JP6319492B1 - リチウムイオン二次電池用電極材料、リチウムイオン二次電池用電極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用電極材料、リチウムイオン二次電池用電極及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池の入力特性を改善することができる電極材料、その電極材料を含む電極及びその電極を有するリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】本発明のリチウムイオン二次電池用電極材料は一般式LiFexMn1−x−yMyPO4(0.05≦x≦1.0、0≦y≦0.14、ただし、Mは、Mg、Ca、Co、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge及び希土類元素から選択される少なくとも1種)で表される中心粒子と、中心粒子の表面を被覆する炭素質被膜とを含み、ラマン分光測定により得られたラマンスペクトルのDバンド及びGバンドのピーク強度比(ID/IG)が1.10以上1.55以下であり、DBP吸油量及びNMP吸油量の比(DBP/NMP)が1.3以下である。本発明のリチウムイオン二次電池用電極は本発明のリチウムイオン二次電池用電極材料を含む。本発明は正極、負極及び非水電解質を有するリチウムイオン二次電池であって、正極が本発明のリチウムイオン二次電池用電極を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用電極材料、リチウムイオン二次電池用電極及びリチウムイオン二次電池に関する。
近年、クリーンエネルギーの技術開発が急速に進む中、脱石油、ゼロエミッション、及び省電力製品の普及等、地球に優しい環境作りが必要となっている。とくに最近脚光を浴びているのが電気自動車に電気エネルギーを供給する大容量の蓄電池、有事の場合や災害が発生した場合に電気エネルギーを供給する大容量の蓄電池、携帯用情報機器や携帯用情報端末等に電気エネルギーを供給する二次電池である。二次電池としては、例えば、鉛蓄電池、アルカリ蓄電池及びリチウムイオン電池等が知られている。とくに、リチウムイオン電池は、小型化、軽量化、及び高容量化が可能であり、しかも、高出力かつ高エネルギー密度であるという優れた特性を有している。このことから、電気自動車をはじめ、電動工具等の高出力電源としても商品化されており、次世代のリチウムイオン二次電池用材料の開発が世界中で活発化している。
また、最近では、電気エネルギーを供給する大容量の蓄電池と住宅とのコラボレーションとしてHEMS(ホームエネルギー・マネッジメント・システム)が脚光を浴びている。HEMSは、スマート家電や電気自動車あるいは太陽光発電等、家庭の電気に関わる情報と制御システムとを集約することで、自動制御、電力需給の最適化等を管理し、賢くエネルギーを消費するシステムである。
現在実用化されているリチウムイオン電池の正極に用いられる電極活物質としては、LiCoO及びLiMnOが一般的である。しかしながら、Coは地球上に偏在し、かつ稀少な資源であることから、大量に使用した場合には、製品コストが高くなり、かつ安定供給が難しくなるという問題点がある。そこで、LiCoOに代わる正極活物質として、スピネル系のLiMn、三元系のLiNi1/3Mn1/3Co1/3、鉄酸リチウム(LiFeO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等の正極活物質の研究開発が盛んに進められている。これら電極材料の中でも、オリビン構造を有するLiFePOが、安全性はもちろんのこと、資源的及びコスト的にも問題がない電極材料として注目されている。このLiFePOで代表されるオリビン系電極材料は、リンを構成元素に含みかつ酸素と強く共有結合している。したがって、オリビン系電極材料は、LiCoO等の電極材料と比較して高温時に酸素を放出するおそれがなく、電解液の酸化分解による発火の危険性も生じるおそれがなく、安全性に優れた材料である。
しかしながら、このような利点を有するLiFePOにおいても、電子伝導性が低いという課題がある。この電子伝導性の低さは、構造に由来する活物質内部のリチウムイオンの拡散の遅さと電子導電性の低さにあると考えられている。そこで、電極活物質の電子伝導性を向上させる方法として、有機物を熱分解して得られた伝導性炭質材料を電極活物質の表面に均一に堆積させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、電極活物質の表面を被覆する炭素質被膜の黒鉛構造の発達の程度をラマンスペクトルのGバンド及びDバンドのピーク強度比(I/I)で評価できることが知られている(特許文献2参照)。そして、I/Iの値を0.9以下とすることにより、炭素質被膜の黒鉛構造を発達させることができ、これにより電極活物質の電子伝導性をさらに向上させることができ、正極の内部抵抗を小さくすることができる。
特開2001−015111号公報 国際公開2016/178280号パンフレット
しかしながら、Dバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)の値を低くして、電極活物質の表面を被覆する炭素質被膜の黒鉛構造を発達させても、リチウムイオン二次電池の入力特性が良好にならず、逆に悪くなる場合があった。
