JP6319279B2 - 可変長コンロッド及び可変圧縮比内燃機関 - Google Patents

可変長コンロッド及び可変圧縮比内燃機関 Download PDF

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Description

本発明は、可変長コンロッド及び可変長コンロッドを具備する可変圧縮比内燃機関に関する。
従来から、内燃機関の機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構を備えた内燃機関が知られている。このような可変圧縮比機構としては様々なものが提案されているが、そのうちの一つとして内燃機関で用いられるコンロッドの有効長さを変化させるものが挙げられる(例えば、特許文献1、2)。ここで、コンロッドの有効長さとは、クランクピンを受容するクランク受容開口の中心とピストンピンを受容するピストンピン受容開口の中心との間の長さを意味する。したがって、コンロッドの有効長さが長くなるとピストンが圧縮上死点にあるときの燃焼室容積が小さくなり、よって機械圧縮比が増大する。一方、コンロッドの有効長さが短くなるとピストンが圧縮上死点にあるときの燃焼室容積が大きくなり、よって機械圧縮比が低下する。
有効長さを変更可能な可変長コンロッドとしては、コンロッド本体の小径端部に、コンロッド本体に対して回動可能な偏心部材(偏心アームや偏心スリーブ)を設けたものが知られている(例えば、特許文献1)。偏心部材はピストンピンを受容するピストンピン受容開口を有し、このピストンピン受容開口は偏心部材の回動軸線に対して偏心して設けられる。このような可変長コンロッドでは、偏心部材の回動位置を変更すると、これに伴ってコンロッドの有効長さを変化させることができる。
国際公開第2014/019683号 特開2015−527518号公報
特許文献1に記載の可変長コンロッドでは、偏心部材にピストン機構が連結されている。偏心部材はピストン機構への作動油の供給及びピストン機構からの作動油の排出によって二方向に回動される。この場合、ピストン機構内の作動油に空気が流入すると、偏心部材の回動位置を適切に制御できないおそれがある。
本願の発明者は、特に、ピストン機構から作動油を排出する排出口が大気開放されている場合、作動油の排出後に排出口から作動油の供給油路に空気が流入し、この結果、ピストン機構に空気が流入することを見出した。
そこで、上記課題に鑑みて、本発明の目的は、ピストン機構への作動油の供給及びピストン機構からの作動油の排出によって有効長さを変化させる可変長コンロッドにおいて、作動油の排出口から作動油の供給油路への空気の流入を抑制することにある。
上記課題を解決するために、第1の発明では、クランクピンを受容するクランク受容開口が設けられたコンロッド本体と、ピストンピンを受容するピストンピン受容開口が設けられると共に、該ピストンピン受容開口の中心と前記クランク受容開口の中心との間の長さを変化させるように前記コンロッド本体に回動可能に取り付けられた偏心部材と、前記コンロッド本体に形成されると共に作動油が供給される油圧シリンダと、該油圧シリンダへの作動油の供給及び該油圧シリンダからの作動油の排出によって該油圧シリンダ内で摺動し且つ前記偏心部材と連動する油圧ピストンとを有するピストン機構と、前記コンロッド本体内に配置される流れ方向切換機構であって、該流れ方向切換機構を介して前記油圧シリンダに作動油を供給することを許可するが前記油圧シリンダ内の作動油を該流れ方向切換機構を介して前記コンロッド本体に形成された排出口から排出することを禁止する第一状態と、該流れ方向切換機構を介して前記油圧シリンダに作動油を供給することを禁止するが前記油圧シリンダ内の作動油を該流れ方向切換機構を介して前記排出口から排出することを許可する第二状態との間で切り換えられるように構成された流れ方向切換機構と、前記コンロッド本体内に配置されると共に、前記流れ方向切換機構が第二状態にあるときに前記流れ方向切換機構から前記排出口への作動油の移動を許可するが該排出口から前記流れ方向切換機構への流体の移動を禁止するように構成された逆流防止機構とを備える、可変長コンロッドが提供される。
第2の発明では、第1の発明において、前記ピストン機構の数が一つである。
第3の発明では、第1又は第2の発明において、前記逆流防止機構は逆流防止ピンを備え、該逆流防止ピンは前記流れ方向切換機構から前記排出口への作動油の移動を許可するときに前記クランク受容開口の軸線と平行に移動するよう構成される。
第4の発明では、第3の発明において、前記逆流防止機構は付勢バネを更に備え、前記逆流防止ピン及び付勢バネは、該逆流防止ピンの端面が、該付勢バネの付勢力によって、前記流れ方向切換機構と前記排出口とを接続する油路を閉塞するように構成される。
第5の発明では、第1〜第4のいずれか一つの発明において、前記流れ方向切換機構は前記コンロッド本体の軸線方向において前記油圧シリンダと前記クランク受容開口との間に配置され、前記逆流防止機構は前記コンロッド本体の軸線方向において前記油圧シリンダと前記流れ方向切換機構との間に配置される。
第6の発明では、第1〜第5のいずれか一つの発明において、前記流れ方向切換機構は、前記コンロッド本体の外部から供給される油圧によって前記第一状態と前記第二状態とを切り換えるように構成された切換ピンを備える。
第7の発明では、第1〜第6のいずれか一つの発明において、前記可変長コンロッドは、前記コンロッド本体の外部から供給される油圧によって前記偏心部材の一方への回動の停止位置を二段階に切り換えるように構成された停止装置を更に備える。
第8の発明では、機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比内燃機関であって、第1から第7のいずれか一つの発明における可変長コンロッドを備え、該可変長コンロッドによって前記ピストンピン受容開口の中心と前記クランク受容開口の中心との間の長さを変更することにより機械圧縮比が変更される、可変圧縮比内燃機関が提供される。
本発明によれば、ピストン機構への作動油の供給及びピストン機構からの作動油の排出によって有効長さを変化させる可変長コンロッドにおいて、作動油の排出口から作動油の供給油路への空気の流入を抑制することができる。
図1は、第一実施形態に係る可変圧縮比内燃機関の概略的な側面断面図である。 図2は、第一実施形態に係る可変長コンロッドを概略的に示す斜視図である。 図3は、第一実施形態に係る可変長コンロッドを概略的に示す側面断面図である。 図4は、コンロッド本体の小径端部近傍の概略的な分解斜視図である。 図5は、コンロッド本体の小径端部近傍の概略的な分解斜視図である。 図6は、第一実施形態に係る可変長コンロッドを概略的に示す側面断面図である。 図7は、流れ方向切換機構及び逆流防止機構が設けられた領域を拡大したコンロッドの側面断面図である。 図8は、図7のA−A線及びB−B線に沿ったコンロッドの断面図である。 図9は、図7のC−C線に沿ったコンロッドの断面図である。 図10は、油圧供給源から切換ピンに油圧が供給されているときの流れ方向切換機構及び逆流防止機構の動作を説明する概略図である。 図11は、油圧供給源から切換ピンに油圧が供給されていないときの流れ方向切換機構及び逆流防止機構の動作を説明する概略図である。 図12は、第二実施形態に係る可変長コンロッドを概略的に示す、図2と同様な斜視図である。 図13は、第二実施形態に係る可変長コンロッドを概略的に示す、図3と同様な側面断面図である。 図14は、流れ方向切換機構及び逆流防止機構が設けられた領域を拡大した、図7と同様なコンロッドの側面断面図である。 図15は、図14のD−D線及びE−E線に沿った、図8と同様なコンロッドの断面図である。 図16は、図14のF−F線に沿った、図9と同様なコンロッドの断面図である。 図17は、第二実施形態に係る可変長コンロッドを概略的に示す側面断面図である。 図18は、流れ方向切換機構、逆流防止機構及び停止装置の動作について説明するための図である。 図19は、流れ方向切換機構、逆流防止機構及び停止装置の動作について説明するための図である。 図20は、流れ方向切換機構、逆流防止機構及び停止装置の動作について説明するための図である。 図21は、二つのピストン機構を備えた可変長コンロッドの構成について説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
