熱シンクを提供し得る。任意に、流体は、対流性冷却を強化するために、および/または流体の温度を所望のレベルに維持するために循環させられてもよい。
バルーン300は、血流を遮断するため、治療中の複雑な熱機械的および流体機械的環境の正確なモデリングは、より御しやすくなり得、それは、治療のよりよい制御、危険性のより低い治療、および/またはより有効な治療を促進し得る。
多数の電極46が提供されるとき、図37にあるように、電極の長手方向のおよび/または外周の離間は、所望に応じて、遠位端領域20の再位置決めを必要とすることなく、多数の長手方向/外周位置における治療を促進するように指定され得る。
iii.閉塞バルーンを用いる開回路実施形態
図38は、本発明の更なる実施形態を示す。図38において、細長いシャフト12の遠位端領域20は、カテーテルに搭載される遠位閉塞バルーン301を備える、遠位閉塞バルーン301の近位には、注入液の源と流体連通している管腔に連結される注入ポート49aおよび流量モニターを有するポンプ送液機構がある。注入ポート49の近位には、機械的拡張または自己拡張型部材35上に配置される1つ以上の電極46がある。電極46は、温度センサを備えてもよい。温度センサは、注入液の温度を測定するために含まれてもよい。例えば、熱電対またはサーミスタは、伸びたシャフト中の注入液供給管腔(図示されず)中に、注入液ポート49の開口部で、注入液供給源中に、および/またはポンプ送液機構中に配置される可能性がある。注入液の流量は、流量計もしくは流動センサで監視されるか、またはポンプ送液機構のスピードによって制御される可能性がある。
血液は、腎動脈流動を通じて大動脈から腎臓へと、換言すると、伸びたシャフト12の遠位端に向かって、流動する。この実施形態では、遠位閉塞バルーンは、流動を一時的に低速にするか、または停止させ、注入ポート49を通じる注入液の注入は、電極46を横切って大動脈中へと逆方向に流動する。
注入液の流量および温度は既知であるため、治療中の複雑な熱機械的および流体機械的環境の正確なモデリングは、より御しやすくなり得、それは、治療のよりよい制御、危険性のより低い治療、および/またはより有効な治療を促進し得る。
図39は、切除カテーテル中の管腔51を通じて導入されるバルーンカテーテル13上に搭載される閉塞バルーン301を有する、本発明の実施形態を例示する。切除カテーテルは、機械的拡張または自己拡張部材35上に配置される1つ以上の電極46を備える。
図38の実施形態と同様に、注入液は、腎動脈中へとポンプ送出され、電極46をわたって大動脈中へと逆方向に流動する。図39の実施形態では、注入ポート51は、バルーンカテーテル13が送達される通路であるものと同じポートである可能性があるか、あるいはそれは、分離した管腔およびポートである可能性がある。
図40は、ガイドカテーテル95の遠位端上に搭載される閉塞バルーン301を有する、本発明の実施形態を例示する。切除カテーテルは、ポート47を伴うまたは伴わない、図5〜34Lに示される実施形態である可能性がある。図40のガイドカテーテル95は、バルーン301の内部容量と、およびガイドカテーテル95の近位端上の拡張ポート(図示されず)と交通している拡張管腔を備える。ガイドカテーテル95はまた、切除カテーテルが腎動脈中へと導入される通路である、管腔96を備える。
図38の実施形態と同様に、注入液は、腎動脈中へとポンプ送出される。しかしながら、図40の実施形態では、注入液は、管腔96を通じて送達され、電極46上にわたって順方向に腎臓中へと流動する。閉塞バルーン301は、血流が動脈に進入するのを制限または停止する。
図41は、それぞれ、1つ以上の電極46に遠位および近位の伸びたシャフト12に搭載される、遠位閉塞バルーン301aおよび近位閉塞バルーン301bを備える実施形態を例示する。伸びたシャフト12は、それぞれ、電極46に遠位および近位に配置される、注入ポート49および吸引ポート53を更に含む。注入ポート49は、伸びたシャフトの長さを、カテーテルの近位端上の注入液供給接続子まで走行する、供給管腔(図示されず)と流体連通している。吸引ポート53は、伸びたシャフトの長さを、カテーテルの近位端上の吸引接続子まで走行する、吸引管腔(図示されず)と流体している。1つ以上の電極46は、機械的拡張または自己拡張部材35上に配置される。
