JP6318121B2 - 重合性モノマー、およびその重合体 - Google Patents

重合性モノマー、およびその重合体 Download PDF

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Description

本発明は重合性モノマー及びその製造方法に関する。詳細には、シロキサニル基及びビニルエーテル基を有する化合物であり、分子構造中にエチレンオキサイド構造及びエステル結合を有する化合物及びその製造方法、並びに該化合物を重合成分として含む重合体に関する。
ビニルエーテル化合物は、電子供与性の置換基を有する重合性モノマーである。ビニルエーテル化合物を重合成分として含む重合体は、接着剤、塗料、潤滑剤、エラストマー、グリースなどに用いられる。そのためビニルエーテル化合物は有用なモノマーの一つである。更に、そのビニルエーテルと異なる種類のモノマーの共重合体は、該ビニルエーテルの性質にもう一方のモノマーの異なる性質を付与できるため、高分子界面活性剤、熱可塑性エラストマー、塗料、接着剤、リソグラフィーのテンプレート剤等として利用可能である。該ビニルエーテルは、プロトン酸あるいはルイス酸によるカチオン重合が可能である。また、光開裂酸を開始剤とするエネルギー線によるカチオン重合も知られている。
特に、ビニルエーテル基とシリコーン構造を有するビニルエーテル官能性シリコーンは、短時間のエネルギー線照射により容易に硬化することができ、可撓性シート材料への薄膜コーティング材料として有用である。
特許文献1には、過剰量のジビニルエーテル或いはトリビニルエーテルとハイドロジェンシロキサンとの付加反応により、ビニルエーテル官能性シリコーンを得る方法が記載されている。該方法では多官能ビニル化合物と多ハイドロジェンシロキサンとを反応させているため、シロキサン鎖間をビニル化合物で架橋してしまう反応を避けることはできず、予期せぬ高分子量体が生成してしまう。また、シロキサンは分布を有しており、高純度ではない。
特許文献2には、カチオン重合性シリコーン化合物が記載されている。シリコーンのケイ素原子に結合する基として2−ビニロキシエチル基、3−ビニロキシプロピル基、2−ビニロキシエトキシ基、4−ビニロキシブトキシ基等のビニルエーテル基を含有する基が例示されている。特許文献2に記載の化合物はシロキサンの分子量分布を制限しておらず、高純度でない。
特許文献3には、下記式で表される化合物が記載されている。しかし、該化合物はビニルエーテル基を有さないのでカチオン重合反応が進行しない。従ってビニルエーテル化合物と重合するには適さない。
Figure 0006318121
特開平6−345872号公報 特開2001−348482号公報 特開2014−31338号公報
上記特許文献1及び2に記載される化合物は、シロキサニル構造に隣接する基がエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドである。該構造の化合物は、エチルビニルエーテルなどの他のビニルエーテルモノマー、特には非シリコーン系モノマー、オニウム塩等の光開裂性酸、多環芳香族化合物等の光増感剤との相溶性が不十分である。
本発明は、他のビニルエーテルモノマー、特には非シリコーン系モノマー、カチオン重合触媒、光開裂性酸、および増感剤に対して相溶性が良好な重合性モノマーであり、均一系で速やかな重合反応を行うことができ、高分子量のポリマーを製造できる重合性モノマー、及びその製造方法を提供することを目的とする。さらには高純度を有する重合性モノマーを提供することを目的とする。
特許文献3は、片末端ハイドロシロキサンとアリロキシエチルメタクリレートを付加反応させることにより上記化合物を製造する方法を記載している。この製造方法において付加反応はアリロキシ基に選択的に生じるため、末端にメタクリル基を有し分子構造中にプロピレンオキサイドを有する化合物が得られる。
本発明者らは、片末端ハイドロシロキサンと、末端にビニルエーテル基を有し他方の末端にアクリル基を有するエチレンオキサイド化合物とを反応させることにより、ヒドロシリル基がアクリル基と選択的に付加反応し、末端にビニルエーテル基を有し、分子構造中にエチレンオキサイド構造及びエステル結合(アクリル酸残基)を有する化合物が得られることを見出した。さらに、該化合物は上記課題を達成できることを見出し、本発明を成すに至った。
即ち、本発明は、下記式(1)で表される化合物を提供する。
Figure 0006318121