そこで、本発明は、リチウムイオン二次電池の入力特性を改善することができる電極材料、その電極材料を含む電極及びその電極を有するリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行なった。その結果、本発明者らは、電極活物質の表面を被覆する炭素質被膜の黒鉛構造を発達させると、電極活物質の電子伝導性は向上するものの電極活物質のイオン伝導性が低下することを見出した。そして、本発明者らは、Dバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)が所定の範囲内であり、かつDBP吸油量及びNMP吸油量の比(DBP/NMP)が所定値以下である電極材料を用いることにより、リチウムイオン二次電池の入力特性を改善できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]一般式LiFeMn1−x−yPO(0.05≦x≦1.0、0≦y≦0.14、ただし、Mは、Mg、Ca、Co、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge及び希土類元素から選択される少なくとも1種)で表される中心粒子と、中心粒子の表面を被覆する炭素質被膜とを含み、ラマン分光測定により得られたラマンスペクトルのDバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)が1.10以上1.55以下であり、DBP吸油量及びNMP吸油量の比(DBP/NMP)が1.3以下であるリチウムイオン二次電池用電極材料。
[2]ラマン分光測定により得られたラマンスペクトルのDバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)が1.25以上1.45以下である上記[1]に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
[3]DBP吸油量及びNMP吸油量の比(DBP/NMP)が1.20以上1.24以下である上記[1]又は[2]に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
[4]上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池用電極材料を含むリチウムイオン二次電池用電極。
[5]正極、負極及び非水電解質を有するリチウムイオン二次電池であって、正極が上記[4]に記載のリチウムイオン二次電池用電極を有するリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池の入力特性を改善することができる電極材料、その電極材料を含む電極及びその電極を有するリチウムイオン二次電池を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
[リチウムイオン二次電池用電極材料]
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料(以下、単に電極材料という)は、一般式LiFeMn1−x−yPO(0.05≦x≦1.0、0≦y≦0.14、ただし、Mは、Mg、Ca、Co、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge及び希土類元素から選択される少なくとも1種)で表される中心粒子と、中心粒子の表面を被覆する炭素質被膜とを含み、ラマン分光測定により得られたラマンスペクトルのDバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)が1.10以上1.55以下であり、DBP吸油量及びNMP吸油量の比(DBP/NMP)が1.3以下である。これにより、リチウムイオン二次電池の入力特性を改善することができる。
(中心粒子)
本実施形態の電極材料に使用される中心粒子は、一般式LiFeMn1−x−yPO(0.05≦x≦1.0、0≦y≦0.14、ただし、Mは、Mg、Ca、Co、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge及び希土類元素から選択される少なくとも1種)で表される中心粒子である。なお、希土類元素とは、ランタン系列であるLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの15元素のことである。また、本実施形態の電極材料に使用される中心粒子は、一般式LiFeMn1−x−yPOで表される1種の中心粒子であってもよいし、2種以上組み合わせた中心粒子であってもよい。
本実施形態の電極材料に使用される中心粒子の比表面積は、好ましくは5m/g以上30m/g以下であり、より好ましくは9m/g以上25m/g以下である。
中心粒子の比表面積が5m/g以上であると、中心粒子におけるリチウムイオン及び電子の移動にかかる時間を短くしてリチウムイオン二次電池の出力特性を良好にできる。中心粒子の比表面積が30m/g以下であると、中心粒子の比表面積が増加することに伴う炭素質被膜の重量の増加を抑制し、充放電容量を増加させることができる。なお、中心粒子の比表面積はBET法により測定された比表面積である。
(炭素質被膜)
本実施形態の電極材料に使用される炭素質被膜は、中心粒子の表面を被覆し、電極材料の電子伝導性を向上させる。炭素質被膜の被覆率は60%以上であることが好ましく、80%以上95%以下であることがより好ましい。
