JP6314656B2 - 道路交通需要予測装置及び道路交通需要予測方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、道路交通需要予測に道路交通の状態の重要な因子である一般車の将来挙動を取り込み、道路交通需要予測の精度を向上させることを目的とする。
[第1実施形態]
1.1 道路交通需要予測装置の構成
図1は、第1実施形態の道路交通需要予測装置を含むシステムの構成を示す図である。図1に示したシステムは、道路交通需要予測装置1と、道路交通需要データベース2と、によって構成される。道路交通需要データベース2は、道路交通需要に係る道路交通需要データ103を蓄積している。
道路交通需要予測装置1は、パーソナルコンテキスト入力部11、走行行動予測部12及び道路交通需要予測部13を備えている。また、道路交通需要予測部13は、グローバルコンテキスト101、業務・公共車両運行計画情報102、道路交通需要データ103を取得するアンテナ14を備えている。
走行行動予測部12は、パーソナルコンテキストから個人が車両を走行させる際の走行行動を予測する。道路交通需要予測部13は、道路交通需要データ、グローバルコンテキスト101及び走行行動予測部12によって予測された予測行動を示す予測行動情報104を使い、道路交通需要を予測する。
このとき、走行経路・時刻予測部22は、パーソナルコンテキストの提供を承諾した一つ以上の組織体の情報を集約して道路交通需要予測を行うセンター機能を担う。このため、組織体の情報セキュリティの観点から、第1実施形態は、走行経路・時刻予測部22として機能するコンピュータを組織体の内部に置いてもよい。そして、走行経路・時刻予測部22は、走行経路・時刻予測結果を示す予測行動情報104を生成する工程を組織体の内部で行い、走行経路・時刻予測結果のみを道路交通需要予測部13に出力することが考えられる。
上記した道路交通需要予測装置3において、走行経路・時刻予測部22はパーソナルコンテキスト取得部に対応する。また、走行経路・時刻予測部22は、走行行動予測部に対応する。道路交通需要予測部13は、予測行動情報104を用いて道路交通需要予測を行う。
図3は、図2に示した道路交通需要予測装置1で行われる予測行動情報104を生成するための処理を説明するためのフローチャートを示す図である。図3に示したフローチャートを実行するプログラムは、汎用的なコンピュータ上で動作し、道路交通需要予測の処理を実行する。また、プログラムは、1つのコンピュータ上で動作するものであってもよいし、機能毎に異なる複数のコンピュータにインストールされ、共同して道路交通需要予測を行うものであってもよい。
図4は、図1、図2に示した道路交通需要予測部13が実行する道路交通需要予測の処理のフローチャートを示した図である。なお、図4中に示した記号または関数は、以下の因子を示す。
本発明の第1実施形態は、以上説明した構成に限定されるものではない。以下、第1実施形態のパーソナルコンテキストを取得する変形例について説明する。なお、変形例の説明にあたり、第1実施形態で説明した構成と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を一部略す。
図5は、第1実施形態の変形例1を説明するための図である。図5に示した変形例1の道路交通需要予測装置4は、移動予定抽出部21、走行経路・時刻予測部22、道路交通需要予測部13、移動予定推定部58を備えている。道路交通需要予測装置4は、予め情報提供を承諾した会員(道路交通情報提供サービス等の会員。以下、単に「会員」とする)のパーソナルスケジューラー55やメールの履歴、インターネットの検索履歴、SNSのテキストの履歴から会員の移動予定を抽出し、走行行動を予測する。
移動予定抽出部21は、会員のサービスアプリケーションがインストールされているスマートフォン等の個人情報機器(以下、「スマートフォン」と記す)上のパーソナルスケジューラー55を参照する。そして、参照したパーソナルスケジューラー55に記録されている情報から、会員の移動予定情報501を抽出する。
図6−1、図6−2は、変形例1の予測行動情報104を生成するための処理を説明するためのフローチャートを示す図である。図6−1に示すように、図5に示した移動予定抽出部21は、パーソナルスケジューラー55の情報をパーソナルコンテキストとして入力する。また、移動予定推定部58は、履歴情報502から会員の移動行動を推定し、推定移動予定情報503を生成する(ステップS71)。そして、推定された移動行動におけるイベントの場所を目的地に設定する(ステップS72)。