(式(1)において、kは2または3であり、nは1〜2の整数であり、R1およびRは、互いに独立に、炭素数1〜4のアルキル基である)
また、本発明は、上記式(1)で表される化合物を製造する方法であって、
下記式(2)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンと、
Figure 0006318121
(k、RおよびRは上述のとおりである)
下記式(3)で表される化合物とを、
Figure 0006318121
(nは上述のとおりである)
付加反応させる工程を含む、製造方法を提供する。
さらに、本発明は、上記化合物を重合成分として含む重合体に関する。
本発明の化合物は、他のビニルエーテルモノマー、カチオン重合触媒、光開裂性酸、および増感剤に対する相溶性が良好である。また本発明の化合物とビニルエーテルモノマーを反応して得られる生成物は溶媒溶解性に優れる。そのため、均一系で速やかな重合反応を行うことができ、高分子量のポリマーを製造できる。また、本発明の製造方法によれば高純度を有するシリコーン化合物を与えることができる。
本発明のシリコーン化合物は上記式(1)で表され、所定個数のケイ素原子を含有するシロキサニル基を有し、末端にビニルエーテル基を有し、該シロキサニル基と該ビニルエーテル基とのスペーサーとして、エチレンオキサイド構造とエステル構造を有することを特徴とする。すなわち、シロキサニルに隣接してアクリル酸残基を分子構造中に有することを特徴とする。シロキサニル基に隣接するアクリル酸残基及びエチレンオキサイド構造を分子構造中に有することにより、該化合物は、他のビニルエーテルモノマー、カチオン重合触媒、光開裂性酸、および増感剤に対して相溶性が良好となる。該化合物を重合反応に供することにより、生成したポリマーは溶媒溶解性に優れ、均一系で速やかな重合反応を行うことができる。これにより、重合度の高い重合体を提供することができる。
上記式(1)において、kは2または3である。kが0または1では得られる重合体に耐熱性、防汚性等を十分に付与できない。
上記式(1)において、nは1〜2の整数である。nが0であると化合物の極性が低くなり、他の成分との相溶性を効果的に向上できなくなる。nが上記上限を超えては、得られる重合体の耐熱性、耐加水分解性、及び耐酸化性等の化学的安定性が低くなる。
上記式(1)において、RおよびRは互いに独立に炭素数1〜4のアルキル基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基が挙げられ、好ましくはメチル基である。
本発明は、後述する方法により、上記式(1)で表され、特定の一のk、n、R1、及びRを有する1種類の化合物を高純度で有する化合物を提供することができる。本発明において高純度とは、前記特定の一の構造を有する1種類が、化合物の質量全体のうち95質量%超、好ましくは97質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上を成すことである。本発明において、純度はガスクロマトグラフィー(以下「GC」とする)分析により求められる。詳細な条件は後述する。化合物が上記高純度を有することにより、エチルビニルエーテル等の非シリコーン系モノマーと混合したときに、濁りを生じず透明な重合体を得ることができる。透明なポリマーを得られることにより、光学的な用途に対し好適に使用することができる。純度が95質量%未満、例えば、異なるkを有する化合物が5質量%超存在すると、本発明の化合物を非シリコーン系モノマーと混合したときに濁りを生じ、透明なポリマーが得られない場合がある。
本発明はさらに、上記式(1)で示される化合物の製造方法を提供する。
本発明の製造方法は、下記式(2)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンと、
Figure 0006318121
(k、R及びRは上述のとおりである)
下記式(3)で表される化合物とを、
Figure 0006318121
(nは上述のとおりである)
付加反応させる工程を含む。
本発明の製造方法は、上記式(3)で表される化合物が一方の末端にビニルエーテル基を有し他方の末端にアクリル基を有することを特徴とする。これにより、上記式(2)で表される化合物のヒドロシリル基が式(3)化合物のアクリル基と選択的に反応する。従って、末端にビニルエーテル基を有し、分子構造中にエステル結合(アクリル酸残基)を有する、上記式(1)で表される化合物を得ることができる。上記式(3)におけるアクリル基がメタクリル基であると、ヒドロシリル基はメタクリル基でなくビニル基と選択的に反応するため、分子構造中にエステル結合(メタクリル酸残基)を有する化合物は得られない。