<第一実施形態>
最初に、図1〜図11を参照して、本発明の第一実施形態に係る可変長コンロッドについて説明する。
<可変圧縮比内燃機関>
図1は、本発明の第一実施形態に係る可変圧縮比内燃機関の概略的な側面断面図を示す。図1を参照すると、1は内燃機関を示している。内燃機関1は、クランクケース2、シリンダブロック3、シリンダヘッド4、ピストン5、可変長コンロッド6、燃焼室7、燃焼室7の頂面中央部に配置された点火プラグ8、吸気弁9、吸気カムシャフト10、吸気ポート11、排気弁12、排気カムシャフト13及び排気ポート14を備える。
可変長コンロッド6は、その小径端部においてピストンピン21によりピストン5に連結されると共に、その大径端部においてクランクシャフトのクランクピン22に連結される。可変長コンロッド6は、後述するように、ピストンピン21の軸線からクランクピン22の軸線までの距離、すなわち有効長さを変更することができる。
可変長コンロッド6の有効長さが長くなると、クランクピン22からピストンピン21までの長さが長くなるため、図中に実線で示したようにピストン5が上死点にあるときの燃焼室7の容積が小さくなる。一方、可変長コンロッド6の有効長さが変化しても、ピストン5がシリンダ内を往復動するストローク長さは変化しない。したがって、このとき、内燃機関1における機械圧縮比が大きくなる。
一方、可変長コンロッド6の有効長さが短くなると、クランクピン22からピストンピン21までの長さが短くなるため、図中に破線で示したようにピストン5が上死点にあるときの燃焼室7内の容積が大きくなる。しかしながら、上述したように、ピストン5のストローク長さは一定である。したがって、このとき、内燃機関1における機械圧縮比が小さくなる。
<可変長コンロッドの構成>
図2は、第一実施形態に係る可変長コンロッド6を概略的に示す斜視図であり、図3は、第一実施形態に係る可変長コンロッド6を概略的に示す側面断面図である。図2及び図3に示したように、可変長コンロッド6は、コンロッド本体31と、コンロッド本体31に回動可能に取り付けられた偏心部材32と、コンロッド本体31に設けられたピストン機構33と、ピストン機構33への作動油の流れの切換を行う流れ方向切換機構35とを備える。
まず、コンロッド本体31について説明する。コンロッド本体31には、クランクシャフトのクランクピン22を受容するクランク受容開口41と、後述する偏心部材32のスリーブを受容するスリーブ受容開口42とが設けられている。クランク受容開口41はスリーブ受容開口42よりも大きいことから、クランク受容開口41が設けられている側のコンロッド本体31の端部を大径端部31aと称し、スリーブ受容開口42が設けられている側のコンロッド本体31の端部を小径端部31bと称する。
なお、本明細書では、クランク受容開口41の中心軸線(すなわち、クランク受容開口41に受容されるクランクピン22の軸線)と、スリーブ受容開口42の中心軸線(すなわち、スリーブ受容開口42に受容されるスリーブの軸線)との間で延びる線X(図3)、すなわちコンロッド本体31の中央を通る線をコンロッド6(コンロッド本体31)の軸線Xと称す。コンロッド本体31の大径端部31aと小径端部31bとはコンロッド6の軸線X方向において反対側に位置する。
また、コンロッド6の軸線Xに対して垂直であってクランク受容開口41の中心軸線に垂直な方向におけるコンロッド6の長さをコンロッド6の幅と称する。加えて、クランク受容開口41の中心軸線に平行な方向におけるコンロッド6の長さをコンロッド6の厚さと称する。図2及び図3からわかるように、コンロッド本体31の幅は、大径端部31aと小径端部31bとの間の中間部分で最も細い。また、大径端部31aの幅は小径端部31bの幅よりも広い。一方、コンロッド本体31の厚さは、ピストン機構33、34が設けられている領域を除いてほぼ一定の厚さとされる。
次に、偏心部材32について説明する。図4及び図5は、コンロッド本体31の小径端部31b近傍の概略斜視図である。図4及び図5では、偏心部材32は、分解された状態で示されている。図2〜図5を参照すると、偏心部材32は、コンロッド本体31に形成されたスリーブ受容開口42内に受容される円筒状のスリーブ32aと、スリーブ32aからコンロッド本体31の幅方向において一方の方向に延びる一対の第1アーム32bと、スリーブ32aからコンロッド本体31の幅方向において他方の方向(上記一方の方向とは概して反対方向)に延びる一対の第2アーム32cとを具備する。スリーブ32aはスリーブ受容開口42内で回動可能であるため、偏心部材32はコンロッド本体31の小径端部31bにおいてコンロッド本体31に対して回動可能に取り付けられることになる。偏心部材32の回動軸線はスリーブ受容開口42の中心軸線と一致する。
第2アーム32cのスリーブ32a側(すなわち、第1アーム側)とは反対側の端部は、コンロッド本体31の大径端部31aに向かうように屈曲している。特に、本実施形態では、第2アーム32cのスリーブ32a側とは反対側の端部はスリーブ32aの接線方向に延びるように形成される。
また、偏心部材32のスリーブ32aには、ピストンピン21を受容するためのピストンピン受容開口32dが設けられている。このピストンピン受容開口32dは円筒状に形成されている。円筒状のピストンピン受容開口32dは、その軸線がスリーブ32aの円筒状外形の中央軸線と平行ではあるが、同軸にはならないように形成される。したがって、ピストンピン受容開口32dの中心は、スリーブ32aの円筒状外形の中心、すなわち偏心部材32の回動軸線から偏心している。
特に、本実施形態では、スリーブ32aのピストンピン受容開口32dの中心がスリーブ32aの円筒状外形の中心から第1アーム32b側へ偏心している。このため、偏心部材32が回動すると、スリーブ受容開口42内でのピストンピン受容開口32dの位置が変化する。スリーブ受容開口42内においてピストンピン受容開口32dの位置が大径端部31a側にあるときには、コンロッド6の有効長さが短くなる。逆に、スリーブ受容開口42内においてピストンピン受容開口32dの位置が大径端部31a側とは反対側にあるときには、コンロッド6の有効長さが長くなる。したがって、本実施形態によれば、偏心部材32を回動させることによって、コンロッド6の有効長さが変化する。すなわち、偏心部材32は、コンロッド6の有効長さを変化させるように、コンロッド本体31の小径端部31bに回動可能に取り付けられている。
次に、図3を参照して、ピストン機構33について説明する。ピストン機構33は、コンロッド本体31に形成された油圧シリンダ33aと、油圧シリンダ33a内で摺動する油圧ピストン33bと、油圧シリンダ33a内に供給される作動油をシールするオイルシール33cとを有する。油圧シリンダ33aは、そのほとんど又はその全てがコンロッド6の軸線Xに対して第1アーム32b側に配置される。また、油圧シリンダ33aは、小径端部31bに近づくほどコンロッド本体31の幅方向に突出するように軸線Xに対して或る程度の角度だけ傾斜して配置される。また、油圧シリンダ33aは、ピストン連通油路55を介して流れ方向切換機構35と連通する。なお、図3では、図3に示した断面以外の断面に形成された油路も参考のために破線で示されている。
油圧ピストン33bは、第1連結部材45により偏心部材32の第1アーム32bに連結される。油圧ピストン33bは、ピンによって第1連結部材45に回転可能に連結される。第1アーム32bは、スリーブ32aに結合されている側とは反対側の端部において、ピンによって第1連結部材45に回転可能に連結される。したがって、油圧ピストン33bは偏心部材32と連動する。オイルシール33cは、リング形状を有し、油圧ピストン33bの下端部の周囲に取り付けられる。
<可変長コンロッドの動作>