図7は、第1実施形態の変形例2を説明するための図である。図7に示した変形例2の道路交通需要予測装置5は、移動予定抽出部21、走行経路・時刻予測部22、道路交通需要予測部13、移動予定推定部78を備えている。移動予定推定部78は、インターネット・クラウド・サービス79上に流通している情報をパーソナルコンテキストとし、パーソナルコンテキストから人員の移動に関する予定を推定する。
走行経路・時刻予測部22は、一般移動履歴D・B77と接続し、情報提供を許諾した個人の移動履歴情報704を取得する。なお、移動履歴情報704には、個人が過去に行った移動の出発地、目的地、出発地から目的地へ向かう移動手段(交通モード:自動車、電車、飛行機、徒歩等)が含まれている。
道路交通需要予測部13は、個人の走行経路、移動開始時刻と終了時刻を推測して得られる個人走行経路・時刻予測結果情報を使って道路交通需要を予測する。このため、第1実施形態は、パーソナルコンテキストから一般車の将来挙動を取り込むことができ、道路交通需要の予測精度を高めることができる。
2.1 道路交通需要予測装置の構成
以下、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態の説明において、第1実施形態で説明した構成と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を一部略す。第2実施形態の道路交通需要予測装置は、道路交通需要予測を行う対象となる対象地域を対象地域より小さい小領域(以下、「走行ゾーン」と記すに分割し、走行ゾーン毎に予測を行うものである。
走行行動予測部82は、パーソナルコンテキストから個人が車両を走行させる際の走行行動を予測する。第2実施形態では、走行行動予測部82が、構成員が今後走行すると考えられる道路と、道路を走行する時刻とを予測し、予測結果を示す将来走行経路・時刻予測結果情報114(予測行動情報104に相当)を生成する。
図9(a)、(b)は、走行ゾーン別道路交通需要予測部83が、対象地域を走行ゾーンに分割することを説明するための図である。走行ゾーン別道路交通需要予測部83は、図9(a)に示すように、対象地域を格子状に走行ゾーンに分割する。または、走行ゾーン別道路交通需要予測部83は、図9(b)に示すように、対象地域を行政界に準じて走行ゾーンに分割している。
図10は、図8に示した道路交通需要予測装置6の走行ゾーン別道路交通需要予測部83が実行する道路交通需要予測の処理のフローチャートを示した図である。なお、図10中に示した記号または関数は、以下の因子を示す。
走行ゾーンiの構成員の影響の大きさがランクAに該当する場合、走行ゾーン別道路交通需要予測部83は、関数fAを使って将来道路交通需要を推計する(ステップS96)。また、走行ゾーン別道路交通需要予測部83は、走行ゾーンiの構成員の影響の大きさがランクBに該当する場合に関数fBを使って将来道路交通需要を推計し(ステップS97)し、走行ゾーンiの構成員の影響の大きさがランクCに該当する場合に関数fCを使って将来道路交通需要を推計する(ステップS98)。関数fA、関数fB、関数fCは、式(1)において重み付け係数αの値が異なる式で表される。
3.1 道路交通需要予測装置の構成
以下、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態の説明において、第1実施形態、第2実施形態で説明した構成と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を一部略す。第3実施形態の道路交通需要予測装置は、道路交通需要D・B2から抽出される走行ゾーン毎の平均道路交通需要余裕及び個人の平均道路交通需要とパーソナルコンテキストから予測される個人の将来的な道路交通需要とを用いて、将来道路交通渋滞を推計するものである。
走行ゾーン別道路交通需要・渋滞予測部123は、道路交通需要データ、グローバルコンテキスト101及び走行行動予測部122によって予測された将来走行経路・時刻予測結果を示す将来走行経路・時刻予測結果情報114を使い、走行ゾーン毎に道路交通需要及び渋滞の予測を行っている。
図13は、図12に示した道路交通需要予測装置7の走行ゾーン別道路交通需要・渋滞予測部123が実行する道路交通需要・渋滞予測の処理のフローチャートを示した図である。なお、図13中に示した記号または関数は、以下の因子を示す。
平均道路交通需要余裕は、平均的な道路交通需要に対して、どの程度道路交通需要が増加すると渋滞が発生するかという、渋滞発生までに受容可能な道路交通需要の大きさを表す。