該付加反応は従来公知の方法に従えばよい。例えば、白金族化合物等の付加反応触媒の存在下で行う。その際、溶剤を使用してもよく、例えばヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン等の脂肪族、芳香族系溶剤、エタノール、IPA等のアルコール系溶剤が好適に使用出来る。オルガノハイドロジェンシロキサン1モルに対し式(3)で表される化合物を1.2モル以上、好ましくは1.5モル以上となる量比で使用するのがよい。上限は特に制限されないが、通常5モル以下、特には3モル以下である。上記式(3)で表される化合物は、ビニルアルコールと酸ハライド等との反応等、公知の方法で製造できる。
上記式(3)で表される化合物としては、好ましくは、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006318121
Figure 0006318121
好ましい態様としては、例えば、式(3)で表される化合物を必要に応じて溶剤で希釈し、そこへ白金系ヒドロシリル化触媒を添加する。白金系ヒドロシリル化触媒の種類は特に制限されず、従来公知のものが使用できる。さらに、室温もしくはそれ以上の温度でオルガノハイドロジェンシロキサンを滴下して反応させる。滴下終了後、加温下で熟成した後、原料オルガノハイドロジェンシロキサンの有無を、例えばGC測定においてピークが消失したことで確認する。反応終点をGC測定により確認することにより、オルガノハイドロジェンシロキサンが生成物中に残存しないため高純度のシリコーン化合物を得ることができる。尚、上記反応は一括で行っても良い。
付加反応終了後に、反応液から過剰の式(3)で表される化合物を除去する。該方法としては、減圧下ストリップ、または、イオン交換水もしくはぼう硝水で反応物を水洗して式(3)で表される化合物を水層へ抽出し除去する方法が挙げられる。この際、良好な2層分離を得る為に、トルエン、ヘキサン等の溶剤を適当量使用するのが好ましい。特には、反応物から式(3)で表される化合物を減圧ストリップすることで、上記式(1)のシリコーン化合物を、95質量%超、更には約97質量%以上、さらには99質量%以上の高純度で得ることができる。
上記式(2)で示されるオルガノハイドロジェンシロキサンは、公知の方法で作ることができるし、市販品を使用することもできる。
本発明の化合物は、ビニル基など、上記化合物と重合する基を有する他の化合物(以下、重合性モノマーという)との相溶性が良好である。特には、従来のシリコーンモノマーと比較して、非シリコーン系化合物との相溶性が良好である。そのため、他の重合性モノマーと共重合することにより無色透明の共重合体を与えることができる。また上述の通り、本発明の化合物は、耐熱性、耐加水分解性、及び防汚性等をより向上した重合体を与えることができる。本発明の化合物と他の重合性モノマーとから導かれる繰返し単位を含む共重合体の製造において、本発明の化合物の配合割合は特に制限されるものでない。例えば、本発明の化合物と重合性モノマーとの合計100質量部に対して本発明のシリコーン化合物を好ましくは1〜50質量部、より好ましくは2〜30質量部となる量で重合させることができる。
他の重合性モノマーは、特にはビニル基を有する化合物である。例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メチルプロペニルエーテル、エチルプロペニルエーテル、ブチルプロペニルエーテル、メチルブテニルエーテル、エチルブテニルエーテルなどのビニルエーテル化合物;N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピペリドン、N−ビニルカルバゾールなどのN−ビニル化合物;p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、α−メチル−p−メトキシスチレン、α−メチル−m−メトキシスチレンなどのスチレン化合物;が挙げられる。
また、多官能ビニルエーテル化合物と重合させることもできる。例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