注入液の供給は、供給接続子中へと機械的にポンプ送出され、吸引注入液は、収集容器中に処分または収集される。注入液は、電極46上にわたって流動し、吸引ポート53を通じて動脈から除去される。
iv.ウィーピングバルーン(Weeping Balloon)/メッシュを有する開回路の実施形態
図42は、本発明の更なる実施形態を示す。図42において、細長いシャフト12の遠位端領域20は、拡張可能なウィーピングバルーン(weeping balloon)の内部または外部に結合または積層された1つ以上の電極46を有する、ウィーピングバルーン(weeping balloon)302を備える。各電極46への電気接続は、ウィーピングバルーン(weeping balloon)302の表面上のワイヤー29によって、または電気トレースによって、提供されてもよい。ワイヤー/電気トレースは、発生器26に電気的に連結される。
ウィーピングバルーン(weeping balloon)302は、柔軟であり、腎動脈内での拡張時に予想される解剖学的構造の範囲に適応する。ウィーピングバルーン(weeping balloon)302は、バルーンの内側の流体が通過することを可能にする孔303を備える。孔303は、電極(複数可)46の近くまたはその近位に位置決められる。ウィーピングバルーン(weeping balloon)を拡張させるために使用される、食塩水等の流体は、孔303を通行し、電極46の(複数可)および/または接触される組織の熱シンクおよび/または対流性冷却を提供し得る。更に、流体は、冷やされる可能性がある。
ウィーピングバルーン(weeping balloon)302は、血流を遮断するため、治療中の複雑な熱機械的および流体機械的環境の正確なモデリングは、より御しやすくなり得、それは、治療のよりよい制御、危険性のより低い治療、および/またはより有効な治療を促進し得る。
多数の電極46が提供されるとき、図42にあるように、電極の長手方向のおよび/または外周の離間は、所望に応じて、遠位端領域20の再位置決めを必要とすることなく、多数の長手方向/外周位置における治療を促進するように指定され得る。
代替的に、拡張可能な編組、メッシュ、または織物が、ウィーピングバルーン(Weeping balloon)の代わりに使用される可能性がある。拡張可能な編組、メッシュ、または織物は、流体をその中に注射することによって拡張される可能性がある。代替的に、それは、編組の長さを低減する引きワイヤー等の機械的手段によって拡張される可能性があり、または拡張可能な編組は、自己拡張する可能性がある。
IV.システムの使用
A.治療機器の血管内送達、偏向、および配置
本明細書に記載される治療機器12の実施形態のうちのいずれか1つは、慣習的なオーバーザワイヤー技法を使用して、ガイドワイヤー上にわたって送達することができる。この様態で送達されるとき(図示されず)、細長いシャフト16は、ガイドワイヤーの通行に応じる通路または管腔を備える。
1つの例示的なアプローチにおいて、ガイドワイヤー(図示されず)は、アクセス部位を通じて挿入され、画像ガイダンスを使用して、大腿動脈を通じて、腸骨動脈および大動脈中へと、ならびに左または右いずれかの腎動脈中へと通行させられる。ガイドカテーテルは、ガイドワイヤー上にわたって、アクセスされる腎動脈中へと通行させらる可能性がある。ガイドワイヤーは次いで、除去される。
第2の例示的なアプローチにおいて、第1のガイドカテーテルは、腎動脈の入口に配置される(ガイドワイヤーを伴ってまたは伴わずに)。第2のガイドカテーテルは、第1のガイドカテーテルを介して(ガイドワイヤーの補助を伴ってまたは伴わずに)腎動脈中へと通行させられる。治療機器は次いで、第2のガイドカテーテルを介して腎動脈中へと送られる。一旦、治療機器が腎動脈内に適切に位置決められると、第2のガイドカテーテルは、後退させられ、第1のガイドカテーテルを腎動脈への入口に残す。このアプローチにおいて、第1および第2のガイドカテーテルは、第2のガイドカテーテルの第1のガイドカテーテル内の通行に応じるようなサイズにされ、そのように構成されるべきである(すなわち、第1のガイドカテーテルの内径は、第2のガイドカテーテルの外径よりも大きいべきである)。例えば、第1のガイドカテーテルは、8フレンチのサイズである可能性があるり、第2のガイドカテーテルは、5フレンチのサイズである可能性がある。