炭素質被膜の被覆率が60%以上であると、炭素質被膜の被覆効果を充分に得ることができる。
炭素質被膜の被覆率は、透過電子顕微鏡(TEM)及びエネルギー分散型X線分光器(EDX)等を用いて測定することができる。
炭素質被膜の膜厚は1.0nm以上10.0nm以下であることが好ましく、炭素質被膜の平均膜厚は2.0nm以上7.0nm以下であることが好ましい。
炭素質被膜の平均膜厚が2.0nm以上であると、炭素質被膜中の電子の移動抵抗の総和が高くなることを抑制できる。これによりリチウムイオン二次電池の内部抵抗の上昇を抑制でき、高速充放電レートにおける電圧低下を防止することができる。また、炭素質被膜の平均膜厚が7.0nm以下であると、リチウムイオンが炭素質被膜中を拡散することを妨害する立体障害の形成を抑制することができ、これによりリチウムイオンの移動抵抗が低くなる。その結果、電池の内部抵抗の上昇が抑えられ、高速充放電レートにおける電圧低下を防止することができる。
また、炭素質被膜の膜厚が1.0nm以上であると、炭素質被膜の平均膜厚を2.0nm以上とすることが容易になり、膜厚が10.0nm以下であると、平均膜厚を7.0nm以下とすることが容易になる。
なお、炭素質被膜の膜厚は、透過型電子顕微鏡を用いて、測定することができる。
なお、ここでいう「内部抵抗」とは、主として電荷移動抵抗とリチウムイオン移動抵抗とを合算したものであり、電荷移動抵抗は炭素質被膜の膜厚、炭素質被膜の密度及び結晶性に比例し、リチウムイオン移動抵抗は炭素質被膜の膜厚、炭素質被膜の密度及び結晶性に反比例する。
この内部抵抗の評価方法としては、例えば、電流休止法等が用いられる。この電流休止法では、内部抵抗は、配線抵抗、接触抵抗、電荷移動抵抗、リチウムイオン移動抵抗、正負電極におけるリチウム反応抵抗、正負極間距離によって定まる極間抵抗、リチウムイオンの溶媒和、脱溶媒和に関わる抵抗及びリチウムイオンのSEI(Solid Electrolyte Interface)移動抵抗の総和として測定される。
炭素質被膜の炭素量、炭素質被膜の平均膜厚、炭素質被膜の被覆率及び電極材料の比表面積によって計算される、炭素質被膜の密度は0.3g/cm以上1.5g/cm以下であることが好ましく、0.4g/cm以上1.0g/cm以下であることがより好ましい。
ここで、炭素質被膜の密度を上記の範囲に限定した理由は、炭素質被膜の炭素分によって計算される、炭素質被膜の密度が0.3g/cm以上であれば、炭素質被膜が十分な電子伝導性を示すからである。一方、炭素質被膜の密度が1.5g/cm以下であれば、炭素質被膜中に層状構造からなる黒鉛の微結晶が少量であるため、リチウムイオンが炭素質被膜中を拡散する際に黒鉛の微結晶による立体障害が生じない。これにより、リチウムイオン移動抵抗が高くなることがない。その結果、リチウムイオン二次電池の内部抵抗が上昇することがなく、リチウムイオン二次電池の高速充放電レートにおける電圧低下が生じない。
(I/I
本実施形態の電極材料のラマン分光測定により得られたラマンスペクトルのDバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)は、1.10以上1.55以下であり、好ましくは1.25以上1.45以下である。
Dバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)が1.10未満であると、電極材料のイオン伝導性が悪くなり、リチウムイオン二次電池の入力特性が悪くなる場合がある。また、Dバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)が1.55よりも大きくなると、電極材料の電子伝導性が悪くなり、リチウムイオン二次電池の入力特性が悪くなる場合がある。
なお、Gバンドは、ラマンスペクトルの1590cm−1付近に現れるピークであり、炭素質被膜の黒鉛構造に帰属されるピークである。一方、Dバンドは、ラマンスペクトルの1350cm−1付近に現れるピークであり、炭素質被膜の欠陥に起因するピークである。
(DBP/NMP)
DBP吸油量及びNMP吸油量の比(DBP/NMP)は、1.3以下であり、好ましくは1.20以上1.24以下である。
DBP吸油量及びNMP吸油量の比(DBP/NMP)が1.3よりも大きいと、電極材料のイオン伝導性が悪くなり、リチウムイオン二次電池の入力特性が悪くなる場合がある。
なお、NMP吸油量は、あまに油の代わりにN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を用いた点を除いて、JIS K 5101−13−1「精製あまに油法」に準拠して電極材料を測定した値である。また、DBP吸油量は、あまに油の代わりにフタル酸ジブチル(DBP)を用いた点を除いて、JIS K 5101−13−1「精製あまに油法」に準拠して電極材料を測定した値である。
電極材料のラマン分光測定により得られたラマンスペクトルのDバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)の値は炭素質被膜の結晶の状態に主に起因する。一方、DBP吸油量及びNMP吸油量の比(DBP/NMP)は炭素質被膜の形状に主に起因する。そして、リチウムイオン二次電池の入力特性の改善に好適な炭素質被膜の結晶の状態と、リチウムイオン二次電池の入力特性の改善に好適な炭素質被膜の形状との組み合わせにより、すなわち、電極材料のラマン分光測定により得られたラマンスペクトルのDバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)を、1.10以上1.55以下とし、かつ、DBP吸油量及びNMP吸油量の比(DBP/NMP)を1.3以下とすることにより、リチウムイオン二次電池の入力特性をさらに改善することができる。