次に、図6を参照して、このように構成された偏心部材32及びピストン機構33の動作について説明する。図6(A)は、ピストン機構33の油圧シリンダ33aに作動油が供給されている状態を示している。一方、図6(B)は、ピストン機構33の油圧シリンダ33aに作動油が供給されていない状態を示している。図6に示したように、油圧ピストン33bは油圧シリンダ33aへの作動油の供給及び油圧シリンダ33aからの作動油の排出によって油圧シリンダ33a内で摺動する。
ここで、後述するように、流れ方向切換機構35は、流れ方向切換機構35を介して油圧シリンダ33aに作動油を供給することを許可するが油圧シリンダ33a内の作動油を流れ方向切換機構35を介してコンロッド本体31に形成された排出口37から排出することを禁止する第一状態と、流れ方向切換機構35を介して油圧シリンダ33aに作動油を供給することを禁止するが油圧シリンダ33a内の作動油を流れ方向切換機構35を介して排出口37から排出することを許可する第二状態との間で切り換えられる。
流れ方向切換機構35が第一状態にあると、図6(A)に示したように、油圧シリンダ33aに作動油が供給される。このため、油圧ピストン33bは上昇し、油圧ピストン33bに連結された偏心部材32の第1アーム32bも上昇する。この結果、図6(A)に示した例では、偏心部材32が図中の矢印の方向に回動され、これにより、ピストンピン受容開口32dの位置が上昇する。したがって、クランク受容開口41の中心とピストンピン受容開口32dの中心との間の長さ、すなわちコンロッド6の有効長さが長くなり、図中のL1となる。すなわち、油圧シリンダ33aに作動油が供給されると、コンロッド6の有効長さが長くなる。なお、このとき偏心部材32の図6(A)中の矢印方向の回動は、偏心部材32の第2アーム32cの屈曲した端部が、コンロッド本体31の側面に当接することによって停止せしめられる。
図6(A)に示した状態において、内燃機関1のシリンダ内でピストン5が往復動してピストン5に下向きの慣性力が作用すると、油圧ピストン33bが下降しようとする。また、燃焼室7内で混合気の燃焼が起きてピストン5に下向きの力が作用したときにも、油圧ピストン33bが下降しようとする。しかしながら、流れ方向切換機構35により油圧シリンダ33aから作動油が排出されることが禁止されているため、作動油は油圧シリンダ33a内に保持される。この結果、油圧ピストン33bの位置、ひいては偏心部材32の回動位置が保持される。
一方、流れ方向切換機構35が第二状態にあると、図6(B)に示したように、油圧シリンダ33a内の作動油は排出口37からコンロッド本体31の外部に排出される。このため、油圧ピストン33bは下降し、油圧ピストン33bに連結された第1アーム32bも下降する。この結果、図6(B)に示した例では、偏心部材32が図中の矢印の方向(図6(A)の矢印とは反対方向)に回動され、これにより、ピストンピン受容開口32dの位置が下降する。したがって、クランク受容開口41の中心とピストンピン受容開口32dの中心との間の長さ、すなわちコンロッド6の有効長さは図中のL1よりも短いL2となる。すなわち、油圧シリンダ33aから作動油が排出されると、コンロッド6の有効長さが短くなる。なお、このとき、偏心部材32の図6(B)中の矢印方向の回動は、油圧ピストン33bが油圧シリンダ33aの底部に当接することによって停止せしめられる。
図6(B)に示した状態において、内燃機関1のシリンダ内でピストン5が往復動してピストン5に上向きの慣性力が作用すると、油圧ピストン33bは上昇しようとする。しかしながら、流れ方向切換機構35により油圧シリンダ33aへの作動油の流れが禁止されているため、油圧シリンダ33aには作動油が供給されない。このため、油圧シリンダ33a内には負圧が発生し、この負圧によって油圧ピストン33bの位置、ひいては偏心部材32の回動位置が保持される。
本実施形態に係るコンロッド6では、上述したように、流れ方向切換機構35を第一状態と第二状態との間で切り換えることによって、コンロッド6の有効長さをL1とL2との間で切り換えることができる。この結果、コンロッド6を用いた内燃機関1では、機械圧縮比を変更することができる。
<流れ方向切換機構の構成>
次に、図7及び図8を参照して、流れ方向切換機構35の構成について説明する。図7は、流れ方向切換機構35及び逆流防止機構100が設けられた領域を拡大したコンロッド6の側面断面図である。なお、図7では、図7に示した断面以外の断面に形成された油路も参考のために破線で示されている。上述したように、流れ方向切換機構35は、流れ方向切換機構35を介して油圧シリンダ33aに作動油を供給することを許可するが油圧シリンダ33a内の作動油を流れ方向切換機構35を介してコンロッド本体31に形成された排出口37から排出することを禁止する第一状態と、流れ方向切換機構35を介して油圧シリンダ33aに作動油を供給することを禁止するが油圧シリンダ33a内の作動油を流れ方向切換機構35を介して排出口37から排出することを許可する第二状態との間で切り換えられる。
流れ方向切換機構35は、図7に示したように、二つのスプール弁71、72と、一つの逆止弁63とを備える。スプール弁71、72及び逆止弁63はコンロッド本体31内に配置される。より具体的には、スプール弁71、72及び逆止弁63は、コンロッド本体31の軸線X方向において、油圧シリンダ33aとクランク受容開口41との間に配置される。また、逆止弁63は、コンロッド本体31の軸線X方向において、スプール弁71、72よりもクランク受容開口41側に配置される。
さらに、二つのスプール弁71、72は、コンロッド本体31の軸線Xに対して両側に設けられると共に逆止弁63は、軸線X上に設けられる。これにより、コンロッド本体31内にスプール弁71、72及び逆止弁63を設けることによってコンロッド本体31の左右の重量バランスが低下することを抑制することができる。
図8(A)は、図7のA−A線に沿ったコンロッド6の断面図であり、図8(B)は、図7のB−B線に沿ったコンロッド6の断面図である。図8(A)に示すように、スプール弁71、72はそれぞれ切換ピン61、62を有する。二つの切換ピン61、62は、それぞれ円筒状のピン収容空間64、65内に収容される。本実施形態では、ピン収容空間64、65は、その軸線がクランク受容開口41の中心軸線と平行に延びるように形成される。切換ピン61、62は、ピン収容空間64、65内でピン収容空間64、65が延びる方向に摺動可能である。すなわち、切換ピン61、62は、その作動方向がクランク受容開口41の中心軸線に平行になるようにコンロッド本体31内に配置されている。
また、二つのピン収容空間64、65のうち第1切換ピン61を収容する第1ピン収容空間64は、図8(A)に示したように、コンロッド本体31の一方の側面に対して開いていると共にコンロッド本体31の他方の側面に対して閉じているピン収容穴として形成される。加えて、二つのピン収容空間64、65のうち第2切換ピン62を収容する第2ピン収容空間65は、図8(A)に示したように、コンロッド本体31の上記他方の側面に対して開いていると共に上記一方の側面に対して閉じているピン収容穴として形成される。
第1切換ピン61は、その周方向に延びる二つの円周溝61a、61bを有する。これら円周溝61a、61bは、第1切換ピン61内に形成された連通路61cによって互いに連通せしめられる。
第1スプール弁71は、第1付勢バネ67と、第1付勢バネ67を支持する第1支持部材76とを更に有する。第1付勢バネ67は第1ピン収容空間64内に収容される。第1支持部材76は、例えばCリング、Eリング等のスナップリングであり、第1ピン収容空間64に形成された円周溝に配置される。第1切換ピン61は第1付勢バネ67によってクランク受容開口41の中心軸線と平行な方向に付勢される。図8(A)に示した例では、第1切換ピン61は、第1ピン収容空間64の閉じた端部に向かって付勢されている。
第2切換ピン62は、コンロッド本体31の軸線X方向に延びる溝62aと、第2切換ピン62の周方向に延びる円周溝62bとを有する。円周溝62bは、第2切換ピン62内に形成された連通路62cを介して、第2ピン収容空間65の閉じた端部側に連通せしめられる。