なお、図14中に示した記号または関数は、以下の因子を示す。
走行ゾーン別道路交通需要・渋滞予測部123は、全グローバルコンテキストg、全走行ゾーンi、全時間帯kについて処理が終了したか否か判断する(ステップS146)。処理が終了している場合には全ての処理を終了し(ステップS146:Yes)、処理が終了していない場合には(ステップS146:No)、ステップS141に戻って次の処理を実行する。
4.1 道路交通需要予測装置の構成
以下、本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態の説明において、第1実施形態から第3実施形態で説明した構成と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を一部略す。第4実施形態の道路交通需要予測装置は、道路交通需要予測を行う対象となる対象地域を道路とし、道路を道路リンクに分割し、道路リンク毎に予測を行うものである。なお、第4実施形態では、道路を分岐点で分割し、分割した道路(道路区間)の各々を「道路リンク」と記す。
道路リンク別道路交通需要予測部153は、道路交通需要データ、グローバルコンテキスト101及び走行行動予測部152によって予測された将来走行経路・時刻予測結果を示す将来走行経路・時刻予測結果情報154を使い、道路リンク毎に道路交通需要を予測する。
図16は、図15に示した道路交通需要予測装置8の道路リンク別道路交通需要予測部153が実行する道路交通需要予測の処理のフローチャートを示した図である。なお、図16中に示した記号または関数は、以下の因子を示す。
道路リンク別道路交通需要予測部153は、後述する方法によって道路リンクの構成員の影響の大きさを求め、道路リンクの構成員の影響の大きさを、予め定めたランクA、ランクB、ランクCのいずれかに振り分ける(ステップS165)。
なお、第4実施形態は、図17に示したパラメータ(走行ゾーン毎の組織体の数、組織体の構成員の数、構成員の移動に係る出発地の数、POIの数、道路属性)の全てを使って個人の道路交通需要の影響の程度を評価するものに限定されない。第4実施形態は、このようなパラメータの少なくとも1つを使って個人の道路交通需要の影響の程度を評価するものであればよい。
5.1 道路交通需要予測装置の構成
以下、本発明の第5実施形態を説明する。第5実施形態の説明において、第1実施形態から第4実施形態で説明した構成と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を一部略す。第5実施形態の道路交通需要予測装置は、道路交通需要D・B2から抽出される道路リンク毎の平均道路交通需要余裕及び個人の平均道路交通需要とパーソナルコンテキスト101から予測される個人の将来的な道路交通需要とを用いて、将来道路交通渋滞を推計するものである。
道路リンク別道路交通需要・渋滞予測部183は、道路交通需要データ、グローバルコンテキスト101及び走行行動予測部152によって予測された将来走行経路・時刻予測結果を示す将来走行経路・時刻予測結果情報154を使い、道路リンク毎に道路交通需要及び渋滞の予測を行っている。
図19は、図18に示した道路交通需要予測装置9の道路リンク別道路交通需要・渋滞予測部183が実行する道路交通需要・渋滞予測の処理のフローチャートを示した図である。なお、図19中に示した記号または関数は、以下の因子を示す。
平均道路交通需要余裕は、平均的な道路交通需要に対して、どの程度道路交通需要が増加すると渋滞が発生するかという、渋滞発生までに受容可能な道路交通需要の大きさを表す。
図20は、道路リンク別道路交通需要・渋滞予測部183が道路リンク毎の平均道路交通需要余裕データベース184を作成する手順を説明するためのフローチャートである。
なお、図20中に示した記号または関数は、以下の因子を示す。
以上、説明したように、本発明の第1実施形態から第5実施形態によれば、パーソナルコンテキストから一般車の将来挙動を取り込むことにより、道路交通需要の予測精度を高めることができる。
次に、本発明の第6実施形態について説明する。なお、第6実施形態において、第1実施形態から第5実施形態のいずれかで説明した構成については同様の符号を付し、その説明を省くものとする。