本発明のモノマーと上記他のモノマーとの共重合は従来公知の方法により行えばよい。例えば、カチオン重合触媒を用いて行うことが好ましい。カチオン重合触媒としては、通常はプロトン酸またはルイス酸を使用できる。例えば塩酸、硫酸、過塩素酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、クロロスルホン酸、フルオロスルホン酸などのプロトン酸;三フッ化ホウ素(BF)、塩化アルミニウム(AlCl)、四塩化チタン(TiCl)、塩化第二スズ(SnCl)および塩化第二鉄(FeCl)などのルイス酸などが挙げられる。
カチオン重合触媒の使用量は特に制限されるものでない。通常、カチオン重合しうるモノマー成分の合計質量に対して0.00001〜0.1モル%量の範囲である。
カチオン重合方法は溶媒存在下で行うことができる。該溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)などのエーテル系溶媒;トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒などが挙げられる。
カチオン重合の反応温度は従来公知の方法に従い適宜選択されればよい。通常、カチオン重合に用いるモノマーの融点から沸点の範囲の温度で行い、−55℃〜105℃の範囲である。一般的にカチオン重合反応では、ポリマーの成長反応に比べてカチオン重合末端活性種の連鎖移動や停止反応の活性化エネルギーが大きいので、低温で重合を行うほど連鎖移動や停止反応などの副反応を抑制することができ、生成するポリマーの分子量が増大する。従って、高分子量ポリマーを合成する際には、反応温度は室温以下、好ましくは0℃以下で行われる。
また、光開裂酸を開始剤とするエネルギー線によるカチオン重合により重合することもできる。光開裂酸としてはオニウム塩構造を有する光カチオン重合開始剤がある。例えば、下記一般式(4)で表されるオニウム塩が好ましい。
(R・Y (4)
上記式中、R は互いに独立に、置換又は非置換の、芳香環炭素原子がEに直接結合している芳香族炭素環式基及び芳香族複素環基から選ばれる1価の基であり、EはI,S,Se,Pから選ばれる中心元素であり、YはBF 、PF 、AsF 、SbF 、ClO 、HSO 及びB(C から選ばれる非塩基性かつ非求核性の陰イオンであり、xは、EがIのとき2であり、EがS又はSeのとき3であり、EがPのとき4である。
上記式(4)における芳香族炭素環式基としては、フェニル、ナフチルのような1価の芳香族炭素環基、及び、該1価の芳香族炭素環基の炭素原子に結合する水素原子の一部がメチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、デシル、ドデシルのようなアルキル基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ基などのようなアルコキシ基、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、シアノ基、メルカプト、チオフェニルのような硫黄含有基などから選ばれる基によって置換された基が挙げられる。特に反応性の高さから、EはI又はSが好ましく、YはPF 、SbF 、又はB(C が好ましい。また、Rは炭素数8〜20のアルキル基あるいは炭素数1〜10のアルコキシ基で置換された芳香族炭素環基であることが、シリコーンに対して溶解性が優れている点から好ましい。
上記式(4)で表される開始剤としては、中でもジアリールヨードニウム塩誘導体、及びトリアリールスルホニウム塩誘導体が好ましい。
オニウム塩の配合量は、光開始剤としての有効量を添加すれば良く、特に限定されるものではない。例えば、硬化速度と経済性の観点から、本発明の化合物及びその他の重合性モノマーの合計100重量部に対して0.3〜5重量部が好ましい。
上記カチオン重合には増感剤が使用できる。該増感剤としては、本発明の化合物及びその他の重合性モノマーに相溶する増感剤であればよく、公知の増感剤を使用できる。但し、得られる重合体を光学的用途として使用する場合、着色の問題が生じるため、ベンゾフラビン等の色素は使用できない。該増感剤としては、例えば上記オニウム塩化合物がヨードニウム塩化合物等の場合は、1−ナフトール、2−ナフトール、1−メトキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン等のナフタレン誘導体、2−エチルアントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン等のアントラセン誘導体、9−ヒドロキシフェナントレン、9−メトキシフェナントレン、9,10−ジメトキシフェナントレン等のフェナントレン誘導体が使用できる。