第3の例示的なアプローチにおいて、および図43Aに示されているように、腎ガイドカテーテル94(例えば、6フレンチ腎ガイドカテーテル)は、腎動脈の入口のすぐ近位の腹大動脈内に位置決められる。次に図43Bに示されるように、本明細書に記載される治療機器12は、ガイドカテーテル94を通じて、アクセスされる腎動脈中へと通行させられる。細長いシャフトは、ハンドルアセンブリ200を通じて力伝達区分30に適用される力に応答して、ガイドカテーテル94の非外傷性の通過を行う。第1のまたは近位撓み区域32は、ガイドカテーテル94を通じて、それぞれの左または右腎動脈中への進入を得るために、左/右腎動脈および大動脈の接合部で有意な撓みに応じる(図43Bが示すように)。
図43Cが示すように、細長いシャフト16の遠位端部分上の第2の撓み区域34は次に、それぞれの腎動脈中へと軸方向に並進させられ、それぞれの腎動脈の内壁への接近およびそれらとの所望の位置合わせを達成するために、制御された様式で、それぞれの腎動脈内で、遠隔で偏向され(例示的には、平面偏向または屈曲であるが、代替的に、螺旋状の偏向等の任意の他の前述の偏向が提供されてもよい)、かつ/または回転させられる可能性がある。図43Cが更に示すように、任意の第3の撓み区域44は、熱エネルギー加熱要素24を内壁上の組織と接触して配置するために屈曲する(代替的にまたは更に、1つ以上のエネルギー送達要素24は、第2の撓み区域の遠隔偏向中に、第2の撓み区域34の長さに沿って位置決められ、内壁上の組織と接触するように携えられてもよい)。
B.熱的に作用される組織領域の作成
前述のように(および図43Bが示すように)、エネルギー送達要素24は、それぞれの腎動脈内での第1の所望の軸方向の場所で、第1の撓み区域32に沿って屈曲することによって位置決められる可能性がある。図43Cが示すように、エネルギー送達要素24は、第2の撓み区域34の血管壁に向かった偏向によって、径方向に位置決められる可能性がある。図43Cもまた示すように、エネルギー送達要素24は、第3の撓み区域44の更なる偏向によって、血管壁との最適な表面積の接触の条件に配置される可能性がある。
一旦、エネルギー送達要素24が、第2の撓み区域34の偏向、第3の撓み区域44の偏向、および/またはカテーテルの回転の組み合わせによって所望の場所に位置決められると、治療を施すことができる。任意に、食塩水等の注入液が、血流によって提供されるものを超過する伝導性および/または対流性冷却を提供するために、治療前、治療中、および/または治療後に、治療部位の近傍に送達されてもよい(例えば、図30Bにあるように、エネルギー送達要素を通じて)。エネルギー送達要素24を通じてエネルギーを適用することによって、図43Dが示すように、第1の熱的に作用される組織領域98(a)を形成することができる。例示の実施形態では、熱的に作用される領域98(a)は、それぞれの腎動脈の血管壁上の病変の形態をとる。
第1の熱的に作用される組織領域98(a)を形成した後、カテーテルは任意に、別の熱処理のために再位置決めされてもよい。上により詳細に記載されるように、腎動脈の長手方向の軸に沿って外周的に離間された、多数の巣状病変を作り出すことが望ましい。この結果を達成するために、カテーテルは任意に、後退させられ、任意に、エネルギー送達要素を血管の長手方向の軸に沿って近位に位置決めするために、回転させられてもよい。アクセス部位(図43Eを参照されたい)の外側からの細長いシャフト16の回転は、エネルギー送達要素24を、腎動脈の周りで外周的に再位置決めし得る。