図21は、第6実施形態の道路交通需要予測装置1を含むシステムを示した図である。道路交通需要予測装置1は、パーソナルコンテキスト入力部11、走行行動予測部12及び道路交通需要予測部13を備えている。また、道路交通需要予測部13は、グローバルコンテキスト101、業務・公共車両運行計画情報102、道路交通需要データ103を取得するアンテナ14を備えている。第6実施形態の道路交通需要予測装置1は、道路交通需要予測部13がアンテナ14によって構成員の道路交通需要データベース211から構成員の平均道路交通需要を取得する点で第1実施形態と相違する。また、第6実施形態では、走行行動予測部12が、組織体を構成する構成員の走行行動を予測するものとする。
図22は、第6実施形態の道路交通需要予測部13で実行される処理を説明するためのフローチャートである。なお、図22中に示した記号または関数は、以下の因子を示す。
また、道路交通需要予測部13は、グローバルコンテキスト101を読み込む(ステップS222)。さらに、道路交通需要予測部13は、グローバルコンテキスト101における対象地域のゾーン分割を行い、対象地域を複数の走行ゾーン{Zii…i}に分割する(ステップS223)。対象地域の分割後、道路交通需要予測部13は、以降の処理を走行ゾーン{Zii…i}毎に実行する。
道路交通需要予測部13は、以上の処理によって抽出した情報を使い、グローバルコンテキスト101における将来道路交通需要の推計を行う(ステップS227)。
図23−1は、第6実施形態の対象地域を走行ゾーンに分割する処理手順を説明するためのフローチャートである。図23−1に示した処理は、図22に示したステップS223のサブルーチンの内容を示したものであり、図1に示した道路交通需要予測部13が実行する。
道路交通需要予測部13は、先ず、対象地域を予め設定されている初期サイズの走行ゾーンに分割して走行ゾーン群{Zi}を生成する(ステップS231)。道路交通需要予測部13は、以降の処理をステップS231において生成した走行ゾーン群{Zi}に含まれる全ての走行ゾーンについて実行する。
そして、道路交通需要予測部13は、全てのi(全ての走行ゾーン)について処理が終了したか否か判断する(ステップS235)。ステップS235において全ての走行ゾーンZIについて処理が終了していない場合(ステップS234:No)、道路交通需要予測部13は、ステップS232に戻って次の走行ゾーンZIについて処理を行う。
図23−2は、図23−1に示したステップS234のサブルーチンの内容を説明するためのフローチャートである。図23−2に示したフローチャートは、長方形の格子状に走行ゾーンを細分化する処理を説明する処理を示している。
図24は、図23−2に示したフローチャートの処理によって細分化される走行ゾーンZIを説明するための図である。図24に示した走行ゾーンZIは、図中の縦方向の長さがΔYI、図中の横方向の長さがΔXIの矩形形状を有している。図23−2に示したフローチャートは、図24に示した走行ゾーンZIを走行ゾーンZI1、走行ゾーンZI2、走行ゾーンZI3、走行ゾーンZI4の4つに細分割する例を説明する。
以上の処理の後、道路交通需要予測部13は、走行ゾーンZI1、走行ゾーンZI2、走行ゾーンZI3、走行ゾーンZI4のサイズと端点の座標とを出力し、図23−1に示したメインルーチンに戻る。
第6実施形態は、走行ゾーンZI内の組織体数NSite、構成員数Nmember、自宅数NHome、POI数NPoi、道路規格FC毎の道路長LFC、グローバルコンテキストにおける道路交通需要の変動量ΔQgの少なくとも1つが対応する最大値である走行ゾーンZI内の組織体数NSite max、構成員数Nmember max、自宅数NHome max、POI数NPoi max、道路規格FC毎の道路長LFC max、グローバルコンテキストにおける道路交通需要の変動量ΔQgmax(以下、「各変数最大値」あるいは「変数の解像度」とも記す)を超えた場合に走行ゾーンを細分割する。このような最大値は、対象地域によって相違する。また、最大値は、対象地域が同じであってもグローバルコンテキストによって相違する。
なお、走行ゾーンの細分割は、走行ゾーンを細かく分割するほど走行ゾーンに対応した高い精度で処理を行うことができる。しかし、走行ゾーンを細かく細分割すると、走行ゾーンの数が増加することよって計算リソースの負荷が増大する。このため、各変数最大値の決定は、計算リソースの制限下で、最大の計算精度が得られるように、変数の解像度のバランスをとることが求められる。
第6実施形態は、上記理由により、各変数最大値の決定を、所与の制約条件下での多変数空間における目的関数の極値問題と考える。そして、第6実施形態は、計算リソースの制限によって決まる走行ゾーン数の範囲内で、各変数最大値の微小な変化によって起きる最終的な目的関数である将来道路交通需要の推計値の変化が最小となる状態を求めている。