第2スプール弁72は、第2付勢バネ68と、第2付勢バネ68を支持する第2支持部材77とを更に有する。第2付勢バネ68は第2ピン収容空間65内に収容される。第2支持部材77は、例えばCリング、Eリング等のスナップリングであり、第2ピン収容空間65に形成された円周溝に配置される。第2切換ピン62は第2付勢バネ68によってクランク受容開口41の中心軸線と平行な方向に付勢される。図8(A)に示した例では、第2切換ピン62は、第2ピン収容空間65の閉じた端部に向かって付勢されている。
この結果、第2切換ピン62は、第1切換ピン61とは逆向きに付勢されている。このため、本実施形態では、第1切換ピン61及び第2切換ピン62に油圧が供給されたときの第1切換ピン61と第2切換ピン62との作動方向は互いに逆向きとなる。
逆止弁63は、円筒状の逆止弁収容空間66内に収容される。本実施形態では、逆止弁収容空間66も、クランク受容開口41の中心軸線と平行に延びるように形成される。逆止弁63は、逆止弁収容空間66内で逆止弁収容空間66が延びる方向に摺動可能である。したがって、逆止弁63は、その作動方向がクランク受容開口41の中心軸線に平行になるようにコンロッド本体31内に配置されている。また、逆止弁収容空間66は、コンロッド本体31の一方の側面に対して開いていると共にコンロッド本体31の他方の側面に対して閉じている逆止弁収容穴として形成される。逆止弁収容空間66の開いた端部はシール材74によって閉じられる。逆止弁63は、一次側(図8(B)において上側)から二次側(図8(B)において下側)への流れを許可するが、二次側から一次側への流れを禁止するように構成される。
第1切換ピン61を収容する第1ピン収容空間64は、二つの空間連通油路51、52を介して逆止弁収容空間66に連通せしめられる。一方の第1空間連通油路51は、図8(A)に示したように、コンロッド本体31の厚さ方向において中央よりも一方の側面側(図8(B)において下側)において、第1ピン収容空間64及び逆止弁収容空間66の二次側に連通せしめられる。他方の第2空間連通油路52は、コンロッド本体31の厚さ方向において中央よりも他方の側面側(図8(B)において上側)において、第1ピン収容空間64及び逆止弁収容空間66の一次側に連通せしめられる。第1ピン収容空間64が連通する油路は、第1ピン収容空間64内での第1切換ピン61の摺動によって第1空間連通油路51と第2空間連通油路52との間で切り換えられる。
また、第2切換ピン62を収容する第2ピン収容空間65は、二つの空間連通油路53、54を介して逆止弁収容空間66に連通せしめられる。一方の第3空間連通油路53は、図8(A)に示したように、コンロッド本体31の厚さ方向において中央よりも一方の側面側(図8(B)において下側)において、第2ピン収容空間65及び逆止弁収容空間66の二次側に連通せしめられる。他方の第4空間連通油路54は、コンロッド本体31の厚さ方向において中央よりも他方の側面側(図8(B)において上側)において、第2ピン収容空間65及び逆止弁収容空間66の一次側に連通せしめられる。第2ピン収容空間65が連通する油路は、第2ピン収容空間65内での第2切換ピン62の摺動によって第3空間連通油路53と第4空間連通油路54との間で切り換えられる。
また、第1ピン収容空間64はピストン連通油路55を介して油圧シリンダ33aに連通せしめられる。図8(A)に示したように、ピストン連通油路55は、コンロッド本体31の厚さ方向中央付近において、第1ピン収容空間64に連通せしめられる。また、ピストン連通油路55は、第1空間連通油路51とピストン連通油路55との間のコンロッド本体厚さ方向の間隔及び第2空間連通油路52とピストン連通油路55との間のコンロッド本体厚さ方向の間隔が、円周溝61a、61b間のコンロッド本体厚さ方向の間隔と等しくなるように配置される。
また、図7及び図8(A)に示したように、コンロッド本体31の厚さ方向及び幅方向において第3空間連通油路53と同じ位置に排出油路56が形成されている。排出油路56は、後述する逆流防止ピン収容空間101を介して排出口37を通してコンロッド本体31の外部と連通する。第2切換ピン62の溝62aは、第2切換ピン62に油圧が供給されていないとき(図8(A))に、第3空間連通油路53及び排出油路56と連通するように形成されている。
上記油路51〜56は、それぞれ、その延長線上にクランク受容開口41が位置するように形成される。このため、クランク受容開口41からドリル等により切削加工を行うことによって油路51〜56を容易に形成することができる。また、油路51〜54は、例えば、ベアリングメタル80によって閉じられる。このため、ベアリングメタル80を用いてコンロッド6をクランクピン22に組み付けるだけで、油路51〜54を閉じるための加工を別途することなく、油路51〜56を閉じることができる。
また、図7及び図8に示したように、コンロッド本体31内には、第1切換ピン61に油圧を供給するための第1制御用油路57と、第2切換ピン62に油圧を供給するための第2制御用油路58とが形成される。第1制御用油路57は、第1付勢バネ67が設けられた端部とは反対側の端部において第1ピン収容空間64に連通せしめられる。第2制御用油路58は、第2付勢バネ68が設けられた端部とは反対側の端部において第2ピン収容空間65に連通せしめられる。これら制御用油路57、58は、クランク受容開口41に連通するように形成されると共に、クランクピン22内に形成された油路(図示せず)を介して外部の油圧供給源に連通される。
外部の油圧供給源から油圧が供給されていないときには、第1切換ピン61及び第2切換ピン62はそれぞれ第1付勢バネ67及び第2付勢バネ68に付勢されて、図8(A)に示したように、ピン収容空間64、65内の閉じられた端部側に位置することになる。一方、外部の油圧供給源から油圧が供給されているときには、第1切換ピン61及び第2切換ピン62はそれぞれ第1付勢バネ67及び第2付勢バネ68による付勢に抗して移動せしめられ、それぞれピン収容空間64、65内の開かれた端部側に位置することになる。
<作動油の供給及び排出による問題点>
上述したように、本実施形態では、流れ方向切換機構35が第一状態にあるときに、コンロッド本体31の外部の油圧供給源から油圧シリンダ33aに作動油が供給される。一方、流れ方向切換機構35が第二状態にあるときに、油圧シリンダ33aからコンロッド本体31の外部に作動油が排出される。このとき、油圧シリンダ33a内の作動油は、大気開放された排出口37からコンロッド本体31の外部に排出される。
油圧シリンダ33a内の作動油が排出された直後には、コンロッド本体31内の油路には、作動油がまだ残っている。この状態では、コンロッド本体31の外部の空気は排出口37からコンロッド本体31内の油路に流入することができない。しかしながら、作動油の排出後、クランクシャフトの回転に伴うコンロッド6の動作によって、コンロッド本体31内の作動油に慣性力が作用する。この結果、コンロッド本体31内の作動油が排出口37から排出され、このことによって空気が排出口37からコンロッド本体31内の油路に流入する。
また、流れ方向切換機構35の逆止弁収容空間66の二次側(図8(B)において下側)から作動油が排出されると、逆止弁63の弁体への付勢力が弱くなり、逆止弁63によるシール性が低下する。この結果、逆止弁収容空間66に流入した空気は、逆止弁63を通過して、逆止弁収容空間66の一次側(図8(B)において上側)から第1ピン収容空間64を通って油圧シリンダ33aに流入する場合がある。
また、以下に説明するように、逆止弁収容空間66の一次側への空気の流入を逆止弁63によって防止することができたとしても、逆止弁収容空間66の二次側に流入した空気は油圧シリンダ33aに流入する可能性がある。第1切換ピン61に油圧が供給されると、第1ピン収容空間64は、第1空間連通油路51、すなわち逆止弁収容空間66の二次側と連通する。この結果、油圧の供給前に逆止弁収容空間66の二次側に流入した空気は油圧の供給後に第1ピン収容空間64を通って油圧シリンダ33aに流入する。