(炭素量)
本実施形態の電極材料の炭素量、すなわち、炭素質被膜を形成する炭素の炭素量は、中心粒子100質量部に対して0.3質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.6質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。
電極材料の炭素量が0.3質量部以上であると、リチウムイオン二次電池の高速充放電レートにおける放電容量が高くなり、充分な充放電レート性能を実現することができる。一方、炭素量が10質量部以下であると、電極材料の単位質量当たりのリチウムイオン二次電池の電池容量を高くすることができる。
(比表面積)
本実施形態の電極材料の比表面積は、好ましくは5m/g以上30m/g以下であり、より好ましくは9m/g以上25m/g以下である。
電極材料の比表面積が5m/g以上であると、電極材料の粗大化を抑制して、リチウムイオンの拡散速度を高くすることができる。これにより、リチウムイオン二次電池の電池特性を改善することができる。一方、電極材料の比表面積が30m/g以下であると、電極密度を高くすることができるため、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を高くすることができる。なお、電極材料の比表面積はBET法により測定された比表面積である。
(一次粒子の平均粒子径)
本実施形態の電極材料の一次粒子の平均粒子径は好ましくは0.01μm以上5μm以下であり、より好ましくは0.02μm以上2μm以下である。
電極材料の平均一次粒子径が0.01μm以上であると、電極材料の比表面積の増加に起因する炭素質量の増加を抑制でき、これによりリチウムイオン二次電池の充放電容量が低減することを抑制できる。一方、電極材料の平均一次粒子径が5μm以下であると、電極材料内を移動するリチウムイオンの移動時間または電子の移動時間を短くすることができる。これにより、リチウムイオン二次電池の内部抵抗の増加に起因する出力特性の悪化を抑制できる。
ここで、平均粒子径とは、体積平均粒子径のことである。上記一次粒子の平均粒子径は、無作為に100個の一次粒子を選び出して、走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)にて個々の一次粒子の粒子径(長径)を測定し、その平均値として求めることができる。
(二次粒子の平均粒子径)
本実施形態の電極材料の複数個の一次粒子が凝集して形成した二次粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上20μm以下であり、より好ましくは0.7μm以上10μm以下である。
電極材料の二次粒子の平均粒子径が0.5μm以上であると、電極材料と導電助剤とバインダー樹脂(結着剤)と溶剤とを混合してリチウムイオン二次電池用電極材料ペーストを調製する際、導電助剤及び結着剤が多量に必要となることを抑制できる。これによりリチウムイオン二次電池の正極の電極材料層における単位質量あたりのリチウムイオン二次電池の電池容量を高くすることができる。一方、電極材料の二次粒子の平均粒子径が20μm以下であると、リチウムイオン二次電池の正極の電極材料層中の導電助剤や結着剤の分散性及び均一性を高くすることができる。その結果、リチウムイオン二次電池の高速充放電における放電容量が高くなる。
ここで、平均粒子径とは、体積平均粒子径のことである。電極材料の二次粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。また、無作為に100個の二次粒子を選び出して、走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)にて個々の二次粒子の長径及び短径を測定し、その平均値として求めてもよい。
[電極材料の製造方法]
本実施形態の電極材料は、例えば、以下の電極材料の製造方法で製造することができる。本実施形態の電極材料の製造方法は、一般式LiFeMn1−x−yPO(0.05≦x≦1.0、0≦y≦0.14、ただし、Mは、Mg、Ca、Co、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge及び希土類元素から選択される少なくとも1種)で表される中心粒子と、炭素被膜前駆体と、水とを含むスラリーを作製する工程(A)、スラリーを乾燥してスラリーの乾燥物を作製する工程(B)、及び乾燥物を500℃以上1000℃以下の非酸化性雰囲気下にて焼成する工程(C)を含む。
(工程(A))
工程(A)では、一般式LiFeMn1−x−yPO(0.05≦x≦1.0、0≦y≦0.14、ただし、Mは、Mg、Ca、Co、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge及び希土類元素から選択される少なくとも1種)で表される中心粒子と、炭素被膜前駆体と、水とを含むスラリーを作製する。