道路交通需要予測部13は、変数最大値を算出する処理に利用可能な計算リソースのメモリ容量や演算速度、適用状況等を考慮し、細分割によって生成可能な走行ゾーンの最大数NZONE maxを設定する(ステップS261)。
道路交通需要予測部13は、ステップS264で行った走行ゾーン別道路交通需要予測処理の結果から総ゾーン数NZONEを算出する(ステップS263)。そして、走行ゾーン毎の将来道路交通需要の推計値TDii…i gを算出する。このとき、道路交通需要予測部13は、各変数を予め設定した比較的微小な値ずつ変化させながら推計値TDii…i gを算出する(ステップS264)。そして、道路交通需要予測部13は、総ゾーン数が最大ゾーン数以下の範囲において(ステップS265)、将来道路交通需要の推計値TDii…i gの総和の変化が最小となる条件を探索する(ステップS266)。ステップS266において、推定値が条件を満たした場合(ステップS266:Yes)、道路交通需要予測部13は、推定値の算出に使用された各変数を出力する。
さらに、道路交通需要予測部13は、設定された新たな変数を使ってステップS262の処理を実行する。
次に、本発明の第7実施形態について説明する。なお、第7実施形態において、第1実施形態ないし第6実施形態のいずれかで説明した構成については同様の符号を付し、その説明を省くものとする。第7実施形態の道路交通需要予測装置は、対象地域を行政で定められた境界で分割して複数の矩形形状の走行ゾーンを生成するものである。
第7実施形態の道路交通需要予測装置は、第6実施形態の道路交通需要予測装置と同様に構成されている。このため、第7実施形態では、道路交通需要予測装置の図示及び説明を省く。
図27は、第7実施形態の走行ゾーンの細分割を説明するためのフローチャートである。第7実施形態では、連接する「町」、「丁目」のレベルの地域であるCゾーンの集合として走行ゾーン(第7実施形態では「町丁目ゾーン」とも記す)を表現する。
道路交通需要予測部13は、町丁目ゾーン{CCMI}のGIS情報(座標、面積、隣接ゾーン)を読み込む(ステップS271)。そして、町丁目ゾーンを、座標値、隣接ゾーンの情報を用い、一方向に隣接する順番でソートする。この結果、道路交通需要予測部13は、{CCMI}={CCM1 I,…,CCMN I}の順番でCゾーンが保存される町丁目ゾーンを生成する(ステップS272)。
また、道路交通需要予測部13は、走行ゾーンZI1に加えられなかった残りのCゾーンからなる走行ゾーン{CCMj+1 I,…,CCMN I}を走行ゾーンZI2とする(ステップS277)。そして、道路交通需要予測部13は、走行ゾーンZI1{CCMN I1}の情報と、走行ゾーンZI2{CCMN I2}の情報とを書きだす(ステップS278)。
なお、第7実施形態は、図27に示したフローチャートで示した方法によって走行ゾーンを細分割する構成に限定されるものではない。例えば、組織体の構成員の出発地、目的地及びPOIとなり得る施設等の存在の粗密を考慮して行政境界に基づく走行ゾーンの分割をしてもよい。
さらに、第7実施形態は、細分割された走行ゾーンのサイズを、対象地域内の道路の規格毎の長さの分布、道路交通需要D・B2から抽出される道路交通需要の少なくともいずれか1つに基づいて変化するものであってよい。
次に、本発明の第8実施形態を説明する。なお、第8実施形態において、第1実施形態ないし第7実施形態のいずれかで説明した構成については同様の符号を付し、その説明を省くものとする。第8実施形態は、道路における一の分岐点と他の分岐点との間の道路リンクが連接して構成するパスを走行ゾーンとするものである。
第8実施形態の道路交通需要予測装置は、第6実施形態の道路交通需要予測装置と同様に構成されている。このため、第8実施形態では、道路交通需要予測装置の図示及び説明を省く。
図30は、第8実施形態の連接する道路リンクからなるパスを走行ゾーンとした場合の対象地域の細分割を説明するためのフローチャートである。なお、第8実施形態では、GISデータにおける道路情報の最小単位である道路リンク(道路の一の分岐と他の分岐との間の部分)を用い、連接する道路リンクを連ねることで構成される経路をパスと記す。第8実施形態は、パスを走行ゾーンとして使用する。
道路交通需要予測部13は、走行ゾーンZIを構成する道路リンク{LinkI}を、道路リンクの座標や連接リンク情報を基に、連接する順にソートする(ステップS302)。そして、道路交通需要予測部13は、走行ゾーンZIjの「j」を1に設定する(ステップS303)。