カチオン重合に使用されるエネルギー線としては、例えば、光、電子線、及びX線等の活性エネルギー線が挙げられる。照射条件等は従来公知の方法に従い適宜選択されればよい。
本発明の化合物を重合成分として含む重合体はシロキサンの特性を有するビニルエーテル系重合体である。すなわち、耐熱性、防汚性等に優れ、また耐熱性、耐加水分解性、及び耐酸化性等の化学的安定性に優れる重合体となる。該重合体は、高分子界面活性剤、熱可塑性エラストマー、塗料、接着剤、リソグラフィーのテンプレート剤、可撓性シート材料への薄膜コーティングの材料、離型剤料として好適である。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
下記実施例において、粘度はキャノンフェンスケ粘度計を用い、比重は浮秤計を用いて測定した。屈折率はデジタル屈折率計RX−5000(アタゴ社製)を用いて測定した。H−NMR分析は、JNM−ECP500(日本電子社製)を用い、測定溶媒として重クロロホルムを使用して実施した。
また、下記において化合物の純度は、以下の条件によるガスクロマトグラフィー(GC)測定により行ったものである。
ガスクロマトグラフィー(GC)測定条件
ガスクロマトグラフ:Agilent社製
検出器:FID、温度300℃
キャピラリーカラム:J&W社 HP−5MS(0.25mm×30m×0.25μm)
昇温プログラム:50℃(5分)→10℃/分→250℃(保持)
注入口温度:250℃
キャリアガス:ヘリウム(1.0ml/分)
スプリット比: 50:1
注入量:1μl
[実施例1]
下記式(5)で表されるアクリル化合物59.5g(0.32mol)、
Figure 0006318121
メチルシクロヘキサン100gを、攪拌機、ジムロート、温度計、及び滴下ロートを付けた1リットルフラスコに仕込み、70℃まで昇温した。塩化白金酸アルカリ中和物とビニルシロキサンとの反応物(錯体)のトルエン溶液(白金含有量0.5%)0.15gを前記フラスコ中に添加した後、滴下ロートを用いて、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン44.4g(0.2mol)を1時間かけて前記フラスコ中へ滴下した。100℃で1時間熟成後に反応物をGCで分析したところ、原料の1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンのピークが消失し、反応が完結したことを示した。メチルシクロヘキサンを減圧ストリップして、無色透明液体であるシリコーン化合物72.6gを得た。H−NMR分析で、下記式(6)で表されるシリコーン化合物であることが確認された(0.18mol、収率89%)。GC測定による該シリコーン化合物の純度は95.8%であり、粘度は5.1mm/s(25℃)であり、比重は0.965(25℃)であり、屈折率は1.4280であった。
Figure 0006318121
上記化合物のH−NMRスペクトルデータを以下に示す。
0.1ppm(23H)、1.5ppm(2H)、3.7−3.9ppm(8H)、3.95ppm(1H)、4.0ppm(1H)、6.5ppm(1H)
[比較例1]
末端メタクリル基を有する化合物を原料とした製造方法
下記式(7)で表されるメタクリル化合物64.6g(0.32mol)、
Figure 0006318121
及びメチルシクロヘキサン100gを、攪拌機、ジムロート、温度計、及び滴下ロートを付けた1リットルフラスコに仕込み、70℃まで昇温した。塩化白金酸アルカリ中和物とビニルシロキサンとの反応物(錯体)のトルエン溶液(白金含有量0.5%)0.15gを前記フラスコ中に添加した後、滴下ロートを用いて、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン44.4g(0.2mol)を1時間かけて前記フラスコ中へ滴下した。100℃で1時間熟成後に反応物をGCで分析したところ、原料の1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンのピークが消失し、反応が完結したことを示した。メチルシクロヘキサンを減圧ストリップして、無色透明液体である化合物76.3gを得た。H−NMR分析で、下記式(8)で表される化合物であることが確認された(0.18mol、収率89%)。GC測定による該化合物の純度は96.3%であり、粘度は5.4mm/s(25℃)であり、比重は0.962(25℃)であり、屈折率は1.4307であった。