一旦、エネルギー送達要素24が、図43Eに示されているように(例えば、98(b))、第1の記載の軸方向の位置から離間された腎動脈内で、第2の軸方向および外周の場所に位置決められると、別の巣状治療が、施される治療である可能性がある(食塩水注入を伴ってまたは伴わずに)。直前に記載された操作的ステップ(図43F〜43Kに示される)を反復することによって、介護者は、軸方向および外周的に離間された血管壁上に、複数の熱的に作用される組織領域98(a)、98(b)、98(c)、および98(d)を作り出すことができ、このうち第1の熱的に作用される組織領域98(a)は、最遠位であり、その後の熱的に作用される組織領域は、より近位である。図43Iは、治療される腎動脈の複数の層で形成された病変の断面図を提供する。この図は、複数の外周的および軸方向に離間された治療(例えば、98(a)〜98(d))が、実質的に外周的な適用範囲を提供し、したがって、腎神経叢に神経調節効果を引き起こし得ることを示す。臨床的調査は、各病変が、腎動脈を囲む外周面積のおよそ20〜30パーセントをカバーすることを示す。他の実施形態では、各病変の外周的な適用範囲は、50パーセントと同程度である可能性がある。
代替的な治療アプローチにおいては、治療機器を施して、腎動脈の血管壁に沿って、複雑なパターン/数々の熱的に作用される組織領域を作り出すことができる。図43Lが示すように、この代替的な治療アプローチは、腎動脈に沿った各軸方向の部位(例えば、98、99、および101)での多数の外周治療を提供する。このアプローチを使用して、腎動脈の血管壁に沿って熱的に作用される組織領域の密度を増加させることは、腎神経叢内の神経線維を熱的に遮断する見込みを増加させる。
図43Gに見られる、腎動脈内でのエネルギー送達要素24の回転は、治療の確実性および一貫性を改善し得る。蛍光透視等の血管造影ガイダンスは、2つの寸法における可視化を提供するにすぎないため、腎動脈の上部(頂点)および下部(底部)での壁接触の可視的な確認を得ることは、一般に、前面/後面像において可能であるにすぎない。前面および後面治療について、上部および下部の場所における接触の確認を最初に得て、次いで、所望の治療場所に到達するまで、エネルギー送達要素が血管壁に沿って外周的に移動するように、カテーテルを回転させることが望ましい場合がある。カテーテル回転中に壁接触が維持または最適化されることを確実にするために、インピーダンス等の生理的データが同時に監視される可能性がある。代替的に、蛍光透視鏡のC字形アームを回転させて、壁接触を決定するためによりよい角度を達成することができる。
図43は、第2の撓み区域の偏向、ならびに細長いシャフトの回転および/または並進の組み合わせを通じて、エネルギー送達要素24を再位置決めすることによって作り出される、多数の長手方向および外周的に離間された巣状病変を例示する。治療機器の前述の実施形態のうちの幾つかでは、このような多数の巣状病変は、遠位端領域20の長さに沿って位置決められる多数のエネルギー送達要素24により作り出されてもよい。更にまたは代替的に、治療機器の前述の実施形態のうちの幾つかでは、このような多数の巣状病変は、多数の平面における第2の撓み区域偏向のみを通じて、細長いシャフトの並進のみを通じて、細長いシャフトの回転のみを通じて、または第2の撓み区域の偏向、細長いシャフトの並進、および細長いシャフトの回転の任意のサブセットのみを通じて、エネルギー送達要素(複数可)24を再位置決めすることによって作り出されてもよい。
図46A〜46Cは、動物研究中の腎動脈内の治療機器の蛍光透視画像を提供する。図46Aは、治療機器およびエネルギー送達要素24の、遠位治療場所での位置決めを示す。第2の撓み区域34は、エネルギー送達要素24を血管壁と接触して位置決めするため、および第3の撓み区域44における撓みを生じさせるために偏向されている。図46Aはまた、接触領域124を示し、ここで第2の撓み区域34の屈曲の頂点は、エネルギー送達要素と血管壁との間の接触に対して半径方向に反対側または角度的に反対側(angular opposition)において、血管壁と接触している。図46Bは、外周の回転および軸方向の後退に続く、より近位の治療場所での治療機器の配置を示す。図46Cは、大動脈および腎動脈接合部にすぐ遠位の近位の治療場所での、治療機器の配置を示す。図46Dおよび46Eは、ヒト腎動脈内での治療のために位置決められる治療機器を示す、類似した蛍光透視画像を提供する。図46Dは、図46Aに関して上述されるものと同様の遠位の治療場所に前進させられた治療機器を示す。図46Eは、図46Cに関して上述されるものと同様の近位の治療位置における治療機器を示す。