なお、ここでいう「概ね」とは、道路リンクLink1 I,…LinkN Iの長さを足し合わせていくうちに、足し合わされた合計の長さと走行ゾーンZIの長さの1/2の値との差が予め定めたプラスの所定の値の範囲にあること、あるいはマイナスの所定の値の範囲にあることをいう。
本発明の実施形態の道路交通需要予測装置及び道路交通需要予測方法であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)道路交通需要予測装置1は、道路交通需要データベース2から道路交通需要に係る道路交通需要データを取得し、複数の人員に共通の環境あるいは特定の地域に係る情報であるグローバルコンテキスト101を取得するアンテナ14と、個人の環境あるいは特定の組織体に係る情報であるパーソナルコンテキストから予測した個人が車両を走行させる際の走行行動に係る予測行動データを入力し、道路交通需要データ、グローバルコンテキスト及び予測行動データを用い、道路交通需要予測を行う道路交通需要予測部13と、を備える。
このため、道路交通需要予測装置は、道路交通の主要な部分を占める一般車の将来挙動を取り込み、高い精度で道路交通需要の予測を行うことができる。
(3)道路交通需要予測部13は、道路交通需要予測を行う対象となる対象地域をこの対象地域よりも小さい走行ゾーンに分割し、この走行ゾーン毎に予測を行う。
このため、広範囲なパーソナルコンテキストを取り込むことができる。
(5)パーソナルコンテキスト入力部111は、組織体のスケジュール及びこの組織体に属する構成員のスケジュールの少なくとも一方をパーソナルコンテキストとして取得する。
このため、多数の個人のスケジュールを取得することができる。
このため、組織体の構成員とは異なる属性(情報提供サービスの会員)の個人のスケジュールを取得することができる。
このため、広範囲の移動行動に関する情報、予定を取得することができる。
(8)アンテナ14は、取得したグローバルコンテキスト101における平均道路交通需要及びグローバルコンテキスト101における個人の平均道路交通需要を道路交通需要データとして取得し、走行行動予測部12は、パーソナルコンテキストから予測した個人の将来的な道路交通需要を予測行動データとして生成し、道路交通需要予測部13は、平均道路交通需要、個人の平均道路交通需要及び個人の将来的な道路交通需要から将来道路交通需要を推計する。
このため、人員の将来的な道路交通需要を推計することができる。
このため、将来道路交通需要推計の処理を効率的に行うことができる。
(10)道路交通需要予測部13は、対象地域を、道路区間を単位にして走行ゾーンに分割する。
このため、詳細なスケールの道路交通需要予測が可能となる。
(11)道路交通需要予測部13は、個人の道路交通需要の影響の程度を、走行ゾーン毎の組織体の数、この組織体の構成員の数、この構成員の移動に係る出発地の数、POIの数、道路属性の少なくとも1つを使って評価する。
このため、高い精度で個人の道路交通需要の影響をランク分けすることができ、将来道路交通需要推計の処理を効率的に行うとともに、高い予測精度を得ることができる。
このため、道路交通需要データベースに蓄積されたデータ及びパーソナルコンテキストのみを用い、効率よく将来道路交通渋滞を推計することができる。
(13)道路交通需要予測部13は、道路交通需要データベース2から抽出されるグローバルコンテキスト、走行ゾーン、時間帯毎の道路交通需要から平均道路交通需要余裕を算出する。
このため、道路交通需要データベースから取得したデータのみを使って平均道路交通需要余裕を導出することができる。
このため、対象地域の箇所毎に地域の地理的状況、グローバルコンテキスト情報及びパーソナルコンテキストに応じた適切な解像度のゾーンサイズを選択することができ、予測精度の向上及び予測処理の効率化を図れることができる。また、対象地域の箇所毎のゾーンサイズの設定にあたり、ゾーンサイズは、個人の走行行動の出発地(O)、目的地(D)、POIの分布の少なくとも1つに対応して変化する。さらに、ゾーンサイズは、対象地域内の道路の規格毎の長さの分布、上記道路交通需要データベースから抽出される道路交通需要のいずれか一つに対応して変化する。このため、箇所毎の道路交通需要の予測に適した走行ゾーンのサイズを選択することができ、予測精度の向上及び予測処理の効率化を図ることができる。
このため、予測処理の計算の効率を高め、走行ゾーンの生成に係る処理の負荷を軽減することができる。
(16)道路交通需要予測部13は、対象地域を行政で定められた境界に基づき分割して複数の走行ゾーンを生成する。