電極材料の製造方法に使用する中心粒子は、一般式LiFeMn1−x−yPO(0.05≦x≦1.0、0≦y≦0.14、ただし、Mは、Mg、Ca、Co、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge及び希土類元素から選択される少なくとも1種)で表される。
例えば、LiFeMn1−x−yPOは、Li源と2価の鉄塩とリン酸化合物と水とを混合して得られるスラリー状の混合物を、耐圧密閉容器を用いて水熱合成して得られる。Li源は、例えば酢酸リチウム(LiCHCOO)及び塩化リチウム(LiCl)等のリチウム塩並びに水酸化リチウム(LiOH)からなる群から選択されるものである。2価の鉄塩には、例えば塩化鉄(II)(FeCl)、酢酸鉄(II)(Fe(CHCOO))及び硫酸鉄(II)(FeSO)等が挙げられる。リン酸化合物には、例えばリン酸(HPO)、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)及びリン酸水素二アンモニウム((NH)2HPO)等が挙げられる。
中心粒子100質量部に対する、炭素元素に換算したときの炭素被膜前駆体の配合量は、1.0質量部以上5.0質量部以下であり、好ましくは2.5質量部以上10質量部以下である。中心粒子100質量部に対する、炭素元素に換算したときの炭素被膜前駆体の配合量が1.0質量部以上5.0質量部以下であると、電極材料の炭素量を、およそ、0.8質量%以上2.5質量%以下にすることができる。
炭素質被膜前駆体として用いる有機化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、セルロース、デンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、マルトース、スクロース、ラクトース、グリコーゲン、ペクチン、アルギン酸、グルコマンナン、キチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、アガロース、ポリエーテル、2価アルコール、3価アルコール、フェノール樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの炭素質被膜前駆体の中で特に好ましい炭素質被膜前駆体は、ポリビニルアルコール(PVA)、スクロース及びフェノール樹脂を混合したものである。
中心粒子に対する有機化合物の配合比は、有機化合物の全量を炭素量に換算したとき、中心粒子100質量部に対して0.8質量部以上2.5質量部以下であることが好ましい。
ここで、有機化合物の炭素量換算の配合比が0.8質量部以上であると、二次電池を形成した場合に高速充放電レートにおける放電容量が高くなり、充分な充放電レート性能を実現することが可能になる。有機化合物の炭素量換算の配合比が2.5質量部以下であると、炭素質被膜の平均膜厚を3.0nm以下にすることができる。
これら中心粒子と有機化合物とを、水に溶解あるいは分散させて、均一なスラリーを調製する。この溶解あるいは分散の際には、分散剤を加えてもよい。
中心粒子と有機化合物とを水に溶解あるいは分散させる方法としては、中心粒子が分散し、有機化合物が溶解または分散する方法であれば、とくに限定されない。有機化合物を溶解または分散させる装置には、例えば、遊星ボールミル、振動ボールミル、ビーズミル、ペイントシェーカー及びアトライタ等の媒体粒子を高速で攪拌する媒体攪拌型分散装置が挙げられる。また、有機化合物は構造中に酸素が多量に含まれる糖類が好まれる。単糖、二糖類がより好ましい。酸素が多いと焼成中に開裂する箇所が多くなり、カーボン層中の細孔を形成しやすい。
この溶解あるいは分散の際には、中心粒子を一次粒子として分散し、その後、有機化合物を添加して溶解するように攪拌することが好ましい。このようにすれば、中心粒子の一次粒子の表面が有機化合物で被覆され、その結果として、中心粒子の一次粒子の間に有機化合物由来の炭素が均一に介在するようになる。
(工程(B))
工程(B)では、スラリーを乾燥してスラリーの乾燥物を作製する。例えば、このスラリーを高温雰囲気中、例えば70℃以上250℃以下の大気中に噴霧し、乾燥させる。
(工程(C))
工程(C)では、500℃以上1000℃以下、好ましくは600℃以上900℃以下の範囲内の焼成温度で乾燥物を焼成する。焼成時間は、例えば0.1時間以上40時間以下である。
焼成温度が500℃未満であると、スラリーを乾燥させた乾燥物に含まれる有機化合物の分解及び反応を充分に進行せず、有機化合物を充分に炭化させることができない場合がある。その結果、得られた電極材料中に高抵抗の有機化合物の分解物が生成する場合がある。焼成温度が1000℃よりも大きいと、中心粒子中のLiが蒸発して中心粒子に組成のズレが生じる場合がある。組成のズレが生じると、中心粒子の粒成長が促進され、その結果、高速充放電レートにおける放電容量が低減し、充分な充放電レート性能を実現することが難しい場合がある。
この非酸化性雰囲気としては、窒素(N)及びアルゴン(Ar)等の不活性雰囲気が好ましく、より酸化を抑えたい場合には水素(H)等の還元性ガスを数体積%程度含む還元性雰囲気が好ましい。
この焼成過程では、スラリーの乾燥物を焼成する際の条件、例えば、昇温速度、最高保持温度、保持時間等を適宜調整することにより、得られる電極材料の細孔径分布を制御することが可能である。