Figure 0006318121
上記化合物のH−NMRスペクトルデータを以下に示す。
0.1ppm(23H)、0.9ppm(2H)、2.0ppm(3H)、3.5−3.8ppm(6H)、4.3ppm(2H)、5.6ppm(1H)、6.1ppm(1H)
上記比較例1に示す通り、末端にメタクリル基を有する化合物を原料とした付加反応では、ヒドロシランはメタクリル基とではなくビニル基と選択的に反応してしまい、分子構造中にエステル結合を有する下記式で表される化合物を得ることはできなかった。
Figure 0006318121
重合体の製造
[実施例2]
メカニカルスターラー、ジムロート、滴下ロートおよび温度計を備えた容量300mlの四つ口セパラブルフラスコに、トルエン15mlを入れて氷冷し、撹拌しながら三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体(BF−EtO)87mg(0.5mmol)を加え、エチルビニルエーテル53.6g(745mmol)及び実施例1で合成した上記式(6)で表されるシリコーン化合物2g(5mmol)の混合物を3時間かけて滴下しながらカチオン重合反応を行なった。反応時の温度は15〜22℃であった。反応液に10%水酸化ナトリウム溶液1mlを加えてトルエン層と水層を分液し、トルエン層を水40mlで2回、次いで飽和食塩水で1回分液洗浄して硫酸ナトリウムで乾燥後、トルエンを留去することでシリコーン変性ポリビニルエーテル(54g)を得た。GPCにより測定した該ポリマーの重量平均分子量(標準ポリスチレン換算、測定溶媒:THF、測定温度40℃)は19000であった。
上記実施例2に示す通り、本発明の化合物をエチルビニルエーテルと重合反応させることにより、高分子量のポリマーを得ることができる。これは、本発明の化合物がエチルビニルエーテルや触媒との相溶性が良好であるため反応が進行しやすく、また生成物の溶媒溶解性も良好であるため、均一系で速やかな重合反応を行うことができるためである。
[比較例2]
エチルビニルエーテル53.6g及び上記式(6)で表されるシリコーン化合物2gの混合物の代わりに、エチルビニルエーテル54g(750mmol)を用いた以外は実施例2を繰り返し、ポリビニルエーテル(53g)を得た。GPCにより測定した該ポリマーの重量平均分子量(標準ポリスチレン換算、測定溶媒:THF、測定温度40℃)は8500であった。
本発明の化合物を他の重合性モノマー(特には、ビニルエーテル化合物)と重合反応させることにより、重合度の高い重合体を与えることができる。また重合体はシロキサン構造を有するため、耐熱性、防汚性等に優れ、耐加水分解性、耐酸化性等の化学的安定性に優れる。該重合体は、高分子界面活性剤、熱可塑性エラストマー、塗料、接着剤、リソグラフィーのテンプレート剤、可撓性シート材料への薄膜コーティングの材料、離型剤料として好適である。

Claims (6)

  1. 下記式(1)で表される化合物
    Figure 0006318121
    (式(1)において、kは2または3であり、nは1〜2の整数であり、R1およびRは、互いに独立に、炭素数1〜4のアルキル基である)。
  2. 式(1)において各特定の一のk、n、R1及びRを有する1種が、化合物の質量全体のうち95質量%超を成す、請求項1記載の化合物。
  3. 請求項1又は2記載の化合物から導かれる繰返し単位と、該化合物と重合性の他の化合物から導かれる繰返し単位とを含む、共重合体。
  4. 他の化合物がビニル基を有する、請求項3記載の共重合体。
  5. 下記式(1)で表される化合物を製造する方法であって、
    Figure 0006318121
    (式(1)において、kは2または3であり、nは1〜2の整数であり、R1およびRは、互いに独立に、炭素数1〜4のアルキル基である)
    下記式(2)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンと、
    Figure 0006318121
    (k、RおよびRは上述のとおりである)
    下記式(3)で表される化合物とを、
    Figure 0006318121
    (nは上述のとおりである)
    付加反応させる工程を含む、製造方法。
  6. 式(1)において各特定の一のk、n、R1及びRを有する1種が、化合物の質量全体のうち95質量%超を成す、請求項5記載の製造方法。
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