このため、地域の状況に則して走行ゾーンを効率的に生成することが可能となる。
(17)道路交通需要予測部13は、道路における一の分岐点と他の分岐点との間の道路リンクが連接して構成するパスを走行ゾーンとする。
このため、道路の部分毎の道路交通需要を直接予測することができる。
このため、変数に適した解像度を得ることができ、道路交通需要予測の精度及び計算効率を高めることができる。
(19)変数最大値は、走行ゾーンの総数が予め設定された走行ゾーン総数以下であると共に、変数最大値の変化による将来道路交通需要の予測された値の変化が最小となるように設定される。
このため、処理計算リソースの範囲の中で、目的変数である将来道路交通需要の予測精度が最も高いゾーン分割を行うことができる。
このため、道路交通需要予測方法は、道路交通の主要な部分を占める一般車の将来挙動を取り込み、高い精度で道路交通需要の予測を行うことができる。
パーソナルコンテキストには、企業、団体、自治体等の組織体のスケジュール、組織体の構成員のスケジュールや情報提供サービス会員のスケジュール、会員がメール、検索、ソーシャルネットーワークシステム(SNS)のテキスト履歴等が使用できる。また、パーソナルコンテキストには、組織体の構成員や情報提供サービス会員がインターネット上で授受した情報、インターネット・クラウド・サービス上の不特定多数の利用者の検索、及びSNS履歴等が使用できる。
2 道路交通需要データベース
11 パーソナルコンテキスト入力部
12,82,122,152 走行行動予測部
13 道路交通需要予測部
14 アンテナ
21 移動予定抽出部
22 走行経路・時刻予測部
55 パーソナルスケジューラー
58,78 移動予定推定部
71 測位部
79 インターネット・クラウド・サービス
83 走行ゾーン別道路交通需要予測部
101 グローバルコンテキスト
102 公共車両運行計画情報
103 道路交通需要データ
104 予測行動情報
111 パーソナルコンテキスト入力部
114 時刻予測結果情報
123 走行ゾーン別道路交通需要・渋滞予測部
124 平均道路交通需要余裕データベース
153 道路リンク別道路交通需要予測部
154 時刻予測結果情報
183 道路リンク別道路交通需要・渋滞予測部
184 平均道路交通需要余裕データベース
201 アウトルック
202 移動予定情報
203 構成員移動予定情報
204 移動履歴情報
205 ネットワーク情報
206 場所情報
207 住所情報
211 道路交通需要データベース
501 移動予定情報
502 履歴情報
503,705 推定移動予定情報
504,704 移動履歴情報
701 SNSメッセージ
702 ブログメッセージ
703 検索履歴
706 位置・移動情報
Claims (14)
- 複数の人員に共通の環境あるいは特定の地域に係る情報であるグローバルコンテキストを取得するグローバルコンテキスト取得部と、
前記グローバルコンテキスト取得部によって取得した前記グローバルコンテキストにおける平均道路交通需要及び前記グローバルコンテキストにおける個人の平均道路交通需要を道路交通需要データとして取得する道路交通需要データ取得部と、
個人の環境あるいは特定の組織体に係る情報であるパーソナルコンテキストを取得するパーソナルコンテキスト取得部と、
前記パーソナルコンテキストから個人の将来的な道路交通需要を生成する走行行動予測部と、
前記平均道路交通需要、前記個人の平均道路交通需要及び前記個人の将来的な道路交通需要から将来の道路交通需要の予測を行う道路交通需要予測部と、
を備えることを特徴とする道路交通需要予測装置。 - 前記パーソナルコンテキストは、前記個人、前記組織体及び組織体を構成する構成員のうち少なくとも一つの、スケジュール、メールの履歴、インターネットの検索履歴及びSNSの履歴のうち少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の道路交通需要予測装置。
- 前記道路交通需要予測部は、道路交通需要予測を行う対象となる対象地域を小領域に分割し、当該小領域毎に予測を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の道路交通需要予測装置。
- 前記パーソナルコンテキスト取得部は、情報提供を承諾した個人の情報、情報提供を承諾した組織体の情報及び承諾不要で入手可能な公開情報の少なくとも一つを前記パーソナルコンテキストとして取得することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の道路交通需要予測装置。