以上により、乾燥物中の有機化合物が熱分解して生成した炭素により中心粒子の一次粒子の表面が被覆され、よって、この中心粒子の一次粒子の間に炭素が介在した二次粒子からなる電極材料が得られる。
[リチウムイオン二次電池用電極]
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極(以下、単に電極という)は、本実施形態の電極材料を含む。
本実施形態の電極を作製するには、例えば、本実施形態の電極材料と、バインダー樹脂からなる結着剤と、溶媒とを混合して、電極形成用塗料または電極形成用ペーストを調製する。この際、必要に応じてカーボンブラック等の導電助剤をさらに添加してもよい。
上記の結着剤、すなわちバインダー樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)樹脂及びフッ素ゴム等が好適に用いられる。
上記の電極材料に対するバインダー樹脂の配合量は、とくに限定されないが、例えば、電極材料100質量部に対してバインダー樹脂を1質量部以上30質量部以下、好ましくは3質量部以上20質量部以下とする。
この電極形成用塗料または電極形成用ペーストに用いる溶媒としては、水;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール:IPA)、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール及びジアセトンアルコール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類;ジエチルエーテル、エチレングルコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングルコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングルコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類等を挙げることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
次いで、この電極形成用塗料または電極形成用ペーストを、金属箔の一方の面に塗布し、その後、乾燥し、上記の電極材料及び結着剤を含む塗膜が一方の面に形成された金属箔を得る。
次いで、この塗膜を加圧圧着し、乾燥して、金属箔の一方の面に電極材料層を有する集電体(電極)を作製する。
このようにして、本実施形態のリチウムイオン伝導性を損なうことなく、電子伝導性を向上させることができる電極を作製することができる。
[リチウムイオン二次電池]
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、本実施形態の電極を正極として有する。
このリチウムイオン二次電池は、本実施形態の電極を正極として用いることにより、正極の電子伝導性及びイオン伝導性の両方を高くすることができる。その結果、入力特性が改善したリチウムイオン二次電池を提供することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。
実施例1〜6及び比較例1〜10の電極材料を以下のようにして作製した。
「実施例1」
Li源、P源としてLiPO、Fe源としてFeSO水溶液をモル比でLi:Fe:P=3:1:1となるように混合して1000Lの原料スラリーを作製し、耐圧容器に入れた。その後、195℃で2.5時間加熱反応を行った。この反応後に室温になるまで冷却して、沈殿しているケーキ状態の反応生成物を得た。そして、この沈殿物を蒸留水で複数回十分に水洗し、ケーキ状の活物質を得た。
次いで、この活物質5kg(固形分換算)に、炭素質被膜の原料となる有機化合物として、予め固形分20%に調整したポリビニルアルコール水溶液123.9g、スクロース粉末19.8g、フェノール樹脂溶液45.2gと、媒体粒子としての直径1mmのジルコニアボールとを用いて、ビーズミルにて2時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを160℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、平均粒子径が7μmの有機物で被覆された、活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体100体積%に対して5体積%となるように、長手方向の長さの平均が10mmである黒鉛焼結体を熱伝導補助物質として造粒体に添加し混合して焼成用原料を得た。この焼成用原料2.5kgを容積が10Lの黒鉛鞘に敷き詰め、720℃の非酸化性ガス雰囲気下にて1.5時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、焼成物を得た。この焼成物をφ75μmの篩に通し、黒鉛焼結体を取り除いて、実施例1の電極材料を得た。
「実施例2」
スクロース粉末の添加量を39.7gとし、フェノール樹脂溶液の添加量を30.1gとした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の電極材料を得た。
「実施例3」
スクロース粉末の添加量を59.7gとし、フェノール樹脂溶液の添加量を15.0gとした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の電極材料を得た。
「比較例1」