油圧シリンダ33aに空気が流入すると、油圧ピストン33bに下向きの力が加わったときに流入した空気が圧縮することによって油圧ピストン33bの位置が変化し、偏心部材32の回動位置、ひいては内燃機関の機械圧縮比を適切に制御できないおそれがある。このため、油圧シリンダ33aへの空気の流入を抑制すべく、油圧シリンダ33a内の作動油の排出後に排出口37から流れ方向切換機構35に空気が流入することを抑制する必要がある。
<逆流防止機構の構成>
そこで、本実施形態では、可変長コンロッド6は逆流防止機構100を更に備える。以下、図7及び図9を参照して、逆流防止機構100の構成について説明する。図9は、図7のC−C線に沿ったコンロッド6の断面図である。以下に説明するように、逆流防止機構100は、流れ方向切換機構35が第二状態にあるときに、流れ方向切換機構35から排出口37への作動油の移動を許可するが、排出口37から流れ方向切換機構35への流体の移動を禁止する。
逆流防止機構100はコンロッド本体31内に配置される。より具体的には、逆流防止機構100は、コンロッド本体31の軸線X方向において、油圧シリンダ33aと流れ方向切換機構35との間に配置される。また、逆流防止機構100は、コンロッド本体31の軸線Xに対して油圧シリンダ33aの反対側に配置される。この結果、コンロッド本体31内に形成される油路の長さを短くすることができると共に、逆流防止機構100を設けるためにコンロッド本体31の形状を大きくする必要がない。
逆流防止機構100は逆流防止ピン102を備える。逆流防止ピン102は円筒状の逆流防止ピン収容空間101内に収容される。逆流防止ピン収容空間101は、図9に示したように、コンロッド本体31の一方の側面に対して開いていると共にコンロッド本体31の他方の側面に対して閉じているピン収容穴として形成される。本実施形態では、逆流防止ピン102は、その軸線がクランク受容開口41の中心軸線と平行に延びるように形成される。逆流防止ピン102は、逆流防止ピン収容空間101内で逆流防止ピン収容空間101が延びる方向に摺動可能である。すなわち、逆流防止ピン102は、その作動方向がクランク受容開口41の中心軸線に平行になるようにコンロッド本体31内に配置されている。
逆流防止機構100は、第3付勢バネ103と、第3付勢バネ103を支持する第3支持部材104とを更に備える。第3付勢バネ103は逆流防止ピン収容空間101内に収容される。第3支持部材104は、例えばCリング、Eリング等のスナップリングであり、逆流防止ピン収容空間101に形成された円周溝に配置される。逆流防止ピン102は第3付勢バネ103によってクランク受容開口41の中心軸線と平行な方向に付勢されている。図9に示した例では、逆流防止ピン102は、逆流防止ピン収容空間101の閉じた端部(以下、「第1端部101a」と称する)に向かって付勢されている。なお、逆流防止ピン収容空間101の開いた端部はシール材によってシールされてもよい。
図7及び図9に示したように、逆流防止ピン収容空間101は排出油路56及び排出口37と連通する。図9に示したように、逆流防止ピン102は、逆流防止ピン102に作用する油圧が第3付勢バネ103の付勢力よりも低いときには、第1端部101aに当接する。この結果、逆流防止ピン102は排出油路56及び排出口37を閉塞する。したがって、逆流防止機構100は、排出口37から流れ方向切換機構35への空気の流入、ひいては排出口37から作動油の供給油路への空気の流入を抑制することができる。
本実施形態では、逆流防止ピン102は円柱形状を有する。このため、逆流防止ピン102が第3付勢バネ103の付勢力によって第1端部101aと当接すると、逆流防止ピン102の端面が第1端部101aに面接触して排出油路56を閉塞する。言い換えれば、逆流防止ピン102及び第3付勢バネ103は、逆流防止ピン102の端面が、第3付勢バネ103の付勢力によって、流れ方向切換機構35と排出口37とを接続する油路を閉塞するように構成されている。逆流防止ピン102を第1端部101aに面接触させることによって、逆流防止ピン102を第1端部101aに点接触又は線接触させる場合と比べて、逆流防止ピン102によるシール性を高めることができる。なお、逆流防止ピン102は、その端面が第1端部101aに面接触して排出油路56を閉塞するように構成されていれば、多角柱形状のような他の形状を有してもよい。また、逆流防止機構100によるシール性を更に高めるために、排出油路56を閉塞する逆流防止ピン102の端面に追加のシール材が取付けられてもよい。
一方、逆流防止ピン102は、逆流防止ピン102に作用する油圧が第3付勢バネ103の付勢力よりも大きいときには、逆流防止ピン収容空間101の開いた端部側に移動し、第1端部101aから離間される。この結果、排出油路56は逆流防止ピン収容空間101を介して排出口37と連通し、排出口37からの作動油の排出が可能となる。第3付勢バネ103の付勢力は、混合気の燃焼や慣性によりピストン5に下向きの力が作用することで油圧シリンダ33a内の作動油が排出されるときに逆流防止ピン102に作用する油圧よりも小さくなるように設定される。したがって、逆流防止機構100は油圧シリンダ33a内の作動油の排出を可能とする。
<流れ方向切換機構及び逆流防止機構の動作>
次に、図10及び図11を参照して、流れ方向切換機構35及び逆流防止機構100の動作について説明する。図10は、油圧供給源75から切換ピン61、62に油圧が供給されているときの流れ方向切換機構35及び逆流防止機構100の動作を説明する概略図である。また、図11は、油圧供給源75から切換ピン61、62に油圧が供給されていないときの流れ方向切換機構35及び逆流防止機構100の動作を説明する概略図である。
可変長コンロッド6を備える可変圧縮比内燃機関は油圧供給源75及び電子制御ユニット(ECU)40を更に備える。油圧供給源75は第1制御用油路57を介して第1切換ピン61に油圧を供給し且つ第2制御用油路58を介して第2切換ピン62に油圧を供給する。油圧供給源75は、コンロッド本体31の外部に配置され、ECU40によって制御される。したがって、ECU40は、油圧供給源75によって第1切換ピン61及び第2切換ピン62に供給される油圧を制御することができる。なお、図10及び図11では、第1切換ピン61及び第2切換ピン62に油圧を供給する油圧供給源75は別々に描かれているが、本実施形態では同一の油圧供給源から油圧が供給される。
図10に示したように、油圧供給源75から油圧が供給されているときには、切換ピン61、62は、それぞれ、付勢バネ67、68による付勢に抗して移動した第一位置に位置する。この結果、第1切換ピン61の連通路61cを介してピストン連通油路55と第1空間連通油路51とが連通せしめられる。また、第2切換ピン62の連通路62cを介して油圧供給源75と第4空間連通油路54とが連通せしめられる。したがって、油圧シリンダ33aが逆止弁63の二次側に接続され、油圧供給源75が逆止弁63の一次側に接続される。
ここで、逆止弁63は、第2空間連通油路52及び第4空間連通油路54が連通する一次側から第1空間連通油路51及び第3空間連通油路53が連通する二次側への作動油の流れは許可するが、その逆の流れは禁止するように構成される。したがって、図10に示した状態では、第4空間連通油路54から第1空間連通油路51へは作動油が流れるが、その逆には作動油が流れない。この結果、油圧供給源75の作動油は、第2制御用油路58、第4空間連通油路54、第1空間連通油路51、ピストン連通油路55の順に油路を通って油圧シリンダ33aに供給される。
また、油圧供給源75から油圧が供給されているときには、第3空間連通油路53と排出油路56との連通が第2切換ピン62によって遮断される。このため、油圧シリンダ33aに供給された作動油は、油圧シリンダ33aから排出されない。