第2の撓み区域34の遠位端におけるエネルギー送達要素24およびはんだ130の両方は、図46A〜46Cに示されるように、放射線不透過性である可能性があるため、血管造影可視化を使用するオペレータは、第1の治療場所に対応する画像を使用して、治療機器を第2の治療のために相対的に位置決めすることができる。例えば、平均長さの腎動脈中では、臨床オペレータは、主要な動脈の長さに沿って約5mm毎に治療することが望ましい。第3の撓み区域44の長さが5mmである場合の実施形態では、オペレータは、エネルギー送達要素24の現在の位置が、前の治療におけるはんだ130の位置と長手方向に揃うように、機器を単純に後退させることができる。
別の実施形態では、異なる種類の放射線不透過性マーカーが、はんだ130を置き換えることができる。例えば、プラチナのバンドが、放射線不透過性マーカーとしての機能を果たすために、第2の撓み区域の遠位端に取り付けられる可能性がある。
脈管構造の血管造影可視化は、一般に、コントラスト剤が腎動脈中に注入されることを要求するため、治療機器内にまたはそれと並行して、コントラスト剤を血流中に注入するための管腔および/またはポートを組み込むことが望ましい場合がある。代替的に、コントラスト剤は、機器が送達される通路である治療機器とガイドカテーテルとの間の輪形隙間内の治療機器と並行して、血液中に送達することができる。
約37℃の体温を超過するが、約45℃の温度を下回る熱エネルギー(熱)への曝露は、標的神経線維の、または標的線維を灌流する血管構造の適度な加熱を介して、熱変質を誘発し得る。血管構造が作用される場合には、標的神経線維は、灌流を断たれ、神経組織の壊死をもたらす。例えば、これは、線維または構造における非切除性熱変質を誘発し得る。約45℃の温度を上回る、または約60℃を上回る熱への曝露は、線維または構造の実質的な加熱を介して、熱変質を誘発し得る。例えば、このようなより高い温度は、標的神経線維または血管構造を熱的に切除し得る。患者によっては、標的神経線維または血管構造を熱的に切除するが、約90℃未満、または約85℃未満、または約80℃未満、および/または約75℃未満である温度を達成することが望ましい場合がある。熱的神経調節を誘発するために利用される熱曝露の種類に関わらず、腎交感神経活性(「RSNA」)の低減が予想される。
C.適用されるエネルギーの制御
標的組織に治療を送達するための、本明細書に開示される治療では、エネルギーが、標的神経構造に制御された様態で送達されることは有益であり得る。エネルギーの制御された送達は、血管壁への望ましくないエネルギー送達または熱的効果を低減しながら、熱処理の区域が腎筋膜中まで延びていることを可能にする。エネルギーの制御された送達はまた、より一貫した、予測可能な、および効率的な全体的治療をもたらし得る。したがって、発生器26は、望ましくは、熱的加熱機器へのパワーおよびエネルギーの送達を制御するためのアルゴリズム102(図5を参照されたい)を備える、プログラムされた指示書を含む。アルゴリズム102は、その代表的な実施形態が図44に示されるが、発生器26に連結されるプロセッサによる実行のために、慣習的なコンピュータプログラムとして実装することができる。ステップ・バイ・ステップ指示書を使用する介護者はまた、アルゴリズム102を手動で実装することができる。
アルゴリズムによって監視される作動しているパラメータには、例えば、温度、時間、インピーダンス、パワー、流速、容積測定流量、血圧、心拍数等が含まれてもよい。温度の個別的な値を使用して、パワーまたはエネルギー送達における変化を触発してもよい。例えば、温度の高い値(例えば、85℃)は、組織乾燥を示す可能性があ、その場合、アルゴリズムは、標的または非標的組織に対する望ましくない熱的効果を防止するために、パワーおよびエネルギー送達を減少または停止し得る。時間を更にまたは代替的に使用して、非標的組織に対する望ましくない熱変質を防止してもよい。各治療について、パワーの無限送達を防止するために、設定時間(例えば、2分間)が確認される。