スクロース粉末を添加せず、フェノール樹脂溶液の添加量を60.4gとした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の電極材料を得た。
「比較例2」
スクロース粉末の添加量を79.7gとし、フェノール樹脂溶液を添加しない以外は、実施例1と同様にして、比較例2の電極材料を得た。
「比較例3」
予め固形分20%に調整したポリビニルアルコール水溶液の添加量を40.9gとし、スクロース粉末の添加量を99.8gとした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の電極材料を得た。
「比較例4」
スクロース粉末の添加量を39.7gとし、フェノール樹脂溶液の添加量を30.1gとした以外は、実施例1と同様にして、比較例4の電極材料を得た。
「比較例5」
スクロース粉末の添加量を59.7gとし、フェノール樹脂溶液の添加量を15.0gとした以外は、実施例1と同様にして、比較例5の電極材料を得た。
「実施例4」
Li源、P源としてLiPO、Fe源としてFeSO水溶液、Mn源としてMnSO水溶液、Mg源としてMgSO水溶液、Co源としてCoSO水溶液、Ca源としてCa(OH)水溶液を用い、これらをモル比でLi:Fe:Mn:Mg:Co:Ca:P=3:0.2448:0.70:0.05:0.0002:0.005:1となるように混合して1000Lの原料スラリーを作製し、耐圧容器に入れた。その後、145℃で2.5時間加熱反応を行った。この反応後に室温になるまで冷却して、沈殿しているケーキ状態の反応生成物を得た。そして、この沈殿物を蒸留水で複数回十分に水洗し、ケーキ状の活物質を得た。
次いで、この活物質5kg(固形分換算)に、炭素質被膜の原料となる有機化合物として、予め固形分20%に調整したポリビニルアルコール水溶液185.9g、スクロース粉末29.7g、フェノール樹脂溶液67.8gと、媒体粒子としての直径1mmのジルコニアボールとを用いて、ビーズミルにて2時間、分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
次いで、このスラリーを150℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、平均粒子径が9μmの有機物で被覆された、活物質の造粒体を得た。
得られた造粒体100体積%に対して5体積%となるように、長手方向の長さの平均が10mmである黒鉛焼結体を熱伝導補助物質として造粒体に添加し混合して焼成用原料を得た。この焼成用原料2.5kgを容積が10Lの黒鉛鞘に敷き詰め、720℃の非酸化性ガス雰囲気下にて2.5時間焼成した後、40℃にて30分間保持し、焼成物を得た。この焼成物をφ75μmの篩に通し、黒鉛焼結体を取り除いて、実施例4の電極材料を得た。
「実施例5」
スクロース粉末の添加量を59.58gとし、フェノール樹脂溶液の添加量を45.11gとした以外は、実施例4と同様にして、実施例5の電極材料を得た。
「実施例6」
スクロース粉末の添加量を89.51gとし、フェノール樹脂溶液の添加量を22.51gとした以外は、実施例4と同様にして、実施例6の電極材料を得た。
「比較例6」
スクロース粉末を添加せず、フェノール樹脂溶液の添加量を90.54gとした以外は、実施例4と同様にして、比較例6の電極材料を得た。
「比較例7」
スクロース粉末の添加量を119.55gとし、フェノール樹脂溶液を添加しない以外は、実施例4と同様にして、比較例7の電極材料を得た。
「比較例8」
予め固形分20%に調整したポリビニルアルコール水溶液の添加量を61.4gとし、スクロース粉末の添加量を149.69gとした以外は、実施例4と同様にして、比較例8の電極材料を得た。
「比較例9」
スクロース粉末の添加量を59.58gとし、フェノール樹脂溶液の添加量を45.11gとした以外は、実施例4と同様にして、比較例4の電極材料を得た。
「比較例10」
スクロース粉末の添加量を89.51gとし、フェノール樹脂溶液の添加量を22.51gとした以外は、実施例4と同様にして、比較例10の電極材料を得た。
実施例1〜3及び比較例1〜5の電極材料の作製に使用したポリビニルアルコール水溶液、スクロース粉末及びフェノール樹脂溶液のそれぞれの添加量、並びに実施例1〜3及び比較例1〜5の電極材料の作製したときのそれぞれの焼成温度を表1に示す。
実施例4〜6及び比較例6〜10の電極材料の作製に使用したポリビニルアルコール水溶液、スクロース粉末及びフェノール樹脂溶液のそれぞれの添加量、並びに実施例4〜6及び比較例6〜10の電極材料の作製したときのそれぞれの焼成温度を表2に示す。
(電極材料の評価)
実施例1〜6及び比較例1〜10の電極材料について、以下の評価を行った。
(1)炭素量
炭素分析計((株)堀場製作所製、型番:EMIA-220V)を用いて実施例1〜6及び比較例1〜10の電極材料の炭素量を測定した。
(2)比表面積
比表面積計(日本ベル(株)製、BELSORP-mini)を用いて、窒素(N)吸着によるBET法により、実施例1〜6及び比較例1〜10の電極材料の比表面積を測定した。
(3)かさ密度
JIS R 1628:1997「ファインセラミックス粉末のかさ密度測定方法」に準拠して、実施例1〜6及び比較例1〜10の電極材料のかさ密度を測定した。
(4)ラマン分光測定
ラマン分光装置((株)堀場製作所製、LabRab HR evolution UV-VIS-NIR)を用いて、実施例1〜6及び比較例1〜10の電極材料のラマンスペクトルを測定した。