したがって、油圧供給源75から油圧が供給されているときには、流れ方向切換機構35は、流れ方向切換機構35を介して油圧シリンダ33aに作動油を供給することを許可するが油圧シリンダ33a内の作動油を流れ方向切換機構35を介して排出口37から排出することを禁止する第一状態にある。この結果、上述したように、油圧ピストン33bが上昇するため、コンロッド6の有効長さが図6(A)にL1で示したように長くなる。なお、このときの油圧ピストン33bの上昇は、油圧供給源75から供給される作動油の油圧だけでなく、内燃機関1のシリンダ内でピストン5が往復動してピストン5に上向きの慣性力が作用することによっても行われる。
また、流れ方向切換機構35が第一状態にあるときには、油圧シリンダ33a内の作動油が排出油路56に排出されないため、逆流防止ピン102に作用する油圧は第3付勢バネ103の付勢力よりも小さい。このため、逆流防止ピン102は、排出油路56及び排出口37を閉塞し、排出油路56と排出口37との連通を遮断する。したがって、逆流防止機構100は、流れ方向切換機構35が第一状態にあるときに、排出口37から流れ方向切換機構35への流体の移動を禁止する。
一方、図11に示したように、油圧供給源75から油圧が供給されていないときには、切換ピン61、62は、それぞれ、付勢バネ67、68によって付勢された第二位置に位置する。この結果、第1切換ピン61の連通路61cを介してピストン連通油路55と第2空間連通油路52とが連通せしめられる。また、第2切換ピン62の溝62aを介して第3空間連通油路53と排出油路56とが連通せしめられる。したがって、油圧シリンダ33aが逆止弁63の一次側に接続され、排出油路56が逆止弁63の二次側に接続される。
上述した逆止弁63の作用により、図11に示した状態では、油圧シリンダ33a内の作動油は、ピストン連通油路55、第2空間連通油路52、第3空間連通油路53、排出油路56の順に油路を通って逆流防止機構100に流入する。このとき、逆流防止ピン102に作用する油圧は第3付勢バネ103の付勢力よりも大きい。このため、逆流防止ピン102は、逆流防止ピン収容空間101の開いた端部側に移動し、排出油路56及び排出口37を開放する。したがって、逆流防止ピン102の移動によって排出油路56と排出口37とが連通し、作動油が排出口37からコンロッド本体31の外部に排出される。一方、逆止弁63の作用により、排出油路56側から油圧シリンダ33aには作動油が供給されない。
したがって、油圧供給源75から油圧が供給されていないときには、流れ方向切換機構35は、流れ方向切換機構35を介して油圧シリンダ33aに作動油を供給することを禁止するが油圧シリンダ33a内の作動油を流れ方向切換機構35を介して排出口37から排出することを許可する第二状態にある。この結果、上述したように、油圧ピストン33bが下降するため、コンロッド6の有効長さが図6(B)にL2で示したように短くなる。なお、このときの油圧ピストン33bの下降は、混合気の燃焼によりピストン5に下向きの力が作用することや、内燃機関1のシリンダ内でピストン5が往復動してピストン5に下向きの慣性力が作用することによって行われる。
流れ方向切換機構35が第二状態にあるとき、油圧ピストン33bが油圧シリンダ33aの底部に当接すると、油圧シリンダ33a内の作動油の排出が終了する。作動油の排出が終了すると、逆流防止ピン102に作用する油圧は第3付勢バネ103の付勢力よりも小さくなる。この結果、逆流防止ピン102は、逆流防止ピン収容空間101の第1端部101a側に移動して、排出油路56及び排出口37を閉塞する。逆流防止ピン102の移動によって排出油路56と排出口37との連通が遮断され、排出口37から流れ方向切換機構35への流体の移動が禁止される。したがって、逆流防止機構100は、流れ方向切換機構35が第二状態にあるときに、流れ方向切換機構35から排出口37への作動油の移動を許可するが排出口37から流れ方向切換機構35への流体の移動を禁止する。したがって、本実施形態の可変長コンロッド6では、作動油の排出口37から作動油の供給油路への空気の流入を抑制することができる。
ところで、コンロッド本体31は、クランクシャフトの回転に伴って、クランク受容開口41の中心軸線に対して主に垂直な方向に運動する。このため、逆流防止ピン102には、クランク受容開口41の中心軸線に対して垂直な方向に大きな慣性力が作用する。これに対して、本実施形態では、逆流防止ピン102は流れ方向切換機構35から排出口37への作動油の移動を許可するときにクランク受容開口41の軸線と平行に移動するよう構成されている。このため、逆流防止ピン102に作用する慣性力を小さくすることができ、逆流防止ピン102の誤作動によって排出口37から流れ方向切換機構35に空気が流入することを抑制することができる。
なお、第一実施形態において、流れ方向切換機構35が第二状態にあるときに、第1切換ピン61及び第2切換ピン62の作動位置が切り換わらない程度の油圧が油圧供給源75から供給されてもよい。
<第二実施形態>
次に、図12〜図20を参照して、本発明の第二実施形態に係る可変長コンロッド6’について説明する。第二実施形態に係る可変長コンロッド6’の構成及び動作は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態に係る可変長コンロッド6の構成及び動作と同様である。
<可変長コンロッドの構成>
図12は、第二実施形態に係る可変長コンロッド6’を概略的に示す、図2と同様な斜視図である。図13は、第二実施形態に係る可変長コンロッド6’を概略的に示す、図3と同様な側面断面図である。図14は、流れ方向切換機構35が設けられた領域を拡大した、図7と同様なコンロッド6’の側面断面図である。図15(A)は、図14のD−D線に沿った、図8(A)と同様なコンロッド6’の断面図である。図15(B)は、図14のE−E線に沿った、図8(B)と同様なコンロッド6’の断面図である。図16は、図14のF−F線に沿った、図9と同様なコンロッドの断面図である。
図12及び図13に示したように、本実施形態の可変長コンロッド6’は、コンロッド本体31の外部(例えば油圧供給源75)から供給される油圧によって偏心部材32の一方への回動(図13における時計回りの回動)の停止位置を二段階に切り換えるように構成された停止装置を更に備える。
停止装置36は、コンロッド本体31内に形成された停止シリンダ81と、この停止シリンダ81内で摺動可能である停止部材82とを具備する。図13に示した例では、停止シリンダ81及び停止部材82は、その軸線がコンロッド本体31の幅方向に延びるように配置される。しかしながら、これら停止シリンダ81及び停止部材82は、コンロッド本体31の幅方向に対して多少の角度を持って配置されてもよい。
停止部材82は、偏心部材32の第2アーム32c側においてコンロッド本体31から少なくとも部分的に突出した突出位置と、コンロッド本体31内に(すなわち、停止シリンダ81内に)少なくともそのほとんどが収容された引込み位置との間で摺動可能である。停止部材82は、突出位置及び引込み位置の両方の位置において偏心部材32の第2アーム32cに当接するように配置される。
停止装置36は、停止部材82を引込み位置へと付勢する第4付勢バネ83を具備する。また、停止装置36の停止シリンダ81は、油圧供給油路59を介して、第2ピン収容空間65に連通せしめられる。油圧供給油路59は、図15(A)に示したように、第2ピン収容空間65に第2制御用油路58が連結されている側の端部において、第2ピン収容空間65に連通せしめられる。なお、油圧供給油路59も、クランク受容開口41からドリル等によって切削加工を行うことで形成される。したがって、図14に示したように、油圧供給油路59もクランク受容開口41まで延び、ベアリングメタル80によって閉じられる。
このように構成された停止装置36では、油圧供給油路59を介して停止シリンダ81に所定以上の高い油圧が供給されていないときには、第4付勢バネ83の作用により停止部材82が引込み位置に引き込まれる。一方、油圧供給油路59を介して停止シリンダ81に所定以上の高い油圧が供給されているときには、停止シリンダ81に供給された作動油の作用により、停止部材82が突出位置に移動せしめられる。