インピーダンスを使用して、組織変化を測定してもよい。インピーダンスは、治療部位の電気特性を示す。熱誘発性の電場が治療部位に適用される場合、インピーダンスは、組織細胞の電流フローに対する抵抗性が低下するにつれて減少する。過度のエネルギーが適用される場合、組織乾燥または凝固が電極の近くで生じ得、それは、細胞が水分貯留を喪失するため、かつ/または電極表面積が減少するため(例えば、血塊の蓄積を介して)インピーダンスを増加させる。故に、組織インピーダンスにおける増加は、標的または非標的組織に対する望ましくない熱変質の指標または予測であり得る。
更にまたは代替的に、パワーは、治療法の送達を制御する際に監視するための有効なパラメータである。パワーは、電圧および電流の関数である。アルゴリズムは、伝達および/または電流を、所望のパワーを達成するように仕立ててもよい。
前述のパラメータの導関数(例えば、変化率)もまた使用して、パワーまたはエネルギー送達における変化を触発してもよい。例えば、温度の変化率は、温度の突然の上昇が検出された場合にパワー出力が低減されるように、監視される可能性がある。同様に、インピーダンスの変化率は、インピーダンスの突然の上昇が検出された場合にパワー出力が低減されるように、監視される可能性がある。
図44に示されているように、介護者が治療を惹起するとき(例えば、踏子を介して)、アルゴリズム102は、発生器26に、そのパワー出力を第1の期間t1(例えば、15秒)にわたって第1のパワーレベルP1(例えば、5ワット)まで段階的に調整するように命令する。第1の期間中のパワー増加は、一般に線形である。結果として、発生器26は、一般にP1/t1の一定の率でそのパワー出力を増加させる。代替的に、パワー増加は、可変の増加率を伴って非線形(例えば、指数関数的または放物線状)である可能性がある。一旦、P1およびt1が達成されると、アルゴリズムは、所定期間t2−t1(例えば、3秒)にわたる新たな時間t2まで、P1に保持することができる。t2時点で、パワーは、所定期間、t3−t2(例えば、1秒)にわたって、P2まで所定増分(例えば、1ワット)だけ増加される。所定期間にわたって約1ワットの、所定増分におけるこのパワーランプは、最大パワーPMAXが達成されるまで、または幾つかの他の条件が満たされるまで、継続することができる。一実施形態では、PMAXは、8ワットである。別の実施形態では、PMAXは、10ワットである。任意に、パワーは、所望の期間、または最大で所望の総治療時間(例えば、最大約120秒)にわたって、最大パワーPMAXで維持されてもよい。
図44において、アルゴリズム102は例示的に、パワー制御アルゴリズムを備える。しかしながら、アルゴリズム102は代替的に、温度制御アルゴリズムを備えてもよいことが理解されるべきである。例えば、パワーは、所望の持続期間(持続期間)にわたって所望の温度(単数または複数)が得られるまで、段階的に増加されてもよい。別の実施形態では、組み合わせ型パワー制御および温度制御アルゴリズムが提供されてもよい。
考察されるように、アルゴリズム102は、ある種の作動パラメータ(例えば、温度、時間、インピーダンス、パワー、流速、容積測定流量、血圧、心拍数等)を監視することを含む。作動パラメータは、連続的または周期的に監視される可能性がある。アルゴリズム102は、パラメータが個々に、または組み合わせで、所定パラメータプロフィールによって設定される範囲内に該当するかどうかを決定するために、所定パラメータプロフィールに対して、監視されるパラメータを確認する。監視されるパラメータが、所定パラメータプロフィールによって設定される範囲に該当する場合、治療は、命令されるパワー出力で継続することができる。監視されるパラメータが、所定パラメータプロフィールによって設定される範囲の外側に該当する場合、アルゴリズム102は、それに応じて、命令されるパワー出力を調整する。