この測定により得られたラマンスペクトルについてガウス関数とローレンツ関数の畳込みでフィッティング処理を行い(解析ソフト:LabSpec6、関数名:GaussLor()((株)堀場製作所製))、得られたDバンドのピーク強度(I)及びGバンドのピーク強度(I)からDバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)を算出した。
(5)NMP吸油量
あまに油の代わりにN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を用いた点を除いて、JIS K 5101−13−1「精製あまに油法」に準拠して、実施例1〜6及び比較例1〜10の電極材料のNMP吸油量を測定した。
(6)DBP吸油量
あまに油の代わりにフタル酸ジブチル(DBP)を用いた点を除いて、JIS K 5101−13−1「精製あまに油法」に準拠して、実施例1〜6及び比較例1〜10の電極材料のDBP吸油量を測定した。
(7)5C定電流充電容量
5C定電流充電容量については、実施例1〜6及び比較例1〜10の電極材料を使用して作製したリチウムイオン二次電池を用いて評価した。
(リチウムイオン電池の作製)
実施例1〜6及び比較例1〜10の電極材料と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、導電助剤としてのアセチレンブラック(AB)とを、質量比が90:5:5となるように混合し、さらに溶媒としてのN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を加えて流動性を付与し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを厚み15μmのアルミニウム(Al)箔上に塗布し、乾燥した。その後、600kgf/cmの圧力にて加圧し、2平方センチメートルの電極面積と1.6g/ccの電極密度とを有する、リチウムイオン二次電池の正極を作製した。
上記正極と、負極としてのリチウム金属とを配置し、正極と負極の間に25μmの厚さを有する多孔質ポリプロピレンからなるセパレーターを配置し、電池用部材とした。この電池用部材を、直径2cm、厚み3.2mmのコインセル容器内に配置した。
一方、炭酸エチレンと炭酸ジエチルとを1:1(質量比)にて混合し、さらに1MのLiPF溶液を加えて、リチウムイオン伝導性を有する電解質溶液を作製した。
次いで、上記のコインセル容器内に上記の電解質溶液を0.4ml注入することで、上記の電池用部材を上記の電解質溶液に浸漬し、リチウムイオン二次電池を作製した。
(充電容量)
電池充放電装置(北斗電工(株)製、型番:SM8)を使用して、実施例1〜3及び比較例1〜5の電極材料を用いて作製したリチウムイオン二次電池については正極の電圧がLiの平衡電圧に対して4.2Vになるまで、実施例4〜6及び比較例6〜10の電極材料を用いて作製したリチウムイオン二次電池については正極の電圧がLiの平衡電圧に対して4.3Vになるまで定電流充電を行い、そのときの容量を評価した。
実施例1〜3及び比較例1〜5の電極材料の評価結果を表3に示し、実施例4〜6及び比較例6〜10の電極材料の評価結果を表4に示す。
実施例1〜6と比較例1〜10とを比較することにより、ラマン分光測定により得られたラマンスペクトルのDバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)が1.10以上1.55以下であり、DBP吸油量及びNMP吸油量の比(DBP/NMP)が1.3以下である電極材料を用いると、リチウムイオン二次電池の入力特性が改善することがわかった。

Claims (5)

  1. 一般式LiFeMn1−x−yPO(0.05≦x≦1.0、0≦y≦0.14、ただし、Mは、Mg、Ca、Co、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge及び希土類元素から選択される少なくとも1種)で表される中心粒子と、
    前記中心粒子の表面を被覆する炭素質被膜とを含み、
    ラマン分光測定により得られたラマンスペクトルのDバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)が1.10以上1.55以下であり、
    DBP吸油量及びNMP吸油量の比(DBP/NMP)が1.3以下であるリチウムイオン二次電池用電極材料。
  2. ラマン分光測定により得られたラマンスペクトルのDバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)が1.25以上1.45以下である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
  3. DBP吸油量及びNMP吸油量の比(DBP/NMP)が1.20以上1.24以下である請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料を含むリチウムイオン二次電池用電極。
  5. 正極、負極及び非水電解質を有するリチウムイオン二次電池であって、
    前記正極が請求項4に記載のリチウムイオン二次電池用電極を有するリチウムイオン二次電池。
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