次に、図17を参照して、このように構成された偏心部材32、ピストン機構33及び停止装置36の動作について説明する。図17(A)は、流れ方向切換機構35が第一状態にあり且つ停止部材82が引込み位置にある状態を示している。図17(B)は、流れ方向切換機構35が第一状態にあり且つ停止部材82が突出位置にある状態を示している。図17(C)は、流れ方向切換機構35が第二状態にあり且つ停止部材82が引込み位置にある状態を示している。
まず、流れ方向切換機構35が第一状態にあると、図17(A)及び図17(B)に示したように、油圧シリンダ33aには作動油が供給されることになる。このため、図6(A)に示した場合と同様に、油圧ピストン33bは上昇し、油圧ピストン33bに連結された偏心部材32の第1アーム32bも上昇する。
このとき、停止装置36に停止部材82を移動させるだけの油圧が供給されていなければ、停止部材82は引込み位置に配置される。この結果、図17(A)に示したように、偏心部材32は図中の矢印の方向に最も回動された位置まで回動せしめられる。これにより、ピストンピン受容開口32dの位置は最も上昇する。したがって、クランク受容開口41の中心とピストンピン受容開口32dの中心との間の長さ、すなわちコンロッド6’の有効長さが長くなり、図中のL1となる。
一方、流れ方向切換機構35が第一状態にあり、このとき停止装置36に停止部材82を移動させるだけの油圧が供給されていると、停止部材82は突出位置に配置される。この結果、図17(B)に矢印で示した方向への偏心部材32の回動角度は、図17(A)に示した状態よりも僅かに小さくなる。これにより、ピストンピン受容開口32dの位置は最も上昇した位置よりも下降せしめられる。したがって、図17(A)に示した状態よりも、コンロッド6’の有効長さが短くなり、図中のL2となる。
一方、流れ方向切換機構35が第二状態にあると、図17(C)に示したように、油圧シリンダ33aから作動油が排出される。このため、図6(B)に示した場合と同様に、油圧ピストン33bは下降し、油圧ピストン33bに連結された偏心部材32の第1アーム32bも下降する。この結果、図17(C)に示したように、偏心部材32は、図中の矢印の方向に最も回動された位置まで回動せしめられる。これにより、ピストンピン受容開口32dの位置は最も下降する。したがって、コンロッド6’の有効長さが短くなり、図中のL3となる。
したがって、本実施形態によれば、流れ方向切換機構35が第一状態にあるときに停止装置36の停止部材82を突出位置に配置させることにより、偏心部材32を一方側に最も回動された第一位置(図15(A))とこれとは反対側に最も回動された第二位置(図15(C))との間の中間位置(図15(B))で停止させることができる。この結果、コンロッド6’の有効長さをL1、L2及びL3の三段階で変更することができ、よって内燃機関1の機械圧縮比を三段階で変更することができるようになる。
<流れ方向切換機構、逆流防止機構及び停止装置の動作>
次に、図18〜図20を参照して、流れ方向切換機構35、逆流防止機構100及び停止装置36の動作について説明する。ここで、本実施形態では、流れ方向切換機構35の第1切換ピン61、第2切換ピン62及び停止部材82には同一の油圧供給源75から作動油が供給される。よってこれら第1切換ピン61、第2切換ピン62及び停止部材82に供給される作動油の圧力はほぼ同一となる。
ここで、第1切換ピン61及び第2切換ピン62の作動位置が切り換わる作動油の圧力、すなわち流れ方向切換機構35が第一状態と第二状態との間で切り換わる作動油の圧力を第一閾値とする。この第一閾値は、切換ピン61、62の断面積(又はピン収容空間64、65の断面積)及び付勢バネ67、68の弾性係数等に応じて変化する。同様に、停止部材82の作動位置が突出位置と引込み位置との間で切り換わる圧力を第二閾値とする。この第二閾値は、停止部材82の断面積(又は停止シリンダ81の断面積)及び第4付勢バネ83の弾性係数等に応じて変化する。本実施形態では、第一閾値は、第二閾値よりも小さい値とされる。したがって、油圧供給源75から供給される作動油の圧力を上昇させていくと、最初に第1切換ピン61及び第2切換ピン62の作動位置が切り換わり、流れ方向切換機構35が第二状態から第一状態に変化する。その後、油圧供給源75から供給される作動油の圧力を更に上昇させていくと、停止部材82が引込み位置から突出位置へと移動する。
また、本実施形態では、可変長コンロッド6’は油圧切換機構90を更に備える。油圧切換機構90は油圧供給源75と制御用油路57、58との間に配置される。油圧切換機構90は、油圧供給源75に連通する三方弁91と、三方弁91に連通する三つの油路92〜94とを備える。油圧供給源75及び三方弁91はECU40によって制御される。
三つの油路92〜94には、それぞれリリーフ弁が設けられており、これらリリーフ弁の解放圧は互いに異なるものとなっている。図18に示した例では、油路92に設けられたリリーフ弁の解放圧P1、油路93に設けられたリリーフ弁の解放圧P2、油路94に設けられたリリーフ弁の解放圧P3の順に解放圧が低くなる(P1>P2>P3)。加えて、油路92と油路93との間には油路93内の圧力が高くなると解放されるリリーフ弁が設けられ、油路93と油路94との間には油路94内の圧力が高くなると解放されるリリーフ弁が設けられる。これら油路間に設けられたリリーフ弁の解放圧P4は油路94に設けられたリリーフ弁の解放圧P3よりも低く設定される。加えて、油路92が制御用油路57、58に連通する。
このように構成された油圧切換機構90では、三方弁91により油圧供給源75が油路93に連通しているときに制御用油路57、58に供給される油圧は中程度となる。本実施形態では、このときの油圧は第一閾値よりも高く第二閾値よりも低い圧力とされる。このときの油圧が第一閾値よりも高いため、図18に示したように、切換ピン61、62は、それぞれ、付勢バネ67、68による付勢に抗して移動した第一位置に位置する。この結果、図10に示した例と同様に、流れ方向切換機構35は、流れ方向切換機構35を介して油圧シリンダ33aに作動油を供給することを許可するが油圧シリンダ33a内の作動油を流れ方向切換機構35を介してコンロッド本体31に形成された排出口37から排出することを禁止する第一状態にある。このため、油圧ピストン33bが上昇する。一方、このときの油圧が第二閾値よりも低いため、図18に示したように停止部材82は引込み位置とされる。このため、油圧供給源75から中程度の油圧が供給されているときにはコンロッド6’の有効長さが図17(A)にL1で示したように最も長くなる。なお、このとき、逆流防止機構100は排出口37から流れ方向切換機構35への流体の移動を禁止する。
一方、図19に示したように、油圧切換機構90において三方弁91により油圧供給源75が油路92に連通しているときに制御用油路57、58に供給される油圧は高くなる。本実施形態では、このときの油圧は第二閾値よりも高い圧力とされる。したがって、このときの油圧が第一閾値よりも高いため、図18に示した状態と同様に、切換ピン61、62は、それぞれ、付勢バネ67、68による付勢に抗して移動した第一位置に位置する。この結果、流れ方向切換機構35は第一状態にあり、油圧ピストン33bが上昇する。一方、このときの油圧が第二閾値よりも高いため、図19に示したように停止部材82は突出位置とされる。このため、油圧供給源75から高い油圧が供給されているときにはコンロッド6’の有効長さが図17(B)にL2で示した中程度の長さとなる。なお、このとき、逆流防止機構100は排出口37から流れ方向切換機構35への流体の移動を禁止する。