例えば、標的温度(例えば、65℃)が達成される場合、パワー送達は、総治療時間(例えば、120秒)が満了するまで一定に保たれる。第1の温度閾値(例えば、70℃)が達成されるか、またはそれを超過する場合、パワーは、標的温度が達成されるまで、所定増分(例えば、0.5ワット、1.0ワット等)で低減される。第2のパワー閾値(例えば、85℃)が達成されるか、またはそれを超過し、それによって望ましくない条件が示される場合、パワー送達は、終結される可能性がある。システムは、オペレータにある種の条件を警告する、種々の可聴式および可視的なアラームを装着される可能性がある。
次のものは、アルゴリズム102が、命令されるパワー出力を調整および/または終結/中断し得る事象の非網羅的一覧である:
(1)測定温度が、最大温度閾値(例えば、約70度〜約85℃)を超過する。
(2)測定温度から誘導される平均温度が、平均温度閾値(例えば、約65℃)を超過する。
(3)測定温度の変化率が、閾値の変化率を超過する。
(4)発生器26がゼロ以外の出力を有する一方で、ある期間にわたる温度上昇が、最小温度変化閾値を下回る。エネルギー送達要素24と動脈壁との間の不十分な接触が、このような条件を引き起こす可能性がある。
(5)測定されたインピーダンスが、インピーダンス閾値(例えば、20オーム未満、または500オーム超)を超過する。
(6)測定されたインピーダンスが、相対的閾値を超過する(例えば、インピーダンスが、出発値またはベースライン値から減少し、次いでこのベースライン値を上回って上昇する)。
(7)測定されたパワーが、パワー閾値(例えば、8ワット超または10ワット超)を超過する。
(8)パワー送達の測定された持続期間が、時間閾値(例えば、120秒超)を超過する。
V.開示される装置およびシステムの分配、輸送、販売のためのプレパッケージ型キット
図45に示されているように、図5に示される1つ以上の構成要素システム10は、顧客/臨床オペレータへの簡便な送達、および彼らによる使用のために、一緒にパッケージ化することができる。パッケージ化に好適な構成要素には、治療機器12、治療機器12を発生器26に接続するためのケーブル28、中性または伝播(dispersive)電極38、および1つ以上のガイドカテーテル94(例えば、腎ガイドカテーテル)が含まれる。ケーブル28はまた、両方の構成要素が一緒にパッケージ化されるように、治療機器12中に統合することができる。各構成要素は、それ自体の滅菌パッケージ(滅菌を要求する構成要素について)を有してもよい。または構成要素は、キットパッケージ内に専用の滅菌されたコンパートメントを有してもよい。このキットはまた、オペレータに、本明細書に開示される治療機器の挿入、送達、配置、および使用の全ての方法を含む、システム10および治療機器12を使用するための技術的な製品特徴および作動指示書を提供する、使用のためのステップ・バイ・ステップ指示書126を含んでもよい。
VI.開示される装置、方法、およびシステムの更なる臨床的使用
本明細書における開示の多くは、腎血管(例えば、腎動脈)内から求心性および/または遠心性神経交通を遮断するために、患者の腎臓を少なくとも部分的に除神経することに関するが、本明細書に記載される装置、方法、およびシステムはまた、他の血管内治療のために使用されてもよい。例えば、前述のカテーテル系、またはこのようなシステムの選択される態様を、エネルギーおよび/または電場を送達するために他の末梢血管中に配置して、これらの他の末梢血管に近接する神経を変化させることによって神経調節作用を達成することができる。豊富な神経の一群と並行して標的臓器へと移動する、大動脈から生じる幾つかの動脈血管が存在する。これらの神経にアクセスし、それらを調節するために動脈を利用することは、幾つかの病状における明白な治療可能性を有し得る。幾つかの例としては、腹腔幹、上腸間膜動脈、および下腸間膜動脈包囲する神経が挙げられる。