- 前記パーソナルコンテキスト取得部は、前記組織体のスケジュール及び前記組織体に属する構成員のスケジュールの少なくとも一方を前記パーソナルコンテキストとして取得することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の道路交通需要予測装置。
- 前記パーソナルコンテキスト取得部は、情報提供サービスの会員のスケジュール及び当該会員がインターネット上で授受した情報の履歴の少なくとも一方を前記パーソナルコンテキストとして取得し、さらに、取得した前記パーソナルコンテキストから前記会員の移動に関する予定を推定する移動予定推定部を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の道路交通需要予測装置。
- 前記パーソナルコンテキスト取得部は、インターネット・クラウド・サービス上に流通している情報を前記パーソナルコンテキストとして取得し、さらに、取得した前記パーソナルコンテキストから個人の移動に関する予定を推定する移動予定推定部を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の道路交通需要予測装置。
- 前記道路交通需要予測部は、道路交通需要予測を行う対象となる対象地域を小領域に分割すると共に、当該小領域毎の道路交通需要に対する個人の道路交通需要の影響の程度によって将来道路交通需要の推計方法を変更することを特徴とする請求項1に記載の道路交通需要予測装置。
- 前記道路交通需要予測部は、前記個人の道路交通需要の影響の程度を、小領域毎の前記組織体の数、前記組織体の構成員の数、該構成員の移動に係る出発地の数、POI(Point Of Interest)の数、道路属性の少なくとも1つを使って評価することを特徴とする請求項8に記載の道路交通需要予測装置。
- 前記道路交通需要予測部は、道路交通需要データベースから抽出される前記グローバルコンテキスト、前記小領域、時間帯毎の道路交通需要から、前記道路交通需要データベースから抽出される前記小領域毎の平均道路交通需要余裕を算出することを特徴とする請求項8に記載の道路交通需要予測装置。
- 前記道路交通需要予測部は、前記小領域のサイズを前記グローバルコンテキスト及び前記パーソナルコンテキストの少なくとも一方に応じて変更し、前記小領域のサイズは、個人の移動の出発地、目的地、POI(Point Of Interest)の分布、前記対象地域内の道路の規格毎の長さの分布、道路交通需要データベースから抽出される道路交通需要の少なくともいずれか1つに対応して変化することを特徴とする請求項8に記載の道路交通需要予測装置。
- 前記小領域は、道路区間を単位にして分割した領域、前記対象地域を格子状に分割した矩形形状の領域、前記対象地域を行政で定められた境界に基づき分割した領域及び道路における一の分岐点と他の分岐点との間の道路リンクが連接して構成するパスのうちいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の道路交通需要予測装置。
- 前記道路交通需要予測部は、個人の移動の出発地、目的地、POI(Point Of Interest)の分布、前記対象地域内の道路の規格毎の長さの分布、前記道路交通需要データベースから抽出される道路交通需要の少なくともいずれか1つに係る変数の前記小領域毎の値が予め設定された値である変数最大値以下になるように前記小領域の大きさを設定することを特徴とする請求項11に記載の道路交通需要予測装置。
- 複数の人員に共通の環境あるいは特定の地域に係る情報であるグローバルコンテキストを取得するグローバルコンテキスト取得工程と、
前記グローバルコンテキスト取得工程で取得した前記グローバルコンテキストにおける平均道路交通需要及び前記グローバルコンテキストにおける個人の平均道路交通需要を道路交通需要データとして取得する道路交通需要データ取得工程と、
個人の環境あるいは特定の組織体に係る情報であるパーソナルコンテキストを取得するパーソナルコンテキスト取得工程と、
前記パーソナルコンテキスト取得工程で取得したパーソナルコンテキストから個人の将来的な道路交通需要を生成する走行行動予測工程と、
前記平均道路交通需要、前記個人の平均道路交通需要及び前記個人の将来的な道路交通需要から将来の道路交通需要の予測を行う道路交通需要予測工程と、
を含むことを特徴とする道路交通需要予測方法。
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