他方、図20に示したように、油圧切換機構90において三方弁91により油圧供給源75が油路94に連通しているときに制御用油路57、58に供給される油圧は低くなる。本実施形態では、このときの油圧は第一閾値よりも低い圧力とされる。したがって、このときの油圧が第一閾値よりも低いため、図20に示したように、切換ピン61、62は、それぞれ、付勢バネ67、68によって付勢された第二位置に位置する。この結果、図11に示した例と同様に、流れ方向切換機構35は、流れ方向切換機構35を介して油圧シリンダ33aに作動油を供給することを禁止するが油圧シリンダ33a内の作動油を流れ方向切換機構35を介して排出口37から排出することを許可する第二状態にある。この結果、油圧ピストン33bが下降する。なお、このときの油圧が第二閾値よりも低いため、図20に示したように停止部材82は引込み位置とされる。この結果、油圧供給源75から供給される油圧が低いとき或いは油圧が供給されていないときにはコンロッド6’の有効長さが図17(C)にL3で示したように最も短くなる。なお、このとき、逆流防止機構100は流れ方向切換機構35から排出口37への作動油の移動を許可するが排出口37から流れ方向切換機構35への流体の移動を禁止する。
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。例えば、可変長コンロッドは、油圧シリンダに供給される作動油がコンロッド本体の外部に排出されるように構成されていれば、二つのピストン機構を備えていてもよい。
なお、二つのピストン機構を備えた可変長コンロッドの構成の例について、図21を参照して簡単に説明する。図21に示した例では、流れ方向切換機構35’は、二つの逆止弁63’a、63’bと二つのスプール弁71’、72’とを備える。第一ピストン機構33’に連通した第一油路60aと第二ピストン機構34に連通した第二油路60bとは、共に第一スプール弁71’に連通する。第一スプール弁71’は油圧供給源75に接続され、第一スプール弁71’を切り替えることで、油圧供給源Zから供給される油圧の供給先が第一油路60aと第二油路60bとの間で切り替えられる。
第一油路60aと第二油路60bにはそれぞれ逆止弁63’a、63’bが設けられる。これら逆止弁63’a、63’bは、第一スプール弁71’からピストン機構33’、34への作動油の移動は許可するがピストン機構33’、34から第一スプール弁71’への作動油の移動は禁止するように構成される。第一ピストン機構33’と第一逆止弁63’aとの間の第一油路60a及び第二ピストン機構34と第二逆止弁63’bとの間の第二油路60bからはそれぞれ第三油路60c及び第四油路60dが分岐し、これら第三油路60c及び第四油路60dは共に第二スプール弁72’に連通する。第二スプール弁72’は排出油路56及び逆流防止機構100を介して排出口37に連通する。第二スプール弁72’は油圧供給源75に接続され、第二スプール弁72’を切り替えることで排出油路56との接続先が第三油路60cと第四油路60dとの間で切り替えられる。
第一スプール弁71’及び第二スプール弁72’に油圧が供給されると、第一スプール弁71’により油圧供給源75と第一油路60aとが連通し、第二スプール弁72’により第四油路60dと排出油路56とが連通する。これにより第一ピストン機構33’には作動油が供給されると共に第二ピストン機構34からは作動油が排出される。このとき、流れ方向切換機構35’は、流れ方向切換機構35’を介して第一ピストン機構33’の油圧シリンダに作動油を供給することを許可するがこの油圧シリンダ内の作動油を流れ方向切換機構35’を介して排出口37から排出することを禁止しているといえる。
一方、第一スプール弁71’及び第二スプール弁72’への油圧供給が停止されると、第一スプール弁71’により油圧供給源75と第二油路60bとが連通し、第二スプール弁72’により第三油路60cと排出油路56とが連通する。これにより、第二ピストン機構34には作動油が供給されると共に第一ピストン機構33’からは作動油が排出される。このとき、流れ方向切換機構35’は、流れ方向切換機構35’を介して第一ピストン機構33’の油圧シリンダに作動油を供給することを禁止するがこの油圧シリンダ内の作動油を流れ方向切換機構35’を介して排出口37から排出することを許可しているといえる。
1 内燃機関
6、6’ コンロッド
21 ピストンピン
22 クランクピン
31 コンロッド本体
32 偏心部材
33 ピストン機構
33a 油圧シリンダ
33b 油圧ピストン
35 流れ方向切換機構
37 排出口
51 第1空間連通油路
52 第2空間連通油路
53 第3空間連通油路
54 第4空間連通油路
55 ピストン連通油路
56 排出油路
57 第1制御用油路
58 第2制御用油路
59 油圧供給油路
61 第1切換ピン
62 第2切換ピン
63 逆止弁
100 逆流防止機構
102 逆流防止ピン

Claims (8)

  1. クランクピンを受容するクランク受容開口が設けられたコンロッド本体と、
    ピストンピンを受容するピストンピン受容開口が設けられると共に、該ピストンピン受容開口の中心と前記クランク受容開口の中心との間の長さを変化させるように前記コンロッド本体に回動可能に取り付けられた偏心部材と、
    前記コンロッド本体に形成されると共に作動油が供給される油圧シリンダと、該油圧シリンダへの作動油の供給及び該油圧シリンダからの作動油の排出によって該油圧シリンダ内で摺動し且つ前記偏心部材と連動する油圧ピストンとを有するピストン機構と、
    前記コンロッド本体内に配置される流れ方向切換機構であって、該流れ方向切換機構を介して前記油圧シリンダに作動油を供給することを許可するが前記油圧シリンダ内の作動油を該流れ方向切換機構を介して前記コンロッド本体に形成された排出口から排出することを禁止する第一状態と、該流れ方向切換機構を介して前記油圧シリンダに作動油を供給することを禁止するが前記油圧シリンダ内の作動油を該流れ方向切換機構を介して前記排出口から排出することを許可する第二状態との間で切り換えられるように構成された流れ方向切換機構と、
    前記コンロッド本体内に配置されると共に、前記流れ方向切換機構が第二状態にあるときに前記流れ方向切換機構から前記排出口への作動油の移動を許可するが該排出口から前記流れ方向切換機構への流体の移動を禁止するように構成された逆流防止機構と
    を備える、可変長コンロッド。
  2. 前記ピストン機構の数が一つである、請求項1に記載の可変長コンロッド。
  3. 前記逆流防止機構は逆流防止ピンを備え、該逆流防止ピンは前記流れ方向切換機構から前記排出口への作動油の移動を許可するときに前記クランク受容開口の軸線と平行に移動するよう構成される、請求項1又は2に記載の可変長コンロッド。
  4. 前記逆流防止機構は付勢バネを更に備え、前記逆流防止ピン及び付勢バネは、該逆流防止ピンの端面が、該付勢バネの付勢力によって、前記流れ方向切換機構と前記排出口とを接続する油路を閉塞するように構成される、請求項3に記載の可変長コンロッド。
  5. 前記流れ方向切換機構は前記コンロッド本体の軸線方向において前記油圧シリンダと前記クランク受容開口との間に配置され、前記逆流防止機構は前記コンロッド本体の軸線方向において前記油圧シリンダと前記流れ方向切換機構との間に配置される、請求項1から4のいずれか1項に記載の可変長コンロッド。
  6. 前記流れ方向切換機構は、前記コンロッド本体の外部から供給される油圧によって前記第一状態と前記第二状態とを切り換えるように構成された切換ピンを備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の可変長コンロッド。
  7. 前記コンロッド本体の外部から供給される油圧によって前記偏心部材の一方への回動の停止位置を二段階に切り換えるように構成された停止装置を更に備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の可変長コンロッド。
  8. 機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比内燃機関であって、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の可変長コンロッドを備え、該可変長コンロッドによって前記ピストンピン受容開口の中心と前記クランク受容開口の中心との間の長さを変更することにより機械圧縮比が変更される、可変圧縮比内燃機関。
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