腹腔幹として知られる、動脈血液血管に近接するまたはそれを包囲する交感神経は、腹腔神経節を通過し、腹腔幹の支流に従って、胃、小腸、腹部血管、肝臓、胆管、胆嚢、膵臓、副腎、および腎臓を神経支配し得る。これらの神経を全体的に(または選択的調節を介して部分的に)調節することは、糖尿病、膵炎、肥満、高血圧、肥満関連高血圧、肝炎、肝腎症候群、胃潰瘍、胃運動障害、過敏性腸症候群、およびクローン病等の自己免疫障害を含む(しかしこれらに限定されない)、病態の治療を可能にし得る。
下腸間膜動脈として知られる、動脈血液血管に近接するまたはそれを包囲する交感神経は、下腸間膜神経節を通過し、下腸間膜動脈の支流に従って、結腸、直腸、膀胱、性器、および外生殖器を神経支配し得る。これらの神経を全体的に(または選択的調節を介して部分的に)調節することは、GI運動障害、大腸炎、尿貯留、過活動膀胱、失禁、不妊、多嚢胞性卵巣症候群、早漏、勃起不全、性交疼痛、および膣痙を含む(しかしこれらに限定されない)、病態の治療を可能にし得る。
動脈アクセスおよび治療がこの明細書で注目を受けているが、開示される装置、方法、およびシステムを使用して、末梢静脈またはリンパ管内からの治療を送達することもできる。
VII.結論
本発明の実施形態の上の詳述は、網羅的であるようにも、本発明を上記に開示される正確な形態に限定するようにも意図されない。本発明の具体的な実施形態、およびそのための例が例示目的のために上述されるが、当業者であれば認識するが、種々の同等の改質が本発明の範囲内で可能である。例えば、ステップは、所与の順序で提示される一方で、代替的な実施形態は、ステップを異なる順序で行ってもよい。また、本明細書に記載される種々の実施形態を組み合わせて、更なる実施形態を提供することもできる。
前述から、本発明の具体的な実施形態は、例示の目的のために本明細書に記載されているが、周知の構造および機能は、本発明の実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを回避するために、詳細に示されても、記載されてもいないことが理解される。文脈が許す場合、単数または複数の用語はまた、それぞれ、複数または単数の用語を含んでもよい。例えば、本明細書における開示の多くは、エネルギー送達要素24または電極46を単数で記載する。この適用は、2つ以上のエネルギー送達要素または電極を除外しないことが理解されるべきである。
エネルギー送達要素24は、電極、無線周波数電極、冷却無線周波数電極、熱的要素、熱的加熱要素、電気抵抗加熱要素、冷凍切断アプリケーター、マイクロ波アンテナ、超音波振動子、高密度焦点式超音波振動子、またはレーザー放射体である可能性があることもまた理解されるべきである。
更に、本明細書で使用される他の用語は、異なるかつ交換可能な方法で表されてもよい。例えば、力伝達区分はまた、近位の力伝達区分、細長い管状シャフトである可能性もあり、第1の撓み区域はまた、可撓性管状構造体である可能性もあり、偏向可能な区分はまた、中間撓み区域もしくは第2の撓み区域、また偏向可能な管状体である可能性もあり、制御ワイヤーは、撓み制御要素である可能性があり、力減衰区分は、第3の撓み区域もしくは遠位撓み区域、または受動的可撓性構造体である可能性があり、力方向転換要素は、予成形形状である可能性がある。
更に、「または」という単語は、2つ以上の品目の一覧を参照して、他の品目から排他的な単一の品目を意味するように明示的に限定されない限り、このような一覧における「または」の使用は、(a)一覧における任意の単一の品目、(b)一覧における品目の全て、または(c)一覧における品目の任意の組み合わせを含むように解釈されるものとする。更に、「含むこと(comprising)」という用語は、それよりも大きい任意の数の同じ特徴および/または更なる種類の他の特徴が排除されないように、少なくとも列挙される特徴(複数可)を意味するように全体を通じて使用される。具体的な実施形態が例示の目的のために本明細書に記載されているが、本発明から逸脱することなく種々の改変がなされてもよいこともまた理解される。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって限定されるものを除いては、限定されない。